JP5926914B2 - 液浸顕微鏡対物レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、液浸顕微鏡対物レンズに関し、特に、多光子励起に用いられる液浸顕微鏡対物レンズに関する。
近年、顕微鏡における蛍光観察の手段として、多光子励起を利用した蛍光観察法が注目されている。多光子励起とは、吸収波長のほぼ整数倍の波長を有する光を同時に蛍光体に照射することにより、本来の吸収波長による励起と同等な励起が引き起こされる現象である。
多光子励起現象は、非線形現象であり、例えば、2光子励起の場合は励起光の強度の2乗に比例した確率で生じる。一方で、顕微鏡の対物レンズにより励起光を集光させる場合、励起光の光密度は、焦点面からの距離の2乗に反比例して低くなる。このため、多光子励起現象は、焦点のごく近傍でのみ生じ、この部分からのみ蛍光が放射される。この性質により、多光子励起顕微鏡では、通常の共焦点顕微鏡で使われる共焦点ピンホールは必要とされない。また、焦点面でのみ励起現象が生じるために、標本内の蛍光の褪色も少ないという利点もある。
また、多光子励起で用いられる励起光は、一般に赤外光であり、通常使用される可視光などよりも長い波長を有する。一般に波長が長いほど光は散乱しにくいという性質(レイリー散乱)を有することから、生体標本のような散乱性標本を観察する場合であっても、赤外光により励起することで、励起光を標本のより深くまで到達させることができる。このため、多光子励起によれば、可視光などでは観察することができなかった生体の深部まで観察することが可能になる。しかも、赤外光は紫外光や可視光よりも光毒性が低いため、生体標本へのダメージを抑制することができる点でも好適である。
以上のように、多光子励起を利用した蛍光観察法は、多くのメリットを有しているため、非常に有効な蛍光観察法である。
その一方で、このような多光子励起を利用した蛍光観察法では、対物レンズに次のような技術的な要求が課せられる。
第一に、開口数が大きく、かつ適切に収差補正されていることである。多光子励起を生じさせるためには、一つの蛍光体に同時に複数の光子を衝突させなければならない。このため、対物レンズの焦点位置で非常に高い光子密度を実現する必要がある。従って、開口数が大きく、かつ適切に収差補正された対物レンズが必要である。より具体的には、励起光は赤外光であるので、赤外光の収差が補正されていることが重要である。
第二に、長い作動距離を有することである。多光子励起顕微鏡では、パッチクランプ法が利用されることが多いため、対物レンズの先端と標本との間に作業スペースを確保する必要がある。また、標本の深部を観察するためには、少なくともその深さ以上の対物レンズ先端から物体面までの距離が必要である。従って、対物レンズには、長い作動距離が要求される。
例えば、特許文献1では、作動距離の長い対物レンズが開示されている。また、特許文献2では、開口数が大きく、且つ、補正環を有する対物レンズが開示されている。
特開2005−189732号公報 特開2003−15046号公報
しかしながら、特許文献1に開示される対物レンズ、特許文献2に開示される対物レンズのいずれも、上述した技術的な要求を十分に満たしているとは言い難い。
特許文献1及び特許文献2で開示される対物レンズは、いずれも十分な作動距離を有していない。このため、比較的長い作動距離を有する特許文献1に開示される対物レンズでさえ、標本を観察する深さが制限されてしまう。
以上のような実情を踏まえ、本発明では、標本の表面から深部まで明るく観察する、光学性能が良好な液浸顕微鏡対物レンズを提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、物体側から順に、前記物体からの光束を収斂光束にする正の屈折力の第1レンズ群と、前記第1レンズ群よりも弱い屈折力の第2レンズ群と、負の屈折率の第3レンズ群と、からなり、倍率が35倍以下であり、前記第2レンズ群は、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群の間で光軸に沿って移動する移動群であり、NAを前記物体側の開口数とし、d0を作動距離とし、d1を最も前記物体側のレンズ成分の肉厚としたとき、以下の条件式を満たす液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
3mm<NA×d0<8mm
0.5<d0/d1<3
本発明の第の態様は、第の態様に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、前記最も物体側のレンズ成分が接合レンズであり、nd1を前記接合レンズの前記物体側のレンズの屈折率とし、nd2を前記接合レンズの像側のレンズの屈折率としとき、以下の条件式を満たす液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
0.3<nd2−nd1<1
本発明の第の態様は、第1の態様または第の態様に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、前記第1レンズ群が複数の正の単レンズを含む液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
本発明の第の態様は、第の態様から第の態様のいずれか1つに記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、少なくとも800nmから1000nmの波長で収差が補正されており、900nmの波長において波面収差が波長の5%以内である液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
本発明の第5の態様は、第2の態に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、前記接合レンズの接合面の曲率をR1とし、前記接合レンズの像側の曲率をR2とするとき、以下の条件式を満たす液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
1.03< R1/R2 <1.4
本発明の第6の態様は、第2の態に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、前記接合レンズの接合面の曲率をR1とし、前記液浸顕微鏡対物レンズの全長をLとするとき、以下の条件式を満たす液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
−0.19< R1/L < −0.11
本発明の第の態様は、第の態様から第の態様のいずれか1つに記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、光軸に沿って移動可能なレンズ群を有し、Wiを前記液浸顕微鏡対物レンズと当該液浸顕微鏡対物レンズの焦点位置の間にある媒質の各々の光軸方向の幅とし、niを前記媒質の各々の屈折率とし、Σ(Wi*ni)を前記液浸顕微鏡対物レンズ
と当該液浸顕微鏡対物レンズの焦点位置の間の光路長とし、fを前記液浸顕微鏡対物レンズの焦点距離とし、Nを前記媒質の数とするとき、以下の条件式を満たす液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
本発明の第の態様は、第の態様から第の態様のいずれか1つに記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、β1を前記第1レンズ群の倍率とするとき、以下の条件式を満たす液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
−0.5<1/β1<-0.1
本発明の第の態様は、第の態様から第の態様のいずれか1つに記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、β2を前記第2レンズ群の倍率とするとき、以下の条件式を満たす液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
0.2<|β2|<2
本発明の第10の態様は、第1の態様から第9の態様のいずれか1つに記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、fを前記液浸顕微鏡対物レンズの焦点距離としf2を前記第2レンズ群の焦点距離とするとき、以下の条件式を満たす液浸顕微鏡対物レンズを提供する。
−0.18<f/f2<0.
本発明によれば、標本の表面から深部まで明るく観察する、光学性能が良好な液浸顕微鏡対物レンズを提供することができる。
実施例1に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 液浸顕微鏡対物レンズとその焦点位置の間の光路長の一例を説明するための図である。 液浸顕微鏡対物レンズとその焦点位置の間の光路長の他の一例を説明するための図である。 液浸顕微鏡対物レンズとその焦点位置の間の光路長のさらに他の一例を説明するための図である。 実施例1に係る結像レンズの断面図である。 図1に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図1に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図1に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 実施例2に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図5に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図5に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図5に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 実施例3に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図7に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図7に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図7に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 実施例4に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図9に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図9に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図9に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 実施例5に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図11に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図11に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図11に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 実施例6に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図13に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図13に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図13に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 実施例7に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図15に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図15に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図15に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 実施例8に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図17に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図17に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図17に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 実施例9に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図19に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図19に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図19に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。 参考例10に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。 図21に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の収差図である。 図21に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合の他の収差図である。 図21に例示される液浸顕微鏡対物レンズと図3に例示される結像レンズを組み合わせて用いた場合のさらに他の収差図である。
