JP6794647B2 - フィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム - Google Patents

フィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム Download PDF

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Description

本発明は、高温下での高い耐電圧性を有する、絶縁破壊特性に優れたフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関する。さらにより詳細には、高温下、高電圧が印加される高容量型コンデンサに好適に使用可能であり、好ましくは厚みの薄い、コンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関する。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレンフィルムの耐電圧性および低い誘電損失特性等の優れた電気特性、並びに高い耐湿性を生かして、電子および電気機器において、例えば高電圧コンデンサ、各種スイッチング電源、コンバータおよびインバータ等のフィルタ用コンデンサおよび平滑用コンデンサ等のコンデンサ用誘電体フィルムとして好ましく利用されている。ポリプロピレンフィルムは、近年需要が高まっている電気自動車およびハイブリッド自動車等の駆動モーターを制御するインバータ電源機器用フィルムコンデンサとしても利用され始めている。
自動車等に用いられるインバータ電源機器用の高容量型コンデンサに対しては、さらなる小型化、軽量化および高容量化が求められる一方で、−40℃〜90℃という広い温度範囲、特に高温下で、高電圧が印加されても、高い耐電圧性を有すること、特に高い初期耐電圧性を有することが求められている。
さらに、近年、フィルムコンデンサのさらなる小型化およびさらなる高容量化に対する要求が高まりつつあり、例えば、コンデンサの体積を変えずにコンデンサの静電容量を向上させるために、フィルムの体積を小さくすること、即ち、フィルムを薄くすることが求められている。
ところで、プラスチックを加工する際に溶融状態から冷却固化させると、結晶性高分子が結晶化し球晶等の結晶相および非結晶相が生じることが知られており、造核剤は、結晶性高分子の結晶化過程に作用することが知られている。例えば、特許文献1には、多孔性電気絶縁用ポリプロピレンに関して、ポリプロピレンに造核剤を添加し、球晶サイズを20μm以下に調整し、電気絶縁用ポリプロピレンのインパルス破壊電界強度を向上させることが開示されている。
高分子を延伸させてフィルムを製造する際、延伸時の応力によってフィルムを構成する高分子鎖が変形し、高分子が延伸方向に配向することが知られている。すなわち、延伸時の応力により、球晶などの結晶相の崩壊を伴い高分子鎖が変形し、高分子が延伸方向に配向して微結晶が生成するか、あるいは、延伸時の応力により非結晶相の高分子鎖が変形し、高分子が延伸方向に配向して微結晶が生成する。したがって、延伸フィルムには球晶は存在しない。
また、ポリプロピレンの結晶構造としてα晶やβ晶、γ晶等が挙げられるが、これらは構造の違いにより熱化学的安定性が異なる。特に、ポリプロピレンのβ晶は一定条件下でα晶に結晶転移するなど準安定的であり、ポリプロピレンのβ晶は、α晶に比べて融点が低いことが知られている。そのため、高温下で高い耐電圧性を得るためにポリプロピレンにβ晶造核剤を添加することは報告されていない。例えば、特許文献2には、ポリプロピレン樹脂にβ晶造核剤を配合してフィルムを製造することが開示されている。また、特許文献3には、ポリプロピレン樹脂にβ晶造核剤が配合された油含浸コンデンサ用ポリプロピレン延伸フィルムが記載されている。
特開平5−128915号公報 特開平7−33895号公報 特許3341358号明細書
ただ、特許文献2に記載のポリプロピレン延伸フィルムは、その目的は多孔性を有するポリプロピレンフィルムを得ることであり、耐熱性を制御するものではない。さらにこのポリプロピレンフィルムは多孔性であるため、絶縁性を有さず、フィルムコンデンサ用フィルムとして適当でない。また、特許文献3に記載の油含浸コンデンサ用フィルムは、絶縁油の浸透経路を確保するためにフィルム表面が粗面化されており、仮に絶縁油を用いずにフィルムコンデンサ用フィルムとしてこのフィルムを用いた場合には、絶縁油による絶縁破壊防止効果がなく、また表面粗面化によって厚みの薄い部分がフィルム表面上に存在するため、絶縁破壊が生じ易く、フィルムコンデンサ用フィルムとして適当でない。
高温下で高電圧が印加される高容量型コンデンサにおいて、さらなる小型化と、高温下でのさらなる高い耐電圧性、特に高い初期耐電圧性に関する近年の市場からの高度な要請を十分に満足する、フィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることは困難であった。
そこで、本発明の目的は、高温下での高い耐電圧性を有する、絶縁破壊特性に優れたフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することである。さらに、高温下、高電圧が印加される高容量のフィルムコンデンサに好適に使用可能である、好ましくは厚みの薄い、フィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することである。さらに、上記のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに金属蒸着が施されたフィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルム、ならびに、このようなポリプロピレンフィルムを含む、高温下での耐電圧性を有するフィルムコンデンサを提供することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、以下に記載する手段により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕少なくとも1種のポリプロピレン樹脂および少なくとも1種のβ晶造核剤を含むフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
〔2〕前記β晶造核剤はアミド系化合物である、〔1〕に記載のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
〔3〕前記アミド系化合物はジアミド系化合物である、〔2〕に記載のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
〔4〕前記アミド系化合物は、式(1):
Figure 0006794647

、式(2):
Figure 0006794647
および式(3):
Figure 0006794647
〔式(1)〜(3)中、
置換基Rは、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の2価の脂肪族基、炭素数3〜24の飽和もしくは不飽和の2価の脂環族基、または炭素数5〜18の2価の芳香族基を表し、
置換基RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の1価の脂肪族基、炭素数3〜24の飽和もしくは不飽和の1価の脂環族基、または炭素数5〜18個の1価の芳香族基を表す〕
で表されるアミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、〔2〕に記載のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
〔5〕前記ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、1000質量ppm以下のβ晶造核剤を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
〔6〕前記ポリプロピレン樹脂は、
重量平均分子量(Mw)が25万以上45万以下であり、
分子量分布(Mw/Mn)が6以上12以下であり、
分子量分布(Mz/Mn)が20以上70以下である、
〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面または両面に金属蒸着が施された、フィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルム。
〔8〕〔7〕に記載のフィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルムを含むフィルムコンデンサ。
本発明によれば、高温下での高い耐電圧性、特に高温下での高い初期耐電圧性を有する、絶縁破壊特性に優れたフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することができる。また、高温下、高電圧が印加される高容量のフィルムコンデンサに好適に使用可能である、好ましくは厚みの薄い、フィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することができる。
少なくとも1種のポリプロピレン樹脂および少なくとも1種のβ晶造核剤を含む、本発明のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、少なくとも1種のポリプロピレン樹脂および少なくとも1種のβ晶造核剤を含むポリプロピレン樹脂組成物からなり、ポリプロピレン樹脂組成物からなるフィルム(以下、「キャスト原反シート」ともいう)を二軸延伸することにより得ることができる。前記キャスト原反シートは、ポリプロピレン樹脂組成物を加熱することにより溶融させ、さらに前記溶融したポリプロピレン樹脂組成物を押出成形することにより得られる。ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくとも1種のポリプロピレン樹脂を含む。ポリプロピレン樹脂組成物は、1種のポリプロピレン樹脂を含有してもよいし、2種以上のポリプロピレン樹脂を組み合わせて含有してもよい。
