明 細 書
キャップ材、キャップ付容器、キャップ材の製造方法及びキャップ材の成 形装置
技術分野
[0001] 本発明は、ボトル缶やガラスビンや PETボトル等の口部を閉栓するために使用され るキャップ材、このキャップ材が被着されたキャップ付容器、キャップ材の製造方法及 びキャップ材の成形装置に関する。
本願は、 2004年 12月 22日に出願された特願 2004— 372168号、 2005年 3月 8 日に出願された特願 2005— 63643号、 2005年 3月 9日に出願された特願 2005— 66152号、 2005年 3月 30曰に出願された特願 2005— 96859号、 2005年 9月 20 曰に出願された特願 2005— 272197号、 2005年 9月 30曰に出願された特願 2005 288232号に基づき優先権を主張し、それらの内容をここに援用する。 背景技術
[0002] 近年、清涼飲料水などの飲料用容器として、ガラスビン、 PETボトル、アルミボトル 缶等の開閉可能な容器が広く使用されている。これらの容器に使用されるキャップ材 としては、合成樹脂製あるいはアルミニウム合金や鉄などの金属製のキャップ本体と 、主に合成樹脂で構成されたライナーとで構成されたものが広く提供されている。
[0003] キャップ本体は、一般に、天板部とこの天板部の周縁部から略垂下してなる周壁 部とを備え、周壁部の下端側に、周方向に延び、かつ径方向内側に凹むスリット部と ブリッジとが交互に周方向に複数配置された破断容易部を設けたものである。キヤッ プ材とは、このキャップ本体の天板部内面に、前記ライナーが装着されたものである
[0004] この種のキャップ材は、雄ネジ部と前記雄ネジ部の下端に配置され径方向外側に 膨出した膨出部とを備えた容器口部に被せられ、前記天板部が下方に押圧された状 態で、前記周壁部の外周面が、前記容器口部の雄ネジ部に沿うように径方向内方に 向けて押圧されて当該周壁部に雌ネジ部を形成されるとともに、周壁部の開放端部( 下端部)が、前記膨出部に巻き込ませられるように径方向内側へ向けて押圧される(
すそ卷き工程)ことによって、容器口部に被着され、キャップとして使用される。
つまり、キャップとは、上記キャップ材を容器口部に被着したものである。ここで、 容器口部の開口部とライナーとが密着することで容器内が密封されるのである。
[0005] キャップ本体の天板部の内面に配置されるライナーとしては、予め成形したデイス クを揷入した後にキャップ本体の天板部内面の中心部に熱接着したものや、ゾル化 した塩化ビュル樹脂のようにキャップ本体に樹脂を流し込んでゲル化と同時に接着し たものや、溶融樹脂をキャップ本体の中に入れて型押ししたもの等がある。そして、こ れらのライナーは、ほとんどがキャップ本体の天板部内面に接着されており、キャップ を回転させる際には、キャップと同時にライナーを回転する必要がある。
[0006] ところで、ライナーと容器口部の開口部におけるライナーとの接触部分とが強く固 着していると、その間の摩擦抵抗が大きいため、開栓に必要なトルク(以下、開栓トノレ クと称す)が大きくなり、開栓操作が困難になる問題があった。そこで、開栓トルクを低 減するためにライナーと容器口部の開口部におけるライナーとの接触部分との潤滑 を良好にするために、ライナーに滑剤を添加したものが提供されている。
[0007] し力 ながら、滑剤を必要以上に添加したライナーを使用した場合には、滑剤を 添加したライナーが直接ボトル容器内の充填物と接触するため、充填物に滑剤の一 部が落下して充填物の表面に浮き、異物として認識されて品質を損なうというおそれ があった。
[0008] このような問題を解決するために、特開 2004— 217295号公報では、ライナーを 機能層と支持層との 2層構造とし、このシート状のライナーをキャップ本体の天板部の 内面と非接合状態で取り付ける構成とされたキャップが提案されている。
[0009] このようなシート状のライナーをキャップ本体の天板部の内面と非接合状態で支 持する方法としては、従来、特開平 1一 99967号公報に示すように、周壁部における 前記天板部側の上部に周方向に間隔をあけて複数のライナー支持部を設け、ライナ 一の下面をこのライナー支持部のキャップ軸線方向上端部で支持するものが提案さ れている。
[0010] このライナー支持部としては、周方向に延在する二辺と、キャップ軸線方向に延 在する二辺とからなる側面視矩形状とされた径方向内方へ凹む凹部とされ、この矩
形状のうち、前記容器口部に被着されたキャップを開栓するときに当該キャップをそ の軸線回りに回転させる開栓方向に対する前端に位置し、かつキャップ軸線方向に 延在する上端部が、周壁部から切断され、前記上端部の切断面上にライナーが配置 される構成が開示されている。なお、一般に、前記上端部の切断面と、前記天板部 の内面とのキャップ軸線方向における距離は、ライナーの厚さより大きくされている。
[0011] また、キャップ材には、上述のように、キャップ上部とキャップ下部とを破断容易部で 連結したピルファープノレーフ機能を有するものが広く提供されている。このようなキヤ ップ材では、キャップ付容器の開栓時に、前記破断容易部よりも天板部側のキャップ 上部が、前記口金部から取り外され、前記破断容易部よりも開放端側のキャップ下部 が、前記口金部に残存する構成とされている(例えば、特許第 2720185号公報参照
) o
[0012] この特許第 2720185号公報に記載のキャップ材には、前記周壁部の径方向内方 に凹むスリット部がブリッジ部を介して周方向に複数形成された破断容易部が形成さ れており、前記複数のブリッジ部の内の少なくとも大部分のブリッジ部の上端縁 (スリ ット部の切込みに隣接する端縁)に沿って、径方向内方に曲げ力卩ェが施されているも のであって、力かる構成とすることにより、ブリッジ部は、前記上端縁に沿って一直線 状に破断されるので、ブリッジ部の破断に起因して周壁部から下方に突出する鋭利 なバリが発生されることを防止しょうとしている。
[0013] このようなキャップ材を成形する場合、アルミあるいはアルミ合金板材をカップ状に 成形したキャップ材を、周方向に間隔を置いて複数の切刃部が形成されたアウター ツーノレと、キャップ材内周面に嵌合されるインナーツールとで挟持させ、このキャップ 材をアウターツールに沿って転動させることにより、複数のスリット部と複数のブリッジ 部とを形成する成形方法及び成形装置が知られている(例えば、特開平 7— 89562 号公報参照)。
[0014] 図 19、図 20に従来のキャップ材を示す。キャップ材 100は、例えばアルミニウム合 金等により形成され、図 19に示すように、天板部 112及び前記天板部 112の周縁部 力 略垂下してなる周壁部 113を備えたキャップ本体 111と、天板部 112の内側に配 設されたライナー 130とを備えてレ、る。
周壁部 113には、径方向内方に向って凹とされた凹部が周方向に間隔をあけて複 数形成された凹凸部 114と、前記凹凸部 114の下端 (周壁部 113の開放端側)に連 設され、当該凹凸部 114より小径とされたグループ 115と、前記グループ 115の下端 に連設されると共に、当該グループ 115より大径の平滑面とされた雌ねじ形成予定 部 116と、前記雌ねじ形成予定部 1 16の下端に連設され、径方向外方へ膨出した上 ビード 117と、前記上ビード 117の下端に連設され、周方向に延びるスリット部 118が プリッジ部 119を介して周方向に複数形成された破断容易部 120と、前記破断容易 部 120の下端に連設されると共に、径方向外方へ膨出した下ビード 121と、前記下ビ ード 121の下端に連設され、当該周壁部 113の開放端部を構成する平滑面とされた スカート部 122とが形成されている。
[0015] 図 19における P部の拡大図である図 20により、破断容易部 120について説明する と、スリット部 118には、周壁部 113の厚さ方向に向けて凹設された側面視略矩形状 の凹所 118cが凹設されており、この凹所 118cは、周方向に延在する一対の長辺 11 8a, 118aと、軸方向に延在する一対の短辺 118b, 1 18bとにより囲繞されてレヽる。 また、スリット部 118には、天板部 112側に位置する前記長辺 118aに沿って、周壁 部 113の厚さ方向に貫通する切込み 118dが形成されてレ、る。
凹所 118cの底壁面 1 18eとブリッジ部 119とは、底壁面 118eに向けて 所 118c の開口側から傾斜する軸方向側壁面 118hにより連設されており、また、底壁面 118 eと周壁部 113の開放端側に位置する長辺 118aとは、底壁面 118eに向けて凹所 11 8cの開口側力 傾斜する周方向側壁面 118fにより連設されている。
なお、底壁面 118eと軸方向側壁面 118hとは、基端部 118gで交差されている。
[0016] 図 21及び図 22は、図 20における A—A線視断面及び B— B線視断面の様子を、 それぞれ成形装置 160と共に示した図であり、この成形装置 160は、アウターツール 162とインナーツーノレ 161とを備免てレ、る。
アウターツール 162は、ビードプレート 162pとアウタースリットプレート 162rとスカー トプレート 162sとを少なくとも備えており、インナーツール 161は、インナービードリン グ 161pとインナースリットリング 161rとインナーロワ一ビードリング 161sとを少なくとも 備えている。
[0017] ブリッジ部 119を周方向に沿って切断された図 21に示されるように、アウターツール 162は、周方向に間隔をおいて延在され、略矩形状を為す複数の切刃部 162bを備 えている。
また、アウターツール 162は、切刃部 162bの間に配置され、成形時にブリッジ部 1 19を非接触に収容するためのブリッジ収容部 162aを備えている。
このブリッジ収容部 162aは、切刃部 162bの軸方向に延在する稜線から周壁部 11 3の外方に向力 につれて互いに接近するように傾斜されるブリッジ収容部傾斜壁面 162c, 162cと、このブリッジ収容部傾斜壁面 162c, 162cの終端を接続するブリッジ 収容部底壁面 162dとにより形成されている。
[0018] 図 22は、前記基端部118§ (8 _8線)に沿って切断された断面を示す。アウターッ 一ノレ 162は、前記切刃部 162bの天板部側の稜線とほぼ直交するアウタースリットプ レート 162rの上端面 162eをその一部とし前記上ビード 117を非接触に収容する上 ビード収容部 162fと、切刃部 162bの下端から下方に向けて傾斜された下ビード収 容部傾斜壁面 162mをその一部とし前記下ビード 121を非接触に収容する下ビード 収容部 162hとを備えている。
[0019] また、インナーツール 161は、前記上ビード収容部 162f及び下ビード収容部 162h のそれぞれと対向する位置に形成され、周壁部 113を内面側から押圧する上ビード 成形凸部 161c及び下ビード成形凸部 161dを備えている(図 22参照)。
[0020] キャップ材 100は転動されながら、アウターツール 162とインナーツール 161とによ り挟持して押圧されることにより、上ビート 117、上記破断容易部 120、下ビート 121 等が成形される。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0021] し力 ながら、上記従来のキャップ材には、以下の課題が残されている。すなわち 、第 1の課題として、天板部内面とライナーとが接合されていないものの、これらの間 の摩擦抵抗により前記キャップと前記ライナーの相対移動ができず、前記キャップを 回転する際に前記ライナーを前記キャップとともに回転させる必要が生じ、開栓トルク を十分に低減できない場合があった。特に、市場においてキャップ付容器を 40〜70
°cくらいに加熱して販売する場合などには、容器内の内圧が高くなり、前記ライナー が前記天板部の内面に押し付けられるため、その摩擦抵抗はさらに増加し、開栓トル クが上昇して開栓が困難となる問題があった。この問題は、キャップ付容器に内容物 を入れてレトルト処理を行った際に容器内の内圧が上昇し、これが十分低下しない状 態で市場におかれた場合にも、同様に生じるものである。
[0022] また、ライナー支持部が側面視矩形状とされて、この矩形状のうち、前記上端部の みならず、前記前端部をも周壁部から切断されているので、前記上端部の切断面の うち、前記前端部との交差稜線部にキャップ軸線の上方に向けて延びるバリが生成さ れるなどして尖鋭な形状になることがあり、前記キャップ付容器を開栓する際に、前記 交差稜線部がライナーの下面側に食い込み、開栓トルクが大きく上昇するおそれが あった。
[0023] また、第 2の課題として、特許第 2720185号公報に記載されているキャップ材のよ うに、ブリッジ部の上端縁に沿って径方向内方に曲げ加工が施されている場合には、 この構成のキャップ材を容器口部に被着(キヤッビング)する際、このブリッジ部の上 端縁からブリッジ切れを生じることがあった。
