以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、本実施形態のプローブカード18のプリヒートを実施する前提となるウエハレベル検査を行う基本システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態のプローブカード18のプリヒートを実施する前提となるウエハレベル検査を行う基本システムの概略構成を示す図である。ウエハレベル検査を行う基本システムは、ウエハ上の各チップの電極パッドにプローブを接触させるプローバ10と、プローブに電気的に接続され、電気的検査のために各チップに電源及びテスト信号を供給すると共に各チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定するテスタ20とで構成される。
図1において、基部11、側板12、及びヘッドステージ13がプローバ10の筐体を構成する。側板12で支持される上板を設け、上板にヘッドステージ13を設ける場合もある。
プローバ10には、複数の測定部(第1〜第3の測定部)14A〜14Cが設けられる。各測定部14A〜14Cは、それぞれ、ウエハWを保持するウエハチャック16と、ウエハWの各チップの電極に対応した多数のプローブ28を有するプローブカード18と、を備え、各測定部14A〜14Cにおいてウエハチャック16に保持されたウエハW上の全チップの同時検査が行われる。なお、各測定部14A〜14Cの構成は共通しているので、以下では、これらを代表して符号14によって測定部を示すものとする。
図2は、プローブカード周辺の構成を示す図である。
ウエハチャック16は、真空吸着等によりウエハを吸着して固定する。ウエハチャック16は、後述するアライメント装置50に着脱自在に支持され、アライメント装置50によってX−Y−Z−θ方向に移動可能となっている。
ウエハチャック16には、シーリング機構が設けられる。シーリング機構は、ウエハチャック16の上面の外周近傍に設けられた弾性を有するリング状シール部材40を備える。また、ウエハチャック16の上面には、ウエハWとリング状シール部材40との間に吸引口42が設けられる。吸引口42は、ウエハチャック16の内部に形成された吸引路43を介して真空圧を制御する吸引制御部46に接続されている。吸引制御部46は、真空ポンプ44に接続されている。リング状シール部材40がプローブカード18に接触した状態で吸引制御部46を作動させると、プローブカード18とウエハチャック16の間に形成されるシールされた内部空間Sが減圧され、ウエハチャック16がプローブカード18に向かって引き寄せられる。これにより、プローブカード18とウエハチャック16の密着状態となり、各プローブ28が各チップの電極パッドに接触して検査を開始可能な状態となる。
ヘッドステージ13には、測定部14毎に装着孔(カード取付部)26が設けられ、各装着孔26にはそれぞれプローブカード18が交換可能に取り付けられる。プローブカード18のウエハW上の各チップと対向する部分には、全チップの電極に対応してスプリングピン式の弾性のある複数のプローブ28が形成されている。なお、ここでは、ヘッドステージ13に直接プローブカード18を取り付ける構成を示したが、ヘッドステージ13にカードホルダを設け、カードホルダにプローブカード18を取り付ける場合もある。
テスタ20は、測定部14毎に設けられた複数のテストヘッド22(22A〜22C)を有する。各テストヘッド22は、ヘッドステージ13の上面に載置される。なお、各テストヘッド22は、不図示の支持機構により、ヘッドステージ13の上方に保持される場合もある。
各テストヘッド22の端子は、コンタクトリング24の多数の接続ピンを介して、それぞれ対応するプローブカード18の端子に接続される。これにより、各テストヘッド22の端子は、プローブ28と電気的に接続された状態となる。
各測定部14には、ウエハチャック16の脱落を防止するためにサポート機構(チャック脱落防止機構)が設けられる。サポート機構は、ウエハチャック16を保持する複数の保持部30を備える。各保持部30は、ヘッドステージ13の装着孔26の周囲に所定の間隔毎に設けられる。本例では、装着孔26の周囲に90度間隔で4つの保持部30が設けられる(図1及び図2では2つの保持部30のみ図示)。
各保持部30は、装着孔26を中心として互いに近接/離反するように移動可能(拡径可能)に構成される。各保持部30の移動機構(不図示)は例えばボールネジやモータ等で構成される。各保持部30が近接した状態(図1及び図2において実線で示した状態)では、各保持部30の中心部に形成される通過孔32の内径が、ウエハチャック16の直径よりも小さくなるので、ウエハチャック16が各保持部30によって保持される。一方、各保持部30が互いに離反した状態(図1及び図2において破線で示した状態)では、通過孔32の内径が、ウエハチャック16の直径よりも大きくなるので、アライメント装置50がウエハチャック16を供給したり回収することができる。
