JP5830689B2 - リチウム一次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、二硫化鉄を正極活物質とするリチウム一次電池(以下では、このリチウム一次電池を単に「リチウム一次電池」又は「電池」と記す)に関する。
リチウム一次電池は、平均放電電圧が1.5V付近であるため、平均放電電圧が1.5V程度である他の一次電池(例えばマンガン乾電池又はアルカリ乾電池等,以下では「アルカリ乾電池等」と記す。)との互換性を有している。よって、リチウム一次電池の実用価値は高い。また、二硫化鉄(正極活物質)の理論容量は約894mAh/gであり、リチウム(負極活物質)の理論容量は約3863mAh/gである。このように、リチウム一次電池では正極活物質の理論容量及び負極活物質の理論容量が共に高いため、高容量且つ軽量な一次電池としてもリチウム一次電池の実用価値は高い。
リチウム一次電池には、一般に、コイン形(又はボタン形)と円筒形とが知られている。コイン形のリチウム一次電池は、低負荷放電領域での使用に適している。特許文献1には、非水電解液(以下では単に「電解液」と記すことがある。)の溶媒が炭酸プロピレンとテトラヒドロフラン(THF(tetrahydrofuran))とを含んでいれば低温での閉路電圧の低下を抑制できると記載されている。
円筒形リチウム一次電池では、正極と負極とがセパレータを介して捲回されているので、正極と負極とが互いに対向する面積はアルカリ乾電池等よりも大きい。従って、円筒型リチウム一次電池は高負荷放電領域での使用に適している。特許文献2には、電解液の溶媒がジオキソラン(DIOX(dioxolane))と1,2−ジメトキシエタン(DME(dimethoxyethane))とを含んでいれば高負荷放電性能が向上すると記載されている。
リチウム一次電池は、中負荷放電性能がアルカリ乾電池等と同等である。利用者にとって利便性の高いリチウム一次電池を提供することを考えれば、高負荷放電性能の向上のみならず中負荷放電性能の向上も必要である。一般に、リチウム一次電池では、中負荷放電での負極の利用率を上げることが難しいと言われている。その理由は、次に示す通りである。リチウム一次電池では、放電が進むにつれて、リチウムが溶出し、また、硫酸イオン等の不純物が二硫化鉄から溶出して負極の表面上に析出する。中負荷放電では、放電深度が深い領域まで放電されるため(例えば放電深度は85%)、その放電末期では、負極の反応面積の減少を招く。また、中負荷放電では、放電電流がそれほど小さくないため、負極の反応面積が減少すると放電され難くなる。
ところで、リチウム一次電池では、残存酸素が正極中の炭素材(導電剤)の表面で還元されて電位が生じていると考えられており、よって、リチウム一次電池の正極では、混成電位が発生していると考えられている。そのため、二硫化鉄はリチウム金属に対して約1.7Vの電位を示すにも関わらず、リチウム一次電池の初期電圧(以下では単に「初期電圧」と記すことがある)は1.7Vよりも高く1.8V程度である。初期電圧はこのように高いが、リチウム一次電池の電圧(以下では単に「電池電圧」と記すことがある)はリチウム一次電池に電流負荷が掛かってから約数秒の間で1.5V程度までに低下する。そのため、アルカリ乾電池等で駆動可能な機器(乾電池用機器)をリチウム一次電池で問題なく駆動可能であると考えられていた。ところが、近年では、例えばデジタルスチルカメラに代表されるように、半導体集積回路が内蔵された機器をアルカリ乾電池等で駆動する場合がある。このような機器の電源をオンにすると、その直後から数十ミリ秒の間では、電池からの出力電圧が半導体集積回路に印加される。このとき、規格電圧が1.65V以下である電池(つまりアルカリ乾電池等)で駆動させることを想定した機器の半導体集積回路に1セルあたりの電圧が1.65Vよりも高い電圧(例えば1.8V)が印加されると、その半導体集積回路が誤作動を起こす場合がある。そのため、半導体集積回路が搭載された機器をリチウム一次電池で駆動させることは難しく、リチウム一次電池を駆動電源として使用可能な機器は制限される。
なお、特許文献3には、コイン形リチウム一次電池の電解液が所定量のイソオキサゾール誘導体を含んでいれば初期開路電圧が低下すると記載されている。
特開昭57−174870号公報 米国特許第5,290,414号 特開昭59−181464号公報(米国出願番号479,744号)
特許文献3に記載の技術を用いると、中負荷放電性能の低下を招くことがある。中負荷放電性能が低下すると、アルカリ乾電池等の代替としてリチウム一次電池を使用することが難しくなる。
本発明では、中負荷放電性能の低下を抑制しつつ初期電圧を低下可能なリチウム一次電池を提供する。
