JP5061842B2 - 二軸延伸ポリプロピレンフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、高い耐電圧特性と素子巻き適性のバランスに優れた、非常に薄いフィルム厚である二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関する。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、耐電圧特性や、誘電損失などの電気特性が他のプラスチックフィルムよりも優れていることから、電気用途に広く用いられている。中でもコンデンサー用の誘電体フィルムとして広く利用され、その需要の伸びも非常に大きい。最近では、各種電気設備がインバーター化されつつあり、それに伴い、コンデンサーの小型化・大容量化の要求が一層強まってきている。そのような市場の要求を受け、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの耐電圧特性や素子巻き加工適性を向上させつつ、一層の薄膜化が必須な状況になってきている。
コンデンサー用フィルムの需要が増えている中、市場では、より高耐電圧のコンデンサーの要求が非常に強い。特許文献1では樹脂中の灰分を低減させることで、耐電圧特性が向上することが開示されている。また、特許文献2に開示されるように、ポリプロピレン樹脂の高立体規則性化・高結晶性化によっても耐電圧特性の向上が実現できる。
しかしながら、特許文献2に開示されたような高立体規則性化は、結果的に延伸性の低下を招き、延伸過程におけるフィルムの破断が発生しやすくなり、薄い延伸フィルムの製造上、極めて好ましくない。
一方、この種のコンデンサー用フィルムにおいては、コンデンサーを作製する際の素子巻きを容易にする目的や、加工する際の滑り性向上、また、油含浸型コンデンサーの場合には、それを作製する際の油含浸性向上のため、表面性を適度に微細粗面化する必要がある。特許文献3には、表面の微細粗化の方法が示されている。
表面の微細化方法の一つとして、β晶を生成させたシートを延伸する方法がある。非特許文献1によると、ポリプロピレン樹脂は通常、α晶、β晶などの結晶多形を有している。β晶は、α晶に比して、密度が低く、融点も低いなど、物性上、異なる特徴を有している。溶融したポリプロピレン樹脂を、特定の温度範囲で結晶化させるとβ晶が生じ、これをβ晶の融点近傍で延伸することにより、β晶の球晶がα晶球晶に転移し、その結晶形間の密度差により、フィルム表面にミクロな凹凸加工ができる。この方法による表面粗化方法は、樹脂に添加剤などの不純物を混入させる必要がないため、電気的特性を落とすことがなく、非常にミクロな凹凸を付与させることができるという特徴を持つ。
β晶を用いた表面粗化方法では、シート作製の際、β晶をいかに制御しながら生成させるかが技術上重要な要点となる。β晶生成技術に関しては、たとえば、特許文献4〜6には、特定の触媒によって重合した一定の範囲のメルトフローレート、分子量および分子量分布を有するポリプロピレン樹脂をシート化すると、高いβ晶比率を持ったシートが得られることが開示されている。
また、特許文献7においては、粗面化した延伸ポリプロピレンフィルムを得るための方法として、特定の値の立体規則性度のポリプロピレン原料樹脂を用い、キャスト原反シートのβ晶量を、特定の値以上に制御することによって、中心線平均粗さ(Ra)が一定範囲となる粗面化フィルムの製造技術が開示されている。
しかしながら、特許文献8、9に記載されているように、加工適性を向上させる上では粗面化は必須であるが、一般的に、表面粗化は耐電圧特性の低下を招くというマイナス面も併せ持つ。
一方、同じ電気容量を保持しながらも、大きさがより小さいコンデンサーが求められており、そのためにより薄い極薄フィルムのニーズが高くなっている。極薄フィルムを得るためには樹脂の延伸性向上が必須となるが、そのためには、原料樹脂の分子量分布を広くすることが有効であることは、公知の事実である。
しかしながら、分子量分布を広げることは樹脂の結晶性の低下を招き、結果的にコンデンサーの耐電圧特性を下げることにつながる。
そこで、以上の課題に対して、特許文献8、9においては、素子巻き適正および耐電圧特性を有するフィルムを得る方法が開示されている。特許文献8,9における方法では、中心線平均粗さ(Ra)の値を、特定の範囲内に制御することで素子巻き適正および耐電圧特性を達成する。しかしながら、これらの技術を用いても、素子巻き適正、耐電圧特性において、市場で求められている性能を満たすには至っておらず、ましてやフィルム薄膜化の向上も図れていない。
以上のように、市場が要求する(1)高耐電圧特性(面平滑化、高結晶性化)と、(2)コンデンサーへの加工適性(粗面化)、および(3)フィルム極薄化(広い分子量分布)は相反する特性であり、すべてを充たし得るコンデンサー用フィルムは、これまで得られていない状況にあった。
