JP2015193532A - 置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルム - Google Patents

置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜に用いる場合に、サーモクロミック性に優れ、可視光線透過率の低下を抑制したサーモクロミック性フィルム及び合わせガラスが得られる置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルムを提供する。【解決手段】ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)を含有し、かつ、タングステン、モリブデン及びニオブからなる群より選択される少なくとも1種のドーパント元素がドープされた置換酸化バナジウム粒子であって、前記置換酸化バナジウム粒子が含有する酸化バナジウム100質量%に対するルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率が95質量%以上であり、かつ、平均結晶子径が5〜15nmである置換酸化バナジウム粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜に用いる場合に、サーモクロミック性に優れ、可視光線透過率の低下を抑制したサーモクロミック性フィルム及び合わせガラスが得られる置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルムに関する。
酸化バナジウム(IV)には、様々な結晶相が存在するが、ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)は単斜晶と正方晶(ルチル型)が可逆的に相転移する。相転移温度未満では半導体相を示すが、相転移温度以上では金属相の結晶構造を形成する。その結果、赤外線の透過率や反射率等の光学的特性、抵抗率等の電気特性及び蓄熱等の熱的特性が可逆的に変化する。
一方、相転移温度は約68℃であるため、用途によってはそのまま使えることもあるが、例えば建築物や自動車等の窓に使用することを考えた場合、対象物における快適な温度と不快な温度との境界領域に転移温度を設定することが望まれ、この点を考慮すると、相転移温度を下げることが好ましい。
相転移温度を下げる方法としては、バナジウム原子の一部を他の金属原子等で置換する方法が行われている。バナジウム原子と置換される原子をドーパント(元素)と呼ぶ。一般的には、転移温度を下げていくと、つまりドーパント量が増えると未ドープの酸化バナジウム(IV)に比べて相転移エネルギーが小さくなる傾向を示し、上述の光学的特性、電気的特性、熱的特性等の温度変化による変化幅が小さくなる可能性が高い。
このようなドーパントで置換されたルチル型構造の酸化バナジウム粒子としては、例えば、特許文献1には、バナジウムアルコキシドとタングステンアルコキシドとをゾルゲル法で反応させ前駆体を生成し、得られた前駆体を還元処理及び焼成処理することで、置換酸化バナジウム粒子を製造する方法が開示されている。
しかしながら、この方法で得られた置換酸化バナジウム粒子は、酸化バナジウムの結晶性が低く、サーモクロミック性が低いという問題があった。
また、結晶体の結晶性を高めサーモクロミック性の低下を抑制した酸化バナジウム粒子としては、例えば、特許文献2には、ロッド状単結晶を有した酸化バナジウム粒子が開示されている。
しかしながら、このような酸化バナジウム粒子は、結晶体の寸法が大きく、可視光線透過率の低下を招くという問題があった。
特開2011−136873号公報 国際公開第2010/090274号パンフレット
本発明は、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜に用いる場合に、サーモクロミック性に優れ、可視光線透過率の低下を抑制したサーモクロミック性フィルム及び合わせガラスが得られる置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルムを提供することを目的とする。
本願において、サーモクロミック性に優れるとは、転移温度未満の温度帯での赤外領域の透過率は高く、転移温度以上の温度帯の赤外領域の透過率は低くなり、転移温度未満の温度帯と転移温度以上の温度帯とで光学特性変化が大きいことを意味する。
本発明は、ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)を含有し、かつ、タングステン、モリブデン及びニオブからなる群より選択される少なくとも1種のドーパント元素がドープされた置換酸化バナジウム粒子であって、前記置換酸化バナジウム粒子が含有する酸化バナジウム100質量%に対するルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率が95質量%以上であり、かつ、平均結晶子径が5〜15nmである置換酸化バナジウム粒子である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、鋭意検討した結果、ドーパント元素をドープした置換酸化バナジウム粒子において、置換酸化バナジウム粒子が含有する酸化バナジウム100質量%に対するルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有量を所定量とすることに加え、平均結晶子径を所定の範囲内とすることで、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜に用いる場合に、サーモクロミック性及び透明性に優れるサーモクロミック性フィルム及び合わせガラスが得られる置換酸化バナジウム粒子とすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の置換酸化バナジウム粒子は、ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)を含有する。酸化バナジウム(IV)は、A型、B型、M型等様々な結晶構造が存在することが知られている。その中で上記ルチル型構造を形成した場合のみ相転移挙動を発現する。転移温度未満では単斜晶構造になり半導体特性を示し、転移温度以上では正方晶構造になり金属特性に変わる。その結果、温度変化に応じて光学特性、電気特性、熱的特性が可逆的に変化する。この可逆的変化を利用して、例えば環境温度の変化のみで自動的に調光するなどの利点がある。
本発明の置換酸化バナジウム粒子は、上記置換酸化バナジウム粒子が含有する酸化バナジウム100質量%に対する、ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率が95質量%以上である。すなわち、ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率は、以下の式によって算出される。

(ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率)=100×(ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有量)/(ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有量+ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)以外の酸化バナジウムの含有量)

