JP5884767B2 - 発光部品、プリントヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光部品、プリントヘッド及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、第1のトラジスタと第2のトランジスタで構成される発光素子多数個を、一次元,二次元,もしくは三次元的に配列し、各発光素子の前記第1のトランジスタの第1の制御電極を、各発光素子に対して一定方向近傍に位置する少なくとも2つの発光素子の前記第2のトランジスタの第2の制御電極に、第3のトランジスタを介して接続し、各発光素子に、外部からクロックパルスを印加するクロックラインを接続した発光素子アレイであって、前記発光素子の第1のトランジスタと前記第3のトランジスタとは、カレントミラー回路を構成し、発光状態にある発光素子に接続されている前記第3のトランジスタが、それが接続されている他の発光素子の前記第2の制御電極の電位を、前記クロックパルスが印加されたときに発光状態となるように制御する自己走査型発光素子アレイが記載されている。
特許第2784011号公報
本発明は、転送サイリスタにおける転送不良の発生を抑制した発光部品等を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、第1導電型の第1半導体層、当該第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層、当該第1導電型の第3半導体層、当該第2導電型の第4半導体層が順に積層された半導体積層体にてそれぞれが構成され、順にオン状態に移行する複数の転送サイリスタと、前記半導体積層体における前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第3半導体層にてそれぞれが構成され、前記複数の転送サイリスタのオン状態が転送される順で隣接する前段の転送サイリスタと後段の転送サイリスタとを結合するように接続され、当該前段の転送サイリスタがオン状態になることによりオン状態になって当該後段の転送サイリスタをオン状態に移行可能な状態に設定するとともに、当該前段の転送サイリスタとの間において当該第1半導体層及び当該第2半導体層が連続する複数の結合トランジスタと、前記複数の転送サイリスタのそれぞれの前記第3半導体層と電力を供給する配線との間にそれぞれ設けられた複数の第1抵抗と、前記複数の転送サイリスタのそれぞれの前記第4半導体層に共通に接続されて当該複数の転送サイリスタのそれぞれをオン状態に設定する電位を供給する配線の端部に設けられ、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタのカソード電流に対する当該転送サイリスタの後ろに接続された前記複数の結合トランジスタにおける結合トランジスタのコレクタ電流の比の値と前記第1抵抗の抵抗値との積より抵抗値が小さい第2抵抗と、前記半導体積層体にて構成され、前記複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタに対応して点灯可能な状態に設定され、オフ状態からオン状態に移行することにより予め定められた波長の光を出射する複数の発光サイリスタと、前記半導体積層体にてそれぞれが構成されるとともに、前記複数の結合トランジスタのいずれかの結合トランジスタと接続され、当該結合トランジスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行する複数の書込サイリスタと、前記半導体積層体における前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第3半導体層にてそれぞれが構成されるとともに、前記複数の書込サイリスタのそれぞれの書込サイリスタに対応してそれぞれ設けられるとともに、前記複数の発光サイリスタのいずれかの発光サイリスタと接続されて設けられ、当該書込サイリスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行して、前記複数の発光サイリスタにおいて接続される発光サイリスタを点灯可能な状態に設定する複数の書込トランジスタとを備える発光部品である。
請求項2に記載の発明は、前記第2抵抗は、当該第2抵抗の抵抗値の2倍が前記複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタのカソード電流に対する当該転送サイリスタの後ろに接続された前記複数の結合トランジスタにおける結合トランジスタのコレクタ電流の比の値と前記第1抵抗の抵抗値との積より小さいことを特徴とする請求項1に記載の発光部品である。
請求項3に記載の発明は、前記複数の結合トランジスタのそれぞれの結合トランジスタは、前記複数の転送サイリスタにおいて当該結合トランジスタの後ろに接続された転送サイリスタと前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第3半導体層が連続していることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光部品である。
請求項4に記載の発明は、前記複数の転送サイリスタのそれぞれの転送サイリスタは、当該転送サイリスタを構成する前記第4半導体層が設けられた前記第3半導体層が、オン状態が転送されていく側に向かう当該第4半導体層の一端部からの長さが、オン状態が転送されてきた側に向かう当該第4半導体層の他端部からの長さより短いことを特徴とする請求項3に記載の発光部品である。
請求項に記載の発明は、第1導電型の第1半導体層、当該第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層、当該第1導電型の第3半導体層、当該第2導電型の第4半導体層が順に積層された半導体積層体にてそれぞれが構成され、順にオン状態に移行する複数の転送サイリスタと、当該半導体積層体における当該第1半導体層、当該第2半導体層、当該第3半導体層にてそれぞれが構成され、当該複数の転送サイリスタのオン状態が転送される順で隣接する前段の転送サイリスタと後段の転送サイリスタとを結合するように接続され、当該前段の転送サイリスタがオン状態になることによりオン状態になって当該後段の転送サイリスタをオン状態に移行可能な状態に設定するとともに、当該前段の転送サイリスタとの間において当該第1半導体層及び当該第2半導体層が連続する複数の結合トランジスタと、当該複数の転送サイリスタのそれぞれの当該第3半導体層と電力を供給する配線との間にそれぞれ設けられた複数の第1抵抗と、当該複数の転送サイリスタのそれぞれの当該第4半導体層に共通に接続されて当該複数の転送サイリスタのそれぞれをオン状態に設定する電位を供給する配線の端部に設けられ、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタのカソード電流に対する当該転送サイリスタの後ろに接続された当該複数の結合トランジスタにおける結合トランジスタのコレクタ電流の比の値と当該第1抵抗の抵抗値との積より抵抗値が小さい第2抵抗と、当該半導体積層体にて構成され、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタに対応して点灯可能な状態に設定され、オフ状態からオン状態に移行することにより予め定められた波長の光を出射する複数の発光サイリスタと、当該半導体積層体にてそれぞれが構成されるとともに、当該複数の結合トランジスタのいずれかの結合トランジスタと接続され、当該結合トランジスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行する複数の書込サイリスタと、当該半導体積層体における当該第1半導体層、当該第2半導体層、当該第3半導体層にてそれぞれが構成されるとともに、当該複数の書込サイリスタのそれぞれの書込サイリスタに対応してそれぞれ設けられるとともに、当該複数の発光サイリスタのいずれかの発光サイリスタと接続されて設けられ、当該書込サイリスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行して、当該複数の発光サイリスタにおいて接続される発光サイリスタを点灯可能な状態に設定する複数の書込トランジスタと、を備える発光手段と、前記発光手段から出射される光を結像させる光学手段とを備えたプリントヘッドである。
請求項に記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電手段と、第1導電型の第1半導体層、当該第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層、当該第1導電型の第3半導体層、当該第2導電型の第4半導体層が順に積層された半導体積層体にてそれぞれが構成され、順にオン状態に移行する複数の転送サイリスタと、当該半導体積層体における当該第1半導体層、当該第2半導体層、当該第3半導体層にてそれぞれが構成され、当該複数の転送サイリスタのオン状態が転送される順で隣接する前段の転送サイリスタと後段の転送サイリスタとを結合するように接続され、当該前段の転送サイリスタがオン状態になることによりオン状態になって当該後段の転送サイリスタをオン状態に移行可能な状態に設定するとともに、当該前段の転送サイリスタとの間において当該第1半導体層及び当該第2半導体層が連続する複数の結合トランジスタと、当該複数の転送サイリスタのそれぞれの当該第3半導体層と電力を供給する配線との間にそれぞれ設けられた複数の第1抵抗と、当該複数の転送サイリスタのそれぞれの当該第4半導体層に共通に接続されて当該複数の転送サイリスタのそれぞれをオン状態に設定する電位を供給する配線の端部に設けられ、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタのカソード電流に対する当該転送サイリスタの後ろに接続された当該複数の結合トランジスタにおける結合トランジスタのコレクタ電流の比の値と当該第1抵抗の抵抗値との積より抵抗値が小さい第2抵抗と、当該半導体積層体にて構成され、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタに対応して点灯可能な状態に設定され、オフ状態からオン状態に移行することにより予め定められた波長の光を出射する複数の発光サイリスタと、当該半導体積層体にてそれぞれが構成されるとともに、当該複数の結合トランジスタのいずれかの結合トランジスタと接続され、当該結合トランジスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行する複数の書込サイリスタと、当該半導体積層体における当該第1半導体層、当該第2半導体層、当該第3半導体層にてそれぞれが構成されるとともに、当該複数の書込サイリスタのそれぞれの書込サイリスタに対応してそれぞれ設けられるとともに、当該複数の発光サイリスタのいずれかの発光サイリスタと接続されて設けられ、当該書込サイリスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行して、当該複数の発光サイリスタにおいて接続される発光サイリスタを点灯可能な状態に設定する複数の書込トランジスタと、を備える発光手段を備え、光学手段を介して前記帯電手段により帯電された前記像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置である。
請求項1の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、転送サイリスタの転送不良の発生が抑制できる。
請求項2の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、転送サイリスタの転送不良の発生がさらに抑制できる。
請求項3の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光部品がより小型にできる。
請求項4の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、転送サイリスタの転送不良が抑制できる。
請求項の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、プリントヘッドの誤動作が抑制される。
請求項の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、形成される画像に発生する乱れが抑制される。
第1の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。 プリントヘッドの構成を示した断面図である。 第1の実施の形態が適用される発光装置の上面図である。 第1の実施の形態が適用される発光チップの構成、発光装置の信号発生回路の構成及び回路基板上の配線(ライン)の構成を示した図である。 第1の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第1の実施の形態が適用される発光チップの平面レイアウト図及び断面図の一例である。 転送サイリスタ及び結合トランジスタを説明する図である。 第1の実施の形態が適用される発光装置及び発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。 第1の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第1の実施の形態が適用される発光チップの製造方法を説明する断面図である。 結合トランジスタのコレクタの電位(コレクタ電位)を説明する図である。 第2の実施の形態が適用される発光チップの平面レイアウト図及び断面図の一例である。 第2の実施の形態における連続する転送サイリスタT(n−1)、T(n)、T(n+1)の断面を示した図である。 第3の実施の形態が適用される発光装置の上面図である。 第3の実施の形態が適用される発光チップの構成、発光装置の信号発生回路の構成および回路基板上の配線構成を示した図である。 第3の実施の形態が適用される発光装置の発光チップをマトリクスの各要素として配置して示した図である。 第3の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第3の実施の形態が適用される発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。 第3の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により予め定められた波長の光を照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録用紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に複数、配列して発光素子アレイとしたLEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
また、基板上に複数の発光素子が列状に設けられ、順次点灯制御される自己走査型発光素子アレイ(SLED)を搭載する発光チップでは、発光素子として発光サイリスタが使用されている。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
(画像形成装置1)
図1は第1の実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
画像形成プロセス部10は、予め定められた間隔を置いて並列に配置される複数のエンジンを含む画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙25に多重転写させるために、この記録用紙25を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙25に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙25にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印a方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印b方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙25に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙25上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙25は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙25上の合成トナー像は、定着器24によって熱及び圧力による定着処理を受けて記録用紙25上に定着され、画像形成装置1から排出される。
(プリントヘッド14)
図2は、プリントヘッド14の構成を示した断面図である。露光手段の一例としてのプリントヘッド14は、ハウジング61、感光体ドラム12を露光する複数の発光素子(第1の実施の形態では、発光サイリスタ)を備える光源部63を備えた発光手段の一例としての発光装置65、光源部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
発光装置65は、前述した光源部63、光源部63を駆動する信号発生回路110(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62を備えている。
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62及びロッドレンズアレイ64を支持し、光源部63の発光素子の発光面(後述する図6の領域311の表面)がロッドレンズアレイ64の焦点面となるように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向であって、後述する図3、図4(b)のX方向)に沿って配置されている。
(発光装置65)
図3は、第1の実施の形態が適用される発光装置65の上面図である。
図3に例として示す発光装置65では、光源部63は、回路基板62上に、40個の発光部品の一例としての発光チップU1〜U40が、主走査方向であるX方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。
本明細書では、「〜」は、番号によってそれぞれが区別された複数の構成要素を示すもので、「〜」の前後に記載されたもの及びその間の番号のものを含むことを意味する。例えば、発光チップU1〜U40は、発光チップU1から番号順に発光チップU40までを含む。
発光チップU1〜U40の構成は同じであってよい。よって、発光チップU1〜U40をそれぞれ区別しないときは、発光チップUと呼ぶ。
なお、第1の実施の形態では、発光チップUの数として、合計40個を用いたが、これに限定されない。
そして、発光装置65は、光源部63を駆動する信号発生回路110を搭載している。信号発生回路110は、例えば集積回路(IC)などで構成されている。なお、発光装置65が信号発生回路110を搭載していなくともよい。このときは、信号発生回路110は、発光装置65の外部に設けられ、発光チップU1〜U40を制御する制御信号などを、ケーブルなどを介して供給する。ここでは、発光装置65は信号発生回路110を備えているとして説明する。
発光チップU1〜U40の配列についての詳細は後述する。
図4は、第1の実施の形態が適用される発光チップUの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成及び回路基板62上の配線(ライン)の構成を示した図である。図4(a)は発光チップUの構成を示し、図4(b)は発光装置65の信号発生回路110の構成及び回路基板62上の配線(ライン)の構成を示している。
はじめに、図4(a)に示す発光チップUの構成を説明する。
発光チップUは、表面形状が長方形である基板80の表面において、一長辺側に長辺に沿って列状に設けられた複数の発光素子(第1の実施の形態では、発光サイリスタL1、L2、L3、…)から構成される発光部102を備えている。さらに、発光チップUは、基板80の表面の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子)を備えている。なお、これらの端子は、基板80の一端部からφ1端子、Vga端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、Vga端子とφ2端子との間に設けられている。さらに、基板80の裏面にはVsub端子として裏面電極85(後述する図6参照)が設けられている。
なお、「列状」とは、図4(a)に示したように複数の発光素子が一直線上に配置されている場合に限らず、複数の発光素子のそれぞれの発光素子が、列方向と直交する方向に対して、互いに異なるずれ量を有して配置されていてもよい。例えば、発光素子の発光面(後述する図6の領域311の表面)を画素としたとき、それぞれの発光素子が、列方向と直交する方向に数画素分又は数十画素分のずれ量をもって配置されていてもよい。また、隣接する発光素子間で交互に、又は複数の発光素子毎に、ジグザグに配置されていてもよい。
次に、図4(b)により、発光装置65の信号発生回路110の構成及び回路基板62上の配線(ライン)の構成を説明する。
前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110及び発光チップU1〜U40が搭載され、信号発生回路110と発光チップU1〜U40とを接続する配線(ライン)が設けられている。
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110には、画像出力制御部30及び画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データ及び各種の制御信号が入力される。信号発生回路110は、これらの画像データ及び各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや光量の補正等を行う。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップU1〜U40に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を送信する転送信号発生部120を備えている。
そしてまた、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップU1〜U40に、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ送信する点灯信号発生部140を備えている。なお、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ区別しないときは点灯信号φIと表記する。
さらにまた、信号発生回路110は、発光チップU1〜U40に電位の基準となる基準電位Vsubを供給する基準電位供給部160、発光チップU1〜U40に電源電位Vgaを与えて駆動する電力を供給する電源電位供給部170を備えている。
次に、発光チップU1〜U40の配列について説明する。
奇数番号の発光チップU1、U3、U5、…は、それぞれの基板80の長辺方向に間隔を設けて一列に配列されている。偶数番号の発光チップU2、U4、U6、…も、同様にそれぞれの基板80の長辺方向に間隔を設けて一列に配列されている。そして、奇数番号の発光チップU1、U3、U5、…と偶数番号の発光チップU2、U4、U6、…とは、発光チップUに設けられた発光部102側の長辺が向かい合うように、互いに180°回転した状態で千鳥状に配列されている。そして、発光チップU間においても発光素子が主走査方向(X方向)に予め定められた間隔で並ぶように設定されている。なお、図4(b)の発光チップU1、U2、U3、…に、図4(a)に示した発光部102の発光素子の並び(第1の実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…の番号順)の方向を矢印で示している。
信号発生回路110と発光チップU1〜U40とを接続する配線(ライン)について説明する。
回路基板62には、発光チップUの基板80裏面に設けられたVsub端子である裏面電極85(後述の図6参照)に接続され、基準電位Vsubを供給する電源ライン200aが設けられている。
そして、回路基板62には、発光チップUに設けられたVga端子に接続され、駆動のための電源電位Vgaを供給する電源ライン200bが設けられている。
回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120から、発光チップU1〜U40のφ1端子に第1転送信号φ1を送信するための第1転送信号ライン201、発光チップU1〜U40のφ2端子に第2転送信号φ2を送信するための第2転送信号ライン202が設けられている。
そしてまた、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140から、各発光チップU1〜U40のそれぞれのφI端子に、それぞれ電流制限抵抗RIを介して、点灯信号φI1〜φI40を送信する点灯信号ライン204−1〜204−40が設けられている。
回路基板62上のすべての発光チップU1〜U40に、基準電位Vsub、電源電位Vgaが共通に供給される。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2も、発光チップU1〜U40に共通(並列)に送信される。一方、点灯信号φI1〜φI40は、発光チップU1〜U40にそれぞれ個別に送信される。
なお、発光装置65が信号発生回路110を備えない場合には、発光装置65には、電源ライン200a、200b、第1転送信号ライン201、第2転送信号ライン202、点灯信号ライン204−1〜204−40は、信号発生回路110の代わりにコネクタなどに接続される。そして、コネクタなどに接続されるケーブルにより外部に設けられた信号発生回路110に接続される。
