JP5912720B2 - 鞍乗り型車両の収納部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の前部を覆う前部カバー内に設けられる収納部を備えた鞍乗り型車両の収納部構造に関する。
従来、鞍乗り型車両において、前部カバー内に設けた収納部(インナーボックス)を開閉可能なリッドで塞ぐとともに、収納部内に棚板を設けた構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、鞍乗り型車両のハンドルの後方にオーディオ装置の収納部を設け、この収納部の上部の開口を透明な蓋で覆う構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
実開平3−32576号公報 特開2004−136734号公報
しかし、上記特許文献1の構成では、上記リッドを閉じた状態では、インナーボックス内の収納物を確認することができない。また、特許文献2の構成では、上記収納部内のオーディオ装置を透明な蓋を通して確認できるが、オーディオ装置は頻繁に出し入れするものではないため、収納物の出し入れの操作性は考慮されておらず、蓋が収納部の上面に配置されており、収納物の出し入れの操作性に課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、収納部内の収納物の状態を確認でき、且つ、収納物の出し入れが容易な鞍乗り型車両の収納部構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、車両の前部を覆う前部カバー(130)と、当該前部カバー(130)の後方に配置され、乗員が着座するシート(10)と、前記前部カバー(130)内に設けられる収納部(132)と、当該収納部(132)の前記シート(10)側の壁面に形成される開口部(142)と、回動軸(149)を中心に回動して、前記開口部(142)を開閉自在に閉塞するリッド(134)とを備えた鞍乗り型車両の収納部構造において、前記収納部(132)の上壁(139)は透明な部材で構成され、当該上壁(139)の下方の前記収納部(132)内に、前記上壁(139)に隣接してトレイ(144)が設けられ、当該トレイ(144)には収納物(P)が載置されるホルダ(147)が設けられ、前記トレイ(144)に対して前記ホルダ(147)をスライド自在に支持するとともに当該ホルダ(147)がスライドした状態で前記開口部(142)から前記ホルダ(147)を露出させるスライド機構(185)を有し、前記上壁(139)は、前記収納部(132)に着脱自在に設けられ、前記トレイ(144)は前記上壁(139)の下方で前記収納部(132)に着脱自在に設けられ、前記上壁(139)及び前記トレイ(144)を外した状態で、前記前部カバー(130)の内側が、前記収納部(132)の上方に露出することを特徴とする。
この構成によれば、収納部の上壁は透明な部材で構成され、上壁の下方の収納部内に、上壁に隣接してトレイが設けられ、トレイには収納物が載置されるホルダが設けられ、トレイに対してホルダをスライド自在に支持するとともにホルダがスライドした状態で開口部からホルダを露出させるスライド機構を有するため、収納部内のトレイのホルダに載置された収納物を透明な上壁を通して確認できるとともに、スライド機構によって収納部の開口部から露出したホルダに収納物を着脱することができ、収納物の出し入れが容易である。また、上壁は、収納部に着脱自在に設けられ、トレイは上壁の下方で収納部に着脱自在に設けられ、上壁及びトレイを外した状態で、前部カバーの内側が、収納部の上方に露出するため、前部カバーの内側の部品のメンテナンス性が良い。
また、上記構成において、前記収納部(132)の前記上壁(139)は、前記車両のハンドル(25)の回動中心を構成するステアリングステム(9)の側方に配置されるとともに、前記ハンドル(25)の下方に設けられ、側面視で、後方ほど下方に傾斜する構成としても良い。
この場合、収納部の上壁は、ハンドルの回動中心を構成するステアリングステムの側方に配置されるとともに、ハンドルの下方に設けられ、側面視で、後方ほど下方に傾斜するため、透明な上壁がシートの乗員側に向くことになり、収納物の視認性が良い。
また、前記トレイ(144)の底部(167)は平面状に形成されるとともに、この平面内の一部を分割して前記ホルダ(147)として構成し、前記底部(167)は、側面視で、後方に行くほど下方に傾斜している構成としても良い。
この場合、トレイの底部は平面状に形成されるとともに、この平面内の一部を分割して前記ホルダとして構成したため、ホルダの大きさよりも大きな収納物をトレイ側に出し入れできる。また、トレイの底部は、側面視で、後方に行くほど下方に傾斜しており、傾斜によって開口部側に収納物が寄せられるため、収納物を容易に取り出すことができる。
また、前記開口部(142)の下端(142A)よりも、前記収納部(132)の底壁(132A)が下方に配置される構成としても良い。
この場合、開口部の下端よりも収納部の底壁が下方に配置される構成では、収納部の奥を視認し難いが、スライド機構によってホルダを引き出すことで、透明な上壁から収納部内に光が入るため、収納部の奥を視認し易い。
また、本発明は、車両の前部を覆う前部カバー(130)と、当該前部カバー(130)の後方に配置され、乗員が着座するシート(10)と、前記前部カバー(130)内に設けられる収納部(132)と、当該収納部(132)の前記シート(10)側の壁面に形成される開口部(142)と、回動軸(149)を中心に回動して、前記開口部(142)を開閉自在に閉塞するリッド(134)とを備えた鞍乗り型車両の収納部構造において、前記収納部(132)の上壁(139)は透明な部材で構成され、当該上壁(139)の下方の前記収納部(132)内に、前記上壁(139)に隣接してトレイ(144)が設けられ、当該トレイ(144)には収納物(P)が載置されるホルダ(147)が設けられ、前記トレイ(144)に対して前記ホルダ(147)をスライド自在に支持するとともに当該ホルダ(147)がスライドした状態で前記開口部(142)から前記ホルダ(147)を露出させるスライド機構(185)を有し、前記ホルダ(147)は、前記開口部(142)側の端部に、上方に延出する左右一対の上方突起(178,178)を有し、幅方向で前記左右の上方突起(178,178)の間に、下方に延出する下方突起(179)を有することを特徴とする
この場合、上方に延出する左右一対の上方突起によって収納物をホルダに支持できるとともに、ホルダをスライドさせる際の把持部として下方突起を使用できる。
