JP7192973B2 - ポリプロピレンフィルム、金属層一体型ポリプロピレンフィルム、及び、フィルムコンデンサ - Google Patents

ポリプロピレンフィルム、金属層一体型ポリプロピレンフィルム、及び、フィルムコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレンフィルム、金属層一体型ポリプロピレンフィルム、及び、フィルムコンデンサに関する。
ポリプロピレンフィルムは、高い耐電圧性や低い誘電損失特性等の優れた電気特性を有し、且つ、高い耐湿性を有する。そのため、広く電子機器や電気機器に用いられている。具体的には、例えば、高電圧コンデンサ、各種スイッチング電源、フィルター用コンデンサ(例えば、コンバーター、インバーター等)、平滑用コンデンサ等に使用されるフィルムとして利用されている。
近年、コンデンサの小型化及び高容量化が更に要求されている。コンデンサの体積を変えないで静電容量を向上させるためには、誘電体としてのフィルムを薄くすることが好ましい。そのため、厚さがより薄いフィルムが求められている。
従来、コンデンサ用のポリプロピレンフィルムとして、特許文献1~4が開示されている。
特許文献1には、フィルムの光学的配向測定におけるフィルム厚さ方向の屈折率Nzが1.47以上1.50以下であるコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの記載がある(例えば、請求項1参照)。
特許文献2には、105℃で200時間処理後の、光学的複屈折測定により求めた厚さ方向に対する複屈折値ΔNyz及びΔNxzの値から算出される面配向係数ΔPa(ただし、ΔPa=(ΔNyz+ΔNxz)/2)が、0.013以上である二軸延伸ポリプロピレンフィルムの記載がある(例えば、請求項1参照)。
特許文献3には、長手方向の引張強度が120MPa~250MPaであり、かつ幅手方向の引張強度が250MPa~400MPaである二軸延伸ポリプロピレンフィルムの記載がある(例えば、請求項1参照)。
特許文献4には、TD方向の引張弾性率とMD方向の引張弾性率の比率MTD/MMDが0.85以上1.8以下の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの記載がある(例えば、請求項3参照)。また、複屈折値ΔNxyの下限値に関して、好ましくは0.009以上、上限値に関して、好ましくは0.014以下との記載がある(段落[0041])。また、複屈折値ΔNxzの下限値に関して、好ましくは0.015以上、上限値に関して、好ましくは0.023以下との記載がある(段落[0042])。
特開2010-254868号公報 国際公開第2018/056404号 特許5472461号 国際公開第2018/124300号
従来、ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する蒸着工程において、金属層の厚みが不均一になり、濃淡が生じてしまうという問題があった。また、近年では、従来と比較して、金属層の厚みをより均一に形成することが可能な薄いポリプロピレンフィルムの開発が切望されている。しかしながら、特許文献1~5のポリプロピレンフィルムを用いた場合、金属層の厚みが高精度に均一に制御された金属層一体型ポリプロピレンフィルムを得ることはできなかった。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度に均一な厚みに金属層を形成することが可能なポリプロピレンフィルムを提供することにある。また、本発明は、当該ポリプロピレンフィルムを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルム、及び、当該金属層一体型ポリプロピレンフィルムを有するフィルムコンデンサを提供することにある。
本発明者らは、金属層の厚みが不均一となる原因について鋭意検討を行った。その結果、薄いポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する蒸着工程において、ポリプロピレンフィルムをフィルムロールから巻き出す際に、フィルムのMD方向(流れ方向)に張力がかかり、ポアソン収縮によってポリプロピレンフィルムがTD方向(幅方向)に収縮し、その結果、フィルムにシワが発生することを突き止めた。そして、シワが発生すると、金属の蒸着が不均一となって、金属層の厚みが不均一になり、濃淡が生じてしまうことを突き止めた。
さらに、本発明者らは、ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する蒸着工程において、金属層の厚みを均一とする方法について鋭意検討を行った。その結果、温度に依存せず、どのような温度においても等方性を有し、且つ、機械的特性に優れる構成とすれば、金属層の形成時にフィルムにシワが発生することを抑制でき、金属層の厚みを均一とすることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るポリプロピレンフィルムは、
複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であり、
MD方向の25℃での引張弾性率MDとTD方向の25℃での引張弾性率TDとの比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]が、1.20以下であり、
前記引張弾性率MDが、3.1GPa以上であり、
厚さが0.8μm以上5μm以下であることを特徴とする。
(ただし、前記複屈折値Δnxzは、ポリプロピレンフィルムのMD方向をx軸、TD方向をy軸、厚さ方向をz軸としたとき、x軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値であり、前記複屈折値Δnyzは、y軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値である。)
本発明に係るポリプロピレンフィルムによれば、差[(Δnyz)-(Δnxz)]が0.009以下であるため、分子配向の観点で面内方向に対して等方性を有する。なお、分子配向が等方性を有することは、温度に依存せず、どのような温度においても等方性を有することを意味する。
また、比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]が、1.20以下であり、且つ、引張弾性率MDが3.1GPa以上であるため、機械特性が面内方向に対して等方性を有し、且つ、機械特性が面内のいずれの方向に対しても優れる。
すなわち、引張弾性率MDが3.1GPa以上と比較的大きいため、ポアソン収縮によるTD方向の収縮を減少させることができ、引張弾性率TDも、引張弾性率MDと同程度であり、比較的大きいため、ポリプロピレンフィルムがMD方向に伸ばされたとしてもそれに連動するTD方向の収縮を小さくすることができる。
このように、温度依存性がなく、どのような温度においても機械的特性が等方性を有するため、ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する蒸着工程において、ポリプロピレンフィルムにシワが発生することを抑制することができ、金属層の厚みをより均一とすることが可能となる。
また、厚さが5μm以下であるため、コンデンサ素子としたときの単位体積当たりの静電容量を大きくすることができ、コンデンサ用として好適に使用できる。また、厚さが0.8μm以上であるため、フィルムの製膜安定性の観点で優れる。
なお、特許文献1には、ポリプロピレンフィルムの屈折率Nx、屈折率Nyについて記載されておらず、複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]については不明である。
ここで、特許文献1では、原反シートに延伸処理を行ってポリプロピレンフィルムを作製しているが、延伸処理は逐次二軸延伸としている。
しかしながら、逐次二軸延伸では、温度依存性のない態様で等方性があり、且つ、高面積延伸倍率を有するポリプロピレンフィルム、すなわち、温度依存性のない態様で等方性があり、且つ、薄いポリプロピレンフィルムを得ることはできない。逐次二軸延伸では、45倍以下程度の低面積延伸倍率であれば、延伸時にフィルムが裂けることなく、等方性を有するポリプロピレンフィルムを製造し得る。しかしながら、逐次二軸延伸では、46倍以上の高面積延伸倍率とする場合、等方性を有するポリプロピレンフィルムを製造することはできない。一般的に、逐次二軸延伸の場合、まず、MD方向に延伸し、次に、TD方向に延伸するが、高面積延伸倍率とする場合、MD方向の延伸倍率を大きくすると、TD方向の延伸の際にフィルムが裂けてしまう。そのため、逐次二軸延伸の場合には、MD方向の延伸倍率は、TD方向の延伸倍率と比較して半分程度としなければならない。
つまり、逐次二軸延伸で製造される特許文献1のポリプロピレンフィルムは、本発明のように、温度依存性のない態様で等方性があり、且つ、薄いポリプロピレンフィルムは得られない。具体的には、複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であり、且つ、厚さが0.8μm以上5μm以下という薄いポリプロピレンフィルムは得られない。
さらに、特許文献1には、引張弾性率についても記載がない。
従って、特許文献1のポリプロピレンフィルムは、本発明とは構成が明らかに異なる。
また、特許文献2には、ΔPa=((ΔNyz+ΔNxz)/2)が、0.013以上であることは記載されているが、複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であるか不明である。
また、特許文献2では、原反シートに延伸処理を行ってポリプロピレンフィルムを作製しているが、延伸処理は逐次二軸延伸としている。そして、逐次二軸延伸で製造される特許文献2のポリプロピレンフィルムは、上記にて説明した通り、本発明のように、温度依存性のない態様で等方性があり、且つ、薄いポリプロピレンフィルムは得られない。具体的には、複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であり、且つ、厚さが0.8μm以上5μm以下という薄いポリプロピレンフィルムは得られない。
さらに、特許文献2には、引張弾性率についても記載がない。
従って、特許文献2のポリプロピレンフィルムは、本発明とは構成が明らかに異なる。
また、特許文献3には、複屈折値Δnxzや、複屈折値Δnyzの記載がなく、[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であるか不明である。
また、特許文献3では、原反シートに延伸処理を行ってポリプロピレンフィルムを作製しているが、延伸処理は逐次二軸延伸としている。そして、逐次二軸延伸で製造される特許文献3のポリプロピレンフィルムは、上記にて説明した通り、本発明のように、温度依存性のない態様で等方性があり、且つ、薄いポリプロピレンフィルムは得られない。具体的には、複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であり、且つ、厚さが0.8μm以上5μm以下という薄いポリプロピレンフィルムは得られない。
さらに、特許文献3には、引張弾性率についても記載がない。
従って、特許文献3のポリプロピレンフィルムは、本発明とは構成が明らかに異なる。
また、特許文献4には、複屈折値ΔNxy、複屈折値ΔNxzについて記載されているが、複屈折値Δnyzの記載がなく、[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であるか不明である。
また、特許文献4では、原反シートに延伸処理を行ってポリプロピレンフィルムを作製しているが、延伸処理は逐次二軸延伸としている。そして、逐次二軸延伸で製造される特許文献4のポリプロピレンフィルムは、上記にて説明した通り、本発明のように、温度依存性のない態様で等方性があり、且つ、薄いポリプロピレンフィルムは得られない。具体的には、複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であり、且つ、厚さが0.8μm以上5μm以下という薄いポリプロピレンフィルムは得られない。
なお、特許文献4では、23℃での引張弾性率について記載されており、例えば、実施例9では、23℃での引張弾性率の比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]は、3.4/3.3(約1.03)である。しかしながら、上記の通り、特許文献4のポリプロピレンフィルムは、逐次二軸延伸で製造されているため、分子配向の観点で面内方向に対して等方性を有するとはいえない。そのため、23℃では引張弾性率がTD方向とMD方向とで近しい値であったとしても、分子配向が等方性を有していないため、23℃以外の温度(特に、蒸着工程のような高温)では、引張弾性率はTD方向とMD方向とで大きく異なる値となる可能性が極めて高い。
