JP4465845B2 - コンデンサ用ポリプロピレンフィルム及びその製造方法 - Google Patents
コンデンサ用ポリプロピレンフィルム及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は巻取り性や加工性に優れたコンデンサ用ポリプロピレンフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンフィルムは、その優れた性質から工業用途に広く用いられているが、その需要量の増大に伴い、巻き返し、細幅裁断、金属蒸着などに例示される加工工程において増能力化が進められている。
【0003】
増能力化のひとつに加工の高速化が挙げられ、工業用ポリプロピレンフィルムも高速下で取り扱われるようになっている。しかしながら、このような高速下においては搬送中や巻取り中に蛇行、ずれ、しわなどが発生し易くなり、その結果当該工程や次工程での生産性向上の阻害要因になっている。このため、高速化に対応すべく設備面での改善が検討されてきており、ひいては、ポリプロピレンフィルム自体にも高速加工性を付与することが要求され、巻取り性や走行性などが重要な品質になっている。
【0004】
従来、ポリプロピレンフィルムを蒸着やスリット加工する際に巻取るにあたり、ずれやしわを防止するために種々の提案がされている。例えば、特開昭58−16415号公報ではフィルムの両面にコロナ放電処理を施して非蒸着目的面の濡れ張力を、また特開昭63−310954号公報ではフィルムの熱収縮開始温度、すべり係数及び長さ方向のF100値を、規定することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来技術では例えば400m/分以上の高速下では走行性や巻取り性において不十分であった。例えば特開昭58−16415号公報では両面にコロナ放電処理を施すため、しわが発生しやすく、著しい場合にはフィルム同士がブロッキングするなどの支障があった。
【0006】
また、特開昭63−310954号公報に記載の方法に従った場合には蒸着加工時のしわの発生防止には効果があるものの、大気中での巻き取りや裁断加工時の蛇行や巻きズレ防止には効果がなかった。
【0007】
本発明は、例えば400m/分以上の高速加工工程でも真空中、大気中を問わず、蛇行、巻きずれ、しわ、ブロッキング、などが発生しにくく、巻き取り加工適性に優れたポリプロピレンフィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、片面にのみコロナ放電処理を施したポリプロピレンフィルムにおいて、コロナ放電処理面と他方の面とを接するように重ね合わせたときの、以下に規定する方法により測定した静摩擦係数μsが0.20以上1.80以下、以下に規定する方法により測定した動摩擦係数μdが0.07以上0.80以下であって、かつ両面の各中心線平均粗さの和が0.05μm以上0.5μm以下であることを特徴とするコンデンサ用ポリプロピレンフィルムである。
[摩擦係数]
フィルムを幅方向100mm×長さ方向75mmの大きさの長方形に裁断し、コロナ放電処理面と非処理面が接するように2枚重ね、それら2枚のフィルムの内1枚を幅方向に滑らせながら150mm/分の速度で引っ張る時の静摩擦抵抗力(g)と動摩擦抵抗力(g)をUゲージにて検出し、この検出した値を100で除して、各々静摩擦係数μs、動摩擦係数μdとする。測定数は5個とし、平均値を用いる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明におけるコンデンサ用ポリプロピレンフィルムは、コロナ放電処理面と他方の面とを接するように重ね合わせたときの静摩擦係数μsが0.20以上1.80以下、動摩擦係数μdが0.07以上0.80以下である必要がある。
【0010】
静摩擦係数μsが0.20未満ではスリットなどの巻取り工程において蛇行やずれが発生しやすくなり、不適当である。また静摩擦係数が1.80を超えるとしわが発生しやすくなる。好ましくは0.30以上1.40以下である。 また動摩擦係数μdが0.07未満ではスリットなどの巻取り工程において蛇行やずれが発生しやすくなり、不適当である。また動摩擦係数が0.80を超えるとしわが発生しやすくなる。好ましくは0.10以上0.50以下である。
【0011】
また本発明のポリプロピレンフィルムの一方の面の中心線平均粗さと他方の面の中心線平均粗さの和は0.05μm以上0.5μm以下である必要がある。上記の和が0.05μm未満では蛇行や巻きずれが発生しやすくなり、不適当である。また0.5μmを超えるとコンデンサ用途の重要特性のひとつである耐電圧特性に支障をきたすことがあるので、不適当である。好ましくは0.05μm以上0.4μm以下である。
【0012】