特許第3654540号公報 特許第3791038号 特開昭51−63500号公報 特開2004−2655号公報 特開2004−175932号公報 特開2005−89683号公報 特許第3508515号公報 特開平9−270364号公報 特開2002−105224号公報 粟屋裕著、高分子素材の偏光顕微鏡入門、アグネ技術センター、131頁、2001年
本発明の目的は、高耐電圧特性と素子巻き適性のバランスに優れた、非常に薄いフィルム厚である二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することである。
本発明は、以下の発明を包含する。
[1]ゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定した重量平均分子量が、10万以上50万以下のポリプロピレン樹脂を主成分とする、二軸延伸されたポリプロピレンフィルムであって、該二軸延伸ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面の表面について、560μm×745μmの範囲内で表面粗さの測定を超深度表面形状測定顕微鏡を用いて行った際、該表面上の複数地点から超深度表面形状測定顕微鏡の照射源までの距離から決定された平均面からの突起部の体積が、2.0×10μm以上、3.0×10μm以下であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
[2]前記ポリプロピレン樹脂の逐次抽出法で測定された抽出残分に基づくアイソタクチック成分の分率が95質量%以上99質量%以下である、[1]に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
[3]前記ポリプロピレン樹脂の分子量分布Mw/Mnが5以上15以下である、[1]又は[2]に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
[4]厚さが1〜7μmである、[1]〜[3]いずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
[5]コンデンサー用フィルムである[1]〜[4]いずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
本発明の二軸延伸されたポリプロピレンフィルムは、高い耐電圧特性を有していると同時に、素子巻き適正等の加工性に優れている。更に、樹脂の立体規則性と分子量分布を適切な範囲とすることにより、コンデンサーに適した薄いフィルムとすることができる。
本発明に用いるポリプロピレン樹脂は、結晶性のアイソタクチックポリプロピレンであり、プロピレンの単独重合体、または、プロピレンとエチレンないしは炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなど一般的に良く知られたα−オレフィン類が使用可能である。エチレンおよびこれらのα−オレフィンは、プロピレンとランダム共重合をなしてもよく、ブロック共重合していても良い。共重合しているエチレンおよびα−オレフィンの含有比率は、ポリプロピレン樹脂中に2モル%以下であるのがよく、好ましくは1モル%以下である。
本発明に用いるポリプロピレン樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法で測定した重量平均分子量が10万以上50万以下である。好ましくは、20万以上40万以下である。さらに好ましくは、25万以上40万以下であり、最も好ましくは、30万以上38万以下である。また、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比から計算される分子量分布は5以上が好ましく、7以上がより好ましい。一方、分子量分布(Mw)/(Mn)は、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、8以下であることが更に好ましい。
重量平均分子量が50万を超えると、樹脂の流動性が著しく低下し、キャスト原反シートの厚さの制御が困難となり、本発明の目的である非常に薄い延伸フィルムを幅方向に精度良く製造することが出来なくなるため、実用上好ましくない。また、重量平均分子量が10万に満たない場合、押し出し成形性には富むが、出来たシートの力学特性の低下とともに延伸性が著しく低下し、二軸延伸成形が出来なくなるという製造上の難点を生じるため、好ましくない。
