JP2023018781A - フィルム捲回体、微多孔膜捲回体及びその製造方法 - Google Patents

フィルム捲回体、微多孔膜捲回体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】幅300mm以上、長さ500m以上のフィルムが円筒状の巻き芯に捲回されて成る捲回体の、捲回されたフィルムの弛みを改善する。特に、長期保管後のポリオレフィン微多孔膜捲回体の、捲回されているポリオレフィン微多孔膜の弛みを改善する。【解決手段】円筒状の巻き芯4の幅方向中央部に捲回される第1のフィルムと、その第1のフィルムの左右両端に、前記巻き芯を共有して且つ近接して捲回される第2および第3のフィルムにより構成されるフィルム捲回体。前記第2及び第3のフィルムは第1のフィルムの弛み悪化防止を目的として、第1のフィルムとの間隔0mm以上5mm以下の近接した位置に捲回され、フィルムの幅をそれぞれ15mm以上とする。【選択図】図6

Description

本発明は、フィルム捲回体、微多孔膜捲回体及びその製造方法に関する。
微多孔膜は、ろ過膜、透析膜等のフィルター、電池用セパレータや電解コンデンサー用のセパレータ等の種々の分野に用いられる。これらの中でも、ポリオレフィンを樹脂材料とする微多孔膜は、耐薬品性、絶縁性、機械的強度等に優れ、シャットダウン特性を有するため、近年、二次電池用セパレータとして広く用いられている。
二次電池、例えばリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いため、パーソナルコンピュータ、携帯電話等に用いる電池として広く使用されている。また、二次電池は、電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用電源としても期待されている。
このようなポリオレフィン微多孔膜は、一般に製膜装置で連続的に製膜されて一旦中間製品として巻き取られる。その後、スリット工程で決められた幅に裁断し、円筒状の巻き芯に巻き取られ所定の長さの捲回体として供給される。電池用セパレータとして用いられるポリオレフィン微多孔膜においては、近年、さらに機能を付与するため、耐熱層や多孔質層等の機能層をコーティングにより積層するのが一般的である。そのコーティング工程において、基材であるポリオレフィン微多孔膜に弛みがあると、シワが発生して均一に塗布されなかったり、微多孔膜が破れる等の問題が発生する場合がある。そのような微多孔膜の弛みを改善する技術として、特許文献1から3が開示されている。
またポリオレフィン微多孔膜は、製膜装置で製膜された後に熱処理を施して物性を安定化させるのが一般的であるが、製膜装置で巻き取った中間製品ロールをオフラインでロール状態で熱処理する場合がある。特許文献4には耐圧縮性に優れるポリオレフィン微多孔膜の製造方法として、製膜後の微多孔膜を巻き取る際の巻取り張力条件と、その後の熱処理条件が開示されている。
特開2016-27139号公報 国際公開第2013/146585号 国際公開第2019/009245号 国際公開第2015/194504号
しかしながら、特許文献1及び2で記載している弛みを改善する技術は、主として微多孔膜自体の平面性を改善することにより弛みを改善するものであり、微多孔膜捲回体における微多孔膜の弛みを改善するものではなく、また長期保管後の弛みを改善するものではない。さらに、特許文献3には円筒状のコアにポリオレフィン微多孔膜が捲回された捲回体の、最大外径と最小外径の差を規定範囲とすることで弛みを改善することが記載されているが、捲回により積層された微多孔膜積層の厚みムラを改善することにより弛みを改善するものであり、長期保管後の弛みを改善するものではない。
また、特許文献4には製膜後のポリオレフィン微多孔膜を中間製品として巻き取る際の好ましい張力が記載されているが、幅の記載が無く、また幅や厚みとの関係が明確でないため、微多孔膜の長手方向にかかる単位断面積あたりの応力(張力)を規定するものではない。また、巻きズレやシワの改善については記載されているが、微多孔膜の弛みとの関係については記載されていない。さらに、微多孔膜の長手方向の伸び収縮特性を向上させることについては記載も示唆もされていない。
以上の点に鑑み、本発明は、フィルム捲回体及び微多孔膜捲回体の、捲回されたフィルム及び微多孔膜の弛みを改善することを目的とする。特に、ポリオレフィン微多孔膜捲回体を長期保管した後であってもポリオレフィン微多孔膜の弛みが悪化しない捲回体を得ることを目的とする。
本発明者は後に述べるフィルム捲回体の長期間保管後のフィルムの弛みの悪化メカニズムに着目し、長期保管により捲回されたフィルムの長手方向(MD)の寸法収縮が起こり、幅方向(TD)端部のMD寸法が中央部に比べて大きくなるため、フィルム端部の弛みが悪化することを見出した。本発明によれば、長期保管後であっても捲回されたフィルムのTD端部と中央部のMD収縮量を同等とすることが出来、弛みの悪化しないフィルム捲回体及び微多孔膜捲回体を得ることが出来る。
本発明は、以下の[1]~[9]に関する。
[1] 円筒状の巻き芯の端から順に第2のフィルムと第1のフィルムと第3のフィルムが捲回されて成るフィルム捲回体であって、前記第1のフィルムは幅300mm以上、長さ500m以上であり、前記第2のフィルム及び第3のフィルムはそれぞれ幅15mm以上であり、かつ第1のフィルムとの間隔が0mm以上5mm以下であるフィルム捲回体。
[2] 前記第1のフィルムの幅が300mm以上3000mm以下であり、長さが1000m以上20000m以下である、[1]に記載のフィルム捲回体。
[3] 前記フィルム捲回体は巻き芯の端から-5mm以上50mm以下の領域にフィルムが捲回されていない、[1]又[2]はに記載のフィルム捲回体。
[4] 前記フィルムが、厚み3μm以上25μm以下のポリオレフィン微多孔膜単層、または樹脂組成の異なる2層以上からなるポリオレフィン微多孔膜積層体である、[1]から[3]の何れかに記載の微多孔膜捲回体。
[5] 前記ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に多孔質層を積層している、[1]から[4]の何れかに記載の微多孔膜捲回体。
[6] 前記フィルムが非水電解液二次電池用セパレータである、[1]から[5]の何れかに記載の微多孔膜捲回体。
[7] 前記第1のフィルムの幅方向中央部のMD伸び量をEc(%)、幅方向端部のMD伸び量をEe(%)としたとき、下記(1)及び(2)を満たす[1]から[6]の何れかに記載の微多孔膜捲回体。
(1)0.1≦Ee≦0.8
(2)0.7≦(Ec/Ee)≦1.1
ここで、Ec及びEeは捲回体に捲回されている状態でのMD伸び量である。
[8] [1]から[7]の何れかに記載のフィルム捲回体の製造方法であって、スリッター装置により、幅方向で第2のフィルム、第1のフィルム、第3のフィルムとなるように同時に裁断し、この順で同一の円筒状の巻き芯に同時に巻き取ることを特徴とするフィルム捲回体の製造方法。
[9] [8]に記載のフィルム捲回体の製造方法であって、前記スリッター装置の巻取り張力を、1MPa以上10MPa以下とすることを特徴とするフィルム捲回体の製造方法。ここで、巻取り張力とは第2のフィルム、第1のフィルム及び第3のフィルムの総断面積(mm)にかかる応力(N)をその総断面積で除した値である。
本発明によれば、長さ500m程度以上の長尺のフィルム捲回体及びポリオレフィン微多孔膜捲回体の、捲回されたフィルム及びポリオレフィン微多孔膜の弛みを改善することができる。特に、長期間保管後であっても弛みの悪化しないフィルム捲回体及びポリオレフィン微多孔膜捲回体を得ることが出来る。また、膜捲回体のシワや巻きズレ等の外観不良を改善することができる。
図1(a)は、円筒状の巻き芯に巻き取り直後の微多孔膜捲回体、及び巻き出し後の微多孔膜のMD伸びと弛みの状態を示す模式図である。図1(b)は、長期間保管後の微多孔膜捲回体、及び巻き出し後の微多孔膜のMD伸びと弛みの状態を示す模式図である。 図2(a)は、作成直後の微多孔膜捲回体の、図2(b)はそれを長期間保管した後の微多孔膜捲回体のそれぞれ形状の一例を示す模式図である。破線は巻き芯の外径形状を模式的に示すものである。 図3は微多孔膜捲回体の微多孔膜捲回部の幅方向の外径偏差を測定した結果の一例であり、横軸は幅方向寸法位置を示す。図3(a)は作成直後の、図3(b)は長期間保管後のそれぞれ外径偏差を示す。 図4(a)は、引張クリープ試験における、荷重を解放後のMD伸び量E(W)の経時変化の一例を示したグラフである。図4(b)は、図4(a)の時間0秒の点(伸び量Emax(W))を除外し、横軸時間を対数に変換したグラフである。 図5は、収縮時初期長Emax(W)と、収縮初期5秒での収縮量の関係を示す図である。 図6(a)は、本発明の微多孔膜捲回体の作成直後の、図6(b)はそれを長期間保管した後の微多孔膜捲回体のそれぞれ形状の一例を示す模式図である。破線は巻き芯の外径形状を模式的に示すものである。 図7(a)(b)は、フィルム2及びフィルム3の巻き芯部に、捲回されているフィルム2及びフィルム3の捲回物を除去する仕掛け・機構の一例、及びそれを設ける方法を示す模式図である。 図8は、実施例で用いた微多孔膜捲回体の微多孔膜の弛みの測定装置、及び測定方法を示す模式図である。 図9は、微多孔膜Aの引張クリープ試験結果の一例を示す図であって、(a)は荷重を解放した後のMD寸法(寸法変化率)の経時変化を示す。(b)は、(a)の時間0秒のデータを除き横軸を対数表示としたものであり、そのときの対数近似式を示す。 図10は、微多孔膜Aについて、図9で求めた対数近似式の傾きa(W)と収縮時初期長E1(W)の関係を示し、その関係式を求めた結果を示したグラフである。 図11は、比較例1における微多孔膜捲回体の一つから微多孔膜を巻き出したときの、MD寸法(寸法変化率)の経時変化を測定した結果であり、式は対数近似式である。
以下、本発明について好ましい実施形態に基づき説明する。なお、後述する弛みのメカニズムや伸び収縮特性等について、ポリオレフィン微多孔膜を含む微多孔膜及び微多孔膜捲回体について記載するが、同様の伸び収縮特性を有する他のフィルム及びフィルム捲回体についても同様に本技術が適用できる。
1.微多孔膜捲回体の微多孔膜の弛みの発生及び悪化メカニズム
本発明の目的は、微多孔膜捲回体の、微多孔膜を巻き出した際の微多孔膜の弛みを改善することである。特に、微多孔膜捲回体を長期間保管した際の微多孔膜の弛みを改善することである。ここで、問題とする微多孔膜の弛みと、微多孔膜捲回体における微多孔膜の弛みの発生メカニズムについて以下に説明する。
樹脂フィルムは一般に、張力をかけるとその張力方向に伸びる特性があるが、特にポリオレフィン微多孔膜は比較的小さい張力でも伸び易い特性がある。さらに、張力を解放したとき、比較的長い時間をかけて収縮するという特性があり、数分から数十分かけてもとの長さまで収縮する。捲回体においてはMDに張力をかけて巻き取られるため、微多孔膜はMDに伸ばされて巻き取られる。微多孔膜に厚みムラ等無く平面性が良好であればその伸び量は幅方向で均一であり、巻取り直後であれば微多孔膜を巻き出したときのMD伸び量は幅方向において端部と中央部で差は無く、弛みは無く、幅方向断面から見たとき弛みがない(図1(a))。
