JP6413159B2 - ポリプロピレンフィルムとその製造方法 - Google Patents

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本発明は、コンデンサの誘電体フィルムなどとして好適に使用されるポリプロピレンフィルムとその製造方法に関する。
ポリプロピレンフィルムは、耐電圧特性や、誘電損失などの電気特性が他のプラスチックフィルムよりも優れていることから、コンデンサ用の誘電体フィルム(以下、コンデンサ用フィルムという場合がある。)などの電気用途に広く利用されている。
近年、このようなコンデンサ用フィルムには、フィルム厚のより薄いものが求められるようになってきている。これは、コンデンサ用フィルムの厚みが薄くなると、所定体積あたりの巻き回数を増加させ、コンデンサ内でフィルム面積を大きくとることができるようになり、その結果、コンデンサのより一層の小型化、高容量化が可能となるためである。
ところが、このような非常に薄いコンデンサ用フィルムは、加工の際のハンドリング性が極めて悪く、コンデンサを作製する際の素子巻き加工において、シワや巻きずれを発生し易いと言う難点、すなわち素子巻き適性が不良という問題がある。そこで、素子巻き加工時の滑り性を向上させ、該加工を容易にすることを主な目的として、その表面には微細凹凸が形成されて、該表面が粗面化されることが多い。
粗面化の方法としては、多数のβ型球晶を生成させたポリプロピレンの原反シートを特定条件で延伸して、β型球晶をより密度の大きなα型球晶に結晶変態させることにより、結晶変態が起きた部分にクレーター状の微細凹凸を形成する方法などが知られている(例えば特許文献1参照。)。このようにβ型球晶の結晶変態を利用した粗面化の方法は、樹脂に添加剤などの不純物を混入させる必要がない方法であるため、電気的特性に悪影響を及ぼすことなく、微細凹凸を付与できるというメリットを有する。例えば、フィルムとしての絶縁破壊電圧は、表面平滑性が高い方が、良好な結果を得られる傾向にあるが、表面平滑性が高すぎると、コンデンサー素子を作製できなくなる(素子巻き適性が不可)。そこで、特許文献1に開示されているように粗面化することにより、絶縁破壊電圧を維持したまま、素子巻き加工適性を向上させるに至った。
特開2008−133446号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように表面が粗面化されたコンデンサ用フィルムを用いて素子巻き加工を行った場合、巻回されたコンデンサ用フィルムの面間隔が均一にならず、部分的に面間隔が狭い部分が生じることがあった。面間隔が狭い部分では、局所的な絶縁破壊が発生しやすく、それにより、コンデンサとしての保安性低下の問題(コンデンサに印加する電圧を上げていった際に、ある電圧を超えると、急激に蓄電性能が低下するという問題。)が起こりやすい。また、コンデンサ用フィルム同士の面間隔が不均一であると、コンデンサ内部での蓄電性能にばらつきが生じ、その結果、コンデンサとしての高電圧印加時の高温耐電圧特性(高温条件下において、コンデンサに高電圧の印加を繰り返した際の短期的な電圧特性。)が劣る傾向にある。
すなわち、耐電圧性の評価には様々な方法があり、フィルムとしての耐電圧性は優れているフィルムであっても、該フィルムを用いて製造したコンデンサの耐電圧性が優れるとは限らない。また、コンデンサの耐電圧性といっても、上述した保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性の他、コンデンサに一定電圧を長期間印加した際の蓄電性能(ライフ性能・長期間耐電圧性)などもあり、これらの評価結果も必ずしも相関するものではない。
このように様々の方法で評価された耐電圧性は、互いに関連性が無いとは言えないが、必ずしも一義的に相関するものではなく、フィルムの他の様々な物性等の影響を受けていると考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、素子巻き加工時に、均一な面間隔で巻回でき、そのため、コンデンサとしての保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性の良好なコンデンサを製造できるポリプロピレンフィルムの提供を課題とする。
本発明のポリプロピレンフィルムは、一方または両方の表面に、クレーター状の微細凹凸が多数形成されることにより、前記表面が粗面化されたポリプロピレンフィルムであって、少なくとも一方の表面について、光干渉式非接触表面形状測定器を用いて、前記微細凹凸のうちの高さが0.02μm以上の部分を前記表面へ投影した投影画像を得た場合に、該投影画像には、対をなす円弧からなるクレーター投影像が多数観測され、各クレーター投影像において、対をなす円弧の合計長さをLとし、対をなす円弧を含む仮想円環の全周長さをLとして比(L/L)を求めた場合、比(L/L)の平均値αが、0.3以上となることを特徴とする。
前記仮想円環は、平均長軸径が20〜80μmであることが好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルムの製造方法は、β型球晶を生成させたポリプロピレンキャストシートを二軸延伸する工程を有し、前記ポリプロピレンキャストシートの少なくとも一方の表面について、偏光顕微鏡で観察されるβ型球晶の平均半径が10μm以下であることを特徴とする。
X線回折法を用いて求められる前記ポリプロピレンキャストシートのβ晶分率が1〜20%であることが好適である。
本発明によれば、素子巻き加工時に、均一な面間隔で巻回でき、そのため、コンデンサとしての保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性の良好なコンデンサを製造できるポリプロピレンフィルムを提供できる。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの一例(実施例1)を示す光学顕微鏡写真である。 クレーター状の微細凹凸を模式的に示す(a)斜視図(イメージ図)、(b)横断面図、(c)(b)のI−I’線に沿う縦断面図である。 図1と同じ二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面について得られた投影画像である。 クレーター投影像を示す摸式図である。 仮想円環の決定方法を示す説明図である。 仮想円環の他の決定方法を示す説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリプロピレンフィルムの表面には、多数のクレーター状の微細凹凸が形成され、該表面が粗面化されている。
図1は、本発明のポリプロピレンフィルム(後述の実施例1のポリプロピレンフィルム)の表面の光学顕微鏡写真であり、図2は、図1中の二点鎖線で囲まれる領域中に認められる1つのクレーター状の微細凹凸20を抽出して模式的に示した図である。
図示のように、クレーター状の各微細凹凸20は、ある高さでの横断面が円弧状であって互いに逆向きに湾曲して対をなす2つの凸起20a,20bを備え、これらの凸起20a,20bと凸起20a,20b間の凹み(窪み)20cとで、クレーター状をなしている。なお、2つの凸起20a,20bは合体して略円筒形をなしている場合もあり、その場合の横断面は円環状となる。
