JP2021152131A - 二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルム、およびフィルムコンデンサ - Google Patents

二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルム、およびフィルムコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、主に大容量コンデンサにおける高温・高電圧環境下において優れた耐電圧性能を示し、かつ生産性に優れる二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することをその課題とする。【解決手段】 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による微分分子量分布曲線において、歪度が0.2以上1.0以下であり、尖度が−1.8以上−0.8以下であることを特徴とする、二軸配向ポリプロピレンフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、コンデンサの誘電体として用いた際に、高温・高電圧環境下において高い耐電圧性を有する二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルム、およびこれらを用いたフィルムコンデンサに関する。
二軸配向ポリプロピレンフィルムは、透明性、機械特性、電気特性などに優れるため、包装用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途などの様々な用途に用いられている。
中でもコンデンサ用途においては、その優れた高耐電圧特性、低損失特性から、コンデンサの誘電体として特に好ましく用いられている。最近では、各種電気設備がインバーター化されつつあり、それに伴いコンデンサの小型化、大容量化の要求が一層強まってきている。さらに、自動車用途や太陽光発電、風力発電用途では使用環境の高温化(85℃以上105℃以下を示す)が求められ、特に近年自動車用途の中でもハイブリッドカーや電気自動車などでは110℃以上125℃以下での使用が求められている。
そのため、誘電体である二軸配向ポリプロピレンフィルムには、生産性、加工性を維持しつつ、薄膜化、耐熱化、厚み当たりの耐電圧の向上が求められており、フィルムとしたときの耐電圧や生産性の向上を達成するため、主にポリプロピレン樹脂の原料検討がされている。
フィルムとしたときの耐電圧を向上させるため、規定の分子量分布(Mn、Mz)としたポリプロピレン樹脂と230℃における溶融流動指数(MFR)が低いポリプロピレン樹脂をブレンドさせる方法が好ましく用いられている。この方法により、結晶子サイズを小さくすることで漏れ電流が小さくなり、ジュール発熱による構造破壊の発生が抑制されるため、耐電圧が向上する(例えば、特許文献1参照)。
一方で、フィルム耐電圧の向上を保ちながら生産性を向上させる方法として、立体規則性の高い原料とメソペンダット分率が低く、高MFRのポリプロピレン樹脂をブレンドさせる方法(例えば、特許文献2、3参照)が提案されている。これらの方法を用いると、メソペンダット分率が低い原料をブレンドすることで、延伸性に優れたフィルムを得ることができる。
特開2019−140396号公報 特開2016−188360号公報 特開2014−205799号公報
しかしながら、特許文献1の方法を用いた場合、230℃における溶融流動指数(MFR)が低いポリプロピレン樹脂をブレンドさせることで薄膜のフィルムを安定して生産することが困難となり、また、近年の高温・高電圧環境においては、得られるフィルムの性能が不十分な場合もあった。また、特許文献2、3の方法を用いた場合、フィルムを高温環境下で使用する際に絶縁欠陥の主原因とされる低分子量で結晶性が低い成分が生成され、高温・高電圧環境で市場の要求を満たすフィルムを得ることが困難であった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、主に大容量コンデンサにおける高温・高電圧環境下において、優れた耐電圧性能と高い生産性を有する二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルム、およびこれらを用いたフィルムコンデンサを提供することをその課題とする。
上記した課題を達成するため、本発明は、以下の構成からなる。
(1) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による微分分子量分布曲線において、歪度が0.2以上1.0以下であり、尖度が−1.8以上−0.8以下であることを特徴とする、二軸配向ポリプロピレンフィルム。
(2) 微分分子量分布曲線において、対数分子量Log(M)が下記式(1)を満たす、(1)に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
式(1): 1.5<(Log(6.0)+Log(5.5))/(Log(4.5)+Log(4.0))<4.0
(3) 厚みが1.0μm以上3.0μm以下である、(1)または(2)に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を有する、金属膜積層フィルム。
(5) (4)に記載の金属膜積層フィルムが積層または巻回した構造を有する、フィルムコンデンサ。
本発明により、主に大容量コンデンサにおける高温・高電圧環境下において、優れた耐電圧性能と高い生産性を有する二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルム、およびこれらを用いたフィルムコンデンサを提供することができる。
以下、さらに詳しく本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサについて説明する。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、GPC法による微分分子量分布曲線において、歪度が0.2以上1.0以下であり、尖度が−1.8以上−0.8以下であることを特徴とする。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、キャストシートを長手方向と幅方向の二方向に延伸した二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。つまりここでいう二軸配向とは、長手方向と幅方向に延伸したという意味である。また、長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向(フィルムロールの状態ではフィルムの巻き方向)をいい、幅方向とは、フィルム面に平行かつ長手方向と垂直な方向をいう。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を主成分とする。なお、「主成分」とは、フィルムを構成する全成分100質量%中に、ポリプロピレン樹脂を50質量%より多く100質量%以下含有することを意味する。また、ポリプロピレン樹脂とは、樹脂を構成する全構成単位を100モル%としたときに、プロピレン単位を50モル%より多く100モル%以下含む樹脂をいう。
