JP5856421B2 - 表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法 - Google Patents
表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5856421B2 JP5856421B2 JP2011217937A JP2011217937A JP5856421B2 JP 5856421 B2 JP5856421 B2 JP 5856421B2 JP 2011217937 A JP2011217937 A JP 2011217937A JP 2011217937 A JP2011217937 A JP 2011217937A JP 5856421 B2 JP5856421 B2 JP 5856421B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vanadium dioxide
- protective layer
- surface protective
- dioxide particles
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
例えば、上記サーモクロミック性フィルムの一用途として、合わせガラス用中間膜を製造する場合、合わせガラス用中間膜中に二酸化バナジウムを分散させることにより、二酸化バナジウムの相転移温度未満では可視光線及び赤外線の透過率が高いが、相転移温度以上になると可視光線の透過率が高い状態で、赤外線の透過率が低下する性質を示す合わせガラス用中間膜が得られることが期待される。
しかしながら、実際には二酸化バナジウム粒子を分散させたサーモクロミック性フィルムを長期間保管すると、サーモクロミック性が低下するという問題があった。
以下に本発明を詳述する。
混合条件について、二酸化バナジウム粒子を均一に分散できる方法であれば特に限定されず、例えば、磁気スターラー攪拌、モーター付きの機械的な攪拌、ガスバーブリング、液循環、超音波分散、ボールミルやロータリーミキサーのような回転分散、又は上記方法を併用することによって行うことができる。
上記特定元素とフッ素とを有する錯体イオンを含有することで、表面処理工程において水による二酸化バナジウムの劣化が生じることを防止することができるため、表面処理を水溶液中で行うことができる。
上記周期律表第4、13及び14族の元素から選択される少なくとも1種の特定元素としては、例えば、Ti、Zr、Hf、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn等が好ましい。なかでも、Siを用いることが好ましい。
なかでも、R2AF6に示す構造を有するフッ化物(A:周期律表第4族の元素及びケイ素から選択される少なくとも1種の特定元素、R:H、NH4又はアルカリ金属)等が挙げられる。
上記フッ化物の含有量が5.0×10−10モル未満であると、表面保護層の形成が困難となり、1.0×10−5モルを超えると、表面保護層の厚みが厚くなりすぎ、厚み制御が困難となる。より好ましい下限は5.0×10−8モル、より好ましい上限は5.0×10−6モルである。
なお、上記二酸化バナジウム粒子の単位表面積(m2)当たりのフッ化物の含有量(Q)は、下記式により求めることができる。
Q = Wr/(Mr × Wp × Sp)
ただし、WrとMrはそれぞれフッ化物の添加量(g)と分子量であり、WpとSpはそれぞれ二酸化バナジウム粒子の仕込量(g)と比表面積(m2/g)である。
本発明では、このようなホウ素を含有する化合物は遊離のフッ素イオンの濃度を調節する調整剤として使う。表面処理工程において、上記錯体イオンとホウ素を含有する化合物とが反応することで、フッ素が消費され、表面保護層の形成を促進させることができる。
ホウ素を含有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記ホウ素を含有する化合物としては、例えば、酸化ホウ素、四ホウ酸ナトリウム、ホウ酸(H3BO3)等が挙げられる。これらの中では、ホウ酸が好ましい。
一般には、仕込みの二酸化バナジウム粒子の量が一定であれば、反応時間が長くなるほど表面保護層の厚みが厚くなる。反応時間が短すぎると表面保護層の形成が不完全となる。一方、反応時間が長すぎると非経済的である。
また、本発明の製造方法では、上記乾燥した表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子を200〜600℃の温度で更に熱処理してもよい。
二酸化バナジウムは様々な結晶相が存在するが、単斜晶結晶と正方晶結晶(ルチル型)が可逆的に相転移する。その相転移温度は約68℃である。
上記二酸化バナジウム粒子として、バナジウム原子の一部が、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、タリウム、スズ、レニウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ゲルマニウム、クロム、鉄、ガリウム、アルミニウム、フッ素及びリン等の原子で置換された置換二酸化バナジウム粒子も含まれる。
上記置換二酸化バナジウムを用いる場合、金属原子の置換率の好ましい下限は0.1原子%、好ましい上限は10原子%である。置換率が0.1原子%以上であると、上記置換二酸化バナジウムの相転移温度を容易に調整することができ、10原子%以下であると、優れたサーモクロミック性を得ることができる。
なお、置換率とは、バナジウム原子数と置換された原子数との合計に占める、置換された原子数の割合を百分率で示した値である。
上記表面保護層は、二酸化バナジウム粒子の表面の少なくとも一部に形成されていてもよく、二酸化バナジウム粒子の表面全体を被覆するように形成されていてもよい。上記二酸化バナジウム粒子の酸化をより一層抑制できることから、上記表面保護層は、二酸化バナジウム粒子の表面全体を被覆するように形成されていることが好ましい。
上記金属酸化物は、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。なかでも、長期間保管しても優れたサーモクロミック性を有するサーモクロミック性フィルムが得られることから、上記表面保護層は上記金属酸化物として二酸化ケイ素を含有することが好ましい。