なお、横断面とは、フィルム表面に平行な面である。また、円弧状とは、概略円形または概略楕円形の周の少なくとも一部をなすような湾曲形状のことであり、円環には概略円形と概略楕円形の環が含まれる。
この例のポリプロピレンフィルム10は、詳しくは後述するが、多数のβ型球晶を生成させたポリプロピレンキャストシート(原反シート)を二軸延伸する方法で製造されたものである。β型球晶を有するポリプロピレンキャストシートを延伸すると、β型球晶はより密度の大きなα型球晶に結晶変態する。その結果、結晶変態が起きた部分には、クレーター状の微細凹凸20が形成される。なお、図1中、矢印aの方向が縦延伸の方向で、矢印bの方向が横延伸の方向である。
このようなクレーター状の微細凹凸20を備えた表面について、光干渉式非接触表面形状測定器を用いて、微細凹凸20のうちの高さが0.02μm以上の部分をフィルム表面へ投影した投影画像を得る(図3)。すると、その投影画像には、各微細凹凸20に対応する多数のクレーター投影像が得られる。図4に模式的に示すように、各クレーター投影像Gは、微細凹凸を構成する各凸起が横断面円弧状であることに起因して、対をなす2つの円弧30a,30bからなる。
そして、このようなクレーター投影像Gにおいては、対をなす2つの円弧30a,30bの合計長さをL(=L+L)とし、対をなす2つの円弧30a,30bを含む仮想円環を想定し、該仮想円環の全周長さをL(=L+L+L+L)とした場合に、LとLとの比(L/L)が特定範囲になるという特徴を有する。
図4中、実線は、対をなす円弧からなるクレーター投影像である。一方、破線は、詳しくは後述するが、円弧30a,30bの形状(位置データ)から決定される補完線40a,40bである。そして、図4の例においては、実線で示される円弧30a,30bと、破線で示される補完線40a,40bとで形成される円環が仮想円環である。
具体的には、各クレーター投影像GそれぞれについてLとLとを測定して比(L/L)を算出し、算出されたそれらの比(L/L)の平均値を求めた場合、該平均値αが0.3以上である。
比(L/L)の値が大きいということは、仮想円環の円周に占める、対をなす円弧30a,30bの長さの割合が大きく、対をなす円弧30a,30bが仮想円環に近い形状をなしているということである。このようなクレーター投影像Gが得られるような微細凹凸20は、高さ0.02μm以上の部分では、一対の凸起20a,20bは筒形に近い形状をなしている。このように高さ0.02μm以上の部分が筒形に近い形状をなしている筒型の凸起は、その上方から力が加わった場合でも、座屈するなどの変形が起こりにくいと考えられる。そのため、このような凸起が形成されたポリプロピレンフィルムを用いると、コンデンサの製造時の素子巻き加工に際して、均一な面間隔でこれを巻回することができる。
一方、比(L/L)の値が小さいということは、仮想円環の円周に占める、対をなす円弧30a,30bの長さの割合が小さいということである。このようなクレーター投影像Gが得られるような微細凹凸20は、高さ0.02μm以上の部分では、各凸起20a,20bがそれぞれ独立しているような形状である。このような独立型の凸起は、筒型の凸起に比べて、上方からの力に対して座屈して変形しやすいと考えられる。そのため、このような凸起が形成されたポリプロピレンフィルムを用いると、コンデンサの製造時の素子巻き加工に際して該凸起が変形しやすく、ポリプロピレンフィルムの面間隔は不均一となりやすい。
また、独立型の凸起は、素子巻き加工において、その上に巻回されるポリプロピレンフィルム10と接触する面積が小さい。よって、ポリプロピレンフィルム10を安定に支持できず、ポリプロピレンフィルム10は撓みやすくなる。これに対して、筒型の凸起は、その上に巻回されるポリプロピレンフィルム10と接触する面積が大きい。よって、上述のようなポリプロピレンフィルム10の撓みを抑制してポリプロピレンフィルム10を安定に支持し、その面間隔を一定に維持しやすいと考えられる。
コンデンサにおいて、巻回されたポリプロピレンフィルム10の面間隔が不均一となると、面間隔が狭い部分が生じ、その部分では局所的な絶縁破壊が発生しやすく、それにより、保安性低下の問題(コンデンサに印加する電圧を上げていった際に、ある電圧を超えると、急激に蓄電性能が低下するという問題。)が起こりやすい。また、ポリプロピレンフィルム10同士の面間隔が不均一であると、コンデンサ内部での蓄電性能にばらつきが生じ、その結果、高電圧印加時の高温耐電圧特性(高温条件下において、コンデンサに高電圧の印加を繰り返した際の短期的な電圧特性。)が劣る傾向にある。
そこで、各クレーター投影像GそれぞれについてLとLとを測定して比(L/L)を算出し、算出されたそれらの比(L/L)の値の平均値αが0.3以上となるポリプロピレンフィルム10を用いる。このようなポリプロピレンフィルム10の凸起20a,20bは、上方からの力に対して強く、コンデンサを製造する際の素子巻き加工時に変形しにくい。また、ポリプロピレンフィルム10を撓ませずに安定に支持しやすい。
よって、素子巻き加工時に、均一な面間隔で巻回でき、そのため、保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性の良好なコンデンサを製造できる。より好ましい平均値αは、0.35以上である。
なお、微細凹凸20によっては、高さ0.02μm以上の部分が完全な筒形であることもあり、その場合には、L=L=0となる。そのため、L=L=L+Lであって、比(L/L)=1となる。
本発明においては、クレーター投影像Gを得るに際して、光干渉式非接触表面形状測定器を用いて、微細凹凸20の上部(高さ0.02μm以上の部分。)のみを投影している。これは微細凹凸20の特に上部の形状が、ポリプロピレンフィルム10の素子巻き加工時における面間隔の均一性に影響を与えること、そして、上部を定義する閾値として高さ0.02μmを選択し、それ以上の高さの部分のクレーター投影像Gを得て、比(L/L)の平均値αを求めると、得られた平均値αと面間隔の均一性との間に良好な相関関係が得られることを本発明者が見出したことに基くものである。仮に、ポリプロピレンフィルム10の表面の顕微鏡写真からクレーター部像を特定し、このようなクレーター部像から比(L/L)の値の平均値αを求めた場合、該写真から得られたクレーター部像には、微細凹凸の下部の形状も含まれてしまうため、その値は微細凹凸の上部の形状を反映したものとはならない。そのため、このように顕微鏡写真から得られた比(L/L)の値の平均値αと、面間隔の均一性との間には、良好な相関関係は認められない。
投影画像を得る際に用いる光干渉式非接触表面形状測定器としては、例えば、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式 R5500GML)」を使用できる。
測定では、WAVEモードを用い、530whiteフィルタ及び×20対物レンズを用いて、一視野あたり237μm×178μmの計測を3×3視野の複数視野計測により実施する。そして、全画像をスティッチング処理して612μm×459μmの表面形状データを得る。この操作をフィルム表面の任意の3箇所について行う。