また、本発明は、車両の前部を覆う前部カバー(130)と、当該前部カバー(130)の後方に配置され、乗員が着座するシート(10)と、前記前部カバー(130)内に設けられる収納部(132)と、当該収納部(132)の前記シート(10)側の壁面に形成される開口部(142)と、回動軸(149)を中心に回動して、前記開口部(142)を開閉自在に閉塞するリッド(134)とを備えた鞍乗り型車両の収納部構造において、前記収納部(132)の上壁(139)は透明な部材で構成され、当該上壁(139)の下方の前記収納部(132)内に、前記上壁(139)に隣接してトレイ(144)が設けられ、当該トレイ(144)には収納物(P)が載置されるホルダ(147)が設けられ、前記トレイ(144)に対して前記ホルダ(147)をスライド自在に支持するとともに当該ホルダ(147)がスライドした状態で前記開口部(142)から前記ホルダ(147)を露出させるスライド機構(185)を有し、前記ホルダ(147)を収納する切欠き部(171)が前記トレイ(144)に形成され、前記ホルダ(147)の先端部(177)が前記切り欠き部(171)の周縁部に乗り上げることで、前記トレイ(144)に対する前記ホルダ(147)の収納状態が保持されることを特徴とする
この場合、ホルダを収納する切欠き部がトレイに形成され、ホルダの先端部が切り欠き部の周縁部に乗り上げることで、トレイに対するホルダの収納状態が保持されるため、簡単な構造でホルダをトレイに保持できる。
また、前記ホルダ(147)の下方の収納部(132)に電源供給口(180)が設けられ、前記スライド機構(185)の一部に切り欠き(181)が設けられ、前記電源供給口(180)に接続される電源コード(182)を、前記切り欠き(181)を通して前記ホルダ(147)の上方に引き回し可能である構成としても良い。
この場合、スライド機構の一部に切り欠きが設けられ、ホルダの下方の収納部の電源供給口に接続される電源コードを、切り欠きを通してホルダの上方に引き回し可能であるため、ホルダの下方の大きな収納空間に電源供給口を設けて、電源供給口への接続容易性を確保しながら、ホルダの上方の収納物側に電源コードを引き回すことができる。
本発明に係る鞍乗り型車両の収納部構造では、収納部の上壁は透明な部材で構成され、上壁の下方の収納部内のトレイには収納物が載置されるホルダが設けられ、トレイに対してホルダをスライド自在に支持するとともにホルダがスライドした状態で開口部からホルダを露出させるスライド機構を有するため、収納部内のトレイのホルダに載置された収納物を透明な上壁を通して確認できるとともに、スライド機構によって収納部の開口部から露出したホルダに収納物を着脱することができ、収納物の出し入れが容易である。
また、収納部の上壁は、ステアリングステムの側方に配置されるとともに、ハンドルの下方に設けられ、側面視で、後方ほど下方に傾斜するため、透明な上壁がシートの乗員側に向くことになり、収納物の視認性が良い。
また、トレイの底部の平面内の一部を分割して前記ホルダとして構成したため、ホルダの大きさよりも大きな収納物をトレイ側に出し入れできる。また、トレイの底部は、側面視で、後方に行くほど下方に傾斜しており、傾斜によって開口部側に収納物が寄せられるため、収納物を容易に取り出すことができる。
さらに、上壁及びトレイは収納部に着脱自在に設けられ、上壁及びトレイを外した状態で、前部カバーの内側が、収納部の上方に露出するため、前部カバーの内側の部品のメンテナンス性が良い。
また、スライド機構によってホルダを引き出すことで、透明な上壁から収納部内に光が入るため、収納部の奥を視認し易い。
また、上方に延出する左右一対の上方突起によって収納物をホルダに支持できるとともに、ホルダをスライドさせる際の把持部として下方突起を使用できる。
また、ホルダの先端部がトレイの切り欠き部の周縁部に乗り上げることで、トレイに対するホルダの収納状態が保持されるため、簡単な構造でホルダをトレイに保持できる。
ホルダの下方の収納部の電源供給口に接続される電源コードを、スライド機構に設けられた切り欠きを通してホルダの上方に引き回し可能であるため、ホルダの下方の大きな収納空間に電源供給口を設けて、電源供給口への接続容易性を確保しながら、ホルダの上方の収納物側に電源コードを引き回すことができる。
本発明の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。 自動二輪車の内部構造を示す左側面図である。 車両の前部をシート側から見た図である。 物品収納部を示す図である。 物品収納部の斜視図である。 物品収納部の左側面図である。 左側リッドを上方から見た図である。 図4のVIII−VIII断面図である。 上部収納部を上方から見た平面図である。 図9のX−X断面図である。 上部収納部を下方から見た斜視図である。 図4のXII−XII断面図である。 図6のXIII−XIII断面図である。 図7のXIV−XIV断面図である。 上面カバー及びトレイを取り外した状態を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る収納部構造を備えた自動二輪車について図面を参照して説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LEは車体左方を示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。
自動二輪車1(鞍乗り型車両)は、シート10に着座した乗員が足を載せる低床のステップフロア68を有するスクータ型車両であり、車体フレームF(図2)の前方に前輪2を有し、駆動輪である後輪3は、車両後部に配置されるユニットスイングエンジンU(ユニットスイングパワーユニット)に軸支されている。車体フレームFは、樹脂製の車体カバーCによって覆われている。
図2は、自動二輪車1の内部構造を示す左側面図である。ここで、図2では、車体カバーCの一部が取り外された状態が示されている。また、図1及び図2では、左右一対のフレーム及び各部品は、左側のみが図示されている。
図2に示すように、車体フレームFは、金属製のチューブやパイプを溶接によって複数連結して形成されており、メインフレーム11は、前部に設けられるヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12から後下方に延出した後、略水平に後方へ延び、後部で後上方に延びる左右一対のダウンチューブ13,13と、ダウンチューブ13,13の下部から後上方へ車両後部まで延出する左右一対のシートレール14,14と、ヘッドパイプ12からダウンチューブ13,13の上方を後下方に延びてシートレール14,14に連結される左右一対のアッパーチューブ15,15とを有している。
ダウンチューブ13,13は、ヘッドパイプ12に前端が連結されて後下方へ延出する下方延出部70と、下方延出部70の下端から後方に略水平に延出する水平延出部71と、水平延出部71の後端から後上方に延出する斜め上方延出部72とを有している。
また、メインフレーム11には、左右のフレームを連結する複数のクロスメンバ(不図示)が設けられている。
ダウンチューブ13,13の斜め上方延出部72,72の上部には、車幅方向外側に延出する左右一対のタンデムステップステー22,22が設けられている。
