JP2010269832A - ライナー付きキャップ及びキャップ付きボトル - Google Patents

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Abstract

【課題】 開栓性、密封性及びガスバリアー性に優れると共に生産性や実用性も良好なライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルを提供すること。
【解決手段】 ボトル本体の口部を封じるライナー付きキャップであって、天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなるキャップ本体と、天板部の内面に設けられたライナー7と、を備え、ライナー7が、天板部の内面に接して配された摺動層7aと、摺動層7aに積層され摺動層7aよりも柔軟な密封層7bと、摺動層7aと密封層7bとの間に配されガスバリアー性を有する中間層7cと、該中間層7cと摺動層7a又は密封層7bとの間に設けられこれらを接着させる接着層7dと、を備えている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、開栓性、密封性及びガスバリアー性等に優れたライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルに関する。
ガラスビン、アルミのボトル缶、PETボトル等に使用されている金属キャップや、プラスチックキャップの多くにはライナー材が使用されている。特に、金属製キャップにはライナーが必須であり、このライナーには合成樹脂が広く使用されている。この金属製キャップは、アルミ薄板、ブリキ薄板、クロム鍍金薄板等の両面に、数回の塗装を繰り返し、打ち抜き成形したものをキャップシェルとし、溶融樹脂をキャップシェルの中に入れ、型押しする方法(インシェルモールド法)が一般的である。
その他、発泡PEディスクを挿入する方法、塩ビゾルを流し込み加熱成形する方法等があるが、コスト、衛生性等の問題があり、使用範囲は限定される。また、プラスチックシェルの成形法もほぼ同じである。このインシェルモールド法は、ライナーの使用量の効率が良く、シール性の良好なものが得られるが、ライナー材がキャップシェルと完全に接着しているために、開栓時に容器の口部とキャップシェルとの摩擦が比較的大きい。このため、開栓に必要なトルクが大きく、開栓が困難であるという問題が時々発生する。
このため、多くのライナー材には、脂肪酸アミドを主とした滑剤が添加されている。この滑剤がライナー表面にブリードし、これにより容器口部との摩擦を下げて、低いトルクで開栓することができるように工夫されている。しかしながら、この滑剤のブリード量をコントロールするのが難しく、ブリード量が少なすぎると、充分な滑剤の役目を果たさず、高い開栓力が必要になり、ブリードが多すぎると、滑剤が内容物の上に落下し、異物として見なされるという問題がある。
これらの問題に対して、後述するような二層ライナーが提案されている。これは硬度の高い樹脂と柔軟な樹脂とを貼合し、密封性は柔軟な樹脂層で保持し、開栓時の適性トルクは硬い樹脂層とキャップシェルとの摩擦による方式である。この二層シートのライナーは良好な密封性を示すが、長期保存を必要とする内容物に対しては密封性が十分ではない。この主な要因は、ライナーを酸素等の気体が透過して、内容物の劣化に寄与するためである。
プラスチックは、一般に硬いほうがガスバリアー性は良いが、ライナー材としては容器とキャップシェルとの間の密封性を保つために、ある程度の柔軟性が必要である。このため、ライナー材は、一般のプラスチックの中でもガスバリアー性の劣る材料が使用されている。高温充填品用のキャップライナーやレトルト処理用のライナーは、特にガスバリアー性の悪い材料を使用せざるを得ない状態である。ライナー材としては柔軟性を持った材料を使用しなければならないため、従来からライナー材のガスバリアー性を上げる方法や材料の提案がなされている。
例えば、従来、特許文献1から8に記載されている技術が提案されている。
これらに記載の技術は、ライナー材としてはいくつかの欠点を持っている。例えば、特許文献1に記載のライナー材は、多層構造になっており、バリアー層と柔軟層とを持っているが、ビン口に酸化ケイ素等の薄膜蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムが接する構造になっている。この方式では、蒸着層が固く、ビン口の凹凸を充分カバーできないため、充分な密封性が得られない。
また、特許文献2には、中足パッキン付き合成樹脂キャップにおいて、キャップシェル又は中足パッキンにバリアー材をインサート、貼着、蒸着、塗布等で付ける方法が記載されている。この方法は、生産可能なものもあるが、高コストになる。例えば、インサート成形は製造装置が大掛りになり、生産速度が著しく劣るため、高価格のキャップになる。貼着、塗布、蒸着も、同様にコストが掛かる。また、これらのキャップライナーでは、レトルト処理には耐えられない。
また、特許文献3には、ガスバリアー性と耐熱性とを備えた容器蓋が記載されている。この技術は、架橋されたブチルゴムとPP樹脂と流動パラフィンとからなるエラストマーをライナー材に使用したキャップであるが、レトルト処理に耐えるようにするため、架橋してある。このため、ライナーから架橋剤の臭いがして、食品には不適である。また、滑り性が悪いため、PPキャップ等の回転して開栓するキャップのライナーとしては不適である。