また本発明のポリプロピレンフィルムの表面電位の絶対値は2.0kV以下であることが好ましい。2.0kVを越えると、しわが発生しやすくなったり、蒸着加工時に静電気障害を発生する場合がある。より好ましくは1.5kV以下であり、小さすぎるとずれを起こしやすい傾向にあるので、さらに好ましくは0.1kV以上1.2kV以下である。
【0013】
また本発明のポリプロピレンフィルムの長さ方向のF5値は、特に限定されるものではないが、低すぎるとしわになりやすく、高すぎると巻きずれを起こしやすくなるので、30MPa以上80MPa以下がより好ましい。
【0014】
また本発明のポリプロピレンフィルムの幅は特に限定されるものではないが、巻取り加工における随伴空気の抜け性などの観点から、4mm以上2000mm以下がより好ましい。
【0015】
本発明のポリプロピレンフィルムを構成するポリマーは、プロピレンのホモポリマー以外に、プロピレンと他のα−オレフィン(例えばエチレン、ブテンなど)の共重合体であっても、またポリプロピレンと他のα−オレフィン重合体(例えばポリエチレン、ポリブテンなど)とのブレンドであってもかまわない。 また本発明のポリプロピレンフィルムには、その目的に応じて適宜添加剤などを含有させても差し支えないが、帯電防止剤や滑剤など摩擦係数が発現しにくく、コンデンサ用として電気特性を悪化せしめるような添加剤は含有しない方がより好ましい。
【0016】
本発明のポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスは特に限定されるものではないが、96%以上が好ましい。
【0017】
また本発明のポリプロピレンフィルムの延伸方法は特に限定されるものではなく、テンター法、インフレーション法のいずれで得たものでもかまわないし、一軸延伸であっても二軸延伸であってもかまわず、さらに二軸延伸の場合にも逐次延伸であっても同時延伸であってもかまわない。
【0018】
但し、コンデンサ用としては厚さが薄いことや厚みむらが小さいことなどが要求されることから、テンター法二軸延伸がより好ましい。
【0019】
また本発明のポリプロピレンフィルムは単層フィルムであっても積層フィルムであってもかまわない。
【0020】
また本発明のポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理に使用する電極は、特に限定されるものではなく、ワイヤー式、ブレード式、バー式、ロール式などが例示されるが、本発明においては最終回のコロナ放電処理に用いられる電極に対しては、その単位面積当たりに供給される電力が比較的小さい方が好ましく、この点で放電面積を大きくとれるバー式、ロール式が好ましい。
【0021】
また本発明のポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理電極とコロナ放電処理を施すフィルム面との距離は、小さい方が好ましく2mm以下が好ましく、ロール電極方式では電極の回転速度とフィルムの搬送速度を同速とすれば、電極とフィルムを接触させてもかまわない。
【0022】
また本発明のポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理を施す雰囲気ガスとしては大気中以外に一酸化炭素や窒素を流入させることなどが例示され、特に限定されるものではないが、摩擦係数の発現性の点で大気中が好ましい。
【0023】
また本発明のポリプロピレンフィルムの濡れ張力は、特に限定されるものではないが、蒸着加工に供する場合にはその金属蒸着膜の形成適性から34mN/m以上42mN/m以下であることがより好ましい。本発明で規定するF値及びE値でのコロナ放電処理のみで好ましい濡れ張力を得られない場合には、適当な処理強度のコロナ放電処理を複数回施し、その最終回のコロナ放電処理を本発明で規定するF値及びE値にて実施することにより、好ましい濡れ張力と適正な摩擦係数の両方を有するポリプロピレンフィルムを得ることが出来る。適正な摩擦係数を得るためには、本発明で規定するF値及びE値でのコロナ放電処理は、すべてのコロナ放電処理工程の最終で施す必要がある。最終のコロナ放電処理は摩擦係数に大きく影響するため、本発明で規定するF値及びE値でのコロナ放電処理を施した後、さらに本発明で規定するF値及びE値からはずれる強度のコロナ放電処理を施すと、好ましい摩擦係数は得られず、スリットなどの巻き取り工程において、しわ・ずれなどの障害をひきおこす。
【0024】
本発明におけるF値とはコロナ放電処理電極の単位面積当たりの放電電力を言い、(W/cm2 )で表される。
【0025】
本発明のポリプロピレンフィルムにおいて片面にコロナ放電処理を施すとき、その最終の処理におけるF値は0.1W/cm2 以上4.0W/cm2 以下である必要がある。0.1W/cm2 未満では均一放電とならず、適性な摩擦係数が得られないことから不適当である。また4.0W/cm2 を超えると摩擦係数が発現しにくく不適当である。好ましくは0.2W/cm2 以上3.7W/cm2以下である。コロナ放電処理は1回のみであってもよく、その場合には当該1回の処理が最終の処理となる。しかしながら、1回の処理では濡れの不足することがあり、複数回のコロナ放電処理を行うことが好ましい。