なお、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を主成分とする限り、ポリプロピレン樹脂の詳細は特に限定されないが、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂の中で、230℃における溶融流動指数(MFR)が高いものを(H)、低いものを(I)とした場合、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)を主成分として含み、さらに分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)を含むことが好ましい。ポリプロピレン樹脂(A)、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)の詳細については後述する。ここで、「ポリプロピレン樹脂(A)を主成分とする」とは、二軸配向ポリプロピレンフィルム100質量%中に直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)を50質量%より多く100質量%以下含むことを意味する。このような態様とすることにより、耐熱性と高温における耐電圧の両立が容易となる。なお、本発明においてMFRは、JIS K 7210−1(2014)に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定した値とする。
そして本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムが直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)と分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)を含有する態様の場合には、フィルム100質量%中に直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)と分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)を合計で90質量%以上100質量%以下含有することが好ましい。フィルム中のポリプロピレン樹脂の含有量は、より好ましくは95質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは97質量%以上100質量%以下、特に好ましくは99質量%以上100質量%以下である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有させてもよい。また、これらの成分は本発明の効果を損なわない限り、1種類であっても複数であってもよい。
上記した添加剤の中で、酸化防止剤の種類、および含有量の選定は長期耐熱性の観点から重要である。すわわち、酸化防止剤としては、立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。具体的には、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.4)、BASFジャパン社製“Irganox”(登録商標)1330(分子量775.2)、BASFジャパン社製“Irganox”(登録商標)1010(分子量1177.7)などを単独使用、もしくは併用することが好ましい。上記添加剤の総含有量はフィルム100質量%中に0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.9質量%以下であるとより好ましく、0.15質量%以上0.6質量%以下であるとさらに好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、製膜安定性と高温での耐電圧向上を両立する観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による微分分子量分布曲線において、歪度が0.2以上1.0以下であり、尖度が−1.8以上−0.8以下であることが重要である。上記観点から、歪度は0.4以上0.9以下であることが好ましく、0.5以上0.7以下であることがより好ましい。また、尖度は−1.5以上−0.9以下であることが好ましく、−1.3以上−1.0以下であることがさらに好ましい。歪度、尖度を上記範囲とすることで、二軸配向ポリプロピレンフィルムにおける高分子量成分と低分子量成分の分子量が適正な範囲となり、製膜安定性と高温での耐電圧向上とを両立しやすい。
歪度および尖度は、以下の手順により測定することができる。まず、GPCを用いてフィルムを構成する樹脂の分子量および分子量分布を求める。GPCは測定が可能なものであれば特に制限されず、公知の装置を用いることができる。例えば、HLC−8321GPC/HT(検出器:RI)(東ソー(株)社製)を用いた場合の測定条件は下記の通りである。
カラム:TSKgel GMHHR−H(20)HT(7.8mmI.D×30cm)×3本(東ソー(株)社製)
溶離液:1,2,4−トリクロロベンゼン(富士フィルム和光純製薬GPC用)+BHT(0.05%)
流量:1.0mL/min
注入量:0.3mL
カラム温度:140℃
試料濃度:1mg/ml
検量線:東ソー(株)社製標準ポリスチレンを用いた5次近似曲線とし、分子量はQ−ファクターを用いてポリプロピレン値に換算する。
得られた結果より、データの個数をn、各データをx(i:1,2,・・・,n)、xの平均値をxバー、標本標準偏差をsとして、下記式(2)から歪度を、下記式(3)から尖度をそれぞれ算出する。
Figure 2021152131
Figure 2021152131
GPC法による微分分子量分布曲線において、歪度を0.2以上1.0以下または上記の好ましい範囲とし、尖度を−1.8以上−0.8以下または上記の好ましい範囲とする方法としては、例えば、原料に直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)と分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)を使用し、その溶融混練条件を調節する方法があげられる。なお、原料の好ましい配合比や好ましい溶融混練条件については後述する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、製膜安定性と高温での耐電圧向上を両立する観点から、微分分子量分布曲線において、対数分子量Log(M)が下記式(1)を満たすことが好ましい。
式(1): 1.5<(Log(6.0)+Log(5.5))/(Log(4.5)+Log(4.0))<4.0
上記観点から、1.8<(Log(6.0)+Log(5.5))/(Log(4.5)+Log(4.0))<3.5を満たすことがより好ましい。高温での耐電圧向上を重視する場合は、2.0<(Log(6.0)+Log(5.5))/(Log(4.5)+Log(4.0))<3.0満たすことがさらに好ましい。
(Log(6.0)+Log(5.5))は高分子量成分、(Log(4.5)+Log(4.0))は低分子量成分値をそれぞれ示す。そして、(Log(6.0)+Log(5.5))/(Log(4.5)+Log(4.0))が1.0を超えていることは、高分子量成分が低分子量成分より多いことを示している。上記式(1)を満たすことで、高分子量成分と低分子量成分の配合比が適正な範囲となり、製膜安定性と高温での耐電圧向上とを両立しやすい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、機械強度や高温耐電圧特性、コンデンサ誘電体として用いた際の体積当たりの容量の観点から、厚みが1.0μm以上3.0μm以下であることが好ましい。上記観点から、厚みは1.2μm以上2.8μm以下であるとより好ましく、1.5μm以上2.5μm以下であるとさらに好ましい。厚みを1.0μm以上とすることで、二軸配向ポリプロピレンフィルムを機械強度や高温耐電圧特性に優れたものとすることができ、また、その製膜および加工時における破断を防止することができる。一方、厚みを3.0μm以下とすることにより、コンデンサ誘電体として用いた際に体積当たりの容量をより大きくすることができる。なお、厚みはJIS C 2330(2014)に準じ、マイクロメーター法により測定するものとする。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、製膜や加工時のフィルム搬送の観点から、表面の算術平均高さ(Sa)が10nm以上70nm以下であることが好ましい。算術平均高さ(Sa)は15nm以上65nm以下であるとより好ましく、20nm以上60nm以下であるとさらに好ましく、25nm以上55nm以下であると特に好ましい。算術平均高さ(Sa)を10nm以上とすると、滑り性が保たれ、製膜および加工時のフィルム搬送工程において、搬送シワの発生や、フィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。また、算術平均高さ(Sa)を70nm以下とすると、製膜および加工時のフィルム搬送工程において、フィルムの蛇行や、フィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。