本発明は、正極活物質に二硫化鉄を用いたリチウム一次電池において、電解液の溶媒の組成を最適化すれば中負荷放電性能の低下を伴うことなく初期電圧を低下させることができるというものである。
リチウム一次電池の電解液の溶媒には、非水溶媒が用いられている。種々ある非水溶媒の中には、リチウム一次電池内の電気化学反応により還元され易い溶媒(耐還元性の低い溶媒)が存在する。これらの溶媒は負極側で還元されて正極の表面電位を操作する(正極の表面電位を下げる)と考えられ、溶媒の還元生成物(溶媒が還元されて生成されたもの)が正極の表面での反応に影響を及ぼすと考えられる。具体的には、PC(polycarbonate)又はTHFは、DME等に比べて耐還元性に劣るので、負極側で還元されて正極の表面上に被膜を生成すると言われている。本発明者等は、先行技術の調査及び自らの鋭意検討により、THFがリチウム一次電池の作製直後から負極側で還元され易いことを確認した。このことから、THFをリチウム一次電池の電解液の溶媒として用いれば、リチウム一次電池の作製直後から正極の表面電位が低下するので初期電圧が低下すると考えた。
しかし、THF等のように耐還元性の低い溶媒を電解液の溶媒として使用すると、その溶媒の還元生成物が正極の表面に付着する等の理由から、放電性能が低下すると言われている。また、THFを電解液の溶媒として使用すると高負荷放電性能が低下することが知られており、このことから、THFを電解液の溶媒として使用すると中負荷放電性能が低下すると予想される。
ところが、今般、電解液の溶媒中におけるTHFの含有率(以下では「THFの含有率」と記す)を最適化すれば、中負荷放電性能の低下を伴うことなく初期電圧が低下する、場合によっては中負荷放電性能を向上させつつ初期電圧が低下することが分かった。これは、THFを電解液の溶媒として使用すると高負荷放電性能が低下するという技術常識から予想される領域を遙かに超えており、また、耐還元性の低い溶媒を電解液の溶媒として使用すると中負荷放電性能が低下する恐れがあるという技術常識からは予想もつかないことである。また、このような効果が得られた理由として、本発明者等は、断言できないが、THFの還元生成物が正極活物質からの不純物の溶出を防止するからであると考えている。
更に、電解液の溶質の材料を最適化すれば、初期電圧が更に低下し、且つ、中負荷放電性能が更に向上することが分かった。
つまり、本発明に係るリチウム一次電池では、電解液の溶媒は、DIOXとDMEとを主成分として含んでおり、THFを更に含んでいる。THFの含有率は、0体積%よりも高く20体積%以下である。
ここで、本発明は、主に、放電性能の低下を伴うことなく使用者が使用する直前のリチウム一次電池の電圧(初期電圧)の改善を図るものである。リチウム一次電池は、通常、作製後、予備放電(「初期放電」と呼ばれることもある)及びエージングを経て、使用者の手元に亘る。従って、本明細書では、「初期電圧」は所定の予備放電及びエージングが行われた後であって使用される前の電池電圧であり、「放電性能」は所定の予備放電及びエージングが行われた後のリチウム一次電池の放電性能である。放電性能は、例えば、放電容量又は持続時間である。なお、予備放電及びエージングの条件はそれぞれ種々知られているが、本発明者等は予備放電及びエージングの条件が多少異なっても得られる効果の優劣に影響を与えないと考えている。
本明細書では、「初期電圧が低下する」、「初期電圧の低下」又は「初期電圧の低下が図れる」等とは、初期電圧が1.80Vよりも低くなることであり、好ましくは初期電圧が1.75V以下であることであり、より好ましくは初期電圧が1.65V以下であることである。
本明細書では、「中負荷放電性能の低下を抑制する」又は「中負荷放電性能の低下を防止する」等とは、THFの含有率が0体積%である場合と中負荷放電性能が略同一であることである。
本明細書では、「中負荷放電性能が向上する」又は「中負荷放電性能の向上が図れる」等とは、THFの含有率が0体積%である場合よりも中負荷放電性能が優れている(例えば、放電容量が大きい又は持続時間が長い)ことである。
本明細書では、「中負荷放電性能が低下する」又は「中負荷放電性能の低下を招く」等とは、THFの含有率が0体積%である場合よりも中負荷放電性能が劣る(例えば、放電容量が小さい又は持続時間が短い)ことである。なお、「高負荷放電性能が低下する」についても同様である。