まず、本発明の各実施例に係る対物レンズに共通する構成について、図1を参照しながら、説明する。
対物レンズは、浸液を介して標本を観察する液浸顕微鏡対物レンズであって、物体側から順に、物体からの光束を収斂光束にする正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第1レンズ群G1よりも弱い屈折力を有する第2レンズ群G2と、第3のレンズ群G3と、を含んでいる。なお、対物レンズの最も物体側の面(面番号s1)と標本面SPの間は、高い開口数を実現するために不図示の浸液で満たされている。
対物レンズは、以上のように構成された上で、さらに、以下の条件式(1)を満たすように構成されている。ただし、NAは対物レンズの物体側の開口数であり、d0は物体面(標本面)に合焦する場合における対物レンズの第1面から物体面までの距離である作動距離である。
3mm<NA×d0<8mm ・・・(1)
条件式(1)は、対物レンズの開口数と作動距離について規定した式である。条件式(1)を満たすことで、2光子励起を利用した蛍光観察法において、標本の深部を、十分な解像で、且つ、明るく高いコントラストで観察することができる。
条件式(1)の下限値を下回ると、対物レンズの第1面から物体面までの距離を十分に確保できず、標本内部の観察が困難となる。または、開口数が不足するため、十分な解像が得られず、明るく高いコントラストの画像が得られない。一方、条件式(1)の上限値を上回ると、限られた全長に収まるように設計される対物レンズでは、十分な解像で明るく高いコントラストを実現するための収差の補正が困難となる。
以上の構成及び条件を満たすことにより、標本を深くまで明るく観察する、光学性能が良好な液浸顕微鏡対物レンズを提供することができる。
以下、より好ましい対物レンズの構成、及び、満たすことが望ましい条件について説明する。
第1レンズ群G1は、図1に例示されるように、物体側に平面を向けた平凸レンズ(レンズL1)と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL2)との接合レンズCL1と、少なくとも1枚の正の屈折力を有する単レンズ(レンズL3、レンズL4)と、を含んでいてもよい。第1レンズ群G1には、単レンズが複数含まれることが望ましく、また、第1レンズ群の最も物体側に配置されるレンズ成分は、接合レンズであることが望ましい。
第1レンズ群G1は、接合レンズCL1の像側に、正の屈折力を有する2枚の単レンズ(レンズL3、レンズL4)と、接合レンズCL2と、を含んで構成されていることがより望ましい。特に接合レンズCL2は、全体として正の屈折力を有し、正レンズ、負レンズ、正レンズを接合した3枚接合レンズであることが望ましい。
第2レンズ群G2は、図1に例示されるように、補正環によって移動させられる移動群であり、接合レンズCL3を含んでいてもよい。なお、第2レンズ群G2は、第3レンズ群G3の移動に連動して、第1レンズ群G1に対して移動するように構成されてもよい。第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1に比べて弱い屈折力を有し、さらに、いくつかの実施例では、第3レンズ群G3よりも弱い屈折力を有しても良い。
第2レンズ群G2は、例えば、図1に例示されるように、負レンズ、正レンズ、負レンズからなる、全体として負の屈折力を有する3枚接合レンズ(接合レンズCL3)を含んでいてもよい。
第3レンズ群G3は、負の屈折力を有することが望ましく、図1に例示されるように、物体側から順に、最も像側の面が像側に向けた凹面(面番号s20)である前側レンズ群(レンズL11、レンズL12、レンズL13)と、最も物体側の面が物体側に向けた凹面(面番号s21)である後側レンズ群(レンズL14、レンズL15)と、を含んでいてもよい。また、第3レンズ群G3は、第1レンズ群G1に比べて弱い屈折力を有し、さらに、いくつかの実施例では、第2レンズ群G2よりも弱い屈折力を有しても良い。
対物レンズは、倍率が35倍以下であることが望ましい。これにより、広い視野を確保することができるからである。例えば、多光子励起顕微鏡の場合、励起光は赤外光であり散乱の影響を受けにくいが、それによって放射される蛍光は可視光域(や紫外光)である。このため、検出対象である蛍光は標本によるレイリー散乱の影響を受けてしまう。このような場合であっても、対物レンズが広い視野を有することで、散乱した蛍光を無駄なく収集することができる。
また、対物レンズは、光軸AXに沿って移動可能なレンズ群を有すること、つまり、補正環を有することが望ましい。例えば、標本の深部を観察する場合、標本自身の屈折率によって生じる収差が無視できなくなり、蛍光効率が悪化することがある。また、標本を観察する深さによって、対物レンズと焦点位置の間の媒質(例えば、浸液、カバーガラス、標本など)のバランスが変化し、この変化によっても収差が生じることがある。このような場合であっても、補正環を用いることで、それらを抑制することができる。
より具体的には、対物レンズは、不図示の補正環を有していて、補正環が操作されることにより、図1に例示されるように、第2レンズ群G2が第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の間で光軸AXに沿って移動する移動群として構成されていてもよい。また、補正環が操作されることにより、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が第1レンズ群G1に対して相対的に移動するように構成されてもよい。
第2レンズ群が移動群である場合、対物レンズの第2レンズ群に含まれる接合レンズは、負レンズ、正レンズ、負レンズからなる、負の屈折力を有する3枚接合レンズであることが望ましい。球面収差の補正を行なう移動群では、移動による色収差の発生を調整するために、レンズ群を接合レンズとして構成することが望ましい。しかしながら、正レンズと負レンズからなる接合レンズ群では、適正な色収差と負の屈折率を両立することが難しい。移動群を正レンズと複数の負レンズとで構成されたレンズ群とすることで、適正な色収差と負の屈折率を両立することが可能となる。
以上のように構成された対物レンズは、第1レンズ群G1が最も物体側に浸液の屈折率に近い屈折率を有する平凸レンズ(レンズL1)を含むことで、浸液とレンズとの間で発生する収差を少なくして、高い開口数を可能としている。また、メニスカスレンズ(レンズL2)によりペッツバール和(Petzval Sum)が補正されるため像面湾曲も抑制される
。その結果、対物レンズは、広い視野を確保することができる。さらに、第1レンズ群G1に含まれる正の屈折力を有する単レンズ(レンズL3、レンズL4)がメニスカスレンズ(レンズL2)から射出される発散光を、高次の球面収差やコマ収差の発生を最小限に抑えながら光線高を抑えることで、対物レンズは、長い作動距離と高開口数を両立することが出来る。つまり、最も物体側に平凸レンズ(レンズL1)とメニスカスレンズ(レンズL2)からなる接合レンズCL1と、正の屈折力を有する単レンズ(レンズL3、レンズL4)を用いることで、対物レンズは広い視野を高い開口数を両立しながら、長い作動距離を確保することが可能になっている。
また、対物レンズは、第2レンズ群G2、または、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3が移動群として構成されることで、対物レンズから焦点位置FPまでの光路長が変化した場合であっても、適切に収差を補正することができる。具体的には、標本面SPに対して光軸方向に異なる距離に位置する観察面VPを観察する場合、即ち、標本の深さ方向の異なる位置を観察する場合であっても、良好に収差が補正することができる。
また、対物レンズは、第3レンズ群G3が物体側から最も像側の面が像面に向けた凹面である前側レンズ群と最も物体側の面が物体側に向けた凹面である後側レンズ群を含むことで、主に軸外収差を補正しながら、第2レンズ群G2からの光を平行光に変換して射出することができる。従って、対物レンズは、無限遠補正型の対物レンズである。
対物レンズは、条件式(1)に加えて、さらに、以下の条件式(2)から条件式(9)を満たすように構成されることが望ましい。ただし、d1は対物レンズの最も物体側のレンズ成分の肉厚である。nd1、nd2はそれぞれ、最も物体側のレンズ成分である接合レンズの物体側、像側のレンズの屈折率である。R1、R2はそれぞれ、最も物体側のレンズ成分である接合レンズの接合面の曲率、像側の面の曲率である。Lは対物レンズの全長である。Wは対物レンズと対物レンズの焦点位置FPとの間にある媒質の各々の光軸方向の幅であり、nは媒質の各々の屈折率である。また、
は対物レンズと対物レンズの焦点位置FPとの間の光路長を示し、Nは対物レンズと対物レンズの焦点位置FPとの間の媒質の数である。β1、β2はそれぞれ、第1レンズ群、第2レンズ群の倍率である。f、f2はそれぞれ、対物レンズ全体の焦点距離、第2レンズ群の焦点距離である。
0.5<d0/d1<3 ・・・(2)
0.3<nd2−nd1<1 ・・・(3)
1.03< R1/R2 <1.4 ・・・(4)
−0.19< R1/L < −0.11 ・・・(5)
−0.5<1/β1<−0.1 ・・・(7)
0.2<|β2|<2 ・・・(8)
−0.18<f/f2<0.1 ・・・(9)
条件式(2)は、作動距離と最も物体側の接合レンズ(以降、先玉レンズと記す。)の肉厚との関係を規定した式である。高開口数の対物レンズでは、作動距離が長くなることで光線高が高くなる。このため、高次収差と像面湾曲を良好に補正することが難しいが、条件式(2)を満たすことで、高次収差と像面湾曲を同時に良好に補正することができる。
条件式(2)の下限値を下回る場合には、先玉レンズ以降の光線高が高くなり、高次収差を補正し切れなくなる。このため、高い開口数を得ることが困難となる。一方、条件式(2)の上限値を上回ると、先玉レンズの肉厚が不足するため、ペッツバール和が大きくなり、その結果、先玉レンズで発生した像面湾曲により像面の平坦性を確保することが困難となる。
条件式(3)は、最も物体側の接合レンズ(先玉レンズ)を構成するレンズの屈折率差を規定した式である。長作動距離の対物レンズでは、特に低倍率の対物レンズにおいて、軸外の収差を良好に補正するためには、先玉レンズの接合面の曲面が緩やかになるように設計する必要がある。条件式(3)を満たすことで、そのような緩やかな曲面でありながら、ペッツバール和を小さく抑えることができる。
条件式(3)の下限値を下回る場合には、ペッツバール和を十分に補正できないため、コマ収差や像面湾曲の補正が困難となる。一方、条件式(3)の上限値を上回る場合には、先玉レンズを構成する像側のレンズに屈折率が高い硝材を用いることになる。屈折率の高い硝材は一般に自家蛍光が生じやすく短波長の透過率が低いため、この場合、良好な蛍光観察が困難となる。
条件式(4)は、最も物体側の接合レンズ(先玉レンズ)の接合面と最も像側の面との曲率の関係を規定した式である。条件式(4)を満たすことで、先玉レンズで生じる高次収差とペッツバール和とをバランス良く補正することができるため、先玉レンズ以降において、対物レンズ全体の高次収差とペッツバール和の補正が容易になる。
条件式(4)の下限値を下回る場合には、先玉レンズの像側での光線高が高くなる。このため、先玉レンズよりも像側にあるレンズで、高次収差を良好に補正することが困難となる。一方、条件式(4)の上限値を上回る場合には、先玉レンズの像側での光線高が低くなりすぎる。このため、先玉レンズよりも像側にあるレンズで、ペッツバール和を十分に補正することが困難となる。
条件式(5)は、最も物体側の接合レンズ(先玉レンズ)の接合面の曲率と対物レンズの全長との関係を規定した式である。全長の長い対物レンズであれば、レンズ枚数を増やすことが可能であり、光線高を高くすることも比較的容易である。このため、先玉レンズでペッツバール和の補正を十分に行わない場合であっても、対物レンズ全体としてペッツバール和を良好に補正することができる。その一方で、顕微鏡対物レンズの全長は制約なく選択することができるものではなく、最適な全長はある程度の範囲内に定まっている。条件式(5)を満たすことで、顕微鏡対物レンズの最適な全長において、対物レンズ全体でペッツバール和を良好に補正することができる。
条件式(5)の下限値を下回る場合には、全長に対して先玉レンズでのペッツバール和の補正が十分でないため、対物レンズ全体としてもペッツバール和を良好に補正することが困難となる。一方、条件式(5)の上限値を上回る場合には、先玉レンズでペッツバール和を十分に補正することができるが、先玉レンズ以降での光線高が高くなるため、他の収差を良好に補正することが困難となる。
条件式(6)は、対物レンズが良好な光学性能を維持しながら、許容することができる対物レンズと焦点位置FPとの間の光路長の最大変化量を規定した式である。即ち、対物レンズが許容できる最も長い光路長と最も短い光路長の差を規定した式である。対物レンズで発生する収差量は、対物レンズと焦点位置FPの間の光路長によっても変化するが、条件式(6)を満たすことで、補正環により移動群(第2レンズ群G2)を移動させることで収差を適切に補正することができるため、良好な光学性能を維持することができる。
条件式(6)の下限値を下回る場合には、許容できる光路長の変化が小さすぎるため、標本の深部の観察において、良好な観察性能を実現することが困難となる。なお、このような狭い許容範囲内の光路長差の変化であれば、補正環を有する従来の対物レンズでも補正することができる。一方、条件式(6)の上限値を上回ると、非常に大きな光路長差を良好に補正する必要があるため、補正環により移動群を移動させることによっては、適切な補正が困難となる。従って、十分な光学性能を実現することが難しい。
