JP6518553B2 - 車両用二酸化バナジウム薄膜の製造方法及びその積層体の製造方法 - Google Patents

車両用二酸化バナジウム薄膜の製造方法及びその積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サーモクロミック特性を有する二酸化バナジウム粒子(VO粒子)を分散した分散液を含む塗料を用いて車両用二酸化バナジウム薄膜を製造する方法及びこの薄膜を含む積層体の製造方法に関するものである。
従来、ルチル型の二酸化バナジウム(VO)粒子と、ルチル型の二酸化チタン(TiO)粒子とを含むサーモクロミック微粒子、その分散液及び調光性フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)この特許文献1には、ルチル型のVO粒子とルチル型のTiO粒子を共存させることで、VO相の水熱反応時の粒子同士が凝集せず、極めて微細なサブミクロンオーダーのルチル型からなるVO粒子が得られることが記載されている。また調光性フィルムは、一般的な(例えば市販の)樹脂フィルム等の透明フィルムに、上記サーモクロミック微粒子又はその分散液を付着させることにより、簡単に調製することができることが記載されている。
一方、二酸化バナジウム粒子と熱可塑性樹脂と可塑剤と分散剤とを含有するサーモクロミックフィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)この特許文献2には、フィルムの厚みと二酸化バナジウム粒子の濃度との関係を一定の範囲内にすることにより、二酸化バナジウム粒子の酸化を抑制し、長期間保管しても優れたサーモクロミック性を得ることができることが記載されている。
特開2010−031235号公報(請求項1、請求項11、請求項26、段落[0042]、[0049]、[0079]) 特開2012−250879公報(請求項1、段落[0007]、[0086])
しかしながら、特許文献1に記載されたサーモクロミック微粒子を含む調光フィルムでは、サーモクロミック微粒子がロッド状で50nm〜250nmの範囲の平均粒径を有し、100nmを超える場合には、光散乱の効果が大きいために、透明性と調光性が両立しない。更にこの調光フィルムを樹脂と一体成形したり、分散液を樹脂に塗布したときの調光フィルムと樹脂との間の線膨張係数差を生じる場合があり、この場合過酷な環境変化により劣化するおそれがある。また特許文献1には、透明フィルムに上記サーモクロミック微粒子又はその分散液を付着させることにより、簡単に調光性フィルムを調製することができる旨が記載されているが、その具体例が示されていない。また、特許文献2に記載されたサーモクロミックフィルムでは、可塑剤を使用しているために、自動車用途で必要な耐熱性が不足している。また中間膜として使用する場合、構造が複雑になり、実際に使用が可能な用途は限られる。
本発明の第1の目的は、透明性と調光性が両立する車両用二酸化バナジウム薄膜の製造方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、この薄膜が太陽光を吸収し発熱しても白濁等の劣化が生じることがない車両用遮光フィルムの製造方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、遮光フィルムと樹脂と一体成形したときに線膨張係数差を生じない積層体の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、二酸化バナジウム粒子と、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有する分散剤と、アルコール、グリコール、エーテル又はケトンからなる分散媒とを含む二酸化バナジウム分散液と;バインダ樹脂と;を含む二酸化バナジウム塗料を用いて車両用二酸化バナジウム薄膜を製造する方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に記載の方法により製造された車両用二酸化バナジウム薄膜をフィルム上に形成して車両用遮光フィルムを製造する方法である。
本発明の第3の観点は、第2の観点に記載の方法により製造された車両用遮光フィルムを樹脂基材上に形成して積層体を製造する方法である。
本発明の第4の観点は、第3の観点の発明に基づく発明であって、前記積層体をインサート成形法により形成する積層体の製造方法である。
本発明の第5の観点は、第4の観点に記載の方法により製造された積層体を含むサンルーフを製造する方法である。
本発明の第1の観点の車両用二酸化バナジウム薄膜の製造方法は、二酸化バナジウム粒子と、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有する分散剤と、アルコール、グリコール、エーテル又はケトンからなる分散媒とを含む二酸化バナジウム分散液と;バインダ樹脂と;を含む二酸化バナジウム塗料を用いて製造され、二酸化バナジウム粒子の二次粒子径が100nm以下となるため、透明性と調光性が両立する。