「非水電解液の溶媒は、DIOX及びDMEを主成分として含む」とは、DIOX、DME及びTHF以外の非水溶媒(その他の非水溶媒、例えばPC等)が少量であれば電解液の溶媒に含まれても良いことを意味している。しかし、その他の非水溶媒の含有率(その他の非水溶媒が2種類以上存在するときにはその含有率の合計)は、電解液の溶媒中におけるDIOXの含有率(以下では「DIOXの含有率」と記す)、電解液の溶媒中におけるDMEの含有率(以下では「DMEの含有率」と記す)及びTHFの含有率のうち最も低い含有率よりも低いことが好ましく、多くの場合はTHFの含有率よりも低いことが好ましい。
本発明によれば、中負荷放電性能の低下を抑制しつつ初期電圧の低下が図れるので、利便性に優れたリチウム一次電池を提供できる。
本発明の一実施形態に係るリチウム一次電池の半断面図である。 実施例1の結果をまとめた表である。 実施例2の結果をまとめた表である。 実施例3の結果をまとめた表である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、以下の実施形態における構成を適宜変更することが可能である。
図1は、本実施形態に係るリチウム一次電池の半断面図である。
図1に示すように本実施形態に係るリチウム一次電池は、正極1と負極2とがセパレータ3を介して捲回された電極群4を備えている。この電極群4は非水電解液(図示せず,例えばセパレータ3に保持されている)とともに電池ケース9内に収容されており、電池ケース9の開口部9aは封口板(正極端子)10で封じられている。正極1は正極リード5を介して封口板10に接続されており、負極2は負極リード6を介して電池ケース9の底面に接続されている。また、電極群4の上には上部絶縁板7が設けられており、電極群4の下には下部絶縁板8が設けられている。
正極1は、正極集電体と正極合剤層とを有している。正極集電体は、導電性材料からなる箔又は基板(例えばアルミニウム箔)であり、所定の厚みを有している。正極合剤層は、正極集電体の表面上に設けられており、二硫化鉄(正極活物質)と導電剤と結着剤とを有している。二硫化鉄は、天然鉱石(黄鉄鉱)が粉砕されたものであっても良いし、工業的に合成されたものであっても良い。どちらの場合であっても、硫酸イオン等の不純物が正極活物質から電解液へ溶出する。導電剤は、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、黒鉛粉末(例えば天然黒鉛)であっても良いし、黒鉛粉末とカーボンブラック(例えばアセチレンブラック)との混合物であっても良い。結着剤は、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、後述するようにポリフッ化ビニリデン(PVDF(poly(vinylidene fluoride)))であることが好ましいが、PVDF以外のフッ素系樹脂(例えばPTFE(polytetrafluoroethylene)又はFEP(fluorinated ethylene-propylene)共重合体)であっても良いし、SBR(styrene-butadiene rubber)であっても良い。これらの材料を単独で用いても良いし、上記材料の2つ以上を混合して用いても良い。
正極合剤層における正極活物質、導電剤及び結着剤の含有量は特に限定されない。例えば、導電剤は正極活物質100質量部に対して2質量部以上7質量部以下含まれていれば良く、結着剤は正極活物質100質量部に対して1質量部以上6質量部以下含まれていれば良い。
負極2は、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、リチウムからなる箔であっても良いし、所定量のアルミニウム、マグネシウム又はスズ等の少なくとも1つの金属を含むリチウム合金からなる箔であっても良い。しかし、負極2がリチウム合金からなれば、負極2の強度を得ることができる。また、負極2がマグネシウム及びスズの少なくとも一方を含むリチウム合金からなれば、正極活物質から電解液中に溶け出した不純物が負極2の表面上に析出することを防止できる。
セパレータ3は、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、大きなイオン透過度を有するとともに、所定の機械的強度及び絶縁性を兼ね備えていれば良い。セパレータ3は、例えば、ポリオレフィンの不織布、織布又は微多孔膜であれば良い。
非水電解液は、非水溶媒と溶質とを含んでいる。非水溶媒は、DIOXとDMEとを主成分として含んでいる。非水溶媒はTHFを更に含み、THFの含有率は0体積%より高く20体積%以下である。これにより、中負荷放電性能の低下を招くことなく初期電圧が低下する。
DIOX及びDMEは、電池の作製直後において還元され難い。そのため、THFの含有率が0体積%であれば、電解液の溶媒は電池の作製直後において還元され難い。よって、電池の作製直後において、正極1の表面電位は低下し難く、また、溶媒の還元生成物が正極1の表面上に付着されるという現象は起こり難い。従って、初期電圧の低下を図ることは難しい。
