JP5241204B2 - ライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトル - Google Patents

ライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトル Download PDF

Info

Publication number
JP5241204B2
JP5241204B2 JP2007291919A JP2007291919A JP5241204B2 JP 5241204 B2 JP5241204 B2 JP 5241204B2 JP 2007291919 A JP2007291919 A JP 2007291919A JP 2007291919 A JP2007291919 A JP 2007291919A JP 5241204 B2 JP5241204 B2 JP 5241204B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liner
cap
hard sheet
soft layer
top plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007291919A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008213039A (ja
Inventor
達也 花房
英泰 武藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Universal Can Corp
Original Assignee
Universal Can Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Universal Can Corp filed Critical Universal Can Corp
Priority to JP2007291919A priority Critical patent/JP5241204B2/ja
Publication of JP2008213039A publication Critical patent/JP2008213039A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5241204B2 publication Critical patent/JP5241204B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/80Packaging reuse or recycling, e.g. of multilayer packaging

Landscapes

  • Closures For Containers (AREA)

Description

本発明は、開栓性、シール性、衛生性、リサイクル性及び成型加工性等に優れたライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトルに関する。
一般に、ガラスビン、PETボトル、アルミボトル等のキャップ(容器蓋)は、合成樹脂製ライナーを具備したものが広く使用されている。金属性キャップの場合は、アルミ薄板、ブリキ薄板、クロム鍍金薄板(TFS)等の両面に数回の塗装を繰り返し、打ち抜き成形したものをキャップシェル(キャップ殻体)とし、これに予めディスク状に成形したもの(ディスク成形体)を挿入する方法(ディスク挿入方法)、ディスク成形体を挿入後中心部で熱接着する方法(ディスク挿入接着方法)、塩ビゾルのようにライナー材をキャップシェルに流し込み、加熱によりゲル化と同時に接着する方法(ライニング方式)、溶融樹脂をキャップシェルの中に入れ熱接着、型押しする方法(インシェルモールド方法)などがある。
これらの方式は一長一短があり、ディスク挿入方式やディスク挿入接着方式は製造設備が比較的安価であるが、ライナーが単層であるために酸素バリアー性が劣るものが多い。また、シートからディスク状にライナーを打ち抜くために、ライナーの抜き屑が発生し、材料の歩留まりが悪い不都合がある。これらライナーは再生可能であるが、食品用途には一度使用したものが混じり、使用した場合、液に接する面に再生品の一部が触れる。このため、衛生面を考慮して通常、打ち抜き屑は同じものには再使用しない。またシートであるため、シールに関係しない中央部を少なくするということができず、ライナー重量が大きくなる。
一方、ライニング方式は、シール部のみにライナー材を配置することができるが、その材料が主に塩ビゾルであるため衛生面で懸念される面がある。また、インシェルモールド方式は、ライナー材の使用量については比較的効率がよいが、大量生産に向いている反面、少量生産に不向きである。また、ライナー材を押出機から押し出し、半溶融状態でカットするため、押出成型性が良くない材料は使用できず、使用可能な材料は限定される。さらに、一般に開栓トルク値が高くなるため、滑剤を多用する傾向がある。
これらに対し、多層構造のライナー材が提案されている。このライナー材は、硬度の高い樹脂と硬度の低い樹脂とを張り合わせ、硬度の高い樹脂で良好な打ち抜き性、キャップ挿入性を得ると共にシール後の形状保持性、開栓時の低開栓トルクを発現させ、硬度の低い樹脂でシール性を発現させる方式である。すなわち、このライナー材は、良好なシール性及び開栓性が得られる。従来、このような多層構造のライナー材としては、例えば特許文献1では、PP(ポリプロピレン)樹脂とエラストマーとを一定の割合で積層したものが提案されている。しかしながら、この方式では、シートからディスク状に打ち抜いてライナーとするため、抜き屑が発生しライナー自体のコストを上げる要因になる。また、硬質部材と軟質部材とを貼合するために共押出で成型するが、打ち抜き屑の再生使用ができないので、材料の有効使用率は低い。
また、特許文献2では、アルミシートを打ち抜き、絞り加工を加えたものを使用して、これに合成樹脂ライナーを付着したパッキンについて提案している。しかしながら、この方式では、アルミ板にライナー接着塗料を塗布した後、打ち抜き絞り加工を施し、ライナー材を加熱接着(ライナー及びシェルの加熱接着)する工程が多くなり、コストも増大するので実用的ではない。また、樹脂(PP樹脂等)と比べ、アルミシートの打ち抜き屑のリサイクルも簡単ではない。
特開2006−76575号公報 特開2003−321040号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記キャップのライナー製造方式のうち、押出機でライナー材を溶融させた状態でシェルに入れて型押しする成形法が一般的であるが、このときシェルの内面に塗布された接着塗料とライナー材とが全面に接着してしまうことになる。このとき、ライナー材をシェル内面に接着させないと型押しした金型にライナー樹脂が接着し、シェルにライナー材が残らない状態になり、キャップにライナーを形成できない。このため、金属キャップの場合、ライナー材に接着する塗料が塗布されているが、ライナー材が全面に接着した状態のキャップで容器にキャッピングした場合、ライナーが動きにくいため、容器の形状に追随しにくくシールが充分でない場合がある。したがって、容器口部に接する部分のライナー材は、フレキシブル即ち非接着であることが望ましい。
しかし、この場合でも開栓する時、ライナー材はキャップと強固に接着しているため、容器とライナーとの間で摺動する。この場合、容器とライナーとの密着が強いため、開栓(ライナーと容器口部との摺動)するためには大きな力が必要である(開栓トルクが高い)。このため、通常ライナー材に滑剤を添加し、ライナー材の表面に滑剤を介在させ開栓トルクが下がるようにするが、滑剤の添加量が少ないと、滑剤の滑性効果は認められず、多すぎるとライナー表面に浮いた滑剤が内容物の上に落下し、異物となる。このため、適正な滑剤量の使用が求められるが、種々の条件に影響を受けるため、適性量を決めるのが困難である。したがって、この場合、しばしば開栓トルクが高すぎるという問題が発生する、又は滑剤が内容物に浮く、あるいは両方の問題が同時に発生する。
この解決方法として上記特許文献1、2に示すような多層シートのライナー材が提案されている。これは、ライナーがキャップシェルと接する方に硬質で滑性のある摺動層(硬質層)を配すると共に、容器口部に接する方に柔軟な密封層(軟質層)を配置した多層シートライナー材である。このライナー材は、開栓時には摺動層とキャップシェルとの間でずれるため、少ない力で開栓することができる。また、容器口部に接する部分に滑剤を使用する必要が無いか、使用しても少量のため滑剤の浮きという問題は発生しない。
しかし、この多層ライナー材は、上述したように、シートに作成後、ディスク状に打ち抜いてキャップシェルに挿入して使用するため、多量の抜き屑が発生するが、この抜き屑は多層であるため再利用(リサイクル)が難しい。また、この多層シートは、二本のローラーで圧延して作るので、全てほぼ均一の厚さになるために多様な成型加工性が得られず、インシェルモールドタイプの様にシール部以外のところを薄くして使用量を少なくするという方法や、ライナー中央に種々の形状を作り、ライナーの液切れ性を向上させる等の対策が取れない。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、開栓性、シール性、衛生性、リサイクル性及び成型加工性等に優れたライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトルを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のライナー付きキャップの製造方法は、天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなるキャップ本体内にライナーを設置し、容器の口部を閉栓可能なライナー付きキャップを作製する方法であって、前記キャップ本体内に円盤状の硬質シートを前記天板部内面に接した状態に挿入する硬質シート設置工程と、挿入状態の前記硬質シート上に前記硬質シートよりも柔軟な軟質層を樹脂成型により形成する軟質層形成工程と、を有していることを特徴とするライナー付きキャップの製造方法。