図2A、図2B、及び図2Cは、液浸顕微鏡対物レンズとその焦点位置の間の光路長の一例を説明するための図である。以下、図2Aから図2Cを参照しながら、条件式(6)で規定される光路長差の算出方法について説明する。
図2Aは、対物レンズOBの焦点位置FPが標本面SP上に位置する例、即ち、観察面VPが標本面SP上に位置する例を示している。図2Aでは、対物レンズOBと焦点位置FPの間にある媒質は、浸液IMのみである。従って、対物レンズOBと焦点位置FPの間の光路長は、浸液IMの光軸方向の幅Wと浸液IMの屈折率nの積、即ち、W*
として算出できる。
図2Bは、対物レンズOBの焦点位置FPが標本面SPの内部に位置する例、即ち、観察面VPが標本面SP内部に位置する例を示している。図2Bでは、対物レンズOBと焦点位置FPの間にある媒質は、浸液IMと標本Sである。従って、対物レンズOBと焦点位置FPの間の光路長は、浸液IMの光軸方向の幅Wと浸液IMの屈折率nの積と、焦点位置FPまでの標本Sの光軸方向の幅Wと標本Sの屈折率nの積との和、即ち、W*n+W*nとして算出できる。
図2Cは、対物レンズOBの焦点位置FPが標本面SPの内部に位置する他の例を示している。図2Cでは、対物レンズOBと焦点位置FPの間にある媒質は、浸液IMとカバーガラスCGと標本Sである。従って、対物レンズOBと焦点位置FPの間の光路長は、浸液IMの光軸方向の幅Wと浸液IMの屈折率nの積と、カバーガラスCGの光軸方向の幅WとカバーガラスCGの屈折率nの積と、焦点位置FPまでの標本Sの光軸方向の幅Wの標本Sの屈折率nの積との和、即ち、W*n+W*n+W*n
として算出できる。
図2Aから図2Cの各々で算出される対物レンズOBと焦点位置FPとの間の光路長が、条件式(6)を満している場合には、対物レンズOBは、第2レンズ群を補正環により移動させることで、良好な光学性能を常に維持することができる。従って、標本Sの表面から深部まで、より良好に観察することができる。
なお、図2Aから図2Cでは、深さの異なる標本Sの位置を観察する場合、対物レンズOBと焦点位置FPとの間に異なる数の媒質を介在させて観察する場合について例示したが、光路長が変化する要因については、特に限定されない。例えば、異なる屈折率の浸液を介在させて標本を観察する場合、異なる屈折率の標本を観察する場合、さらに、深さによって屈折率が異なる標本を観察する場合であっても、条件式(6)を満たしていれば、良好な光学性能を維持することができる。
条件式(7)は、第1レンズ群G1の倍率を規定した式である。条件式(7)を満たすことで、第1レンズ群G1からの光束は収斂光束となる。比較的弱い屈折力を有する第2レンズ群G2であっても、収斂光束中を移動することにより、移動量当たりの球面収差の補正量を向上させることができる。従って、移動群として構成される第2レンズ群G2の移動量を抑えることが可能となり、その結果、大きな球面収差を補正することができる。
条件式(7)の下限値を下回る場合には、第1レンズ群G1の正の屈折力が強すぎるため、第1レンズ群G1での高次球面収差及び高次コマ収差の発生を抑制することが困難となる。一方、条件式(7)の上限値を上回ると、第1レンズ群G1からの光束が発散光束となるため、第2レンズ群G2を移動させても球面収差を十分に補正することが困難となる。
条件式(8)は、第2レンズ群G2の倍率の絶対値の範囲を規定した式である。条件式(8)を満たすことで、移動群の倍率が1倍または−1倍に近い値となる。このため、移動群が移動した場合であっても、結像位置の近軸的な位置がほとんど変化しないため、補正環による収差補正を比較的容易に行うことができる。
条件式(8)の下限値を下回る場合には、移動群の倍率が1倍または−1倍に近い値であっても、移動群の移動により移動群の倍率が変化することになる。このため、ピント位置の変動を抑えることが困難となる。一方、条件式(8)の上限値を上回る場合にも、同様に、移動群の倍率が1倍または−1倍に近い値であっても、移動群の移動により移動群の倍率が変化することになる。このため、ピント位置の変動を抑えることが困難となる。
条件式(9)は、第2レンズ群G2の焦点距離と対物レンズ全体の焦点距離との関係を規定した式である。条件式(9)を満たすことで、移動群(第2レンズ群G2)の焦点距離が十分に長くなるため、移動群の移動による対物レンズの倍率の変化が小さくなり、その結果、移動群の移動量に起因するピント位置の変動を抑えることができる。
条件式(9)の下限値を下回る場合には、移動群の倍率が1倍または−1倍に近い値であっても、移動群の移動により移動群の倍率が変化することになる。このため、ピント位置の変動を抑えることが困難となる。一方、条件式(9)の上限値を上回る場合にも、同様に、移動群の倍率が1倍または−1倍に近い値であっても、移動群の移動により移動群の倍率が変化することになる。このため、ピント位置の変動を抑えることが困難となる。
なお、条件式(2)から条件式(9)は、条件式(1)と任意に組み合わせてもよい。また、各条件式は、上限値及び下限値のいずれか一方のみで限定しても良い。
図1は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図3は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。
図1に例示される対物レンズ1は、液浸顕微鏡対物レンズであって、物体側から順に、物体からの光束を収斂光束にする正の屈折力を有する第1レンズ群G1(レンズL1からレンズL7)と、接合レンズCL3を含み、負の屈折力を有する第2レンズ群G2(レンズL8からレンズL10)と、負の屈折力を有する第3のレンズ群G3(レンズL11からレンズL15)と、を含んでいる。
対物レンズ1と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図1では、対物レンズ1の焦点位置FPが標本内部に位置し、対物レンズ1により観察面VPが観察される例が示されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する接合レンズCL1と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである単レンズ(レンズL3)と、両凸レンズである単レンズ(レンズL4)と、正の屈折力を有する3枚接合レンズ(接合レンズCL2)から構成されている。
接合レンズCL1は、物体側から順に、像側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL1)と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL2)とから構成されている。また、接合レンズCL2は、物体側から順に、両凸レンズ(レンズL5)と、物体側に凹面を向けた平凹レンズ(レンズL6)と、像側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL7)とから構成されている。
第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の間で光軸AXに沿って移動可能に構成された移動群であり、物体側から順に、両凹レンズである負レンズ(レンズL8)、両凸レンズである正レンズ(レンズL9)、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである負レンズ(レンズL10)からなる負の屈折力を有する3枚接合レンズ(接合レンズCL3)で構成されている。なお、第2レンズ群G2の屈折力は、第1レンズ群G1の屈折力よりも小さい。
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力をもち、物体側から順に、最も像側の面(面番号s20)が像側に向けた凹面である負の屈折力を有する前側レンズ群(レンズL11、レンズL12、レンズL13)と、最も物体側の面(面番号s21)が物体側に向けた凹面である負の屈折力を有する後側レンズ群(レンズL14、レンズL15)とから構成されている。
前側レンズ群は、物体側から順に、凹面を像側に向けたメニスカスレンズ(レンズL11)と、凹面を像面側に向けたメニスカスレンズ(レンズL12)と凹面を像面側に向けたメニスカスレンズ(レンズL13)とを接合した接合レンズCL4とからなる。
後側レンズ群は、物体側から順に、凹面を物体側に向けた平凹レンズ(レンズL14)と、両凸レンズ(レンズL15)とからなる。
図3に例示される結像レンズ11は、物体側から順に、レンズTL1及びレンズTL2からなる接合レンズCTL1と、レンズTL3及びレンズTL4からなる接合レンズCTL2と、を含んで構成されている。
以下、本実施例に係る対物レンズ1及び結像レンズ11の各種データについて記載する。
対物レンズ1の、第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.98、 NA=1.0、 f=7.223mm、 L=73.816mm、d0=4.036mm、 d1=6.222mm
また、対物レンズ1の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=9.05mm、 β1=−5.213、
f2=−63.737mm、 β2=4.455、
f3=−167.927mm
また、結像レンズ11の焦点距離ftは、以下のとおりである。
ft=180.499mm
対物レンズ1及び結像レンズ11のレンズデータは、それぞれ以下のとおりである。
対物レンズ1
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45852 67.83
2 -10.3591 3.7217 1.77250 49.60
3 -8.1150 0.2003
4 -20.7085 3.0458 1.56907 71.30
5 -11.9976 0.1998
6 35.6190 4.2045 1.56907 71.30
7 -35.6190 0.2005
8 51.8971 6.0695 1.49700 81.54
9 -15.3535 2.1000 1.67300 38.15
10 INF 3.7191 1.49700 81.54
11 -21.3761 da
12 -39.3962 2.0000 1.61340 44.27
13 14.5803 9.3164 1.43875 94.93
14 -10.9287 2.0500 1.74100 52.64
15 -21.2621 db
16 13.0526 4.8888 1.49700 81.54
17 62.3697 0.2000
18 14.3893 4.9710 1.49700 81.54
19 77.8199 2.2000 1.77250 49.60
20 6.5287 6.1712
21 -10.6452 2.2000 1.61340 44.27
22 INF 7.5351
23 104.6788 3.7831 1.67300 38.15
24 -24.3402
結像レンズ11
s r d nd vd
25 68.7541 7.7321 1.48749 70.21
26 -37.5679 3.4742 1.80610 40.95
27 -102.8477 0.6973
28 84.3099 6.0238 1.83400 37.17
29 -50.7100 3.0298 1.64450 40.82
30 40.6619
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはd線に対するアッベ数を示す。なお、面番号s1は、対物レンズ1の第1面(最も物体側の面)を示し、面番号s24は、対物レンズ1の最も像側の面を示している。面番号s25は、結像レンズ11の第1面(最も物体側の面)を示し、面番号s30は、結像レンズ11の最も像側の面を示している。なお、対物レンズ1と結像レンズ11の間の間隔は、116.096mmである。
さらに、面番号s11と面番号s12の間の面間隔d11及び面番号s15と面番号s16の間の面間隔d15は、第2レンズ群G2(接合レンズCL3)の光軸方向に移動に応じて変化する可変値da、dbである。可変値da、dbは、対物レンズ1から焦点位置までの間の光路長の変化により変化する球面収差を適切に補正するために、補正環により調整される。
対物レンズ1から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 2 1.3652 3.9128 1.38568
CG 0 1.51446 0 1.51446 0.17 1.51446
IM 3.9833 1.32782 2.0364 1.3589 0 1.37944
da 0.2342 − 1.2507 − 2.0504 −
db 2.3051 − 1.2886 − 0.4889 −
ここで、上記データは、左側から順に、標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ2mm)を観察する場合、標本のより深い内部(深さ3.9128mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、CGはカバーガラスを示し、IMは浸液を示している。また、平均屈折率は900nmの光に対する平均屈折率を示している。カバーガラスCGは、標本のより深い内部(深さ3.9128mm)を観察する場合にのみ用いられている。
本実施例に係る対物レンズ1は、以下の式(A1)から(A9)で示されるように、条件式(8)除き、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(A1)から(A9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=4.036mm ・・・(A1)