上記フッ化物は、例えば、フッ素イオンと化学反応することにより得られた化合物又はトリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフッ素を含有するシランカップリング剤を化学反応することにより得られた化合物等を含有することが好ましい。
上記フッ化物層は、主成分がフッ化物であることが好ましく、実質的にフッ化物にて構成されていることがより好ましい。
上記金属酸化物層は、主成分が金属酸化物であることが好ましく、実質的に金属酸化物にて構成されていることがより好ましい。
なお、上記表面保護層、上記金属酸化物を含有する層、上記金属酸化物層、上記フッ化物を含有する層及び上記フッ化物層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。上記厚みとは最も厚い部分の厚みを意味する。
上記熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。上記熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、ガラス板に対するサーモクロミック性フィルムの接着力をより一層高くすることができる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1600以上、最も好ましくは2700以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が200以上であることで、本発明のサーモクロミック性フィルムを合わせガラス用中間膜として用いた場合、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が5000以下であることで、サーモクロミック性フィルムの成形が容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して、原料となるポリビニルアルコールの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル基量と水酸基の含有率とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、次いで、100モル%からアセチル基量と水酸基の含有率とを差し引くことにより算出され得る。
なお、ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合には、上記アセタール化度(ブチラール化度)およびアセチル基量は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
上記可塑剤は特に限定されない。該可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等などの有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記分散剤は、サーモクロミック性フィルム中に、上記二酸化バナジウム粒子を分散させる役割を有する。
上記分散剤として、グリセリンエステル、ポリカルボン酸等が挙げられる。
上記グリセリンエステルは特に限定されず、例えば、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンデカステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンジステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、テトラグリセリンペンタステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、グリセロールモノステアレート、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンデカオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリンペンタオレイン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、グリセロールモノオレエート、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、カプリン酸トリグリセライド、ミリスチン酸モノグリセライド、ミリスチン酸トリグリセライド、デカグリセリンモノカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリル酸エステル、カプリル酸トリグリセライド、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンヘプタベヘニン酸エステル、デカグリセリンドデカベヘニン酸エステル、ポリグリセリンベヘニン酸エステル、デカグリセリンエルカ酸エステル、ポリグリセリンエルカ酸エステル、テトラグリセリン縮合リシノール酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等が挙げられる。
上記グリセリンエステルのうち市販品としては、例えば、SYグリスターCR−ED(阪本薬品工業社製、縮合リシノール酸ポリグリセリン酸エステル)、SYグリスターPO−5S(阪本薬品工業社製、オレイン酸ヘキサグリセリンペンタエステル)等が挙げられる。
上記ポリカルボン酸は特に限定されず、例えば、主鎖骨格にカルボキシル基を有するポリマーにポリオキシアルキレンをグラフトしたポリカルボン酸重合体等が挙げられる。
上記ポリカルボン酸のうち市販品としては、例えば、日油社製マリアリムシリーズ(AFB−0561、AKM−0531、AFB−1521、AEM−3511、AAB−0851、AWS−0851、AKM−1511−60等)等が挙げられる。
上記水系分散剤は、表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子を分散させるために、添加することもできるが、二酸化バナジウムの表面保護層を形成する際にも分散剤として使用することもできる。例えば、酸化チタン層の表面保護層を形成する場合に、チタンフッ化アンモニウムとホウ酸を含有する水溶液と、二酸化バナジウム粒子との混合液に、上記水系分散剤を添加することができる。