なお、サポート機構の構成については、上述の特許文献1に記載されるような各種の変形例を採用することが可能である。
本実施形態のプローバ10は、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16に保持されたウエハWのアライメント動作を行うアライメント装置50と、アライメント装置50を各測定部14が配列される方向(X軸方向)に沿って測定部14間を移動させる移動装置100と、を備える。
アライメント装置50は、ウエハチャック16をX−Y−Z−θ方向に移動させる移動・回転機構と、ウエハチャック16に保持されたウエハWの各チップの電極とプローブカード18の各プローブ28との相対的な位置関係を検出するアライメント機構と、を備え、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16に保持されたウエハWのアライメント動作を行う。すなわち、ウエハチャック16に保持されたウエハWの各チップの電極とプローブカード18の各プローブ28との相対的な位置関係を検出し、その検出結果に基づいて、検査するチップの電極をプローブ28に接触させるようにウエハチャック16を移動させる。
アライメント装置50は、真空吸着等によりウエハチャック16を吸着して固定するが、ウエハチャック16を固定できるものであれば、真空吸着以外の固定手段でもよく、例えば機械的手段等で固定するようにしてもよい。また、アライメント装置50には、ウエハチャック16との相対的な位置関係が常に一定となるように位置決め部材(不図示)が設けられている。
図3及び図4は、アライメント装置50の概略構成を示した図である。具体的には、図3は、アライメント装置50の上方斜視図であり、図4は、アライメント装置50の下方斜視図である。なお、図3及び図4では、アライメント装置50の上面にウエハチャック16が支持された状態を示している。
図1及び図3に示すように、アライメント装置50は、ウエハチャック16を着脱自在に支持してウエハチャック16をZ軸方向に移動すると共にZ軸を回転中心として回転するZ軸移動・回転部52と、プローブ28の位置を検出するプローブ位置検出カメラ54と、プローブ位置検出カメラ54をZ軸方向に移動するカメラ移動機構56と、Z軸移動・回転部52及びカメラ移動機構56を支持してX軸方向に移動するX軸移動台58と、X軸移動台58を支持してY軸方向に移動するY軸移動台60と、Y軸移動台60を支持するベース62と、支柱64によって支持されたアライメントカメラ66と、を備える。ウエハチャック16をX−Y−Z−θ方向に移動させる移動・回転機構は、Z軸移動・回転部52と、X軸移動台58と、Y軸移動台60と、で構成される。また、アライメント機構は、プローブ位置検出カメラ54と、アライメントカメラ66と、カメラ移動機構56と、不図示の画像処理部と、で構成される。
ベース62の上には平行に2本のガイドレール68が設けられており、Y軸移動台60はこのガイドレール68の上を移動可能になっている。ベース62の上の2本のガイドレール68の間の部分には、駆動モータとこの駆動モータによって回転するボールネジ70が設けられている。ボールネジ70はY軸移動台60の底面に係合しており、ボールネジ70の回転により、Y軸移動台60がガイドレール68の上を摺動する。
Y軸移動台60の上には、前述の2本のガイドレール68に直交する2本の平行なガイドレール72が設けられており、X軸移動台58はこのガイドレール72の上を移動可能になっている。Y軸移動台60の上の2本のガイドレール72の間の部分には、駆動モータとこの駆動モータによって回転するボールネジ74が設けられている。ボールネジ74はX軸移動台58の底面に係合しており、ボールネジ74の回転により、X軸移動台58がガイドレール72の上を摺動する。
なお、ボールネジの代わりにリニアモータを使用する場合もある。
次に、移動装置100の構成について説明する。
図1に示すように、移動装置100は、アライメント装置50を載置して搬送する搬送パレット102を有する。搬送パレット102は、X軸方向に沿って各測定部14間を移動可能に構成される。搬送パレット102を移動させるための移動機構(水平送り機構)としては、直線的な移動機構であればよく、例えば、ベルト駆動機構、リニアガイド機構、ボールネジ機構等により構成される。また、搬送パレット102には、アライメント装置50をZ軸方向に昇降させる昇降機構106が設けられる。昇降機構106は、周知のシリンダ機構等で構成される。これにより、アライメント装置50は、X軸方向に沿って各測定部14間を移動可能に構成されると共に、Z軸方向に昇降可能に構成される。なお、搬送パレット102の移動機構や昇降機構106は、不図示の制御手段による制御によって駆動される。