また、本発明のライナー付きキャップは、天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなるキャップ本体と、前記天板部の内面に設けられたライナーと、を備え、前記ライナーが、前記天板部の内面に接して配された硬質シートと、前記硬質シート上に樹脂成型で形成され前記硬質シートよりも柔軟な軟質層と、を備えた多層構造を有していることを特徴とする。
これらのライナー付きキャップの製造方法及びライナー付きキャップでは、硬質シート上に硬質シートよりも柔軟な軟質層を樹脂成型により形成するので、硬質シートをディスク状に打ち抜いた際の多量の抜き屑が単層であり、再利用(リサイクル)ができると共に、打ち抜いた硬質シートに表裏がなく、キャップ本体への挿入時に表裏の選択をする必要がない。また、軟質層と硬質シートとの多層構造であるので、軟質層によって高いシール性を得られると共に、軟質層に比べて滑性の高く摩擦抵抗の低い硬質シートによってライナーがキャップ本体に対して自由に回転して高い開栓性と耐落下衝撃性能が得られ、多量の滑剤を添加する必要がない。さらに、軟質層だけを樹脂成型により形成するので、多様な形状の軟質層を得ることができ、必要に応じて部分的厚さを個別に設定して材料の使用量を低減することができる。また、溶融した軟質材料を硬質シート上に置き、樹脂成型するので、硬質シート表面は完全に無菌状態になり、衛生的に優れたキャップが得られる。なお、硬質シートに予め印刷を施す場合でも、印刷面が軟質層によりカバーされて直接内容物と接触しないために衛生的に優れている。
また、本発明のライナー付きキャップの製造方法は、前記筒状周壁部に前記天板部から離間した位置に内側に向かって突起したライナー係止突起を設けておき、前記硬質シート設置工程で、前記硬質シートを前記ライナー係止突起と前記天板部との間に挿入し、前記軟質層形成工程で、前記軟質層を前記硬質シートに対して同軸かつ小さい外径で前記ライナー係止突起よりも内側に形成することを特徴とする。
硬質シート上に軟質層をモールドパンチで型押しし樹脂成型する際に、モールドパンチに軟質層が付着してしまいモールドパンチを離すときにライナー全体が引き上げられ、抜け出てしまう現象が発生する場合がある。また、開栓時に容器の口部に軟質層が付着してライナー全体がキャップ本体から外れたり、口部に残ったりする場合もある。この対策として、この本発明のライナー付きキャップの製造方法では、軟質層を硬質シートに対して同軸かつ小さい外径でライナー係止突起よりも内側に形成するので、モールドパンチや容器の口部に軟質層が付着してしまってライナー全体が引っ張られても、ライナー係止突起に硬質シートの外縁部が当たって係止され、ライナーがキャップ本体から抜けてしまうことを抑制することができる。
さらに、本発明のライナー付きキャップの製造方法は、前記硬質シートの外周縁部の内側と前記ライナー係止突起の外側との距離をW(mm)、前記硬質シートの外周縁部と前記ライナー係止突起との間隔をh(mm)としたとき、hとWとが、h(mm)=3W(mm)+1とh=0とW=2とで囲まれる範囲に設定されていることを特徴とする。すなわち、このライナー付きキャップの製造方法では、硬質シートとライナー係止突起との位置関係が上記の範囲に設定されているので、硬質シートとライナー係止突起との接触を防ぎ、開栓トルクの増加を防止すると共に、ライナーの脱落を防止することができる。
また、本発明のライナー付きキャップの製造方法は、前記硬質シートの厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fを150以上とすることを特徴とする。すなわち、このライナー付きキャップの製造方法では、硬質シートの厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fを150以上とすることにより、モールドパンチや容器の口部に軟質層が付着して引っ張られて硬質シートがライナー係止突起に当接した際に、硬質シートの高い曲げ弾性によってライナー係止突起から抜けることを防ぐことができる。
また、本発明のライナー付きキャップの製造方法は、前記軟質層の前記容器の口部に接する部分の厚さを、他の部分よりも厚くすることを特徴とする。すなわち、このライナー付きキャップの製造方法では、軟質層の容器の口部に接する部分の厚さを、他の部分よりも厚くすることにより、高いシール性を得ることができると共に、口部に接する部分以外は薄くすることができ、軟質材料の使用量を低減することで、低コスト化を図ることができる。
また、本発明のライナー付きキャップの製造方法は、前記天板部と前記ライナーとの間に、不揮発性有機液体を塗布することを特徴とする。すなわち、このライナー付きキャップの製造方法では、天板部とライナーとの間に不揮発性有機液体を塗布するので、ライナーの付着性及びガスバリアー性の向上を図ることができる。
さらに、本発明のライナー付きキャップの製造方法は、前記ライナーの面積をS(cm)とし、前記不揮発性有機液体の塗布量をY(mg)としたとき、前記不揮発性有機液体の塗布量を、Y=aSで、aが0.01〜1.00の範囲に入るように設定していることを特徴とする。すなわち、ライナー付きキャップの製造方法では、不揮発性有機液体の塗布量を、上記範囲に入るように設定しているので、ライナーの面積に応じた滲み出しのない適正な塗布量と良好なガスバリアー性とを得ることができる。
また、本発明のライナー付きキャップの製造方法は、前記不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はグリセリンであることが好ましい。すなわち、このライナー付きキャップの製造方法では、不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はグリセリンであるので、ガスバリアー性が著しく向上する。なお、不揮発性有機液体としてグリセリンを選択すると、水の添加によって不揮発性有機液体の動粘度を容易に調整することができる。
また、本発明のライナー付きキャップは、上記本発明のライナー付きキャップの製造方法により作製されたことを特徴とする。
また、本発明のボトルは、ライナー付きキャップを備えたボトルであって、前記ライナー付きキャップが、上記本発明のライナー付きキャップであることを特徴とする。
すなわち、これらのライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルでは、硬質シート上に樹脂成型により軟質層が形成されているので、上述したように、開栓性、シール性、衛生性、リサイクル性及び成型加工性等に優れている。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るライナー付きキャップの製造方法及びライナー付きキャップ並びにキャップ付きボトルによれば、硬質シート上に軟質層を樹脂成型により形成するので、硬質シートの抜き屑をリサイクルできると共に、軟質層の高い成型加工性が得られ、さらには高いシール性、開栓性、衛生性、耐フレーバー性、非移行性及び耐落下衝撃性能を得ることができる。
以下、本発明に係るライナー付きキャップの製造方法及びライナー付きキャップ並びにキャップ付きボトルの一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
本実施形態のキャップ1は、図1及び図2に示すように、天板部2と該天板部2の周縁から垂下した筒状周壁部3とからなる有底筒状で金属製のキャップシェル(キャップ本体)4と、天板部2の内面に脱落しない状態で設けられた板状の合成樹脂製のライナー5とを備えている。
また、本実施形態のキャップ付きボトル(容器)6は、上記キャップ1を口金部(口部)7に巻き締めた状態で備えている。
上記キャップシェル4は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金の板材から加工されたものであり、該板材は、内外面を塗装(内面:サイズニス+トップコート、外面:サイズコート+トップコート(ツヤニス))した塗装板を使用している。なお、内外面トップコートには、必要に応じ各種滑剤添加タイプを使用している。例えば、上記天板部2内面には、エポキシフェノール等の樹脂に滑剤としてポリオレフィン系ワックス等が添加された塗料が焼付けと塗布されている。
上記ライナー5は、天板部2の内面に接して配された硬質シート5aと、硬質シート5a上に樹脂成型で形成され硬質シート5aよりも柔軟な軟質層5bと、を備えた多層構造を有しており、キャップシェル4に密封効果を持たせるものである。
また、上記硬質シート5aは、その厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fを150以上とするように設定されている。また、硬質シート5aの厚さは、0.1mm〜1.0mm、より好ましくは0.2mm〜0.8mmに設定される。
さらに、上記軟質層5bは、そのボトル6の口金部7に接する部分の厚さが、他の部分よりも厚く設定される。また、軟質層5bの口金部7に接する部分の厚さは、0.1mm〜0.9mmに設定される。
また、軟質層5bは、硬質シート5aに対して同軸かつ小さい外径の円形に形成されている。
上記筒状周壁部3は、ナール8、ライナー係止突起9、ミシン目10、ビード11及びスカート部12を備えている。上記ライナー係止突起9は、筒状周壁部3の内側に凹んだ断面三角形状または半円形状をなし、周方向に間隔をおいて複数個配され内方に突出形成されたものであり、上述したように、ライナー5をその下面側から支持する機能と実質上の洗浄口の役目を有する。なお、ライナー係止突起9は、内方に突起を周方向帯状に生成することによって形成しても構わない。
