JP4812561B2 - キャップ及びキャップ付きボトル - Google Patents
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また、滑剤は、その合成由来の不純物があり、それらがしばしば内容物の異臭、異味の原因になる場合がある。また、シリコーンオイル等の液体状のものもあるが、これらは不溶性であるため内容物に移行した場合、表面に油状に浮いて消費者に不快な感じを与えることがある。
このキャップでは、天板部とライナーとの間に不揮発性有機液体が塗布されているので、不揮発性有機液体が気体の侵入を抑制して、高いガスバリアー性が得られると共に、不揮発性有機液体の介在による滑性効果で開栓トルクを低下させることができる。また、ガスバリアー性が高いので、シール性の高いライナーを選択することが可能になる。
W(mg)=2/3×10−3S(Ral+Ras)
で表される重量Wの5%以上250%以下であることを特徴とする。
すなわち、キャップでは、不揮発性有機液体の塗布量が、上記式で表される重量Wの5%以上250%以下の範囲内に設定されるので、十分なガスバリアー性と適正な開栓トルクを得ることができる。すなわち、上記塗布量が、重量Wの5%未満の場合、十分なガスバリアー性及び滑性効果を得られないと共に、重量Wの250%を超えると、不揮発性有機液体が天板部とライナーとの間から滲み出してキャップの内面を汚すため、上記塗布量は上記範囲内が好ましい。なお、上記塗布量は、重量Wの5%以上10%以下であると、ガスバリアー性にバラツキがやや見られると共に、重量Wの250%以下200%以上であると、キャップ側面に液が滲み出しているものが一部ある。このため、より好ましくは、上記塗布量は、重量Wの10%以上200%以下である。
このキャップでは、動粘度が、20℃で10mm2/s以上の不揮発性有機液体を採用するので、ボトル保管時にキャップの内側面への不揮発性有機液体の垂れを防ぐことができる。すなわち、上記動粘度が、10mm2/s未満であると、キャップ内面に不揮発性有機液体を塗布し、ライナーを挿入して横置き状態に保管した場合、キャップの内側面に不揮発性有機液体が垂れてしまいキャッピング時にボトルの口部を汚す不都合がある。したがって、不揮発性有機液体の動粘度は、上記数値以上であることが好ましい。
すなわち、本発明に係るキャップによれば、天板部とライナーとの間に不揮発性有機液体が塗布されているので、不揮発性有機液体が気体の侵入を抑制して、高いガスバリアー性が得られると共に、不揮発性有機液体の介在による滑性効果で開栓トルクを低下させることができる。これにより、シール性の高いライナーを選択しても、低い開栓トルクが得られ、開栓性、シール性、耐衝撃性、ガスバリアー性に優れたキャップが低コストで得られる。したがって、本発明のキャップを備えたキャップ付きボトルによれば、優れた開栓性、衛生性、密封性及び内容物への非移行性を備えることができる。
また、本実施形態のキャップ付きボトル6は、上記キャップ1を口金部7に巻き締められて備えている。
上記ライナー5は、合成樹脂から成型され、キャップシェル4に密封効果を持たせるものである。
また、上記ライナー5の外径は、キャップシェル4の天板部2内面の内径より小さくキャップ径とライナー5の厚さにもよるが、その差は0.5mm以上あることが好ましい。
本実施形態の筒状周壁部3は、ナール8、グルーブ9、ミシン目10、ビード11及びスカート部12を備えている。なお、これらは、必要に応じて筒状周壁部3に備えられる。
上記キャッピング加工工程は、プレッシャーブロック、ネジローラー、スカートローラー等からなるキャッピング装置を用いて行われる。
一方、開栓するときは、キャップ1を回してミシン目10から切断し、キャップ1を口金部7から外すことにより、口金部7が開栓され内容物が取り出されることになる。
そして、取り外したキャップ1を口金部7に再び取り付けることにより、再閉栓することが可能になっている。
ライナー5は、例えば図3の(a)に示すように、天板部2側に配された硬質層5aと該硬質層5aに積層状態に口金部7側に配され硬質層5aよりも柔軟な軟質層5bとを有する多層構造シートである。この多層構造のライナー5の場合、不揮発性有機液体Lが天板部2と硬質層5aとの間に塗布されている。