d0/d1=0.651 ・・・(A2)
nd2−nd1=0.306 ・・・(A3)
R1/R2=1.277 ・・・(A4)
R1/L=−0.140 ・・・(A5)
1/β1=−0.192 ・・・(A7)
|β2|=4.455 ・・・(A8)
f/f2=−0.113 ・・・(A9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.012λ(つまり、波長λの1.2%)である。
図4A、図4B及び図4Cは、本実施例に係る対物レンズ1と結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図4A、図4B、図4Cの各々は、それぞれ、上述した設定で標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ2mm)を観察する場合、標本のより深い内部(3.9128mm)を観察する場合の収差図である。また、図4A、図4B及び図4Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
図5は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図5に例示される対物レンズ2は、液浸顕微鏡対物レンズであって、実施例1に係る対物レンズ1と同様のレンズ構成であるので詳細な説明は省略する。
対物レンズ2と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図5では、対物レンズ2の焦点位置FPが標本内部に位置し、対物レンズ2によって観察面VPが観察される例が示されている。
以下、本実施例に係る対物レンズ2の各種データについて記載する。
対物レンズ2の、第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.98、 NA=1.0、 f=7.223mm、 L=73.961mm、d0=4.036mm、 d1=6.302mm
また、対物レンズ2の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=9.001mm、 β1=−4.936、
f2=−60.587mm、 β2=4.682、
f3=−167.236mm
対物レンズ2のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ2
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45852 67.83
2 -10.3591 3.8017 1.77250 49.60
3 -8.1150 0.2026
4 -26.6221 3.1832 1.56907 71.30
5 -12.9210 0.2000
6 34.0995 4.3097 1.56907 71.30
7 -34.0995 0.2000
8 68.0280 5.9020 1.49700 81.54
9 -14.9981 2.1000 1.67300 38.15
10 INF 3.7468 1.49700 81.54
11 -20.8746 da
12 -29.8307 2.0000 1.61340 44.27
13 14.5426 9.2598 1.43875 94.93
14 -10.9368 2.0500 1.74100 52.64
15 -19.6665 db
16 13.1254 4.8429 1.49700 81.54
17 63.3527 0.2000
18 13.9196 5.0144 1.49700 81.54
19 70.2577 2.2000 1.77250 49.60
20 6.3985 6.1141
21 -10.4387 2.2000 1.61340 44.27
22 INF 7.5589
23 95.6591 3.7794 1.67300 38.15
24 -24.6815
対物レンズ2から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 2 1.3652 4 1.38568
CG 0 1.51446 0 1.51446 0.17 1.51446
IM 3.976 1.32666 2.03 1.3589 0.0004 1.37944
da 0.3891 − 1.3439 − 2.0756 −
db 2.2067 − 1.2520 − 0.5203 −
ここで、上記データは、左側から順に、標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ2mm)を観察する場合、標本のより深い内部(深さ4mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、CGはカバーガラスを示し、IMは浸液を示している。また、平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。カバーガラスCGは、標本のより深い内部(深さ4mm)を観察する場合にのみ用いられている。
本実施例に係る対物レンズ2は、以下の式(B1)から(B9)で示されるように、条件式(8)除き、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(B1)から(B9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=4.036mm ・・・(B1)
d0/d1=0.631 ・・・(B2)
nd2−nd1=0.306 ・・・(B3)
R1/R2=1.277 ・・・(B4)
R1/L=−0.140 ・・・(B5)
1/β1=−0.203 ・・・(B7)
|β2|=4.682 ・・・(B8)
f/f2=−0.119 ・・・(B9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.009λ(つまり、波長λの0.9%)である。
図6A、図6B及び図6Cは、本実施例に係る対物レンズ2と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図6A、図6B、図6Cの各々は、それぞれ、上述した設定で標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ2mm)を観察する場合、標本のより深い内部(4mm)を観察する場合の収差図である。また、図6A、図6B及び図6Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ2と結像レンズ11の間の間隔は、116.009mmである。
図7は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図7に例示される対物レンズ3は、液浸顕微鏡対物レンズであって、実施例1に係る対物レンズ1と同様のレンズ構成であるので、詳細な説明は省略する。
対物レンズ3と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図7では、対物レンズ3の焦点位置FPが標本内部に位置し、対物レンズ3によって観察面VPが観察される例が示されている。
以下、本実施例に係る対物レンズ3の各種データについて記載する。
対物レンズ3、の第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、の最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.98、 NA=0.95、 f=7.223mm、 L=72.330mm、 d0=6.03mm、 d1=5.058mm
また、対物レンズ3の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=9.298mm、 β1=−4.321、
f2=−49.232mm、 β2=6、
f3=−187.647mm
対物レンズ3のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ3
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45852 67.83
2 -10.3591 2.5578 1.77250 49.60
3 -8.3631 0.2096
4 -75.0048 3.4190 1.56907 71.30
5 -16.6318 0.2990
6 36.0431 4.0187 1.56907 71.30
7 -36.0431 0.3197
8 76.8450 5.5288 1.49700 81.54
9 -15.4459 2.1000 1.67300 38.15
10 INF 3.4283 1.49700 81.54
11 -21.7765 da
12 -29.3326 2.0000 1.61340 44.27
13 14.7362 8.9160 1.43875 94.93
14 -10.9727 2.0500 1.74100 52.64
15 -21.2817 db
16 12.7915 4.7093 1.49700 81.54
17 57.2161 0.2000
18 12.9216 4.7594 1.49700 81.54
19 43.9842 2.2000 1.77250 49.60
20 6.2020 6.6686
21 -10.2589 2.2000 1.61340 44.27
22 INF 7.9886
23 109.6531 3.6576 1.67300 38.15
24 -24.8540
対物レンズ3から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 3 1.3652 5.9241 1.38568
CG 0 1.51446 0 1.51446 0.17 1.51446
IM 5.9496 1.32782 3.03 1.3589 0 1.37944
da 0.3438 − 1.3465 − 2.124 −
db 2.2561 − 1.2533 − 0.4759 −
ここで、上記データは、左側から順に、標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ3mm)を観察する場合、標本のより深い内部(深さ5.9241mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、CGはカバーガラスを示し、IMは浸液を示している。また、平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。カバーガラスCGは、標本のより深い内部(深さ5.9241mm)を観察する場合にのみ用いられている。
本実施例に係る対物レンズ3は、以下の式(C1)から(C9)で示されるように、条件式(8)除き、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(C1)から(C9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=5.729mm ・・・(C1)
d0/d1=1.176 ・・・(C2)
nd2−nd1=0.306 ・・・(C3)
R1/R2=1.239 ・・・(C4)
R1/L=−0.143 ・・・(C5)
1/β1=−0.231 ・・・(C7)
|β2|=6 ・・・(C8)
f/f2=−0.147 ・・・(C9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.009λ(つまり、波長λの0.9%)である。
図8A、図8B及び図8Cは、本実施例に係る対物レンズ3と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図8A、図8B、図8Cの各々は、それぞれ、上述した設定で標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ3mm)を観察する場合、標本のより深い内部(5.9241mm)を観察する場合の収差図である。また、図8A、図8B及び図8Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ3と結像レンズ11の間の間隔は、115.64mmである。
図9は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図9に例示される対物レンズ4は、液浸顕微鏡対物レンズであって、実施例1に係る対物レンズ1と類似した構成であるが、第3レンズ群G3の構成が実施例1に係る対物レンズ1と異なっている。このため、ここでは、実施例1に係る対物レンズ1と異なる第3レンズ群G3の構成についてのみ説明する。
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力をもち、物体側から順に、最も像側の面(面番号s20)が像側に向けた凹面である正の屈折力を有する前側レンズ群(レンズL11、レンズL12、レンズL13)と、最も物体側の面(面番号s21)が物体側に向けた凹面である負の屈折力を有する後側レンズ群(レンズL14、レンズL15)とから構成されている。
前側レンズ群は、物体側から順に、両凸レンズ(レンズL11)と、両凸レンズ(レンズL12)と両凹レンズ(レンズL13)とを接合した接合レンズCL4とからなる。
後側レンズ群は、物体側から順に、凹面を物体側に向けた平凹レンズ(レンズL14)と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL15)とからなる。
対物レンズ4と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図9では、対物レンズ4の焦点位置FPが標本内部に位置し、対物レンズ4によって観察面VPが観察される例が示されている。
以下、本実施例に係る対物レンズ4の各種データについて記載する。