キヤッビング時、ブリッジ部には、引張り応力あるいは圧縮応力が加わる力 前記ブ リッジ切れの原因としては、もともとブリッジ部のうち、スリット部の切込みに隣接する上 端縁の部分が強度的に最も低いにも拘わらず、更に曲げ力卩ェを施したため当該部 分の強度が更に低下したと考えられる。
[0024] また、特許第 2720185号公報に記載されているキャップ材にあっては、ブリッジ部 の上端縁に施される曲げ加工の程度について、何らの配慮もされておらず、更なる ブリッジ部の強度低下を招く場合があった。
[0025] さらに、特開平 7— 89562号公報に記載されている成形装置 160にあっては、前記 切刃き 162b, 162bとブリッジ収容咅 M頃斜壁面 162c, 162cと力角咅 B162g, 162g で交差される形状となっている(図 21参照)。
このような角部 162g, 162gによりブリッジ部 119の前記基端部 118gを成形すると
、キャップ材 100を容器口部に被着する際に、この基端部 118gからブリッジ切れを生 じるという問題があった。
[0026] また、特開平 7— 89562号公報に記載されている成形装置 160にあっては、前記 切刃部 162bと下ビード収容部傾斜壁面 162mも角部 162kで交差される形状となつ ている(図 22参照)。
このため、切刃部 162bを周壁部に押し込むことにより凹所 118cを成形した場合、 キャップ材 100を容器口部に被着する際に、やはりブリッジ切れを生じてしまレ、、また 、アウターツール 162の寿命も短くなつてしまう問題があった。
[0027] 本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、開栓トルクが小さく開栓性に優れ るとともに、容器口部を確実に密封することができるキャップ材、このキャップ材が被 着されたキャップ付容器及びキャップ材の製造方法を提供することを第 1の目的とす る。
[0028] また、容易破断部を形成したピルファープルーフ機能を有するキャップ材であって 、ブリッジ切れを生じることがないキャップ材、このキャップ材が被着されたキャップ付 容器及びキャップ材の成形装置を提供することを第 2の目的とする。
課題を解決するための手段
[0029] 本発明のキャップ材は、円板状の天板部と前記天板部の周縁から略垂下してなる 周壁部を有するキャップ本体と、前記キャップ本体の前記天板部の内面に沿って配 置されるシートタイプのライナーとを備えたキャップ材であって、前記ライナーは、エラ ストマーで構成されシール機能を有する密封層と、前記密封層よりも高い硬度を有し 、前記天板部の内面と摺動する摺動層とが積層されてなり、前記摺動層の厚みが、 前記ライナーの厚みの 55%から 95%である。
[0030] 上記の構成のキャップ材では、ライナーに、キャップ本体の天板部内面に対向し て摺動する摺動層が設けられているので、キャップ本体の天板部内面とライナーとの 固着が防止され、開栓トルクを低減することができる。また、ライナーにはシール機能 を有する密封層が設けられてレ、るので、容器口部の開口部をライナーによって密封 すること力 Sできる。
[0031] さらに、密封層より高い硬度を有する摺動層の厚みがライナー全体の厚みの 55% 力 95%とされ、ライナー全体としての変形抵抗が大きいので、キャップ本体天板部 内面と摺動層との接触面積を低減でき、開栓トルクを低減することができる。また、ガ
ラスビン内が陰圧となった場合でも、ライナー全体としての変形抵抗が大きいので、ラ イナ一が変形してガラスビンに固着することが防止され、開栓時にライナーが脱落す ることを防止できる。
[0032] また、前記摺動層の厚みが 95%以下であり、密封層の厚みを 5%以上とできるの で、密封層の厚みを確保でき、容器口部に沿って密封層が変形し、容器を密封する こと力 Sできる。一方、摺動層の厚みがライナー全体の厚みの 55%以上とされ、密封層 の厚みは、ライナー全体の 45%以下とされるので、密封された状態における密封層 の変形代が小さぐ容器を密封した後ではライナーが弾性変形しにくぐ密封状態を 保持すること力 Sできる。さらに、キャップ材を容器口部に被着したときでも、ライナーの 円周方向外側に密封層が膨張することが抑えられ、キャップ材円筒部内壁面と密封 層との接触面積が過剰になることを防止でき、開栓トルクを低減することができる。
[0033] 前記摺動層の厚みは、前記ライナーの厚みの 60%から 80%であってもよレ、。この 場合、密封層の厚みが 20%以上とされ、密封層の厚みを十分に確保できるので、し つかりとボトル容器を密封できる。また、ライナーの変形抵抗が極端に大きくなること が防止され、例えばライナーが絞られて変形することによりボトル口部を密封するキヤ ップにち適用することができる。
[0034] 前記摺動層の厚みは、前記ライナーの厚みの 60%力ら 70%であってもよい。この 場合、一層安定してボトル容器を密封することができるとともに、開栓性にも優れたキ ヤップ材を提供することができる。
[0035] また、前記摺動層と前記密封層との間の少なくとも一部に、バリアー性フィルム、例 えばアルミ、 PET (ポリエチレンテレフタレート)、 EVOH (エチレンビニルアルコール 共重合体)、 PVDC (ポリ塩ィ匕ビニリデン)、 PA (ポリアミド)等を配置した場合には、酸 素が外部からボトル容器内に混入するのが防止され、酸素による充填物の品質劣化 を防止できる。また、 TCA等がボトル容器内に侵入し、充填物に臭いが移り、フレー バー性が損なわれることを防止できる。
[0036] また、前記摺動層と前記密封層との間の少なくとも一部に、インキを塗布して形成さ れたインキ層を配置した場合には、前記摺動層と前記密封層との間にインキによって 文字や図形などが表示でき、例えば、飲料製品などの販売促進用に当たりクジなど
の情報を印刷して、密封層や摺動層を透明又は半透明とすることで、ライナーに上 記情報を表示することができる。さらに、これらの情報を表示するインキが摺動層と密 封層の間に設けられているので、インキがボトル容器内の充填物に接触することがな く衛生性に優れている。
[0037] また、前記摺動層を、ポリプロピレンまたはポリプロピレンの重合体で構成するととも に、前記密封層を、所定の比率の範囲でブレンドされたポリプロピレンとエラストマと のブレンド材またはポリプロピレンの重合体とエラストマとのブレンド材で構成した場 合には、摺動層および密封層が同じポリプロピレン系の材料で構成されているので、 ライナーを打ち抜き成形した際に発生する打ち抜き後のシート屑を摺動層の原料とし て再利用することができる。したがって、廃棄物の発生を低減でき、環境負荷を小さく すること力 Sできるとともに、その製造コストを低減することができる。
[0038] ここで、エラストマ一である密封層は容器内の充填物と接触するため、衛生性及び 弾性などの特性を厳しく管理する必要があるが、摺動層は充填物と接触しないので、 特性を厳密に管理する必要が無ぐ密封層を構成するポリプロピレンとエラストマ一 のブレンド材ゃポリプロピレンの重合体とエラストマ一のブレンド材が少量混入しても 問題はない。さらに、摺動層の厚みがライナー全体の 55%から 95%とされているの で、打ち抜き後のシート屑を原料として使用しても、密封層を構成する上記ブレンド 材の混入量が少なぐ摺動層の特性への影響が小さい。
[0039] また、前記摺動層に滑剤を添加した場合には、滑剤によってライナーとキャップ本 体の天板部内面との摩擦抵抗が低減され、開栓トルクを低減することができ、容易に 開栓すること力 Sできる。また、摺動層はキャップ材の天板部内面を向くように配置され るので、ボトル容器内の充填物と直接接触することがなぐ滑剤が充填物上に浮遊す るおそれがない。
[0040] そして、上記本発明のキャップ材であって、前記キャップ本体を、アルミまたは合成 樹脂またはブリキ若しくはティンフリースチールで構成した場合には、アルミボトル缶 や PETボトルやティンフリースチール製ボトル缶やガラスビンなどのボトル容器のキヤ ップとして本発明のキャップ材を使用することができる。
[0041] 上述した本発明のキャップ材であって、前記キャップ材を、前記キャップ本体の前
記天板部近傍に設けられたライナー支持部によって、前記ライナーを回転自在に支 持する構成とした場合には、キャップを回転させる際に、ライナーをキャップとともに 回転する必要が無ぐ開栓トルクを大幅に低減できる。
[0042] 本発明のキャップ付容器は、上述した本発明のキャップ材を容器口部に被着させ たものである。このキャップ付容器は、キャップ材の天板部内面とライナーとの摩擦係 数が小さいので、開栓トルクが低減され、開栓操作を容易に行うことができる。さらに 、ライナー本体がシール性に優れた樹脂で構成されているので、容器口部をライナ 一とを密着させて容器を確実に密封することができる。
[0043] 本発明のキャップ材は、天板部、および前記天板部の周縁部から略垂下してなる 周壁部を備えるキャップ本体と、前記キャップ本体の内側に前記天板部の内面を覆う ように配設されたライナーとを備え、前記周壁部の、前記天板部側の上部に、径方向 内方に凹み、前記ライナーをその下面側から支持するライナー支持部が周方向に間 隔をあけて複数形成され、容器口部に被着されてキャップを形成するキャップ材であ る。前記ライナー支持部は、前記キャップを開栓するときに当該キャップをその軸線 回りに回転させる開栓方向に対する後端に位置する後端部と、前記天板部側の上端 に位置する上端部とを備え、前記後端部は軸線方向に延在するとともに、前記上端 部は前記後端部における天板部側の上端から前記開栓方向の前側に向けて延在し 、これらの後端部および上端部は、前記周壁部から切断され、前記後端部における 前記周壁部の下端と、前記上端部における前記開栓方向の前端とを結ぶ仮想直線 部が、径方向内方へ向けて折り曲げられた構成とされ、前記ライナーは前記上端部 の切断面上に配置されてレ、る。
[0044] この構成のキャップ材では、前記ライナー支持部の前記開栓方向における前端部 が周壁部と連続しているので、このキャップ材が、容器口部に被着されてなるキャップ 付容器を開栓する際に、前記ライナー支持部がライナーの下面に食い込むことを抑 制することが可能となり、開栓トルクが上昇することを抑えることができる。
[0045] なお、このライナー支持部は、前記仮想直線部が径方向内方へ向けて折り曲げら れているので、ライナーが支持される前記上端部の切断面を、前記開栓方向前端か ら後端に向かうに従い漸次、天板部から離間し、周壁部の開放端側へ近づくように傾
斜させることが可能になる。これにより、個々のライナー支持部の前記上端部の切断 面において、前記開栓方向の後端とライナーの下面側とが接触することを抑制するこ とが可能になる。したがって、ライナーの下面側とライナー支持部の前記切断面との 接触面積を最小限に抑えることが可能になり、キャップ付容器の開栓トルクが上昇す ることを確実に抑制することができる。
[0046] 本発明のキャップ材の製造方法は、前記後端部と前記上端部と前記仮想直線部と の各形成予定部に囲まれた領域を径方向内方へ向けて押圧しながら、前記上端部 および前記後端部の各形成予定部を前記周壁部に対してせん断変形させて切断す ることにより前記ライナー支持部を形成する。
[0047] この構成のキャップ材の製造方法では、前記領域を径方向内方へ向けて押圧しな がら、当該領域を画成する前記上端部および前記後端部の各形成予定部を径方向 内方へせん断変形させるので、前記上端部および後端部を容易かつ確実に周壁部 に対して切断することが可能になる。これにより、前記ライナー支持部を径方向内方 へ凹ませる押圧加工と、前記上端部と前記後端部とを周壁部に対して切断するせん 断加工と同一の工程で同時に実施することが可能になり、前記ライナー支持部を有 するキャップ材を高効率かつ高精度に形成することができる。
[0048] 本発明のキャップ材は、円板状の天板部と、この天板部の周縁部から垂下された円 筒状の周壁部とを備えるキャップ本体に、前記周壁部の周方向に間隔をおいて形成 される複数のスリット部と、これらスリット部の間に位置される複数のブリッジ部とから構 成される破断容易部が形成されたキャップ材である。前記スリット部には、前記周壁 部の厚さ方向に向けて凹設された凹所が形成されており、この凹所は、前記周壁部 の周方向に延在する一対の周方向端縁と、前記周壁部の軸方向に延在する一対の 軸方向端縁とにより囲繞されており、前記凹所の底壁面と前記軸方向端縁とは、前 記凹所の開口側から前記底壁面に向けて傾斜する軸方向側壁面により連設されて おり、前記底壁面と前記軸方向側壁面とが会合される基端部の曲率半径 R1が、 0. lmm〜0. 5mmである。
[0049] この構成のキャップ材では、基端部に曲率半径 R1を設けることにより、鋭いエッジ が無くなり、この基端部の成形後の板厚が局所的に薄くなる、いわゆるシンニングの
発生が抑制され得る。
このように、破断容易部形成時に、前記基端部におけるシンユングの発生を抑制す ることにより、ブリッジ部の強度を十分に確保することができ、キャップ材を容器口部 に被着する際のブリッジ切れを有効に防止することができる。