ポリプロピレン樹脂組成物は、重量平均分子量(Mw)が、25万以上45万以下であるポリプロピレン樹脂を含有することが好ましい。このようなポリプロピレン樹脂を含有するポリプロピレン樹脂組成物を用いると、二軸延伸時に適度な樹脂流動性が得られ、キャスト原反シートの厚みの制御が容易となり、例えば小型かつ高容量型のフィルムコンデンサ用に適した、極薄化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることが容易となるため好ましい。また、キャスト原反シートおよび二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みのムラが発生し難くなるため好ましい。ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みの均一性、力学特性、熱-機械特性等の観点から、30万以上であることがより好ましい。ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリプロピレン樹脂組成物の流動性および極薄化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得る際の延伸性の観点から、40万以下であることがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂組成物は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として算出される分子量分布(Mw/Mn)が、6以上12以下であるポリプロピレン樹脂を含有することが好ましい。ポリプロピレン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、7以上であることがより好ましく、7.5以上であることがさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、11以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。このようなポリプロピレン樹脂を含有するポリプロピレン樹脂組成物を用いると、二軸延伸時に適度な樹脂流動性が得られ、厚みムラのない極薄化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることが容易となるため好ましい。また、このようなポリプロピレン樹脂を含有するポリプロピレン樹脂組成物は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの耐電圧性の観点からも好ましい。
ポリプロピレン樹脂組成物は、Z平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比として算出される分子量分布(Mz/Mn)が、20以上70以下であるポリプロピレン樹脂を含有することが好ましい。ポリプロピレン樹脂の分子量分布(Mz/Mn)は、22.5以上であることがより好ましく、25以上であることがさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂の分子量分布(Mz/Mn)は、60以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましい。このようなポリプロピレン樹脂を含有するポリプロピレン樹脂組成物を用いると、二軸延伸時に適度な樹脂流動性が得られ、厚みムラのない極薄化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることが容易となるため好ましい。また、このようなポリプロピレン樹脂を含有するポリプロピレン樹脂組成物は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの耐電圧性の観点からも好ましい。
ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。GPC法に使用されるGPC装置には特に制限はなく、ポリオレフィンの分子量分析が可能な市販の高温型GPC測定機、例えば、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機、HLC−8121GPC-HT等を使用することができる。この場合、例えば、GPCカラムとして東ソー株式会社製、TSKgel GMHHR−H(20)HTを3本連結させたものが用いられ、カラム温度は140℃に設定され、溶離液としてトリクロロベンゼンが用いられ、流速1.0ml/分にて測定される。通常、標準ポリスチレンを用いて検量線を作製し、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)を得る。分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)として算出され、分子量分布(Mz/Mn)は、Z平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比、Z平均分子量(Mz)/数平均分子量(Mn)として算出される。
ポリプロピレン樹脂としては、例えばアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等のポリプロピレンのホモポリマー、および、ポリプロピレンとポリエチレンとのコポリマーが挙げられる。耐熱性の観点から、ポリプロピレン樹脂は、アイソタクチックポリプロピレンであることが好ましく、オレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを単独重合して得られるアイソタクチックポリプロピレンであることがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂組成物は、メソペンタッド分率([mmmm])が、94.0%以上98.0%未満であるポリプロピレン樹脂を含有することが好ましい。メソペンタッド分率は、95.0%以上97.0%以下であることがより好ましい。このようなポリプロピレン樹脂組成物を用いると、適度に高い立体規則性によって樹脂の結晶性が適度に向上し、初期耐電圧性および長期間に渡る耐電圧性が向上する一方、キャスト原反シートを成形する際の適度な固化(結晶化)速度によって所望の延伸性を得ることができる。
メソペンタッド分率([mmmm])は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって得ることができる立体規則性の指標である。具体的には、例えば、日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)、JNM−ECP500を利用して測定することができる。観測核は、13C(125MHz)であり、測定温度は、135℃、溶媒には、o−ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1)を用いることができる。高温NMRによる測定方法は、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、第610頁」に記載の方法を参照して行うことができる。
測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は、9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準は、CH(mmmm)=21.7ppmとすることができる。メソペンタッド分率を、5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrmなど)に由来する各シグナルの強度積分値より、百分率(%)で算出する。mmmmやmrrmなどに由来する各シグナルの帰属に関しては、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」などのスペクトルの記載を参考としてよい。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmおよびmrrm等)に由来する各シグナルの強度の積分値に基づいて百分率で計算される。mmmmおよびmrrm等に由来する各シグナルは、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等を参照して帰属することができる。
ポリプロピレン樹脂の含有量は、相溶性の観点から、ポリプロピレン樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
本発明において、ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくとも1種のβ晶造核剤を含む。β晶造核剤とは、ポリプロピレンのβ晶を優先的に形成させるものである。β晶造核剤としては、例えばアミド系化合物、ジまたはポリカルボン酸金属塩系化合物、キナクリドン系化合物、芳香族スルホン酸系化合物、フタロシアニン系化合物、およびテトラオキサスピロ系化合物等が挙げられる。ポリプロピレン樹脂組成物は、1種のβ晶造核剤を含有してもよいし、2種以上のβ晶造核剤を組み合わせて含有してよい。即ち、本発明において、β晶造核剤は、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
