JP5843807B2 - ライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、開栓性、シール性及びライナーセット適性等に優れたライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルに関する。
一般に、ガラスビン、PETボトル、アルミボトル等のキャップ(容器蓋)は、合成樹脂製ライナーを具備したものが広く使用されている。金属性キャップの場合は、アルミ薄板、ブリキ薄板、クロム鍍金薄板(TFS)等の両面に数回の塗装を繰り返し、打ち抜き成形したものをキャップシェル(キャップ殻体)とし、これに予めディスク状に成形したもの(ディスク成形体)を挿入する方法(ディスク挿入方法)、ディスク成形体を挿入後中心部で熱接着する方法(ディスク挿入接着方法)、塩ビゾルのようにライナー材をキャップシェルに流し込み、加熱によりゲル化と同時に接着する方法(ライニング方式)、溶融樹脂をキャップシェルの中に入れ熱接着、型押しする方法(インシェルモールド方法)などがある。
これらの方式は一長一短があり、ディスク挿入方式やディスク挿入接着方式は製造設備が比較的安価であるが、ライナーが単層であるために酸素バリアー性が劣るものが多い。また、シートからディスク状にライナーを打ち抜くために、ライナーの抜き屑が発生し、材料の歩留まりが悪い不都合がある。これらライナーは再生可能であるが、食品用途には一度使用したものが混じり、使用した場合、液に接する面に再生品の一部が触れる。このため、衛生面を考慮して通常、打ち抜き屑は同じものには再使用しない。またシートであるため、シールに関係しない中央部を少なくするということができず、ライナー重量が大きくなる。
一方、ライニング方式は、シール部のみにライナー材を配置することができるが、その材料が主に塩ビゾルであるため衛生面で懸念される面がある。また、インシェルモールド方式は、ライナー材の使用量については比較的効率がよいが、大量生産に向いている反面、少量生産に不向きである。また、ライナー材を押出機から押し出し、半溶融状態でカットするため、押出成型性が良くない材料は使用できず、使用可能な材料は限定される。さらに、一般に開栓トルク値が高くなるため、滑剤を多用する傾向がある。
これらに対し、従来、特許文献1〜4には、多層構造のライナー材が提案されている。このライナー材は、硬度の高い樹脂と硬度の低い樹脂とを張り合わせ、硬度の高い樹脂で良好な打ち抜き性、キャップ挿入性を得ると共にシール後の形状保持性、開栓時の低開栓トルクを発現させ、硬度の低い樹脂でシール性を発現させる方式である。すなわち、このライナー材は、良好なシール性及び開栓性が得られる。例えば、特許文献1では、PP(ポリプロピレン)樹脂とエラストマーとを一定の割合で積層したものが提案されている。
また、特許文献5では、アルミシートを打ち抜き、絞り加工を加えたものを使用して、これに合成樹脂ライナーを付着したパッキンについて提案している。しかしながら、この方式では、アルミ板にライナー接着塗料を塗布した後、打ち抜き絞り加工を施し、ライナー材を加熱接着(ライナー及びシェルの加熱接着)する工程が多くなり、コストも増大するので実用的ではない。また、樹脂(PP樹脂等)と比べ、アルミシートの打ち抜き屑のリサイクルも簡単ではない。
特開2006−76575号公報 特開2007−119059号公報 特開2007−161331号公報 特開2007−161332号公報 特開2003−321040号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記キャップのライナー製造のうち、押出機でライナー材を溶融させた状態でシェルに入れて型押しする成形法が一般的であるが、このときシェルの内面に塗布された接着塗料とライナー材とが全面に接着してしまうことになる。このとき、ライナー材をシェル内面に接着させないと型押しした金型にライナー樹脂が接着し、シェルにライナー材が残らない状態になり、キャップにライナーを形成できない。このため、金属キャップの場合、ライナー材に接着する塗料が塗布されているが、ライナー材が全面に接着した状態のキャップで容器にキャッピングした場合、ライナーが動きにくいため、容器の形状に追随しにくくシールが充分でない場合がある。したがって、容器口部に接する部分のライナー材は、フレキシブル即ち非接着であることが望ましい。
しかし、この場合でも開栓する時、ライナー材はキャップと強固に接着しているため、容器とライナーとの間で摺動する。この場合、容器とライナーとの密着が強いため、開栓(ライナーと容器口部との摺動)するためには大きな力が必要である(開栓トルクが高い)。このため、通常ライナー材に滑剤を添加し、ライナー材の表面に滑剤を介在させ開栓トルクが下がるようにするが、滑剤の添加量が少ないと、滑剤の滑性効果は認められず、多すぎるとライナー表面に浮いた滑剤が内容物の上に落下し、異物となる。このため、適正な滑剤量の使用が求められるが、種々の条件に影響を受けるため、適性量を決めるのが困難である。したがって、この場合、しばしば開栓トルクが高すぎるという問題が発生する、又は滑剤が内容物に浮く、あるいは両方の問題が同時に発生する。
この解決方法として上記特許文献に示すような多層シートのライナー材が提案されている。これは、ライナーがキャップシェルと接する方に硬質で滑性のある摺動層(硬質層)を配すると共に、容器口部に接する方に柔軟な密封層(軟質層)を配置した多層シートライナー材である。このライナー材は、開栓時には摺動層とキャップシェルとの間でずれるため、少ない力で開栓することができる。また、容器口部に接する部分に滑剤を使用する必要が無いか、使用しても少量のため滑剤の浮きという問題は発生しない。
しかし、この多層シートのライナーは、キャップシェルへの挿入後、あるいは開栓時に脱落を防ぐために、出来る限りキャップシェル内径に近い寸法に設定されるが、シール時に柔軟な密封層が圧縮されて側面に張り出す構造になる。このため、張り出した柔軟な密封層がキャップシェル内側面に接触することがあり、開栓時に高トルクを発現するという問題がある。また、ライナーの外径を可能な限り小さくしても、キャッピング時にライナーがキャップシェルの中心からずれて、ライナーが一部シェルに接触して開栓トルクを上げるという現象が発現してしまう。
また、特許文献5のように、アルミ板を用いたライナーの場合、ライナーの端部を曲げてからキャップシェルに嵌め込むため、曲げ加工が必要になり、製造コストが高くなる不都合がある。さらに、アルミ板の強度が高いため、キャッピング時にキャップ肩部の絞り加工がし難く、側面シールを施すことが困難なため、十分なシール性を得ることができないという問題があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、開栓性、シール性及びライナーセット適性等に優れたライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトルを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のライナー付きキャップは、ボトルの口部を封じるライナー付きキャップであって、天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなる金属製のキャップ本体と、前記天板部の内面に設けられた合成樹脂製のライナーと、を備え、前記ライナーが、前記天板部の内面に接して配された円盤状の硬質シートと、前記硬質シートに積層され前記硬質シートよりも柔軟な軟質層と、を備え、前記軟質層が、前記硬質シートと同心円であると共に少なくとも前記キャップ本体を前記口部に被せて前記キャップ本体の肩部が絞り加工された際に前記口部の外側にも当接可能に前記硬質シートよりも小径な円環状又は円盤状に形成され、前記筒状周壁部が、内側に突出して前記ライナーをその下面側から支持するライナー係止突起を備え、前記筒状周壁部の内径をD0とし、前記ライナー係止突起の突出長さをwとした際、前記硬質シートの外径D1が、D0≧D1>D0−2wの範囲に設定され、前記軟質層の外径d1が、D0−2w>d1での範囲に設定されていることを特徴とする。