従って、特許文献4のポリプロピレンフィルムは、本発明とは構成が明らかに異なる。
前記本発明のポリプロピレンフィルムにおいては、光干渉式非接触表面形状測定装置を用い、一視野あたり470.92μm×353.16μm(640ピクセル×480ピクセル)の計測を行った際のフィブリルの数が、20以上50以下であり、前記フィブリルの個数当たりの面積が、200μm/個以上1000μm/個以下である面を有することが好ましい。本発明においては、光干渉式非接触表面形状測定装置として、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式:R5500GML)」を使用する。
前記構成によれば、ポリプロピレンフィルムの少なくとも一方の面が、多数の比較的面積の小さいフィブリルによって粗面化されているため、二軸延伸された後のポリプロピレンフィルムや当該ポリプロピレンフィルムを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルムをロール状に巻回する際に、搬送用ロールに対する滑り性が良好となる。その結果、好適な搬送性が得られ、シワや巻きずれが抑制される。
前記構成のポリプロピレンフィルムは、コンデンサ用であることが好ましい。
前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]、前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]、及び、前記引張弾性率MDが前記数値範囲内であるポリプロピレンフィルムは、温度依存性がなく、どのような温度においても機械的特性が等方性を有するため、ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する蒸着工程において、ポリプロピレンフィルムにシワが発生することを抑制することができ、金属層の厚みをより均一とすることが可能となる。従って、コンデンサ用として好適に使用できる。
前記構成のポリプロピレンフィルムは、同時二軸延伸されていることが好ましい。
同時二軸延伸されていると、前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]、前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]、及び、前記引張弾性率MDが前記数値範囲内であり、且つ、厚さが0.8μm以上5μm以下であるポリプロピレンフィルムとし易い。
また、本発明に係る金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、
前記ポリプロピレンフィルムと、
前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層とを有することを特徴とする。
前記構成によれば、前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層を有するため、ポリプロピレンフィルムを誘電体とし、金属層を電極としたフィルムコンデンサに使用することができる。また、前記ポリプロピレンフィルムは、温度依存性がなく、どのような温度においても機械的特性が等方性を有するため、ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する蒸着工程において、ポリプロピレンフィルムにシワが発生することを抑制することができ、金属層の厚みをより均一とすることが可能となる。従って、当該ポリプロピレンフィルムを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、金属層の厚みが高精度で均一である。
また、本発明に係るフィルムコンデンサは、巻回された前記金属層一体型ポリプロピレンフィルムを有するか、又は、前記金属層一体型ポリプロピレンフィルムが複数積層された構成を有することを特徴とする。
また、本発明に係るポリプロピレンフィルムの製造方法は、
前記に記載のポリプロピレンフィルムの製造方法であって、
キャストシートを同時二軸延伸する工程Aを有し、
前記工程Aは、MD方向の延伸倍率MDとTD方向の延伸倍率TDとの比[(延伸倍率TD)/(延伸倍率MD)]が1.0以上1.7以下であり、
前記延伸倍率TDと前記延伸倍率MDとの積である面積延伸倍率が、46倍以上72倍以下であることを特徴とする。
コンデンサ素子としたときの単位体積当たりの静電容量を大きくすることができる薄いポリプロピレンフィルムを得るためには、延伸工程において高面積延伸倍率とする必要がある。
前記構成によれば、実施例からも分かるように、等方性を有し、且つ、薄いポリプロピレンフィルムを得ることが可能となる。
なお、逐次延伸では、等方性があり、且つ、高面積延伸倍率を有するポリプロピレンフィルムを得ることはできない。逐次延伸では、45倍以下程度の低面積延伸倍率であれば、延伸時にフィルムが裂けることなく、等方性を有するポリプロピレンフィルムを製造し得る。しかしながら、逐次延伸では、46倍以上の高面積延伸倍率とする場合、等方性を有するポリプロピレンフィルムを製造することはできない。一般的に、逐次延伸の場合、まず、MD方向に延伸し、次に、TD方向に延伸するが、高面積延伸倍率とする場合、MD方向の延伸倍率を大きくすると、TD方向の延伸の際にフィルムが裂けてしまう。そのため、逐次延伸の場合には、MD方向の延伸倍率は、TD方向の延伸倍率と比較して半分程度としなければならない。つまり、逐次延伸では、等方性があり、且つ、高面積延伸倍率を有するポリプロピレンフィルムを得ることはできない。
本発明によれば、高精度に均一な厚みに金属層を形成することが可能なポリプロピレンフィルムを提供することができる。また、当該ポリプロピレンフィルムを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルム、及び、当該金属層一体型ポリプロピレンフィルムを有するフィルムコンデンサを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
本明細書中において、「含有」、「含む」という表現は、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」、「のみからなる」という概念を含む。
本明細書において、「素子」、「コンデンサ」、「コンデンサ素子」、「フィルムコンデンサ」は同じものを意味する。
本実施形態のポリプロピレンフィルムは、微孔性フィルムではないので、多数の空孔を有していない。
本実施形態のポリプロピレンフィルムは、2層以上の複数層で構成されていてもよいが、単層で構成されていることが好ましい。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムは、
複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であり、
MD方向の25℃での引張弾性率MDとTD方向の25℃での引張弾性率TDとの比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]が、1.20以下であり、
前記引張弾性率MDが、3.1GPa以上であり、
厚さが0.8μm以上5μm以下であることを特徴とする。
(ただし、前記複屈折値Δnxzは、ポリプロピレンフィルムのMD方向をx軸、TD方向をy軸、厚さ方向をz軸としたとき、x軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値であり、前記複屈折値Δnyzは、y軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値である。)
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムは、複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であり、0.006以下が好ましく0.003以下がより好ましい。前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]は、-0.009以上であることが好ましく、-0.005以上であることがより好ましく、0.000以上であることがさらに好ましい。前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]が0.009以下であるため、分子配向の観点で面内方向に対して等方性を有する。なお、分子配向が等方性を有することは、温度に依存せず、どのような温度においても等方性を有することを意味する。
前記複屈折値Δnxzは、0.020以下が好ましく、0.018以下がより好ましく、0.015以下がさらに好ましい。前記複屈折値Δnxzが0.02以下であるとフィルムの延伸成形において面内方向の配向バランスがとり易く、等方的な機械特性を具備させ易い傾向にあるため、結果としてロールの巻きズレをより抑制することができる。前記複屈折値Δnxzは、0.009以上が好ましく、0.010以上がより好ましく、0.012以上がさらに好ましい。前記複屈折値Δnxzが0.009以上であるとMD方向の弾性率が高く維持されるため、金属蒸着加工の時にかかる機械張力によってフィルムの寸法変化が少なく、金属蒸着加工時のフィルムの平面性は維持され易い傾向にあるため、結果として蒸着膜ムラをより抑制することができる。
前記複屈折値Δnyzは、0.020以下が好ましく、0.018以下がより好ましく、0.016以下がさらに好ましい。前記複屈折値Δnyzが0.02以下であるとフィルムの延伸成形において面内方向の配向バランスがとり易く、等方的な機械特性を具備させ易い傾向にあるため、結果としてロールの巻きズレをより抑制することができる。前記複屈折値Δnyzは、0.090以上が好ましく、0.011以上がより好ましく、0.013以上がさらに好ましい。前記複屈折値Δnyzが0.090以上であると金属蒸着加工の時にかかる機械張力によるポアソン変形の影響が少なく、金属蒸着加工時のフィルムの平面性は維持され易い傾向にある。
前記複屈折値ΔNyz及び前記複屈折値ΔNxzから下記式1にて算出される値Pは、0.0141以上が好ましく、0.0142以上がより好ましく、0.0143以上がさらに好ましい。前記値Pは、0.020以下が好ましく、0.018以下がより好ましく、0.015以下がさらに好ましい。
(式1) P=(ΔNyz+ΔNxz)/2
前記値Pが上記好ましい範囲内である場合、フィルムの延伸成形における面内方向の配向バランスがとり易いことによるより好ましい等方的な機械特性と、金属蒸着加工時のフィルム寸法変化が少なことによるより好ましい平面性とを有するため、結果としてロールの巻きズレと蒸着膜ムラをさらに抑制することができる。
前記複屈折値Δnxzは、ポリプロピレンフィルムのMD方向をx軸、TD方向をy軸、厚さ方向をz軸としたとき、x軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値であり、前記複屈折値Δnyzは、y軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値である。
前記複屈折値Δnxz、及び、前記複屈折値Δnyzの具体的な測定方法は、実施例記載の方法による。
前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]、前記複屈折値Δnxz、前記複屈折値Δnyzは、製膜条件(延伸倍率調整など)やポリプロピレン樹脂の特性(分子量、重合度、分子量分布等)により制御することができる。延伸倍率で前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]を制御する場合、前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]を0.009以下とするためには、前記複屈折値Δnxzと前記複屈折値Δnyzとが同程度となるような延伸倍率を採用すればよい。具体的には、MD方向の延伸倍率とTD方向の延伸倍率とを同程度とすればよい。
前記ポリプロピレンフィルムは、MD方向の25℃での引張弾性率MDとTD方向の25℃での引張弾性率TDとの比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]が、1.20以下であり、1.19以下であることが好ましく、1.17以下であることがより好ましい。前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]は、0.85以上であることが好ましく、0.90以上であることがより好ましく、0.95以上であることがさらに好ましい。