一方で、捲回体に巻かれた状態であっても微多孔膜のMD伸びは保持されるが、例えば1ヶ月以上の長時間保管する間に微多孔膜の収縮応力によりMD収縮が起こる場合がある(図1(b)上段、矢印は収縮する方向を表す)。例えば円筒状の巻き芯を中心方向に収縮させるような応力によって巻き芯の径が縮小変形すると、巻かれている微多孔膜のMD収縮が起こりMD伸び量は小さくなる。そのような捲回体の微多孔膜のMD収縮が幅方向で均一に起これば問題は無いが、幅方向の特定部位で収縮量が小さい、すなわちMD伸び量が大きい状態になると、微多孔膜を巻き出した際にその伸び量が大きい部位で弛みが発生する。微多孔膜捲回体を長期間保管状態とすると、一般に幅方向の端部では収縮が起き難くMD伸び量が大きくなり、幅方向の中央部では収縮量が大きくMD伸び量が小さくなる傾向がある(図1(b)中段)。これにより、微多孔膜を巻き出した際、微多孔膜の幅方向端部で弛みが大きくなる傾向がある(図1(b)下段)。
次に、長期保管により幅方向端部で弛みが大きくなる原因メカニズムについてさらに詳しく説明する。図2(a)は、作成直後の微多孔膜捲回体の微多孔膜捲回部と巻き芯の幅方向を示す模式図である。捲回体作成直後は、微多孔膜捲回部の幅方向端部と中央部の外径は同等であり、図2(a)で示す捲回部の上下の外形線は直線である。一方、図2(b)は長期保管後の微多孔膜捲回体の幅方向の一例を示す模式図であるが、長期保管後においては一般に微多孔膜捲回部及び巻き芯の微多孔膜捲回部で外径が小さくなる傾向がある。ただし、微多孔膜捲回部の端部においては外径減少量が小さく、図2(b)に示すような形状となる。これは、捲回体保管中に微多孔膜のMD収縮応力により微多孔膜のMD収縮が起こり、それによって巻き芯の径(外径、内径)を小さくする方向に応力がかかり、巻き芯の径が小さくなるためである。逆に、微多孔膜捲回部に積層された微多孔膜のMD収縮応力が、巻き芯の径方向への圧縮強度より大きいと微多孔膜のMD収縮が起こり、コアが径方向に圧縮されてコア径が小さくなるとも言える。一方微多孔膜捲回部の幅方向端部では、巻き芯の幅方向外側の微多孔膜が捲回されていない部分においては径方向の圧縮応力が加わらないため径の変化が無く、結果として微多孔膜捲回部の端部は図2(b)に示すような形状となる。
ここで、微多孔膜捲回体の形状が図2(b)のような形状になると、微多孔膜端部のMD寸法は中央部に比べて大きくなっているため、微多孔膜を巻き出した際に幅方向端部に弛みが発生する。即ち、このようにして長期保管後に微多孔膜捲回体の微多孔膜の端部弛みが悪化する。
図3(a)は、実際の微多孔膜捲回体の作成直後の微多孔膜捲回部の、外径を捲回部全幅にわたり測定した結果を示す一例である。測定開始端部を外径偏差ゼロとし、以降その測定開始端部との外径偏差を示している。グラフは横軸が幅方向寸法、縦軸が外径偏差を示すが、全幅にわたって幅偏差は小さく、特に幅方向端部で局所的に外径が大きいということはない。幅方向中央付近から徐々に外径偏差が大きくなっているのは微多孔膜幅方向厚みが厚めになっているためである。図3(b)は、同じ微多孔膜捲回体を気温23℃から30℃、湿度50%から80%の倉庫に2か月間保管した後の、同様の微多孔膜捲回部外径偏差を測定した結果である。幅方向端部で局所的に外径が大きくなっており、中央部では外径が小さくなっている。さらにこの時、巻き芯の内径(初期値約152mm)を測定確認した結果、微多孔膜捲回部中央部が、端部に比べて約0.5mm小さくなっているのが確認できた。
以上弛み発生及び悪化メカニズムの解析に基づき、微多孔膜捲回体の、捲回されている微多孔膜のMD伸び量に着目し、弛みとの関係を調査解析した結果、弛みの良好な微多孔膜捲回体を得る方法として以下のことが分った。微多孔膜捲回体の、捲回されている微多孔膜の幅方向中央部のMD伸び量をEc(%)、幅方向端部のMD伸び量をEe(%)としたとき、下記(1)及び(2)を満たせば、弛みが良好な微多孔膜捲回体が得られ、長期保管後であっても当該条件を満たせば弛みは良好であることが分った。
(1)0.1≦Ee≦0.8、(2)0.7≦(Ec/Ee)≦1.1
ここで、幅方向端部とは端面から30mm以内の位置であり、測定用サンプルを切り出す位置をこの範囲とする。
端部のMD伸び量Eeは、弛みの緩和メカニズムを考えると大きいほど良いが、0.8%を超えるとシワや端部の耳立ち(ハイエッジとも呼ばれる)等、捲回体の外観が悪くなる。また、0.1%より小さい場合、後述する残留応力の緩和収縮の影響が大きくなり弛みが悪化する場合がある。Eeのより好ましい範囲は0.15%以上0.6%以下である。Ec/Eeは、中央部と端部の伸び量の差を比で示す指標であり、この値が0.7以上であれば弛みは良好である。より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上である。上限について、1.1を超えると中央部が凹状となる弛みが発生する場合がある。
一般に、微多孔膜捲回体の作成に於いては幅方向均一に張力をかけて捲回されるため、平面性が標準レベル以上の微多孔膜であれば作成直後のMD伸び量は幅方向で均一であり、上記(1)(2)の条件を満たす。しかしながらその一般的な微多孔膜捲回体を常温常湿(温度10℃~30℃、相対湿度35~85%)条件下で長期保管すると、前記のとおりMD伸び量が幅方向で不均一となり弛みが悪化する。例えば20日間保管後で数10%の確率で(1)(2)を満たさなくなくなる場合があり、保管期間が長くなるほどその満たさない確率は高くなる。
一方、本発明の実施形態によれば、後述する捲回体の第1のフィルムに相当する微多孔膜はMD収縮が幅方向で均一に起こるため、MD伸び量は幅方向で均一となり、長期保管後であっても(1)(2)を満たすことが可能となる。例えば常温で20日間保管後であっても(1)(2)を満たし、例えば2か月後、更にそれ以上の保管期間であっても高い確率で(1)(2)を満たす。特に、弛みの悪化し易いと言われている高温高湿条件下であっても(1)(2)を満たし、弛みは悪化しない。
2.微多孔膜MDの伸び特性
微多孔膜のMDに引張応力をかけた時の伸び特性のうち、伸び易さ及び伸び難さは、以下に示す引張クリープ試験により評価することが出来る。
微多孔膜のMD伸び易さ及び伸び難さは、微多孔膜のMDに一定荷重を一定時間かけた時の伸び量により評価することが出来る。具体的には、まず微多孔膜をシート状に切り出し応力が緩和されるまで静置した後、測定用サンプルを切り出す。切り出したサンプルを引張試験機やDMA装置等に設置し、サンプル固定部間の初期寸法を測定する。その後任意の一定荷重を任意の一定時間かけ続け、その一定時間後の寸法を測定する。例えばポリオレフィン微多孔膜における測定荷重は、例えば1MPa以上10MPa以下程度の範囲から選択することが出来る。荷重が過大になると、微多孔膜が塑性変形を起こし伸び変形が回復しなくなるため、10MPa程度を上限とするのが好ましい。また荷重をかける時間は、例えば数秒から数分程度の範囲から選択することが出来る。
以下、本発明における引張クリープ試験についてさらに詳細を示す。(1)シート状に切り出した微多孔膜を応力が緩和される状態まで静置した後、MDが長尺となるよう矩形形状の微多孔膜サンプルを切り出す。(2)温度23℃の条件にて、切り出した微多孔膜サンプルに対し、MDに5MPaの荷重を5分間加え続け、測定開始時および5分後のサンプルの寸法を測定する。(3)(2)の試験における測定開始時の寸法をL、5分後の寸法をLとしたとき、伸び量E(%)を下記により求める。
=(L-L)÷L×100
当該引張クリープ試験におけるMD伸び量が小さいほど、微多孔膜は伸び難いことになるが、ポリオレフィン微多孔膜においては一般に下記のような条件とすることで伸び難い特性を得ることが出来る。
樹脂組成において、例えばポリエチレンを主成分とする微多孔膜であれば分子量1×10以上の超高分子量ポリエチレンの含有量を高めると良く、例えば30%以上とすることで伸び難い特性を得ることが出来る。製膜条件として、MD延伸倍率を大きくすると良く、例えばMD総延伸倍率を7%以上とすると良い。さらに、微多孔膜の物性のうち特に空孔率を小さくすると微多孔膜は伸び難くなる傾向があり、例えば40%以下とすると良い。
ポリオレフィン微多孔膜が電池用セパレータとして用いられる場合、近年特に、二次電池のネルギー密度の高密度化と安全性を両立させる目的で、微多孔膜の薄膜・高強度化が求められている。ポリオレフィン微多孔膜は引張強度が強くなると、より伸び難い特性となるのが一般的であり、高強度化の要求を満たせばより伸び難い特性を有することとなる。逆に、伸び難い特性とすると高強度になると言え、高強度化の一般的な手法も前記伸び難い特性を得る方法と同様である。
3.微多孔膜MDの収縮特性
次に、微多孔膜MDの収縮特性について説明するが、微多孔膜のMD収縮には物理的に引張応力をかけて伸ばした後その応力を解放することにより発生する収縮と、製膜工程で蓄積された残留応力が比較的長時間かけて解放されることにより発生する収縮がある。
まず、MDに引張応力をかけた後の収縮特性について説明する。発明者は、微多孔膜捲回体の微多孔膜の弛みの緩和メカニズムに着目し、弛みを改善する方法として、微多孔膜捲回体から微多孔膜を巻き出したときの、巻き出し直後のMD収縮速度を大きくすることが効果的であると考え、微多孔膜MDに複数の任意の荷重をかけて伸ばした後、その荷重を解放しその収縮挙動について解析・評価を行った。
具体的には、前記引張クリープ試験に於いて微多孔膜サンプルのMDに任意の一定荷重(0.2MPa~10MPa程度)を5分間かけ続けた後、引き続いて荷重を解放しサンプルMDの寸法経時変化を5分間測定した。
なお、当該引張クリープ試験では5秒毎に寸法測定を実施しているため、収縮開始から5秒での収縮量を、収縮初期の収縮速度を代替するものとして解析・評価をおこなった。
図4(a)は、前記引張クリープ試験における、荷重を解放した後のサンプルのMD伸び量の経時変化の一例を示したものである。また、図4(b)は経時変化の時間0秒の点(Emax(W))を除外し横軸を対数に変換したグラフである。寸法測定は5秒ごとに実施した結果であるが、図4(a)から分るように最初の5秒間での収縮量が特に大きく、その後は対数関数的に寸法が収縮していることが分る。そこで、その収縮初期5秒での収縮量に着目し、収縮開始時(図4(a)の時間0秒)のMD伸び量を初期伸び量Emax(W)(%)とし、両者の関係について調査した。
図5は2種のポリエチレン微多孔膜について、初期伸び量Emax(W)と収縮初期5秒での収縮量の関係をそれぞれ示したものである。いずれの微多孔膜においても、収縮初期5秒での収縮量と初期伸び量Emax(W)には比例関係があり、初期伸び量Emax(W)が大きいほど収縮量が大きくなることが分る。ここで、初期伸び量Emax(W)を横軸、収縮初期5秒での収縮量を縦軸とした場合の近似直線の傾きを、初期収縮量係数と定義する。この初期収縮量係数が大きいということは、同じ伸び量で収縮初期の収縮量が大きくなることを示すが、図5に示す2種のポリエチレン微多孔膜では傾きはほぼ同じであった。さらに、他の複数の微多孔膜について確認した結果、ポリエチレンを主成分とするポリオレフィン微多孔膜であれば、初期収縮量係数は品種グレードによらずほぼ一定であり、0.3前後となることも分かった。