対物レンズ4の、第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.98、 NA=0.9、 f=7.223mm、 L=71.429mm、 d0=8.03mm、 d1=5.000mm
また、対物レンズ4の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=9.939mm、 β1=−3.479、
f2=−40.566mm、 β2=6.197、
f3=−155.967mm
対物レンズ4のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ4
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45852 67.83
2 -11.5000 2.5000 1.77250 49.60
3 -9.5926 0.2035
4 -142.7255 3.3474 1.56907 71.30
5 -20.2047 0.2030
6 40.3202 4.0947 1.56907 71.30
7 -40.3202 0.2128
8 49.8999 5.8110 1.49700 81.54
9 -17.6397 2.1000 1.67300 38.15
10 INF 3.1467 1.49700 81.54
11 -24.7988 da
12 -33.1242 2.0000 1.61340 44.27
13 14.2451 7.9613 1.43875 94.93
14 -11.8396 2.0500 1.74100 52.64
15 -26.2603 db
16 16.4118 4.4714 1.49700 81.54
17 -68.1763 0.2000
18 13.4958 5.3730 1.49700 81.54
19 -70.7767 2.2000 1.77250 49.60
20 6.7467 6.4060
21 -7.4984 2.2000 1.61340 44.27
22 INF 8.2700
23 -39.9265 3.6650 1.67300 38.15
24 -14.0048
対物レンズ4から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 4 1.3652 7.9385 1.38568
CG 0 1.51446 0 1.51446 0.17 1.51446
IM 7.9273 1.32782 4.03 1.3589 0.0003 1.37944
da 0.3589 − 1.2619 − 1.9483 −
db 2.1548 − 1.2518 − 0.5654 −
ここで、上記データは、左側から順に、標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ4mm)を観察する場合、標本のより深い内部(深さ7.9385mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、CGはカバーガラスを示し、IMは浸液を示している。また、平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。カバーガラスCGは、標本のより深い内部(深さ7.9385mm)を観察する場合にのみ用いられている。
本実施例に係る対物レンズ4は、以下の式(D1)から(D9)で示されるように、条件式(8)除き、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(D1)から(D9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=7.227mm ・・・(D1)
d0/d1=1.585 ・・・(D2)
nd2−nd1=0.306 ・・・(D3)
R1/R2=1.199 ・・・(D4)
R1/L=−0.161 ・・・(D5)
1/β1=−0.287 ・・・(D7)
|β2|=6.197 ・・・(D8)
f/f2=−0.178 ・・・(D9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.007λ(つまり、波長λの0.7%)である。
図10A、図10B及び図10Cは、本実施例に係る対物レンズ4と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図10A、図10B、図10Cの各々は、それぞれ、上述した設定で標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ4mm)を観察する場合、標本のより深い内部(7.9385mm)を観察する場合の収差図である。また、図10A、図10B及び図10Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ4と結像レンズ11の間の間隔は、115.541mmである。
図11は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図11に例示される対物レンズ5は、液浸顕微鏡対物レンズであって、実施例1に係る対物レンズ1と類似した構成であるが、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の構成が実施例1に係る対物レンズ1と異なっている。このため、ここでは、実施例1に係る対物レンズ1と異なる第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の構成についてのみ説明する。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体からの光束を収斂光束にする正の屈折力を有する接合レンズCL1と、両凸レンズである単レンズ(レンズL3)と、両凸レンズである単レンズ(レンズL4)と、正の屈折力を有する3枚接合レンズ(接合レンズCL2)から構成されている。
接合レンズCL1は、物体側から順に、像側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL1)と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL2)と、から構成されている。また、接合レンズCL2は、物体側から順に、両凸レンズ(レンズL5)と両凹レンズ(レンズL6)と両凸レンズ(レンズL7)とから構成されている。
第3レンズ群G3は、全体として正の屈折力をもち、物体側から順に、最も像側の面(面番号s20)が像側に向けた凹面である正の屈折力を有する前側レンズ群(レンズL11、レンズL12、レンズL13)と、最も物体側の面(面番号s21)が物体側に向けた凹面である正の屈折力を有する後側レンズ群(レンズL14、レンズL15)とから構成されている。
前側レンズ群は、物体側から順に、両凸レンズ(レンズL11)と、両凸レンズ(レンズL12)と両凹レンズ(レンズL13)とを接合した接合レンズCL4とからなる。
後側レンズ群は、物体側から順に、凹面を物体側に向けたメニスカスレンズ(レンズL14)と、両凸レンズ(レンズL15)とからなる。
対物レンズ5と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図11では、対物レンズ5の焦点位置FPが標本内部に位置し、対物レンズ5によって観察面VPが観察される例が示されている。
以下、本実施例に係る対物レンズ5の各種データについて記載する。
対物レンズ5の、第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.98、 NA=1.0、 f=7.223mm、 L=75.860mm、 d0=4.03mm、 d1=5.630mm
また、対物レンズ5の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=8.621mm、 β1=−9.637、
f2=−67.472mm、 β2=−4.483、
f3=308.289mm
対物レンズ5のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ5
s r d nd vd
1 INF 1.5400 1.45852 67.83
2 -7.4691 4.0897 1.77250 49.60
3 -7.3372 0.3000
4 155.1922 3.0213 1.56907 71.30
5 -26.5121 0.3000
6 54.1543 3.1138 1.56907 71.30
7 -44.3983 0.3000
8 34.3556 7.2572 1.49700 81.54
9 -17.2116 2.1000 1.67300 38.15
10 138.8923 3.2396 1.49700 81.54
11 -26.9797 da
12 -59.2926 2.0000 1.61340 44.27
13 14.0602 9.3195 1.43875 94.93
14 -12.1679 2.0000 1.74100 52.64
15 -25.1101 db
16 19.3230 5.7836 1.49700 81.54
17 -94.8819 0.1991
18 12.9797 7.9023 1.49700 81.54
19 -41.4538 2.2000 1.77250 49.60
20 6.5516 5.0255
21 -8.2007 2.2000 1.61340 44.27
22 -25.1520 8.3667
23 88.4682 3.6018 1.67300 38.15
24 -28.3992
対物レンズ5から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 2 1.35103 4 1.35103
IM 4.0014 1.32666 2.03 1.32666 0.0583 1.32666
da 0.4594 − 1 − 1.5672 −
db 1.5405 − 1 − 0.4327 −
ここで、上記データは、左側から順に、標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ2mm)を観察する場合、標本のより深い内部(深さ4mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、IMは浸液を示している。また、平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。
本実施例に係る対物レンズ5は、以下の式(E1)から(E9)で示されるように、条件式(4)、(5)、(8)を除き、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(E1)から(E9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=4.03mm ・・・(E1)
d0/d1=0.711 ・・・(E2)
nd2−nd1=0.306 ・・・(E3)
R1/R2=1.018 ・・・(E4)
R1/L=−0.098 ・・・(E5)
1/β1=−0.104 ・・・(E7)
|β2|=4.483 ・・・(E8)
f/f2=−0.107 ・・・(E9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差=0.005λ(つまり、波長λの0.5%)である。
図12A、図12B及び図12Cは、本実施例に係る対物レンズ5と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図12A、図12B、図12Cの各々は、それぞれ、上述した設定で標本面SPを観察する場合、標本の内部(深さ2mm)を観察する場合、標本のより深い内部(4mm)を観察する場合の収差図である。また、図12A、図12B及び図12Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ5と結像レンズ11の間の間隔は、115.0mmである。
図13は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図13に例示される対物レンズ6は、液浸顕微鏡対物レンズであって、実施例1に係る対物レンズ1と同様のレンズ構成であるので詳細な説明は省略する。
対物レンズ6と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図13では、対物レンズ6の焦点位置FPが標本面SPに位置し、対物レンズ6によって標本面SPが観察される例が示されている。
以下、本実施例に係る対物レンズ6の各種データについて記載する。
対物レンズ6の、第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.98、 NA=1.0、 f=7.223mm、 L=73.924mm、 d0=4.030mm、 d1=6.140mm
また、対物レンズ6の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=8.358mm、 β1=−4.829、
f2=−49.098mm、 β2=9.517、
f3=−333.213mm
対物レンズ6のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ6
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45182 67.83
2 -10.3591 3.6400 1.75821 49.60
3 -8.1150 0.2037
4 -17.0022 3.0261 1.56178 71.30
5 -11.2198 0.2026
6 35.9884 4.1116 1.56178 71.30
7 -35.9884 0.2108