図5及び図6は、移動装置100の構成例を示した概略図である。具体的には、図5は、移動装置100の平面図であり、図6は、移動装置100の側面図である。
図5及び図6に示すように、基部11の上には平行に2本のガイドレール101が設けられており、搬送パレット102はこのガイドレール101の上を移動可能になっている。また、2本のガイドレール101の外側部分には、ガイドレール101に平行であって両端が基部11に固定されたタイミングベルト110が設けられている。
搬送パレット102には、駆動ユニット108が固定されている。駆動ユニット108は、駆動モータ112と、駆動モータ112の回転軸に連結された駆動プーリ114と、駆動プーリ114の周辺に配設された2個のアイドルプーリ116と、を有する。駆動プーリ114にはタイミングベルト110が巻き掛けられ、その両側に配置されるアイドルプーリ116によってタイミングベルト110の張力が調整されている。駆動モータ112を駆動させると、駆動プーリ114の回転により、搬送パレット102がガイドレール101の上を摺動する。これにより、搬送パレット102に支持されたアライメント装置50がX軸方向に沿って各測定部14間を移動する。
図7は、移動装置100の他の構成例を示した概略図である。図7に示した構成例は、ボールネジ機構を利用したものである。すなわち、基部11には、2本のガイドレール101の間に駆動モータ118及びボールネジ120で構成される駆動ユニットが設けられる。ボールネジ120は搬送パレット102の底面に係合しており、ボールネジ120の回転により、搬送パレット102がガイドレール101の上を摺動する。これにより、搬送パレット102に支持されたアライメント装置50はX軸方向に沿って各測定部14間を移動する。
本実施形態では、各測定部14に移動したアライメント装置50の3箇所を位置決めして着脱自在に把持固定するクランプ機構を有する位置決め固定装置が設けられる。具体的には、アライメント装置50には、ベース62の3箇所に複数の位置決めピン130(130A〜130C)が設けられる。一方、筐体の基部11には、各位置決めピン130をそれぞれクランプする複数のチャック部材(位置決め孔)134(134A〜134C)が設けられ、これらは測定部14毎にそれぞれ設けられる。クランプ機構は、位置決めピン130とチャック部材134で構成される。
なお、クランプ機構としては、例えばボールロック方式やテーパスリーブ方式などの周知のクランプ機構が適用されるので、ここでは詳細な説明は省略する。
各測定部14に移動したアライメント装置50を位置決め固定する場合には、昇降機構106によりアライメント装置50を下降させて、図8に示すように、各位置決めピン130をそれぞれ対応するチャック部材134に嵌入してクランプする。これにより、アライメント装置50は水平方向及び鉛直方向に位置決めされ、かつ、アライメント装置50の鉛直方向周りの回転が拘束された状態で、アライメント装置50が基部11に対して固定される。一方、アライメント装置50を他の測定部14に移動させる場合には、昇降機構106によりアライメント装置50を上昇させて、各チャック部材134からそれぞれ位置決めピン130が離脱させる。これにより、アライメント装置50の位置決め固定が解除され、移動装置100によってアライメント装置50は他の測定部14に移動可能な状態となる。
次に、本実施形態のプローバを使用した検査動作について説明する。
まず、これから検査を行う測定部14にアライメント装置50を移動させ、位置決め固定した後、Z軸移動・回転部52を上昇させて、アライメント装置50にウエハチャック16を保持させる。この状態で吸引制御部46による内部空間Sの減圧を解除し、サポート機構の各保持部30を相互に離反させた後、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16を下降させる。
次に、ウエハチャック16を支持するアライメント装置50を所定の受け渡し位置に移動させ、不図示のウエハ受け渡し機構(ローダ)によってウエハチャック16にウエハWがロードされ、真空吸着により固定される。
次に、アライメント動作を行う。具体的には、プローブ位置検出カメラ54がプローブ28の下に位置するように、X軸移動台58を移動させ、カメラ移動機構56でプローブ位置検出カメラ54をZ軸方向に移動して焦点を合わせ、プローブ位置検出カメラ54でプローブ28の先端位置を検出する。プローブ28の先端の水平面内の位置(X及びY座標)はカメラの座標により検出され、垂直方向の位置はカメラの焦点位置で検出される。なお、プローブカード18には、通常数百から数千本以上ものプローブ28が設けられており、すべてのプローブ28の先端位置を検出せずに、通常は特定のプローブの先端位置を検出する。