上記ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率を上記範囲内とすることで、置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、得られる合わせガラスのサーモクロミック性能が向上する。上記置換酸化バナジウム粒子が含有する全ての酸化バナジウム100質量%に対する、ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率は96質量%以上であることが好ましい。
なお、上記式中の「ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有量」には、バナジウム原子の一部がドーパント元素に置換されたルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有量を含む。すなわち、上記式中の「ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有量」は、バナジウム原子の一部がドーパント元素に置換されたルチル型構造の酸化バナジウム(IV)を構成するバナジウム原子、酸素原子及びドーパント元素の含有量の合計を含む。同様に、「ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)以外の酸化バナジウムの含有量」は、ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)以外の酸化バナジウムであり、且つ、バナジウム原子の一部がドーパント元素に置換された酸化バナジウムを構成するバナジウム原子、酸素原子及びドーパント元素の含有量の合計を含む。
なお、本発明の置換酸化バナジウム粒子中のルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有量は、例えば、組成物のXRD測定を行い、リートベルト解析を行うことによって測定することができる。得られたルチル型の酸化バナジウム(IV)粒子を乳鉢で十分解砕した後、X線回折装置(リガク社製、「Smart lab」)を用いて、Kβフィルター法、電圧40KV、電流30mA、スキャン速度4°/min、回折角2θ=10.0〜130.0°、ステップ0.01、の条件下で測定し、得られたXRDパターンデータについて解析ソフト(リガク社製PDXL)を用いることでルチル型構造の酸化バナジウム(IV)含有率を算出することができる。
上記ドーパント元素としては、タングステン、モリブデン及びニオブからなる群より選択される少なくとも1種の元素を用いる。このようなドーパント元素の添加により、置換酸化バナジウム粒子の相転移温度を充分に低下させることができ、得られるサーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。
本発明の置換酸化バナジウム粒子において、上記バナジウム原子と上記ドーパント元素との含有量の合計100質量%に対する上記ドーパント元素の含有量の上限は15.0質量%であることが好ましい。
上記バナジウム原子と上記ドーパント元素との含有量の合計100質量%に対する上記ドーパント元素の含有量が15.0質量%以下であれば、酸化バナジウムの結晶性をより一層維持することできる。その結果、得られるサーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性がより一層向上する。
上記バナジウム原子と上記ドーパント元素との含有量の合計100質量%に対する上記ドーパント元素の含有量の好ましい下限は0.1質量%、より好ましい下限は0.2質量%、より好ましい上限は5.0質量%、更に好ましい上限は4.0質量%、特に好ましい上限は3.0質量%である。
なお、上記ドーパント元素の含有量は、エネルギー分散型蛍光X線装置(島津製作所社製、「EDX−800HS」)を用いて、蛍光X線分析法によって測定することができる。また、上記ドーパント元素を2種類以上含む場合、上記バナジウム原子と上記ドーパント元素との含有量の合計100質量%に対する上記ドーパント元素の含有量は、2種類以上のドーパント元素の含有量の合計であることが好ましい。
本発明の置換酸化バナジウム粒子において、上記ドーパント元素の置換率(以下、置換率と略記することがある)は0.2〜3.0原子%であることが好ましい。上記ドーパント元素の置換率が0.2原子%以上であると、上記置換酸化バナジウム粒子の相転移温度を容易に調整することができ、3.0原子%以下であると、優れたサーモクロミック性を得ることができる。
上記ドーパント元素の置換率のより好ましい下限は0.5原子%、より好ましい上限は1.5原子%である。
なお、上記ドーパント元素の置換率とは、バナジウム原子数と、バナジウム原子を置換したドーパント元素の原子数との合計に占める、バナジウム原子を置換したドーパント元素の原子数の割合を百分率で示した値である。上記バナジウム原子数とドーパント元素によって置換された原子数は、例えば、エネルギー分散型蛍光X線装置(島津製作所社製、「EDX−800HS」)を用いて、蛍光X線分析法によって測定することができる。
本発明の置換酸化バナジウム粒子は、平均結晶子径が5〜15nmである。
上記平均結晶子径が5nm以上であれば、粒子内の粒界部分が減り、単結晶として存在できる酸化バナジウム(IV)の割合が増加し、高いサーモクロミック性が得られる。また、15nm以下であれば、可視光線透過率の低下を抑制することができる。上記平均結晶子径の好ましい下限は7nm、好ましい上限は12nmである。
本明細書中、結晶子径とは、X線回折法における回折ピークの半価幅から求められる結晶子のサイズを意味する。結晶子径は、例えば、X線回折装置(リガク社製、RINT1000)から得られる回折データから半価幅を算出し、Scherrerの式をあてはめることで結晶子サイズを算出できる。具体的には、ルチル型VOの最強ピーク2θ=27.86°の時の半価幅から算出した結晶子サイズを採用することで測定できる。
これら一連の解析は、例えば、解析ソフト(リガク社製PDXL)を用いて半価幅、結晶子サイズを算出できる。
本発明の置換酸化バナジウム粒子の平均粒子径の好ましい下限は5nm、好ましい上限は150nmである。上記平均粒子径が5nm未満であると単結晶として存在できる酸化バナジウム(IV)の割合が減少し、150nmを超えると酸化バナジウム固有の吸収が増加し、得られるサーモクロミック性フィルム及び合わせガラスの透明性及びサーモクロミック性が低下する。上記平均粒子径のより好ましい下限は10nm、更に好ましい下限は20nm、より好ましい上限は100nmである。
上記平均粒子径の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、粒度分布計を用いて、動的光散乱法による粒度分布測定によって測定できる。上記平均粒子径は、上記動的光散乱法による粒度分布測定で得られる分散径(D50)(以下、単に分散径(D50)という)であることが好ましい。上記分散径(D50)とは、本発明に係る置換酸化バナジウム粒子を分散媒中に分散させた後に、動的光散乱法によって測定される粒子径であって、ある粒子径を基準として、基準となる粒子径よりも大きい粒子径を有する粒子の数と小さい粒子径を有する粒子の数とが等しくなる場合の基準となる粒子径のことを意味する。
上記動的光散乱法による粒度分布測定以外の、平均粒子径の測定方法としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による置換酸化バナジウム粒子の形状観察などが挙げられる。
本発明の置換酸化バナジウム粒子は、相転移エネルギーの好ましい下限が2.0mJ/mg、好ましい上限が70mJ/mgである。