[0050] 本発明のキャップ材は、円板状の天板部と、この天板部の周縁部から垂下された円 筒状の周壁部とを備えるキャップ本体に、前記周壁部の周方向に間隔をおいて形成 される複数のスリット部と、これらスリット部の間に位置される複数のブリッジ部とから構 成される破断容易部が形成されたキャップ材である。前記スリット部には、前記周壁 部の厚さ方向に向けて凹設された凹所が形成されており、この凹所は、前記周壁部 の周方向に延在する一対の周方向端縁と、前記周壁部の軸方向に延在する一対の 軸方向端縁とにより囲繞されており、また、前記スリット部には、一の前記周方向端縁 に沿って前記周壁部厚さ方向に貫通する切込みが形成されており、前記凹所の底 壁面と前記軸方向端縁とは、前記凹所の開口側から前記底壁面に向けて傾斜する 軸方向側壁面により連設されており、前記底壁面と前記軸方向側壁面とが会合され る基端部と、他の前記周方向端縁に連なる周壁部とを、 0. lmm〜0. 8mmの曲率 半径 R2を有する凹曲面をもって接続した。
[0051] この構成のキャップ材では、曲率半径 R2を設けることにより、前記軸方向側壁面に おける押込み量が小さくなり、成形する際の成形歪みが低減されるので、ブリッジ部 に加わる歪みが低減され、ブリッジ切れの発生が防止され得る。
このように、破断容易部形成時の押込み量を小さくして成形歪みを低減することに より、ブリッジ部に加わるねじれを低減することができ、キャップ材を容器口部に被着 する際のブリッジ切れを有効に防止することできる。
[0052] 前記底壁面と前記軸方向側壁面とが会合される基端部の曲率半径 R1は、 0. lm m〜0. 5mmであってもよレヽ。
この場合、基端部に曲率半径 R1を設けることにより、鋭いエッジが無くなり、この基 端部の成形後の板厚が局所的に薄くなる、いわゆるシンニングの発生が抑制され得 ると共に、曲率半径 R2を設けることにより、前記軸方向側壁面における押込み量が 小さくなり成形する際の成形歪みが低減されるので、ブリッジ部に加わる歪みが低減
され、ブリッジ切れの発生が防止され得る。
[0053] 本発明のキャップ材の成形装置は、円板状の天板部と、この天板部の周縁部から 垂下された円筒状の周壁部とを備えるキャップ本体に、前記周壁部の周方向に間隔 をおいて形成される複数のスリット部と、これらスリット部の間に位置される複数のプリ ッジ部とから構成される破断容易部を形成するためのキャップ材の成形装置である。 前記成形装置のアウターツールの前記周壁部と対向される側には、前記スリット部を 形成するために周方向に間隔をおいて延在され、略矩形状を為す複数の切刃部と、 これら切刃部の間に配置され、前記ブリッジ部を収容するための切欠部とが形成され ており、この切欠部は、前記切刃部の軸方向に延在する軸方向稜線から前記周壁部 の外方に向力 につれて互いに接近するように傾斜される一対の傾斜壁面を備えて おり、前記切刃部と前記傾斜壁面との会合部の曲率半径 R1は、 0. lmm〜0. 5mm である。
[0054] この構成のキャップ材の成形装置によれば、切刃部と切欠部との会合部の曲率半 径 R1にならつて、基端部が押圧成形されるので、鋭いエッジが無くなり、この基端部 の成形後の板厚が局所的に薄くなる、いわゆるシンユングの発生が抑制され得る。
[0055] 本発明のキャップ材の成形装置は、円板状の天板部と、この天板部の周縁部から 垂下された円筒状の周壁部とを備えるキャップ本体に、前記周壁部の周方向に間隔 をおいて形成される複数のスリット部と、これらスリット部の間に位置される複数のプリ ッジ部とから構成される破断容易部を形成するためのキャップ材の成形装置である。 前記成形装置のアウターツールの前記周壁部と対向される側には、前記スリット部を 形成するために周方向に間隔をおいて延在され、略矩形状を為す複数の切刃部と、 これら切刃部の間に配置され、前記ブリッジ部を収容するための切欠部とが形成され ており、前記切刃部の周方向に延在する一の周方向稜線の側で、前記スリット部に 前記周壁部厚さ方向に貫通する切込みが形成され、前記切刃部の周方向に延在す る他の周方向稜線の少なくとも両端近傍の曲率半径 R2が、 0. lmm〜0. 8mmであ る。
[0056] この構成のキャップ材の成形装置によると、他の周方向稜線の曲率半径 R2になら つて、前記軸方向側壁面が押圧成形されるので、この軸方向側壁面における押込み
量が小さくなり成形する際の成形歪みが低減されるので、ブリッジ部に加わる歪みが 低減され、ブリッジ切れの発生が防止され得る。
また、軸方向側壁面における押込み量を小さくすることにより、アウターツールに加 わる応力が低減され、アウターツールの高寿命化が図られる。
[0057] 本発明のキャップ材の成形装置は、円板状の天板部と、この天板部の周縁部から 垂下された円筒状の周壁部とを備えるキャップ本体に、前記周壁部の周方向に間隔 をおいて形成される複数のスリット部と、これらスリット部の間に位置される複数のプリ ッジ部とから構成される破断容易部を形成するためのキャップ材の成形装置である。 前記成形装置のアウターツールの前記周壁部と対向される側には、前記スリット部を 形成するために周方向に間隔をおいて延在され、略矩形状を為す複数の切刃部と、 これら切刃部の間に配置され、前記ブリッジ部を収容するための切欠部とが形成され ており、この切欠部は、前記切刃部の軸方向に延在する軸方向稜線から前記周壁部 の外方に向力うにつれて互いに接近するように傾斜される一対の傾斜壁面を備えて おり、前記切刃部と前記傾斜壁面との会合部の曲率半径 R1が、 0. lmm〜0. 5mm であると共に、前記切刃部の周方向に延在する一の周方向稜線の側で、前記スリット 部に前記周壁部厚さ方向に貫通する切込みが形成され、前記切刃部の周方向に延 在する他の周方向稜線の少なくとも両端近傍の曲率半径 R2が、 0. lmm〜0. 8mm である。
[0058] この構成のキャップ材の成形装置によると、切刃部と切欠部との会合部の曲率半径 R1にならつて、基端部が押圧成形されるので、鋭いエッジが無くなり、この基端部の 成形後の板厚が局所的に薄くなる、いわゆるシンニングの発生が抑制され得ると共 に、他の周方向稜線の曲率半径 R2にならつて、前記軸方向側壁面が押圧成形され るので、この軸方向側壁面における押込み量が小さくなり成形する際の成形歪みが 低減されるので、ブリッジ部に加わる歪みが低減され、ブリッジ切れの発生が防止さ れ得る。
また、軸方向側壁面における押込み量を小さくすることにより、アウターツールに加 わる応力が低減され、アウターツールの高寿命化を図ることができる。
[0059] 本発明のキャップ材は、円板状の天板部と、この天板部の周縁部から垂下された円
筒状の周壁部とを備えるキャップ本体に、前記周壁部の径方向内方に凹むスリット部 がブリッジ部を介して周方向に複数形成された破断容易部を備えるキャップ材である 。前記スリット部には、前記周壁部の径方向内方に向けて凹設された凹所が形成さ れており、この凹所は、前記周壁部の周方向に延在する一対の周方向端縁と、前記 周壁部の軸方向に延在する一対の軸方向端縁とにより囲繞されていると共に、一の 周方向端縁に沿って前記周壁部の径方向内方に向けて貫通された切込みが形成さ れており、前記ブリッジ部の一部には、前記周壁部の周方向に延在する径方向内方 に向けて凹設された屈曲部が形成されており、前記一対の周方向端縁間の軸方向 の距離を H、及び、前記一の周方向端縁から前記屈曲部外表面の谷底までの軸方 向の距離を Aとしたときに、 A/Hの割合が、 28%〜85%である。
[0060] 本願発明者等が得た知見によると、ブリッジ部のうち、スリット部の切込みが形成さ れていない他の周方向端縁の近傍に屈曲部を形成することにより、ブリッジ部全体の 強度が向上されることが判明した。
本発明によると、 A/Hの割合を 28%〜85%としたので、キャップ材を容器口部に キヤッビングする際に、ブリッジ部に引張り応力が加わった場合であっても、まず屈曲 部が伸ばされることにより、ブリッジ部のうち最も強度の低いスリット部の切込みに隣接 する部分に応力が加わることが緩和される。
また、キヤッビングの際に、ブリッジ部に圧縮応力が加わった場合であっても、前記 屈曲部が更に屈曲されることにより、ブリッジ部のうち最も強度の低レ、スリット部の切込 みに隣接する部分に応力が加わることが緩和される。
[0061] 本発明のキャップ材は、円板状の天板部と、この天板部の周縁部から垂下された円 筒状の周壁部とを備えるキャップ本体に、前記周壁部の径方向内方に凹むスリット部 がブリッジ部を介して周方向に複数形成された破断容易部を備えるキャップ材である 。前記ブリッジ部の一部には、前記周壁部の周方向に延在する径方向内方に向けて 凹設された屈曲部が形成されており、前記ブリッジ部の、前記屈曲部以外の部分か ら前記屈曲部外表面の谷底までの径方向の押し込み量 Bが、 0. 05mm〜0. 3mm である。
[0062] 本願発明者等が得た別な知見によると、押し込み量が小さすぎるとブリッジ部全体
の強度向上に寄与しない一方、押し込み量を大きくしすぎると却ってブリッジ部全体 の強度が低下してしまうことが判明した。
本発明によると、押し込み量 Bを 0. 05mm〜0. 3mmとしたので、キヤッビングの際 に、ブリッジ部に引張り応力あるいは圧縮応力が加わった場合でも、この屈曲部によ り、ブリッジ部のうち最も強度の低レ、スリット部の切込みに隣接する部分に応力が加わ ること力 S緩和される。
[0063] 本発明のキャップ材は、円板状の天板部と、この天板部の周縁部から垂下された円 筒状の周壁部とを備えるキャップ本体に、前記周壁部の径方向内方に凹むスリット部 がブリッジ部を介して周方向に複数形成された破断容易部を備えるキャップ材である 。前記スリット部には、前記周壁部の径方向内方に向けて凹設された凹所が形成さ れており、この凹所は、前記周壁部の周方向に延在する一対の周方向端縁と、前記 周壁部の軸方向に延在する一対の軸方向端縁とにより囲繞されていると共に、一の 周方向端縁に沿って前記周壁部の径方向内方に向けて貫通された切込みが形成さ れており、前記ブリッジ部の一部には、前記周壁部の周方向に延在する径方向内方 に向けて凹設された屈曲部が形成されており、前記一対の周方向端縁間の軸方向 の距離を H、及び、前記一の周方向端縁から前記屈曲部外表面の谷底までの軸方 向の距離を Aとしたときに、 A/Hの割合が、 28%〜85%であると共に、前記ブリッジ 部の、前記屈曲部以外の部分から前記屈曲部外表面の谷底までの径方向の押し込 み量 Bが、 0. 05mm〜0. 3mmである。
[0064] この構成のキャップ材では、 A/Hの割合が 28%〜85%であると共に押し込み量 Bが 0. 05mm〜0. 3mmであるので、キヤッビングの際に、ブリッジ部に引張り応力 あるいは圧縮応力が加わった場合でも、この屈曲部により、ブリッジ部のうち最も強度 の低レ、スリット部の切込みに隣接する部分に応力が加わることが一層有効に緩和さ れ得る。
[0065] 本発明のキャップ付容器は、上記のキャップ材が容器口部に被着されたものである この構成のキャップ付容器では、キヤッビングの際のブリッジ切れを有効に防止し、 安定した開栓特性を得ることができる。
発明の効果
[0066] 本発明のキャップ材、キャップ付容器、キャップ材の製造方法によれば、ライナーを ライナー支持部によって天板部と非接合状態で支持するとともに、ライナーと天板部 内面との摩擦抵抗が低減されているので、キャップ付容器を開栓する際の開栓トルク を小さくして開栓性に優れたキャップ材及びキャップ付容器を得ることができる。
[0067] また、本発明のキャップ材、キャップ付容器、キャップ材の成形装置によれば、容易 破断部を形成したピルファープノレーフ機能を有するキャップ材におレ、て、ブリッジ部 の強度を確保することにより、ブリッジ切れを生じることがないキャップ材及びキャップ 付容器を得ることができる。
図面の簡単な説明
[0068] [図 1]本発明の第 1の実施形態であるキャップ材の一部破断した正面図である。
[図 2]図 1に示すキャップ材に使用されるライナーの断面図である。
[図 3]図 1に示すキャップ材を被着したキャップ付ボトル缶の部分断面図である。
[図 4]本発明の第 2の実施形態であるキャップ材に使用されるライナーの断面図であ る。
[図 5]本発明の第 3の実施形態であるキャップ材に使用されるライナーの断面図であ る。
[図 6]図 5に示すライナーの下面図である。
[図 7]本発明の第 4の実施形態であるキャップ材の一部破断した正面図である。
[図 8]図 7に示すキャップ材のライナー支持部の拡大図である。
[図 9]図 7に示すキャップ材をボトル缶に被着した状態を示す断面拡大図である。
[図 10]キャップ材の製造装置の概略構成を示す平面図である。
[図 11]図 10に示すアウターツールの外周部における部分拡大図である。
[図 12]本発明の第 5の実施形態であるキャップ材の一部破断した正面図である。
[図 13]図 12における Q部拡大図である。
[図 14]図 13における C— C線視断面の様子を成形装置とともに示した図である。
[図 15]図 13における D— D線視断面の様子を成形装置とともに示した図である。
[図 16]本発明の第 6の実施形態であるキャップ材の一部破断した正面図である。