前記引張弾性率MDは、3.1GPa以上であり、3.2GPa以上であることが好ましく、3.3GPa以上であることがより好ましい。前記引張弾性率MDは、4.5GPa以下であることが好ましく、4.4GPa以下であることがより好ましく、4.2GPa以下であることがさらに好ましい。
前記引張弾性率TDは、3.1GPa以上であることが好ましく、3.3GPa以上であることがより好ましく、3.6GPa以上であることがさらに好ましい。前記引張弾性率TDは、4.5GPa以下であることが好ましく、4.4GPa以下であることがより好ましく、4.2GPa以下であることがさらに好ましい。
前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]が、1.20以下であり、且つ、前記引張弾性率MDが3.1GPa以上であるため、機械特性が面内方向に対して等方性を有し、且つ、機械特性が面内のいずれの方向に対しても優れる。
すなわち、前記引張弾性率MDが3.1GPa以上と比較的大きいため、ポアソン収縮によるTD方向の収縮を減少させることができ、前記引張弾性率TDも、前記引張弾性率MDと同程度であり、比較的大きいため、ポリプロピレンフィルムがMD方向に伸ばされたとしてもそれに連動するTD方向の収縮を小さくすることができる。
前記引張弾性率MD、前記引張弾性率TDの具体的な測定方法は、実施例記載の方法による。
このように、前記ポリプロピレンフィルムは、温度依存性がなく、どのような温度においても機械的特性が等方性を有するため、ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する蒸着工程において、ポリプロピレンフィルムにシワが発生することを抑制することができ、金属層の厚みをより均一とすることが可能となる。
前記ポリプロピレンフィルムは、MD方向の25℃での破断強度MDとTD方向の25℃での破断強度TDとの比[(破断強度TD)/(破断強度MD)]が、1.55以下であることが好ましく、1.40以下であることがより好ましく、1.25以下であることがさらに好ましい。前記比[(破断強度TD)/(破断強度MD)]は、0.70以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.90以上であることがさらに好ましい。
前記破断強度MDは、175MPa以上であることが好ましく、177MPa以上であることがより好ましく、180MPa以上であることがさらに好ましい。前記破断強度MDは、280MPa以下であることが好ましく、260MPa以下であることがより好ましく、240MPa以下であることがさらに好ましい。
前記破断強度TDは、165MPa以上であることが好ましく、167MPa以上であることがより好ましく、170MPa以上であることがさらに好ましい。前記破断強度TDは、280MPa以下であることが好ましく、260MPa以下であることがより好ましく、240MPa以下であることがさらに好ましい。
前記比[(破断強度TD)/(破断強度MD)]が、1.55以下であり、且つ、前記破断強度MDが175MPa以上であれば、機械特性が面内方向に対してより等方性を有し、且つ、機械特性が面内のいずれの方向に対してもより優れる。
すなわち、前記破断強度MDが175MPa以上と比較的大きければ、ポアソン収縮によるTD方向の収縮を減少させることができ、前記破断強度TDも、前記破断強度MDと同程度であり、比較的大きいため、ポリプロピレンフィルムがMD方向に伸ばされたとしてもそれに連動するTD方向の収縮を小さくすることができる。
前記破断強度MD、前記破断強度TDの具体的な測定方法は、実施例記載の方法による。
前記ポリプロピレンフィルムは、MD方向の25℃での破断伸度MDとTD方向の25℃での破断伸度TDとの比[(破断伸度TD)/(破断伸度MD)]が、1.50以下であることが好ましく、1.45以下であることがより好ましく、1.40以下であることがさらに好ましい。前記比[(破断伸度TD)/(破断伸度MD)]は、0.55以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましく、0.65以上であることがさらに好ましい。
前記破断伸度MDは、30%以上であることが好ましく、34%以上であることがより好ましく、38%以上であることがさらに好ましい。前記破断伸度MDは、100%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、65%以下であることがさらに好ましい。
前記破断伸度TDは、20%以上であることが好ましく、24%以上であることがより好ましく、28%以上であることがさらに好ましい。前記破断伸度TDは、100%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、65%以下であることがさらに好ましい。
前記破断伸度MD、前記破断伸度TDの具体的な測定方法は、実施例記載の方法による。
前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]、前記引張弾性率MD、前記引張弾性率TD、前記比[破断強度TD)/(破断強度MD)]、前記破断強度MD、前記破断強度TD、前記比[破断伸度TD)/(破断伸度MD)]、前記破断伸度MD、前記破断伸度TDを前記数値範囲内とする方法については、特に限定されないが、ポリプロピレンフィルムの製膜条件(例えば、延伸倍率等)やポリプロピレン樹脂の特性(分子量、重合度、分子量分布等)により制御することができる。延伸倍率で前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]を制御する場合、前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]を1.20以下とするためには、前記引張弾性率MDと前記引張弾性率TDとが同程度となるような延伸倍率を採用すればよい。具体的には、MD方向の延伸倍率とTD方向の延伸倍率とを同程度とすればよい。
前記ポリプロピレンフィルムは、光干渉式非接触表面形状測定装置を用い、一視野あたり470.92μm×353.16μm(640ピクセル×480ピクセル)の計測を行った際のフィブリルの数が、20以上50以下であり、前記フィブリルの個数当たりの面積が、200μm/個以上1000μm/個以下である面を有することが好ましい。
前記フィブリルの数は、24以上であることがより好ましく、28以上であることがさらに好ましい。前記フィブリルの数は、48以下であることがより好ましく、46以下であることがさらに好ましい。
また、前記フィブリルの個数当たりの面積は、210μm/個以上であることがより好ましく、223μm/個以上であることがさらに好ましい。前記フィブリルの個数当たりの面積は、900μm/個以下であることがより好ましく、850μm/個以下であることがさらに好ましい。
また、一視野あたり470.92μm×353.16μm(640ピクセル×480ピクセル)の計測を行った際のフィブリル面積は、9000μm以上が好ましく、10000μm以上がより好ましい。また、前記フィブリル面積は、30000μm以下が好ましく、25000μm以下がより好ましい。
前記フィブリルの数が、20以上50以下であり、前記フィブリルの個数当たりの面積が、200μm/個以上1000μm/個以下である面を有すれば、ポリプロピレンフィルムの少なくとも一方の面が、多数の比較的面積の小さいフィブリルによって粗面化されているため、二軸延伸された後のポリプロピレンフィルムをロール状に巻回する際に、搬送用ロールに対する滑り性が良好となる。その結果、好適な搬送性が得られ、シワや巻きずれが抑制される。
前記フィブリル数、前記フィブリル面積、及び、前記フィブリルの個数当たりの面積の測定方法は下記の通りである。
<フィブリル数、フィブリル面積、及び、フィブリルの個数当たりの面積の測定方法>
光干渉式非接触表面形状測定装置として、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式:R5500GML)」を使用する。
まず、WAVEモードを用い、530whiteフィルタ及び1×BODYの鏡筒を適用し、×10対物レンズを用いて、一視野あたり470.92μm×353.16μm(640ピクセル×480ピクセル)の計測を行う。この操作を対象試料(ポリプロピレンフィルム)の流れ方向・幅方向ともに中央となる箇所から流れ方向に1cm間隔で10箇所について行う。
次に、得られたデータに対して、メディアンフィルタ(3×3)によるノイズ除去処理を行ない、その後、カットオフ値30μmによるガウシアンフィルタ処理を行い、うねり成分を除去する。
上述のようにして得られた10箇所の各表面形状データについて、山側高さが0.05μm以上の領域を白塗りし、山側高さが0.05μmより小さい領域を黒塗りして、二値化画像(262ピクセル×194ピクセル)を得る。
次に、画像解析ソフトImage Pro Plus5.1J(日本ローバー製)を使用して、上記で得た二値化画像の輝度レンジが128以上255以下のオブジェクトの個数とその面積を測定する。なお、オブジェクトの抽出の際、画像の下側の境界上にあるものと左側の境界上にあるものは除外する。抽出したオブジェクトについて、面積が50ピクセル以上のオブジェクトの個数をフィブリル数とし、面積が50ピクセル以上のオブジェクトの面積の和をフィブリル面積とする。50ピクセルより面積が小さいオブジェクトはノイズとして除去する。また、面積が50ピクセル以上のオブジェクトについて面積の和を算出したのち、算出した和をフィブリル数で除算したものをフィブリルの個数当たりの面積(ピクセル/個)とする。最後に、フィブリルの個数当たりの面積に関して、単位をμm/個に換算する。
前記フィブリル数、前記フィブリル面積、及び、前記フィブリルの個数当たりの面積を前記数値範囲内とする方法については、特に限定されないが、キャストシートの製膜条件(例えば、キャスト冷却温度等)やポリプロピレン樹脂の特性(分子量、重合度、分子量分布等)により制御することができる。前記キャスト冷却温度は、キャストシート製膜時の樹脂温度、エアギャップ、金属ドラムの表面温度等により制御することができる。
前記ポリプロピレンフィルムの100℃での直流絶縁破壊強度ESは、510VDC/μm以上であることが好ましく、525VDC/μm以上であることがより好ましく、540VDC/μm以上であることがさらに好ましい。前記ポリプロピレンフィルムの100℃での直流絶縁破壊強度ESは、高いほど好ましいが、例えば、600VDC/μm以下、570VDC/μm以下、550VDC/μm以下である。
前記ポリプロピレンフィルムの120℃での直流絶縁破壊強度ESは、485VDC/μm以上であることが好ましく、490VDC/μm以上であることがより好ましい。前記ポリプロピレンフィルムの125℃での直流絶縁破壊強度ESは、高いほど好ましいが、例えば、600VDC/μm以下、550VDC/μm以下である。
前記ポリプロピレンフィルムの灰分は、前記ポリプロピレンフィルムに対して6×10ppm以下(60ppm以下)であることが好ましく、5×10ppm以下(50ppm以下)であることがより好ましく、4×10ppm以下(40ppm以下)であることがさらに好ましく、3×10ppm以下(30ppm以下)が特に好ましい。前記灰分は、0×10ppm以上が好ましく、1ppm以上がより好ましく、5ppm以上がさらに好ましく、1×10ppm以上(10ppm以上)が特に好ましい。前記灰分が前記数値範囲内であると、極性をもった低分子成分の生成を抑制しつつコンデンサとしての電気特性がより向上する。前記灰分は、実施例に記載の方法により得られる値をいう。
前記ポリプロピレンフィルムは、厚さが0.8μm以上5μm以下である。前記ポリプロピレンフィルムの厚さは、4.0μm以下が好ましく、3.0μm以下がより好ましい。
また、前記ポリプロピレンフィルムの厚さは、1.5μm以上が好ましく、2.0μm以上がより好ましい。前記ポリプロピレンフィルムの厚さが5μm以下であるため、コンデンサ素子としたときの単位体積当たりの静電容量を大きくすることができ、コンデンサ用として好適に使用できる。また、前記ポリプロピレンフィルムの厚さが0.8μm以上であるため、フィルムの製膜安定性の観点で優れる。
前記ポリプロピレンフィルムの厚さは、シチズンセイミツ社製の紙厚測定器MEI-11を用いて100±10kPaで測定すること以外、JIS-C2330に準拠して測定した値をいう。
