JP6332845B2 - キャップ付容器の製造方法 - Google Patents
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Description
また、このようなライナ付キャップをねじ付容器に装着したキャップ付容器は、ねじ付容器の口金部にライナ付キャップを被せて圧力を加えながら、ネジローラとスカートローラとを使用して、ネジの成形を行うとともにキャップ本体の裾部を口金部の膨出部に巻き付けることにより、製造される。なお、キャップ本体は、一方が閉じた円筒形とされ、裾部(スカート部)の円周上にブリッジ部(ミシン目)が形成されている。
そして、このようなキャップ付容器の開栓は、ライナ付キャップを回転させるライナ付キャップを口金部のねじのリード角に沿って持ち上げることによってなされる。このとき、膨出部に巻き付いたキャップ本体の裾部におけるブリッジ部より下の部分(ピルファープルーフ部)が切断され、開封が明示される構造になっている。
このようなライナ付キャップは、キャップ付容器を開栓する過程において、開栓始めは、容器の口金部の開口端部にライナの密封層が密接し、ライナの摺動層とキャップ本体の天面部の内面とが摺動することでキャップ本体が開栓し、飛躍的に開栓トルクを下げることが可能となっている。
なお、開栓トルクには、開栓時の回転を始めるときの第1トルクと、キャップ本体のピルファープルーフ部がブリッジ部から切断されるときの第2トルクとがあり、これらの開栓トルクをコントロールすることは簡単ではない。
一方、ライナ付キャップの凸部は、雄ねじ部の凹部から抜け出した後は、ライナ付キャップの回転に伴って雄ねじ部の始端から外れて上方に移動していくので、凸部がその後の開栓過程において抵抗となることはない。
また、このようにねじを有するねじ付ボトル缶は、一度開栓した後に、再度ライナ付キャップを被せて閉栓することができるものであるが、凹部が形成されたねじ付容器においては、開栓した後にライナ付キャップを口金部の上方からねじ込んで閉栓する際にも、閉栓の最後の段階でライナ付キャップの凸部が雄ねじ部のねじ始まり部においてねじ山と摺動し、そのねじ山に設けられた凹部にライナ付キャップの凸部が嵌められる際に、使用者に引っ掛かりを感じさせることができる。このように、使用者に閉栓を認識させることができるので、不完全な閉栓による内容物の漏れを防止することができる。
なお、ねじ山に形成された凹部は、外観面で目立ち難く、使用者が凹部に触れた際に違和感を生じさせ難くすることができる。
また、本発明のキャップ付容器の製造方法において、前記ねじ始まり部は、前記雄ねじ部の始端から該雄ねじ部に沿って周方向に90°までの範囲とされる。
キャップ付ボトル缶は、ねじ付ボトル缶の口金部にライナ付キャップを被せた状態とし、ライナ付キャップの円筒部の側方からキャッピングロールを押し付けて雄ねじ部の形状を円筒部に転写することにより雌ねじ部を形成するキャッピング加工が行われる。また、キャッピングロールは、一般的に、雄ねじ部の始端側から終端側にかけて雄ねじ部のねじ谷に倣って移動することにより、円筒部に雌ねじ部を成形する。
ところが、雄ねじ部の不完全ねじ部に凹部が設けられている場合には、雄ねじ部の始端の形状がはっきりしないために、ライナ付キャップの側方からキャッピングロールを押し付けた際に、キャッピングロールが雄ねじ部の始端を探し当て難くなる。このため、キャッピングロールがライナ付キャップの円筒部の側方の上側部分で空転し続けるおそれがあり、この場合にはライナ付キャップのキャッピングが難しくなる。また、ライナ付キャップのキャッピング加工が行えたとしても、雄ねじ部の始端の形状がはっきりしないことから、ねじ始まり部のねじ山及び凹部の形状をライナ付キャップに正確に転写することが困難となる。その結果、雄ねじ部に設けた凹部により開栓時初期の開栓トルクを調整することが難しくなる。
一方、雄ねじ部の凹部を完全ねじ部に設けることで、キャッピング加工時の問題を生じることなく、確実に開栓時初期の開栓トルクを調整することが可能となる。