以上により、ポリオレフィン微多孔膜捲回体からポリオレフィン微多孔膜を巻き出したときのポリオレフィン微多孔膜のMD収縮速度を高めるには、ポリオレフィン微多孔膜のMD伸び量をある一定範囲にするような条件とすることが有効であり、それにより捲回体から巻き出した後のポリオレフィン微多孔膜のMD収縮が迅速に起こり、ポリオレフィン微多孔膜の弛みを改善することができる。
なお、図4(b)は、収縮時の寸法経時変化において、収縮開始から5秒以降300秒の間において対数近似により近似できることを示すものである。0秒から5秒の間の初期の時間域において、例えば0秒から1秒の間においてはその対数近似式から外れると考えられる。前記収縮初期5秒での収縮量は、その対数近似式から外れる時間域での収縮量を含めている。
次に、MD収縮特性のうち、製膜工程で蓄積された残留応力が比較的長時間かけて解放されることにより発生する収縮について説明する。微多孔膜のMD収縮については、前記引張応力による伸びの収縮の他に、もともと微多孔膜が持っている残留応力の収縮も起こる。残留応力は製膜時の延伸工程による引張応力が収縮方向の内部応力として残留するものであり、長時間かけて収縮し緩和される。残留応力は一般には製膜工程後半の熱固定工程や、製膜後のエージング工程により緩和される。しかしながら、例えばポリオレフィン微多孔膜においては製膜工程ではMDに常時張力がかけられているため、その残留応力を完全に取り除くことは不可能であり、常温であっても徐々に収縮が起こる。
4.弛みの悪化しないフィルム捲回体、微多孔膜捲回体
本発明者は、以上の弛み発生・悪化メカニズム、及び微多孔膜の伸び収縮特性を評価・解析し、鋭意検討した結果、弛みの悪化しないフィルム捲回体、及び微多孔膜捲回体の実施形態を以下のとおり見出した。
本発明のフィルム捲回体は、円筒状の巻き芯に捲回された長さ500m以上の第1のフィルムと、前記第1のフィルムの幅方向左右両端に前記巻き芯を共有して且つ前記第1のフィルムに近接してそれぞれ捲回された、幅15mm以上の第2及び第3のフィルムと、を備え、第1のフィルムと第2及び第3のフィルムとの間隔がそれぞれ0mm以上5mm以下であるフィルム捲回体である。ここで、第1のフィルムの左右両端に捲回される第2及び第3のフィルムは、第1のフィルムの弛み悪化を防止するために捲回される。具体的には、第2及び第3のフィルムが捲回されることにより、第1のフィルムの捲回部の外径が端部で大きく中央部で小さくなるのを防止することが出来、そのため長期保管後であっても弛みの悪化しないフィルム捲回体、及び微多孔膜捲回体を得ることが出来る。
ここで第2及び第3のフィルムは、第1のフィルムと同じフィルムであることが好ましいが、厚みの異なる同じフィルムであっても良い。さらに、MD収縮特性が同じ、もしくはMD収縮特性が類似する別のフィルムであっても、第1のフィルムの弛み悪化防止に効果がある。
第2及び第3のフィルムの幅は、10mm程度以上であれば第1のフィルムの弛み悪化防止に効果があるが、好ましくは15mm以上であり、より好ましくは20mm以上である。15mm以上の幅であれば、第1のフィルムの捲回部端部の外径が大きくなることを抑制することが出来るため、長期保管での弛み悪化を防止することが出来る。第2及び第3のフィルムの幅の上限は特に限定されないが、作業性や梱包輸送等の効率を考慮し、例えば100mm以下が好ましい。
第2及び第3のフィルムの巻き長さは、第1のフィルムと同じフィルムであり厚みも同じであれば、第1のフィルムと同じ巻き長さとするのがより好ましい。第2及び第3のフィルムの捲回部の積層厚みが、第1のフィルムの捲回部積層厚みの50%以上であれば第1のフィルムの弛み悪化防止に効果があり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。さらに好ましくは巻き長さが同じとなる100%である。第2及び第3のフィルムが第1のフィルムと厚みが異なる同じフィルムである場合も、同様に第2及び第3のフィルムの積層厚みが第1のフィルムの積層厚みの50%以上であれば良く、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。更に好ましくは100%である。第2及び第3のフィルムが、第1のフィルムと異なるフィルムの場合に於いては、好ましい巻き長さを試験評価により事前に検証するのが好ましい。
第1のフィルムと、第2及び第3それぞれのフィルムとの間隔は、0mm以上5mm以下であることが好ましい。当該間隔は、無い即ち0mmであることが最も好ましいが、例えば10mm以下であれば第1のフィルムの弛み改善に効果がある。好ましくは5mm以下であり、5mm以下であれば第1のフィルムの弛み改善効果がより大きくなる。より好ましくは3mm以下である。
本発明におけるフィルム捲回体及び微多孔膜捲回体は、円筒状の巻き芯に巻き取られるが、巻き芯の両端部、即ち第2のフィルム及び第3のフィルムのそれぞれ外側にフィルムが巻かれない部分が存在する場合がある。そのフィルムが巻かれない部分に於いては、フィルムの収縮応力がかからないため、巻き芯の収縮変形は発生しない。そのため、フィルムの巻かれない部分の幅は小さいほど良く、50mm以下であることが好ましく、より好ましくは30mm以下である。フィルムの巻かれない部分の幅の下限は好ましくは-5mmである。当該数字が0未満であるマイナスということは、端部において巻き芯の幅よりもフィルムの幅が大きく、端部で巻き芯の無い領域が存在することを意味する。巻き芯の無い領域が大きくなれば、巻きズレ等により捲回体の作成が困難となるが、-5mm以上(巻き芯の無い領域幅が5mm以下)であれば外観の良好なフィルム捲回体を得ることが出来る。なお、フィルムの巻かれない部分の最も好ましい幅は0mmであるが、0mm以上5mm以下であれば本発明の実施形態における第2及び第3のフィルムが無い場合、即ち第1のフィルムのみであっても第1のフィルムの弛みの悪化を抑制することが出来る。
図6は本発明のフィルム捲回体及び微多孔膜捲回体の一例を示す模式図であり、図6(a)は作成直後の捲回体を、図6(b)は長期保管後の捲回体の一例を示すものである。長期保管後に於いて、フィルム2及びフィルム3捲回部では巻き芯の径収縮が幅方向で均等でないが、フィルム1の捲回部の巻き芯の径収縮は幅方向で均等となり、したがってフィルム1のMD収縮量は幅方向で均一となるため、長期保管後であっても弛みは悪化しない。
前述のとおり、第2及び第3のフィルムは第1のフィルムの弛みの悪化を防止するために捲回されるものである。従って、第1のフィルムが製品として実際に使用される場合や、コーティング等の加工を施される場合に、事前に第2及び第3のフィルムが除去されたほうが好ましい場合がある。そのため、第2及び第3のフィルムの巻き芯固定部に、例えばフィルム捲回部を巻き芯から抜き取ることが出来るような仕掛けが施されていても良い。図6にその仕掛けの一例の模式図を示すが、これに限定されるものではない。図7(a)は巻き芯にフィルムを固定する方法を示すものであり、フィルム末端から寸法L1の位置に接着力の比較的小さい接着剤、又は両面テープ等で固定する。寸法L1は第2又は第3のフィルムの幅より大きければ良いが、フィルムの幅より20mm以上大きいことが好ましく、40mm以上大きいことがより好ましい。図7(a)の符号11で示す部位は接着剤を塗布する部位、又は両面テープを貼り付ける部位であるが、その形状や面積は特に限定されず、フィルムが固定出来れば良い。ここで、接着剤または両面テープ等の接着力は小さいことが好ましく、固定できる最小限の接着力とするのがより好ましい。例えばポリオレフィン微多孔膜であれば、例えば液状のり(ヤマト(株)製 アラビックヤマト)を水で数10倍程度に希釈したものを接着剤として用いることが出来る。次に、図7(b)に示すようにフィルムの末端部を巻き芯の外方向に略直角に折り返す。その後フィルムを捲回していくとその折り返したフィルムがフィルム捲回部からはみ出すが、その露出する長さL2は20mm以上であることが好ましく、より好ましくは40mm以上である。
フィルム捲回体を実際に使用する際には、その露出したフィルムを強く引き出すことにより、フィルム2及びフィルム3のフィルム捲回物を巻き芯から抜き取り除去することが出来る。
[ポリオレフィン微多孔膜の幅、長さ]
本発明のフィルム捲回体の、実際に製品として使用される第1のフィルムについて、特にポリオレフィン微多孔膜の場合の、好ましい幅、長さについて述べる。
本発明のポリオレフィン微多孔膜捲回体は、後にコーティングやスリット等の加工を施される。その加工を効率的に行うため、ポリオレフィン微多孔膜の幅は300mm以上であることが好ましく、より好ましくは500mm以上である。幅の上限は特に限定されないが、製膜装置において製造される製膜幅が制限され、5000mm程度以下となる。捲回体の運搬やコーティング等での作業性を考慮し、幅の上限は3000mm以下であることが好ましく、より好ましくは2000mm以下である。さらに好ましくは1500mm以下であるが、生産性の観点からより広い幅が要求される傾向がある。
本発明のポリオレフィン微多孔膜の巻き長さは、500m以上であることが好ましく、より好ましくは1000m以上である。巻き長さの上限は特に限定されないが、運搬や梱包、取り扱い等の観点から、20000m以下が好ましく、より好ましくは15000m以下であり、更に好ましくは10000m以下である。なお、近年ポリオレフィン微多孔膜の薄膜化要求が強まる傾向にあり、薄膜化により長尺化が可能となるため、また生産性の観点からも長尺化が要求される傾向がある。
5.弛みの悪化しないフィルム捲回体、微多孔膜捲回体の作成方法
次に前記弛みの悪化しないフィルム捲回体、及び微多孔膜捲回体の作成方法について述べる。第2及び第3のフィルムが第1のフィルムと厚みが同じである同じフィルムである場合、第1のフィルムと第2及び第3のフィルムを同時に一緒に巻き取るのが効率的であり、また外観上も良好な捲回体を得ることが出来る。捲回体の作成は、スリッター装置により、幅方向の裁断と巻取りを同時に行うのが好ましい。スリッター装置に於いて、幅方向で第2のフィルム、第1のフィルム、第3のフィルムの順番で同時に裁断し、この順で共通の巻き芯に同時に巻き取る。スリッター装置によるフィルム捲回体の作成は、例えばマザーロールと呼ばれる広幅の原反(フィルム捲回体)から、複数の捲回体を同時に作成する方法でも良い。また、一次スリットにより一定幅の中間製品であるフィルム捲回体を作成し、その後その中間製品を二次スリットすることにより目的とする捲回体を作成する方法でも良い。
前記マザーロールから複数の捲回体を同時に作成する場合は、幅方向で第2のフィルム、第1のフィルム、第3のフィルムの組み合わせを複数同時に裁断し、それぞれ別の巻取り軸で円筒状巻き芯に巻き取る。この際、それぞれの巻取り軸で巻き取る第2、第1、第3のフィルムの幅は、同じであっても良いし、または異なる幅であっても良い。さらに、裁断する際に隣り合う第2、第1、第3のフィルムの組合せの間、即ち1つ目の組合せの第3のフィルムと、2つ目の組合せの第2のフィルムとの間に、ダミーのフィルム幅領域を設けても良い。ここで、スリッター装置のそれぞれの巻取り軸の巻取り張力は、1MPa以上10MPa以下とするのが好ましく、さらに好ましくは2MPa以上6MPa以下である。ここで、巻取り張力とは第2のフィルム、第1のフィルム及び第3のフィルムの総断面積(mm)にかかる応力(N)をその断面積で除した値である。