上記混合物を作製する方法として、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー、カレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。なかでも、連続的な生産に適することから、押出機を用いる方法が好適である。
本発明のサーモクロミック性フィルムを成形する方法として、押し出し法、カレンダー法、プレス法等が挙げられる。
上記分散液中における上記表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の分散径(D50)の好ましい上限は100μmである。D50が100μm以下であると、透明性に優れるサーモクロミック性フィルムを製造することができる。D50のより好ましい上限は10μmである。D50の下限については特に限定されないが、実質的には10nmが限界であると考えられる。
なお、本明細書においてD50とは、粒子をある粒子径から2つに分けたときに、大きい側と小さい側が等量となる粒子径のことを意味する。
本発明の合わせガラスの製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができる。
このような本発明のサーモクロミック性フィルムを用いた貼り付け用フィルムもまた、本発明の1つである。
上記貼り付け用フィルムは、更に接着層を有していてもよい。上記接着層としては、特に限定されず、上記貼り付け用フィルムを窓ガラス等に接着し得る公知の接着剤を含む層を挙げることができる。
(1)表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の調製
0.1mol/Lチタンフッ化アンモニウム((NH4)2TiF6)と0.2mol/Lほう酸を含有する水溶液500mlと、体積平均粒径が77μmの二酸化バナジウム粒子(新興化学社製)3gとを混合し、混合液を得た。混合液を攪拌しながら、35℃で2時間を反応させた。なお、水溶液におけるTiF6 2−の濃度は0.2Mであった。
反応後に、ろ過、洗浄工程を経て回収した粒子を120℃で1時間真空乾燥した。
FE−SEMに付属されているエネルギー分散型X線(EDX)(HORIBA社製「EX−320」)を用いて、得られた粒子の表面保護層の元素組成を分析した。その結果、二酸化バナジウム粒子の表面を被覆するように表面保護層が形成されていることを確認した。更に、二酸化バナジウム粒子の表面に、酸化チタン層(厚み50nm)が形成されていることを確認した。
表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子3重量部と、分散剤として縮合リシノール酸ポリグリセリンエステル(SYグリスターCR−ED、阪本薬品工業社製)1重量部と、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)28重量部とをビーズミルで混合し、表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子分散液を得た。
表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子分散液32重量部とポリビニルブチラール樹脂(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル基量1モル%、平均重合度が1700であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化して得られた樹脂)72重量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、押出機を用いて、厚み760μmの合わせガラス用中間膜を作製した。
合わせガラス用中間膜(縦5cm×横5cm)を、2枚の透明なフロートガラス(縦5cm×横5cm、厚さ2mm)の間に挟み、積層体とし、この積層体をゴムバックに入れ、ゴムバック内の圧力−53.2KPa下で100℃まで昇温し、100℃、−53.2KPa下で20分間保持した後に室温まで冷却し、減圧を解除し、合わせガラスを得た。
表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の調製において、反応時間を5時間に変更した以外は実施例1と同様に、表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子を作製した。
なお、FE−SEMに付属されているエネルギー分散型X線(EDX)(HORIBA社製「EX−320」)を用いて、得られた粒子の表面保護層の元素組成を分析した。その結果、二酸化バナジウム粒子の表面を被覆するように表面保護層が形成されていることを確認した。更に、二酸化バナジウム粒子の表面に、酸化チタン層(厚み200nm)が形成されていることを確認した。
得られた表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子を用いた点以外は、実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
0.1mol/Lチタンフッ化アンモニウム((NH4)2TiF6)と0.2mol/Lほう酸を含有する水溶液500mlと、体積平均粒径が230nmの二酸化バナジウム粒子(新興化学社製)3g、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルアミン(アミート320、花王社製)3gと混合し、混合液を得た。混合液を攪拌しながら、35℃で5時間反応させた。反応後に、ろ過、洗浄工程を経て回収した粒子を35℃で1時間真空乾燥した。
FE−SEMに付属されているエネルギー分散型X線(EDX)(HORIBA社製「EX−320」)を用いて、得られた粒子の表面保護層の元素組成を分析した。その結果、二酸化バナジウム粒子の表面を被覆するように表面保護層が形成されていることを確認した。更に、二酸化バナジウム粒子の表面に、酸化チタン層(厚み125nm)が形成されていることを確認した。
得られた表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子を用いた点以外は、実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