このライナー係止突起9は、ほぼ等間隔に複数個形成されており、その位置は天面から硬質シート5aの厚さ、またはさらに1.0mmまでの間に設置されている。また、図4においてライナー係止突起9の深さ寸法(押し込み量)Dは、キャップの径、硬質シート5aの厚さにもよるが、D≦キャップ半径(R)−ボトル口部半径(R)−アルミ板厚(t)である。実際は、柔軟材をモールドするときの金型の都合上、0.2mm以上小さいことが好ましい。ただし、Dが小さすぎるとライナー5も係止が不十分になり、ライナー5の脱落の原因になる。通常は0.5〜2.0mmである。
また、硬質シート5aの外周縁部の内側とライナー係止突起9の外側との距離Wの寸法も重要である。すなわち、W≦D−アルミ板厚(t)−硬質シート5aの厚さ(t)で無ければならない。好ましくは−0.2mm〜2.0mmの範囲内とし、より好ましくは0〜2.0mmの範囲内とする。
さらに、硬質シート5aの外周縁部とライナー係止突起9との間隔(h)は、小さすぎるとライナー5がライナー係止突起9と接触し、開栓トルクが高くなる原因になり、大きすぎるとライナー5の脱落の原因になる。好ましくは0.0mm〜2.0mmの範囲内である。このhは、ライナー脱落に関してWと相関が有り、ライナー5が脱落、またはずれない範囲は、hを縦軸に、Wを横軸にとると、h(mm)=3W(mm)+1とh=0とW=2の範囲に入ることが好ましい。より好ましくは、h(mm)=3W(mm)+0.4とh=0とW=2で囲まれる範囲である。
上記キャップ1は、ガラスビン、PETボトル等の樹脂ビン、アルミニウム合金等の金属で成型したいわゆるボトル缶等のボトル本体13に被せられ、キャップ1にキャッピング加工を施すことにより、キャップ1が口金部7に巻き締められて被着され、キャップ付きボトル(以下、単にボトルとも称する)6とされる。
上記キャッピング加工工程は、プレッシャーブロック、ネジローラー、スカートローラー等からなるキャッピング装置を用いて行われる。
すなわち、口金部7に被せたキャップ1の天板部2を、プレッシャーブロックでボトル底部の方向に押圧し、この状態でプレッシャーブロックによる絞り加工により、キャップ1の肩部に段差部14を形成する。さらに、この状態でネジローラーによりネジ部7aを形成し、スカートローラーで口金部7のカブラ部7bにスカート部12を巻きつけることで、キャッピング加工が行われる。
このようにキャップ1が口金部7に巻きつけられることにより、キャップ1は天板部2の内面側のライナー5が口金部7に圧接される状態になる。これによりボトル6の内容物が密封された状態になる。なお、内容物の充填は、当然にキャップ1をボトル6に被せる直前に行われる。
一方、開栓するときは、キャップ1を回してミシン目10から切断し、キャップ1を口金部7から外すことにより、口金部7が開栓され内容物が取り出されることになる。
そして、取り外したキャップ1を口金部7に再び取り付けることにより、再閉栓することが可能になっている。
なお、上記キャップ1は、合成樹脂製であっても構わず、この場合、主にポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を原料に、射出成型、圧縮成型等で成型されたキャップシェルにライナーを挿入したものとされる。合成樹脂のキャップシェルは、成型時にネジ部、ナール、PPバンド部が成型されるものが多い。なお、ミシン目は、後加工で入れるものもある。
合成樹脂製のキャップの場合、施栓は口金部7に被せ回転させながら締めこむ方法が一般的である。このときPPバンド部が口金部7のカブラ部7bに係止される。開栓は施栓時と逆に回転させることにより、口金部7のネジに沿って開栓される。このときPPバンド部は、口金部7のカブラ部7bに係止されているためミシン目から切断され、開栓したことが明示されることになる。この場合も必要に応じ再閉栓することができる。
次に、本実施形態のライナー付きキャップ1の製造方法を、金属キャップの場合について図3を参照して説明する。
例えば、38PPキャップの場合、アルミニウム製のキャップシェル4を作製するには、図3に示すように、まず厚さ0.25mmアルミ板21に、内外面を塗装する。通常、内面をサイズコート、トップコートを施し、外面をサイズコート、必要に応じて印刷し、次にトップコート(ツヤニス)を塗布する。これらの厚さは、一般に1〜10μmであり、各々は150℃〜200℃で8〜12分焼付け乾燥される。これに、潤滑剤を塗布しプレス22で打ち抜く。さらに後工程で、ナーラー23によりミシン部10、グルーブ、ナール8等の加工を施しキャップシェル4を作製する。
次に、ライナー5を作製する方法を、図3を参照して説明する。
従来は、ライナー材を生産する場合、例えば押出機でシートを作り、ディスク状に打ち抜いてそれを金型にいれ、射出成型機を使ってインサート成形でエラストマーを作る。
あるいは、二色成型機で硬質層とエラストマー層とを交互に成形、貼合する方法が取られる。この方法で成形されたライナーを、ホッパーを使い整列させてキャップシェルに挿入する方法が一般的である。
なお、この方法でキャップを生産する場合、ライナーは生産のコストが高くなる。また、特別な金型及び特殊な製造機(二色成型機等)が必要であり、生産速度が著しく劣る。さらに、成形したライナーの表裏を揃え、整列するための装置が必要になる。
これに対し、本実施形態の製法は、以下の通りで生産性、コスト面でも優れている。本実施形態の製法では、図3に示すように、まずTダイ24を備えた押出機25から硬質シート5aとなるPP単層シート27を押出す。これをシートライナー機30でディスク状の硬質シート5aに打ち抜き、キャップシェル4に挿入する。このときの表裏の選択はない。
このキャップシェル4には、ライナー係止突起9が形成されており、一度挿入された硬質シート5aのディスクは抜け難い構造になっている。このときの硬質シート5aの厚さは、0.1〜1.0mmに設定されるが、好ましくは0.2〜0.8mmに設定される。なお、0.1mm未満であると、硬質シート5aとしての機能が十分ではない。
次のインシェルモールド工程で押出機25から押し出され溶融されたエラストマー等軟質樹脂の一定量を、硬質シート5aが挿入されたキャップシェル4に入れ、直ちに冷却された金型で一定のライナー形状とされた軟質層5bを形作る。この軟質層5bの形状は、上述したように、硬質シート5aの外径より小さくかつ同心円を描いている。この樹脂成型の場合、硬質シート5aとエラストマーの軟質層5bとは材料を選ぶことにより完全に接着するが、接着が弱い場合、シート成形された後、シートの表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、アンカーコート処理、フレーム処理、接着剤塗布等の表面処理の工程を加えても良い。この場合、表面処理はエラストマー等と接着する面のみでよい。
このときの硬質シート5aの厚さが0.1mm未満だと、インシェルモールドされた軟質樹脂の軟質層5bと接着した後、モールドパンチから軟質層5bの樹脂が離れず、硬質シート5aと共にキャップシェル4から抜け出してしまうという現象が発生する。また、この硬質シート5aは厚さと硬さとが重要であり、硬質シート5aの厚さをtし、その曲げ弾性率fとした時、t×fの値が150以上であることが好ましい。t×fの値が150未満であると、柔軟材料を溶融して硬質シート5aに載せ、モールドパンチで型押しした場合、パンチに軟質層5bの軟質部材が付着し、キャップシェル4から硬質シート5aもろとも引き上げられてしまう場合がある。また、開栓時に口金部7に残ったり、キャップシェル4からはずれて落ちしまう場合がある。
なお、硬質シート5aの厚さが1.0mmより厚いと、キャップ用ライナーとしての役割が果たせない。この硬質シート5aの打ち抜き屑28は、通常直ちにチョッパーでチップに粉砕されてリサイクル材として使用され、また硬質シート5aとして再生される。
キャップシェルが樹脂製の場合では、該キャップシェルが金属製のキャップシェル4とほぼ同一であるがキャップがキャップシェルの内側に予めボトル口部に設置されている雄ネジと嵌合する雌ネジが設置されている。これを射出成形、又は圧縮成形で成形した後、必要に応じてミシン目工程、ベントホール工程、外面印刷工程等を施し、上述のアルミキャップと同様に、硬質シート5aを挿入後、溶融軟質ライナー材を硬質シート5a上に供給し、冷却パンチで型押しすることにより軟質層5bを形成し、本発明のキャップが提供できる。
このライナー5とキャップシェル4とは回転方向に自在であるため、キャップ1をボトル本体13から開栓する際、キャップ1の回り始めの開栓トルクはライナー5の硬質シート5aとキャップシェル4との間の抵抗だけになる。この場合、硬質シート5aは、口金部7と接触している軟質層5bとは異なり、摩擦抵抗が低いため温度依存性の少ない適性な開栓トルク値が得られる。
本実施形態のキャップ1の開栓においては、まずライナー硬質層5aとキャップシェル4との間で摺動し、しかる後、ライナー5を回転させること無く、キャップシェル4が回転すると共に、ライナー5をライナー係止突起9により引き上げる方式である。この場合、ライナー5を口金部7から持ち上げる力は、キャップシェル4の回転により得られるので、非常に低い回転トルクで充分である。この場合、軟質層5bに多量の滑剤を添加する必要はなく、滑剤がライナー5からブリードし、内容物の上に落下する等の問題は発生しない。
従来の硬質部材と柔軟部材とからなる多層シートのライナーの場合、口金部7とライナーとの密封性が高くてもライナー天面からの酸素透過が有り、キャップとしての充分な酸素バリアー性が得られない場合がある。この多層シートのライナーのバリアー性を上げるには、柔軟部材はバリアー性が低いため、硬質部材と柔軟部材との間にバリアー性の高い樹脂を積層するという方法がとられるが、装置が大掛かりとなり、実用的ではない。またこの場合、打ち抜き屑等は再生不可能である。