次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレン樹脂原料について説明する。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)に、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)を含有することが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンの原料として用いられる直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)とは、アイソタクチックポリプロピレン樹脂を意味する。このアイソタクチックポリプロピレン樹脂は、コンデンサ用途で一般的に使用されるポリプロピレン樹脂として知られている。本発明で使用する直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)は、直鎖状ポリプロピレン樹脂であり、冷キシレン可溶部(CXS)が0.5質量%以上4質量%以下、メソペンタッド分率(mmmm)が0.960以上0.995以下、MFRが0.5g/10分以上5.0g/10分以下であることが好ましい。
メソペンタッド分率は、ポリプロピレン樹脂試料を溶媒に溶解させて、13C−NMRを用いて測定することができ、その詳細な条件等は実施例に示す。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いられる前記直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)は、GPC法において測定した、重量平均分子量(Mw)が20万以上50万以下、数平均分子量(Mn)が4万以上9万以下であることが好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)は4.0以上8.0以下であることが好ましく、5.0以上7.0以下であることがより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が高いことは、分子量分布が広いことを意味し、上記範囲の直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)を用いることで、製膜安定性と高温での耐電圧向上を両立しやすい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いられる前記直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のCXSは、0.5質量%以上4質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であるとより好ましく、2質量%以下であると特に好ましい。CXSは、フィルムを135℃のキシレンで完全溶解させた後、20℃で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことである。すなわち、CXSは、立体規則性や分子量が低いなどの理由により結晶化し難い成分に相当すると考えられる。直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のCXSが0.5質量%以上4質量%以下であると、二軸配向ポリプロピレンフィルムの高温耐電圧特性や寸法安定性を保ちやすい。
CXSは以下の手順により定量することができる。まず、ポリプロピレン樹脂0.5gを135℃の沸騰キシレン100mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させてろ過する。次いで、ろ過液に溶解しているポリプロピレン系成分を液体クロマトグラフ法で定量し、沸騰キシレン溶解前のポリプロピレン樹脂の質量をX0(g)、ろ過液に溶解しているポリプロピレン成分の質量をX(g)としてCXSを下記式(4)から求める。
式(4): CXS(質量%)=(X/X0)×100 。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いられる前記直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のメソペンタッド分率(mmmm)は0.960以上0.995以下であることが好ましく、0.960以上0.995以下であるとより好ましく、0.970以上0.995以下であると特に好ましい。メソペンタッド分率(mmmm)は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、数値が高いものほど結晶化度や融点が高く、高温下での耐電圧特性に優れるため好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のメソペンタッド分率が0.960以上であると、高温耐電圧特性や寸法安定性を保ちやすい。一方、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のメソペンタッド分率が0.995以下であると、製膜性を保ち、安定して二軸配向ポリプロピレンフィルムが得られやすい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いられる前記直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のMFRは、JIS K 7210−1(2014)に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定した場合において、0.5g/10分以上5.0g/10分以下であることが好ましく、1.0g/10分以上4.5g/10分以下であるとより好ましく、1.5g/10分以上4.0g/10分以下であると特に好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のMFRを0.5g/10分以上とすると、製膜性を保ち安定して二軸配向ポリプロピレンフィルムが得られやすい。一方、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のMFRを5.0g/10分以下とすると、寸法安定性や高温耐電圧特性を保ちやすい。
次に分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)について説明する。本発明でいう分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)とは、230℃におけるMFR(単位:g/10分)と溶融張力(MS、単位:cN)が下記式(5)を満たす分岐鎖状ポリプロピレン樹脂である。なお、MSとは、ポリプロピレン樹脂を230℃に加熱して溶融させ、溶融ポリプロピレンを押出速度15mm/分で吐出ストランドし、このストランドを6.5m/分の速度で引き取る際の張力をいう。
式(5): 0<log(MS)≦−0.56×log(MFR)+0.74 。
