以下、本発明の実施形態を、図1~図10を参照しながら説明する。
1.再封性シール材用積層体
1-1.基本構成
再封性シール材用積層体(1)(以下、単に積層体(1)ともいう。)は、再封性シール材(2)の材料として用いられる。再封性シール材(2)は、容器(4)のフランジ部(41)の上面と、フランジ部(41)に接合される蓋材(6)の下面との間に介在させて、それぞれの面を熱融着させる部材であり、得られる包装体(8)に再封機能を付与する。
図1(a)~(c)はいずれも、積層体(1)の一態様の断面図である。
図1(a)の積層体(1)は、第1の熱融着性樹脂層(1a)、再封用粘着剤層(1b)及び第2の熱融着性樹脂層(1c)を備える。
第1の熱融着性樹脂層(1a)は、蓋材(6)の下面(最内面)と熱融着可能な層であり、各種公知の熱可塑性樹脂(A)で構成される。
熱可塑性樹脂(A)の具体例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン(AMPP)、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体(rPP)、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体(bPP)、ポリビニルアルコール(PVA)、アイオノマー樹脂及びアクリル系共重合樹脂等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂(A)はフィルム状又はシート状であってよく、市販品として例えば出光ユニテック(株)製のユニラックスLSシリーズや、オカモト(株)製のアロマーUT100及びアロマ-ET等のアロマ-シリーズを使用できる。
熱可塑性樹脂(A)としては、第1の熱融着性樹脂層(1a)の上面と蓋材(6)の下面との間に形成される蓋材側熱融着部(7)の強度や信頼性等を考慮すると、蓋材(6)の下面の構成材料と同一又は同種のものが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の片面又は両面には、コロナ処理やプラズマ処理、フレーム処理、コート処理等の物理的又は化学的な下地処理(以下、下地処理というときは同様。)を施してもよい。かかる表面改質により、例えば蓋材(6)の下面と第1の熱融着性樹脂層(1a)との熱融着性や、第1の熱融着性樹脂層(1a)と強化層(11d)との接着性、第1の熱融着性樹脂層(1a)又は強化層(11d)と再封用粘着剤層(1b)との密着性、再封用粘着剤層(1b)の剥離性等を調節できる。
第1の熱融着性樹脂層(1a)の厚さ、即ち熱可塑性樹脂(A)の厚みは特に限定されないが、蓋材(6)の下面との熱融着性や、包装体(8)の密封性(気密性)、強度、耐久性及び耐衝撃性等を考慮すると、通常20μm~200μm、好ましくは30μm~100μmである。
再封用粘着剤層(1b)は、第1の熱融着性樹脂層(1a)と第2の熱融着性樹脂層(1c)を接合するための層であり、各種公知の粘着剤(B)で構成される。
粘着剤(B)としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤及び(メタ)アクリル系粘着剤組成物等が挙げられる。
合成ゴム系粘着剤としては、例えば、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SI)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)及びアクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
シリコーン系粘着剤としては、例えば、過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤や付加反応型シリコーン系粘着剤が挙げられる。前者としては、ポリオルガノシロキサン及びポリオルガノシロキサンレジン(MQレジン)を含む前駆組成物をベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物の存在下で重合反応させたものが挙げられる。後者としては、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン及びポリオルガノシロキサンレジン(MQレジン)を含む前駆組成物をヒドロシリル基含有架橋剤及び白金系硬化触媒の存在下で付加反応させたものが挙げられる。
ウレタン系粘着剤組成物としては、例えば、ウレタンプレポリマー及び/又はポリイソシアネート(ウレタンプレポリマーに相当するものを除く。以下、同様。)と、ポリオールと、触媒とを含む二液硬化型ウレタン系粘着剤が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、ポリオール及びポリイソシアネートからなるイソシアネート基末端重合体である。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール及びポリブタジエングリコール等の高分子ポリオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の低分子量ポリオールが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及び2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。触媒としては、例えば、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート等の錫系化合物、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系化合物等が挙げられる。
アクリル系粘着剤組成物としては、各種公知の(メタ)アクリル系共重合体を主剤とする粘着剤組成物を使用できる。(メタ)アクリル系共重合体の構成単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、脂環系(メタ)アクリル酸アルキルエステル、α,β不飽和カルボン酸、芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等を例示できる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を例示できる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル及び(メタ)アクリル酸エトキシメチル等を例示できる。脂環系(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸シクロヘキシルや(メタ)アクリル酸イソボニル等を例示できる。α,β不飽和カルボン酸としては(メタ)アクリル酸やマレイン酸等を例示できる。芳香族系ビニル単量体としてはスチレン等を例示できる。
(メタ)アクリル系共重合体は、各種公知のラジカル重合法(溶液重合、懸濁重合等)で製造できる。また、製造のさい、各種公知の重合開始剤や連鎖移動剤、溶剤を使用できる。重合開始剤としては、例えば、2,2´-アゾビス(イソブチロニトリル)及びジメチル2,2´-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、並びに各種公知の有機若しくは無機過酸化物又はレドックス型開始剤を例示できる。連鎖移動剤としては、メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メチル及びドデシルメルカプタン等を例示できる。溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン及びメチルエチルケトン等を例示できる。前記(メタ)アクリル系共重合体の物性は特に限定されないが、通常、数平均分子量が50000~80000であり、また、ガラス転移温度が-50℃~0℃である。(メタ)アクリル系共重合体としては、例えば、特開2019-111660号公報、特開2019-94513号公報、特開2017-194563号公報に記載のものも使用できる。
粘着剤(B)には粘着付与剤を含めてもよい。具体的には、例えば、ロジン、重合ロジン及び水添ロジン並びにそれらのエステル、並びにポリテルペン、フェノールテルペン及び低分子量ビニル重合体等が挙げられる。低分子量ビニル重合体を構成する共重合性単量体としては、前記(メタ)アクリル系共重合体を構成する単量体が挙げられる。具体的には、例えば、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族系ビニル単量体及び脂環系(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも2種の単量体からなる共重合物等を例示できる。また、該低分子量ビニル重合体は、各種公知のラジカル重合法(溶液重合、懸濁重合等)で製造できる。また製造のさい、各種重合開始剤、連鎖移動剤及び溶剤を使用できる。また、該低分子量ビニル重合体の物性は特に限定されないが、通常、数平均分子量が1000~5000であり、また、ガラス転移温度が60℃~160℃である。低分子ビニル重合体としては、例えば特開2019-111660号公報に記載のものも使用できる。
