以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、第1実施形態のウエハレベル検査を行うシステムについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のウエハレベル検査を行うシステムの概略構成を示す図である。ウエハレベル検査を行うシステムは、ウエハ上の各チップの電極パッドにプローブを接触させるプローバ10と、プローブに電気的に接続され、電気的検査のために各チップに電源及びテスト信号を供給すると共に各チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定するテスタ20とで構成される。
図1において、基部11、側板12、及びヘッドステージ13がプローバ10の筐体を構成する。側板12で支持される上板を設け、上板にヘッドステージ13を設ける場合もある。
プローバ10には、複数の測定部(第1〜第3の測定部)14A〜14Cが設けられる。各測定部14A〜14Cは、それぞれ、ウエハWを保持するウエハチャック16と、ウエハWの各チップの電極に対応した多数のプローブ28を有するプローブカード18と、を備え、各測定部14A〜14Cにおいてウエハチャック16に保持されたウエハW上の全チップの同時検査が行われる。なお、各測定部14A〜14Cの構成は共通しているので、以下では、これらを代表して符号14によって測定部を示すものとする。
図2は、プローブカード周辺の構成を示す図である。
ウエハチャック16は、真空吸着等によりウエハを吸着して固定する。ウエハチャック16は、後述するアライメント装置50に着脱自在に支持され、アライメント装置50によってX−Y−Z−θ方向に移動可能となっている。
ウエハチャック16には、シーリング機構が設けられる。シーリング機構は、ウエハチャック16の上面の外周近傍に設けられた弾性を有するリング状シール部材40を備える。また、ウエハチャック16の上面には、ウエハWとリング状シール部材40との間に吸引口42が設けられる。吸引口42は、ウエハチャック16の内部に形成された吸引路43を介して真空圧を制御する吸引制御部46に接続されている。吸引制御部46は、真空ポンプ44に接続されている。リング状シール部材40がプローブカード18に接触した状態で吸引制御部46を作動させると、プローブカード18とウエハチャック16の間に形成されるシールされた内部空間Sが減圧され、ウエハチャック16がプローブカード18に向かって引き寄せられる。これにより、プローブカード18とウエハチャック16の密着状態となり、各プローブ28が各チップの電極パッドに接触して検査を開始可能な状態となる。
ヘッドステージ13には、測定部14毎に装着孔(カード取付部)26が設けられ、各装着孔26にはそれぞれプローブカード18が交換可能に取り付けられる。プローブカード18のウエハW上の各チップと対向する部分には、全チップの電極に対応してスプリングピン式の弾性のある複数のプローブ28が形成されている。なお、ここでは、ヘッドステージ13に直接プローブカード18を取り付ける構成を示したが、ヘッドステージ13にカードホルダを設け、カードホルダにプローブカード18を取り付ける場合もある。
テスタ20は、測定部14毎に設けられた複数のテストヘッド22(22A〜22C)を有する。各テストヘッド22は、ヘッドステージ13の上面に載置される。なお、各テストヘッド22は、不図示の支持機構により、ヘッドステージ13の上方に保持される場合もある。
各テストヘッド22の端子は、コンタクトリング24の多数の接続ピンを介して、それぞれ対応するプローブカード18の端子に接続される。これにより、各テストヘッド22の端子は、プローブ28と電気的に接続された状態となる。
各測定部14には、ウエハチャック16の脱落を防止するためにサポート機構(チャック脱落防止機構)が設けられる。サポート機構は、ウエハチャック16を保持する複数の保持部30を備える。各保持部30は、ヘッドステージ13の装着孔26の周囲に所定の間隔毎に設けられる。本例では、装着孔26の周囲に90度間隔で4つの保持部30が設けられる(図1及び図2では2つの保持部30のみ図示)。
各保持部30は、装着孔26を中心として互いに近接/離反するように移動可能(拡径可能)に構成される。各保持部30の移動機構(不図示)は例えばボールネジやモータ等で構成される。各保持部30が近接した状態(図1及び図2において実線で示した状態)では、各保持部30の中心部に形成される通過孔32の内径が、ウエハチャック16の直径よりも小さくなるので、ウエハチャック16が各保持部30によって保持される。一方、各保持部30が互いに離反した状態(図1及び図2において破線で示した状態)では、通過孔32の内径が、ウエハチャック16の直径よりも大きくなるので、アライメント装置50がウエハチャック16を供給したり回収することができる。
なお、サポート機構の構成については、上述の特許文献1に記載されるような各種の変形例を採用することが可能である。
本実施形態のプローバ10は、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16に保持されたウエハWのアライメント動作を行うアライメント装置50と、アライメント装置50を各測定部14が配列される方向(X軸方向)に沿って測定部14間を移動させる移動装置100と、を備える。
アライメント装置50は、ウエハチャック16をX−Y−Z−θ方向に移動させる移動・回転機構と、ウエハチャック16に保持されたウエハWの各チップの電極とプローブカード18の各プローブ28との相対的な位置関係を検出するアライメント機構と、を備え、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16に保持されたウエハWのアライメント動作を行う。すなわち、ウエハチャック16に保持されたウエハWの各チップの電極とプローブカード18の各プローブ28との相対的な位置関係を検出し、その検出結果に基づいて、検査するチップの電極をプローブ28に接触させるようにウエハチャック16を移動させる。
アライメント装置50は、真空吸着等によりウエハチャック16を吸着して固定するが、ウエハチャック16を固定できるものであれば、真空吸着以外の固定手段でもよく、例えば機械的手段等で固定するようにしてもよい。また、アライメント装置50には、ウエハチャック16との相対的な位置関係が常に一定となるように位置決め部材(不図示)が設けられている。
図3及び図4は、アライメント装置50の概略構成を示した図である。具体的には、図3は、アライメント装置50の上方斜視図であり、図4は、アライメント装置50の下方斜視図である。なお、図3及び図4では、アライメント装置50の上面にウエハチャック16が支持された状態を示している。
図1及び図3に示すように、アライメント装置50は、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16をZ軸方向に移動すると共にZ軸を回転中心として回転するZ軸移動・回転部52と、プローブ28の位置を検出するプローブ位置検出カメラ54と、プローブ位置検出カメラ54をZ軸方向に移動するカメラ移動機構56と、Z軸移動・回転部52及びカメラ移動機構56を支持してX軸方向に移動するX軸移動台58と、X軸移動台58を支持してY軸方向に移動するY軸移動台60と、Y軸移動台60を支持するベース62と、支柱64によって支持されたアライメントカメラ66と、を備える。ウエハチャック16をX−Y−Z−θ方向に移動させる移動・回転機構は、Z軸移動・回転部52と、X軸移動台58と、Y軸移動台60と、で構成される。また、アライメント機構は、プローブ位置検出カメラ54と、アライメントカメラ66と、カメラ移動機構56と、不図示の画像処理部と、で構成される。