β晶造核剤としては、β晶造核剤中に金属を含有せず、絶縁性に優れる二軸延伸ポリプロピレンフィルムが得られる観点から、アミド系化合物、キナクリドン系化合物が好ましく、また、製造工程においてβ晶造核剤中に金属塩が不純物として混入し難く、絶縁性により優れるフィルムが得られる観点から、アミド系化合物がより好ましい。アミド系化合物は、モノアミド系化合物、ならびにジアミド系化合物、トリアミド系化合物およびテトラアミド系化合物等の多価アミド系化合物であってもよいが、絶縁性にさらに優れるフィルムが得られる観点から、多価アミド系化合物、特にジアミド系化合物がさらに好ましい。なお、本発明において、好ましいアミド系化合物は、−C(=O)NR’−で示される原子団(前記R’は、(i)水素原子、(ii)炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の1価の脂肪族基、(iii)炭素数3〜24の飽和もしくは不飽和の1価の脂環族基、又は(iv)炭素数5〜18の1価の芳香族基を表す)を有する化合物である。好ましいモノアミド系化合物、ジアミド系化合物、トリアミド系化合物およびテトラアミド系化合物は、それぞれ、前記原子団を1つ、2つ、3つおよび4つ有する。
アミド系化合物は、より好ましくは式(1):
Figure 0006794647

、式(2):
Figure 0006794647

および式(3):
Figure 0006794647
〔式(1)〜(3)中、
置換基Rは、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の2価の脂肪族基、炭素数3〜24の飽和もしくは不飽和の2価の脂環族基、または炭素数5〜18の2価の芳香族基を表し、
置換基RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の1価の脂肪族基、炭素数3〜24の飽和もしくは不飽和の1価の脂環族基、または炭素数5〜18の1価の芳香族基を表す〕
で表されるアミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。ポリプロピレン樹脂組成物が式(1)〜(3)で表されるアミド系化合物を2種以上含有する場合、各アミド系化合物を表す式(1)〜(3)中の各置換基R、RおよびRは、それぞれ独立して、同一であっても異なっていてもよい。
上記炭素数1〜24の飽和または不飽和の2価の脂肪族基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキシレン基、ノニレン基およびドデシレン基等の2価の飽和脂肪族基、ならびにこれらの2価の飽和脂肪族基から2個または4個の水素原子を取り除いた炭素−炭素二重結合または三重結合を有する、2価の不飽和脂肪族基が挙げられる。上記炭素数3〜24の飽和または不飽和の2価の脂環族基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基およびビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイル基等の2価の飽和脂環族基、ならびにこれらの2価の飽和脂環族基から2個または4個の水素原子を取り除いた炭素−炭素二重結合または三重結合を有する、2価の不飽和脂環族基が挙げられる。上記炭素数5〜18の2価の芳香族基としては、例えば、p−フェニレン基、2,6−ナフチレン基およびビフェニレン基等が挙げられる。
上記炭素数1〜24の飽和または不飽和の1価の脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、ノニル基およびドデシル基等の1価の飽和脂肪族基、ならびにこれらの1価の飽和脂肪族基から2個または4個の水素原子を取り除いた炭素−炭素二重結合または三重結合を有する、1価の不飽和脂肪族基が挙げられる。上記炭素数3〜24の1価の脂環族基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロへキシル基等の1価の飽和脂環族基、ならびにこれらの1価の飽和脂環族基から2個または4個の水素原子を取り除いた炭素−炭素二重結合または三重結合を有する、1価の不飽和脂環族基が挙げられる。上記炭素数5〜18の1価の芳香族基としては、例えば、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基および4−シクロヘキシルフェニル基等が挙げられる。
置換基Rが、飽和もしくは不飽和の2価の脂肪族基の場合、好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18、さらに好ましくは炭素数1〜12、さらにより好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8である。また、置換基Rが飽和もしくは不飽和の2価の脂環族基の場合、好ましくは炭素数3〜24、より好ましくは炭素数5〜14、さらに好ましくは炭素数5〜12である。さらに、置換基Rが芳香族基の場合、好ましくは炭素数5〜18、より好ましくは炭素数5〜14、さらに好ましくは炭素数6〜10である。
置換基RまたはRが飽和または不飽和の1価の脂肪族基の場合、好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数4〜22、さらに好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数8〜18、例えば炭素数10〜18である。また、置換基RまたはRが飽和または不飽和の1価の脂環族基の場合、好ましくは炭素数3〜24、より好ましくは炭素数5〜18、さらに好ましくは炭素数6〜14、特に好ましくは炭素数6〜12である。さらに、置換基RまたはRが芳香族基の場合、好ましくは炭素数5〜18、より好ましくは炭素数6〜14、さらに好ましくは炭素数6〜10である。
式(1)で表されるアミド系化合物として、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジシクロペンチル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジシクロオクチル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジシクロドデシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,7−ナフタレンジカルボキサミド、N,N’−ジシクロペンチル−4,4’−ビフェニルジカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシル−4,4’−ビフェニルジカルボキサミド、N,N’−ジシクロオクチル−4,4’−ビフェニルジカルボキサミド、N,N’−ジシクロドデシル−4,4’−ビフェニルジカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,2’−ビフェニルジカルボキサミド、N,N’−ビス(p−メチルフェニル)ヘキサンジアミド、N,N’−ビス(p−エチルフェニル)ヘキサンジアミド、N,N’−ビス(4−シクロヘキシルフェニル)ヘキサンジアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキサミド、てN,N’−ジフェニルヘキサンジアミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、アジピン酸ジアニリドおよびスベリン酸ジアニリド等が挙げられる。また、式(2)で表されるアミド系化合物として、例えば、p−(N−シクロヘキサンカルボニルアミノ)安息香酸シクロヘキシルアミド、δ−(N−ベンゾイルアミノ)−n−吉草酸アニリド等が挙げられる。式(3)で表されるアミド系化合物として、例えば、N,N’−エチレンビスオクタデカンアミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−m−キシリレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
ジまたはポリカルボン酸金属塩系化合物は、2価以上のカルボン酸の金属塩、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属または亜鉛族元素の塩である。ジまたはポリカルボン酸金属塩系化合物としては、例えば、フタル酸カルシウム、スベリン酸カルシウム、スベリン酸亜鉛、ピメリン酸ナトリウム、ピメリン酸カルシウム、ピメリン酸亜鉛、およびピメリン酸バリウム等が挙げられる。
キナクリドン系化合物は、式(4):
Figure 0006794647
で表されるキナクリドン骨格を有する化合物である。キナクリドン系化合物としては、例えば、キナクリドンおよびキナクリドンキノン等が挙げられる。
芳香族スルホン酸系化合物は、芳香族基を有するスルホン酸骨格を有する化合物である。芳香族スルホン酸系化合物としては、例えば、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。フタロシアニン系化合物としては、フタロシアニンブルー等が挙げられる。テトラオキサスピロ系化合物としては、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂組成物におけるβ晶造核剤の含有量、すなわちポリプロピレン樹脂組成物からなる二軸延伸ポリプロピレンフィルムにおけるβ晶造核剤の含有量は特に限定されないが、フィルムに穿孔を発生させず、またプレートアウトを抑制できる観点から、ポリプロピレン樹脂組成物、すなわちポリプロピレン樹脂組成物からなる二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、好ましくは3000質量ppm以下、より好ましくは2000質量ppm以下、さらに好ましくは1000質量ppm以下、よりさらに好ましくは800質量ppm以下、特段好ましくは600質量ppm以下のβ晶造核剤を含む。また、ポリプロピレン樹脂組成物、すなわちポリプロピレン樹脂組成物からなる二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、造核効果およびフィルムの延伸性の観点から、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量ppm以上、より好ましくは10質量ppm以上、さらに好ましくは50質量ppm以上、特に100質量ppm以上のβ晶造核剤を含む。なお、本明細書において、ポリプロピレン樹脂100質量部に対してβ晶造核剤3000質量ppm含有するとは、ポリプロピレン樹脂100質量部に対してβ晶造核剤0.3質量部含有することと同義であり、その他の質量ppmについても同様の計算・算出を行うことができる。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムにおいては、成形時のβ晶造核剤からの特異な結晶成長、もしくはβ晶造核剤の添加による分子配向の増大により、耐電圧性の向上という特異な特徴を発現しているとみられる。