得られたデータについて、メディアンフィルタによるノイズ除去処理を行った後、カットオフ値60μmによるガウシアンフィルタ処理を行い、うねり成分を除去する。これにより、微細凹凸20の形状を良好に計測できる状態となる。
上述のようにして得られた任意の3箇所の各表面形状データの画像から、対をなす円弧30a,30bからなるクレーター投影像Gを10個ずつ抽出し、それぞれについて、対をなす円弧30a,30bの合計長さLと、対をなす円弧30a,30bを含む仮想円環の全周長さをLとを計測し、比(L/L)を求める。そして、得られた合計30の値を平均し、比(L/L)の平均値αを得る。
なお、3箇所の各表面形状データの画像から、対をなす円弧30a,30bからなるクレーター投影像Gを抽出する際には、「異なるβ型球晶に基く円弧同士の重なり合い」がないようなクレーター投影像Gを10個ずつ抽出する。
すなわち、各クレーター投影像Gに対応する各微細凹凸は、多数のβ型球晶を生成させたポリプロピレンキャストシートを二軸延伸し、各β型球晶をそれぞれα型球晶へ結晶変態させることで形成されたものであるが、キャストシートにおける多数のβ型球晶は、全てが分散性よく存在しているとは限らず、複数重なり合って存在しているものもある。ここで、複数が重なり合った状態にあるβ型球晶からは、二軸延伸により、微細凹凸も重なり合った状態で得られる。そして、そのクレーター投影像においても、円弧同士の重なり合いが認められる。このようなものは、一見しただけでは、どの円弧とどの円弧とが対をなしているかがわかりにくい場合がある。これに対して、1つずつ分散して存在しているβ型球晶からは、微細凹凸も1つずつ分散した状態で得られる。そのため、そのクレーター投影像においては、異なるβ型球晶に基く円弧同士の重なり合いがなく、どの円弧とどの円弧とが対をなしているかを一見しただけで容易に理解できる。よって、上述したとおり、3箇所の各表面形状データの画像からクレーター投影像Gを抽出する際には、「異なるβ型球晶に基く円弧同士の重なり合い」が認められないクレーター投影像Gを10個ずつ抽出する。
仮想円環の決定と、LおよびLの計測には、例えば光干渉式非接触表面形状測定器VertScan2.0の解析ソフトウェア「VS−Viewer」のプラグイン機能「エッジ曲線長」を用いて行う。
仮想円環の決定方法について説明する。
仮想円環とは、図4に示すように、円弧30a、30bを含む環形状のものであって、円弧(実線)30a,30bと、これら円弧30a,30bをつなぐ補完線(破線)40a,40bとで形成される。
ここで補完線40a,40bは、一方の補完線40aが、ある楕円(E)の一部であり、他方の補完線40bが、ある楕円(E)の一部であるとみなし、円弧30a,30bの形状(位置データ)を用いた最小二乗法により決定する。
具体的手順は以下の通りである。
(1)まず、図5(a)に示すように、円弧30aおよび円弧30b上における、互いに最も離れた2点をP、Pとし、PとPを結んだ直線(以下、直線(P−P)という。)を決定する。
(2)ついで、図5(b)に示すように、直線(P−P)の一方側(図5中では、直線(P−P)よりも上方側。)に位置する部分の円弧30a,30bの形状(位置データ)から、最小二乗法により、直線(P−P)が長軸となるような楕円(E)を導き出す。そして、この楕円(E)を構成する曲線(楕円(E)の周の一部)により、上記一方側における円弧30aと円弧30bとの間の部分を補完して補完線40aとする。なお、図5では、楕円(E)のうち、補完線40aに相当する部分以外を図示略としている。
(3)ついで、図5(c)に示すように、直線(P−P)の他方側(図5中では、直線(P−P)よりも下方側。)に位置する部分の円弧30a,30bの形状(位置データ)から、最小二乗法により、直線(P−P)が長軸となるような楕円(E)を導き出す。そして、この楕円(E)を構成する曲線(楕円(E)の周の一部)により、上記他方側における円弧30aと円弧30bとの間の部分を補完して補完線40bとする。なお、図5では、楕円(E)のうち、補完線40bに相当する部分以外を図示略としている。
(4)このように決定された補完線40a,40bと、円弧30a,30bとで連結された図5(c)に示される円環が仮想円環である。
(5)そして、この仮想円環の周における各位置(周のある点を基準とした際の距離。)に対する、各位置における微細凹凸20の高さを示す、微細凹凸20の高さプロファイルを描く。この高さプロファイルから、高さ0.02μm以上の部分に対応するクレーター投影像GにおけるLおよびLを読み取ることができる。
なお、ここでは、EおよびEは、いずれも直線(P−P)を長軸とする楕円としたが、これらの一方または両方が、結果的に直線(P−P)を直径とする円となってもよい。また、EおよびEは、結果的に同一の楕円または円となってもよい。
また、図5の例では、円弧30a,30bの各末端が楕円(E)または楕円(E)上に位置しており、そのため、円弧30a,30bの各末端と補完線40a,40bの各末端とはいずれも一致し、仮想円環を形成している。しかしながら、円弧30a,30bの形状によっては、円弧30a,30bの各末端のうちの少なくとも1つが、楕円(E)および楕円(E)上に位置しない場合もある。その場合には、楕円(E)および楕円(E)上に位置しない該末端から、楕円に対して垂線(最短線)を引き、該垂線を含めて仮想円環を決定する。
例えば、図6に一例として、円弧30a,30bの各末端がいずれも楕円(E)および楕円(E)上に位置しない場合を示す。この場合には、これら各末端Q,Q,Q,Qから、楕円(E)または楕円(E)に対して、最短線である垂線(Q−P)、垂線(Q−P)、垂線(Q−P)、垂線(Q−P)をそれぞれ引く。
そして、これら4つの垂線と、曲線(P−P)および曲線(P−P)と、円弧30a,30bとを結んだものを仮想円環とする。
このように円弧30a,30bの末端のうち、楕円(E)および楕円(E)上に位置しないものについては、該末端から垂線をひき、その垂線を補完線40a,40bの一部とみなして、仮想円環を決定する。
なお、ここで垂線とは、楕円の周の接線に対して垂直となる線をいう。
また、本発明においては、微細凹凸20のうちの高さが0.02μm以上の部分を投影しているが、ここで高さ0.02μm以上とは、ガウシアンフィルタ処理において、(測定値)−(うねり成分)=(高さデータ)という処理を行った際の、うねり成分の高さを基準面として、垂直方向に測定される距離が0.02μm以上となる部分である。
本発明のポリプロピレンフィルム10は、上述のとおり、一方または両方の表面が、比(L/L)の平均値αが0.3以上となるように粗面化されているものであって、具体的には以下の(1)〜(3)の態様のポリプロピレンフィルム10を含む。
(1)両方の表面が、比(L/L)の平均値α0.3以上となるように粗面化されている。
(2)両方の表面が粗面化されているが、一方の表面のみが比(L/L)の平均値α0.3以上となる条件を満たし、他方の表面はこの条件を満たさない。
(3)一方の表面は、比(L/L)の平均値α0.3以上となるように粗面化されているが、他方の表面は平滑であり粗面化されていない。