このライナー付きキャップは、軟質層が、硬質シートと同心円であると共に少なくとも口部に当接可能に硬質シートよりも小径な円環状又は円盤状に形成されているので、キャッピング時の圧力によって軟質層に変形が生じても、軟質層の端部がキャップシェルの内側面やライナー係止突起から離間しており、これらに端部が接触して開栓トルク値を上げることが無く、良好な開栓性を得ることができる。なお、合成樹脂製のライナーであるため、アルミ板等を用いた従来ライナーに比べて低剛性であり、平板状であっても容易にキャップシェルに嵌め込み可能であると共に、キャップ肩部の絞り加工も容易に行うことができる。また、本発明では、ライナー端部が硬質シートのみで低剛性であるため、ライナー全体が硬質シートと軟質層との二層構造の場合に比べて、容易にキャップシェルに嵌め込み可能である。さらに、軟質層部分が硬質シートよりも少ないため、ライナー全体が硬質シートと軟質層との二層構造の場合に比べて、ライナーの全体重量を低減することができる。
また、軟質層と硬質シートとの多層構造であるので、軟質層によって高いシール性を得られると共に、軟質層に比べて滑性の高く摩擦抵抗の低い硬質シートによってライナーがキャップ本体に対して自由に回転して高い開栓性と耐落下衝撃性能が得られ、多量の滑剤を添加する必要がない。
また、このライナー付きキャップでは、硬質シートの外径及び軟質層の外径が上記の範囲に設定されているので、硬質シートがライナー係止突起に係止されてライナーの脱落を防止できると共に、軟質層が口部に接触しつつもライナー係止突起に接触せず、高い密封性を維持しつつ開栓トルクの増大を防ぐことができる。
また、本発明のライナー付きキャップは、前記硬質シートの厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fが150以上に設定されていることを特徴とする。すなわち、このライナー付きキャップは、硬質シートの厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fを150以上とすることにより、モールドパンチや容器の口部に軟質層が付着して引っ張られて硬質シートがライナー係止突起に当接した際に、硬質シートの高い曲げ弾性によってライナー係止突起から抜けることを防ぐことができる。
また、本発明のライナー付きキャップは、前記天板部と前記ライナーとの間に、不揮発性有機液体が塗布されていることを特徴とする。すなわち、このライナー付きキャップでは、天板部とライナーとの間に不揮発性有機液体が塗布されているので、ライナーの付着性及びガスバリアー性の向上を図ることができる。
さらに、本発明のライナー付きキャップは、前記ライナーの面積をS(cm)とし、前記不揮発性有機液体の塗布量をY(mg)としたとき、前記不揮発性有機液体の塗布量を、Y=aSで、aが0.01〜1.00の範囲に入るように設定していることを特徴とする。すなわち、このライナー付きキャップでは、不揮発性有機液体の塗布量を、上記範囲に入るように設定しているので、ライナーの面積に応じた滲み出しのない適正な塗布量と良好なガスバリアー性とを得ることができる。
また、本発明のライナー付きキャップは、前記不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はグリセリンであることを特徴とする。すなわち、このライナー付きキャップでは、不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はグリセリンであるので、ガスバリアー性が著しく向上する。なお、不揮発性有機液体としてグリセリンを選択すると、水の添加によって不揮発性有機液体の動粘度を容易に調整することができる。
本発明のボトルは、ライナー付きキャップを備えたボトルであって、前記ライナー付きキャップが、上記本発明のライナー付きキャップであることを特徴とする。
すなわち、これらのライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルでは、硬質シート上に該硬質シートよりも小径の軟質層が形成されているので、上述したように、開栓性及びシール性等に優れている。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルによれば、軟質層が、硬質シートと同心円であると共に少なくとも口部に当接可能に硬質シートよりも小径な円環状又は円盤状に形成されているので、キャッピング時に軟質層が変形してもキャップシェル内側面等に接触せず、低開栓トルクを維持して高い開栓性を得ることができる。また、キャップシェルへの嵌め込みが容易であると共に、高いシール性やライナーセット適性等を得ることができる。
さらに、硬質シートの外径及び軟質層の外径が上記の範囲に設定されているので、硬質シートがライナー係止突起に係止されてライナーの脱落を防止できると共に、軟質層が口部に接触しつつもライナー係止突起に接触せず、高い密封性を維持しつつ開栓トルクの増大を防ぐことができる。
本発明に係るライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルの一実施形態において、キャップを示す一部を破断した側面図である。 本実施形態において、キャップ付きボトルを示す一部を破断した要部側面図である。 本実施形態において、ライナー付きキャップの製造方法における製造工程を示す説明図である。 本実施形態において、ライナーの面積Sと、不揮発性有機液体の塗布量Yと、の良好な範囲を示すグラフである。
以下、本発明に係るライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルの一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
本実施形態のキャップ1は、図1及び図2に示すように、天板部2と該天板部2の周縁から垂下した筒状周壁部3とからなる有底筒状で金属製のキャップシェル(キャップ本体)4と、天板部2の内面に脱落しない状態で設けられた板状の合成樹脂製のライナー5と、を備えている。
また、本実施形態のキャップ付きボトル(容器)6は、上記キャップ1を口金部(口部)7に巻き締めた状態で備えている。
上記キャップシェル4は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金の板材から加工されたものであり、該板材は、内外面を塗装(内面:サイズニス+トップコート、外面:サイズコート+トップコート(ツヤニス))した塗装板を使用している。なお、内外面トップコートには、必要に応じ各種滑剤添加タイプを使用している。例えば、上記天板部2内面には、エポキシフェノール等の樹脂に滑剤としてポリオレフィン系ワックス等が添加された塗料が焼付けと塗布されている。
上記ライナー5は、天板部2の内面に接して配された円盤状の硬質シート5aと、硬質シート5a上に樹脂成型で積層状態に形成され硬質シート5aよりも柔軟な軟質層5bと、を備えた多層構造を有しており、キャップシェル4に密封効果を持たせるものである。
上記硬質シート5aの材料としては、合成樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂、HDPE(高密度ポリエチレン)、PA(ポリアマイド、通称ナイロン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル)PVC(ポリ塩化ビニル)等が採用可能である。
また、上記軟質層5bの材料としては、TPS(スチレン系エラストマー、TPO(オレフィン系エラストマー)、TPU(ウレタン系エラストマー)、TPEA(ポリアミド系エラストマー)、TPEE(ポリエステル系エラストマー)、PVC−TPE(ポリ塩ビ系エラストマー)等が採用可能である。
なお、インシェルモールドで接着可能な硬質シート5aと軟質層5bとの材料組合せは、例えば以下のものがある。
<硬質シート> <軟質層>
a. PP TPS、TPO
b. HDPE TPS、TPO
c. PA TPEA
d. PVC PVC−TPE
e. TPU TPU
f. PET、PBT TPEE