粘着剤(B)には架橋剤を含めてもよい。具体的には、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属キレート系架橋剤及びシランカップリング剤等が挙げられ、粘着剤(B)の主剤の種類に応じて適切なものを選択できる。イソシアネート系架橋剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、並びに該ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加反応物、該イソシアネートのイソシアヌレート体乃至ビューレット体乃至アロファネート体乃至アダクト体等を例示できる。エポキシ系架橋剤としては、テトラグリシジルキシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル及びエチレングリコールジグリシジルエーテル等を例示できる。オキサゾリン系架橋剤としては、ジフェニルメタン-4,4´-ビス(1-アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ-β-アジリジニルプロピオネート及びテトラメチロールメタントリ-β-アジリジニルプロピオネート等を例示できる。オキサゾリン系架橋剤としては、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体を重合成分とするポリマー等を例示できる。金属キレート系架橋剤としては、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、チタニウムテトラ-2-エチルヘキサノエート、ジルコニウムsec-ブチレート、ジルコニウムジエトキシ-tert-ブチレート等を例示できる。シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等を例示できる。
粘着剤(B)の粘度等の物性や固形濃度等の恒数は特に限定されない。例えば粘度は、ハンドリング性や造膜性等を考慮すると、E型粘度計による粘度(回転数50rpm、25℃)が通常2000~8000mPa・sであり、好ましくは5000~6000mPa・s(回転数50rpm、25℃)である。
再封用粘着剤層(1b)には、例えば粘着剤(B)の耐熱性を向上させるために、各種公知のフィラーを含めてよい。フィラーとしては、例えば、シリカビーズ、アルミナ、ガラスファイバー、ガラスビーズ及びアクリルビーズ等の無機乃至有機フィラーが挙げられ、二種以上を併用できる。
フィラーの平均一次粒子径は特に限定されず、通常は1~50μmであればよい。そのようなフィラーは再封用粘着剤層(1b)の緩衝材として機能し、ヒートシール圧下における再封用粘着剤層(1b)端面からの粘着剤(B)のはみ出しや流出を防ぐ。また、開封時における再封用粘着剤層(1b)の粘着力も大きく損なわない。一方、かかる効果と、第1の熱融着性樹脂層(1a)及び/又は第2の熱融着性樹脂層(1c)の剥離性とを考量すると、平均一次粒子径の上限はより制限してもよい。以上より、フィラーの平均一次粒子径は、好ましくは1~40μm、より好ましくは1~30μm、特に好ましくは1~20μm、一層好ましくは1~10μmである。
フィラーの使用量も特に限定されないが、通常、粘着剤(B)の全固形分(フィラー分を除く)100質量部に対して10~60質量部、好ましくは15~40質量部である。
再封用粘着剤層(1b)の厚みは特に限定されないが、第1の熱融着性樹脂層(1a)及び第2の熱融着性樹脂層(1c)の強度、並びに再封用粘着剤層(1b)の再封機能等を考慮すると、通常0.5μm~100μm、好ましくは2μm~20μmである。
第2の熱融着性樹脂層(1c)は、容器(4)のフランジ部(41)の上面と熱融着可能な層であり、各種公知の熱可塑性樹脂(C)で構成される。
熱可塑性樹脂(C)の具体例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン(AMPP)、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体(rPP)、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体(bPP)、ポリビニルアルコール(PVA)、アイオノマー樹脂及びアクリル系共重合樹脂等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂(C)はフィルム状又はシート状であってよく、市販品として例えば出光ユニテック(株)製のユニラックスLSシリーズや、オカモト(株)製のアロマーUT100及びアロマ-ET等のアロマ-シリーズを使用できる。
熱可塑性樹脂(C)としては、第2の熱融着性樹脂層(1c)の下面と容器(4)のフランジ部(41)の上面との間に形成される容器側熱融着部(5)の強度や信頼性等を考慮すると、該フランジ部(41)上面の構成材料と同一又は同種のものが好ましい。
熱可塑性樹脂(C)の片面又は両面には前記下地処理を施してもよい。かかる表面改質により、例えば再封用粘着剤層(1b)の剥離性や、再封用粘着剤層(1b)と強化層(12)又は第2の熱融着性樹脂層(1c)との密着性、強化層(12d)と第2の熱融着性樹脂層(1c)との接着性、第2の熱融着性樹脂層(1c)と容器(4)のフランジ部(41)上面との熱融着性等を調節できる。
第2の熱融着性樹脂層(1c)の厚さ、即ち熱可塑性樹脂(C)の厚みは特に限定されないが、容器(4)のフランジ部(41)上面との熱融着性や、包装体(8)の密封性(気密性)、強度、耐久性及び耐衝撃性等を考慮すると、通常20μm~200μm、好ましくは30μm~100μmである。
1-2.積層体の変形例
積層体(1)は、第1の熱融着性樹脂層(1a)が、同一又は同種の熱可塑性樹脂(A)を二以上積層した複層であってよい。また、第2の熱融着性樹脂層(1c)も、同一又は同種の熱可塑性樹脂(C)を二以上積層した複層であってよい。そのように、第1の熱融着性樹脂層(1a)及び/又は第2の熱融着性樹脂層(1c)を複層構成とすることで、再封性シール材(2)に複数の特性を付与できる。
前記特性としては、例えば、蓋材(6)の下面と第1の熱融着性樹脂層(1a)とのシール強度の向上、シール時における第1の熱融着性樹脂層(1a)及び/又は第2の熱融着性樹脂層(1c)の過度の流動や変形の抑制、再封性シール材(2)自体の破断防止、容器(4)のフランジ部(41)の上面と第2の熱融着性樹脂層(1c)とのシール強度の向上、並びに包装体(8)の密封性(気密性)、強度、耐久性及び耐衝撃性等の向上等が挙げられる。
図1(b)の積層体(1)は、第1の熱融着性樹脂層(1a)を熱可塑性樹脂(A1)及び熱可塑性樹脂(A2)の二層構成とし、かつ、第2の熱融着性樹脂層(1c)も熱可塑性樹脂(C1)及び熱可塑性樹脂(C2)の二層構成とした態様である。但し、各層の積層数は特に限定されず、実用上は2層~4層程度であるが、5層以上も可能である。
熱可塑性樹脂(A1)及び熱可塑性樹脂(A2)としては、前記した熱可塑性樹脂(A)を使用できる。また、熱可塑性樹脂(C1)及び熱可塑性樹脂(C2)としては、前記した熱可塑性樹脂(C)を使用できる。
熱可塑性樹脂(A1)と熱可塑性樹脂(A2)は、蓋材側熱融着部(7)のシール強度等の観点より同一又は同種の材料であるのが好ましい。また、熱可塑性樹脂(C1)と熱可塑性樹脂(C2)も、容器側熱融着部(5)のヒートシール強度等の観点より同一又は同種の材料であるのが好ましい。そのような組合せとすることで前記特性を好適化できる。具体的には、包装体(8)の密封性(気密性)や強度、耐久性及び耐衝撃性等を向上させることができる。
複層構成の第1の熱融着性樹脂層(1a)の厚みは特に限定されないが、蓋材(6)の下面との熱融着性や、包装体(8)の密封性(気密性)、強度、耐久性及び耐衝撃性等を考慮すると、通常20μm~200μm、好ましくは30μm~100μmである。
複層構成の第2の熱融着性樹脂層(1c)の厚みも特に限定されないが、容器(4)のフランジ部(41)の上面との熱融着性や、包装体(8)の密封性(気密性)、強度、耐久性及び耐衝撃性等を考慮すると、通常20μm~200μm、好ましくは30μm~100μmである。
1-3.積層体の他の変形例
積層体(1)は、第1の熱融着性樹脂層(1a)と再封用粘着剤層(1b)との間、及び/又は、再封用粘着剤層(1b)と第2の熱融着性樹脂層(1c)との間に、強化層を設けたものであってよい。強化層を設けた積層体(1)を再封性シール材(2)として用いると、蓋材(6)の開封箇所を調節したり、開封時における再封性シール材(2)の破断を防いだりできる。また、かかる強化層は断熱機能を有するため、シール時における再封用粘着剤層(1b)の端面における粘着剤(B)のはみ出しや流出を防止できる。
図1(c)の積層体(1)は、第1の熱融着性樹脂層(1a)と再封用粘着剤層(1b)との間に樹脂(D1)からなる強化層(11d)が位置する。また、再封性粘着層(1b)と第2の熱融着性樹脂層(1c)との間にも樹脂(D2)からなる強化層(12d)が位置する。
樹脂(D1)及び樹脂(D2)としては、前記熱可塑性樹脂(A)及び前記熱可塑性樹脂(C)とは異なる熱可塑性樹脂、又は各種公知の熱硬化性樹脂を使用できる。具体的には、例えば、例えば、延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、無延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド及び2軸延伸ポリオレフィン等を使用でき、これら樹脂はフィルム状又はシート状であってよい。また、強化層(11d)及び/又は強化層(12d)としては、各種公知のエポキシ系若しくはウレタン系の熱可塑性樹脂コート層や熱硬化性樹脂コート層を利用することもできる。