【0026】
本発明におけるE値とはフィルムが単位面積当たりに受ける1分間のコロナ放電電力の強さを言い、(W・min/m2 )で表される。
【0027】
本発明のポリプロピレンフィルムにおいて片面にコロナ放電処理を施すとき、その最終の処理におけるE値は0.2W・min/m2 以上4.0W・min/m2 以下である必要がある。0.2W・min/m2 未満でも4.0W・min/m2 を越えても摩擦係数が発現しにくく、不適当である。好ましくは0.5W・min/m2以上3.0W・min/m2 以下である。
【0028】
また最終回に行う摩擦係数付与のために施すコロナ放電処理の工程は、他のコロナ放電処理の直後であっても、スリット工程であっても、あるいはその後の加工時であってもかまわないが、濡れ張力の安定性の点で、他のコロナ放電処理の直後が好ましい。
【0029】
また、コロナ放電処理は適性な摩擦係数を得る点でも、ブロッキングを防止するという観点でも反対面に漏れないように配慮するのがよい。
【0030】
また、ポリプロピレンフィルムの製膜後のいずれかの工程で、静電気除去処理を施す場合の静電気除去の方法としては、交流式、直流式、高周波式、自己放電式などが挙げられるが、特に限定されない。
【0031】
また本発明のポリプロピレンフィルムを蒸着する場合の蒸着仕様は限定されるものではない。
【0032】
また、本発明のポリプロピレンフィルムを低速下での巻き取りや加工に適用しても差し支えないことは、いうまでもない。
【0033】
次に本発明の好ましいフィルムの製造方法の一例を示すが、特に限定されるものではない。
【0034】
アイソタクチックインデックスが96%以上であるポリプロピレン樹脂を210〜260℃の温度の押し出し機に供給して溶融し、スリットを施したTダイよりシート状に押し出し、30〜90℃の温度の冷却ロールで冷却固化する。この場合、冷却ロールの温度を選択することにより、面粗さを調節することができる。次に120℃〜150℃の温度で長さ方向に4〜6倍に延伸する。この場合、延伸温度と延伸倍率を選択することにより、主に長さ方向の熱収縮率やF5値を調節することができる。次いで、153〜170℃の温度で幅方向に8〜12倍に延伸する。この場合、延伸温度と延伸倍率を選択することにより主に幅方向のF5値や熱収縮率を調節することができる。
【0035】
その後、158〜168℃の温度で熱処理を施す。この後フィルムの片面に適当なコロナ放電処理を施した後、さらに同じ面を先に処理した強度よりも低い強度でコロナ放電処理を施してワインダーで巻き取る。このときコロナ放電処理が反対面に漏れないように配慮する。また適宜静電気除去を行う。こうして得られたフィルムをスリッターで裁断する。
【0036】
次に、本発明で使用した測定方法及び評価方法について説明する。
【0037】
(1)摩擦係数
フィルムを幅方向100mm×長さ方向75mmの大きさの長方形に裁断し、コロナ放電処理面と非処理面が接するように2枚重ねる。それら2枚のフィルムの内1枚を幅方向に滑らせながら150mm/分の速度で引っ張る時の静摩擦抵抗力(g)と動摩擦抵抗力(g)をUゲージにて検出し、この検出した値を100で除して、各々静摩擦係数μs、動摩擦係数μdとした。測定数は5個とし、その平均値を用いた。
【0038】
(2)中心線表面粗さRa
JIS B 0601−1982により、株式会社小坂研究所製「非接触三次元微細形状測定器(ET−30HK)」及び「三次元粗さ解析装置(MODELSPA−11)」を用いて測定した。但しカットオフは0.25mmとし、フィルムの両面を測定してその和を求めた。測定数は3とし、その平均値を用いた。
【0039】
(3)表面電位
巻き上げたフィルム巻状物の表面から50mmの距離で、スタチロンDZ(シシド電気製)にてその巻き状物の幅方向に均等割りした5点の表面電位を測定し、その平均値を用いた。
【0040】
(4)濡れ張力
JIS K 6768−1995による。測定数は3とし、その平均値を用いた。
【0041】
(5)長さ方向F5値
JIS C 2330−1995 6.3.3により、長さ方向に引っ張り試験を行い、5%伸長時の強度で表す。測定数は3とし、その平均値を用いた。
【0042】
(6)しわ、ずれ発生率
幅630mm、長さ24000mにスリットし、巻き上げたフィルムをサンプルとし、さらに幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000m4回の細幅リールに400m/minの速度でスリットし、皺、巻きずれ各々の発生率を次式により求めた。
しわ発生率(%)=しわ発生リール本数(本)/全リール数(80本)×100