上記相転移エネルギーが2.0mJ/mg以上であることで、得られるサーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上するという利点があり、70mJ/mg以下であることで、得られるサーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が急峻になるという利点がある。上記相転移エネルギーは、より好ましい下限が5.0mJ/mg、更に好ましい下限が10mJ/mg、より好ましい上限が60mJ/mgである。
なお、上記相転移エネルギーは、例えば、示差走査熱量計(Seiko Instruments Inc.社製、DSC6220)を用いて、温度範囲0〜100℃、昇温速度5℃/min、窒素フロー50mL/minの条件でDSC曲線を測定することにより求めることができる。DSC曲線におけるピークの面積(吸熱量ΔH(mJ/mg))が相転移エネルギーに相当する。
本発明の置換酸化バナジウム粒子を製造する方法としては、例えば、熱分解法、固相法、水熱法等が挙げられる。なかでも、固相法が好ましい。
上記熱分解法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法は、特に限定されないが、二塩化酸化バナジウム(IV)塩酸液に、ドーパント元素を含有させた炭酸水素アンモニウム水溶液を添加する反応工程、得られた沈殿物を焼成する工程を有する方法が好ましい。
上記熱分解法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法では、二塩化酸化バナジウム(IV)塩酸液に、ドーパント元素を含有させた炭酸水素アンモニウム水溶液を添加する反応工程を行う。上記反応工程によって、沈殿物が得られる。
上記反応工程における上記ドーパント元素を含有させた炭酸水素アンモニウム水溶液の添加量は、二塩化酸化バナジウム(IV)塩酸液中の二塩化酸化バナジウム(IV)100質量%に対して40〜400質量%であることが好ましい。
上記反応工程における反応温度は20〜80℃が好ましい。また、上記反応工程における反応時間は、0.5〜24時間が好ましい。
上記熱分解法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法では、次いで、得られた上記沈殿物を焼成する、焼成工程を行う。
上記焼成工程における、焼成温度としては、400℃以上であることが好ましく、500〜1000℃がより好ましい。また、上記焼成工程は、例えば、窒素気流中で焼成を行ってもよい。また、上記焼成工程における焼成時間は、0.5〜5時間とすることが好ましい。上記焼成温度が400℃以上であれば、ルチル型結晶相(R相)への変換が効率的に起こることにより、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記焼成温度が1000℃以下であれば、系内に残存する微量な還元成分による価数変化が起こりにくく、ルチル型結晶相(R相)の純度が高まり、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記焼成時間が0.5時間以上であれば、結晶化が十分に促進され、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記焼成時間が5時間以下であれば、系内に残存する微量な還元成分による価数変化が起こりにくく、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。
上記焼成工程を行う前に、上記反応工程において得られた沈殿物を乾燥する乾燥工程を行うことが好ましい。上記乾燥工程は、50〜250℃で、60〜300分間行なうことが好ましく、80〜250℃で、60〜300分間の条件で行うことがより好ましい。また、上記乾燥工程は、真空下で行うことが好ましい。上記乾燥工程を行なうことにより、上記焼成工程時に上記沈殿物自体の分解又は沈殿物の付着物から還元性ガスが発生することを防止することができ、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。
上記乾燥工程における温度が50℃以上であれば、還元性ガスを十分に除去することができ、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記乾燥工程における温度が250℃以下であれば、還元性ガスによる酸化バナジウムの還元を抑制し、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。
上記熱分解法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法を用いることで、置換酸化バナジウム粒子のルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率が高く、サーモクロミック性に優れる置換酸化バナジウム粒子を製造できる。
上記固相法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法は、特に限定されないが、V(2m−1)で表される酸化バナジウム(mは1〜8の整数)と、V(2n+1)で表される酸化バナジウム(nは2〜6の整数)と、ドーパント元素を含有する化合物とを混合する工程、得られた混合物を焼成する工程を有する方法が好ましい。ドーパント元素を含有する化合物としては、特に限定されず、例えば、上記ドーパント元素の酸化物などが挙げられる。上記ドーパント元素の酸化物としては、酸化タングステン(VI)などが挙げられる。
上記混合工程におけるV(2m−1)で表される酸化バナジウム(mは1〜8の整数)と、V(2n+1)で表される酸化バナジウム(nは2〜6の整数)との混合比は物質量比(=V(2m−1)の物質量:V(2n+1)の物質量)(以下、モル比と記載することがある)で、0.95:1.05〜1.05:0.95であることが好ましい。上記ドーパント元素を含有する化合物の混合比はモル比で、上記V(2m−1)で表される酸化バナジウム及び上記V(2n+1)で表される酸化バナジウムのバナジウム原子の物質量の合計に対して、ドーパント元素の物質量が99.99:0.01〜95:5であることが好ましく、99.99:0.1〜97:3であることがより好ましい。
上記固相法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法では、得られた上記混合物を焼成する、焼成工程を行う。上記焼成工程における、焼成温度としては、400℃以上であることが好ましく、1000℃以下であることがより好ましく、500〜1000℃が更に好ましい。また、上記焼成工程は、例えば、窒素気流中で焼成を行ってもよい。また、上記焼成工程における焼成時間は、0.5〜5時間とすることが好ましい。上記焼成温度が400℃以上であれば、ルチル型結晶相(R相)への変換が効率的に起こることにより、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記焼成温度が1000℃以下であれば、系内に残存する微量な還元成分による価数変化が起こりにくく、ルチル型結晶相(R相)の純度が高まり、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。また、上記焼成温度が400℃以上1000℃以下の範囲内であれば、温度が高い程、得られた粒子の結晶子サイズが大きくなり、相転移エネルギーが向上する。上記焼成時間が0.5時間以上であれば、結晶化が十分に促進され、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記焼成時間が5時間以下であれば、系内に残存する微量な還元成分による価数変化が起こりにくく、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。