前記ポリプロピレンフィルムは、基本的には、同時二軸延伸フィルムである。前記ポリプロピレンフィルムが、同時二軸延伸フィルムであると、前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]、前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]、及び、前記引張弾性率MDが前記数値範囲内であり、且つ、厚さが薄い(前記数値範囲内である)ポリプロピレンフィルムとし易い。ただし、前記ポリプロピレンフィルムは、前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]、前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]、前記引張弾性率MD、及び、前記ポリプロピレンフィルムの厚さが、前記数値範囲内である限り、逐次二軸延伸フィルムである場合、一軸延伸フィルムである場合、無延伸フィルムである場合を含む。
前記ポリプロピレンフィルム及び後述する金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、各々ロール状に巻回されており、フィルムロールの形態であることが好ましい。前記フィルムロールは、巻き芯(コア)を有していてもよいし、有していなくてもよい。前記フィルムロールは、巻き芯(コア)を有することが好ましい。前記フィルムロールの巻き芯の材質としては特に限定されない。前記材質としては、紙(紙管)、樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)、金属等が挙げられる。前記樹脂としては、一例として、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等が挙げられる。前記繊維強化プラスチックを構成するプラスチックとしては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。前記繊維強化プラスチックを構成する繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維(ケブラー(登録商標)繊維)、カーボン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維(ザイロン(登録商標)繊維)、ポリエチレン繊維、ボロン繊維等が挙げられる。前記金属としては、鉄、アルミニウム、ステンレス等が挙げられる。前記フィルムロールの巻き芯は、前記樹脂を紙管に含浸させてなる巻き芯も包含する。この場合、前記巻き芯の材質は樹脂として分類される。
前記ポリプロピレンフィルムは、主成分としてポリプロピレン樹脂を含有する。本明細書において、主成分としてポリプロピレン樹脂を含有する、とは、ポリプロピレンフィルム全体に対して(ポリプロピレンフィルム全体を100質量%としたときに)、ポリプロピレン樹脂を50質量%以上含有することをいう。ポリプロピレンフィルム全体に対する前記ポリプロピレン樹脂の含有量は、好ましくは、75質量%以上であり、より好ましくは、90質量%以上である。前記ポリプロピレン樹脂の含有量の上限は、ポリプロピレンフィルム全体に対して、例えば、100質量%、98質量%等である。
前記ポリプロピレン樹脂は、特に限定されず、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。前記ポリプロピレン樹脂は、なかでも、キャストシートとした際にβ型球晶を形成するポリプロピレン樹脂が好適である。
前記ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量Mwは、25万以上45万以下であることが好ましく、25万以上40万以下であることがより好ましい。前記ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量Mwが25万以上45万以下であると、樹脂流動性が適度となる。その結果、キャストシートの厚さの制御が容易であり、薄い延伸フィルムを作製することが容易となる。また、キャストシートに適度な延伸性を与えることができる。ポリプロピレン樹脂を2種以上使用する場合、上記Mwが25万以上33万未満のポリプロピレン樹脂と上記Mwが33万以上45万以下のポリプロピレン樹脂を併用することが好ましい。
前記ポリプロピレン樹脂の分子量分布[(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)]は、5以上12以下であることが好ましく、5以上11以下であることがより好ましく、5以上10以下であることがさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂を2種以上使用する場合、上記分子量分布が5以上8.5未満のポリプロピレン樹脂と上記分子量分布が8.5以上11以下のポリプロピレン樹脂を併用することが好ましい。
本明細書において、前記ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)装置を用いて測定した値である。より具体的には、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機のHLC-8121GPC-HT(商品名)を使用して測定した値である。GPCカラムとして、東ソー株式会社製の3本のTSKgel GMHHR-H(20)HTを連結して使用する。カラム温度を140℃に設定して、溶離液としてトリクロロベンゼンを1.0ml/10分の流速で流して、MwとMnの測定値を得る。東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用いてその分子量Mに関する検量線を作成して、測定値をポリスチレン値に換算して、Mw、及び、Mnを得る。ここで、標準ポリスチレンの分子量Mの底10の対数を、対数分子量(「Log(M)」)という。
ポリプロピレン樹脂の微分分布値差Dが、-5%以上14%以下であることが好まく、-4%以上12%以下であることがより好ましく、-4%以上10%以下であることがさらに好ましい。ここで、「微分分布値差D」は、分子量微分分布曲線において、対数分子量Log(M)=4.5のときの微分分布値からLog(M)=6.0のときの微分分布値を引いた差である。
なお、「微分分布値差Dが、-5%以上14%以下である」とは、ポリプロピレン樹脂の有するMwの値より、低分子量側の分子量1万から10万の成分(以下、「低分子量成分」ともいう)の代表的な分布値としての対数分子量Log(M)=4.5の成分と、高分子量側の分子量100万前後の成分(以下、「高分子量成分」ともいう)の代表的な分布値としてのLog(M)=6.0前後の成分とを比較したときに、差分が正の場合は低分子量成分の方が多く、差分が負の場合は高分子量成分の方が多いと理解できる。
つまり、分子量分布Mw/Mnが5~12であるといっても単に分子量分布幅の広さを表しているに過ぎず、その中の高分子量成分、低分子量成分の量的な関係までは分からない。そこで、安定製膜性とキャスト原反シートの厚み均一性の観点から、ポリプロピレン樹脂は、広い分子量分布を有すると同時に、低分子量成分を適度に含むようにするために分子量1万から10万の成分を、分子量100万の成分と比較して、微分分布値差が-5%以上14%以下となるようにポリプロピレン樹脂を使用することが好ましい。
微分分布値は、GPCを用いて、次のようにして得た値である。GPCの示差屈折(RI)検出計によって得られる、時間に対する強度を示す曲線(一般には、「溶出曲線」ともいう)を使用する。標準ポリスチレンを用いて得た検量線を使用して、時間軸を対数分子量(Log(M))に変換することで、溶出曲線をLog(M)に対する強度を示す曲線に変換する。RI検出強度は、成分濃度と比例関係にあるので、強度を示す曲線の全面積を100%とすると、対数分子量Log(M)に対する積分分布曲線を得ることができる。微分分布曲線は、この積分分布曲線をLog(M)で、微分することによって得る。したがって、「微分分布」とは、濃度分率の分子量に対する微分分布を意味する。この曲線から、特定のLog(M)のときの微分分布値を読みとる。
前記ポリプロピレン樹脂のヘプタン不溶分(HI)は、96.0%以上であることが好ましく、より好ましくは97.0%以上である。また、前記ポリプロピレン樹脂のヘプタン不溶分(HI)は、99.5%以下であることが好ましく、より好ましくは99.0%以下である。ここで、ヘプタン不溶分は、多いほど樹脂の立体規則性が高いことを示す。前記ヘプタン不溶分(HI)が、96.0%以上99.5%以下であると、適度に高い立体規則性により、樹脂の結晶性が適度に向上し、高温下での耐電圧性が向上する。一方、キャストシート成形の際の固化(結晶化)の速度が適度となり、適度の延伸性を有する。ヘプタン不溶分(HI)の測定方法は、実施例記載の方法による。
前記ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、1.0~8.0g/10minであることが好ましく、1.5~7.0g/10minであることがより好ましく、2.0~6.0g/10minであることがさらに好ましい。前記ポリプロピレン樹脂のメルトフローレートの測定方法は、実施例記載の方法による。
前記ポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率([mmmm])は、99.8%以下であることが好ましく、99.5%以下であることがより好ましく、99.0%以下であることがさらに好ましい。また、前記メソペンタッド分率は、94.0%以上であることが好ましく、94.5%以上であることがより好ましく、95.0%以上がさらに好ましい。メソペンタッド分率が前記数値範囲内であると、適度に高い立体規則性により、樹脂の結晶性が適度に向上し、高温下での耐電圧性が向上する。一方、キャストシート成形の際の固化(結晶化)の速度が適度となり、適度の延伸性を有する。
メソペンタッド分率([mmmm])は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって得ることができる立体規則性の指標である。本明細書において、メソペンタッド分率([mmmm])は、日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)、JNM-ECP500を利用して測定した値をいう。観測核は、13C(125MHz)であり、測定温度は、135℃、ポリプロピレン樹脂を溶解する溶媒にはo-ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1))を用いる。高温NMRによる測定方法は、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、第610頁」に記載の方法を参照して行うことができる。メソペンタッド分率([mmmm])のより詳細な測定方法は、実施例に記載の方法による。
前記ポリプロピレン樹脂の灰分は、6×10ppm以下(60ppm以下)が好ましく、5×10ppm以下(50ppm以下)がより好ましく、4×10ppm以下(40ppm以下)であることがさらに好ましく、3×10ppm以下(30ppm以下)が特に好ましい。また、前記ポリプロピレン樹脂の灰分は、0×10ppm以上が好ましく、1ppm以上がより好ましく、5ppm以上がさらに好ましく、1×10ppm以上(10ppm以上)が特に好ましい。前記ポリプロピレン樹脂の灰分が上記好ましい範囲内である場合、極性をもった低分子成分の生成を抑制しつつコンデンサとしての電気特性がより向上する。前記灰分は、実施例に記載の方法により得られる値をいう。
前記ポリプロピレン樹脂は、一般的に公知の重合方法を用いて製造することができる。前記重合方法としては、例えば、気相重合法、塊状重合法及びスラリー重合法を例示できる。
重合は、1つの重合反応機を用いる単段(一段)重合であってもよく、2つ以上の重合反応器を用いた多段重合であってもよい。また、重合は、反応器中に水素又はコモノマーを分子量調整剤として添加して行ってもよい。
重合の際の触媒には、一般的に公知のチーグラー・ナッタ触媒を使用することができ、前記ポリプロピレン樹脂を得ることができる限り特に限定されない。前記触媒は、助触媒成分やドナーを含んでもよい。触媒や重合条件を調整することによって、分子量、分子量分布、立体規則性等を制御することができる。
前記ポリプロピレン樹脂の分子量分布等は、樹脂混合(ブレンド)により調整することができる。例えば、互いに分子量や分子量分布の異なるもの2種類以上の樹脂を混合する方法が挙げられる。一般的には、主樹脂に、それより平均分子量が高い樹脂、又は、低い樹脂を、樹脂全体を100質量%とすると、主樹脂が55質量%以上90質量%以下である2種のポリプロピレン混合系が、低分子量成分量の調整が行い易いため、好ましい。
なお、前記の混合調整方法を採用する場合、平均分子量の目安として、メルトフローレート(MFR)を用いても構わない。この場合、主樹脂と添加樹脂のMFRの差は、1~30g/10分程度としておくのが、調整の際の利便性の観点から好ましい。