本発明において、ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくとも1種のポリプロピレン樹脂および少なくとも1種のβ晶造核剤の他に、ポリプロピレン樹脂以外の他の樹脂(以下「他の樹脂」ともいう)を本発明の効果を損なわない範囲内で含むことができる。ここで、「他の樹脂」は特に限定されず、ポリプロピレン樹脂以外の樹脂であってフィルムコンデンサ用途に適したものとされる従来公知の樹脂を本発明においても適宜用いることができる。他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(1−メチルペンテン)などのポリプロピレン以外の他のポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などの、α−オレフィン同士の共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体−ジエン単量体ランダム共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのビニル単量体−ジエン単量体−ビニル単量体ランダム共重合体等が挙げられる。このような他の樹脂を含む場合、当該他の樹脂の含有量は、相溶性の観点から、フィルムを構成する樹脂の総質量に基づいて、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。なお、他の樹脂の含有量の下限値は通常0質量%以上である。
本発明において、ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくとも1種のポリプロピレン樹脂および少なくとも1種のβ晶造核剤の他に、必要に応じて少なくとも1種の添加剤を含有してよい。添加剤とは、一般的に、ポリプロピレン樹脂に使用される添加剤である限り特に制限されない。このような添加剤には、例えば酸化防止剤、塩素吸収剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤、着色剤等が含まれる。このような添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲内でポリプロピレン樹脂に添加してよい。
「酸化防止剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り、特に制限されない。酸化防止剤は、一般的に2種類の目的で使用される。一つの目的は、押出機内での熱劣化および酸化劣化を抑制することであり、他の目的は、フィルムコンデンサとしての長期使用における劣化抑制およびコンデンサ性能の向上に寄与することである。押出機内での熱劣化および酸化劣化を抑制する酸化防止剤を「1次剤」ともいい、コンデンサ性能の向上に寄与する酸化防止剤を「2次剤」ともいう。これらの2つの目的のために、1次剤と2次剤の2種類の酸化防止剤を用いてもよいし、2つの目的のために1種類の酸化防止剤を使用してもよい。
2種類の酸化防止剤を用いる場合、ポリプロピレン樹脂は、1次剤として、例えば、2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−パラ−クレゾール(一般名称:BHT)を、ポリプロピレン樹脂を基準(100質量部)にして、1000ppm〜4000ppm程度含むことができる。この目的の酸化防止剤は、押出機内での成形工程にてほとんどが消費され、製膜後のフィルム中には、ほとんど残存しない(一般的には、残存量100ppmより少ない)。1次剤として単独の化合物を用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせてもよい。
2次剤として、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤を使用することができる。本発明において使用できるカルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に制限されないが、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−ターシャリー−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス259)、ペンタエリスルチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−ターシャリー−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:イルガノックス1076)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(商品名:イルガノックス1098)などが挙げられる。リン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:イルガフォス168)、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト(商品名:イルガフォス38)などが挙げられる。なかでも、高分子量であってポリプロピレンとの相溶性に富み、低揮発性かつ耐熱性に優れたペンタエリスルチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が、最も好ましい。2次剤として単独の化合物を用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせてもよい。
カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤は、押出機内で少なからず消費されることを考慮して、ポリプロピレン樹脂100質量部を基準に、好ましくは2000ppm以上7000ppm以下、より好ましくは3000ppm以上7000ppm以下の量で、ポリプロピレン樹脂組成物中に含まれる。
ポリプロピレン樹脂組成物が1次剤を含まない場合、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤をより多く使用することができる。この場合、押出機内におけるカルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の消費量が増える点から、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ポリプロピレン樹脂100質量部を基準に、3000ppm以上8000ppm以下の量で、ポリプロピレン樹脂組成物中に含まれることが好ましい。
本発明では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの長期使用時における経時的に進行する劣化を抑制する目的で、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤(2次剤)を1種類以上含有し、フィルム中の含有量は、ポリプロピレン樹脂100質量部を基準に、1000ppm以上6000ppm以下であることが好ましく、1500ppm以上6000ppm以下であることが好ましい。
ポリプロピレンと分子レベルで相溶性が良好であるカルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤を、最適な特定範囲の量を含有させたフィルムコンデンサは、高い耐電圧性を維持したまま、非常に高温のライフ促進試験においても長期に渡って、静電容量を低下させず(劣化が進行せず)、長期耐用性が向上するので好ましい。
「塩素吸収剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り、特に制限されない。塩素吸収剤として、例えば、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸等を例示できる。
「紫外線吸収剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り、特に制限されない。紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾトリアゾール(BASF製Tinuvin328等)、ベンゾフェノン(Cytec製Cysorb UV−531等)、ハイドロキシベンゾエート(Ferro製UV−CHEK−AM−340等)等を例示できる。
「滑剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り、特に制限されない。滑剤として、例えば、第一級アミド(ステアリン酸アミド等)、第二級アミド(N−ステアリルステアリン酸アミド等)、エチレンビスアミド(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド等)等を例示できる。
「可塑剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り、特に制限されない。可塑剤として、例えば、PPランダム共重合体等を例示できる。
「難燃化剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り、特に制限されない。難燃化剤として、例えば、ハロゲン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸塩、ボレート、アンチモン酸化物等を例示できる。