ベース62の上には平行に2本のガイドレール68が設けられており、Y軸移動台60はこのガイドレール68の上を移動可能になっている。ベース62の上の2本のガイドレール68の間の部分には、駆動モータとこの駆動モータによって回転するボールネジ70が設けられている。ボールネジ70はY軸移動台60の底面に係合しており、ボールネジ70の回転により、Y軸移動台60がガイドレール68の上を摺動する。
Y軸移動台60の上には、前述の2本のガイドレール68に直交する2本の平行なガイドレール72が設けられており、X軸移動台58はこのガイドレール72の上を移動可能になっている。Y軸移動台60の上の2本のガイドレール72の間の部分には、駆動モータとこの駆動モータによって回転するボールネジ74が設けられている。ボールネジ74はX軸移動台58の底面に係合しており、ボールネジ74の回転により、X軸移動台58がガイドレール72の上を摺動する。
なお、ボールネジの代わりにリニアモータを使用する場合もある。
次に、移動装置100の構成について説明する。
図1に示すように、移動装置100は、アライメント装置50を載置して搬送する搬送パレット102を有する。搬送パレット102は、X軸方向に沿って各測定部14間を移動可能に構成される。搬送パレット102を移動させるための移動機構(水平送り機構)としては、直線的な移動機構であればよく、例えば、ベルト駆動機構、リニアガイド機構、ボールネジ機構等により構成される。また、搬送パレット102には、アライメント装置50をZ軸方向に昇降させる昇降機構106が設けられる。昇降機構106は、周知のシリンダ機構等で構成される。これにより、アライメント装置50は、X軸方向に沿って各測定部14間を移動可能に構成されると共に、Z軸方向に昇降可能に構成される。なお、搬送パレット102の移動機構や昇降機構106は、不図示の制御手段による制御によって駆動される。
図5及び図6は、移動装置100の構成例を示した概略図である。具体的には、図5は、移動装置100の平面図であり、図6は、移動装置100の側面図である。
図5及び図6に示すように、基部11の上には平行に2本のガイドレール101が設けられており、搬送パレット102はこのガイドレール101の上を移動可能になっている。また、2本のガイドレール101の外側部分には、ガイドレール101に平行であって両端が基部11に固定されたタイミングベルト110が設けられている。
搬送パレット102には、駆動ユニット108が固定されている。駆動ユニット108は、駆動モータ112と、駆動モータ112の回転軸に連結された駆動プーリ114と、駆動プーリ114の周辺に配設された2個のアイドルプーリ116と、を有する。駆動プーリ114にはタイミングベルト110が巻き掛けられ、その両側に配置されるアイドルプーリ116によってタイミングベルト110の張力が調整されている。駆動モータ112を駆動させると、駆動プーリ114の回転により、搬送パレット102がガイドレール101の上を摺動する。これにより、搬送パレット102に支持されたアライメント装置50がX軸方向に沿って各測定部14間を移動する。
図7は、移動装置100の他の構成例を示した概略図である。図7に示した構成例は、ボールネジ機構を利用したものである。すなわち、基部11には、2本のガイドレール101の間に駆動モータ118及びボールネジ120で構成される駆動ユニットが設けられる。ボールネジ120は搬送パレット102の底面に係合しており、ボールネジ120の回転により、搬送パレット102がガイドレール101の上を摺動する。これにより、搬送パレット102に支持されたアライメント装置50はX軸方向に沿って各測定部14間を移動する。
本実施形態では、各測定部14に移動したアライメント装置50の3箇所を位置決めして着脱自在に把持固定するクランプ機構を有する位置決め固定装置が設けられる。具体的には、アライメント装置50には、ベース62の3箇所に複数の位置決めピン130(130A〜130C)が設けられる。一方、筐体の基部11には、各位置決めピン130をそれぞれクランプする複数のチャック部材(位置決め孔)134(134A〜134C)が設けられ、これらは測定部14毎にそれぞれ設けられる。クランプ機構は、位置決めピン130とチャック部材134で構成される。
なお、クランプ機構としては、例えばボールロック方式やテーパスリーブ方式などの周知のクランプ機構が適用されるので、ここでは詳細な説明は省略する。
各測定部14に移動したアライメント装置50を位置決め固定する場合には、昇降機構106によりアライメント装置50を下降させて、図8に示すように、各位置決めピン130をそれぞれ対応するチャック部材134に嵌入してクランプする。これにより、アライメント装置50は水平方向及び鉛直方向に位置決めされ、かつ、アライメント装置50の鉛直方向周りの回転が拘束された状態で、アライメント装置50が基部11に対して固定される。一方、アライメント装置50を他の測定部14に移動させる場合には、昇降機構106によりアライメント装置50を上昇させて、各チャック部材134からそれぞれ位置決めピン130が離脱させる。これにより、アライメント装置50の位置決め固定が解除され、移動装置100によってアライメント装置50は他の測定部14に移動可能な状態となる。
次に、本実施形態のプローバを使用した検査動作について説明する。
まず、これから検査を行う測定部14にアライメント装置50を移動させ、位置決め固定した後、Z軸移動・回転部52を上昇させて、アライメント装置50にウエハチャック16を保持させる。この状態で吸引制御部46による内部空間Sの減圧を解除し、サポート機構の各保持部30を相互に離反させた後、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16を下降させる。
次に、ウエハチャック16を支持するアライメント装置50を所定の受け渡し位置に移動させ、不図示のウエハ受け渡し機構(ローダ)によってウエハチャック16にウエハWがロードされ、真空吸着により固定される。
次に、アライメント動作を行う。具体的には、プローブ位置検出カメラ54がプローブ28の下に位置するように、X軸移動台58を移動させ、カメラ移動機構56でプローブ位置検出カメラ54をZ軸方向に移動して焦点を合わせ、プローブ位置検出カメラ54でプローブ28の先端位置を検出する。プローブ28の先端の水平面内の位置(X及びY座標)はカメラの座標により検出され、垂直方向の位置はカメラの焦点位置で検出される。なお、プローブカード18には、通常数百から数千本以上ものプローブ28が設けられており、すべてのプローブ28の先端位置を検出せずに、通常は特定のプローブの先端位置を検出する。
次に、ウエハチャック16に検査するウエハWを保持した状態で、ウエハWがアライメントカメラ66の下に位置するように、X軸移動台58を移動させ、ウエハWの各チップの電極パッドの位置を検出する。1チップのすべての電極パッドの位置を検出する必要はなく、いくつかの電極パッドの位置を検出すればよい。また、ウエハW上のすべてのチップの電極パッドを検出する必要はなく、いくつかのチップの電極パッドの位置が検出される。