本発明に係る分子量測定値を得るためのゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)装置には、特に制限はなく、ポリオレフィン類の分子量分析が可能な一般に市販されている高温型GPC装置が、例外なく利用可能であるが、本発明の検討では、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機、HLC−8121GPC/HTを用いた。GPCカラムには、東ソー株式会社製、TSKgel GMHhr−H(20)HTを3本連結させて用い、カラム温度は145℃、溶離液にはトリクロロベンゼンを用い、流速は1.0ml/minにて測定した。検量線の作製には、東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用い、測定結果はポリプロピレン値に換算した。
また、本発明に用いるポリプロピレン樹脂は、前述の分子量の範囲を有すると同時に、逐次抽出法で抽出された抽出残分が95質量%以上であることが好ましい。
逐次抽出法は、ポリプロピレン樹脂の立体規則性による分別方法の一種であるが、一般的に行われている立体機規則性分別の最も簡便な方法であるn−ヘプタンによる抽出(この抽出残分をヘプタンインデックス(HI)ないしはアイソタクチックインデックス(II)と一般的に呼ばれている)より詳細かつ正確であるという特徴を持つ。この方法は、沸点の異なる複数の溶媒を用いて順次抽出し、その抽出質量よりポリプロピレン樹脂の立体規則性分布を調査する。本発明では、日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、613頁記載の方法によって行った。
即ち、まず、ポリプロピレン樹脂を(1)キシレンに還流下充分溶解させ、その後、室温下4時間放置する。キシレンに不溶な部分をろ別し、不溶分は次の抽出に供する。可溶分は、キシレンを乾固させ、秤量する。この質量がいわゆる非晶性のアタクチック成分の質量に相当する。
キシレン不溶分は、ソックスレー脂肪抽出器を用い、(2)n−ペンタン、(3)n−ヘキサン、(4)n−ヘプタンの順に順次ソックスレー抽出を各々6時間実施する。沸点の低い溶媒では、結晶性の低い(立体規則性が低い)成分が抽出されていき、n−ヘプタンにも不溶な成分は、立体規則性の度合いが極めて高い「アイソタクチック」成分と定義でき、最終的な抽出残分を質量比で表現することによってその割合を知ることが出来る。
一方、(2)〜(4)の溶媒で可溶な成分は、ステレオブロックと呼ばれる中間的な規則性をもったポリマーから主として構成されているとされている。
このように、逐次抽出法によって評価される立体規則性分布の割合は、いわゆるヘプタン不溶分(HI値)やアイソタクチック不溶分(II値)で評価されるような単一の溶媒による抽出量評価結果とまったく異なる意味を持つ。
本発明においては、逐次抽出法で評価される最終抽出残分率、すなわち逐次抽出法で得られるアイソタクチック成分の割合を立体規則性の一つの指標とし、この値が95質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、97質量%以上99質量%以下である。アイソタクチック分率が95質量%以上の高い立体規則性成分を持つことで、樹脂の結晶性が向上し、高い耐電圧特性が期待される。しかし、あまり高すぎると、延伸加工性が低下し、延伸過程で破断が多発し易くなる。さらには、キャスト原反シート成形の際の固化(結晶化)の速さが速くなりすぎ、シート成形用の金属ドラムからの剥離が発生しやすくなるなどの製造上の難点を有するため、99質量%以下にすることがより好ましい。
本発明は、前出の分子量・分子量分布範囲と、特定のアイソタクチック分率の範囲とを同時に満たす原料を用いることにより、よりコンデンサーに適した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる。即ち、立体規則性度(結晶性)の値をより高くすることによって高い耐電圧特性を発現できるが、その場合、ポリプロピレン樹脂ないしはそれから得られるキャスト原反シートの延伸性は低下してしまい、非常に薄い二軸延伸フィルムを製造することが難しい。しかしながら、広い分子量分布を同時に併せ持つことにより、延伸性が兼ね備わる。
逆に、分子量分布を広くすることによって高い延伸性を発現できるが、その場合、ポリプロピレン樹脂から得られる二軸延伸フィルムは、耐電圧特性が低くなってしまう。しかしながら、最適な立体規則性と分子量分布を選択することにより、耐電圧特性と延伸性のバランスが最も良い、非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することが可能となる。
このような特定の範囲の分子量・分子量分布、立体規則性を合わせ持つポリプロピレン樹脂の重合方法としては、一般的に公知の重合方法を用いることが出来る。一般的に公知の重合方法としては、例えば、気相重合法、塊状重合法、スラリー重合法が例として挙げられる。また、少なくとも2つ以上の重合反応器を用いた多段重合反応であっても良く、また、反応器中に水素あるいはコモノマーを分子量調整剤として添加しても良い。
使用される触媒は、特に限定されるものではなく、一般的に公知のチーグラー・ナッタ触媒が広く適用される。また、助触媒成分やドナーを含んでも構わない。触媒や重合条件を調整することによって、分子量や分子量分布、立体規則性度をコントロールすることが可能となる。