「帯電防止剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り、特に制限されない。帯電防止剤として、例えば、グリセリンモノエステル(グリセリンモノステアレート等)、エトキシル化された第二級アミン等を例示できる。
「着色剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り、特に制限されない。着色剤として、例えば、カドミウム、クロム含有無機化合物からアゾ有機顔料の範囲まで例示できる。
本発明において、ポリプロピレン樹脂組成物に含まれるポリプロピレン樹脂は、従来公知の方法を用いて製造することができ、重合方法としては、例えば、気相重合法、塊状重合法およびスラリー重合法が挙げられる。重合は、1つの重合反応器を用いる一段重合であってよく、2以上の重合反応器を用いた多段重合であってもよい。また、反応器中に水素またはコモノマーを分子量調整剤として添加して重合を行ってもよい。重合触媒としては、従来公知のチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用することができ、重合触媒には助触媒成分やドナーが含まれていてもよい。ポリプロピレン樹脂の分子量、分子量分布および立体規則性等は、重合触媒その他の重合条件を適宜調整することによって制御することができる。
また、ポリプロピレン樹脂の分子量分布を調整する方法としては、例えば、重合条件を調節することによって分子量分布を調整する方法、分解剤を使用する方法、高分子量成分を選択的に分解処理する方法、異なる分子量の樹脂をブレンドする方法等が挙げられる。
重合条件を調節することによって分子量分布を調整する場合には、後述の重合触媒を用いることが、分子量分布や分子量の構成を容易に調整できるため好ましい。多段重合反応によってポリプロピレン樹脂を得る場合には、例えば、次のような方法が例示できる。触媒の存在下、高分子量成分用の重合反応器と低分子量または中分子量成分用の反応器の複数の反応器によって重合反応を行う。複数の反応器は、例えば直列または並列に使用することができる。まず、反応器中へプロピレンおよび触媒を供給する。これらの成分とともに、要求されるポリマーの分子量に到達するために必要な量の分子量調整剤、例えば水素を混合して第1の重合反応を行う。反応温度は、例えばスラリー重合の場合、70〜100℃程度、滞留時間は20分〜100分程度である。第1の重合反応による生成物を、追加のプロピレン、触媒、分子量調整剤とともに逐次または連続的に次の反応器に送り、第1の重合反応より低分子量あるいは高分子量の生成物が得られるように調整して第2の重合反応を行う。第1および第2の重合反応による収量(生産量)を調整することによって、分子量分布を調整することができる。
触媒としては、一般的なチーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒が好適に用いられる。また、用いる触媒は助触媒成分やドナーを含んでいてもよい。触媒や重合条件を適宜調整することにより、分子量分布をコントロールすることができる。
過酸化分解によって、ポリプロピレン原料樹脂の分子量分布を調整する場合には、過酸化水素や有機過酸化物などの分解剤を用いて過酸化処理を行う方法を採用することが好ましい。ポリプロピレンのような崩壊型ポリマーに過酸化物を添加すると、ポリマーからの水素引抜き反応が起こり、生じたポリマーラジカルは一部再結合し架橋反応も起こすが、殆どのラジカルは二次分解(β開裂)を起こし、より分子量の小さな二つのポリマーに分かれることが知られている。したがって、高分子量成分からの分解が高い確率で進行し、その結果、低分子量成分が増大することにより、分子量分布の構成を調整することができる。低分子量成分を適度に含有する樹脂を過酸化分解により得る方法としては、例えば、次のような方法が例示できる。すなわち、重合反応により得られたポリプロピレン樹脂の粉末あるいはペレットと、有機過酸化物として、例えば、1,3−ビス−(ターシャリー−ブチルパーオキサイドイソプロピル)−ベンゼンなどを0.001質量%〜0.5質量%程度、目標とする分子量分布を考慮しながら調整添加して、溶融混練機にて、180℃〜300℃程度の溶融混練する方法が挙げられる。
樹脂のブレンドによって低分子量成分の含有量を調整する場合には、異なる分子量の少なくとも2種類以上の樹脂を、ドライあるいは溶融状態で混合することが好ましい。例えば、主成分としての樹脂100質量%に対して、平均分子量がより高い、または、より低い添加樹脂1〜40質量%程度を混合して2種のポリプロピレン樹脂混合系を得る方法は、低分子量成分の含有量の調整が容易であるため、好ましく採用される。
樹脂のブレンドによって低分子量成分の含有量を調整する場合、上記平均分子量の目安として、メルトフローレート(MFR)を用いてもよい。この場合、主成分としての樹脂と添加樹脂のMFRの差を1〜30g/10分程度とすることが好ましい。
本発明におけるポリプロピレン原料樹脂中に含まれる重合触媒残渣等に起因する総灰分は、電気特性を向上させるために可能な限り少ないことが好ましい。総灰分は、ポリプロピレン樹脂を基準(100質量部)として、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、40ppm以下であることがさらに好ましく、30ppm以下であることが特に好ましい。なお、総灰分の下限値は、通常0ppm以上である。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、少なくとも1種のポリプロピレン樹脂および少なくとも1種のβ晶造核剤を含む、フィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムがフィルムコンデンサとして用いた場合に高温下での高い耐電圧性、特に高温下での高い初期耐電圧性を有し、絶縁破壊特性に優れる理由(機構)は、以下の通りと推定される。但し、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムが上記効果に優れる理由(機構)について、仮に下記の理由(機構)とは異なっていたとしても、本発明の範囲内であることをここで明記する。
(理由(機構))
結晶性高分子材料が徐々に外力を加えられた場合、弾性限界を超えて塑性変形に至る。
この塑性変形を惹き起こす要因として、微結晶内部の特定結晶面での滑り変形や劈開、非晶鎖の引き伸ばしなどが挙げられる。結晶性高分子材料がポリプロピレンである場合、シートの延伸過程においてネッキング以前より準安定なβ晶は変形に寄与し、ネッキングする際に安定なα晶へ転移し、その後微結晶が配向するといえる。したがって、二軸延伸ポリプロピレンフィルム中にβ晶造核剤を含むことによって、結晶性高分子材料の結晶転移による微結晶の配向挙動制御が容易になり、均質な配向を持ったフィルムを得ることができる。そのため、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムコンデンサとして用いられた場合に高温下での高い耐電圧性、特に高温下での高い初期耐電圧性を有し、絶縁破壊特性に優れると考えられている。
本発明におけるポリプロピレン樹脂にβ晶造核剤を添加してポリプロピレン樹脂組成物を得て、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得る方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)ポリプロピレン樹脂とβ晶造核剤とを混練してポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造し、ポリプロピレン樹脂組成物のペレットを溶融混練し、二軸延伸してフィルムを得る方法。
(2)ポリプロピレン樹脂とβ晶造核剤とを予備混練してマスターバッチペレットを製造し、該マスターバッチペレットとポリプロピレン樹脂ペレットを溶融混練し、二軸延伸してフィルムを得る方法。
(3)マスターバッチ化せず、ポリプロピレン樹脂を二軸延伸により成形する際に、ポリプロピレン樹脂とβ晶造核剤とを溶融混練し、二軸延伸してフィルムを得る方法。
上記(1)または(2)の方法を用いることが、延伸機近傍をクリーンな環境に保つことができるため好ましい。
上記(1)〜(3)の方法において、溶融混練を行う前に粉末状あるいはペレット状の樹脂と粉末状のβ晶造核剤とをミキサー等によってドライブレンドしてもよいし、溶融混練時にポリプロピレン樹脂にβ晶造核剤を添加してもよい。
使用できるミキサーには特に制限が無く、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサーなどを使用することができる。
上記(1)および(2)の方法において、ポリプロピレン樹脂組成物のペレットまたはポリプロピレン樹脂とβ晶造核剤とを含有するマスターバッチペレットを製造する際に、ポリプロピレン樹脂とβ晶造核剤とを溶融混練する方法としては、例えば粉末状あるいはペレット状の樹脂とβ晶造核剤とを混練機内で溶融混練し、溶融混練された樹脂を、既知の造粒機を用いて適当な大きさにペレタイズすることによって、ポリプロピレン樹脂組成物のペレットまたはポリプロピレン樹脂とβ晶造核剤とを含有するマスターバッチペレットを得る方法などが挙げられる。
使用できる混練機に特に制限は無く、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、またはそれ以上の多軸スクリュータイプの何れを使用することもできる。2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向または異方向回転のいずれの混練タイプも使用できる。