[図 17]図 16における P部拡大図である。
園 18]図 17における E— E線視断面図である。
園 19]従来のキャップ材の部分断面図である。
[図 20]図 19における P部拡大図である。
園 21]図 20における A—A線視断面の様子を成形装置とともに示した図である。 園 22]図 20における B— B線視断面の様子を成形装置とともに示した図である。 符号の説明
10 キャップ材
11 キャップ本体
12 天板部
13 周壁部
18、 78 スリット部
19、 79 ブリッジ部
20 破断容易部
23 ライナー支持部
30 ライナー
31 密封層
32 摺動層
33 アルミシート(バリアー性フィルム)
34 インキ層
40 キャップ付ボトル缶 (キャップ付容器)
60 成形装置
61 インナーツール
62 アウターツール
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の第 1の実施形態であるキャップ材について図を参照しながら説明す る。
図 1に本発明の第 1の実施形態であるキャップ材 10を、図 2にキャップ材 10に使用
されるライナー 30を示す。
キャップ材 10は、アルミ材によって構成されるキャップ本体 11とキャップ本体 11に 装着されるライナー 30とから構成されてレ、る。
キャップ本体 11は、円板状の天板部 12と、天板部 12の周縁から略垂下してなる周 壁部 13を有する。
[0071] この周壁部 13には、天板部 12側の上部に周方向に間隔をあけて複数の凹部が形 成された凹凸部 14と、前記凹凸部 14の下端 (周壁部 13の開放端側)に連設され、 当該凹凸部 14より小径とされたグループ 15と、前記グループ 15の下端に連設される と共に、当該グループ 15より大径の平滑面とされた雌ねじ形成予定部 16と、前記雌 ねじ形成予定部 16の下端に連設され、径方向外方へ膨出した上ビード 17と、前記 上ビード 17の下端に連設され、周方向に延びるスリット部 18がブリッジ部 19を介して 周方向に複数形成された破断容易部 20と、前記破断容易部 20の下端に連設される と共に、径方向外方へ膨出した下ビード 21と、前記下ビード 21の下端に連設され、 当該周壁部 13の開放端部を構成する平滑面とされたスカート部 22とが形成されてい る。
[0072] ライナー 30は、所定の比率の範囲内でブレンドされたポリプロピレンの重合体とェ ラストマのブレンド材からなる密封層 31と、ポリプロピレン(PP)のプラスチック層から なる摺動層 32の二層で構成されており、摺動層 32の厚さは、ライナー 30全体の厚さ の 65%とされている。ここで、密封層 31の硬度はショァ D ilS K 6253)で 30以下 (ショァ ACIIS K 6253)で 80以下)とされ、摺動層 32の硬度はショァ Dで 40以上と されている。
ここで、密封層 31には、脂肪酸アマイドが 0. 2重量%添加されており、密封層 31の 表面が滑りやすくされている。
ライナー 30は、プラスチック層からなる摺動層 32が天板部 12内面に対向するように 配置されている。ライナー 30は天板部 12内面に接合されず、凹凸部 14に形成され たライナー支持部 23によって支持されている。
[0073] 図 3に、上記のキャップ材 10が使用されるキャップ付容器の一例としてキャップ付 ボトル缶 40を示す。キャップ付ボトル缶 40は、アルミニウム合金などで形成された金
属製ボトル缶 41 (以下ボトル缶 41と称す)にキャップ 48が被着された構成となってい る。ボトル缶 41は、円筒状の缶胴 42から上方に向かって縮径する縮径部 43を有し、 縮径部 43の上方に口金部 44を備えている。 口金部 44には、雄ネジ部 45と膨出部 4 6とカール部 47とが形成されている。
[0074] キャップ材 10は、ボトル缶 41の口金部 44に被着されて使用される。すなわち、キ ヤップ材 10は、ボトル缶 41の口金部 44に被せられ、キヤッビング装置のネジ形成口 一ラーがキャップ材 10の周壁部 13に押し当てられた状態で口金部 44の周囲を回転 し、口金部 44の雄ネジ部 45に沿って転動することにより、キャップ材 10の周壁部 13 の雌ネジ予定部 16に口金部 44の雄ネジ部 45に対応した雌ネジを形成しつつ、 口 金部 44に被着され、キャップ 48として使用される。
つまり、キャップ材 10をボトル缶 41に被着させ、キャップ材 10の周壁部 13に雌ネ ジ部 49を形成させたものをキャップ 48というのである。
[0075] よって、このキャップ 48は、天板部 12と雌ネジ部 49と破断容易部 20とを有し、天 板部 12の内面には、シール材であるライナー 30がライナー支持部 23によって支持 されている。ボトノレ缶 41の雄ネジ部 45とキャップ 48の雌ネジ部 49とが螺合し、膨出 部 46の下方にスカート部 22がすそ卷きされた状態で、キャップ 48はボトル缶 41に被 着されており、ボトル缶 41の口金部 44とライナー 30の密封層 31とが密着することで 密封されている。
[0076] キャップ 48が被着されたボトノレ缶 41を開栓する際には、ボトノレ缶 41を一定位置 に保持した状態で、当該キャップ 48を回転させる。この回転により、ボトル缶 41の膨 出部 46と係合しているスカート部 22が破断容易部 20にて分離され、キャップ 48の天 板部 12側部分は、 口金部 44の雄ネジ部 45に沿って上方に移動する。これに伴い、 ライナー支持部 23によって支持されているライナー 30も上方に移動し、ライナー 30 と口金部 44と力 S離間され、開检される。
[0077] この開栓動作において、上記の構成のキャップ 48では、ライナー 30のうち、キヤッ プ本体 11の天板部 12内面と接する側が摺動層 32とされているので、天板部 12内面 とライナー 30との間の動摩擦係数が小さいとともに、摺動層 32の硬度が高ぐライナ 一 30全体の変形抵抗が大きいので、キャップ本体 11の天板部 12内面にライナー 30
が強く固着されず、キャップ 48とライナー 30の摺動による相対移動が容易となる。よ つて、キャップ 48を回転させたときにキャップ本体 11の天板部 12内面とライナー 30 の摺動層 32とが摺動することとなり、ライナー 30の密封層 31と口金部 44の開口部に おけるライナー 30との接触部分とを摺動させる必要が無ぐキャップ 48を回転させる こと力 Sでき、開栓トルクが軽減されて開栓操作を容易に行うことができる。
[0078] さらに、摺動層 32の厚みがライナー 30全体の厚みの 65%とされているので、エラ ストマーで構成されている密封層 31の割合が小さぐライナー 30全体としての変形抵 抗が大きくなり、 口金部 44とライナー 30との接触面積を小さくでき、開栓トルクを低減 すること力 Sできる。
また、ボトル缶 41内が陰圧となった場合でも、ライナー 30が変形して口金部 44内 部に入り込むことを防止され、開栓時に充填物が外部に飛び散ることを防止できる。
[0079] また、ライナー 30の密封層 31と摺動層 32とが同じポリプロピレン系の材料で構成さ れているので、ライナー 30を打ち抜き成形した際に発生する打ち抜き後のシート屑を 摺動層 32の原料として再利用することができる。したがって、廃棄物の発生を低減で き、環境負荷を小さくすることができるとともに、ライナー 30の製造コストを低減するこ とができる。
[0080] さらに、密封層 31には、脂肪酸アマイドが 0. 2重量%添加されており、密封層 31と 口金部 44との固着が防止され、キャップ 48の開栓時においてライナー 30が口金部 4 4より離間される際に大きな力が不要となり、キャップ 48の開栓性を向上させることが できる。
[0081] 次に、本発明の第 2の実施形態について説明する。図 4に第 2の実施形態のキヤ ップ材 10に装着されるライナー 30を示す。
この第 2の実施形態のキャップ材 10に装着されるライナー 30は、摺動層 32と密封 層 31との間に、バリアー性フィルムであるアルミシート 33が揷入されている。また、摺 動層 32には滑剤として例えば、不飽和脂肪酸アマイドや飽和脂肪酸ビスアマイド等 の脂肪酸誘導体が添加されてレヽる。
[0082] 上記のキャップ材 10で構成されたキャップ 48を開栓する際には、摺動層 32に滑 剤が添加されているので、ライナー 30と天板部 12との間の摩擦抵抗が軽減され、キ
ヤップ 48とライナー 30との相対移動がさらに容易となる。したがって、前記キャップ 48 を回転させる際に、前記キャップ 48とともにライナー 30を回転させることなぐキャップ 48を回転させることが可能となり、開栓トルクが軽減されてボトル缶 41の開栓が容易 にできる。
[0083] また、摺動層 32と密封層 31との間に、酸素や臭気物の透過を抑制するアルミシ ート 33が配置されているので、酸素や TCAの透過が防止され、酸素混入による充填 物の品質劣化や臭い移りによるフレーバー性の劣化を防止することができる。
[0084] 本発明の第 3の実施形態について説明する。図 5、図 6に第 3の実施形態のキヤッ プ材 10に装着されるライナー 30を示す。
この第 3の実施形態のキャップ材 10に装着されるライナー 30は、摺動層 32と密封 層 31との間にインキ層 34が揷入され、このインキ層 34によってライナー 30には販売 促進用の表示がなされている。また、密封層 31又は摺動層 32が透明又は半透明と されている。
[0085] 上記のキャップ材 10では、販売促進用の情報表示が摺動層 32と密封層 31の間 に存在するインキ層 34によって表示されるので、インキ層 34と充填物との接触を防 止でき、充填物にインキが混入することを確実に防止できる。
また、ライナー 30表面にインキ層 34が露出していないので、例えば子供力 Sライナー 30を取り外して舐めたりしても、インキと接触せず、衛生性に特に優れている。
[0086] 次に、本発明の第 4の実施形態について図 7、図 8を用いて説明する。このキャップ 材 10においては、周壁部 13の天板部 12側の上部に周方向に間隔をあけて複数の 凹部が形成された凹凸部 14に特徴を有している。凹凸部 14の前記凹部は、周壁部 13を径方向外方から見た側面視が周方向に延在する一対の一方の辺と、キャップ 軸線方向に延在する一対の他方の辺とにより画成される矩形状とされたナール 24と 、ライナー 30をその下面側から支持するライナー支持部 23とを備えている。これらの ナール 24およびライナー支持部 23は、周壁部 13の周方向に交互に形成されており 、凹凸部 14の凸部を介して隣に位置する凹部は構成が異なるようになつている。 ナール 24には、前記周方向に延在する一対の一方の辺のうち、天板部 12側に位 置する方に周壁部 13の厚さ方向に貫通するスリット 24aが形成されてレ、る。
[0087] ライナー支持部 23は、キャップ開栓方向 Fに対する後端に位置する後端部 23bと、 天板部 12側の上端に位置する上端部 23aとを備えている。後端部 23bはキャップ軸 線方向に延在するとともに、上端部 23aは後端部 23bにおける天板部 12側の上端か ら前記開栓方向 Fの前側に向けて延在している。そして、これらの後端部 23bおよび 上端部 23aは、周壁部 13から切断されて、後端部 23bにおける周壁部 13の開放端 側 (スカート部 22側)の下端と、上端部 23aにおける前記開栓方向 Fの前端とを結ぶ 仮想直線部 23cが、径方向内方へ向けて折り曲げられた構成とされてレ、る。
[0088] そして、前記上端部 23aの切断面 23d上にライナー 30がその下面側から支持され ることによって、天板部 12の内面とライナー 30の上面とが非接触とされた状態で、キ ヤップ本体 11にライナー 30が配置された構成とされている。なお、前記切断面 23d は、前記開栓方向 Fにおける後端側から前端側に向かうに従い径方向外方へ延在し た構成とされている。
[0089] また、仮想直線部 23cの周壁部 13における径方向位置はその全長に亙って、凹凸 部 14の前記凸部と略同一とされており、ライナー支持部 23は、この仮想直線部 23c 力 前記後端部 23bに向力 に従い漸次径方向内方へ向けた変位量が大きくされる とともに、この仮想直線部 23cから前記上端部 23aに向力うに従い漸次径方向内方 へ向けた変位量が大きくされている。これにより、ライナー支持部 23の中で、前記上 端部 23aと前記後端部 23bとのなす交差稜線部が最も径方向内方へ位置された構 成とされている。なお、仮想直線部 23cは径方向外方へ向けた凸曲面状とされてい る。
[0090] さらに、ライナー支持部 23は、前記仮想直線部 23cを折り曲げて形成することにより 、図 8に示すように、周壁部 13を径方向外方から見た側面視において、前記上端部 23aの切断面 23dが、前記開栓方向 Fにおける前端から後端に向力 に従い漸次天 板部 12から離間するような傾斜面、言い換えると周方向に延びる天板部 12の表面と 略平行な直線に対してキャップ軸線方向における下方に向けて角度 Θだけ傾斜した 傾斜面とされている。なお、角度 Θは例えば、 0° 以上 30° 以下とされる。