THFの含有率が0体積%より高くなると、THFが電池の作製直後から還元され、THFの還元生成物は正極1の表面上に付着する。THFの還元生成物の電位は、THFの還元生成物が付着する前の正極1の電位よりも低い。そのため、THFの還元生成物が正極1の表面上に付着すると正極1の表面電位は低下し、よって、リチウム一次電池の初期電圧が低下する。初期電圧が1.75V以下であれば、半導体集積回路を備えた乾電池用機器をリチウム一次電池で駆動させようとしたときにその半導体集積回路が誤作動を起こすことを殆んどの乾電池用機器において防止できる。初期電圧が1.65V以下であれば、初期電圧がアルカリ乾電池等の規格電圧以下となるので、半導体集積回路を備えた乾電池用機器をリチウム一次電池で何の問題もなく駆動させることができる。
THFの含有率が高くなるにつれて、初期電圧の低下幅は大きくなる。しかし、THFの含有率が高くなるにつれて、THFの還元生成物の量が増えるので、正極1の表面上に付着するTHFの還元生成物の量が増える。THFの含有率が20体積%以下であれば、THFの還元生成物の量がそれほど多くないので、THFの還元生成物は正極1の表面上に付着して正極活物質からの不純物の溶出を防止すると考えられる。よって、中負荷放電の放電末期においては、THFの還元生成物による正極1の反応面積の極端な低下が防止され、また、不純物が正極活物質から溶出して負極2に付着することが防止される。従って、中負荷放電の放電末期では、正極1及び負極2の両極の反応面積がある程度確保されるので、分極の度合いが緩和され、その結果、電池電圧の急激な低下が防止される。これにより、中負荷放電性能の低下が抑制され、場合によっては中負荷放電性能が向上する。
一方、THFの含有率が20体積%を超えると、正極1の表面上に付着するTHFの還元生成物の量が更に増加する。そのため、THFの還元生成物は、正極活物質からの不純物の溶出を防止するだけでなく、正極1の反応面積を著しく低下させる。よって、中負荷放電の放電末期では、正極1の反応面積の低下を招くので、THFの含有率が0体積%である場合よりも分極の度合いは大きくなる。従って、中負荷放電性能の低下を招く。
従来、電解液の溶媒にTHFを添加すると、高負荷放電性能の低下を招くと言われている。しかし、上述のように、THFの含有率を最適化すれば、中負荷放電性能の低下を防止できる。その理由として、断言できないが、次のように考えている。上述のように、中負荷放電では、放電深度が高負荷放電よりも深いため、負極の反応面積の低下による影響を受け易い。しかし、電解液の溶媒にTHFを添加すると、正極1からの不純物が負極2上に析出することを防止できるため、中負荷放電性能が改善される。もう一つの理由は、中負荷放電では、放電電流が高負荷放電よりも少ない。よって、内部抵抗の増大に起因してリチウムイオンの移動速度が低下したとき、高負荷放電領域で使用できなくても中負荷放電領域で使用できる場合がある。
THFの含有率は、1体積%以上10体積%以下であることが好ましい。THFの含有率が1体積%以上8体積%以下であるとさらに好ましい。これにより、THFによる効果を充分に得ることができ、高負荷放電性能の低下を防止できる。
THFの含有率が1体積%未満であれば、THFの含有率が1体積%以上である場合に比べて、電池の作製直後において負極2側で還元されるTHFの量は少ない。そのため、電池の作製直後において、正極1の表面上に付着するTHFの還元生成物の量が少なくなる。よって、正極1の表面電位がそれほど低下せず、電池の作製直後においてリチウム一次電池の初期電圧が低下が十分ではない場合がある。
THFの含有率が8体積%を超えると、THFの含有率が8体積%以下である場合に比べて、THFの還元生成物の量が増大し、正極1に付着するTHFの還元生成物の量も増加する。よって、初期電圧は低下する。しかし、THFの還元生成物の量の増加に起因して正極1の反応面積が低下し、リチウムイオンの移動速度の低下を招くことがある。これにより、高負荷放電性能の低下を招く恐れがあり、また、中負荷放電性能の向上が図れない恐れがある。ただし、THFの含有率が8体積%を超えても10体積%以下であれば、高負荷放電性能の低下を招くおそれは小さく、中負荷放電性能の向上も実用的に十分である。
また、THFの含有率は5体積%以上であることがより好ましい。THFの含有率が5体積%未満であると、電池の作製直後において、正極1の表面上に付着するTHFの還元生成物の量が少なくなって、正極1の表面電位がそれほど低下せず、電池の作製直後においてリチウム一次電池の初期電圧が低下し難いおそれがある。