ヘッドパイプ12の前面には、灯火類や車体カバーC等を支持する籠状の前部フレーム24が連結されている。
また、メインフレーム11の外側方には、ダウンチューブ13,13に連結されて前後に延び、ステップフロア68を下方から支持する左右一対のステップフレーム23,23が設けられている。
図1及び図2に示すように、前輪2を操向する操舵系は、ヘッドパイプ12に回動自在に軸支されるステアリングシャフト9(ステアリングステム)と、このステアリングシャフト9の上部に連結されるハンドル25とを有している。ステアリングシャフト9の下端は、左右一対のフロントフォーク26,26に連結されており、前輪2は、フロントフォーク26,26の下端に軸支され、ハンドル25による操作によって操向される。
ユニットスイングエンジンUは、エンジンEと、ベルト式の無段変速機構(不図示)が収容された伝動ケースMとが一体化されたユニットスイング式であり、後輪3を支持するスイングアームとしての機能も有している。ユニットスイングエンジンUは、その前部に連結されるリンク部材27を介して、ダウンチューブ13,13の後部に連結されており、リンク部材27に設けられるピボット軸28を中心にして上下に揺動自在である。リンク部材27を介してユニットスイングエンジンUを支持する左右一対のパワーユニット支持部85,85は、各斜め上方延出部72の後面に形成されている。
エンジンEは、水冷式の4サイクル単気筒エンジンであり、シリンダ軸線29が略水平に前方へ延びるように配置されている。エンジンEは、ユニットスイングエンジンUの前部に配置されるクランクケース30の前面に、シリンダ31及びシリンダヘッド32を結合して構成されている。
伝動ケースMは、クランクケース30の後部から後輪3の左側方を通って後方に延びている。クランクケース30の後部には、後輪3の右側方を通って後方に延びるアーム部(不図示)が設けられており、後輪3は、伝動ケースMの後部と上記アーム部の後部との間に設けられる車軸(不図示)に支持されている。エンジンEの出力は、上記無段変速機構を介して後輪3に伝達される。
伝動ケースMの後端及び上記アーム部の後端とシートレール14,14との間には、左右一対のリヤサスペンション34,34が掛け渡されている。
伝動ケースMの上面には、外気を吸い込むエアクリーナボックス35が設けられている。エアクリーナボックス35は、シリンダヘッド32の上面の吸気ポートに接続されたスロットルボディ(不図示)に、不図示のコネクティングチューブを介して接続されている。
シリンダヘッド32の下面の排気ポートに接続された排気管37は、エンジンEの下方を通って後方に延び、上記アーム部の外側面に固定されたマフラー(不図示)に接続される。
伝動ケースMの後部の下部には、車両を直立状態に支持可能なメインスタンド39が設けられている。
エンジンE用の燃料を貯留する燃料タンク40は、側面視において、前面がダウンチューブ13の下方延出部70に沿うとともに、後面がアッパーチューブ15に沿うように形成されており、上下方向では、ヘッドパイプ12の下部の後方からダウンチューブ13の水平延出部71近傍まで上下に長く延在している。燃料タンク40は、左右のダウンチューブ13,13の間に前傾して配置されている。
前傾した燃料タンク40の前部の下方の空間には、エンジンEの冷却水を冷却する板状のラジエータ41が設けられている。ラジエータ41とエンジンEとを接続する一対の冷却水パイプ42は、ラジエータ41の左側部から延出され、車両の左側(一側)のステップフレーム23(図2)の下方を後方へ延び、ダウンチューブ13の内側を通ってエンジンEに接続される。
左側の水平延出部71には、サイドスタンド47が取り付けられている。
物品が収納される収納ボックス44は、シートレール14,14間に配置されており、燃料タンク40の後部の近傍から伝動ケースMの上方まで、シートレール14,14に沿って後上がりに延在している。収納ボックス44は、燃料タンク40とダウンチューブ13の斜め上方延出部72との間に配置される前部収納部44Aと、ユニットスイングエンジンUの上方に配置される後部収納部44Bとが、樹脂成形によって一体に形成されている。
収納ボックス44の上面は、その全長に亘って開口しており、この開口は、乗員用のシート10によって開閉自在に塞がれている。シート10は、運転者が着座する前部シート10Aと、前部シート10Aよりも一段高く形成されて同乗者が着座する後部シート10Bとを有している。
収納ボックス44の後方においてシートレール14,14の後部には、グラブレール48が固定されている。
図1に示すように、車体カバーCは、ヘッドパイプ12の前方及び左右側方を覆うとともに、下方延出部70の前方を下方に延びるフロントカバー50と、フロントカバー50の下部に連結され、前輪2の後方に位置するフロントロアカバー51と、ハンドル25の下方でフロントカバー50の上部に連結される上部カバー52と、フロントカバー50の左右の縁部に連結されてヘッドパイプ12、アッパーチューブ15,15及び下方延出部70を後方及び側方から覆う上部インナーカバー53と、上部インナーカバー53の下縁に連結され、アッパーチューブ15,15及び下方延出部70を覆う左右一対の下部インナーカバー54,54と、フロントカバー50の下部及び下部インナーカバー54,54の下縁に連結され、ステップフレーム23,23を上方から覆う左右一対のステップカバー55,55と、フロントカバー50の下部及びステップカバー55,55の下部に連結されてステップフレーム23,23を側方から覆う左右一対の前部フロアスカート56,56と、前部フロアスカート56,56に連続して後方へ延び、ダウンチューブ13,13を覆う左右一対の後部フロアスカート57,57と、左右の水平延出部71,71を下方から覆うアンダーカバー58と、下部インナーカバー54,54及びステップカバー55,55の後部に連結され、シート10の下方で収納ボックス44及びシートレール14,14を側方から覆う左右一対のボディサイドカバー59,59と、ボディサイドカバー59,59の後部に連結されるテールカバー60とを有している。
左右のステップカバー55,55の底部には、前部シート10Aに着座した運転者が足を載せるステップフロア68がそれぞれ形成されている。
フロントカバー50の前部には、後上方に延びるウインドスクリーン61が設けられている。フロントカバー50の前端には、ヘッドライト62が設けられ、左右一対のウインカー63は、ヘッドライト62の上部に連続して設けられている。ヘッドライト62とウインドスクリーン61との間には、板状のガーニッシュ64が設けられている。
フロントフォーク26,26には、前輪2を上方から覆うフロントフェンダー65が設けられている。ボディサイドカバー59,59の下方には、後輪3を上方から覆うリヤフェンダー66が設けられている。
後部シート10Bの同乗者が足を載せる可倒式の一対のタンデムステップ67は、タンデムステップステー22,22に支持されている。