これに対し本実施形態では、硬質シート5aの上にバリアーフイルムを貼合、あるいはDLC(ダイアモンド状硬質炭素膜)等の無機皮膜を貼合、あるいは蒸着し、さらにこれらをディスク状に打ち抜き、キャップシェル4に挿入し、この上に柔軟部材の軟質層5bをモールドすることにより、ガスバリアー性を上げたキャップを提供することができる。あるいは硬質シート5aに、ナイロン、PET、PAN、EVOH等のバリアー性の有る材料を使用することもできる。
ボトル6に詰められた飲料は、充填、キャッピング後開栓する場合、飲料がキャップ1内天面に付着していて、開栓と同時にキャップ1内面に付着した飲料が落下し、衣服を汚したりする問題が発生する。この場合、インシェルモールドタイプのライナーでは、ライナー中央から放射状、あるいは平行の溝、畝等の一定の形状を作ることで、キャップ1内面に付着した飲料が一箇所に集まり、大きな塊となって落下しないような工夫がなされている。しかし、多層シートのライナーの場合、表面が平坦であるためライナー表面に種々の形状を施すことは難しい。一方、本実施形態では、軟質層5bを成形するとき、上記一定の形状を付与することは簡単である。
従来のシートライナーは、打ち抜かれた後、直接キャップシェルに挿入されるが、本実施形態のライナー5は、これに比べ相対的に薄いため、打ち抜き挿入前に、不揮発性液体(シリコーンオイル又はグリセリンが好ましい)をキャップシェル4の内面に塗布することにより、打ち抜かれ挿入されたライナー5の付着性向上及びキャップ1としての開栓トルク値の低減を図ることができる。また、ライナー5がキャップ天面に密着することにより、キャップ1としてのガスバリアー性が向上する等の特長が得られる。なお、ライナー5の面積をS(cm)とし、不揮発性有機液体の塗布量をY(mg)としたとき、図6に示すように、不揮発性有機液体の塗布量を、Y=aSで、aが0.01〜1.00の範囲に入るように設定している。
この不揮発性液体の必要塗布量は、キャップの径に比例する。少なすぎるとバリアー性の効果が充分ではなく、多すぎるとライナー5とキャップシェル4との間から液が滲み出し、ボトル缶等にキャッピングされたキャップ1を開栓すると、ビン口に液が付着しているという現象が発生する。その塗布量はライナー5の表面状態によっても若干異なるが、ほぼキャップの径に比例させることが好ましい。すなわち、図4及び図5に示すように、硬質シート5aの外周縁部の内側とライナー係止突起9の外側との距離をW(mm)、硬質シート5aの外周縁部とライナー係止突起9との間隔をh(mm)としたとき、hとWとが、
h(mm)=3W(mm)+1とh=0とW=2とで囲まれる範囲に設定されている。より好ましくは、h(mm)=3W(mm)+0.4とh=0とW=2とで囲まれる範囲に設定される。
また、従来のシートライナーは、常温でシートからディスク状に打ち抜き、キャップシェル4に挿入するが、このとき特別な熱処理を加えないのに対し、本実施形態の場合、硬質シート5a挿入後、溶融した柔軟ライナー材を硬質シート5a上に置き、直ちに押圧成形して軟質層5bを形成するため、硬質シート5aの表面は完全に無菌状態になるので衛生的に優れたキャップ1を供給できる。
さらに、従来のインシェルモールドタイプは、ライナーに印刷することは難しい。これに対して本実施形態では、ディスク状に打ち抜く前に硬質シート5aに印刷し、これをキャップシェル4に挿入する。そして、その上に溶融した柔軟ライナー材を供給し、直ちに押圧成形して軟質層5bを形成することにより、印刷されたライナー5を持ったキャップ1を供給できる。このキャップ1のライナー5は印刷面が直接内容物と接触しないため衛生的に優れている。この印刷は、懸賞キャップ等で使用する場合に有用である。
従来の多層シートライナーは、シートからディスクを打ち抜き挿入するが、そのとき発生する抜き屑は複数の材料が貼合されているため、再生使用することは非常に難しい。一方、本実施形態の製法では、抜き屑28が発生するのはライナー材の硬質部(硬質シート5aの抜き屑28)だけであるので、これをチップ、ペレットにしてリサイクルするのは容易である。また、条件により抜き屑28を直接リサイクルすることも可能である。したがって、本実施形態の製法では、理論的には硬質シート5aのライナー材は100%生産に使用することができる。
また、本実施形態は、耐落下衝撃性等のハンドリング性に優れたキャップ1が提供できる。例えば、充填キャッピングされたボトルを倒立落下でキャップに衝撃を与えた場合、従来のインシェルモールドタイプでは衝撃によりボトルとキャップとの変位量が大きいと、ライナー材がボトルから離れるという現象が発生する。一方、本実施形態では、ライナー5とキャップシェル4とが自由に動ける状態であるので、衝撃を受けた場合、口金部7に密着しているライナー5はキャップシェル4の変位に引きずられる割合が少ないため、良好な耐落下衝撃性能を示す。
また、本実施形態のライナー5は開栓するとき、まず摺動するのはキャップシェル4の内天面とライナー5の摺動層(硬質シート5a)であるため、密封層(軟質層5b)が滑る必要がない。このため、密封層が摺動するのに必要な滑剤量を添加する必要が無い。このため、ブリードした滑剤が内容物の上に落下するなどの問題は発生しない。また、滑剤が持つ特有な臭いが内容物に移行する等の問題も発生しない。但し密封層とボトル口部との剥離程度を向上させるために密封層に少量のブロッキング防止剤、滑剤等を使用しても良い。
このように本実施形態では、硬質シート5a上に硬質シート5aよりも柔軟な軟質層5bを樹脂成型により形成するので、硬質シート5aをディスク状に打ち抜いた際の多量の抜き屑28が単層であり、再利用(リサイクル)ができると共に、打ち抜いた硬質シート5aに表裏がなく、キャップシェル4への挿入時に表裏の選択をする必要がない。また、軟質層5bと硬質シート5aとの多層構造であるので、軟質層5bによって高いシール性を得られると共に、軟質層5bに比べて滑性の高く摩擦抵抗の低い硬質シート5aによってライナー5がキャップシェル4に対して自由に回転して良好な開栓性と耐落下衝撃性能が得られ、多量の滑剤を添加する必要がない。
さらに、軟質層5aだけを樹脂成型により形成するので、多様な形状の軟質層5aを得ることができ、必要に応じて部分的厚さを個別に設定して材料の使用量を低減することができる。また、溶融した軟質材料を硬質シート5b上に置き、樹脂成型するので、ライナー表面は完全に無菌状態になり、衛生的に優れたキャップが得られる。なお、硬質シート5aに予め印刷を施す場合でも、印刷面が軟質層5bによりカバーされて直接内容物と接触しないために衛生的に優れている。
また、軟質層5bを硬質シート5aに対して同軸かつ小さい外径の円形でライナー係止突起よりも内側に形成するので、モールドパンチや口金部7に軟質層5bが付着してしまってライナー全体が引っ張られても、ライナー係止突起9に硬質シート5aの外縁部が当たって係止され、ライナー5がキャップシェル4から抜けてしまうことを抑制することができる。
さらに、硬質シート5aの厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fを150以上とすることにより、モールドパンチや口金部7に軟質層5bが付着して引っ張られて硬質シート5aがライナー係止突起9に当接した際に、硬質シート5aの高い曲げ弾性によってライナー係止突起9から抜けることを防ぐことができる。
また、軟質層5bの口金部7に接する部分の厚さを、他の部分よりも厚くすることにより、高いシール性を得ることができると共に、口部に接する部分以外は薄くすることができ、軟質材料の使用量を低減することで、低コスト化を図ることができる。
また、硬質シート5aとライナー係止突起9との位置関係が上述した範囲に設定されているので、硬質シート5aとライナー係止突起9との接触を防ぎ、開栓トルクの増加を防止すると共に、ライナー5の脱落を防止することができる。
また、天板部2とライナー5との間に不揮発性有機液体を塗布するので、ライナー5の付着性及びガスバリアー性の向上を図ることができる。特に、不揮発性有機液体の塗布量を、上述した範囲に入るように設定しているので、ライナー5の面積に応じた滲み出しのない適正な塗布量と良好なガスバリアー性とを得ることができる。さらに、不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はグリセリンであるので、ガスバリアー性が著しく向上する。なお、不揮発性有機液体としてグリセリンを選択すると、水の添加によって不揮発性有機液体の動粘度を容易に調整することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
次に、本発明に係るライナー付きキャップの製造方法及びライナー付きキャップ並びにキャップ付きボトルを、実際に作製した実施例により具体的に説明する。
キャップシェル4の作製は、まずアルミ合金板の内外面にエポキシフェノール、ポリエステル等の塗料を1〜10μmの厚さで2〜数回焼付け塗装し、これをプレスにてカップ状に打ち抜く。そして、これに、ミシン部10、ナール8、ライナー係止突起9等をカップ側面に加工する。これをキャップシェル4とする。
これに対応するライナー5は、まず硬質の合成樹脂(例えばHDPE、PP、各種ナイロン、PAN、PET、PBT、PC等)を押出機25とTダイ24を使って硬質シート5a用の単層シート27を作製する。このときの単層シート27の厚さは0.1〜1.0mmの間が好ましい。より好ましくは0.2〜0.8mmの範囲のものである。この合成樹脂は一定の剛性が必要であり、厚さにもよるが曲げ弾性率が400MPa以上であることが好ましい。この硬質シート5aの表面に必要に応じてコロナ放電処理等を施しても良い。また、この硬質シート5aは軟質層5bを接着させるために、接着成分をラミネートまたは塗布してあってもよい。