次に、上記のようにして検出したプローブ28の配列及び電極パッドの配列に基づいて、プローブ28の配列方向と電極パッドの配列方向が一致するように、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16を回転した後、検査するチップの電極パッドがプローブ28の下に位置するようにウエハチャック16をX軸方向及びY軸方向に移動し、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16をZ軸方向に上昇させる。
この状態で、対応する電極パッドがプローブに接触する高さで、ウエハチャック16の上昇を停止する。このとき、リング状シール部材40がプローブカード18に接触し、プローブカード18とウエハチャック16の間にシールされた内部空間Sが形成される。そして、吸引制御部46を作動させて内部空間Sの圧力を低下させると、ウエハチャック16はプローブカード18に向かって引き寄せられ、プローブカード18とウエハチャック16は密着状態となり、プローブカード18の各プローブ28は均一な接触圧で対応する電極パッドに接触する。
一方、真空ポンプ44による内部空間Sの減圧によってプローブカード18とウエハチャック16が密着状態となったら、Z軸移動・回転部52をZ軸方向に下降させ、アライメント装置50からウエハチャック16を離脱させる。また、ウエハチャック16の脱落を防止するため、サポート機構の各保持部30を相互に近接した状態にする。
次に、テストヘッド22からウエハWの各チップに電源及びテスト信号を供給し、チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査を行う。
以下、他の測定部14についても、同様の手順で、ウエハチャック16上にウエハWをロードし、各測定部14においてアライメント動作及びコンタクト動作が完了した後、ウエハWの各チップの同時検査が順次行われる。すなわち、テストヘッド22からウエハWの各チップに電源及びテスト信号を供給し、チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査が行う。なお、ウエハチャック16はアライメント装置50に支持された状態で検査を行ってもよい。
各測定部14において検査が完了したら、アライメント装置50を各測定部14に順次移動させて検査済ウエハWが保持されるウエハチャック16を回収する。
すなわち、各測定部14において検査が完了した場合には、アライメント装置50を検査が終了した測定部14に移動させ、位置決め固定した後、Z軸移動・回転部52をZ軸方向に上昇させ、ウエハチャック16がアライメント装置50に支持された後、吸引制御部46による内部空間Sの減圧を解除、具体的には内部空間Sに大気圧を導入する。これにより、プローブカード18とウエハチャック16の密着状態は解除される。そして、サポート機構の各保持部30を拡径状態にする。その後、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16をZ軸方向に下降させ、アライメント装置50の位置決め固定を解除した後、所定の受け渡し位置にアライメント装置50を移動させて、検査済ウエハWの固定を解除し、ウエハチャック16から検査済ウエハWをアンロードする。アンロードされた検査済ウエハWは、受け渡し機構により回収される。
なお、本実施形態では、図1に示したように、各測定部14に対してそれぞれ1つずつウエハチャック16が割り当てられているが、これら複数のウエハチャック16は複数の測定部14間で受け渡されてもよい。
このように本実施形態では、各測定部14で共有されるアライメント装置50を位置決め固定する位置決め固定装置を測定部14毎に備えたので、各測定部14に移動したアライメント装置50の位置再現性がきわめて高く、ウエハW上の電極パッドやプローブ28の位置を容易に検出することが可能となり、アライメント時間の短縮化を図ることができる。したがって、アライメント装置50の移動位置の精度を保ちつつ、設置面積の増加や装置コストの増加を抑えてスループットを向上させることができる。
また、本実施形態では、ウエハWを交換する毎にアライメント動作を最初から行う必要がなく、アライメント動作の一部を簡略化することも可能である。例えば、1枚目のウエハWの検査時には、ウエハWとプローブカード18との相対的な位置関係を検出してアライメントデータを記憶しておき、2枚目以降のウエハWの検査時には、1枚目のウエハWの検査時に取得したアライメントデータに基づき、ウエハWとプローブカード18との相対的な位置合わせを行うことができる。
また、本実施形態では、位置決め固定装置を備えたことによって、アライメント装置50の移動位置の精度を確保できるので、移動装置100として比較的高精度の移動が困難なベルト駆動機構等も好ましく用いることができる。
また、本実施形態では、位置決め固定装置は、アライメント装置50の3箇所を位置決めして着脱自在に把持固定するクランプ機構を有するので、アライメント装置50は、所謂3点支持構成により、水平方向及び鉛直方向に位置決めされ、かつ、アライメント装置50の鉛直方向周りの回転が拘束された状態で、アライメント装置50を基部11に対して固定することができる。これにより、各測定部14に移動したアライメント装置50を毎回同じ位置で精度良く位置決め固定することが可能となる。
なお、本実施形態では、アライメント装置50の3箇所をクランプ機構によって位置決め固定する構成を示したが、アライメント装置50の水平方向及び鉛直方向並びに鉛直方向周りの回転方向を位置決めすることが可能であれば、アライメント装置50の3箇所に限らず4箇所以上をクランプ機構によって位置決め固定する構成としてもよい。
また、本実施形態では、クランプ機構によりアライメント装置50の3箇所で位置決めと固定がそれぞれ同一位置で行われるようになっているが、これらの位置は必ずしも同一位置である必要はなく、位置決め位置と固定位置が分離して構成されてもよい。
例えば、アライメント装置50の3箇所を水平方向及び鉛直方向並びに鉛直方向周りの回転方向を位置決めした状態(すなわち、固定しない状態)で、これらの位置とは異なる1又は複数の箇所を周知の保持手段で保持して固定するようにしてもよい。保持手段としては、例えば、ねじりコイルバネ等の弾性部材の付勢力によってベース62の表裏面を上下方向から挟持する構成が好適である。
また、本実施形態では、クランプ機構には、アライメント装置50の水平方向を調節する高さ調節機構を有することが好ましい。高さ調節機構としては、例えば、押しネジ又は引きネジを利用した周知のネジ式高さ調節機構を用いることができる。これにより、例えばアライメント装置50が固定される基部11の面精度が変形によって悪くなっても、高さ調節機能によってアライメント装置50の平行調整を行うことができるので、アライメント精度の低下を防止することが可能となる。