DIOXの含有率及びDMEの含有率は特に限定されない。THFの含有率が0体積%よりも高く20体積%以下であること、及び、非水電解液の溶媒がDIOX及びDMEを主成分として含んでいること等を考慮して、DIOXの含有率及びDMEの含有率を決めれば良い。しかし、DIOXの含有率は、40体積%以上80体積%以下であることが好ましく、50体積%以上70体積%以下であれば更に好ましい。また、DMEの含有率は、20体積%以上60体積%以下であることが好ましく、25体積%以上45体積%以下であれば更に好ましい。最も好ましくは、DIOX:DME=3:2(体積比)である。これにより、THFによる効果を充分に得ることができ、また、高負荷放電性能の低下を防止できる。
一般に、DIOXは不純物が正極活物質から電解液に溶出することを防止するという目的で使用されており、DMEはリチウムイオンの伝導度を高めるという目的で使用されている。そのため、DIOXの含有率が低ければ(40体積%未満)、正極活物質からの不純物の溶出が防止され難く、よって、中負荷放電性能の向上を図れない恐れがある。従って、電解液の溶媒がTHFを含んでいるという意義が没却される恐れがある(THFによる効果が得られない場合がある。)。一方、DIOXの含有率が高くなりすぎると(80体積%超)、DMEの含有率が低くなるので(20体積%未満)、非水電解液中におけるリチウムイオンの移動速度の低下を招くことがある。つまり、高負荷放電性能の低下を招くことがある。
なお、非水電解液の溶媒は、DIOX、DME及びTHFからなっても良い。
非水電解液の溶媒には、3,5−ジメチルイソオキサゾール(3,5-dimethylisoxazole以下では「DMI」と記す)が添加されていることが好ましい。非水電解液の溶媒に対するDMIの添加率(以下では「DMIの添加率」と記す)は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下であれば更に好ましい。これにより、THFによる効果を充分に得ることができ、高負荷放電性能の低下を防止できる。
DMIは、リチウム一次電池の作製直後から負極2側で還元され易い。そのため、DMIの添加率が増加するにつれて、正極1の表面電位が更に低下する。しかし、DMIの添加率が増加するにつれて、DMIの還元生成物が正極1の表面上に析出して正極1の反応面積を低下させる。また、DMIの添加率が増加すると、内部抵抗が増大するので、リチウムイオンの移動速度の低下を招くことがある。このように、DMIは、初期電圧の低下という点ではTHFと同様に作用するが、放電性能の低下の抑制という点ではTHFとは異なるように作用する(図2の電池2)。これらを踏まえてDMIの添加率を決定すれば良い。DMIの添加率が0.5質量%を超えると、中負荷放電性能の向上を図れない恐れがあり、電解液の溶媒がTHFを含んでいるという意義が没却されることがある(図4の電池41)。また、DMIの添加率が0.05質量%未満であれば、初期電圧の更なる低下が図れないことがある。
同様の理由から、非水電解液の溶媒にはフタルイミド(phthalimide,以下では「FIM」と記す)が添加されていることが好ましく、FIMの添加率は0.5質量%以下であることが好ましく0.05質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。なお、非水電解液の溶媒にはDMI及びFIMの両方が添加されていても良い。この場合には、DMIの添加率とFIMの添加率との合計が0.5質量%以下であれば良く0.05質量%以上0.5質量%以下であれば更に好ましい。
非水電解液の溶質は、リチウム塩であれば良く、ヨウ化リチウム(LiI)又はホウフッ化リチウム等であっても良いし、LiTSFI(Lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)等のイミド結合を含むリチウム塩であっても良い。しかし、溶質がLiIであれば、中負荷放電性能が著しく向上し、高負荷放電性能も更に向上する。その理由としては、次に示すことが考えられる。
LiIが非水電解液の溶媒中で解離すると、ヨウ化物イオンが生成される。このヨウ化物イオンは電池内に混入された僅かな水と反応することがあり、この反応により、正極活物質から溶出した不純物が負極2の表面で反応不活性な生成物として付着して負極2等に悪影響を及ぼすことを防止できると考えられる。このように考えられる理由は、この不純物が負極2の表面上で反応不活性な物質に変化する反応に、水が関与していると考えられるためである。よって、溶媒中にヨウ化リチウムが存在すると、この不純物による負極2等への悪影響が低減されるので、中負荷放電性能が著しく向上する。