このような重合方法によって得られた上記物性を有するポリプロピレン樹脂を170〜320℃、好ましくは、200〜300℃で加熱溶融してTダイから押し出し、60〜140℃、好ましくは70〜130℃に保持された金属ドラムで、冷却、固化させる。こうして得られるキャスト原反シートの、X線回折強度比法(A. Turner-Jones et al., Makromol. Chem., 75巻, 134頁 ,1964年)によるβ晶分率は、金属ドラム温度、押出温度、押出速度、及びキャスト速度を調整することにより、例えば、1%から60%程度まで制御される。なお、この値は、β晶核剤を含まない時の値である。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂において、β晶分率は2〜50%であると好ましく、5〜25%であると更に好ましい。β晶分率が2%以上であると二軸延伸プロピレンフィルム表面に適度な凹凸を得られ、50%以下であると、二軸延伸プロピレンフィルム表面に凹凸が多くなりすぎないので、本発明のプロピレンフィルムの適正な表面粗さを得ることができる。
β晶を有する、このキャスト原反シートを二軸延伸することにより、微細な凹凸を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる。
前述のように、β晶分率をコントロールすることで表面粗さをある程度制御できるが、延伸過程の温度でも表面粗さは変化するため、単純にβ晶分率だけで表面粗さは決定できない。そこで、実際のフィルム表面を評価する事によって、キャスティング条件(β晶分率)、延伸条件にフィードバックし、適切な表面粗さが得られる製造条件にする必要がある。
フィルム表面を直接的に評価する手法としては、例えば、触針式表面粗さ計を用いて測定される算術平均粗さ(Ra)がよく用いられる。しかし、このRaの値が同じであっても、コンデンサーとしての性能に大きな差が生じることもあるため、表面粗さの状態を評価するには、必ずしも最適であるとはいえない。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、そのシートの少なくとも片面の表面において、560μm×745μmの面積範囲内で表面粗さ測定を超深度表面形状測定顕微鏡を用いて行った際、該表面上の複数地点から超深度表面形状測定顕微鏡の照射源までの距離から決定された平均面からの突起部の体積が、2.0×10μm以上、3.0×10μm以下であり、2.5×10μm以上、3.0×10μm以下であるとより好ましい。
突起部の体積がある程度大きい値であると、コンデンサーへ加工する素子巻きの際に、フィルム間に適度な空隙が生じるためフィルムが適度にすべり、巻取りにしわが入りにくく、かつ横ズレも起こしにくくなる。しかし、突起部の体積が3.0×10μmを超えると、フィルム間の空隙率が大きくなることによる重量厚み低下が起こり、絶縁破壊電圧の低下を招くため、好ましくない。逆に、突起部の体積が低く平滑であると、耐電圧性の面では有利になるが、今度は2.0×10μm未満であると、フィルムが滑りにくくなり、素子巻きの際にしわが発生しやすくなり、生産性が低下するため、好ましくない。
一般的に、例えばJIS−B0601等に定められているRaは、触針式表面粗さ計などを用いて測定される。その際の測定範囲は、針先が表面を直線的になぞるだけで、面全体を評価していない限定的情報である。そのため、測定対象面の局所的な変化や変位などを感度良くかつ正確に把握することができない。
それに対し、本発明に係る体積を用いた表面粗さ評価法であれば、直線ではなく所定面積の面全体の高さ変位を表現しているため、前述のフィルム間の空隙を三次元的に評価していることになり、測定対象面の局所的な微細変化や変位を把握することができ、より正確な表面粗さのデータを得ることができる。単純な突起の高さ情報(一般的なRaによる評価)でなく、三次元的な表現である突起部の体積をフィルム間の空隙評価の指標にしたことにより、本発明の如く、その突起部の体積を適切な範囲に調整することで、従来到達し得なかった、高耐電圧性と良好な素子巻き適性のバランスを取ることに成功した。
本発明に係る表面粗さ測定を行うために、超深度形状測定顕微鏡と画像解析ソフトが用いられる。フィルム厚み方向におけるフィルム表面の位置(高さ)が測定可能な一般に市販されている装置、および高さデータから二値化分析が可能な一般に市販されている画像解析ソフトが例外なく利用可能であるが、本発明の検討では、キーエンス社製、超深度表面形状測定顕微鏡、VK−8500および菱化システム社製、画像解析ソフト、NSIMAGIKを用い、解析は以下の方法によって行った。