図3は、車両の前部をシート10側から見た図である。
図3に示すように、ヘッドパイプ12の近傍の車両の前部を覆う前部カバー130は、フロントカバー50と、上部カバー52と、上部インナーカバー53とを備えて構成されている。前部カバー130内には、収納物を収納可能な前部収納ボックス131が設けられている。前部収納ボックス131は、ヘッドパイプ12の左側に設けられる物品収納部132(収納部)と、ヘッドパイプ12の右側に設けられる物品収納部133とを有している。
上部インナーカバー53は、上下に延びる縦壁部を上部に有し、この縦壁部は、物品収納部132を塞ぐ左側リッド134(リッド)と、物品収納部133を塞ぐ右側リッド135とを形成している。
ヘッドパイプ12に軸支されるステアリングシャフト9の上端にはハンドルポスト136が連結されており、ハンドル25はハンドルポスト136に固定される。ヘッドパイプ12の軸線Lは、車幅方向において車体中心に位置している。
上部カバー52は、フロントカバー50の上部の内縁部に沿うように枠状に形成されたメーターバイザー137と、ハンドルポスト136の周囲を覆うセンターパネル138と、センターパネル138とメーターバイザー137との間に配置されるとともに、ハンドルポスト136から左右に延びるハンドル25の延出部25A,25Aの下方に位置する左右一対の上面カバー139,140とを有している。左側の上面カバー139(上壁)の後縁は左側リッド134の上縁に連続しており、上面カバー139は物品収納部132の上面を塞ぐ上壁を構成している。また、上面カバー139は、ステアリングシャフト9の側方に配置されるとともにハンドル25の下方に設けられている。
ハンドルポスト136の後方のセンターパネル138には、車両のメインキーが差し込まれるキーシリンダー部141が設けられている。
図4は、物品収納部132を示す図である。図5は、物品収納部132の斜視図である。図6は、物品収納部132の左側面図である。ここで、図4〜図6では、ハンドル25及び前部カバー130の一部の図示が省略されている。
図4〜図6に示すように、上部インナーカバー53の左上部には、シート10側へ向けて開口する略矩形の開口部142が設けられており、開口部142から物品収納部132の内部の収納空間に収納物を出し入れ可能である。開口部142は、上部インナーカバー53の上部が前方側へ一段膨出した膨出壁部143(壁面)に形成されており、膨出壁部143に左側リッド134が嵌まると、上部インナーカバー53及び左側リッド134の後面が略面一になる。
左側リッド134は、プッシュオープン式の蓋であり、左側リッド134が閉じた状態で左側リッド134を閉じる方向に一度押圧すると、不図示のロック機構によるロック状態が解除されて開方向に回動可能となり、開いた状態から左側リッド134を閉じる方向に押し込むことで、上記ロック機構によって再び閉状態にロックされる。なお、ここでは左側リッド134がプッシュオープン式である構成を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、車両のメインキーの操作によって左側リッド134のロック状態が解除される構成としても良い。
物品収納部132は、物品収納部132内を上下に仕切るトレイ144を上部に有しており、トレイ144の上方の上部収納部145と、トレイ144の下方のメイン収納部146とを有している。トレイ144には、前後にスライド可能なホルダ147が設けられている。上部収納部145の上壁を構成する上面カバー139は、透明な素材によって構成されており、上面カバー139を通して上部収納部145に収納された収納物の状態を確認可能である。上面カバー139は、周縁部は着色されて不透明であり、ホルダ147に重なる部分が透明に形成されている。上部収納部145内には、例えば、携帯電話等のモバイル端末Pを収納することができる。
上部インナーカバー53は、上面が開口した下側ケース154(図6)を前部に一体に有している。物品収納部132は、下側ケース154の上面の開口に、下面及び後面が開口した上側ケース155の下面の開口を合わせることで前後に長い箱状に形成されている。また、トレイ144は、上側ケース155の後部の上部に連結されている。物品収納部132は、前後に長いとともに底が深く形成されることで容量が大きく確保されており、物品収納部132の底壁132Aは、開口部142の下端142Aよりも下方に位置している。
上部インナーカバー53の膨出壁部143は、側面視で後上がりに傾斜しており、開口部142も後上がりに傾斜している。また、開口部142を閉じる左側リッド134も、閉じた状態では側面視で後上がりに傾斜する。
左側リッド134は、下端に設けられたヒンジ部148を中心に上下に回動する蓋であり、ヒンジ部148は、開口部142よりも下方に設けられている。ヒンジ部148は、車幅方向に略水平に延びる回動軸部149(回動軸)と、上部インナーカバー53に形成され、回動軸部149を軸支する軸支部150とを有している。軸支部150は、上部インナーカバー53からシート10側に突出する一対の突部であり、これら突部の内側部に軸支部150の両端部がそれぞれ嵌合する。
図6に示すように、左側リッド134は、完全に開かれた状態では、開口部142を塞いでいた内側面が、側面視で略水平に保持される。ここでは、完全に開かれた状態の左側リッド134の上面158を、左側リッド134の上面とする。
本実施の形態では、開いた状態の左側リッド134の上面158に、ドリンクDを支持するドリンクホルダ用凹部160を設けることで、シート10に座った乗員が、ドリンクホルダ用凹部160にドリンクDを置けるように構成されている。以下、ドリンクを支持する構造について詳細に説明する。
図7は、左側リッド134を上方から見た図である。
図4〜図7に示すように、左側リッド134は、回動軸部149と、回動軸部149の上方の上部インナーカバー53を覆う壁部151と、回動軸部149よりも右側の物品収納部133側の上部インナーカバー53を覆う延長壁部152と、開口部142を覆う蓋部153とを一体に有する板状に形成されている。
また、図3に示すように、左側リッド134には、左側リッド134が閉じられた状態で左側リッド134を外側から覆う板状のアウターカバー134Aが取り付けられている。このように、左側リッド134は、アウターカバー134Aが取り付けられて2枚合わせで構成されているため、剛性が高くなっている。図4〜図6では、アウターカバー134Aの図示は省略されている。
ヒンジ部148は、開口部142とヘッドパイプ12の軸線Lとの間に設けられており、車幅方向の中央側に位置している。
壁部151の上面には、上部インナーカバー53の被係合部157に係合することで左側リッド134の回動位置を規制する腕部156が形成されている。また、壁部151には、被係合部157を逃げる開口151Aが形成されている。
蓋部153は、幅方向の中央側のヒンジ部148側から上部インナーカバー53の左端近傍まで延びており、車幅方向に長く形成されている。