ライナー5の天板部2側の表面における算術平均粗さをRal(μm)とし、
天板部2の内面における算術平均粗さをRas(μm)とし、
ライナー5の天板部2側の表面における面積をS(mm2)としたとき、
W(mg)=2/3×10−3S(Ral+Ras) ・・・式(1)
で表される重量Wの5%以上250%以下であることが好ましい。
これにより、天板部2内面に塗布された不揮発性有機液体Lが、ライナー5と接するときの圧力により均一に広がる。また、充填後の内圧等によりライナー5に力が加わり、キャップシェル4とライナー5とがより密着する。
これら塗布方法はそれぞれ特徴があるが、本実施形態では比較的塗布量がコントロールし易いキャップシェル4の天板部2内面中央に一定量を塗布する方式を採用した。
さらに、不揮発性有機液体Lの塗布量が、上記式(1)で表される重量Wの5%以上250%以下の範囲内に設定されるので、十分なガスバリアー性と適正な開栓トルクを得ることができる。
また、動粘度が20℃で10mm2/s以上の不揮発性有機液体Lを採用するので、ボトル保管時にキャップ1の内側面への不揮発性有機液体Lの垂れを防ぐことができる。
例えば、本実施形態に使用されるライナー5は、上述したように多層構造のシートを採用するのが好ましいが、上記シート以外に、図3の(b)に示すように、単層でも構わず、またライナー5が発泡しているものでも、無発泡のものでも構わない。
また、ライナー5の形状、大きさ、キャップ1及びボトル6の形状、容量等は適宜選択される。
<実施例1>
本発明の実施例1では、PP層になるPPシートとエラストマー層になるスチレン系エラストマーシートとを貼合したものをライナー材とし、これを37.0mmのディスク状に打ち抜き、0.24mm厚の38mmPPキャップシェルにライナーとして挿入した。この場合、PP層の厚さは600μm、エラストマー層は400μmとし、PP層がキャップシェルに接するように挿入した。
上記落下衝撃試験は、キャッピングのシール性を評価するもので、キャッピング、熱処理後1日放置し、その後、ボトルを30cmの高さから垂直に10°の角を持った鉄盤上に倒立落下させ、落下前後の内圧の差を調べ、漏れの発生数を調べた。なお、試料数は各10である。
上記ビタミンCの保持率は、侵入した酸素(ガス)によって減少したビタミンCの減少量を測定してガスバリアー性を評価する試験であり、その測定は、100ppmのビタミンC溶液をボトルに充填しキャッピング、熱処理後40℃恒温室に1月放置し、ビタミンCの消費量を自動電位滴定装置で測定した。
◎=液がライナー内に収まっている。
○=液がライナーの縁で収まっている。
△=液がキャップ側面に来ている。
×=液がボトル口まで来ている。
これに対して、無塗布の比較例では、ビタミンC保持率が70%未満と低く、ガスバリアー性が劣っていると共に、開栓トルクが130Ncm以上と高く、さらに落下衝撃試験においても漏れが発生していた。
本発明の実施例2では、約2倍に発泡させた2.0mm厚さのLDPEのシートをライナー材として採用した。これを27.0mmのディスク状に打ち抜き、0.22mm厚のアルミ製28mmPPキャップシェルにライナーとして挿入した。この場合、キャップシェルの内面は、滑剤入りのエポキシフェノール塗料を焼き付け(40mg/dm2)塗布したものを使用した。このキャップシェル内面の中央に一定量の不揮発性有機液体としてMTG(トリグリセライド)を塗布した後、発泡PEのライナーを挿入した。
供試ライナー材は、発泡シートをTダイより押し出し、冷却ローラの表面粗度を変えてそのローラ粗度が発泡シートの表面に転写するようにして、表面粗度の異なる発泡シートを作製した。この実施例2の評価結果を、以下の表2に示す。なお、比較例として、不揮発性有機液体を塗布しない無塗布キャップも同様に評価した結果も、表2に併せて示す。
