JP5850021B2 - 建設機械の配索構造 - Google Patents

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Description

本発明は油圧ショベル等の建設機械において、運転席横に設けられたリモコン弁とこれによって作動する油圧バルブとを結ぶパイロットホースの配索構造に関するものである。
本発明の好適例である小型の油圧ショベル(所謂ミニショベル)を例にとって背景技術を説明する。
この種の油圧ショベルは、図6に示すようにクローラ式の下部走行体1上に上部旋回体2が地面に対して垂直となる軸Xのまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体2の前部に、ブーム3、アーム4、バケット5、及びこれらを作動させる油圧アクチュエータ(ブーム、アーム、バケット各シリンダ)6,7,8を備えた作業アタッチメントAが取付けられて構成される。
上部旋回体2はアッパーフレーム9を備え、このアッパーフレーム9上にシートスタンド10、このシートスタンド10上に運転席11がそれぞれ設けられる一方、各種操作装置、エンジン及びその関連機器等が搭載される。
図6中、12は運転席11を上から覆うキャノピである。なお、キャノピ12に代えてキャビンが設けられ、このキャビン内にシートスタンド10及び運転席11が設けられる場合(キャビン仕様)もある。
アッパーフレーム9は、図7に示すように底板13、及びこの底板13上に間隔を置いて配置されたフロアプレート14を備えている。
このアッパーフレーム9の前部左側の床下、すなわち、底板13とフロアプレート14との間に床下空間Sが形成され、この床下空間Sに、各油圧アクチュエータの作動を個別に制御する油圧パイロット切換式の複数の制御弁の集合体である多連式のコントロールバルブ15が設置されている(特許文献1,2参照)。
なお、この明細書における「前後」「左右」は、運転席11に着座したオペレータから見た方向性をいう。
コントロールバルブ15は、たとえばアッパーフレーム底板12上に取付けられ、各制御弁が、シートスタンド10上に設けられたリモコン弁16の操作によって作動する。
図7中、17は床下空間Sの後方に垂直に設けられた仕切り壁で、この仕切り壁17によって運転席11(シートスタンド10)の下方にエンジンルーム18が区画形成される。
特開2008−31817号公報 特開2002−227249号公報
リモコン弁16は、シートスタンド上面の前端部において運転席11を挟んで左右両側に設けられ、このリモコン弁16とコントロールバルブ15がパイロットホースHによって接続される。
この場合、コントロールバルブ15が床下空間Sに設置されたショベルにおいて、右側、すなわち、運転席11に対する乗降口と反対側のリモコン弁16(以下でいう「リモコン弁」はすべてこの右側リモコン弁を指す)とコントロールバルブ15とを結ぶパイロットホースHの配索に関して次のような問題があった。
リモコン弁16は、オペレータが最も操作し易い位置として高さ方向、前後及び左右方向の各位置が設定され、この設定位置でリモコン弁16の下面(ホース接続口)とシートスタンド上面との間が配索空間として決まる。
そして、この配索空間は、図示のように高さ方向に狭くなってしまうため、この狭いスペースで多数のパイロットホースHを鋭角のV曲げ状態で配索しなければならない。
このため、この曲げ部分の継手構造が複雑となり、部品単価が高くなるだけでなく、組立ラインでの工数が増えて生産効率が悪くなる。
なお、対策として、シートスタンド上面に配索穴を明け、パイロットホースHをこの配索穴からエンジンルーム18内に下ろしてコントロールバルブまで配索することが考えられる。
しかし、こうすると、エンジンルーム内機器が配索の障害となったり、熱、音の漏洩を防ぐためのシール構造が必要となったり、ホースHからの油漏れによる引火防止策を講じたりしなければならない等、種々の弊害が生じるため、得策でない。
そこで本発明は、リモコン弁下方の配索空間を高さ方向に拡大し、パイロットホースを簡単な継手構造により、エンジンルームを通らないルートで油圧バルブに向けて容易に配索することができる建設機械の配索構造を提供するものである。
上記課題を解決する手段として、本発明においては、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、上記上部旋回体を構成するアッパーフレームは、底板と、この底板上に間隔を置いて設けられたフロアプレートを有し、このフロアプレートよりも後方で上記アッパーフレーム上にシートスタンドが設けられ、このシートスタンド上に運転席が設けられるとともに、上記シートスタンドにおける上記運転席の左右少なくとも一側の前端部に、油圧アクチュエータを操作するリモコン弁が設けられ、このリモコン弁とこれによって作動する油圧バルブとがパイロットホースによって接続された建設機械の配索構造において、上記シートスタンドの上面における上記リモコン弁が設けられた前端部に、上記運転席が設けられる基準面から段差を持って低くなる段落ち部であって上記リモコン弁の下方に上記パイロットホースが通される配索空間を形成する段落ち部が設けられ、上記段落ち部は、先下がりに傾斜して上記パイロットホースを前側に導く底面と、当該底面の後ろ側に位置して前方を向く段差部分と、を有し、当該段差部分に他のホースまたは配線が通されるホース等通し穴が設けられているものである。