次に前記一次スリットを実施した後、二次スリットにより目的とする幅の捲回体を作成する方法について述べる。まず一次スリットにおいては、例えば広幅のマザーロールから、二次スリットにおける目的とする幅より数十mm広い幅で裁断した中間製品フィルム捲回体を複数作成する。ここで、作成する中間製品フィルム捲回体の幅は、二次スリットにおける目的とする幅より数十mm、例えば50mm程度広くするのが一般的であるが、本発明においては、前記第2、第1及び第3のフィルムの幅それぞれの合計と同じ幅であっても良い。二次スリットにおいては、前記中間製品フィルム捲回体をスリット原反とし、幅方向で第2のフィルム、第1のフィルム、第3のフィルムの順番で同時に裁断し、この順で共通の巻き芯に同時に巻き取る。第2のフィルム及び第3のフィルムの幅方向外側両方、または片側をスリットエッジ(耳とも呼ばれる)として裁断し除去しても良い。その場合カットしたスリットエッジはエッジ巻き取り機等の装置で巻き取る。ここで、巻取り張力は、前記と同様1MPa以上10MPa以下とするのが好ましく、さらに好ましくは2MPa以上6MPa以下である。
[巻き芯]
巻き芯の形状、および材質は公知のものでかまわない。300mm程度以上の広幅用の巻き芯としては、例えば内径150mm(6インチ)、長さ300mm以上2100mmといった寸法の巻き芯が挙げられる。巻き芯の材質としては例えば紙(樹脂を含浸していても良い)、プラスチック(ABSなど)、FRP(繊維強化プラスチック)等が一般に用いられるが、広幅の微多孔膜捲回体を製品として提供する巻き芯としては、コストの面から紙製(樹脂を含浸していても良い)の巻き芯が広く用いられている。このような紙製巻き芯は、例えば接着剤や樹脂含浸等により強化されており、他の材質に比べて軽量で価格も安価であるため、好ましく用いられている。
紙製の巻き芯は、例えば樹脂や接着剤を含浸または含有することにより高い機械強度を得ることができる。しかしながら、主成分が紙であるため水分を吸収、および排出する特性があり、それにより、強度や寸法が変化する。例えば湿度の高い環境条件下では、水分を吸収して寸法膨張し巻き芯の外径は大きくなる。また、水分を吸収すると圧縮偏平強度などの機械強度が弱くなる。逆に乾燥条件下においては水分を排出して含水率が低下し、外径が小さくなり、機械強度は強くなる。そのような環境変化による影響を軽減するため、巻き芯に用いられる紙に特殊な樹脂を含侵させたものが知られており、例えば(株)昭和丸筒社製の「Mコア」などが市販されている。
また環境変化を考慮すると、巻き芯の材質は例えばプラスチック(ABS、ポリスチレン等)や繊維強化プラスチックが好ましいと言えるが、価格が高価であること、使用後の廃棄処理が難しい等の問題がある。
紙製巻き芯の肉厚は強度の面で8mm以上が好ましい。厚みが増すとより強度が増すが、重量や価格の面で、例えば18mm以下が好ましい。
6.捲回体の微多孔膜のMD伸び量を求める方法
前記弛みのメカニズム解析において、捲回体に捲回されている微多孔膜のMD伸び量が弛みに影響することを述べたが、そのMD伸び量を求める方法について以下に述べる。微多孔膜捲回体の、捲回されている微多孔膜のMDの伸び量は以下の方法により求めることができる。
(1)当該微多孔膜のMDに引張応力を加えた際のMD伸び量と、応力を解放した後のMD寸法経時変化の対数近似式の傾きとの関係式を求める工程と、
(2)前記微多孔膜捲回体から微多孔膜を巻き出してからのMD寸法経時変化を測定し、その対数近似式の傾きを求める工程と、
(3)前記工程(1)で求めた関係式に前記工程(2)で求めた対数近似式の傾きを代入する工程を有する方法である。以下各工程について説明する。
[工程(1)]
工程(1)では、微多孔膜のMDに引張応力を加えた際のMD伸び量と、応力を解放した後のMD寸法経時変化の対数近似式の傾きとの関係式を求める。本関係式は、検量線に相当するものであり、事前に微多孔膜の品種グレードごとにこの関係式を測定し求めておくことにより、容易に微多孔膜捲回体の微多孔膜のMD伸び量を求めることが可能となる。具体的には、下記工程(1-1)から(1-6)を有する引張クリープ試験(II)により求める。
先ず、(1-1)シート状に切り出した微多孔膜を応力が緩和される状態まで、好ましくは、室温で、24時間以上静置した後、MDが長尺となるよう矩形形状のサンプルを切り出す。
次に、(1-2)当該微多孔膜サンプルに対して、MDに一定荷重(0.2~10MPa程度)を一定時間(30~300秒程度)加え続けた後、当該負荷荷重を解放して一定時間(荷重を加えた時間と同じ時間でなくても良い)保持する。
同時に、(1-3)前記工程(1-2)開始時から終了までに亘って、当該微多孔膜のMDの寸法を連続して測定する。但し、寸法については測定開始時の寸法を基準とした寸法変化率に換算する。
続いて、(1-4)前記工程(1-2)及び前記工程(1-3)により算出される、荷重を解放した後の寸法変化率E1t(%)(縦軸)を、荷重を解放した後の時間t(秒)(横軸、対数表示)に対してプロットし、その際の対数近似式の傾きaを求める(図9参照)。ここで、傾きaとは、対数近似式(式1)におけるLn(t)の乗数の絶対値「a」をいう。
(式1) E1t=-a1×Ln(t)+b1
そして、(1-5)前記工程(1-1)から(1-4)を異なる2以上の荷重について実施する。
最後に、(1-6)それぞれの荷重における荷重を解放する瞬間、すなわち収縮時の初期長E1(W)(縦軸)をa(W)(横軸)に対してプロットし、直線近似により伸び量E1(W)と傾きa(W)との関係式
(式2) E1(W)=a×a(W)+b(a、bは定数)
を求める(図10参照)。
[工程(2)及び(3)]
工程(2)では、具体的な測定対象となる微多孔膜捲回体から微多孔膜を巻き出してからのMD寸法経時変化を測定し、その対数近似式の傾きを求める。さらに工程(3)で、前記工程(1)で求めた関係式(式2)に、工程(2)で求めた対数近似式の傾きを代入して、微多孔膜のMD伸び量を求める。具体的には、下記工程(2-1)から(2-3)及び工程(3-1)により、求める。
先ず、(2-1)微多孔膜捲回体から微多孔膜を巻き出す。その際、微多孔膜の測定する部位が剥がされた瞬間をスタート時間(0秒)とする。
次に、(2-2)巻き出した微多孔膜の測定部位から測定用サンプルを切り出し、そのサンプルのMDの寸法経時変化を測定する。寸法は測定開始時の寸法を基準として寸法変化率E2t(%)に換算する。
続いて、(2-3)前記工程(2-2)により求めたMD寸法変化率E2t(%)(縦軸)を、前記(2-1)のスタート時間を起点とする測定時間t(秒)(横軸、対数表示)に対してプロットし、その際の対数近似による近似式の傾きaを求める(図11参照)。ここで、傾きaとは、対数近似式(下記式3)におけるLn(t)の乗数の絶対値「a」をいう。
(式3) E2t=-a×Ln(t)+b
最後に、(3-1)前記工程(2-3)で求めた傾きaを、前記工程(1-6)で求めた関係式(式2)のa(W)に代入することにより、E1(W)を微多孔膜捲回体の微多孔膜のMD伸び量として求める。
ここで、工程(1)および(2)の測定環境について、温度は、例えば20℃~25℃程度の室温環境下で良いが、特に工程(1)の測定と(2)の測定における温度を同程度とする必要があり、温度差は5℃以下、好ましくは3℃以下、さらに好ましくは同じ温度とする。また、工程(2-1)および(2-2)において、サンプルを切り出す微多孔膜の長手方向の位置は捲回体の表層から3周程度微多孔膜を剥がした位置とするのが好ましく、例えば、3周目が剥がされた瞬間をスタート(時間ゼロ)とし、そこで速やかに微多孔膜をカットし、その3周目の位置から速やかにサンプルを打ち抜いて測定サンプルとする。また、幅方向端部におけるMD伸び量の測定に於いては、前記(2-2)工程においてサンプルを切り出す位置を微多孔膜の幅方向端部末端から30mm以内の位置とする。
7.ポリオレフィン微多孔膜の物性等について
以下、本発明のポリオレフィン微多孔膜捲回体のポリオレフィン微多孔膜に関し、前記伸び収縮特性以外の物性等について説明する。
[透気抵抗度]
透気抵抗度(JIS P8117:2009の透気抵抗度試験方法により得られるガーレー値)は20~800秒/100cmである(膜厚20μm換算)。透気抵抗度がこの範囲であると電池のサイクル特性が良好であり、微多孔膜を電池セパレータとして用いた場合に電池容量が大きいため本発明の微多孔膜捲回体としたときの効果が大きい。透気抵抗度が20秒/100cm/20μm未満では電池内部の温度上昇時にシャットダウンが十分に行われない恐れがある。
[空孔率]
空孔率は好ましくは25%以上60%以下、より好ましくは25%以上40%以下である。空孔率が小さいほど伸び難い傾向となるが、25%未満であると膜抵抗が大きくなり、電池セパレータとした際の電池性能が低下する。一方60%を超えると、伸び量が大きくなりすぎ、シワ等の捲回体の外観不良が発生する可能性が生じてくる。
[膜厚]
微多孔膜の膜厚は用途に応じて適宜選択できるが、例えば電池用セパレータとして使用する場合は3~30μmが好ましく、3~20μmがより好ましい。また、微多孔膜は単層膜であっても良いし、樹脂組成が異なる2層以上からなる多層膜であってもかまわない。また、微多孔膜の少なくとも片面に多孔質層が積層された積層膜であってもかまわない。多孔質層は耐熱樹脂を含む耐熱層であってもよい。
[組成]
ポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィン樹脂を主成分として含む。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。例えば、ポリオレフィン微多孔膜全量に対して、ポリエチレンを50質量%以上含むことができる。ポリエチレンとしては、特に限定されず、種々のポリエチレンを用いることができ、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が用いられる。なお、ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと他のα-オレフィンとの共重合体であってもよい。α-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。
ポリオレフィン微多孔膜は、高密度ポリエチレン(HDPE)(密度:0.920g/m以上0.970g/m以下)を含有することできる。高密度ポリエチレンを含有すると、溶融押出特性に優れ、均一な延伸加工特性に優れる。原料として用いられる高密度ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、例えば1×10以上1×10未満程度である。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。高密度ポリエチレンの含有量は、例えば、ポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、50質量%以上である。高密度ポリエチレンの含有量は、その上限が、例えば100質量%以下であり、他の成分を含む場合は、例えば90質量%以下である。
