JP5427721B2 - 二酸化バナジウム粒子分散液、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Description
しかしながら、実際には二酸化バナジウム粒子を合わせガラス用中間膜中に分散しても、充分なサーモクロミック特性を得ることができないという問題があった。
以下に本発明を詳述する。
二酸化バナジウムは様々な結晶相が存在するが、単斜晶結晶と正方晶結晶(ルチル型)が可逆的に相転移する。その相転移温度は約68℃である。
上記相転移温度は、二酸化バナジウム中のバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換することにより調整することができる。従って、二酸化バナジウム粒子又は置換二酸化バナジウム粒子を適宜選択したり、置換二酸化バナジウム粒子において置換する原子種や置換率を適宜選択したりすることにより、得られる合わせガラス用中間膜の性能を制御することができる。
上記置換二酸化バナジウムを用いる場合、金属原子の置換率の好ましい下限は0.1原子%、好ましい上限は10原子%である。置換率が0.1原子%以上であると、上記置換二酸化バナジウムの相転移温度を容易に調整することができ、10原子%以下であると、優れたサーモクロミック性を得ることができる。
なお、本明細書において置換率とは、バナジウム原子数と置換された原子数との合計に占める、置換された原子数の割合を百分率で示した値である。
なお、本明細書においてD50とは、粒子をある粒子径から2つに分けたときに、大きい側と小さい側が等量となる粒子径のことを意味する。
上記ポリカルボン酸は特に限定されず、例えば、主鎖骨格にカルボキシル基を有するポリマーにポリオキシアルキレンをグラフトしたポリカルボン酸重合体等が挙げられる。
上記ポリカルボン酸のうち市販品としては、例えば、日油社製マリアリムシリーズ(AFB−0561、AKM−0531、AFB−1521、AEM−3511、AAB−0851、AWS−0851、AKM−1511−60等)等が挙げられる。
上記液状可塑剤は、具体的には例えば、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−ヘプタノエート及びトリエチレングリコール−ジ−ヘプタノエート等が挙げられ、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートであることがより好ましい。
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液は、更に目的に応じて、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子等の遮熱粒子を含有してもよい。
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液と、熱可塑性樹脂とを用いてなる合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
また、二酸化バナジウム粒子又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子、ポリカルボン酸、液状可塑剤、並びに、熱可塑性樹脂を含有する合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
上記混練の方法としては特に限定されず、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー、カレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。なかでも、連続的な生産に適することから、押出機を用いる方法が好適である。
本発明の合わせガラス用中間膜を成形する方法としては特に限定されず、押し出し法、カレンダー法、プレス法等が挙げられる。
本発明の合わせガラスの製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができる。
(1)二酸化バナジウム粒子分散液の調製
二酸化バナジウム粒子(WO3)2%(VO2)98%、NanoAmor社製)0.1重量部、分散剤としてポリカルボン酸(AFB−0561、日油社製)0.5重量部を、28重量部のトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート中に添加し、ビーズミルで混合して二酸化バナジウム粒子分散液を得た。
得られた二酸化バナジウム粒子分散液の全量を、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレツクBH−8)72重量部に加え、押出機により溶融混練し、金型よりシート状に押し出して、厚さ760μmの合わせガラス用中間膜を得た。
分散剤として表1に記載した品番のポリカルボン酸(いずれも日油社製)を用いた以外は実施例1と同様にして二酸化バナジウム粒子分散液を調製し、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを製造した。
分散剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル(プライサーフA208F、第一工業製薬社製)を用いた以外は実施例1と同様にして二酸化バナジウム粒子分散液を調製し、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを製造した。
分散剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして二酸化バナジウム粒子分散液を調製し、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを製造した。
実施例及び比較例で得られた二酸化バナジウム粒子分散液及び合わせガラスについて以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
粒度分布計(日機装社製、マイクロトラックUAM−1)を用いて、二酸化バナジウム粒子分散液中における二酸化バナジウム粒子の分散径(D50)を測定した。
直記分光光度計(日立ハイテク社製、U−4000)を用いて、JIS K 6714に準拠する方法により合わせガラスのヘイズ値を測定した。
直記分光光度計(日立ハイテク社製、U−4000)を用いて、JIS R 3106に準拠した方法により、得られた合わせガラスの10℃及び50℃における赤外線透過率TIRを測定し、10℃の赤外線透過率TIRと50℃の赤外線透過率TIRとの差(ΔTIR)を算出した。
なお、合わせガラスを10℃又は50℃に調整した室内に30分間放置することにより、合わせガラスの温度が充分に均一になってから、測定を行った。
Claims (4)
- 二酸化バナジウム粒子又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子、ポリカルボン酸、並びに、液状可塑剤を含有することを特徴とする二酸化バナジウム粒子分散液。
- 請求項1記載の二酸化バナジウム粒子分散液と、熱可塑性樹脂とを用いてなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 二酸化バナジウム粒子又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子、ポリカルボン酸、液状可塑剤、並びに、熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 請求項2又は3記載の合わせガラス用中間膜が、2枚の透明板の間に挟み込まれていることを特徴とする合わせガラス。
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