JP5863618B2 - ダイス着脱用の吊り具 - Google Patents
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このような純チタンやチタン合金を用いて上述した鍛造品を鍛造する際には、一般に金型を用いた熱間の据え込み鍛造方法が用いられる。据え込み鍛造方法は、予め製品形状を模して形成された金型内に加熱された被加工材(荒地)を装入し、原料を高温状態に保持したまま金型に沿った形状に引き伸ばすように変形させながら鍛造するものである。据え込み鍛造方法を用いれば、鍛造中の変形において製品形状に沿ったメタルフローが得られるため他の加工方法に比べてより粘り強く、耐衝撃破壊性に優れた鍛造品を得ることができる。
下部金型は、荒地を押し出し鍛造するダイスと、このダイスを内部に収容可能な円筒状のダイホルダ(コンテナ)とを有している。
このように、部材を着脱したり、搬送したりするための治具(吊り下げる具)としては、特許文献1に開示されたものがある。
そこで、特許文献1に開示されたシリンダ吊り具を用いて、ダイスをダイホルダから外部に取り出す場合を考えてみる。
吊り具を円筒状のダイホルダの内部に差し込んだ状態で大きく拡縮することは困難であり、特許文献1のシリンダ吊り具では、ダイスを取り出すことは難しいと思われる。
即ち、本発明に係るダイス着脱用の吊り具は、ダイスの下部に対して係合する爪部を有する左右一対の把持リンクと、前記把持リンクが回動自在に枢支される枠型フレームと、前記枠型フレームの上部に設けられ且つ当該枠型フレームを吊下可能とする連結部を備えた頭部フレームと、を有するダイス着脱用の吊り具であって、前記把持リンクは、上部リンクと、くの字状に形成され且つ下端に前記爪部を有する下部リンクとを有し、左右一対に配備された把持リンクは、パンタグラフ機構を構成していて、前記枠型フレームは、左右一対の把持リンクを枢支する上下フレームと、上下フレームに対して交差するように配備された水平フレームとを有し、この枠型フレームには、左右一対の把持リンクの上端を回動自在に枢支するリンク支持軸が上下に摺動自在に嵌り込む長孔が形成され、前記長孔に対するリンク支持軸の摺動を規制することで、把持リンクの動作状態を固定するストッパが設けられていて、前記ストッパは、前記枠型フレームに回動自在に枢支されたフックと、前記頭部フレームに設けられ且つ前記フックを掛け止めて把持リンクを開状態または閉状態に維持させておくフック受け部と、で構成されており、前記ストッパのフックを、前記フック受け部の上部に係止することで、前記パンタグラフ機構が上下方向に伸長することを抑制して前記爪部が閉じた状態を維持し、前記ストッパのフックを、前記フック受け部の下部に係合させることで、前記爪部が開いた状態を維持するように構成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記上下フレームには、前記ダイスの径方向に対する位置決めを可能とする位置決めガイドが設けられているとよい。
本発明のダイス着脱用の吊り具1は、図1に示すようなものであり、据え込み鍛造を行うに際し用いられるダイス53(金型)をダイホルダ54内に挿入したり、ダイホルダ54から取り出したりするには専用の取り出し具(治具)である。
それ故、ダイス着脱用の吊り具1を説明する前に、据え込み鍛造装置50に関して、説明を行う。
具体的には、この据え込み鍛造装置50では、鍛造品Wを成形するための金型が上下に
分かれるようになっており、荒地Mが載置される下部金型51と、この下部金型51に載置された荒地Mを上方から圧下する上部金型52とから構成されている。
下部金型51は、荒地Mを押し出し鍛造するダイス53と、このダイス53を内部に収容可能な円筒状のダイホルダ54(コンテナ)とを有している。ダイホルダ54の中央には、その内径が荒地Mの外径より大きく形成された孔部55が上下方向に向かって貫通状に形成されており、この孔部55の下部にはダイス53が収容されている。ダイホルダ54の孔部55内に上方から差し込まれた荒地Mは、ダイス53の上面に載置されるようになる。
また、ダイス53の下側には、ダイス53を下方から支持する台座が設けられている。
この材料案内部60の内部には、鍛造時に材料が入ってこない下側に、鍛造が終了した鍛造品Wを排出するノックアウト棒61が設けられている。ノックアウト棒61は材料案内部60の内部を上下方向に移動可能に形成されており、ノックアウト棒61を上方に移動させて押し上げることで鍛造品Wをダイス53から引き剥がせるようになっている。