(発光チップU)
図5は、第1の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUの回路構成を説明するための等価回路図である。以下において説明する各素子は、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子)を除き、発光チップU上のレイアウト(後述する図6参照)に基づいて配置されている。なお、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子)の位置は、図4(a)と異なるが、説明の便宜上、図中左端に示している。そして、基板80の裏面に設けられたVsub端子を、基板80の外に引き出して示している。
ここでは、信号発生回路110との関係において発光チップU1を例に、発光チップUを説明する。そこで、図5において、発光チップUを発光チップU1(U)と表記する。他の発光チップU2〜U40の構成は、発光チップU1と同じである。
発光チップU1(U)は、前述したように基板80上に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…から構成される発光サイリスタ列(発光部102(図4(a)参照))を備えている。
そして、発光チップU1(U)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された転送サイリスタT1、T2、T3、…から構成される転送サイリスタ列を備えている。
また、発光チップU1(U)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにして、それぞれのペアの間にpnpバイポーラトランジスタである結合トランジスタQ1、Q2、Q3、…を備えている。
さらに、発光チップU1(U)は、第1抵抗の一例としての抵抗Rg1、Rg2、Rg3、…を備えている。
また、発光チップU1(U)は、1個のスタート抵抗R0を備えている。そして、後述する第1転送信号φ1が送信される第1転送信号線72と第2転送信号φ2が送信される第2転送信号線73とに過剰な電流が流れるのを防止するために設けられた第2抵抗の一例としての電流制限抵抗R1、R2を備えている。
発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタ列の転送サイリスタT1、T2、T3、…は、図5中において、左側から番号順に配列されている。さらに、結合トランジスタQ1、Q2、Q3、…、抵抗Rg1、Rg2、Rg3、…も、図中左側から番号順に配列されている。
そして、発光サイリスタ列、転送サイリスタ列は、図5において上から、転送サイリスタ列、発光サイリスタ列の順に並べられている。
ここでは、発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタT1、T2、T3、…、結合トランジスタQ1、Q2、Q3、…、抵抗Rg1、Rg2、Rg3、…をそれぞれ区別しないときは、発光サイリスタL、転送サイリスタT、結合トランジスタQ、抵抗Rgと表記する。
発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数は、予め定められた個数とすればよい。第1の実施の形態で、発光サイリスタLの数を例えば128個とすると、転送サイリスタTの数も128個である。同様に、抵抗Rgの数も128個である。しかし、結合トランジスタQの数は、転送サイリスタTの数より1少ない127個である。
なお、転送サイリスタTの数は、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
図5では、発光サイリスタL1〜L4、転送サイリスタT1〜T4を中心とした部分を示している。
サイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT)は、第1ゲート、第2ゲート、アノード、カソードを有する半導体素子である。結合トランジスタQは、コレクタ、ベース、エミッタを有する半導体素子である。
後述するように、第1ゲート、第2ゲート、アノード、カソード、コレクタ、ベース、エミッタに相当する半導体層の部分にp型オーミック電極又はn型オーミック電極が設けられて配線によって接続される場合の他、半導体層を介して相互に接続されている場合がある。
ここでは、サイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT)及び結合トランジスタQは、回路記号で表記し、サイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT)の第1ゲート(後述するGlf、Gtf)、第2ゲート(後述するGts)を除いてアノード、カソードについては記号を用いない場合がある。同様に、結合トランジスタQのコレクタ(後述するC)を除いてエミッタ、ベースについては記号を表記しない場合がある。
では次に、発光チップU1(U)における各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタT、発光サイリスタLのそれぞれのアノードは、発光チップU1(U)の基板80に接続されている(アノードコモン)。なお、結合トランジスタQのエミッタも発光チップU1(U)の基板80に接続されている。
そして、これらのアノードは、基板80裏面に設けられたVsub端子である裏面電極85(後述の図6参照)を介して電源ライン200a(図4(b)参照)に接続されている。この電源ライン200aは、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番号(奇数番目)の転送サイリスタT1、T3、…のカソードは、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン201(図4(b)参照)が接続され、転送信号発生部120から第1転送信号φ1が送信される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号(偶数番目)の転送サイリスタT2、T4、…のカソードは、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン202(図4(b)参照)が接続され、転送信号発生部120から第2転送信号φ2が送信される。
発光サイリスタLのカソードは、点灯信号線75に接続されている。点灯信号線75は、φI端子に接続されている。発光チップU1では、φI端子は、電流制限抵抗RIを介して点灯信号ライン204−1に接続され、点灯信号発生部140から点灯信号φI1が送信される。点灯信号φI1は、発光サイリスタLに点灯のための電流を供給する。なお、他の発光チップU2〜U40のφI端子には、それぞれ電流制限抵抗RIを介して点灯信号ライン204−2〜204−40が接続され、点灯信号発生部140から点灯信号φI2〜φI40が送信される。
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれの第1ゲートGtf1、Gtf2、Gtf3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…の第1ゲートGlf1、Glf2、Glf3、…に、1対1で接続されている。よって、転送サイリスタT1、T2、T3、…の第1ゲートGtf1、Gtf2、Gtf3、…と発光サイリスタL1、L2、L3、…の第1ゲートGlf1、Glf2、Glf3、…とは、同じ番号のものが同電位になっている。よって、例えば第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1)と表記して、電位が同じであることを示す。
転送サイリスタT1の第2ゲートGts1と転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2との間に結合トランジスタQ1が接続されている。転送サイリスタT1の第2ゲートGts1が結合トランジスタQ1のベースに接続され、転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2が結合トランジスタQ1のコレクタC1に接続されている。
番号が2以上の番号が連続する2個の転送サイリスタT間においても、同様に結合トランジスタQが接続されている。
ここでも、第1ゲートGtf1、Gtf2、Gtf3、…、第2ゲートGts1、Gts2、Gts3、…、第1ゲートGlf1、Glf2、Glf3、…をそれぞれ区別しないときは、第1ゲートGtf、第2ゲートGts、第1ゲートGlfと表記する。そして、第1ゲートGtf(第1ゲートGlf)と表記して、電位が同じであることを示す。
なお、発光サイリスタLも第2ゲートを有しているが、他の素子と接続されていないので、符号を付さない。
転送サイリスタTの第1ゲートGtf及び発光サイリスタLの第1ゲートGlfは、転送サイリスタTのそれぞれに対応して設けられた抵抗Rgを介して、電源線71に接続されている。電源線71はVga端子に接続されている。Vga端子は、電源ライン200b(図4(b)参照)に接続され、電源電位供給部170から電源電位Vgaが供給される。
そして、転送サイリスタ列の一端の転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1は、スタート抵抗R0の一方の端子に接続されている。一方、スタート抵抗R0の他方の端子は、第2転送信号線73に接続されている。
図5において、発光チップU1(U)の転送サイリスタT、結合トランジスタQ、抵抗Rg、スタート抵抗R0、電流制限抵抗R1、R2を備える部分を転送部101と表記する。そして、発光サイリスタLを備える部分が発光部102に該当する。
図6は、第1の実施の形態が適用される発光チップUの平面レイアウト図及び断面図の一例である。ここでは、発光チップUと信号発生回路110との接続関係を示さないので、発光チップU1を例とすることを要しない。よって、発光チップUと表記する。
図6(a)は、発光チップUの平面レイアウト図であって、発光サイリスタL1〜L4、転送サイリスタT1〜T4を中心とした部分を示している。なお、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子)の位置は、図4(a)と異なるが、説明の便宜上、図中左端部に示している。そして、基板80の裏面に設けられたVsub端子は、基板80の外に引き出して示している。図4(a)に対応させて端子を設けるとすると、φ2端子、φI端子、電流制限抵抗R2は、図6(a)において基板80の右端部に設けられる。なお、スタート抵抗R0は、転送サイリスタ列において転送を開始する側の端部に置かれる。
そして、図6(a)では、配線(電源線71、第1転送信号線72、第2転送信号線73、点灯信号線75など)を破線で示し、配線の下の構造が分かるように表記している。
図6(b)は、図6(a)に示したVIB−VIB線での断面図である。よって、図6(b)の断面図には、図中下より発光サイリスタL1、転送サイリスタT1、結合トランジスタQ1、抵抗Rg2の断面が示されている。なお、図6(a)及び(b)の図中には、素子の名前、転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1及び発光サイリスタL1の第1ゲートGlf1、結合トランジスタQ1のコレクタC1を表記している。
発光チップUは、図6(b)に示すように、第1導電型の一例としてのp型の基板80上に、p型の第1半導体層81、第2導電型の一例としてのn型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83及びn型の第4半導体層84が順に積層された半導体積層体を分離して構成した複数の島状領域(アイランド)(後述する第1アイランド301、第2アイランド302、第3アイランド303など)から構成されている。すなわち、これらの複数のアイランドは、図6(b)に示すように、少なくともn型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83及びn型の第4半導体層84が相互に分離されている。なお、p型の第1半導体層81は、分離されていてもされていなくともよい。図6(b)では、p型の第1半導体層81は、厚さ方向に一部が除去されている。また、p型の第1半導体層81が基板80を兼ねてもよい。
後述するように、これらのアイランドでは、n型の第4半導体層84又はp型の第3半導体層83の一部又は全部が除去されることで、発光サイリスタL、転送サイリスタT、結合トランジスタQ、抵抗Rgなどが構成されている。
そして、発光チップUには、図6(b)に示すように、これらのアイランドの表面及び側面を覆うように絶縁層86が設けられている。これらのアイランドと配線とが、絶縁層86に設けられたスルーホール(図6(a)では○で表記する。)を介して、接続されている。以下の説明では、絶縁層86及びスルーホールについての説明を省略する。
図6(a)に示すように、第1アイランド301は、平面形状がU字状であって、U字の中央部に発光サイリスタL1が、U字の一方の側(図6(a)において右側)に転送サイリスタT1及び結合トランジスタQ1が設けられている。
第2アイランド302及び第3アイランド303は、平面形状が両端部(図6(a)において上下側)の四角形の部分を接続した形状であって、第2アイランド302に抵抗Rg1が、第3アイランド303に抵抗Rg2が設けられている。
第4アイランド304、第5アイランド305、第6アイランド306は、第2アイランド302、第3アイランド303と同様な平面形状であって、第4アイランド304にはスタート抵抗R0が、第5アイランド305には電流制限抵抗R1が、第6アイランド306には電流制限抵抗R2が設けられている。
そして、発光チップUには、第1アイランド301、第2アイランド302(第3アイランド303)と同様なアイランドが、並列して複数形成されている。これらのアイランドには、発光サイリスタL2、L3、L4、…、転送サイリスタT2、T3、T4、…、結合トランジスタQ2、Q3、Q4、…、抵抗Rg3、Rg4、Rg5、…が、第1アイランド301、第2アイランド302(第3アイランド303)と同様に設けられている。
また、図6(b)に示すように、基板80の裏面にはVsub端子となる裏面電極85が設けられている。
ここで、図6(a)及び(b)により、第1アイランド301〜第6アイランド306について詳細に説明する。
平面形状がU字状の第1アイランド301において、U字の中央部に設けられた発光サイリスタL1では、p型の基板80上に設けられたp型の第1半導体層81をアノード、周囲のn型の第4半導体層84を取り除いたn型の第4半導体層84の領域311をカソードとする。n型の第4半導体層84の領域311上にn型オーミック電極321が設けられている。なお、p型の第1半導体層81をアノード層、n型の第4半導体層84をカソード層、n型オーミック電極321をカソードと表記することがある。
さらに、p型の第3半導体層83が第1ゲートGlf1であって、n型の第4半導体層84を取り除いて露出させたp型の第3半導体層83上に、第1アイランド301のU字の内側に沿ってp型オーミック電極331が設けられている。p型オーミック電極331は、U字の一方の側では、その中央部に設けられた転送サイリスタTの近傍まで延びていて、U字の他方の側では、U字の端部まで延びている。p型の第3半導体層83を第1オーミック層、p型オーミック電極331を第1ゲートGlf1と表記することがある。
そして、n型の第2半導体層82が第2ゲートである。なお、n型の第2半導体層82を第2ゲート層と表記することがある。
発光サイリスタLは、n型の第2半導体層82とp型の第3半導体層83との界面で発光する。光は、カソードであるn型の第4半導体層84の領域311の表面(発光面)において、n型オーミック電極321及び点灯信号線75とn型オーミック電極321との接続のための枝部75bによって光の出射が妨げられる(遮光される)部分を除いた部分から、絶縁層86を透過して出射する。
転送サイリスタT1は、第1アイランド301において、U字の一方の側(図6(a)において右側)の中央部に設けられている。転送サイリスタT1が設けられた部分では、p型の基板80上に設けられたp型の第1半導体層81をアノードとし、周囲のn型の第4半導体層84を取り除いたn型の第4半導体層84の領域312をカソードとする。そして、n型の第4半導体層84の領域312上にn型オーミック電極322が設けられている。なお、p型の第1半導体層81をアノード層、n型の第4半導体層84をカソード層、n型オーミック電極322をカソードと表記することがある。
さらに、p型の第3半導体層83が第1ゲートGtf1である。p型の第3半導体層83上のp型オーミック電極331を、第1ゲートGtf1と表記することがある。すなわち、発光サイリスタL1の第1ゲートGlf1及び転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1は、p型オーミック電極331であって、第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1)である。
そして、n型の第2半導体層82が第2ゲートGts1である。なお、n型の第2半導体層82を第2ゲート層と表記することがある。
結合トランジスタQ1は、平面形状がU字状の第1アイランド301において、U字の一方の側(図6(a)において右側)の端部に設けられている。結合トランジスタQ1が設けられる部分では、n型の第4半導体層84が取り除かれている。そして、p型の第1半導体層81がエミッタ、n型の第2半導体層82がベース、n型の第4半導体層84を取り除いて露出させたp型の第3半導体層83がコレクタC1である。n型の第4半導体層84を取り除いて露出させたp型の第3半導体層83上にp型オーミック電極332が設けられている。なお、p型の第1半導体層81をエミッタ層、n型の第2半導体層82をベース層、p型の第3半導体層83をコレクタ層、p型オーミック電極332をコレクタC1と表記することがある。
発光サイリスタL1のアノードとして働く部分のp型の第1半導体層81、転送サイリスタT1のアノードとして働く部分のp型の第1半導体層81及び結合トランスタQ1のエミッタとして働く部分のp型の第1半導体層81は連続している。
また、発光サイリスタL1の第2ゲートとして働く部分のn型の第2半導体層82、転送サイリスタT1の第2ゲートとして働く部分のn型の第2半導体層82及び結合トランジスタQ1のベースとして働く部分のn型の第2半導体層82は連続している。
発光サイリスタL1の第1ゲートGlf1として働く部分のp型の第3半導体層83と転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1として働く部分のp型の第3半導体層83とは連続している。
抵抗Rg1が設けられた第2アイランド302では、n型の第4半導体層84が取り除かれている。そして、露出させたp型の第3半導体層83上にp型オーミック電極333とp型オーミック電極334とが設けられている。そして、p型の第3半導体層83上にp型オーミック電極333とp型オーミック電極334との間のp型の第3半導体層83を抵抗Rg1とするように設けられている。抵抗Rg2が設けられた第3アイランド303でも、同様である。すなわち、露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極335とp型オーミック電極336との間のp型の第3半導体層83を抵抗Rg2とするように設けられている。
第4アイランド304に設けられたスタート抵抗R0、第5アイランド305に設けられた電流制限抵抗R1、第6アイランド306に設けられた電流制限抵抗R2は、第2アイランド302に設けられた抵抗Rg1と同様に、それぞれが2個のp型オーミック電極(符号なし)間のp型の第3半導体層83を抵抗としている。
図6(a)において、各素子間の接続関係を説明する。
点灯信号線75は幹部75aと複数の枝部75bとを備え、幹部75aは発光サイリスタ列の列方向に延びるように設けられている。枝部75bは幹部75aから枝分かれして、第1アイランド301に設けられた発光サイリスタL1のn型の第4半導体層84の領域311上のn型オーミック電極321(カソード)と接続されている。第1アイランド301と同様なアイランドに設けられた、他の発光サイリスタLのカソードも同様にして、点灯信号線75に接続されている。そして、点灯信号線75はφI端子に接続されている。
第1転送信号線72は、第1アイランド301に設けられた転送サイリスタT1のn型の第4半導体層84の領域312上のn型オーミック電極322(カソード)に接続されている。第1アイランド301と同様なアイランドに設けられた、他の奇数番号の転送サイリスタTのカソードも第1転送信号線72に接続されている。第1転送信号線72は、第5アイランド305に設けられた電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。
一方、第2転送信号線73は、符号を付さないアイランドに設けられた偶数番号の転送サイリスタTのカソードに接続されている。第2転送信号線73は、第6アイランド306に設けられた電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。
電源線71は、第2アイランド302に設けられた抵抗Rg1のp型オーミック電極334、第3アイランド303に設けられた抵抗Rg2のp型オーミック電極336に接続されている。第2アイランド302(第3アイランド303)と同様なアイランドに設けられた他の抵抗Rgも同様にして電源線71に接続されている。電源線71はVga端子に接続されている。
そして、平面形状がU字状の第1アイランド301のU字の内側に沿って設けられたp型オーミック電極331(第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1))は、U字の他方の側の端部まで延びて、第2アイランド302に設けられた抵抗Rg1のp型オーミック電極333に接続配線76で接続されている。
平面形状がU字状の第1アイランド301のU字の一方の側の端部に設けられたp型オーミック電極332(結合トランジスタQ1のコレクタC1)は、第3アイランド303に設けられた抵抗Rg2のp型オーミック電極335に接続配線77で接続されている。
ここでは説明を省略するが、他の発光サイリスタL、転送サイリスタT、結合トランジスタQ、抵抗Rgについても同様である。
第1アイランド301のp型オーミック電極331(第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1))及び第2アイランド302のp型オーミック電極333(抵抗Rg1の一方の端子)は、第4アイランド304に設けられたスタート抵抗R0の一方のp型オーミック電極(符号なし)に前述した接続配線76で接続されている。スタート抵抗R0の他方の端子は第2転送信号線73に接続されている。
このようにして、図5に示した発光チップU1(U)が構成される。
(転送サイリスタT及び結合トランジスタQ)
ここで、転送サイリスタT及び結合トランジスタQを説明する。
図7は、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQ1を説明する図である。図7(a)は、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQ1を等価なトランジスタの記号により表記した図である。図7(b)は、図7(a)において、転送サイリスタT1をサイリスタの記号で表記するとともに、隣接する転送サイリスタT2を加えて示したものである。図7(c)は、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQ1の断面図である。そして、図7(c)は、図6(b)の断面図において、転送サイリスタT1と結合トランジスタQ1との部分を拡大した図である。
図7では、説明を容易にするため、転送サイリスタT1においてアノードA1、カソードK1、転送サイリスタT2においてアノードA2、カソードK2及び結合トランジスタQ1においてエミッタE1、ベースB1、コレクタC1とする。
図7(a)に示すように、転送サイリスタT1はpnpバイポーラトランジスタであるpnpトランジスタTr1とnpnバイポーラトランジスタであるnpnトランジスタTr2とが組み合わされた構成をなしている。すなわち、pnpトランジスタTr1のベースがnpnトランジスタTr2のコレクタに接続され、pnpトランジスタTr1のコレクタがnpnトランジスタTr2のベースに接続されている。そして、pnpトランジスタTr1のエミッタが転送サイリスタT1のアノードA1、pnpトランジスタTr1のコレクタ(npnトランジスタTr2のベース)が転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1、npnトランジスタTr2のコレクタ(pnpトランジスタTr1のベース)が転送サイリスタT1の第2ゲートGts1、npnトランジスタTr2のエミッタが転送サイリスタT1のカソードK1である。転送サイリスタT1のアノードA1であるpnpトランジスタTr1のエミッタは基準電位Vsubの基板80に接続されている。
そして、結合トランジスタQ1はpnpトランジスタであって、ベースB1が転送サイリスタT1の第2ゲートGts1であるnpnトランジスタTr2のコレクタ及びpnpトランジスタTr1のベースに接続されている。結合トランジスタQ1のエミッタは基準電位Vsubの基板80に接続されている。
図7(a)に示すように、転送サイリスタT1のpnpトランジスタTr1と結合トランジスタQ1とは、カレントミラー回路を構成している。すなわち、pnpトランジスタTr1に流れる電流に比例した電流が結合トランジスタQ1に流れる。
以下では、一例として、Vsub端子である裏面電極85(図5、図6参照)に供給される基準電位Vsubをハイレベルの電位として0V(以下では「H」(0V)と表記する。)、Vga端子に供給される電源電位Vgaをローレベルの電位として−3.3V(以下では「L」(−3.3V)と表記する。)として説明する。
第1の実施の形態では、発光装置65(図3参照)は負の電位で駆動される。
サイリスタ(転送サイリスタT、発光サイリスタL)及び結合トランジスタQは、図6に示したように、p型半導体層(p型の第1半導体層81、p型の第3半導体層83)、n型半導体層(n型の第2半導体層82、n型の第4半導体層84)をp型の基板80上に積層して構成される。これらはGaAs、GaAlAsなどにより構成されるとして、p型半導体層とn型半導体層とで構成されるpn接合の順方向電位(拡散電位)Vdを一例として1.5Vとする。
まず、サイリスタ(転送サイリスタT、発光サイリスタL)の基本的な動作を転送サイリスタT1により説明する。
転送サイリスタT1のアノードA1であるp型の第1半導体層81はp型の基板80上に設けられ、p型の基板80の裏面電極85に供給される基準電位Vsub(「H」(0V))になっている。
オフ状態にある転送サイリスタT1では、アノードA1とカソードK1との間はオン状態に比べて電流が小さい状態にある。このとき、転送サイリスタT1を構成するpnpトランジスタTr1及びnpnトランジスタTr2はオフ状態にある。
ここで、転送サイリスタT1のカソードK1に接続された第1転送信号線72が、「L」(−3.3V)となるとする。
このとき、第1ゲートGtf1が、「L」(−3.3V)に拡散電位Vd(1.5V)を加えた値、ここでは−1.8Vより高い(正の側を高いといい、負の側を低いという。)電位になると、npnトランジスタTr2のエミッタ−ベース間が順バイアスになり、オフ状態からオン状態に移行する。すると、npnトランジスタTr2のコレクタが「L」(−3.3V)側に引き込まれ、pnpトランジスタTr1のエミッタ(「H」(0V))−ベース間が順バイアスになって、pnpトランジスタTr1もオフ状態からオン状態に移行する。すなわち、pnpトランジスタTr1及びnpnトランジスタTr2がともにオン状態になって、転送サイリスタT1がオフ状態からオン状態に移行する。転送サイリスタT1がオフ状態からオン状態に移行することをターンオンと表記する。
オン状態の転送サイリスタT1では、第1ゲートGtf1は、アノードA1の電位に近い電位(絶対値がアノードA1の電位より大きい負の電位)になる。ここでは、アノードA1を基準電位Vsub(「H」(0V))に設定しているので、第1ゲートGtf1の電位は、「H」(0V)になるとする。また、第2ゲートGts1は、アノードA1の電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた電位(−1.5V)になる。
オン状態の転送サイリスタT1のカソードK1は、アノードA1の電位(「H」(0V))から拡散電位Vd(1.5V)を引いた電位に近い電位(絶対値が1.5Vより大きい負の電位)となる。なお、カソードK1の電位は、オン状態のサイリスタに電流を供給する電源の電流供給能力で設定される。
以上説明したように、転送サイリスタT1を構成するnpnトランジスタTr2のエミッタ(カソードK1)−ベース(第1ゲートGtf1)間を順バイアスにすると、転送サイリスタT1がターンオンする。そして、npnトランジスタTr2のエミッタ(カソードK1)−ベース(第1ゲートGtf1)間を順バイアスにするには、カソードK1の電位を第1ゲートGtf1から拡散電位Vd(1.5V)を引いた電位より低くすればよい。第1ゲートGtf1の電位から拡散電位Vdを引いた電位を転送サイリスタT1のしきい電圧と表記する。よって、転送サイリスタT1のしきい電圧は第1ゲートGtf1の電位によって決まり、カソードK1(第1転送信号線72)がしきい電圧より低い電位となると、転送サイリスタT1がターンオンする。
ターンオンした転送サイリスタT1は、アノードA1の電位(「H」(0V))から拡散電位Vd(1.5V)を引いた電位より低い電位(維持電圧)がカソードK1に印加され、電源からオン状態を維持しうる電流(維持電流)が供給され続けると、オン状態を維持する。
一方、オン状態の転送サイリスタT1は、アノードA1の電位(「H」(0V))から拡散電位Vd(1.5V)を引いた電位より高い電位がカソードK1に印加されると、オン状態からオフ状態に移行する。転送サイリスタT1がオン状態からオフ状態に移行することをターンオフと表記する。例えば、カソードK1が「H」(0V)になると、オン状態を維持するために必要な維持電圧(−1.5Vより低い電位)より高い電位であるとともに、カソードK1の電位とアノードA1の電位とが同じになるので、転送サイリスタT1はターンオフする。
次に、結合トランジスタQ1の動作を説明する。
転送サイリスタT1がオフ状態にあるときは、結合トランジスタQ1もオフ状態にある。
前述したように、転送サイリスタT1がターンオンする際に、pnpトランジスタTr1のエミッタ(アノードA1)−ベース(第2ゲートGts1)間が順バイアスになる。すると、第2ゲートGts1は結合トランジスタQ1のベースB1に接続されているので、結合トランジスタQ1のエミッタE1−ベースB1間も順バイアスになって、結合トランジスタQ1がオフ状態からオン状態に移行する。
なお、結合トランジスタQ1のエミッタE1−ベースB1間が、エミッタE1(「H」(0V))から拡散電位Vd(1.5V)を引いた電位より高くなると、結合トランジスタQ1はオン状態からオフ状態に移行する。
以上において、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQ1を説明したが、他の転送サイリスタT及び結合トランジスタQも同様に動作する。また、発光サイリスタLについても、転送サイリスタT1と同様に動作する。
図7(b)でさらに説明する。
前述したように、転送サイリスタT1がターンオンすると、結合トランジスタQ1がオフ状態からオン状態に移行する。結合トランジスタQ1のコレクタC1は、抵抗Rg2を介して、電源電位Vga(「L」(−3.3V))の電源線71に接続されるとともに、転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2に接続されている。よって、結合トランジスタQ1のコレクタC1(転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2)の電位は、結合トランジスタQ1及び抵抗Rg2を流れる電流と、結合トランジスタQ1及び抵抗Rg2のそれぞれの抵抗によって決まる。
ここでは、結合トランジスタQ1のコレクタC1(転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2)の電位は、例として−1Vになるとして説明する。
すると、転送サイリスタT2のしきい電圧は、第1ゲートGtf2の電位(−1V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた電位(−2.5V)になる。よって、第2転送信号線73の電位が、この電位(−2.5V)より低くなると、転送サイリスタT2がターンオンする。
すなわち、結合トランジスタQ1はオン状態になることにより、転送サイリスタT2のしきい電圧を高くして、オン状態に移行可能な状態にする。
図7(c)に示すように、p型の第1半導体層81は、転送サイリスタT1が構成される部分ではアノードA1であり、結合トランジスタQ1が構成される部分ではエミッタE1である。n型の第2半導体層82は、転送サイリスタT1が構成される部分では第2ゲートGts1であり、結合トランジスタQ1が構成される部分ではベースB1である。p型の第3半導体層83は、転送サイリスタT1が構成される部分では第1ゲートGtf1であり、結合トランジスタQ1が構成される部分ではコレクタC1である。そして、n型の第4半導体層84は、転送サイリスタT1が構成される部分ではカソードK1であるが、結合トランジスタQ1が構成される部分では除去されている。
図7(a)に示すように、転送サイリスタT1のアノードA1と結合トランジスタQ1のエミッタE1は、ともに基準電位Vsub(「H」(0V))であるので、p型の第1半導体層81はつながっていてよい。
また、図7(a)に示すように、転送サイリスタT1の第2ゲートGts1と結合トランジスタQ1のベースB1とは接続されている。よって、n型の第2半導体層82は、転送サイリスタT1が構成される部分と結合トランジスタQ1が構成される部分とでつながっていることが求められる。
さらに、図7(a)に示すように、転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1と結合トランジスタQ1のコレクタC1は接続されていない。よって、p型の第3半導体層83は、転送サイリスタT1が構成される部分と結合トランジスタQ1が構成される部分とで分離されていることが求められる。
よって、p型の第3半導体層83は転送サイリスタT1が構成される部分と結合トランジスタQ1が構成される部分とで分離されていることが求められる。なお、p型の第3半導体層83において、転送サイリスタT1が構成される部分と結合トランジスタQ1が構成される部分とが電気的に分離されていればよい。
図7(c)では、転送サイリスタT1が構成される部分と結合トランジスタQ1が構成される部分との間において、p型の第3半導体層83が除去された状態を示している。なお、図6(b)では、転送サイリスタT1が構成される部分と結合トランジスタQ1が構成される部分との間において、p型の第3半導体層83の一部が残った状態を示している。これらについては、後述する。
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65の動作について説明する。
前述したように、基準電位Vsubを「H」(0V)、電源電位Vgaを「L」(−3.3V)として説明する。また、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、点灯信号φIは、「H」(0V)と「L」(−3.3V)との2つの電位を有する信号であるとして説明する。なお、「H」(0V)を「H」、「L」(−3.3V)を「L」と略して表記することがある。
前述したように、発光装置65は発光チップU1〜U40を備えている(図3、4参照)。
図4に示したように、基準電位Vsub(「H」(0V))、電源電位Vga(「L」(−3.3V))は、回路基板62上のすべての発光チップU1〜U40に共通に供給される。同様に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2は、発光チップU1〜U40に共通(並列)に送信される。
一方、点灯信号φI1〜φI40は、発光チップU1〜U40のそれぞれに個別に送信される。点灯信号φI1〜φI40は、画像データに基づいて、各発光チップU1〜U40の発光サイリスタLを点灯又は非点灯に設定する信号である。よって、点灯信号φI1〜φI40は、画像データによって相互に波形が異なる。しかし、点灯信号φI1〜φI40は、同じタイミングで並列に送信される。
発光チップU1〜U40は並列に駆動されるので、発光チップU1の動作を説明すれば足りる。
<タイミングチャート>
図8は、第1の実施の形態が適用される発光装置65及び発光チップUの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図8では、発光チップU1の発光サイリスタL1〜L5の5個の発光サイリスタLの点灯又は非点灯を制御(点灯制御と表記する。)する部分のタイミングチャートを示している。なお、図8では、発光チップU1の発光サイリスタL1、L2、L3、L5を点灯させ、発光サイリスタL4を消灯(非点灯)としている。
前述したように、他の発光チップU2〜U40は、発光チップU1と並行して動作するため、発光チップU1の動作を説明すれば足りる。
図8において、時刻aから時刻kへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光サイリスタL1は、時刻bから時刻eの期間T(1)において、発光サイリスタL2は、時刻eから時刻iの期間T(2)において、発光サイリスタL3は、時刻iから時刻jの期間T(3)において、発光サイリスタL4は、時刻jから時刻kの期間T(4)において点灯又は非点灯の制御(点灯制御)がされる。以下、同様にして番号が5以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
ここでは、期間T(1)、T(2)、T(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと呼ぶ。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間T(1)、T(2)、T(3)、…の長さを可変としてもよい。
第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、点灯信号φI1の波形について説明する。なお、時刻aから時刻bまでの期間は、発光チップU1(発光チップU2〜U40も同じ。)が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
φ1端子(図5、図6参照)に送信される第1転送信号φ1及びφ2端子(図5、図6参照)に送信される第2転送信号φ2は、連続する2つの期間T(例えば、期間T(1)と期間T(2))を単位として波形が繰り返される。
第1転送信号φ1は、期間T(1)の開始時刻bで「H」から「L」に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻iにおいて、「H」から「L」に移行する。
第2転送信号φ2は、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻iにおいて「L」を維持している。
第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とを比較すると、第2転送信号φ2は、第1転送信号φ1を時間軸上で期間T後ろにずらしたものに当たる。第1転送信号φ1は、期間T(1)及び期間T(2)での波形が、期間T(3)以降において繰り返す。一方、第2転送信号φ2は、期間T(1)において破線で示す波形及び期間T(2)での波形が、期間T(3)以降において繰り返す。第2転送信号φ2の期間T(1)の波形が期間T(3)以降と異なるのは、期間T(1)は発光装置65が動作を開始する期間であるためである。
第1転送信号φ1と第2転送信号φ2との一組の転送信号は、後述するように、図5、図6に示した転送サイリスタTを番号順にオン状態を転送(伝搬)させることにより、オン状態の転送サイリスタTと同じ番号の発光サイリスタLを、点灯又は非点灯の制御(点灯制御)の対象として指定する。
なお、連続する番号の2個の転送サイリスタTにおいて、小さい番号の転送サイリスタTを「前(前段)」又は「前(前段)の転送サイリスタT」、大きい番号の転送サイリスタTを「後(後段)」又は「後(後段)の転送サイリスタT」と表記することがある。
さらに、発光チップUにおいて、転送サイリスタTのオン状態が転送されていく側を「後(後ろ)」と、オン状態が転送されてきた側を「前」と表記することがある。
次に、発光チップU1のφI端子に送信される点灯信号φI1について説明する。なお、他の発光チップU2〜U40には、それぞれ点灯信号φI2〜φI40が送信される。
ここでは、発光チップU1の発光サイリスタL1に対する点灯制御の期間T(1)において、点灯信号φI1を説明する。
発光サイリスタL1を点灯させる場合、点灯信号φI1は、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」であって、時刻cで「H」から「L」に移行する。そして、時刻dで「L」から「H」に移行し、期間T(1)の終了時刻eにおいて「H」を維持している。
では、図4、図5を参照しつつ、図8に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65及び発光チップU1の動作を説明する。なお、以下では、発光サイリスタL1及びL2を点灯制御する期間T(1)、T(2)について説明する。
(1)時刻a
<発光装置65>
時刻aにおいて、発光装置65の信号発生回路110の基準電位供給部160は、基準電位Vsub(「H」(0V))を設定する。電源電位供給部170は、電源電位Vga(「L」(−3.3V))を設定する。すると、発光装置65の回路基板62上の電源ライン200aは基準電位Vsub(「H」(0V))になり、発光チップU1〜U40のそれぞれのVsub端子は「H」になる。同様に、電源ライン200bは電源電位Vga(「L」(−3.3V))になり、発光チップU1〜U40のそれぞれのVga端子は「L」になる(図4参照)。これにより、発光チップU1〜U40のそれぞれの電源線71は「L」になる(図5参照)。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120は第1転送信号φ1、第2転送信号φ2をそれぞれ「H」に設定する。すると、第1転送信号ライン201及び第2転送信号ライン202が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップU1〜U40のそれぞれのφ1端子及びφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72の電位も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている第2転送信号線73も「H」になる(図5参照)。
さらに、信号発生回路110の点灯信号発生部140は、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204−1〜204−40が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップU1〜U40のそれぞれのφI端子が、電流制限抵抗RIを介して「H」になり、φI端子に接続された点灯信号線75も「H」になる(図5参照)。
なお、図8及び以下における説明では、電位がステップ(階段)状に変化するとしているが、電位は徐々に変化する。よって、電位が変化の途上であっても、下記に示す条件が満たされれば、サイリスタがターンオン又はターンオフし、結合トランジスタQがオン状態とオフ状態との間で変化しうる。
次に、発光チップU1の動作を説明する。
<発光チップU1>
転送サイリスタT、発光サイリスタLのアノードはVsub端子に接続されているので、「H」(0V)に設定される。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソードは、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソードは、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTは、アノード及びカソードがともに「H」であるためオフ状態にある。
発光サイリスタLのカソードは、「H」の点灯信号線75に接続されている。よって、発光サイリスタLも、アノード及びカソードがともに「H」であるためオフ状態にある。
図5中の転送サイリスタ列の一端の第1ゲートGtf1は、前述したように、スタート抵抗R0の一方の端子に接続されている。第1ゲートGtf1は、抵抗Rg1を介して、「L」(−3.3V)の電源線71に接続されている。そして、スタート抵抗R0の他方の端子は、電流制限抵抗R2を介して、「H」(0V)の第2転送信号線73に接続されている。よって、第1ゲートGtf1は、電源線71の「L」(−3.3V)と第2転送信号線73の「H」(0V)との電位差を抵抗Rg1及びスタート抵抗R0で分圧された電位となる。なお、第2転送信号線73は電流制限抵抗R2を介して「H」(0V)のφ2端子に接続されているので、第1ゲートGtf1は、電源線71の「L」(−3.3V)とφ2端子の「H」(0V)との電位差を抵抗Rg1、スタート抵抗R0、電流制限抵抗R2で分圧された電位となるとしてもよい。ここでは、スタート抵抗R0、電流制限抵抗R2が抵抗Rg1より小さいとして、第1ゲートGtf1は、例として−1Vになっているとする。すると、転送サイリスタT1のしきい電圧は、−2.5Vになっている。
なお、第1ゲートGtf1の電位は、抵抗Rg1、スタート抵抗R0、電流制限抵抗R2により設定できる。
そして、発光サイリスタL1の第1ゲートGlf1は、転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1に接続されているので、発光サイリスタL1のしきい電圧も−2.5Vになっている。
このとき、アノード(p型の第1半導体層81)、カソード(n型の第4半導体層84)がともに「H」(0V)であって、転送サイリスタT1がオフ状態にあるので、第1ゲートGtf1(p型の第3半導体層83)が−1Vになっても、第2ゲートGts1(n型の第2半導体層82)は、「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた電位(−1.5V)より低くならない。よって、結合トランジスタQ1はオン状態になることができずオフ状態にある。したがって、転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2は、抵抗Rg2を介して、電源線71の「L」(−3.3V)になっている。すなわち、転送サイリスタT2のしきい電圧は−4.8Vである。同様に、他の転送サイリスタT3、T4、T5、…のしきい電圧も−4.8Vである。
また、発光サイリスタL2、3、4、…の第1ゲートGlf2、Glf3、Glf4、…は、それぞれ転送サイリスタT2、T3、T4、…の第1ゲートGtf2、Gtf3、Gtf4、…に接続されているので、しきい電圧は−4.8Vである。
(2)時刻b
図8に示す時刻bにおいて、第1転送信号φ1が、「H」から「L」に移行する。これにより発光装置65が動作を開始する。
第1転送信号φ1が「H」から「L」に移行すると、φ1端子及び電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号線72の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−2.5Vである転送サイリスタT1のカソードの電位が「L」(−3.3V)になるので、転送サイリスタT1がターンオンする。しかし、第1転送信号線72にカソードが接続された番号が3以上の奇数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるのでターンオンできない。一方、偶数番号の転送サイリスタTは、第2転送信号φ2が「H」(0V)であって、第2転送信号線73が「H」(0V)であるのでターンオンできない。
転送サイリスタT1がターンオンすると、第1転送信号線72の電位は、アノードの基準電位Vsub(「H」(0V))から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。そして、第1ゲートGtf1の電位は、転送サイリスタT1のアノードの基準電位Vsub(「H」(0V))の「H」(0V)になる。転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1に接続されている発光サイリスタL1の第1ゲートGlf1の電位も「H」(0V)になる。そして、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5Vになる。
一方、転送サイリスタT1がターンオンすると、結合トランジスタQ1がオフ状態からオン状態に移行する。そして、結合トランジスタQ1のコレクタC1(転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2)の電位が−1Vに移行する。これにより、転送サイリスタT2及び発光サイリスタL2のしきい電圧が−2.5Vになる。
しかし、第2転送信号線73は、「H」(0V)であるので、発光サイリスタL2はターンオンしない。
なお、転送サイリスタT2はオフ状態にあるので、前述したように結合トランジスタQ2はオフ状態であって、転送サイリスタT3の第1ゲートGtf3は「L」(−3.3V)である。よって、転送サイリスタT3及び発光サイリスタL3のしきい電圧は、−4.8Vである。同様に、番号が4以上の転送サイリスタT及び発光サイリスタLもしきい電圧が−4.8Vである。
時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後、定常状態になったときをいう。)において、転送サイリスタT1、結合トランジスタQ1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT及び結合トランジスタQ、すべての発光サイリスタLはオフ状態にある。
なお、以下では、オン状態の転送サイリスタT、結合トランジスタQ、発光サイリスタLを表記し、オフ状態の転送サイリスタT、結合トランジスタQ、発光サイリスタLについては表記しない。
(3)時刻c
時刻cにおいて、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、電流制限抵抗RI及びφI端子を介して、点灯信号線75が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。これにより、点灯信号線75の電位が−1.5Vに近い電位(絶対値が1.5Vより大きい負の電位)になる。なお、発光サイリスタL2はしきい電圧が−2.5Vであるが、しきい電圧が−1.5Vと高い発光サイリスタL1がターンオンして、点灯信号線75が−1.5Vに近い電位(絶対値が1.5Vより大きい負の電位)になるので、発光サイリスタL2はターンオンしない。
時刻cの直後において、転送サイリスタT1、結合トランジスタQ1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(4)時刻d
時刻dにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する。
点灯信号φI1が「L」から「H」に移行すると、電流制限抵抗RI及びφI端子を介して、点灯信号線75の電位が「L」から「H」に移行する。すると、発光サイリスタL1は、アノードとカソードとがともに「H」になるのでターンオフして消灯(非点灯)する。発光サイリスタL1の点灯期間は、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行した時刻cから、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する時刻dまでの、点灯信号φI1が「L」である期間となる。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1、結合トランジスタQ1がオン状態にある。
(5)時刻e
時刻eにおいて、第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行する。ここで、発光サイリスタL1を点灯制御する期間T(1)が終了し、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が開始する。
第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行すると、φ2端子を介して第2転送信号線73の電位が「H」から「L」に移行する。前述したように、転送サイリスタT2は、しきい電圧が−2.5Vになっているので、ターンオンする。これにより、第1ゲートGtf2(第1ゲートGlf2)の電位が「H」(0V)になる。よって、発光サイリスタL2のしきい電圧は−1.5Vになる。
転送サイリスタT2がターンオンすることにより、結合トランジスタQ2がオフ状態からオン状態に移行し、転送サイリスタT3の第1ゲートGtf3が−1Vになる。よって、転送サイリスタT3及び発光サイリスタL3のしきい電圧が−2.5Vになる。
なお、番号が4以上の転送サイリスタT及び発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vである。
なお、点灯信号φI1は「H」(0V)であるので、いずれの発光サイリスタLも点灯しない。
時刻eの直後において、転送サイリスタT1、T2、結合トランジスタQ1、Q2がオン状態にある。
(6)時刻f
時刻fにおいて、第1転送信号φ1が「L」から「H」に移行する。
第1転送信号φ1が「L」から「H」に移行すると、φ1端子を介して第1転送信号線72の電位が「L」から「H」に移行する。すると、オン状態の転送サイリスタT1は、アノードとカソードとがともに「H」になって、ターンオフする。
第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1)は、抵抗Rg1を介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されるとともに、スタート抵抗R0を介して「L」(−3.3V)である第2転送信号線73に接続されている。よって、第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1)の電位は「H」(0V)から「L」(−3.3V)になる。これにより、転送サイリスタT1及び発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.8Vになる。
時刻fの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(7)その他
時刻gにおいて、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、時刻cでの発光サイリスタL1と同様に、発光サイリスタL2がターンオンして、点灯(発光)する。
そして、時刻hにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行すると、時刻dでの発光サイリスタL1と同様に、発光サイリスタL2がターンオフして消灯する。
さらに、時刻iにおいて、第1転送信号φ1が「H」から「L」に移行すると、時刻bでの転送サイリスタT1又は時刻eでの転送サイリスタT2と同様に、しきい電圧が−2.5Vの転送サイリスタT3がターンオンする。このとき、転送サイリスタT1はしきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。
時刻iで、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が終了し、発光サイリスタL3を点灯制御する期間T(3)が開始する。
以降は、これまで説明したことの繰り返しとなる。
なお、発光サイリスタLを点灯(発光)させないで、消灯(非点灯)のままとするときは、図8の発光サイリスタL4を点灯制御する期間T(4)における時刻jから時刻kに示す点灯信号φI1のように、点灯信号φIを「H」(0V)のままとすればよい。このようにすることで、発光サイリスタL4は、しきい電圧が−1.5Vであっても、消灯(非点灯)のままとなる。
以上説明したように、転送サイリスタTは結合トランジスタQによって相互に接続されている。よって、前段の転送サイリスタTがターンオンすると、結合トランジスタQがオフ状態からオン状態に移行し、後段の転送サイリスタTのしきい電圧を高くする。これにより、後段の転送サイリスタTのカソードに接続された第1転送信号φ1又は第2転送信号φ2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するタイミングにおいて、後段の転送サイリスタTがターンオンする。
そして、転送サイリスタTがターンオンすると、第1ゲートGtfが「H」(0V)になる。転送サイリスタTの第1ゲートGtfと発光サイリスタLの第1ゲートGlfとは接続されているので、発光サイリスタLのしきい電圧が−1.5Vとなる。そして、点灯信号φIが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するタイミングにおいて、発光サイリスタLがターンオンして点灯(発光)する。
すなわち、転送サイリスタTはオン状態になることで、点灯制御の対象である発光サイリスタLを指定し、点灯可能な状態に設定する。点灯信号φIは、点灯制御の対象である点灯可能な状態となった発光サイリスタLを点灯又は非点灯に設定する。
このように、画像データに応じて点灯信号φIの波形を設定することで、各発光サイリスタLの点灯又は非点灯を制御する。
図9は、第1の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUの回路構成を説明するための等価回路図である。ここでも、信号発生回路110との関係において発光チップU1を例に、発光チップUを説明する。そこで、図9において、発光チップUを発光チップU1(U)と表記する。
図5に示した第1の実施の形態を適用した自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップU1(U)では、転送サイリスタT1、T2、T3、…は結合トランジスタQ1、Q2、Q3、…を介して接続されていた。これに対して、図9に示す第1の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)を搭載した発光チップU1(U)では、転送サイリスタT1、T2、T3、…は結合ダイオードD1、D2、D3、…を介して接続されている。なお、結合ダイオードD1、D2、D3、…をそれぞれ区別しないときは、結合ダイオードDと表記する。
図5と図9とを比較すると、図9の第1の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップU1(U)では、結合トランジスタQの代わりに結合ダイオードDが設けられている。そして、スタート抵抗R0の代わりにスタートダイオードD0が設けられている。以下では、図5に示した発光チップU1(U)と同様な部分は同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を説明する。
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれの第1ゲートGtf1、Gtf2、Gtf3、…を番号順に2個ずつペアとした第1ゲートGtf間に、結合ダイオードD1、D2、D3、…がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードD1、D2、D3、…はそれぞれが第1ゲートGtf1、Gtf2、Gtf3、…で順に挟まれるように直列接続されている。そして、結合ダイオードD1の向きは、第1ゲートGtf1から第1ゲートGtf2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードD2、D3、D4、…についても同様である。
そして、転送サイリスタ列の一端の転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1は、スタートダイオードD0のカソードに接続されている。スタートダイオードD0のアノードは、第2転送信号線73に接続されている。
なお、第1の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップU1(U)では、転送サイリスタTの第2ゲートGtsを用いない。
図9に示す第1の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップU1(U)も、図8に示すタイミングチャートにしたがって動作する。以下では、発光チップU1(U)について、図5に示した第1の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップU1(U)と異なる部分を説明する。
(1)時刻a
図9中の転送サイリスタ列の一端の第1ゲートGtf1は、前述したように、スタートダイオードD0のカソードに接続されている。第1ゲートGtf1は、抵抗Rg1を介して、電源電位Vga(「L」(−3.3V))の電源線71に接続されている。そして、スタートダイオードD0のアノードは「H」(0V)の第2転送信号線73に接続されている。よって、スタートダイオードD0は順バイアスであって、スタートダイオードD0のカソード(転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1)は、スタートダイオードD0のアノードの電位(「H」(0V))から拡散電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になっている。
また、転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1が−1.5Vになると、結合ダイオードD1は、アノード(転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1)が−1.5Vで、カソード(転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2)が抵抗Rg2を介して「L」(−3.3V)の電源線71に接続されているので、順バイアスになる。よって、転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2の電位は、転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1の電位(−1.5V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。
しかし、3以上の番号の転送サイリスタTの第1ゲートGtfには、スタートダイオードD0のアノードが「H」(0V)であることの影響は及ばず、これらの第1ゲートGtfの電位は、電源線71の「L」(−3.3V)になっている。
よって、転送サイリスタT1、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
(2)時刻b
図8に示す時刻bにおいて、第1転送信号φ1が「H」から「L」に移行して、第1転送信号線72の電位が、「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。
転送サイリスタT1がターンオンすると、第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1)の電位は、転送サイリスタT1のアノードの電位である「H」(0V)になる。そして、第1ゲートGtf2(第1ゲートGlf2)の電位が−1.5V、第1ゲートGtf3(第1ゲートGlf3)の電位が−3V、番号が4以上の第1ゲートGtf(第1ゲートGlf)の電位が「L」(−3.3V)になる。
これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5V、転送サイリスタT2、発光サイリスタL2のしきい電圧が−3V、転送サイリスタT3、発光サイリスタL3のしきい電圧が−4.5V、番号が4以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧が−4.8Vになる。
時刻bの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、発光サイリスタLはオフ状態にある。
(3)時刻c
時刻cにおいて、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、電流制限抵抗RI及びφI端子を介して、点灯信号線75が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。
時刻cの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(4)時刻d
時刻dにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行すると、発光サイリスタL1はターンオフして消灯(非点灯)する。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
(5)時刻e
時刻eにおいて、第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−3Vの転送サイリスタT2がターンオンする。これにより、第1ゲートGtf2(第1ゲートGlf2)の電位が「H」(0V)、第1ゲートGtf3(第1ゲートGlf3)の電位が−1.5V「H」(0V)、第1ゲートGtf4(第1ゲートGlf4)の電位が−3Vになる。そして、番号が5以上の第1ゲートGtf(第1ゲートGlf)の電位が−3.3Vになる。
時刻eの直後において、転送サイリスタT1及びT2がオン状態にある。
(6)時刻f
時刻fにおいて、第1転送信号φ1が「L」から「H」に移行すると、オン状態の転送サイリスタT1は、アノードとカソードとがともに「H」になって、ターンオフする。すると、第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1)の電位は、抵抗Rg1を介して、電源線71の電源電位Vga(「L」(−3.3V))になる。これにより、結合ダイオードD1は逆バイアスになる。よって、第1ゲートGtf2(第1ゲートGlf2)が「H」(0V)である影響は、第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1)に及ばなくなる。すなわち、逆バイアスの結合ダイオードDで接続された第1ゲートGtfを有する転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vになって、「L」(−3.3V)の第1転送信号φ1又は第2転送信号φ2ではターンオンしなくなる。
時刻fの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
この後は、図5に示した第1の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップU1(U)で説明したように、上記の繰り返しとなる。
そして、図9に示す第1の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップU1(U)では、ターンオンする前の転送サイリスタTのしきい電圧は−3Vである。すなわち、転送サイリスタTのしきい電圧(−3V)と第1転送信号φ1及び第2転送信号φ2の「L」(−3.3V)との差は−0.3Vである。
これにより、転送部101において、ノイズなどの影響を受けて、転送サイリスタTのオン状態の転送(伝搬)が不安定になったり途切れたりする転送不良が発生すると、形成される画像に乱れが生じてしまう。
これに対して、図5に示した第1の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップU1(U)では、転送サイリスタTはターンオンする前のしきい電圧は−2.5Vであって、転送サイリスタTのしきい電圧(−2.5V)と第1転送信号φ1及び第2転送信号φ2の「L」(−3.3V)との差は、−0.8Vである。
すなわち、転送サイリスタTを結合トランジスタQにより接続した第1の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUでは、転送サイリスタTを結合ダイオードDで接続した第1の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUに比べ、転送サイリスタTのしきい電圧と第1転送信号φ1及び第2転送信号φ2の「L」との差が大きく、動作マージンが広い。よって、転送サイリスタTを結合トランジスタQにより接続した第1の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUでは、ノイズなどの影響を受けにくく、転送部における転送サイリスタTのオン状態の転送(伝搬)が途切れるという転送不良の発生が抑制される。よって、プリントヘッド61の誤動作が抑制され、形成される画像における乱れの発生が抑制される。
(発光チップUの製造方法)
第1の実施の形態が適用される発光チップUの製造方法について説明する。
図10は、第1の実施の形態が適用される発光チップUの製造方法を説明する断面図である。図10は、図6(b)に示した断面図において、第1アイランド301の転送サイリスタT1及び結合トランジスタQ1の部分を示している。
図10にしたがって、第1の実施の形態が適用される発光チップUの製造方法について説明する。ここでは、フォトリソグラフィ技術によって、発光チップUを製造するとする。
図10(a)に示すように、発光チップUは、例えばGaAsやGaAlAsなどの化合物半導体により、p型の基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83及びn型の第4半導体層84を順に積層した半導体積層体を形成する。
なお、p型の基板80が、p型の第1半導体層81を兼ねてもよい。
次に、図10(b)に示すように、n型の第4半導体層84の一部の領域を除去して転送サイリスタTの第1ゲートGtf1及び結合トランジスタQのコレクタC1となるp型の第3半導体層83を露出させる第1ゲート及びコレクタ出しエッチングを行う。なお、第1ゲート及びコレクタ出しエッチングでは、n型の第4半導体層84の表面から深さe1をエッチングする。この深さe1は、n型の第4半導体層84とp型の第3半導体層83の界面からp型の第3半導体層83側に入るように設定されている。
そして、転送サイリスタT1が構成される部分において、カソードとして働くn型の第4半導体層84(カソード層)の領域312上にn型オーミック電極322を形成する。さらに、露出させたp型の第3半導体層83上に、第1ゲートGtf1として働くp型オーミック電極331を形成する。そして、結合トランジスタQ1が構成される部分において、露出させたp型の第3半導体層83上に、コレクタC1として働くp型オーミック電極332を形成する。
そして、図10(c)に示すように、転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1と結合トランジスタQ1のコレクタC1とを分離するためにp型の第3半導体層83の一部をエッチングする分離エッチングを行う。
ここでは、n型の第4半導体層84の一部を除去して露出させたp型の第3半導体層83の表面から深さe2をエッチングする。この深さe2は、n型の第2半導体層82とp型の第3半導体層83との界面に設定されている。なお、深さe2は、n型の第2半導体層82を厚さ方向に一部エッチングするように設定されてもよく、p型の第3半導体層83の厚さ方向の一部が残っていてもよい。なお、このp型の第3半導体層83の残った部分は、空乏化されて、転送サイリスタT1の第1ゲートGtfと結合トランジスタQ1のベースB1とが電気的に接続されなければよい。
さらに、図10(d)に示すように、n型の第4半導体層84が除去されて露出させたp型の第3半導体層83の表面から、p型の第3半導体層83、n型の第2半導体層82、p型の第1半導体層81の一部をエッチングして、第1アイランド301を形成するアイランドエッチングを行う。
ここでは、第1ゲート及びコレクタ出しエッチングにより露出させたp型の第3半導体層83の表面から深さe3をエッチングする。この深さe3は、p型の第1半導体層81の厚さ方向の一部をエッチングするように設定されている。
ここでは、転送サイリスタT1と結合トランジスタQ1とが構成される第1アイランド301を例として説明したが、他のアイランド(第2アイランド〜第6アイランド及び符号を付さないアイランド)も同様である。
半導体積層体をエッチングして形成されたアイランドはメサと呼ばれ、アイランドを形成するアイランドエッチングはメサエッチングと呼ばれることがある。
第1ゲート及びコレクタ出しエッチング、分離エッチング、アイランドエッチングは、エッチング液(エッチャント)を用いたウェットエッチングで行ってもよく、反応性のガスをプラズマ化してエッチングするドライエッチングで行ってもよい。
(結合トランジスタQのコレクタCの電位)
図5に示した発光チップUにおいて、オン状態の結合トランジスタQのコレクタCの電位は、−1Vになるとして説明した。
ここでは、結合トランジスタQのコレクタCの電位についてより詳細に説明する。
図11は、結合トランジスタQのコレクタCの電位(コレクタ電圧Vc)を説明する図である。図11(a)は、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQ1を等価なトランジスタの記号により表記した図である。図11(a)は図7(a)と同様であるが、転送サイリスタT1のカソードK1は、第1転送信号線72が接続され、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。また、結合トランジスタQ1のコレクタC1は、抵抗Rg2を介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されるとともに、図示しない転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2に接続されている。図11(b)は、オン状態の転送サイリスタT1においてアノードA1からカソードK1に流れるカソード電流Ikと、オン状態の結合トランジスタQ1においてエミッタE1からコレクタC1に流れるコレクタ電流Icとの関係を説明する図である。図11(c)は、図6(b)の断面図において、転送サイリスタT1と結合トランジスタQ1との部分を拡大した図である。ここでは、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQ1を等価なトランジスタの記号で付記するとともに、転送サイリスタT1のカソード電流Ikと結合トランジスタQ1のコレクタ電流Ic及びベースを流れるベース電流Ibを示している。
ここで、図11(a)に示すように、オン状態の転送サイリスタT1においてカソード電流Ik(電流値をIkとする。)が流れているとする。このとき、オン状態の結合トランジスタQ1におけるコレクタ電流Ic(電流値をIcとする。)は図11(b)に示すようになる。図11(b)では、コレクタC1の電位Vc(電圧をVcとする。)をパラメータとしてコレクタ電流Icを示している。
コレクタ電流Icは、カソード電流Ikに比例し、コレクタC1の電位Vcの絶対値が大きいほど大きい。
これは、図11(c)に示すように、カソード電流Ikの一部が結合トランジスタQ1のベースB1へのベース電流Ib(電流値をIbとする。)になり、ベース電流Ibの電流増幅率β倍の電流がコレクタ電流Ic(Ic=β×Ib)として取り出されることによる。
ベース電流Ibはn型の第2半導体層82を流れる。よって、ベース電流Ib及び電流増幅率βは分からない。そこで、見かけの電流増幅率β´を式(1)に示すように定義し、コレクタ電流Icは、カソード電流Ikの見かけの電流増幅率β´倍であるとする。
β´=Ic/Ik (1)
なお、見かけの電流増幅率β´は、式(1)に示すように、コレクタ電流Icのカソード電流Ikに対する割合であるので、図11(b)における傾き(コレクタ電流Ic/カソード電流Ik)に対応する。図11(b)に示すように、見かけの電流増幅率β´はコレクタ電圧Vcによって変化する。しかし、結合トランジスタQ1が飽和しない範囲においては、図11(b)に示すように、コレクタ電圧Vcによる変化は小さいとみなせる。よって、ここでは、見かけの電流増幅率β´を定数として扱う。
図11(a)に示すように、結合トランジスタQ1のコレクタC1は、電源線抵抗Rg2を介して、電源電位Vga(「L」(−3.3V))である電源線71に接続されている。ここでは、電源線抵抗Rg2が大きくて、結合トランジスタQ1は飽和せずに動作するとする。
