JP5603742B2 - キャップ用ライナーの製造装置および製造方法 - Google Patents
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この方法は比較的良好な方法であるが、ディスクの打ち抜き、挿入機とインシェルモールド機とが必要である。このライナーは性能的に優れているが、これらの機械は非常に高価であるため、大量生産向きであり、少量生産には適さない。また、ライナーがシェルと接着しているため、柔軟なライナーが容器の内容物と接することを意味する。一般に、柔軟性のあるライナー材は内容物に対しての溶出が多いので、内容物と接する面積はできる限り少ないほうが好ましい。溶出が多いと内容物によっては使用不可になることがある。
摺動層上に円環状の密封層を有するライナーを生産する場合、例えば押出機でライナー用シートを作り、ディスク状に打ち抜いて摺動層とし、これを金型にいれ、射出成型機を使いインサート成形でエラストマーの密封層を作る方法、或いは二色成型機で硬質層である摺動層とエラストマーの密封層とを交互に成形、貼合する方法が考えられる。摺動層をシートから打ち抜く場合、一定の方法で揃えそれをロボット等で射出成形機の開いた金型の固定側型板にセットして型閉めした後、エラストマーをキャビティ内に射出成形するという手順で行わなければならない。これらの方法でキャップを生産する場合、ライナーの生産コストが高くなると共に、特別な金型と特殊な製造機(二色成型機等)とが必要になり、生産速度が著しく劣る。このためコストが高いものになる。これに対して、上記本発明のキャップ用ライナーの製造装置および製造方法では、ライナー用シートを予めディスク状に切断する必要がないため、二色成型機等が不要で、生産コストを低減可能であると共にスループットが高く、高い生産性を得ることができる。
すなわち、本発明に係るキャップ用ライナーの製造装置および製造方法では、射出成形金型によりライナー用シート上に合成樹脂を射出成形して円環状の密封層を形成すると共に、シートカット機構によりライナー用シートをキャビティより外側で円盤状に切るので、大判またはロール状に連続したライナー用シートを予めディスク状に切断する必要がなく、密封層の射出成形とライナー用シートのカットとを射出成形工程時に共に行うことができる。したがって、本発明によれば、溶出が少なく、密封性および開封性の優れたライナーを、効率的に生産することが可能である。
上記固定側型板4は、設置面に対して離接可能で設置面に設置されたライナー用シート3を先端部で押さえることが可能な円筒状のシート押さえ部材11と、該シート押さえ部材11の内側に配され設置面に対して離接可能で先端に段差部12aが形成された円筒状のアウターパンチ12と、該アウターパンチ12の内周面に摺動可能に設けられ溶融した合成樹脂7の流路を内部に有すると共に溶融した合成樹脂7を射出するゲート部13aをキャビティ6の内側角部に配したインナーパンチ13とを備えている。すなわち、アウターパンチ12の段差部12aとインナーパンチ13の先端外周面とライナー用シート3との間で、密封層2bに対応した円環状のキャビティ6が形成される。
上記可動側型板5は、固定側型板4の中心軸上に真空源(図示略)に接続された吸引孔5aが形成されていると共に、設置面にシートカッター14の刃部14aを受ける円環状のカッター受け溝5bが形成されている。
なお、上記摺動層2aには、密封層7bとの間に配されガスバリアー性を有する中間層を積層しておいても構わない。例えば、上記中間層は、摺動層2aよりも密封層2bとの接着強度が低い材料であって、摺動層2a及び密封層2bよりも高いガスバリアー性を有する材料、例えば金属箔又はガスバリアー性樹脂で形成される。
なお、摺動層2aおよびライナー用シート3は、必ずしも合成樹脂だけではなく、例えば両面を合成樹脂でラミネートあるいは塗装したアルミニウムシート等でもよい。
なお、密封層2bの厚さは、0.1〜1.0mmが好ましい、より好ましくは0.3〜0.8mmである。
また、この製造法により製造されたキャップ用ライナー2は、アルミニウム製PP(ピルファープルーフ)キャップに適しているが、他のキャップ、例えばブリキ製スクリューキャップ、樹脂製キャップのライナーとしても優れたライナーとして使用することができる。
また、シートカッター14でライナー用シート3を完全に切らず、円環状の切り込み部を入れた状態でわずかに未切断部を円周状に残したのち巻き取り、その後、円環状の切り込み部でカットし、キャップ用ライナー2としても構わない。
上記固定側型板24は、可動側型板25に対向する面に、打ち抜き孔25aに打ち込み可能なパンチ部分となる円形状の凸部24aが形成されていると共に該凸部24aに型締め時にキャビティ6を形成する円環状の溝部24bが形成され、該溝部24bにゲート部23aが形成されている。
上記可動側型板25は、上記打ち抜き孔25aの内周面に摺動可能なコア25bと、可動側型板取付板27に組み込まれコア25bを固定側型板4側へ付勢するコア用バネ27aと備えている。