さらに、特許文献4では、摺動層と密封層とからなるライナー材において、摺動層とキャップシェルとの間に不揮発性液体を塗布し、キャップシェルとライナーとの密着を完全にし、酸素等のガスの透過を防ぐという方法である。この方法は、容器に窒素、炭酸ガス等で内圧がかけられている状態で、ライナーがキャップシェルに密着し、良好なシール性を示す。また、ライナーも不揮発性液体でキャップシェルと接しているので、回転が自由なため、低いトルクで開栓することができる。しかし、容器が常圧であったり、減圧状態であった場合、キャップシェルとライナーとの密着が旨くいかず、不揮発性液体のバリアー効果が出ないという問題がある。
また、ボトル缶、ガラスビン、PETボトル等に使用されるアルミ製キャップに使用されているライナー材は、ポリエチレンを主体としたポリオレフィンライナーが使用されている。また、レトルト処理等の耐熱性を要するものは、スチレン系エラストマーが多用されている。これらのライナー材は、インシェルモールド方式で成形されるのが多い。これらのライナー材は、インシェルモールド方式で成形するため、シートライナーに比べ、材料ロスが少なく、経済性に優れているが、上述したように、ライナーがキャップシェルに完全に接着しているため、開栓トルクが高いという欠点を持っている。
PP樹脂等の合成樹脂のキャップシェルにスチレン系又はオレフィン系ライナー材をインシェルモールドした場合でも、同様に開栓トルクが高くなる傾向にある。この対策として、ライナー材に滑剤を添加し、表面に滑剤をブリードさせて滑性を出し、容器とキャップとの間の摩擦抵抗を下げて開栓トルクを下げるという方法が一般的である。この方法は、滑剤のブリードを一定にさせるのが難しく、ブリード量が少なすぎると開栓トルクが高くなり、上述したように、ブリード量が多いとライナー表面にブリードした滑剤が内容物の上に落下して、異物の原因になる。
これに対し、例えば特許文献5に示す二層シートのライナーが提案されている。このライナーは、特許文献4と同様に、柔らかな密封層と硬い摺動層とを貼合したもので、開栓時、摺動層とキャップ天面とで摺動するため、低トルクが得られる仕組みになっている。このライナー材は、シール性、開栓性に優れているが、ライナーがキャップ天面に密着していないために、ライナーを透過した酸素等が内容物を劣化させ、商品サイクルの長いものには酸素バリアー性が足りないという問題がある。
特開2000−344269号公報 特開2001−192057号公報 特開2002−160759号公報 特開2008−50031号公報 特開2007−119059号公報 特開2003−12013号公報 特開2008−174249号公報 特開2004−1862号公報
上述したように、アルミ、ブリキ等の金属製キャップの場合、容器口との密封性を完全にするため、ライナーを必ず具備している。また、高い密封性を要求する樹脂製キャップにも、ライナーが具備されている。これらのライナー材は、容器(ガラスビン、PETボトル、ボトル缶等)の口部の微細な凹凸を完全に密封するために、ある程度の柔軟性を要求される。この柔軟性をプラスチックやエラストマーに要求する場合、柔軟性が大きい(軟らかい)ほど、一般にガスバリアー性が劣り、耐熱性が下がる傾向にある。
ガスバリアー性が下がることにより、内容物の酸化劣化が促進され、シェルフライフを長く取ることができないという問題がある。また、レトルト処理に耐えることができないライナーでは、その使用用途が限定される。
また、柔軟性のあるライナー材は滑りが悪いため、回転して開けるキャップの場合、開栓トルクが高くなり、クレームの大きな要因になる。この対策として、上述したように、ライナー材に滑剤を添加し、滑り性を向上させ、開栓トルクを下げるという方法が採られている。
しかし、この場合、滑剤のコントロールが旨くいかず、滑剤を使用しても高い開栓トルクになったり、滑剤量が多すぎて、内容物の上に滑剤が落下してクレームの原因になったりする。一方、この対策として、上記特許文献1では、多層シートライナー材が提案されている。これは、ライナー材が摺動層と密封層とに分かれて、接合されており、PP樹脂のような硬い樹脂が摺動層としてキャップシェルに接し、エラストマーのような軟らかい樹脂が密封層としてビン口に接し、密封性を維持するようになっている。
この場合、開栓はキャップシェルとライナーの摺動層との間で滑りが起るので、ライナー材に滑剤を添加する必要はないため、開栓トルクをコントロールするための滑剤の問題は起らない。しかし、この方式はキャップシェルとライナーとの間で摺動させるため、ライナーとキャップシェルとの間が密着していないので、酸素等のガスがキャップシェルとライナーとの間からライナー天面を通して抜け、内容物を劣化させるため、長期保存には向かない面がある。
この改善の一つとして、上記特許文献4では、キャップシェルとライナーとの間に、不揮発性有機液体を塗布する方法が提案されている。この方法は、ライナーとキャップシェルとを密着させ、しかも開栓時にキャップシェルとライナーとの間で摺動させて、安定した開栓トルク値が得られるという特徴がある。この方式は、ガラスビン,PETボトル等の容器に充填されたものが、内圧状態にあり、常にライナーを内側からキャップシェルに押している状態では良好な結果が出る。しかしながら、上述したように、充填された状態が常圧又は陰圧であると、シェルとライナーとの間に隙間ができ、天面からのガス透過が起り、内容物の劣化を促進させるという問題がある。