樹脂(D1)及び/又は樹脂(D2)の片面若しくは両面には前記下地処理を施してもよい。かかる表面改質により、例えば第1の熱融着性樹脂層(1a)と強化層(11d)との接着性、強化層(11d)と再封用粘着剤層(1b)との密着性、再封用粘着剤層(1b)の剥離性、再封用粘着剤層(1b)と強化層(12d)との密着性、並びに強化層(12d)と第2の熱融着性樹脂層(1c)との接着性等を調節できる。
強化層(11d)と強化層(12d)の厚みは特に限定されず、それらの利用目的に応じて適宜調節すればよいが、いずれも通常1~30μm、好ましくは3~20μmである。
1-4.積層体の製造法
積層体(1)の製造法は特に限定されないが、工業的には、ラミネート法(熱ラミネート、ドライラミネート等)や、共押出法が挙げられる。
ラミネート法の場合には、例えば、熱可塑性樹脂(A)を、粘着剤(B)を介して熱可塑性樹脂(C)と貼り合わせることで、積層体(1)が得られる。貼り合わせの順序や条件(温度、圧力)等は特に限定されない。
積層体(1)に強化層(11d)及び/又は強化層(12d)を設ける場合には、熱可塑性樹脂(A)と樹脂(D1)の貼り合わせや、樹脂(D2)と熱可塑性樹脂(C)の貼り合わせの際に、各種公知の接着剤を使用できる。接着剤としては、各種公知のものを特に制限なく使用でき、例えば、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン系接着剤や二液硬化型のポリエーテル-ポリウレタン系接着剤等のポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、及びエラストマー系接着剤等が挙げられる(以下、接着剤というときは同様。)。貼り合わせの順序や条件(温度、圧力等)は特に限定されない。
共押出法としては、例えばインフレーション法やTダイ法が挙げられる。Tダイ法においては、例えば、原料である一若しくは二以上の熱可塑性樹脂(A)、粘着剤(B)及び一若しくは二以上の熱可塑性樹脂(C)、並びに任意に樹脂(D1)及び/又は樹脂(D2)を、夫々独立した押出機にセットして加熱溶融させた後、それら溶融樹脂を、フィードパイプを経由して一のTダイに輸送し、その吐出口から冷却ロール上に展開させる方法が挙げられる。共押出時の温度や圧力、輸送速度、冷却温度等の条件は特に限定されない。
1-5.積層体の剥離態様
積層体(1)は、その利用態様において、第1の熱融着性樹脂層(1a)と第2の熱融着性樹脂層(1c)の剥離が、再封用粘着剤層(1b)の一方の面若しくは他方の面における界面破壊又は再封用粘着剤層(1b)の凝集破壊によって可能とされる。具体的には、以下の剥離モードIF1、CF及びIF2のいずれかによって可能とされる。
IF1:再封用粘着剤層(1b)の第1の熱融着性樹脂層(1a)側の界面で発生する界面破壊(Interface Failure)
CF:再封用粘着剤層(1b)で発生する凝集破壊(Cohesive Failure)
IF2:再封用粘着剤層(1b)の第2の熱融着性樹脂層(1c)側の界面で発生する界面破壊(以下、IF2ということがある。)
IF1は、強化層(11d)が無い場合は、第1の熱融着性樹脂層(1a)と再封用粘着剤層(1b)との間で生じ、有る場合は、強化層(11d)と再封用粘着剤層(1b)との間で生じる。
IF2は、強化層(12d)が有る場合は、再封用粘着剤層(1b)と強化層(12d)との間で生じ、無い場合は、再封用粘着剤層(1b)と第2の熱融着性樹脂層(1c)との間で生じる。
前記剥離モードには、IF1、CF及びIF2の二種又は三種が混成したモードが含まれる。但し、以下の態様は含まれない。
・第1の熱融着性樹脂層(1a)、強化層(11d)、強化層(12d)及び第2の熱融着性樹脂層(1c)の材料破壊による剥離
・第1の熱融着性樹脂層(1a)と強化層(11d)の間の界面破壊による剥離
・強化層(12d)と第2の熱融着性樹脂層(1c)の間の界面破壊による剥離
前記剥離モードの種類は、IF1に要する強度(F1)、CFに要する強度(F2)、及びIF2に要する強度(F3)(いずれも単位はN/m)の大小関係により定まる。例えばIF1による剥離はF2とF3よりもF1が小さいときに、またCFによる剥離はF1とF3よりもF2が小さいときに、またIF2による剥離はF1とF2よりもF3小さいときに、専ら生じる。
F1は、例えば熱可塑性樹脂(A)又は樹脂(D1)と粘着剤(B)との接着力や、熱可塑性樹脂(A)及び/又は樹脂(D1)の表面粗さ乃至濡れ指数によって規定される。
F2は、例えば粘着剤(B)の種類や物性、硬化条件(温度、硬化剤の使用量等)によって規定される。
F3は、例えば粘着剤(B)と樹脂(D2)又は熱可塑性樹脂(C)との接着力や、樹脂(D2)及び/又は熱可塑性樹脂(C)の表面粗乃至濡れ指数によって規定される。
また、F1、F2及びF3の大小関係は、熱可塑性樹脂(A)、粘着剤(B)及び熱可塑性樹脂(C)、並びに任意の樹脂(D1)及び/又は樹脂(D2)の組合せや、各樹脂における前記下地処理の有無等によっても調節できる。
2.再封性シール材
再封性シール材(2)は、内容物(9)を収容可能な容器(4)の開口周縁(42)に形成されたフランジ部(41)の上面と、容器(4)の開口を塞ぐようにそのフランジ部(42)上面に接合される蓋材(6)の下面との間に介在させて、これらの面を再封可能に熱融着する部材である。
また、再封性シール材(2)は、その内側に容器(4)の開口周縁(42)と同形又は相似形の開口を有する。開口の形状は限定されず、例えば、円形、楕円形、角丸三角形、角丸四角形及びハート形であってよい。
図2に再封性シール材(2)の一態様を示す。この再封性シール材(2)は、容器(4)のフランジ部(41)の上面に熱融着されている。また、その開口は円形であり、容器(4)の開口周縁(42)と相似する。また、該開口の周縁は、容器(4)のフランジ部(41)の周方向の領域内に収まっている。この構成により、包装体(8)の開封後、内容物(9)の取り出しが容易となる。
再封性シール材(2)の使用単位面積における開口の個数は特に限定されず、通常は容器(4)の開口数と同一である。よって、例えば容器(4)の開口が2つであれば、再封性シール材(2)の開口個数も2つとなる。
再封性シール材(2)の外縁の形状は、フランジ部(41)上面と蓋材(6)の下面との間に介在させて使用するという目的に合うように定めればよいが、通常はフランジ部(41)の外周縁の形状と同一又は相似形である。
3.再封性シール材付き容器
再封性シール材付き容器(3)は、内容物(9)を収容可能な容器(4)を本体とし、そのフランジ部(41)の上面に再封性シール材(2)を予め熱融着したものである。
図2で示されるように、再封性シール材付き容器(3)は、再封性シール材(2)と容器(4)で構成される。
図2の容器(4)は、径方向外方に突出したフランジ部(41)と、開口周縁(42)と、底壁(43)と、底壁(43)の周縁から上方に向けて立ち上がった円柱状の周壁(44)とで構成される。また、周壁(44)は、開口周縁(42)を境界線として、フランジ部(41)と一体的に形成されている。
図2において、再封性シール材(2)の開口形状は、容器(4)の開口周縁(42)と同形又は相似形とされる。また、本図において、再封性シール材(2)の開口周縁は、容器(4)の開口周縁(42)よりも大きな相似形とされるが、例えば図5(c)で示されるように、開口周縁(42)よりも小さな相似形であってもよい。
なお、容器(4)の形状は図2のものに限定されない。例えば底壁(43)の形状は、開口周縁(42)と同様、円形、楕円形、角丸三角形、角丸四角形及びハート形であってよい。また、フランジ部(41)の形状も図2のような円環状に限定されず、例えば楕円環状、多角環状であってよい。また、周壁(44)も円柱状に限らず、例えば多角柱状であってよい。また、周壁(44)は垂直起立状である必要はなく、テーパー状としたり、その中間位置に段差が設けられたり、エンボス加工が施されたりしてもよい。また、底壁(43)は、断面が略台形状となるよう隆起させてもよい。
図3は、再封性シール材付き容器(3)の好ましい態様を示す。本図において、容器(4)は容器材(40)で構成されており、これは内面層(40a)と基材層(40b)の複層である。また、再封性シール材(2)の第2の熱融着性樹脂層(1c)とフランジ部(41)の上面とは、容器側熱融着部(5)において熱融着されている。
再封性シール材付き容器(3)は、容器側熱融着部(5)の強度及び信頼性の観点より、容器(4)のフランジ部(41)の上面が熱融着性樹脂で構成されており、かつ、再封性シール材(2)の第2の熱可塑性樹脂層(1c)とフランジ部(41)の上面とが同一又は同種の材料で構成されているのが好ましい。