[0091] ライナー 30は、天板部 12の内面における直径より小さぐかつライナー支持部 23 の前記切断面 23dのうち、径方向内方端(上端部 23aの前記開栓方向 Fにおける後
端と、後端部 23bのキャップ軸線方向における上端とがなす交差稜線部)における内 径より大きい直径とされている。また、ライナー 30の厚さは、前記上端部 23aの切断 面 23dのうち、前記開栓方向 Fにおける前端と、天板部 12の内面との距離より小さく されている。
[0092] 以上のように構成されたキャップ材 10をボトル缶 41に被着してキャップ付ボトル缶 に形成する方法について、図 9に従い説明する。
まず、ライナー 30の下面を、ボトル缶 41の口金部 44の開口端部に当接させてキヤ ップ材を口金部 44に配置した後に、天板部 12の外周縁部を缶軸方向下方に向けて 押圧し、当該外周縁部に、径方向外方へ向かうに従い漸次缶軸方向下方に向けて 延在する段部 12aを形成する。これにより、ライナー 30の外周縁部も前記段部 12aの 内面形状に沿うように、その周端面 30aが缶軸方向下方に向くように変形されること によって、ライナー 30の下面を前記開口端部の上端面および外周面に密接させる。
[0093] さらに段部 12a形成時の前記押圧を維持した状態で、前記雌ねじ形成予定部 16を 、前記口金部 44に形成された雄ねじ部に沿って径方向内方へ向けて押圧すること により、雌ねじ部を形成する。さらに、フレアを径方向内方へ向けて押圧して、 口金部 44に形成された膨出部に巻き込ませることにより、キャップ材 10がボトル缶 41の口金 部 44に被着されてキャップ 48とされ、キャップ付ボトル缶が得られる。
[0094] このようにして得られたキャップ付ボトル缶は、図 9に示すように、本実施形態では、 缶軸方向下方に向くライナー 30の周端面 30aと、ライナー支持部 23における前記上 端部 23aの切断面 23dとの間に隙間が形成されることになる。すなわち、ライナー支 持部 23とライナー 30とが非接触になる。
[0095] 以上のように構成されたキャップ付ボトル缶は、キャップ 48を、前記雌ねじ部がボト ル缶 31の雄ねじ部に対して緩まる方向に缶軸回りに回転させると、キャップ 48は缶 軸方向上方へ向けて移動して、キャップ付ボトル缶が開栓される。
[0096] ここで、内容物によっては、キャップ付ボトル缶にレトルト殺菌処理若しくはホットパ ック処理が施され、この際の熱および内圧の上昇によって、ライナー 30と口金部 44 の開口端部とが密着する場合がある。この場合にキャップ付ボトル缶を開栓すると、 その過程において、ライナー支持部 23の前記切断面 23dがライナー 30の周端面 30
aに接近して、前記切断面 23dが前記周端面 30aに当接した後に、さらにキャップ本 体 11の前記回転を継続することによって、ライナー支持部 23の前記切断面 23dがラ イナ一 30の周端面 30aに摺接しつつ、ライナー 30を缶軸方向上方へ押し上げ、これ によりライナー 30と口金部 44との密着状態が解除される。その後、前記切断面 23d 力 Sライナー 30をその下面側から支持した状態で、キャップ本体 nがライナー 30ごと 缶軸方向上方へ移動されてボトル缶 41が開栓される。
[0097] 次に、以上のキャップ本体 11を製造するための装置の概略構成について説明する この装置 50は、図 10に示すように、キャップ素体 Wの内側に配置されるインナーッ 一ノレ 51と、キャップ素体 Wの外側に配置されるアウターツール 52とを備える概略構 成とされている。ここで、キャップ素体 Wは、円板状体に絞り加工を施して得られる力 ップ状体とされ、図 7に示すキャップ本体 11において、周壁部 13が平滑面とされて、 凹凸部 14ゃグノレーブ 15等が形成されていないものをいう。すなわち、本装置 50は、 前記カップ状体に凹凸部 14等を形成するための装置である。
[0098] インナーツール 51は、円柱状に形成されてその外周部 51aに、キャップ素体 Wの 内周面を支持または径方向外方へ向けて押圧する内側加工部が形成されている。 また、アウターツール 52は、その平面視が円環状体の一部をなすような形状とされ てその外周部 52cに、キャップ素体 Wの外周面を径方向内方へ向けて押圧する外側 加工部が形成されている。
[0099] 以上の構成において、キャップ素体 Wの内側に配置されたインナーツール 51が、 その軸線〇1回りに回転しながら、アウターツール 52の外周部 52cの円弧中心 02を 回転中心として、当該外周部 52cに沿うように回動することにより、キャップ素体 Wが その軸線回りに回転されながら、アウターツール 52の前記円弧中心〇2を回転中心 として、当該外周部 52cに沿うように回動するようになっている。この過程において、 キャップ素体 Wの周壁部力 前記両ツール 51、 52の各外周部 51a、 52cに挟持され ることにより、当該周壁部にその全周に亙って成形力卩ェが施されて、キャップ本体 11 が形成される。
[0100] ここで、アウターツーノレ 52の外周部 52cにおける、インナーツール 51が前記回動
する回動方向 Rの後側 52aにより、図 7に示すキャップ本体 11の周壁部 13におレ、て 、容易破断部 20のスリット部 18、およびナール 24のスリット 24aを除いた略全ての構 成要素を形成し、前記外周部 52cにおける前記回動方向 Rの前側 52bにより、容易 破断部 20のスリット部 18およびナール 24のスリット 24aを形成するようになっている。
[0101] アウターツール 52の前記後側 52aにおける外周部 52cには、図 7に示すキャップ本 体 11の周壁部 13におレ、て、ライナー支持部 23を形成するためのライナー支持部形 成部 52dが備えられている。ライナー支持部形成部 52dは、図 11に示すように、ァゥ ターツール 52の外周面から径方向外方に凸とされた凸形状とされて、前記回動方向 Rの前端部 52eは、その前端から後方に向けて漸次その径方向における突出高さが 大きくされた傾斜形状とされ、前記方向 Rの後端部 52fは、アウターツール 52の外周 面から前記外周面に対して直交する方向に突出した構成とされている。また、ライナ 一支持部形成部 52dの前記前端部 52eは、ライナー支持部 23の前記上端部 23aを 形成する上端から、ライナー支持部 23のキャップ軸線方向下端を形成する下端に向 力うに従い漸次、その径方向における突出高さが小さくされている。
[0102] なお、アウターツール 52の前記後側 52aにおける外周部 52cには、その周方向に おいて、ライナー支持部形成部 52dの隣にナール 24の前記凹部を形成するための ナール凹部形成部 52gが備えられている。すなわち、アウターツール 52の前記外周 部 52cに、その周方向において、ライナー支持部形成部 52dとナール凹部形成部 52 gとが交互に形成されている。
[0103] 次に、以上のように構成された装置 50により、キャップ素体 Wをキャップ本体 11に 成形する方法について説明する。
キャップ素体 Wの内側にインナーツール 51を配置するとともに、キャップ素体 Wの 外側にアウターツール 52を配置した後に、インナーツール 51をその軸線〇1回りに 回転させながら前記回動方向 Rに向けて回動させることにより、キャップ素体 Wもイン ナーツール 51と同様に移動させる。そして、キャップ素体 Wの周壁部力 アウターッ ール 52の前記後側 52aにおける外周部 52cに対向したときに、図 7に示すキャップ 本体 11の周壁部 13において、容易破断部 20のスリット部 18、およびナール 24のス リット 24aを除くグノレーブ 15等といった略全ての構成要素の成形を開始する。
[0104] この際に、キャップ素体 Wの周壁部が前記ライナー支持部形成部 52dに対向する と、まず、ライナー支持部 23の形成予定部のうち、前記後端部 23bおよび上端部 23 aの各形成予定部の外周面が、ライナー支持部形成部 52dの前記後端部 52fにより 、径方向内方へ向けてせん断変形される。さらに、キャップ素体 Wが前記回動される と、キャップ素体 Wの周壁部において、前記後端部 23bと上端部 23aと前記仮想直 線部 23cとの各形成予定部に囲まれた領域力 ライナー支持部形成部 52dの前記 前端部 52eにより、径方向内方へ向けて押圧されて変形される。
[0105] そしてさらに、キャップ素体 Wの前記回動が継続されると、ライナー支持部 23の形 成予定部は、前記後端部 23bおよび上端部 23aの各形成予定部における前記せん 断変形量と、前記領域の前記径方向内方へ向けた変形量とが徐々に増加されること によって、前記後端部 23bおよび上端部 23aの各形成予定部が、キャップ素体 Wの 前記周壁部に対して破断されて、前記後端部 23bおよび上端部 23aが形成され、ラ イナ一支持部 23が形成される。
[0106] そして、キャップ素体 Wの前記回動が継続されて、このキャップ素体 Wがアウターッ ール 52の前記前側 52bに到達したときに、当該前側 52bの外周部 52cと、インナー ツール 51の外周部 51aとにより、前記周壁部を挟持することによって、容易破断部 2 0のスリット部 18、およびナール 24のスリット 24a等が形成されて、キャップ本体 11が 形成される。このキャップ本体 11にライナー 30が装着されてキャップ材 10が形成さ れる。
[0107] 以上説明したように本実施形態に係るキャップ材 10によれば、ライナー支持部 23 の前記開栓方向 Fにおける前端部が周壁部 13と連続しているので、このキャップ材 1 0がボトル缶 41の口金部 44に被着されてなるキャップ付ボトル缶 40を開栓する際に 、ライナー支持部 23がライナー 30の下面側に食い込むことを抑制することが可能に なり、開栓トルクが上昇することを抑えることができる。
[0108] また、本実施形態では、ライナー支持部 23は、前記仮想直線部 23cが径方向内方 へ向けて折り曲げられた構成とされているので、ライナー 30が支持される前記上端 部 23aの切断面 23dを、図 8に示すように、前記開栓方向 Fの前端から後端に向かう に従い漸次、天板部 12から離間し、周壁部 13のスカート部 22側へ近づくように傾斜
させることが可能になる。これにより、個々のライナー支持部 23の前記上端部 23aの 切断面 23dにおいて、前記開栓方向 Fの後端 23b側とライナー 30の下面側とが接触 することを抑制することが可能になる。すなわち、ライナー 30の下面側とライナー支持 部 23の前記切断面 23dとの接触面積を最小限に抑えることが可能になり、キャップ 付ボトル缶 40の開栓トルクが上昇することを確実に抑制することができる。
[0109] 特に、前記上端部 23aの切断面 23dを、前記のように傾斜させることによって、前記 切断面 23dにおいて、バリが最も生成され易い前記後端部 23bとの交差稜線部を、 ライナー 30の下面側から最も離間させることが可能になるので、ライナー支持部 23 力 Sライナー 30の下面側に食い込むことを確実に抑制することが可能になる。
[0110] さらに、ライナー支持部 23を形成するに際し、キャップ素体 Wの周壁部において、 前記後端部 23bと前記上端部 23aと前記仮想直線部 23cとの各形成予定部により画 成された領域を径方向内方へ向けて押圧しながら、前記後端部 23b、および上端部 23aの各形成予定部を径方向内方へ向けてせん断変形させるので、前記上端部 23 aおよび後端部 23bを容易かつ確実に当該周壁部に対して切断することが可能にな る。これにより、ライナー支持部 23を径方向内方へ凹ませる押圧加工と、前記上端部 23aと前記後端部 23bとを前記周壁部に対して切断するせん断加工とを同一の工程 で同時に実施することを可能になり、ライナー支持部 23を有するキャップ材 10を高 効率かつ高精度に形成することが可能になる。
[0111] さらにまた、ライナー支持部形成部 52dの前記前端部 52eが、アウターツール 52の 外周面力 径方向外方に凸とされた凸形状とされて、前記回動方向 Rの前端力 後 方に向けて漸次その径方向における突出高さが大きくされた傾斜形状とされている ので、前記のようにライナー支持部 22を形成する際に、キャップ素体 Wが、ライナー 支持部形成部 52dに引っ掛力、ることを防ぐことができる。したがって、開栓トルクの低 減が図られたキャップ材 10を確実に形成することができる。
[0112] 次に、本発明の第 5の実施形態であるキャップ材について図 12から図 15を用いて 説明する。このキャップ材 10においては、周壁部 13下方側に形成された容易破断 部 20に特徴を有している。
この破断容易部 20は、周方向に延びるスリット部 18がブリッジ部 19を介して周方向
に複数形成されることにより構成されている。