本発明のポリプロピレンフィルム10は、クレーター投影像Gにおいて、対をなす円弧30a,30bを含む仮想円環の平均長軸径Dは20〜80μmであることが好ましく、30〜70μmであることがより好ましい。仮想円環の平均長軸径が上記範囲の上限値以下であると、比(L/L)の平均値αが、0.3以上となりやすい傾向にある。また、仮想円環の平均長軸径が上記範囲の下限値以上であると、素子巻き加工時のポリプロピレンフィルム10の面間隔を均一にする効果がより優れる。
ここで長軸径とは、先に「仮想円環の決定方法」において説明した、円弧30aおよび円弧30b上における互いに最も離れた2点P、P間の距離(すなわち、直線(P−P)の長さ。)である(図5参照。)。そして、平均長軸径とは、上述のようにして得られる任意の3箇所の各表面形状データの画像(612μm×459μm)から、対をなす円弧30a,30bからなるクレーター投影像Gを10個ずつ抽出し、合計30個についての長軸径を求めた際のその平均値である。
また、仮想円環のポリプロピレンフィルム10の単位面積(1mm)あたりの個数(クレーター部の個数、すなわち、クレーター状の微細凹凸20の個数に対応。)は、100〜500個であることが好ましく、150〜450個がより好ましい。上記範囲の下限値以上の個数であると、素子巻き加工時のポリプロピレンフィルム10の面間隔を均一にする効果がより優れる傾向にある。上記範囲の上限値以下の個数であると、ポリプロピレンフィルム10を用いて製造されたコンデンサの性能に悪影響を与えにくい。
仮想円環の個数は、上述のようにして得られる任意の3箇所の各表面形状データの画像(612μm×459μm)について、観察される仮想円環の数をそれぞれカウントし、3箇所についてカウントされた個数の平均値を1mmあたりに換算することにより求められる。
また、比(L/L)の平均値αが0.3以上となるように粗面化されたポリプロピレンフィルム10の表面のJIS B0601による算術平均粗さRaは、0.005〜0.15μmであることが好ましく、0.01〜0.12μmがより好ましく、0.01〜0.10μmがさらに好ましい。このような範囲であると、表面が適度に粗面化されているため、素子巻き加工時の加工適性がより良好である。また、ポリプリプロピレンフィルムの厚さは、1〜7μmが好ましく、1〜4μmがより好ましく、1.5〜2.7μmがさらに好ましい。ポリプロピレンフィルムの厚さが上記範囲の上限値以下であると、該ポリプロピレンフィルムの表面は、比(L/L)の平均値αが0.3以上となるような表面になりやすい。
ポリプロピレンフィルム10を構成するポリプロピレン樹脂には、結晶性のアイソタクチックポリプロピレンが用いられることが好ましく、プロピレンの単独重合体がより好ましい。
ポリプロピレン樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法で測定された重量平均分子量が10万以上50万以下であることが好ましく、より好ましくは20万以上40万以下、さらに好ましくは25万以上40万以下、最も好ましくは30万以上38万以下である。また、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比から計算される分子量分布は4以上が好ましく、4.5以上がより好ましい。一方、分子量分布(Mw)/(Mn)は、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量が50万を超えると、ポリプロピレン樹脂の流動性が著しく低下し、ポリプロピレンキャストシートの厚さの制御が難しくなる傾向にある。一方、重量平均分子量が10万未満では、押出し成形性は優れるが、得られたポリプロピレンキャストシートの力学特性と延伸性とが著しく低下し、その後の二軸延伸が困難となる傾向にある。
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)装置としては、ポリオレフィン類の分子量分析が可能な一般に市販されている高温型GPC装置を例外なく使用できる。このような装置としては、例えば、東ソー株式会社製の示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機「HLC−8121GPC/HT」などが挙げられる。測定条件としては、GPCカラムとして、例えば東ソー株式会社製「TSKgel GMHhr−H(20)HT」を3本連結させて用い、カラム温度145℃とし、溶離液にはトリクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/minとする条件が挙げられる。検量線の作製には、標準ポリスチレン(例えば東ソー株式会社製。)を用い、測定結果はポリプロピレン値に換算する。
また、原料のポリプロピレン樹脂は、逐次抽出法で抽出された抽出残分が95質量%以上であるものが好ましい。逐次抽出法は、ポリプロピレン樹脂を立体規則性により分別する方法の一種であって、沸点の異なる複数の溶媒を用いて順次抽出し、その抽出質量から、ポリプロピレン樹脂の立体規則性分布を調査することができる。本明細書における逐次抽出法は、日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、「新版 高分子分析ハンドブック(紀伊国屋書店、1995年)」の613頁記載の方法に準じる。逐次抽出法は、一般的に行われている立体機規則性分別の最も簡便な方法であるn−ヘプタンによる抽出(一般に、この抽出残分はヘプタンインデックス(HI)ないしはアイソタクチックインデックス(II)と呼ばれている。)よりも、詳細かつ正確であるという特徴を持つ。
逐次抽出法では、まず、ポリプロピレン樹脂を(1)キシレンに還流下充分溶解させ、その後、室温下4時間放置する。キシレンに不溶な部分をろ別し、不溶分は次の抽出に供する。可溶分は、キシレンを乾固させ、秤量する。この質量がいわゆる非晶性のアタクチック成分の質量に相当する。キシレン不溶分は、ソックスレー脂肪抽出器を用い、(2)n−ペンタン、(3)n−ヘキサン、(4)n−ヘプタンの順に順次ソックスレー抽出を各々6時間実施する。沸点の低い溶媒では、結晶性の低い(立体規則性が低い)成分が抽出されていき、n−ヘプタンにも不溶な成分は、立体規則性の度合いが極めて高い「アイソタクチック」成分と定義でき、最終的な抽出残分を質量比で表現することによってその割合を知ることが出来る。
一方、(2)〜(4)の溶媒で可溶な成分は、ステレオブロックと呼ばれる中間的な規則性をもったポリマーから主として構成されているとされている。
このように、逐次抽出法によって評価される立体規則性分布の割合は、いわゆるヘプタン不溶分(HI値)やアイソタクチック不溶分(II値)で評価されるような単一の溶媒による抽出量評価結果とはまったく異なる意味を持つ。