正極1の結着剤はPVDFであることが好ましい。これにより、正極1の表面電位は更に低下する。その理由としては、断言できないが、次に示すことが考えられる。PVDFは、有機溶媒に膨潤され易い。そのため、PVDFを正極1の結着剤として用いれば、他の材料を正極1の結着剤として用いる場合に比べて、THF又はDMIの還元生成物が正極1の表面に付着する状態を維持し易い。これにより、初期電圧が更に低下する。
以上説明したように、本実施形態では、電解液の溶媒は、DIOX及びDMEを主成分として含み、THFを更に含む。また、THFの含有率は、0体積%よりも高く20体積%以下である。これにより、初期電圧が低下し、中負荷放電性能の低下を防止できる。耐還元性の低い溶媒の中でもTHFを選択し、且つ、THFの含有率を0体積%よりも高く20体積%以下としたからこそ、初期電圧の低下と中負荷放電性能の低下の防止という、従来の予想から相反する効果を同時に得ることができる。
本実施形態は、以下に示す構成を有していても良い。
上記実施形態に記載の効果が得られるのであれば、非水電解液の溶媒は、DMI及びFIM以外の添加剤を少量含んでいても良いし、非水電解液は、LiI以外のリチウム塩(例えばLiTSFI等)を溶質として少量含んでいても良い。
非水電解液の溶媒はDIOX及びDMEを主成分として含んでいることが前提である。非水電解液の溶媒がDIOX及びDMEの少なくとも一方を主成分として含んでいなければ、中負荷放電性能及び高負荷放電性能の少なくとも一方の著しい低下を招く(図2の電池3)。
非水電解液の注入量は、リチウム一次電池の大きさ等に応じて適宜設定すれば良く、後述の実施例における数値に限定されない。
非水電解液における溶質の濃度は、リチウム一次電池の用途等に応じて適宜設定すれば良く、後述の実施例における数値に限定されない。
非水電解液以外のリチウム一次電池の構成要素は、上記実施形態及び後述の実施例の記載に限定されず、適宜設定すれば良い。例えば、正極1、負極2及びセパレータ3の各大きさは、後述の実施例における数値に限定されない。また、正極リード5、負極リード6、上部絶縁板7、下部絶縁板8、電池ケース9及び封口板10の各構成(材料、厚み、大きさ等)は、特に限定されない。また、負極2がリチウム合金からなる場合、負極2に含まれるリチウム以外の金属(リチウムと合金化される金属)の種類及び含有量は、必要に応じて適宜設定すれば良く、後述の実施例における数値に限定されない。
正極集電体はエキスパンドメタルであっても良く、この場合には正極合剤はエキスパンドメタルの開口部に充填されていれば良い。また、正極集電体はアルミニウム箔であっても良い。
本実施形態に係るリチウム一次電池は、アルカリ乾電池等と互換可能である。つまり、本実施形態に係るリチウム一次電池の用途は、半導体集積回路を備えた装置の駆動用電源に限定されない。
(実施例1)
実施例1では、THFの含有率を最適化させた。具体的には、電解液の組成のみが異なるリチウム一次電池(電池1〜15)を作製し、そのリチウム一次電池のそれぞれに対して、初期電圧の測定、中負荷放電試験及び高負荷放電試験を行った。
[単3形リチウム一次電池の作製]
(1)電池1
まず、二硫化鉄(正極活物質)とケッチェンブラック(導電剤)とPTFE(結着剤)とを94.0:3.5:2.5(質量比)で混合して、正極合剤を作製した。この正極合剤をアルミ箔(正極集電体)の両面上に塗布して乾燥させた後、圧延した。これにより、幅が44mmであり、極板の長さが220mmであり、厚さが0.145mmである正極1が得られた。
次に、アルミニウムを200ppm含むリチウム合金からなる負極2を用意した。このとき、正極1及び負極2のうち互いに対向する部分の単位面積当たりの理論容量比(負極2の理論容量/正極1の理論容量)が0.80となるように負極2の厚さを設定した。なお、二硫化鉄の理論容量を894mAh/gとして負極2の厚みを算出した。また、厚み25μmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータ3を用意した。そして、セパレータ3を正極1と負極2とで挟んで捲回した。これにより、外径が13.1mmである電極群4が得られた。作製された電極群4では、正極1に接続された正極リード5は電極群4の一端面から引き出されており、負極2に接続された負極リード6は電極群4の他端面から引き出されていた。
続いて、DIOX:DME=3:2(体積比)となるようにDIOXとDMEとを混合して溶媒を調製した。この混合溶媒にLiIを溶解させて、LiIの濃度が1.0mol/Lである電解液を作製した。