樹脂混合する方法としては、特に制限はないが、主樹脂と添加樹脂の重合粉、又は、ペレットを、ミキサー等を用いてドライブレンドする方法や、主樹脂と添加樹脂の重合粉、又は、ペレットを、混練機に供給し、溶融混練してブレンド樹脂を得る方法が挙げられる。
前記ミキサーや前記混練機は、特に制限されない。前記混練機は、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、それ以上の多軸スクリュータイプの何れでもよい。2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のどちらの混練タイプでも構わない。
溶融混練によるブレンドの場合は、良好な混練物が得られれば、混練温度は特に制限されない。一般的には、200℃から300℃の範囲であり、樹脂の劣化を抑制する観点から、230℃から270℃が好ましい。また、樹脂の混練混合の際の劣化を抑制するため、混練機に窒素などの不活性ガスをパージしても構わない。溶融混練された樹脂は、一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズしてもよい。これにより、混合ポリプロピレン原料樹脂ペレットを得ることができる。
以下、ポリプロピレン樹脂を2種以上使用する場合における各ポリプロピレン樹脂について説明する。
ポリプロピレン樹脂を2種以上使用する場合、下記ポリプロピレン樹脂A-1と下記ポリプロピレン樹脂B-1、下記ポリプロピレン樹脂A-2と下記ポリプロピレン樹脂B-2、又は、下記ポリプロピレン樹脂A-3と下記ポリプロピレン樹脂B-3の組み合わせが好適なものとして挙げられる。本実施形態において、ポリプロピレン樹脂Aという表現は、ポリプロピレン樹脂A-1、ポリプロピレン樹脂A-2及びポリプロピレン樹脂A-3という概念を含む。ポリプロピレン樹脂Bという表現は、ポリプロピレン樹脂B-1、ポリプロピレン樹脂B-2及びポリプロピレン樹脂B-3という概念を含む。ポリプロピレン樹脂A、A-1、A-2、A-3、ポリプロピレン樹脂B、B-1、B-2、B-3は、いずれも直鎖ポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
<ポリプロピレン樹脂A>
(ポリプロピレン樹脂A-1)
微分分布値差Dが8.0%以上であるポリプロピレン樹脂。
(ポリプロピレン樹脂A-2)
ヘプタン不溶分(HI)が98.5%以下であるポリプロピレン樹脂。
(ポリプロピレン樹脂A-3)
230℃におけるメルトフローレート(MFR)が4.0~10.0g/10minであるポリプロピレン樹脂。
<ポリプロピレン樹脂B>
(ポリプロピレン樹脂B-1)
微分分布値差Dが8.0%未満であるポリプロピレン樹脂。
(ポリプロピレン樹脂B-2)
ヘプタン不溶分(HI)が98.5%を超えるポリプロピレン樹脂。
(ポリプロピレン樹脂B-3)
230℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~3.9g/10minであるポリプロピレン樹脂。
ポリプロピレン樹脂Aの重量平均分子量Mwは、25万以上45万以下であることが好ましく、25万以上40万以下であることがより好ましく、25万以上34万以下であることがさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂Aの重量平均分子量Mwが25万以上45万以下であると、樹脂流動性が適度となる。その結果、キャスト原反シートの厚さの制御が容易であり、薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを作製することが容易となる。また、キャスト原反シートおよび二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みにムラが発生し難くなり、適度な延伸性が得られるので好ましい。
ポリプロピレン樹脂Aの分子量分布Mw/Mnは、8.5以上12.0以下であることが好ましく、8.5以上11.0以下であることがより好ましく、9.0以上11.0以下であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂Aの分子量分布Mw/Mnが上記好ましい範囲内であると、キャスト原反シートおよび二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みにムラが発生し難くなり、適度な延伸性が得られるので好ましい。
ポリプロピレン樹脂Aの微分分布値差Dは、8.0%以上が好ましく、8.0%以上18.0%以下であることがより好ましく、8.5%以上17.0%以下であることがさらに好ましく、9.0%以上16.0%以下であることが特に好ましい。
微分分布値差Dが、8.0%以上18.0%以下である場合、低分子量成分を、高分子量成分と比較すると、8.0%以上18.0%以下の割合で多く含む。したがって、延伸工程での破断頻度を低減することができ、連続成膜性が向上するため、好ましい。
ポリプロピレン樹脂Aのヘプタン不溶分(HI)は、96.0%以上であることが好ましく、より好ましくは97.0%以上である。また、ポリプロピレン樹脂Aのヘプタン不溶分(HI)は、99.5%以下であることが好ましく、より好ましくは98.5%以下であり、さらに好ましくは98.0%以下である。
ポリプロピレン樹脂Aの230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、1.0~15.0g/10minであることが好ましく、2.0~10.0g/10minであることがより好ましく、4.0~10.0g/10minであることがさらに好ましく、4.3~6.0g/10minが特に好ましい。ポリプロピレン樹脂Aの230℃におけるMFRが上記範囲内である場合、溶融状態での流動特性に優れるため、メルトフラクチャーといった不安定流動が発生しにくく、また、延伸時の破断も抑えられる。したがって、膜厚均一性が良好であるため、絶縁破壊の起こり易い薄肉部の形成が抑制されるという利点がある。
ポリプロピレン樹脂Aの含有率は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム全体に対して55質量%以上90質量%以下であることが好ましく、60質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂Bの重量平均分子量Mwは、30万以上40万以下であることが好ましく、33万以上38万以下であることがより好ましく、35万以上38万以下であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂Bの分子量分布Mw/Mnは、6.0以上8.5未満であることが好ましく、6.5以上8.4以下であることがより好ましく、7.0以上8.3以下であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂Bの分子量分布Mw/Mnが上記好ましい範囲内であると、キャスト原反シートおよび二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みにムラが発生し難くなり、適度な延伸性が得られるので好ましい。
ポリプロピレン樹脂Bの微分分布値差Dは、8.0%未満であることが好ましく、-20.0%以上8.0%未満であることがより好ましく、-10.0%以上7.9%以下であることがさらに好ましく、-5.0%以上7.5%以下であることが特に好ましい。
ポリプロピレン樹脂Bのヘプタン不溶分(HI)は、97.5%以上であることが好ましく、より好ましくは98%以上であり、さらに好ましくは98.5%超えであり、特に好ましくは98.6%以上である。また、ポリプロピレン樹脂Bのヘプタン不溶分(HI)は、99.5%以下であることが好ましく、より好ましくは99%以下である。
ポリプロピレン樹脂Bの230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.1~6.0g/10minであることが好ましく、0.1~5.0g/10minであることがより好ましく、0.1~3.9g/10minであることがさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂としてポリプロピレン樹脂Bを使用する場合、ポリプロピレン樹脂Bの含有率は、ポリプロピレン樹脂を100質量%とすると、10質量%以上45質量%以下であることが好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂として、ポリプロピレン樹脂Aとポリプロピレン樹脂Bとを併用する場合、ポリプロピレン樹脂全体を100質量%とすると、55~90重量%のポリプロピレン樹脂Aと、45~10重量%のポリプロピレン樹脂Bとを含むことが好ましく、60~85重量%のポリプロピレン樹脂Aと、40~15重量%のポリプロピレン樹脂Bと含むことがより好ましく、60~80重量%のポリプロピレン樹脂Aと、40~20重量%のポリプロピレン樹脂Bとを含むことが特に好ましい。
ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレン樹脂Aとポリプロピレン樹脂Bとを含む場合、二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂Aとポリプロピレン樹脂Bとの微細混合状態(相分離状態)となるため、高温での耐電圧性が向上する。
以上、ポリプロピレン樹脂を2種以上使用する場合における各ポリプロピレン樹脂について、説明した。
前記ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂以外の他の樹脂(以下「他の樹脂」ともいう)を含んでもよい。「他の樹脂」とは、一般的に、主成分の樹脂とされるポリプロピレン樹脂以外の樹脂であって、目的とするポリプロピレンフィルムを得ることができる限り特に制限されることはない。他の樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1-ペンテン)、ポリ(1-メチルペンテン)などのポリプロピレン以外の他のポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-ブテン共重合体等のα-オレフィン同士の共重合体、スチレン-ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体-ジエン単量体ランダム共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体などのビニル単量体-ジエン単量体-ビニル単量体ランダム共重合体等が挙げられる。前記ポリプロピレンフィルムは、目的とするポリプロピレンフィルムに悪影響を与えない量で含むことができる。前記ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、他の樹脂を好ましくは10質量部以下含んでよく、より好ましくは5質量部以下含んでよい。また、前記ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、他の樹脂を好ましくは0.1質量部以上含んでよく、より好ましくは1質量部以上含んでよい。
前記ポリプロピレンフィルムは、添加剤を含有してもよい。前記添加剤としては、例えば、造核剤(α晶造核剤、β晶造核剤)、酸化防止剤、塩素吸収剤や紫外線吸収剤等の必要な安定剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤、無機フィラー、有機フィラー等が含まれる。前記無機フィラーとしては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。前記添加剤を用いる場合、目的とするポリプロピレンフィルムに悪影響を与えない量で含むことができる。
<ポリプロピレンフィルムの製造方法>
前記ポリプロピレンフィルムの製造方法としては、前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]、前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]、及び、前記引張弾性率MDが前記数値範囲内であり、且つ、厚さが前記数値範囲内であるポリプロピレンフィルムが得られる限り、特に限定されないが、同時二軸延伸により好適に製造することができる。前記ポリプロピレンフィルムを同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムとする場合、ポリプロピレン樹脂組成物からキャストシートを作製し、次いでキャストシートを同時二軸延伸することにより製造することができる。
<ポリプロピレン樹脂組成物の調製>