図1には、本発明のダイス着脱用の吊り具1の正面図が示されている。
ダイス着脱用の吊り具1(以下、単に、吊り具と呼ぶこともある)は、据え込み鍛造を行う際に用いられるダイス53をダイホルダ54内に挿入したり、ダイホルダ54から取り出したりする専用の取り出し具(治具)である。
図1中の実線で示したものは、吊り具1に備えられた左右一対の爪部19が左右方向外側に移動し、ダイス53を把持可能な状態を示している。図1中の二点破線で示したものは、吊り具1に備えられた左右一対の爪部19が左右方向内側に移動し、ダイス53中央の貫通孔56に挿入可能な状態を示している。
まず、図2を用いて、本発明のダイス着脱用の吊り具1の構成を大まかに説明する。
図2は、吊り具1の構造を理解しやすくするために、本来は一体に形成されている枠型フレーム3を前部と後部とに分解した図として例示したものであり、「吊り具の組み立て
方」を示したものではない。
図1,図2に示す如く、本発明の吊り具1は、枠型フレーム3を有している。この枠型フレーム3は、正面視で十字型であり、上下に延設された長尺の板材で形成された前後一対の上下フレーム6と、この上下フレーム6の上下方向中央よりやや上側から左右方向及び前後方向に延びるように設けられた水平フレーム7とを有している。上下フレーム6と水平フレーム7とは、正面視で十字状に配備されている。
はじめに、後部の枠型フレーム3aについて説明する。
図2(a)に示す如く、後部の枠型フレーム3aは、正面視で十字型であり、上下に延設された長帯板状の上下フレーム6と、この上下フレーム6の上下方向中央より左右方向及び後方向に延びるように設けられた水平フレーム7とを有している。
上下フレーム6であって長孔8の下方の部分には、左右方向を向く水平フレーム7と、後方に突出する水平フレーム7が平面視で垂直に交わるように取り付けられている。各水平フレーム7は、長尺の板材であって、その先端部分の下端には、ダイホルダ54の上縁に嵌り込むことで、吊り具1の上下方向、左右方向(ダイス53の径方向)の位置決めを可能とする切り欠き状の段差部10(位置決め手段)が設けられている。右方向を向く左右方向を向く水平フレーム7の基端側には、後述するストッパ12が設けられている。
右側の把持リンク2aは、長尺の板材から構成された上部リンク14と、ダイス53の下部と係合する爪部19を有する下部リンク15とで構成されている。
下部リンク支持軸17を介して、下部リンク15の上端と回動自在に連結されている。
下部リンク15は「く」の字形状に形成されており、下部リンク15の屈曲点(く字状頂部)は、上下フレーム6の中央部よりやや下側の部位に、枢支軸18を介して回動自在に枢支されている。枢支軸18より上側では、下部リンク15は右上方向外側に張り出すように屈曲していて、下部リンク支持軸17を介して上部リンク14に連結されている。また、枢支軸18より下側では、下部リンク15は右下方向外側に張り出すように屈曲していて、下部リンク15の下最先端は、ダイス53の下部(底部)と係合する爪部19が設けられている。
左側の把持リンク2bは、右側の把持リンク2aと同様に、長尺の板材から構成された上部リンク14と、ダイス53の下部と係合する爪部19を有する下部リンク15とで構成されている。
図2(a)に示す如く、左側の把持リンク2bは、右側の把持リンク2aを上下軸線に対して線対称とした形状を呈している。
また、下部リンク15の屈曲点(く字状頂部)は、上下フレーム6に枢支軸18を介して回動自在に枢支されている。この枢支軸18より下側では、下部リンク15は左下方向外側に張り出すように屈曲していて、下部リンク15の下最先端は、ダイス53の下部と係合する爪部19が設けられている。爪部19は、ダイス53の下部を引っ掛けるL字状の鉤部20と、鉤部20とダイス53の下部とが面接触する載置部21とで構成されており、左方向外側に向くように設けられている。
このように、左右一対の把持リンク2は、上部リンク14と下部リンク15とで構成されたパンタグラフ機構を備えたものである。把持リンク2は、下部リンク15の上部を上下フレーム6に向かって近づけると、下部リンク15の爪部19が上下フレーム6から離れるように移動し、ダイス53の下部に係合する。すなわち、図1の2点破線の状態から実線の状態へ変化する。
すなわち、前部の枠型フレーム3bは、正面視で十字型であり、上下に延設された長帯板状の上下フレーム6と、この上下フレーム6の上下方向中央より左右方向及び前方向に延びるように設けられた水平フレーム7とを有している。