また、上記特許文献6には、パッキング材とキャップシェルとの間に、酸素遮蔽シートとしてナイロン等の酸素透過性の低い材料を供試した構造のライナーが提案されている。この方式であると、ナイロン等の滑りの悪いバリアー材が直接キャップシェルと接触することにより、開栓トルクが高くなる。また、このようにバリアー層が被覆されていないと、バリアー材は水分と接触することにより、ガスバリアー性、物性の劣化が起こり、充分な性能を発揮できない。
また、上記特許文献5に記載されているような摺動層と密封層とが接着された二層ライナー(シートモールドライナーを含む)は、良好な開栓性を示すが、上述したように高いガスバリアー性を必要とするキャップのライナー材としては充分ではない。その原因として考えられるのが、シートモールドライナーとキャップシェルとの間が、開栓時に摺動する構造になっているため、酸素等のガスがキャップシェルとライナーとの間を通過し、さらにライナー材を透過して内容物を劣化させるためと考える。
このため、摺動層に一定のガスバリアー性を持たせたものが提案されている。例えば、上記特許文献7では、EVOH樹脂(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)、ナイロン等の酸素遮断シートである空気遮断材と、パッキング材としてポリエチレン等の弾性樹脂材料とから成る構成の容器蓋が提案されている。しかしながら、EVOH樹脂、ナイロン等のバリアー材は水分を吸うことにより、ガスバリアー性が下がるという問題がある。また、これらの空気遮断材の多くは滑りが悪いため、二層シートの摺動層として使用した場合、滑りをコントロールすることが難しい。このため、開栓トルクを、希望する一定の値に収めることが難しいという問題がある。
また、これらの空気遮断材は、パッキング材と完全に接着していなければならないが、一般にEVOH樹脂、ナイロン等の空気遮断材は、パッキング材(密封層)として使用されるポリエチレンやエラストマーとは充分な接着力が得られない。したがって、空気遮断材をバリアー材で構成し、パッキング材をポリエチレン等で構成する従来の方法は、実用に供するには生産面、価格面、実用面で多くの困難がある。
また、上記特許文献8では、樹脂キャップの中栓のオレフィン樹脂にEVOH樹脂等のバリアー樹脂を一定量ブレンドしてガスバリアー性を向上させる方法が提案されている。この方法は、PETボトルのようにボトル口部の寸法精度が高いものに対してはある程度有効であるが、ガラスビン、リシール缶等のビン口精度が十分でない容器に対しては十分ではない。
これらの中栓方式のライナーは、ビン口内径の精度が重要であるが、ガラスビン、リシール缶等は製法上中栓の精度をPETボトル並みに上げることはできない。一方、EVOH樹脂等のガスバリアー性樹脂は硬度が高いので、ポリエチレン等の樹脂にブレンドした場合、ますます硬くなり、それ自体のガスバリアー性は上がっても、パッキンとしての密封(細かい凹凸を密閉する)する能力が著しく悪い方向になるので、通常の容器のパッキンとしては好ましくない。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、開栓性、密封性及びガスバリアー性に優れると共に生産性や実用性も良好なライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のライナー付きキャップは、ボトル本体の口部を封じるライナー付きキャップであって、天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなるキャップ本体と、前記天板部の内面に設けられたライナーと、を備え、前記ライナーが、前記天板部の内面に接して配された摺動層と、該摺動層に積層され前記摺動層よりも柔軟な密封層と、前記摺動層と前記密封層との間に配されガスバリアー性を有する中間層と、該中間層と前記摺動層又は前記密封層との間に設けられこれらを接着させる接着層と、を備えていることを特徴とする。
このライナー付きキャップでは、ガスバリアー性を有する中間層と摺動層又は密封層との間に設けられこれらを接着させる接着層を備えているので、例えば中間層と密封層とを直接接着させたときに十分な接着強度を得られない場合でも、接着層を介して中間層と密封層とを接着させることで、良好な接着性を得ることができる。
また、硬度の高い樹脂等をキャップシェル内面と接する摺動層とし、それと完全に密着した弾性体を密封層(主にエラストマー等)とし、摺動層と密封層との間にガスバリアー層である中間層を介在させることにより、ガスバリアー性の優れたライナーが得られる。すなわち、ライナーを、摺動層、中間層、接着層及び密封層の順による多層にして、中間層にガスバリアー性を持たせることにより、密封性、ガスバリアー性、開栓性、対レトルト性等に優れたライナー材を提供できる。なお、密封層と摺動層との間であって接着層を介して中間層が接着されていれば、摺動層を多層にして、その中に接着層を介して中間層を挿入した構造でも構わない。
また、本発明のライナー付きキャップは、前記中間層が、金属箔で形成されていることを特徴とする。
すなわち、このライナー付きキャップでは、中間層が、アルミ箔等の金属箔で形成されているので、非常に高いガスバリアー性を得ることができる。
また、本発明のライナー付きキャップは、前記中間層が、ガスバリアー性樹脂で形成されていることを特徴とする。
すなわち、このライナー付きキャップでは、中間層が、EVOH樹脂等のガスバリアー性樹脂で形成されているので、押出成形で中間層を形成することができ、低コストであると共に生産性に優れている。
また、本発明のライナー付きキャップは、前記中間層が、前記摺動層よりも前記密封層との接着強度が低い材料であって、前記接着層が、前記摺動層と同じ材料で形成されていることを特徴とする。
すなわち、このライナー付きキャップでは、接着層が、中間層に対して接着性が良好な摺動層と同じ材料で形成されているので、積層製作が容易になり、低コスト化を図ることができる。
また、本発明のライナー付きキャップは、前記密封層が、モールド成形で形成されていることを特徴とする。
すなわち、このライナー付きキャップでは、密封層が、モールド成形で形成されているので、ボトル本体の口部形状に対応した多様な形状の密封層を容易に得ることができる。
また、本発明のライナー付きキャップは、前記密封層が、スチレン系エラストマーで形成されていることを特徴とする。
すなわち、このライナー付きキャップでは、密封層が、低MFRのSEBS(スチレン・エチレン−ブチレン・スチレン)とPP樹脂と流動パラフィン等のブレンドであるスチレン系エラストマーで形成されているので、レトルト処理に耐えるライナーが得られる。
本発明のキャップ付きボトルは、キャップを備えたボトルであって、前記キャップが、上記本発明のライナー付きキャップであることを特徴とする。
すなわち、このキャップ付きボトルでは、キャップが、上記本発明のライナー付きキャップであるので、良好な開栓性及び密封性だけでなく、優れたガスバリアー性及び生産性等を有している。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルによれば、ガスバリアー性を有する中間層と摺動層又は密封層との間に設けられこれらを接着させる接着層を備えているので、接着層を介して中間層の良好な接着性を得ることができ、摺動層による開栓性、密封層による密封性、及び中間層によるガスバリアー性の向上と共に接着層による高い接着性で良好な生産性を得ることができる。
本発明に係るライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルの一実施形態において、キャップを示す一部を破断した側面図である。 本実施形態において、ライナーを示す断面図である。 本実施形態において、キャップ付きボトルを示す要部の拡大断面図である。
以下、本発明に係るライナー付きキャップ及びキャップ付きボトルの一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
本実施形態のキャップ1は、図1から図3に示すように、ボトル本体2の口金部(口部)3を封じるライナー付きキャップであって、天板部4と該天板部4の周縁から垂下した筒状周壁部5とからなる有底筒状で樹脂製又は金属製のキャップシェル(キャップ本体)6と、天板部4の内面に設けられたライナー(キャップ用ライナー)7と、を備えている。
また、本実施形態のキャップ付きボトル8は、図3に示すように、上記キャップ1をボトル本体2の口金部3に巻き締めた状態で備えている。
上記キャップシェル6は、例えばポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂等の樹脂成形されたものや、アルミニウム又はアルミニウム合金の板材から加工されたものである。
上記ライナー7は、天板部4の内面に接して配された摺動層7aと、該摺動層7aに積層され摺動層7aよりも柔軟な密封層7bと、摺動層7aと密封層7bとの間に配されガスバリアー性を有する中間層7cと、該中間層7cと密封層7bとの間に設けられこれらを接着させる接着層7dと、を備えている。すなわち、密封層7bは、中間層7c及び接着層7dを介して摺動層7aに積層されている。
上記中間層7cは、摺動層7aよりも密封層7bとの接着強度が低い材料であって、摺動層7a及び密封層7bよりも高いガスバリアー性を有する材料、例えば金属箔又はガスバリアー性樹脂で形成されている。
なお、上記接着層7dは、摺動層7aと同じ材料で形成されていることが好ましい。
また、上記密封層7bは、モールド成形で形成され、スチレン系エラストマーで形成されていることが好ましい。
すなわち、中間層7cとして挿入するバリアー材は、EVOH樹脂(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)、PA(ナイロン)、PAN(ポリアクリロニトリル)等の有機ガスバリアー樹脂が好ましいが、アルミ、鉄、スズ等の金属シート(金属箔)でもよい。この場合、中間層7cとして金属シートが使用されるとき、両面に貼合されるものは耐熱性のあるPETフィルムやPPフィルムやエポキシフェノール等の焼付け塗料が適しているが、口金部3側の面には密封層7bと接着させるため、PPフィルムの接着層7dが形成されることが望ましい。
なお、中間層7cとして採用したアルミ、鉄、スズ等の金属シートには、接着層7dとしてエポキシフェノール等の合成樹脂塗料を塗布してもよい。この場合、口金部3側の面には、密封層7bと接着させるために、密封層7bと接着可能な塗料か、接着成分を添加した塗料の接着層7dが形成されることが好ましい。
上記密封層7bとしては、各種エラストマーが適しているが、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーが、価格面、耐熱面、摺動層との接着性、成形性等で適切である。特に、上述したように、レトルト処理を考慮するとスチレンブロックコポリマーとPP樹脂と流動パラフィン等の柔軟材とのブレンドであるスチレン系エラストマーが好ましい。
このエラストマーに使用されるSBC(水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム)は、低MFR(230℃−5kgで0.01g/10min以下のもの)のSEBS(スチレン・エチレン−ブチレン・スチレン:水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム)又はSEPS(スチレン・エチレン−プロピレン・スチレン:イソプレン重合体ブロックを用いた水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム)である。SIS、SBS、SIBS等の他のSBCは、耐熱性が不十分でレトルト処理には耐えられない。このレトルト可能なスチレン系エラストマーに使用される柔軟材としては、流動パラフィンが一般的であるがポリブテン等も使用できる。
次に、本実施形態のライナー7及びキャップ1の製造方法例を説明する。
まず、共押出しにより、中間層7cであるEVOH樹脂の両側を摺動層7a及び接着層7dとなるPP(ポリプロピレン)樹脂で挟んだシートを形成する。このとき、このEVOH樹脂とPP樹脂とを接着させるために接着剤として変性オレフィン樹脂を挿入させてシートにする。したがって、このシートはPP樹脂(摺動層7a)/接着剤/EVOH樹脂(中間層7c)/接着剤/PP樹脂(接着層7d)の構成になる。
これはガスバリアー層である中間層7cが、PA、PANの場合でも同様である。
本実施形態では、このシートの厚さを例えば0.4mmに設定した。また、これをΦ37.6mmのディスクに打ち抜き、呼び径38mmアルミ製PPキャップのキャップシェル6に挿入し、密封層7bとして上記のスチレン系エラストマーをインシェルモールド方式のライナー成形機で、キャップシェル6に挿入したシートの上に成形する。
すなわち、供試ライナーを押出機から溶融状態でストランドに押出一定量をカットし、キャップシェル6の中の挿入したシートディスクのほぼ中央に落下させ、冷却された金型で直ちに一定の形状に型押ししてライナー7とする。
また、中間層7cが100μmのアルミ箔の場合、両面に摺動層7a及び接着層7dとして、エポキシフェノールの塗料を塗装焼付けする。このときの接着層7dとされる片面の塗装は、摺動層7aであるPP樹脂が接着できるようにするため、塗料に変性ポリオレフィンが添加されているものを使用する。これを上記と同様にΦ37.6mmのディスクに打ち抜き、呼び径38mmアルミ製PPキャップのキャップシェル6に挿入し、密封層7bとして上記のスチレン系エラストマーをインシェルモールド方式のライナー成形機で、キャップシェル6に挿入したシートの上に成形する。
このように本実施形態のキャップ1は、ガスバリアー性を有する中間層7cと摺動層7a又は密封層7bとの間に設けられこれらを接着させる接着層7dを備えているので、例えば中間層7cと密封層7bとを直接接着させたときに十分な接着強度を得られない場合でも、接着層7dを介して中間層7cと密封層7bとを接着させることで、良好な接着性を得ることができる。
また、硬度の高い樹脂等をシェル内面と接する摺動層7aとし、それと完全に密着した弾性体を密封層7bとし、摺動層7aと密封層7bとの間にガスバリアー層である中間層7cを介在させることにより、ガスバリアー性の優れたライナーが得られる。すなわち、ライナー7を、摺動層7a、中間層7c、接着層7d及び密封層7bの順による多層にして、中間層7cにガスバリアー性を持たせることにより、密封性、ガスバリアー性、開栓性、対レトルト性等に優れたライナー材を提供できる。なお、密封層7bと摺動層7aとの間であって接着層7dを介して中間層7cが接着されていれば、密封層7b又は摺動層7aを多層にして、その中に接着層7dを介して中間層7cを挿入した構造でも構わない。
なお、中間層7cが、アルミ箔等の金属箔で形成されている場合、非常に高いガスバリアー性を得ることができる。
また、中間層7cが、EVOH樹脂等のガスバリアー性樹脂で形成されている場合、モールド成形で中間層7cを形成することができ、低コストであると共に生産性に優れている。
さらに、接着層7dが、中間層7cに対して接着性が良好な摺動層7aと同じ材料で形成されることにより、積層製作が容易になり、低コスト化を図ることができる。
また、密封層7bが、モールド成形で形成されているので、ボトル本体2の口部(口金部3)形状に対応した多様な形状の密封層7bを容易に得ることができる。
さらに、密封層7bが、SEBS(スチレン・エチレン−ブチレン・スチレン)等のブレンド物であるスチレン系エラストマーで形成されることにより、レトルト処理に耐えるライナー7が得られる。
したがって、このキャップ1を有するボトル8では、良好な開栓性及び密封性だけでなく、優れたガスバリアー性及び生産性等を有している。
次に、本発明に係るキャップ用ライナー及びキャップ並びにキャップ付きボトルを、実際に作製した実施例により評価した結果を、具体的に説明する。
本発明の実施例として、上記本実施形態のライナーを備えたキャップを次のようにして作製した。
<実施例1、比較例1>
内外面を合成樹脂で焼付け塗装した厚さ0.24mmのアルミ板を、呼称38PPキャップのキャップシェルに成形した。また、ライナーの摺動層、中間層及び接着層として、PP樹脂、EVOH樹脂及びPP樹脂(EVOH樹脂の両面にPP樹脂を配したもの)の3層(正確にはEVOH樹脂とPP樹脂との間に接着剤があるので5層)シートを、厚さ500μmで成形した。さらに、このシートに、密封層として厚さ300μmのTPS(スチレン系エラスストマー)のシートを貼合した。そして、これを直径37.6mmのディスクに打ち抜いてキャップシェルに挿入したものを、実施例1−1とした。
また、別の実施例として、上記3層シートを直径37.6mmのディスクに打ち抜いてキャップシェルに挿入したものに、密封層としてTPS(スチレン系エラスストマー)をライナー成形機にてインシェルモールド方式で成形したものを、実施例1−2及び実施例1−3とした。
このほかにガスバリアー性を有する中間層として、MXナイロン、アルミ箔を使用したものを、それぞれ実施例1−4及び実施例1−5として供試した。
なお、比較例として、摺動層がPP単層で密封層がTPSのシートを貼合したもの(比較例1−1)、摺動層がPP単層で密封層がTPSをモールド成形したもの(比較例1−2)、摺動層がEVOH単層で密封層がTPSをモールド成形したもの(比較例1−3)、TPSのモールドの密封層だけのもの(比較例1−4)、及びモールド成形されたオレフィン系エラストマーTPOの密封層だけのもの(比較例1−5)、を供試した。
これらの実施例及び比較例を、ビタミンCが約400ppm入った水溶液を275ml充填した口径38mmのボトル缶(340ml入り)にキャッピングした。このキャッピングは、ヘッド圧を1000Nで行なった。また、キャッピング直前にヘッドスペース部に液体窒素を滴下し、内圧がほぼ0.1MPaになるように調整した。このようにキャッピングしたものに対して、123℃−20分のレトルト処理を加え、55℃恒温室に保管し、以下の評価試験を実施した。
なお、本実施例及び比較例のライナーは、必要に応じ着色材として、酸化チタンを0.5%以下、安定剤としてヒンダードフェノール系安定剤を0.1%以下、滑剤として脂肪酸アミド等の滑剤を1%以下添加されている。
<評価試験の方法>
(酸素バリアー性)
ガスバリアー性のうち、特に酸素バリアー性として酸素透過によるビタミンCの減少量を調べるために、55℃恒温室に2ヶ月放置し、そのビタミンCの変化量を自動電位滴定装置で調べた。
「評価基準」
(下記全ての評価基準で、◎○△は良とされ、×は不良と判断する。各特性の評価で一つでも×を含むものは不良とされる。)
◎=減少率<3%
○=減少率≧3〜<6%
△=減少率≧6〜<10%
×=減少率≧10%
(試料数各3)
(密封性)
上記で充填、レトルト処理したボトル缶に対して、レトルト前後の内圧を測定し、漏れの有無を確認した。さらに、漏れが認められないものに対して、倒立状態で高さ30cm及び10cmから傾斜角度10°の面をもった鉄板に垂直落下させた後、内溶液の漏れ、及び内圧変化により、漏れの有無を確認した。
「評価基準」
◎=30cm落下で漏れ無し
○=10cmで漏れないが30cmで漏れが認められたもの
△=レトルト処理では漏れないが10cm落下で漏れが認められたもの
×=レトルト処理で漏れが認められたもの
(試料数各10)
(開栓トルク)
上述の充填レトルト処理品を、50℃恒温室に1ヶ月放置後取り出し、開栓トルクを測定した。測定は、キャップが回転するのに必要なトルク値(第1トルク)を測定した。なお、アルミのブリッジが切れるときのトルク値(第2トルク)は除く。この開栓トルクは適正な範囲があり、高すぎると開栓が困難になり、低すぎると輸送途中、取り扱い途中でキャップが緩み、漏れが発生する可能性がある。
「評価基準」
◎=50〜150N・cm(最適正トルク値)
○=150〜200 N・cm(やや高いトルク値)
○=30〜50 N・cm(やや低いトルク値)
×=>200 N・cm(高すぎるトルク値)
×=<30 N・cm(低すぎるトルク値)
Figure 2010269832
なお、各実施例及び比較例の詳細な構成及びその評価結果を、以下に示す。
・実施例1−1の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=PP樹脂(200μm)/EVOH樹脂(20μm)/PP樹脂(200μm)の3層構造のシート。なお、PP樹脂は接着剤も含む。()内は構成厚さである。
密封層=TPS(a)(400μm)=スチレン系エラストマー(PP樹脂と流動パラフィンとSEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)とのブレンド物)のシート。但し、SEPSのMFRは0.0g/10min(200℃−5kg)である。
「評価結果」:酸素バリアー性、密封性、開栓性が良好。
なお、上記MFR(メルトフローレート)は、JIS K 7210条件H(試験温度200℃、公称荷重5.00kg)に基づく試験条件で測定したものである。また、この場合の表記を(200℃−5kg)としている。
・実施例1−2の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=実施例1−1と同一構成。
密封層=TPS(a)(400μm)=実施例1−1と同一材。但し、製法はインシェルモールド方式による。なお、厚さは容器口唇部と接する厚さを示す。また、シールに関与しない中央部は、薄くなる構造になっている。(以下の密封層のインシェルモールド方式は、厚さ及び構造が本実施例と同様である。)
「評価結果」:酸素バリアー性、密封性、開栓性が良好。
・実施例1−3の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=PP樹脂(180μm)/EVOH樹脂(40μm)/PP樹脂(180μm)の3層構造のシート。なお、PP樹脂は接着剤も含む。()内は構成厚さである。
密封層=TPS(b)(400μm)=スチレン系エラストマー(PP樹脂と流動パラフィンとSEBSスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンとのブレンド物)のシート。但し、SEBSのMFRは0.0g/10min(200℃−5kg)である。
「評価結果」:酸素バリアー性、密封性、開栓性が良好。
・実施例1−4の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=PP樹脂(100μm)/Al(20μm)/PP樹脂(100μm)の3層構造のシート。なお、PP樹脂は接着剤も含む。Alはアルミ箔である。
密封層=TPS(a)(400μm)=実施例1−1と同一材。但し、製法はインシェルモールド方式による。
「評価結果」:酸素バリアー性、密封性、開栓性が良好。
・実施例1−5の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=PP樹脂(180μm)/MXNy(50μm)/PP樹脂(180μm)の3層構造のシート。なお、PP樹脂は接着剤も含む。MXNyは、MXナイロンである。
密封層=TPS(a)=実施例1と同一材。但し、製法はインシェルモールド方式による。
「評価結果」:酸素バリアー性、密封性、開栓性が良好。
・実施例1−6の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=E/P(a)(5μm)/Al(100μm)/E/Pb(5μm)の3層構造のシート。Alはアルミ箔である。E/P(a)層はエポキシフェノールの焼付け塗料である。E/P(b)層はPP系接着成分が固形分比で5%添加されているエポキシフェノールの焼付け塗料である。
密封層=TPS(a)=実施例1と同一材。但し、製法はインシェルモールド方式による。
「評価結果」:酸素バリアー性、密封性、開栓性が良好。
・実施例1−7の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=PP樹脂(20μm)/Al(100μm)/E/Pb(5μm)の3層構造のシート。なお、PP樹脂は接着剤も含む。Alはアルミ箔である。E/P(a)は滑剤として変性オレフィン樹脂が5%添加されたエポキシフェノールの焼付け塗料である。E/P(b)はPP系接着成分が固形分比で5%添加されているエポキシフェノールの焼付け塗料である。
密封層=TPS(a)(400μm)=実施例1と同一材。但し、製法はインシェルモールド方式による。
「評価結果」:酸素バリアー性、密封性、開栓性が良好。
・実施例1−8の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=実施例1−1と同一構成。
密封層=TPS(c)(400μm)=スチレン系エラストマーは実施例1と同じ。但し、使用SEPSのMFRは1.0g/10min(200℃−5kg)とし、密封層はインシェルモールド方式で成形した。
「評価結果」:酸素バリアー性、開栓性は良好であるが、密封性がやや劣る。
・実施例1−9の構成及び評価
摺動層/中間層/接着層=実施例1−1と同一構成。
密封層=TPO(a)(400μm)=オレフィン系エラストマー(LLDPEとEPR20%のブレンド品)使用。但し、使用LLDPEのMFRは1.0g/10min(200℃−5kg)、密度0.928とし、密封層はインシェルモールド方式で成形した。
「評価結果」:開栓性はやや良好だが、密封性がやや劣る。酸素バリアー性は良好。
・比較例1−1の構成及び評価
摺動層=PP(600μm)の単層構造のシート。なお、()内は構成厚さである。
密封層=TPS(a)(400μm)=スチレン系エラストマー(PP樹脂と流動パラフィンとSEPSとのブレンド物)のシート。但し、SEPSのMFRは0.0g/10min(200℃−5kg)である。また、摺動層と密封層とは、共押出法で同時成形した。
「評価結果」:密封性、開栓性は良好であるが、酸素バリアー性が劣る。
・比較例1−2の構成及び評価
摺動層=PP(400μm)の単層構造のシート。なお、()内は構成厚さである。
密封層=TPS(a)(400μm)=スチレン系エラストマー(PP樹脂と流動パラフィンとSEPSとのブレンド物)。但し、SEPSのMFRは0.0g/10min(200℃−5kg)である。密封層は、インシェルモールド方式で成形した。
「評価結果」:密封性、開栓性は良好であるが、酸素バリアー性が劣る。
・比較例1−3の構成及び評価
摺動層=EVOH(300μm)の単層構造のシート。但し、密封層と接着する面に変性オレフィン樹脂を塗布した。また、厚さは接着剤も含む。
密封層=TPS(a)(400μm)=スチレン系エラストマーは実施例1−1と同じ。なお、密封層はインシェルモールド方式で成形した。
「評価結果」:酸素バリアー性、開栓性は良好であるが、密封性が安定しない。
・比較例1−4の構成及び評価
ライナー=TPS(a)(700μm)によるインシェルモールド方式による単一ライナ−。
「評価結果」:酸素バリアー性がやや良好であり、密封性も良好であるが、開栓トルクが高い。
・比較例1−5の構成及び評価
ライナー=TPO(a)(700μm)のインシェルモールド方式による単一ライナー。
「評価結果」:酸素バリアー性に劣り、開栓トルクが低すぎる。
次に、上記実施例1と同様のライナーを入れたキャップを使用し、充填、殺菌条件を変えて同様の評価を行った。
「充填方法」
実施例1と同様に呼び径38mmのボトル缶(満量340ml入り)に、同様にビタミンCが約400ppm入った85℃の水溶液を290ml充填し、キャッピングした。このキャッピングは、ヘッド圧を1000Nで行なった。また、キャッピング直前にヘッドスペース部に液体窒素を滴下し、内圧がほぼ0.1MPaになるように調整した。このようにキャッピングしたものを55℃恒温室に保管し、以下の評価試験を実施した。なお、比較例として、上記実施例1における比較例と同様のライナーを使用した。
<評価試験の方法>
(酸素バリアー性)
ガスバリアー性のうち、特に酸素バリアー性として酸素透過によるビタミンCの減少量を調べるために、55℃恒温室に2ヶ月放置し、そのビタミンCの変化量を自動電位滴定装置で調べた。なお、コントロールとして充填直後のものを測定した。
「評価基準」
◎=減少率<3%
○=減少率≧3〜<6%
△=減少率≧6〜<10%
×=減少率≧10%
(試料数各3)
(密封性)
上記で充填、熱処理したボトル缶に対して、熱処理前後の内圧を測定し、漏れの有無を確認した。さらに、漏れが認められないものに対して、倒立状態で高さ20cm及び30cmから傾斜角度10°の面をもった鉄板に垂直落下させた後、内溶液の漏れ、及び内圧変化により、漏れの有無を確認した。
「評価基準」
◎=30cm落下で漏れ無し
○=20cmで漏れないが30cmで漏れが認められたもの
△=熱処理では漏れないが20cm落下で漏れが認められたもの
×=熱処理で漏れが認められたもの
(試料数各10)
(開栓トルク)
上述の充填、熱処理品を、55℃恒温室に1ヶ月放置後取り出し、開栓トルクを測定した。なお、測定及び評価は実施例1と同様である。
Figure 2010269832
「評価結果」
実施例2−1〜2―7:酸素バリアー性、密封性、開栓性が良好。
実施例2−8〜2―9:酸素バリアー性が良好であるが、密封性、開栓トルクがやや低い。
比較例2−1〜2−2:酸素バリアー性が劣る。
比較例2−3 :酸素バリアー性が良好であるが、開栓トルクが劣る。
比較例2−4 :酸素バリアー性が劣る。開栓トルクが高い。
比較例2−5 :酸素バリアー性が劣る。
このように上記各評価に示すように、比較例では、酸素バリアー性、密封性及び開栓性の各特性のうちいずれかが不良であるのに対し、本実施例では、酸素バリアー性、密封性及び開栓性のいずれも良い結果が得られている。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…キャップ、2…ボトル本体、3…口金部(口部)、4…天板部、5…筒状周壁部、6…キャップシェル(キャップ本体)、7…ライナー、7a…摺動層、7b…密封層、7c…中間層、7d…接着層、8…キャップ付きボトル

Claims (7)

  1. ボトル本体の口部を封じるライナー付きキャップであって、
    天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなるキャップ本体と、
    前記天板部の内面に設けられたライナーと、を備え、
    前記ライナーが、前記天板部の内面に接して配された摺動層と、
    該摺動層に積層され前記摺動層よりも柔軟な密封層と、
    前記摺動層と前記密封層との間に配されガスバリアー性を有する中間層と、
    該中間層と前記摺動層又は前記密封層との間に設けられこれらを接着させる接着層と、を備えていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  2. 請求項1に記載のキャップ用ライナーにおいて、
    前記中間層が、金属箔で形成されていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  3. 請求項1に記載のキャップ用ライナーにおいて、
    前記中間層が、ガスバリアー性樹脂で形成されていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップ用ライナーにおいて、
    前記中間層が、前記摺動層よりも前記密封層との接着強度が低い材料であって、
    前記接着層が、前記摺動層と同じ材料で形成されていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のキャップ用ライナーにおいて、
    前記密封層が、モールド成形で形成されていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のキャップ用ライナーにおいて、
    前記密封層が、スチレン系エラストマーで形成されていることを特徴とするライナー付きキャップ。
  7. キャップを備えたボトルであって、
    前記キャップが、請求項1から6のいずれか一項に記載のライナー付きキャップであることを特徴とするキャップ付きボトル。
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