本発明の第2の観点の車両用遮光フィルムの製造方法では、この薄膜に可塑剤を含まないために、製造された車両用遮光フィルムは二酸化バナジウム粒子が太陽光を吸収し発熱しても、白濁等の劣化が生じることがない。
本発明の第3の観点の積層体の製造方法では、遮光フィルムと樹脂と一体成形したときに、線膨張係数が近い材料同士を一体成形したため、材料同士間で線膨張係数差を生じない。
本発明の第4の観点の積層体の製造方法では、積層体をインサート成形法により形成するため、線膨張係数が近い材料同士が強固に密着した積層体を製造できる点で優れる。
本発明の第5の観点のサンルーフの製造方法では、サンルーフを上記積層体を含んで製造するため、製造されたサンルーフは長期に亘って透明性を維持できる点で優れる。
本発明の実施の形態に係る車両用遮光フィルムの断面図である。 その遮光フィルムの周縁部に遮蔽部を設けた図である。図2(a)は断面図であり、図2(b)は平面図である。 本発明の実施の形態に係る積層体の断面図である。 本発明の実施の形態に係るサンルーフの断面図である。 本発明実施例の積層体の遮光性能の評価装置を示す図である。 その評価装置により遮光性能を評価した結果を示す図である。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
〔二酸化バナジウム分散液〕
本発明の車両用二酸化バナジウム薄膜を形成する塗料に含まれる二酸化バナジウム分散液は、二酸化バナジウム粒子と、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有する分散剤と、アルコール、グリコール、エーテル又はケトンからなる分散媒とを含む。二酸化バナジウム粒子の平均粒径は、10〜100nmの範囲内にあることが好ましい。ここで、二酸化バナジウム粒子の平均粒径を10〜100nmの範囲内に限定したのは、10nm未満では二酸化バナジウム粒子の欠陥が多くなって、二酸化バナジウム粒子の有するサーモクロミック特性が劣化してしまい、100nmを超えると光が散乱して、膜が濁ってしまうからである。なお、二酸化バナジウム粒子の平均粒径は、粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−950)を用いて測定した粒径であり、体積基準平均粒径である。
また、分散剤の炭素骨格は、直鎖構造を持つとともに、側鎖を有するように構成されることができる。そして、上記炭素骨格に、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有することが好ましい。即ち、上記炭素骨格に、アミノ基とカルボキシル基とを有するか、アミノ基と水酸基とを有するか、或いはアミノ基とカルボキシル基と水酸基とを有することが好ましい。分散剤の具体例としては、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製)、ソルスパース32000(日本ルーブリゾール社製)、ソルスパース71000(日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
一方、分散媒として用いられるアルコールの具体例としては、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。また、分散媒として用いられるグリコールの具体例としては、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、分散媒として用いられるエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。更に、分散媒として用いられるケトンの具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
次に、上記二酸化バナジウム分散液の製造方法を説明する。先ず、二酸化バナジウム粒子と分散剤と分散媒とを所定の割合で混合した混合物を分散処理する。このとき直径0.1〜1.0mmのZrO製又はAl製のビーズを上記混合物に入れて、ペイントシェーカ等で5〜50時間振とうすることにより、二酸化バナジウム粒子及び分散剤を分散媒中に分散させることが好ましい。また、上記所定の割合は、二酸化バナジウム粒子/分散剤が質量比で2〜50の範囲内であることが好ましく、分散媒/(二酸化バナジウム粒子+分散剤)が質量比で1.5〜70の範囲内であることが好ましい。次に、上記二酸化バナジウム粒子及び分散剤が分散した分散媒をビーズから分離する。これにより二酸化バナジウム分散液が得られる。