また、ポリオレフィン微多孔膜は、超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を含むことができる。原料として用いられる超高分子量ポリエチレンは、重量平均分子量(Mw)が1×10以上(100万以上)であり、好ましくは1×10以上8×10以下である。Mwが前記範囲である場合、成形性が良好となる。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。超高分子量ポリエチレンは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができ、例えばMwの異なる二種以上の超高分子量ポリエチレン同士を混合して用いてもよい。
超高分子量ポリエチレンは、例えば、ポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、例えば0質量%以上70質量%以下含むことができ、好ましくは10質量%以上60質量%以下である。超高分子量ポリエチレンの含有量が10質量%以上60質量%以下である場合、得られるポリオレフィン微多孔膜のMwを後述する特定の範囲に容易に制御しやすく、かつ押出し混練性等の生産性に優れる傾向がある。また、超高分子量ポリエチレンを含有した場合、ポリオレフィン微多孔膜を薄膜化した際にも高い機械的強度を得ることができる。
8.ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
ポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、(1)上記ポリオレフィンに成膜用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する工程、(2)ポリオレフィン溶液をダイリップより押し出した後、冷却してゲル状成形物を形成する工程、(3)ゲル状成形物を少なくとも一軸方向に延伸する工程(一次延伸工程)、(4)成膜用溶剤を除去する工程、(5)得られた膜を乾燥する工程、及び(6)乾燥した膜を再び少なくとも一軸方向に延伸する工程(二次延伸工程)を含む。更に(1)~(6)の工程の後、必要に応じて(7)熱処理工程、(8)巻取り、エージング工程、(9)電離放射による架橋処理工程、(10)親水化処理工程、(11)表面被覆処理工程等を設けてもよい。
(1)ポリオレフィン溶液の調製工程
まず、ポリオレフィンに適当な成膜用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する。ポリオレフィン溶液には必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填材等の各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
(2)ゲル状成形物の形成工程
溶融混練したポリオレフィン溶液を押出機から直接に又は別の押出機を介してダイから押し出すか、一旦冷却してペレット化した後に再度押出機を介してダイから押し出す。ダイリップとしては、通常は長方形の口金形状をしたシート用ダイリップを用いるが、他のダイリップも使用可能である。共押出用のダイリップを用いて複数層のゲル状成形物を得ることもできる。加熱溶液の押し出し速度は0.2~15m/分の範囲内であるのが好ましい。
このようにしてダイリップから押し出した溶液を冷却することによりゲル状成形物を形成する。冷却は少なくともゲル化温度以下まで50℃/分以上の速度で行うのが好ましい。このような冷却を行うことにより、ポリオレフィン相が成膜用溶剤によりミクロ相分離された構造(ポリオレフィン相と成膜用溶剤相とからなるゲル構造)を固定化できる。冷却は25℃以下まで行うのが好ましい。一般に冷却速度を遅くすると擬似細胞単位が大きくなり、得られるゲル状成形物の高次構造が粗くなるが、冷却速度を速くすると密な細胞単位となる。冷却速度を50℃/分未満にすると結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状成形物となりにくい。冷却方法としては冷風、冷却水等の冷媒に接触させる方法、冷却ロールに接触させる方法等を用いることができる。
(3)一次延伸工程
得られたシート状のゲル状成形物を少なくとも一軸方向に延伸する。延伸によりポリオレフィン結晶ラメラ層間の開裂が起こり、ポリオレフィン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。得られるフィブリルは三次元網目構造(三次元的に不規則に連結したネットワーク構造)を形成する。ゲル状成形物は成膜用溶剤を含むので、均一に延伸できる。一次延伸は、ゲル状成形物を加熱後、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法又はこれらの方法の組合せにより所定の倍率で行うことができる。一次延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよく、二軸延伸の場合、同時二軸延伸又は逐次延伸のいずれでもよいが、弛みを改善するために必要な伸び量が得られ易い点から、同時二軸延伸が好ましい。
延伸倍率はゲル状成形物の厚さにより異なるが、一軸延伸では2倍以上にするのが好ましく、3~30倍にするのがより好ましい。二軸延伸ではいずれの方向でも少なくとも3倍以上、すなわち面積倍率で9倍以上にすることにより、突刺強度が向上するため好ましい。面積倍率が9倍未満では延伸が不十分であり、高弾性及び高強度のポリオレフィン微多孔膜が得られない恐れがある。一方、面積倍率が400倍を超えると、延伸装置、延伸操作等の点で制約が生じる恐れがある。
一次延伸の温度はポリオレフィンの融点+10℃以下にするのが好ましく、結晶分散温度から融点未満の範囲内にするのがより好ましい。この延伸温度を融点+10℃超にすると、樹脂が溶融し、延伸による分子鎖の配向ができない恐れがある。一方、結晶分散温度未満では樹脂の軟化が不十分で、延伸により破膜しやすく、高倍率の延伸ができない恐れがある。結晶分散温度は、ASTM D 4065に基づいて動的粘弾性の温度特性測定により求めた。ポリオレフィンとしてPEを用いる場合、その結晶分散温度は、一般的に90~100℃である。よってポリオレフィンがPEからなる場合、延伸温度を通常90~140℃の範囲内にし、好ましくは100~130℃の範囲内にする。
(4)成膜用溶剤除去工程
成膜用溶剤の除去(洗浄)には洗浄溶媒を用いる。ポリオレフィン相は成膜用溶剤と相分離しているので、成膜用溶剤を除去すると多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒は公知のものでよい。洗浄は、延伸後の膜を洗浄溶媒に浸漬する方法、延伸後の膜に洗浄溶媒をシャワーする方法、又はこれらの組合せによる方法等により行うことができる。
(5)膜の乾燥工程
延伸及び成膜用溶剤除去により得られた膜を、加熱乾燥法、風乾法等により乾燥する。乾燥温度は、ポリオレフィンの結晶分散温度以下の温度であるのが好ましく、特に結晶分散温度より5℃以上低い温度であるのが好ましい。
(6)二次延伸工程
乾燥後の膜を、再び少なくとも一軸方向に延伸する。二次延伸は、膜を加熱しながら、一次延伸と同様にテンター法等により行うことができる。二次延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸又は逐次延伸のいずれでもよいが、同時二軸延伸が好ましい。
二次延伸の温度は、微多孔膜を構成するポリオレフィンの結晶分散温度+20℃以下にするのが好ましく、結晶分散温度+15℃以下にするのがより好ましい。二次延伸温度の下限は、ポリオレフィンの結晶分散温度にするのが好ましい。二次延伸温度を結晶分散温度+20℃超にすると、耐圧縮性が低下したり、TD方向に延伸した場合のシート幅方向の物性のばらつきが大きくなる恐れがあり、特に透気度の延伸シート幅方向のばらつきが大きくなる恐れがある。一方二次延伸温度を結晶分散温度未満にすると、ポリオレフィンの軟化が不十分となり、延伸において破膜しやすくなったり、均一に延伸できなくなる恐れがある。ポリオレフィンがPEからなる場合には、延伸温度を通常90℃~120℃の範囲内にし、好ましくは95~115℃の範囲内にする。
二次延伸の速度は延伸軸方向に3%/秒以上にすることが好ましい。例えば一軸延伸の場合、長手方向(機械方向;MD)又は横方向(幅方向;TD)に3%/秒以上にする。二軸延伸の場合、MD及びTDに各々3%/秒以上にする。二軸延伸は、同時二軸延伸、逐次延伸又は多段延伸(例えば同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよい。延伸軸方向における延伸速度(%/秒)とは、膜(シート)が二次延伸される領域において二次延伸前の延伸軸方向の長さを100%とし、1秒間当りに伸ばされる長さの割合を表す。この延伸速度を3%/秒未満にすると、耐圧縮性が低下したり、TDに延伸した場合のシート幅方向の物性のばらつきが大きくなる恐れがあり、特に透気度の延伸シート幅方向のばらつきが大きくなる恐れがある。また、生産性が低くなる恐れもある。二次延伸の速度は5%/秒以上にするのが好ましく、10%/秒以上にするのがより好ましい。二軸延伸の場合、MD及びTDの各延伸速度は3%/秒以上である限り、MDとTDで互いに異なってもよいが、互いに等しいのが好ましい。二次延伸の速度の上限に特に制限はないが、破断防止の観点から50%/秒以下であるのが好ましい。
二次延伸の一軸方向への倍率は1.1~2.5倍にするのが好ましい。例えば一軸延伸の場合、MD又はTDに1.1~2.5倍にするのが好ましく、二軸延伸の場合、MD及び方向に各々1.1~2.5倍にするのが好ましい。二軸延伸の場合、MD及びTDの各延伸倍率は1.1~2.5倍である限り、MDとTDで互いに異なってもよいが、互いに等しいのが好ましい。この倍率が1.1倍未満だと、耐圧縮性が不十分となる恐れがある。一方この倍率を2.5倍超とすると、破膜し易くなったり、耐熱収縮性が低下したりする恐れがある。二次延伸の倍率は1.1~2.0倍にするのがより好ましい。
(7)熱処理工程
二次延伸した膜を熱処理するのが好ましい。熱処理により微多孔膜の結晶が安定化し、ラメラ層が均一化する。熱処理方法としては、熱固定処理及び/又は熱緩和処理を用いればよく、熱固定処理がより好ましい。熱固定処理は、テンター方式、ロール方式又は圧延方式により行う。熱固定処理はポリオレフィン微多孔膜を構成するポリオレフィンの融点+10℃以下、好ましくは結晶分散温度以上かつ融点以下の温度範囲内で行う。
熱処理工程において、MD残留応力緩和処理を行うことも出来る。方法として例えば、複数の加温されたロール(ホット・ロール)を設置し微多孔膜を通してロールに接触させ熱処理を行うが、その際、複数のロールそれぞれの周速を段階的・連続的に減速することでMD残留応力を収縮させ緩和することが出来る。熱処理のためのロール温度は、60℃から120℃とするのが好ましく、より好ましくは80℃から100℃である。なお熱処理の効果は、搬送速度やロール数、ロールと微多孔膜との接触時間等により異なることを考慮する必要がある。ロール周速を段階的に減速する方法としては、例えばドロー制御により複数のロールそれぞれの周速度を、前半から後半にかけて段階的に小さくしていくと良い。その際の1本目のロールと最後のロールの周速度の差を1本目のロール周速度で除した総減速率は、2%から5%の範囲とするのが好ましい。ここで、例えば総減速率3%の場合、1本目のロール周速度が100m/分であれば最後のロールの周速度は97m/分ということである。