蓋部153の上面158には、蓋部153の縁部に沿って延びる環状の溝部153Aが形成されており、この溝部153Aは、物品収納部132の開口部142の周縁部に形成されたリブ142Bに係合する。これにより、物品収納部132の密閉性が向上する。
また、上面158には、ドリンクDを立てた状態で置くことが可能なドリンクホルダ用凹部160が形成されている。ドリンクホルダ用凹部160は、上面158に円環状の壁部159を形成し、この壁部159の内側を凹部とすることで形成されている。ドリンクホルダ用凹部160は、左側リッド134が開いた状態において、左側リッド134の後端側に設けられるとともに、左側リッド134の車幅方向の外端側に配置されている。
ここで、ドリンクDは、缶やペットボトル、及び、紙コップ等の飲料用容器である。
図7に示すように、左側リッド134が嵌まる膨出壁部143は、車幅方向の外側の部分ほど前方に位置するように傾斜して形成されており、閉じた状態では、左側リッド134は、上面視において、車幅方向の外側の部分ほど前方に位置する。このように、左側リッド134は、車幅方向の外側の部分ほど前方に位置するように傾斜しているため、図4に示すように、完全に開いた状態では、後面視において、車幅方向の外側ほど高くなるように傾斜する。これにより、左側リッド134は、後面視で水平に配置される場合に比して車幅方向に長くなっているため、上面158の面積が大きくなり、ドリンクホルダ用凹部160を設けるスペースを確保することができる。
また、左側リッド134は、上面視において、車幅方向の外側の部分ほど前方に位置するため、左側リッド134とシート10との間の距離を大きく確保できる。このため、左側リッド134の面積を大きくでき、ドリンクホルダ用凹部160を設けるためのスペースを確保できる。さらに、ドリンクホルダ用凹部160は、左側リッド134の車幅方向の外端側に設けられるため、ドリンクホルダ用凹部160を設けるためのスペースを確保し易いとともに、シート10に着座した乗員の脚とドリンクホルダ用凹部160との距離を確保でき、ドリンクホルダ用凹部160を容易に設けることができる。
図8は、図4のVIII−VIII断面図である。
図4及び図8に示すように、左側リッド134の腕部156は、回動軸部149の後方で、上面158から上方に延出されている。腕部156の先端には、膨出壁部143の被係合部157に係合するフック状の係合部161が形成されている。腕部156は、回動軸部149を中心とした円弧形状となるように屈曲して形成されている。
膨出壁部143の被係合部157は、腕部156が挿通される孔部157Aと、孔部157Aの上方に形成され、後方側に凹んだ凹部157Bとを有している。左側リッド134が閉じた状態では、腕部156は孔部157Aの奥まで差し込まれており、左側リッド134が開かれる途中では腕部156は孔部157A内を移動する。左側リッド134が完全に開かれると、腕部156の係合部161は、凹部157Bに内側から係合し、左側リッド134を完全に開いた位置に位置決めする。
円弧形状を有する腕部156の基端部の外周面には、径方向の外側に突出する突起156A(図8)が形成されている。突起156Aは、凹部157Bを構成する壁部の下端部162に係合可能な高さを有しており、所定の荷重を超えて押圧されることで、下端部162を乗り越えて移動するように設定されている。左側リッド134が完全に閉じた状態では、突起156Aは、凹部157Bの下端部162よりも上方に位置しており、左側リッド134が開く段階で、下端部162を乗り越えて下方に移動する。
詳細には、プッシュオープン式の左側リッド134は一度押圧されると、ロックが解除され、自重で開方向に回動するが、突起156Aが下端部162に接触することで、回動は止まり、左側リッド134は僅かに開いた状態となる。そして、乗員等が所定の荷重を超える力で左側リッド134を開方向に回動させることで、突起156Aが下端部162を乗り越えて、左側リッド134が完全に開かれる。このように、突起156Aを設けることで、誤って左側リッド134を押圧してしまった際に、左側リッド134が一度に全開にならず途中で止まるため、左側リッド134の使い勝手が向上する。
また、回動軸部149には、開いた状態の上面158から前上方に突出する当接部163が形成されている。当接部163は、回動軸部149の軸方向に沿って車幅方向に延在している。
膨出壁部143において被係合部157の下方には、左側リッド134が完全に開いた状態で当接部163の先端部163Aが当接する受け面164が形成されている。受け面164は、後上がりに傾斜している。さらに、膨出壁部143において受け面164の下方には、左側リッド134が閉じた状態で前方に突出している当接部163を避ける避け部165が形成されている。
左側リッド134が完全に開かれた状態では、当接部163の先端部163Aが受け面164に当接することで、左側リッド134の回動位置が、略水平の完全に開いた状態に保持されている。このように、当接部163及び腕部156の両方によって左側リッド134の荷重を受けるため、開状態における左側リッド134の支持剛性を向上でき、ドリンクホルダ用凹部160にドリンクDを置いた場合においても、左側リッド134を略水平の開状態に保持しておくことができる。
図1に示すように、乗員Rは、メインスタンド39またはサイドスタンド47で自動二輪車1を駐車させた状態において、シート10に着座した状態で左側リッド134を開き、上面158のドリンクホルダ用凹部160にドリンクDを置くことができる。本実施の形態では、前部シート10Aの上面よりも左側リッド134が高い位置に設けられているため、乗員Rは深くかがまなくとも手を伸ばすだけでドリンクホルダ用凹部160にドリンクDを置くことができ、ドリンクDを置き易い。また、ドリンクホルダ用凹部160が車幅方向の外側に設けられるため、膝が邪魔にならず、ドリンクDを置き易い。
また、図6及び図7に示すように、ドリンクホルダ用凹部160は、上面視において、物品収納部132の開口部142に重なっており、ドリンクホルダ用凹部160に置かれたドリンクDの上部は、物品収納部132の上部の空間内に位置する。このように、ドリンクホルダ用凹部160を開口部142に重なる前方の位置に設けるため、左側リッド134とシート10との距離を確保でき、ドリンクホルダ用凹部160を設けるスペースを左側リッド134に確保できる。また、物品収納部132内のスペースを利用して、高さの大きいドリンクDをドリンクホルダ用凹部160に置くことができる。
さらに、左側リッド134は、車幅方向の中央側の回動軸部149によって支持されるとともに車幅方向の外側に延びており、ドリンクホルダ用凹部160は、左側リッド134の車幅方向の外端側で左側リッド134の撓みの影響を受けやすい位置に設けられている。これにより、ドリンクホルダ用凹部160は、左側リッド134の撓みによって上下に移動可能であるため、ドリンクDが上下に大きい場合であっても、左側リッド134を下方に撓ませることで、ドリンクホルダ用凹部160にドリンクを置くことができる。