特に、上記硬質シート5aがポリプロピレン樹脂で形成され、上記軟質層5bがスチレン系エラストマーで形成される材料組合せが好ましい。すなわち、PP(ポリプロピレン)樹脂は、価格も廉価であると共に耐熱性に優れ、摺動層となる硬質シート5aの材料に最適である。また、TPS(スチレン系エラストマー)は、PP樹脂との接着性に優れ、良好な耐レトルト性能を有しており、軟質層5bの材料として最適である。
また、上記硬質シート5aは、その厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fを150以上とするように設定されている。また、硬質シート5aの厚さは、0.1mm〜1.0mm、より好ましくは0.2mm〜0.8mmに設定される。
さらに、上記軟質層5bは、そのボトル6の口金部7に接する部分の厚さが、他の部分よりも厚く設定される。また、軟質層5bの口金部7に接する部分の厚さは、0.1mm〜0.9mmに設定される。
また、軟質層5bは、硬質シート5aと同心円であると共に少なくとも口金部7に当接可能に硬質シート5aよりも小径な円環状又は円盤状に形成されている。なお、軟質層5bを、硬質シート5aよりも小径な円環状に形成しても構わない。
上記筒状周壁部3は、ナール8、ライナー係止突起9、ミシン目10、ビード11及びスカート部12を備えている。上記ライナー係止突起9は、筒状周壁部3の内側に凹んだ断面三角形状または半円形状をなし、周方向に間隔をおいて複数個配され内方に突出形成されたものであり、上述したように、ライナー5をその下面側から支持する機能と実質上の洗浄口の役目を有する。なお、ライナー係止突起9は、内方に突起を周方向帯状に生成することによって形成しても構わない。
このライナー係止突起9は、ほぼ等間隔に複数個形成されており、その位置は天面から硬質シート5aの厚さ、またはさらに1.0mmまでの間に設置されている。
また、筒状周壁部3の内径をDとし、ライナー係止突起9の突出長(押し込み量)をwとした際、硬質シート5aの外径Dが、D≧D>D−2wの範囲に設定され、口金部中央の径をRとした際、軟質層5bの外径dが、D−2w>d>Rでの範囲に設定されている。
また、天板部2とライナー5との間に、不揮発性有機液体が塗布されている。不揮発性有機液体としては、シリコーンオイル又はグリセリンが好ましい。
さらに、ライナー5の面積をS(cm)とし、不揮発性有機液体の塗布量をY(mg)としたとき、不揮発性有機液体の塗布量を、Y=aSで、aが0.01〜1.00の範囲に入るように設定している。
上記キャップ1は、ガラスビン、PETボトル等の樹脂ビン、アルミニウム合金等の金属で成型したいわゆるボトル缶等のボトル本体13に被せられ、キャップ1にキャッピング加工を施すことにより、キャップ1が口金部7に巻き締められて被着され、キャップ付きボトル(以下、単にボトルとも称する)6とされる。
上記キャッピング加工工程は、プレッシャーブロック、ネジローラー、スカートローラー等からなるキャッピング装置を用いて行われる。
すなわち、口金部7に被せたキャップ1の天板部2を、プレッシャーブロックでボトル底部の方向に押圧し、この状態でプレッシャーブロックによる絞り加工により、キャップ1の肩部に段差部14を形成する。さらに、この状態でネジローラーによりネジ部7aを形成し、スカートローラーで口金部7のカブラ部7bにスカート部12を巻きつけることで、キャッピング加工が行われる。
このようにキャップ1が口金部7に巻きつけられることにより、キャップ1は天板部2の内面側のライナー5が口金部7に圧接される状態になる。これによりボトル6の内容物が密封された状態になる。なお、内容物の充填は、当然にキャップ1をボトル6に被せる直前に行われる。
一方、開栓するときは、キャップ1を回してミシン目10から切断し、キャップ1を口金部7から外すことにより、口金部7が開栓され内容物が取り出されることになる。
そして、取り外したキャップ1を口金部7に再び取り付けることにより、再閉栓することが可能になっている。
なお、上記キャップ1は、合成樹脂製であっても構わず、この場合、主にポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を原料に、射出成型、圧縮成型等で成型されたキャップシェルにライナーを挿入したものとされる。合成樹脂のキャップシェルは、成型時にネジ部、ナール、PPバンド部が成型されるものが多い。なお、ミシン目は、後加工で入れるものもある。
合成樹脂製のキャップの場合、施栓は口金部7に被せ回転させながら締めこむ方法が一般的である。このときPPバンド部が口金部7のカブラ部7bに係止される。開栓は施栓時と逆に回転させることにより、口金部7のネジに沿って開栓される。このときPPバンド部は、口金部7のカブラ部7bに係止されているためミシン目から切断され、開栓したことが明示されることになる。この場合も必要に応じ再閉栓することができる。
次に、本実施形態のライナー付きキャップ1の製造方法を、金属キャップの場合について図3を参照して説明する。
例えば、38PPキャップの場合、アルミニウム製のキャップシェル4を作製するには、図3に示すように、まず厚さ0.25mmアルミ板21に、内外面を塗装する。なお、このアルミ板には、クロメート処理、アロジン処理等の表面処理をしたものでも良い。この場合、サイズコートを省略することも可能である。通常、内面をサイズコート、トップコートを施し、外面をサイズコート、必要に応じて印刷し、次にトップコート(ツヤニス)を塗布する。これらの厚さは、一般に1〜10μmであり、各々は150℃〜200℃で8〜12分焼付け乾燥される。これに、潤滑剤を塗布しプレス22で打ち抜く。さらに後工程で、ナーラー23によりミシン部10、グルーブ、ナール8等の加工を施しキャップシェル4を作製する。
次に、ライナー5を作製する方法を、図3を参照して説明する。
従来は、ライナー材を生産する場合、例えば押出機でシートを作り、ディスク状に打ち抜いてそれを金型にいれ、射出成型機を使ってインサート成形でエラストマーを作る。
あるいは、二色成型機で硬質層とエラストマー層とを交互に成形、貼合する方法が取られる。この方法で成形されたライナーを、ホッパーを使い整列させてキャップシェルに挿入する方法が一般的である。
なお、この方法でキャップを生産する場合、ライナーは生産のコストが高くなる。また、特別な金型及び特殊な製造機(二色成型機等)が必要であり、生産速度が著しく劣る。さらに、成形したライナーの表裏を揃え、整列するための装置が必要になる。
これに対し、本実施形態の製法は、以下の通りで生産性、コスト面でも優れている。本実施形態の製法では、図3に示すように、まずTダイ24を備えた押出機25から硬質シート5aとなるPP単層シート27を押出す。これをシートライナー機30でディスク状の硬質シート5aに打ち抜き、キャップシェル4に挿入する。このときの表裏の選択はない。
このキャップシェル4には、ライナー係止突起9が形成されており、一度挿入された硬質シート5aのディスクは抜け難い構造になっている。このときの硬質シート5aの厚さは、0.1〜1.0mmに設定されるが、好ましくは0.2〜0.8mmに設定される。なお、0.1mm未満であると、硬質シート5aとしての機能が十分ではない。また、上記ディスクをキャップシェル4に挿入する工程は、キャップシェル4にスリット(ナール8)やフック(ライナー係止突起9)等を成型する前でもよい。この場合、ディスクがフックにより傷つけられたり、挿入不良が発生したりすることがなくなる。
次のインシェルモールド工程で押出機25から押し出され溶融されたエラストマー等軟質樹脂の一定量を、硬質シート5aが挿入されたキャップシェル4に入れ、直ちに冷却された金型で一定のライナー形状とされた軟質層5bを形作る。この軟質層5bの形状は、上述したように、硬質シート5aの外径より小さくかつ同心円を描いている。この樹脂成型の場合、硬質シート5aとエラストマーの軟質層5bとは材料を選ぶことにより完全に接着するが、接着が弱い場合、シート成形された後、シートの表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、アンカーコート処理、フレーム処理、接着剤塗布等の表面処理の工程を加えても良い。この場合、表面処理はエラストマー等と接着する面のみでよい。