8 39.0754 6.3096 1.49126 81.54
9 -15.4049 2.1000 1.65754 38.15
10 INF 3.7168 1.49126 81.54
11 -20.8957 da
12 -31.0852 2.0000 1.60085 44.27
13 16.0314 8.7791 1.43436 94.93
14 -11.0434 2.0500 1.72789 52.64
15 -22.3667 db
16 13.9178 4.9330 1.49126 81.54
17 157.3673 0.2000
18 13.4583 5.1563 1.49126 81.54
19 73.1642 2.2000 1.75821 49.60
20 6.3125 6.3256
21 -10.7600 2.2000 1.60085 44.27
22 INF 7.6919
23 86.2967 3.7305 1.65754 38.15
24 -25.8363
対物レンズ6から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
IM 3.9824 1.32782 4.03 1.3589 4.0902 1.39728
da 0.4721 − 1.2500 − 2.1734 −
db 2.1641 − 1.3863 − 0.4628 −
ここで、上記データは、左側から順に、屈折率1.32782の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.3589の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.39728の浸液を介して標本面SPを観察する場合の関係を例示されている。IMは浸液を示している。また、浸液の平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。
本実施例に係る対物レンズ6は、以下の式(F1)から(F9)で示されるように、条件式(8)を除き、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(F1)から(F9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=4.030mm ・・・(F1)
d0/d1=0.656 ・・・(F2)
nd2−nd1=0.306 ・・・(F3)
R1/R2=1.277 ・・・(F4)
R1/L=−0.140 ・・・(F5)
1/β1=−0.207 ・・・(F7)
|β2|=9.517 ・・・(F8)
f/f2=−0.147 ・・・(F9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.011λ(つまり、波長λの1.1%)である。
図14A、図14B及び図14Cは、本実施例に係る対物レンズ6と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図14A、図14B、図14Cの各々は、それぞれ、屈折率1.32782の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.3589の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.39728の浸液を介して標本面SPを観察する場合の収差図である。また、図14A、図14B及び図14Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ6と結像レンズ11の間の間隔は、117.046mmである。
図15は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図15に例示される対物レンズ7は、液浸顕微鏡対物レンズであって、物体側から順に、物体からの光束を収斂光束にする正の屈折力を有する第1レンズ群G1(レンズL1からレンズL7)と、接合レンズCL3を含み、正の屈折力を有する第2レンズ群G2(レンズL8からレンズL10)と、負の屈折力を有する第3のレンズ群G3(レンズL11からレンズL15)と、を含んでいる。
対物レンズ7と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図15では、対物レンズ7の焦点位置FPが標本面SPに位置し、対物レンズ7により標本面SPが観察される例が示されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する接合レンズCL1と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである単レンズ(レンズL3)と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである単レンズ(レンズL4)と、正の屈折力を有する3枚接合レンズ(接合レンズCL2)から構成されている。
接合レンズCL1は、物体側から順に、像側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL1)と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL2)とから構成されている。また、接合レンズCL2は、物体側から順に、両凸レンズ(レンズL5)と、両凹レンズ(レンズL6)と、両凸レンズ(レンズL7)とから構成されている。
第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の間で光軸AXに沿って移動可能に構成された移動群であり、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカスレンズである負レンズ(レンズL8)、両凸レンズである正レンズ(レンズL9)、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである負レンズ(レンズL10)からなる正の屈折力を有する3枚接合レンズ(接合レンズCL3)で構成されている。なお、第2レンズ群G2の屈折力は、第1レンズ群G1の屈折力よりも小さく、また、第3レンズ群G3の屈折力よりも小さい。
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力をもち、物体側から順に、最も像側の面(面番号s20)が像側に向けた凹面である負の屈折力を有する前側レンズ群(レンズL11、レンズL12、レンズL13)と、最も物体側の面(面番号s21)が物体側に向けた凹面である負の屈折力を有する後側レンズ群(レンズL14、レンズL15)とから構成されている。
前側レンズ群は、物体側から順に、凹面を像側に向けたメニスカスレンズ(レンズL11)と、凹面を像面側に向けたメニスカスレンズ(レンズL12)と凹面を像面側に向けたメニスカスレンズ(レンズL13)とを接合した接合レンズCL4とからなる。
後側レンズ群は、物体側から順に、凹面を物体側に向けた平凹レンズ(レンズL14)と、像側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL15)とからなる。
以下、本実施例に係る対物レンズ7の各種データについて記載する。
対物レンズ7、の第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.966、 NA=1.0、 f=7.223mm、 L=74.645mm、 d0=4.050mm、 d1=5.500mm
また、対物レンズ7の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=9.885mm、 β1=−7.146、
f2=737.122mm、 β2=0.987、
f3=−51.73mm
対物レンズ7のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ7
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45852 67.80
2 -10.3750 3.0000 1.88300 40.76
3 -8.0000 0.4981
4 -19.2040 3.6242 1.59522 67.74
5 -13.0813 0.2090
6 -70.7151 3.5000 1.59522 67.74
7 -21.1529 0.1992
8 31.3815 7.1617 1.49700 81.54
9 -15.8639 2.1000 1.61336 44.49
10 35.4103 5.8534 1.49700 81.54
11 -22.6147 da
12 84.5524 2.0000 1.63775 42.41
13 13.0322 9.6433 1.43875 94.93
14 -11.2575 2.0500 1.61340 44.27
15 -26.9861 db
16 9.8836 3.4800 1.43875 94.93
17 13.6708 0.7000
18 10.4412 3.6198 1.49700 81.54
19 44.3375 2.2000 1.75500 52.32
20 5.7860 4.8000
21 -8.2762 2.2000 1.67300 38.15
22 INF 6.4103
23 INF 4.3726 1.67300 38.15
24 -16.5450
対物レンズ7から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 0 1.37787 3.8823 1.37787
CG 0 1.51446 0 1.51446 0.23 1.51446
IM 3.9152 1.32666 4.05 1.37172 0 1.37172
da 0.4998 − 2.6876 − 3.641 −
db 4.0232 − 1.8355 − 0.8823 −
ここで、上記データは、左側から順に、屈折率1.32666の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37172の浸液を介して標本面SP、標本内部(深さ3.8823mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、CGはガラスカバーを示し、IMは浸液を示している。また、浸液の平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。
本実施例に係る対物レンズ7は、以下の式(G1)から(G9)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(G1)から(G9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=4.050mm ・・・(G1)
d0/d1=0.736 ・・・(G2)
nd2−nd1=0.431 ・・・(G3)
R1/R2=1.297 ・・・(G4)
R1/L=−0.139 ・・・(G5)
1/β1=−0.140 ・・・(G7)
|β2|=0.987 ・・・(G8)
f/f2=0.010 ・・・(G9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.002λ(つまり、波長λの0.2%)である。
図16A、図16B及び図16Cは、本実施例に係る対物レンズ6と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図16A、図16B、図16Cの各々は、それぞれ、屈折率1.32666の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37172の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37787の浸液を介して標本内部(深さ3.8823mm)を観察する場合の収差図である。また、図16A、図16B及び図16Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ7と結像レンズ11の間の間隔は、85.305mmである。
図17は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図17に例示される対物レンズ8は、液浸顕微鏡対物レンズであって、実施例7に係る対物レンズ7と類似した構成であるが、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の構成が実施例7に係る対物レンズ7と異なっている。このため、ここでは、実施例7に係る対物レンズ7と異なる第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の構成についてのみ説明する。
なお、第2レンズ群G2の構成は実施例7に係る対物レンズ7と同様であるが、第2レンズ群G2は実施例7に係る対物レンズ7と異なり負の屈折力を有する。また、第2レンズ群G2の屈折力は、第1レンズ群G1の屈折力よりも小さく、また、第3レンズ群G3の屈折力よりも小さい。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体からの光束を収斂光束にする正の屈折力を有する接合レンズCL1と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである単レンズ(レンズL3)と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである単レンズ(レンズL4)と、正の屈折力を有する3枚接合レンズ(接合レンズCL2)から構成されている。