なお、二軸配向ポリプロピレンフィルムが分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)を含むか否かの判断は、フィルム中のポリプロピレン樹脂を測定することで確認することも可能であるが、フィルムが複数のポリプロピレン樹脂を含む場合には分離が容易ではないため、フィルムを製造する際の原料のポリプロピレン樹脂について、溶融張力と溶融流動指数を測定することで確認してもよい。後述する分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)についての判断も同様である。上記観点から、さらに分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)のMSは1cN以上5cN以下、MFRが4.0g/10分以上10.0g/10分以下であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成する全成分100質量%中に分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)を5.0質量%以上30.0質量%以下含有することが好ましく、7.0質量%以上25.0質量%以下であるとより好ましく、10.0質量%以上22.0質量%以下であるとさらに好ましい。なお、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)に該当する成分がフィルム中に複数含まれる場合には、その含有量は該当するすべての成分を合算して求めるものとし、この点は後述する分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)についても同様である。
フィルムを構成する全成分100質量%中に占める分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)の含有量を5.0質量%以上とすることで、薄膜フィルムを二軸延伸する際に安定して製膜をすることが可能になる。また、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが大きくなり過ぎるのを防ぎ、好適な算術平均高さ(Sa)へと制御しやすい。また、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)の含有量を30.0質量%以下とすることで、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが小さくなり過ぎるのを防ぎ、二軸配向ポリプロピレンフィルムとしての立体規則性が低下するのを防ぎ、高温耐電圧を保ちやすく、また好適な算術平均高さ(Sa)へと制御しやすい。
次に分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)について説明する。本発明でいう分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)とは、230℃におけるMFR(単位:g/10分)とMS(単位:cN)が下記式(6)を満たす分岐鎖状ポリプロピレン樹脂である。
式(6): log(MS)>−0.56×log(MFR)+0.74 。
上記観点から、さらに分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)のMSは5cNを超え20cN以下であることが好ましく、5cNを超え15cN以下であることがより好ましく、5cNを超え13cN以下であることがさらに好ましい。また、同様の観点から、MFRが1.0g/10分以上4.0g/10分未満であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成する全成分100質量%中に分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)を1.0質量%以上10.0質量%以下含有することが好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であるとより好ましく、2.0質量%以上6.0質量%以下であるとさらに好ましい。
フィルムを構成する全成分100質量%中に占める分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)の含有量を1.0質量%以上とすることで、薄膜フィルムを二軸延伸する際に安定して製膜をすることが可能になる。また、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが大きくなり過ぎるのを防ぎ、好適な算術平均高さ(Sa)へと制御しやすい。また、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)の含有量を10.0質量%以下とすることで、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが小さくなり過ぎるのを防ぎ、二軸配向ポリプロピレンフィルムとしての立体規則性が低下するのを防ぎ、高温耐電圧を保ちやすく、また好適な算術平均高さ(Sa)へと制御しやすい。
分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)を得るには、ポリプロピレン樹脂に高エネルギーイオン化放射線を用いる方法(例えば、特開昭62−121704号公報)、ポリプロピレン樹脂に特定の有機過酸化物を反応させる方法(例えば、特許第2869606号公報)、ポリプロピレン樹脂に熱分解性ラジカル形成剤とエチレン系多官能不飽和モノマーを反応させる方法(例えば、特開平10−330436号公報)、ポリプロピレン樹脂の重合時に特定の触媒を用いる方法(例えば、特開2009−057542号公報)などが好ましく用いられる。
より具体的には、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)としては、MFRが4.5g/10分、MSが2.1cNである分岐鎖状ポリプロピレン樹脂等を用いることができる。また、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)としては、Lyondell Basell社製“Profax”(登録商標)(PF−814など)、Borealis社製“Daploy”(登録商標)(WB130HMS、WB135HMSなど)、日本ポリプロ社製“WAYMAX”(登録商標)(MFX3、MFX6、MFX8、EX6000、EX8000など)等を用いることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに含有させる分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)は、分子鎖中に分岐構造を有していることが好ましい。なお、分子鎖中に分岐構造を有するポリプロピレン樹脂とは、カーボン原子10,000個中に対し5箇所以下の内部3置換オレフィンを有するポリプロピレン樹脂であり、この内部3置換オレフィンの存在は、H−NMRスペクトルのプロトン比により確認することができる。分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)は、α晶核剤としての作用を有しながら、一定範囲の添加量であれば結晶形態による粗面形成も可能となる。すなわち、溶融押出した樹脂シートの冷却工程で生成するポリプロピレンの球晶サイズを小さく制御でき、高温耐電圧特性に優れた二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成する分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)と分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)において、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)のMSから分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)のMSを引いた差は1.0以上15.0以下であることが好ましく、3.0以上12.0以下であるとさらに好ましく、4.0以上10.0以下であるとさらに好ましい。