溶融混練によりブレンドする場合には、良好な混練さえ得られる限り、混練温度に特に制限はないが、一般的には、200℃から300℃の範囲であり、230℃から270℃の範囲が好ましい。あまり高い温度で混練を行うと、樹脂の劣化を招く場合があるため好ましくない。樹脂の混練混合の際の劣化を抑制するために、混練機中へ窒素などの不活性ガスをパージしてもよい。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、上記のようにして調製したポリプロピレン樹脂組成物を、通常の方法に従って、加熱溶融し、シート押出成形を行い、冷却し、その後、二軸延伸することによって得ることができる。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを形成するための樹脂組成物は、実質的にポリプロピレン樹脂およびβ晶造核剤からなる樹脂組成物であることが好ましい。すなわち、樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂およびβ晶造核剤からなる樹脂組成物を包含するが、ポリプロピレン樹脂およびβ晶造核剤からなる樹脂組成物のみに限定されず上述の通り他の成分を含んでもよい。
本発明では、まず、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造するための「延伸前のキャスト原反シート」を、公知の方法を使用して成形することが好ましい。
例えば、上記(1)の方法においては、得られたポリプロピレン樹脂組成物のペレットを押出機に供給して、加熱溶融する。上記(2)の方法においては、マスターバッチペレットとポリプロピレン樹脂ペレットを押出機に供給して、加熱溶融する。上記(3)の方法においては、β晶造核剤とドライ混合させたポリプロピレン樹脂ペレットおよび/または粉末を押出機に供給して加熱溶融するか、または、ポリプロピレン樹脂ペレットを押出機に供給して加熱溶融させ、β晶造核剤を添加し、加熱溶融物を溶融混練する。
次いで、加熱溶融物をろ過フィルタに通した後、好ましくは170℃〜320℃、より好ましくは200℃〜300℃に加熱溶融してTダイから溶融押し出し、好ましくは30〜140℃、より好ましくは80℃〜140℃、さらに好ましくは90℃〜120℃、特に好ましくは90℃〜105℃に保持された少なくとも1個以上の金属ドラムで、冷却、固化させることによって、未延伸のキャスト原反シートを成形することができる。上記キャスト原反シートの厚みは、0.05mm〜2mmであることが好ましく、0.1mm〜1mmであることがより好ましい。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、前記ポリプロピレンキャスト原反シートに延伸処理を行って製造することができる。延伸は、縦および横に二軸に配向させる二軸延伸が行われ、延伸方法としては同時または逐次の二軸延伸方法が挙げられるが、逐次二軸延伸方法が好ましい。逐次二軸延伸方法としては、例えば、まずキャスト原反シートを好ましくは100〜170℃(より好ましくは100〜165℃、さらに好ましくは100〜160℃)の温度に保ち、速度差を設けたロール間に通して流れ方向に好ましくは3〜7倍に延伸し、直ちに室温に冷却する。引き続き、当該延伸フィルムをテンターに導いて160℃以上の温度で幅(横)方向に好ましくは3〜11倍に延伸した後、緩和、熱固定を施して、巻き取る。巻き取られたフィルムは、20〜45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施された後、所望の製品幅に断裁することができる。
金属化ポリプロピレンフィルムの作製に用いる二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みは、特に限定されないが、通常1〜30μmである。二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みは、小型かつ高容量型のコンデンサ素子を得る点で1〜6μmであることが好ましい。厚みが1.5μm以上の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることが好ましい。また、用いる二軸延伸ポリプロピレンフィルムは極薄化されていることが望ましく、その厚みは5μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。フィルムの厚みは、例えば紙厚測定器、マイクロメータ(JIS−B7502)等を用いて、JIS−C2330に準拠して測定することができる。
このような延伸工程によって、機械的強度、剛性に優れたフィルムとなり、また、表面の凹凸もより明確化され、微細に粗面化された延伸フィルムとなる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面には、巻き適性を向上させつつ、コンデンサ性能をも良好とする適度な表面粗さを付与することが好ましい。
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片方の表面において、その表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で0.01μm以上0.08μm以下であることが好ましく、かつ、最大高さ(Rz、旧JIS定義でのRmax)で0.1μm以上0.8μm以下に微細粗面化されていることが好ましい。RaおよびRzが、上述の好ましい範囲にある場合、表面は、微細に粗化された表面になり得、コンデンサ加工の際には、素子巻き加工において巻きシワが発生し難く、好ましく巻上げることができる。さらに、フィルム同士の間も均一な接触が可能となるため、耐電圧性および長期間に渡る耐電圧性も向上し得る。
ここで、「Ra」および「Rz」(旧JIS定義のRmax)とは、例えばJIS−B0601:2001等に定められている方法によって、一般的に広く使用されている触針式表面粗さ計(例えば、ダイヤモンド針等による触針式表面粗さ計)を用いて測定された値をいう。「Ra」および「Rz」は、より具体的には、例えば、東京精密社製、三次元表面粗さ計サーフコム1400D−3DF−12型を用い、JIS−B0601:2001に定められている方法に準拠して求めることができる。
フィルム表面に微細な凹凸を与える方法としては、エンボス法、エッチング法など、公知の各種粗面化方法を採用することができ、その中でも、不純物の混入などの必要がないβ晶を用いた粗面化法が好ましい。β晶の生成割合は、一般的には、キャスト温度およびキャストスピードを変更することによって制御することができる。また、縦延伸工程のロール温度によってβ晶の融解/転移割合を制御することができ、これらのβ晶生成とその融解/転移の二つのパラメーターについて最適な製造条件を選択することによって微細な粗表面性を得ることができる。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、金属蒸着加工工程などの後工程における接着特性を高める目的で、延伸および熱固定工程終了後に、オンラインもしくはオフラインにてコロナ放電処理を行うことができる。コロナ放電処理は、公知の方法を用いて行うことができる。雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、およびこれらの混合ガスを用いることが好ましい。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、例えばフィルムの厚みが18〜30μmの場合において、好ましくは0%以上、より好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.5%以上、特に好ましくは2%以上のヘーズを有し、また好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下のヘーズを有する。また、フィルムの厚みが1〜18μmの場合において、好ましくは0%以上、より好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.5%以上、特に好ましくは2%以上のヘーズを有し、また好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下のヘーズを有する。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムのヘーズが上記下限値以上であると、フィルム表面に微細な凹凸が付与されるため、フィルムコンデンサ素子を作製する工程においてフィルムの巻き付け加工を行う際に、フィルムコンデンサ素子の過度な素子の巻締まりによるシワや型付など成形不良が発生し難くなるため、望ましい。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルムのヘーズが上記上限値以下であると、フィルム表面に過剰な凹凸が生じることがなく、厚みの著しく薄い部分が発生し難くなり、絶縁破壊が生じ難いため、望ましい。なお、ヘーズの値は、一般的に市販されているヘーズメーターによって測定することができ、当該ヘーズメーターとしては、日本電色社製のヘーズメーターNDH−5000等が挙げられる。
本発明の別の実施態様においては、上記二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面または両面に金属蒸着が施された、フィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルムが提供される。即ち、本発明のフィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルムは、前記フィルムの片面または両面に金属蒸着膜が形成されている。金属化ポリプロピレンフィルムを作製する工程では、二軸延伸されたポリプロピレンフィルムの片面または両面に金属蒸着膜を形成する。二軸延伸ポリプロピレンフィルムに金属蒸着膜を設ける方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられ、生産性や経済性などの点からは真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法によって金属蒸着膜を設ける場合には、るつぼ方式、ワイヤー方式など公知の方式から適宜選択して行われる。金属蒸着膜を構成する金属としては、亜鉛、鉛、銀、クロム、アルミニウム、銅、ニッケルなどの単体金属、これらの金属から選択される複数種の金属からなる混合物または合金などを使用することができる。環境面、経済性、およびフィルムコンデンサ性能、とりわけ静電容量や絶縁抵抗の温度特性並びに周波数特性などの点からは、金属蒸着膜を構成する金属として、亜鉛およびアルミニウムから選択される単体金属、金属混合物または合金を採用することが好ましい。