接合レンズCL1は、物体側から順に、像側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL1)と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL2)と、から構成されている。また、接合レンズCL2は、物体側から順に、両凸レンズ(レンズL5)と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL6)と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL7)とから構成されている。
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力をもち、物体側から順に、最も像側の面(面番号s20)が像側に向けた凹面である負の屈折力を有する前側レンズ群(レンズL11、レンズL12、レンズL13)と、最も物体側の面(面番号s21)が物体側に向けた凹面である負の屈折力を有する後側レンズ群(レンズL14、レンズL15)とから構成されている。
前側レンズ群は、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL11)と、物体側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL12)と像側に凹面を向けた平凹レンズ(レンズL13)とを接合した接合レンズCL4とからなる。
後側レンズ群は、物体側から順に、凹面を物体側に向けたメニスカスレンズ(レンズL14)と、両凸レンズ(レンズL15)とからなる。
対物レンズ8と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図17では、対物レンズ8の焦点位置FPが標本面SPに位置し、対物レンズ8により標本面SPが観察される例が示されている。
以下、本実施例に係る対物レンズ8の各種データについて記載する。
対物レンズ8の、第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.967、 NA=1.0、 f=7.223mm、 L=74.650mm、 d0=4.050mm、 d1=5.500mm
また、対物レンズ8の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=9.546mm、 β1=−6.440、
f2=−265.22mm、 β2=1.401、
f3=−66.44mm
対物レンズ8のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ8
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45852 67.80
2 -10.1128 3.0000 1.88300 40.76
3 -8.0846 0.2102
4 -18.5025 3.7617 1.56907 71.30
5 -12.4272 0.2401
6 -153.9267 3.5000 1.56907 71.30
7 -21.2158 0.1996
8 37.8110 7.0340 1.49700 81.54
9 -15.1386 2.1000 1.63775 42.41
10 -362.3263 3.9190 1.49700 81.54
11 -21.7272 da
12 329.1815 2.0000 1.63775 42.41
13 14.2052 9.7556 1.43875 94.93
14 -11.0946 2.0500 1.63775 42.41
15 -26.6680 db
16 9.9952 3.7352 1.43875 94.93
17 15.7140 0.7000
18 12.1834 3.9812 1.49700 81.54
19 INF 2.2000 1.75500 52.32
20 6.4097 6.2448
21 -10.1357 2.2000 1.67300 38.15
22 -55.6084 7.5287
23 326.1667 3.6147 1.73800 32.26
24 -23.9229
対物レンズ8から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 0 1.37787 3.8662 1.37787
CG 0 1.51446 0 1.51446 0.23 1.51446
IM 3.9497 1.32666 4.05 1.37172 0 1.37172
da 0.5084 − 2.5537 − 3.449 −
db 3.6670 − 1.6216 − 0.7259 −
ここで、上記データは、左側から順に、屈折率1.32666の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37172の浸液を介して標本面SP、標本の内部(深さ3.8662mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、CGはカバーガラスを示し、IMは浸液を示している。また、平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。
本実施例に係る対物レンズ8は、以下の式(H1)から(H9)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(H1)から(H9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=4.050mm ・・・(H1)
d0/d1=0.736 ・・・(H2)
nd2−nd1=0.431 ・・・(H3)
R1/R2=1.251 ・・・(H4)
R1/L=−0.135 ・・・(H5)
1/β1=−0.155 ・・・(H7)
|β2|=1.401 ・・・(H8)
f/f2=−0.027 ・・・(H9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.002λ(つまり、波長λの0.2%)である。
図18A、図18B及び図18Cは、本実施例に係る対物レンズ8と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図18A、図18B、図18Cの各々は、それぞれ、上述した設定で屈折率1.32666の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37172の浸液を介して標本面SP及び標本の内部(深さ3.8662mm)を観察する場合の収差図である。また、図18A、図18B及び図18Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ8と結像レンズ11の間の間隔は、85.3mmである。
図19は、本実施例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図19に例示される対物レンズ9は、液浸顕微鏡対物レンズであって、実施例7に係る対物レンズ7と類似した構成であるが、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の構成が実施例7に係る対物レンズ7と異なっている。このため、ここでは、実施例7に係る対物レンズ7と異なる第1レンズ群G1と第3レンズ群G3の構成についてのみ説明する。
なお、第2レンズ群G2の構成は実施例7に係る対物レンズ7と同様であるが、第2レンズ群G2は実施例7に係る対物レンズ7と異なり負の屈折力を有する。また、第2レンズ群G2の屈折力は、第1レンズ群G1の屈折力よりも小さく、また、第3レンズ群G3の屈折力よりも小さい。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体からの光束を収斂光束にする正の屈折力を有する接合レンズCL1と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズである単レンズ(レンズL3)と、両凸レンズである単レンズ(レンズL4)と、正の屈折力を有する3枚接合レンズ(接合レンズCL2)から構成されている。
接合レンズCL1は、物体側から順に、像側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL1)と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL2)と、から構成されている。また、接合レンズCL2は、物体側から順に、両凸レンズ(レンズL5)と両凹レンズ(レンズL6)と両凸レンズ(レンズL7)とから構成されている。
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力をもち、物体側から順に、最も像側の面(面番号s20)が像側に向けた凹面である負の屈折力を有する前側レンズ群(レンズL11、レンズL12、レンズL13)と、最も物体側の面(面番号s21)が物体側に向けた凹面である正の屈折力を有する後側レンズ群(レンズL14、レンズL15)とから構成されている。
前側レンズ群は、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカスレンズ(レンズL11)と、物体側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL12)と像側に凹面を向けた平凹レンズ(レンズL13)とを接合した接合レンズCL4とからなる。
後側レンズ群は、物体側から順に、凹面を物体側に向けた平凹レンズ(レンズL14)と、両凸レンズ(レンズL15)とからなる。
対物レンズ9と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図19では、対物レンズ9の焦点位置FPが標本面SPに位置し、対物レンズ9により標本面SPが観察される例が示されている。
以下、本実施例に係る対物レンズ9の各種データについて記載する。
対物レンズ9の、第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.968、 NA=0.9、 f=7.223mm、 L=70.652mm、 d0=8.050mm、 d1=5.500mm
また、対物レンズ9の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=10.582mm、 β1=−4.991、
f2=−167.47mm、 β2=1.307、
f3=−47.14mm
対物レンズ9のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ9
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45852 67.83
2 -10.8500 3.0000 1.88300 40.76
3 -10.2851 0.1989
4 -197.6772 3.0000 1.59522 67.74
5 -25.9034 0.2000
6 80.8945 3.5000 1.59522 67.74
7 -39.6508 0.2000
8 32.2978 6.2722 1.49700 81.54
9 -21.7424 2.1000 1.61336 44.49
10 20.9814 5.6711 1.49700 81.54
11 -32.0937 da
12 34.9285 2.0000 1.63775 42.41
13 10.4170 8.6264 1.43875 94.93
14 -11.0891 2.0500 1.61340 44.27
15 -69.2014 db
16 8.1874 2.0688 1.43875 94.93
17 10.0000 0.7000
18 10.2355 3.9477 1.49700 81.54
19 INF 2.2000 1.75500 52.32
20 5.6327 7.4170
21 -10.0270 2.2000 1.67300 38.15
22 INF 5.9561
23 374.3870 3.3294 1.67300 38.15
24 -16.7067
対物レンズ9から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値da、dbとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 0 1.37787 7.9058 1.37787
CG 0 1.51446 0 1.51446 0.23 1.51446
IM 8.0500 1.32666 7.83 1.37172 0 1.37172
da 0.4992 − 2.3249 − 3.260 −
db 3.0147 − 1.1890 − 0.4996 −
ここで、上記データは、左側から順に、屈折率1.32666の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37172の浸液を介して標本面SP、標本の内部(深さ7.9058mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、CGはカバーガラスを示し、IMは浸液を示している。また、平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。
本実施例に係る対物レンズ9は、以下の式(J1)から(J9)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(J1)から(J9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=7.245mm ・・・(J1)
d0/d1=1.464 ・・・(J2)
nd2−nd1=0.431 ・・・(J3)
R1/R2=1.055 ・・・(J4)
R1/L=−0.154 ・・・(J5)
1/β1=−0.200 ・・・(J7)
|β2|=1.307 ・・・(J8)