次に、ウエハチャック16に検査するウエハWを保持した状態で、ウエハWがアライメントカメラ66の下に位置するように、X軸移動台58を移動させ、ウエハWの各チップの電極パッドの位置を検出する。1チップのすべての電極パッドの位置を検出する必要はなく、いくつかの電極パッドの位置を検出すればよい。また、ウエハW上のすべてのチップの電極パッドを検出する必要はなく、いくつかのチップの電極パッドの位置が検出される。
次に、上記のようにして検出したプローブ28の配列及び電極パッドの配列に基づいて、プローブ28の配列方向と電極パッドの配列方向が一致するように、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16を回転した後、検査するチップの電極パッドがプローブ28の下に位置するようにウエハチャック16をX軸方向及びY軸方向に移動し、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16をZ軸方向に上昇させる。
この状態で、対応する電極パッドがプローブに接触する高さで、ウエハチャック16の上昇を停止する。このとき、リング状シール部材40がプローブカード18に接触し、プローブカード18とウエハチャック16の間にシールされた内部空間Sが形成される。そして、吸引制御部46を作動させて内部空間Sの圧力を低下させると、ウエハチャック16はプローブカード18に向かって引き寄せられ、プローブカード18とウエハチャック16は密着状態となり、プローブカード18の各プローブ28は均一な接触圧で対応する電極パッドに接触する。
一方、真空ポンプ44による内部空間Sの減圧によってプローブカード18とウエハチャック16が密着状態となったら、Z軸移動・回転部52をZ軸方向に下降させ、アライメント装置50からウエハチャック16を離脱させる。また、ウエハチャック16の脱落を防止するため、サポート機構の各保持部30を相互に近接した状態にする。
次に、テストヘッド22からウエハWの各チップに電源及びテスト信号を供給し、チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査を行う。
以下、他の測定部14についても、同様の手順で、ウエハチャック16上にウエハWをロードし、各測定部14においてアライメント動作及びコンタクト動作が完了した後、ウエハWの各チップの同時検査が順次行われる。すなわち、テストヘッド22からウエハWの各チップに電源及びテスト信号を供給し、チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査が行う。なお、ウエハチャック16はアライメント装置50に支持された状態で検査を行ってもよい。
各測定部14において検査が完了したら、アライメント装置50を各測定部14に順次移動させて検査済ウエハWが保持されるウエハチャック16を回収する。
すなわち、各測定部14において検査が完了した場合には、アライメント装置50を検査が終了した測定部14に移動させ、位置決め固定した後、Z軸移動・回転部52をZ軸方向に上昇させ、ウエハチャック16がアライメント装置50に支持された後、吸引制御部46による内部空間Sの減圧を解除、具体的には内部空間Sに大気圧を導入する。これにより、プローブカード18とウエハチャック16の密着状態は解除される。そして、サポート機構の各保持部30を拡径状態にする。その後、Z軸移動・回転部52によりウエハチャック16をZ軸方向に下降させ、アライメント装置50の位置決め固定を解除した後、所定の受け渡し位置にアライメント装置50を移動させて、検査済ウエハWの固定を解除し、ウエハチャック16から検査済ウエハWをアンロードする。アンロードされた検査済ウエハWは、受け渡し機構により回収される。
なお、本実施形態では、図1に示したように、各測定部14に対してそれぞれ1つずつウエハチャック16が割り当てられているが、これら複数のウエハチャック16は複数の測定部14間で受け渡されてもよい。
このように本実施形態では、各測定部14で共有されるアライメント装置50を位置決め固定する位置決め固定装置を測定部14毎に備えたので、各測定部14に移動したアライメント装置50の位置再現性がきわめて高く、ウエハW上の電極パッドやプローブ28の位置を容易に検出することが可能となり、アライメント時間の短縮化を図ることができる。したがって、アライメント装置50の移動位置の精度を保ちつつ、設置面積の増加や装置コストの増加を抑えてスループットを向上させることができる。