分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I)のMSからの分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)MSを引いた差を上記範囲内とすることで、二軸配向ポリプロピレンフィルムにおけるGPC法による微分分子量分布曲線において、規定の歪度、尖度を得られやすく、製膜性、高温耐電圧特性に優れた二軸配向ポリプロピレンフィルムを得られやすい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、灰分が0ppm以上50ppm以下(質量基準、以下同じ。)であることが好ましく、0ppm以上40ppm以下であればより好ましく、0ppm以上30ppm以下であればさらに好ましく、0ppm以上20ppm以下であれば特に好ましい。灰分が50ppm以下であると、二軸配向ポリプロピレンフィルムの高温耐電圧特性を保ちやすい。灰分を上記の範囲とするためには、触媒残渣の少ない原料を用いることが重要であるが、製膜時の押出系からの汚染を極力低減する方法、例えば製膜を開始する前に未劣化のポリプロピレン樹脂でポリマーが流れる経路を十分洗浄する方法も好ましく採用することができる。なお、灰分が0ppmであるとは、750〜800℃の電気炉で1時間処理したときに灰が発生しないことをいう。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面の表面ぬれ張力が38mN/m以上52mN/m以下であることが好ましく、40mN/m以上50mN/m以下であるとより好ましく、42mN/m以上48mN/m以下であるとさらに好ましい。表面ぬれ張力が38mN/m以上であると、金属蒸着する際に金属と十分に密着させやすい。一方、表面ぬれ張力が52mN/m以下であると、高温耐電圧特性を保ちやすい。なお、ポリプロピレンフィルムは通常、表面エネルギーが低く、表面ぬれ張力が30mN/m程度である。表面ぬれ張力を上記の範囲内とするためには、製膜時において、二軸延伸後に表面処理を施す方法が好ましく採用される。具体的には、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー処理、火炎処理などを採用することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上記した直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)と分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)からなるポリプロピレン樹脂組成物をシート状に成型し、二軸延伸することによって得ることが好ましい。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、テンター同時二軸延伸法、テンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、製膜安定性、厚み均一性の観点でテンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。特に長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの製造方法を以下に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、上記した直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)と分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)、(I)をドライブレンドして単軸又は二軸の溶融押出機に供給し、混錬温度は、押出ホッパー下より、シリンダーを4分割し、それぞれ上流側から順にC1〜C4としたときに、C1/C2/C3/C4の温度を160℃以上220℃以下/180℃以上240℃以下/200℃以上260℃以下/200℃以上260℃以下として溶融押出を行うことが好ましく、170℃以上210℃以下/190℃以上230℃以下/210℃以上250℃以下/210℃以上250℃以下で溶融押出を行うことがより好ましい。また、混錬温度はC1<C2<C3≦C4であることが好ましい。上記温度条件とすることで樹脂劣化を防ぐことができ、二軸配向後ポリプロピレンフィルムにおけるGPC法による微分分子量分布曲線において、規定の歪度、尖度が得られる。
次に、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて、異物や変性ポリマーなどを除去する。そしてTダイよりキャストドラム上に吐出してキャストシートを形成し、冷却ロールで冷却させる。
キャストドラムの温度は、β晶および球晶を適切に生成させる観点から60℃以上100℃以下であることが好ましく、65℃以上95℃以下であるとさらに好ましく、70℃以上90℃以下であればさらに好ましい。キャストドラム温度を60℃以上とすることで、キャストシート中に形成されるβ晶が少なくなり過ぎず、二軸延伸後に得られるフィルムの滑り性が保たれるため、製膜および加工時のフィルム搬送工程におけるシワの発生やフィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。一方、キャストドラム温度を100℃以下とすることで、キャストシート中にβ晶が過剰に形成されるのを防ぐことができ、製膜および加工時のフィルムの搬送工程における蛇行の発生やフィルムロールの巻姿の悪化が軽減される。
Tダイから吐出された溶融シートがキャストドラムに着地し、ドラムに密着している時間は1秒以上3秒以下であることが好ましい。密着している時間を1秒以上とすると、溶融シートを固化しやすく、その後の延伸工程での破断を軽減できる。一方、密着している時間を3秒以下とすると、キャストシート中にβ晶が過剰に形成されるのを防ぐことができ、製膜および加工時のフィルムの搬送工程における蛇行の発生やフィルムロールの巻姿の悪化が軽減される。
溶融シートをキャストドラムへ密着させる方法としては、静電印加法、エアーナイフ法、ニップロール法、水中キャスト法などの手法を採用することができるが、厚みむら抑制、高速製膜化、フィルムの表面性状制御の観点からエアーナイフ法が好ましい。エアーナイフのエアー温度は60℃以上120℃以下であることが好ましい。エアーナイフ温度を60℃以上とすることで、キャストシート中に形成されるβ晶が少なくなり過ぎず、二軸延伸後に得られるフィルムの滑り性が保たれるため、製膜および加工時のフィルム搬送工程においてシワの発生やフィルムロールの巻姿の悪化が軽減される。一方、エアーナイフ温度を120℃以下とすることで、キャストシート中にβ晶が過剰に形成されず、製膜および加工時のフィルムの搬送工程における蛇行の発生やフィルムロールの巻姿の悪化が軽減される。
キャストドラム温度とエアーナイフ温度の温度差は、キャストシート両面に同等なβ晶を形成する観点から、20℃以下であることが好ましく、10℃以下であるとさらに好ましい。キャストドラム温度とエアーナイフ温度の温度差を20℃以下とすると、フィルムの表裏で異なる凹凸が形成されにくく、フィルムの表裏で滑り性が同等となりやすいため、コンデンサ素子加工時の巻取工程にて巻込みエアー量が安定し、熱処理工程後にフィルムの層間間隙やエアー量が均一となりやすい。そのため、コンデンサ使用時に保安性が好適な範囲に抑えられ、コンデンサの寿命が低下しにくい。