このような逐次抽出法で評価される最終抽出残分率、すなわち逐次抽出法で得られるアイソタクチック成分の割合を立体規則性の一つの指標とし、この値が95質量%以上であるポリプロピレン樹脂をポリプロピレンフィルム10の原料として使用することが好ましい。さらには、アイソタクチック成分の割合が97質量%以上99質量%以下であるポリプロピレン樹脂を使用することがより好ましい。このような高い立体規則性成分を持つ原料を使用することにより、コンデンサ用フィルムとして使用した場合に優れた耐電圧特性を発揮するポリプロピレンフィルム10を製造できる。ただし、アイソタクチック成分の割合が高すぎると、延伸性が低下し、延伸時にフィルム破断が多発しやすくなるという問題や、冷却ドラム上でポリプロピレンキャストシートを固化させる際に、固化速度(結晶化速度)が速くなりすぎ、ポリプロピレンキャストシートが冷却ドラムから剥離しやすくなるなどの問題が生じやすい。このような観点からは、アイソタクチック成分の割合は99質量%以下であることが好ましい。
このように、ポリプロピレンフィルム10の耐電圧特性や、延伸前のポリプロピレンキャストシートの延伸性は、原料であるポリプロピレン樹脂の分子量、分子量分布、アイソタクチック成分の割合などの影響を受ける。よって、耐電圧特性と延伸性のバランスを良好なものとするためには、ポリプロピレン樹脂の分子量、分子量分布、アイソタクチック成分の割合などをコントロールすることが好適である。
このようなポリプロピレン樹脂を製造する際の重合法としては、気相重合法、塊状重合法、スラリー重合法などが挙げられる。
重合法としては、少なくとも2つ以上の重合反応器を用いた多段重合反応を採用してもよいし、反応器中に水素あるいはコモノマーを分子量調整剤として添加してもよい。また、触媒としては、公知のチーグラー・ナッタ触媒などを使用でき、助触媒成分やドナーを併用してもよい。触媒や重合条件を調整することによって、ポリプロピレン樹脂の分子量、分子量分布、立体規則性度をコントロールできる。
ポリプロピレンフィルム10の原料には、必要に応じて他の樹脂も併用できる。他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(1−メチルペンテン)などのポリα−オレフィン;エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などのα−オレフィン同士の共重合体;スチレン−ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体−ジエン単量体ランダム共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのビニル単量体−ジエン単量体−ビニル単量体ランダム共重合体;などが挙げられる。他の樹脂は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは5質量部以下の範囲で使用することが好ましい。
また、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、塩酸吸収剤などの安定化剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤などの添加剤を用いてもよい。
本発明のポリプロピレンフィルム10の製造方法としては、比(L/L)の平均値αが0.3以上となるクレーター投影像Gが得られるように、表面を粗面化できる方法であればよく、エンボス法、エッチング法なども挙げられるが、添加剤などを使用せずにクレーター部を形成できることから、β型球晶を生成させたポリプロピレンキャストシートを二軸延伸する工程を有する方法が好ましい。
この方法では、まず、原料のポリプロピレン樹脂を溶融し、冷却ドラム上に押出して固化させ、例えば厚みが50〜350μm、好ましくは50〜200μm、より好ましくは80〜135μmのポリプロピレンキャストシートを製造する。ポリプロピレンキャストシートの厚さが上記範囲であると、比(L/L)の平均値αが0.3以上となるような粗面化表面を有するポリプロピレンフィルムが得られやすい。
ポリプロピレン樹脂からポリプロピレンキャストシートを得る際において、ポリプロピレン樹脂を溶融する際の温度(溶融温度)は、通常170〜320℃、好ましくは200〜300℃である。また、溶融したポリプロピレン樹脂を固化させる冷却ドラムの温度は、原料樹脂の種類にもよるが、80℃以上100℃未満が好ましく、85℃以上100℃未満が好ましい。特に、高電圧印加時の高温耐電圧特性により優れるコンデンサを製造できるポリプロピレンフィルムが得られる観点からは、冷却ドラムの温度は、93℃以上100℃未満が好ましく、93℃以上97℃以下がより好ましい。
このような温度で冷却すると、得られたポリプロピレンキャストシートには、β型球晶が多数生成する。
こうして得られたポリプロピレンキャストシートの少なくとも一方の表面について、偏光顕微鏡で観察されるβ型球晶の平均半径は、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。β型球晶の平均半径がこのような大きさのポリプロピレンキャストシートからは、比(L/L)の平均値αが0.3以上となる表面を備えたポリプロピレンフィルム10が得られやすい。
このようなサイズのβ型球晶を形成するためには、特に、冷却ドラムの温度を80℃以上100℃未満とすることが好ましく、85℃以上100℃未満がより好ましく、90℃以上100℃未満がさらに好ましく、90℃以上97℃以下が最も好ましい。
β型球晶の平均半径は、偏光顕微鏡の一視野(460×620μm)中で観察される全てのβ型球晶について計測される半径(=直径×1/2)の平均値である。直径の計測には、例えば(株)日本ローバー製の画像解析ソフト「ImagePro」を使用できる。
なお、偏光顕微鏡で観察される1つ1つのβ型球晶は、ほぼ真円状である。
また、ポリプロピレンキャストシートのX線回折法を用いて求められるβ晶分率は、1〜20%であることが好ましく、5〜18%であることがより好ましい。β晶分率が上記範囲の下限値以上であると、表面に充分な数のクレーター状の微細凹凸20が形成されたポリプロピレンフィルム10を得ることができ、上記範囲の上限値以下であると、比(L/L)の平均値αが0.3以上となりやすい。
ここでX線回折法を用いて求められるβ晶分率とは、「A.Turner−Jones
et al.,Makromol.Chem.,75巻,134頁(1964)」に記載されている方法によって算出される値であり、K値と呼ばれている値である。すなわち、α型球晶由来の3本の回折ピークの高さの和とβ型球晶由来の1本の回折ピークの高さとの総和に対する、β型球晶由来の1本の回折ピークの高さの比率を百分率で表したものを、β晶分率とした。
上述の範囲のβ晶分率は、冷却ドラムの温度、及びキャスト速度(冷却ドラムの半径および回転数により制御。)などを調整することにより制御できる。具体的には、特に限定されないが、例えば、β晶分率を小さくするためには、キャスト速度一定の条件下で、冷却ドラムの温度を下げることが挙げられる。
次に、このようにして得られたポリプロピレンキャストシートを二軸延伸する。二軸延伸の具体的方法としては、公知の方法を採用できるが、逐次二軸延伸方法を採用することが好ましい。