(8)巻取り、エージング工程
製膜装置により製膜されたポリオレフィン微多孔膜は、一旦中間製品ロールとして円筒状の巻き芯に巻き取った後に、エージング処理を行う。製膜されたポリオレフィン微多孔膜は、上記熱処理工程や熱固定処理工程により応力緩和が行われているが、延伸による収縮応力はさらに残っている。特に長手方向については、張力をかけて搬送するため応力緩和が難しい。そこで、中間製品ロールにおいて比較的低い温度で比較的長時間かけてエージング処理を実施し、その残留応力を緩和する。エージング温度については、高い温度とすると短時間で応力を緩和させることができるが、微多孔膜の物性が変化する。一方低い温度とすると物性変化は抑えられるが、応力を緩和させるための処理時間が長くなる。エージング処理の温度は40℃~70℃程度が好ましく、50℃~60℃程度がより好ましい。エージング時間は、数時間から数日間実施するのが好ましい。
製膜装置においてポリオレフィン微多孔膜を巻き取る際の巻取り張力は、微多孔膜の長手方向の伸びを極力小さくするよう、低い張力で巻き取るのが良い。後の、エージング処理により微多孔膜長手方向の収縮が起こるが、長手方向の寸法変化は巻き芯により固定されているため、その収縮応力は長手方向伸びとなって蓄積される。即ち、エージング処理後の中間製品ロールから微多孔膜を巻き出した際の収縮量は、製膜装置で巻き取った直後の伸び量よりさらに大きくなる。一方で、長手方向に伸びた状態でエージング処理の熱が加わることにより、その伸び変形が、元に戻らない塑性変形へと変化する現象が同時に発生する。その結果、微多孔膜の長手方向の伸び特性が変化し、伸び難い特性へと変化する。そのため、前記エージング処理での収縮を考慮し、製膜装置での中間製品ロールの巻取り張力は低い張力とすると良い。製膜装置での中間製品ロールの巻取り張力は、0.3MPaから1.0MPaとするのが好ましく、より好ましくは0.5MPaから0.7MPaである。なお、低張力であっても巻きズレ無く巻き取る方法として、例えばタッチロールを用いる巻取り方法等がある。
(9)膜の架橋処理工程
二次延伸した微多孔膜に対して、電離放射による架橋処理を施してもよい。
(10)親水化処理工程
二次延伸した微多孔膜を親水化処理してもよい。親水化処理としては、モノマーグラフト処理、界面活性剤処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等を用いる。得られた親水化微多孔膜は乾燥する。乾燥に際しては透過性を向上させるため、ポリオレフィン微多孔膜の融点以下の温度で収縮を防止しながら熱処理するのが好ましい。収縮を防止しながら熱処理する方法としては、例えば親水化微多孔膜に上記熱処理を施す方法が挙げられる。
(11)表面被覆処理工程
二次延伸した微多孔膜は、ポリプロピレンやポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂多孔質体、またポリイミド、ポリフェニレンスルフィド等の多孔質体等で表面を被覆することにより、電池用セパレータとして用いた場合のメルトダウン特性が向上する。

以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[測定・評価]
(I)膜厚、空孔率
微多孔膜の膜厚は、微多孔膜の95mm×95mmの範囲内における5点の膜厚を接触厚み計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック)により測定して得られた値の平均値とした。空孔率は、空孔の体積率を微多孔膜の膜厚、面積、質量、密度(0.99g/cm)から算出する方法により求めた。微多孔膜から切り出したサンプル(95mm×95mm)の膜厚、質量を測定し、以下の式によって、空孔率を算出した。
空孔率(%)=1-質量/(膜厚×面積×密度)。
(II)微多孔膜捲回体の弛みの測定
実施例、比較例及び参考例の微多孔膜捲回体から微多孔膜を巻き出したときの弛みの測定は、以下に示す方法で実施した。微多孔膜捲回体から微多孔膜を巻き出したときの弛みは、図8(a)に概略図を示す装置を用いて測定評価した。微多孔膜捲回体を巻き出しにセットした後、微多孔膜を巻き出して1.5m間隔で水平平行に設置された2本のロールにかかるようにし、端部に300gの棒状の重りを取り付けて、図8(a)に示すような状態とした。重りの取り付けは両面テープにて貼り付けることにより実施した。微多孔膜を巻き出しにセットして微多孔膜を巻き出した時にストップウオッチをスタートし、微多孔膜を巻き出してから30秒後に、図8(b)に示す弛み寸法を、(株)キーエンス製二次元レーザ変位センサ(LJ-V7200)を用いて測定した。レーザ変位センサは、レーザ光(線状)が微多孔膜MDと直行する角度で、ロール間中央の微多孔膜端面位置(両端部2箇所)に設置固定して測定を実施した。なお、1.5mのロール間で図8(b)に示す弛み寸法が最大となるのはロール間中央付近であり、中央の測定値を弛み量とした。また、合格基準は弛み量20mm以下とし、両端部とも20mm以下であれば合格、片側または両端部で20mmを超えた場合は不合格とした。
(III)微多孔膜捲回体の微多孔膜のMD伸び量の測定
微多孔膜捲回体の、微多孔膜のMD伸び量を測定した結果を以下に示す。比較例1により得られた微多孔膜A及び微多孔膜Aの捲回体についての測定評価結果の一例を以下に示すが、他の実施例、比較例、及び参考例の微多孔膜及び微多孔膜捲回体についても同様の方法で求めた。微多孔膜Aの、比較例1の捲回体の微多孔膜の幅方向中央位置のMD伸び量は、前記「6.捲回体の微多孔膜のMD伸び量を求める方法」に従って求めた。
[工程(1)]
(1-1)後述する製膜例1により製膜した微多孔膜Aについて、中間製品ロールから巻き出してシート状に切り出した微多孔膜Aを微多孔膜Aの応力が緩和される状態まで24時間、23℃で静置した後、MDが長尺となるよう10mm×50mmの矩形形状のサンプルを(株)ダンベル製打ち抜き器により切り出した。
(1-2)当該サンプルに対して、引張クリープ試験(II)をDMA装置(TAインスツルメント社製、RSA-G2)により実施した。温度23℃、チャック間距離20mmとし、MDに5分間荷重をかけ続けた後、その荷重を解放し5分間保持した。
(1-3)また、引張クリープ試験テスト開始から終了するまでの間、チャック間の寸法を5秒ごとに測定した。寸法は測定開始時の寸法を基準とした寸法変化率E1tに変換した。
(1-4)荷重を解放した後の寸法変化率E1t(縦軸)を荷重解放後の時間t(横軸)に対してプロットすると図9(a)のとおりとなる。ここで、時間0秒における寸法を収縮時初期長E1(W)とした。図9(b)は、図9(a)の時間0秒のプロットを除外し、横軸の時間tを対数表示としたものであり、各テスト荷重における対数近似式を求めた結果を示す。ここで、それぞれの対数近似式は
(式1) E1t=-a×Ln(t)+b
の形で示され、荷重Wにおける式のaをa(W)と表す。
(1-5)前記工程(1-1)から(1-4)を1.5MPa、2.5MPa、5.0MPa、7.5MPaの4つの荷重について、それぞれ実施した。
(1-6)各荷重Wにおける、収縮時初期長E1(W)、対数近似式(式1)の傾きa(W)を表1に示した。
Figure 2023018781000002
各荷重Wにおける収縮時初期長E1(W)(縦軸)を、上記で求めたa(W)(横軸)に対してプロットして関係式
(式2-A) E1(W)=10.413×a(W)-0.0094
を求めた(図10)。
[工程(2)]
(2-1)次に、比較例1で作成した微多孔膜Aの捲回体6本のうちの1本について、微多孔膜捲回体の表層から微多孔膜Aを3周にわたり剥がし取り、その3周目からサンプルを打ち抜いた。サンプルを打ち抜く部位が捲回体から剥がされた瞬間をスタート時間(0秒)とし、時間の計測を開始した。
(2-2)サンプルの打ち抜きは剥がした微多孔膜Aから(株)ダンベル製打ち抜き器により速やかにおこなった。サンプルサイズは、MDが長尺となるよう10mm×50mm(MD)とし、サンプル打ち抜き位置は微多孔膜幅方向中央の位置とした。そのサンプルを二次元高速寸法測定器(キーエンス社製、TM-065R)にてMDの寸法経時変化を測定した。測定開始は(2-1)のスタート時間から60秒後とし、以降5分間の寸法経時変化を測定した。測定開始時の寸法を基準として換算した寸法変化率E2t(%)を求めた。工程(2-1)、工程(2-2)の作業及び測定は温度23℃の条件下で実施した。
(2-3)寸法変化率E2t(%)を、上記(2-1)のスタート時間を起点とする測定時間t(秒)(横軸、対数表示)に対してプロットすると図11のとおりとなり、その対数近似式は
(式3-A) E2t=-0.022×Ln(t)+0.09
となった。つまり、傾きaは0.022であった。
[工程(3)]
工程(2-3)で得られた対数近似式(式3-A)の傾き0.022を、前記工程(1-6)で得られた関係式(式2-A)に代入すると、E1(W)は0.22%となった。即ち、測定した比較例1の捲回体の、捲回されている状態での微多孔膜Aの幅方向中央位置における、MD伸び量は0.22%であることが分った。
なお、別途測定した幅方向端部における微多孔膜のMD伸び量の測定に於いては、前記(2-2)工程においてサンプルを打ち抜く位置を微多孔膜の幅方向端部末端から30mm以内の範囲とした。
次に、本発明の実施例及び比較例の捲回体に用いた、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法について、製膜例として以下に述べる。
[製膜例1:微多孔膜A]
質量平均分子量(Mw)が2.5×10の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)40質量%と、Mwが2.8×10の高密度ポリエチレン(HDPE)60質量%とからなるポリエチレン(PE)組成物100質量部に、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.375質量部をドライブレンドし、混合物を得た。得られたポリエチレン組成物を25重量%となるように二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[50cst(40℃)]を75重量%となるように供給し、210℃の条件で溶融混練して、ポリエチレン溶液を調製した。このポリエチレン溶液を二軸押出機に設けたTダイから押し出し、40℃に温調した冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。得られたゲル状シートを、テンター延伸機により120℃で長手方向および幅方向ともに5倍に同時二軸延伸し、そのままテンター延伸装置に固定して長手および幅方向の両方向に寸法変化が無いように、120℃の温度で10秒間、熱固定処理した。次いで延伸したゲル状シートを塩化メチレン浴中に浸漬し、流動パラフィンを除去し、洗浄して得られたポリエチレン微多孔膜を風乾した。得られたポリエチレン微多孔膜を、ロール延伸装置により温度110℃にて縦方向(MD)に二次延伸及び緩和を行った後、さらに、テンター延伸装置により温度130℃にて幅方向(TD)の二次延伸及び緩和を行った。当該MD二次延伸及び緩和における延伸倍率は1.55倍、TD二次延伸及び緩和における延伸倍率は1.65倍(MD延伸前の幅を1とする)とした。その後、テンター延伸装置に固定してMDおよびTDの両方向に寸法変化が無いように、130℃の温度で20秒間熱固定処理した。さらに、加温ロール6本を配したホットロール装置に微多孔膜を通してMD応力緩和処理を行った。それぞれのロールの周速度をドロー制御により段階的に減速し1本目のロール周速度に対し、最後のロールの周速度が97%となるようにして、MD応力緩和処理を行った。その後連続して、巻取り張力0.6MPaでFRP(繊維強化プラスチック)製の巻き芯(内径6インチ)に巻取り、6200m巻きの中間製品ロールを複数本得た。中間製品ロールを58℃の保管庫に24時間投入し、エージング処理した。こうして得られた実施例1のポリエチレン微多孔膜を微多孔膜Aとする。