冷却ロールの温度は10℃以上50℃以下であることが好ましい。冷却温度を10℃以上とすると、その後の縦延伸工程でフィルムを所望の温度まで上昇させやすく、縦延伸工程で破断するのを防ぎやすい。一方、冷却温度を50℃以下とすると、キャストシート中の結晶形成を停止しやすく、延伸工程後に得られるフィルムの表面性状が長手方向にばらつくのを防ぎやすい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得るためには、縦延伸工程前にキャストシートに高温熱処理をすることが好ましい。一般的にβ晶法を利用する二軸配向ポリプロピレンフィルムに特徴的なクレーター状の表面凹凸は、以下の通り形成される。まず、縦延伸工程において、β晶のα晶転移による凹部形成(転移による体積減少)とその凹部の縦延伸方向への機械変形が同時に起こり、縦延伸シート表面にくさび型の凹部が形成される。次に横延伸工程でくさび型の凹部が延伸され、凹部の際が突起状に変形することでクレーター状の表面凹凸が形成される。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面凹凸を得るためには、縦延伸工程でのβ晶のα晶転移による凹部形成と凹部の縦延伸方向への機械変形をそれぞれ別々工程で起こすことが好ましい。さらに、β晶をα晶へ転移させる際に過剰な熱量を与えて、α晶転移時による凹部を部分溶融させるとより好ましい。
具体的には、縦延伸工程前にキャストシートを温度制御したニップロールでニップしながら温度制御した搬送ロールに通して熱処理を施すことが好ましい。搬送ロールの径や数は熱処理時間によって調整すればよい。また、熱処理後にはキャストシートを冷却し、部分溶融を停止させることがより好ましい。
熱処理時の搬送ロールの温度は160℃以上170℃以下であることが好ましく、160℃以上165℃以下であるとより好ましい。搬送ロール温度が160℃以上であると、β晶からα晶への転移だけでなく、α晶転移により形成された凹部の部分溶融が起こりやすく、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面凹凸が得られやすい。一方、搬送ロール温度が170℃以下であると、キャストシートの溶融による破断が軽減され、量産性を保ちやすい。
ニップロールの温度は160℃以上170℃以下であることが好ましく、160℃以上165℃以下であるとより好ましい。ニップロール温度が160℃以上であると、表裏の温度差より生じるキャストシートのカールが抑えられ、延伸工程での破れが軽減されるため、量産性を確保しやすい。一方、ニップロール温度が170℃以下であると、キャストシートの溶融による破断が軽減され、量産性を保ちやすい。
ニップロールの圧力は0.30MPa以上0.60MPa以下であることが好ましく、0.35MPa以上0.55MPa以下であるとより好ましい。ニップロール圧力を0.30MPa以上とすると、熱処理時のフィルム膨張によるシワの発生が抑えられ、縦延伸工程での破断が軽減されるため、量産性を確保しやすい。一方、ニップロール圧力を0.60MPa以下とすると、圧力によるフィルムの変形に伴う延伸工程での破断が軽減され、量産性を確保しやすい。
キャストシートの熱処理時間は1秒以上10秒以下であることが好ましい。熱処理時間を1秒以上とすることで、β晶からα晶への転移だけでなく、体積減少による凹部の部分溶融が起こりやすく、表面凹凸が好適な本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムが得られやすい。一方、熱処理時間を10秒以下とすることで、フィルムの溶融やフィルム膨張によるシワの発生が軽減され、量産性を確保しやすい。さらに、凹部の部分溶融が起こり過ぎず、延伸後のフィルムの平滑化が過剰となりにくい。
熱処理後のキャストシートの冷却温度は、80℃以上120℃以下であることが好ましい。冷却温度を80℃以上とすると、その後の縦延伸工程でフィルムを所望の温度まで上昇させやすく、縦延伸工程の破断が軽減される。一方、冷却温度を120℃以下とすると、キャストシート表面の部分溶融が抑えられ、延伸工程後に得られるフィルムの表面性状の長手方向のばらつきが軽減される。
次に、縦延伸工程にてキャストシートを長手方向に延伸する。キャストシートを温度125℃以上145℃以下に制御したロールに通し、ロール間の周速差によって所定の延伸速度、延伸倍率で長手方向に延伸(縦延伸)する。長手方向の延伸倍率は4.0倍以上7.0倍以下であることが好ましく、5.0倍以上7.0倍以下であるとさらに好ましい。延伸倍率を4.0倍以上とすることで、フィルムの表面性状は均一となり高温耐電圧特性も向上する。縦延伸倍率を7.0倍以下とすると、縦延伸工程や次の横延伸工程でのフィルムの破断が軽減される。
次に、縦延伸により得られた一軸配向フィルムの幅方向両端部をクリップで把持し、温度140℃以上165℃以下に制御したテンター式延伸機にて延伸倍率8倍以上15倍以下で幅方向に延伸する。
次に、二軸延伸されたフィルムに空気中、窒素中、炭酸ガス中、あるいはこれらの混合気体中でコロナ放電処理を行い、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、端部を除去したフィルムを巻取機でマスターロールとして巻取る。最後に、スリッターにて、マスターロールから巻き出したフィルムを特定の幅でスリットし、フィルムロールとしてコアに巻回し、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得る。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムコンデンサ用誘電体として好ましく用いられるが、フィルムコンデンサのタイプに限定されるものではない。具体的には、電極構成の観点では箔巻コンデンサ、金属蒸着膜コンデンサのいずれであってもよいし、絶縁油を含有させた油浸タイプのコンデンサや絶縁油を全く使用しない乾式コンデンサにも好ましく用いられる。また、形状の観点では、巻回式であっても積層式であっても構わない。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、その特性から特に金属蒸着膜コンデンサとして好ましく用いられる。
本発明の金属膜積層フィルムは、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を有する。金属膜を形成する方法は特に限定されないが、例えば、当該フィルムの少なくとも片面にアルミニウムを蒸着してフィルムコンデンサの内部電極となるアルミニウム蒸着膜などの金属膜を設ける方法が好ましく用いられる。このとき、アルミニウムと同時あるいは逐次に、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロム、および亜鉛などの他の金属成分を蒸着することもできる。また、蒸着膜上にオイルなどで保護層を設けることもできる。
金属膜積層フィルムの金属膜の厚さは、20nm以上100nm以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、蒸着時の過剰な熱影響を防ぐことができるためフィルム耐電圧が保持され、また生産性に優れる。また、同様の理由により、金属膜の表面抵抗値が1Ω/□以上20Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗値は、使用する金属種と膜厚で制御可能である。
本発明では、必要により金属膜を形成後、金属膜積層フィルムを特定の温度でエージング処理を行ったり、熱処理を行ったりすることができる。また、絶縁もしくは他の目的で、金属膜積層フィルムの少なくとも片面にポリフェニレンオキサイドなどのコーティングを施すこともできる。
本発明のフィルムコンデンサは、本発明の金属膜積層フィルムが積層または巻回した構造を有する。つまり、本発明のフィルムコンデンサは、本発明の金属膜積層フィルムを積層することにより得られる積層型フィルムコンデンサと、金属膜積層フィルムを巻回して得られる巻回型フィルムコンデンサの両方を含む。以下、巻回型フィルムコンデンサの好ましい製造方法を次に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの片面にアルミニウムを真空蒸着して、金属膜積層フィルムとする。その際、フィルムの長手方向に走るマージン部を有するストライプ状にアルミニウムを蒸着する。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、表面が一方にマージンを有したテープ状の巻取リールを作製する。左もしくは右にマージンを有するテープ状の巻取リールを左マージン、および右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部よりはみ出すように2枚重ね合わせて巻回すことで巻回体を得る。巻回体を熱処理後、幅方向の両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサを得ることができる。