ずれ発生率(%)=ずれ発生リール本数(本)/全リール数(80本)×100
なお、各々、発生率5%以下を合格とした。
【0043】
次に、本発明を実施例に基づき説明する。
【0044】
【実施例】
実施例1
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を230℃の温度の押し出し機にて溶融した後、Tダイよりシート状に押し出し、70℃の温度の冷却ロールで冷却固化した。次に135℃の温度で長さ方向に5倍に、次いで165℃の温度で幅方向に10倍に延伸し、160℃の温度で熱処理を施した。こうして得られたポリプロピレンフィルムの片面に、バー方式電極2台を用いてコロナ放電処理が反対面に漏れないように配慮しながらコロナ放電処理電極と処理されるフィルム面の距離を1.5mmにして、まず1台目を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施し、次いで2台目を用いて同一面にF値2.0W/cm2 、E値1.8W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を大気中にて施した後、コロナ放電処理面側から交流式静電気除去装置KOR型(春日電機製)を用いて、フィルムとの距離100mm、出力10kVの条件下で除電を行い、ワインダーで巻き取った。
【0045】
次にこうして巻き取ったフィルムをスリットして、幅630mm、長さ24000mのフィルム巻状物2本を採取した。このとき巻上げ部において、交流式送風型除電器BLL型(春日電機社製)にて出力を9kVとし、フィルムとの距離を150mmで除電した。こうして得たフィルムの厚さは7μmであった。また、静摩擦係数μsは0.33、動摩擦係数μdは0.23であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.04μm、反対面が0.07μmであった。また、表面電位の絶対値は0.6kV、濡れ張力は37mN/m、F5値は52MPa、であった。
【0046】
こうして得たフィルム巻状物の内1本をさらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールに400m/minの速度でスリットし、しわ及びずれの発生状況を評価した。しわ発生率、ずれ発生率ともに0%であった。また当該加工中及び加工後においてもブロッキングは発生しなかった。結果を表1に示す。
【0047】
実施例2
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を用い、まず1台目の電極を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施し、次いで2台目を用いて同一面にF値0.6W/cm2 、E値0.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施した以外は実施例1と同じ条件でポリプロピレンフィルムを得た。フィルムの厚さは7μmであった。
【0048】
またこうして得たフィルムを幅630mm、長さ24000mになるように実施例1と同じ条件でスリットした。このフィルムの静摩擦係数μsは0.27、動摩擦係数μdは0.19であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.03μm、反対面が0.07μmであった。また、表面電位の絶対値は0.8kVであり、濡れ張力は36mN/m、F5値は53MPaであった。
【0049】
さらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールにスリットし、実施例1と同じ条件で評価した。しわ発生率は0%、ずれ発生率は1.3%であった。結果を表1に示す。
【0050】
実施例3
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を用い、まず1台目の電極を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施し、次いで2台目を用いて同一面にF値3.6W/cm2 、E値3.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施した以外は実施例1と同じ条件でポリプロピレンフィルムを得た。フィルムの厚さは7μmであった。
【0051】
またこうして得たフィルムを幅630mm、長さ24000mになるように実施例1と同じ条件でスリットした。このフィルムの静摩擦係数μsは0.23、動摩擦係数μdは0.12であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.04μm、反対面が0.07μmであった。また、表面電位の絶対値は0.9kVであり、濡れ張力は39mN/m、F5値は51MPaであった。