また、本実施形態では、アライメント装置50には、アライメントカメラ66(第1の撮像手段)とプローブ位置検出カメラ54(第2の撮像手段)が搭載される。このため、測定部14毎に撮像手段が設けられる場合に比べて、測定部14毎の温度変化の違いによって生じる熱等の歪みによる影響を受けにくく、アライメントカメラ66とプローブ位置検出カメラ54との相対的な位置ずれが生じることがない。したがって、高精度かつ短時間でアライメント動作を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、3つの測定部14がX軸方向に沿って配列される構成を示したが、測定部14の数や配置は特に限定されるものではなく、例えば、X軸方向及びY軸方向に複数の測定部14が2次元的に配置されてもよい。
また、複数の測定部14からなる測定部群がZ軸方向に積み重ねられた多段構成としてもよい。例えば、図9に示した構成例は、4つの測定部14からなる測定部群15(15A〜15C)がZ軸方向に3段積み重ねられた構成である。この構成では、アライメント装置50が測定部群15毎に設けられ、同一の測定部群15における各測定部14間でアライメント装置50が共有されるようになっている。なお、すべての測定部14でアライメント装置50が共有されるように構成されていてもよい。このような構成によれば、装置全体のフットプリントを小さくし、単位面積あたりの処理能力を上げることができ、コストダウンを図ることができる。
以上、本発明のプローバ及びプローブ検査方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
次に、第2実施形態のウエハレベル検査を行うシステム(本発明のプロービング装置に相当)について、第1実施形態と一部重複するが、説明する。本実施形態のウエハレベル検査を行うシステムは、プローブコンタクト方法が相違する以外、基本的に第1実施形態と同様に構成されている。以下、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を用いる。
図1は、本発明の第2実施形態のウエハレベル検査を行うシステムの概略構成を示す図である。ウエハレベル検査を行うシステムは、ウエハWを支持したウエハチャック16をプローブ28を有するプローブカード18に近づける方向に移動させることにより、プローブ28をウエハW上の電極パッドに接触させて電気特性を測定するプロービング装置であって、ウエハ上の各チップの電極パッド(以下、ウエハ上の電極パッドとも称する)にプローブを接触させるプローバ10と、プローブに電気的に接続され、電気的検査のために各チップに電源及びテスト信号を供給すると共に各チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定するテスタ20とで構成される。
図1において、基部11、側板12、及びヘッドステージ13がプローバ10の筐体を構成する。側板12で支持される上板を設け、上板にヘッドステージ13を設ける場合もある。
プローバ10には、複数の測定部(第1〜第3の測定部)14A〜14Cが設けられる。各測定部14A〜14Cは、それぞれ、ウエハWを保持するウエハチャック16と、ウエハWの各チップの電極に対応した多数のプローブ28を有するプローブカード18と、を備え、各測定部14A〜14Cにおいてウエハチャック16に保持されたウエハW上の全チップの同時検査が行われる。なお、各測定部14A〜14Cの構成は共通しているので、以下では、これらを代表して符号14によって測定部を示すものとする。
図2は、プローブカード周辺の構成を示す図である。
ウエハチャック16は、真空吸着等によりウエハを吸着して固定する。ウエハチャック16は、後述するアライメント装置50に着脱自在に支持され、アライメント装置50によってX−Y−Z−θ方向に移動可能となっている。
ウエハチャック16には、シーリング機構が設けられる。シーリング機構は、ウエハチャック16とプローブカード18との間で密閉空間Sを形成させるシール機構であって、ウエハチャック16の上面の外周近傍に設けられた弾性を有するリング状シール部材40を備える。また、ウエハチャック16の上面には、ウエハWとリング状シール部材40との間に吸引口42が設けられる。吸引口42は、ウエハチャック16の内部に形成された吸引路43を介して真空圧を制御する吸引制御部46に接続されている。吸引制御部46は、真空ポンプ44に接続されている。リング状シール部材40がプローブカード18に接触し、ウエハチャック16、プローブカード18、及びリング状シール部材40により囲まれたシールされた内部空間S(密閉空間)が形成された状態で吸引制御部46を作動させると、内部空間Sが減圧され、ウエハチャック16がプローブカード18に向かって引き寄せられる。これにより、プローブカード18とウエハチャック16の密着状態となり、各プローブ28が各チップの電極パッドに接触して検査を開始可能な状態となる。なお、内部空間Sは、図10(b)に示すように、リング状シール部材40がヘッドステージ13に接触し、ウエハチャック16、ヘッドステージ13、プローブカード18及びリング状シール部材40により囲まれたシールされた内部空間として形成してもよい。
ヘッドステージ13(本発明のプローブカード支持部材に相当)には、測定部14毎に装着孔(カード取付部)26が設けられ、各装着孔26にはそれぞれプローブカード18が交換可能に取り付けられる。プローブカード18のウエハW上の各チップと対向する部分には、全チップの電極に対応してスプリングピン式の弾性のある複数のプローブ28が形成されている。なお、ここでは、ヘッドステージ13に直接プローブカード18を取り付ける構成を示したが、ヘッドステージ13にカードホルダを設け、カードホルダにプローブカード18を取り付ける場合もある。
テスタ20は、測定部14毎に設けられた複数のテストヘッド22(22A〜22C)を有する。各テストヘッド22は、ヘッドステージ13の上面に載置される。なお、各テストヘッド22は、不図示の支持機構により、ヘッドステージ13の上方に保持される場合もある。
各テストヘッド22の端子は、コンタクトリング24の多数の接続ピンを介して、それぞれ対応するプローブカード18の端子に接続される。これにより、各テストヘッド22の端子は、プローブ28と電気的に接続された状態となる。
各測定部14には、ウエハチャック16の脱落を防止するためにサポート機構(チャック脱落防止機構)が設けられる。サポート機構は、ウエハチャック16を保持する複数の保持部30を備える。各保持部30は、ヘッドステージ13の装着孔26の周囲に所定の間隔毎に設けられる。本例では、装着孔26の周囲に90度間隔で4つの保持部30が設けられる(図1及び図2では2つの保持部30のみ図示)。
各保持部30は、装着孔26を中心として互いに近接/離反するように移動可能(拡径可能)に構成される。各保持部30の移動機構(不図示)は例えばボールネジやモータ等で構成される。各保持部30が近接した状態(図1及び図2において実線で示した状態)では、各保持部30の中心部に形成される通過孔32の内径が、ウエハチャック16の直径よりも小さくなるので、ウエハチャック16が各保持部30によって保持される。一方、各保持部30が互いに離反した状態(図1及び図2において破線で示した状態)では、通過孔32の内径が、ウエハチャック16の直径よりも大きくなるので、アライメント装置50がウエハチャック16を供給したり回収することができる。
なお、サポート機構の構成については、上述の特許文献1に記載されるような各種の変形例を採用することが可能である。