0.1mol/ケイフッ化アンモニウム((NH4)2SiF6)と0.2mol/Lほう酸を含有する水溶液500mlと、体積平均粒径が230nmの二酸化バナジウム粒子(新興化学社製)3g、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルアミン(アミート320、花王社製)3gと混合し、混合液を得た。混合液を攪拌しながら、35℃で2時間反応させた。反応後に、ろ過、洗浄工程を経て回収した粒子を35℃で1時間真空乾燥した。
FE−SEMに付属されているエネルギー分散型X線(EDX)(HORIBA社製「EX−320」)を用いて、得られた粒子の表面保護層の元素組成を分析した。その結果、二酸化バナジウム粒子の表面を被覆するように表面保護層が形成されていることを確認した。更に、二酸化バナジウム粒子の表面に、二酸化ケイ素層(厚み190nm)が形成されていることを確認した。
上記で得られた表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子を用いた点以外は、実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の調製において、反応時間を5時間に変更した以外は実施例4と同様に、表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
FE−SEMに付属されているエネルギー分散型X線(EDX)(HORIBA社製「EX−320」)を用いて、得られた粒子の表面保護層の元素組成を分析した。その結果、二酸化バナジウム粒子の表面を被覆するように表面保護層が形成されていることを確認した。更に、二酸化バナジウム粒子の表面に、二酸化ケイ素層(厚み220nm)が形成されていることを確認した。
上記で得られた表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子を用いた点以外は、実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
表面保護層を形成しなかった以外は実施例3と同様に、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
表面保護層を形成しなかった以外は実施例4と同様に、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
体積平均粒径が77μmの二酸化バナジウム粒子(新興化学社製)5gを水/エタノール混合液(10/90g)に添加し、混合液を得た。混合液を攪拌しながら、シランカップリング剤(KBE−403、信越化学社製)0.25gをゆっくり滴下した。滴化後、35℃で1時間反応させた。反応後に、ろ過、洗浄工程を経て回収した粒子を120℃で1時間真空乾燥した。
FE−SEMに付属されているエネルギー分散型X線(EDX)(HORIBA社製「EX−320」)を用いて、得られた粒子の表面保護層の元素組成を分析した。その結果、二酸化バナジウム粒子の表面を被覆するように表面保護層が形成されていなかった。
体積平均粒径が230nmの二酸化バナジウム粒子(新興化学社製)5gを水/エタノール混合液(10/90g)に添加し、混合液を得た。混合液を攪拌しながら、シランカップリング剤(KBE−403、信越化学社製)0.25gをゆっくり滴下した。滴化後、35℃で1時間反応させた。反応後に、ろ過、洗浄工程を経て回収した粒子を120℃で1時間真空乾燥した。
FE−SEMに付属されているエネルギー分散型X線(EDX)(HORIBA社製「EX−320」)を用いて、得られた粒子の表面保護層の元素組成を分析した。その結果、二酸化バナジウム粒子の表面を被覆するように表面保護層が形成されていなかった。
実施例及び比較例で得られた二酸化バナジウム粒子について以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
得られた二酸化バナジウム粒子を、X線回折法(XRD)(Rigaku社製「RINT1000」)を用いて測定し、VO2メインピーク((011)面、2θ=27.8°)における半値幅βを算出した(酸化促進評価前)。更に、得られた二酸化バナジウム粒子を85℃のオーブン内に1時間保管した後、同様に、半値幅βを算出した(酸化促進評価後)。なお、酸化等の劣化が進行すると、半値幅の数値が高くなる。
酸化促進評価前の二酸化バナジウム粒子及び酸化促進評価後の二酸化バナジウム粒子の相転移時の熱量ΔH(mJ/mg)を、示差走査熱量計DSC(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「DSC6220」)を用いて測定した。酸化促進評価前の二酸化バナジウム粒子の熱量ΔHを100とした場合の酸化促進評価後の二酸化バナジウム粒子の熱量ΔHを算出した。なお、0℃〜100℃までの温度範囲を昇温速度5℃/minの条件で、窒素雰囲気下にて、熱量ΔHを測定した。
Claims (4)
- 表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子を製造する方法であって、
周期律表第4、13及び14族の元素から選択される少なくとも1種の特定元素とフッ素とを含有する錯体イオンを含有する表面処理液と二酸化バナジウム粒子とを混合することにより、前記二酸化バナジウム粒子に表面保護層を形成する工程を有する
ことを特徴とする表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法。 - 錯体イオンは、AF6 2−(A:周期律表第4、13及び14族の元素から選択される少なくとも1種の特定元素)であることを特徴とする請求項1記載の表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法。
- 特定元素が、ケイ素、チタン、ジルコニウム、及び、アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法。