まず、二軸延伸ポリプロピレンフィルム表面を超深度表面形状測定顕微鏡(対物レンズ20倍)で観察する。560μm×745μmの視野範囲内での表面の凹凸データを1023×767画素で採取する。このとき、超深度表面形状測定顕微鏡の照射源からフィルム表面上の複数地点(1023×767画素)までの距離の差が凹凸データとして画像解析ソフトに取り込まれる。次に、JIS−B0601(2001)に準じて、うねりとノイズを除去する。なお、うねり及びノイズを除去するために用いるカットオフ値は、最適な解析が行えるいかなる値を用いてもよいが、本発明ではカットオフ値60μm以上をうねり、カットオフ値10μm以下をノイズとする。うねりとノイズを除去後、得られた凹凸データの平均より平均面を求める。この平均面から表面側に凸となっている突起部の体積を測定する。同一フィルムで三回、繰り返し測定を行い、その平均値を、平均面からの突起部の体積とする。
本発明に係る前述の突起部の体積範囲を達成するためには、フィルム表面に微細な凹凸を与えればよい。その方法としては、β晶を用いた方法、エンボス法、エッチング法など、各種粗面化方法を採用することが出来る。その中でも、不純物の混入などの必要がない、β晶を用いた表面の粗化法が好ましい。キャスト温度で生成するβ晶の割合、さらに縦延伸工程のロール温度でβ晶の融解割合を制御することができ、この二つについて最適な製造条件を選択することで、本発明に係る表面粗さを達成できる。
本発明のポリプロピレンフィルムには、必要に応じて、他の樹脂などを本発明の効果を損なわない範囲内で添加しても構わない。前記の他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(1−メチルペンテン)などのポリα−オレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などの、α−オレフィン同士の共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体−ジエン単量体ランダム共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのビニル単量体−ジエン単量体−ビニル単量体ランダム共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
他の樹脂の添加量は添加する樹脂の種類にもより異なるが、前述のように本発明の効果が損なわない範囲であれば良く、一般的に、通常の場合、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは5質量部以下であるのが良い。
また、本発明のポリプロピレンフィルムは必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、塩酸吸収剤などの安定化剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲であれば添加しても良い。
本発明のポリプロピレンフィルムを二軸延伸して得る方法としては、公知の各種方法を採用することが出来る。その中でも、逐次二軸延伸方法が好ましい。逐次二軸延伸方法としては、まず前述のポリプロピレン樹脂からなる原料ペレット類を押し出し機に供給し、170〜320℃、好ましくは200〜300℃で加熱溶融してTダイから押し出し、60〜140℃、好ましくは70〜130℃に保持された金属ドラムで冷却、固化させてβ晶を有するキャスト原反シートを得る。なお、前記金属ドラムでの冷却の好適な温度範囲は、樹脂によって異なるため各々の樹脂によって選択する必要がある。次に、このキャスト原反シートを100〜160℃の温度に保ち、速度差を設けたロール間に通して、流れ方向に3〜7倍に縦延伸して、直ちに室温に冷却する。引き続き、テンターに導いて、150℃以上の温度で幅方向に3〜11倍に横延伸した後、緩和、熱固定を施し巻き取ることで、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得る。
この延伸工程によって、機械的強度、剛性に優れたフィルムとなり、また、表面の凹凸もより明確化され、微細に粗面化された延伸フィルムとなる。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、厚さは1μm以上7μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上4μm以下である。前述の樹脂は、きわめて延伸性に優れているため、非常に薄い延伸フィルムを得ることができる。この延伸フィルムは、表面が微細に粗面化されているため、素子巻き適性に優れており、耐電圧特性も高く、非常に薄いフィルムで高い電気容量も発現し易いため、コンデンサー用延伸フィルムとして極めて好適である。