この単層シート27をディスク状の硬質シート5aに打ち抜き、キャップシェル4に挿入する。このときの硬質シート5aの径はライナー係止突起9の内径より大きく、かつキャップシェル4の中で自由回転できる状態でなければならない。このときの打ち抜き屑28は、直ちにチップ化して直ちに硬質部材の原料として使用できる。
この硬質シート5aを挿入されたキャップシェル4に、次の工程で押出機であるモールドライナー機押出機29から押し出された軟質層5b用の溶融樹脂の一定量をカットし、硬質シート5a中央に置き、直ちにコールドパンチで押圧し、軟質層5bとしての一定の形状を形成する。このときの軟質層5bは、各種エラストマーまたは樹脂とエラストマーとのブレンド等が良好な結果を示す。エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、塩ビ系エラストマー等がある。
これらの軟質層5b用の柔軟部材としては、JIS硬度で50(D硬度)以下であることが好ましい。より好ましくは45(D硬度)以下である。この形成された密封層(軟質層5b)の厚さは、少なくとも口金部7に接触する部分において0.1〜0.8mmが好ましい、より好ましくは0.2〜0.6mmである。
<実施例1>
次に、本発明の効果を確認するために行った比較試験結果について説明する。
この試験では、内外面塗装した厚さ0.25mmのアルミニウム合金板を38mmPPキャップのキャップシェル4を成型した。このキャップシェル4は、内面にポリオレフィン系滑剤入りのエポキシフェノール塗料を50mg/dmで焼き付け塗布したアルミシートを使用した。そして、押出機25、Tダイ24で成形したポリプロピレンのシートを37.4mmの硬質シート5aに打ち抜き、これをキャップシェル4に挿入した。なお、キャップシェル4に入れた硬質シート5aの厚さは、Tダイ24のスリット幅を変えて数種類作製した。
この硬質シート5aを挿入したキャップシェル4に、押出機25から押し出した溶融したエラストマーをこれに一定量供給し、直ちにコールドパンチで押圧して軟質層5bとしての形状を作製した。上記エラストマーとしては、PPと流動パラフィンと高分子SEPSのブレンドしたスチレン系エラストマーとを使用した。また、軟質層5bのシール部(ライナー5が口金部7と接する部分)の厚さが異なるものを、数種類作製した。また、このとき、口金部7の密封性に関係しない軟質層5bの中央部は、出来る限り薄くなるように成形した。
このキャップ1の特性を調べるために、275g(全量338ml)入りのアルミボトルに水を充填し、供試キャップでキャッピングした。このキャッピングは、シングルヘッドキャッパーを使用した。プレッシャーブロックは、絞径がφ35.6mmで絞り深さを1.8mmに設定したものを使用した。また、ヘッドプレッシャーは、1100Nでキャッピングした。
ヘッドスペースは、63ml取り、ヘッドスペース部を窒素ガスで置換し、シーリングして121℃−20分のレトルト処理を加えた。その後、レトルト直後のシール性、室温放置後の開栓トルク値、落下衝撃性能等を調べた。これらの評価結果を以下の表1に示す。なお、比較例として、インシェルモールドタイプのキャップについても同様に評価した結果を表1に示す。
Figure 0005241204
注1) シール性は、レトルト前後の内圧を調べ、その変化によりモレの有無を調べた。表は、モレ数/試料数を示す。
注2) 落下衝撃性能は、キャッピング、レトルト処理、1日放置後、ボトルを30cmの高さから垂直に10°の角を持った鉄盤上に倒立落下させ、落下前後の内圧の差を調べ、漏れの発生数を調べた。試料数各10。表は、モレ数/試料数を示す。
注3) 開栓トルクは、キャッピング、熱処理後4週間室温にて放置後において、回転開始時のトルク値(第1トルクをトルクメーターにて測定。)とした。単位:N・cm。試料数10の平均値。
注4) PPは、ランダムPPを使用した。(曲げ弾性率:950MPa)
注5) TPSは、スチレン系エラストマーでPPとSEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)と流動パラフィンのブレンド品である。
注6) 硬質シート、軟質層(口金部と接する部分)の厚さの単位:mm。
注7) モールド適性の表示:◎=良好、○=ライナー外周部に僅かに凹みが見られるもの、△= ライナー外周部に欠け発生、×=外周部欠け部分大きくシール性に影響があるもの。
注8) スッポヌケ性:◎=モールド時ライナーがキャップシェルから外れないもの、○=ライナーがやや持ちあがるもの、△=持ち上がるがキャップシェルに収まっているもの、×=ライナーがキャップシェルからはずれるもの。
注9)絞り深さ:プレッシャーブロックの絞り深さを1.80mmにセットしたときの各々の実測値。試料数10の平均値。単位mm。
注10)総合評価
◎◎=開栓トルク性、シール性、耐落下衝撃性能良好なもの。
◎○=開栓トルク性、シール性、耐落下衝撃性能良好であるがスッポヌケ性がやや劣るもの。
○△=開栓トルク性はやや劣る。シール性、耐落下衝撃性能もやや劣るもの。
○×=開栓トルク性はやや劣る。シール性、耐落下衝撃性能が劣るもの。
×◎=開栓トルク性は劣る。シール性、耐落下衝撃性能が良好なもの。
上記表1から分かるように、摺動層(硬質シート5a)のPPが0.2mm上で密封層(軟質層5b)がTPSであるものは、インシェルモールド方式によるTPS単独ライナーに比べ、開栓性、耐落下衝撃性で優れた結果を示している。また、摺動層(硬質シート5a)が薄すぎると、インシェルモールド時にスッポヌケが発生する可能性がある。逆に摺動層(硬質シート5a)厚すぎると、耐落下衝撃性が劣ることがわかる。しかしながら、これらの場合でも、良好な開栓性を有していると共に、硬質シート5aの抜き屑28を再利用できるメリットがある。
<実施例2>
実施例2のライナーは実施例1と同様に作製し、比較例として二層ライナー材との生産性の比較を行った。実施例2は、実施例1と同様に、PPシートから硬質シート5aを打ち抜き、抜き屑28は粉砕し、PP材と混ぜて再度シート材料として使用した。比較例のシートは、シート成型機の二層押出機とTダイにてPPとスチレン系エラストマーとを押出貼合し、冷却ローラーで厚さを調整して一定の幅に切断した。その後、これをφ37.4mmのディスク状に打ち抜き、キャップシェルに挿入した。このときの打ち抜きは、シートから最大個数が取れる配置で行った。このときのキャップとしての性能及びライナーの生産効率を比較した。ただし、総合評価の基準は実施例1と異なる。その結果を表2に示す。
Figure 0005241204
注1)ライナー材の厚さ物性値、容器としての性能、評価方法は、実施例1と同一とした。ただし、総合評価は下記の通り。
注2)成形性評価:◎=良好、○=ほぼ良好、△=やや問題あり、×=成形性不良。
注3)材料効率(%)=(ライナー使用重量/投入ライナー材量)×100
注4)総合評価:
◎◎=開栓トルク性、耐落下衝撃性能、シール性良好で、生産効率が高いもの。
◎×=開栓トルク性、耐落下衝撃性能、シール性良好であるが生産効率が低いもの。
上記表2の結果、比較例である二層シートの材料効率は50%台であったが、実施例2の方式では、90%近い効率であった。また、開栓トルクは差が無かったが、密封性では二層シートの場合、摺動層が厚すぎると、落下衝撃においてモレが認められた。
<実施例3>
実施例3では、ライナー係止突起9を持った28PETボトル用樹脂キャップ(ポリプロピレン製)のキャップシェル4を射出成型機で成形し、これに実施例1と同様に押出機25、Tダイ24から押出成形したシートから打ち抜いた硬質シート5aを挿入した。このときの硬質シート5aは、挿入された時点で樹脂キャップシェル4の側壁の天面に近い部分に形成されているライナー係止突起9により、自由に動くが安定して係止している状態になっている。これに軟質層としてオレフィン系エラストマー(エチレンαオレフィン共重合体)をインシェルモールドした。
このキャップの特性を調べるために、500ml入りのPETボトルに80℃の熱水を充填し、供試キャップでシーリングした。このシーリングは、シングルヘッドキャッパーを使用し、締めトルクが200Ncmになるようにセットした。これを冷却処理し、室温放置1週間後の開栓トルク値、落下衝撃性能等を調べた。これらの評価結果を以下の表3に示す。比較例として、ライナーがインシェルモールドタイプ及びライナレスタイプの28PETボトル用樹脂キャップ(ポリプロピレン製)も供試した。その結果を併せて表3示す。なお、評価方法は、実施例1と同じとした。ただし、落下衝撃性能のモレの評価は液面の位置の変化で調べた。
Figure 0005241204
注1)ライナー材の厚さ物性値、容器としての性能、評価方法は、実施例1と同一。ただし、総合評価は注3の通り。
注2)ライナー材:HDPE=高密度ポリエチレン、TPO=オレフィン系エラストマー。
注3)総合評価:
◎◎=ライナー成形性良好、開栓トルク性、耐落下衝撃性能が良好なもの。
◎△=開栓トルク性、耐落下衝撃性能が良好。ライナー成形性がやや劣る。
◎×=ライナー成形性が良好だが、開栓トルク性、耐落下衝撃性能が劣るもの。
表3から分かるように、実施例3のキャップは、インシェルモールド方式、ライナレス方式のキャップに比べ、開栓トルクが低く良好な値を示している。
<実施例4>
実施例4では、実施例1と同様に38mmPPキャップシェル4を成型し、キャップシェル4の使用塗料も実施例1とほぼ同じとした。これに押出機25、Tダイ24で成形した厚さの異なる樹脂のシートを37.4mmのディスク状の硬質シート5aに打ち抜き、キャップシェル4に入れた。この硬質シート5aが挿入されたキャップシェル4に、実施例1と同様に押出機25から押し出した溶融したエラストマーをこれに一定量供給し、直ちにコールドパンチで押圧して軟質層5bを作製した。このエラストマーも実施例1と同様のものを使用した。硬質シート5aは耐スッポヌケ性を調べるために材料ごとに曲げ弾性率と、厚さを測定した。