本実施形態のプローバ10は、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16に保持されたウエハWのアライメント動作を行うアライメント装置50と、アライメント装置50を各測定部14が配列される方向(X軸方向)に沿って測定部14間を移動させる移動装置100と、を備える。
アライメント装置50は、ウエハチャック16をX−Y−Z−θ方向に移動させる移動・回転機構と、ウエハチャック16に保持されたウエハWの各チップの電極とプローブカード18の各プローブ28との相対的な位置関係を検出するアライメント機構と、を備え、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16に保持されたウエハWのアライメント動作を行う。すなわち、ウエハチャック16に保持されたウエハWの各チップの電極とプローブカード18の各プローブ28との相対的な位置関係を検出し、その検出結果に基づいて、検査するチップの電極をプローブ28に接触させるようにウエハチャック16を移動させる。
アライメント装置50(Z軸移動・回転部52)は、真空吸着等によりウエハチャック16を吸着して固定するが、ウエハチャック16を固定できるものであれば、真空吸着以外の固定手段でもよく、例えば機械的手段等で固定するようにしてもよい。また、アライメント装置50には、ウエハチャック16との相対的な位置関係が常に一定となるように位置決め部材(不図示)が設けられている。
図3及び図4は、アライメント装置50の概略構成を示した図である。具体的には、図3は、アライメント装置50の上方斜視図であり、図4は、アライメント装置50の下方斜視図である。なお、図3及び図4では、アライメント装置50の上面にウエハチャック16が支持された状態を示している。
図1及び図3に示すように、アライメント装置50は、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16をZ軸方向に移動すると共にZ軸を回転中心として回転するZ軸移動・回転部52と、プローブ28の位置を検出するプローブ位置検出カメラ54と、プローブ位置検出カメラ54をZ軸方向に移動するカメラ移動機構56と、Z軸移動・回転部52及びカメラ移動機構56を支持してX軸方向に移動するX軸移動台58と、X軸移動台58を支持してY軸方向に移動するY軸移動台60と、Y軸移動台60を支持するベース62と、支柱64によって支持されたアライメントカメラ66と、を備える。ウエハチャック16をX−Y−Z−θ方向に移動させる移動・回転機構は、Z軸移動・回転部52と、X軸移動台58と、Y軸移動台60と、で構成される。また、アライメント機構は、プローブ位置検出カメラ54と、アライメントカメラ66と、カメラ移動機構56と、不図示の画像処理部と、で構成される。
ベース62の上には平行に2本のガイドレール68が設けられており、Y軸移動台60はこのガイドレール68の上を移動可能になっている。ベース62の上の2本のガイドレール68の間の部分には、駆動モータとこの駆動モータによって回転するボールネジ70が設けられている。ボールネジ70はY軸移動台60の底面に係合しており、ボールネジ70の回転により、Y軸移動台60がガイドレール68の上を摺動する。
Y軸移動台60の上には、前述の2本のガイドレール68に直交する2本の平行なガイドレール72が設けられており、X軸移動台58はこのガイドレール72の上を移動可能になっている。Y軸移動台60の上の2本のガイドレール72の間の部分には、駆動モータとこの駆動モータによって回転するボールネジ74が設けられている。ボールネジ74はX軸移動台58の底面に係合しており、ボールネジ74の回転により、X軸移動台58がガイドレール72の上を摺動する。
なお、ボールネジの代わりにリニアモータを使用する場合もある。
次に、移動装置100の構成について説明する。
図1に示すように、移動装置100は、アライメント装置50を載置して搬送する搬送パレット102を有する。搬送パレット102は、X軸方向に沿って各測定部14間を移動可能に構成される。搬送パレット102を移動させるための移動機構(水平送り機構)としては、直線的な移動機構であればよく、例えば、ベルト駆動機構、リニアガイド機構、ボールネジ機構等により構成される。また、搬送パレット102には、アライメント装置50をZ軸方向に昇降させる昇降機構106が設けられる。昇降機構106は、周知のシリンダ機構等で構成される。これにより、アライメント装置50は、X軸方向に沿って各測定部14間を移動可能に構成されると共に、Z軸方向に昇降可能に構成される。なお、搬送パレット102の移動機構や昇降機構106は、不図示の制御手段による制御によって駆動される。
図5及び図6は、移動装置100の構成例を示した概略図である。具体的には、図5は、移動装置100の平面図であり、図6は、移動装置100の側面図である。
図5及び図6に示すように、基部11の上には平行に2本のガイドレール101が設けられており、搬送パレット102はこのガイドレール101の上を移動可能になっている。また、2本のガイドレール101の外側部分には、ガイドレール101に平行であって両端が基部11に固定されたタイミングベルト110が設けられている。
搬送パレット102には、駆動ユニット108が固定されている。駆動ユニット108は、駆動モータ112と、駆動モータ112の回転軸に連結された駆動プーリ114と、駆動プーリ114の周辺に配設された2個のアイドルプーリ116と、を有する。駆動プーリ114にはタイミングベルト110が巻き掛けられ、その両側に配置されるアイドルプーリ116によってタイミングベルト110の張力が調整されている。駆動モータ112を駆動させると、駆動プーリ114の回転により、搬送パレット102がガイドレール101の上を摺動する。これにより、搬送パレット102に支持されたアライメント装置50がX軸方向に沿って各測定部14間を移動する。
図7は、移動装置100の他の構成例を示した概略図である。図7に示した構成例は、ボールネジ機構を利用したものである。すなわち、基部11には、2本のガイドレール101の間に駆動モータ118及びボールネジ120で構成される駆動ユニットが設けられる。ボールネジ120は搬送パレット102の底面に係合しており、ボールネジ120の回転により、搬送パレット102がガイドレール101の上を摺動する。これにより、搬送パレット102に支持されたアライメント装置50はX軸方向に沿って各測定部14間を移動する。
本実施形態では、各測定部14に移動したアライメント装置50の3箇所を位置決めして着脱自在に把持固定するクランプ機構を有する位置決め固定装置が設けられる。具体的には、アライメント装置50には、ベース62の3箇所に複数の位置決めピン130(130A〜130C)が設けられる。一方、筐体の基部11には、各位置決めピン130をそれぞれクランプする複数のチャック部材(位置決め孔)134(134A〜134C)が設けられ、これらは測定部14毎にそれぞれ設けられる。クランプ機構は、位置決めピン130とチャック部材134で構成される。
なお、クランプ機構としては、例えばボールロック方式やテーパスリーブ方式などの周知のクランプ機構が適用されるので、ここでは詳細な説明は省略する。