具体的には、ポリプロピレンキャストシートを、特定の表面温度に維持され、かつ、速度差が設けられたロール(縦延伸ロール)間に通す。縦延伸ロールの表面温度は、好ましくは142〜155℃、より好ましくは143〜150℃、さらに好ましくは144〜148℃である。これにより、流れ方向に3〜7倍に縦延伸して直ちに室温に冷却する。引き続き、テンターに導いて、150℃以上の温度で幅方向に3〜11倍に横延伸した後、緩和、熱固定を施し、巻き取る。このような延伸工程により、ポリプロピレンキャストシート中のβ型球晶がα型球晶へと変態しつつ引き伸ばされた結果、表面に多数のクレーター状の微細凹凸20が形成される。また、こうして形成された微細凹凸20から得られるクレーター投影像Gの仮想円環の形状は、二軸延伸における縦延伸および横延伸の延伸倍率に応じて、円形〜楕円形となる。
ここでポリプロピレンキャストシートにおけるβ型球晶の平均径、β晶分率や、延伸工程における縦延伸および横延伸の温度、処理速度、延伸倍率などの条件により、ポリプロピレンフィルム10の粗面化の状態、粗面化する面(両面/片面)などを制御できる。
特に、比(L/L)の平均値αが0.3以上となる表面を備えたポリプロピレンフィルム10を得るためには、ポリプロピレンキャストシートを縦延伸する際の温度の制御が重要であり、上述のとおり、縦延伸時の縦延伸ロールの表面温度を好ましくは142〜155℃、より好ましくは143〜150℃、さらに好ましくは144〜148℃とする。このような温度で縦延伸工程を行うと、縦延伸工程におけるβ型球晶からα型球晶への変態がより効率的に起こりやすくなる。その結果、クレーター状の微細凹凸20の高さが高くなりやすくなり、それにともなって、比(L/L)の平均値αが0.3以上となるクレーター部を備えたポリプロピレンフィルム10が得られやすくなる。
このようにして得られたポリプロピレンフィルム10には、コンデンサを製造する際の金属蒸着加工工程における接着特性を高める目的で、オンラインもしくはオフラインにて、コロナ放電処理を行ってもよい。コロナ放電処理としては、公知の方法を用いることができる。処理時の雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、およびこれらの混合ガスを選択することが好ましい。
以上説明したポリプロピレンフィルム10は、一方または両方の表面に、クレーター状の微細凹凸20が多数形成されることにより、表面が粗面化されたポリプロピレンフィルム10であって、光干渉式非接触表面形状測定器を用いて、粗面化された少なくとも一方の表面について、微細凹凸20のうちの高さが0.02μm以上の部分を表面へ投影した投影画像を得た場合に、該投影画像には、対をなす円弧からなるクレーター投影像Gが観測され、各クレーター投影像Gにおいて、対をなす円弧30a,30bの合計長さをLとし、対をなす円弧30a,30bを含む仮想円環の全周長さをLとして比(L/L)を求めた場合、比(L/L)の平均値αが、0.3以上となる。よって、このポリプロピレンフィルム10をコンデンサ用の誘電体フィルムとして用い、コンデンサの製造に際して素子巻き加工をする際に、均一な面間隔で巻回でき、そのため、保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性の良好なコンデンサを製造できる。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、例中の部は「質量部」を示す。
<実施例1>
ポリプロピレン樹脂(重量平均分子量(Mw)3.1×10、分子量分布(Mw/Mn)7.4、アイソタクチック成分分率97.7質量%)のペレットを押出機に供給して樹脂温度250℃の温度で溶融し、Tダイを用いて押出し、表面温度を90℃に保持した冷却ドラム(金属ドラム)に巻きつけて固化させた。このようにして得られたポリプロピレンキャストシートの厚さは約125μmであった。
ついで、このキャストシートを145℃で(縦延伸ロールの表面温度が145℃)、流れ方向に5倍縦延伸し、直ちに室温まで冷却した。ついで、テンターにて170℃で幅方向に10倍横延伸して、厚さ2.5μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム10を得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンのJIS B0601(カットオフ値:0.8mm)による、一方の表面の算術平均粗さRaは、0.05μmであった。
図1は、このようにして得られた実施例1のポリプロピレンフィルムの上述の一方の表面の光学顕微鏡写真である。
なお、ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、以下の条件で測定した。
測定器:東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵高温GPC、
HLC−8121GPC/HT型
カラム:東ソー株式会社製、TSKgel GMHhr−H(20)HTを3本連結
カラム温度:145℃
溶離液:トリクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
検量線の作製には、東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用い、測定結果はポリプロピレン値に換算した。
また、アイソタクチック成分分率は、逐次抽出法により、次のようにして求めた。すなわち、ポリプロピレン樹脂を(1)キシレンに還流下充分溶解させ、その後、室温下4時間放置した。キシレンに不溶な部分をろ別し、不溶分は次の抽出に供した。可溶分は、キシレンを乾固させ、秤量した。この質量をアタクチック成分量とした。キシレン不溶分は、ソックスレー脂肪抽出器を用い、(2)n−ペンタン、(3)n−ヘキサン、(4)n−ヘプタンの順に順次ソックスレー抽出を各々6時間実施した。n−ヘプタンにも不溶な最終的な抽出残分を秤量し、この質量をアイソタクチック成分量とした。キシレンに溶解前の樹脂質量に対する百分率比で表現した。
このようにして得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムと、延伸前のポリプロピレンキャストシートについて、以下の各項目の測定、算出を行った。結果を表1に示す。
ここで表1に記載された二軸延伸ポリプロピレンフィルムの各項目の数値は、該フィルムの上述の一方の表面における数値である。なお、他方の表面は平滑であり粗面化されていない。また、ポリプロピレンキャストシートについてのβ晶の平均半径は、該キャストシートの表面のうち、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの上述の一方の表面に対応する面についての数値である。
[ポリプロピレンキャストシート(延伸前)]
(β晶の平均径)
ポリプロピレンキャストシートの上述の一方の表面を偏光顕微鏡(ニコン製「ECLIPSE E200」)で観察し、その際に、一視野(460×620μm)中で確認される全てのβ型球晶について半径を計測し、平均半径を求めた。直径の計測には、日本ローバー製の画像解析ソフト「ImagePro」を用いた。
(β晶分率)
β晶分率は、X線回折強度測定によって求められるK値を用いて評価した。
X線回折強度測定条件は次の通り行った。