【0052】
さらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールにスリットし、実施例1と同じ条件で評価した。しわ発生率は2.5%、ずれ発生率は3.8%であった。結果を表1に示す。
【0053】
実施例4
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を用い、50℃の温度の冷却ロールで冷却固化し、まず1台目を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施し、次いで2台目を用いて同一面にF値2.0W/cm2 、E値1.8W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を大気中にて施した以外は実施例1と同じ条件でポリプロピレンフィルムを得た。フィルムの厚さは7μmであった。
【0054】
またこうして得たフィルムを幅630mm、長さ24000mになるように実施例1と同じ条件でスリットした。このフィルムの静摩擦係数μsは0.48、動摩擦係数μdは0.39であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.02μm、反対面が0.06μmであった。また、表面電位の絶対値は1.1kVであり、濡れ張力は37mN/m、F5値は54MPaであった。
【0055】
さらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールにスリットし、実施例1と同じ条件で評価した。しわ発生率は2.5%、ずれ発生率は5.0%であった。結果を表1に示す。
【0056】
比較例1
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を用い、1台目のみの電極を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施した以外は実施例1に同じ条件でポリプロピレンフィルムを得た。フィルムの厚さは7μmであった。
【0057】
またこうして得たフィルムを幅630mm、長さ24000mになるように実施例1と同じ条件でスリットした。このフィルムの静摩擦係数μsは0.08、動摩擦係数μdは0.02であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.04μm、反対面が0.08μmであった。また、表面電位の絶対値は4.3kVであり、濡れ張力は34mN/m、F5値は52MPaであった。
【0058】
さらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールにスリットし、実施例1と同じ条件で評価した。しわ発生率は2.5%、ずれ発生率は16.3%であった。結果を表1に示す。
【0059】
比較例2
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を用い、まず1台目の電極を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施し、次いで2台目を用いて同一面にF値4.8W/cm2 、E値4.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施した以外は実施例1と同じ条件でポリプロピレンフィルムを得た。フィルムの厚さは7μmであった。
【0060】
またこうして得たフィルムを幅630mm、長さ24000mになるように実施例1と同じ条件でスリットした。このフィルムの静摩擦係数μsは0.20、動摩擦係数μdは0.03であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.03μm、反対面が0.07μmであった。また、表面電位の絶対値は6.5kVであり、濡れ張力は35mN/m、F5値は53MPaであった。
【0061】
さらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールにスリットし、実施例1と同じ条件で評価した。しわ発生率は5.0%、ずれ発生率は15.0%であった。結果を表1に示す。
【0062】
比較例3
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を用い、まず1台目の電極を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施し、次いで2台目を用いて反対面にF値2.0W/cm2 、E値1.8W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施した以外は実施例1と同じ条件でポリプロピレンフィルムを得た。フィルムの厚さは7μmであった。
【0063】