各測定部14に移動したアライメント装置50を位置決め固定する場合には、昇降機構106によりアライメント装置50を下降させて、図8に示すように、各位置決めピン130をそれぞれ対応するチャック部材134に嵌入してクランプする。これにより、アライメント装置50は水平方向及び鉛直方向に位置決めされ、かつ、アライメント装置50の鉛直方向周りの回転が拘束された状態で、アライメント装置50が基部11に対して固定される。一方、アライメント装置50を他の測定部14に移動させる場合には、昇降機構106によりアライメント装置50を上昇させて、各チャック部材134からそれぞれ位置決めピン130が離脱させる。これにより、アライメント装置50の位置決め固定が解除され、移動装置100によってアライメント装置50は他の測定部14に移動可能な状態となる。
次に、本実施形態のプローバを使用したプローブコンタクト方法を含む検査動作について説明する。
図10は、本実施形態のプローバを使用したプローブコンタクト方法を含む検査動作の例である。
まず、これから検査を行う測定部14にアライメント装置50を移動させ、クランプ機構を有する位置決め固定装置によって位置決め固定した後、Z軸移動・回転部52を上昇させて、アライメント装置50(Z軸移動・回転部52)にウエハチャック16を着脱自在に支持させる。ウエハチャック16は、アライメント装置50(Z軸移動・回転部52)によって、例えば、真空吸着により固定された状態で支持される。この状態で吸引制御部46による内部空間Sの減圧を解除し、サポート機構の各保持部30を相互に離反させた後、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16を下降させる。
次に、ウエハチャック16を支持するアライメント装置50を所定の受け渡し位置に移動させ、不図示のウエハ受け渡し機構(ローダ)によってウエハチャック16にウエハWがロードされ、真空吸着により固定される。
次に、これから検査を行う測定部14に再びアライメント装置50を移動させ、クランプ機構を有する位置決め固定装置によって位置決め固定した後、アライメント動作を行う。具体的には、プローブ位置検出カメラ54がプローブ28の下に位置するように、X軸移動台58を移動させ、カメラ移動機構56でプローブ位置検出カメラ54をZ軸方向に移動して焦点を合わせ、プローブ位置検出カメラ54でプローブ28の先端位置を検出する。プローブ28の先端の水平面内の位置(X及びY座標)はカメラの座標により検出され、垂直方向の位置はカメラの焦点位置で検出される。なお、プローブカード18には、通常数百から数千本以上ものプローブ28が設けられており、すべてのプローブ28の先端位置を検出せずに、通常は特定のプローブの先端位置を検出する。
次に、ウエハチャック16に検査するウエハWを保持した状態で、ウエハWがアライメントカメラ66の下に位置するように、X軸移動台58を移動させ、ウエハWの各チップの電極パッドの位置を検出する。1チップのすべての電極パッドの位置を検出する必要はなく、いくつかの電極パッドの位置を検出すればよい。また、ウエハW上のすべてのチップの電極パッドを検出する必要はなく、いくつかのチップの電極パッドの位置が検出される。
次に、上記のようにして検出したプローブ28の配列及び電極パッドの配列に基づいて、プローブ28の配列方向と電極パッドの配列方向が一致するように、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16を回転した後、検査するチップの電極パッドがプローブ28の下に位置するようにウエハチャック16をX軸方向及びY軸方向に移動し(図10(a)参照)、Z軸移動・回転部52でウエハチャック16を着脱自在に支持しながらZ軸方向に上昇させる。すなわち、ウエハチャック16とプローブカード18との距離が近づく方向にウエハチャック16を移動させる。
具体的には、図10(b)に示すように、ウエハチャック16に設けられたリング状シール部材40をヘッドステージ13(又はプローブカード18でもよい)に接触させてウエハチャック16、ヘッドステージ13、プローブカード18、及びリング状シール部材40により囲まれた密閉空間である内部空間S(又はウエハチャック16、プローブカード18、及びリング状シール部材40により囲まれた内部空間Sでもよい)を形成し、さらにウエハチャック16に保持されるウエハW上の電極パッドとプローブカード18に設けられたプローブ28とを接触させる(ファーストコンタクト)。
この接触は、Z軸移動・回転部52によってウエハチャック16を、予め定められた位置Po1までプローブカード18(プローブ28)に対する予め定められた速度V1(又は加速度)で上昇させることで行われる。
Z軸移動・回転部52は、モータによって駆動されるため、任意の速度(又は加速度)で任意の位置(高さ)までウエハチャック16を移動させることができる。Z軸移動・回転部52が、ウエハチャック16を所定速度で所定位置まで上昇させることで、ウエハW上の電極パッドにプローブ28を接触させる、機械的なウエハチャック昇降手段に相当する。
位置Po1は、ウエハW上の電極パッドとプローブ28とが接触圧Pr1で接触する位置である。速度V1(又は加速度)は、ウエハW上の電極パッドとプローブ28とが接触した場合に、プローブ28の先端が電極パッドに擦りつけられることによって、電極パッドに形成される絶縁体である酸化膜が削れて(破れて)電極パッドとプローブ28との電気的な接続が得られるように考慮された速度(又は加速度)である。速度V1は、例えば、20〜30[mm/sec]である。
以上のファーストコンタクトによって、ウエハW上の電極パッドとプローブ28との電気的な接触信頼性を高めることができる。
次に、図10(c)に示すように、Z軸移動・回転部52でウエハチャック16を着脱自在に支持しながらZ軸方向に下降させた後、図10(d)に示すように、上記と同様に位置Po1(チャック受渡高さ)まで速度V1(又は加速度)で再び上昇させて、内部空間Sを形成し、さらにウエハチャック16に保持されるウエハW上の電極パッドとプローブカード18に設けられたプローブ28とを接触させる(セカンドコンタクト)。セカンドコンタクトにおける位置Po1及び速度V1(又は加速度)は、ファーストコンタクトにおける位置Po1及び速度V1(又は加速度)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
セカンドコンタクトにおける位置Po1は、ウエハチャック16が当該セカンドコンタクトにおける位置Po1に到達した場合、ウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する接触圧が後述の目標接触圧Pr2より低い接触圧Pr1(例えば、目標接触圧Pr2の7割程度の接触圧Pr1)となるように考慮された位置である。
以上のセカンドコンタクトによって、ファーストコンタクトの際に除去しきれなかった酸化膜の除去を期待できるため、ウエハW上の電極パッドとプローブ28との電気的な接触信頼性をさらに高めることができる。
以上のように複数回の接触工程(例えば、ファーストコンタクト及びセカンドコンタクト)が実施された後、ウエハチャック16とアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)との固定(例えば、真空吸着による固定)が解除される。その後、吸引制御部46を作動させて駆動源である真空ポンプ44によって内部空間Sを減圧することで、ウエハチャック16とプローブカード18(プローブ28)との距離をさらに近づける減圧工程が実施される。