上下フレーム6であって長孔8の下方の部分には、左右方向を向く水平フレーム7と、前方に突出する水平フレーム7が平面視で垂直に交わるように取り付けられている。各水平フレーム7は、長尺の板材であって、その先端部分の下端には、段差部10(位置決め手段)が設けられている。右方向を向く水平フレーム7の基端側には、後述するストッパ12が設けられている。
、正確に吊り具1を降ろせるようにするための位置決めガイド13が取り付けられている。この位置決めガイド13は、上下フレーム6の左右方向及び後方向にそれぞれ突出するように取り付けられ、ダイス53の貫通孔56の内径よりも若干短い長さの板材とされている。この位置決めガイド13は、上下に2箇所設けられている。
一体とされた枠型フレーム3の下端には、吊り具1を地面などの水平な場所に自立させて置くことが可能な設置プレート22が備えられている。この設置プレート22は、円盤状の板材で形成され、板材の外周径は、閉じた状態の左右の爪部19の幅より若干大きい径とされている。設置プレート22は、吊り具1を床面上に載置する際に、言い換えれば爪部19を上下フレーム6側に寄せる(爪部19を閉じる状態)際に、この吊り具1の荷重を受け持つようになっている。
図4に示すように、ストッパ12は、枠型フレーム3に回動自在に枢支されたフック23と、このフック23を掛け止めて把持リンク2を開状態または閉状態に維持させておくフック受け部28(耳金)とで構成されている。
図4に示す如く、フックリンク部24は、前部の枠型フレーム3b、後部の枠型フレーム3aのそれぞれに設けられたリンク体25と、このリンク体25の先端部を連結すると共に、フック受け部28にフック23を掛け止めておくことを可能とする支持軸26とから構成されている。
リンク支持片27は、上下フレーム6と水平フレーム7とが交差する枠型フレーム3の右側上方に備えられ、枠型フレーム3の前後(前部の枠型フレーム3b及び後部の枠型フレーム3a)に1つずつ固着されている。
向外側の上端部及び下端部には、突起が形成されている。この突起は、上下方向に突出するように設けられており、フック23の支持軸26をフック受け部28に掛けた際に、フック受け部28からフック23の支持軸26が脱落することを防ぐものとなっている。
図3に示すように、頭部フレーム4は、側面視で下側が開放されたコ字状に形成され、上下フレーム6(枠型フレーム3)の前後を掴むように、枠型フレーム3に対して上方から被せられている。
また、頭部フレーム4の頂部には、工場などに設置されたクレーンやホイスト等などから垂下するチェーンに吊設されるクレーン等で吊下するための連結部5が備えられている。この連結部5は、棒鋼材をリング状とすることで形成され、上下フレーム6の上端部に溶着されている。
図1に示すように、本発明のダイス着脱用の吊り具1においては、上部リンク14と下部リンク15の屈曲点(く字状頂部)より上側とでパンタグラフ機構(正面視で菱形状)を形成している。このパンタグラフ機構が上下方向に伸縮することによって、下部リンク15の爪部19が枢支軸18を介して左右均等に移動するようになっている。
図5〜図8は、ダイス着脱用の吊り具1を用いてダイス53を取り出す状況を示す図である。
図5には、据え込み鍛造装置50の下金型内(ダイホルダ54内)にダイス53が配備された状態が示されている。このダイス53をダイス着脱用の吊り具1で取り出すことにする。
ときの頭部フレーム4はフック23(ストッパ12)が掛けられているため、枠型フレーム3に対してそれ以上上方へ移動することが抑制されている。
この状態で、吊下された吊り具1をダイホルダ54の内部に配置されたダイス53の上方に移動させる。このとき、吊下された吊り具1をダイス53の中心軸に沿った上方に位置するようにしておく(図5(a)参照)。
吊り具1をダイホルダ54に載置させた状態で、上部リンク支持軸16が長孔8の最上端の位置に到達するまで頭部フレーム4を再びクレーンで持ち上げる。すると、頭部フレーム4が上方へ引っ張り上げられ、上部リンク支持軸16が上下フレーム6の長孔8の最上端に位置するようなると共に、パンタグラフ機構が上方向に伸長するようになる。パンダグラフ機構が伸長するに際しては、下部リンク15の屈曲点より上側は下部リンク支持軸17回りに左右方向内側へ回動し、下部リンク15の屈曲点より下側は左右方向外側に移動する。爪部19が外方向に張り出すと、爪部19がダイス53の底面を掴むようになり、載置部21とダイス53の底面とが面接触する。このような状態になると、ダイス53は吊り具1に安定した状態で把持されるようになる。そして、頭部フレーム4のフック受け部28の下側に位置するようにフック23を起こす(図6(c)参照)。