次に、上部収納部145の構成について詳細に説明する。
図9は、上部収納部145を上方から見た平面図である。図10は、図9のX−X断面図である。ここで、図9及び図10では、上面カバー139が取り外された状態が示されている。
図9及び図10に示すように、トレイ144は、略矩形の平面状の底部167と、底部167の周縁部に立設される上面視で枠状の側壁部168と、側壁部168の上縁部から外側に延出されるフランジ部169とを有し、樹脂成形によって形成されている。トレイ144の上面は開口しており、底部167は上方に露出している。また、側壁部168の前面には、開口部142に連通する開口170が形成されており、ホルダ147は、開口170を通ってスライドされ、外側に引き出される。
図11は、上部収納部145を下方から見た斜視図である。
図9〜図11に示すように、トレイ144には、平面状の底部167の一部を切り欠くことで、後方に開放した枠状のホルダ収納部171(切り欠き部)が形成されており、ホルダ147は、切り欠かれた部分を埋めるようにホルダ収納部171に配置される。このように、底部167の一部を切り欠いた部分にホルダ147を設けたため、上部収納部145の内部の幅は、ホルダ147の幅よりも大きくなっている。このため、ホルダ147よりも大きなモバイル端末Pであっても上部収納部145内に収納することができる。
ここで、収納物としてのモバイル端末Pは、携帯電話やスマートフォン、または、携帯型ナビゲーション装置やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯型電子機器を示している。
トレイ144のホルダ収納部171の周縁部には、底部167が一段窪んだ段部が周縁部の全体に亘って形成されている。詳細には、ホルダ収納部171の左右の周縁部の段部は、前後に延びるレール部167A,167A(図11)であり、ホルダ収納部171の前部で左右に延びる段部は、ホルダ147を係止する係止部167B(図10)である。
また、底部167においてレール部167A,167Aの下方には、前後に延びるリブ172,172が形成されている。各リブ172,172の後端には、さらに下方に突出するストッパ172Aが形成されている。
ホルダ147は平面視で略矩形に形成された樹脂製の板である。ホルダ147の下面には、補強リブ173が網目状に形成されている。ホルダ147の左右の縁部は、ホルダ収納部171のレール部167A,167Aに嵌まるガイド部174,174である。
ホルダ147の前端部の下面には、下方に延びる一対の柱部175が形成されており、柱部175の先端には、ホルダ147と略平行に左右へ延びる止め板176が設けられている。
ホルダ147の前端部の下面には、下方に延びる一対の柱部175が形成されており、柱部175の先端には、ホルダ147と略平行に左右へ延びる止め板176がねじ176Aによって固定されている。
ホルダ147の前端には、ホルダ収納部171の係止部167Bに係合する乗り上げ部177が形成されている。
ホルダ147は、トレイ144のレール部167A,167Aにガイド部174,174が嵌まることで前後にスライド可能に支持されている。ホルダ147をトレイ144に対してスライドさせるスライド機構185は、トレイ144のレール部167A,167Aとホルダ147のガイド部174,174とを有して構成されており、ホルダ147が後方に引き出されると、ホルダ147は、物品収納部132の外側に露出する。
また、ホルダ147がレール部167A,167Aに嵌まることで、ホルダ147の上面と底部167の上面とが略面一になる。
ホルダ147は、リブ172,172の下面との間に僅かに隙間をあけて設けられる止め板176とガイド部174,174との間にリブ172,172を挟むことで、ホルダ収納部171にスライド可能に位置決めされている。ホルダ147が最も後方にスライドした状態では、止め板176がストッパ172Aに当接することで、ホルダ147の位置が規制される。
さらに、ホルダ147は、先端の乗り上げ部177が係止部167Bに乗り上げることで、ホルダ収納部171に係止される。乗り上げ部177では、乗り上げ部177と係止部167Bとの摩擦によってホルダ147を係止できるように、両者の板厚が設定されている。また、左側リッド134は、閉じた状態ではホルダ147の後端に近接している。このため、左側リッド134によってもホルダ147をホルダ収納部171に係止させておくことができる。
ホルダ147は、開口部142側の端である後端に、上方に延出する左右一対の上方突起178,178を有するとともに、車幅方向で上方突起178,178の間に、下方に延出する下方突起179を有している。
上方突起178,178は、ホルダ147上に載置されたモバイル端末Pを支持する突起である。図10に示すように、ホルダ147の底部167及びホルダ147は、後方ほど下方に傾斜しているため、モバイル端末Pは、傾斜によって上方突起178,178側に寄せられ、下端部を上方突起178,178によって支持される。このように、モバイル端末Pが傾斜によって上方突起178,178側に寄せられて常に開口部142の近くに位置するため、モバイル端末Pを容易に取り出すことができる。
また、乗員は、下方突起179を手で把持して引っ張ることで、ホルダ147を容易にスライドさせることができ、操作性が良い。
また、モバイル端末Pの電源コード182(図9)を、左右一対の上方突起178,178の間に通過させ、ホルダ147と左側リッド134との間を通し、後述する電源供給口180(図12)に接続することもできる。
図12は、図4のXII−XII断面図である。図13は、図6のXIII−XIII断面図である。図14は、図7のXIV−XIV断面図である。図14では左側リッド134の図示は省略されている。
図12〜図14に示すように、ホルダ147の下方のメイン収納部146の上側ケース155には、車両のバッテリー(不図示)に接続された電源供給口180が設けられている。電源供給口180は、メイン収納部146内の後部の上部の壁部において、車幅方向の外側寄りに設けられ、開口部142に面するように配置されている。詳細には、メイン収納部146内の後部の上部には、開口部142側へ膨出する膨出壁部146Aが形成されており、電源供給口180は膨出壁部146Aに設けられている。このように、膨出壁部146Aに電源供給口180を設けたため、前後に長い筒状の電源供給口180を前部カバー130内で前側に出っ張らないように配置できるとともに、電源供給口180が開口部142に近くなり、電源コード182を接続し易い。
図9、図11及び図12に示すように、トレイ144の底部167には、上部収納部145とメイン収納部146とを連通させる切り欠き181が形成されている。切り欠き181は、スライド機構185を構成するレール部167A,167Aのうち、車幅方向の内側に位置する一方のレール部167Aの後端に形成されている。