前記ポリプロピレン樹脂組成物を調製する方法としては、特に制限はないが、前記ポリプロピレン樹脂の重合粉あるいはペレットを、必要に応じて他の樹脂、添加剤等と共に、ミキサー等を用いてドライブレンドする方法や、前記ポリプロピレン樹脂の重合粉あるいはペレットを、必要に応じて他の樹脂、添加剤等と共に、混練機に供給し、溶融混練してメルトブレンドする方法などが挙げられる。
ミキサー、混練機は、特に制限されない。混練機は、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、それ以上の多軸スクリュータイプの何れでもよい。2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のどちらの混練タイプでも構わない。
溶融混練によるブレンドの場合、混練温度は、良好な混練さえ得られれば特に制限はないが、好ましくは170~320℃の範囲であり、より好ましくは200℃~300℃の範囲であり、さらに好ましくは230℃~270℃の範囲内である。樹脂の混練混合の際の劣化を抑制するため、混練機に窒素などの不活性ガスをパージしても構わない。溶融混練された樹脂は、一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによって、メルトブレンドされたポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得ることができる。
<キャストシートの作製>
キャストシートは、まず、予め作製したポリプロピレン樹脂組成物(ドライブレンド樹脂組成物および/またはメルトブレンド樹脂組成物)のペレット類を押出機に供給して、加熱溶融させる。加熱溶融時の樹脂温度は、170℃以上が好ましく、175℃以上がより好ましく、180℃以上がさらに好ましい。また、前記樹脂温度は、300℃以下が好ましく、290℃以下がより好ましく、285℃以下がさらに好ましい。前記樹脂温度を前記数値範囲内でコントロールすることにより、後述するキャスト冷却温度を好適な範囲内に調整することができる。
次に、加熱溶融した樹脂組成物をTダイから溶融押し出し、金属ドラムに巻きつけて固化させることにより、キャストシートが得られる。この際、溶融押し出しされた樹脂組成物をエアーナイフで金属ドラムに押さえつけることが好ましい。
キャストシート製造時のキャスト冷却速度は、8℃/秒以上が好ましく、8.5℃/秒以上がより好ましく、9.0℃/秒以上がさらに好ましい。また、前記キャスト冷却速度は、16℃/秒以下が好ましく、15.6℃/秒以下がより好ましく、15.4℃/秒以下がさらに好ましい。前記キャスト冷却速度を前記数値範囲内とすることにより、前記フィブリルの数、及び、前記フィブリルの個数当たりの面積を容易に前記数値範囲内とすることができる。
本明細書において、キャスト冷却速度とは、Tダイから溶融押し出しされた樹脂組成物がキャストシートになるまでの間に冷却される速度をいう。具体的に、前記キャスト冷却速度は、下記方法により求められる値をいう。
<キャスト冷却速度>
加熱溶融した樹脂組成物をTダイから溶融押出し、金属ドラムに巻きつけて固化させているキャストシートの幅方向中央部の表面温度を測定する。キャストシートが金属ドラムに密着した時点を0秒として、0秒、0.5秒後、1.5秒後、2.5秒後、3.5秒後、4.5秒後、5.5秒後のその箇所(0秒として測定した箇所)の表面温度を測定し、各測定点間の[温度低下量/時間]の平均を「キャスト冷却速度」として算出する。
より具体例には、0秒の時点の温度から0.5秒後の温度を引いた値を温度低下量A、0.5秒後の温度から1.5秒後の温度を引いた値を温度低下量B、1.5秒後の温度から2.5秒後の温度を引いた値を温度低下量C、2.5秒後の温度から3.5秒後の温度を引いた値を温度低下量D、3.5秒後の温度から4.5秒後の温度を引いた値を温度低下量E、4.5秒後の温度から5.5秒後の温度を引いた値を温度低下量F、とすると、
[温度低下量A/0.5]、[温度低下量B/1]、[温度低下量C/1]、[温度低下量D/1]、[温度低下量E/1]及び[温度低下量F/1]の相加平均を「キャスト冷却速度」として算出する。
前記キャスト冷却温度は、加熱溶融時の樹脂温度、金属ドラムの表面温度、エアギャップ等を調整することによりコントロールすることができる。
前記金属ドラムの表面温度としては、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、92℃以上がさらに好ましい。また、前記表面温度は、140℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、105℃以下がさらに好ましい。前記表面温度を前記数値範囲内でコントロールすることにより、前記キャスト冷却温度を好適な範囲内に調整することができる。
また、キャストシート作製時のエアギャップは、3.0mm以上が好ましく、3.5mm以上がより好ましく、4.0mm以上がさらに好ましい。前記エアギャップは、10.0mm以下が好ましく、8.0mm以下がより好ましく、6.0mm以下がさらに好ましい。前記エアギャップを前記数値範囲内でコントロールすることにより、前記キャスト冷却温度を好適な範囲内に調整することができる。
本明細書において、エアギャップとは、Tダイの吐出口と、Tダイの吐出口から吐出された樹脂組成物が最初に触れる金属ドラム上の位置との間の距離をいう。
前記キャストシートの厚みは、目的とするポリプロピレンフィルムを得ることができる限り、特に制限されることはないが、好ましくは0.05mm~2mm、より好ましくは0.1mm~1mmである。
なお、キャストシートの作製工程中(特に、押出機内)においては、ポリプロピレンは、少なからず熱劣化(酸化劣化)やせん断劣化を受ける。このような劣化の進行度合い、即ち分子量分布や立体規則性の変化は、押出器内の窒素パージ(酸化の抑制)、押出機内のスクリュー形状(せん断力)、キャスト時のTダイの内部形状(せん断力)、酸化防止剤の添加量(酸化の抑制)、キャスト時の巻き取り速度(伸長力)などにより抑制することが可能である。
<延伸処理>
次に、キャストシートを同時二軸延伸する(工程A)。つまり、前記同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、前記キャストシートに、MD方向及びTD方向に対して同時に延伸処理を施すことによって製造することができる。
同時二軸延伸方法としては、例えば、レール上を移動する可動式のクリップでキャストシートの両端を把持し、テンターに導いて、MD方向とTD方向とに同時に延伸する。
同時延伸時の延伸温度は、160℃以上であることが好ましく、164℃以上であることがより好ましく、168℃以上であることがさらに好ましい。前記延伸温度は、180℃以下であることが好ましく、178℃以下であることがより好ましく、175℃以下であることがさらに好ましい。
同時延伸は、MD方向の延伸倍率(以下、「MD延伸倍率」ともいう)とTD方向の延伸倍率(以下、「TD延伸倍率」ともいう)との比[(TD延伸倍率)/(MD延伸倍率)]を、1.0~1.7の範囲内とし、且つ、TD延伸倍率とMD延伸倍率との積(以下、「面積延伸倍率」ともいう)を46倍以上とすることが好ましい。
前記比[(TD延伸倍率)/(MD延伸倍率)]は、1.0以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましい。前記比[(TD延伸倍率)/(MD延伸倍率)]は、1.7以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。
前記面積延伸倍率は、46倍以上が好ましく、47倍以上がより好ましく、48倍以上がさらに好ましい。前記面積延伸倍率は、72倍以下が好ましく、65倍以下がより好ましく、58倍以下がさらに好ましい。
前記比[(TD延伸倍率)/(MD延伸倍率)]、及び、前記面積延伸倍率を前記数値範囲内とすることにより、どのような温度においても等方性を有し、機械的特性に優れる薄いポリプロピレンフィルムを容易に得ることができる。つまり、前記差[(Δnyz)-(Δnxz)]、前記比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]、及び、前記引張弾性率MDが前記数値範囲内であり、且つ、厚さが薄い(前記数値範囲内である)ポリプロピレンフィルムを容易に得ることができる。
また、前記キャスト冷却温度を所定範囲内とし、且つ、前記比[(TD延伸倍率)/(MD延伸倍率)]、及び、前記面積延伸倍率を前記数値範囲内とすることにより、前記フィブリルの数、及び、前記フィブリルの個数当たりの面積を容易に前記数値範囲内とすることができる。
本発明者らによれば、逐次二軸延伸をすれば、前記フィブリルの数、及び、前記フィブリルの個数当たりの面積は、比較的容易に前記数値範囲内とすることができていた。しかしながら、同時二軸延伸とした場合、前記フィブリルの数、及び、前記フィブリルの個数当たりの面積を前記数値範囲内とすることが困難であった。
しかしながら、本発明者らの鋭意検討の結果、前記キャスト冷却温度を所定範囲内とし、且つ、前記比[(TD延伸倍率)/(MD延伸倍率)]、及び、前記面積延伸倍率を前記数値範囲内とすることにより、同時二軸延伸した場合にも、前記フィブリルの数、及び、前記フィブリルの個数当たりの面積を容易に前記数値範囲内とすることが可能となった。
前記MD延伸倍率は、5.0倍以上であることが好ましく、5.5倍以上であることがより好ましく、6.0倍以上であることがさらに好ましい。前記MD延伸倍率は、9.0倍以下であることが好ましく、8.0倍以下であることがより好ましく、7.0倍以下であることがさらに好ましい。
前記TD延伸倍率は、6.0倍以上であることが好ましく、7.0倍以上であることがより好ましく、8.0倍以上であることがさらに好ましい。前記TD延伸倍率は、10.0倍以下であることが好ましく、9.0倍以下であることがより好ましく、8.0倍以下であることがさらに好ましい。
前記MD延伸倍率、及び、前記TD延伸倍率を前記数値範囲内とすることにより、前記比[(TD延伸倍率)/(MD延伸倍率)]、及び、前記面積延伸倍率を前記数値範囲内とすることが容易となる。
同時延伸の後、必要に応じて、緩和、熱固定を施して、ロール状に巻回する。
前記ポリプロピレンフィルムは、少なくとも一方の面が、多数の比較的面積の小さいフィブリルによって粗面化されている。従って、二軸延伸された後のポリプロピレンフィルムをロール状に巻回する際に、搬送用ロールに対する滑り性が良好となる。その結果、好適な搬送性が得られ、シワや巻きずれが抑制される。
ロール状に巻回されたフィルムは、20~45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施した後、巻き戻されながら(繰り出されながら)、スリッター等で所望の製品幅にスリット加工(断裁)され、各々、再び巻回される。
前記ポリプロピレンフィルムには、延伸及び熱固定工程終了後に、オンラインもしくはオフラインにてコロナ放電処理を行ってもよい。コロナ放電処理を行うことにより、金属蒸着加工工程などの後工程における接着特性を高めることができる。コロナ放電処理は、公知の方法を用いて行うことができる。雰囲気ガスとして空気、炭酸ガス、窒素ガス、及びこれらの混合ガスを用いて行うことが好ましい。
コンデンサとして加工するために、前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属層を積層し、金属層一体型ポリプロピレンフィルムとしてもよい。前記金属層は、電極として機能する。前記金属層に用いられる金属としては、例えば、亜鉛、鉛、銀、クロム、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属単体、それらの複数種の混合物、それらの合金などを使用することができるが、環境、経済性及びコンデンサ性能などを考慮すると、亜鉛、アルミニウムが好ましい。
前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属層を積層する方法としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法を例示することができる。生産性及び経済性などの観点から、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法として、一般的にるつぼ法式やワイヤー方式などを例示することができるが、特に限定されることはなく、適宜最適なものを選択することができる。前記真空蒸着法やスパッタリング法で金属層を積層する場合、ポリプロピレンフィルムは、130~140℃程度の熱を受けることになる。
しかしながら、前記ポリプロピレンフィルムは、温度依存性がなく、どのような温度においても機械的特性が等方性を有するため、ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する蒸着工程やスパッタリング工程において、ポリプロピレンフィルムにシワが発生することを抑制することができ、金属層の厚みをより均一とすることが可能となる。