[0113] 図 12における Q部の拡大図である図 13により、破断容易部 20の詳細について説 明すると、スリット部 18には、周壁部 13の厚さ方向に向けて凹設された側面視略矩 形状の凹所 18cが凹設されており、この凹所 18cは、周方向に延在する一対の長辺( 周方向端縁) 18a, 18aと、軸方向に延在する一対の短辺(軸方向端縁) 18b, 18bと により囲繞されている。
また、スリット部 18には、天板部 12側に位置する前記長辺 18a (—の周方向端縁 1 8a)に沿って、周壁部 13の厚さ方向に貫通する切込み 18dが形成されている。
凹所 18cの底壁面 18eとブリッジ部 19とは、底壁面 18eに向けて凹所 18cの開口側 力 傾斜する軸方向側壁面 18hにより連設されており、また、底壁面 18eと周壁部 13 の開放端側に位置する長辺 18aとは、底壁面 18eに向けて凹所 18cの開口側から傾 斜する周方向側壁面 18fにより連設されている。
[0114] ここで、本実施の形態においては、底壁面 18eと軸方向側壁面 18hとの会合部は、 曲率半径 R1を有する基端部 18gとされており、この曲率半径 R1は、 0. lmm〜0. 5 mmとされている。
また、本実施の形態においては、基端部 18gと、周壁部 13の開放端側に位置する 長辺 18a (他の周方向端縁 18a)に連なる周壁部 13とは、曲率半径 R2をもって接続 されており、この曲率半径 R2は、 0. lmm〜0. 8mmとされている。
[0115] 図 14及び図 15は、図 13における C C線視断面及び D— D線視断面の様子を、 それぞれ成形装置 60と共に示した図であり、この成形装置 60は、インナーツール 61 とアウターツール 62とを備えている。インナーツール 61は、インナービードリング 61p とインナースリットリング 61rとインナーロワ一ビードリング 61sとを少なくとも備えている 。また、アウターツール 62は、ビードプレート 62pとアウタースリットプレート 62rとスカ ートプレート 62sとを少なくとも備えている。
[0116] ブリッジ部 19を周方向に沿って切断された図 14に示されるように、アウターツール 6 2は、周方向に間隔をおいて延在され、略矩形状を為す複数の切刃部 62bを備えて おり、この切刃部 62bの周方向に延在する天板部側の稜線の側で、前記切込み 18d が形成される。
また、アウターツール 62は、切刃部 62bの間に配置され、成形時にブリッジ部 19を 非接触に収容するためのブリッジ収容部 62aを備えている。
このブリッジ収容部 62aは、切刃部 62bの軸方向に延在する稜線から周壁部 13の 外方に向力 につれて互いに接近するように傾斜されるブリッジ収容部傾斜壁面 62c , 62cと、このブリッジ収容部傾斜壁面 62c, 62cの終端を接続するブリッジ収容部底 壁面 62dとにより形成されている。
[0117] また、前記基端部 18g (D_D線)に沿って切断された図 15に示されるように、ァゥ ターツーノレ 62は、前記切刃部 62bの天板部 12側の稜線とほぼ直交するアウタースリ ットプレート 62rの上端面 62eをその一部とし前記上ビード 17を非接触に収容する上 ビード収容部 62fと、切刃部 62bの下端から下方に向けて傾斜された下ビード収容 部傾斜壁面 62mをその一部とし前記下ビード 21を非接触に収容する下ビード収容 部 62hとを備えている。
[0118] ここで本実施の形態においては、切刃部 62b, 62bとブリッジ収容部傾斜壁面 62c , 62cとの会合咅 B62g, 62gは、前記 R1と同じく 0· lmm〜0. 5mmの曲率半径とさ れている。
また、切刃部 62bと下ビード収容部傾斜壁面 62mとの前記会合部 62kの両端近傍 、すなわち切刃部 62bの周方向に延在する稜線のうち、周壁部 13の開放端側の稜 線の両端近傍は、前記 R2と同じく 0. lmm〜0. 8mmの曲率半径とされている。
[0119] 曲率半径 R1を 0. lmm〜0. 5mmとしたのは、 R1が 0. 1mmよりも小さいと、前記 基端部 18gにおける板厚 t2が、成形前の周壁部 13の板厚 tlよりも局所的に薄くなる 、いわゆるシンニングが依然として著しいため、ブリッジ部 19の強度が低下してしまう 一方、 R1が 0. 5mmよりも大きいと、ブリッジ部 19の強度が逆に高くなり過ぎて、ボト ル缶に被着されたキャップ材 10を開栓する際の開栓トルクも高くなり過ぎてしまうから である。
[0120] また、曲率半径 R2を 0. lmm〜0. 8mmとしたのは、 R2が 0. 1mmよりも小さいと、 前記軸方向側壁面 18hを形成する際の押込み量が大きくなるので、凹所 18cを形成 する際の成形歪みを十分に低減することができなくなる一方、 R2が 0. 8mmよりも大 きいと、アウターツール 62の切刃部 62bの強度が不足するため、凹所 18cの成形が
不安定となるからである。
[0121] 以上のように構成された成形装置 60の動作について説明する。
図 14及び図 15に示されるように、インナーツール 61により、図示しない駆動装置に より転動されるキャップ素体が、アウターツール 62の方向に押し付けられると、ァウタ 一ツール 62の切刃部 62bは、周壁部 13を剪断して貫通し、周壁部 13には凹所 18c が押圧形成されると共に切込み 18dが穿設される。
また、周壁部 13は、インナーツール 61の上ビード成形凸部 61c及び下ビード成形 凸部 61dにより押圧されることにより、上ビード 17及び下ビード 21が外方に膨出して 形成される。
[0122] このときアウターツール 62の切刃部 62b, 62bとブリッジ収容部傾斜壁面 62c, 62c との会合部 62gは、 0. lmm〜0. 5mmの曲率半径 R1をもって形成されているので 、スリット部 18の底壁面 18eと前記軸方向側壁面 18hとが会合される基端部 18gも、 この会合部 62gにより押圧され、曲率半径 R1となるように成形される。
従って、シンユングによる成形前後での板厚の減少を低減し、ブリッジ部 19の十分 な強度が確保される。
また、アウターツール 62の切刃部 62bと下ビード収容部傾斜壁面 62mとの会合部 62kの両端近傍は、 0. lmm〜0. 8mmの曲率半径 R2をもって形成されているので 、基端部 18gと、開放端側に位置する長辺 18a (他の周方向端縁 18a)に連なる周壁 部 13との間も、曲率半径 R2をもって接続されるように成形される。
[0123] 以上のようにして成形されたキャップ材 10は、図示しないボトル缶口金部に被せら れた後、ボトル缶口金部の形状に沿うように塑性変形させることによりボトル缶に被着 されてキャップとされており、開栓時にボトル缶口金部に対して回転されると、ボトル 缶口金部に形成されたねじ山のリードに従いキャップの上部が上方へ移動されなが ら回転する一方で、キャップの下部がボトル缶口金部の膨出部に係止されて回転す るのみで上方へ移動しないことにより、キャップの上下部が分離されて、ブリッジ部 19 力 S引き切られる構造とされる。
本実施形態によれば、アウターツール 62の、切刃部 62bとブリッジ収容部傾斜壁面 62cとの会合部 62gの曲率半径 R1を 0. lmm〜0. 5mmとしたので、この会合部 62
gにより押圧して成形されるスリット部 18の基端部 18gも、 0. lmm〜0. 5mmの曲率 半径 R1に成形される。
従って、角部により押圧される場合に比べて、この基端部 18gの成形後の板厚 t2が 局所的に成形前の板厚 tlよりも薄くなる、いわゆるシンニングの発生を低減すること ができるので、ブリッジ部 19の強度を十分に確保することができ、キャップ材 10をボト ル缶に被着する際のブリッジ切れを有効に防止することできる。
[0124] また、本実施形態によれば、アウターツール 62の、切刃部 62bと下ビード収容部傾 斜壁面 62mとの会合部 62kの両端近傍の曲率半径 R2を 0. lmm〜0. 8mmとした ので、この会合部 62kにより押圧されて、スリット部 18の基端部 18gと、開放端側に位 置する長辺 18aに連なる周壁部 13との間も、曲率半径 R2をもって接続されるように 成形され、アウターツール 62の押込み量を小さくすることができる。
従って、軸方向側壁面 18hを成形する際の成形歪みが低減され、ブリッジ部 19に 加わるねじれを低減することができるので、キャップ材 10をボトル缶に被着する際の ブリッジ切れを有効に防止することできると共に、アウターツール 62に加わる応力を 低減することにより、アウターツール 62の高寿命化を図ることができる。
[0125] 次に、本発明の第 6の実施形態であるキャップ材について図 16から図 18を用いて 説明する。このキャップ材 10においては、上述した第 5の実施形態と同様に、周壁部 13下方側に形成された容易破断部 20に特徴を有している。
この破断容易部 20は、周方向に延びるスリット部 78がブリッジ部 79を介して周方向 に複数形成されることにより構成されている。
[0126] 図 16における Q部の拡大図である図 17により、破断容易部 20の詳細について説 明すると、スリット部 78には、周壁部 13の厚さ方向に向けて凹設された側面視略矩 形状の凹所 78dが形成されており、この凹所 78dは、周方向に延在する天板部 12側 の長辺(一の周方向端縁) 78aと、周方向に延在するスカート部 22側の長辺(他の周 方向端縁) 78bと、軸方向に延在する一対の短辺(軸方向端縁) 78c, 78cとにより囲 繞されている。
また、スリット部 78には、前記長辺 78aに沿って、周壁部 13の径方向内方に向けて 貫通された切込み 78eが形成されてレ、る。
そして、これら複数のスリット部 78の間にブリッジ部 79が画成されている。
[0127] ブリッジ部 79の一部には、周壁部 13の周方向に延在して凹設された屈曲部 79aが 形成されており、長辺 78aから長辺 78bまでの軸方向の距離をブリッジ部 79の高さ H とし、長辺 78aから屈曲部 79aの外表面の谷底までの軸方向の距離を Aとすると、本 実施の形態においては、 AZHの割合は、 28%〜85%とされている。
なお、この屈曲部 79aは、上ビード 17及び下ビード 21を成形する際に予め屈曲さ せるか、あるいは、破断容易部 20を成形する際に屈曲させることにより形成される。
[0128] ブリッジ部 79の詳細を、図 17における E— E線視断面を示した図 18に基づいて説 明すると、ブリッジ部 79は、周壁部 13の径方向外方に膨出して形成されている前記 上ビード 17と下ビード 21との間に位置されており、前記屈曲部 79aが凹設されてい なレ、従来のブリッジ部形状力 図 17における点線で示されてレ、る。
ここで、ブリッジ部 79において、屈曲部 79aが形成されていない部分から、屈曲部 7 9aの外表面の谷底までの径方向の押し込み量を Bとすると、本実施の形態では、こ の押し込み量 Bは、 0. 05mm〜0. 3mmとされている。
[0129] A/Hの割合を 28%〜85%としたのは、 A/Hが 28%よりも小さいと、屈曲部 79a が切込み 78eに接近しすぎることとなり、却ってブリッジ部 79の強度が低下してしまう 一方、 A/Hが 85%よりも大きいと、屈曲部 79aのクッションとしての働きが小さくなり 、キヤッビング時にブリッジ部 79に加わる応力を十分に緩和することができなくなるか らである。
[0130] また、押し込み量 Bを 0. 05mm〜0. 3mmとしたのは、 Bが 0. 05mmよりも小さレヽと 、ブリッジ部 79の切込み 78eに隣接する部分に加わる応力を十分に緩和することが できなくなる一方、 Bが 0. 3mmよりも大きいと、却ってブリッジ部 79の強度が低下し てしまうからである。
[0131] このように構成されたキャップ材 10力 ボトル缶の口金部に被着されてキャップとさ れ、キャップ付ボトル缶が得られる。
このキャップ付ボトル缶を開栓する時には、キャップを口金部に対して回転させると 、口金部に形成された雄ねじ部に従いキャップの上部が上方へ移動されながら回転 する一方で、キャップの下部が膨出部に係止されて回転するのみで上方へ移動しな
レ、ことにより、キャップの上下部が分離されて、ブリッジ部 79が引き切られる。
[0132] 本実施の形態のキャップ材 10によれば、 A/Hの割合及び押し込み量 Bを最適な 値としたので、ブリッジ部 79のうち最も強度の低い切込み 78eに隣接する部分に応 力が加わることを緩和させることができるので、ブリッジ部 79全体の強度を十分に確 保してキヤッビングの際のブリッジ切れを有効に抑制することできる。
実施例 1
[0133] 以下に、本発明の効果を確認するために行った比較試験結果につレ、て説明する。