本実施形態の製造方法により製造されるキャップ付容器は、図1に示すように、例えば38mm口径のアルミニウム又はアルミニウム合金製のねじ付ボトル缶2(本発明でいう、ねじ付容器)と、このねじ付ボトル缶2の雄ねじ部32が形成された口金部23に螺着状態に装着されて、ねじ付ボトル缶2を密栓するピルファープルーフキャップ(以下、PPキャップとも称す。)となるアルミニウム又はアルミニウム合金製のライナ付キャップ3とからなる、キャップ付ボトル缶1とされる。
ねじ成形ツール90は、中子90Aと外子90Bとを有しており、これら中子90A及び外子90Bには、その外周面に雄ねじ部32を形成するためのねじ形成用凸部91A,91B及びねじ形成用凹部92A,92Bが螺旋状に、かつ互いに対応する形状でそれぞれに形成されている。なお、中子90Aのねじ形成用凸部91Aは右ねじ状に形成され(以下、右ねじ状凸部91Aという)、外子90Bのねじ形成用凸部91Bは左ねじ状に形成される(以下、左ねじ状凸部91Bという)。また、中子90Aには、右ねじ状凸部91Aの雄ねじ部32のねじ始まり部32fを形成する部分に、図4に破線で示すように右ねじ状凸部91Aの一部を切欠いた切欠部95が設けられている。
ナール凹部11及びフック部13は、円筒部42の外周面において凹形状をなしており、これらが間隔をあけて配置されることにより円筒部42の外周面に凹凸表面が形成され、開栓時にライナ付キャップ3を把持する指との間の摩擦抵抗を増大させることができる。これにより、手を滑らせることなく把持することが可能となり、容易に開栓することができる。
また、フック部13の上端面15は、少なくともライナ5を構成する摺動層51の厚さ分だけ天面部41の内面から離れた位置に形成されている。そして、摺動層51がフック部13の上端面15と天面部41の内面との間に配置されることにより、ライナ5がキャップ本体4に取り付けられる。
なお、開口部12は、ライナ付キャップ3がブリッジ43aを破断しつつ回転操作された際、ボトル缶2の内部のガスを外部に放出するためのベントホールとして機能する。
また、密封層52は、摺動層51よりも軟質のエラストマー樹脂等により形成され、少なくともねじ付ボトル缶2の口金部23に当接可能なように、摺動層51に対し同軸で、かつ摺動層51より小径の円環状又は円盤状に形成されている。なお、本実施形態のライナ5においては、密封層52は円盤状に形成されており、ねじ付ボトル缶2の口金部23に密接する外周部が、中心部よりも厚く形成されている。
まず、ライナ付キャップ3をねじ付ボトル缶2の口金部23に被せた後、パッド81により天面部41をねじ付ボトル缶2の底部の方向に押し付けると同時に、ブロック82により天面部41の周縁部を肩絞りする。また、この状態で、キャッピングロール83によって円筒部42の側方の上から一定の荷重を加えながら、円筒部42を口金部23の雄ねじ部32に押し付けて、雄ねじ部32に沿って円筒部42に雌ねじ部46を形成するとともに、スカートローラ84で膨出部33に円筒部42の筒下部45(裾部)を巻き付けることにより、膨出部33の形状に沿うように塑性変形され、キャッピング加工が行われる。
そこで、本実施形態のねじ付ボトル缶2においては、雄ねじ部32の凹部37を、不完全ねじ部35sを避けた完全ねじ部に設けることとしている。これにより、キャッピング加工時の問題を生じることなく、凹部37及び凸部47を正確に形成することができる。
ねじ付ボトル缶2に装着されたライナ付キャップ3を緩めるように回転すると、初めにライナ5の摺動層51とキャップ本体4の天面部41とが摺動を開始する。この摺動層51と天面部41とが摺動してライナ付キャップ3が回転を始めるときの開栓トルクのピーク値は、第1トルク(ファーストトルク)とも言われる。
そして、ライナ付キャップ3をさらに回転させると、雌ねじ部46が形成された筒上部44がねじ付ボトル缶2の雄ねじ部32に沿って上方へ持ち上がりながら回転する。一方、筒下部45はねじ付ボトル缶2の膨出部33に係止され、筒上部44と一体に持ち上がらずに回転する。この際、上方に引っ張る力と、周方向に引っ張る力(摩擦力)とを加えられた各ブリッジ43aが単独に順次破断していき、ライナ付キャップ3の開栓時における最大トルクが生じる。この最大トルクは、第1トルクに対して第2トルク(セカンドトルク)とも言われる。そして、各ブリッジ43aが破断した際に、ライナ付キャップ3の筒上部44と筒下部45とが分断され、ライナ付キャップ3の筒下部45はピルファープルーフ部としてねじ付ボトル缶2の膨出部33に帯状に残される。一方、ライナ付キャップ3の筒上部44を雄ねじ部32に対してさらに回転させることにより、ねじ付ボトル缶2からライナ付キャップ3の筒上部44が外れて開栓させることができる。