また、本実施形態では、ウエハWを交換する毎にアライメント動作を最初から行う必要がなく、アライメント動作の一部を簡略化することも可能である。例えば、1枚目のウエハWの検査時には、ウエハWとプローブカード18との相対的な位置関係を検出してアライメントデータを記憶しておき、2枚目以降のウエハWの検査時には、1枚目のウエハWの検査時に取得したアライメントデータに基づき、ウエハWとプローブカード18との相対的な位置合わせを行うことができる。
また、本実施形態では、位置決め固定装置を備えたことによって、アライメント装置50の移動位置の精度を確保できるので、移動装置100として比較的高精度の移動が困難なベルト駆動機構等も好ましく用いることができる。
また、本実施形態では、位置決め固定装置は、アライメント装置50の3箇所を位置決めして着脱自在に把持固定するクランプ機構を有するので、アライメント装置50は、所謂3点支持構成により、水平方向及び鉛直方向に位置決めされ、かつ、アライメント装置50の鉛直方向周りの回転が拘束された状態で、アライメント装置50を基部11に対して固定することができる。これにより、各測定部14に移動したアライメント装置50を毎回同じ位置で精度良く位置決め固定することが可能となる。
なお、本実施形態では、アライメント装置50の3箇所をクランプ機構によって位置決め固定する構成を示したが、アライメント装置50の水平方向及び鉛直方向並びに鉛直方向周りの回転方向を位置決めすることが可能であれば、アライメント装置50の3箇所に限らず4箇所以上をクランプ機構によって位置決め固定する構成としてもよい。
また、本実施形態では、クランプ機構によりアライメント装置50の3箇所で位置決めと固定がそれぞれ同一位置で行われるようになっているが、これらの位置は必ずしも同一位置である必要はなく、位置決め位置と固定位置が分離して構成されてもよい。
例えば、アライメント装置50の3箇所を水平方向及び鉛直方向並びに鉛直方向周りの回転方向を位置決めした状態(すなわち、固定しない状態)で、これらの位置とは異なる1又は複数の箇所を周知の保持手段で保持して固定するようにしてもよい。保持手段としては、例えば、ねじりコイルバネ等の弾性部材の付勢力によってベース62の表裏面を上下方向から挟持する構成が好適である。
また、本実施形態では、クランプ機構には、アライメント装置50の水平方向を調節する高さ調節機構を有することが好ましい。高さ調節機構としては、例えば、押しネジ又は引きネジを利用した周知のネジ式高さ調節機構を用いることができる。これにより、例えばアライメント装置50が固定される基部11の面精度が変形によって悪くなっても、高さ調節機能によってアライメント装置50の平行調整を行うことができるので、アライメント精度の低下を防止することが可能となる。
また、本実施形態では、アライメント装置50には、アライメントカメラ66(第1の撮像手段)とプローブ位置検出カメラ54(第2の撮像手段)が搭載される。このため、測定部14毎に撮像手段が設けられる場合に比べて、測定部14毎の温度変化の違いによって生じる熱等の歪みによる影響を受けにくく、アライメントカメラ66とプローブ位置検出カメラ54との相対的な位置ずれが生じることがない。したがって、高精度かつ短時間でアライメント動作を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、3つの測定部14がX軸方向に沿って配列される構成を示したが、測定部14の数や配置は特に限定されるものではなく、例えば、X軸方向及びY軸方向に複数の測定部14が2次元的に配置されてもよい。
また、複数の測定部14からなる測定部群がZ軸方向に積み重ねられた多段構成としてもよい。例えば、図9に示した構成例は、4つの測定部14からなる測定部群15(15A〜15C)がZ軸方向に3段積み重ねられた構成である。この構成では、アライメント装置50が測定部群15毎に設けられ、同一の測定部群15における各測定部14間でアライメント装置50が共有されるようになっている。なお、すべての測定部14でアライメント装置50が共有されるように構成されていてもよい。このような構成によれば、装置全体のフットプリントを小さくし、単位面積あたりの処理能力を上げることができ、コストダウンを図ることができる。
次に、プローブカード18のプリヒートを実施するための構成を追加したプローバ10Aについて説明する。
図10は、プローブカード18のプリヒートを実施するための構成を追加したプローバ10Aの概略図である。