- 表面保護層を形成する工程において、更にホウ酸を添加することを特徴とする請求項1、2又は3記載の表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011217937A JP5856421B2 (ja) | 2011-09-30 | 2011-09-30 | 表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011217937A JP5856421B2 (ja) | 2011-09-30 | 2011-09-30 | 表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013075806A JP2013075806A (ja) | 2013-04-25 |
JP5856421B2 true JP5856421B2 (ja) | 2016-02-09 |
Family
ID=48479581
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011217937A Expired - Fee Related JP5856421B2 (ja) | 2011-09-30 | 2011-09-30 | 表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5856421B2 (ja) |
Families Citing this family (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6386305B2 (ja) * | 2013-08-30 | 2018-09-05 | 積水化学工業株式会社 | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス |
JP2015193532A (ja) * | 2014-03-27 | 2015-11-05 | 積水化学工業株式会社 | 置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルム |
JP6560554B2 (ja) * | 2014-07-14 | 2019-08-14 | 積水化学工業株式会社 | サーモクロミック性フィルム |
JPWO2016017604A1 (ja) * | 2014-07-30 | 2017-04-27 | コニカミノルタ株式会社 | 光学フィルム及び光学フィルムの製造方法 |
CN106660822B (zh) * | 2014-09-22 | 2019-05-03 | 积水化学工业株式会社 | 碳被覆二氧化钒粒子 |
JP6445824B2 (ja) * | 2014-09-30 | 2018-12-26 | 積水化学工業株式会社 | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス |
CN107074582A (zh) * | 2014-10-03 | 2017-08-18 | 柯尼卡美能达株式会社 | 核·壳结构的含有氧化钒的粒子 |
WO2017033533A1 (ja) * | 2015-08-21 | 2017-03-02 | コニカミノルタ株式会社 | サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体 |
JP6518553B2 (ja) * | 2015-08-25 | 2019-05-22 | アイシン精機株式会社 | 車両用二酸化バナジウム薄膜の製造方法及びその積層体の製造方法 |
WO2017056897A1 (ja) * | 2015-10-01 | 2017-04-06 | コニカミノルタ株式会社 | サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体 |
WO2017077797A1 (ja) * | 2015-11-06 | 2017-05-11 | コニカミノルタ株式会社 | サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体 |
JPWO2017126224A1 (ja) * | 2016-01-18 | 2018-11-01 | コニカミノルタ株式会社 | サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体 |
WO2017212778A1 (ja) * | 2016-06-07 | 2017-12-14 | コニカミノルタ株式会社 | サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子、その製造方法、サーモクロミックフィルム及びその製造方法 |
JP6941829B2 (ja) * | 2017-02-28 | 2021-09-29 | 御国色素株式会社 | 二酸化バナジウム粒子含有組成物 |
KR102470079B1 (ko) * | 2017-07-17 | 2022-11-22 | 엘지디스플레이 주식회사 | 변색 나노 입자, 이를 포함하는 변색 장치 및 이를 포함하는 표시 장치 |
JP7446761B2 (ja) * | 2019-10-11 | 2024-03-11 | 新日本電工株式会社 | 表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子及びその製造方法並びにこの二酸化バナジウム粒子を含有する放熱シートおよび放熱コンパウンド |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004346260A (ja) * | 2003-05-26 | 2004-12-09 | Toagosei Co Ltd | サーモクロミックフィルムおよびサーモクロミックガラス |
JP4900900B2 (ja) * | 2005-12-21 | 2012-03-21 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 金属微粒子表面プラズモン共鳴特性を可逆的に制御する方法、材料及びデバイス |
WO2007115959A2 (en) * | 2006-04-11 | 2007-10-18 | Ciba Holding Inc. | Process for producing metal oxide flakes |