電源供給口180に接続される電源コード182(図9)は、切り欠き181から上部収納部145内に引き回されてモバイル端末Pに接続される。このように、容量の大きなメイン収納部146に電源供給口180を設け、切り欠き181から電源コード182を上部収納部145に引き回すため、上部収納部145の容量を低下させずに、モバイル端末Pに電源を供給できる。切り欠き181は前部が開放して開口部142に連続しているため、モバイル端末Pに電源コード182を接続した状態でも、モバイル端末Pがセットされたホルダ147をスライドさせることができる。
乗員は、図4に示すように、左側リッド134を開けた状態で、下方突起179を把持してホルダ147をスライドさせて後方に引き出し、ホルダ147にモバイル端末Pを載置し、ホルダ147をホルダ収納部171に押し込むことで、モバイル端末Pを上部収納部145に収納することができる。その後、左側リッド134は閉じられる。モバイル端末Pを取り出す際には、左側リッド134を開けてホルダ147を引き出せば良い。
本実施の形態では、上壁が透明な上面カバー139で構成された上部収納部145にモバイル端末Pを収納できるため、シート10に着座した乗員Rは、上面カバー139を通してモバイル端末Pの状態を視認できる。また、物品収納部132の開口部142を介してホルダ147をスライドさせるだけでモバイル端末Pを上部収納部145に出し入れできるため、容易にモバイル端末Pを収納できる。
さらに、上面カバー139は、ステアリングシャフト9の側方に配置されるとともにハンドル25の下方に設けられ、側面視で後方ほど下方に傾斜しているため、シート10の乗員Rから上面カバー139を視認し易い。このため、上部収納部145に収納されたモバイル端末Pを上面カバー139を介して容易に視認できる。また、乗員Rが視認し易い上部収納部145にモバイル端末Pを収納することができる。
図6及び図14に示すように、物品収納部132は、開口部142の下端142Aよりも底壁132Aが下方に位置するとともに、前後に長く形成されているため、容量が大きく確保されているが、底壁132Aに光が届きにくく、底壁132A側を視認し難い場合がある。本実施の形態では、ホルダ147を後方にスライドさせることで、透明な上面カバー139及びホルダ収納部171の枠状の開口を通って光が上方から物品収納部132内に入るため、底壁132A側を容易に視認することができる。
図15は、上面カバー139及びトレイ144を取り外した状態を示す斜視図である。
図6及び図15に示すように、トレイ144は、物品収納部132の上側ケース155の後部の上部に連結されており、トレイ144の側壁部168は、物品収納部132の上部の側壁を構成している。トレイ144は、上側ケース155に嵌め込まれて取付けられており、メーターバイザー137や上部インナーカバー53が車体に取り付けられた状態で、トレイ144だけを着脱可能に構成されている。
また、上面カバー139は、図5に示すように、上部インナーカバー53の膨出壁部143の上部に固定される後壁186を有し、後壁186の固定孔186A(固定部)に挿通されるビス(不図示)によって上部インナーカバー53に固定される。固定孔186Aは、左側リッド134が閉じた状態では、左側リッド134によって覆われて隠れており、左側リッド134が開かれると外側に露出する。上面カバー139は、上記ビスを取り外すことで、車体から容易に取り外される。
すなわち、上面カバー139及びトレイ144は、車体から容易に取り外すことができる。図15に示すように、上面カバー139及びトレイ144が取り外された状態では、前部カバー130の内側の内部空間Kが外側に露出し、作業者は、内部空間K内に配置されているウインカー63のバルブ63A等の部品にアクセスすることができる。このため、前部カバー130の内側を容易にメンテナンスでき、メンテナンス性が良い。
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、物品収納部132の上壁である上面カバー139は透明な部材で構成され、上面カバー139の下方の物品収納部132内に、上面カバー139に隣接してトレイ144が設けられ、トレイ144にはモバイル端末Pが載置されるホルダ147が設けられ、トレイ144に対してホルダ147をスライド自在に支持するとともにホルダ147がスライドした状態で物品収納部132の開口部142からホルダ147を露出させるスライド機構185を有するため、物品収納部132内のトレイ144のホルダ147に載置されたモバイル端末Pを透明な上面カバー139を通して確認できるとともに、スライド機構185によって開口部142から露出したホルダ147にモバイル端末Pを着脱することができ、モバイル端末Pの出し入れが容易である。
また、物品収納部132の上面カバー139は、ハンドル25の回動中心を構成するステアリングシャフト9の側方に配置されるとともに、ハンドル25の下方に設けられ、側面視で、後方ほど下方に傾斜するため、透明な上面カバー139がシート10の乗員側に向くことになり、モバイル端末Pの視認性が良い。
また、トレイ144の底部167は平面状に形成されるとともに、この平面内の一部を分割してホルダ147として構成したため、ホルダ147の大きさよりも大きなモバイル端末Pをトレイ144側に出し入れできる。また、トレイ144の底部167は、側面視で、後方に行くほど下方に傾斜しており、傾斜によって開口部142側にモバイル端末Pが寄せられるため、モバイル端末Pを容易に取り出すことができる。
さらに、上面カバー139は、物品収納部132に着脱自在に設けられ、トレイ144は上面カバー139の下方で物品収納部132の上側ケース155に着脱自在に設けられ、上面カバー139及びトレイ144を外した状態で、前部カバー130の内側の内部空間Kが、物品収納部132の上方に露出するため、前部カバー130の内側の部品、例えばバルブ63Aのメンテナンス性が良い。
また、物品収納部132の開口部142の下端142Aよりも物品収納部132の底壁132Aが下方に配置される構成では、物品収納部132の奥を視認し難いが、スライド機構185によってホルダ147を引き出すことで、透明な上面カバー139から物品収納部132内に光が入るため、物品収納部132の奥を視認し易い。
また、上方に延出する左右一対の上方突起178,178によってモバイル端末Pをホルダ147に支持できるとともに、ホルダ147をスライドさせる際の把持部として下方突起179を使用でき、簡単な構成でホルダ147の使い勝手を向上できる。
また、ホルダ147を収納するホルダ収納部171がトレイ144を切り欠いて形成され、ホルダ147の先端の乗り上げ部177がホルダ収納部171の周縁部の係止部167Bに乗り上げることで、トレイ144に対するホルダ147の収納状態が保持されるため、簡単な構造でホルダ147をトレイ144に保持できる。