図10に示すように、プローバ10Aは、プローブカード18のプリヒートを実施するために、ウエハレベル検査を行う基本システムに対して、さらに、ウエハチャック固定機構140(ウエハチャック固定装置)、ウエハチャック位置決め機構142(ウエハチャック位置決め装置)、ウエハチャック保持機構144(ウエハチャック保持装置)、ブレーキ機構146(ブレーキ装置)等を追加したものに相当する。
以下、ウエハレベル検査を行う基本システムとの相違点を中心に説明し、基本システムと同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、プローバ10Aは、基本システムと同様、プローブ18aを含むプローブカード18が配置された複数の測定部14AA〜14CCと、目標温度に調節されるウエハチャック16と、複数の測定部14AA〜14CC間を移動するアライメント装置50等を備えている。なお、図10では、プローブカード18のプリヒートを実施するための構成以外、例えば、アライメント装置50を複数の測定部14AA〜14CC間で移動させるための機構は省略されている。
ウエハチャック16は、公知の温度調節装置(例えば、ウエハチャック16に内蔵されたヒートプレートやチラー装置等)により、高温又は低温の目標温度(検査温度)に調節される。ウエハチャック16は、測定部ごとに用意されており、個別に目標温度に調節される。
プローブカード18は、検査するウエハの電極配置に応じて配置されたプローブ18aを含んでおり、検査するウエハに応じて手動又は自動で交換される。
アライメント装置50は、基本システムと同様、ウエハチャック16に保持されたウエハの検査に際して、移動先の測定部で、プローブカード18とウエハチャック16に保持されたウエハとの相対的な位置合わせを行うために用いられる。また、アライメント装置50は、ウエハの検査(高温検査)前に実施されるプローブカード18のプリヒートに際して、移動先の測定部で、プローブ18a(先端)とウエハチャック16(上面)との間の距離が予め定められた距離となる目標位置にウエハチャック16を移動させるために用いられる。
目標位置は、プローブ18a(先端)とウエハチャック16(上面)との間の距離が予め定められた(設定された)距離L(図10参照)となる位置のことで、プローブ位置検出カメラ54によって検出されたプローブ18aの先端位置に予め定められた(設定された)距離Lを加算することで演算される(本発明の演算手段に相当)。すなわち、目標位置は、プローブ位置検出カメラ54によって検出されたプローブ18aの先端位置に基づき演算される。これは、例えば、CPU(図示せず)が所定プログラムを実行することで実現される。放射による伝熱量は物体からの距離の2乗に反比例して減衰するため、予め定められた距離Lは可能な限り狭く設定するのが望ましい。
ウエハチャック固定機構140は、ウエハチャック16をアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)に着脱自在に固定するための手段で、アライメント装置50側(Z軸移動・回転部52)に設けられている。ウエハチャック固定機構140は、真空吸着装置であってもよいし、ウエハチャック16に機械的に係合する係合装置であってもよいし、その他の装置であってもよい。
ウエハチャック位置決め機構142は、ウエハチャック固定機構140によるウエハチャック16の固定に際して、ウエハチャック16をアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)に対して位置決めするための手段で、例えば、位置決めピン142a及び当該位置決めピン142aが当接する凹部142bによって構成されている。位置決めピン142aは、アライメント装置50側(Z軸移動・回転部52)に設けられていてもよい(図10参照)し、ウエハチャック16側に設けられていてもよい。位置決めピン142aがアライメント装置50側(Z軸移動・回転部52)に設けられている場合(図10参照)、位置決めピン142aが当接する凹部142bは、ウエハチャック16側に設けられる。一方、これとは逆に、位置決めピン142aがウエハチャック16側に設けられている場合、位置決めピン142aが当接する凹部142bは、アライメント装置50側(Z軸移動・回転部52)に設けられる。
このウエハチャック位置決め機構142により、ウエハチャック16を着脱しても、ウエハチャック16をアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)に対して定位置に位置決めした状態で固定することができる。