続いて、電極群4を所定量(2.0ml)の電解液とともに電池ケース9に収容し、負極リード6を電池ケース9の底面に接続し、正極リード5を封口板10に接続した。そして、ガスケットを介して封口板10で電池ケース9の開口部9aを封止した。これにより、電池1が作製された。
(2)電池2〜15
電解液の溶媒の組成が異なる(図2参照)ことを除いては上記電池1の作製方法と同様の方法に従って、電池2〜15を作製した。なお、図2中の「3Me2Ox」は、3-Methyl-2-oxazolidoneである。また、電池5〜11及び13では、(DIOX):(DME)=3:2(体積比)である。
[予備放電及びエージング]
電池1に対して、その作製後6時間から18時間の間に、正極1の理論容量の3%分の予備放電を行った。予備放電時の電流は、正極1の理論容量の15%(例えば4000mAhの設計であれば600mA)とした。予備放電後の電池を30℃で6日間保管した(エージング)。同様のことを電池2〜15に対しても行った。
[初期電圧の測定]
エージング後の電池1〜15に対して、ツルガ電子製MODEL3455を用いて20℃で電池電圧を測定した。測定結果を図2の「初期電圧」に示す。
[放電試験]
(1)中負荷放電試験
エージング後の電池1〜15に対して、20℃の雰囲気下で、100mAの定電流で放電させて閉路電圧が0.9Vに至るまでの放電容量(mAh)を測定した。そして、電池1の放電容量に対する各電池の放電容量の割合を求めた。算出結果を図2の「放電性能」の「中負荷」に示す。
(2)高負荷放電試験
エージング後の電池1〜15に対して、20℃の雰囲気下で、1000mAの定電流で放電させて閉路電圧が1.1Vに至るまでの放電容量(mAh)を測定した。そして、電池1の放電容量に対する各電池の放電容量の割合を求めた。算出結果を図2の「放電性能」の「高負荷」に示す。
[結果と考察]
結果を図2に示す。初期電圧が1.75V以下であり、中負荷放電性能(指数)が100以上であり、高負荷放電性能(指数)が95以上である電池を好ましい電池と見なした。
図2から分かるように、THFの含有率が0体積%であれば、初期電圧は低下しなかった(電池1)。DMIを電解液の溶媒に添加すると、初期電圧は1.75V以下となったが、放電性能も低下した(電池2)。この結果から、特許文献3に記載の技術では放電性能の低下を引き起こすことが確認された。3Me2Oxを含む電解液の溶媒にDMIを添加すると、初期電圧は殆ど低下しなかったが、放電性能が低下した(電池3〜4)。特に、電池3では、DIOXの含有率が0体積%であるため、中負荷放電性能が著しく低下した。
また、THFの含有率が20体積%を超えると、初期電圧は1.75V以下となったが、中負荷放電性能は100未満となり、高負荷放電性能は95未満となった(電池11〜15)。この結果は、DIOXとDMEとの体積比を変更した場合であっても同様であった(電池11と12)。なお、電池15では、DIOXの含有率が40体積%未満であるので、中負荷放電性能が著しく低下した。
一方、THFの含有率が0体積%よりも高く20体積%以下であれば、初期電圧が1.75V以下となり、中負荷放電性能が向上し、高負荷放電性能は95以上であった(電池5〜10)。また、THFの含有率が5体積%以上10体積%以下であれば、中負荷放電性能は著しく向上し、高負荷放電性能は97以上であった。これらの理由は上記実施形態で説明した通りである。ここで、放電性能の指数の増加量が3以上であること(例えば100が103以上になること)は、放電性能が非常に向上していることを意味している。
(実施例2)
実施例2では、DIOXの含有率及びDMEの含有率を最適化させた。
[実験方法]
DIOXの含有率及びDMEの含有率が異なることを除いては上記実施例1の上記電池1と同様の作製方法に従って、図3に示す電池16〜36を作製した。そして、上記実施例1に記載の方法に従って、予備放電及びエージングを行ってから、初期電圧の測定、中負荷放電試験及び高負荷放電試験を行った。
[結果と考察]
結果を図3に示す。初期電圧が1.75V以下であり、中負荷放電性能(指数)が100以上であり、高負荷放電性能(指数)が95以上である電池を好ましい電池と見なした。
図3に示すように、DIOXの含有率が40体積%未満であれば中負荷放電性能の向上を図ることは難しく、DMEの含有率が20体積%未満であれば高負荷放電性能が低下した。この理由は、上記実施形態で説明した通りである。
THFの含有率が同一であってもDIOXの含有率又はDMEの含有率が異なると、初期電圧は若干異なった。この理由としては、DIOX及びDMEがTHFの還元反応に影響を及ぼしているからであると考えている。