また、スライド機構185の一部に切り欠き181が設けられ、ホルダ147の下方の物品収納部132の電源供給口180に接続される電源コード182を、切り欠き181を通してホルダ147の上方に引き回し可能であるため、ホルダ147の下方の大きな収納空間に電源供給口180を設けて、電源供給口180への接続容易性を確保しながら、ホルダ147の上方の上部収納部145に電源コード182を引き回すことができる。
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
9 ステアリングシャフト(ステアリングステム)
10 シート
25 ハンドル
130 前部カバー
132 物品収納部(収納部)
132A 底壁
134 左側リッド(リッド)
139 上面カバー(上壁)
142 開口部
142A 下端(開口部の下端)
144 トレイ
147 ホルダ
149 回動軸部(固定部)
167 底部
167B 係止部
171 ホルダ収納部(切り欠き部)
177 乗り上げ部(ホルダの先端部)
178,178 上方突起
179 下方突起
180 電源供給口
181 切り欠き
182 電源コード
185 スライド機構
186A 固定孔(固定部)
P モバイル端末(収納物)

Claims (7)

  1. 車両の前部を覆う前部カバー(130)と、当該前部カバー(130)の後方に配置され、乗員が着座するシート(10)と、前記前部カバー(130)内に設けられる収納部(132)と、当該収納部(132)の前記シート(10)側の壁面に形成される開口部(142)と、回動軸(149)を中心に回動して、前記開口部(142)を開閉自在に閉塞するリッド(134)とを備えた鞍乗り型車両の収納部構造において、
    前記収納部(132)の上壁(139)は透明な部材で構成され、当該上壁(139)の下方の前記収納部(132)内に、前記上壁(139)に隣接してトレイ(144)が設けられ、当該トレイ(144)には収納物(P)が載置されるホルダ(147)が設けられ、
    前記トレイ(144)に対して前記ホルダ(147)をスライド自在に支持するとともに当該ホルダ(147)がスライドした状態で前記開口部(142)から前記ホルダ(147)を露出させるスライド機構(185)を有し、
    前記上壁(139)は、前記収納部(132)に着脱自在に設けられ、前記トレイ(144)は前記上壁(139)の下方で前記収納部(132)に着脱自在に設けられ、前記上壁(139)及び前記トレイ(144)を外した状態で、前記前部カバー(130)の内側が、前記収納部(132)の上方に露出することを特徴とする鞍乗り型車両の収納部構造。
  2. 前記収納部(132)の前記上壁(139)は、前記車両のハンドル(25)の回動中心を構成するステアリングステム(9)の側方に配置されるとともに、前記ハンドル(25)の下方に設けられ、側面視で、後方ほど下方に傾斜することを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の収納部構造。
  3. 前記トレイ(144)の底部(167)は平面状に形成されるとともに、この平面内の一部を分割して前記ホルダ(147)として構成し、前記底部(167)は、側面視で、後方に行くほど下方に傾斜していることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両の収納部構造。
  4. 前記開口部(142)の下端(142A)よりも、前記収納部(132)の底壁(132A)が下方に配置されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の鞍乗り型車両の収納部構造。
  5. 車両の前部を覆う前部カバー(130)と、当該前部カバー(130)の後方に配置され、乗員が着座するシート(10)と、前記前部カバー(130)内に設けられる収納部(132)と、当該収納部(132)の前記シート(10)側の壁面に形成される開口部(142)と、回動軸(149)を中心に回動して、前記開口部(142)を開閉自在に閉塞するリッド(134)とを備えた鞍乗り型車両の収納部構造において、
    前記収納部(132)の上壁(139)は透明な部材で構成され、当該上壁(139)の下方の前記収納部(132)内に、前記上壁(139)に隣接してトレイ(144)が設けられ、当該トレイ(144)には収納物(P)が載置されるホルダ(147)が設けられ、
    前記トレイ(144)に対して前記ホルダ(147)をスライド自在に支持するとともに当該ホルダ(147)がスライドした状態で前記開口部(142)から前記ホルダ(147)を露出させるスライド機構(185)を有し、
    前記ホルダ(147)は、前記開口部(142)側の端部に、上方に延出する左右一対の上方突起(178,178)を有し、幅方向で前記左右の上方突起(178,178)の間に、下方に延出する下方突起(179)を有することを特徴とする鞍乗り型車両の収納部構造。
  6. 車両の前部を覆う前部カバー(130)と、当該前部カバー(130)の後方に配置され、乗員が着座するシート(10)と、前記前部カバー(130)内に設けられる収納部(132)と、当該収納部(132)の前記シート(10)側の壁面に形成される開口部(142)と、回動軸(149)を中心に回動して、前記開口部(142)を開閉自在に閉塞するリッド(134)とを備えた鞍乗り型車両の収納部構造において、
    前記収納部(132)の上壁(139)は透明な部材で構成され、当該上壁(139)の下方の前記収納部(132)内に、前記上壁(139)に隣接してトレイ(144)が設けられ、当該トレイ(144)には収納物(P)が載置されるホルダ(147)が設けられ、
    前記トレイ(144)に対して前記ホルダ(147)をスライド自在に支持するとともに当該ホルダ(147)がスライドした状態で前記開口部(142)から前記ホルダ(147)を露出させるスライド機構(185)を有し、
    前記ホルダ(147)を収納する切欠き部(171)が前記トレイ(144)に形成され、前記ホルダ(147)の先端部(177)が前記切り欠き部(171)の周縁部に乗り上げることで、前記トレイ(144)に対する前記ホルダ(147)の収納状態が保持されることを特徴とする鞍乗り型車両の収納部構造。
  7. 前記ホルダ(147)の下方の収納部(132)に電源供給口(180)が設けられ、前記スライド機構(185)の一部に切り欠き(181)が設けられ、前記電源供給口(180)に接続される電源コード(182)を、前記切り欠き(181)を通して前記ホルダ(147)の上方に引き回し可能であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の鞍乗り型車両の収納部構造。
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