ここで、ビーズの直径を0.1〜1.0mmの範囲内に限定したのは、ビーズ径が小さいほど均一に分散できるけれども、0.1mm未満ではビーズと分散液の分離操作が困難になるからである。また、ペイントシェーカ等による混合時間を5〜50時間の範囲内に限定したのは、5時間未満では二酸化バナジウム粒子及び分散剤を分散媒中に十分に分散できず、50時間を超えると二酸化バナジウム粒子及び分散剤が分散媒中に十分に分散されて分散状態が殆ど変化しなくなるからである。また、二酸化バナジウム粒子/分散剤を質量比で2〜50の範囲内に限定したのは、2未満では分散剤が多いため、成膜した際に揮発し難い成分が多く残留してしまい、最終的な膜硬度を損なう懸念があり、50を超えると分散剤の効果が不十分であり沈殿が生じてしまうからである。更に、分散媒/(二酸化バナジウム粒子+分散剤)を質量比で1.5〜70の範囲内に限定したのは、1.5未満では分散液の粘度が高くなるため、分散効果が低下すると同時に、分散液の回収が困難になってしまい、70を超えると回収される分散液の濃度が薄いため、生産性が低下してしまうからである。
このように製造された二酸化バナジウム分散液では、分散剤がアミノ基を有するので、アミノ基が二酸化バナジウム粒子表面と結合し易くなることにより、二酸化バナジウム粒子が分散媒中に均一に分散し、分散性の良好な二酸化バナジウム分散液を得ることができる。また分散剤がカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方を有するので、極性溶媒との相溶性が高くなることにより、二酸化バナジウム粒子及び分散剤が分散媒に対して相性が良くなる。この結果、上記二酸化バナジウム分散液は、長時間静置しても、良好な分散性を保つことができる。
〔二酸化バナジウム塗料〕
本発明の二酸化バナジウム塗料は、上記二酸化バナジウム分散液と、バインダ樹脂とを含む。ここで、バインダ樹脂としては、化学反応型樹脂又は乾燥硬化型樹脂を挙げることができる。化学反応型樹脂としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等が例示され、乾燥硬化型樹脂は、溶媒中にポリマーが溶解しており、この溶媒が乾燥により除去されることでポリマー同士が絡み合い硬化する樹脂を指し、溶剤系変性エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等が例示される。また、熱硬化性樹脂の具体例としては、モノマーとして、アクリル(例えば、ビームセット577(荒川化学社製)など)、エポキシアクリレート、シリコーン等が挙げられ、パーブチルO(日本油脂社製)、ナイパーNS(日本油脂社製)、スペロックス570(アルケマ吉富社製)、ルペロックス531(アルケマ吉富社製)等の熱で開裂する重合開始剤が添加される。紫外線硬化性樹脂の具体例としては、モノマーとして、アクリル、エポキシアクリレート、シリコーン等が挙げられ、イルガキュア184(BASF社製)、イルガキュア907(BASF社製)、アデカオプトマーN−1919(ADEKA社製)等の紫外線で開裂する重合開始剤が添加される。なお、アデカオプトマーKR−400(ADEKA社製)、アデカオプトマーKR−550(ADEKA社製)、アデカオプトマーKR−566(ADEKA社製)、アクリット8SS−723(大成ファインケミカル社製)、A−1790(テスク社製)などの紫外線硬化型の樹脂は、適合する重合開始剤が添加されているため、これらを紫外線硬化性樹脂としてそのまま用いることができる。更に、乾燥硬化型変性エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、アラキード−9203(荒川化学社製)が挙げられ、乾燥硬化型ポリウレタン樹脂としては、例えば、オレスターUD800(三井化学社製)が挙げられる。
〔二酸化バナジウム塗料の製造方法〕
次に、上記二酸化バナジウム塗料の製造方法を説明する。先ず、溶媒に光重合開始剤を添加することにより、溶媒を調製しておくことが好ましい。この溶媒としては、上記二酸化バナジウム分散液の分散媒と同じものを用いることが好ましい。また、光重合開始剤の添加割合は、樹脂モノマー100質量%に対して0.5〜30質量%であることが好ましい。ここで、光重合開始剤の添加割合を樹脂モノマー100質量%に対して0.5〜30質量%の範囲内に限定したのは、0.5質量%未満では樹脂の硬化が不十分になり、30質量%を超えると変色や経年的な劣化が発生し易くなるからである。次に、上記溶媒に、バインダ樹脂を混合して樹脂溶液を調製する。このバインダ樹脂の混合割合は、特に制限されないけれども、ハンドリングの点から樹脂溶液100質量%に対して1〜80質量%であることが好ましい。更に、この樹脂溶液に二酸化バナジウム分散液を添加し混合することにより、二酸化バナジウム塗料が得られる。上記二酸化バナジウム分散液に加える二酸化バナジウム粒子の添加割合は、塗料中の固形分(樹脂モノマー、重合開始剤及び二酸化バナジウム粒子の合計)100質量%に対して50質量%以下であれば問題ないけれども、ハンドリングの点から0.1〜10質量%であることが好ましい。