測定装置:リガク社製、X線回折装置RINT−2200
X線源:CuKα線
照射出:40KV−40mA
散乱スリット1deg
受光スリット0.3mm
走査速度1deg/min
K値は、得られた強度曲線から、以下の式を用い、α晶由来の3本の回折ピークの高さの和とβ晶由来の1本の回折ピークの比によって算出した。
K値(強度比%)=Hβ/(Hβ+Hα+HαII+HαIII)×100〔ただし、Hβはβ晶(2θ=16deg)の結晶性回折に対応するピークの強度(高さ)、Hαはα晶(110)面の結晶性回折に対応するピークの強度(高さ)、HαIIはα晶(040)面の結晶性回折に対応するピークの強度(高さ)、HαIIIはα晶(130)面の結晶性回折に対応するピークの強度(高さ)である。ただし、いずれも非晶性散乱を差し引いた後の強度(高さ)を用いた。〕
[二軸延伸ポリプロピレンフィルム]
(厚さ)
マイクロメーター(JIS−B7502)を用いて、JIS−C2330に準拠して測定した。
(クレーター投影像における比(L/L)の平均値α)
光干渉式非接触表面形状測定器として、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式 R5500GML)」を使用し、WAVEモードにて、530whiteフィルタ及び×20対物レンズを用いて、一視野あたり237μm×178μmの計測を3×3視野の複数視野計測により実施した。そして、全画像をスティッチング処理して612μm×459μmの表面形状データを得た。この操作をフィルム表面の任意の3箇所について行った。
得られたデータについて、メディアンフィルタによるノイズ除去処理を行った後、カットオフ値60μmによるガウシアンフィルタ処理を行い、うねり成分を除去した。
上述のようにして得られた任意の3箇所の各表面形状データの画像から、対をなす円弧からなるクレーター投影像を10個ずつ抽出し、それぞれについて、対をなす円弧の合計長さLと、対をなす円弧を含む仮想円環の全周長さをLとを計測し、比(L/L)を求めた。そして、得られた合計30の値を平均し、比(L/L)の平均値αを得た。なお、図3が表面形状データの画像である。また、クレーター投影像を抽出するにあたっては、異なるβ型球晶に基く円弧同士の重なり合いが認められないクレーター投影像を10個ずつ抽出した。
仮想円環の決定と、LおよびLの計測には、光干渉式非接触表面形状測定器VertScan2.0の解析ソフトウェア「VS−Viewer」のプラグイン機能「エッジ曲線長」を用いて行った。
具体的手順は以下の通りである。
(1)まず、図5(a)に示すように、円弧30aおよび円弧30b上における、互いに最も離れた2点をP、Pとし、PとPを結んだ直線(以下、直線(P−P)という。)を決定する。
(2)ついで、図5(b)に示すように、直線(P−P)の一方側(図5中では、直線(P−P)よりも上方側。)に位置する部分の円弧30a,30bの形状(位置データ)から、最小二乗法により、直線(P−P)が長軸となるような楕円(E)を導き出す。そして、この楕円(E)を構成する曲線(楕円(E)の周の一部)により、上記一方側における円弧30aと円弧30bとの間の部分を補完して補完線40aとする。なお、図5では、楕円(E)のうち、補完線40aに相当する部分以外を図示略としている。
(3)ついで、図5(c)に示すように、直線(P−P)の他方側(図5中では、直線(P−P)よりも下方側。)に位置する部分の円弧30a,30bの形状(位置データ)から、最小二乗法により、直線(P−P)が長軸となるような楕円(E)を導き出す。そして、この楕円(E)を構成する曲線(楕円(E)の周の一部)により、上記他方側における円弧30aと円弧30bとの間の部分を補完して補完線40bとする。なお、図5では、楕円(E)のうち、補完線40bに相当する部分以外を図示略としている。
(4)このように決定された補完線40a,40bと、円弧30a,30bとで連結された図5(c)に示される円環が仮想円環である。
(5)そして、この仮想円環の周における各位置(周のある点を基準とした際の距離。)に対する、各位置における微細凹凸20の高さを示す、微細凹凸20の高さプロファイルを描く。この高さプロファイルから、高さ0.02μm以上の部分に対応するクレーター投影像GにおけるLおよびLを読み取る。
なお、最小二乗法の実施に際しては、それぞれ10個(n=10)の位置データを用いた。
(仮想円環の平均長軸径)
上記(2)で得られた任意の3箇所の各表面形状データの画像から、対をなす円弧からなるクレーター投影像を10個ずつ抽出し、合計30個についての長軸径を求め、これら30のデータの平均値を仮想円環の平均長軸径とした。なお、長軸径は、すでに説明したように、円弧30aおよび円弧30b上における互いに最も離れた2点P、P間の距離(すなわち、直線(P−P)の長さ。)である(図5参照。)。
(仮想円環の単位面積(1mm)あたりの個数)
上記(2)で得られた任意の3箇所の各表面形状データの画像(612μm×459μm)について、観察された仮想円環の数をそれぞれカウントし、3箇所についてカウントされた個数の平均値を1mmあたりに換算し、仮想円環の個数とした。
<実施例2>
キャストシートの作製における、冷却ドラムの保持温度を90℃に代えて92℃にした以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンのJIS B0601による算術平均粗さRaは、0.05μmであった。また、実施例1と同様にして、各種測定、算出を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
キャストシートの作製における、冷却ドラムの保持温度を90℃に代えて95℃にした以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンのJIS B0601による算術平均粗さRaは、0.07μmであった。また、実施例1と同様にして、各種測定、算出を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
キャストシートの作製における、冷却ドラムの保持温度を90℃に代えて97℃にした以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンのJIS B0601による算術平均粗さRaは、0.10μmであった。また、実施例1と同様にして、各種測定、算出を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
キャストシートの作製における、冷却ドラムの保持温度を90℃に代えて110℃にした点と、縦延伸時の温度(縦延伸ロールの表面温度)を145℃に代えて140℃とした点以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンのJIS B0601による算術平均粗さRaは、0.15μmであった。また、実施例1と同様にして、各種測定、算出を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