図3の再封性シール材付き容器(3)は、これを用いた包装体(8)に未シール部(53)を残すために、容器側熱融着部(5)の内側端縁(51)が再封性シール材(2)の内側端縁(52)より少なくとも1mm、具体的には1~5mm外側(即ち容器開口側と反対側)に位置させられている。換言すると、再封性シール材(2)の第2の熱融着性樹脂層(1c)の下面とフランジ部(41)の上面の間に、容器側熱融着部(5)に隣接するように少なくとも1mm幅の、具体的には1~5mm幅の未シール部(53)が形成されている。そのため、かかる特徴構成を有する再封性シール材付き容器(3)を用いて得られる包装体(8)にも、容器開口部側に未シール部(53)を残すことができる。そのような包装体(8)は、後に詳述するように、密封時には耐圧性、耐久性及び耐衝撃性が良好であり、また、開封時には蓋材(6)の完全剥離を予防できる。
内面層(40a)は、容器(4)のフランジ部(41)の上面を構成する。内面層(40a)の構成材料としては、再封性シール材(2)の下面を構成する第2の熱融着性樹脂層(1c)と熱融着可能な樹脂が好ましい。具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン(AMPP)、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体(rPP)、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体(bPP)、ポリビニルアルコール(PVA)、アイオノマー樹脂及びアクリル系共重合樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、該熱可塑性樹脂は、フィルム状又はシート状であってよい。また、該熱可塑性樹脂は市販品であってよく、例えば出光ユニテック(株)製のユニラックスLSシリーズや、オカモト(株)製のアロマーUT100及びアロマ-ET等のアロマ-シリーズを使用できる。また、内面層(40a)は、フィルム状又はシート状の熱可塑性樹脂を複数積層したものであってよい。また、内面層(40a)には、該熱可塑性樹脂に代えて、例えばエポキシ系若しくはウレタン系の熱可塑性樹脂コート層又は熱硬化性樹脂コート層を充ててもよい。
基材層(40b)の構成材料としては、ガラス、金属及び合成樹脂等が挙げられる。
ガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス及びソーダライムガラス等が挙げられる。
金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅及びニッケル等が挙げられる。基材層(40b)に、金属からなる層を含ませる場合には、その外側(即ち容器(40)の外側)に合成樹脂からなる層を配置することにより、金属層の耐候性を上げることができる。
金属の形態は特に限定されず、例えば板状又は箔状であってよい。また、金属の片面又は両面には前記下地処理のうち例えばコート処理がなされていてもよい。例えば、金属表面の接着性を改善するためのコーティング剤として下記(i)~(iii)のいずれかの溶液が好適である。
(i)リン酸と、クロム酸と、フッ化物の金属塩及びフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む水-アルコール溶液
(ii)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂と、クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む水-アルコール溶液
(iii)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂と、クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、フッ化物の金属塩及びフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む水-アルコール溶液
金属箔としては、容器(4)に収容する内容物(9)が例えば食品のように長期の品質維持が要求されるものである場合には、コストや成形性等を考慮して、アルミニウム(合金)箔が好ましい。アルミニウム(合金)箔としては、例えば、軟質(O材)若しくは硬質(H18材)の純アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましく、プレス成形性を考慮するとJIS H4160で規定されるA1000系又はA8000系の軟質材(O材)が好ましい。特に深絞り成形等の冷間成形に適するものとしては、A8021H-O材、A8079H-O材及びA1N30-O材が好適である。
合成樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン(AMPP)、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体(rPP)、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体(bPP)、ポリビニルアルコール(PVA)、アイオノマー樹脂及びアクリル系共重合樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル(PEs)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。また、該合成樹脂は、フィルム状又はシート状であってよく、複数積層させた状態でも使用できる。
容器材(40)は基材層(40b)のみで構成してもよい。例えば容器(4)が瓶やガラス容器の場合には基材(40b)をガラスのみで構成できる。この場合、開口周縁(42)の肉厚部をフランジ部(41)とみなすことができる。また、容器(4)が缶の場合には金属のみで、またプラスチック容器の場合には合成樹脂のみで構成できる。また、ガラス、金属又は合成樹脂のみからなる基材(40b)の表面には、容器側熱融着部(5)の強度や信頼性等を考慮し、例えばエポキシ樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、硝化綿、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の熱硬化性架橋性樹脂よりなるオーバーコート層(以下、オーバーコート層というときは同様。)を設けてもよい。また、基材(40b)が合成樹脂のみからなる場合、該合成樹脂としては、容器側熱融着部(5)の強度や信頼性等を考慮すると、前記熱可塑性樹脂(C)と同一又は同種の熱可塑性樹脂を選択するのが好ましい。
一方、射出成形の場合には、基材(40b)は合成樹脂のみで構成できる。この場合、当該合成樹脂としては、容器側熱融着部(5)の強度や信頼性等を考慮すると、前記熱可塑性樹脂(C)と同一又は同種の熱可塑性樹脂を選択するのが好ましい。この場合も、基材(40b)の表面には前記オーバーコート層を設けてもよい。
容器材(40)が内面層(40a)及び基材層(40b)で構成される場合、プレス成形を考慮すると、該容器材(40)としては、下記構成の複合シート材を例示できる。
(ラミネート材(但し金属層を含まない。以下、同様。))
・内面層(40a):一層又は二層以上のフィルム状若しくはシート状合成樹脂
・基材層(40b):一層又は二層以上のフィルム状若しくはシート状合成樹脂
かかるラミネート材の内面層(40a)と基材層(40b)の厚みは特に限定されないが、成形性、内面層(40a)と再封性シール材(2)の第2の熱融着性樹脂層(1c)との熱融着性、並びに容器(4)及び包装体(8)の強度や耐久性、耐衝撃性等を考慮すると、通常は順に10~500μm及び500~5000μmであり、好ましくは30~300μm及び1000~3000μmである。
(金属ラミネート材)
・内面層(40a) :一層又は二層以上のフィルム状若しくはシート状合成樹脂
・基材層(40b)の内層:金属箔
・基材層(40b)の外層:一層又は二層以上のフィルム状若しくはシート状合成樹脂
かかる金属ラミネート材の各層の厚みも特に限定されないが、その成形性や、再封性シール材(2)の第2の熱融着性樹脂層(1c)と容器材(40)の内面層(40a)との熱融着性、並びに容器(4)及び包装体(8)の強度や耐久性、耐衝撃性等を考慮すると、通常は順に5~200μm、6~100μm及び9~50μmであり、好ましくは10~100μm、9~30μm及び9~25μmである。
容器材(40)としてのラミネート材及び金属ラミネート材は、各種公知のラミネート法(熱ラミネート、ドライラミネート等)で製造できる。また、必要により前記接着剤を使用できる。
金属ラミネート材からなる容器材(40)の具体的な構成例を以下に示す。
・内面層(40a) :無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルム(5~200μm厚、好ましくは10~100μm厚))
・基材層(40b)の内層:JIS H4160のO材のアルミニウム(合金)箔(特にA8079H-O)(6~100μm厚、好ましくは9~30μm厚)
・基材層(40b)の外層:ポリエステル樹脂フィルム(9~50μm厚、好ましくは9~25μm厚)
接着剤:ポリウレタン樹脂系接着剤
再封性シール材付き容器(3)は、本体をなす容器(4)の成形法に応じて製造できる。例えば容器材(40)が単一材料としての前記合成樹脂や、前記ラミネート材、前記金属ラミネート材の場合には、容器(4)の成形法としては、深絞り成形や張り出し成形等などのプレス成形や、射出成形等が挙げられる。
プレス成形に依る場合には、基材(40)として例えば前記金属ラミネート材を用い、これを各種公知の深絞り成形装置(図示略)の所定箇所に配置し、所望の容器形状に成形した後、フランジ部(41)を形成するためのトリミングを行うことにより、容器(4)を一旦作製する。