このキャップの特性を調べるために、実施例1と同様の評価を行った。すなわち、275g(全量338ml)入りのアルミボトルに85℃の熱水を充填し、供試キャップでキャッピングした。このキャッピングは、シングルヘッドキャッパーを使用した。プレッシャーブロックは、絞径がφ35.6mmで絞り深さを1.8mmに設定したものを使用した。また、ヘッドプレッシャーは、1100Nでキャッピングした。ヘッドスペースは63ml取り、ヘッドスペース部を窒素ガスで置換し、キャッピングした。ヘッドスペースは、63ml取り、ヘッドスペース部を窒素ガスで置換し、シーリングした。この後、直後のシール性、室温放置後の開栓トルク値、落下衝撃性能等を調べた。これらの評価結果を以下の表4に示す。
Figure 0005241204
注1) 落下衝撃性能は、キャッピング、1日放置後、ボトルを30cmの高さから垂直に10°の角を持った鉄盤上に倒立落下させ、落下前後の内圧の差を調べ、漏れの発生数を調べて。試料数各10。表中、モレ数/試料数を示す。
注2) 開栓トルク:キャッピング後1週間室温にて放置後、回転開始時のトルク値(第1トルクをトルクメーターにて測定)。試料数10の平均値。単位:N・cm。
注3) ライナー材の厚さ物性値、成形性,容器蓋としての性能、評価法は、実施例1と同じ。
注4) 曲げ弾性率の単位:MPa
注5) ライナー材:PP=ポリプロピレン、HDPE=高密度ポリエチレン、LDPE=低密度ポリエチレン、Ny66=ナイロン66、TPS=スチレン系エラストマー、TPO=オレフィン系エラストマー
注6)総合評価
◎◎=ライナー成形性良好、開栓トルク性、耐落下衝撃性能は良好。
△◎=ライナー成形性が劣るが、開栓トルク性、耐落下衝撃性能は良好。
表3から分かるように、本発明のキャップはインシェルモールド方式、ライナレス方式のキャップに比べ、開栓トルクが低く良好な値を示している。また、表4から分かるように、本発明の実施例でも曲げ弾性率をf(MPa)とし、硬質シート5aの厚さをt(mm)とした場合、t×fの値が150以上であると硬質シート5a上に軟質層5bを成型する時に、スッポヌケ現象が起きない。
<実施例5>
この試験では、内外面塗装した板厚0.25mmのアルミニウム合金板を用いて、38mmPPキャップのキャップシェルを成型した。このキャップシェルには、内面にポリオレフィン系滑剤入りのエポキシフェノール塗料を50mg/dmで焼き付け塗布したアルミシートを使用した。これをプレスで打ち抜き、38mmPPキャップシェルに成型し、このキャップシェルに不揮発性有機液体としてシリコーンオイル又はグリセリンを使用し、キャップシェルの内面中央に量を変えて塗布した。
そして、押出機、Tダイで成形したポリプロピレンのシートを、直径37.4mmの硬質シートに打ち抜き、これをキャップシェルに挿入した。なお、シートは成型条件を変えて厚さの異なるものについても成型した。
この硬質シートを挿入したキャップシェルに、押出機から押し出した溶融したエラストマーを一定量供給し、直ちにコールドパンチで押圧して軟質層としての形状を作製した。上記エラストマーとしては、PPと流動パラフィンと高分子SEPSとのブレンドしたスチレン系エラストマーとを使用した。このエラストマーの厚さは、シートの厚さに対応して変更した。
また、このとき、口金部の密封性に関係しない軟質層の中央部は、できる限り薄くなるように成形した。このキャップを、310g(全量350ml)入りのアルミボトルにキャッピングした。内容物としては、ビタミンCを一定量添加した水を使用し、ヘッドスペース部を40ml取った。このヘッドスペース部を窒素ガスで置換し、キャッピングして121℃−20分のレトルト処理を加えた後、開栓トルク、落下衝撃性能、ビタミンCの保持率を調べた。また、開栓トルクを測定したキャップにより、不揮発性有機液体のキャップへの滲み出し程度を目視にて観察した。
また、内外面塗装した33PPキャップ(アルミ板厚0.23mm、ライナー外径32.8mm)及び28PPキャップ(アルミ板厚0.22mm、ライナー外径27.4mm)についても、同様の評価を行った。
その結果を、表5,6,7に示す。
Figure 0005241204
Figure 0005241204
Figure 0005241204
注1. シリコーンオイルは、粘度1000cStのものを使用。グリセリンは、粘度1500cSt(20℃)のものを使用。
注2. インシェルモールド部の厚さは、容器口唇部(口金部)と接する部分の平均厚さ。
注3. シール性は、レトルト前後の内圧を調べ、その変化によりモレの有無を調べたレトルト直後のモレ%を示す。試料数各10。
注4. 落下衝撃性能は、キャッピング、レトルト処理、1日放置後、ボトルを40cmの高さから垂直に10°の角を持った鉄盤上に倒立落下させ、落下前後の内圧の差を調べ、漏れの発生数を調べた。試料数各10。
注5. 開栓トルクは、キャッピング、熱処理後1週間室温にて放置後において、回転開始時のトルク値(第1トルクをトルクメーターにて測定。)とした。試料数10の平均値。第2トルク(ブリッジ部破断時のトルク)は記載せず。
注6. ビタミンCの減少量の測定は、約100ppmのビタミンC溶液をボトルに充填し、キャッピング、熱処理後40℃恒温室に1月間放置し、ビタミンCの消費量を自動電位滴定装置で測定した。
ビタミンCの保持率とその評価。◎=保持率が高いもの、○=保持率ほぼ良好なもの、×=保持率劣るもの。
注7. 塗布液滲出程度:◎=全く滲み出しが認められないもの、○=ライナーの側面に僅かに認められるもの、×=キャップシェルまで液の滲み出しが認められるもの。
注8. 総合評価:◎=塗布液体の滲み出しみられず、酸素バリアー性良好なもの、○=酸素バリアー性ほぼ良好で液滲み出し無いもの、または酸素バリアー性良好で塗布液体滲み出しライナー側面までのもの、△=酸素バリアーがやや劣る。塗布液体の滲み出しがキャップ側面からボトルネジ部に滲み出しが見られるもの。
表5から分かるように、PPシートとインシェルモールド方式によるエラストマーとによるライナーは、シリコーンオイル等の不揮発性有機液体を一定量塗布することにより、酸素バリアー性の向上が認められる。また、これによるシール性、耐落下衝撃性の低下は認められず、開栓性の低下が認められる。このシート+モールド方式のライナー材において、シートとキャップシェルとの間に、シリコーンオイル等の不揮発性有機液体を塗布することによる酸素バリアー性の向上は、その塗布量が少なすぎると効果は少ないが、多すぎると、キャッピング、レトルト処理後、キャップシェルの内側に不揮発性有機液体の滲みが認められる。
この適正な塗布量Y(mg)は、ライナーの面積S(cm)に比例し、Y=aSの関係が有る。この際のaの値は、好ましくは0.01〜1であり、より好ましくは0.02〜0.9である。なお、無塗布の場合、PPシートの厚さを厚くすることにより、ややバリアー性は向上するが、逆に落下衝撃性能が低下する。
<実施例6>
この試験では、内外面塗装した0.25mm合金板を用いて、38mmPPキャップのシェルを成型した。このキャップシェルの内面に、シリコーンオイルを一定量(2mg)塗布した後、さらに実施例5と同様にライナー材を形成した。このキャップを使用し、実施例5と同様にキャッピング、レトルト処理を施し、X線テレビ透視装置でライナー先端部とライナー係止突起との距離を測定した後、70℃で保管、開栓して内圧を開放し直ちに元の位置まで閉栓し、5℃に保管した後、開栓し、ライナーのはずれ状態を調べた。キャップシェルとしては、ライナー係止突起の位置及び大きさ(深さ)の異なるものを数種類作製した。また、キャッピング時の絞り深さは、1.0mm〜3.0mmまで数段階に変えた。これによりライナーとライナー係止突起との位置を変化させた。
Figure 0005241204
注1 Wは、キャッピングした後のライナーのPPシートの内径とライナー係止突起先端の外側との寸法である。
注2 hは、PPシートの先端とライナー係止突起との差である。
注3 ライナー外れ状態の評価:◎=全く外れないもの、○=ライナーの一部がライナー係止突起を超えたものが1本以上あるもの、△=ライナーの半分以上がライナー係止突起を超えたものが1本以上あるもの、×=ライナーのはずれが1本以上認められたもの。試料数は各10本。
以上の結果から、ライナーが落下または外れないためには、Wは好ましくは−0.2mm以上、1.0mm以下であり、より好ましくは0.0mm以上、1.0mm以下で、ライナーの脱落が無い。また、hは、好ましくは0.0mm以上、3.0mm以下であり、より好ましくは0.0mm以上、2.0mm以下である。なおかつhとWとは、好ましくはh(mm)=3W(mm)+1とh=0とW=2とで囲まれる範囲であることがわかる。また、より好ましくはh(mm)=3W(mm)+0.4とh=0とW=2で囲まれる範囲で脱落が無い。
本発明に係るライナー付きキャップの製造方法及びライナー付きキャップ並びにキャップ付きボトルの一実施形態において、キャップを示す一部を破断した側面図である。 本実施形態において、キャップ付きボトルを示す一部を破断した要部側面図である。 本実施形態において、ライナー付きキャップの製造方法における製造工程を示す説明図である。 本実施形態において、ライナーとライナー係止突起との位置関係を説明するためのキャッピング状態の要部を拡大した断面図である。 本実施形態において、硬質シートの外周縁部の内側とライナー係止突起の外側との距離Wと、硬質シートの外周縁部とライナー係止突起との間隔hと、の良好な範囲を示すグラフである。 本実施形態において、ライナーの面積Sと、不揮発性有機液体の塗布量Yと、の良好な範囲を示すグラフである。
符号の説明
1…キャップ(ライナー付きキャップ)、2…天板部、3…筒状周壁部、4…キャップシェル(キャップ本体)、5…ライナー、5a…硬質シート、5b…軟質層、7…口金部、6…キャップ付きボトル、9…ライナー係止突起、13…ボトル本体