フィルムコンデンサの用途は、車輌用、家電(テレビや冷蔵庫など)用、一般雑防用、自動車(ハイブリッドカー、パワーウインドウ、ワイパーなど)用、および電源用など多岐に亘っており、本発明のフィルムコンデンサもこれら用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行い、原料としては以下のものを使用した。
[測定、評価方法]
(1)メソペンタッド分率(mmmm)
ポリプロピレン樹脂試料を溶媒に溶解し、13C−NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求めた(参考文献:新版 高分子分析ハンドブック 社団法人日本分析化学会・高分子分析研究懇談会 編 1995年 P609〜611)。
A.測定条件
装置:Bruker社製 DRX−500
測定核:13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
測定濃度:10質量%
溶媒:ベンゼン/重オルトジクロロベンゼン=質量比1:3混合溶液
測定温度:130℃
スピン回転数:12Hz
NMR試料管:5mm管
パルス幅:45°(4.5μs)
パルス繰り返し時間:10秒
データポイント:64K
換算回数:10,000回
測定モード:complete decoupling
B.解析条件
LB(ラインブロードニングファクター)を1.0としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとし、WINFITソフト(Bruker社製)を用いて、ピーク分割を行った。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、さらに付属ソフトの自動フィッティングを行った。ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmのピーク分率の合計を求めた。なお、上記測定を5回行い、その平均値を本試料のメソペンタッド分率(mmmm)とした。
ピーク
(a)mrrm
(b)(c)rrrm(2つのピークとして分割)
(d)rrrr
(e)mrmr
(f)mrmm+rmrr
(g)mmrr
(h)rmmr
(i)mmmr
(j)mmmm。
(2)溶融流動指数(MFR)(単位:g/10min)
JIS K 7210−1(2014)に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定した。
(3)溶融張力(MS)(単位:cN)
株式会社東洋精機製作所メルトテンションテスター(キャピラリー直径2.1mm、シリンダー径9.55mm)を用いて、以下の手順で測定した。まず、ポリプロピレン樹脂を230℃に加熱して溶融した。次いで、溶融ポリプロピレン樹脂を押出速度15mm/分で吐出ストランドし、このストランドを6.5m/分の速度で引き取る際の張力を測定し、得られた値をMSとした。
(4)冷キシレン可溶部(CXS)
ポリプロピレン樹脂0.5gを135℃の沸騰キシレン100mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させる。ろ過液に溶解しているポリプロピレン系成分を液体クロマトグラフ法で定量した。沸騰キシレン溶解前のポリプロピレン樹脂の質量をX0(g)、ろ過液に溶解しているポリプロピレン成分の質量をX(g)としたとき、CXSを下記式(4)から求めた。
CXS(質量%)=(X/X0)×100 ・・・式(4) 。
(5)算術平均高さ(Sa)
株式会社菱化システム社製非接触表面・層断面形状測定システム“VertScan”(登録商標)2.0(型式:R3300GL−Lite−AC)を用いて測定した。マスターロールの幅方向の中心位置に相当するフィルムロールにおいて、フィルムロールの中心位置から長手方向に無作為に採取した10箇所を測定箇所とし、その10箇所の測定値の平均をそのサンプルの表面性状の算術平均高さ(Sa)とした。1回の測定の詳細条件については下記の通りとした。なお、1回の測定に対して1視野(視野面積:縦939μm×横1,252μm=1,175,628μm)の測定を行った。
A.測定条件
CCDカメラ:SONY HR−57 1/2”
対物レンズ:10X
鏡筒:0.5X BODY
波長フィルター:530 white
測定モード:Wave
視野サイズ:640×480
スキャンレンジ:(スタート)5μm、(ストップ)−5μm
B.測定方法
フィルムの測定には専用のサンプルホルダーを使用した。サンプルホルダーは中心に円形の穴が空いた脱着可能な2枚の金属板であり、その間にシワがない状態でフィルムを挟み固定し、中央円形部のフィルムについて測定した。なお、フィルムロールの長手方向と測定視野の縦方向が一致するようにフィルムおよびサンプルホルダーを設置した。
C.解析方法
上記測定により得られたデータを“VertScan”(登録商標)2.0の画像解析ソフトVS−Viewerで解析した。まず、メディアンフィルター(5×5)によりノイズを除去し、カットオフ値250μmのガウシアンフィルターによりうねり成分を除去した。次いで、「ISOPara」機能により、ISO25178−2(2012)で定義される表面性状の算術平均高さ(Sa)を算出した。なお、「ISOPara」機能において、S−Filterを6.0μmに設定した。
(6)厚み
JIS C 2330(2014)に準じ、マイクロメーター法により厚みを測定した。
(7)灰分
初期質量W0の二軸配向ポリプロピレンフィルムを白金坩堝に入れ、まずガスバーナーで十分に燃焼させた後、750〜800℃の電気炉で1時間処理して完全に灰化し、得られた灰の質量W1を測定し、下記式(7)から算出した。
式(7): 灰分=(W1/W0)×1,000,000(ppm)
(8)GPC分析(歪度、尖度)
分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めた。GPC分析の測定装置および条件は下記の通りとした。
装置:HLC−8321GPC/HT(検出器:RI)(東ソー(株)社製)
カラム:TSKgel GMHHR−H(20)HT(7.8mmI.D×30cm)×3本(東ソー(株)社製)
溶離液:1,2,4−トリクロロベンゼン(富士フィルム和光純製薬GPC用)+BHT(0.05%)
流量:1.0mL/min
注入量:0.3mL
カラム温度:140℃
試料濃度:1mg/ml
検量線:東ソー(株)社製標準ポリスチレンを用いた5次近似曲線とした。ただし、分子量はQ−ファクターを用いてポリプロピレン値に換算した。データの個数をn、各データx(i:1,2,・・・n)の平均値をxバー、標本標準偏差をsとして、歪度は下記式(2)から、尖度は下記式(3)からそれぞれ算出した。
Figure 2021152131
Figure 2021152131
(9)製膜性評価
後述する各実施例および比較例の製膜条件で製膜したときの製膜性について、1日当たりの製膜破れ回数を評価した。製膜破れ回数2回以下/日を「◎」、製膜破れ回数3〜4回/日を「○」、製膜破れ回数5〜6回/日を「△」、製膜破れ回数7回/日以上を「×」とした。◎、○、△が製膜可能レベルであり、×は製膜不可レベルと判断した。
(10)コンデンサ特性の評価