次に、所定の大きさに加工した再封性シール材(2)を、その開口が容器(4)の開口周縁(42)と整合するようにフランジ部(41)上面に重ねてから、再封性シール材(2)にヒートシーラーを押圧する。こうして、再封性シール材(2)の第2の熱融着性樹脂層(1c)と、フランジ部(41)との間に容器側熱融着部(5)が形成される。
なお、押圧時には、ヒートシール温度下で利用可能なセパレーターフィルムを使用してもよい。そのようなものとしては、再封性シール材(2)の下面を構成する熱可塑性樹脂(C)よりも融点が高い合成樹脂フィルムが挙げられ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を例示できる。
そして、フランジ部(41)の外周縁に沿って再封性シール材(2)をトリミングすることにより、図2で示されるような再封性シール材(2)付き容器(4)を得ることができる。
射出成形に依る場合には、例えば次の二つの方法が挙げられる。
第一の方法では、所定の成形金型(図示略)の上型と下型の間に、容器(4)の開口周縁(42)と同形又は相似形の開口を設けてなる再封性シール材(2)を配置し、金型を閉じる。次に、下型の樹脂注入路より、基材(40)を構成する高温熔融状の合成樹脂を流入させる。このとき、再封性シール材(2)の下層をなす第2の熱融着性樹脂層(1c)と、容器(4)のフランジ部(41)との間に容器側熱融着部(5)が形成される。その後、金型を外し、容器(4)の底壁(43)のバリを除去してから、フランジ部(41)の外周縁に沿って再封性シール材(2)をトリミングすることにより、図2で示されるような再封性シール材付き容器(3)を得ることができる。
第二の方法では、所定の成形金型(図示略)に再封性シール材(2)を配置せずに、容器(4)を一旦作製する。なお、この容器(4)の内面やフランジ部上面には前記オーバーコート層を設けてもよい。その後、前記したプレス成形に依る方法と同様、所定の大きさに加工した再封性シール材(2)を容器(4)のフランジ部(41)上面に重ねてからヒートシールし、トリミングをすることによって、図2で示されるような再封性シール材付き容器(3)を得ることができる。
4.包装体
包装体(8)は、容器(4)の開口を塞ぐように、そのフランジ部(41)の上面に蓋材(6)を接合したものであり、蓋材(6)の下面と、容器(4)のフランジ部(41)の上面とが、再封性シール材(2)によって再封可能に熱融着されている。
図4は、包装体(8)の一態様の斜視図を示す。本図において、蓋材(6)は、再封性シール材(2)(図示略)を介して、容器(4)のフランジ部(41)の上面に熱融着されている。容器(4)は、食品等の内容物(9)(図示略)を収容可能である。
包装体(8)の好ましい態様は、蓋材(6)の下面が熱融着性樹脂で構成されており、かつ、該熱融着性樹脂と、再封性シール材(2)の第1の熱融着性樹脂層(1a)とが同一又は同種の材料で構成された態様である。この態様の包装体(8)は、蓋材(6)の下面と再封性シール材(2)の上面との間で信頼性の高いシールが実現している。
また、包装体(8)の更に好ましい態様は、前記好ましい態様において、容器(4)のフランジ部(41)上面が熱融着性樹脂で構成されており、かつ、該熱融着性樹脂と再封性シール材(2)の第2の熱融着性樹脂層(1c)とが同一又は同種の材料で構成された態様である。この態様の包装体(8)は、再封性シール材(2)の下面と容器(4)のフランジ部(41)の上面との間においても信頼性の高いシールが実現している。
これら包装体(8)は、後に詳述するように耐圧性、耐久性及び耐衝撃性が良好であり、また、開封時の蓋材(6)の完全剥離を予防できる。
図5(a)~(c)は、内容物(9)を収容した包装体(8)の断面図である。本図において、蓋材(6)は蓋材用シート材(60)で構成されており、蓋材用シート材(60)は基材層(60a)と内面層(60b)よりなる複層である。また、蓋材(6)の下面と再封性シール材(2)の第1の熱融着性樹脂層(1a)との間には、蓋材側熱融着部(7)が形成されている。
基材層(60a)の構成材料としては、金属箔及びフィルム状若しくはシート状の合成樹脂等が挙げられる。
前記金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、ステンレス鋼箔、銅箔及びニッケル箔等が挙げられる。基材層(60a)に、金属箔を含ませる場合には、その外側(即ち蓋材(6)の外側)に合成樹脂からなる層を配置することにより、金属箔の割れを防ぐことができる。
金属箔の片面又は両面は前記下地処理のうちコート処理がなされていてもよい。例えば、金属箔表面の接着性を改善するためのコーティング剤としては、前記した溶液(i)~(iii)が好適である。
金属箔としては、容器(4)に収容する内容物(9)が例えば食品のように長期の品質維持が要求されるものである場合には、コスト等を考慮して、アルミニウム(合金)箔が好ましい。アルミニウム(合金)箔としては、JIS H4160で規定されるA8000系の軟質材(O材)が好ましく、特にA8021H-O材やA8079H-18が好ましい。
フィルム状若しくはシート状の合成樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン(AMPP)、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体(rPP)、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体(bPP)、ポリビニルアルコール(PVA)、アイオノマー樹脂及びアクリル系共重合樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル(PEs)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。また、該合成樹脂は、複数積層させた状態でも使用できる。
蓋材用シート材(60)は基材層(60a)のみで構成してもよい。また、当該基材層(60a)が前記フィルム状若しくはシート状の合成樹脂を構成要素とする場合、該合成樹脂としては、蓋材側熱融着部(7)のヒートシール強度や信頼性等を考慮して、前記熱可塑性樹脂(A)と同一又は同種のものを選択するのが好ましい。
内面層(60b)は、蓋材(6)の下面を構成する。内面層(60b)の構成材料としては、再封性シール材(2)の上面を構成する第1の熱融着性樹脂層(1a)と熱融着可能な樹脂が好ましい。具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン(AMPP)、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体(rPP)、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体(bPP)、ポリビニルアルコール(PVA)、アイオノマー樹脂及びアクリル系共重合樹脂等の、フィルム状又はシート状の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、該熱可塑性樹脂は市販品であってよく、例えば出光ユニテック(株)製のユニラックスLSシリーズや、オカモト(株)製のアロマーUT100及びアロマ-ET等のアロマ-シリーズを使用できる。また、内面層(60b)は、該熱可塑性樹脂を複数積層したものであってよい。また、該熱可塑性樹脂としては、蓋材側熱融着部(7)の強度や信頼性等を考慮すると、前記熱可塑性樹脂(A)と同一又は同種の材料が好ましい。また、内面層(60b)としては前記オーバーコート層を利用してもよい。
蓋材用シート材(60)が基材層(60a)及び内面層(60b)から構成される場合、該蓋材用シート材(60)としては、下記構成の複合シート材を例示できる。
(ラミネート材(但し金属層を含まない。以下、同様。))
・基材層(60a):一層又は二層以上のフィルム状若しくはシート状合成樹脂
・内面層(60b):一層又は二層以上のフィルム状若しくはシート状合成樹脂
かかるラミネート材の基材層(60a)と内面層(60b)の厚みは特に限定されないが、内面層(60b)と再封性シール材(2)の第1の熱融着性樹脂層(1a)との熱融着性等を考慮すると、通常順に1~100μm及び10~50μmであり、好ましくは5~80μm及び20~40μmである。
(金属ラミネート材)
・基材層(60a)の外層:一層又は二層以上のフィルム状若しくはシート状合成樹脂
・基材層(60a)の内層:金属箔
・内面層(60b) :一層又は二層以上のフィルム状若しくはシート状合成樹脂
かかる金属ラミネート材の各層の厚みも特に限定されないが、内面層(60b)と再封性シール材(2)の第1の熱融着性樹脂層(1a)との熱融着性等を考慮すると、通常は順に9~50μm、6~100μm及び5~80μmであり、好ましくは9~25μm、9~30μm及び10~50μmである。
蓋材用シート材(60)としてのラミネート材及び金属ラミネート材は、各種公知のラミネート法(熱ラミネート、ドライラミネート等)で製造できる。また、必要により前記接着剤を使用できる。
金属ラミネート材からなる蓋材用シート材(60)の具体的な構成例を以下に示す。
・基材層(60a) :ポリエステル樹脂フィルム(9~50μm厚、好ましくは9~25μm厚)