このときの硬質シート5aの厚さが0.1mm未満だと、インシェルモールドされた軟質樹脂の軟質層5bと接着した後、モールドパンチから軟質層5bの樹脂が離れず、硬質シート5aと共にキャップシェル4から抜け出してしまうという現象が発生する。また、この硬質シート5aは厚さと硬さとが重要であり、硬質シート5aの厚さをtし、その曲げ弾性率fとした時、t×fの値が150以上であることが好ましい。t×fの値が150未満であると、柔軟材料を溶融して硬質シート5aに載せ、モールドパンチで型押しした場合、パンチに軟質層5bの軟質部材が付着し、キャップシェル4から硬質シート5aもろとも引き上げられてしまう場合がある。また、開栓時に口金部7に残ったり、キャップシェル4からはずれて落ちしまう場合がある。
なお、硬質シート5aの厚さが1.0mmより厚いと、キャップ用ライナーとしての役割が果たせない。この硬質シート5aの打ち抜き屑28は、通常直ちにチョッパーでチップに粉砕されてリサイクル材として使用され、また硬質シート5aとして再生される。
キャップシェルが樹脂製の場合では、該キャップシェルが金属製のキャップシェル4とほぼ同一であるがキャップがキャップシェルの内側に予めボトル口部に設置されている雄ネジと嵌合する雌ネジが設置されている。これを射出成形、又は圧縮成形で成形した後、必要に応じてミシン目工程、ベントホール工程、外面印刷工程等を施し、上述のアルミキャップと同様に、硬質シート5aを挿入後、溶融軟質ライナー材を硬質シート5a上に供給し、冷却パンチで型押しすることにより軟質層5bを形成し、本発明のキャップが提供できる。
このライナー5とキャップシェル4とは回転方向に自在であるため、キャップ1をボトル本体13から開栓する際、キャップ1の回り始めの開栓トルクはライナー5の硬質シート5aとキャップシェル4との間の抵抗だけになる。この場合、硬質シート5aは、口金部7と接触している軟質層5bとは異なり、摩擦抵抗が低いため温度依存性の少ない適性な開栓トルク値が得られる。
本実施形態のキャップ1の開栓においては、まずライナー硬質層である硬質シート5aとキャップシェル4との間で摺動し、しかる後、ライナー5を回転させること無く、キャップシェル4が回転すると共に、ライナー5をライナー係止突起9により引き上げる方式である。この場合、ライナー5を口金部7から持ち上げる力は、キャップシェル4の回転により得られるので、非常に低い回転トルクで充分である。この場合、軟質層5bに多量の滑剤を添加する必要はなく、滑剤がライナー5からブリードし、内容物の上に落下する等の問題は発生しない。
従来の硬質部材と柔軟部材とからなる多層シートのライナーの場合、口金部7とライナーとの密封性が高くてもライナー天面からの酸素透過が有り、キャップとしての充分な酸素バリアー性が得られない場合がある。この多層シートのライナーのバリアー性を上げるには、柔軟部材はバリアー性が低いため、硬質部材と柔軟部材との間にバリアー性の高い樹脂を積層するという方法がとられるが、装置が大掛かりとなり、実用的ではない。またこの場合、打ち抜き屑等は再生不可能である。
これに対し本実施形態では、硬質シート5aの上にバリアーフイルムを貼合、あるいはDLC(ダイアモンド状硬質炭素膜)等の無機皮膜を貼合、あるいは蒸着し、さらにこれらをディスク状に打ち抜き、キャップシェル4に挿入し、この上に柔軟部材の軟質層5bをモールドすることにより、ガスバリアー性を上げたキャップを提供することができる。あるいは硬質シート5aに、ナイロン、PET、PAN、EVOH等のバリアー性の有る材料を使用することもできる。
ボトル6に詰められた飲料は、充填、キャッピング後開栓する場合、飲料がキャップ1内天面に付着していて、開栓と同時にキャップ1内面に付着した飲料が落下し、衣服を汚したりする問題が発生する。この場合、インシェルモールドタイプのライナーでは、ライナー中央から放射状、あるいは平行の溝、畝等の一定の形状を作ることで、キャップ1内面に付着した飲料が一箇所に集まり、大きな塊となって落下しないような工夫がなされている。しかし、多層シートのライナーの場合、表面が平坦であるためライナー表面に種々の形状を施すことは難しい。一方、本実施形態では、軟質層5bを成形するとき、上記一定の形状を付与することは簡単である。
従来のシートライナーは、打ち抜かれた後、直接キャップシェルに挿入されるが、本実施形態のライナー5は、これに比べ相対的に薄いため、打ち抜き挿入前に、不揮発性液体(シリコーンオイル又はグリセリンが好ましい)をキャップシェル4の内面に塗布することにより、打ち抜かれ挿入されたライナー5の付着性向上及びキャップ1としての開栓トルク値の低減を図ることができる。また、ライナー5がキャップ天面に密着することにより、キャップ1としてのガスバリアー性が向上する等の特長が得られる。なお、ライナー5の面積をS(cm)とし、不揮発性有機液体の塗布量をY(mg)としたとき、図4に示すように、不揮発性有機液体の塗布量を、Y=aSで、aが0.01〜1.00の範囲に入るように設定している。
この不揮発性液体の必要塗布量は、キャップの径に比例する。少なすぎるとバリアー性の効果が充分ではなく、多すぎるとライナー5とキャップシェル4との間から液が滲み出し、ボトル缶等にキャッピングされたキャップ1を開栓すると、ビン口に液が付着しているという現象が発生する。その塗布量はライナー5の表面状態によっても若干異なるが、ほぼキャップの径に比例させることが好ましい。
また、従来のシートライナーは、常温でシートからディスク状に打ち抜き、キャップシェル4に挿入するが、このとき特別な熱処理を加えないのに対し、本実施形態の場合、硬質シート5a挿入後、溶融した柔軟ライナー材を硬質シート5a上に置き、直ちに押圧成形して軟質層5bを形成するため、硬質シート5aの表面は完全に無菌状態になるので衛生的に優れたキャップ1を供給できる。
さらに、従来のインシェルモールドタイプは、ライナーに印刷することは難しい。これに対して本実施形態では、ディスク状に打ち抜く前に硬質シート5aに印刷し、これをキャップシェル4に挿入する。そして、その上に溶融した柔軟ライナー材を供給し、直ちに押圧成形して軟質層5bを形成することにより、印刷されたライナー5を持ったキャップ1を供給できる。このキャップ1のライナー5は印刷面が直接内容物と接触しないため衛生的に優れている。この印刷は、懸賞キャップ等で使用する場合に有用である。
従来の多層シートライナーは、シートからディスクを打ち抜き挿入するが、そのとき発生する抜き屑は複数の材料が貼合されているため、再生使用することは非常に難しい。一方、本実施形態の製法では、抜き屑28が発生するのはライナー材の硬質部(硬質シート5aの抜き屑28)だけであるので、これをチップ、ペレットにしてリサイクルするのは容易である。また、条件により抜き屑28を直接リサイクルすることも可能である。したがって、本実施形態の製法では、理論的には硬質シート5aのライナー材は100%生産に使用することができる。
また、本実施形態は、耐落下衝撃性等のハンドリング性に優れたキャップ1が提供できる。例えば、充填キャッピングされたボトルを倒立落下でキャップに衝撃を与えた場合、従来のインシェルモールドタイプでは衝撃によりボトルとキャップとの変位量が大きいと、ライナー材がボトルから離れるという現象が発生する。一方、本実施形態では、ライナー5とキャップシェル4とが自由に動ける状態であるので、衝撃を受けた場合、口金部7に密着しているライナー5はキャップシェル4の変位に引きずられる割合が少ないため、良好な耐落下衝撃性能を示す。
また、本実施形態のライナー5は開栓するとき、まず摺動するのはキャップシェル4の内天面とライナー5の摺動層(硬質シート5a)であるため、密封層(軟質層5b)が滑る必要がない。このため、密封層が摺動するのに必要な滑剤量を添加する必要が無い。このため、ブリードした滑剤が内容物の上に落下するなどの問題は発生しない。また、滑剤が持つ特有な臭いが内容物に移行する等の問題も発生しない。但し密封層とボトル口部との剥離程度を向上させるために密封層に少量のブロッキング防止剤、滑剤等を使用しても良い。