微多孔膜Aの厚みは5.5μm、空孔率は38%であった。また前記測定・評価方法(III)に記載の引張クリープ試験(II)の方法で実施した、5MPaの荷重を5分間かけ続けた時の伸び量は0.58%であった。
[製膜例2:微多孔膜B]
質量平均分子量(Mw)が2.0×10の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)30質量%と、Mwが3.5×10の高密度ポリエチレン(HDPE)70質量%とからなるポリエチレン(PE)組成物100質量部に、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.375質量部をドライブレンドし、混合物を得た。得られたポリエチレン組成物を28重量%となるように二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[50cst(40℃)]を72重量%となるように供給し、210℃の条件で溶融混練して、ポリエチレン溶液を調製した。得られたポリエチレン溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、シート状成形体となるように押し出した。押し出した成形体を、35℃に温調した冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。得られたゲル状シートを延伸温度115℃で7倍になるようにロール方式で縦延伸を行い、引き続いてテンターに導き、延伸倍率7.5倍、延伸温度115℃にて横延伸を実施した。延伸後の膜を25℃に温調した塩化メチレンの洗浄槽内にて洗浄し、流動パラフィンを除去した。得られたポリエチレン微多孔膜を、テンター延伸装置により130℃で幅方向に1.4倍に再延伸した後、そのままテンター延伸装置に固定して長手および幅方向の両方向に寸法変化が無いように、130℃の温度で20秒間、熱固定処理した。続いて、テンター装置により、90℃で幅方向に緩和率15%で緩和させた(熱緩和)。さらに、加温ロール6本を配したホットロール装置に微多孔膜を通してMD応力緩和処理を行った。ホットロール装置のロール温度は95℃とし、それぞれのロールの周速度をドロー制御により段階的に減速し1本目のロール周速度に対し、最後のロールの周速度が97%となるようにして、MD応力緩和処理を行った。その後連続して、巻取り張力0.65MPaでFRP製の巻き芯(内径12インチ)に巻取り、8200m巻きの中間製品ロールを複数本得た。中間製品ロールを60℃の保管庫に24時間投入し、エージング処理した。得られた微多孔膜を微多孔膜Bとする。
微多孔膜Bの厚みは12.0μm、空孔率は43%であった。また前記測定・評価方法(III)に記載の引張クリープ試験(II)の方法で実施した、5MPaの荷重を5分間かけ続けた時の伸び量は0.74%であった。
[製膜例3:微多孔膜C]
第一のポリオレフィン溶液として、Mwが5.6×10の高密度ポリエチレン(HDPE)50質量%、及びMwが1.6×10のポリプロピレン(PP)50質量%からなるポリオレフィン系樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物30質量部を、二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]70質量部を供給し、溶融混練して、第一のポリオレフィン溶液を調製した。第二のポリオレフィン溶液として、Mwが2.0×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)40質量%、及びMwが5.6×10の高密度ポリチレン(HDPE)60質量%からなるポリエチレン系樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物25質量部を、二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]75質量部を供給し、溶融混練して、第二のポリオレフィン溶液を調製した。第一及び第二のポリオレフィン溶液を、各二軸押出機から三層用Tダイに供給し、第一のポリオレフィン溶液/第二のポリオレフィン溶液/第一のポリオレフィン溶液の層厚比が10/80/10となるように押し出し、31℃に温調した冷却ロールに引き取りながら冷却し、ゲル状三層シートを形成した。ゲル状三層シートを、114℃で5×5倍に同時2軸延伸を実施した後、塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。得られた積層微多孔膜を、テンター延伸機により幅方向の最終倍率が1.2倍となるよう再延伸と緩和を行って、ポリオレフィン3層微多孔膜を作成した。その後連続して、巻取り張力0.6MPaでFRP(繊維強化プラスチック)製の巻き芯(内径6インチ)に巻取り、6200m巻きの中間製品ロールを複数本得た。中間製品ロールを58℃の保管庫に24時間投入し、エージング処理した。得られた微多孔膜を微多孔膜Cとする。
微多孔膜Cの厚みは9.5μm、空孔率は45%であった。また前記測定・評価方法(III)に記載の引張クリープ試験(II)の方法で実施した、5MPaの荷重を5分間かけ続けた時の伸び量は1.25%であった。
[実施例1]
製膜例1の微多孔膜Aの中間製品ロールを用いて、実施例1の微多孔膜捲回体を6本作製した。一次スリットを行った後に、再度二次スリットを行う方法にて作成した。
(一次スリット)
微多孔膜Aの、前記エージング後の中間製品ロール(有効幅1680mm、長さ6200m)を西村製作所製スリッターにより一次スリットした。幅方向2本取りとし、800mm幅3070m巻きの中間製品ロールを作成した。一次スリットにおける巻取り張力は2本の巻き取り軸それぞれ20Nとし、スリット速度は100m/分とした。また、巻取り巻き芯は紙製((株)昭和丸筒製Gコア、内径6インチ、肉厚10mm)、長さ900mmとした。同様の方法で、複数本の微多孔膜Aの中間製品ロールを作成した。
(二次スリット)
一次スリット後の中間製品ロールについて、下記の条件で二次スリットし、微多孔膜Aの捲回体を作成した。(株)西村製作所製スリッター(TH513)により、前記「第1のフィルム」に相当する微多孔膜の幅が750mmとなるようスリットし、両端のエッジ部(前記第2及び第3のフィルムに相当、各25mm幅)を同時に同じ巻き芯に巻取り、3000m巻きの微多孔膜捲回体6本を作成した。
二次スリット条件
スリット作業環境温度:23±1℃
スリット幅:750mm (第1のフィルムに相当)
エッジ幅:両端各25mm (第2及び第3のフィルムに相当)
スリット速度:90m/分
巻取り巻き芯(コア):紙製巻き芯((株)昭和丸筒製 Mコア)
巻取り巻き芯寸法:内径6インチ、肉厚8mm、長さ(幅)840mm
巻出し張力:4.5MPa(18N/800mm幅)
巻取り張力:5.0MPa(22N/800mm幅)
(同時に巻き取る750mm幅と両端エッジ幅にかかる張力の合計)。
両端部エッジの巻き芯への固定においては、図7に示す方法で端部を外側に折り返し、各エッジの捲回物を後に巻き芯から除去できる仕掛けを施した。寸法L1は60mmとし、L2はそれぞれ約35mmであった。巻き芯への固定は、約10mm×10mmにカットした両面テープ(DIC(株)製 #8606TN)を用いた。なお、後述する捲回体の測定評価終了後に、巻き芯から露出しているフィルム端を引張り、巻き芯側のフィルムを1m程度引き出すことで、エッジ捲回物積層を抜き取り除去することが可能なことを確認した。
巻き取り後の第1のフィルムと、第2及び第3のフィルムの間隔は何れも0.5mm以下であった。また巻き芯の両端部微多孔膜の捲回されていない部分の幅はそれぞれ20mmであった。
[実施例2]
製膜例2の微多孔膜Bの中間製品ロールを用いて、実施例2の微多孔膜捲回体を6本作製した。一次スリットを行った後に、再度二次スリットを行う方法にて作成した。
(一次スリット)
前記エージング後の中間製品ロール(有効幅2750mm、長さ8200m)を西村製作所製スリッターにより一次スリットした。幅方向3本取り、長さ方向2本取りとし、880mm幅4070m巻きの中間製品ロール6本を作成した。一次スリットにおける巻取り張力は3本の巻き取り軸それぞれ40Nとし、スリット速度は100m/分とした。また、巻取り巻き芯は紙製((株)昭和丸筒製Mコア、内径6インチ、肉厚12mm)、長さ980mmとした。同様の方法で、複数本の微多孔膜Bの中間ロール製品を作成した。
(二次スリット)
一次スリット後の中間製品ロールについて、下記の条件で二次スリットし、微多孔膜Bの捲回体を作成した。(株)西村製作所製スリッター(TH513)により、前記「第1のフィルム」に相当する微多孔膜の幅が820mmとなるようスリットし、両端のエッジ部(前記第2及び第3のフィルムに相当、各30mm幅)を同時に同じ巻き芯に巻取り、4000m巻きの微多孔膜捲回体6本を作成した。
二次スリット条件
スリット作業環境温度:23±1℃
スリット幅:820mm (第1のフィルムに相当)
エッジ幅:両端各30mm (第2及び第3のフィルムに相当)
スリット速度:90m/分
巻取り巻き芯(コア):紙製巻き芯((株)昭和丸筒製 Mコア)
巻取り巻き芯寸法:内径6インチ、肉厚12mm、長さ(幅)930mm
巻出し張力:3.5MPa(37N/880mm幅)
巻取り張力:5.0MPa(53N/880mm幅)
(同時に巻き取る820mm幅と両端エッジ幅にかかる張力の合計)。
両端部エッジの巻き芯への固定においては、図7に示す方法で端部を外側に折り返し、各エッジの捲回物を後に巻き芯から除去できる仕掛けを施した。寸法L1は60mmとし、L2はそれぞれ約30mmであった。巻き芯への固定は、液状のり(ヤマト(株)製 アラビックヤマトを水で30倍に希釈)を用いた。なお、後述する捲回体の測定評価終了後に、巻き芯から露出しているフィルム端を引張り、巻き芯側のフィルムを1m程度引き出すことで、エッジ捲回物積層を抜き取り除去することが可能なことを確認した。
巻き取り後の第1のフィルムと、第2及び第3のフィルムの間隔は何れも0.5mm以下であった。また巻き芯の両端部微多孔膜の捲回されていない部分の幅はそれぞれ25mmであった。