金属蒸着膜の膜抵抗は、フィルムコンデンサの電気特性の点から、1〜150Ω/□が好ましい。この範囲内でも高めであることがセルフヒーリング(自己修復)特性の点から望ましく、膜抵抗は5Ω/□以上であることがより好ましく、10Ω/□以上であることがさらに好ましい。また、コンデンサ素子としての安全性の点から、膜抵抗は100Ω/□以下であることがより好ましく、50Ω/□以下であることがさらに好ましく、20Ω/□以下であることがさらに好ましい。金属蒸着膜の膜抵抗は、例えば当業者に既知の二端子法によって金属蒸着中に測定することができる。金属蒸着膜の膜抵抗は、例えば蒸発源の出力を調整して蒸発量をすることによって調節することができる。金属蒸着膜の膜抵抗の上記範囲は、例えば特殊マージンを転写する場合の好適な範囲となる。なお、傾斜蒸着法の場合においては、50〜100Ω/□程度の膜抵抗で蒸着膜の厚みに変化を設けて蒸着が行われてよい。
フィルムの片面または両面に金属蒸着膜を形成する際、フィルムを巻回した際にコンデンサとなるよう、フィルムの片方の端部から一定幅は蒸着せずに絶縁マージンを形成することが好ましい。さらに、金属化ポリプロピレンフィルムとメタリコン電極との接合を強固にするため、絶縁マージンと逆の端部に、ヘビーエッジ構造を形成することが好ましく、ヘビーエッジの膜抵抗は通常2〜8Ω/□であり、3〜6Ω/□であることが好ましい。
形成する金属蒸着膜のマージンパターンには特に制限はないが、フィルムコンデンサの保安性等の点からは、フィッシュネットパターン、Tマージンパターン等のいわゆる特殊マージンを含むパターンとすることが好ましい。特殊マージンを含むパターンで金属蒸着膜を二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面または両面に形成すると、得られるフィルムコンデンサの保安性が向上し、フィルムコンデンサの破壊やショートを抑制できるため、好ましい。マージンを形成する方法としては、蒸着時にテープによりマスキングを施すテープ法、オイルの塗布によりマスキングを施すオイル法等、公知の方法を何ら制限なく使用することができる。
本発明の別の実施態様においては、上記フィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルムを含むフィルムコンデンサが提供される。フィルムコンデンサは、上記フィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルムを用いて製造されるものである。金属蒸着膜を設けた二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムの長尺方向に沿って巻き付ける巻き付け加工を経て、金属化ポリプロピレンフィルムコンデンサに加工される。すなわち、上記のように作製された金属化ポリプロピレンフィルムを2枚1対として、金属蒸着膜と二軸延伸ポリプロピレンフィルムとが交互に積層されるように重ね合わせて巻回した後、両端面に金属溶射によって一対のメタリコン電極を形成して作製されるフィルムコンデンサ(フィルムコンデンサ素子)が提供される。
フィルムコンデンサ素子を作製する工程では、フィルムの巻き付け加工が行われる。例えば、金属蒸着部と二軸延伸ポリプロピレンフィルムとが交互に積層されるように、さらには、絶縁マージン部が逆サイドとなるように、2枚1対の金属化ポリプロピレンフィルムを重ね合わせて巻回する。この際、2枚1対の金属化ポリプロピレンフィルムを1〜2mmずらして積層することが好ましい。用いる巻回機は特に制限されず、例えば、株式会社皆藤製作所製の自動巻取機3KAW−N2型等を利用することができる。
巻回後、通常、得られた巻回物に対して圧力をかけながら熱処理(以下、「熱プレス」と称することがある)が施される。熱プレスによってフィルムコンデンサ素子の巻締まりや結晶構造の変化が適度に起こると、機械的および熱的な安定が得られる。しかし、熱プレスによって過度な素子の巻締まりや結晶構造の変化が起こると、フィルムが熱負けして収縮し、熱シワや型付などの成形不良といった問題が生じる場合がある。このような点から、与える圧力は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚み等によってその最適値は変わるが、10×10〜450×10Paが好ましく、より好ましくは30×10〜300×10Pa、さらに好ましくは40×10〜150×10Paである。また、熱処理の温度は100〜120℃とすることが好ましい。熱処理を施す時間は、機械的および熱的な安定を得る点で、5時間以上とすることが好ましく、10時間以上とすることがより好ましいが、熱シワや型付などの成形不良を防止する点で、20時間以下とすることが好ましく、15時間以下とすることがより好ましい。
続いて、巻回物の両端面に金属を溶射してメタリコン電極を設けることによって、フィルムコンデンサ素子を作製する。メタリコン電極には、通常、リード線が接合(例えば溶接)される。なお、電極端子との接合方法は、特に限定されないが、例えば溶接、超音波溶着およびハンダ付けによって行うことができる。また、耐候性を付与し、とりわけ湿度劣化を防止するため、フィルムコンデンサ素子をケースに封入してエポキシ樹脂で封止(例えばポッティング)することが好ましい。
本発明において、上述した方法によって作製された金属化ポリプロピレンフィルムコンデンサ素子に対して、さらに所定の熱処理が施される。すなわち、フィルムコンデンサ素子に対し、80〜120℃の温度で1時間以上の熱処理を施す工程(以下、「熱エージング」と称することがある)が施される。
フィルムコンデンサ素子に対して熱処理を施す上記工程において、熱処理の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、一方、好ましくは120℃以下である。上記の温度で熱処理を施すことによって熱エージングの効果が得られるが、具体的には、金属化ポリプロピレンフィルムに基づくフィルムコンデンサ素子を構成するフィルム間の空隙が減少し、コロナ放電が抑制され、しかも金属化ポリプロピレンフィルムの内部構造が変化して結晶化が進み、その結果、耐電圧性が向上するものと考えられる。熱処理の温度が所定温度より低い場合には、熱エージングによる上記効果が十分に得られない。一方、熱処理の温度が所定温度より高い場合には、ポリプロピレンフィルムに熱分解や酸化劣化等が生じることがある。
フィルムコンデンサ素子に対して熱処理を施す方法としては、例えば、大気雰囲気下、真空雰囲気下、または不活性ガス雰囲気下で、恒温槽を用いる方法や高周波誘導加熱を用いる方法などを含む公知の方法から適宜選択してよいが、恒温槽を用いる方法を採用することが好ましい。
本発明によって得られるコンデンサ素子は、金属化ポリプロピレンフィルムに基づく小型かつ高容量型のフィルムコンデンサ素子であって、高温下での高い耐電圧性を有するものである。
コンデンサ素子の耐用性を調べる試験方法としては、例えば「ステップアップ試験」、「ライフ(寿命)試験」などが挙げられ、これらはいずれも高温(例えば100℃以上)下における耐用性を評価する試験方法である。「ステップアップ試験」は、コンデンサ素子への一定時間(短時間)、一定電圧の電圧印加を、電圧値を少しずつ上げながら繰り返し行う試験方法であって、コンデンサ素子の耐用性を電圧限界(高電圧)の観点から評価する方法である。一方、「ライフ試験」は、コンデンサ素子への一定電圧の電圧印加を長時間に亘って行う試験方法であって、長期間の耐電圧性、すなわちコンデンサ素子の耐用性を静電容量の減少が抑制され、または容量変化率ΔCが許容範囲(例えば、試験温度105℃、フィルム厚2.5μmにおいて好ましくは−10%以上[200時間後])であり、暴走なども起こさない時間の観点から評価する方法である。
本発明によって得られるコンデンサ素子は、試験温度およびフィルムの厚みにもよるが、例えば試験温度が105℃、フィルム厚が2.5μmである場合に、「ステップアップ試験」に従って評価される容量変化率ΔC=−5%時の電圧が1100Vを超えることが好ましく、1120V以上であることがより好ましく、1150V以上であることがさらに好ましく、1180V以上であることが特に好ましい。また、「ステップアップ試験」に従って評価される容量変化率ΔC=−95%時の電圧が1450Vを超えることが好ましく、1460V以上であることがより好ましく、1470V以上であることがさらに好ましく、1480V以上であることが特に好ましい。
また、本発明によって得られるコンデンサ素子は、「ライフ試験」に従って評価される電圧印加後の容量変化率ΔC(200時間後)が−10%以上であることが好ましく、−8%以上であることがより好ましく、−6%以上であることがさらに好ましく、−5%以上であることが特に好ましい。ハイブリッド自動車用高電圧タイプのコンデンサの定格電圧は400〜800VDCが一般的であることから、例えば「ライフ試験」における印加電圧を600VDCとして評価してよい。
具体的には、コンデンサ素子に対するライフ試験を以下の手順で行ってよい。
予めコンデンサ素子を、試験環境温度(例えば105℃)で予熱した後、試験前の初期の静電容量を日置電機株式会社製のLCRハイテスター3522−50にて測定する。次に、高圧電源を用いて、105℃の恒温槽中にて、コンデンサ素子に直流600Vの電圧を200時間印加し続ける。200時間経過後のコンデンサ素子の静電容量を上記テスターで測定し、電圧印加前後の容量変化率(ΔC)を算出する。200時間経過後のコンデンサ素子の容量変化率を、コンデンサ素子3個の平均値により評価する。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。また、特に断らない限り、「部」および「%」という記載は、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