・内面層(60b)の内層:JIS H4160のアルミニウム(合金)箔(特にA8079H-O又はA8079H-H18) (6~100μm厚、好ましくは9~30μm厚)
・内面層(60b)の外層:ポリプロピレン樹脂フィルム(5~80μm厚、好ましくは10~50μm厚)
接着剤:ポリウレタン樹脂系接着剤
蓋材(6)は、連続体である基材層(60a)の下面(最内面)に、容器(4)のフランジ部(41)と同形又は相似形に加工された内面層(60b)を設けた部分二層構造(図示略)であってもよい。
蓋材(6)には、任意に開封用タブ(61)を設けてよい。その大きさや形状は限定されず、例えば半円形や三角形、四角形であってよい。また、開封用タブ(61)は、蓋材(6)を構成する基材(60)の一部であってもよい。また、別途作製したタブを蓋材(6)の外周縁の一部に取り付けてもよい。
包装体(8)は、蓋材(6)を、再封性シール材(2)を介して、容器(4)のフランジ部(41)に熱融着させることにより製造できる。
包装体(8)は、再封性シール材付き容器(3)の使用有無により、例えば以下の方法で作製できる。
再封性シール材付き容器(3)を使用する場合には、これに内容物(9)を収容した後、本体をなす容器(4)の開口を塞ぐように蓋材用シート材(60)を被せる。次に、該蓋材用シート材(60)の上から、該容器(4)のフランジ部(41)と相似形の、所定温度に加熱した環状ヒートシーラーを、所定時間、所定圧力で押し当てる。また、シールは、例えば図5(a)で示すように、再封性シール材(2)に未シール部(73)及び未シール部(53)が残るように行うのが好ましい。シール後は、蓋材用シート材(60)を、フランジ部(41)の外縁に合わせてトリミングすることにより、蓋材(6)を備える包装体(8)が得られる。また、蓋材(6)には、図4及び5で示されるような開封用タブ(61)を設けておくことで、開封が容易となる。
再封性シール材付き容器(3)を使用しない場合には、容器(4)に内容物(9)を収容してから、フランジ部(41)の上面に再封性シール材(2)を、その開口が容器(4)の開口と整合するように重ね合わせる。次に、蓋材用シート材(60)を更に重ね、所定温度に加熱した環状ヒートシーラーを所定時間、所定圧力で押し当てる。この場合も、シールは、例えば図5(a)で示すように、再封性シール材(2)に未シール部(73)及び未シール部(53)が残るように行うのが好ましい。シール後は、同じく蓋材用シート材(60)をフランジ部(41)の外縁に合わせてトリミングすることにより、蓋材(6)を備える包装体(8)が得られる。また、同じく蓋材(6)には開封用タブ(61)を設けてもよい。
包装体(8)に収容する内容物(9)としては、例えば、バター、マーガリン、チーズ、ジャム、ドレッシング、カレー、シチュー、スープ及びコーヒーフレッシュのような水分乃至油分を多く含む加工食品;味噌、もろみ、麹、甘酒等のような発酵食品;フィルム、医薬品、化学薬品及び洗剤のような嫌気性乃至嫌光性の工業製品;ウェットティッシュ及びウェットガーゼのような衛生品;洗剤を染み込ませたタオル(雑巾)のような掃除用品;その他ネジやボルト等の工業部品が挙げられる。
包装体(8)の好ましい態様は、蓋材側熱融着部(7)の内側(容器開口側)端縁(71)が再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(72)よりも少なくとも1mm、具体的には1~5mm外側(容器開口と反対側)に位置させられている。
包装体(8)の他の好ましい態様は、容器側熱融着部(5)の内側(容器開口側)端縁(51)が再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(52)よりも少なくとも1mm、具体的には1~5mm外側(容器開口と反対側)に位置させられている。
包装体(8)の他の好ましい態様は、蓋材側熱融着部(7)の内側(容器開口側)端縁(71)(51)が再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(72)(52)よりも少なくとも1mm、具体的には1~5mm外側(容器開口と反対側)に位置させられている。
即ち、好ましい態様の包装体(8)には、再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(72)(52)側の上面及び/又は下面に1mm幅の、具体的には1~5mm幅の未シール部(73)及び/又は未シール部(53)が形成されている。
図5(a)~(c)は、好ましい態様の包装体(8)の部分断面図である。各図において、再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(72)(52)側の上面及び下面には、未シール部(73)及び未シール部(53)が形成されている。
図5(a)の包装体(8)は、蓋材側熱融着部(7)と容器側熱融着部(5)の幅が同一とされ、かつ、再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(72)(52)側の上面と下面には同一幅の未シール部(73)(53)が存する。
図5(b)の包装体(8)は、図5(a)のそれと同様、蓋材側熱融着部(7)と容器側熱融着部(5)の幅が同一であり、かつ、再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(72)(52)側の上面と下面には同一幅の未シール部(73)(53)が存する。一方、再封性シール材(2)の外側(容器開口と反対側)端縁側の上面と下面にも未シール部(74)(54)が形成されており、それらは蓋材(6)の開封切掛として利用できる。なお、開封切掛としての未シール部(74)(54)は、いずれか一方あればよい。
図5(c)の包装体(8)は、図5(a)のそれと同様、蓋材側熱融着部(7)と容器側熱融着部(5)の幅が同一とされ、かつ、再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(72)(52)側の上面と下面には同一幅の未シール部(73)(53)が存する。また、両未シール部は、容器(4)の開口周縁(42)を越えて内側にせり出す構成をとる。なお、図示は省略するが、本態様においても、再封性シール材(2)の外側(容器開口と反対側)端縁側に開封切掛としての未シール部(74)及び/又は未シール部(54)を形成できる。
図5で示される包装体(8)のように、再封性シール材(2)の内側(容器開口側)端縁(72)(52)側に未シール部を有するものは、既に述べたように、密封時の耐圧性や耐久性、耐衝撃性が向上している。以下、その考え得る理由を説明するが、この理由によって本発明の技術的範囲が制限されることはない。
図6は、包装体(8)に収容した内容物(9)が発酵食品であったり、加熱調理によって多くの水分を放出する加工食品であったりする場合において、包装体(8)が内圧の増大により膨張している様子を示す。
図6において、包装体(8)は、膨張により、再封性シール材(2)の容器開口側端縁(72)の上方と同端縁(52)の下方との双方に一定域の空隙が生じている。このとき、蓋材側熱融着部(7)の容器開口側の端縁(71)付近では上矢印方向に押し上げる応力が、また、容器側熱融着部(5)の容器開口側端縁(51)付近では下矢印方向に押し下げる応力が、夫々発生している。
ここに、図6の包装体(8)は、所定幅の未シール部(73)及び未シール部(53)があるため、内部で発生した圧力を高シール強度の蓋材側熱融着部(7)及び容器側熱融着部(5)に誘導できる。そのため、剥離強度が相対的に低い再封用粘着剤層(1b)の容器開口側端縁に発し得る内部剥離を防止できる。なお、かかる効果は、未シール部(73)と未シール部(53)のいずれか一方あれば奏されるが、内圧をより多く分散させるためには双方あるのが好ましい。
また、上記機構は、包装体(8)の内容物(9)が工業用部品等の重量物であり、運搬時や落下時に蓋材(6)の下面や容器(4)の内面に内容物(9)が衝突する場合においても同様に働く。
次に、包装体(8)の開封機構について説明する。包装体(8)は、容器フランジ部(41)に熱融着された蓋材(6)の剥離が、再封性シール材(2)を形成する積層体(1)における剥離によって可能とされる。即ち、蓋材(6)の剥離は、再封性シール材(2)の第1の熱融着性樹脂層(1a)と第2の熱融着性樹脂層(1c)の剥離によって可能とされており、この剥離は、再封用粘着剤層(1b)の一方の面若しくは他方の面における界面破壊又は再封用粘着剤層(1b)の凝集破壊によって可能とされる。
ここに、前記界面破壊又は凝集破壊による剥離強度は、蓋材側熱融着部(7)及び容器側熱融着部(5)の剥離強度よりも小さく設定されている。そのため、蓋材(6)をフランジ部(41)から引き剥がすと、第1の熱融着性樹脂層(1a)と第2の熱融着性樹脂層(1c)の材料破壊を伴うことなく、専ら再封用粘着剤層(1b)の一方の面又は再封用粘着剤層(1b)の層間で剥離が進行する。その結果、蓋材(6)の下面及び/又はフランジ部(41)の上面に再封用粘着剤層(1b)が露出し、蓋材(6)による再封が可能となる。
図7(a)~(c)は、包装体(8)の開封モードを示す。
図7(a)は、蓋材(6)の剥離が、第1の熱融着性樹脂層(1a)と再封用粘着剤層(1b)との間における界面破壊(IF1)に因って生じている様子を示す。本態様の場合、容器(4)のフランジ部(41)の上面に再封用粘着剤層(1b)が出現する。そして、この再封用粘着剤層(1b)に、蓋材(6)の下面に残る第1の熱融着性樹脂層(1a)を圧着させることで、再封が行える。