〔二酸化バナジウム塗料を用いた二酸化バナジウム薄膜の製造方法〕
このように製造された二酸化バナジウム塗料では、この塗料中の分散剤がカルボキシル基や水酸基を含むので、分散液のバインダ樹脂との相溶性が高くなる。この結果、分散液中の二酸化バナジウム及び分散剤がバインダ樹脂の溶けた溶剤中に均一に分散する。また、バインダ樹脂として、熱や紫外線(UV)等で重合反応して硬化する化学反応型樹脂を用いれば、二酸化バナジウム塗料を基材上に塗布して形成された膜を比較的容易に硬化させることができる。この結果、可塑剤を含有しなくても、加工性を損なわずにサーモクロミック性能を有する薄膜を基材上に硬化させることができる。更に、可塑剤を用いないので、二酸化バナジウム分散液を含む塗料をプラスチック基材上に塗布し硬化させても、白濁等が生じず有色透明のクリアな硬化した二酸化バナジウム薄膜を形成できるとともに、この薄膜中の二酸化バナジウム粒子が太陽光を長期間にわたって吸収し発熱しても、白濁等の劣化が生じることがないので、薄膜中の二酸化バナジウム粒子が、特定の温度以上になると結晶構造が変わって半導体から金属に相転移し、今まで絶縁体であったものがキャリアの電子が増えて赤外線の透過率を大きく減少させることができるというサーモクロミック性能を長期間発揮し続け、サーモクロミック性能を有する二酸化バナジウム薄膜の耐久性を向上できる。
〔車両用遮光フィルム及びその製造方法〕
図1に示すように、本発明の遮光フィルム10は、例えば、ハードコート層11と、二酸化バナジウム薄膜12と、透明な基材フィルム13(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム)により構成される。この遮光フィルム10は、透明な基材フィルム13上に二酸化バナジウム薄膜12を形成し、二酸化バナジウム薄膜の上面に耐摩耗性材料からなるハードコート層11を形成することにより作られる。図2(a)及び(b)に示すように、図1に示した遮光フィルム10を反転させてその基材フィルム13側の表面にフィルム端部の外観不良を防ぐための遮蔽部14がスクリーン印刷により形成される。
〔積層体とその製造方法〕
図3に示すように、本発明の積層体20は、車両用遮光フィルム10と透明な無機ガラス基材や樹脂ガラス基材21とを積層して構成される。透明な無機ガラス基材や樹脂ガラス基材21の遮光フィルム10と反対側の面にはハードコート層22が形成される。この積層体を製造するには、無機ガラス基材や樹脂ガラス基材に直接二酸化バナジウム塗料を塗布してもよいし、或いは車両用遮光フィルムを直接無機ガラス基材や樹脂ガラス基材に貼り付けてもよい。或いは車両用遮光フィルムを金型内に入れ、透明な樹脂を金型内のキャビティに射出成形して、車両用遮光フィルムと無機ガラス基材や樹脂ガラス基材からなる積層体を一体成形してもよい。一体成形することにより、コストを低減することができる。
〔サンルーフ〕
図4に示すように、本発明のサンルーフ30は、例えば、図3に示した積層体20と、この車両用遮光フィルムの周囲を覆う枠部31とにより構成される。この枠部31は樹脂ガラス基材21と車両用遮光フィルム10との間に設けられた遮蔽部14の内周縁を超えないように設けられる。
〔サンルーフの製造方法〕
本発明のサンルーフの製造方法の一例を説明する。先ず、一方の面にハードコート層11を有する車両用遮光フィルム10の他方の面の周縁部に遮蔽部14をスクリーン印刷により形成する。次いで遮蔽部14が形成された面を上にして車両用遮光フィルム10を金型内に配置する(図示せず。)。車両用遮光フィルム10の上面と金型内部のキャビティ(図示せず。)との間に透明な樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)を射出成形する。樹脂が硬化して樹脂ガラス基材の成形体が形成される。樹脂ガラス基材21と車両用遮光フィルム10が一体成形された積層体20を得る。樹脂ガラス基材の車両用遮光フィルムのない積層体20の下面にハードコート層22が形成される。また車両用遮光フィルム10の周縁部に上述した遮蔽部14を超えない範囲に樹脂(例えば、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合(PC/ABS)樹脂)からなる枠部31が形成され、サンルーフ30が製造される。