Claims (10)

  1. 天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなる金属製のキャップ本体内に合成樹脂製のライナーを設置し、前記キャップ本体の肩部が絞り加工されて段差部が形成されると共に、容器の口部を閉栓可能なライナー付きキャップを作製する方法であって、
    前記キャップ本体内に円盤状の合成樹脂の硬質シートを前記天板部内面に接した状態に挿入する硬質シート設置工程と、
    挿入状態の前記硬質シート上に前記硬質シートよりも柔軟な軟質層を樹脂成型により形成する軟質層形成工程と、を有し
    前記筒状周壁部に前記天板部から離間した位置に内側に向かって突起したライナー係止突起を設けておき、
    前記硬質シート設置工程で、前記硬質シートを前記ライナー係止突起と前記天板部との間に挿入し、
    前記軟質層形成工程で、前記軟質層を前記硬質シートに対して同軸かつ小さい外径で前記ライナー係止突起よりも内側に形成し、絞り加工された際に前記口部の外側にも当接可能に形成すると共に前記軟質層の周縁部の下端を前記硬質シートの周縁部の下端よりも上方に位置させることを特徴とするライナー付きキャップの製造方法。
  2. 請求項に記載のライナー付きキャップの製造方法において、
    前記硬質シートの外周縁部の内側と前記ライナー係止突起の外側との距離をW(mm)、前記硬質シートの外周縁部と前記ライナー係止突起との間隔をh(mm)としたとき、hとWとが、
    h(mm)=3W(mm)+1(mm)とh=0mmとW=2mmとで囲まれる範囲に設定されていることを特徴とするライナー付きキャップの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のライナー付きキャップの製造方法において、
    前記硬質シートの厚さをt(mm)とし、曲げ弾性率をf(MPa)とした際、t×fを150以上とすることを特徴とするライナー付きキャップの製造方法。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載のライナー付きキャップの製造方法において、
    前記軟質層の前記容器の口部に接する部分の厚さを、他の部分よりも厚くすることを特徴とするライナー付きキャップの製造方法。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載のライナー付きキャップの製造方法において、
    前記天板部と前記ライナーとの間に、不揮発性有機液体を塗布することを特徴とするライナー付きキャップの製造方法。
  6. 請求項に記載のライナー付きキャップの製造方法において、
    前記ライナーの面積をS(cm)とし、前記不揮発性有機液体の塗布量をY(mg)としたとき、前記不揮発性有機液体の塗布量を、
    Y=aSで、aが0.01〜1.00の範囲に入るように設定していることを特徴とするライナー付きキャップの製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載のライナー付きキャップの製造方法において、
    前記不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はグリセリンであることを特徴とするライナー付きキャップの製造方法。
  8. 請求項1からのいずれか一項に記載のライナー付きキャップの製造方法により作製されたことを特徴とするライナー付きキャップ。
  9. 天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなる金属製のキャップ本体と、前記天板部の内面に設けられた合成樹脂製のライナーと、を備え、前記キャップ本体の肩部が絞り加工されて段差部が形成されると共に、容器の口部を閉栓可能なライナー付きキャップであって、
    前記ライナーが、前記天板部の内面に接して配された合成樹脂の硬質シートと、
    前記硬質シート上に樹脂成型で形成され前記硬質シートよりも柔軟な軟質層と、を備えた多層構造を有し
    前記筒状周壁部に、前記天板部から離間した位置に内側に向かって突起したライナー係止突起が設けられ、
    前記軟質層が、前記硬質シートに対して同軸かつ小さい外径で前記ライナー係止突起よりも内側に形成され、絞り加工された際に前記口部の外側にも当接可能に形成されていると共に周縁部の下端が前記硬質シートの周縁部の下端よりも上方に位置可能に形成されていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  10. ライナー付きキャップを備えたボトルであって、
    前記ライナー付きキャップが、請求項8又は9に記載のライナー付きキャップであることを特徴とするキャップ付きボトル。
JP2007291919A 2007-02-05 2007-11-09 ライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトル Active JP5241204B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007291919A JP5241204B2 (ja) 2007-02-05 2007-11-09 ライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトル

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007025129 2007-02-05
JP2007025129 2007-02-05
JP2007291919A JP5241204B2 (ja) 2007-02-05 2007-11-09 ライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008213039A JP2008213039A (ja) 2008-09-18
JP5241204B2 true JP5241204B2 (ja) 2013-07-17

Family

ID=39833704

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007291919A Active JP5241204B2 (ja) 2007-02-05 2007-11-09 ライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5241204B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101899326B1 (ko) * 2015-11-30 2018-09-17 성보연 용기마개 조립체

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5578606B2 (ja) * 2010-02-24 2014-08-27 日本クロージャー株式会社 中栓付きキャップ
JP6137915B2 (ja) * 2013-04-01 2017-05-31 ユニバーサル製缶株式会社 ライナ付キャップの製造方法
JP6244119B2 (ja) * 2013-06-19 2017-12-06 ユニバーサル製缶株式会社 ライナ付キャップ及びキャップ付容器
JP6137958B2 (ja) * 2013-06-19 2017-05-31 ユニバーサル製缶株式会社 ライナ付キャップの製造方法
JP6332844B2 (ja) * 2014-02-28 2018-05-30 ユニバーサル製缶株式会社 キャップ付容器の製造方法
JP6332845B2 (ja) * 2014-02-28 2018-05-30 ユニバーサル製缶株式会社 キャップ付容器の製造方法
JP7209453B2 (ja) * 2015-02-23 2023-01-20 アルテミラ製缶株式会社 ライナ付キャップ及びキャップ付容器
JP6534377B2 (ja) * 2016-11-29 2019-06-26 ユニバーサル製缶株式会社 ライナ付キャップの製造方法
JP6431565B2 (ja) * 2017-04-25 2018-11-28 ユニバーサル製缶株式会社 ライナ付キャップの製造方法
JP6431566B2 (ja) * 2017-04-25 2018-11-28 ユニバーサル製缶株式会社 ライナ付キャップの製造方法
JP6431582B2 (ja) * 2017-08-21 2018-11-28 ユニバーサル製缶株式会社 キャップ付容器
JP7030503B2 (ja) * 2017-12-21 2022-03-07 ユニバーサル製缶株式会社 キャップ付きボトル缶
JP2018144892A (ja) * 2018-04-23 2018-09-20 ユニバーサル製缶株式会社 キャップ付容器の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4585126B2 (ja) * 2001-01-18 2010-11-24 日本クラウンコルク株式会社 天面壁が補強された容器蓋
JP4253465B2 (ja) * 2002-04-30 2009-04-15 日本クラウンコルク株式会社 金属薄板製容器と容器蓋との組み合わせ
JP2004217295A (ja) * 2003-01-17 2004-08-05 Natl Crown Kk 耐熱ライナー及び耐熱ライナーを備えたボトル用キャップ。
JP4750548B2 (ja) * 2005-12-15 2011-08-17 東洋製罐株式会社 容器蓋
JP2007269336A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Universal Seikan Kk キャップ及びキャップ付ボトル缶

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101899326B1 (ko) * 2015-11-30 2018-09-17 성보연 용기마개 조립체

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008213039A (ja) 2008-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5241204B2 (ja) ライナー付きキャップ及びこの製造方法並びにキャップ付きボトル
JP5341369B2 (ja) ライナー付きキャップ及びキャップ付きボトル
CN101891031B (zh) 带衬垫的瓶盖以及带瓶盖的带螺纹容器
JP5843807B2 (ja) ライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルの製造方法
US20100065528A1 (en) Liner-provided cap and cap-provided threaded container
SE432430B (sv) Behallarforslutning
EP3037361A1 (en) Easily openable container lid
JP2007161313A (ja) 容器蓋
WO2006068230A1 (ja) キャップ材、キャップ付容器、キャップ材の製造方法及びキャップ材の成形装置
JP4812561B2 (ja) キャップ及びキャップ付きボトル
JP4784982B2 (ja) キャップ材およびキャップ付容器
JP6086484B2 (ja) キャップ用ライナー及びライナー付きキャップ並びにキャップ付き容器
JP4753245B2 (ja) キャップ材およびキャップ付容器
JP2008174249A (ja) キャップ用ライナー及びキャップ並びにキャップ付きボトル
JP5603742B2 (ja) キャップ用ライナーの製造装置および製造方法
US20050167392A1 (en) Metallic cap closure having water repelling properties and method of fabricating the same
JP2006027663A (ja) 高温開栓性が改良された耐熱ライナー及びこの耐熱ライナーを備えたボトル用キャップ
JP5051683B2 (ja) キャップ材、キャップ付容器
JP4812676B2 (ja) キャップ用ライナー及びキャップ並びにキャップ付きボトル
JP2009179402A (ja) キャップ材およびキャップ付容器
JP7284029B2 (ja) 金属製キャップ
JP6934804B2 (ja) ライナ付キャップ及びその製造方法
JP2011057272A (ja) ライナー付きキャップ及びキャップ付き容器
JP2007269336A (ja) キャップ及びキャップ付ボトル缶
JP4932411B2 (ja) レトルト用キャップ、閉止装置および飲料入り閉止装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120921

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130402

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160412

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5241204

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250