また、図示は省略するが、第1の熱融着性樹脂層(1a)の下面に強化層(11d)が積層されている場合には、IF1は、該強化層(11d)と再封用粘着剤層(1b)との間で生じ、再封も両層の間で実現する。
図7(b)は、蓋材(6)の剥離が、再封用粘着剤層(1b)の凝集破壊(CF)に因る剥離で生じている様子を示す。本態様の場合、蓋材(6)の下面とフランジ部(41)の上面の双方に再封用粘着剤層(1b)が出現する。そして、それら再封用粘着剤層(1b)どうしを圧着することで、再封が行える。
図7(c)は、蓋材(6)の剥離が、再封用粘着剤層(1b)と第2の熱融着性樹脂層(1c)との間における界面破壊(IF2)に因って生じている様子を示す。本態様の場合、蓋材(6)の下面に再封用粘着剤層(1b)が出現する。そして、この再封用粘着剤層(1b)に、フランジ部(41)の上面に残る第2の熱融着性樹脂層(1c)を圧着させることで、再封が行える。
また、図示は省略するが、再封用粘着剤層(1b)の下面に強化層(12d)が積層されている場合には、IF2は、該強化層(12d)と第2の熱融着性樹脂層(1c)との間で生じ、再封も両層の間で実現する。
包装体(8)の開封モードは、積層体(1)における剥離モードと同様、IF1に要する剥離強度(F1)、CFに要する剥離強度(F2)、及びIF2に要する剥離強度(F3)(いずれも単位はN/m)の大小関係により定まる。例えばIF1による剥離(図7(a))は、F2とF3よりもF1が小さいときに、CFによる剥離(図7(b))はF1とF3よりもF2が小さいときに、IF2による剥離(図7(c))はF1とF2よりもF3小さいときに専ら生じる。
開封モードはIF1が最も好ましい。即ち、蓋材(6)の剥離後フランジ部(41)上面に再封用粘着剤層(1b)が出現する態様が好適である。この態様では、蓋材(6)をフランジ部(41)の上面に貼り合わせる際、蓋材(6)のポジションが少々ずれてもフランジ部(41)の上面に貼り合わせ易い。
F1は、熱可塑性樹脂(A)又は樹脂(D1)と粘着剤(B)との接着力によって、また、F2は粘着剤(B)の凝集力によって、また、F3は粘着剤(B)と樹脂(D2)又は熱可塑性樹脂(C)との接着力によって、専ら規定される。故にF1、F2及びF3の前記大小関係は、熱可塑性樹脂(A)、粘着剤(B)及び熱可塑性樹脂(C)、並びに任意の樹脂(D1)及び樹脂(D2)の組合せや、前記下地処理の有無乃至等によって調節可能である。
また、包装体(8)の開封モードは、IF1、CF及びIF2のいずれかが主として生じておればよく、蓋材(6)による再封が可能である限り、それらのうち二種又は三種が混成したモードも含む。例えば、図示は省略するが、開封初期は蓋材(6)の剥離が専らIF1による第1の熱融着性樹脂層(1a)と再封用粘着剤層(1b)との界面破壊によって進行しつつ、CFによる再封用粘着剤層(1b)の凝集破壊も生じることがある。このとき、第1の熱融着性樹脂層(1a)の下面及び/又は第2の熱融着性樹脂層(1c)の上面には、再封用粘着剤層(1b)が部分的に残存するが、そのような場合でも蓋材(6)による再封が可能である限り、包装体(8)の開封モードに含まれる。
蓋材(6)の剥離モードには、IF1、CF及びIF2の二種又は三種が混成したモードが含まれる。但し、該剥離モードには、第1の熱融着性樹脂層(1a)、強化層(11d)、強化層(12d)及び第2の熱融着性樹脂層(1c)の材料破壊による剥離、第1の熱融着性樹脂層(1a)と強化層(11d)の界面破壊による剥離、及び、強化層(12d)と第2の熱融着性樹脂層(1c)の界面破壊による剥離は含まれない。
包装体(8)の剥離モードを切り替える簡便な方法の一つに、蓋材用シート材(60)、再封性シール材(2)及び容器材(40)の構成材料の入れ替えがある。
例えば、まず、蓋材用シート材(60)の内面層(60b)と再封性シール材(2)の第1の熱融着性樹脂層(1a)を同一の熱可塑性樹脂(AX)(図示略)で構成し、かつ、再封性シール材(2)の第2の熱融着性樹脂層(1c)と容器材(40)の内面層(40a)も同一の熱可塑性樹脂(CX)(図示略)で構成すると、蓋材側熱融着部(7)と容器側熱融着部(4)はいずれも信頼性の高いシールを実現する。
ここに、蓋材側熱融着部(7)の界面破壊(IF1)に要する剥離強度(F1)が、再封用粘着剤層(1b)の凝集破壊(CF)に要する剥離強度(F2)と容器側熱融着部(4)の界面破壊(IF2)に要する剥離強度(F3)の双方よりも小さく、かつ、F2がF3よりも大きい場合には、蓋材(6)はIF1によって、即ち、第1の熱融着性樹脂層(1a)と再封用粘着剤層(1b)との界面における破壊によって剥離する。この場合には、再封用粘着剤層(1b)がフランジ部(41)の上面に出現する。
逆に、上記包装体(8)において、蓋材用シート材(60)の内面層(60b)と再封性シール材(2)の第1の熱融着性樹脂層(1a)との双方を熱可塑性樹脂(CX)で構成し、かつ、再封性シール材(2)の第2の熱融着性樹脂層(1c)と容器材(40)の内面層(40a)との双方を熱可塑性樹脂フィルム(AX)で構成し、再封用粘着剤層(1b)を構成する粘着剤(B)を変更しない場合には、蓋材(6)はIF2によって、即ち、再封用粘着剤層(1b)と第2の熱融着性樹脂層(1c)との界面破壊によって剥離する。この場合には、蓋材(6)の下面に再封用粘着剤層(1b)が出現する。
図8は、包装体(8)の開封初期の態様の上面図であり、図7(a)に対応する。本図では、蓋材(6)の剥離と同時に開封用タブ(61)に隣接した位置より再封用粘着剤層(1b)が出現し、それが蓋材(6)の剥離に伴いフランジ部(41)の上面の周方向に展開する様子が描写されている。
図9は、図8の包装体(8)の開封後期の態様の上面図であり、再封用粘着剤層(1b)が容器(4)のフランジ部(41)の外周縁に環状に形成されている。
また、この環状の再封用粘着剤層(1b)の下に位置する第2の熱融着性樹脂層(1c)の下面とフランジ部(41)の上面との間には、環状の容器側熱融着部(5)が形成されている。但し、容器側熱融着部(5)は直接図示できないため、これが再封用粘着剤層(1b)の外周縁と、該再封用粘着剤層(1b)の領域内に描かれた破線状円と間に位置していることを、破線状の波線で特定している。
一方、蓋材(6)の下面を構成する熱融着性樹脂(60b)には、再封性シール材(2)上面を構成していた環状の第1の熱融着性樹脂層(1a)が熱融着されたまま残存している。また、この環状の熱融着性樹脂層(1a)と、蓋材(6)の下面を構成する熱融着性樹脂(60b)との間にも、環状の蓋材側熱融着部(7)が形成されている。但し、蓋材側熱融着部(7)も同様に直接図示できないため、これが環状の第1の熱融着性樹脂層(1a)の外周縁と、熱融着性樹脂層(1a)の領域内に描かれた破線状円との間に位置していることを、破線状の波線で特定している。
図9において、破線P1、P2及びP3は、蓋材(6)の剥離位置を表す。また、本図の包装体(8)は、図7(a)のそれに対応するため、再封性シール材(2)の蓋材側熱融着部(7)側に未シール部(73)が、また、容器側熱融着部(5)側に未シール部(53)が形成されている。
図10は、蓋材(6)の剥離位置がP1、P2及びP3へとシフトする過程における、包装体(8)のフランジ部(41)付近の部分断面図である。
図10(a)は、図9において蓋材(6)の剥離位置が破線P1にあるときの線分A-A´における部分断面図を示す。このとき、蓋材(6)の下面とフランジ部(41)の上面との間で形成されるピール線の合計長さは相対的に短く、蓋材(6)の剥離力も応分に小さい。
図10(b)は、図9において蓋材(6)の剥離位置が破線P2にあるときの線分B-B´における部分断面図を示す。そして、P1からP2にかけて、蓋材(6)の下面とフランジ部(41)の上面との間で形成されるピール線の合計長さが大きくなるに従い、蓋材(6)の剥離力が漸増する。
図10(c)は、図9において蓋材(6)の剥離位置が破線P3にあるときの線分C-C´における部分断面図を示す。そして図9で示されるように、剥離位置が破線P3に達したときには、蓋材(6)の下面とフランジ部(41)の上面とで形成されるピール線の合計長さが最大となるため、消費者は指先に剥離抵抗の急増を感取し、これを契機に動作を中止することにより、蓋材(6)の完全剥離を回避できる。また、容器(4)のフランジ部(41)の上面端部には蓋材(6)が接続したままであるため、これを再度フランジ部(41)の上面に貼り合わせることにより、蓋材(6)の位置合わせを特段要することなく、再封を行うことができる。
以下、本発明を、実施例及び比較例を通じて具体的に説明するが、それらによって本発明の技術的範囲が限定されることはない。
1.再封性シール材用積層体の作製
積層体A
積層体の材料として以下に示すものを用意した。
・第1の熱融着性樹脂層用の熱可塑性樹脂:線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(30μm厚)
・再封用粘着剤層用の粘着剤:アクリル酸エステル共重合体のメチルエチルケトン(MEK)溶液(固形分濃度30質量%)
・第2の熱融着性樹脂層の熱可塑性樹脂:無延伸ポリオレフィン(CPP)フィルム(50μm厚)