この構成によると、従来の配索空間(リモコン弁下面と基準面との間の空間)に、段落ち部による配索空間が加えられて、配索に使用できるリモコン弁下方の空間が高さ方向に大幅に拡大されるため、パイロットホースを、緩やか、かつ、少ない曲げで、エンジンルーム外を通るルートで容易に配索することができる。
これにより、継手構造を簡素化し、部品単価を安くできるとともに、組立ラインでの工数を減らして生産効率を上げることができる。
また、エンジンルーム内を通す場合のような配索障害の問題も、引火防止策や防音、遮熱のためのシール構造を付加する必要もない。
さらに、エンジンルーム外で配索するため、パイロットホースのメンテナンス性も良くなる。
しかも、段落ち加工によって配索空間を形成するため、シートスタンドの必要強度と剛性を確保することができる。
本発明において、上記リモコン弁及び段落ち部、運転席に対する乗降口と反対側でシートスタンド上面の前端部に設けられ、このリモコン弁によって作動する油圧バルブ上記底板とフロアプレートとの間の床下空間に設置され、上記パイロットホース上記配索空間からシートスタンド前面沿いに下降して床下空間に入るルートで配索されているのが望ましい(請求項2)。
「乗降口と反対側」とは、通常の建設機械では右側であり、運転席右側に設けられたリモコン弁のパイロットホースを右前端部からシートスタンド前面に沿って床下空間に下りるルートで配索することになる。
この構成によれば、油圧バルブが床下空間に設置される建設機械において、パイロットホースが、運転席に座ったオペレータの足元空間を侵食したり、操作や乗り降りの邪魔になったりするおそれがない。
また、パイロットホースがシートスタンド前面側に配索されるため、当該パイロットホースのメンテナンス性がさらに良いものとなる。
本発明においては、上記段落ち部の底面先下がりに傾斜していることから、パイロットホースを、段落ち部底面の傾斜に沿った緩やかなカーブ状に無理なく配索できるため、配索が一層容易となる。
一方、上記段落ち部の段差部分に、他のホースまたは配線が通されるホース等通し穴設けられているので、段落ち部による配索空間を他のホース等(たとえばキャビン仕様で設置されるエアコン用のホースや配線)のための配索、配索空間として有効利用することができる。
本発明によると、リモコン弁下方の配索空間を高さ方向に拡大し、パイロットホースを簡単な継手構造により、エンジンルームを通らないルートで油圧バルブに向けて容易に配索することができる。
本発明の実施形態に係る配索構造を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿う拡大側断面図である。 図2の一部拡大図である。 実施形態に係るシートスタンドの正面図である。 同、部分斜視図である。 本発明の適用対象となる小型ショベルの概略側面図である。 従来の配索構造を示す側断面図である。
実施形態は小型ショベルを適用対象としている。
実施形態において、次の点は図6,7に示す公知技術と同じである。
(I) 上部旋回体のアッパーフレーム19上にシートスタンド20、このシートスタンド20上に運転席21がそれぞれ設けられるとともに、各種操作装置、エンジン及びその関連機器等が搭載される点。
(II) アッパーフレーム19は、底板22、及びこの底板22上に間隔を置いて配置されたフロアプレート23を備え、この両者間に形成された床下空間Sに多連式のコントロールバルブ24が設置される点。
(III) コントロールバルブ24は、アッパーフレーム底板22上に取付けられ、各制御弁が、シートスタンド20上に設けられたリモコン弁25の操作によって作動する点。
(IV) リモコン弁25は、シートスタンド上面の前端部において運転席21を挟んで左右両側(図1には右側リモコン弁25のみを示す)に設けられ、このリモコン弁25とコントロールバルブ24がパイロットホースHによって接続される点。
(V) 床下空間Sの後方に仕切り壁26が垂直に取付けられ、この仕切り壁26によって運転席21(シートスタンド20)の下方にエンジンルーム27が形成される点。
実施形態においては、右側(乗降口と反対側)のリモコン弁25とコントロールバルブ24とを結ぶパイロットホースHの配索構造について、次の構成がとられている。
リモコン弁25の下方に当たるシートスタンド上面の右前端部に、運転席21が設けられた基準面B(図3参照)から前方に向かって段差を持って低くなる段落ち加工を施すことによって段落ち部28が設けられている。
この段落ち部28によって、リモコン弁下方に、パイロットホースHが通される配索空間C(図3参照)が形成され、リモコン弁25の下面側(ホース接続口)に接続されたパイロットホースHが、配索空間Cからシートスタンド前面沿いに下降して床下空間Sに入り、仕切り壁26の前面側を通ってコントロールバルブ24に至るルートで配索されている。
いいかえれば、段落ち部28は、このルートでパイロットホースHを配索するのに必要十分な深さ及び幅寸法を持った配索空間Cが形成される状態で設けられている。
図2,5中、29はパイロットホースHを床下空間Sに導入するためのパイロットホース導入穴である。
また、段落ち部28の底面(低位面)28aは、緩やかな角度で前下がりに傾斜する傾斜面として形成され(図2,3参照)、パイロットホースHが、この傾斜に沿った緩やかなカーブを描いて配索空間C内を通る。