またこうして得たフィルムを幅630mm、長さ24000mになるように実施例1と同じ条件でスリットした。このフィルムの静摩擦係数μsは1.94、動摩擦係数μdは1.25であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.04μm、反対面が0.07μmであった。また、表面電位の絶対値は10.1kVであり、濡れ張力は36mN/m、F5値は52MPaであった。
【0064】
さらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールにスリットし、実施例1と同じ条件で評価した。しわ発生率は16.3%、ずれ発生率は0%であった。尚、このフィルムを幅30mmに小幅スリットする際、巻き出し部でブロッキング傾向がみられた。結果を表1に示す。
【0065】
比較例4
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を用い、20℃の温度の冷却ロールで冷却固化し、まず1台目を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施し、次いで2台目を用いて同一面にF値4. 1W/cm2 、E値4. 0W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を大気中にて施した以外は実施例1と同じ条件でポリプロピレンフィルムを得た。フィルムの厚さは7μmであった。
【0066】
またこうして得たフィルムを幅630mm、長さ24000mになるように実施例1と同じ条件でスリットした。このフィルムの静摩擦係数μsは1.04、動摩擦係数μdは0.92であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.01μm、反対面が0.02μmであった。また、表面電位の絶対値は1.7kVであり、濡れ張力は37mN/m、F5値は55MPaであった。
【0067】
さらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールにスリットし、実施例1と同じ条件で評価した。しわ発生率は10.0%、ずれ発生率は12.5%であった。結果を表1に示す。
【0068】
比較例5
アイソタクチックインデックス98%のポリプロピレン樹脂を用い、まず1台目の電極を用いてF値9.1W/cm2 、E値7.5W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施し、次いで2台目を用いて同一面にF値4.2W/cm2 、E値2.0W・min/m2 の強度でコロナ放電処理を施した以外は実施例1と同じ条件でポリプロピレンフィルムを得た。フィルムの厚さは7μmであった。
【0069】
またこうして得たフィルムを幅630mm、長さ24000mになるように実施例1と同じ条件でスリットした。このフィルムの静摩擦係数μsは0.12、動摩擦係数μdは0.05であり、中心線平均粗さRaはコロナ放電処理面が0.03μm、反対面が0.07μmであった。また、表面電位の絶対値は4.8kVであり、濡れ張力は39mN/m、F5値は51MPaであった。
【0070】
さらに小幅スリッターにて幅方向に幅30mmを20条、長さ方向に長さ6000mを4回の細幅リールにスリットし、実施例1と同じ条件で評価した。しわ発生率は3.8%、ずれ発生率は6.3%であった。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
本発明によって、400m/分以上の高速下での走行性、巻取り性に優れ、しわ、ずれが発生しにくく、かつ静電気障害の少ないコンデンサ用ポリプロピレンフィルムを得ることができた。
Claims (2)
- 片面にのみコロナ放電処理を施したポリプロピレンフィルムにおいて、コロナ放電処理面と他方の面とを接するように重ね合わせたときの、以下に規定する方法により測定した静摩擦係数μsが0.20以上1.80以下、以下に規定する方法により測定した動摩擦係数μdが0.07以上0.80以下であって、かつ両面の各中心線平均粗さの和が0.05μm以上0.5μm以下であることを特徴とするコンデンサ用ポリプロピレンフィルム。
[摩擦係数]
フィルムを幅方向100mm×長さ方向75mmの大きさの長方形に裁断し、コロナ放電処理面と非処理面が接するように2枚重ね、それら2枚のフィルムの内1枚を幅方向に滑らせながら150mm/分の速度で引っ張る時の静摩擦抵抗力(g)と動摩擦抵抗力(g)をUゲージにて検出し、この検出した値を100で除して、各々静摩擦係数μs、動摩擦係数μdとする。測定数は5個とし、平均値を用いる。 - 表面電位の絶対値が2.0kV以下である請求項1記載のコンデンサ用ポリプロピレンフィルム。
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