比較試験では、内外面を合成樹脂塗料で塗装された厚さ 0. 22mmのアルミ板を 2 8mmPPキャップのキャップ本体に成型し、摺動層及び密封層の厚さを変更したライ ナーを挿入してキャップとし、内容量 180mlの口径 28mmのガラスビンに 80°Cの熱 水を充填し、上記キャップで施栓した。これを室温(20°C)にて放置した後、密封性、 開栓トルク、ライナーの脱落状態を調べた。ライナ一径 27. 5mm、ライナー止め内径 26. 5mmとした。ライナーは摺動層をキャップ本体の天板部内面に向けてキャップ 本体にセットした。試験結果を表 1に示す。
ここで、摺動層は HDPEで構成し、密封層は EVAで構成した。
[0134] [表 1]
摺動層 密封層 S式験!! ¾果 厚さの ライナー 材質 硬度 厚さ 材質 硬度 厚さ 密封性 開栓トルク
比率 脱落数
56% HDPE 67(D) 0.5 エラストマ一 A 45(A) 0.4 o 80 0/10 本
67% HDPE 67(D) 0.6 エラストマ一 A 45(A) 0.3 o 77 0/10 発
78% HDPE 67(D) 0 エラストマ一 A 45(A) 0.2 〇 75 0/10 明
89% HDPE 67(D) 0.8 エラストマ- A 45(A) 0.1 o 70 0/ 10
44% HDPE 67(D) 0.4 エラストマ一 A 45(A) 0.5 〇 85 1 /10 比 33% HDPE 67(D) 0.3 エラストマ- A 45(A) 0.6 o 88 2/10 較 22% HDPE 67(D) 0.2 エラストマ一 A 45(A) 0.7 o 91 5/10 例 1 1 % HDPE 67(D) 0.1 エラストマ一 A 45(A) 0.8 〇 90 7/10
0% 無し 一 一 エラストマ一 A 45(A) 1.0 o 330 10/10 注 1 HDPE密度 0.958 Iラストマ— Aは EVA(VA40%)
注 2 ライナ一脱落数 =発現数 試料数
注 3 密封性 〇=モレ無し 厶 = 1 ~ 2本 (10本中)モレ発生 X =3本以上モレ (10本中) 注 4 硬度() =Dはショァ D硬度、 Aはショァ A硬度を示す
注 5 厚さ単位 = mm
注 6 開栓トルク単位 = N 'cm
[0135] 本発明例では、開栓トノレクは 80N' cm以下と低ぐライナーの脱落も認められなか つた。一方、比較例においては、開栓トルクは 85N ' cm以上であり、ライナーの脱落 が認められた。特に、摺動層が無いものでは、開栓トルクが 330N' cmと非常に高い とともにライナーの脱落も 10本すべてで認められた。
実施例 2
[0136] 次の比較試験では、内外面を合成樹脂塗料で塗装された厚さ 0. 22mmのアルミ 板を 28mmPPキャップのキャップ本体に成型し、摺動層及び密封層の厚さを変更し たライナーを揷入してキャップとし、内容量 180mlの口径 28mmのガラスビンにガス 水(内圧 3ボリューム)を充填し、上記キャップで施栓した。これを室温(20°C)にて放 置した後、密封性、開栓トルク、ライナーの脱落状態を調べた。ライナ一径 27. 5mm 、ライナー止め内径 26. 5mmとした。ライナーは摺動層をキャップ本体の天板部内 面に向けてキャップ本体に装着した。試験結果を表 2に示す。
ここで、摺動層は HDPEで構成し、密封層は HSBRで構成した。
[0137] [表 2]
注 1 HDPE 密度 0.958 エラストマ- = HSBR (スチレン'ブタジエン共重合体水添型) 注 2 ライナー脱落数 =発現数 試料数、
注 3 密封性 〇=モレ無し 厶= 1 ~2本 (10本中)モレ発生 X =3本以上モレ (10本中) 注 4 硬度() = Dはショァ D硬度、 Aはショァ A硬度を示す
注 5 厚さ単位 = mm
注 6 開栓トルク単位 =N - cm
[0138] 本発明例では、開栓トノレクは 77N' cm以下と低ぐライナーの脱落も認められなか つた。一方、比較例においては、開栓トルクは 80N' cm程度であり比較的低レ、が、ラ イナ一の脱落が認められた。特に、摺動層が 10%のものでは、ライナーの脱落が 10 本すべてで認められた。
実施例 3
[0139] 次の比較試験では、内外面を合成樹脂塗料で塗装された厚さ 0· 25mmのアルミ 板を 38mmPPキャップのキャップ本体に成型し、摺動層及び密封層の厚さを変更し たライナーを揷人してキャップとし、内容量 300ml (全量 340ml)のアルミボトル缶に 80°Cの熱水を充填し、一定量の液体窒素をヘッドスペースに滴下し、直ちに上記キ ヤップでキヤッビングした。こうして加圧状態とされたアルミボトル缶をレトルト処理(12 0°C、 30分)して、室温(20°C)放置し、密封性、開栓トルク、ライナーの脱落を調べた
。試験結果を表 3に示す。
ここで、摺動層をポリプロピレンで構成し、密封層のエラストマ一は、ポリプロピレンと SEPS (スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体)と流動パラフィンとを 混ぜ合わせたブレンド材で構成した。
[表 3]
注 1 PP=ブロックタイプ 1ラストマー C=PPと SEPSと流動パラフィンのブレンド品
注 2 ライナー脱落数 =発現数 試料数
注 3 密封性 0 =モレ無し A = 1 ~2本 (10本中)モレ発生 X =3本以上モレ (10本中) 注 4 硬度()=Dはショァ D硬度、 Aはショァ A硬度を示す
注 5 厚さ単位 = mm
注 6 開栓トルク単位 =N 'cm 本発明例では、比較例と比較して開栓トルクは低ぐライナーの脱落は認められな かった。一方、比較例においては、開栓トルクが比較的高ぐライナーの脱落が認め られた。ここで、本発明例で摺動層を 1. 3mm,密封層を 0. 3mmとしたものでは、ラ
イナ一自体の厚さが 1. 6mmと厚いため、シーリング状態が不完全であった。また、 摺動層を 0, 3mm、密封層を 0. 2mmとしたもの及び摺動層を 0. 2mm、密封層を 0 . 1mmとしたものでは、ライナー自体の厚さが薄いために、シーリングが不完全であ つた。
実施例 4
[0142] 次の比較試験では、内外面を合成樹脂塗料で焼付塗装した厚さ 0. 24mmのプリ キ板を 42mmのスクリューキャップに成型し、摺動層及び密封層の厚さを変更したラ イナ一を挿入した。これを 90°Cの熱水を充填したガラスビン(内容量 300ml)に施栓 した。このときの閉めトルクは 200N' cmで行った。これを室温(20°C)冷却後、密封 性、開栓トルク、ライナーの脱落を調べた。試験結果を表 4に示す。
ここで、摺動層をポリプロピレンで構成し、密封層のエラストマ一は、ポリプロピレンと SEPSと流動パラフィンとを混ぜ合わせたブレンド材で構成した。
[0143] [表 4]
摺動層 密封層 試験結果
厚さの ラ付- 材質 硬度 厚さ 材質 硬度 厚さ 密封性 開栓トルク
比率 脱落数
60% PP 76(D) 0.6 エラストマ一 D 55(A) 0.4 o 180 0/10
70% PP 76(D) 0.7 エラストマ一 D 55(A) 0.3 o 187 0/10 本 80% PP 76(D) 0.8 エラストマ一 D 55(A) 0.2 o 179 0/10 発 90% PP 76(D) 0.9 エラストマ一 D 55(A) 0.1 o 176 0/10 明 91% PP 76(D) 1.0 エラス卜マー D 55(A) 0.1 o 143 0/10
81% PP 76(D) 1.3 エラストマ一 D 55(A) 0.3 〇 138 0/10
95¾ PP 76(D) 1.0 エラストマ一 D 55(A) 0.05 o 125 0/10
50% PP 76(D) 0.5 エラストマ一 D 55(A) 0.5 o 170 1 /10
40% PP 76(D) 0.4 エラストマ一 D 55(A) 0.6 o 175 1 /10 比
30% PP 76(D) 0.3 エラストマ一 D 55(A) 0.7 o 180 3/10 較
20% PP 76(D) 0.2 エラストマ一 D 55(A) 0.8 〇 205 6/10 例
10% PP 76(D) 0.1 エラストマ一 D 55(A) 0.9 o 220 10/10
0% 無し ― 一 エラストマ一 D 55(A) 1.0 〇 420 10/10 注 1 PP=ブロックタイプ Iラストマ— D=PPと SBPSと流動パラフィンのブレンド品 注 2 ライナー脱落数 =発現数ノ試料数
注 3 密封性 〇=モレ無し 厶= 1 ~2本 (10本中)モレ発生 X =3本以上モレ (10本中) 注 4 硬度 () = Dはショァ D硬度、 Aはショァ A硬度を示す
注 5 厚さ単位 = mm
注 6 開栓トルク単位 = N' cm
[0144] 本発明例では、比較例と比較して開栓トルクは低ぐライナーの脱落は認められな 力つた。一方、比較例においては、開栓トルクが比較的高ぐライナーの脱落が認め られた。特に、摺動層が無いものでは、開栓トルクが 420N' cmと非常に高いとともに ライナーの脱落も 10本すべてで認められた。
[0145] 以上の比較試験の結果から、本発明例のライナーを使用すれば、密封性、開栓性 に優れたキャップ材を提供することができることが確認された。
実施例 5
[0146] 次に、外径が 38mmのキャップ材にスリット部を成形する際に、曲率半径 R1を変更 した実験を行った。
曲率半径 R2を 0. 5mm—定として、曲率半径 R1をそれぞれ 0. 05mm, 0. lmm、 0. 2mm、 0. 5mm及び 0· 7mmとしたサンプルを各 20個作成し、(A)シンニング量 、(B)ブリッジ強度、(C)開栓トルク、 (D)開栓角度、(E)引張限界条件でのブリッジ 切れ発生数、及び (F)圧縮限界条件でのブリッジ切れ発生数のそれぞれを評価した
[0147] 上述した各評価項目の定義及び評価方法は、以下の通りである。
(A)シンユング量:
スリット部が成形されたキャップを樹脂で埋め込んだ後、図 13における C— C断面 で切断し、この断面をマイクロスコープで撮影する。
そして、図 14における基端部 18gの周辺で最も小さな板厚となっている部分の厚さ (図 14における板厚 t2)を測定し、成形前の板厚 tlと、この板厚 t2との差 (tl _t2)を シンユング量とする。
このシンユング量の値は、極力小さいことが望ましい。
[0148] (B)ブリッジ強度:
(1)キャップ材から、ブリッジ部を 1つずつ切り出した複数の試験片を得る。
(2)試験片を下方に向け (周壁部の開放端を上方に向け)、天板部側を図示しない 測定装置に固定する。
(3)試験片のスカート部を測定装置の把持部でクランプする。
(4)クランプ状態を維持したまま、把持部を一定速度で引き上げて、ブリッジ部が破 断するまでの荷重を測定する。
(5)全ての試験片について、上記(3)及び (4)を繰り返し、試験片のうち最も小さい 荷重で破断したものの破断荷重をブリッジ強度と定義する。
このブリッジ強度の値は、 50 [N]以上であることが望ましレ、。
[0149] (C)開栓トルク:
ボトル缶に被着されたキャップを開栓したときに、複数のブリッジ部のうちの 1つが、 最初に破断するトルクの値を開栓トルクとする。
この開栓トルクの値は、 160 [N · cm]以下であることが望ましレ、。
[0150] (D)開栓角度:
ボトル缶に被着されたキャップを開栓したときに、複数のブリッジ部が全て破断され るまでのキャップの回転角度を開栓角度とする。
この開栓角度の値は、 300度以下であることが望ましい。
[0151] (E)引張限界条件でのブリッジ切れ発生数:
キヤッビング時にブリッジに強い引張応力が発生する条件に設定し、ブリッジが切れ る本数をカウントする。
このときの限界試験の条件設定は以下の通りである。
(1)キヤッビング時に端縁部に絞り成形を行うときの軸方向の荷重: 970 [N]
( 2)スカート部 22に裾卷き加ェを行うときの裾卷き口ールのトルク:3. 8 [Nm]
(3)裾卷きロールと端縁部に絞り成形を行う金型との距離: 14. 9 [mm]
(4)内圧: 2. 2 [kgf/cm2]
この試験においては、 20個のサンプル全てについてのブリッジ切れが全く発生しな 力 た場合を OKとした。
[0152] (F)圧縮限界条件でのブリッジ切れ発生数:
キヤッビング時にブリッジに強い圧縮応力が発生する条件に設定し、ブリッジが切れ る本数をカウントする。
このときの限界試験の条件設定は以下の通りである。
(1)キヤッビング時に端縁部に絞り成形を行うときの軸方向の荷重: 1回目が 950 [N ]、 2回目力 ¾00 [Ν]
(2)雌ねじ形成予定部 16に雌ねじ力卩ェを行うときのねじロールのトノレク: 1回目が 3 . 8 [Nm]、 2回目力 S3. 0 [Nm]
(3)スカート部に裾卷き加工を行うときの裾卷きロールのトノレク: 1回目と 2回目共に 3. 8 [Nm]
(4)ねじロールと端縁部に絞り成形を行う金型との距離: 1回目と 2回目共に 2. 6 [m m]
(5)裾卷きロールと端縁部に絞り成形を行う金型との距離: 1回目が 15. 9 [mm] , 2 回目が 15. 6 [mm]
この試験においても、 20個のサンプル全てについてのブリッジ切れが全く発生しな
力つた場合を OKとした。
[0153] 実験結果を表 5に示す。
[0154] [表 5]