[実施例3]
実施例2と同様の微多孔膜捲回体を、前記エージング後の中間製品ロールから直接1回のスリットで作成する方法にて作成した。前記実施例2の一次スリットにおいて、幅方向順番にスリット幅を、30mm/820mm/30mm/30mm/820mm/30mm/30mm/820mm/30mmとし、3つの巻取り軸にてそれぞれで、30mm/820mm/30mm幅の組合せを同時に巻取り、実施例2と同様の捲回体を作成した。スリット速度、それぞれの巻取り軸における巻取り張力、巻き芯の仕様は実施例2の二次スリットと同様とし、実施例3の微多孔膜捲回体6本を作成した。
巻き取り後の第1のフィルムと、第2及び第3のフィルムの間隔は何れも0.5mm以下であった。また巻き芯の両端部微多孔膜の捲回されていない部分の幅はそれぞれ25mmであった。
[実施例4]
製膜例3の微多孔膜Cの中間製品ロールを用いて、実施例4の微多孔膜捲回体を6本作製した。一次スリットを行った後に、再度二次スリットを行う方法にて作成した。
(一次スリット)
前記エージング後の中間製品ロール(有効幅2000mm、長さ6200m)を西村製作所製スリッターにより一次スリットした。幅方向3本取り、長さ方向2本取りとし、650mm幅3070m巻きの中間製品ロール6本を作成した。一次スリットにおける巻取り張力は3本の巻き取り軸それぞれ20Nとし、スリット速度は100m/分とした。また、巻取り巻き芯は紙製((株)昭和丸筒製Gコア、内径6インチ、肉厚10mm)、長さ750mmとした。同様の方法で、複数本の微多孔膜Cの中間ロール製品を作成した。
(二次スリット)
一次スリット後の中間製品ロールについて、下記の条件で二次スリットし、微多孔膜Cの捲回体を作成した。(株)西村製作所製スリッター(TH513)により、前記「第1のフィルム」に相当する微多孔膜の幅が580mmとなるようスリットし、両端のエッジ部(前記第2及び第3のフィルムに相当、各35mm幅)を同時に同じ巻き芯に巻取り、3000m巻きの微多孔膜捲回体6本を作成した。
二次スリット条件
スリット作業環境温度:23±1℃
スリット幅:580mm (第1のフィルムに相当)
エッジ幅:両端各35mm (第2及び第3のフィルムに相当)
スリット速度:90m/分
巻取り巻き芯(コア):紙製巻き芯((株)昭和丸筒製 Gコア)
巻取り巻き芯寸法:内径6インチ、肉厚10mm、長さ(幅)750mm
巻出し張力:1.6MPa(10N/650mm幅)
巻取り張力:2.0MPa(12.5N/650mm幅)
(同時に巻き取る580mm幅と両端エッジ幅にかかる張力の合計)。
巻き取り後の第1のフィルムと、第2及び第3のフィルムの間隔は何れも1.0mm以下であった。また捲回体の巻き芯の両端部微多孔膜の捲回されていない部分の幅はそれぞれ50mmであった。
[比較例1]
二次スリットにおいて、第2及び第3のフィルムに相当するエッジ部を同時に巻き取らず別の巻き取り装置にて巻き取った。それ以外は実施例1と同様の方法で、微多孔膜Aの捲回体6本を作成した。巻取り張力は750mm幅で5.0MPaとなるよう、21N/750mm幅とした。捲回体の巻き芯の両端部微多孔膜の捲回されていない部分の幅はそれぞれ45mmであった。
[比較例2]
二次スリットにおいて、第2及び第3のフィルムに相当するエッジ部を同時に巻き取らず別の巻き取り装置にて巻き取った。それ以外は実施例2と同様の方法で、微多孔膜Bの捲回体6本を作成した。巻取り張力は820mm幅で5.0MPaとなるよう、49N/820mm幅とした。捲回体の巻き芯の両端部微多孔膜の捲回されていない部分の幅はそれぞれ55mmであった。
[比較例3]
二次スリットにおいて、第2及び第3のフィルムに相当するエッジ部を同時に巻き取らず別の巻き取り装置にて巻き取った。それ以外は実施例4と同様の方法で、微多孔膜Cの捲回体6本を作成した。巻取り張力は580mm幅で2.0MPaとなるよう、11N/580mm幅とした。捲回体の巻き芯の両端部微多孔膜の捲回されていない部分の幅はそれぞれ85mmであった。
[参考例]
巻き芯の長さを820mmとし、それ以外は比較例2と同様の方法で微多孔膜Bの捲回体を6本作製した。捲回体の巻き芯の両端部微多孔膜の捲回されていない部分の幅はそれぞれ0mmであった。
[捲回体の測定・評価]
捲回体の弛み及びMD伸び量の測定・評価は、捲回体の作成直後24時間以内、及び捲回体作成後捲回体を常温常湿の条件下で2か月間保管した後に実施した。保管期間の保管場所の温度は20℃から28℃、相対湿度は41%から82%の範囲内であった。MD伸び量については、実施例1から4、比較例1から3、及び参考例それぞれ6本の捲回体のうち、弛みの最も大きかった捲回体について測定・評価した。捲回体の幅方向中央位置、及び弛みの大きいほうの端部の端面から30mm以内の位置について前記測定・評価方法に記載の方法で測定した。なお、実施例の捲回体については、本発明の第1のフィルムに相当する中央部に捲回された微多孔膜について評価した。表2に捲回体の測定・評価結果を示す。弛みの測定結果については、作成した6本の捲回体の両端部を測定した12のデータの平均値、最大値、最小値を示す。
捲回体の作成直後に於いては、実施例、比較例及び参考例それぞれにおける全ての捲回体で弛みは20mm以下で良好であった。また、それぞれ6本の捲回体のうち弛みの最も大きかった捲回体について測定した幅方向中央部と端部のMD伸び量は、何れも中央と端部で大きな差は無く、Ec/Eeの値は何れも0.95以上であった。中央部と端部で伸び量に大きな差が無いため、弛みが良好であったと考えられる。
2か月保管後の弛みについて、本発明の第2及び第3のフィルムに相当するエッジ部を同時に巻き取った実施例1から4においては、弛み平均値は何れも10mm以下であり、また最大値についても15mm以下であり、長期保管後であっても弛みは良好であった。また、捲回されている微多孔膜のMD伸び量について、弛みの最も大きい捲回体であっても幅方向中央部と端部の差は0.05%以下と小さい結果であり、Ec/Eeの値は何れも0.8以上であった。保管期間中に幅方向で均一にMD収縮が起こり、その結果弛みが悪化せず良好であったと考えられる。一方、比較例1及び2については弛み平均値が21mmであり、また最大値は35mmと大きく、長期保管により弛みが悪化した。比較例3についても、平均値、最大値ともに合格基準である20mmを超える値であった。また、捲回されている微多孔膜のMD伸び量については、何れも端部のMD伸び量が中央部に比べて0.2%以上大きく、Ec/Eeの値は0.7より小さい値となった。長期保管中における捲回状態での幅方向中央部でのMD収縮量が端部に比べて大きく、その結果端部の伸び量が中央部に比べて大きくなり、その結果弛みが悪化したと考えられる。参考例の捲回体の弛みは、同条件で作成した実施例に比べて大きい傾向はあるが、20mm以下の合格範囲内であった。また、Ec/Eeの値も0.8以上であった。捲回体の巻き芯の、微多孔膜が捲回されていない部分の幅が0mmであったため、巻き芯の径収縮の幅方向の差が小さかったためと考えられる。
表3に、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2それぞれ特定の1本の捲回体(各6本のうち3番目に作成した捲回体)について、作成直後から前記2か月間(60日)保管時に於ける、捲回されている微多孔膜の幅方向中央部及び端部のMD伸び量の経日変化を測定した結果を示す。端部のMD伸び量は両端2カ所の測定結果の平均値とした。実施例1及び2の捲回体における第1のフィルムに相当する微多孔膜のMD伸び量は、保管日の経過とともに小さくなる結果であったが、中央部と端部で大きな差は無く幅方向でのMD収縮量が均一であったと考えられる。保管期間20日、40日、60日の何れに於いてもEc/Eeの値は0.8以上であった。
一方比較例1及び2の捲回体の微多孔膜のMD伸び量は、中央部、端部ともに保管日の経過とともに小さくなる結果であったが、中央部のほうが端部に比べ変化量が大きく、時間の経過とともにその差は大きくなる傾向であった。中央部でMD収縮量が大きく端部で小さかったためと考えられる。Ec/Eeの値は20日保管後で0.70未満となる結果であり、40日、60日に於いても0.70未満であった。
以上、本発明の実施形態によれば長期保管後であっても弛みが悪化せず、弛みの良好な微多孔膜捲回体を得ることが出来る。
Figure 2023018781000003
Figure 2023018781000004

1 微多孔膜捲回体
2 捲き出した微多孔膜
3 微多孔膜幅方向断面
4 巻き芯
5 微多孔膜捲回体の微多孔膜捲回部
6 第1のフィルムの捲回部
7、8 第2のフィルム及び第3のフィルムの捲回部
9 第1のフィルムに相当する微多孔膜
10 第2及び第3のフィルムに相当する微多孔膜
11 接着剤を塗布する部位、又は両面テープを貼り付ける部位



Claims (9)

  1. 円筒状の巻き芯の端から順に第2のフィルムと第1のフィルムと第3のフィルムが捲回されて成るフィルム捲回体であって、前記第1のフィルムは幅300mm以上、長さ500m以上であり、前記第2のフィルム及び第3のフィルムはそれぞれ幅15mm以上であり、かつ第1のフィルムとの間隔が0mm以上5mm以下であるフィルム捲回体。
  2. 前記第1のフィルムの幅が300mm以上3000mm以下であり、長さが1000m以上20000m以下である、請求項1に記載のフィルム捲回体。
  3. 前記フィルム捲回体は巻き芯の端から-5mm以上50mm以下の領域にフィルムが捲回されていない、請求項1又は2に記載のフィルム捲回体。
  4. 前記フィルムが、厚み3μm以上25μm以下のポリオレフィン微多孔膜単層、または樹脂組成の異なる2層以上からなるポリオレフィン微多孔膜積層体である、請求項1から3の何れかに記載の微多孔膜捲回体。
  5. 前記ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に多孔質層を積層している、1から4の何れかに記載の微多孔膜捲回体。
  6. 前記フィルムが非水電解液二次電池用セパレータである、請求項1から5の何れかに記載の微多孔膜捲回体。
  7. 前記第1のフィルムの幅方向中央部のMD伸び量をEc(%)、幅方向端部のMD伸び量をEe(%)としたとき、下記(1)及び(2)を満たす請求項1から6の何れかに記載の微多孔膜捲回体。
    (1)0.1≦Ee≦0.8
    (2)0.7≦(Ec/Ee)≦1.1
    ここで、Ec及びEeは捲回体に捲回されている状態でのMD伸び量である。
  8. 請求項1から7の何れかに記載のフィルム捲回体の製造方法であって、スリッター装置により、幅方向で第2のフィルム、第1のフィルム、第3のフィルムとなるように同時に裁断し、この順で同一の円筒状の巻き芯に同時に巻き取ることを特徴とするフィルム捲回体の製造方法。
  9. 請求項8に記載のフィルム捲回体の製造方法であって、前記スリッター装置の巻取り張力を、1MPa以上10MPa以下とすることを特徴とするフィルム捲回体の製造方法。ここで、巻取り張力とは第2のフィルム、第1のフィルム及び第3のフィルムの総断面積(mm)にかかる応力(N)をその総断面積で除した値である。
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