上記固相法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法を用いることで、置換酸化バナジウム粒子のルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率が高く、サーモクロミック性に優れる置換酸化バナジウム粒子を製造できる。
上記水熱法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法は、特に限定されないが、純水と、バナジン酸アンモニウム(NHVO)と、ドーパント元素を含有する化合物とを混合した後、ヒドラジン水溶液を添加しバナジウム水溶液を得る混合工程、上記バナジウム水溶液を加熱し水熱反応を行なう反応工程、上記反応工程で得られた生成物を乾燥させる乾燥工程を含有することが好ましい。ドーパント元素を含有する化合物としては、特に限定されず、例えば、上記ドーパント元素の酸化物、ドーパント元素酸化物の塩などが挙げられる。
上記ヒドラジン水溶液は、ヒドラジン水和物の5%水溶液であることが好ましい。上記ヒドラジン水溶液は、得られるバナジウム水溶液のpHが9.0〜9.5となるように添加することが好ましい。
上記水熱法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法では、上記バナジウム水溶液を加熱し水熱反応を行なう反応工程を行なう。上記反応工程における、反応温度としては、60℃以上であることが好ましく、250〜500℃がより好ましい。また、上記反応工程における反応時間は、1〜120時間とすることが好ましい。上記反応温度が250℃以上であれば、ルチル型結晶相(R相)への変換が効率的に起こることにより、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記反応温度が500℃以下であれば、系内に残存する微量な還元成分による価数変化が起こりにくく、ルチル型結晶相(R相)の純度が高まり、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記反応時間が1時間以上であれば、結晶化が十分に促進され、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。上記焼成時間が120時間以下であれば、系内に残存する微量な還元成分による価数変化が起こりにくく、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。
上記乾燥工程は、50〜150℃で、60〜1440分間行なうことが好ましい。上記乾燥工程によって、反応工程において得られた生成物に残存する溶媒を除去することができ、得られる置換酸化バナジウム粒子の相転移エネルギーが向上し、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜のサーモクロミック性が向上する。また、上記乾燥工程は、真空下で行うことが好ましい。
上記水熱法による置換酸化バナジウム粒子の製造方法を用いることで、置換酸化バナジウム粒子のルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率が高く、サーモクロミック性に優れる置換酸化バナジウム粒子を製造できる。
また、上記熱分解法、固相法及び水熱法で置換酸化バナジウム粒子を得た後、粉砕工程を行い、粒子を粉砕することが好ましい。上記粉砕工程を行うことで、得られる置換酸化バナジウム粒子の平均結晶子径を低下させることができ、得られるサーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜の可視光線透過率が向上する。
上記粉砕工程における粉砕方法としては、例えば、ビーズミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、ボールミル等が挙げられる。なかでも、ビーズミルが好ましい。
また、上記粉砕工程における粉砕時間は1〜24時間が好ましく、6〜12時間がより好ましい。上記粉砕時間を、上記好ましい下限以上とすることで、置換酸化バナジウム粒子の平均結晶子径を低下させることができ、上記好ましい上限以下とすることで、ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率を向上させることができる。
上記粉砕工程は、固相法により得られた置換酸化バナジウム粒子に対して行うことがより好ましい。固相法により得られた置換酸化バナジウム粒子に対して行うことで、得られる置換酸化バナジウム粒子の平均結晶子径を更に最適化することができる。
上記粉砕工程は、本発明の置換酸化バナジウム粒子、可塑剤及び分散剤を混合した混合物に対して行うことがより好ましい。上記混合物に対して粉砕工程を行うことにより、サーモクロミック性及び可視光透過率が向上する。
本発明の置換酸化バナジウム粒子は、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜の原料として好適に用いられる。本発明の置換酸化バナジウム粒子、熱可塑性樹脂、可塑剤及び分散剤を含有する合わせガラス用中間膜も本発明の1つである。
また、本発明の置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルムもまた本発明の1つである。
更に、本発明の置換酸化バナジウム粒子は、置換酸化バナジウム粒子分散液の原料として好適に用いられる。本発明の置換酸化バナジウム粒子は、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜(以下、単に中間膜と記載することがある)の原料として、好適に用いられる。
上記置換酸化バナジウム粒子分散液の、本発明の置換酸化バナジウム粒子以外の成分としては、可塑剤、分散剤等が挙げられる。上記置換酸化バナジウム粒子分散液は、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜への分散性がより一層向上し、サーモクロミック性がより一層向上することから、本発明の置換酸化バナジウム粒子、可塑剤及び分散剤を含有することが好ましい。
上記可塑剤としては特に限定されないが、例えば、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−ヘプタノエート及びトリエチレングリコール−ジ−ヘプタノエート等が挙げられ、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートであることがより好ましい。
上記分散剤としては、特に限定されないが、ポリカルボン酸又はグリセリンエステルであることが好ましい。上記ポリカルボン酸を用いることにより、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜への分散性がより一層向上し、サーモクロミック性をより一層向上させることができる。
上記ポリカルボン酸は特に限定されず、例えば、主鎖骨格にカルボキシル基を有するポリマーにポリオキシアルキレンをグラフトしたポリカルボン酸重合体等が挙げられる。上記ポリカルボン酸のうち市販品としては、例えば、日油社製マリアリムシリーズ(AFB−0561、AKM−0531、AFB−1521、AEM−3511、AAB−0851、AWS−0851、AKM−1511−60等)等が挙げられる。