このように本実施形態では、軟質層5bが、硬質シート5aと同心円であると共に少なくとも口金部7に当接可能に硬質シート5aよりも小径な円環状又は円盤状に形成されているので、キャッピング時の圧力によって軟質層5bに変形が生じても、軟質層5bの端部がキャップシェル4の内側面やライナー係止突起9から離間しており、これらに端部が接触して開栓トルク値を上げることが無く、高い開栓性を得ることができる。
なお、合成樹脂製のライナー5であるため、アルミ板等を用いた従来ライナーに比べて低剛性であり、平板状であっても容易にキャップシェル4に嵌め込み可能であると共に、キャップ肩部の絞り加工も容易に行うことができる。また、ライナー5の端部が硬質シート5aのみで低剛性であるため、ライナー全体が硬質シート5aと軟質層5bとの二層構造の場合に比べて、容易にキャップシェル4に嵌め込み可能である。さらに、軟質層5b部分が硬質シート5aよりも少ないため、ライナー全体が硬質シート5aと軟質層5bとの二層構造の場合に比べて、ライナー5の全体重量を低減することができる。
また、軟質層5bと硬質シート5aとの多層構造であるので、軟質層5bによって高いシール性を得られると共に、軟質層5bに比べて滑性の高く摩擦抵抗の低い硬質シート5aによってライナー5がキャップシェル4に対して自由に回転して高い開栓性と耐落下衝撃性能が得られ、多量の滑剤を添加する必要がない。
また、硬質シート5a上に軟質層5bを樹脂成型により形成するので、硬質シート5aをディスク状に打ち抜いた際の多量の抜き屑が単層であり、再利用(リサイクル)ができると共に、硬質シート5aをキャップシェル4へ挿入した後に上記樹脂成型を行う場合には、打ち抜いた硬質シート5aに表裏がなく、キャップシェル4への挿入時に表裏の選択をする必要がない。
さらに、軟質層5bだけを樹脂成型により形成するので、多様な形状の軟質層5bを得ることができ、必要に応じて部分的厚さを個別に設定して材料の使用量を低減することができる。また、溶融した軟質材料を硬質シート5a上に置き、樹脂成型するので、硬質シート5a表面は完全に無菌状態になり、衛生的に優れたキャップが得られる。なお、硬質シート5aに予め印刷を施す場合でも、印刷面が軟質層5bによりカバーされて直接内容物と接触しないために衛生的に優れている。
また、硬質シート5aの外径及び軟質層5bの外径が上述した範囲に設定されているので、硬質シート5aがライナー係止突起9に係止されてライナー5の脱落を防止できると共に、軟質層5bが口金部7に接触しつつもライナー係止突起9に接触せず、高い密封性を維持しつつ開栓トルクの増大を防ぐことができる。
また、硬質シート5aがポリプロピレン樹脂で形成され、軟質層5bがスチレン系エラストマーで形成されている場合は、特に、シール性、耐熱性及び硬質シート5aと軟質層5bとの接着性が優れている。
さらに、硬質シート5aの厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fを150以上とすることにより、モールドパンチや口金部7に軟質層5bが付着して引っ張られて硬質シート5aがライナー係止突起9に当接した際に、硬質シート5aの高い曲げ弾性によってライナー係止突起9から抜けることを防ぐことができる。
また、軟質層5bの口金部7に接する部分の厚さを、他の部分よりも厚くすることにより、高いシール性を得ることができると共に、口金部7に接する部分以外は薄くすることができ、軟質材料の使用量を低減することで、低コスト化を図ることができる。
また、天板部2とライナー5との間に不揮発性有機液体を塗布するので、ライナー5の付着性及びガスバリアー性の向上を図ることができる。特に、不揮発性有機液体の塗布量を、上述した範囲に入るように設定しているので、ライナー5の面積に応じた滲み出しのない適正な塗布量と良好なガスバリアー性とを得ることができる。さらに、不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はグリセリンであるので、ガスバリアー性が著しく向上する。なお、不揮発性有機液体としてグリセリンを選択すると、水の添加によって不揮発性有機液体の動粘度を容易に調整することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
次に、本発明に係るライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルを、実際に作製した実施例により具体的に説明する。
キャップシェル4の作製は、まずアルミ合金板の内外面にエポキシフェノール、ポリエステル等の塗料を1〜10μmの厚さで2〜数回焼付け塗装し、これをプレスにてカップ状に打ち抜く。そして、これに、ミシン部10、ナール8、ライナー係止突起9等をカップ側面に加工する。これをキャップシェル4とする。
これに対応するライナー5は、まず硬質の合成樹脂(例えばHDPE、PP、各種ナイロン、PAN、PET、PBT、PC等)を押出機25とTダイ24を使って硬質シート5a用の単層シート27を作製する。このときの単層シート27の厚さは0.1〜1.0mmの間が好ましい。より好ましくは0.2〜0.8mmの範囲のものである。この合成樹脂は一定の剛性が必要であり、厚さにもよるが曲げ弾性率が400MPa以上であることが好ましい。この硬質シート5aの表面に必要に応じてコロナ放電処理等を施しても良い。また、この硬質シート5aは軟質層5bを接着させるために、接着成分をラミネートまたは塗布してあってもよい。
この単層シート27をディスク状の硬質シート5aに打ち抜き、キャップシェル4に挿入する。このときの硬質シート5aの径はライナー係止突起9の内径より大きく、かつキャップシェル4の中で自由回転できる状態でなければならない。このときの打ち抜き屑28は、直ちにチップ化して直ちに硬質部材の原料として使用できる。
この硬質シート5aを挿入されたキャップシェル4に、次の工程で押出機であるモールドライナー機押出機29から押し出された軟質層5b用の溶融樹脂の一定量をカットし、硬質シート5a中央に置き、直ちにコールドパンチで押圧し、軟質層5bとしての一定の形状を形成する。このときの軟質層5bは、各種エラストマーまたは樹脂とエラストマーとのブレンド等が良好な結果を示す。エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、塩ビ系エラストマー等がある。
これらの軟質層5b用の柔軟部材としては、JIS硬度で50(D硬度)以下であることが好ましい。より好ましくは45(D硬度)以下である。この形成された密封層(軟質層5b)の厚さは、少なくとも口金部7に接触する部分において0.1〜0.8mmが好ましい、より好ましくは0.2〜0.6mmである。
<実施例1>
次に、本発明の効果を確認するために行った比較試験結果について説明する。
この試験では、内外面塗装した厚さ0.25mmのアルミニウム合金板を38mmPPキャップのキャップシェル4を成型した。このキャップシェル4は、内面にポリオレフィン系滑剤入りのエポキシフェノール塗料を50mg/dmで焼き付け塗布したアルミシートを使用した。そして、押出機25、Tダイ24で成形したポリプロピレンのシートを37.8mmの硬質シート5aに打ち抜き、これを内径φ38.05mmのキャップシェル4に挿入した。このキャップシェル4には、その天面とほぼ水平に1.0mmの長さで内側に突出したライナー係止用のフック(ライナー係止突起9)が12個形成されている。なお、フックの位置は、キャップ天面から1.5mmの高さとした。また、挿入は自動ライナー挿入機を使用した。
ポリプロピレンによる硬質シート5aの厚さは、Tダイの厚さの間隔及び圧延ローラの間隔を変えて数種類作製した。
この硬質シート5aを挿入したキャップシェル4に、押出機25から押し出した溶融したエラストマーをこれに一定量供給し、直ちにコールドパンチで押圧して軟質層5bとしての形状を作製した。上記エラストマーは、PPシートと合計でほぼ1.0mmになるように成型した。また、上記エラストマーとしては、PPと流動パラフィンと高分子SEPSのブレンドしたスチレン系エラストマーとを使用した。また、このとき、口金部7の密封性に関係しない軟質層5bの中央部は、出来る限り薄くなるように成形した。