蒸着やスパッタリングにより金属層を積層する際のマージンパターンも特に限定されるものではないが、コンデンサの保安性等の特性を向上させる点から、フィッシュネットパターンないしはTマージンパターンといった、いわゆる特殊マージンを含むパターンをフィルムの片方の面上に施すことが好ましい。保安性が高まり、コンデンサの破壊、ショートの防止、などの点からも効果的である。
マージンを形成する方法はテープ法、オイル法など、一般に公知の方法が、何ら制限無く使用することができる。
前記ポリプロピレンフィルムに金属層を形成する際には、ロール状に巻回されたポリプロピレンフィルムが、巻き戻され(繰り出され)、蒸着膜等の金属層が一方又は両方の面に形成され、再び、巻回される。
前記金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、従来公知の方法で複数積層するか、素子巻き加工(巻回)してフィルムコンデンサとすることができる。
具体的に、金属層一体型ポリプロピレンフィルムの各マージン部の中央に刃を入れてスリット加工し、表面の一方の面にマージンを有する巻取リールを作製する。
次に、左マージンの巻取リールと右マージンの巻取リールを用い、幅方向に蒸着部分がマージン部よりもはみ出すように2枚重ね合わせて巻回する(素子巻き加工)。次に、巻回体から芯材を抜いてプレスする。次に、両端面に外部電極を形成し、さらに、外部電極にリード線を設ける。以上により、巻回型のフィルムコンデンサが得られる。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔ポリプロピレン樹脂〕
実施例及び比較例のポリプロピレンフィルムを製造するために使用したポリプロピレン樹脂を、表1に示す。
表1に示す樹脂A1は、プライムポリマー株式会社製の製品である。樹脂B1は、大韓油化社製のHPT-1である。樹脂C1は、ボレアリス社製のHC300BFである。
表1に、各樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び、分子量分布(Mw/Mn)、を示した。これらの値は、原料樹脂ペレットの形態での値である。測定方法は以下の通りである。
<ポリプロピレン樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び、分子量分布(Mw/Mn)の測定>
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、以下の条件で、各樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
具体的に、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵高温GPC装置であるHLC-8121GPC-HT型を使用した。カラムとして、東ソー株式会社製のTSKgel GMHHR-H(20)HTを3本連結して使用した。140℃のカラム温度で、溶離液として、トリクロロベンゼンを、1.0ml/minの流速で流して測定した。東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用いてその分子量Mに関する検量線を作成し、測定値をQ-ファクターを用いてポリプロピレンの分子量へ換算して、数平均分子量(Mn)、及び、重量平均分子量(Mw)を得た。このMwとMnの値を用いて分子量分布(Mw/Mn)を得た。
<対数分子量log(M)=4.5のときの微分分布値、対数分子量log(M)=6.0のときの微分分布値、及び、微分分布値差Dの測定>
各樹脂について、対数分子量log(M)=4.5のときの微分分布値、対数分子量log(M)=6.0のときの微分分布値を、次のような方法で得た。まず、RI検出計を用いて検出される強度分布の時間曲線(溶出曲線)を、上記標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて標準ポリスチレンの分子量M(Log(M))に対する分布曲線に変換した。次に、分布曲線の全面積を100%とした場合のLog(M)に対する積分分布曲線を得た後、この積分分布曲線をLog(M)で、微分することによってLog(M)に対する微分分布曲線を得た。この微分分布曲線から、Log(M)=4.5およびLog(M)=6.0のときの微分分布値を読んだ。また、Log(M)=4.5のときの微分分布値とLog(M)=6.0のときの微分分布値との差を微分分布値差Dとした。なお、微分分布曲線を得るまでの一連の操作は、使用したGPC測定装置に内蔵されている解析ソフトウェアを用いて行った。結果を表1に示す。
<ヘプタン不溶分(HI)の測定>
各樹脂について、10mm×35mm×0.3mmにプレス成形して約3gの測定用サンプルを作製した。次に、ヘプタン約150mLを加えてソックスレー抽出を8時間行った。抽出前後の試料質量よりヘプタン不溶分を算出した。結果を表1に示す。
<メルトフローレート(MFR)の測定>
各樹脂について原料樹脂ペレットの形態でのメルトフローレート(MFR)を、東洋精機株式会社のメルトインデックサを用いてJIS K 7210の条件Mに準じて測定した。具体的には、まず、試験温度230℃にしたシリンダ内に、4gに秤りとった試料を挿入し、2.16kgの荷重下で3.5分予熱した。その後、30秒間で底穴より押出された試料の重量を測定し、MFR(g/10min)を求めた。上記の測定を3回繰り返し、その平均値をMFRの測定値とした。結果を表1に示す。
<メソペンタッド分率>
各樹脂を溶媒に溶解し、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)を用いて、以下の条件で測定した。
高温型核磁気共鳴(NMR)装置:日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)、JNM-ECP500
観測核:13C(125MHz)
測定温度:135℃
溶媒:オルト-ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1))
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:9.1μsec(45°パルス)
パルス間隔:5.5sec
積算回数:4,500回
シフト基準:CH3(mmmm)=21.7ppm
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrm等)に由来する各シグナルの強度積分値より、百分率(%)で算出した。mmmmやmrrm等に由来する各シグナルの帰属に関し、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等のスペクトルの記載を参考とした。
Figure 0007192973000001
上述の樹脂を用いて、実施例、及び、比較例のポリプロピレンフィルムを作製し、その物性を評価した。
<ポリプロピレンフィルムの作製>
(実施例1)
樹脂A1と樹脂B1とを、樹脂A1:樹脂B1=65:35の質量比で押出機へ供給し、樹脂温度230℃で溶融した後、Tダイを用いて押出し、エアギャップを4mmに調整し、表面温度を95℃に保持した金属ドラムに巻きつけて固化させてキャストシートを作製した。
得られた未延伸のキャストシートを、レール上を移動する可動式のクリップで両端を把持し、テンターに導いて、170℃の温度でMD方向(流れ方向)に6倍に延伸すると同時に、TD方向(幅方向)に8倍延伸した後、流れ方向および幅方向に緩和させ、熱固定を施して巻き取り、厚み2.8μmの実施例1に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例2)
キャストシートの作製において、樹脂温度を180℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例3)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、流れ方向の延伸倍率を7倍にしたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例4)
キャストシートの作製において、樹脂A1と樹脂B1との混合物を用いる代わりに、樹脂C1を単独で用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例5)
キャストシートの作製において、樹脂温度を280℃にしたこと、及び、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、流れ方向の延伸倍率を7倍にしたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例6)
キャストシートの作製において、エアギャップを6mmにしたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例6に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例7)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、流れ方向の延伸倍率を6.5倍にしたこと、及び、厚みを2.5μmにしたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例7に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例8)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、流れ方向の延伸倍率を6.5倍にしたこと、及び、厚みを2.0μmにしたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例8に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例1)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、流れ方向の延伸倍率を4.5倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例2)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、流れ方向の延伸倍率を4.5倍にしたこと、及び、幅方向の延伸倍率を10倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例3)
樹脂A1と樹脂B1とを、樹脂A1:樹脂B1=65:35の質量比で押出機へ供給し、樹脂温度250℃で溶融した後、Tダイを用いて押出し、エアギャップを5mmに調整し、表面温度を95℃に保持した金属ドラムに巻きつけて固化させてキャストシートを作製した。
得られた未延伸のキャストシートを140℃の温度に保ち、速度差を設けたロール間に通して流れ方向に4.5倍に延伸し、直ちに室温に冷却した。引き続き、延伸フィルムをテンターに導いて、158℃の温度で幅方向に10倍に延伸した後、緩和、熱固定を施して巻き取り、30℃程度の雰囲気中でエージング処理を施して厚み2.8μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例4)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、厚みを2.5μmにしたこと以外は、比較例3と同様にして、比較例4に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例5)
キャストシートの作製において、樹脂温度を240℃にしたこと、及び、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、厚みを2.3μmにしたこと以外は、比較例3と同様にして、比較例5に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例6)
キャストシートの作製において、樹脂C1を用いたこと以外は、比較例4と同様にして、比較例6に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
上述した実施例、比較例のポリプロピレンフィルムの製造条件につき、表2にまとめた。なお、表2中、面積延伸倍率とは、MD延伸倍率とTD延伸倍率との積をいう。
ここで、キャスト冷却速度、キャストシートの厚さ、及び、ポリプロピレンフィルムの厚さは、下記方法により得られた値である。
<キャスト冷却速度の算出>