ウエハチャック保持機構144は、プローブカード18のプリヒートに際して、目標位置に移動したウエハチャック16(図10中実線で描いたウエハチャック16参照)を当該目標位置に固定した状態で保持するための手段で、例えば、図10に示すように、上下方向に移動可能な保持部144aであって、下方から上方に向かって移動することで目標位置に移動したウエハチャック16に当接し、かつ、当該当接した状態で固定される保持部144aと、保持部144aを移動させる保持部移動機構(図10中省略)と、移動後の保持部144aを固定するブレーキ機構146と、で構成されている。
保持部144aは、例えば、図11に示すように、上下方向に揺動可能な保持部であって、下方から上方に向かって揺動することで目標位置に移動したウエハチャック16に当接し、かつ、当該当接した状態で固定される保持部である。具体的には、保持部144aは、上下方向に揺動可能な少なくとも3つの爪部144a(図11では2つの爪部144aのみが示されている)で、ウエハチャック16の外周近傍のヘッドステージ13側に周方向に等間隔又は不等間隔で配置されている。各々の爪部144aは、目標位置に移動したウエハチャック16の中心(アライメント装置50のZ軸)を含む面(鉛直面)内で揺動するようにヘッドステージ13側に支持されている。各々の爪部144aにより、より少ない部品点数で、目標位置に移動したウエハチャック16を当該目標位置に固定した状態で保持することができる。
保持部移動(揺動)機構は、各々の爪部144aを移動(揺動)させるための手段で、例えば、図11に示すように、ヘッドステージ13側に支持された回転可能なリング状の部材148、当該リング状の部材148の回転方向及び回転量に応じて各々の爪部144aを上下方向に揺動させる機構(図示せず)、及び、リング状の部材148を回転させるアクチュエータ(例えば、エア又は油圧シリンダ。図示せず)によって構成されている。
アクチュエータがリング状の部材148を一方の方向に回転させると、これに連動して各々の爪部144aは、下方から上方に向かって揺動して目標位置に移動したウエハチャック16に当接する(図11中実線で描いた各々の爪部144a参照)。また、アクチュエータがリング状の部材148を他の方向(逆方向)に回転させると、これに連動して各々の爪部144aは、上方から下方に向かって揺動してウエハチャック16のZ軸方向の移動経路外に退避する(図11中点線で描いた各々の爪部144a参照)。
ブレーキ機構146は、目標位置に移動したウエハチャック16に当接した各々の爪部144aをその当接した状態で固定するための手段で、ヘッドステージ13側に支持されている。ブレーキ機構146は、例えば、図11に示すように、ブレーキパッド146aを含み、当該ブレーキパッド146aをリング状の部材148(外周面)に押し当てることで、目標位置に移動したウエハチャック16に当接した各々の爪部144aをその当接した状態で固定する。
なお、アクチュエータとしてブレーキ付きのシリンダーを用いることで、ブレーキ機構146を省略することができる。
保持部移動(揺動)機構は、上記に限らず、例えば、各々の爪部144aに直接又は所定の機構を介して連結されたアクチュエータ(例えば、エア又は油圧シリンダ)であってもよい。この場合もアクチュエータとしてブレーキ付きのシリンダーを用いることで、ブレーキ機構146を省略することができる。
なお、ウエハチャック固定機構140、ウエハチャック保持機構144、ブレーキ機構146は、不図示の制御手段による制御によって駆動される。
次に、プローバ10Aにおけるプローブカード18のプリヒート動作について説明する。
まず、これからプローブカード18のプリヒートを行う測定部14にアライメント装置50を移動させ、位置決め固定した後、Z軸移動・回転部52を上昇させて、アライメント装置50(Z軸移動・回転部52)にウエハチャック16を保持する。ウエハチャック16はウエハチャック固定機構140によってアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)に着脱自在に固定される。その際、ウエハチャック16は、ウエハチャック位置決め機構142によってアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)に対して定位置に位置決めした状態で固定される。
次に、保持部移動(揺動)機構によって各々の爪部144aをウエハチャック16のZ軸方向の移動経路外に待避させて(図11中点線で描いた各々の爪部144a参照)ウエハチャック16のZ軸方向の移動経路を確保した後、当該ウエハチャック16を目標位置に移動させる。具体的には、プローブ位置検出カメラ54がプローブ18aの下に位置するように、X軸移動台58を移動させ、カメラ移動機構56でプローブ位置検出カメラ54をZ軸方向に移動して焦点を合わせ、プローブ位置検出カメラ54でプローブ18aの先端位置を検出する。プローブ18aの先端の水平面内の位置(X及びY座標)はカメラの座標により検出され、垂直方向の位置はカメラの焦点位置で検出される。なお、プローブカード18には、通常数百から数千本以上ものプローブ18aが設けられており、すべてのプローブ18aの先端位置を検出せずに、通常は特定のプローブの先端位置を検出する。