上記グリセリンエステルとしては、特に限定されず、例えば、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンデカステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンジステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、テトラグリセリンペンタステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、グリセロールモノステアレート、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンデカオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリンペンタオレイン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、グリセロールモノオレエート、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、カプリン酸トリグリセライド、ミリスチン酸モノグリセライド、ミリスチン酸トリグリセライド、デカグリセリンモノカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリル酸エステル、カプリル酸トリグリセライド、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンヘプタベヘニン酸エステル、デカグリセリンドデカベヘニン酸エステル、ポリグリセリンベヘニン酸エステル、デカグリセリンエルカ酸エステル、ポリグリセリンエルカ酸エステル、テトラグリセリン縮合リシノール酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等が挙げられる。
上記グリセリンエステルのうち市販品としては、例えば、SYグリスターCR−ED(阪本薬品工業社製、縮合リシノール酸ポリグリセリン酸エステル)、SYグリスターPO−5S(阪本薬品工業社製、オレイン酸ヘキサグリセリンペンタエステル)等が挙げられる。
本発明の置換酸化バナジウム粒子の上記置換酸化バナジウム粒子分散液中の分散径(D50)は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂、可塑剤及び分散剤等への分散性がより一層高まることから、10nm以上、200nm以下であることが好ましい。より好ましくは、粒子の分散径が20nm以上、200nm以下である。本発明の置換酸化バナジウム粒子の上記置換酸化バナジウム粒子分散液中の分散径(D50)は、レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて、例えば、分散液の状態にして測定することができる。
上記置換酸化バナジウム粒子分散液は、低揮発性有機溶剤、ショ糖脂肪酸エステル等の保留剤、非カチオン性界面活性剤、安定剤、紫外線吸収剤等の従来公知の添加物を含有してもよい。上記置換酸化バナジウム粒子分散液は、更に目的に応じて、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子等の遮熱粒子を含有してもよい。
上記置換酸化バナジウム粒子分散液を用いて製造される合わせガラス用中間膜は、上記置換酸化バナジウム粒子分散液及び熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。また、上記置換酸化バナジウム粒子分散液を用いずに製造される合わせガラス用中間膜は、本発明の置換酸化バナジウム粒子及び熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。また、上記置換酸化バナジウム粒子分散液を用いずに製造される合わせガラス用中間膜は、合わせガラスの耐貫通性が向上することから、可塑剤を含有することが好ましい。上記可塑剤としては、上記置換酸化バナジウム粒子分散液に用いられる可塑剤と同様のものを用いることができる。また、上記置換酸化バナジウム粒子分散液を用いずに製造される合わせガラス用中間膜は、本発明の置換酸化バナジウム粒子を中間膜中に均一に分散させることができることから、分散剤を含有することが好ましい。上記分散剤としては、上記置換酸化バナジウム粒子分散液に用いられる分散剤と同様のものを用いることができる。
上記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。なかでも、ガラス板に対する接着力に優れることから、ポリビニルアセタール樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造することができる。
上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.8モル%の範囲内である。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、200以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、1700以上であることが更に好ましく、1700を超えることが特に好ましい。また、上記平均重合度は、5000以下であることが好ましく、4000以下であることがより好ましく、3000以下であることが更に好ましく、3000未満であることが特に好ましい。上記平均重合度が200以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が5000以下であると、合わせガラス用中間膜の成形が容易になる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれているアセタール基の炭素数は特に限定されないが、好ましい下限が3、好ましい上限が6である。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなり、また、可塑剤のブリードアウトを防止することができる。上記アセタール基の炭素数が6以下であると、ポリビニルアセタール樹脂は容易に合成することができることから、生産性を高めることができる。
上記炭素数が3〜6のアルデヒドとしては、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよく、例えば、n−ブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタールを製造する際に用いられるアルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられ、炭素数が3〜6のアルデヒドがより好適に用いられる。上記アルデヒドは、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよい。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましい下限が10モル%、より好ましい下限が15モル%、更に好ましい下限が18モル%、好ましい上限が40モル%、より好ましい上限が35モル%である。上記水酸基の含有率が上記好ましい下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記好ましい上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