キャストシートの作製における、冷却ドラムの保持温度を90℃に代えて120℃にした点と、縦延伸時の温度(縦延伸ロールの表面温度)を145℃に代えて140℃とした点以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンのJIS B0601による算術平均粗さRaは、0.22μmであった。また、実施例1と同様にして、各種測定、算出を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
特許文献1(特開2008−133446号公報)の実施例1の記載に沿って、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムの粗面化表面のJIS B0601による算術平均粗さRaは、0.14μmであった。また、実施例1と同様にして、各種測定、算出を行った。結果を表1に示す。
[コンデンサとしての評価]
上記各例で得られたポリプロピレンフィルムを誘電体フィルムとして用いて、以下のようにしてコンデンサを製造した。
ポリプロピレンフィルムに対して、アルミニウム蒸着により、フィッシュネット蒸着パターン(1mmマージン)と全蒸着(ベタ)パターン(1mmマージン)を蒸着抵抗6Ω/□にてそれぞれ施し、2種の蒸着フィルムを得た。これらをそれぞれ小幅にスリットした後、両蒸着フィルムを相合わせて、株式会社皆藤製作所製の自動巻取機「3KAW−4L(B)」を用い、巻き取り張力400gにて、956ターン巻回を行った。こうして得られた素子を120℃にて2時間熱処理し、素子端面に亜鉛金属を溶射し、コンデンサとした。得られたコンデンサの電気容量は、20μF(±1μF)であった。このコンデンサについて、以下のようにして、保安性と高電圧印加時の高温耐電圧特性を評価した。結果を表2に示す。
(保安性の評価(ステップアップ昇圧試験))
得られたコンデンサの保安性を評価するため、ステップアップ昇圧試験(疑似保安性試験)を以下の手順で行った。
(1)素子(コンデンサ)を試験温度(105℃)にて1時間予熱する。
(2)予熱後の素子の初期電気容量(C)を測定する。電気容量測定には安藤電気株式会社製LCRテスターAG4311を用いた。
(3)105℃の高温槽中で、高圧電源を用いて素子に直流0.6KVの電圧を1分間負荷する。
(4)1分間の電圧負荷後、素子の電気容量(C0.60)を測定し、負荷後の電気容量変化率(ΔC0.60/C=(C0.60−C)/C)を百分率で計算する。
(5)素子を105℃の高温槽内に戻し、電圧を0.05kV増加させてVkVの電圧を1分間負荷する。
(6)1分間の電圧負荷後、素子の電気容量(C)を測定し、初期電気容量からの電気容量変化率(ΔC/C=(C−C)/C)を百分率で計算する。
(7)上記(5)〜(6)の手順で、電圧を0.05KVずつ増加させたステップを繰り返し、電気容量変化率ΔC/Cが百分率で−95%未満となるまで繰り返す。
(8)上記(7)の手順で求めた、電気容量変化率が百分率で−10%未満となったステップの負荷電圧をその素子の保安性評価の指標とした。
なお、この際の負荷電圧が高い方が、保安性が優れる(電圧を上げていった際に、ある電圧を超えると蓄電性能が低下するが、その低下の仕方が緩やかである)。この際の負荷電圧が1000V以上であると、実用上好適である。
(高電圧印加時の高温耐電圧特性の評価)
得られたコンデンサの高温耐電圧特性の評価試験を以下の手順で行った。
まず、素子(コンデンサ)を試験温度(105℃)にて1時間予熱した後、試験前の初期の電気容量を安藤電気株式会社製LCRテスターAG4311にて評価した。次に、105℃の高温槽中にて、高圧電源を用い、素子に直流1.05KVの電圧を1分間負荷した。電圧負荷を終えた後の素子の容量をLCRテスターで測定し、電圧負荷前後の容量変化率を百分率で算出した。ついで、素子を再度高温槽内に戻し、2回目の電圧負荷を行い、2回目の容量変化(累積)を百分率で求め、これを4回繰り返した。そして、4回目の容量変化率を高温耐電圧特性の指標とした。
なお、この4回目の容量変化率の値が百分率で−50%以上であると、実用上好適である。
各実施例で得られたポリプロピレンフィルムを誘電体フィルムとして用いたコンデンサは、いずれも、素子巻き加工時に、均一な面間隔で巻回でき、そのため、保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性が良好であることが示唆された。
一方、各比較例で得られたポリプロピレンフィルムは、比(L/L)の値が0.3よりも小さいために、素子巻き加工時に面間隔が不均一な部分が発生し、そのため、コンデンサとしての保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性が不十分であった。
特開2008−133446号の実施例1の追試に相当する比較例3で得られたポリプロピレンフィルムも、コンデンサとしての保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性に劣っていた。このことから、特開2008−133446号の実施例1のフィルムのように、フィルムとしては高い絶縁破壊電圧を有するものであっても、該フィルムを用いてコンデンサを製造したときに、該コンデンサの保安性や高電圧印加時の高温耐電圧特性は、必ずしも優れないことが、理解できた。
10 ポリプロピレンフィルム
20 微細凹凸
20a,20b 凸起
30a,30b 円弧

Claims (1)

  1. 原料を溶融し冷却ドラム上で固化させてβ型球晶を生成させたキャストシートを得、
    得られたキャストシートを縦延伸した後に横延伸する、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法であって、
    前記原料は、重量平均分子量(Mw)が25万以上40万以下であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比から計算される分子量分布が4以上15以下であり、逐次抽出法で得られるアイソタクチック成分の割合が97質量%以上99質量%以下であるポリプロピレン樹脂原料(ただし、230℃で測定したときの溶融張力(MS)と溶融流動指数(MFR)が、log(MS)>−0.56log(MFR)+0.74なる関係式を満たす分岐鎖状ポリプロピレン(H)が混合されたものを除く。)であり、
    前記キャストシートは、厚みが50〜350μmであり、少なくとも一方の表面について偏光顕微鏡で観察されるβ型球晶の平均半径が10μm以下であり、X線回折法を用いて求められるβ晶分率が1〜20%であり、
    前記縦延伸の温度は142〜155℃、前記横延伸の温度は150℃以上であり、
    前記縦延伸と前記横延伸の倍率は、前記縦延伸の倍率が3〜7倍の範囲となり、前記横延伸の倍率が3〜11倍の範囲となり、得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚さが1〜7μmとなるように設定される、ことを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法。
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