次に、上記のようにして検出されたプローブ18aの先端位置(垂直方向の位置)に基づき、プローブ18a(先端)とウエハチャック16(上面)との間の距離が予め定められた(設定された)距離L(図10参照)となる位置が演算される。そして、アライメント装置50(Z軸移動・回転部52)によりウエハチャック16を上記演算された目標位置に移動させる。これにより、プローブ18a(先端)とウエハチャック16(上面)との間の距離が一定距離Lに保たれる。
次に、ウエハチャック16が目標位置に移動(停止)した状態で、リング状の部材148を一方の方向に回転させることで各々の爪部144aを下方から上方に向かって移動(揺動)させて目標位置に移動したウエハチャック16に当接させる(押し当てる)。そして、ブレーキパッド146aをリング状の部材148(外周面)に押し当てることで、目標位置に移動したウエハチャック16に当接した各々の爪部144aをその当接した状態で固定する。これにより、ウエハチャック16は、各々の爪部144aに載置された状態となる。
次に、ウエハチャック固定機構140によるウエハチャック16とアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)との固定を解除した後、Z軸移動・回転部52をZ軸方向に下降させ、ウエハチャック16からアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)を分離する。ウエハチャック16は、上記のように各々の爪部144aに載置された状態であるため、アライメント装置50がウエハチャック16から分離した後も、目標位置に固定した状態で保持される。
次に、ウエハチャック16が目標温度(高温検査温度)に加熱される。この加熱による輻射熱によりプローブカード18のプリヒートが実施される。なお、ウエハチャック16はこれよりも前から加熱してもよい。
以下、他の測定部14についても、同様の手順で、プローブカード18のプリヒートが実施される。
各測定部14においてプローブカード18のプリヒートが完了すると、上記説明したウエハの検査が各々の測定部で実施される。
以上説明したように、本実施形態によれば、プローブ18aを含むプローブカード18が配置された複数の測定部14AA〜14CCでアライメント装置50を共有可能なプローバ10Aにおいて、各々の測定部14AA〜14CCでプローブカード18のプリヒートを行うに際して各々の測定部14AA〜14CCがアライメント装置50を占有する時間を短縮することができる(その結果、装置稼働率を向上させることができる)。
これは、アライメント装置50がウエハチャック16から分離した後も、ウエハチャック16をウエハチャック保持機構144によって目標位置に固定した状態で保持することができるため、すなわち、当該アライメント装置50が分離した状態でプローブカード18のプリヒートができるため、アライメント装置50が各々の測定部14AA〜14CCでプリヒート完了まで待機しなくてもよいことによるものである。
また、本実施形態によれば、交換前のプローブカード18のプローブ18aの長さと交換後のプローブカード18のプローブ18aの長さとが異なる場合であっても、交換前後でプローブ18a(先端)とウエハチャック16(上面)との間の距離を一定距離L(プローブカード18のプリヒートを効率よく行うことができる最適距離)に保つことができる。
これは、プローブカード18のプリヒートに際して、ウエハチャック16がプローブ位置検出カメラ54によって検出されたプローブ18aの先端位置に基づき演算される目標位置に移動されることによるものである。
また、本実施形態によれば、ウエハチャック固定機構140によってウエハチャック16をアライメント装置50に着脱自在に固定できるとともに、ウエハチャック位置決め機構142によってウエハチャック16の固定に際して、ウエハチャック16のアライメント装置50(Z軸移動・回転部52)に対する位置再現性を極めて高くすることができる。
また、本実施形態では、3つの測定部14AA〜14CCがX軸方向に沿って配列される構成を示したが、測定部14の数や配置は特に限定されるものではなく、例えば、X軸方向及びY軸方向に複数の測定部14が2次元的に配置されてもよいし、複数の測定部14からなる測定部群がZ軸方向に積み重ねられた多段構成としてもよい。
以上、本発明のプローバ及びプローブカードのプリヒート方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。