JP5476581B2 (ja) * | 2008-06-30 | 2014-04-23 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | サーモクロミック微粒子、その分散液、その製造方法、ならびに調光性塗料、調光性フィルムおよび調光性インク |
WO2010090274A1 (ja) * | 2009-02-09 | 2010-08-12 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 微粒子、その製造方法、ならびにそのような微粒子を含む塗料、フィルムおよびインク |
JP5625172B2 (ja) * | 2009-12-28 | 2014-11-19 | 東亞合成株式会社 | 二酸化バナジウム微粒子、その製造方法、及びサーモクロミックフィルム |
JP5548479B2 (ja) * | 2010-02-26 | 2014-07-16 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 単結晶微粒子の製造方法 |
-
2011
- 2011-09-30 JP JP2011217937A patent/JP5856421B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013075806A (ja) | 2013-04-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5856421B2 (ja) | 表面保護層を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法 | |
JP5781837B2 (ja) | サーモクロミック性フィルム、合わせガラス用中間膜、合わせガラス及び貼り付け用フィルム | |
JP6255520B2 (ja) | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス | |
US8784992B2 (en) | Interlayer film for laminated glass and laminated glass | |
JP5571026B2 (ja) | 合わせガラス用中間膜、合わせガラス及び合わせガラスの製造方法 | |
JP6475495B2 (ja) | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス | |
TWI725057B (zh) | 層合玻璃用中間膜及層合玻璃 | |
JP5899874B2 (ja) | 赤外線遮蔽材料微粒子分散液とその製造方法および熱線遮蔽膜と熱線遮蔽合わせ透明基材 | |
JP5317965B2 (ja) | 合わせガラス用中間膜、合わせガラス、及び、酸化亜鉛微粒子分散液 | |
WO2019194113A1 (ja) | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス | |
WO2015046584A1 (ja) | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス | |
JP5317966B2 (ja) | 合わせガラス用中間膜、合わせガラス、及び、酸化亜鉛微粒子分散液 | |
JP2012072039A (ja) | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス | |
JP6386305B2 (ja) | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス | |
CN112272615A (zh) | 玻璃接合用薄膜、其制备方法及包括其的移动装置 | |
EP4301596A1 (en) | Poly (vinyl butyral) compositions for use with solar additives | |
JP5427721B2 (ja) | 二酸化バナジウム粒子分散液、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス | |
JP5438617B2 (ja) | 二酸化バナジウム粒子分散液、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス | |
JP2010070436A (ja) | 金属酸化物微粒子分散液、合わせガラス用中間膜、及び、合わせガラス | |
CN116917121A (zh) | 与太阳能添加剂一起使用的聚(乙烯醇缩丁醛)组合物 | |
JP2015193532A (ja) | 置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルム | |
JP2011132122A (ja) | 合わせガラス用中間膜 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140901 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150410 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150519 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150721 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150818 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151009 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20151117 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20151211 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5856421 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |