JP2003321039A - ネジ付き缶容器及びそのキャップ密封構造 - Google Patents

ネジ付き缶容器及びそのキャップ密封構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広口リシール缶の落下密封性を向上させ、ま
たレトルト処理にも適応できる缶胴口頸部とキャップと
の組合せ構造を提供する。 【解決手段】 ロールオン成形前の状態におけるシェル
26の天板部33とスカート部27とを接続するコーナ
ー部分28の全周に環状段部が形成され、ライナー25
の周辺部分に、先端の径が容器口部のカール部35にお
ける頂端の直径とほぼ等しい環状の内側環状リブ42
と、内側環状リブ42に対して薄肉部44を介して接続
されかつ前記内側環状リブ39とは同心状の環状をなす
外側環状リブ40とが形成され、ロールオン成形の際に
環状段部の下段部29が整形加工され、ロールオン成形
後の状態で内側環状リブ42及び外側環状リブ40が、
カール部35の頂面及び外面に密着されるとともに、薄
肉部44とカール部35の外面との間に空隙部47が形
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャップとされる
金属製のシェルの天板部の内面側に樹脂製の密封用のラ
イナーが付設されていて、容器口部にキャップを装着す
る際のロールオン成形により、容器口部の雄ネジに合わ
せてキャップのスカート部に雌ネジを成形するようにし
たネジ付き缶容器、特に容器口部の大きさが容器の缶胴
の外径に近い広口タイプの金属製リシール缶及びそのキ
ャップ密封構造に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、金属製容器の開口部付近を小径化
してネジ部を設けたアルミニウム合金製のボトル型缶が
販売され、人気を集めている。
【0003】その一例を図8に示す。このボトル型缶1
は、円筒形の胴部2と、胴部2に続く肩部3と、肩部3
に続く略円筒状でネジ部7とカール部6とが形成されて
いる口頸部4とがあり、胴部2の下端のいわゆる容器底
部には、底蓋5が巻き締められている。
【0004】なお、胴部と底部とを一体成形したシーム
レス缶胴の開口端側を縮径(ネックイン成形)して肩部
と口頸部となる部分を形成することにより、容器底部が
胴部及び口頸部と一体に成形されたボトル型缶も販売さ
れている。
【0005】そして、口頸部4の上端部には外巻きのカ
ール部6が設けられて、開口部が形成されており、ネジ
部7の下方には、口頸部4に冠着されるピルファープル
ーフキャップ10のピルファープルーフバンド11を固
着するための環状凸部8及び環状凹部9が設けられてい
る。
【0006】そこで金属製の再封鎖可能なピルファープ
ルーフキャップ10について見ると、一般的に円板状の
天板部13の周縁からスカート部を略円筒状に垂下させ
た金属製のシェル12と、該シェル12の天板部13の
内面側に付設される樹脂製の密封用ライナー14とから
なっていて、容器口部にキャップ10を装着するに際
し、容器口部に被せたシェル12を上方から押さえ付け
ながら、容器口部の周壁に形成されたネジ部7に対して
キャップ(シェル)12のスカート部の円筒部分をロー
ル(図示せず)で側方から押し付けて変形させることに
より、スカート部にネジ溝と裾部カール部とを成形しな
がらキャップ10を容器口部に装着するようにした、い
わゆるロールオンキャップが従来から広く使用されてお
り、その具体的な構造について、従来から様々なものが
提案されている(例えば、特開2001−139053
号公報参照)。
【0007】これの金属製のシェル内に付設される密封
用ライナー14は、合成樹脂、例えば、オレフィン樹脂
等を、金属製の内側に溶融状態で押出しもしくは射出
し、次ぎに、冷却された押圧部材で型押すると共に、こ
のライナー14を金属シェル12の内面側に全面接着あ
るいは部分的に熱接着させて所定のライナー形状に形成
するモールドライニング法や、シェル12の内側を金型
で覆って、シェル12と金型との間に合成樹脂を射出成
形して所定のライナー形状に形成する方法を用いてシェ
ル12内に設置されている。
【0008】一方、ガラス瓶やプラスチック容器や金属
缶等であって、内容物の取出口を大きく開口させた広口
(開口部の内径30mm以上)の容器が、従来から食品
等の容器として広く使用されており、特にコーンスー
プ、果肉入り果実酒、スパゲティーソース等が収納され
る容器にあっては、内容物を容器から器などに移し替え
やすく、また、コーヒー、紅茶、緑茶等の香りを楽しめ
るようにするために、広口容器が使われている。
【0009】しかしながら、ボトル型缶のような金属製
容器の口頸部にキャップをロールオン成形により装着す
ることによって口部を密封する場合には、ガラス瓶やプ
ラスチック容器(ペットボトル容器)に比べて容器口頸
部の板厚が薄いため、先端をカール状に成形加工してラ
イナー材との密封面を構成させなければならならない。
また、ロールオン成形時、キャップ天板部への上方から
の押付け力により、口頸部が座屈変形する等の問題があ
る。このため、容器口部へのライナーの押し付けを効果
的に行うことができて、容器口部の上端縁側での密封性
を充分に確保できるように、ロールオン成形時にシェル
のコーナー部分を整形加工して、ライナーが容器口部に
押し付けられるように構成した密封用ライナー付きのロ
ールオンキャップが提案されている(本出願人による特
願2000−262889号参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような金属製のロ
ールオンキャップの密封性、スタックの安定性を更に確
実なものにするためには未だ解決しなければならない問
題がある。特に、内容物の取出口を大きく開口させた広
口(開口部の内径30mm以上)の金属製リシール缶に
適用しようとすると、キャップの外径が缶胴の外径に近
づくことになり、次のような問題があることが分かっ
た。
【0011】(1)落下衝撃による漏洩 広口ネジ付き缶、いわゆる広口リシール缶容器を缶商品
として流通させる場合、輸送中の荷扱いで商品同士がぶ
つかったり、自動販売機等で販売しようとする際に、販
売時、スタックコラムから商品取出口に落下する時の落
下衝撃で、キャップのコーナー部分やキャップ天面ある
いは側面等が、局部的にデントし易くその箇所の内面側
に付設されている密封用ライナー部材がカール外面との
間で押し潰されて変形し、それに伴い容器の口頸部とラ
イナー部材との間の密封性が損なわれ、特に、レトルト
処理したものはライナーの弾力性が低下していることも
あり漏洩につながり易い問題がある。
【0012】つまり単に取出口を大きく開口させるだけ
では、缶胴の口頸部に装着されたキャップの外径が缶胴
の外径にほぼ等しくなったり、あるいは缶胴よりも外側
にやや出っ張る恰好となり、前述のように落下の際に衝
撃を受けるとキャップの側面が潰れて密封性が損なわれ
易い。
【0013】さらに、広口リシール缶の作り方は、缶胴
の一方の開口端部分を縮径した後、トリミング工程を経
ることなくその縮径された口頸部の上端部にカール部が
形成されるのが一般的であり、この縮径により口頸部の
先端部にバラツキが生じ易く、そのためカール成形した
ときにカール足が不揃いとなったりカール部の天面の平
滑度に影響を及ぼしやすく、密封性を充分に確保でき難
いものとなっている。
【0014】(2)スタック性 一方、店頭で商品を上下方向に積み重ねて販売されるこ
とは多く、既存缶商品と同様にリシール缶商品について
も上下方向に積み重ねて販売できるようにすることも提
案がされている。例えば、特開2000−72125号
公報には、リシール缶を店頭で販売するときに上下方向
に積み重ねられるようにするために、上下で積み重ね面
積を缶胴部の50%以上にすることが記載されている。
しかしながら、ここに記載されている金属容器は缶胴の
上端に、別部材からなるネジ付き缶蓋を巻締め固着して
口頸部を設ける必要があるために、コスト高につながる
という問題があり、また、底部を下向きにして積み重ね
ることが一応可能と考えられらるが、内容物を充填する
際に上下方向を逆向きにして搬送させるには未だ安定性
に欠け、キャップ装着側からの内容物充填しかできず、
充填メーカーでは、充填後底蓋を巻き締めて密封する従
来のシーミング装置をキャッピング装置に変更しなけれ
ばならず、ライン設備をあまり変更しないで済むリシー
ル缶が求められていた。
【0015】(3)密封性の低下 キャップ内側に付設されたライナーは、一般的に熱可塑
性のオレフィン樹脂で構成されている場合が多いが、シ
ェル内に樹脂を注入し、その樹脂を押圧成形することに
よって、その成形時に歪みが生じて、いわゆるストレス
クラッキングが生じたり、あるいは内容物が充填された
後、水蒸気や熱の影響を受けて、ライナー樹脂の弾力性
が低下したりし、その結果、密封性の低下を招く虞があ
る。
【0016】その上、開口部の内径が小さなリシール缶
(縮径された口頸部の先端をトリミングしてカール部が
成形されるのが一般的)に比べて、前述のとおり、広口
リシール缶ではカール成形した口頸部の天面における平
滑性が低下し易く、また口頸部に座屈変形が起こりやす
いために、ロールオンキャッピング時にプレッシャーブ
ロックを強く押し当てられず、キャッピング後のレトル
ト殺菌処理する時に、密封性を損ない易いという問題が
ある。
【0017】さらに、このような密封性低下の問題は、
レトルト処理するときや容器の内圧を受けた場合、キャ
ップの外径が缶胴の外径に近い広口リシール缶は、キャ
ップ天板の面積が大きい分だけキャップの天板が内圧を
受けて外方に膨張し、それに伴いキャップ内面側に付設
されているライナーの密着面がカール部頂面から浮き上
がる度合いが大きく、したがって広口容器の方が、開口
部の小さな容器に比べて密封性が失われ易い。
【0018】(4)容器口頸部の座屈 このような密封性の低下を防ぐため、プレッシャーブロ
ックの押圧力を強くすることも考えられるが、ボトル型
缶のような金属製容器の口頸部にキャップをロールオン
成形により装着することによって密封する場合には、上
述の通り、容器口頸部は、先端をカール状に成形加工し
てライナー材との密封面を構成させなければならなら
ず、缶軸方向の力に対して口頸部の弱い部分、特に、カ
ール部の下方からネジ溝にかけてのテーパー部分に応力
が集中し易く、ガラス瓶やペットボトル容器に比べて、
特に、ネジ溝の始端部分の上方で座屈が起こりやすい問
題がある。
【0019】本発明の課題は、缶胴の外径に比較的近い
キャップ外径を有する広口リシール缶などの缶容器の場
合であっても、スタック性を維持しつつ、また充填方式
に自由性を備え、既存設備と同じ設備で充填できる、充
填効率の向上に有効な金属製ネジ付き容器を提供するこ
とにある。また他の目的は、リシール缶容器等において
落下密封性に優れ、またレトルト処理に対応可能な缶胴
口頸部と金属製キャップとの密封構造を提供することに
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1および2の発明は、天板
部の周縁からスカート部を垂下させた金属製のシェル
と、その天板部の内面側に付設される密封用ライナーと
からなるキャップを、口部となる開口端部分にカール部
を有する金属製容器の口頸部に装着してロールオン成形
により、容器口部の雄ネジに合わせて前記スカート部に
雌ネジを成形するようにし、口部の大きさが容器の缶胴
の外径に近いネジ付き缶容器において、ロールオン成形
前の状態における前記シェルの天板部とスカート部とを
接続するコーナー部分の全周に環状段差が形成され、前
記キャップにおけるスカート部の外径が、容器の缶胴外
径に対して5%以上小さい外径とされているとともに、
ロールオン成形の際に、前記環状段部の下段部が傾斜状
に整形加工され、ロールオン成形後の状態で、前記傾斜
部より下側に環状のコブ状凹凸部が設けられ、前記整形
加工された部分と係合されるへこみ部が容器底部に設け
られ、前記コブ状凹凸部の形成される前記天板部からの
高さが、そのへこみ部の深さより大きく形成されている
ことを特徴とするものである。
【0021】したがって、請求項1に係る発明及び請求
項2に係る発明によれば、キャップが容器の缶胴外径に
対して5%以上小さい外径のスカート部を有する、つま
りキャップ側面が缶胴の側面より少し小さめに形成され
るため、店頭で缶商品を上下方向に積み重ねて販売する
ようなときに、安定した積み重ねができ、しかも天板部
の径が小さくて挿入しやすく、容器底部に挿入された状
態では、キャップの滑り止め用のコブ状凹凸部による底
蓋の傷付きを防ぐことができる。また、リシール缶に内
容物を充填する場合、開口部の広い方が充填しやすく効
率が上がることを考慮すれば、キャップの天板部を下方
にして底蓋側から充填する方が有利であり、底蓋を缶胴
に巻締固着する前に、容器口頸部にキャップを装着して
内容物を充填した後に底蓋を巻締固着することになる。
その場合、容器口頸部に装着したキャップを下にして逆
置搬送しなければならず、キャップの外径が缶胴の径に
近いそのような場合でも安定した搬送が行えて、キャッ
プ側からの充填と、底蓋側からの充填のいずれでも対応
ができるので内容物の充填システムの自由度が高くな
り、従来のシーミング装置を備えた充填ラインへの適用
も可能となる。
【0022】一方、請求項3の発明は、前述した目的を
達成するために、天板部の周縁からスカート部を垂下さ
せた金属製のシェルと、その天板部の内面側に付設され
る密封用ライナーとからなるキャップを、口部となる開
口端部分にカール部を有する金属製容器の口頸部に装着
してロールオン成形により、前記口頸部に形成されてい
る雄ネジに合わせて前記スカート部に雌ネジを成形する
ようにしたネジ付き缶容器において、ロールオン成形前
の状態における前記シェルの天板部とスカート部とを接
続するコーナー部分の全周に環状段部が形成され、前記
密封用ライナーの周辺部分に、先端の径が前記カール部
における頂端の直径とほぼ等しい径で垂下して形成され
た環状の内側環状リブと、前記カール部の外径より僅か
に小さい径の内周壁と前記スカート部の内面から隔てら
れた外周壁とを有するとともに前記内側環状リブに対し
て薄肉部を介して接続されかつ前記内側環状リブとは同
心状の環状をなす外側環状リブとが形成され、ロールオ
ン成形の際に、前記環状段部の下段部が整形加工され、
ロールオン成形後の状態で、前記内側環状リブ及び外側
環状リブが、前記口部のカール部外面に密着されるとと
もに、前記薄肉部と前記カール部外面との間に空隙部が
形成されていることを特徴とするものである。
【0023】なお、本発明では、請求項4に記載してあ
るように、前記外側環状リブの内周壁の内径は、カール
部外径に対して0.3mm〜0.7mm小さくすること
ができる。
【0024】したがって請求項3に係る発明によれば、
ロールオン成形後のキャップ天板部とスカート部とを接
続するコーナー部分の環状段部を整形加工して、ライナ
ー部材のカール外周面に対する密着力を増大させること
ができ、その結果、密封性を確保することができる。
【0025】また、自動販売機などで、リシール缶容器
が傾いた状態あるいはキャップ面側を下方にした状態で
落下した際、キャップコーナー部分がデントしたり、あ
るいは天板側またはスカート側が変形した場合でも、口
頸部に冠着したキャップによる密封性が損なわれること
を防止することができる。
【0026】つまり、ロールオン成形の際に、環状段部
の下側段部が整形加工され、ロールオン成形後、環状を
なす外側環状リブと内側環状リブとを繋ぐ薄肉部が、カ
ール外面に対して非接触の状態、つまり薄肉部とカール
外面との間に空隙部が形成された状態でロールオンキャ
ッピングされるため、薄肉部によって外側環状リブと内
側環状リブとが隔置された状態でカール周面に密着され
る。その結果、カール部外面に連続して密着している従
来の構造に比べて、この空隙部が、落下衝撃を受けた場
合の緩衝部として作用するため、密閉性が維持されるも
のと推測できる。
【0027】このことを更に述べると、キャップの天板
側に変形(デント)が生じた場合、デント箇所のライナ
ーが潰れて、その変形に伴うライナーの塑性流動が生じ
るが、その塑性流動の一部を空隙部で吸収してカール部
側面側の密着面、即ち外側環状リブとカール部外面との
密着面にまで塑性流動による変形が及ぶのを防ぐ緩衝帯
域となっている。
【0028】一方、側面側にデントが生じた場合、ライ
ナーのカール部側面側から起こる塑性流動は、上記と同
様に、空隙部によりカール部頂面側まで及ぶのを防ぐこ
とができる。更にまた、両者の中間部分のコーナー部分
でデントが生じた場合、空隙部が吸収スペースとして働
くため、頂面側や側面側にライナー部材が塑性流動する
ことを防ぎ、その結果、密封性を維持することが可能に
なるものと推測される。
【0029】また、請求項4に係る発明では、外側環状
リブのカール外面との密着面を確保しつつ、内側環状リ
ブとの間に確実に空隙部を形成することが可能となる。
つまり、外側環状リブの内周壁の内径がカール部外径に
対して0.3mmよりも小さいと、言い換えるとカール
部外径とそれよりも小径の外側環状リブの内周壁の内径
との差が0.3mm未満であると、カール部側面の密着
性が弱くなり、0.7mmよりも大きいと、ロールオン
成形の際に、内側環状リブとカール部頂面との密着力が
弱くなったり、ライナーがカール部に装着しにくく、斜
めにキャップが装着され易くなってキャッピング不良を
発生させたり、最悪の場合には、ライナーの外側環状リ
ブがカール部頂面に乗り上げて、密封性を阻害する要因
となるので好ましくない。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。本実施形態の金属製の広口リシール缶(キャ
ップを除く缶本体)20は、溶接缶胴21の下端に別体
の底蓋22を巻締固着した3ピース缶用の缶体であっ
て、図1及び図2に示すように、円筒状の胴部の上方に
口頸部23が形成され、且つ、缶胴21の下端に形成さ
れた一段ネック部24の開口端部には、皿状の底蓋22
が二重巻き締めにより固着されていると共に、口頸部2
3には、樹脂製のライナー25を有する金属製のピルフ
ァープルーフキャップ26が、キャッパー(キャップ装
着装置:図示せず)によるロールオン成形により、キャ
ップ26のスカート部27におけるネジ形成部分(ネジ
部)にネジを形成しながら装着されることとなる。
【0031】このようなロールオンキャップ26は、図
3に示すように、缶胴21と底蓋22の巻締部分の内
側、すなわち容器底部と上下方向で積み重ねができるよ
うに、底蓋のチャック壁内周および深さ寸法が適宜設定
される。具体的に説明すると、図4に示すように、ライ
ナー付きロールオンキャップ26のコーナー部分28の
下段部29を整形させた部分が、その容器底部30内に
収容できるように構成され、缶本体20の缶胴外径に対
して5%以上小さい外径のスカート部27を有するロー
ルオンキャップ26とされている。つまり、ロールオン
成形の際に、環状段部31の下段部29は傾斜状に整形
加工され、ロールオン成形後の状態で、整形加工された
傾斜部29’の下端より下側に環状のコブ状凹凸部(開
栓し易くするための滑り止め用の凹凸)32が設けられ
ており、そのコブ状凹凸部32が形成される天板部33
からの高さが、皿状の底蓋22の深さより大きく、底蓋
22のチャック壁34との係合を、整形加工された傾斜
部29’の下端とは係合するが、コブ状凹凸部32とは
係合しないようにされている。よって、キャップ26の
コブ状凹凸部32による底蓋22の傷付きを防止し、そ
の上で積み重ねの際には、天板部33の径が小さく挿入
しやすく、容器底部30に挿入された状態では、チャッ
ク壁34と整形加工された傾斜部29’の下端部とが係
合されるので、横ズレがなく安定した積み重ねがでるき
ようにされている。また、キャップ26の外径を缶本体
20の缶胴外径に対して5%以上小さく、好ましくは、
缶胴外径に対して、6%〜15%小さめにすることによ
り、キャップ26の天板部33を下方にして逆置搬送す
る場合でも安定した搬送が行え、開口部の広い底蓋22
側から内容物を充填することができるように構成されて
いる。
【0032】キャップ26が装着される缶本体20は、
本実施形態では、金属製で広口(口部の内径30mm以
上)の缶容器であって、そのような缶本体20の口頸部
23には、その上端開口縁に沿ってリング状に外巻きの
カール部35が形成され、カール部35の下方に連続し
た凸条からなる雄ネジによるネジ部36が形成されてい
る。なお、口頸部23のネジ部36に形成されるネジの
形状については、特に限定されるものではなく、ネジ部
36の円筒状の基部を巻回する連続した凹溝からなるネ
ジや、不連続に形成された凸条や凹溝からなるネジであ
っても良く、また、一条ネジあるいは二条ネジのいずれ
でも良い。なお、カール部35は実質的に断面湾曲状に
形成され、カール部35の先端をカール部35の基部
(口頸部23の先端側の外面)に当接させれば、押し付
け力をかけた場合のカール部35のクッション性を抑制
することができ、またカール部35の天面の平滑性を向
上させる上で好ましい。
【0033】また、口頸部23のネジ部36の下方に
は、環状のビード部(凹溝)37が形成されている。こ
の環状のビード部37は、キャッパーにより金属製のキ
ャップ26を口頸部23に装着する際に、キャッパーの
ローラーが入り込み、キャップ26の下端壁(キャップ
26のスカート部27の下端に形成されるピルファープ
ルーフバンド38の下端部分)をビード部37である凹
溝の上段部に押し付けて成形させることで、口頸部23
に対してキャップ26をピルファープルーフの状態で係
止させるためのものである。
【0034】上記のような3ピース缶用の缶体におい
て、口頸部23と胴部と一段ネック部24を有する缶胴
21は、円筒体の溶接缶胴から成形されるものであっ
て、円筒体の溶接缶胴については、従来から一般的に知
られているように、少なくとも一方の面(缶内面側)に
樹脂被膜を施すと共に、他方の面(缶外面側)に印刷模
様を施した表面処理鋼板の長方形のブランクを材料とし
て、印刷模様が外側になるようにブランクを丸めてその
両端部の重ね合わせ部を従来の電気抵抗溶接方法により
シーム溶接してから、溶接した継ぎ目を補正する。その
補正方法として、液状塗料や合成樹脂粉で塗装したり、
或いは、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂等か
らなる透明なテープ状樹脂フィルムで被覆したりするこ
とによって製造されるものである。
【0035】また、缶胴の下端(下端ネック部の開口端
部)に巻締め固着される底蓋22は、従来から一般的に
知られているように、アルミニウム合金板や表面処理鋼
板の両面に樹脂被膜を施した金属薄板として、外周縁に
フランジ部が形成されるようにプレス加工で皿状に一体
成形されるものであり、缶胴との巻締め部分となるフラ
ンジ部には、合成樹脂とゴムとからなるシーリングコン
パウンドを密封のため塗布している。なお、そのような
シーリングコンパウンドをフランジ部に塗布しなくて
も、缶胴21と底蓋22の缶内面側に施す樹脂被膜を厚
いものにすれば、缶胴21と底蓋22の巻締部分での密
封には差し支えない。
【0036】上記のような3ピース缶用の缶体に装着さ
れるライナー付きロールオンキャップ26について、図
1は、キャップ(ロールオン成形前)26と容器口部の
全体構造を示し、図4はロールオン成形によりキャップ
26のコーナー部分の下段部29を整形させた状態での
キャップ26と容器底蓋(へこみ部)との係合部分を拡
大して示し、図5はロールオン成形前のライナー付きキ
ャップ26を拡大して示し、図6はキャップ26を容器
口部に被せた時のキャップ26と容器口部の接触部分を
拡大して示すものである。
【0037】図1に示すように、本実施形態のロールオ
ンキャップ26は、金属製のシェルと樹脂製の密封用ラ
イナー25とからなるもので、天板部33の周縁からス
カート部27を略円筒形に垂下させたシェルに対して、
その天板部33の内面側(下面側)にライナー25が付
設されていて、容器本体20の口部にロールオン成形で
装着される前の状態におけるキャップ(シェル)26の
スカート部27の下端部、すなわちネジが成形される予
定の円筒部分よりも下方の裾部に、ピルファープルーフ
バンド38が切り離し可能に形成されている。
【0038】なお、シェル26とライナー25とのそれ
ぞれの材質は、特に限定されるものではないが、シェル
については、例えば、内面側にオレフィン系樹脂粉を分
散させたエポキシーフェノール樹脂が塗布されているア
ルミニウム合金板等の従来から知られたキャップ用の金
属材を使用しており、また、ライナーについては、例え
ば、低密度ポリエチレンとエチレンープロピレン共重合
体合成ゴムのブレンド材やポリプロピレンとスチレン系
エラストマーのブレンド材、ポリエステル系エラストマ
ー等の従来から知られたライナー用の樹脂材を使用して
いて、天板部33の内面側に溶融状態で押出して型押し
する周知の型押成形法等によって成形されている。
【0039】そのような容器本体20の口部に対してキ
ャップ26をロールオン成形により装着する場合、容器
口部にキャップ26を上から被せた状態から、周知の金
属製キャップ用の巻締装置(ロールオンキャッパー:図
示せず)を使用することで、キャップ26の天板部33
に押圧力を加えながら、該装置のそれぞれの成形ロール
(図示せず)により、容器口部の雄ネジに合わせるよう
に、キャップ26のスカート部27の円筒部分を変形さ
せて雌ネジを形成すると共に、スカート部27の裾部に
形成されたプルファープルーフバンド38の下端部を、
容器口部のビード部37の上段部に係合させるように巻
付けることで、容器口部に対してキャップ26が螺着さ
れた状態となるように装着される。
【0040】ところで、上記のように容器口部にロール
オン成形で装着されるキャップ26は、ロールオン成形
される前の状態で、シェルの天板部33とスカート部2
7とを接続するコーナー部分28が、環状の凹状部39
を境とした上下2段の環状段部に形成されており、シェ
ルの天板部33の内面側に付設されるライナー25は、
天板部33からコーナー部分28の凹状部39付近まで
シェルと密着していて、ライナー25の周辺部分に形成
された2つの環状のリブのうち外側環状リブ40は、コ
ーナー部分28の下端付近の高さまで垂下して、コーナ
ー部分28の下段部29の内面と外側環状リブ40の外
周壁41との間には間隔があけられている。
【0041】なお、ライナー25とシェルとを天板部3
3だけ密着させて、コーナー部分28ではシェルと密着
させないようにしておくようにして、缶本体20におけ
るカール部35に対するライナー25の周辺部の適合性
を向上させるようにしても良い。また、ロールオン成形
時、コーナー部分28の環状の凹状部39における下段
部29を整形加工し、そして外側環状リブ40の先端形
状は、内方に向かってテーパ状に形成され、カール部3
5に嵌まり込み易く形成されている。
【0042】また、図5に示すように、ライナー25
は、その中央部分が円盤状の平坦部に形成され、その周
辺部分に同心的に配置された2つの環状リブ40,42
に形成されていて、これらの環状リブ40,42はいず
れも半径方向で適度な厚みを有しており、内側環状リブ
42の先端は容器口部のカール部頂面と対峙しており、
外側環状リブ40は、その厚みの半分程度がカール部3
5の外径と重複するような内周壁(垂直壁)43を有し
ていて、内側環状リブ42と外側環状リブ40とは薄肉
な平坦部とほぼ同じくらいの厚さの薄肉部44で接続さ
れている。
【0043】そして、ロールオン成形前の状態、つま
り、図6に示すように、キャップ26を容器口部に被せ
ただけで、ライナー25が弾性変形していない状態で
は、外側環状リブ40の内周壁の先端は容器口部のカー
ル部35の外周面に接触し、内側環状リブ42の先端は
カール部35の頂面の上方に離れて隔置された状態とな
っている。そのような状態からキャップ26を容器口部
の上方から押し付けると、図7に示すように、内側環状
リブ42の先端が押し潰されカール部35の頂面と密着
し、外側環状リブ40は外側に開くように弾性変形して
外側環状リブ40の内周壁43とカール部35の外周面
が密着するが、カール部35との密着面積が少なく完全
な密封性は確保できない。
【0044】これに対して、キャッピング装置を使用
し、容器口部に被せたキャップ26を上方から押し付け
ながら、該装置のそれぞれの成形ロールにより、容器口
部の雄ネジに合わせてキャップ26のスカート部27に
雌ネジを形成すると共に、スカート部27の裾部のピル
ファープルーフバンド38を容器口部のビード部37に
係合させるように巻締めるロールオン成形の際に、図7
に点線で示されるように、プレッシャーパッド45によ
りキャップ26の天板部33を上方から押し付けると同
時に、プレッシャーブロック46によりコーナー部分2
8の下段部29を図4で示すように底蓋22のチャック
壁34の傾斜角度αよりも若干大きめの角度βを持つ傾
斜部29’に整形加工することにより、外側環状リブ4
0のカール部35への密着性を確保した上で上下方向に
容器を積み重ねる際にキャップ26を底蓋22内へ容易
に挿入させることが可能になる。
【0045】ロールオンキャッピング後、内側環状リブ
42の密着部と外側環状リブ40の密着部とが空隙部4
7を間に挟んだ状態でキャップ26が装着され、自動販
売機などで、リシール缶容器が、水平状態あるいは垂直
状態およびそれら複合された状態で落下したりしてキャ
ップコーナー部分(キャップの天板側または側面側)2
8にデントが発生した場合でも、キャップ26の密封性
が損なわれることを防止することができる。これは、ロ
ールオン成形後、外側環状リブ40と内側環状リブ42
側との間の薄肉部44が、カール部35の外面と非接触
の状態、つまり薄肉部44とカール部35の外面との間
に空隙部47が形成された状態でロールオンキャッピン
グされ、それに伴って薄肉部44によって外側環状リブ
40と内側環状リブ42とが隔置された状態でカール部
35の周面に密着されるためである。その結果、カール
部35の外面に連続して密着している従来の構造に比べ
て、この空隙部47が、緩衝部として作用するので、プ
レッシャーブロックの押圧力を必要以上に強くすること
なく密封性を維持することができる。
【0046】このことを更に述べると、キャップ26の
天板部33側に変形(デント)が生じた場合、デント箇
所の密封面が潰れて、その変形に伴うライナー25の塑
性流動を空隙部47で吸収して側面側の密着面まで及ぶ
のを防ぐ、いわゆる緩衝帯域となっており、一方、側面
側にデントが生じた場合には、ライナー25のカール部
35の側面側から起こる塑性流動は、上記と同様に、空
隙部47によりカール部35の頂面側まで及ぶのを防ぐ
ことができる。更にまた、両者の中間部分のコーナー部
分28でデントが生じた場合、空隙部47がライナー2
5の吸収スペースとして働くため、頂面側や側面側にラ
イナー部材が塑性流動することを防ぎ、その結果、密封
性を維持することが可能と推測できる。
【0047】また、カール部35に対してライナーが連
続して一様な密着面となる密封面の構造では、縦方向あ
るいは側面方向から衝撃を受けてデントした場合、ライ
ナーの潰れによる樹脂の行き場を失い円周方向に塑性流
動してカール面に対して半径方向に実質的にシワ状とな
って現れて密着性を損なったり、或いはレトルト処理時
等に容器内圧が大きく作用して、キャップ天板部が膨ら
み、ライナーの変形が助長されて密着性を損なう虞があ
ったりするが、本実施形態のライナー形状では、同心状
に配置された各環状リブ40,42が薄肉部44で接続
され、カール部35との密着部を半径方向で2箇所以上
に分離させて構成させることにより、上記のような漏れ
につながる塑性変形を防止することができる。
【0048】更にまた、ライナー25とカール部35と
の密着面をカール部35の内側から外側に向かって分断
し、間をあけて構成することにより密着面積が少なくて
済むので、その分、開栓トルクを低減させることができ
る。
【0049】ロールオン成形後、内側環状リブ42と外
側環状リブ40とがカール部35に圧着されるが、薄肉
部44は、カール部35の外面との間に空隙部47が形
成されるようにすることが重要である。
【0050】この空隙部47は、内容物が充填され、キ
ャップ26が装着された缶商品として輸送中等の荷扱い
中、キャップコーナー部分28に不慮の外力がかかった
とき、ライナー25の変形に伴う密着面の変形破壊を最
小限に抑えるためのもので、複数の密封箇所のいずれか
で密封性を維持させるようにしている。
【0051】したがって、空隙部47は、カール部35
の外周面側のいずれかに形成されていれば良く、カール
部35の頂面の内側環状リブ42の密着部から、カール
部35を中心として外側に30度〜50度の角度範囲内
に設けることが好ましい。50度を超える位置まで空隙
部47を形成した場合には、キャップ26の整形加工の
時に外側環状リブ40の密封性を維持させるため、カー
ル部35の90度範囲を超えたカール部35の下側まで
回り込んで密着部を設ける必要があり、そうすると、開
栓トルクが大きくなり開けずらさが生じてくる。このよ
うな観点から、50度の範囲内に形成されるのが好まし
い。要するに、落下衝撃の際に、内側環状リブ42に発
生した変形を外側環状リブ40の密封部へ波及させず、
また、逆に外側環状リブ40に発生した変形を内側環状
リブ42の密封部へ波及させないようにする。更に薄肉
部44で発生した変形は、空隙部47で吸収できる程度
の大きさに設定される。
【0052】(実験例)容器本体については、ローティ
ンスチールT2材(0.18mm)で、内外面PETフ
ィルムで被覆された熱可塑性樹脂フィルムが積層された
樹脂被覆金属板から、呼称202径の溶接缶(缶胴外
径;52.4mm)が製造され、口頸部のカール部内径
が、38mm、42mm、45mmとした3種類の缶胴
をつくり、一方の開口端部は1段ネックのフランジ加工
され、200径のティンフリースチール板(0.19m
m)から成形加工され、パネル部が実質的に平坦状の底
蓋が巻締め固着される。
【0053】キャップは、3105H−34アルミニウ
ム合金板(0.23mm)を使用し、ライナーは、ポリ
プロピレンとスチレン系エラストマーとのブレンド材を
使用し、外側環状リブの内周壁の内径が、カール部外径
に対して0.5mm小さく形成されている。
【0054】缶胴の外径に対して、キャップの外径(ネ
ジ部の外径)を、口頸部のカール部内径に対応して45
mm、49mm、52mmとした3種類のキャップをつ
くり、ホットパック仕様(90℃熱水を175g充填、
放冷したもの)と、レトルト仕様(90℃熱水を175
g充填、125℃、30分間レトルト処理したもの)に
ついて、下記の落下試験を10缶行った。比較例として
カール部とライナーとの密着面をカール部内面側から外
面側にかけて連続した構成のものと比較した結果、本実
施形態のものは3種類とも落下衝撃による漏洩缶は見ら
れなかったが、比較例のものには、キャップ外径が45
mm、49mm、52mmのいずれの缶においても、レ
トルト仕様では数缶の漏洩が見られた。
【0055】なお、落下試験は、キャップの天板部を下
方に向け、水平面から10度傾斜させた鉄板の上に30
cm上方から直落下させる縦落下試験と、容器を横向き
にして、水平な鉄板の上に30cm上方から直落下させ
る横落下試験とについて漏洩の有無を調査した。
【0056】以上の試験結果からロールオン成形の際
に、環状段部の下段部が整形加工され、ロールオン成形
後、環状をなす外側環状リブと内側環状リブとを繋ぐ薄
肉部が、カール外面に対して非接触の状態、つまり薄肉
部とカール外面との間に空隙部が形成されているため、
ライナーがカール部外面に連続して密着している従来の
構造に比べて、この空隙部が、落下衝撃を受けた場合の
緩衝部として作用し、密閉性が維持されていることが分
かった。
【0057】以上、本発明の密封用ライナー付きロール
オンキャップの一実施形態について説明したが、本発明
は、上記のような実施形態に限られるものではなく、例
えば、スカート部の裾部にピルファ一プルーフバンドを
形成していないピルファープルーフ機能のないキャップ
であっても良く、滑り止めの凹凸部をローレット加工部
に変更したり、そのコブ状の凹凸部にベントスリットを
形成したりすることができる。また、缶体として、3ピ
ース缶用の缶体だけでなく胴部と底部とを一体成形した
アルミやスチールのシームレス缶胴であっても良く、店
頭において広口リシール缶商品を上下方向に積み重ねて
展示・販売できるように、図4に示したように、広口リ
シール缶容器のキャップの外径を、缶胴の外径52.4
mmよりも少し小さめの45mm、49mmとすれば、
上下方向に積み重ねた状態で、傾斜部の下端より下方に
設けられているコブ状凹凸部の天板部からの高さを、上
方に積み重ねられる底部のへこみ深さよりも大きくし底
部のへこみ部とは傾斜部の下端だけが係合し、コブ状凹
凸部や傾斜部全面とは係合しないようにして横方向や周
方向にずれた時でも、傷付きを防ぐとともに、安定した
スタック性が維持できるようにする。また、天板部33
の中央側を容器内方にへこませば、陰圧缶だけでなく陽
圧缶にも適用でき、積み重ね部における接触部分が少な
くなり傷付き防止の効果を更に向上させたり、キャップ
天板部を下に向けた場合でも安定したスタック性が得ら
れる。したがって、上下方向に安定して積み重ねられる
機能と、内容物の取出口を大きくさせ内容物を容器から
器等に移し替えやすいようにする広口機能との両方の機
能を持たせることができる。なお、缶胴外径とほぼ同じ
52mmのものは、通常の底蓋巻き締めではスタック性
を確保することができなかった。
【0058】また、広口リシール缶容器のキャップの外
径を容器の缶胴外径52.4mmに対して5%以上でか
つ15%以内の範囲で小さめに設定、例えば、缶胴の外
径に近い49mm(7%小さめ)、45mm(14%小
さめ)とすれば、上記の効果に加えて、キャップの天板
部を下方にして逆置搬送する場合でも安定した搬送が行
え、開口部の広い底蓋側から内容物を充填できる自由度
が得られるとともに充填効率を向上させることが可能と
なる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ロールオン成形後のキャップ天板部とスカート部とを接
続するコーナー部分の環状段部を整形加工して、ライナ
ー部材のカール外周面に対する密着力を増大させて、密
封性を確保することができ、しかも積み重ねの際の傷付
き防止効果を向上させ、又、既存缶の充填ラインへの適
用を可能とする。
【0060】また、リシール缶容器が傾いた状態あるい
はキャップ面側を下方にした状態で落下した場合のキャ
ップの変形に対して優れた密封性を有し、自動販売機等
での販売を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の密封用ライナー付きロールオンキャ
ップと容器本体とを示す広口リシール缶の左半分を切断
端面として示した正面図である。
【図2】 広口リシール缶容器の左半分を切断端面とし
て示した正面図である。
【図3】 広口リシール缶を積み重ねた状態を示す説明
図である。
【図4】 広口リシール缶容器を直列的に積み重ね状態
を示す部分拡大断面図である。
【図5】 キャップのスカート部に施されるスリット等
の一部形状を省略したロールオン成形前の状態を示す部
分拡大切断端面図である。
【図6】 キャップのスカート部に施されるスリット等
の一部形状を省略した容器口部に装着するときの状態を
示す部分拡大切断端面図である。
【図7】 キャップのロールオン成形後の状態を示す説
明図である。
【図8】 ボトル型のリシール缶を示す一部を破断した
側面図である。
【符号の説明】
20…缶本体、 23…口頸部、 25…ライナー、
26…キャップ、 27…スカート部、 28…コーナ
ー部分、 29…下段部、 30…容器底部、32…コ
ブ状凹凸部、 33…天板部、 34…チャック壁、
35…カール部、 36…ネジ部、 40…外側環状リ
ブ、 41…外周壁、 42…内側環状リブ、 43…
内周壁、 44…薄肉部、 47…空隙部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 53/04 B65D 21/02 C E (72)発明者 荒木 英司 神奈川県相模原市西橋本五丁目5番1号 大和製罐株式会社技術開発センター内 Fターム(参考) 3E006 AA02 BA05 CA05 DA01 DB01 3E061 AA16 AB05 AB06 AB08 AB13 AC03 AD04 AD09 BA02 BB06 BB12 DB09 3E084 AA02 AA12 AA22 AA23 AB01 AB06 BA01 CA01 CC02 DA01 DB02 DB12 DB18 DC02 FA09 FB02 FD08 GA01 GB01 HA02 HB03 HC03 HD01 HD02 KA13

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天板部の周縁からスカート部を垂下させ
    た金属製のシェルと、その天板部の内面側に付設される
    密封用ライナーとからなるキャップを、口部となる開口
    端部分にカール部を有する金属製容器の口頸部に装着し
    てロールオン成形により、容器口部の雄ネジに合わせて
    前記スカート部に雌ネジを成形するようにし、口部の大
    きさが容器の缶胴の外径に近いネジ付き缶容器におい
    て、 ロールオン成形前の状態における前記シェルの天板部と
    スカート部とを接続するコーナー部分の全周に環状段差
    が形成され、 前記キャップにおけるスカート部の外径が、容器の缶胴
    外径に対して5%以上小さい外径とされているととも
    に、ロールオン成形の際に、前記環状段部の下段部が傾
    斜状に整形加工され、 ロールオン成形後の状態で、前記傾斜部より下側に環状
    のコブ状凹凸部が設けられ、 前記整形加工された部分と係合されるへこみ部が容器底
    部に設けられ、 前記コブ状凹凸部の形成される前記天板部からの高さ
    が、そのへこみ部の深さより大きく形成されていること
    を特徴とするネジ付き缶容器。
  2. 【請求項2】 前記容器が、熱可塑性樹脂フィルムが被
    覆されている樹脂被覆金属板からつくられた溶接缶体の
    容器底部側に相当する開口端部分に皿状の底蓋が巻締固
    着されていることを特徴とする請求項1に記載のネジ付
    き缶容器。
  3. 【請求項3】 天板部の周縁からスカート部を垂下させ
    た金属製のシェルと、その天板部の内面側に付設される
    密封用ライナーとからなるキャップを、口部となる開口
    端部分にカール部を有する金属製容器の口頸部に装着し
    てロールオン成形により、前記口頸部に形成されている
    雄ネジに合わせて前記スカート部に雌ネジを成形するよ
    うにしたネジ付き缶容器のキャップ密封構造において、 ロールオン成形前の状態における前記シェルの天板部と
    スカート部とを接続するコーナー部分の全周に環状段部
    が形成され、 前記密封用ライナーの周辺部分に、先端の径が前記カー
    ル部における頂端の直径とほぼ等しい径で垂下して形成
    された環状の内側環状リブと、前記カール部の外径より
    僅かに小さい径の内周壁と前記スカート部の内面から隔
    てられた外周壁とを有するとともに前記内側環状リブに
    対して薄肉部を介して接続されかつ前記内側環状リブと
    は同心状の環状をなす外側環状リブとが形成され、 ロールオン成形の際に、前記環状段部の下段部が整形加
    工され、ロールオン成形後の状態で、前記内側環状リブ
    及び外側環状リブが、前記口部のカール部外面に密着さ
    れるとともに、前記薄肉部と前記カール部外面との間に
    空隙部が形成されていることを特徴とするネジ付き缶容
    器のキャップ密封構造。
  4. 【請求項4】 前記外側環状リブの前記内周壁の内径
    が、前記カール部の外径に対して0.3mm〜0.7m
    m小さいことを特徴とする請求項3に記載のネジ付き缶
    容器のキャップ密封構造。
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