f/f2=−0.043 ・・・(J9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.005λ(つまり、波長λの0.5%)である。
図20A、図20B及び図20Cは、本実施例に係る対物レンズ9と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図20A、図20B、図20Cの各々は、それぞれ、上述した設定で屈折率1.32666の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37172の浸液を介して標本面SP及び標本の内部(深さ7.9058mm)を観察する場合の収差図である。また、図20A、図20B及び図20Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ9と結像レンズ11の間の間隔は、84.0mmである。
参考例10
図21は、本参考例に係る液浸顕微鏡対物レンズの断面図である。図21に例示される対物レンズ10は、液浸顕微鏡対物レンズであって、実施例7に係る対物レンズ7と類似した構成であるが、第3レンズ群G3の構成が実施例7に係る対物レンズ7と異なっている。このため、ここでは、実施例7に係る対物レンズ7と異なる第3レンズ群G3の構成についてのみ説明する。
なお、本参考例に係る対物レンズ10は、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が第1レンズ群G1に対して相対的に移動するように構成されている点も、実施例7に係る対物レンズ7と異なっている。即ち、対物レンズ10の移動群は、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3である。
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力をもち、物体側から順に、最も像側の面(面番号s18)が像側に向けた凹面である負の屈折力を有する前側レンズ群(レンズL11、レンズL12)と、最も物体側の面(面番号s19)が物体側に向けた凹面である負の屈折力を有する後側レンズ群(レンズL13、レンズL14)とから構成されている。
前側レンズ群は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた平凸レンズ(レンズL11)と像側に凹面を向けた平凹レンズ(レンズL12)とを接合した接合レンズCL4とからなる。
後側レンズ群は、物体側から順に、凹面を物体側に向けたメニスカスレンズ(レンズL13)と、両凸レンズ(レンズL14)とからなる。
対物レンズ10と標本面SPの間は、不図示の浸液で満たされている。また、図20では、対物レンズ10の焦点位置FPが標本面SPに位置し、対物レンズ10により標本面SPが観察される例が示されている。
以下、本参考例に係る対物レンズ10の各種データについて記載する。
対物レンズ10の、第2状態の倍率βと、物体側の開口数NAと、焦点距離fと、全長Lと、作動距離d0と、最も物体側のレンズ成分の肉厚d1は、それぞれ以下のとおりである。
β=−24.925、 NA=1.0、 f=7.223mm、 L=74.266mm、 d0=4.050mm、 d1=5.500mm
また、対物レンズ10の第1レンズ群の焦点距離f1及び倍率β1と、第2レンズ群の焦点距離f2及び倍率β2と、第3レンズ群の焦点距離f3は、それぞれ以下のとおりである。
f1=9.940mm、 β1=−6.349、
f2=−1253.0219mm、 β2=1.135、
f3=−45.88mm
対物レンズ10のレンズデータは、以下のとおりである。
対物レンズ10
s r d nd vd
1 INF 2.5000 1.45852 67.83
2 -10.3750 3.0000 1.88300 40.76
3 -8.3477 0.5823
4 -19.9155 3.5561 1.59522 67.74
5 -12.7883 0.3252
6 -71.6703 3.5000 1.59522 67.74
7 -21.2213 0.2112
8 26.1543 7.6045 1.49700 81.54
9 -16.5372 2.1000 1.61336 44.49
10 42.2746 5.4845 1.49700 81.54
11 -23.7897 da
12 81.4545 2.0000 1.63775 42.41
13 11.6578 11.0848 1.43875 94.93
14 -10.3619 2.0500 1.61340 44.27
15 -26.5575 0.2000
16 9.3049 8.0416 1.49700 81.54
17 INF 2.2000 1.75500 52.32
18 5.6880 4.8000
19 -7.6918 2.2000 1.67300 38.15
20 -33.475 6.3477
21 1376.165 4.2146 1.67300 38.15
22 -17.2589
対物レンズ10から焦点位置FPまでの間の媒質の状態と、補正環による球面収差の補正後の可変値daとの関係は、以下のとおりである。
第1状態 第2状態 第3状態
厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率 厚さ(mm) 平均屈折率
S 0 1.35103 0 1.37787 3.8558 1.37787
CG 0 1.51446 0 1.51446 0.23 1.51446
IM 4.05 1.32666 3.97667 1.37172 0 1.37172
da 2.26328 − 0.49976 − 3.000 −
ここで、上記データは、左側から順に、屈折率1.32666の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37172の浸液を介して標本面SP、標本の内部(深さ3.8558mm)を観察する場合の関係を例示されている。Sは標本を示し、CGはカバーガラスを示し、IMは浸液を示している。また、平均屈折率は、900nmの光に対する平均屈折率を示している。
参考例に係る対物レンズ10は、以下の式(K1)から(K9)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(K1)から(K9)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
NA×d0=4.050mm ・・・(K1)
d0/d1=0.736 ・・・(K2)
nd2−nd1=0.431 ・・・(K3)
R1/R2=1.243 ・・・(K4)
R1/L=−0.140 ・・・(K5)
1/β1=−0.157 ・・・(K7)
|β2|=1.135 ・・・(K8)
f/f2=−0.0057 ・・・(K9)
なお、λ=900nmにおいて、波面収差は0.003λ(つまり、波長λの0.3%)である。
図22A、図22B及び図22Cは、本参考例に係る対物レンズ10と図3に例示される結像レンズ11を組み合わせて用いた場合の収差図であり、像側の結像面での収差を示している。なお、図22A、図22B、図22Cの各々は、それぞれ、上述した設定で屈折率1.32666の浸液を介して標本面SPを観察する場合、屈折率1.37172の浸液を介して標本面SP及び標本の内部(深さ3.8558mm)を観察する場合の収差図である。また、図22A、図22B及び図22Cの各々には、左側から順に、(a)球面収差図、(b)正弦条件違反量を示す図、(c)非点収差図、(d)歪曲収差図、(e)コマ収差図が示されている。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、非点収差図中の“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。また、対物レンズ10と結像レンズ11の間の間隔は、85.648mmである。
なお、使用する浸液の屈折率は、1.48以下が望ましい。実施例1から参考例10に例示される対物レンズの最も物体側のレンズ(レンズL1)は、いずれも屈折率が1.45以下である。これにより生体標本の屈折率と浸液の屈折率との屈折率差を小さくして、屈折率差による球面収差の発生を最小限に抑え、生体標本の深部を観察しやすくすることができる。
実施例1から参考例10で例示されるように、各実施例に係る対物レンズは、いずれも、倍率35倍以下、浸液の屈折率が1.48以下で少なくとも赤外域での収差が補正された液浸顕微鏡対物レンズであり、上述した条件式(1)を満たしている。このため、広い視野で標本を深くまで明るく観察することが可能であり、良好な光学性能が実現されている。特に、励起光として赤外域の光を利用する多光子励起顕微鏡での利用に特に好適である。
より具体的には、各実施例の収差図で示されるように、いずれも少なくとも800nmから1000nmの波長で収差が補正されており、900nmの波長において波面収差が波長の5%以内に抑えることができる。
OB、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10・・・対物レンズ
11・・・結像レンズ
AX・・・光軸
IM・・・浸液
FP・・・焦点位置
S・・・標本
SP・・・標本面
VP・・・観察面
FP・・・焦点位置
CG・・・カバーガラス
G1・・・第1レンズ群
G2・・・第2レンズ群
G3・・・第3レンズ群
L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12、L13、L14、L15、TL1、TL2、TL3、TL3・・・レンズ
CL1、CL2、CL3、CL4、CTL1、CTL2・・・接合レンズ

Claims (10)

  1. 物体側から順に、
    前記物体からの光束を収斂光束にする正の屈折力の第1レンズ群と、
    前記第1レンズ群よりも弱い屈折力の第2レンズ群と、
    負の屈折率の第3レンズ群と、からなり、
    倍率が35倍以下であり、
    前記第2レンズ群は、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群の間で光軸に沿って移動する移動群であり、
    NAを前記物体側の開口数とし、d0を作動距離とし、d1を最も前記物体側のレンズ成分の肉厚としたとき、以下の条件式
    3mm<NA×d0<8mm
    0.5<d0/d1<3
    を満たすことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  2. 請求項1に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    前記最も物体側のレンズ成分が接合レンズであり、
    nd1を前記接合レンズの前記物体側のレンズの屈折率とし、nd2を前記接合レンズの像側のレンズの屈折率としとき、以下の条件式
    0.3<nd2−nd1<1
    を満たすことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    前記第1レンズ群が複数の正の単レンズを含む
    ことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    少なくとも800nmから1000nmの波長で収差が補正されており、
    900nmの波長において波面収差が波長の5%以内である
    ことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  5. 請求項に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    前記接合レンズの接合面の曲率をR1とし、前記接合レンズの像側の曲率をR2とするとき、以下の条件式
    1.03< R1/R2 <1.4
    を満たすことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  6. 請求項に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    前記接合レンズの接合面の曲率をR1とし、前記液浸顕微鏡対物レンズの全長をLとするとき、以下の条件式
    −0.19< R1/L < −0.11
    を満たすことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    光軸に沿って移動可能なレンズ群を有し、
    Wiを前記液浸顕微鏡対物レンズと当該液浸顕微鏡対物レンズの焦点位置の間にある媒質の各々の光軸方向の幅とし、niを前記媒質の各々の屈折率とし、Σ(Wi*ni)を前記液浸顕微鏡対物レンズと当該液浸顕微鏡対物レンズの焦点位置の間の光路長とし、fを前記液浸顕微鏡対物レンズの焦点距離とし、Nを前記媒質の数とするとき、以下の条件式
    を満たすことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    β1を前記第1レンズ群の倍率とするとき、以下の条件式
    −0.5<1/β1<-0.1
    を満たすことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    β2を前記第2レンズ群の倍率とするとき、以下の条件式
    0.2<|β2|<2
    を満たすことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の液浸顕微鏡対物レンズにおいて、
    fを前記液浸顕微鏡対物レンズの焦点距離としf2を前記第2レンズ群の焦点距離とするとき、以下の条件式
    −0.18<f/f2<0.1
    を満たすことを特徴とする液浸顕微鏡対物レンズ。
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