このキャップ1の特性を調べるために、275g(全量338ml)入りのアルミボトルに水を充填し、ヘッドスペース部分に液体窒素を滴下して空気を置換し、供試キャップでシーリングした。このシーリングは、シングルヘッドキャッパーを使用した。プレッシャーブロックは、絞径がφ35.6mmで絞り深さを1.6mmに設定したものを使用した。また、ヘッドプレッシャーは、1000Nでキャッピングした。
これを121℃−20分のレトルト処理を加え、1週間室温放置した後、開栓トルク値を測定した。また、これらのライナー5をキャップシェル4に自動挿入機で挿入した場合のセット適性(ライナーセット適性)についても評価した。また、開栓時にライナー5の外れの有無についても評価した。これらの評価結果を、以下の表1に示す。
なお、比較例として摺動層(硬質シート)と密封層(軟質層)を共押し出しで成型し貼合された二層のシートになったものを、一定の径に打ち抜きキャップシェル4に挿入したものを使用した。このときの摺動層及び密封層の厚さは本実施例とほぼ同じ厚さのものを供試した。
Figure 0005843807
注1.摺動層:ポリプロピレン ホモタイプ使用。
注2.密封層:TPS(スチレン系エラストマー)=PPとSEPS(スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体)と流動パラフィンのブレンド品。
注3.ライナーセット適性=自動ライナー挿入機でライナーをキャップシェルに挿入した時の適性評価結果。試料数各30個。
○=全てのライナーが全てのフックに係止されている。
△=ライナーが一部フックに掛からないものあり。
×=ライナーが全くフックに掛からないものが有る。
注4.ライナー脱落性=開栓時キャップからライナーが脱離する割合。
○=開栓時全てのライナーが全く脱離せず。
△=開栓時ライナーが一部フックから外れるものあり。
×=開栓時ライナーがキャップシェルから脱落するもの有り。
試料数各30個。
注5.開栓トルクは、レトルト処理後、1週間室温にて放置し、回転開始時のトルク値(第1トルク(キャップが動き始める値)をトルクメーターにて測定。)。試料数30の平均値、最大値、最小値。
注6.総合評価
○=開栓トルク性、ばらつき少なく、ライナー脱落無し、ライナーセット適性も良好。
△=開栓トルク性良好であるがライナーセット適性、ライナー外れがやや発生するもの。
×=開栓トルクのバラツキあり、ライナーセット適性劣るもの。
以上の結果から、摺動層(硬質シート)が同一厚みでも、本発明のライナーは従来の二層シートに比べ、キャップシェルへのライナーセット適性が優れている。また、従来の二層シートの開栓トルクは最大値が大きく、平均値を高くしていることがわかる。
<実施例2>
本発明のライナーは実施例1と同様に作製し、比較例として従来の二層ライナー材と比較を行った。本発明は、摺動層(硬質シート)の外径の寸法を変えたものを作製し、キャップシェルに挿入後、密封層(軟質層)をインシェルモールド方式で成型した。なお、摺動層(硬質シート)の寸法は本発明の上限の値及び下限の値を推定して試作し、キャップシェルに挿入した。これらについて実施例1と同様に評価を行った。比較例として従来の二層シートを供試した。また、比較例のシートはシート成型機の二層押出機とTダイから、実施例1と同様のPPとスチレン系エラストマーとを押出貼合し、冷却ローラーで厚さを調整して一定の幅に切断した後、各外形の寸法のディスク状に打ち抜きキャップシェルに挿入した。
Figure 0005843807
注1.ライナー嵌合部のキャップシェル内径は、φ38.05mm。
注2.比較例は、エラストマーとPP樹脂とを貼合したシートを打ち抜き、ディスク状にしたものを挿入したもの。この場合、摺動層(硬質シート)外径と密封層(軟質層)外径とは同一寸法である。
注3.ライナーセット適性=自動ライナー挿入機でライナーをキャップシェルに挿入した時の適性評価結果。試料数各30個。
○=ライナーが全てのフックに係止されている。
△=ライナーが一部フックに掛からないものあり。
×=ライナーが全くフックに掛からないものが有る。
注4.ライナー脱落性=開栓時キャップからライナーが脱離する割合。
○=開栓時ライナーが全く脱離せず。
△=開栓時ライナーが一部フックから外れるものあり。
×=開栓時ライナーがキャップシェルから脱落するもの有り。
以上の結果からフックの高さ、長さを一定にした場合、本発明のライナーは従来の二層シートライナーに比べ、ライナーセット適性が優れており、摺動層(硬質シート)がキャップシェルの内径とほぼ同じでもライナーがキャップシェルに適正にセットされ、充分摺動する。
また、従来の二層シートライナーは密封層(軟質層)が摺動層(硬質シート)と同一外径であるため、ライナーをキャップシェルにセットする場合、厚みがあるためキャップシェル内径に近い外径であると、安定したライナー挿入性が得られなくなる。
また、従来の二層シートライナーはシーリング後、開栓時に密封層(軟質層)がフック(ライナー係止突起)又はキャップシェル側面に接触して、高い開栓トルク値を示す(最大値が大きい)ものがあり、平均値が高い値を示す結果になっている。また、摺動層(硬質シート)の外径が小さいとライナー外れが起るが、本発明のライナーは従来の二層シートライナーに比べ、ライナー脱落の程度が少ない。
また、ライナーの外径のセット可能な寸法Dは、D>D−2wである。今回の場合、D=38.05、w=1.5であるので、D>35.05(mm)である。
<実施例3>
この試験では、内外面塗装した板厚0.25mmのアルミニウム合金板を、38mmPPキャップのキャップシェルを成型した。このキャップシェルは、内面にポリオレフィン系滑剤入りのエポキシフェノール塗料を50mg/dmで焼き付け塗布したアルミシートを使用した。これをプレスで打ち抜き、38mmPPキャップシェルに成型し、このキャップシェルに不揮発性有機液体として、シリコーンオイル又はグリセリンを使用し、キャップシェルの内面中央に量を変えて塗布した。
そして、押出機、Tダイで成形したポリプロピレンのシートを、直径37.6mmの硬質シートに打ち抜き、これをキャップシェルに挿入した。なお、キャップシェルに入れた硬質シートの表面状態は成型時、冷却ローラーの影響が少ないようにして作製した。シートは成型条件を変えて厚さの異なるものについても成型した。この硬質シートを挿入したキャップシェルに、押出機から押し出した溶融したエラストマーをこれに一定量供給し、直ちにコールドパンチで押圧して軟質層としての形状を接着作製した。
上記エラストマーとしては、PPと流動パラフィンと高分子SEPSのブレンドしたスチレン系エラストマーとを使用した。エラストマーの厚さは、シートの厚さに対応して変更した。また、このとき、口金部の密封性に関係しない軟質層の中央部は、出来る限り薄くなるように成形した。このキャップを、275g(全量340ml)入りのアルミボトルにキャッピングした。内容物はビタミンCを一定量添加した水を使用し、ヘッドスペースを40ml取り、ヘッドスペース部を窒素ガスで置換し、キャッピングした。
絞り深さは全て1.6mmで、ヘッド圧は1000Nで行なった。これを121℃−20分のレトルト処理を加えた後、開栓トルク、落下衝撃性能、ビタミンCの保持率を調べた。また、開栓トルクを測定したキャップにより、不揮発性液体のキャップへの滲み出し程度を目視にて観察した。
同様に、内外面塗装した33PPキャップ(アルミ板厚0.23mm、ライナー外径32.8mm)及び28PPキャップ(アルミ板厚0.22mm、ライナー外径27.4mm)についても同様の評価を行った。なお、容器の内容量及び全容量は、ほぼ38PPキャップと同様である。
Figure 0005843807
Figure 0005843807
Figure 0005843807
注1.シリコーンオイル粘度1000cStを使用。グリセリンは1500cSt(20℃)。
注2.インシェルモールド部の厚さは、容器口唇部(口金部)と接する部分の平均厚さ。
注3.シール性は、レトルト前後の内圧を調べ、その変化によりモレの有無を調べた。レトルト直後のモレ%を示す。試料数各10。
注4.落下衝撃性能は、キャッピング、レトルト処理、1日放置後、ボトルを30cmの高さから垂直に10°の角を持った鉄盤上に倒立落下させ、落下前後の内圧の差を調べ、漏れの発生数を調べた。試料数各10。