減圧工程は、複数回の接触工程(例えば、ファーストコンタクト及びセカンドコンタクト)のうち最終回の接触工程(例えば、セカンドコンタクト)が行われた後に実施され、それ以外の接触工程の後は実施されない。これにより、図10(e)に示すように、ウエハチャック16はプローブカード18(プローブ28)に対する速度V2でプローブカード18に向かって引き寄せられてアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)から分離され(切り離され)、プローブカード18とウエハチャック16は密着状態となり、プローブカード18の各プローブ28は均一な接触圧で対応する電極パッドに接触する。速度V2は、駆動源が真空ポンプ44であるため速度V1より遅く(速度V2<速度V1)、例えば、0.25[mm/sec]である。
吸引制御部46(真空ポンプ44)は、ウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する接触圧が目標接触圧Pr2となるまで内部空間Sを減圧する(目標接触圧Pr2>接触圧Pr1)。目標接触圧Pr2は、ウエハW上の電極パッドとプローブ28との電気的な接触の信頼性が高まるように考慮された接触圧である。吸引制御部46(真空ポンプ44)が密閉空間Sを減圧し、ウエハWにプローブ28を所定の圧力で接触させるための接触圧力付与手段に相当する。
一方、真空ポンプ44による内部空間Sの減圧によってプローブカード18とウエハチャック16が密着状態となったら、Z軸移動・回転部52をZ軸方向に下降させ、アライメント装置50からウエハチャック16を離脱させる。また、ウエハチャック16の脱落を防止するため、サポート機構の各保持部30を相互に近接した状態にする。
次に、テストヘッド22からウエハWの各チップに電源及びテスト信号を供給し、チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査を行う。
以下、他の測定部14についても、同様の手順で、ウエハチャック16上にウエハWをロードし、各測定部14においてアライメント動作及びコンタクト動作が完了した後、ウエハWの各チップの同時検査が順次行われる。すなわち、テストヘッド22からウエハWの各チップに電源及びテスト信号を供給し、チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査が行う。なお、ウエハチャック16はアライメント装置50に支持された状態で検査を行ってもよい。
各測定部14において検査が完了したら、アライメント装置50を各測定部14に順次移動させて検査済ウエハWが保持されるウエハチャック16を回収する。
すなわち、各測定部14において検査が完了した場合には、アライメント装置50を検査が終了した測定部14に移動させ、位置決め固定した後、Z軸移動・回転部52をZ軸方向に上昇させ、ウエハチャック16がアライメント装置50に支持された後、吸引制御部46による内部空間Sの減圧を解除、具体的には内部空間Sに大気圧を導入する。これにより、プローブカード18とウエハチャック16の密着状態は解除される。そして、サポート機構の各保持部30を拡径状態にする。その後、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16をZ軸方向に下降させ、アライメント装置50の位置決め固定を解除した後、所定の受け渡し位置にアライメント装置50を移動させて、検査済ウエハWの固定を解除し、ウエハチャック16から検査済ウエハWをアンロードする。アンロードされた検査済ウエハWは、受け渡し機構により回収される。
なお、本実施形態では、図1に示したように、各測定部14に対してそれぞれ1つずつウエハチャック16が割り当てられているが、これら複数のウエハチャック16は複数の測定部14間で受け渡されてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、Z軸移動・回転部52(機械的なウエハチャック昇降手段)が所定速度で所定位置まで移動することにより、プローブ28がウエハW表面の保護膜(酸化膜)を削り取るため、接触状態、導通状態が改善される。その際、Z軸移動・回転部52が機械的な昇降手段であることから、プローブ28とウエハWが平行姿勢を保ったままで所定位置まで所定速度で移動するため、精度よく接触できる。
また、本実施形態によれば、Z軸移動・回転部52(機械的なウエハチャック昇降手段)により、プローブ28をウエハWに対して所定速度を維持して接触させることができる。これに対して、密閉空間Sの減圧では所定速度でプローブ28を接触させることができないため、保護膜の削り取りを制御できない。
また、本実施形態によれば、Z軸移動・回転部52(機械的なウエハチャック昇降手段)により、所定位置まで移動できることから、多少オーバードライブをかけて、表面保護膜を大きく削ることもできる。これに対して、密閉空間Sの減圧では、オーバードライブをかけることができない。
また、本実施形態によれば、密閉空間Sの減圧によって、所定圧力でウエハチャック16をプローブカード18に押し付ける。これにより、各プローブ28とウエハWとを一定の圧力で押し付けることができる。さらに、測定中においても、各プローブ28を一定圧力で押圧し導通状態を安定化させることができる。その際、Z軸移動・回転部52(機械的なウエハチャック昇降手段)による位置決めではなく、密閉空間Sの減圧、すなわち、パスカルの原理に基づいて自動的に均等に圧力が設定される。これにより、位置決めだけでは改善が難しいプローブ28の長短や互いの平行度誤差などによる多少の位置ずれがあっても、減圧することで所定の圧力で押圧し、所定圧でプローブ28をウエハWにコンタクトさせることが可能となる。
また、本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、さらに、ウエハW上の電極パッドとプローブ28との電気的な接触信頼性を高めることができるプローブコンタクト方法及びプローバ10を提供することができる。
これは、駆動源がモータであるZ軸移動・回転部52によるウエハチャック16の上昇速度V1が、駆動源が真空ポンプ44であるウエハチャック16の引き寄せ速度V2よりも速く(V1>V2)、その速い速度V1でウエハW上の電極パッドがプローブカード18に設けられたプローブ28に接触し、プローブ28の先端が電極パッドに擦りつけられることによって、電極パッドに形成される絶縁体である酸化膜が削れて(破れて)電極パッドとプローブ28との電気的な接続が得られることによるものである。
また、本実施形態によれば、ウエハW上の電極パッドとプローブ28との接触(速度V1での接触)が複数回(例えば、ファーストコンタクト及びセカンドコンタクト)実施されるため、ウエハW上の電極パッドとプローブ28との接触が1回の場合と比べ、ウエハW上の電極パッドとプローブ28との電気的な接触信頼性を高めることができる。
また、本実施形態によれば、減圧工程においてウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する接触圧を、容易に目標接触圧Pr2とすることができる。