THFの含有率が同一であってもDIOXの含有率又はDMEの含有率が異なると、放電性能は異なった。この理由は、DIOXが中負荷放電性能に影響を与え易く、DMEが高負荷放電性能に影響を与え易いためであると考えられる。
(実施例3)
実施例3では、電解液の溶質、電解液の溶媒に対する添加剤及び正極1の結着剤を最適化させた。以下、順に説明する。
[電解液の溶質]
電解液の溶質が異なることを除いては上記電池24と同様の作製方法に従って図4に示す電池37を作製した。そして、上記実施例1に記載の方法に従って、予備放電及びエージングを行ってから、初期電圧の測定及び放電試験を行った。
図4に示すように、電池24の方が、中負荷放電性能に非常に優れ、また、高負荷放電性能に優れた。その理由は、上記実施形態で説明した通りである。
[電解液の溶媒に対する添加剤]
電解液の溶媒にDMIを添加したことを除いては上記電池24と同様の作製方法に従って図4に示す電池38〜42を作製した。また、電解液の溶媒にFIMを添加したことを除いては上記電池24と同様の作製方法に従って図4に示す電池43〜47を作製した。そして、上記実施例1に記載の方法に従って、予備放電及びエージングを行ってから、初期電圧の測定及び放電試験を行った。
図4に示すように、DMIの添加率が高くなるにつれて、初期電圧が更に低下した。しかし、DMIの添加率が0.5質量%を超えると、中負荷放電性能の向上を図ることは難しかった。FIMの添加率についても同様のことが言えた。その理由は、上記実施形態で説明した通りである。
なお、詳細を省略するが、電池24以外の電池(例えば図2の電池5〜10及び図3に示す電池)においてもDMI又はFIMの添加率を0.05質量%以上0.5質量%以下とすれば、初期電圧が更に低下し、中負荷放電性能の低下が抑制された。
[正極1の結着剤]
正極1の結着剤をPVDFとしたことを除いては上記電池24及び38と同様の作製方法に従って図4に示す電池48及び49を作製した。そして、上記実施例1に記載の方法に従って、予備放電及びエージングを行ってから、初期電圧の測定及び放電試験を行った。
図4に示すように、初期電圧は、電池48の方が電池24よりも低く、電池49の方が電池38よりも低かった。その理由は、上記実施形態で説明した通りである。
なお、詳細を省略するが、電池24及び38以外の電池(例えば図2の電池5〜10及び図3に示す電池)においても正極1の結着剤をPVDFとすれば初期電圧が更に低下した。
以上説明したように、本発明は、アルカリ乾電池等と互換可能なリチウム一次電池について有用であり、半導体集積回路を備えた乾電池用機器の駆動用電池としても有用である。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電極群
5 正極リード
6 負極リード
7 上部絶縁板
8 下部絶縁板
9 電池ケース
9a 開口部
10 封口板

Claims (7)

  1. 二硫化鉄を正極活物質とする正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、前記正極と前記負極とがセパレータを介して捲回された電極群と、非水電解液とを備えたリチウム一次電池であって、
    前記非水電解液の溶媒は、ジオキソランと1,2−ジメトキシエタンとを主成分として含み、テトラヒドロフランを更に含んでおり、
    前記溶媒中のテトラヒドロフランの含有率は、1体積%以上10体積%以下であるリチウム一次電池。
  2. 請求項に記載のリチウム一次電池であって、
    前記溶媒中のテトラヒドロフランの含有率は、1体積%以上8体積%以下であるリチウム一次電池。
  3. 請求項1又は2に記載のリチウム一次電池であって、
    前記溶媒中のジオキソランの含有率は40体積%以上80体積%以下である、又は、前記溶媒中の1,2−ジメトキシエタンの含有率は20体積%以上60体積%以下であるリチウム一次電池。
  4. 請求項に記載のリチウム一次電池であって、
    前記非水電解液の溶媒は、ジオキソランと1,2−ジメトキシエタンとテトラヒドロフランとからなるリチウム一次電池。
  5. 請求項1からの何れか1つに記載のリチウム一次電池であって、
    前記非水電解液は、ヨウ化リチウムを含むリチウム一次電池。
  6. 請求項1からの何れか1つに記載のリチウム一次電池であって、
    前記溶媒は、3,5−ジメチルイソオキサゾール及びフタルイミドの少なくとも一方を0.05質量%以上0.50質量%以下含むリチウム一次電池。
  7. 請求項1からの何れか1つに記載のリチウム一次電池であって、
    前記正極の結着剤は、ポリフッ化ビニリデンであるリチウム一次電池。
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