[0155] 曲率半径 R1を 0. lmm、 0. 2mm、及び 0. 5mmとした場合、上記評価項目(A) のシンニング量は、いずれも 0. 1mm以内となっており、他の評価項目(B)〜(F)の 全てについて望ましい結果を得ることができた。
これに対し、曲率半径 R1を 0. 05mmとした場合、評価項目(B)、(E)及び (F)を満 足することができなかった。
これは、評価項目(A)のシンニング量が、他のサンプルに比べて大きい値(0· 15 mm)であった結果、評価項目(B)のブリッジ強度が低下し、限界条件でのブリッジ切 れが発生したものと解される。
[0156] また、曲率半径 R1を 0. 7mmとした場合、評価項目(C)及び (D)を満足することが できなかった力 これは、ブリッジ強度が高くなり過ぎた結果、開栓トルクが上昇したも のと解される。
以上の結果より、曲率半径 R1の範囲を 0. lmm〜0. 5mmとすることの妥当性が 検証できた。
実施例 6
[0157] 次に、外径が 38mmのキャップ材にスリット部を成形する際に、曲率半径 R2を変更 した実験を行った。曲率半径 R1を 0. 2mm—定として、曲率半径 R2をそれぞれ 0. 0 5mm、 0. lmm、 0. 5mm、 0. 8mm及び 1. 0mmとしたサンプルを各 20個作成し、 (B)ブリッジ強度、(C)開栓トルク、 (D)開栓角度、(E)引張限界条件でのブリッジ切 れ発生数、及び (F)圧縮限界条件でのブリッジ切れ発生数のそれぞれを評価した。
[0158] 実験結果を表 6に示す。
[0159] [表 6]
曲率半径 R2を 0. lmm、 0. 5mm、及び 0. 8mmとした場合、評価項目(B)〜(F) の全てについて望ましい結果を得ることができた。
これに対し、曲率半径 R2を 0. 05mmとした場合、評価項目(B)、(E)及び(F)を満 足することができなかった。
これは、曲率半径 R2が小さすぎることにより、破断容易部を成形する際の成形歪み が大きくなつて、ブリッジ部にねじれが発生し、ブリッジ切れを生じたものと解される。 また、曲率半径 R2を 1. Ommとした場合、成形不良により、切込みが適切に穿設さ れず、サンプル評価を行うことが全くできなかった。
これは、曲率半径 R2が大きすぎることにより、アウターツールの切刃部の強度が不
足して、破断容易部の成形が不安定となったものと解される。
この実験結果より、曲率半径 R2の範囲を 0. lmm〜0. 8mmとすることの妥当性が 検証できた。
実施例 7
[0161] 次に、外径が 38mmのキャップ材にスリット部を成形する際に、前記 A/Hを変更し た実験を行った。
押し込み量 Bを 0· 1mm—定、及び、図 17、図 18におけるブリッジ部 79の高さ Hを 0. 35mm—定として、長辺 78aから屈曲部 79aの外表面の谷底までの軸方向の距 離 Aをそれぞれ 0mm、 0. lmm、 0. 2mm、 0. 3mm及び 0· 33mmとすることにより 、前記 A/Hをそれぞれ 0%、 28%、 57%、 85%及び 94%としたサンプルを各 20個 作成し、 (A)ブリッジ強度、 (B)引張限界条件でのブリッジ切れ発生数、及び (C)圧 縮限界条件でのブリッジ切れ発生数のそれぞれを評価した。
[0162] 上述した各評価項目の定義及び評価方法は、以下の通りである。
(A)ブリッジ強度:
(1)キャップ材から、ブリッジ部を 1つずつ切り出した複数の試験片を得る。
(2)試験片を下方に向け (周壁部の開放端を上方に向け)、天板部側を図示しない 測定装置に固定する。
(3)試験片のスカート部を測定装置の把持部でクランプする。
(4)クランプ状態を維持したまま、把持部を一定速度で引き上げて、ブリッジ部が破 断するまでの荷重を測定する。
(5)全ての試験片について、上記(3)及び (4)を繰り返し、試験片のうち最も小さい 荷重で破断したものの破断荷重をブリッジ強度と定義する。
このブリッジ強度の値は、 50 [N]以上であることが望ましレ、。
[0163] (B)引張限界条件でのブリッジ切れ発生数:
キヤッビング時にブリッジに強い引張応力が発生する条件に設定し、ブリッジが切 れる本数をカウントする。
このときの限界試験の条件設定は以下の通りである。
(1)キヤッビング時に端縁部に絞り成形を行うときの軸方向の荷重: 970 [N]
( 2)スカート部に裾卷き加ェを行うときの裾卷き口ールのトルク:3. 8 [Nm]
(3)裾卷きロールと前記段部を成形するための絞り成形を行う金型との距離: 14. 9 [mm]
(4)内圧: 2. 2 [kgf/cm2]
この試験においては、 20個のサンプル全てについてブリッジ切れが全く発生しなか つた場合を〇Kとした。
[0164] (C)圧縮限界条件でのブリッジ切れ発生数:
キヤッビング時にブリッジに強い圧縮応力が発生する条件に設定し、ブリッジが切 れる本数をカウントする。
このときの限界試験の条件設定は以下の通りである。
(1)キヤッビング時に段部を成形するための絞り成形を行うときの軸方向の荷重: 1 回目カ 950 [Ν]、 2回目力 S800 [N]
(2)雌ねじ形成予定部に雌ねじ力卩ェを行うときのねじロールのトノレク: 1回目が 3. 8 [Nm] , 2回目が 3· 0 [Nm]
(3)スカート部に裾卷き加工を行うときの裾卷きロールのトノレク: 1回目と 2回目共に 3. 8 [Nm]
(4)ねじロールと段部を成形するための絞り成形を行う金型との距離: 1回目と 2回 目共に 2. 6 [mm]
(5)裾卷きロールと段部を成形するための絞り成形を行う金型との距離: 1回目が 1 5. 9 [mm] , 2回目力 5. 6 [mm]
この試験においても、 20個のサンプル全てについてブリッジ切れが全く発生しなか つた場合を〇Kとした。
[0165] 実験結果を表 7に示す。
[0166] [表 7]
A[mm] 0 0. 1 0. 2 0. 3 0. 33
A/H[%] 0 28 57 85 94
(A) リツ 強度 [N] 28 48 54 53 35
(B)引張限界条件での
19/20 2/20 0/20 0/20 5/20 リッ 切れ発生数
(C)圧縮限界条件での
20/20 1/20 0/20 0/20 6/20 フ 'リツ y 切れ発生数 総合評価 X O O 〇 X
[0167] AZHを 28%、 57%及び 85%とした場合、上記評価項目(A)〜(C)の全てについ て要求基準を満足することができた。
これに対し、 A/Hを 0%とした場合、上記評価項目(A)、(B)及び (C)のいずれも 満足することができなかった。
これは、屈曲部 79aが切込み 78eに接近しすぎることとなり、却ってブリッジ部 79の 強度が低下してしまったためであると解される。
[0168] また、 A/Hを 94%とした場合にも、上記評価項目(A)、 (B)及び(C)のいずれも 満足することができなかった。
これは、屈曲部 79aのクッションとしての働きが小さくなり、キヤッビング時にブリッジ 部 79に加わる応力を十分に緩和することができなかったためであると解される。 以上の実験結果より、 A/Hの範囲を 28 %〜85 %とすることの妥当性が検証でき た。
実施例 8
[0169] 次に、外径が 38mmのキャップ材にスリット部を成形する際に、前記押し込み量 Bを 変更した実験を行った。ブリッジ部 79の高さ Hを 0. 35mm—定、及び、距離 Aを 0. 2mm—定とすることにより前記 A/Hを 57%—定とした上で、押し込み量 Bをそれぞ れ Omm、 0. 03mm, 0. 05mm, 0. lmm、 0. 3mm及び 0. 5mmとしたサンプノレを 各 20個作成し、(A)ブリッジ強度、 (B)引張限界条件でのブリッジ切れ発生数、及び
(c)圧縮限界条件でのブリッジ切れ発生数のそれぞれを評価した。
[0170] 実験結果を表 8に示す。
[0171] [表 8]
[0172] 押し込み量 Bを 0. 05mm, 0. 1mm及び 0. 3mmとした場合、評価項目(A)〜(C) の全てについて要求基準を満足することができた。
これに対し、押し込み量 Bを Omm及び 0. 03mmとした場合、上記評価項目(A)、 ( B)及び(C)のいずれも満足することができな力 た。
これは、押し込み量 Bが小さすぎることにより、ブリッジ部 79の切込み 78eに隣接す る部分に加わる応力を十分に緩和することができず、ブリッジ切れを生じたものと解さ れる。
また、押し込み量 Bを 0. 5mmとした場合も、評価項目(A)、(B)及び(C)のいずれ も満足することができなかった。
これは、押し込み量 Bが大きすぎることにより、却ってブリッジ部に大きな歪みが発 生したためであると解される。
この実験結果より、押し込み量 Bの範囲を 0. 05mm〜0. 3mmとすることの妥当性 が検証できた。
[0173] なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなぐ本発明の 趣旨を逸脱しなレ、範囲にぉレ、て種々の変更をカ卩えることが可能である。
例えば、アルミボトル缶に被着するキャップ材として説明した力 これに限定される ことはなぐガラスビンに金属製キャップが装着されたものや、 PET容器に樹脂製キヤ
ップが装着されたものでも良い。
[0174] また、ライナーの密封層をポリプロピレンの重合体とエラストマとのブレンド材で構 成したものとして説明した力 これに限定されることはなぐ例えば、 EVA (エチレン酢 酸ビュル共重合体)や、 HSBR (水添型スチレンブタジエン共重合体)、 SIS (スチレ ンイソプレンスチレン共重合体)、 SBR (スチレンブタジエンラバー)、 SEBS (水添型 チレン共重合体)等のスチレン系エラストマ一や、 HDPEと EPDM (エチレンプロピレ ンジェン三元共重合体)とオイルのブレンド材等のォレフイン系エラストマ一やこれら のブレンド材、 PVC (ポリ塩化ビュル)と可塑剤のブレンド材である可塑化 PVCや、ポ リエステルエラストマ一や、ポリアミドエラストマ一や、その他のエラストマ一等で構成 されていても良い。特に、ポリプロピレンと SEBSとオイルのブレンド材またはポリプロ ピレンの重合体と SEBSとオイル (流動パラフィン等)のブレンド材が非常に好適であ る。なお、ライナーを構成するものとして例示した材質の記載の中で、重合体は共重 合体を含むものである。
[0175] また、ライナーの摺動層をポリプロピレンで構成したものとして説明した力 これに 限定されることはなぐ例えば、 HDPE (高密度ポリエチレン)や L— LDPE (直鎖状 低密度ポリエチレン)や PETや PBT (ポリブチレンテレフタレート)や PAや PC (ポリ力 ーボネイト)や PS (ポリスチレン)樹脂等で構成されてレ、ても良レ、。
また、中間層として、アルミシートを挿入したもので説明した力 S、酸素や臭気物の 透過を防止できるものであれば良ぐ例えば、 PET、 EV〇H、 PVDC、 PA等のフィ ルムを挿入しても良い。
[0176] さらに、密封層に脂肪酸アマイドを 0. 2重量%添加したもので説明したが、これに 限定されることはなぐ脂肪酸アマイドの添力卩量は 0. 01〜: 1. 0重量%の範囲内であ れば良い。また、脂肪酸アマイドの代わりに、あるいは、脂肪酸アマイドに加えて、ァ ンチブロッキング剤を添加しても良レ、。ここで、アンチブロッキング剤として例えば、タ ルク、マイ力、カオリン、珪藻土などを 0. 3〜5. 0重量%添加しても良い。
[0177] また、ライナー支持部についても、本実施形態の形状に限定されることはなぐライ ナー支持部を周方向に所定の間隔をあけて、周壁部の全周に亙って形成してもよい
。また、第 4の実施形態では、ナールとライナー支持部とを周方向に交互に形成した 構成を示したが、これに限定されることはなぐその数量はいずれであってもよいが、 ライナーを支持するために、少なくとも 3個形成するのが望ましい。そして、これらの 3 個を、キャップ軸線を中心に 120° ずつ周方向位置をずらして形成するようにしても よい。
[0178] 第 5の実施形態では、曲率半径 R1及び曲率半径 R2の寸法範囲を限定しているが
、これら曲率半径 R1及び曲率半径 R2のうち、少なくとも 1つの寸法範囲を限定する ことにより、上述した効果を奏することができる。
また、周壁部の厚さ方向に貫通するスリット部の切込みを、天板部側に位置する長 辺に沿って形成している力 S、この切込みを周壁部の開放端側に形成してもよい。 また、切刃部と下ビード収容部傾斜壁面との前記会合部の両端近傍の曲率半径を
R2としているが、この会合部の曲率半径を、その全長に亙って R2としてもよい。
[0179] 第 6の実施形態では、前記 A/H及び押し込み量 Bの双方を限定しているが、これ ら A/H及押し込み量 Bのうち、少なくとも 1つの範囲を限定することにより、上述した 効果を奏することができる。
産業上の利用可能性
[0180] この発明に係るキャップ材、キャップ付容器、キャップ材の製造方法によれば、開栓 トルクの小さく抑えることができ、産業上の利用可能性が認められる。
また、この発明に係るキャップ材、キャップ材の成形装置によれば、ブリッジ部の強 度を確保してブリッジ切れの発生を防止でき、産業上の利用可能性が認められる。