本発明のコンデンサー用延伸フィルムにおいて、金属蒸着加工工程における接着特性を高める目的で、延伸・熱固定工程終了後に、オンラインもしくはオフラインにて、コロナ放電処理を行っても構わない。コロナ放電処理は、一般に公知の方法を用いることができるが、処理をする際に雰囲気ガスとして、空気、炭酸ガス、窒素ガス、およびこれらの混合ガス中で処理することが望ましい。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、もちろん本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
〔特性値の測定方法ならびに効果の評価方法〕
実施例における特性値の測定方法ならびに効果の評価方法はつぎの通りである。
(1) 重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)測定
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、以下の条件で測定した。
測定器:東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵高温GPC、
HLC−8121GPC/HT型
カラム:東ソー株式会社製、TSKgel GMHhr−H(20)HTを3本連結
カラム温度:145℃
溶離液:トリクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
検量線の作製には、東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用い、測定結果はポリプロピレン値に換算した。
(2) 算術平均粗さの評価
算術平均粗さ(Ra)は、JIS−B0601に準拠して決定した。カットオフ値は0.8mmとした。
(3) 画像解析ソフトによる突起部の体積の測定
フィルム表面を超深度表面形状測定顕微鏡(対物レンズ20倍)で観察した。560μm×745μmの視野範囲内での表面の凹凸データを1023×767画素で採取した。このとき、超深度表面形状測定顕微鏡の照射源からフィルム表面上の複数地点(1023×767画素)までの距離の差が凹凸データとして画像解析ソフトに取り込まれた。次に、JIS−B0601(2001)に準じて、うねりとノイズを除去した。なお、カットオフ値60μm以上をうねり、カットオフ値10μm以下をノイズとした。うねりとノイズを除去後、得られた凹凸データの平均より表面凹凸の平均面を求めた。この平均面から表面側に凸となっている突起部の体積を測定した。同一フィルムで三回、繰り返し測定を行い、その平均値を、表面凹凸の平均面からの突起部の体積とした。
測定機:株式会社キーエンス製、超深度表面形状測定顕微鏡、VK−8500
画像解析ソフト:株式会社菱化システム製、NSIMAGIK
(4) 逐次抽出法による立体規則性分布測定
ポリプロピレン樹脂を(1)キシレンに還流下充分溶解させ、その後、室温下4時間放置した。キシレンに不溶な部分をろ別し、不溶分は次の抽出に供した。可溶分は、キシレンを乾固させ、秤量した。この質量をアタクチック成分量とした。キシレン不溶分は、ソックスレー脂肪抽出器を用い、(2)n−ペンタン、(3)n−ヘキサン、(4)n−ヘプタンの順に順次ソックスレー抽出を各々6時間実施した。n−ヘプタンにも不溶な最終的な抽出残分を秤量し、この質量をアイソタクチック成分量とした。キシレンに溶解前の樹脂質量に対する百分率比で表現した。
(5) フィルム厚の評価
二軸延伸後のプロピレンフィルムの厚さは、マイクロメーター(JIS−B7502)を用いて、JIS−C2330に準拠して測定した。
(6) 耐電圧特性の評価
二軸延伸後のプロピレンフィルムの耐電圧特性は、JIS−C2151およびJIS−C2330に準じて評価した。ここでは、測定された電圧値を、フィルムの厚みで割ったものを、絶縁破壊電圧値として評価に用いた。絶縁破壊電圧値は、0.3KV/μm以上が実用上好ましい。
(7) 素子巻き適正の評価
素子巻き加工の際に、加工性が良好か否かを評価した。加工性が良好なものを「○」、加工性が悪いものを「×」とした。
(8) コンデンサー用二軸用延伸フィルムとしての総合評価
電気容量向上に必要なフィルムを薄化できるか否かの特性、素子巻き加工に必要な表面粗さが得られるか否か、かつ、耐電圧特性を向上させることができるか否か、コンデンサー用フィルムとしての好適性を総合的に評価した。従来技術に基づくフィルムより大きく向上したものを「◎」、従来より若干性能が向上したものを「○」、従来より性能が低下したものを「△」、コンデンサーフィルムとして適さないものを「×」とした。
〔実施例1〕