これは、最終回の接触工程(例えば、セカンドコンタクト)においてウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する接触圧を目標接触圧Pr2より低い接触圧Pr1(例えば、目標接触圧Pr2の7割程度の接触圧Pr1)とした後、減圧工程においてウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する接触圧が目標接触圧Pr2となるまで内部空間Sを減圧することによるものである。
なお、最終回の接触工程(例えば、セカンドコンタクト)においてウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する接触圧を目標接触圧Pr2とした後、減圧工程においてウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する接触圧が最終回の接触工程での目標接触圧Pr2を維持するように内部空間Sを減圧することも考えられる。しかしながら、このように最終回の接触工程での目標接触圧Pr2を維持するように内部空間Sを減圧制御するのは難しい。
これに対して、前者のように、まず、最終回の接触工程において目標接触圧Pr2より低い接触圧Pr1とし、その後、減圧工程において目標接触圧Pr2となるまで内部空間Sを減圧制御することで、減圧工程においてウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する接触圧を、容易に目標接触圧Pr2とすることができる。
次に、変形例について説明する。
図11は、変形例であるウエハチャック16Aを備えたプローバを使用したプローブコンタクト方法を含む検査動作の例である。
本変形例のウエハチャック16Aは、図10に示すウエハチャック16に対して、内部空間Sと外部環境とを連通し、シャッタ手段48によって開閉される連通孔16Aaを設けたものに相当する。連通孔16Aaは、ウエハチャック16A内部に設けられ、ウエハチャック16Aの上面のうちウエハWが載置されない外周付近の領域と側面とを貫通している。
内部空間Sは、図11(c)に示すように、シャッタ手段48によって連通孔16Aaが閉じられると密閉空間となり、一方、図11(a)に示すように、シャッタ手段48によって連通孔16Aaが開かれると非密閉空間となる。
シャッタ手段48は、内部空間Sと外部環境とを連通する連通孔16Aaを開閉して内部空間Sを密閉空間又は非密閉空間とする手段で、例えば、シャッタ本体48a及びシャッタ本体48aを連通孔16Aaを開く位置(図11(a)参照)又は閉じる位置(図11(c)参照)に移動させるシャッタ制御手段(図示せず)によって構成される。シャッタ制御手段としては、シャッタ本体48aに連結されたモータ及び当該モータを制御するコントローラ等の公知のもの(いずれも図示せず)を用いることができる。なお、連通孔16Aa及びシャッタ手段48は、ウエハチャック16Aに限らず、ヘッドステージ13又はプローブカード18に設けられていてもよい。
次に、本変形例のウエハチャック16Aを用いたプローバを使用したプローブコンタクト方法を含む検査動作について説明する。
本変形例のウエハチャック16Aを用いたプローバ10を使用した検査動作は、基本的に上記第2実施形態と同様であるが、次の点が相違する。
すなわち、ファーストコンタクト及びセカンドコンタクトが実施される各接触工程において、少なくともリング状シール部材40をヘッドステージ13(又はプローブカード18)に接触させてから(図11(a)参照)ウエハW上の電極パッドとプローブ28とを接触させる(図11(b)参照)までの間はシャッタ手段48によって連通孔16Aaを開くことで内部空間Sを非密閉状態とする点(連通孔16Aaが開状態となる点)が相違する。
例えば、ファーストコンタクト及びセカンドコンタクトが実施される各接触工程が完了して、ウエハチャック16Aとアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)との固定(例えば、真空吸着による固定)が解除されるまで、連通孔16Aaが開かれて内部空間Sが非密閉状態とされる(連通孔16Aaが開状態とされる)。
そして、ウエハチャック16Aとアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)との固定(例えば、真空吸着による固定)が解除されたタイミングで、図11(c)に示すように、連通孔16Aaが閉じられて内部空間Sが密閉状態とされ(連通孔16Aaが閉状態とされ)、減圧工程において当該内部空間Sが減圧される。それ以外は、上記第2実施形態と同様である。
上記第2実施形態では、ファーストコンタクト及びセカンドコンタクトが実施される各接触工程において内部空間Sが密閉状態とされるため、各コンタクトに際して当該密閉空間(内の空気)が圧縮されてこの圧縮による反力がウエハチャック16Aの上昇の際の負荷となって、ウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する上昇速度が減速する可能性がある。そして、その結果、電極パッドに形成される絶縁体である酸化膜を充分に削る(破る)ことができない恐れがある。
これに対して、本変形例によれば、ファーストコンタクト及びセカンドコンタクトが実施される各接触工程において内部空間Sが非密閉状態とされるため、各コンタクトの際に密閉空間(内の空気)が圧縮されてこの圧縮による反力がウエハチャック16の上昇の際の負荷となるのが防止され、かつ、ウエハW上の電極パッドのプローブ28に対する上昇速度が減速するのが防止される。その結果、電極パッドに形成される絶縁体である酸化膜を充分に削る(破る)ことを期待できる。
また、上記第2実施形態では、接触工程を2回実施し、最終回の接触工程が実施された後、減圧工程を実施する例について説明したが、これに限らず、接触工程を1回のみ実施し、その後、減圧工程を実施してもよい。また、接触工程を3回以上実施し、最終回の接触工程が実施された後、減圧工程を実施してもよい。すなわち、ウエハW上の電極パッドにプローブ28が少なくとも1回接触するようにウエハチャック16が昇降され、ウエハWにプローブ28が最後に接触した後、ウエハWにプローブ28が所定の圧力で接触するように密閉空間Sが減圧されればよい。
また、上記第2実施形態では、3つの測定部14がX軸方向に沿って配列される構成を示したが、測定部14の数や配置は特に限定されるものではなく、例えば、X軸方向及びY軸方向に複数の測定部14が2次元的に配置されてもよい。
また、複数の測定部14からなる測定部群がZ軸方向に積み重ねられた多段構成としてもよい。例えば、図9に示した構成例は、4つの測定部14からなる測定部群15(15A〜15C)がZ軸方向に3段積み重ねられた構成である。この構成では、アライメント装置50が測定部群15毎に設けられ、同一の測定部群15における各測定部14間でアライメント装置50が共有されるようになっている。なお、すべての測定部14でアライメント装置50が共有されるように構成されていてもよい。このような構成によれば、装置全体のフットプリントを小さくし、単位面積あたりの処理能力を上げることができ、コストダウンを図ることができる。
以上、本発明のプローブコンタクト方法及びプローバについて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。