前記CPPフィルムに前記粘着剤を乾燥後の厚みが20μmになるように塗布し、100℃で10秒間乾燥させてから前記LLDPEフィルムを貼り合わせたものを、40℃で5日間エージングさせることにより、積層体Aを作製した。積層体Aは、再封性シール材A用の材料として用いた。
積層体B
積層体Aにおいて、粘着剤として、アクリル酸エステル類を主要原料とするアクリル系粘着ポリマーのMEK溶液に平均一次粒子径2μmのシリカビーズを混合してなる粘着剤組(シリカビーズ分を除く固形分濃度30質量%、シリカビーズの含有量5質量%)を用いた他は同様にして積層体Bを作製した。積層体Bは、再封性シール材B用の材料として用いた。
2.再封性シール材付き容器の作製
再封性シール材A付き容器A
容器材として以下のものを用意した。
・内面層用の熱可塑性樹脂 :CPPフィルム(30μm厚)
・基材層の内層用の金属 :下地処理済アルミニウム箔
・基材層の外層用の合成樹脂:CPPフィルム(50μm厚)
前記下地処理済アルミニウム箔としては、厚さ120μmのアルミニウム箔(JIS H4160のA8079-O材)の両面に、リン酸、ポリアクリル酸、クロム(III)塩化合物、水及びアルコールからなる処理溶液を、乾燥後のクロム付着量がそれぞれ10mg/m2となるように塗布し、180℃で乾燥させたものを使用した。
次に、前記下地処理済アルミニウム箔の一方の面に、市販のポリエステルポリウレタン系接着剤を膜厚が3μmとなるように塗工した後、前記CPPフィルム(50μm厚)を貼り合わせた。次いで、該下地処理アルミニウム箔の他方の面に、同じく市販のポリエステルポリウレタン系接着剤を膜厚が3μmとなるように塗工した後、前記CPPフィルム(30μm厚)を貼り合わせた。こうして得られた複合シートを、40℃で8日間ヒートエージング処理することで容器材を作製した。
次に、この容器材を、厚み50μmのCPPフィルムが内面となるように市販のプレス金型機にセットし、絞り成形した後、フランジ部に相当する部分を82mmφのトリミング型で打ち抜くことにより、口径66mm、底径56mm、高さ30mm及びフランジ幅8mmの、開口周縁が円形であるカップ状の容器Aを作製した。
次に、前記容器Aの円環状のフランジ部に、100mm×100mmにカットした積層体Aを、そのCPPフィルムが下面となるように重ねた後、厚さ25μmのPETフィルムを当ててから、180℃に加熱した熱板(シーラー)を0.2MPaの圧力で3秒間押し当て、フランジ部の内側3mmから8mmの位置までヒートシールした。続けて、82mmφのトリミング型を用い、ヒートシールされた積層体Aの周縁を容器Aのフランジ部周縁と一致させた。続けて、トリミング後の積層体Aの中央を、容器Aの開口周縁に沿って66mmφの円形に切り抜くことにより、再封性シール材A付き容器Aを作製した。
再封性シール材B付き容器A
再封性シール材A付き容器Aにおいて、積層体Aを積層体Bに置換した他は同様にして、再封性シール材B付き容器Aを作製した。
再封性シール材A付き容器B
口径66mφ、底径56mmφ、高さ30mm、フランジ幅8mm及び厚み1mm(フランジ部のみ2mm)のカップ状容器を製造できる金型内にポリプロピレン樹脂を射出し、容器Bを作製した。
次いで、前記容器Bのフランジ部に、100mm×100mmにカットした積層体Aを、そのCPPフィルムが下面となるように重ねた後、厚さ25μmのPETフィルムを充ててから、180℃に加熱した熱板を0.2MPaの圧力で3秒間押し当て、フランジ部内側4mmから8mmの位置までヒートシールすることにより、再封性シール材A付き容器Bを作製した。
3.包装体の作製
蓋材A
厚さ20μmアルミニウム箔(JIS H4160のA1N30-O材)の片面に、市販のポリエステルポリウレタン系接着剤を膜厚が3μmとなるように塗工し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り合わせた。次に、該アルミニウム箔の他方の面に、同じく市販のポリエステルポリウレタン系接着剤を膜厚が3μmとなるように塗工し、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(50μm厚)を貼り合わせた。こうして得られたシート材を40℃で8日間ヒートエージング処理した後、120mm角の正方形状に切り出すことにより、蓋材Aを作製した。
実施例1
包装体A
前記再封性シール材A付き容器A(プレス成形)のフランジ部に、前記蓋材Aを、そのLLDPEフィルムが下面となるように重ねてから、その上面をなすPETフィルム側より、180℃に加熱した熱板を0.2MPaの圧力で3秒間押し当て、フランジ部外側から5mmの位置までヒートシールした。続けて、蓋材Aの周縁を、その一部に開封用タブが残るようにフランジ部の外周縁に沿ってトリミングすることにより、試験用の包装体Aを作製した。
実施例2
包装体B
前記再封性シール材B付き容器A(プレス成形)のフランジ部に、前記蓋材Aを、そのLLDPEフィルムが下面となるように重ねてから、その上面をなすPETフィルム側より、180℃に加熱した熱板を0.2MPaの圧力で3秒間押し当て、フランジ部外側から5mmの位置までヒートシールした。続けて、蓋材Aの周縁を、その一部に開封用タブが残るようにフランジ部の外周縁に沿ってトリミングすることにより、試験用の包装体Bを作製した。
実施例3
包装体C
再封性シール材A付き容器B(射出成形)のフランジ部に、蓋材Aを、そのLLDPEフィルムが下面となるように重ねてから、その上面をなすPETフィルム側より、180℃に加熱した熱板を0.2MPaの圧力で3秒間押し当て、フランジ部外側から4mmの位置までヒートシールを行った。続けて、蓋材Aの周縁を、その一部に開封用タブが残るようにフランジ部の外周縁に沿ってトリミングすることにより、試験用の包装体Cを作製した。
実施例4
包装体D
前記積層体Aを100mm×100mmにカットし、その中央に66mmφの開口を設けることにより、再封性シール材Aを作製し、容器Aのフランジ部に重ねた。具体的には、該再封性シール材Aを、そのCPPフィルムが下面となるようにして、かつその開口が容器Aの開口と整合するようにして、そのフランジ部の上面に重ねた。続けて、再封性シール材Aの上に、100mm×100mmにカットした蓋材Aを、そのLLDPEフィルムが下面となるようにして重ねた。続けて、180℃に加熱した熱板を、蓋材Aの上面をなすPETフィルム側より、フランジ部のシール幅が上下面とも8mmになるように、0.2MPaの圧力で4秒間押し当てることによって、ヒートシールを行った。続けて、82mmφのトリミング型を用い、蓋材Aを積層体Aごと打ち抜くことによって、試験用の包装体Dを得た。
実施例5
包装体E
実施例1において、積層体Aのシールを容器Aのフランジ部の全幅(8mm)で行い、かつ、蓋材材Aのシールも容器Aのフランジ部の全幅(8mm)で行った以外は同様にして、試験用の包装体Eを作製した。
表1に、包装体A~Eの構成部材の種類並びに材料及び寸法、並びに蓋材側熱融着部、容器側熱融着部及び未シール部の幅を示す。
5.包装体の評価(開封強度及び再開封強度の測定)
引張試験機に包装体Aを、蓋材Aの開封用タブが下になるように45°に傾けた状態でセットし、開封用タブを垂直方向に引っ張り上げて蓋材Aをフランジ部から剥離させることにより開封初期の剥離強度を測定したところ、20.3N/mmであった。
また、剥離を進行させる過程で、剥離強度はほぼ一定値を保っていたが、ピール線が容器開口周縁を越えたときに剥離強度が増加したので、試験機を停止させ、包装体Aを取り外した。
次に、フランジ部末端に繋がった状態の蓋材Aをフランジ部に再び重ね合わせ、フランジ部の周縁に沿って軽く押圧してから、再び前記同様の方法で開封強度を測定したところ、3.8N/mmであった。
その後、前記同様の方法で再封を行った後、開封強度を測定する作業を9回繰り返した。表2に再封後の剥離強度の値を示す。
なお、測定終了後、フランジ部上面に指をつたわせたところ軽いタックを感じた。一方、蓋材Aの下面にはシワが生じておらず、また、ヒートシール部の複数箇所を指触したが何らタックは感じなかった。よって、実施例1の包装体Aの剥離モードはIF1であり、再封性シール材である積層体AのLLDPEフィルムと粘着剤層の間で界面破壊が生じていたと判断した。
包装体Bについても同様に剥離強度の試験を行った。結果を表2に示す。また、剥離した蓋材Aの下面にシワは生じておらず、前記同様の理由で剥離モードはIF1であったと判断した。
包装体Cについても同様に剥離強度の試験を行った。結果を表2に示す。また、剥離した蓋材Bの下面にシワは生じておらず、前記同様の理由で剥離モードはIF1であったと判断した。
包装体Dについても同様に剥離強度の試験を行った。但し、該包装体には未シール部がなく、ピール線が容器開口周縁を越えた後も剥離強度が増加しなかったことから、直ちに試験機を停止し、蓋材Aの完全剥離を防いだ。続けて、包装体Aと同様に再封後の剥離強度の試験を行った。また、剥離した蓋材Aの下面にシワは生じておらず、前記同様の理由で剥離モードはIF1であったと判断した。結果を表2に示す。
包装体Eについても同様に剥離強度の試験を行った。但し、該包装体にも未シール部がないため、ピール線が容器開口周縁を越えた後で試験機を直ちに停止し、蓋材Aの完全剥離を防いだ。続けて、包装体Aと同様に再封後の剥離強度の試験を行った。また、剥離した蓋材Aの下面にシワは生じておらず、前記同様の理由で剥離モードはIF1であったと判断した。結果を表2に示す。