Tダイを用いて押出し、金属ドラムに巻きつけて固化させているキャストシートの幅方向中央部の表面温度を測定した。キャストシートが金属ドラムに密着した時点を0秒として、0.5秒後、1.5秒後、2.5秒後、3.5秒後、4.5秒後、5.5秒後の表面温度を測定し、各測定点間の「温度低下量÷時間」の平均を「冷却速度」として算出した。
<キャストシート、及び、ポリプロピレンフィルムの厚さ測定>
実施例、比較例のキャストシート、及び、ポリプロピレンフィルムの厚さを測定した。具体的に、シチズンセイミツ社製の紙厚測定器MEI-11を用いて100±10kPaで測定すること以外、JIS-C2330に準拠して測定した。
Figure 0007192973000002
<複屈折値Δnxz、複屈折値Δnyzの測定、及び、差[(Δnyz)-(Δnxz)]の算出>
まず、二軸延伸ポリプロピレンフィルムのレタデーション(位相差)値を、下記の通り、傾斜法により測定した。
測定機:大塚電子社製レタデーション測定装置 RE-100
光源:波長550nmのLED光源
測定方法:ポリプロピレンフィルムのMD方向をx軸、TD方向をy軸、厚さ方向をz軸とし、x軸を傾斜軸として、0°~50°の範囲でz軸に対して10°ずつ傾斜させたときの各レタデーション値を求めた。
次に、得られたレタデーション値から、非特許文献「粟屋裕、高分子素材の偏光顕微鏡入門,105~120頁、2001年」に記載の方法を用いて、厚さ方向(z軸方向)に対するy軸方向の複屈折値ΔNyzを計算した。
まず、各傾斜角φに対し、測定されたレタデーション値Rを、傾斜補正が施された厚さdで割ったR/dを求めた。φ=10°、20°、30°、40°、50°のそれぞれのR/dについて、φ=0°のR/dとの差を求め、それらをさらにsin2r(r:屈折角)で割ったものを、それぞれのφにおける複屈折ΔNzyとし、正負の符号を逆にして複屈折ΔNyzとした。φ=20°、30°、40°、50°における複屈折ΔNyzの平均値を算出し、これを複屈折値ΔNyzとした。
次に、傾斜角φ=0°で測定されたレタデーション値Rを、厚さdで割った値より、前述で求めたΔNzyを除算し、複屈折値ΔNxzを算出した。
なお、各傾斜角における屈折角rの値は、前記文献の109頁に記載されているものを用いた。
結果を表3に示す。
<MD方向の25℃での引張弾性率MD、TD方向の25℃での引張弾性率TD、MD方向の25℃での破断強度MD、TD方向の25℃での破断強度TD、MD方向の25℃での破断伸度MD、TD方向の25℃での破断伸度TDの測定>
実施例、比較例のポリプロピレンフィルムのMD方向の25℃での引張弾性率MD、TD方向の25℃での引張弾性率TD、MD方向の25℃での破断強度MD、TD方向の25℃での破断強度TD、MD方向の25℃での破断伸度MD、TD方向の25℃での破断伸度TDにつき、以下のようにして測定した。
破断点伸度は、JIS K-7127(1999)に準拠して測定した。具体的には、引張圧縮試験機(ミネベア株式会社製)を用いて、試験条件(測定温度23℃、試験片長140mm、試験長100mm、試験片幅15mm、引張速度100mm/分)で引張試験を行った。次いで、同試験機に内蔵されたデータ処理ソフトによる自動解析より、破断点伸度(%)、及び引張弾性率(GPa)を求めた。
また、比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]、比[(破断強度TD)/(破断強度MD)]、比[(破断伸度TD)/(破断伸度MD)]を算出した。結果を表3に示す。
<灰分の測定>
実施例、比較例のポリプロピレンフィルムについて、下記のように測定した。
試料約200gを秤量し、白金皿へ移して800℃で40分間で灰化した。得られた灰分残渣から灰分の割合(ppm)を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007192973000003
<フィブリル数、フィブリル面積、及び、フィブリルの個数当たりの面積の測定>
光干渉式非接触表面形状測定装置として、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式:R5500GML)」を使用した。
まず、WAVEモードを用い、530whiteフィルタ及び1×BODYの鏡筒を適用し、×10対物レンズを用いて、一視野あたり470.92μm×353.16μm(640ピクセル×480ピクセル)の計測を行った。この操作を対象試料(ポリプロピレンフィルム)の流れ方向・幅方向ともに中央となる箇所から流れ方向に1cm間隔で10箇所について行った。
次に、得られたデータに対して、メディアンフィルタ(3×3)によるノイズ除去処理を行ない、その後、カットオフ値30μmによるガウシアンフィルタ処理を行い、うねり成分を除去した。
上述のようにして得られた10箇所の各表面形状データについて、山側高さが0.05μm以上の領域を白塗りし、山側高さが0.05μmより小さい領域を黒塗りして、二値化画像(262×194ピクセル)を得た。
次に、画像解析ソフトImage Pro Plus5.1J(日本ローバー製)を使用して、上記で得た二値化画像の輝度レンジが128以上255以下のオブジェクトの個数とその面積を測定した。なお、オブジェクトの抽出の際、画像の下側の境界上にあるものと左側の境界上にあるものは除外した。抽出したオブジェクトについて、面積が50ピクセル以上のオブジェクトの個数をフィブリル数とし、面積が50ピクセル以上のオブジェクトの面積の和をフィブリル面積とした。50ピクセルより面積が小さいオブジェクトはノイズとして除去した。また、面積が50ピクセル以上のオブジェクトについて面積の和を算出したのち、算出した和をフィブリル数で除算したものをフィブリルの個数当たりの面積(ピクセル/個)とした。最後に、フィブリルの個数当たりの面積に関して、単位をμm/個に換算した。結果を表4に示す。
なお、フィブリルの個数当たりの面積に関する単位の換算方法では、二値化画像が一視野あたり470.92μm×353.16μm(262×194ピクセル)であることから、262×194ピクセル=470.92×353.16μmを計算することで得られる1ピクセル=3.272μmという式を用いている。
<フィルムロール巻きズレ評価>
実施例1~8、比較例1~6で得られたポリプロピレンフィルムに、Tマージン蒸着パターンを蒸着抵抗15Ω/□にてアルミニウム蒸着を施すことにより、ポリプロピレンフィルムの片面に金属膜を含む金属層一体型ポリプロピレンフィルムを得た。
得られた金属層一体型ポリプロピレンフィルムについて、以下の方法により、フィルムロールの巻きズレを評価した。すなわち、フィルムロールを側面から観察したときに、フィルムロール幅が最大になる箇所と最小になる箇所の長さを測定し、最大値と最小値の差から、以下のように巻ズレをA~Cの3段階で評価した。なお、巻き芯の直径は17.6cmであり、前記巻き芯に巻回されている二軸延伸ポリプロピレンフィルムの長さは、30000mである。
A:フィルムロール幅の最大値と最小値の差が0.5mm未満
B:フィルムロール幅の最大値と最小値の差が0.5mm以上1mm未満
C:フィルムロール幅の最大値と最小値の差が1mm以上
<蒸着膜ムラ評価>
実施例1~8、比較例1~6で得られたポリプロピレンフィルムに、Tマージン蒸着パターンを蒸着抵抗15Ω/□にてアルミニウム蒸着を施すことにより、ポリプロピレンフィルムの片面に金属膜を含む金属層一体型ポリプロピレンフィルムを得た。
得られた金属層一体型ポリプロピレンフィルムから、ロール1周分の全幅フィルムをロールの長さ方向中央から1枚剥がし取った後、剥がし取った全幅フィルムのロール幅方向中央部から100mm角のフィルム片を切り出した。切り出したフィルム片を、10mm角の100箇所の領域に分割し、100箇所の各領域の中央部について、印字濃度測定機(X-Rite社製938型)を用いて、それぞれ色彩値(L*値、a*値、b*値)を測定した。なお、測定径は8mmのものを使用した。L*値、a*値、b*値のそれぞれについて、100箇所の最大値、最小値、および100箇所の平均値から、以下の式を用いてばらつきを求めた。
L*値のばらつき(%)=[(L*最大値-L*最小値)/100箇所のL*平均値]×100
a*値のばらつき(%)=[(a*最大値-a*最小値)/100箇所のa*平均値]×100
b*値のばらつき(%)=[(b*最大値-b*最小値)/100箇所のb*平均値]×100
L*値、a*値、b*値のばらつきのうち、最もばらつきが大きいものについて、以下のようにA~Cの3段階で評価した。結果を表4に示す。
A:L*値、a*値、b*値のばらつきのうち最も大きいものが10%未満
B:L*値、a*値、b*値のばらつきのうち最も大きいものが10%以上20%未満
C:L*値、a*値、b*値のばらつきのうち最も大きいものが20%以上
Figure 0007192973000004
<コンデンサの作製、及び、静電容量>
実施例1~6、比較例1~3で得られたポリプロピレンフィルムを用いて、以下の通りコンデンサを作製した。ポリプロピレンフィルムに、Tマージン蒸着パターンを蒸着抵抗15Ω/□にてアルミニウム蒸着を施すことにより、ポリプロピレンフィルムの片面に金属膜を含む金属層一体型ポリプロピレンフィルムを得た。60mm幅にスリットした後に、2枚の金属層一体型ポリプロピレンフィルムを相合わせて、株式会社皆藤製作所製、自動巻取機3KAW-N2型を用い、巻き取り張力250gにて、1158ターン巻回を行った。素子巻きした素子は、プレスしながら120℃にて15時間熱処理を施した後、素子端面に亜鉛金属を溶射し、扁平型コンデンサを得た。扁平型コンデンサの端面にリード線をはんだ付けし、その後エポキシ樹脂で封止した。以上により、実施例1~6、比較例1~3に係るコンデンサを得た。
巻き取り張力250gにて、1137ターン巻回を行ったこと以外は、実施例1のコンデンサと同様にして実施例7、比較例4、比較例6に係るコンデンサを得た。
巻き取り張力250gにて、1137ターン巻回を行ったこと以外は、実施例4のコンデンサと同様にして実施例8に係るコンデンサを得た。
巻き取り張力250gにて、1076ターン巻回を行ったこと以外は、実施例1のコンデンサと同様にして比較例5に係るコンデンサを得た。
なお、巻回のターン数を変更したのは、ポリプロピレンフィルムの厚みが異なるため、静電容量を同条件で評価するためである。
出来上がったコンデンサの静電容量は、いずれも75μF(±5μF)であった。

Claims (5)

  1. 複屈折値Δnxzと複屈折値Δnyzとの差[(Δnyz)-(Δnxz)]が、0.009以下であり、
    MD方向の25℃での引張弾性率MDとTD方向の25℃での引張弾性率TDとの比[(引張弾性率TD)/(引張弾性率MD)]が、1.20以下であり、
    前記引張弾性率MDが、3.1GPa以上であり、
    厚さが0.8μm以上5μm以下であり、
    同時二軸延伸されていることを特徴とするポリプロピレンフィルム(ただし、β晶核剤を有するポリプロピレンフィルムを除く)。
    (ただし、前記複屈折値Δnxzは、ポリプロピレンフィルムのMD方向をx軸、TD方向をy軸、厚さ方向をz軸としたとき、x軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値であり、前記複屈折値Δnyzは、y軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値である。)
  2. 光干渉式非接触表面形状測定装置を用い、一視野あたり470.92μm×353.16μm(640ピクセル×480ピクセル)の計測を行った際のフィブリルの数が、20以上50以下であり、前記フィブリルの個数当たりの面積が、200μm/個以上1000μm/個以下である面を有することを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレンフィルム。
  3. コンデンサ用であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレンフィルム。
  4. 請求項1~のいずれか1に記載のポリプロピレンフィルムと、
    前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層と
    を有する金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
  5. 巻回された請求項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルムを有するか、又は、請求項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルムが複数積層された構成を有することを特徴とするフィルムコンデンサ。
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