一方、段落ち部28の段差部分28b(図の複雑化を避けるために図2,3,5のみに符号を付している)に配線通し穴30が設けられ、他のホース等、たとえばキャビン仕様において設置されるエアコン用のホース及び配線31(図2,3参照)がこのホース等通し穴30を通って配索される。
ホース等通し穴30は、パイロットホースHとできるだけ干渉しないように、段差部分28bの幅方向の中心から左側にずれた位置に設けられている(図1,4,5参照)。
なお、ホース等通し穴30は、図示のように横長の長穴としてもよいし、縦長の長穴としても、また丸穴としてもよい。さらに、丸穴または長穴として複数設けてもよい。
この構成によると、従来の配索空間(基準面Bとリモコン弁25との間の空間)に、段落ち部28による配索空間Cが加えられて、配索に使用できるリモコン弁下方の空間が高さ方向に大幅に拡大されるため、パイロットホースHを、図示のように緩やか、かつ、少ない曲げで、エンジンルーム27外を通るルートで容易に配索することができる。
これにより、継手構造を簡素化し、部品単価を安くできるとともに、組立ラインでの工数を減らして生産効率を上げることができる。
また、エンジンルーム27内を通す場合のような配索障害の問題も、引火防止策や防音、遮熱のためのシール構造を付加する必要もない。
さらに、エンジンルーム27外で配索するため、パイロットホースHのメンテナンス性も良くなる。
しかも、段落ち加工によって配索空間Cを形成するため、シートスタンド20の必要強度と剛性を確保することができる。
また、パイロットホースHを、配索空間Cからシートスタンド前面沿いに下降して床下空間Sに入るルートで配索するため、パイロットホースHが、運転席21に座ったオペレータの足元空間を侵食したり、操作や乗り降りの邪魔になったりするおそれがない。
加えて、シートスタンド前面側に配索するため、パイロットホースHのメンテナンス性がさらに良いものとなる。
さらに、パイロットホースHを、段落ち部底面28aの傾斜に沿った緩やかなカーブ状に無理なく配索できるため、配索が一層容易となる。
一方、段落ち部28の段差部分28bにホース等通し穴30を設けているため、段落ち部28による配索空間Cをエアコン用のホースや配線といった他のホース等のための配索、配索空間として有効利用することができる。
他の実施形態
(1) 上記実施形態では、右側リモコン弁25用のパイロットホースHを配索するための構造として説明したが、左側リモコン弁用のパイロットホースについても必要に応じて実施することができる。
また、下部走行体の前方に設けられるドーザを操作するためのリモコン弁がシートスタンド20に設けられる油圧ショベルにおいて、リモコン弁とこれによって作動する油圧バルブ(ドーザ制御弁)とを結ぶパイロットホース用の配索構造についても上記同様に実施することができる。
(2) 上記実施形態では、パイロットホースHをシートスタンド前面側に通すように段落ち部28を前向きに設けたが、パイロットホースHをシートスタンド側面側に通す場合には、段落ち部28を横向きに設ければよい。
(3) 本発明は油圧ショベルに限らず、ショベルを転用して構成される解体機や破砕機等、ショベルと同様にシートスタンドに設けられたリモコン弁とこれによって作動する油圧バルブとを結ぶパイロットホースを有する建設機械にも上記同様に適用することができる。
19 アッパーフレーム
20 シートスタンド
B シートスタンドの基準面
21 運転席
22 アッパーフレーム底板
23 フロアプレート
24 コントロールバルブ
25 リモコン弁
28 段落ち部
28a 段落ち部底面
28b 同、段差部分
C 配索空間
30 ホース等通し穴
31 ホース等

Claims (2)

  1. 下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、上記上部旋回体を構成するアッパーフレームは、底板と、この底板上に間隔を置いて設けられたフロアプレートを有し、このフロアプレートよりも後方で上記アッパーフレーム上にシートスタンドが設けられ、このシートスタンド上に運転席が設けられるとともに、上記シートスタンドにおける上記運転席の左右少なくとも一側の前端部に、油圧アクチュエータを操作するリモコン弁が設けられ、このリモコン弁とこれによって作動する油圧バルブとがパイロットホースによって接続された建設機械の配索構造において、
    上記シートスタンドの上面における上記リモコン弁が設けられた前端部に、上記運転席が設けられる基準面から段差を持って低くなる段落ち部であって上記リモコン弁の下方に上記パイロットホースが通される配索空間を形成する段落ち部が設けられ、
    上記段落ち部は、先下がりに傾斜して上記パイロットホースを前側に導く底面と、当該底面の後ろ側に位置して前方を向く段差部分と、を有し、
    当該段差部分に他のホースまたは配線が通されるホース等通し穴が設けられていることを特徴とする建設機械の配索構造。
  2. 上記リモコン弁及び段落ち部、運転席に対する乗降口と反対側でシートスタンド上面の前端部に設けられ、このリモコン弁によって作動する油圧バルブが、上記底板とフロアプレートとの間の床下空間に設置され、上記パイロットホースは、上記配索空間からシートスタンド前面沿いに下降して床下に入るルートで配索されていることを特徴とする請求項1記載の建設機械の配索構造。
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