重量平均分子量(Mw)3.1×10、分子量分布(Mw/Mn)7.4、アイソタクチック成分分率が97.7質量%であるポリプロピレン樹脂ペレットを押出機に供給して、樹脂温度250℃の温度で溶融し、Tダイを用いて押出し、表面温度を90℃に保持した金属ドラムに巻きつけて固化させ、厚さ約200μmの未延伸キャスト原反シートを作製した。引き続き、この未延伸キャスト原反シートを140℃に保ち、流れ方向に5倍縦延伸し、直ちに室温まで冷却した。ついで、テンターにて170℃で幅方向に10倍横延伸して、厚さ4.0μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。表面粗さを表面突起部の体積で評価したところ、560μm×745μmあたり2.5×10μmと適度に表面が粗化されており、素子巻き適正は良好であった。また、絶縁破壊電圧は、0.50kV/μmと高い耐電圧特性を得ることができた。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
重量平均分子量(Mw)3.3×10、分子量分布(Mw/Mn)7.1、アイソタクチック成分分率が97.3質量%であるポリプロピレン樹脂ペレットを、実施例1と同様にして、厚さ約140μmの未延伸キャスト原反シートを作製した。この未延伸キャスト原反シートを、実施例1と同様にして、厚さ2.8μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。表面粗さを表面突起部の体積で評価したところ、560μm×745μmあたり2.6×10μmと適度に表面が粗化されており、素子巻き適正は良好であった。また、絶縁破壊電圧は、0.48kV/μmと高い耐電圧特性を得ることができた。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
重量平均分子量(Mw)3.1×10、分子量分布(Mw/Mn)7.1、アイソタクチック成分分率が97.2質量%であるポリプロピレン樹脂ペレットを、実施例1と同様にして、厚さ約200μmの未延伸キャスト原反シートを作製した。この未延伸キャスト原反シートを、実施例1と同様にして、厚さ4.0μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。表面粗さを表面突起部の体積で評価したところ、560μm×745μmあたり3.0×10μmと適度に表面が粗化されており、素子巻き適正は良好であった。また、絶縁破壊電圧は、0.37kV/μmと良い耐電圧特性を得ることができた。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
重量平均分子量(Mw)3.6×10、分子量分布(Mw/Mn)5.0、アイソタクチック成分分率が95.3質量%であるポリプロピレン樹脂ペレットを押出機に供給して、樹脂温度250℃の温度で溶融し、Tダイを用いて押出し、表面温度を100℃に保持した金属ドラムに巻きつけて固化させ、厚さ約150μmの未延伸キャスト原反シートを作製した。引き続き、この未延伸キャスト原反シートを145℃に保ち、流れ方向に5倍縦延伸し、直ちに室温まで冷却した。ついで、テンターにて170℃で幅方向に10倍横延伸して、厚さ3.0μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。表面粗さを表面突起部の体積で評価したところ、560μm×745μmあたり2.6×10μmと適度に表面が粗化されており、素子巻き適正は良好であった。また、絶縁破壊電圧は、0.45kV/μmと高い耐電圧特性を得ることができた。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
未延伸キャスト原反シートを成形する際、金属ドラムの表面温度を50℃に設定した以外は実施例1と同様にして未延伸キャスト原反シートを作製した。この未延伸キャスト原反シートを、実施例1と同様にして、厚さ4.0μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。表面粗さを表面突起部の体積で評価したところ、560μm×745μmあたり1.6×10μmとあまり表面が粗化されておらず、素子巻きの加工はうまくいかなかった。しかし、絶縁破壊電圧は、0.54kV/μmと高い耐電圧特性を得ることができた。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
未延伸キャスト原反シートを成形する際、金属ドラムの表面温度を110℃に設定した以外は実施例1と同様にして未延伸キャスト原反シートを作製した。引き続き、この未延伸キャスト原反シートを145℃に保ち、流れ方向に5倍縦延伸した他は、実施例1と同様に行い、厚さ4.0μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。表面粗さを表面突起部の体積で評価したところ、560μm×745μmあたり3.8×10μmと大きく表面が粗化されており、素子巻き適正は良好であった。しかし、絶縁破壊電圧は、0.26kV/μmと従来以下の耐電圧特性しか得ることができなかった。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