[各特性値の評価方法]
実施例における各特性値の評価方法は以下の通りである。
(1)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn、Mz/Mn)の測定
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、以下の条件で測定を行った。
測定機:東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC HLC−8121GPC−HT型
カラム:東ソー株式会社製、TSKgel GMHHR−H(20)HTを3本連結
カラム温度:140℃
溶離液:トリクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
なお、検量線の作製には東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用い、ポリスチレン換算により測定結果を得た。ただし、分子量はQ−ファクターを用いてポリプロピレンの分子量へ換算した。
(2)フィルムの厚み
フィルムの厚みは、シチズンセイミツ株式会社製の紙厚測定器MEI−11を用いて、JIS−C2330に準拠して測定した。
(3)絶縁破壊の強さ
JIS C2330(2001)7.4.11.2 B法(平板電極法)に準じて、交流電源もしくは直流電源を使用し、100℃で、絶縁破壊電圧値を12回測定した。絶縁破壊電圧値(VACもしくはVDC)を、フィルムの厚み(μm)で割り、12回の測定結果中の上位2回および下位2回を除いた8回の平均値を、絶縁破壊の強さ(VAC/μmもしくはVDC/μm)とした。
(4)ヘーズ
日本電色社製 ヘーズメーター NDH−5000を用い、50mm×100mmにカットしたサンプルを測定した。測定数は3とし、その平均値を採用した。
〔ポリプロピレン樹脂〕
実施例および比較例のポリプロピレンフィルムの製造に、以下に示す重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および分子量分布(Mz/Mn)を有するポリプロピレン樹脂PP−1を使用した。なお、これらの値は、原料樹脂ペレットの形態で、上記の測定方法に従い測定した値である。
ポリプロピレン樹脂PP−1
・アイソタクチックポリプロピレン(プライムポリマー株式会社製)
Mw:31×10、Mw/Mn:8.6、Mz/Mn:30.8
上記ポリプロピレン樹脂PP−1は、酸化防止剤(1次剤)として、樹脂成分100質量部に対して、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(一般名称:BHT)を2000ppm、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤(2次剤)として、ペンタエリスルチル・テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス1010)を3000〜6500ppm含有する。
〔β晶造核剤〕
β晶造核剤として実施例のポリプロピレンフィルムを製造するために使用した化合物を、次の表1に示す。
Figure 0006794647
上記のポリプロピレン樹脂およびβ晶造核剤を用いて、表2に示す組成を有するポリプロピレン樹脂組成物を製造した。得られたポリプロピレン樹脂組成物を二軸延伸し、実施例1〜8および比較例1〜3のポリプロピレンフィルムを製造した。製造の詳細を以下に示す。また、得られたポリプロピレンフィルムについて、厚み、絶縁破壊の強さ、ヘーズおよび融点を上記方法に従い評価した。得られた評価結果を表2に示す。
Figure 0006794647
実施例1
β晶造核剤NA−1とポリプロピレン樹脂PP−1(酸化防止剤としてイルガノックス1010を樹脂成分100質量部に対して5000ppm含み(添加し)、且つ前記BHTを2000ppm含む)とを予備混練によってマスターバッチ化した。その後、β晶造核剤の濃度が樹脂成分100質量部に対して200ppmとなるような比率にて、マスターバッチとポリプロピレン樹脂PP−1とを計量混合して押出機に供給し、樹脂温度が230℃となるように加熱溶融した後、Tダイから押し出し、表面温度を45℃に保持した金属ドラムに巻きつけて固化させて、厚み約1mmのキャスト原反シートを製造した。このキャスト原反シートを165℃の温度で、流れ方向に5倍に延伸し、横方向に10倍に延伸して、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例2
β晶造核剤として、NA−1に代えてNA−2を用い、β晶造核剤の濃度が樹脂成分100質量部に対して300ppmとなるような比率にて計量混合を行った以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例3
β晶造核剤として、β晶造核剤の濃度が樹脂成分100質量部に対して1000ppmとなるような比率にて計量混合し、キャスト原反シートの延伸を163℃で行った以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例4
厚み約0.1mmのキャスト原反シートを製造し、このキャスト原反シートを165℃の温度で、流れ方向に5倍に延伸し、横方向に10倍に延伸して、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例5
厚み約0.5mmのキャスト原反シートを製造し、このキャスト原反シートを165℃の温度で、流れ方向に5倍に延伸し、横方向に10倍に延伸して、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例6
β晶造核剤として、NA−1に代えてNA−3を用い、β晶造核剤の濃度を樹脂成分100質量部に対して500ppmとなるような比率にて計量混合を行った以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例7
β晶造核剤として、NA−1に代えてNA−4を用い、β晶造核剤の濃度が樹脂成分100質量部に対して200ppmとなるような比率にて計量混合を行った以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例8
β晶造核剤として、NA−1に代えてNA−4を用い、β晶造核剤の濃度が樹脂成分100質量部に対して500ppmとなるような比率にて計量混合を行った以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
比較例1
β晶造核剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
比較例2
β晶造核剤を添加しなかった以外は実施例4と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
比較例3
β晶造核剤を添加しなかった以外は実施例5と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
表2に示されるように、実施例1〜8における本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、比較例1と比較して、高い絶縁破壊の強さを有しており、より優れた絶縁破壊特性を有することがわかる。優れた絶縁破壊特性を有する実施例1〜8の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムとして極めて好適である。また、実施例4および5より、厚みの非常に薄いコンデンサ用フィルムも、高温下での高い耐電圧性を有することが分かる。
本発明のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、絶縁破壊の強さに優れるので、このフィルムを用いてフィルムコンデンサを製造することで、高温下での耐電圧性、特に初期耐電圧性の向上が見込まれる。さらに、本発明のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、絶縁破壊の強さに優れると共に厚みを薄くすることができるので、高い耐電圧性が要求される小型かつ高容量型のフィルムコンデンサに好ましく利用可能である。

Claims (5)

  1. 少なくとも1種のポリプロピレン樹脂、およびN,N’−ジステアリルアジピン酸アマイドであるβ晶造核剤を含むフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  2. 前記ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、1000質量ppm以下のβ晶造核剤を含む、請求項1に記載のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  3. 前記ポリプロピレン樹脂は、
    重量平均分子量(Mw)が25万以上45万以下であり、
    分子量分布(Mw/Mn)が6以上12以下であり、
    分子量分布(Mz/Mn)が20以上70以下である、
    請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面または両面に金属蒸着が施された、フィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルム。
  5. 請求項4に記載のフィルムコンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルムを含むフィルムコンデンサ。
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