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、平均粒径20μmの二酸化バナジウム粒子2gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:分散媒)17.4gと、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製:分散剤)0.6gと、直径0.5mmのZrO製ビーズ66gとを規格瓶No.10に入れ、ペイントシェーカを用いて、20時間分散処理した。次いで、ZrO製ビーズから分離して、二酸化バナジウム分散液を得た。一方、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:溶媒)4.4gに、イルガキュア907(BASF社製:光重合開始剤)1.14gを溶解することにより、溶媒を調製した。次に、この溶媒に、ビームセット577(荒川化学工業社製:光硬化性樹脂)6.46gを混合して樹脂溶液を調製した。次に、この樹脂溶液に上記二酸化バナジウム分散液4gを添加し混合して、二酸化バナジウム塗料を得た。
この二酸化バナジウム塗料をポリカーボネート板上に塗布し、乾燥し、更に紫外線照射して、ポリカーボネート板上に硬化した二酸化バナジウム薄膜を形成した。具体的には、先ず、縦、横及び厚さがそれぞれ50mm、50mm及び2mmであるタキロン社製のポリカーボネート板PC1600をセットし、このポリカーボネート板状に上記二酸化バナジウム塗料500μリットルを滴下し、1000rpmの回転速度で30秒間スピンコートして塗膜を形成した。続いて、このポリカーボネート板を90℃の乾燥炉に5分間入れて、ポリカーボネート板上の塗膜を乾燥した。更に、このポリカーボネート板上の塗膜を、ベルト式UV照射装置(ウシオ電機社製)に通し硬化させて二酸化バナジウム薄膜を得た。具体的には、上記UV照射装置のメタルハライドランプの出力を80Wに設定し、上記二酸化バナジウム粒子を含む乾燥塗膜付きのポリカーボネート板を5m/秒の送り速度でUV照射装置内を搬送させることにより、紫外線を5回照射してポリカーボネート板上の膜を硬化させた。そして、ポリカーボネート板上の硬化した二酸化バナジウム薄膜を得た。
<比較例1>
実施例1のアミノ基を有するソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製:分散剤)に替えて、アミノ基を有しないソルスパース41000(日本ルーブリゾール社製:分散剤)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二酸化バナジウム分散液を調製した。次いで、実施例1と同じ樹脂溶液に上記二酸化バナジウム分散液4gを添加し混合して、二酸化バナジウム塗料を得た。この二酸化バナジウム塗料を用いて実施例1と同様にしてポリカーボネート板上の硬化した二酸化バナジウム薄膜を得た。
<比較例2>
先ず、平均粒径20μmの二酸化バナジウム粒子2.0gと、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(分散媒・可塑剤)17.4gと、ポリカルボン酸(分散剤)0.6gと、直径0.5mmのZrO製ビーズ66gとを規格瓶No.10に入れ、ペイントシェーカを用いて、20時間分散処理した。次いで、ZrO製ビーズから分離して、二酸化バナジウム分散液を得た。プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:分散媒)4.4gに、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製:エスレックBH−8)7.6gと、上記二酸化バナジウム分散液4.0gとを添加し混合して、二酸化バナジウム塗料を得た。この二酸化バナジウム塗料を用いて実施例1と同様にしてポリカーボネート板上の硬化した二酸化バナジウム薄膜を得た。
<比較試験1及び評価>
実施例1、比較例1及び比較例2で得られた二酸化バナジウム薄膜について、目視による観察と、高温環境試験後の目視による観察を行った。ポリカーボネート板上の二酸化バナジウム薄膜の高温環境試験は、80℃のオーブン中で120時間保管した後、目視により白濁やクラックの有無を評価した。
その結果、比較例1及び比較例2の硬化した二酸化バナジウム薄膜を有するポリカーボネート板では、二酸化バナジウム粒子の凝集により粗大粒子が生じたため、樹脂のみの透明な部分と目視で確認できるサイズの黒色の二酸化バナジウム粒子の凝集体との斑な膜となり、有色透明のクリアなサーモクロミックフィルムを得ることができなかった。これに対して、実施例1の硬化した二酸化バナジウム薄膜を有するポリカーボネート板では、二酸化バナジウム粒子の凝集が生じなかったため、有色透明のクリアなサーモクロミックフィルムを得ることができた。更に、高温環境試験後の比較例1及び比較例2の二酸化バナジウム薄膜は可塑剤が樹脂膜からポリカーボネート板に移行したコートによる白濁が生じたのに対して、高温環境試験後の実施例1の二酸化バナジウム薄膜は有色透明のクリアな状態のままであった。