なお、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して又はASTM D1396−92に準拠して、測定することにより求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましい下限が0.1モル%、より好ましい下限が0.3モル%、更に好ましい下限が0.5モル%、好ましい上眼が30モル%、より好ましい上限が25モル%、更に好ましい上限が20モル%である。上記アセチル化度が上記好ましい下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記好ましい上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して又はASTM D1396−92に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましい下限が50モル%、より好ましい下限が53モル%、更に好ましい下限が60モル%、特に好ましい下限が63モル%、好ましい上限が85モル%、より好ましい上限が75モル%、更に好ましい上限が70モル%である。上記アセタール化度が上記好ましい下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記好ましい上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法又はASTM D1396−92に準拠した方法により、アセチル化度と水酸基の含有率とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、次いで、100モル%からアセチル化度と水酸基の含有率とを差し引くことにより求めることができる。
なお、上記水酸基量、アセチル基量及びアセタール化度(ブチラール化度)は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜における本発明の置換酸化バナジウム粒子の含有量は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂100質量部に対して、本発明の置換酸化バナジウム粒子の含有量の好ましい下限は0.01質量部、より好ましい下限は0.1質量部、好ましい上限は3質量部、より好ましい上限は2質量部である。本発明の合わせガラス用中間膜における本発明の置換酸化バナジウム粒子の含有量が上記好ましい範囲内であると、サーモクロミック性を充分に高めることができる。
また、本発明の合わせガラス用中間膜100質量%中、本発明の置換酸化バナジウム粒子の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5.5質量%以下である。上記合わせガラス用中間膜における本発明の置換酸化バナジウム粒子の含有量が上記好ましい範囲内であると、サーモクロミック性を充分に高めることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びにサーモクロミック性を充分に高める観点からは、本発明の合わせガラス用中間膜の厚みの好ましい下限は0.1mm、より好ましい下限は0.25mm、好ましい上限は3mm、より好ましい上限は1.5mmである。上記中間膜の厚みが薄すぎると、合わせガラスの耐貫通性が低下する傾向がある。
上記置換酸化バナジウム粒子分散液を用いて製造される本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は、特に限定されず、従来公知の合わせガラス用中間膜の製造方法によって製造できる。本発明の置換酸化バナジウム粒子の中間膜に対する分散性がより一層向上することから、以下の手順により製造されることが好ましい。1)上記置換酸化バナジウム粒子、分散剤及び可塑剤を混合し、置換酸化バナジウム粒子分散液を作製する。2)熱可塑性樹脂と上記置換酸化バナジウム粒子分散液を溶融混練後、押出成形し中間膜を作製する。また、上記置換酸化バナジウム粒子分散液を用いずに製造される本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は、特に限定されず、従来公知の合わせガラス用中間膜の製造方法によって製造できる。例えば、熱可塑性樹脂と、上記置換酸化バナジウム粒子と、さらに、必要に応じて適宜添加される可塑剤と、分散剤とを溶融混練後、押出成形し中間膜を作製する。
本発明の合わせガラス用中間膜は、合わせガラスを得るために用いられる。例えば、合わせガラス部材の間に、本発明の合わせガラス用中間膜を挟持することで合わせガラスが得られる。
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板含有積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。サーモクロミック性が高いことから、上記無機ガラスは熱線吸収板ガラスであることが好ましい。なお、熱線吸収板ガラスに関しては、JIS R3208に規定されている。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、0.03〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜を、JIS R3202に準拠した、厚さ2mmの2枚のフロートガラスの間に挟み込むことにより得られた合わせガラスの可視光線透過率は20%以上であることが好ましい。
本発明の合わせガラスの100℃における赤外線透過率は、好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下である。合わせガラスの赤外線透過率は、JIS R3106(1998)に準拠して測定できる。本発明の合わせガラス用中間膜を、JIS R3202に準拠した、厚さ2mmの2枚のフロートガラスの間に挟み込むことにより得られた合わせガラスの100℃における赤外線透過率は70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
本発明の合わせガラスのサーモクロミック性有効率は30%以上であることが好ましい。サーモクロミック性有効率が30%以上であることで、高いサーモクロミック性を期待できる。サーモクロミック性有効率の好ましい上限は100%、より好ましい下限は50%である。
なお、本明細書中、サーモクロミック性有効率とは、低温(10℃)における赤外線透過率を100としたときの、ΔTIRの割合を表す。すなわちサーモクロミック有効率は以下の式により求められる。
ΔTIR=(低温(10℃)における赤外線透過率TIR)−(高温(80℃)における赤外線透過率TIR
サーモクロミック有効性=ΔTIR×100/(低温(10℃)における赤外線透過率TIR
例えば、合わせガラスの10℃における赤外線透過率TIRが80%、80℃における赤外線透過率TIRが50%である場合、ΔTIRは30%となり、サーモクロミック性有効率は37.5%となる。
本発明の合わせガラスのヘイズ値は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。合わせガラスのヘイズ値は、JIS K6714に準拠して測定できる。
本発明の合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、一対の合わせガラス部材の間に、本発明の合わせガラス用中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、一対の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
また、例えば、一対の合わせガラス部材の間に、本発明の合わせガラス用中間膜を挟み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスする。このようにしても、合わせガラスを得ることができる。
本発明によれば、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜に用いる場合に、サーモクロミック性に優れるとともに、可視光線透過率の低下を抑制したサーモクロミック性フィルム及び合わせガラスが得られる置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルムを提供することが可能となる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