その後、図7に示すように、ダイス53が把持された吊り具1を仮置台30の中心軸に沿った上方に移動させて、この吊り具1をほぼ垂直に降下させる。なお、ダイス53が載置される仮置台30は、中央が開口されたリング状の部材で、仮置台30の外周径がダイス53の外周径より若干大きい径で形成されている。仮置台30の開口部は設置プレート22の外周径より若干大きい径で形成されている。故に、開口部は、設置プレート22及び開いた状態の爪部19が挿入することができるようになっている(図7(e)参照)。
図8(g)のような状態の吊り具1をクレーンでほぼ垂直に上昇させて、仮置台30から吊り具1を取り出す。(図8(h)参照)。
)→図7(e)→図6(d)→図6(c)→図5(b)→図5(a))。
このように、本発明のダイス着脱用の吊り具1を用いることで、円筒状のダイホルダ54の下方に配備されたダイス53のような作業性の悪い部分に設置されたダイス53を安全且つ確実に着脱したり搬送したりすることができる。また、本発明のダイス着脱用の吊り具1は作業者が目視できる位置にストッパ機構を設けている。このストッパ12の位置を確認することで、ダイス底面を爪が正確につかんだか否かを判定することができ、安全にダイス53の着脱作業をすることができる。
2 把持リンク
2a 右側把持リンク
2b 左側把持リンク
3 枠型フレーム
3a 後部の枠型フレーム
3b 前部の枠型フレーム
4 頭部フレーム
5 連結部
6 上下フレーム
7 水平フレーム
8 長孔
9 孔(上下フレーム)
10 段差部(位置決め手段)
11 接続片
12 ストッパ
13 位置決めガイド
14 上部リンク
15 下部リンク
16 上部リンク支持軸
17 下部リンク支持軸
18 枢支軸
19 爪部
20 鉤部
21 載置部
22 設置プレート
23 フック
24 フックリンク部
25 リンク体
26 連結軸
27 リンク支持片
28 フック受け部(耳金)
29 円孔
30 仮置台
50 据え込み鍛造装置
51 下部金型
52 上部金型(ポンチ)
53 ダイス
54 ダイホルダ(コンテナ)
55 孔部
56 貫通孔
57 湾曲面(内周面)
58 台座
59 孔(台座)
60 材料案内部
61 ノックアウト棒
M 被加工材(荒地)
W 鍛造品
Claims (3)
- ダイスの下部に対して係合する爪部を有する左右一対の把持リンクと、前記把持リンクが回動自在に枢支される枠型フレームと、前記枠型フレームの上部に設けられ且つ当該枠型フレームを吊下可能とする連結部を備えた頭部フレームと、を有するダイス着脱用の吊り具であって、
前記把持リンクは、上部リンクと、くの字状に形成され且つ下端に前記爪部を有する下部リンクとを有し、左右一対に配備された把持リンクは、パンタグラフ機構を構成していて、
前記枠型フレームは、左右一対の把持リンクを枢支する上下フレームと、上下フレームに対して交差するように配備された水平フレームとを有し、
この枠型フレームには、左右一対の把持リンクの上端を回動自在に枢支するリンク支持軸が上下に摺動自在に嵌り込む長孔が形成され、
前記長孔に対するリンク支持軸の摺動を規制することで、把持リンクの動作状態を固定するストッパが設けられていて、
前記ストッパは、前記枠型フレームに回動自在に枢支されたフックと、前記頭部フレームに設けられ且つ前記フックを掛け止めて把持リンクを開状態または閉状態に維持させておくフック受け部と、で構成されており、
前記ストッパのフックを、前記フック受け部の上部に係止することで、前記パンタグラフ機構が上下方向に伸長することを抑制して前記爪部が閉じた状態を維持し、
前記ストッパのフックを、前記フック受け部の下部に係合させることで、前記爪部が開いた状態を維持するように構成されている
ことを特徴とするダイス着脱用の吊り具。 - 前記水平フレームには、前記ダイスの高さ方向及び/又は径方向に対する位置決めを可能とする位置決め手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のダイス着脱用の吊り具。
- 前記上下フレームには、前記ダイスの径方向に対する位置決めを可能とする位置決めガイドが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイス着脱用の吊り具。
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