本発明の実施例3では、LDPE層になるLDPEシートとエラストマー層になるオレフィン系エラストマーシートとを貼合したものをライナー材とした。これを37.0mmのディスク状に打ち抜き、0.24mm厚の38mmPPキャップシェル(シェル内径38.15mm、ライナー係止部内径35.60mm)にライナーとして挿入した。この場合、LDPE層の厚さは500μm、エラストマー層は300μmとし、LDPE層がキャップシェルに接するように挿入した。キャップシェルの内面は脂肪酸アミドの滑剤入りのエポキシフェノール塗料を、焼き付け(50mg/dm2)塗布したものを使用し、LDPE層は一定の凹凸がつくように成型した。このLDPE層に一定量の液体を塗布した後、38PPキャップシェルに挿入した。
本実施例の実施例4では、LDPE層になるLDPEシートとエラストマー層になるスチレン系エラストマーシートとを貼合したものをライナー材とした。これを37.0mmのディスク状に打ち抜き、0.24mm厚の38mmPPキャップシェル(シェル内径38.15mm)にライナー材として挿入した。
本発明の実施例5では、LDPEを使用して射出成型機で28mm口径のPETボトルに適合するプラグタイプの中栓を作り、28PETボトル用樹脂キャップ(ポリプロピレン製)のライナー材として挿入した。この場合、中栓は、プラグ最上部にほぼ平らなフランジ(フランジ外径27.0mm)を持っており、そのフランジ部が、樹脂キャップシェルの側壁の天面に近い部分に形成されている係止突起により自由に動くが、安定して係止している状態になっている。
本発明の実施例6では、実施例1と同様にPPシートとスチレン系エラストマーシートとを貼合したものをライナー材とした。これを37.0mmのディスク状に打ち抜き、0.24mm厚の38mmPPキャップシェルにライナー材として挿入した。この場合、PP層の厚さは600μm、エラストマー層は400μmとし、PP層がキャップシェルに接するように挿入した。
◎=液がライナー内に収まっている。
△=液がライナーの縁で収まっている。
×=液がキャップ側面に来ている。
この実施例6の評価結果を、以下の表6に示す。
本発明の実施例7では、実施例1と同様に、PPシートとスチレン系エラストマーシートとを貼合したものをライナー材とした。これを37.0mmのディスク状に打ち抜き、0.24mm厚の38mmPPキャップシェルにライナー材として挿入した。この場合、PP層の厚さは600μm、エラストマー層は400μmとし、PP層がキャップシェルに接するように挿入した。
Claims (7)
- 天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなる金属製又は合成樹脂製のキャップ本体と、
前記天板部の内面に設けられた板状の合成樹脂製のライナーとを備え、
前記天板部と前記ライナーとの間に気体の侵入を抑制する不揮発性有機液体が塗布されていることを特徴とするキャップ。 - 請求項1に記載のキャップにおいて、
前記ライナーが、前記天板部側に配された硬質層と該硬質層に積層され前記硬質層よりも柔軟な軟質層とを少なくとも有する多層構造であり、
前記不揮発性有機液体が前記天板部と前記硬質層との間に塗布されていることを特徴とするキャップ。 - 請求項1又は2に記載のキャップにおいて、
前記不揮発性有機液体が、シリコーンオイル又はポリブテンであることを特徴とするキャップ。 - 請求項1又は2に記載のキャップにおいて、
前記不揮発性有機液体が、グリセリンであることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載のキャップにおいて、
前記不揮発性有機液体の塗布量が、
前記ライナーの前記天板部側の表面における算術平均粗さをRal(μm)とし、
前記天板部の内面における算術平均粗さをRas(μm)とし、
前記ライナーの前記天板部側の表面における面積をS(mm2)としたとき、
W(mg)=2/3×10−3S(Ral+Ras)
で表される重量Wの5%以上250%以下であることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載のキャップにおいて、
前記不揮発性有機液体の動粘度が、20℃で10mm2/s以上であることを特徴とするキャップ。 - キャップを備えたボトルであって、
前記キャップが、請求項1から6のいずれか一項に記載のキャップであることを特徴とするキャップ付きボトル。
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