酸化バナジウム(V)Vと酸化バナジウム(III)Vを1対1のモル比になるように調整し、酸化タングステン(VI)WO粉末を、酸化バナジウム(V)V及び酸化バナジウム(III)Vに含まれるバナジウム原子の合計と、酸化タングステン(VI)WO粉末に含まれるタングステン原子とのモル比が99.0:1.0になるように加え混合した。当該混合物を窒素気流中、昇温速度10℃/minで室温23℃から1000℃まで昇温し、1000℃到達後5時間保持することによりタングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子を得た。
タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子0.26質量部に、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート100質量部、分散剤として縮合リシノール酸ポリグリセリンエステル(SYグリスターCR−ED、阪本薬品工業社製)2.0質量部を加え、配合物を得た。この配合物をダイノミルRESERCH LAB型(株式会社シンマルエンタープライゼス社製)に入れ、回転数5500rpmで6時間かけて粉砕し、タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子分散液を得た。
ポリビニルブチラール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有量30.5モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度68.5モル%)30質量部、タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子分散液12質量部を混合し、混合物を得た。得られた混合物を押出機により溶融混練し、金型よりシート状に押し出して、厚さ760μmの合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜を、縦5cm×横5cmの大きさに切断し、JIS R3202に準拠した2枚のフロートガラス(縦5cm×横5cm×厚み2mm)の間に挟み、この積層体をゴムバック内の圧力−53.2KPa下で100℃まで昇温し、100℃、−53.2KPa下で20分間保持した後に冷却、減圧解除を行い、合わせガラスを作製した。
(実施例2)
配合物を12時間かけて粉砕した以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例3)
配合物を24時間かけて粉砕した以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例4)
配合物を1時間かけて粉砕した以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例5)
酸化タングステン(VI)WO粉末を、酸化バナジウム(V)V及び酸化バナジウム(III)Vに含まれるバナジウム原子の合計と、酸化タングステン(VI)WO粉末に含まれるタングステン原子とのモル比が98.0:2.0になるように加え混合した以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例6)
酸化バナジウム(V)V、酸化バナジウム(III)V及び酸化タングステン(VI)WO粉末に加えて、更に、酸化モリブデン(VI)MoO粉末を添加し、酸化バナジウム(V)V及び酸化バナジウム(III)Vに含まれるバナジウム原子の合計と、酸化タングステン(VI)WO粉末に含まれるタングステン原子と、酸化モリブデン(VI)MoO粉末に含まれるモリブデン原子とのモル比が、97.4:1.0:1.6になるように加え混合した以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例7)
酸化バナジウム(V)V及び酸化バナジウム(III)Vに含まれるバナジウム原子の合計と、酸化タングステン(VI)WO粉末に含まれるタングステン原子と、酸化モリブデン(VI)MoO粉末に含まれるモリブデン原子とのモル比が、93.6:1.0:5.4になるように加え混合した以外は、実施例6と同様にして、合わせガラスを作製した。
(比較例1)
バナジウム(V)トリ−i−プロポキシドオキシド(株式会社高純度化学研究所製)13.7g、タングステンペンタイソポロポキシド0.54gをイソプロパノール(和光純薬工業社製)500mlに溶解した。この溶液にイオン交換水15mlを添加し、室温で72時間撹拌後、溶媒を除去した。その後400℃で2時間焼成し、引続き水素気流中で450℃、2時間焼成することによりタングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子を得た。
タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子0.26質量部に、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート100質量部、分散剤として縮合リシノール酸ポリグリセリンエステル(SYグリスターCR−ED、阪本薬品工業社製)2.0質量部を加え、配合物を得た。ダイノミルRESERCH LAB型(株式会社シンマルエンタープライゼス社製)を用いて、配合物を1時間かけて粉砕し、タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子分散液を得た。
ポリビニルブチラール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有量30.5モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度68.5モル%)30質量部、タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子分散液12質量部を混合し、混合物を得た。得られた混合物を押出機により溶融混練し、金型よりシート状に押し出して、厚さ760μmの合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜を、縦5cm×横5cmの大きさに切断し、JIS R3202に準拠した2枚のフロートガラス(縦5cm×横5cm×厚み2mm)の間に挟み、この積層体をゴムバック内の圧力−53.2KPa下で100℃まで昇温し、100℃、−53.2KPa下で20分間保持した後に冷却、減圧解除を行い、合わせガラスを作製した。
(比較例2)
純水2000質量部に炭酸水素アンモニウム750質量部とタングステン酸30質量部を添加し、タングステンを溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を得た。この炭酸水素アンモニウム水溶液に二塩化酸化バナジウム(IV)塩酸液1140質量部(VOCl含有率:36.1質量%)を30分かけて滴下した。その後、30℃で1時間反応させることで、前駆体沈澱物を得た。前駆体沈殿物を固液分離した後、真空下において120℃で1時間乾燥させた。得られた酸化バナジウム乾燥体を窒素気流中、昇温速度10℃/minで室温から800℃まで昇温し、800℃到達後2時間保持することで、タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子を得た。
タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子0.26質量部に、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート100質量部、分散剤として縮合リシノール酸ポリグリセリンエステル(SYグリスターCR−ED、阪本薬品工業社製)2.0質量部を加え、配合物を得た。ダイノミルRESERCH LAB型(株式会社シンマルエンタープライゼス社製)を用いて、配合物を1時間かけて粉砕し、タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子分散液を得た。
ポリビニルブチラール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有量30.5モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度68.5モル%)30質量部、タングステンがドープされた置換酸化バナジウム粒子分散液12質量部を混合し、混合物を得た。得られた混合物を押出機により溶融混練し、金型よりシート状に押し出して、厚さ760μmの合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜を、縦5cm×横5cmの大きさに切断し、JIS R3202に準拠した2枚のフロートガラス(縦5cm×横5cm×厚み2mm)の間に挟み、この積層体をゴムバック内の圧力−53.2KPa下で100℃まで昇温し、100℃、−53.2KPa下で20分間保持した後に冷却、減圧解除を行い、合わせガラスを作製した。
(比較例3)
配合物を72時間かけて粉砕した以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(比較例4)
配合物を10分間かけて粉砕した以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(評価方法)
(1)ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)含有率
実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた置換酸化バナジウム粒子を乳鉢で充分解砕した後、X線回折装置(リガク社製、「Smart lab」)を用いて、Kβフィルター法、電圧40KV、電流30mA、スキャン速度4°/min、回折角2θ=10.0〜130.0°、ステップ0.01、80℃の条件下で測定し、得られたXRDパターンデータについて解析ソフト(リガク社製PDXL)を用いることによりルチル型構造の酸化バナジウム(IV)含有率を算出した。
(2)ドーパント元素の含有量
エネルギー分散型蛍光X線装置(島津製作所社製、「EDX−800HS」)を用いて、実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた置換酸化バナジウム粒子中のバナジウム原子とドーパント元素との含有量の合計100質量%に対するドーパント元素の含有量を求めた。
測定は、電圧50kV(Ti−U)、コリメーターφ5mm、真空雰囲気下、測定時間100秒の条件で行い、解析にFP法を用い、各元素由来のピーク強度から上記バナジウム原子とドーパント元素との含有量の合計100質量%に対するドーパント元素の含有量を算出した。なお、バナジウム原子の含有量の測定にはKα線を、ドーパント元素であるタングステン及びモリブデンの測定にはLα線を用いた。
(3)平均結晶子径
実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた置換酸化バナジウム粒子について、「(1)ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)含有率」で得られたXRDパターンについて解析ソフト(リガク社製PDXL)を用いて平均結晶子径を算出した。
(4)平均粒子径
実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた置換酸化バナジウム粒子について、粒度分布計を用いて、動的光散乱法による粒度分布測定によって、平均粒子径を測定した。
(5)サーモクロミック性の評価
紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、「V−670」)及び温調ユニットを用いて、JIS R 3106に準拠した方法により、実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた合わせガラスの10℃及び80℃における赤外線透過率TIRを測定した(波長2000nm)。
なお、測定は、合わせガラスを10℃又は80℃に調整した測定室内に10分間放置して、温度が充分に均一になってから行った。測定した赤外線透過率から、ΔTIR((10℃におけるTIR)−(80℃におけるTIR))を求め、以下の基準で評価した。
○:ΔTIRが15%以上
×:ΔTIRが15%未満
(6)サーモクロミック性有効率の評価
「(5)サーモクロミック性の評価」で得られたΔTIRの値から、サーモクロミック性有効率(ΔTIR×100/(10℃におけるTIR))を求め、以下の基準で評価した。
○:サーモクロミック性有効率が30%以上
×:サーモクロミック性有効率が30%未満
(7)可視光線透過率の評価
紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、「V−670」)を用いて、JIS R 3106に準拠した方法により、実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた合わせガラスの波長550nmにおける可視光線透過率を室温23℃で測定し、以下の基準で評価した。○:可視光線透過率が30%以上
×:可視光線透過率が30%未満
Figure 2015193532
本発明によれば、サーモクロミック性フィルム及び合わせガラス用中間膜に用いる場合に、サーモクロミック性及び透明性に優れるサーモクロミック性フィルム及び合わせガラスが得られる置換酸化バナジウム粒子、該置換酸化バナジウム粒子を含有する合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラス及び該置換酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミック性フィルムを提供することができる。

Claims (6)

  1. ルチル型構造の酸化バナジウム(IV)を含有し、かつ、タングステン、モリブデン及びニオブからなる群より選択される少なくとも1種のドーパント元素がドープされた置換酸化バナジウム粒子であって、
    前記置換酸化バナジウム粒子が含有する酸化バナジウム100質量%に対するルチル型構造の酸化バナジウム(IV)の含有率が95質量%以上であり、かつ、
    平均結晶子径が5〜15nmである
    ことを特徴とする置換酸化バナジウム粒子。
  2. バナジウム原子と前記ドーパント元素との含有量の合計100質量%に対する前記ドーパント元素の含有量が15.0質量%以下である、
    請求項1に記載の置換酸化バナジウム粒子。
  3. 請求項1又は2記載の置換酸化バナジウム粒子、熱可塑性樹脂、可塑剤、分散剤を含有することを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  4. 合わせガラス部材の間に、請求項3記載の合わせガラス用中間膜を有することを特徴とする合わせガラス。
  5. サーモクロミック性有効率が30%以上であることを特徴とする請求項4記載の合わせガラス。
  6. 請求項1又は2記載の置換酸化バナジウム粒子を用いたサーモクロミック性フィルム。
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