転送サイリスタT1はオン状態にあるので、カソード電流Ikが流れている。よって、結合トランジスタQ1には、式(2)に示すコレクタ電流Icが流れる。
Ic=β´×Ik (2)
また、転送サイリスタT1のカソードK1は、アノードA1(「H」(0V))から拡散電位Vdを引いた電位になっている。よって、図11(a)に示すように、このカソード電流Ikは、「L」(−3.3V)(=電源電位Vga(「L」(−3.3V)))となったφ1端子から、電流制限抵抗R1を介して流れる。よって、Ik=−(Vga+Vd)/R1となるので、結合トランジスタQ1のコレクタ電圧Vcは式(3)となる。なお、式(3)では、転送サイリスタT2をターンオンするために転送サイリスタT2のカソードK2に印加される電位を電位Vとする。以下では、転送サイリスタT2のカソードK2に印加される電位Vと表記する。なお、転送サイリスタT2のカソードK2に印加される電位Vは、単一電源で駆動することを考えると、電源電位Vgaと同じとなる。
Vc=Vga+Ic×Rg
=V−Rg×β´(V+Vd)/R1 (3)
転送サイリスタT2がターンオンするためには、V<(Vc−Vd)であることが求められる。よって、式(4)となる。
<V−Rg×β´×(V+Vd)/R1−Vd (4)
これを、Vについて解くと、式(5)となる。
<−(R1/(Rg×β´)+1)×Vd (5)
図9に示した第1の実施の形態を適用しない場合(転送サイリスタTの間が結合ダイオードDにより接続されている場合)には、V<(−2×Vd)であって、−3Vである。
よって、第1の実施の形態が適用される場合が、第1の実施の形態を適用しない場合より、高い電位(負であって絶対値が小さい電位)で動作するためには、式(6)を満たすことが必要である。この場合、転送サイリスタT2のしきい電圧は−3Vより高くなる。
Rg×β´>R1 (6)
なお、V=−2×Vdでは|Vc|=|Vb|=Vdとなるので、この辺りから結合トランジスタQ1が飽和を始める。
よって、より低い動作電圧で動作させるためには、結合トランジスタQ1を強く飽和させることが好ましい。このためには、例えば式(7)に示すように、Rg×β´を電流制限抵抗R1の2倍以上とすればよい。この場合、転送サイリスタT2のしきい電圧は−2.25Vより高くなる。
Rg×β´>2×R1 (7)
以上においては、電流制限抵抗R1で説明したが、電流制限抵抗R2を介して第2転送信号φ2が送信される偶数番号の転送サイリスタTとそれに接続された偶数番号の結合トランジスタQにおいても同様である。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、図6に示したように、発光サイリスタL1、転送サイリスタT1、結合トランジスタQ1は第1アイランド301に設けられ、発光サイリスタL2、転送サイリスタT2、結合トランジスタQ2は第1アイランド301と同様なアイランドに設けられていた。そして、抵抗Rgは第2アイランド302に設けられていた。
そして、結合トランジスタQ1のコレクタC1、転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2、抵抗Rg2は、接続配線77で接続されていた。他の結合トランジスタQ、転送サイリスタT、抵抗Rgとも同様に接続されていた。
すなわち、発光サイリスタL、転送サイリスタT、結合トランジスタQはそれぞれ個別のアイランドに構成されるとともに、抵抗Rgもそれぞれ個別のアイランドに構成され、これらが配線で接続されていた。
第2の実施の形態では、結合トランジスタQ1、転送サイリスタT2、抵抗Rg2を第1半導体層81、第2半導体層82、第3半導体層83で接続している。
他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、同じ部分の説明を省略し、異なる部分を説明する。
(発光チップU)
図12は、第2の実施の形態が適用される発光チップUの平面レイアウト図及び断面図の一例である。図6と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を説明する。
第2の実施の形態が適用される発光チップUは、接続配線77を除去して、第1アイランド301に設けられた結合トランジスタQ1のコレクタC1を構成するp型の第3半導体層83と、第1アイランド301に並行して設けられた同様なアイランドの転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2を構成するp型の第3半導体層83とを、第1半導体層81及び第2半導体層82とともに連続させている。さらに、抵抗Rg2を構成するp型の第3半導体層83とも同様に連続させている。
また、第1アイランド301の発光サイリスタL1、転送サイリスタT1の第1ゲートGtf1(第1ゲートGlf1)を構成するp型の第3半導体層83と、抵抗Rg1を構成するp型の第3半導体層83及びスタート抵抗R0を構成するp型の第3半導体層83とを連続させている。
さらに、他の結合トランジスタQ、転送サイリスタT、抵抗Rgも同様に連続させている。
以上説明したように、第2の実施の形態が適用される発光チップUでは、発光サイリスタL、転送サイリスタT、結合トランジスタQ、抵抗Rg、スタート抵抗R0のp型の第3半導体層83が連続するように構成されている。すなわち、図6における発光サイリスタL1、転送サイリスタT1、結合トランジスタQ1が設けられた第1アイランド301、抵抗Rg1が設けられた第2アイランド302、抵抗Rg2が設けられた第3アイランド303、第1アイランド301に並列に設けられた他の発光サイリスタL、転送サイリスタT、結合トランジスタQが設けられたアイランド、第2アイランド(第3アイランド303)に並列に設けられた他の抵抗Rgが設けられたアイランド、スタート抵抗R0が設けられた第4アイランド304が1個のアイランドとなっている。
第2の実施の形態が適用される発光チップUでは、接続配線76、77及びこれらの配線と並行して設けられた配線が削除される。すなわち、発光チップUの表面において、第1転送信号線72、第2転送信号線73などの配線を2本設けるスペースを削減することができる。よって、第2の実施の形態が適用される発光チップUでは、幅方向(図12におけるy方向)の長さが短くなる。
第1の実施の形態が適用される発光チップUでは、図6に示したように、番号が連続する転送サイリスタT(n−1)、T(n)、T(n+1)がそれぞれ異なるアイランドに構成されているため、オン状態の転送サイリスタT(n)の影響は前後の転送サイリスタT(n−1)、T(n+1)に及ばない。ここで、nは2以上の整数であって、数字が小さい方が「前(前段)」であって、数字が大きい方が「後(後段)」である。
一方、第2の実施の形態が適用される発光チップUでは、図12に示したように、番号が連続する転送サイリスタT(n−1)、T(n)、T(n+1)は、p型の第3半導体層83が連続しているため、オン状態の転送サイリスタT(n)に流れる電流が前後の転送サイリスタT(n−1)、T(n+1)の動作に影響を与えるおそれがある。
転送サイリスタTが順にオン状態になって、オン状態の転送が正常に行われるためには、オン状態の転送サイリスタT(n)の影響が、転送サイリスタT(n−1)より転送サイリスタT(n+1)に大きく働けばよい。
図12に示したように、結合トランジスタQと転送サイリスタTとを接続するp型の第3半導体層83の幅が同じであるとすると、p型の第3半導体層83の長さ方向においてベース電流が減衰する割合は同じであると考えられる。よって、オン状態の転送サイリスタT(n)から転送サイリスタT(n+1)側までのp型の第3半導体層83の長さd1が、転送サイリスタT(n)から転送サイリスタT(n−1)側までのp型の第3半導体層83の長さd2より短ければよい。
さらに、この条件を検討する。
図13は、第2の実施の形態における連続する転送サイリスタT(n−1)、T(n)、T(n+1)の断面を示した図である。
ここで、転送サイリスタT(n)がオン状態にあって、カソード電流Ikが流れているとする。このとき、右側に隣接する転送サイリスタT(n+1)の左端におけるpnpトランジスタQのコレクタ電流Icは、転送サイリスタT(n+1)の左端におけるpnpトランジスタQの見かけの電流増幅率β´において、Ic=β´×Ikで表されるとする。同様に、左側に隣接する転送サイリスタT(n−1)の右端におけるpnpトランジスタQのコレクタ電流Icは、転送サイリスタT(n−1)の右端におけるpnpトランジスタQの見かけの電流増幅率β´において、Ic=β´×Ikで表されるとする。
この発光チップUにおいて、オン状態の転送が正常に行われるためには、転送サイリスタT(n+1)の第1ゲートGtfの電位が、転送サイリスタT(n−1)の第1ゲートGtfの電位より高いことが必要になる。
さらに、この発光チップUが安定に動作するには、ノイズなどの影響を受けても、転送サイリスタT(n+1)の第1ゲートGtfの電位と転送サイリスタT(n−1)の第1ゲートGtfの電位とが逆転しないことが必要である。
もし、pnpトランジスタQとpnpトランジスタQとがともに、飽和状態になって、これらのコレクタCが飽和電圧Vsatになると、電位差がなくなって、正常にオン状態が転送されなくなる。
オン状態の転送サイリスタT(n)から遠い側にあるpnpトランジスタQは、その見かけの電流増幅率β´が近い側にあるpnpトランジスタQの見かけの電流増幅率β´より小さいため、飽和になりにくい。
遠い側にあるpnpトランジスタQが飽和しなければ、例え近い側にあるpnpトランジスタQが飽和しても、転送サイリスタT(n+1)の第1ゲートGtfの電位が、転送サイリスタT(n−1)の第1ゲートGtfの電位より高いことが保たれる。
遠い側にあるpnpトランジスタQが飽和しない条件は、式(6)が成立しない範囲であって、式(8)で示される。
Rg×β´<R1 (8)
さらに好ましいのは、遠い側にあるpnpトランジスタQは飽和せず、近い側にあるpnpトランジスタQが飽和すればよい。この場合の条件は、式(7)と同様であって、式(9)で示される。
Rg×β´>2×R1 (9)
式(8)、(9)から、式(10)となる。
β´/β´>2 (10)
pnpトランジスタQ、Qの真の電流増幅率β、ベース電流の拡散長λから、見かけの電流増幅率β´、β´はそれぞれ式(11)、(12)で表される。
β´=β×exp(−d1/λ) (11)
β´=β×exp(−d2/λ) (12)
よって、式(11)、(12)を式(10)に代入すると、式(13)となる。
exp(−(d1−d2)/λ)>2 (13)
両辺の自然対数を取ると、式(14)となる。
−(d1−d2)/λ>ln(2)≒0.7 (14)
すなわち、式(15)が得られる。
d2−d1>0.7λ (15)
以上のことから、オン状態の転送サイリスタT(n)から転送サイリスタT(n−1)側までのp型の第3半導体層83の長さd2と転送サイリスタT(n)から転送サイリスタT(n+1)側までのp型の第3半導体層83の長さd1との長さの差(d2−d1)が、少なくともベース電流の拡散長λの0.7倍を超えればよい。
実験的に求められたベース電流の拡散長λは約4μmであったので、オン状態の転送サイリスタT(n)から転送サイリスタT(n−1)側までのp型の第3半導体層83の長さd2と転送サイリスタT(n)から転送サイリスタT(n+1)側までのp型の第3半導体層83の長さd1との長さの差(d2−d1)が2.8μmを超えればよい。
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態が適用される発光装置65は、後述するように回路基板62上の配線の本数が多い。第3の実施の形態が適用される発光装置65は、第1の実施の形態に比べて配線の本数を抑制できる。
第3の実施の形態が適用される画像形成装置1及びプリントヘッド14は、第1の実施の形態において図1及び図2に示した画像形成装置1及びプリントヘッド14と同様であるので、説明を省略し、発光装置65より説明する。
(発光装置65)
図14は、第3の実施の形態が適用される発光装置65の上面図である。
図14に示すように、第3の実施の形態における発光装置65では、光源部63は、回路基板62上に、20個の発光チップUa1〜Ua20(発光チップ群#a)と、同じく20個の発光チップUb1〜Ub20(発光チップ群#b)とを、主走査方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。すなわち、第3の実施の形態では、第1の実施の形態における40個の発光チップUを2つの発光チップ群(発光チップ群#aと発光チップ群#b)に分けている。ここでは、発光チップ群を群と略すことがある。なお、発光チップ群#aと発光チップ群#bとの向かい合わせについての詳細は後述する。
そして、発光装置65は、第1の実施の形態と同様に、光源部63を駆動する信号発生回路110を搭載している。
なお、発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20の構成は同一であってよい。よって、発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20をそれぞれ区別しないときは、発光チップUと表記する。
なお、第3の実施の形態では、発光チップUの数として、合計40個を用いたが、これに限定されない。
図15は、第3の実施の形態が適用される発光チップUの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を示した図である。図15(a)は発光チップUの構成を示し、図15(b)は発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を示す。
はじめに、図15(a)に示す発光チップUの構成を説明する。
発光チップUは、矩形の基板80上において、長辺側に長辺に沿って列状に設けられた複数の発光素子(第3の実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…)を備える発光部102を備えている。さらに、発光チップUは、基板80の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φW1端子、φW2端子、φI端子)を備えている。なお、これらの入力端子は、基板80の一端部からφW1端子、φ1端子、Vga端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φW2端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、Vga端子とφ2端子との間に設けられている。
次に、図15(b)により、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を説明する。
発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110および発光チップU(発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20)が搭載され、信号発生回路110と発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20とを相互に接続する配線が設けられている。
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110には、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。信号発生回路110は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや光量の補正等を行う。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#a(発光チップUa1〜Ua20)に対して、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを送信する転送信号発生部120aと、発光チップ群#b(発光チップUb1〜Ub20)に対して、第1転送信号φ1bと第2転送信号φ2bとを送信する転送信号発生部120bとを備えている。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#a(発光チップUa1〜Ua20)に対して、点灯信号φIaを送信する点灯信号発生部140aと、発光チップ群#b(発光チップUb1〜Ub20)に対して、点灯信号φIbを送信する点灯信号発生部140bとを備えている。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに属する発光チップUa1と発光チップ群#bに属する発光チップUb1との発光チップ組#1に対して、書込信号φW1−1、φW2−1を送信し、発光チップ群#aに属する発光チップUa2と発光チップ群#bに属する発光チップUb2との発光チップ組#2に対して、書込信号φW1−2、φW2−2を送信し、以下同様にして、発光チップ群#aに属する発光チップUa20と発光チップ群#bに属する発光チップUb20との発光チップ組#20に対して、書込信号φW1−20、φW2−20を送信する書込信号発生部150を備えている。
ここで、書込信号φW1−1〜φW1−20をそれぞれ区別しないときは書込信号φW1と表記し、書込信号φW2−1〜φW2−20をそれぞれ区別しないときは書込信号φW2と表記する。
すなわち、発光チップ群#aに属する一つの発光チップUと発光チップ群#bに属する一つの発光チップUとを一つの組(発光チップ組#1、#2、…、#20)にして、発光チップ組毎にそれぞれ2個の書込信号φW1、φW2を送信する書込信号発生部150を備えている。ここでは、発光チップ組#1、#2、…、#20をそれぞれ区別しないときは発光チップ組と表記し、組と略すことがある。
なお、上述したように、図15では、転送信号発生部120aと転送信号発生部120bとを分けて示したが、これらをまとめて転送信号発生部120と表記することがある。
さらに同様に、点灯信号発生部140aと点灯信号発生部140bとを分けて示したが、これらをまとめて点灯信号発生部140と表記することがある。
同様に、第1転送信号φ1aと第1転送信号φ1bとを区別しない場合には第1転送信号φ1と呼び、第2転送信号φ2aと第2転送信号φ2bとを区別しない場合には第2転送信号φ2と表記する。点灯信号φIaと点灯信号φIbとを区別しない場合には点灯信号φIと表記する。
次に、発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20の配列について説明する。
発光チップ群#aに属する発光チップUa1〜Ua20は、それぞれの長辺の方向に間隔を設けて一列に配列されている。発光チップ群#bに属する発光チップUb1〜Ub20も、同様にそれぞれの長辺の方向に一列に間隔を設けて配列されている。そして、発光チップ群#aに属する発光チップUa1〜Ua20および発光チップ群#bに属する発光チップUb1〜Ub20が互いに向かい合い、発光チップU間においても発光素子が主走査方向に予め定められた間隔で並ぶように、千鳥状に配列されている。なお、図15(b)の発光チップUa1、Ua2、Ua3、…及び発光チップUb1、Ub2、Ub3、…に、図15(a)に示した発光部102の発光素子の並び(発光サイリスタL1、L2、L3、…の番号順)の方向を矢印で示している。
信号発生回路110と発光チップU(発光チップUa1〜Ua20及び発光チップUb1〜Ub20)とを相互に接続する配線について説明する。
回路基板62には、発光チップUの基板80の裏面に設けられたVsub端子(後述の図17参照)に接続され、基準電位Vsubを与える電源ライン200aが設けられている。
そして、回路基板62には、発光チップUに設けられたVga端子に接続され、駆動のための電源電位Vgaを与える電源ライン200bが設けられている。
また、回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120aから、発光チップ群#aの発光チップUa1〜Ua20のφ1端子に、第1転送信号φ1aを送信するための第1転送信号ライン201a、発光チップ群#aの発光チップUa1〜Ua20のφ2端子に、第2転送信号φ2aを送信するための第2転送信号ライン202aが設けられている。第1転送信号φ1aおよび第2転送信号φ2aは、発光チップ群#aの発光チップUa1〜Ua20に共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の転送信号発生部120bから、発光チップ群#bの発光チップUb1〜Ub20のφ1端子に、第1転送信号φ1bを送信するための第1転送信号ライン201b、および発光チップ群#bの発光チップUb1〜Ub20のφ2端子に、第2転送信号φ2bを送信するための第2転送信号ライン202bが設けられている。第1転送信号φ1bおよび第2転送信号φ2bは、発光チップ群#bの発光チップUb1〜Ub20に共通(並列)に送信される。
そして、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140aから、発光チップ群#aの発光チップUa1〜Ua20のそれぞれのφI端子に、点灯信号φIaを送信するための点灯信号ライン204aが設けられている。点灯信号φIaは、発光チップ群#aの発光チップUa1〜Ua20に共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の点灯信号発生部140bから、発光チップ群#bの発光チップUb1〜Ub20のそれぞれのφI端子に、点灯信号φIbを送信するための点灯信号ライン204bが設けられている。点灯信号φIbは、発光チップ群#bの発光チップUb1〜Ub20に共通(並列)に送信される。
さらに、回路基板62には、信号発生回路110の書込信号発生部150から、発光チップ群#aに属する一つの発光チップUと発光チップ群#bに属する一つの発光チップUとから構成される発光チップ組に対して、発光チップ組毎に書込信号φW1、φW2を送信する書込信号ライン205−1〜205−20、206−1〜206−20が設けられている。
すなわち、発光チップ群#aに属する発光チップUa1と発光チップ群#bに属する発光チップUb1との発光チップ組#1に対して、書込信号ライン205−1はそれぞれのφW1端子に接続されて書込信号φW1−1を送信し、書込信号ライン206−1はそれぞれのφW2端子に接続されて書込信号φW2−1を送信する。発光チップ群#aに属する発光チップUa2と発光チップ群#bに属する発光チップUb2との発光チップ組#2に対して、書込信号ライン205−2はそれぞれのφW1端子に接続されて書込信号φW1−2を送信し、書込信号ライン206−2はそれぞれのφW2端子に接続されて書込信号φW2−2を送信する。以下同様にして、発光チップ群#aに属する発光チップUa20と発光チップ群#bに属する発光チップUb20との発光チップ組#20に対して、書込信号ライン205−20はそれぞれのφW1端子に接続されて書込信号φW1−20を送信し、書込信号ライン206−20はそれぞれのφW2端子に接続されて書込信号φW2−20を送信する。
以上説明したように、回路基板62上のすべての発光チップUには、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に送信される。
そして、転送信号φ1a、φ2a、点灯信号φIaは、発光チップ群#aに対して共通に送信される。そして、転送信号φ1b、φ2b、点灯信号φIbは、発光チップ群#bに対して共通に送信される。
一方、書込信号φW1(書込信号φW1−1〜φW1−20)、φW2(書込信号φW2−1〜φW2−20)は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップUと発光チップ群#bに属する一つの発光チップUとの構成する発光チップ組(発光チップ組#1〜#20)のそれぞれに対して共通に送信される。
なお、発光装置65が信号発生回路110を備えない場合には、発光装置65には、電源ライン200a、200b、第1転送信号ライン201a、201b、第2転送信号ライン202a、202b、点灯信号ライン204a、204b、書込信号ライン205−1〜205−20、206−1〜206−20は、信号発生回路110の代わりにコネクタなどに接続される。そして、コネクタなどに接続されるケーブルにより外部に設けられた信号発生回路110に接続される。
図16は、第3の実施の形態が適用される発光装置65の発光チップUをマトリクスの各要素として配置して示した図である。
図16では、発光チップU(発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20)を2×20のマトリクスの各要素として配置して、上記した信号発生回路110と発光チップU(発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20)とを相互に接続する信号(転送信号φ1a、φ2a、φ1b、φ2b、点灯信号φIa、φIb、書込信号φW1−1〜φW1−20、書込信号φW2−1〜φW2−20)のラインのみを示している。
上述したように、転送信号φ1a、φ2a、点灯信号φIaは、発光チップ群#aに対して共通に送信される。そして、転送信号φ1b、φ2b、点灯信号φIbは、発光チップ群#bに対して共通に送信されることが容易に理解できる。
一方、書込信号φW1−1〜φW1−20は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップUと発光チップ群#bに属する一つの発光チップUとの構成する発光チップ組#1〜#20のそれぞれに対して共通に送信され、同様に書込信号φW2−1〜φW2−20は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップUと発光チップ群#bに属する一つの発光チップUとの構成する発光チップ組#1〜#20のそれぞれに対して共通に送信されることが容易に理解できる。
ここで、回路基板62上に設ける配線(ライン)数について説明する。
第3の実施の形態を適用しないで、発光装置65の発光チップUを発光チップ群および発光チップ組に分けない第1の実施の形態(図4参照)では、点灯信号φIは、発光チップU毎に送信されるため、発光チップUの数を40個とすると、点灯信号ライン204−1〜204−40は40本必要になる。なお、第3の実施の形態では、発光チップU毎に2個の発光サイリスタLを並行して点灯制御している。よって、第1の実施の形態において、発光チップU毎に2個の発光サイリスタLを並行して点灯制御するためには、さらに、40本の点灯信号ラインが必要である。
これに加え、第1転送信号ライン201、第2転送信号ライン202、電源ライン200a、200bが必要となる。よって、発光装置65に設ける配線数は84本となる。
また、40本の点灯信号ライン204及び発光チップU当たり2個の発光サイリスタLを並行して点灯制御するために必要となる40本の点灯信号ラインは、発光サイリスタLに点灯のための電流が流れるため、抵抗が小さいことを要する。よって、40本の点灯信号ライン204及び発光チップU当たり2個の発光サイリスタLを並行して点灯制御するために必要となる40本の点灯信号ラインには、幅の広い配線(ライン)が必要になる。このため、第1の実施の形態が適用される場合には、発光装置65の回路基板62上に幅の広い配線を多数設けることになり、回路基板62の面積が大きくなってしまう。
第3の実施の形態では、図15、16に示すように、発光チップ群の数が2の場合、点灯信号ライン204a、204bの2本となる。さらに、第1転送信号ライン201a、201b、第2転送信号ライン202a、202b、電源ライン200a、200bに加え、書込信号ライン205−1〜205−20、206−1〜206−20が必要になる。よって、48本となる。
第3の実施の形態では、第3の実施の形態を適用しない場合に比べ、回路基板62上の配線(ライン)数は4/7になる。
さらに、第3の実施の形態では、発光サイリスタLの点灯のための電流が流れる幅の広い配線(ライン)は点灯信号ライン204a、204bの2本に削減される。後述する書込サイリスタSはオン状態になって発光サイリスタLのしきい電圧を変化させるためのものであるため、書込信号ライン205−1〜205−20、206−1〜206−20は大きな電流を流さない。よって、書込信号ライン205−1〜205−20、206−1〜206−20に幅の広い配線を要しない。このことから、第3の実施の形態の発光チップUを用いた場合、回路基板62上に幅の広い配線を多数設けることを要せず、回路基板62の面積を抑制できる。
図17は、第3の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、図17では、以下に説明する各素子は、端子(Vga端子、φ1端子、φ2端子、φE端子、φW端子、φI端子)を除き、発光チップU上のレイアウトに基づいて配置されている。なお、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φW1端子、φW2端子、φI端子)は、図15(a)と異なるが、説明の便宜上、図中左端に示した。
ここでは、信号発生回路110との関係において発光チップUa1を例に、発光チップUを説明する。そこで、図17において、発光チップUを発光チップUa1(U)と表示する。他の発光チップUa2〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20の構成は、発光チップUa1と同じである。
発光チップUa1(U)は、前述したように基板80上に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…から構成される発光サイリスタ列(発光部102(図15(a)参照))を備えている。
そして、発光チップUa1(U)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された転送サイリスタT1、T2、T3、…からなる転送サイリスタ列及び同様に列状に配列された書込サイリスタS1、S2、S3、…からなる書込サイリスタ列を備えている。
ここでも、発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタT1、T2、T3、…、書込サイリスタS1、S2、S3、…をそれぞれ区別しないときは発光サイリスタL、転送サイリスタT、書込サイリスタSと表記する。
また、発光チップUa1(U)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにして、それぞれのペアの間にpnpバイポーラトランジスタである結合トランジスタQt1、Qt2、Qt3、…を備えている。
さらに、発光チップUa1(U)は、書込サイリスタS1、S2、S3、…のそれぞれに対応して書込トランジスタQs1、Qs2、Qs3、…を備えている。
ここでも、結合トランジスタQt1、Qt2、Qt3、…、書込トランジスタQs1、Qs2、Qs3、…をそれぞれ区別しないときは結合トランジスタQt、書込トランジスタQsと表記する。
そして、発光チップUa1(U)は、1個のスタート抵抗R0を備えている。さらに、第1転送信号φ1(発光チップUa1では第1転送信号φ1a)を送信する第1転送信号線72及び第2転送信号φ2(発光チップUa1では第2転送信号φ2a)を送信する第2転送信号線73のそれぞれに過剰な電流が流れるのを防止する電流制限抵抗R1および電流制限抵抗R2を備えている。同様に書込信号φW1(発光チップUa1では書込信号φW1−1)を送信する書込信号線74−1及び書込信号φW2(発光チップUa1では書込信号φW2−1)を送信する書込信号線74−2のそれぞれに過剰な電流が流れるのを防止する電流制限抵抗Rw1および電流制限抵抗Rw2を備えている。さらにまた、点灯信号φI(発光チップUa1では点灯信号φIa)を送信する点灯信号線75−1、75−2のそれぞれに過剰な電流が流れるのを防止する電流制限抵抗RI1、RI2を備えている。
なお、これらの電流制限抵抗R1、R2、Rw1、Rw2、RI1、RI2のいずれか又はすべてが発光チップUa1(U)の外部に設けられていてもよい。
さらに、発光チップUa1(U)は、複数の抵抗(抵抗Rt、Rs、RL)を備えているが、これらについては後述する。
発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタ列の転送サイリスタT1、T2、T3、…、書込サイリスタ列の書込サイリスタS1、S2、S3、…は、図17中において、左側から番号順に配列されている。そして、結合トランジスタQt1、Qt2、Qt3、…も同様に、図中左側から番号順に配列されている。さらに、書込トランジスタQs1、Qs2、Qs3、…は、書込サイリスタ列の書込サイリスタS1、S2、S3、…のそれぞれと並列して配置されている。
そして、発光サイリスタ列、転送サイリスタ列、書込サイリスタ列は、図17中上から、転送サイリスタ列、書込サイリスタ列、発光サイリスタ列の順に並べられている。
なお、書込サイリスタSは、発光サイリスタL、転送サイリスタTと同様に第1ゲート、第2ゲート、アノード、カソードを有する半導体素子である。また、結合トランジスタQt及び書込トランジスタQsは、コレクタ、ベース、エミッタを有する半導体素子であるが、奇数番号の結合トランジスタQtは、2個のコレクタ(マルチコネクタ)を有する。
第3の実施の形態の説明では、転送サイリスタT、書込サイリスタS、発光サイリスタLの番号に関わらず、転送サイリスタTでは第1ゲートGtf、第2ゲートGts、書込サイリスタSでは、第1ゲートGsf、第2ゲートGss、発光サイリスタLでは第1ゲートGlfと表記する。同様に、結合トランジスタQtの番号に関わらず、奇数番号のマルチコレクタの結合トランジスタQtでは第1コレクタCf、第2コレクタCsと表記し、偶数番号の結合トランジスタQtではコレクタCと表記する。また、書込トランジスタQsでは、番号に関わらずコレクタCと表記する。
では次に、発光チップUa1(U)における各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタTのアノード、書込サイリスタSのアノード、発光サイリスタLのアノードは、発光チップUa1(U)の基板80に接続されている(アノードコモン)。また、結合トランジスタQtのエミッタ、書込トランジスタQsのエミッタも発光チップUa1(U)の基板80に接続されている。
そして、これらのアノード及びエミッタは、基板80裏面に設けられたVsub端子である裏面電極85を介して電源ライン200a(図15(b)参照)に接続されている。この電源ライン200aは、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
転送サイリスタ列に沿って、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のカソードは、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して、φ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン201a(図15(b)参照)が接続され、第1転送信号φ1aが送信される。
一方、転送サイリスタ列に沿って、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のカソードは、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介して、φ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン202a(図15(b)参照)が接続され、第2転送信号φ2aが送信される。
なお、発光チップU1bの場合には、φ1端子には、第1転送信号ライン201b(図15(b)参照)が接続され、第1転送信号φ1bが送信される。同様に、φ2端子には、第2転送信号ライン202b(図15(b)参照)が接続され、第2転送信号φ2bが送信される。
書込サイリスタ列に沿って、奇数番号の書込サイリスタSのカソードは、書込信号線74−1に接続されている。そして、書込信号線74−1は、電流制限抵抗Rw1を介して、φW1端子に接続されている。発光チップUa1の場合、このφW1端子には、書込信号ライン205−1(図15(b)参照)が接続され、書込信号φW1−1が送信される。
一方、書込サイリスタ列に沿って、偶数番号の書込サイリスタSのカソードは、書込信号線74−2に接続されている。そして、書込信号線74−2は、電流制限抵抗Rw2を介して、φW2端子に接続されている。発光チップUa1の場合、このφW2端子には、書込信号ライン206−1(図15(b)参照)が接続され、書込信号φW2−1が送信される。
発光サイリスタ列に沿って、奇数番号の発光サイリスタLのカソードは、点灯信号線75−1に接続されている。そして、点灯信号線75−1は、電流制限抵抗RI1を介して、φI端子に接続されている。
一方、発光サイリスタ列に沿って、偶数番号の発光サイリスタLのカソードは、点灯信号線75−2に接続されている。そして、点灯信号線75−2は、電流制限抵抗RI2を介して、φI端子に接続されている。
発光チップUa1の場合、このφI端子には、点灯信号ライン204a(図15(b)参照)が接続され、点灯信号φIaが送信される。
なお、φI端子は、図17においては、発光チップUの左端部に設けられているが、発光チップUの右端部にも設けて、両端駆動を行ってもよい。このとき、右端部に設けたφI端子からそれぞれ電流制限抵抗を介して点灯信号線75−1、75−2に接続する。
転送サイリスタ列に沿って、奇数番号の転送サイリスタTの第1ゲートGtfは、抵抗Rtを介して電源線71に接続されている。第2ゲートGtsは、奇数番号の結合トランジスタQtのベースに接続されている。
奇数番号の結合トランジスタQtの第1コレクタCfは、抵抗Rsを介して、電源線71に接続されるとともに、番号が同じ奇数番号の書込サイリスタS及び番号が1大きい偶数番号の書込サイリスタSのそれぞれの第1ゲートGsfに接続されている。そして、第2コレクタCsは、番号が1大きい偶数番号(後段)の転送サイリスタTの第1ゲートGtfに接続されている。
偶数番号の転送サイリスタTの第1ゲートGtfは、抵抗Rtを介して電源線71に接続されている。第2ゲートGtsは、偶数番号の結合トランジスタQtのベースに接続されている。
偶数番号の結合トランジスタQtのコレクタCは、番号が1大きい奇数番号(次段)の転送サイリスタTの第1ゲートGtfに接続されている。
書込サイリスタSの第2ゲートGsfは、対応して設けられた書込トランジスタQsのベースに接続されている。書込トランジスタQsのコレクタCは、抵抗RLを介して電源線71に接続されるとともに、同じ番号の発光サイリスタLの第1ゲートGlfに接続されている。
上記のように、第3の実施の形態の発光チップUa1(U)は、奇数番号の転送サイリスタTに、同じ番号及び番号が1大きい書込サイリスタSが接続され、それぞれの書込サイリスタSに発光サイリスタLが接続されている。すなわち、奇数番号の転送サイリスタTによって、2個の発光サイリスタLが制御されるように構成されている。
なお、奇数番号の結合トランジスタQtはマルチコネクタとしたが、コレクタが1個であって、書込サイリスタSの第1ゲートGsfと転送サイリスタTの第1ゲートGtfが共通に接続されてもよい。
なお、図17に示した第3の実施の形態が適用される発光チップUは、第1の実施の形態の図6に示した構造を基本として構成してもよく、第2の実施の形態の図12に示した構造を基本として構成してもよい。レイアウト及び製造方法については説明を省略する。
次に、発光装置65の動作について説明する。
ここでは、結合トランジスタQt及び書込トランジスタQsは、オン状態において飽和するとして、コレクタはエミッタの電位である基準電位Vsub(「H」(0V))になるとして説明する。
発光装置65は発光チップ群#aに属する発光チップUa1〜Ua20と発光チップ群#bに属する発光チップUb1〜Ub20とを備えている(図14、15、16参照)。
図15に示したように、回路基板62上のすべての発光チップU(発光チップUa1〜Ua20と発光チップUb1〜Ub20)には、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
そして、発光チップ群#aの発光チップUa1〜Ua20には、前述したように、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIaが共通に送信される。よって、発光チップ群#aの発光チップUa1〜Ua20は並列に駆動される。
同様に、発光チップ群#bの発光チップUb1〜Ub20には、前述したように、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、点灯信号φIbが共通に送信される。よって、発光チップ群#bの発光チップUb1〜Ub20は並列に駆動される。
一方、書込信号φW1−1〜φW1−20、書込信号φW2−1〜φW2−20のそれぞれは、発光チップ群#aの一つの発光チップUと発光チップ群#bの一つの発光チップUとが構成する発光チップ組#1〜#20のそれぞれに対して共通に送信される。例えば、発光チップ群#aの発光チップUa1と発光チップ群#bの発光チップUb1とを発光チップ組#1として、書込信号φW1−1、φW2−1が共通に送信される。また、書込信号φW1−1〜φW1−20、書込信号φW2−1〜φW2−20は、同じタイミングで並列に送信される。よって、発光チップ組#1〜#20は並列に駆動される。
なお、発光サイリスタLの光量を調整するなどのために、書込信号φW1−1〜φW1−20、書込信号φW2−1〜φW2−20のタイミングを互いにずらして送信してもよい。
発光チップ群#aの発光チップUa2〜Ua20は発光チップUa1と並行して駆動され、発光チップ群#bの発光チップUb2〜Ub20は発光チップUb1と並行して駆動されるので、発光チップ組#1に属する発光チップUa1および発光チップUb1の動作を説明すれば足りる。なお、同様に、発光チップ組#2〜#20は発光チップ組#1と並行して駆動されるので、発光チップUa1及び発光チップUb1とが属する発光チップ組#1を説明すれば足りる。
よって、以下では発光チップUa1及び発光チップUb1の動作を説明する。
図18は、第3の実施の形態が適用される発光チップUの動作を説明するためのタイミングチャートである。図18は、発光チップ組#1(発光チップUa1および発光チップUb1)の動作を説明するタイミングチャートを示している。そして、図18では、それぞれの発光チップUにおいて、発光サイリスタL1〜L6の6個の発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御する部分のタイミングチャートを示している。なお、以下では、発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御することを点灯制御と呼ぶ。
そして、発光チップ組#1の発光チップUa1では、発光サイリスタL1〜L6をすべて点灯させるとした。一方、発光チップUb1では、発光サイリスタL1〜L6のうち発光サイリスタL4を消灯(非点灯)とし、残りを点灯させるとした。
図18において、時刻aから時刻rへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光チップ群#aの発光チップUa1の発光サイリスタL1、L2は、時刻cから時刻nの期間Ta(1)において点灯制御される。発光チップ群#aの発光チップUa1の発光サイリスタL3、L4は、時刻nから時刻pの期間Ta(2)において点灯制御される。発光チップ群#aの発光チップUa1の発光サイリスタL5、L6は、時刻pから時刻rの期間Ta(3)において点灯制御される。
一方、発光チップ群#bの発光チップUb1の発光サイリスタL1、L2は、時刻hから時刻oの期間Tb(1)において点灯制御される。発光チップ群#bの発光チップUb1の発光サイリスタL3、L4は、時刻oから時刻qの期間Tb(2)において点灯制御される。発光チップ群#bの発光チップUb1の発光サイリスタL5、L6は、時刻qから始まる期間Tb(3)において点灯制御される。以下、同様にして番号が7以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
第3の実施の形態では、期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…および期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと表記する。
そして、発光チップ群#aの発光チップUa1、Ua2、Ua3、…を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…と、発光チップ群#bの発光チップUb1、Ub2、Ub3、…を制御する期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…とは、期間Tの1/2(半分)の長さ(位相でいうと180°)ずれているとする。すなわち、期間Tb(1)は、期間Ta(1)が開始したのち、期間Tの1/2の期間が経過したときに開始する。
したがって、以下では、発光チップ群#aの発光チップUa1、Ua2、Ua3、…を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…について説明する。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間Tの長さを可変としてもよい。
期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…における信号波形は、画像データによって変化する書込信号φW1−1、φW2−1を除いて、同じ波形の繰り返しである。
以下では、時刻cから時刻nまでの期間Ta(1)のみを説明する。なお、時刻aから時刻cまでの期間は、発光チップUa1(C)が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
期間Ta(1)における第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIaの信号波形について説明する。
第1転送信号φ1aは、時刻cで「L」(第1の実施の形態の「L」(−3.3V))であって、時刻gで「L」から「H」(第1の実施の形態の「H」(0V))に移行する。そして、時刻lで「H」から「L」に移行し、時刻nで「L」を維持する。
第2転送信号φ2aは、時刻cで「H」であって、時刻fで「H」から「L」に移行する。そして、時刻mで「L」から「H」に移行し、時刻nで「H」を維持する。
ここで、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを比較すると、期間Ta(1)における第1転送信号φ1aの波形が、期間Ta(1)の1/2後ろにずれて第2転送信号φ2aの波形になっている。
すなわち、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとは期間Tを単位として繰り返す信号波形である。そして、時刻fから時刻gまでの期間のように、共に「L」となる期間を挟んで、交互に「H」と「L」とを繰り返している。そして、時刻aから時刻bまでの期間を除いて、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとは、同時に「H」となる期間を有さない。
第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとの一組の信号により、図17に示した転送サイリスタTが、順番にオン状態になる。
点灯信号φIaは、時刻cで、「H」から「L」に移行し、時刻kにおいて、「L」から「H」に移行する。そして、時刻nにおいて「H」から「L」に移行する。
点灯信号φIaは、後述するように発光サイリスタLに点灯(発光)のための電流を供給する信号である。
書込信号φW1−1は、時刻cで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行し、時刻eで「L」から「H」に移行する。さらに、時刻iで「H」から「L」に移行し、時刻jで「L」から「H」に移行する。すなわち、書込信号φW1は、期間Ta(1)において、「L」になる期間が2つある。先に「L」となる期間(時刻dから時刻e)に対して、後に「L」となる期間(時刻iから時刻j)は、期間Tの1/2の期間後にずれている。
そして、書込信号φW1−1が先に「L」となる期間(時刻dから時刻e)は、第1転送信号φ1aが「L」である期間に対応して発光チップUa1の転送サイリスタT1がオン状態にある期間であって、発光チップUa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させる。書込信号φW1−1が後に「L」となる期間(時刻iから時刻j)は、期間Tの1/2遅れて第1転送信号φ1bが「L」である期間に対応して発光チップUb1の転送サイリスタT1がオン状態にある期間であって、発光チップUb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させる。
期間Ta(1)においては、書込信号φW2−1も、書込信号φW1−1と同じ波形である。すなわち、書込信号φW2−1が先に「L」となる期間(時刻dから時刻e)は、第1転送信号φ1aが「L」である期間に対応して発光チップUa1の転送サイリスタT1がオン状態にある期間であって、発光チップUa1の発光サイリスタL2を点灯状態に移行させる。書込信号φW2−1が後に「L」となる期間(時刻iから時刻j)は、期間Tの1/2遅れて第1転送信号φ1bが「L」である期間に対応して発光チップUb1の転送サイリスタT1がオン状態にある期間であって、発光チップUb1の発光サイリスタL2を点灯状態に移行させる。
では、図15および図17を参照しつつ、図18に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65の動作を説明する。
(1)時刻a
発光装置65に基準電位Vsubおよび電源電位Vgaの供給を開始した時刻aでの状態(初期状態)について説明する。
<発光装置65>
図18に示したタイミングチャートの時刻aにおいて、電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、電源ライン200bは「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに設定される(図15参照)。よって、すべての発光チップU(発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20)のそれぞれのVsub端子は「H」に設定され、それぞれのVga端子は「L」に設定される(図17参照)。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120aは第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2aをそれぞれ「H」に、転送信号発生部120bは第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2bをそれぞれ「H」に設定する。すると、第1転送信号ライン201a、201bおよび第2転送信号ライン202a、202bが「H」になる(図15参照)。これにより、発光チップU(発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20)のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72の電位も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ1端子に接続されている第2転送信号線73も「H」になる(図17参照)。
さらに、信号発生回路110の点灯信号発生部140aは点灯信号φIaを「H」に、点灯信号発生部140bは点灯信号φIbを「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204a、204bが「H」になる(図15参照)。これにより、発光チップUのφI端子が「H」になる。φI端子に接続されている点灯信号線75−1,75−2も「H」になる(図17参照)。
信号発生回路110の書込信号発生部150は書込信号φW1−1〜φW1−20、書込信号φW2−1〜φW2−20を「H」に設定する。すると、書込信号ライン205−1〜205−20、書込信号ライン206−1〜206−20が「H」になる(図15(b)参照)。これにより、発光チップUのφW1端子及びφW2端子が「H」になる(図17参照)。
発光チップUのφW1端子は、電流制限抵抗Rw1を介して、書込信号線74−1に接続され、発光チップUのφW2端子は、電流制限抵抗Rw2を介して、書込信号線74−2に接続されている。発光チップUのφW1端子およびφW2端子はともに「H」に設定されているので、書込信号線74−1、74−2も「H」になる(図17参照)。
次に、図17を参照しつつ、図18に示したタイミングチャートにしたがって、発光チップU(発光チップUa1〜Ua20および発光チップUb1〜Ub20)の動作を、発光チップ組#1に属する発光チップUa1及び発光チップUb1で説明する。
<発光チップUa1>
転送サイリスタT、書込サイリスタSおよび発光サイリスタLのアノードは、Vsub端子に接続されているので「H」に設定される。
一方、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソードは、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソードは、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTのアノードおよびカソードはともに「H」となり、転送サイリスタTはオフ状態にある。
同様に、奇数番号の書込サイリスタSのカソードは、書込信号線74−1に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の書込サイリスタSのカソードは、書込信号線74−2に接続され、「H」に設定されている。よって、書込サイリスタSのアノードおよびカソードはともに「H」となり、書込サイリスタSはオフ状態にある。
さらに、発光サイリスタLのカソードは、点灯信号線75−1、75−2に接続され、「H」に設定されている。よって、発光サイリスタLのアノードおよびカソードはともに「H」となり、発光サイリスタLはオフ状態にある。
結合トランジスタQtのベースは、転送サイリスタTの第2ゲートGtsに接続されている。転送サイリスタTはオフ状態であるので、第2ゲートGtsは「H」になっている。よって、結合トランジスタQtのエミッタとベースがともに「H」であるので、結合トランジスタQtはオフ状態である。
同様に、書込トランジスタQsのベースは、書込サイリスタSの第2ゲートGssに接続されている。書込サイリスタSはオフ状態であるので、第2ゲートGssは「H」になっている。よって、書込トランジスタQsのエミッタとベースがともに「H」であるので、書込トランジスタQsはオフ状態である。
転送サイリスタTの第1ゲートGtfは、抵抗Rtを介して電源線71に接続されている。電源線71は「L」の電源電位Vgaに設定されている。よって、後述する転送サイリスタT1の第1ゲートGtfを除いて、第1ゲートGtfは「L」になっている。
そして、書込サイリスタSの第1ゲートGsfは、抵抗Rsを介して電源線71に接続されている。よって、第1ゲートGsfは「L」になっている。
さらに、発光サイリスタLの第1ゲートGlfは、抵抗RLを介して電源線71に接続されている。よって、第1ゲートGlfは「L」になっている。
以上のことから、後述する転送サイリスタT1を除いて、転送サイリスタT、書込サイリスタSおよび発光サイリスタLのしきい電圧はそれぞれの第1ゲートGtf、Gsf、Glfの電位(「L」(−3.3V))から拡散電位Vd(1.5V)を引いた値(−4.8V)となっている。
図17中の転送サイリスタ列の一端の転送サイリスタT1の第1ゲートGtfは、スタート抵抗R0を介して第2転送信号線73に接続されている。第2転送信号線73は電流制限抵抗R2を介して「H」のφ2端子に接続されている。よって、転送サイリスタT1の第1ゲートGtfは、「H」のφ2端子と電源線71との間の電流制限抵抗R2、スタート抵抗R0、抵抗Rtとで決まる電位に設定されている。
ここでは、第1転送信号φ1aが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行したとき、転送サイリスタT1がターンオンするように、転送サイリスタT1のしきい電圧が設定される。例えば、転送サイリスタT1の第1ゲートGtfが「H」(0V)に近い負の値であると、転送サイリスタT1のしきい電圧は−1.5Vに近い値になる。
<発光チップUb1>
発光チップUb1においても、初期状態は発光チップUa1と同じであるので、説明を省略する。
(2)時刻b
図18に示す時刻bにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65は動作状態に入る。
<発光チップUa1>
第1転送信号線72が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである転送サイリスタT1がターンオンする。しかし、転送サイリスタT3以降の番号の大きい奇数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、オン状態に移行しない。一方、偶数番号の転送サイリスタTは、第2転送信号φ2aが「H」(0V)であるので、ターンオンしない。
転送サイリスタT1がターンオンすると、第1ゲートGtfは、アノードの「H」(0V)になる。そして、転送サイリスタT1のカソード(図17の第1転送信号線72)は、転送サイリスタT1のアノードの「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。
そして、転送サイリスタT1がターンオンすると、第2ゲートGtsにベースが接続された結合トランジスタQt1がオフ状態からオン状態に移行する。すると、結合トランジスタQt1の第1コレクタCf及び第2コレクタCsがエミッタの「H」(0V)になる。
すると、第2コレクタCsに接続された転送サイリスタT2の第1ゲートGtfが「H」(0V)になり、転送サイリスタT2のしきい電圧が−1.5Vになる。
一方、結合トランジスタQtの第1コレクタCfが「H」(0V)になると、第1コレクタに接続された書込サイリスタS1、S2のそれぞれの第1ゲートGsfが「H」(0V)になって、書込サイリスタS1、S2のしきい電圧がそれぞれ−1.5Vになる。
しかし、書込信号線74−1、74−2は「H」であるので、いずれの書込サイリスタSもターンオンしない。
また、いずれの発光サイリスタLもオン状態に移行しない。
すなわち、時刻bにおいて、ターンオンするのは転送サイリスタT1である。そして、時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後、定常状態になったときをいう。)において、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQt1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、書込サイリスタS、発光サイリスタL、結合トランジスタQt、書込トランジスタQsはオフ状態にある。
なお、以下では、オン状態にあるサイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタS、発光サイリスタL)及びトランジスタ(結合トランジスタQt、書込トランジスタQs)を説明し、オフ状態にあるサイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタS、発光サイリスタL)及びトランジスタ(結合トランジスタQt、書込トランジスタQs)の説明を省略する。
<発光チップUb1>
発光チップUb1が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップUb1は初期状態が維持されている。
(3)時刻c
時刻cにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップUa1>
点灯信号線75−1、75−2が「L」(−3.3V)になっても、発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vであるので、いずれの発光サイリスタLもターンオンしない。
よって、時刻cの直後においては、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQt1がオン状態にある。
<発光チップUb1>
発光チップUb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、発光チップUb1は初期状態が維持されている。
(4)時刻d
時刻dにおいて、発光チップ群#aの発光チップUa1と発光チップ群#bの発光チップUb1とが属する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1−1、φW2−1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップUa1>
書込信号線74−1、74−2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、ともにしきい電圧が−1.5Vであった書込サイリスタS1、S2がターンオンする。なお、番号が3以上の書込サイリスタSはしきい電圧が−4.8Vであるのでターンオンしない。
そして、書込サイリスタS1、S2がターンオンすると、それぞれの第2ゲートGssにベースが接続された書込トランジスタQs1、Qs2がオフ状態からオン状態に移行する。すると、書込トランジスタQs1、Qs2のそれぞれのコレクタがエミッタの「H」(0V)になる。さらに、書込トランジスタQs1、Qs2のカソード(書込信号線74−1、74−2)が−1.5Vになる。
発光サイリスタL1、L2の第1ゲートGlfは、それぞれ書込トランジスタQs1、Qs2のコレクタに接続されているので、「H」(0V)になる。よって、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧が−1.5Vになる。
既に、発光サイリスタL1のカソードが接続された点灯信号線75−1、発光サイリスタL2のカソードが接続された75−2は、時刻cにおいて、「L」(−3.3V)になっているので、発光サイリスタL1、L2がターンオンして、点灯する。
そして、発光サイリスタL1、L2の第1ゲートGlfが「H」(0V)になるとともに、カソード(点灯信号線75−1、75−2)が−1.5Vになる。
よって、時刻dの直後においては、転送サイリスタT1、結合トランジスタQt1、書込サイリスタS1、S2、書込トランジスタQs1、Qs2、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
<発光チップUb1>
書込信号線74−1、74−2が「H」から「L」に移行する。しかし、書込サイリスタSはしきい電圧が−4.8Vである。よって、いずれの書込サイリスタSもターンオンできない。
(5)時刻e
時刻eにおいて、発光チップ群#aの発光チップUa1と発光チップ群#bの発光チップUb1とが属する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1−1、φW2−1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップUa1>
書込信号線74が「H」(0V)に移行する。すると、オン状態にあった書込サイリスタS1、S2はカソードおよびアノードがともに「H」になるので、ターンオフする。すると、書込トランジスタQs1、Qs2はオン状態からオフ状態に移行する。
なお、オン状態の発光サイリスタL1、L2は、点灯信号φIaが「L」(−3.3V)であるので、オン状態を維持する。
よって、時刻eの直後においては、転送サイリスタT1、結合トランジスタQt1、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
<発光チップUb1>
「L」(−3.3V)であった書込信号線74−1、74−2が「H」(0V)に戻る。
(6)時刻f
時刻fにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
また、発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップUa1>
第2転送信号線73が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである転送サイリスタT2がターンオンする。しかし、転送サイリスタT4以降の番号の大きい偶数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、オン状態に移行しない。
転送サイリスタT2がターンオンすると、転送サイリスタT2のカソード(図17の第2転送信号線73)は、転送サイリスタT2のアノードの「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。
そして、転送サイリスタT2がターンオンすると、第2ゲートGtsにベースが接続された結合トランジスタQt2がオフ状態からオン状態に移行する。すると、結合トランジスタQt1のコレクタCがエミッタの「H」(0V)になる。
すると、コレクタCに接続された転送サイリスタT3の第1ゲートGtfが「H」(0V)になり、転送サイリスタT3のしきい電圧が−1.5Vになる。
よって、時刻fの直後においては、転送サイリスタT1、T2、結合トランジスタQt1、Qt2、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
<発光チップUb1>
時刻bにおける発光チップUa1の動作と同様である。すなわち、転送サイリスタT1がターンオンする。これにより、第1転送信号線72が−1.5Vになる。さらに、結合トランジスタQ1がオフ状態からオン状態に移行する。そして、書込サイリスタS1、S2のしきい電圧が−1.5Vになる。
つまり、発光チップUb1は、発光チップUa1の動作を期間Tを1/2の期間ずらしたタイミング(位相が180°ずれた関係)で動作する。
よって、時刻fの直後においては、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQt1がオン状態にある。
(7)時刻g
時刻gにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップUa1>
第1転送信号線72が「H」(0V)に移行する。すると、オン状態にあった転送サイリスタT1は、カソードおよびアノードがともに「H」となるので、ターンオフする。
すると、結合トランジスタQt1がオン状態からオフ状態に移行する。そして、書込サイリスタS1、S2の第1ゲートGsfが電源線71の「L」(−3.3V)になり、書込サイリスタS1、S2のしきい電圧が−4.8Vになる。すなわち、すべての書込サイリスタSのしきい電圧が−4.8Vになる。
なお、オン状態の発光サイリスタL1、L2は、点灯信号φIaが「L」(−3.3V)であるので、オン状態を維持する。
よって、時刻gの直後においては、転送サイリスタT2、結合トランジスタQt2、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
<発光チップUb1>
発光チップUb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻fの状態が維持される。
(8)時刻h
時刻hにおいて、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップUa1>
発光チップUa1が属する発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻gの状態が維持される。
<発光チップUb1>
時刻cにおける発光チップUa1の動作と同様である。すなわち、点灯信号線75が「L」(−3.3V)になっても、発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vであるので、いずれの発光サイリスタLもターンオンしない。
よって、時刻hの直後においては、転送サイリスタT1及び結合トランジスタQt1がオン状態にある。
(9)時刻i
時刻iにおいて、発光チップ群#aの発光チップUa1と発光チップ群#bの発光チップUb1とが属する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1−1、φW2−1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップUa1>
書込信号線74−1、74−2が「H」から「L」に移行する。しかし、書込サイリスタSはしきい電圧が−4.8Vである。よって、いずれの書込サイリスタSもターンオンできない。
よって、時刻iの直後においては、転送サイリスタT2、結合トランジスタQt2、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
<発光チップUb1>
時刻dにおける発光チップUa1の動作と同様である。すなわち、書込信号線74−1、74−2が「H」から「L」に移行すると、ともにしきい電圧が−1.5Vであった書込サイリスタS1、S2がターンオンする。
そして、書込サイリスタS1、S2がターンオンすると、書込トランジスタQs1、Qs2がオフ状態からオン状態に移行する。すると、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧が−1.5Vになる。
既に、発光サイリスタL1のカソードが接続された点灯信号線75−1、発光サイリスタL2のカソードが接続された点灯信号線75−2は、時刻hにおいて、「L」(−3.3V)になっているので、発光サイリスタL1、L2がターンオンして、点灯する。
よって、時刻iの直後においては、転送サイリスタT1、結合トランジスタQt1、書込サイリスタS1、S2、書込トランジスタQs1、Qs2、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
(10)時刻j
時刻jにおいて、発光チップ群#aの発光チップUa1と発光チップ群#bの発光チップUb1とが属する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1−1、φW2−1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップUa1>
「L」(−3.3V)であった書込信号線74−1、74−2が「H」(0V)に戻る。
よって、時刻jの直後においては、転送サイリスタT2、結合トランジスタQt2、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
<発光チップUb1>
時刻eにおける発光チップUa1の動作と同様である。すなわち、書込信号線74が「H」(0V)に移行し、オン状態にあった書込サイリスタS1、S2がターンオフする。すると、書込トランジスタQs1、Qs2はオン状態からオフ状態に移行する。
よって、時刻jの直後においては、転送サイリスタT1、結合トランジスタQt1、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
(11)時刻k
時刻kにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップUa1>
点灯信号線75−1、75−2が「H」(0V)に移行する。すると、オン状態にあった発光サイリスタL1、L2は、カソードおよびアノードがともに「H」となるので、ターンオフして、消灯する(非点灯になる)。これにより、発光サイリスタL1、L2の第1ゲートGlfが抵抗RLを介して電源線71の「L」(−3.3V)になる。そして、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧が−4.8Vになる。
すなわち、発光チップUa1の発光サイリスタL1、L2は、時刻dの書込信号φW1−1、φW2−1が「H」から「L」に移行するタイミングで点灯(発光)(ターンオン)し、時刻kの点灯信号φIaが「L」から「H」に移行するタイミングで消灯(ターンオフ)する。時刻dから時刻kまでの期間が、発光チップUa1の発光サイリスタL1、L2の点灯(発光)期間に対応する。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT2、結合トランジスタQt2がオン状態にある。
<発光チップUb1>
発光チップUb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻jの状態が維持される。
(12)時刻l
時刻lにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
また、発光チップ群#bに送信される第2転送信号φ2bが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップUa1>
第1転送信号線72が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである転送サイリスタT3がターンオンする。しかし、転送サイリスタT5以降の番号の大きい偶数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、オン状態に移行しない。また、転送サイリスタT1の第1ゲートGtfはスタート抵抗R0を介して−1.5Vの第2転送信号線73と抵抗Rtを介して「L」(−3.3V)の電源線71に接続されている。よって、しきい電圧は高くとも−3Vである。このことから、しきい電圧が−1.5Vの転送サイリスタT3がターンオンする。
そして、結合トランジスタQt3がオフ状態からオン状態に移行する。
すると、時刻bでと同様に、第2コレクタCsに接続された転送サイリスタT4の第1ゲートGtfが「H」(0V)になり、転送サイリスタT4のしきい電圧が−1.5Vになる。
一方、第1コレクタに接続された書込サイリスタS3、S4のそれぞれの第1ゲートGsfが「H」(0V)になって、書込サイリスタS3、S4のしきい電圧がそれぞれ−1.5Vになる。
よって、時刻lの直後においては、転送サイリスタT2、T3、結合トランジスタGt2、Qt3がオン状態にある。
<発光チップUb1>
時刻fにおける発光チップUa1の動作と同様である。すなわち、第2転送信号線73が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行して、しきい電圧が−1.5Vである転送サイリスタT2がターンオンする。そして、結合トランジスタQt2がオフ状態からオン状態に移行し、転送サイリスタT3のしきい電圧が−1.5Vになる。
よって、時刻lの直後においては、転送サイリスタT1、T2、結合トランジスタQt1、Qt2、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
(13)時刻m
時刻mにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
また、発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップUa1>
第2転送信号線73が「H」(0V)に移行する。すると、オン状態にあった転送サイリスタT2は、カソードおよびアノードがともに「H」となるので、ターンオフする。
すると、結合トランジスタQt2がオン状態からオフ状態に移行する。
よって、時刻mの直後においては、転送サイリスタT3、結合トランジスタQt3がオン状態にある。
<発光チップUb1>
時刻gにおける発光チップUa1の動作と同様である。すなわち、第1転送信号線72が「H」(0V)に移行して、転送サイリスタT1がターンオフする。そして、結合トランジスタQt1がオン状態からオフ状態に移行し、書込サイリスタS1、S2のしきい電圧が−4.8Vになる。すなわち、すべての書込サイリスタSのしきい電圧が−4.8Vになる。
なお、オン状態の発光サイリスタL1、L2は、点灯信号φIaが「L」(−3.3V)であるので、オン状態を維持する。
よって、時刻mの直後においては、転送サイリスタT2、結合トランジスタQt2、発光サイリスタL1、L2がオン状態にある。
(14)時刻n
時刻nにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップUa1>
時刻cと同様である。
<発光チップUb1>
発光チップUb1が属する発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻jの状態が維持される。
なお、発光チップUb1は、発光チップUa1の動作を期間Tの1/2ずれて行う。
すなわち、時刻n以降においては、時刻cからを繰り返す。
なお、発光サイリスタLを点灯しないときは、期間Tb(2)の時刻oの直後に示すように、書込信号φW2−1を「L」(−3.3V)にすることなく、「H」(0V)に維持すればよい。
以上説明したように、第3の実施の形態では、結合トランジスタQt及び書込トランジスタQsを使用しているので、転送サイリスタT、書込サイリスタS、発光サイリスタLは、しきい電圧が−1.5Vに設定できる。よって、第1転送信号線72、第2転送信号線73、書込信号線74−1、74−2、点灯信号線75−1、75−2の「L」(−3.3V)と差が大きい。すなわち、動作マージンを大きく取ることができる。
図19は、第3の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUの回路構成を説明するための等価回路図である。以下では、図17に示した第3の実施の形態が適用される自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUと同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を説明する。
第3の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUでは、結合トランジスタQtの代わりに、結合ダイオードDが用いられている。そして、スタート抵抗R0の代わりにスタートダイオードD0が用いられている。
奇数番号の転送サイリスタTの第1ゲートGtfは、それぞれが抵抗Ruを介して、同じ番号の書込サイリスタS及び番号が1大きい書込サイリスタSの第1ゲートGsfに接続されている。これらの第1ゲートGsfは、抵抗Rbを介して電源線71に接続されるとともに、抵抗Rvを介して同じ番号の発光サイリスタLの第1ゲートGlfに接続されている。また、発光サイリスタLの第1ゲートGlfは、抵抗Rwを介して電源線71に接続されている。
偶数番号の転送サイリスタTの第1ゲートGtfは、抵抗Rgを介して電源線71に接続されている。
この第3の実施の形態を適用しない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップUでも、図15に示すように配置すれば図18のタイミングチャートにしたがって動作する。
以下では、図18のタイミングチャートにしたがって、図17に示した第3の実施の形態が適用される発光チップUと異なる部分を中心に、図19に示す第3の実施の形態を適用しない発光チップUの動作を説明する。
ここで、図19において、抵抗Ruの抵抗値(Ru)、抵抗Rvの抵抗値(Rv)、抵抗Rwの抵抗値(Rw)、抵抗Rbの抵抗値(Rb)の比が、Ru:Rv:Rw:Rb=0.2:1:1:1であるとする。
図18の時刻aにおいて、スタートダイオードD0は、アノードが「H」(0V)の第2転送信号線73に接続され、カソードが抵抗Ru、Rbを介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されている。よって、スタートダイオードD0は順バイアスであって、カソードがアノードの「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになっている。転送サイリスタT1の第1ゲートGtfは、スタートダイオードD0のカソードに接続されている。よって、転送サイリスタT1のしきい電圧は−3Vになっている。
また、−1.5VであるスタートダイオードD0のカソードは結合ダイオードD1のアノードに接続されている。結合ダイオードD1のカソードは、抵抗Rgを介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されている。よって、結合ダイオードD1も順バイアスであって、結合ダイオードD1のカソードは、アノードの−1.5Vから拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになっている。
そして、転送サイリスタT2の第1ゲートGtfは、−3Vの結合ダイオードD1のカソードに接続されている。よって、転送サイリスタT2のしきい電圧は−4.5Vである。
なお、番号が1以上の結合ダイオードDには、スタートダイオードD0のアノードが「H」(0V)である影響が及ばず、それぞれの結合ダイオードDのカソードに接続された番号が3以上の転送サイリスタTの第1ゲートGtfは、抵抗Rgを介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されている。よって、これらの転送サイリスタTのしきい電圧は−4.8Vである。
書込サイリスタS1の第1ゲートGsfは、抵抗Rbを介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されるとともに、抵抗Ruを介して−1.5Vである転送サイリスタT1の第1ゲートGtfに接続されている。また、発光サイリスタL1の第1ゲートGsfは、抵抗Rwを介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されるとともに、抵抗Rvを介して書込サイリスタS1の第1ゲートGtfに接続されている。
書込サイリスタS2及び発光サイリスタL2も同様である。
よって、Ru:Rv:Rw:Rb=0.2:1:1:1であるとすると、書込サイリスタS1、S2の第1ゲートGsfの電位は−1.92Vであって、書込サイリスタS1、S2のしきい電圧は−3.42V、発光サイリスタL1、L2の第1ゲートGlfの電位は−2.61Vであって、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧は−4.11Vとなっている。
なお、番号3以上の書込サイリスタSの第1ゲートGsf及び発光サイリスタLの第1ゲートGlfは−3.3Vであって、書込サイリスタS1、S2及び発光サイリスタL1、L2のしきい電圧は−4.8Vである。
また、時刻bにおいて、第1転送信号φ1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−3Vの転送サイリスタT1がターンオンする。すると、転送サイリスタT1の第1ゲートGtfが「H」(0V)になる。すると、結合ダイオードD1のアノードが「H」(0V)になる。
結合ダイオードD1のカソードは、抵抗Rgを介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されていたので、結合ダイオードD1が順バイアスになって、カソードがアノードの「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。転送サイリスタT2の第1ゲートGtf2は−1.5Vの結合ダイオードD1のアノードに接続されているので、転送サイリスタT2のしきい電圧が−3Vになる。
なお、転送サイリスタT3の第1ゲートGtfに接続された結合ダイオードD3のカソードは−3Vになり、転送サイリスタT3のしきい電圧は−4.5Vになる。
そして、番号が4以上の転送サイリスタTの第1ゲートGtfは、−3.3Vであるので、これらの転送サイリスタTのしきい電圧は−4.8Vが維持される。
このとき、書込サイリスタS1、S2の第1ゲートGsfの電位は−0.76Vとなって、書込サイリスタS1、S2のしきい電圧は−2.26V、発光サイリスタL1、L2の第1ゲートGlfの電位は−2.03Vとなって、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧は−3.52Vとなる。
なお、書込サイリスタS3、S4の第1ゲートGsfは、抵抗Ruを介して−3Vの転送サイリスタT3の第1ゲートGtfに接続されている。よって、書込サイリスタS1、S2の第1ゲートGsfの電位は−3.07Vとなって、書込サイリスタS1、S2のしきい電圧は−4.57V、発光サイリスタL1、L2の第1ゲートGlfの電位は−3.18Vとなって、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧は−4.68Vとなる。
なお、番号が5以上の書込サイリスタS及び発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vに維持されている。
時刻dにおいて、書込信号φW1−1、W2−1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−2.26Vの書込サイリスタS1、S2がともにターンオンする。そして、書込サイリスタS1、S2の第1ゲートGtfの電位が「H」(0V)になる。すると、発光サイリスタL1の第1ゲートGtfは抵抗Rvを介して「H」(0V)の書込サイリスタS1の第1ゲートGtfに接続されるとともに、抵抗Rwを介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されるので、−1.65Vになる。よって、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3.15Vになる。発光サイリスタL2も同様である。
このとき、点灯信号φIaは、時刻cにおいて既に「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行しているので、発光サイリスタL1、L2はターンオンする。
すなわち、奇数番号の転送サイリスタTがオン状態であって、書込サイリスタSがターンオンすると、発光サイリスタLが点灯する。
他の時刻の動作については説明しないが、図19に示す第3の実施の形態を適用しない発光チップUを適用した発光装置65においても、図18に示したタイミングチャートにしたがって動作する。
しかし、転送サイリスタTがターンオンする際の転送サイリスタTのしきい電圧は−3Vであって、第1転送信号φ1又は第2転送信号φ2の「L」(−3.3V)との電位差は、0.3Vである。さらに、書込サイリスタSがターンオンする際の書込サイリスタSのしきい電圧は−2.26Vであって、書込信号φW1、φW2の「L」(−3.3V)との電位差は1.04Vである。そして、発光サイリスタLがターンオンする際の発光サイリスタLのしきい電圧は−3.15Vであって、点灯信号φIの「L」(−3.3V)との電位差は0.15Vである。
オン状態の結合ダイオードDでは、カソードとアノードとの間に拡散電位Vdを生じるので、転送サイリスタTのしきい電圧は拡散電位Vdの2倍(2×Vd)になる。よって、転送サイリスタTのしきい電圧と第1転送信号φ1又は第2転送信号φ2の「L」(−3.3V)との電位差を0.3Vより大きくすることができない。
一方、図17に示した第3の実施の形態が適用される発光チップUでは、転送サイリスタT、書込サイリスタS、発光サイリスタLがターンオンする際のしきい電圧は−1.5Vであって、第1転送信号φ1又は第2転送信号φ2、書込信号φW1、φW2、点灯信号φIの「L」(−3.3V)との電位差は1.8Vである。
すなわち、図17に示した第3の実施の形態が適用される発光チップUは、図19に示した第3の実施の形態を適用しない発光チップUに比べ、動作マージンが大きい。なお、図19に示した第3の実施の形態を適用しない発光チップUを用いた発光装置65において、書込サイリスタSのしきい電圧と書込信号φW1、φW2との電位差及び発光サイリスタLのしきい電圧と点灯信号φIとのこれらの電位差は、抵抗Ru、Rv、Rw、Rbの大きさで調整できる。しかし、これらの電位差を調整しても、第3の実施の形態を適用しない発光チップUを用いた発光装置65は、第3の実施の形態が適用される発光チップUを用いた発光装置65に比べ、動作マージンを大きくすることは難しい。
また、図19に示した第3の実施の形態を適用しない発光チップUでは、発光サイリスタLがオン状態になると、抵抗Rvは、伝導度の変調を受けて抵抗値が小さくなる。例えば、Rv:Rb=0.1:1になったとすると、書込サイリスタSのしきい電圧は−1.8Vになる。例えば奇数番号の書込サイリスタSのいずれか一つがオン状態にあって、書込信号線74−1が−1.5Vになっていたとしても、他の番号の発光サイリスタLがオン状態にあると、他の番号のオフ状態に維持されるべき書込サイリスタSのしきい電圧が−1.8Vになるので、ノイズなどにより、この他の番号の書込サイリスタSが誤ってターンオンする恐れがある。
これに対して、図17に示した第3の実施の形態が適用される発光チップUでは、発光サイリスタLは書込トランジスタQsを介して書込サイリスタSに接続されている。よって、書込トランジスタQsがオフ状態であれば、発光サイリスタLがオン状態である影響は、書込サイリスタSに及ばない。
よって、図17に示した第3の実施の形態が適用される発光チップUは、図19に示した第3の実施の形態を適用しない発光チップUに比べ誤動作の発生が抑制される。
なお、図15、16に示した第3の実施の形態が適用される発光装置65では、発光チップUを2個の発光チップ群に分けたが、3個以上の発光チップ群に分けてもよい。
また、図17に示した第3の実施の形態が適用される発光チップUでは、奇数番号の転送サイリスタTにより、2個の発光サイリスタLの点灯制御が行われるように構成されていた。奇数番号の転送サイリスタTにより、3個以上の発光サイリスタLの点灯制御がされるようにしてもよい。また、偶数番号の転送サイリスタTによって、複数の発光サイリスタLの点灯制御がされるようにしてもよい。
さらに、すべての転送サイリスタTがそれぞれ発光サイリスタLの点灯制御をするように構成してもよい。
第1の実施の形態、第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、サイリスタ(転送サイリスタT、発光サイリスタL、書込サイリスタS(第3の実施の形態))はアノードが基板80に接続されたアノードコモンとし、トランジスタ(結合トランジスタQ(第1の実施の形態及び第2の実施の形態)、結合トランジスタQt(第3の実施の形態)、書込トランジスタQs(第3の実施の形態))はpnpバイポーラトランジスタとして説明した。回路の極性を変更することによって、サイリスタ(転送サイリスタT、発光サイリスタL、書込サイリスタS)をカソード端子が基板80に接続されたカソードコモンとし、トランジスタ(結合トランジスタQ、結合トランジスタQt、書込トランジスタQs)をnpnバイポーラトランジスタとしてもよい。
また、第1の実施の形態、第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、第1転送信号φ1及び第2転送信号φ2の2相の転送信号にて転送サイリスタTを駆動したが、3相以上の転送信号を用いてもよい。
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、11(11Y、11M、11C、11K)…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、14…プリントヘッド、30…画像出力制御部、40…画像処理部、62…回路基板、63…光源部、64…ロッドレンズアレイ、65…発光装置、71…電源線、72…第1転送信号線、73…第2転送信号線、75、75−1、75−2…点灯信号線、75a…幹部、75b…枝部、76、77…接続配線、80…基板、81…第1半導体層、82…第2半導体層、83…第3半導体層、84…第4半導体層、101…転送部、102…発光部、110…信号発生回路、120、120a、120b…転送信号発生部、140、140a、140b…点灯信号発生部、150…書込信号発生部、160…基準電位供給部、170…電源電位供給部、φ1、φ1a、φ1b…第1転送信号、φ2、φ2a、φ2b…第2転送信号、φI(φI1〜φI40)、φIa、φIb…点灯信号、D(D1、D2、D3、…)…結合ダイオード、L(L1、L2、L3、…)…発光サイリスタ、S(S1、S2、S3、…)…書込サイリスタ、T(T1、T2、T3、…)…転送サイリスタ、U(U1〜U40)、Ua(Ua1〜Ua20)、Ub(Ub1〜Ub20)…発光チップ、Q(Q1、Q2、Q3、…)、Qt(Qt1、Qt2、Qt3、…)…結合トランジスタ、Qs(Qs1、Qs2、Qs3、…)…書込トランジスタ、Vga…電源電位、Vsub…基準電位

Claims (6)

  1. 第1導電型の第1半導体層、当該第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層、当該第1導電型の第3半導体層、当該第2導電型の第4半導体層が順に積層された半導体積層体にてそれぞれが構成され、順にオン状態に移行する複数の転送サイリスタと、
    前記半導体積層体における前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第3半導体層にてそれぞれが構成され、前記複数の転送サイリスタのオン状態が転送される順で隣接する前段の転送サイリスタと後段の転送サイリスタとを結合するように接続され、当該前段の転送サイリスタがオン状態になることによりオン状態になって当該後段の転送サイリスタをオン状態に移行可能な状態に設定するとともに、当該前段の転送サイリスタとの間において当該第1半導体層及び当該第2半導体層が連続する複数の結合トランジスタと、
    前記複数の転送サイリスタのそれぞれの前記第3半導体層と電力を供給する配線との間にそれぞれ設けられた複数の第1抵抗と、
    前記複数の転送サイリスタのそれぞれの前記第4半導体層に共通に接続されて当該複数の転送サイリスタのそれぞれをオン状態に設定する電位を供給する配線の端部に設けられ、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタのカソード電流に対する当該転送サイリスタの後ろに接続された前記複数の結合トランジスタにおける結合トランジスタのコレクタ電流の比の値と前記第1抵抗の抵抗値との積より抵抗値が小さい第2抵抗と、
    前記半導体積層体にて構成され、前記複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタに対応して点灯可能な状態に設定され、オフ状態からオン状態に移行することにより予め定められた波長の光を出射する複数の発光サイリスタと
    前記半導体積層体にてそれぞれが構成されるとともに、前記複数の結合トランジスタのいずれかの結合トランジスタと接続され、当該結合トランジスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行する複数の書込サイリスタと、
    前記半導体積層体における前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第3半導体層にてそれぞれが構成されるとともに、前記複数の書込サイリスタのそれぞれの書込サイリスタに対応してそれぞれ設けられるとともに、前記複数の発光サイリスタのいずれかの発光サイリスタと接続されて設けられ、当該書込サイリスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行して、前記複数の発光サイリスタにおいて接続される発光サイリスタを点灯可能な状態に設定する複数の書込トランジスタと
    を備える発光部品。
  2. 前記第2抵抗は、当該第2抵抗の抵抗値の2倍が前記複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタのカソード電流に対する当該転送サイリスタの後ろに接続された前記複数の結合トランジスタにおける結合トランジスタのコレクタ電流の比の値と前記第1抵抗の抵抗値との積より小さいことを特徴とする請求項1に記載の発光部品。
  3. 前記複数の結合トランジスタのそれぞれの結合トランジスタは、前記複数の転送サイリスタにおいて当該結合トランジスタの後ろに接続された転送サイリスタと前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第3半導体層が連続していることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光部品。
  4. 前記複数の転送サイリスタのそれぞれの転送サイリスタは、当該転送サイリスタを構成する前記第4半導体層が設けられた前記第3半導体層が、オン状態が転送されていく側に向かう当該第4半導体層の一端部からの長さが、オン状態が転送されてきた側に向かう当該第4半導体層の他端部からの長さより短いことを特徴とする請求項3に記載の発光部品。
  5. 第1導電型の第1半導体層、当該第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層、当該第1導電型の第3半導体層、当該第2導電型の第4半導体層が順に積層された半導体積層体にてそれぞれが構成され、順にオン状態に移行する複数の転送サイリスタと、当該半導体積層体における当該第1半導体層、当該第2半導体層、当該第3半導体層にてそれぞれが構成され、当該複数の転送サイリスタのオン状態が転送される順で隣接する前段の転送サイリスタと後段の転送サイリスタとを結合するように接続され、当該前段の転送サイリスタがオン状態になることによりオン状態になって当該後段の転送サイリスタをオン状態に移行可能な状態に設定するとともに、当該前段の転送サイリスタとの間において当該第1半導体層及び当該第2半導体層が連続する複数の結合トランジスタと、当該複数の転送サイリスタのそれぞれの当該第3半導体層と電力を供給する配線との間にそれぞれ設けられた複数の第1抵抗と、当該複数の転送サイリスタのそれぞれの当該第4半導体層に共通に接続されて当該複数の転送サイリスタのそれぞれをオン状態に設定する電位を供給する配線の端部に設けられ、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタのカソード電流に対する当該転送サイリスタの後ろに接続された当該複数の結合トランジスタにおける結合トランジスタのコレクタ電流の比の値と当該第1抵抗の抵抗値との積より抵抗値が小さい第2抵抗と、当該半導体積層体にて構成され、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタに対応して点灯可能な状態に設定され、オフ状態からオン状態に移行することにより予め定められた波長の光を出射する複数の発光サイリスタと、当該半導体積層体にてそれぞれが構成されるとともに、当該複数の結合トランジスタのいずれかの結合トランジスタと接続され、当該結合トランジスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行する複数の書込サイリスタと、当該半導体積層体における当該第1半導体層、当該第2半導体層、当該第3半導体層にてそれぞれが構成されるとともに、当該複数の書込サイリスタのそれぞれの書込サイリスタに対応してそれぞれ設けられるとともに、当該複数の発光サイリスタのいずれかの発光サイリスタと接続されて設けられ、当該書込サイリスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行して、当該複数の発光サイリスタにおいて接続される発光サイリスタを点灯可能な状態に設定する複数の書込トランジスタと、を備える発光手段と、
    前記発光手段から出射される光を結像させる光学手段と
    を備えたプリントヘッド。
  6. 像保持体と、
    前記像保持体を帯電する帯電手段と、
    第1導電型の第1半導体層、当該第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層、当該第1導電型の第3半導体層、当該第2導電型の第4半導体層が順に積層された半導体積層体にてそれぞれが構成され、順にオン状態に移行する複数の転送サイリスタと、当該半導体積層体における当該第1半導体層、当該第2半導体層、当該第3半導体層にてそれぞれが構成され、当該複数の転送サイリスタのオン状態が転送される順で隣接する前段の転送サイリスタと後段の転送サイリスタとを結合するように接続され、当該前段の転送サイリスタがオン状態になることによりオン状態になって当該後段の転送サイリスタをオン状態に移行可能な状態に設定するとともに、当該前段の転送サイリスタとの間において当該第1半導体層及び当該第2半導体層が連続する複数の結合トランジスタと、当該複数の転送サイリスタのそれぞれの当該第3半導体層と電力を供給する配線との間にそれぞれ設けられた複数の第1抵抗と、当該複数の転送サイリスタのそれぞれの当該第4半導体層に共通に接続されて当該複数の転送サイリスタのそれぞれをオン状態に設定する電位を供給する配線の端部に設けられ、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタのカソード電流に対する当該転送サイリスタの後ろに接続された当該複数の結合トランジスタにおける結合トランジスタのコレクタ電流の比の値と当該第1抵抗の抵抗値との積より抵抗値が小さい第2抵抗と、当該半導体積層体にて構成され、当該複数の転送サイリスタにおけるオン状態の転送サイリスタに対応して点灯可能な状態に設定され、オフ状態からオン状態に移行することにより予め定められた波長の光を出射する複数の発光サイリスタと、当該半導体積層体にてそれぞれが構成されるとともに、当該複数の結合トランジスタのいずれかの結合トランジスタと接続され、当該結合トランジスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行する複数の書込サイリスタと、当該半導体積層体における当該第1半導体層、当該第2半導体層、当該第3半導体層にてそれぞれが構成されるとともに、当該複数の書込サイリスタのそれぞれの書込サイリスタに対応してそれぞれ設けられるとともに、当該複数の発光サイリスタのいずれかの発光サイリスタと接続されて設けられ、当該書込サイリスタがオフ状態からオン状態に移行することで、オフ状態からオン状態に移行して、当該複数の発光サイリスタにおいて接続される発光サイリスタを点灯可能な状態に設定する複数の書込トランジスタと、を備える発光手段を備え、光学手段を介して前記帯電手段により帯電された前記像保持体を露光する露光手段と、
    前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
    前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
    を備えた画像形成装置。
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