注5.開栓トルクは、キャッピング、熱処理後1週間室温にて放置後において、回転開始時のトルク値(第1トルクをトルクメーターにて測定。)とした。試料数10の平均値。第2トルク(ブリッジ部破断時のトルク)は記載せず。
注6.ビタミンCの減少量の測定は、約100ppmのビタミンC溶液をボトルに充填しキャッピング、熱処理後40℃恒温室に1月間放置し、ビタミンCの消費量を自動電位滴定装置で測定。ビタミンCの保持率とその評価。
○=保持率が高いもの。
△=保持率ほぼ良好なもの。
×=保持率劣るもの。
注7.塗布液滲出程度
○=全く滲み出しが認められないもの。
△=ライナーの側面に僅かに認められるもの。
×=キャップシェルまで液の滲み出しが認められるもの。
注8.総合評価
○=塗布液体の滲み出しみられず、酸素バリアー性良好なもの。
△=酸素バリアー性ほぼ良好で液滲み出し無いもの、または酸素バリアー性良好で塗布液体滲み出しライナー側面までのもの。
×=酸素バリアーが劣るか、塗布液体の滲み出しがキャップ側面からボトルネジ部に滲み出しが見られるもの。
上記表3,4,5から分かるように、PPシートとインシェルモールド方式によるエラストマーとからなるライナーは、シリコーンオイル等の不揮発性液体を一定量塗布することにより、酸素バリアー性の向上が認められる。また、これによるシール性、耐落下衝撃性の低下は認められず、開栓性の低下が認められる。このシート+モールド方式のライナーにおいて、シートとキャップシェルとの間にシリコーンオイル等の不揮発性液体を塗布することによる酸素バリアー性の向上は、その塗布量が少なすぎると効果は少ないが、多すぎるとキャッピング、レトルト処理後、キャップシェルの内側に不揮発性液体の滲みが認められる。この適正な塗布量Y(mg)は、ライナーの面積S(cm)に比例してY=aSの関係が有り、aの値は好ましくは0.01〜1であり、より好ましくは0.02〜0.9である。なお、無塗布の場合、PP層の厚さを厚くすることにより、ややバリアー性は上がるが、厚くすることにより、落下衝撃性能が悪くなる。
<実施例4>
外径42mmのポリプロピレン製樹脂キャップを使用し、本発明のライナー及び比較例としての二層シートライナーを挿入したキャップについて、透湿度を比較した。すなわち、樹脂キャップ供試シートを挿入し、一定量の塩化カルシウムを入れたガラス壜に、キャッピングした。キャッピングの締めトルクは全て350N・cmで行い、これを湿度95%のデシケーターに入れ、1ヵ月後の重量変化を測定した。また、1ヶ月後の開栓トルクを測定した。試料数は、各々10個である。
キャップのライナー部の内径は38.8mmで、ライナー外径寸法は摺動層(硬質シート)の寸法を変えて挿入性、ライナー脱落性について評価を行った。このときのフック(ライナー係止突起)の内径は37.8mm、フックの高さは1.5mmであり、円周上に連続で形成されている。このときにキャップシェルとライナーとの間に、一定量のシリコーンオイルを塗布した。
Figure 0005843807
注1.比較例は、二層シートのライナーである。
注2.摺動層(硬質シート)の材質=ポリプロピレン樹脂。
注3.密封層(軟質層)の材料=TPS(スチレン系エラストマー)。
注4.キャップシェルの材質=ポリプロピレン樹脂。
注5.シリコーンオイルは、1000cpsのものを使用。
注6.塗布液滲出程度
○=全く滲み出しが認められないもの。
△=ライナーの側面に僅かに認められるもの。
×=キャップシェルまで液の滲み出しが認められるもの。
注7.透湿度評価
○=良好(0〜10mg以下)
△=やや良好(11以上〜20mg以下)
×=不良(21mg以上)
注8.ライナーセット適性=自動ライナー挿入機でライナーをキャップシェルに挿入したときの適性評価結果。試料数各30個。
○=ライナーが全てのフックに係止されている。
△=ライナーが一部フックに掛からないものあり。
×=ライナーが全くフックに掛からないものが有る。
注9.ライナー脱落性=開栓時キャップからライナーが脱離する割合。
○=開栓時ライナーが全く脱離せず。
△=開栓時ライナーが一部フックから外れるもの有。
×=開栓時ライナーがキャップシェルから脱落するもの有り。
以上の結果からシリコーンオイルをキャップシェルとライナーとの間に塗布すると、透湿量を低い値に抑えることができる。また、開栓トルクは、ほぼ同条件の従来の二層シートに比べ安定している。従来の二層シートは、密封層(軟質層)がキャップシェルの側面に接触するものがあるため、最大値が高くなっており、バラツキが大きい。
<実施例5>
この試験では、厚さ内外面塗装した0.25mmのアルミニウム合金板で、38mmPPキャップのキャップシェルを成型した。このキャップシェルでは、内面にテフロン(登録商標)系滑剤入りのエポキシフェノール塗料を50mg/dmで焼き付け塗布したアルミシートを使用した。そして、押出機、Tダイで成形したポリプロピレンのシートを37.8mmの硬質シートに打ち抜き、これをキャップシェルに挿入した。なお、キャップシェルに入れた硬質シートの厚さは、Tダイのスリット幅を変えて数種類作製した。
この硬質シートを挿入したキャップシェルに、押出機から押し出した溶融したエラストマーをこれに一定量供給し、直ちにコールドパンチで押圧して軟質層としての形状を作製した。上記エラストマーとしては、PPと流動パラフィンと高分子SEPSのブレンドしたスチレン系エラストマーとを使用した。また、軟質層のシール部(ライナーが口金部と接する部分)の厚さが異なるものを、数種類作製した。また、このとき、口金部の密封性に関係しない軟質層の中央部は、出来る限り薄くなるように成形した。
このキャップの特性を調べるために、275g(全量338ml)入りのアルミボトルに水を充填し、供試キャップでシーリングした。このシーリングは、シングルヘッドキャッパーを使用した。プレッシャーブロックは、絞径がφ35.6mmで絞り深さを1.8mmに設定したものを使用した。また、ヘッドプレッシャーは、1100Nでシーリングした。
ヘッドスペースは63ml取り、ヘッドスペース部を窒素ガスで置換し、シーリングして121℃−20分のレトルト処理を加えた。その後、レトルト直後のシール性、室温放置後の開栓トルク値、落下衝撃性能等を調べた。これらの評価結果を以下の表7に示す。なお、比較例として、インシェルモールドタイプのキャップについても同様に評価した結果を表7に示す。
Figure 0005843807
注1.シール性は、レトルト前後の内圧を調べ、その変化によりモレの有無を調べた。表は、モレ数/試料数を示す。
注2.落下衝撃性能は、キャッピング、レトルト処理、1日放置後、ボトルを30cmの高さから垂直に10°の角を持った鉄盤上に倒立落下させ、落下前後の内圧の差を調べ、漏れの発生数を調べた。試料数各10。表は、モレ数/試料数を示す。
注3.開栓トルクは、キャッピング、熱処理後4週間室温にて放置後において、回転開始時のトルク値(第1トルクをトルクメーターにて測定。)とした。単位:N・cm。試料数10の平均値。
注4.PPは、ランダムPPを使用した。(曲げ弾性率:950MPa)
注5.TPSは、スチレン系エラストマーでPPとSEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)と流動パラフィンとのブレンド品である。
注6.硬質シート、軟質層の厚さの単位:mm。
注7.モールド適性の表示
◎=良好。
○=ライナー外周部に僅かに凹みが見られるもの。
△=ライナー外周部に欠け発生。
×=外周部欠け部分大きくシール性に影響があるもの。
注8.スッポヌケ性
◎=モールド時ライナーがキャップシェルから外れないもの。
○=ライナーがやや持ちあがるもの。
△=持ち上がるがキャップシェルに収まっているもの。
×=ライナーがキャップシェルからはずれるもの。
注9.絞り深さ:プレッシャーブロックの絞り深さを1.80mmにセットしたときの各々の実測値。試料数10の平均値。単位mm。
注10.総合評価
◎◎=開栓トルク性、シール性、耐落下衝撃性能良好なもの。
◎○=開栓トルク性、シール性、耐落下衝撃性能良好であるがスッポヌケ性やや劣るもの。
○△=開栓トルク性は良好であるが、耐落下衝撃性能もやや劣り、モールド適性やや劣るもの。