<実施例2〜6>
実施例2〜4の二酸化バナジウム塗料は、表1に示す化学反応型樹脂を用いて調製し、実施例5及び6の二酸化バナジウム塗料は、表1に示す乾燥硬化型樹脂を用いて調製した。表1に示した化学反応型樹脂及び乾燥硬化型樹脂以外の配合は、実施例1と同様にして、塗料を調製した。実施例1と同様に、実施例2の二酸化バナジウム塗料をポリカーボネート板上に塗布し、乾燥し、更に紫外線照射して、ポリカーボネート板上に硬化した二酸化バナジウム薄膜を形成した。また実施例1と同様に、実施例3及び4については、二酸化バナジウム塗料をポリカーボネート板上に塗布し乾燥した後に、120℃に10分間保持する加熱を行って、ポリカーボネート板上に硬化した二酸化バナジウム薄膜を形成した。更に実施例1と同様に、実施例5及び6については、二酸化バナジウム塗料をポリカーボネート板上に塗布した後に、90℃に10分間保持する乾燥を行って、ポリカーボネート板上に二酸化バナジウム薄膜を形成した。
<比較試験2及び評価>
比較試験1と同様に、実施例2〜6で得られた二酸化バナジウム薄膜について、目視による観察と、この二酸化バナジウム薄膜の高温環境試験後の目視による観察を行った。その結果を表1に示す。なお、表1において、アクリット8SS−723(大成ファインケミカル社製)とA−1790(テスク社製)は、紫外線で開裂する重合開始剤が既に添加されている化学反応型樹脂である。また、表1において、ビームセット577(荒川化学社製)はアクリル系のモノマーであり、ナイパーNS(日本油脂社製)は熱で開裂する重合開始剤である。
Figure 0006518553
表1から明らかなように、実施例2〜6の二酸化バナジウム薄膜を有するポリカーボネート板では、二酸化バナジウム粒子の凝集が生じなかったため、有色透明のクリアなサーモクロミックフィルムを得ることができた。更に、実施例2〜6のポリカーボネート板上の二酸化バナジウム薄膜は、高温環境試験後も有色透明のクリアな状態のままであった。
<比較試験3及び評価>
図5に示すように、実施例1の遮光フィルム10を透明なポリカーボネートからなる樹脂ガラス基材21上に積層した積層体20について遮光性能評価装置40を用いてその遮光性能を調べた。具体的には、発泡系断熱材からなる厚さ200mmのボックス41の上面に測定される積層体20を配置した。ボックス41内には温度センサ42が設けられる。ボックス上に配置した積層体20の上面から250mmの高さに500Wの白熱電球43が設置される。遮光性能評価装置40を恒温室に入れ、測定環境温度を0℃と23℃の2段階に変えて、それぞれ積層体20に白熱電球43により900時間光を照射した。そのときのボックス内温度を温度センサ42からの検出出力により測定した。その結果を図6に示す。図6において、上の2つの曲線は、環境温度23℃のとき、下の2つの曲線は、環境温度0℃のときのボックス内の温度曲線であって、各曲線は光照射してから900秒(15分)後のボックス内の温度履歴を示している。900秒後のボックス内の温度を表2に示す。
Figure 0006518553
表2から明らかなように、環境温度23℃では遮光フィルムをつけることでボックス内の温度が7℃低減された。環境温度0℃では実施例1の遮光フィルムは赤外光を透過するため、遮光フィルムを取り付けても、遮光フィルムのないポリカーボネート板(透明基材))と同等のボックス内の温度となった。これは通常の熱線反射フィルムと性能が異なる結果となった。
10 遮光フィルム
11、22 ハードコート層
12 二酸化バナジウム薄膜
13 基材フィルム
14 遮蔽部
20 積層体
21 樹脂ガラス基材
30 サンルーフ
31 枠部
本発明の二酸化バナジウム薄膜は、車両用サンルーフに好適に利用できる。

Claims (5)

  1. 二酸化バナジウム粒子と、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有する分散剤と、アルコール、グリコール、エーテル又はケトンからなる分散媒とを含む二酸化バナジウム分散液と;バインダ樹脂と;を含む二酸化バナジウム塗料を用いて車両用二酸化バナジウム薄膜を製造する方法。
  2. 請求項1記載の方法により製造された車両用二酸化バナジウム薄膜をフィルム上に形成して車両用遮光フィルムを製造する方法。
  3. 請求項2記載の方法により製造された車両用遮光フィルムを樹脂基材上に形成して積層体を製造する方法。
  4. 前記積層体をインサート成形法により形成する請求項3記載の積層体の製造方法。
  5. 請求項4記載の方法により製造された積層体を含むサンルーフを製造する方法。
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