一方、ライナ付キャップ3の凸部47は、雄ねじ部32の凹部37から抜け出した後は、回転に伴って雄ねじ部32のねじ始まり部32fのねじ山35と摺動した後にねじ山35の始端から外れて、凹部37及び雄ねじ部32から離れる方向(上方)に移動していく。このため、凸部47がその後の開栓過程において抵抗となることはない。
このため、キャップ付ボトル缶1の開栓過程において、凹部37と凸部47とは、開栓時初期の開栓トルクを高めることのみに作用し、凸部47が凹部37から抜け出して雄ねじ部32の始端から外れた後の開栓過程においては、凹部37及び凸部47の形状が抵抗となることはない。したがって、ライナ付キャップ3を円滑に回転させてキャップ付ボトル缶1を開栓することができる。
なお、雄ねじ部32のねじ山35に形成された凹部37は、外観面で目立ち難く、使用者が凹部37に触れた際に違和感を生じさせ難くすることができる。
実施例として、雄ねじ部の上端部に位置するねじ始まり部のねじ山に径方向内方に窪んだ凹部を形成したねじ付ボトル缶を用いて、このねじ付ボトル缶にライナ付キャップをキャッピングすることにより、ライナ付キャップに凸部が転写されたキャップ付ボトル缶を製作した。また、従来例として、雄ねじ部に凹部を形成しないねじ付ボトル缶を用いて、このねじ付ボトル缶にライナ付キャップをキャッピングしたキャップ付ボトル缶を製作した。なお、各キャップ付ボトル缶の内圧は、0.1MPaに設定した。
結果を図8に示す。図8は、ライナ付キャップの回転角度(開栓角度)と、その回転角度における開栓トルクとをプロットした開栓トルクチャートである。
そして、図8に示される実施例と従来例の結果より明らかなように、ねじ付ボトル缶の雄ねじ部に凹部を設けるとともに、ライナ付キャップに雄ねじ部の凹部に対応する凸部を設けることにより、第1トルクの値を高くすることができる。
2 ねじ付ボトル缶
3 ライナ付キャップ
4 キャップ本体
5 ライナ
11 ナール凹部
12 開口部
13 フック部
15 上端面
20 胴部
21 肩部
22 首部
23 口金部
31 口唇部
32 雄ねじ部
32f ねじ始まり部
33 膨出部
35 ねじ山
35s 不完全ねじ部
36 ねじ谷
37 凹部
38 テーパ部
41 天面部
42 円筒部
43 スリット
43a ブリッジ
44 筒上部
45 筒下部
46 雌ねじ部
47 凸部
51 摺動層
52 密封層
80 キャッピングマシン
81 パッド
82 ブロック
83 キャッピングロール
84 スカートローラ
90 ねじ成形ツール
90A 中子
90B 外子
91A ねじ成形用凸部(右ねじ状凸部)
91B ねじ成形用凸部(左ねじ状凸部)
92A,92B ねじ形成用凹部
95 切欠部
Claims (3)
- ねじ付容器の雄ねじ部が形成された口金部に、キャップ本体の天面部の内面にライナを有するライナ付キャップを螺着状態に装着したキャップ付容器を製造する方法であって、
前記口金部に、前記ライナと接する口唇部と、該口唇部の下方に形成された前記雄ねじ部と、該雄ねじ部の下方に膨出して形成され前記キャップ本体の円筒部の裾部が圧着される膨出部とを備える前記口金部の前記雄ねじ部の上端部に位置するねじ始まり部のねじ山に径方向内方に窪んだ凹部を設けておき、
前記ねじ付容器と前記ライナ付キャップとのキャッピング時に、前記円筒部に前記雄ねじ部に倣うように該雄ねじ部の形状を転写して雌ねじ部を成形するとともに、前記凹部に倣うように該凹部の形状を転写して凸部を成形し、前記キャップ付容器を製造することを特徴とするキャップ付容器の製造方法。 - 前記ねじ始まり部は、前記雄ねじ部の始端から該雄ねじ部に沿って周方向に90°までの範囲とされることを特徴とする請求項1に記載のキャップ付容器の製造方法。
- 前記凹部は、前記雄ねじ部の完全ねじ部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ付容器の製造方法。
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