次に、図6の(b)に示すように、固定側型板24と可動側型板25とを互いに離間させて型開きさせることで、円盤状の摺動層2a上に円環状の密封層2bが形成されたキャップ用ライナー2を取り出すことができる。
なお、第2実施形態では、ホットランナーを有するマニホールドブロック22と、キャビティ6に溶融した合成樹脂を射出するホットチップ29と、を備えているので、ホットランナー中の合成樹脂を溶融状態に維持でき、連続成形に優れ高い量産性を得ることができる。
本発明の実施例として、上記第1実施形態のキャップ用ライナーの製造装置を用いてキャップ用ライナーを次のようにして作製した。
また、厚生省告示370号(昭和34年)に基づく溶出試験として、同一アルミニウム製ボトルにノルマルヘキサンを300ml充填し、倒立させ25℃で1時間放置し、その蒸発残留物量も測定した。
注2)落下衝撃性能は、キャッピング、レトルト処理、1日放置後、アルミニウム製ボトルを30cmの高さから垂直に10°の角を持った鉄盤上に倒立落下させ、落下前後の内圧の差を調べ、漏れの発生数を調べた。試料数各10。
注3)開栓トルクは、キャッピング、熱処理後1週間室温にて放置後、回転開始時のトルク値(第1トルクをトルクメーターにて測定)である。なお、このトルク値は、試料数10の平均値とした。
注4)溶出量は、厚生省告示370号(昭和34年)に基づいてn−ヘプタンによる蒸発残留物量を測定した。
注2.TPSは、スチレン系エラストマーでPPとSEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)と流動パラフィンとのブレンド品である。
注3.硬質層(摺動層)、軟質層(密封層)の厚さの単位はmmである。インシェルモールドタイプは、軟質層(密封層)のみをモールド成型したものである。シール部の形状は同一とした。
注4.スッポヌケ性:○=開栓時ディスク(ライナー)がキャップシェルから外れないもの、△=持ち上がるがシェルに収まっているもの、×=ディスクがシェルからはずれるもの。
注5.シール性:レトルト直後の漏れ数/試料数を示す。
注6.落下衝撃性:30cm高さから倒立落下させた充填品の漏れ数/試料数を示す。
注7.開栓トルク値:キャッピング後室温にて4週間放置後の第一トルク値(キャップが動き始める値)を示す(単位N・cm)。
注8.総合評価
○=開栓トルク性、シール性、耐落下衝撃性、耐溶出性が良好なもの
△=開栓トルク性、シール性、耐落下衝撃性、良好であるが耐溶出性が劣るもの
×=開栓トルク性、耐落下衝撃性能、耐溶出性が劣るもの
Claims (4)
- 円盤状の摺動層と、該摺動層に積層され前記摺動層よりも柔軟な合成樹脂である円環状の密封層と、を備えたキャップ用ライナーの製造装置であって、
互いの間に前記摺動層となるライナー用シートが設置可能な固定側型板と該固定側型板に対して離接可能な可動側型板とを備えていると共に、型締め時に、設置された前記ライナー用シート上に円環状のキャビティを形成し、該キャビティに溶融した前記合成樹脂を射出成形して前記密封層を形成する射出成形金型と、
該射出成形金型内に溶融させた前記合成樹脂を射出する射出ユニットと、
前記射出成形金型内に設置された状態の前記ライナー用シートを前記キャビティより外側で中心を同じくして円盤状に切るシートカット機構と、を備えていることを特徴とするキャップ用ライナーの製造装置。 - 請求項1に記載のキャップ用ライナーの製造装置において、
前記シートカット機構が、鋭利な円環状の刃部となった先端部を前記ライナー用シートに対向可能に前記固定側型板または前記可動側型板に設けられ、型締め時に前記刃部で前記ライナー用シートを円盤状に押し切る円筒状のシートカッターを備えていることを特徴とするキャップ用ライナーの製造装置。 - 請求項1に記載のキャップ用ライナーの製造装置において、
前記シートカット機構が、前記摺動層と同じ外径に設定されパンチとされた前記固定側型板と、前記固定側型板に対応したダイとされ押し込まれる前記固定側型板との間の剪断加工で前記ライナー用シートを円盤状に打ち抜き可能な打ち抜き孔を有する前記可動側型板と、で構成されていることを特徴とするキャップ用ライナーの製造装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップ用ライナーの製造装置を用いたキャップ用ライナーの製造方法であって、
前記固定側型板と前記可動側型板との間に前記摺動層となるライナー用シートを設置する工程と、
型締め時に、設置された前記ライナー用シート上に形成された前記キャビティに、溶融した前記合成樹脂を射出成形して前記密封層を形成する工程と、
前記シートカット機構により、前記射出成形金型内に設置された状態の前記ライナー用シートを前記キャビティより外側で中心を同じくして円盤状に切る工程と、を有していることを特徴とするキャップ用ライナーの製造方法。
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