○×=開栓トルク性はやや劣る、シール性、耐落下衝撃性能が劣るもの。
×◎=開栓トルク性は劣る、シール性、耐落下衝撃性能良好なもの。
上記表から分かるように、摺動層(硬質シート)のPPが0.2mm以上で密封層(軟質層)がTPSであるものは、インシェルモールド方式によるTPS単独ライナーに比べ、開栓性、耐落下衝撃性で優れた結果を示している。また、摺動層(硬質シート)が薄すぎると、インシェルモールド時にスッポヌケが発生する。逆に摺動層(硬質シート)厚すぎると、耐落下衝撃性が劣ることがわかる。しかしながら、これらの場合でも、良好な開栓性を有していると共に、硬質シートの抜き屑を再利用できるメリットがある。
<実施例6>
実施例6のライナーは実施例5と同様に作製し、比較例として二層ライナーとの生産性の比較を行った。実施例6は、実施例5と同様に、PPシートから硬質シートを打ち抜き、抜き屑は粉砕し、PP材と混ぜて再度シート材料として使用した。比較例のシートは、シート成型機の二層押出機とTダイにてPPとスチレン系エラストマーとを押出貼合し、冷却ローラーで厚さを調整して一定の幅に切断した。その後、これをφ37.8mmのディスク状に打ち抜き、キャップシェルに挿入した。このときの打ち抜きは、シートから最大個数が取れる配置で行った。このときのキャップとしての性能及びライナーの生産効率を比較した。ただし、総合評価の基準は実施例5と異なる。その結果を表8に示す。
Figure 0005843807
注1.ライナー材の厚さ物性値、容器としての性能、評価方法は、実施例5と同一とした。ただし、総合評価は下記の通り。
注2.成形性評価
◎=良好。
○=ほぼ良好。
△=やや問題あり。
×=成形性不良。
注3.材料効率(%)=(ライナー使用重量/投入ライナー材量)×100。
注4.総合評価
◎◎=開栓トルク性、耐落下衝撃性能、シール性良好で、生産効率が高いもの。
◎×=開栓トルク性、耐落下衝撃性能、シール性良好であるが生産効率が低いもの。
上記表8の結果、比較例である二層シートの材料効率は50%台であったが、実施例6の方式では、90%近い効率であった。また、開栓トルクは差が無かったが、密封性では二層シートの場合、摺動層(硬質シート)が厚すぎると、落下衝撃においてモレが認められた。
<実施例7>
実施例7では、実施例5と同様に38mmPPキャップシェルを成型し、キャップシェルの使用塗料も実施例5とほぼ同じとした。これに押出機、Tダイで成形した厚さの異なる樹脂のシートを37.8mmのディスク状の硬質シートに打ち抜き、キャップシェルに入れた。この硬質シートが挿入されたキャップシェルに、実施例5と同様に押出機から押し出した溶融したエラストマーをこれに一定量供給し、直ちにコールドパンチで押圧して軟質層を作製した。このエラストマーも実施例1と同様のものを使用した。硬質シートは耐スッポヌケ性を調べるために材料ごとに曲げ弾性率と、厚さを測定した。
このキャップの特性を調べるために、実施例5と同様の評価を行った。すなわち、275g(全量338ml)入りのアルミボトルに85℃の熱水を充填し、供試キャップでシーリングした。このシーリングは、シングルヘッドキャッパーを使用した。プレッシャーブロックは、絞径がφ35.6mmで絞り深さを1.8mmに設定したものを使用した。また、ヘッドプレッシャーは、1100Nでシーリングした。ヘッドスペースは、63ml取り、ヘッドスペース部を窒素ガスで置換し、シーリングした。この後、直後のシール性、室温放置後の開栓トルク値、落下衝撃性能等を調べた。これらの評価結果を以下の表9に示す。
Figure 0005843807
注1.落下衝撃性能は、キャッピング、1日放置後、ボトルを30cmの高さから垂直に10°の角を持った鉄盤上に倒立落下させ、落下前後の内圧の差を調べ、漏れの発生数を調べた。試料数各10。表中、モレ数/試料数を示す。
注2.開栓トルク:キャッピング後1週間室温にて放置後、回転開始時のトルク値(第1トルクをトルクメーターにて測定)。試料数10の平均値。単位:N・cm。
注3.ライナーの厚さ物性値、成形性、容器蓋としての性能、評価法は、実施例5と同じ。
注4.曲げ弾性率の単位:MPa。
注5.ライナー:PP=ポリプロピレン、HDPE=高密度ポリエチレン、LDPE=低密度ポリエチレン、Ny66=ナイロン66、TPS=スチレン系エラストマー、TPO=オレフィン系エラストマー。
注6.総合評価
◎◎=ライナー成形性良好、開栓トルク性、耐落下衝撃性能良好。
△◎=ライナー成形性劣るが、開栓トルク性、耐落下衝撃性能良好。
表9から分かるように、本発明の実施例でも曲げ弾性率をf(MPa)とし、硬質シートの厚さをt(mm)とした場合、t×fの値が150以上であると硬質シート上に軟質層を成型する時に、スッポヌケ現象が起きない。
1…キャップ(ライナー付きキャップ)、2…天板部、3…筒状周壁部、4…キャップシェル(キャップ本体)、5…ライナー、5a…硬質シート、5b…軟質層、7…口金部(口部)、6…キャップ付きボトル、9…ライナー係止突起、13…ボトル本体

Claims (6)

  1. ボトルの口部を封じるライナー付きキャップであって、
    天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなる金属製のキャップ本体と、
    前記天板部の内面に設けられた合成樹脂製のライナーと、を備え、
    前記ライナーが、前記天板部の内面に接して配された円盤状の硬質シートと、
    前記硬質シートに積層され前記硬質シートよりも柔軟な軟質層と、を備え、
    前記軟質層が、前記硬質シートと同心円であると共に少なくとも前記キャップ本体を前記口部に被せて前記キャップ本体の肩部が絞り加工された際に前記口部の外側にも当接可能に前記硬質シートよりも小径な円環状又は円盤状に形成され、
    前記筒状周壁部が、内側に突出して前記ライナーをその下面側から支持するライナー係止突起を備え、
    前記筒状周壁部の内径をDとし、前記ライナー係止突起の突出長さをwとした際、前記硬質シートの外径Dが、D≧D>D−2wの範囲に設定され、
    前記軟質層の外径dが、D−2w>dでの範囲に設定され、
    前記ライナー係止突起が、基端から前記軟質層の外側の前記硬質シートに向けて突出し、上部先端が前記軟質層の外側の前記硬質シートに対向しており、
    前記ライナー係止突起の突出長さwが、前記筒状周壁部の内周面から上部先端までの半径方向の長さであることを特徴とするライナー付きキャップ。
  2. 請求項1に記載のライナー付きキャップにおいて、
    前記硬質シートの厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fが150以上に設定されていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  3. 請求項1又は2に記載のライナー付きキャップにおいて、
    前記天板部と前記ライナーとの間に、不揮発性有機液体が塗布されていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  4. 請求項3に記載のライナー付きキャップにおいて、
    前記ライナーの面積をS(cm )とし、前記不揮発性有機液体の塗布量をY(mg)としたとき、前記不揮発性有機液体の塗布量を、
    Y=aSで、aが0.01〜1.00の範囲に入るように設定していることを特徴とするライナー付きキャップ。
  5. 請求項3又は4に記載のライナー付きキャップにおいて、
    前記不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はグリセリンであることを特徴とするライナー付きキャップ。
  6. ボトル本体の口部にライナー付きキャップを備えたボトルの製造方法であって、
    前記ライナー付きキャップが、請求項1から5のいずれか一項に記載のライナー付きキャップであり、前記キャップ本体の肩部絞り加工して前記軟質層前記口部の外側にも当接させることを特徴とするキャップ付きボトルの製造方法
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