二軸配向ポリプロピレンフィルムのコロナ処理を施した側の面に、株式会社ULVAC社製真空蒸着機でアルミニウムを15Ω/□となるように真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状にアルミニウムを蒸着した(蒸着部の幅79.0mm、マージン部の幅1.0mmの繰り返し)。次いで、各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左右いずれかの端部に0.5mmのマージン部を有する全幅40mmのテープ状巻取リールを作製した。得られたリールの左マージン、および右マージンのもの各1本ずつを幅方向に蒸着部分がマージン部より0.5mmはみ出すように2枚を重ね合わせて巻回し、静電容量120μFの巻回体を得た。なお、素子巻回には株式会社皆藤製作所社製KAW−4NHBを使用した。最後に130℃の減圧雰囲気中で10時間熱処理し、幅方向の両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接してコンデンサ素子を得た。次にコンデンサ素子10個においてコンデンサ特性を評価した。まず、室温にて静電容量(C0)を測定し、次いで、125℃の高温下でコンデンサ素子に220VDC/μm(厚みが2.0μmのとき、印加電圧は440V)の電圧を400時間印加した。その後、室温にて静電容量(C)を測定し、電圧印加前後の静電容量の変化率(ΔC)を下記式(8)から算出した。
式(8): ΔC=((C0−C)/C0)×100
コンデンサ素子10個の電圧印加前後の静電容量の変化率(ΔC)の平均値をそのサンプルの変化率とし、下記判断基準により評価した。
◎:ΔCが2%未満
〇:ΔCが2%以上3%未満
△:ΔCが3%以上5%未満
×:ΔCが5%以上。
[原料]
(1)樹脂
直鎖状ポリプロピレン樹脂(A1):
メソペンタッド分率が0.980、MFRが2.8g/10分、CXSが1.5質量%、重量平均分子量が40万、数平均分子量が6.5万の直鎖状ポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製)
分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H):
MFRが4.5g/10分、MSが2.1cNである分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製)
分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I1):
日本ポリプロ社製“WAYMAX(登録商標)(EX6000) MFRが2.9g/10分、MSが9.0cNである分岐鎖状ポリプロピレン樹脂
分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I2):
日本ポリプロ社製“WAYMAX”(登録商標)(EX8000) MFRが1.5g/10分、MSが14.0cNである分岐鎖状ポリプロピレン樹脂
分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I3):
日本ポリプロ社製“WAYMAX”(登録商標)(MFX6) MFRが2.5g/10分、MSが17.0cNである分岐鎖状ポリプロピレン樹脂
分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I4):
日本ポリプロ社製“WAYMAX”(登録商標)(MFX8) MFRが1.1g/10分、MSが25.0cNである分岐鎖状ポリプロピレン樹脂
なお、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)は前述の式(5)を、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I1)〜(I4)は前述の式(6)をそれぞれ満たす。
(2)酸化防止剤
酸化防止剤1:BASFジャパン社製Irganox(登録商標)1010
酸化防止剤2:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)
(実施例1)
直鎖状ポリプロピレン樹脂(A1)、分岐鎖状ポリプロピレン(H)、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(I1)を75:20:5(質量比)で混合したポリプロピレン樹脂混合物、酸化防止剤1、および酸化防止剤2を、99.5:0.4:0.1(質量比)でドライブレンドして単軸の溶融押出機に供給し、溶融ポリプロピレン樹脂組成物を得た。このとき、溶融押出機の混錬温度については、押出ホッパー下よりシリンダーを4分割(上流側から順にC1〜C4)したときに、C1/C2/C3/C4の温度を190℃/210℃/230℃/230℃とした。その後、押し出された溶融ポリプロピレン樹脂組成物より25μmカットの焼結フィルターで異物を除去し、さらにT型スリットダイよりシート状に吐出した。さらに、シート状の溶融ポリプロピレン樹脂組成物を、エアー温度80℃のエアーナイフにより、温度80℃に保持されたキャストドラム上に密着させて固化させた後、温度30℃に保持した冷却ロール上で冷却してキャストシートを得た。なお、キャストドラムと冷却ロールにシート状の溶融ポリプロピレン樹脂組成物が密着していた時間はそれぞれ1.5秒であった。なお、以下キャストドラムに接地した側の面をドラム面(D面)、接地しない側の面を非ドラム面(非D面)という。
こうして得られたキャストシートを温度165℃の搬送ロール上において、温度165℃のニップロールにより圧力0.45MPaでニップしながら5秒間熱処理し、その後、温度100℃の冷却ロール上で冷却した。次いで温度145℃の縦延伸ロールでキャストシートを長手方向に5.5倍延伸して一軸配向フィルムとし、一軸配向フィルムの幅方向端部をクリップで把持して160℃で幅方向に11倍延伸した。さらに、158℃で幅方向に12%の弛緩処理を行い、室温まで除冷して、D面側に25W・min/mの処理強度でコロナ放電処理を施した。こうして得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムのクリップで把持した幅方向端部を切除し、巻取機で巻き取った。次いで、スリッターにてフィルム幅0.82mとなるようにスリットし、長手方向に30,000mをコアに巻回し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性、各評価結果を表1に示す。
(実施例2〜7、比較例1〜5)
ポリプロピレン樹脂混合物の組成、C1/C2/C3/C4の温度を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの物性、各評価結果を表1に示す。
Figure 2021152131
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、高温・高電圧環境下において優れた耐電圧性能を有するため、フィルムコンデンサの誘電体として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による微分分子量分布曲線において、歪度が0.2以上1.0以下であり、尖度が−1.8以上−0.8以下であることを特徴とする、二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  2. 微分分子量分布曲線において、対数分子量Log(M)が下記式(1)を満たす、請求項1に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
    式(1): 1.5<(Log(6.0)+Log(5.5))/(Log(4.5)+Log(4.0))<4.0
  3. 厚みが1.0μm以上3.0μm以下である、請求項1または2に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を有する、金属膜積層フィルム。
  5. 請求項4に記載の金属膜積層フィルムが積層または巻回した構造を有する、フィルムコンデンサ。
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