未延伸キャスト原反シートを成形する際、金属ドラムの表面温度を90℃に設定した以外は実施例4と同様にして未延伸キャスト原反シートを作製した。引き続き、この未延伸キャスト原反シートを、140℃に保ち、流れ方向に5倍縦延伸した他は、実施例4と同様に行い、厚さ3.0μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。表面粗さを表面突起部の体積で評価したところ、560μm×745μmあたり1.8×10μmとあまり表面が粗化されておらず、素子巻き適正うまくいかなかった。しかし、絶縁破壊電圧は、0.48kV/μmと高い耐電圧特性を得ることができた。結果を表1に示す。
〔参考実施例1〕
重量平均分子量(Mw)3.1×10、分子量分布(Mw/Mn)4.4、アイソタクチック成分分率が98.0質量%であるポリプロピレン樹脂ペレットを実施例1と同様にして、厚さ約200μmの未延伸キャスト原反シートを作製した。引き続き、この未延伸キャスト原反シートに、実施例1と同様の延伸操作を施した。しかし、延伸工程で破断が続発し、厚さ7μm以下の薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができなかった。結果を表1に示す。
〔参考実施例2〕
重量平均分子量(Mw)3.1×10、分子量分布(Mw/Mn)7.0、アイソタクチック成分分率が93.4質量%であるポリプロピレン樹脂ペレットを、実施例1と同様にして、厚さ約150μmの未延伸キャスト原反シートを作製した。この未延伸キャスト原反シートを、実施例1と同様にして、厚さ3.0μmの薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。表面粗さを表面突起部の体積で評価したところ、560μm×745μmあたり2.1×10μmと適度に表面が粗化されており、素子巻き適正は良好であった。しかし、絶縁破壊電圧は、0.30kV/μmと従来以下の耐電圧特性しか得ることができなかった。結果を表1に示す。
Figure 0005061842
実施例1〜4で明らかな通り、本発明の範囲の最適なバランスを有する表面粗さを持った二軸延伸フィルムを製膜すると、優れた耐電圧特性、素子巻き適正をもったフィルムが得られた。本発明に係る適度な表面粗さとしては、一定範囲内での平均面からの突起部の体積を測定して指標にした。
この際、実施例2及び比較例1より、従来の表面粗さの指標として用いられている、算術平均粗さ(Ra)の値に関わらず、本発明の突起部の体積を特定範囲とすることで、耐電圧特性、素子巻き適正に優れたフィルムを得ることができるといえる。
一方、比較例1、3は表面粗さが小さいので、良好な耐電圧特性は得られたが、素子巻き適正が得られていない。また、比較例2は表面粗さが大きく、良好な素子巻き適正が得られたが、良好な耐電圧特性を得られなかった。
また、参考実施例1によれば、分子量や分子量分布、アイソタクチック分率が、ある程度のバランスを有していない場合、ポリプロピレン延伸フィルム自体が作製できなといえる。更に、参考実施例2によれば、アイソタクチック分率が低すぎると、表面粗さを得られていても、耐電圧特性が得られないことがわかる。

Claims (5)

  1. ゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定した重量平均分子量が、10万以上50万以下のポリプロピレン樹脂を主成分とする、二軸延伸されたポリプロピレンフィルムであって、
    該二軸延伸ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面の表面について、560μm×745μmの範囲内で表面粗さの測定を超深度表面形状測定顕微鏡を用いて行った際、該表面上の複数地点から超深度表面形状測定顕微鏡の照射源までの距離から決定された平均面からの突起部の体積が、2.0×10μm以上、3.0×10μm以下であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  2. 前記ポリプロピレン樹脂の逐次抽出法で測定された抽出残分に基づくアイソタクチック成分の分率が95質量%以上99質量%以下である、請求項1に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  3. 前記ポリプロピレン樹脂の分子量分布Mw/Mnが5以上15以下である、請求項1又は2に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  4. 厚さが1〜7μmである、請求項1〜3いずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  5. コンデンサー用フィルムである請求項1〜4いずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
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