JP6078377B2 - リチウム電池の製造方法 - Google Patents

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本発明はリチウム電池の製造方法に関し、とくに、組み立て後のリチウム電池に対する予備放電工程に関する。
正極活物質として二酸化マンガン、フッ化黒鉛、酸化銅などを用いた正極と、リチウム金属あるいはリチウム合金からなる負極活物質を含む負極と、有機電解液とを用いたリチウム電池は、高エネルギー密度を有するとともに、優れた保存性を有して、各種小型携帯機器の電源、バックアップとして広く用いられている。
ところで、リチウム電池における優れた保存性能は、電池の製造工程中に予備放電と呼ばれる処理を施すことで得られる。予備放電は、電池組み立て直後に予め理論容量に対して所定の割合(例えば、1〜3%)の容量を放電させることで行われる。それによって、リチウム電池は、リチウムイオンが正極活物質に電気化学的挿入されて正極活物質の活性度が下がり、貯蔵時に電解液の分解などによる特性劣化が防止される。
具体的には、リチウム電池における電解液として、プロピレンカーボネイト(PC)を主体とした有機電解液を用い、正極に導電材として炭素材料が含まれている場合、PCの分解電位が0.8Vであり、正極側の電位が金属リチウムに対して0.8V未満だと、PCが分解して炭素材料表面に抵抗体が生成し、それに伴ってガスが発生する。
そこで、従来のリチウム電池の製造方法では、組み立て後の予備放電工程に際し、PCの分解電位以下にならないように監視しながら小さな電流を長時間かけて流すことで所定容量を予備放電していた。なお、以下の特許文献1には、予備放電の条件などを規定することで、リチウム電池の保存性能を向上させる技術について開示されている。また、以下の非特許文献1には、市販のリチウム電池の規格や性能などについて、詳しく記載されている。
特開2009−152030号公報
稲電機株式会社、"取り扱いメーカー一覧、三洋電機、リチウム電池"、[online]、[平成24年12月25日検索]、インターネット<URL:http://www.inedenki.co.jp/pdf/sanyo_lit.pdf>
上述したように、リチウム電池では、組み立て後の予備放電が必須の処理であり、その予備放電は、電解液の分解などを抑制するために、上記特許文献1に記載の技術も含め、小さな電流を長時間掛けて流す、所謂「定電流方式」で行われていた。そのため、リチウム電池の生産性を飛躍的に向上させることが困難であった。また、定電流方式での予備放電では、電池の1本1本に対して電流を監視ながら放電させるため、予備放電に供される設備が複雑となり、製造設備における初期コストを増加させる。さらに、電流を監視しながら放電を行わせるため、予備放電に関わる設備の電流監視系統に何らかのトラブルが発生すると、意図しない大きな電流が流れ続けて電池が発火する可能性すらある。
そこで、所定時間に、電池の正負両極間を短絡した状態で電流を流す「短絡方式」で予備放電を行うことも考えられるが、この短絡方式では、大きな電流が電池内に流れることになり、それに伴う種々の問題が発生する。具体的には、短絡方式による予備放電では、ジュール熱に起因して電池内の温度が上昇する。そして、電池内の各部位で熱伝導率や熱容量に差があるため、その温度の上昇特性は、電池内で不均一となる。すなわち、電池内に温度差が発生する。そして、その温度差に伴うゼーベック効果により、負極を構成する金属リチウムの微粉が電池内に堆積する。このリチウムの微粉がセパレーターの多孔質構造に入り込めば、極めて微細な短絡(微短絡)が発生する。
リチウムの微粉による微短絡は、電池を長期に保存した際に、10年率で、小数点以下数%相当の微量の容量を損失させる原因となる。確かに、微短絡に起因する損失する容量の絶対値自体は極めて僅かなものである。しかし、ボビン形のリチウム電池であれば、初期容量の95%を10年間保持する程度の性能が求められており、微短絡に起因して損失する容量が僅かであっても、リチウム電池に求められる性能を維持できなくなる可能性がある。
したがって、本発明は良好な長期保存性能を達成しつつ、安全性と生産性を向上させることが可能なリチウム電池の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、正極端子部を備えた有底の金属製電池缶内に、発電要素として、正極合剤からなる正極と、リチウム金属あるいはリチウム合金からなる負極活物質を含む負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレーターと、非水電解液とが収納されているとともに、前記電池缶の開口を上方として、当該開口が、前記負極と電気的に接続された状態の金属製の封口体で封口されてなるリチウム電池の製造方法であって、
前記電池缶内に、前記発電要素を挿入するとともに、前記有機電解液を注入する発電要素充填工程と、
前記電池缶の開口に、負極端子部を含んで構成される前記封口体をガスケットを介して嵌着する封口工程と、
当該封口工程によって組み立てられたリチウム電池に対し、所定の電気容量を放電させる予備放電工程と、
を含み、
前記封口工程にはさらに複数の工程が含まれ、当該複数の工程のそれぞれの実行期間、および当該複数の工程において前後する工程間で前記電池缶を搬送する期間のうち、所定の2以上の期間において、前記電池缶と前記封口体との間を短絡させる事前放電工程を実行し、
前記予備放電工程では、前記正極端子部と前記負極端子部との間に所定の負荷を所定時間接続し、前記2以上の期間で実行した前記事前放電工程での総放電容量との合計放電容量が理論容量に対して所定の割合の容量となるように放電させる、
ことを特徴とするリチウム電池の製造方法としている。
また、前記封口工程には、前記複数の工程として、前記負極と電気的に接続された状態にある封口板をガスケットを介して前記電池開口に配置する封口板配置工程と、当該封口板の上に前記負極端子部となる負極端子板を積層する負極端子板積層工程と、前記電池缶の開口の縁端を内方に曲げるカール加工工程と、当該電池缶の開口を内方にかしめて前記積層状態にある前記封口板と前記負極端子板とからなる前記封口体を当該電池缶の開口に嵌着するかしめ工程とを含むとともに、当該複数の工程のいずれか2以上の工程の実行期間に前記事前放電工程を実行する、リチウム電池の製造方法とすることもできる。そして、前記負荷は30Ω以上であればより好ましい。
本発明に係るリチウム電池の製造方法によれば、生産性を向上させるとともに、製造時の安全性を確保できる。また、良好な長期保存性能を備えたリチウム電池を提供することができる。なお、その他の効果については以下の記載で明らかにする。
ボビン型リチウム電池の構造図である。 ボビン型リチウム電池の組み立て手順の一例を示す図である。 本発明の実施例に係るリチウム電池の製造方法を示す図である。
===本発明の技術的思想===
上述したように、「定電流方式」で予備放電を行う従来のリチウム電池の製造方法では、生産性の向上が見込まれない。しかし、容量の1〜3%を短絡方式によって放電させれば、発熱に伴う長期保存特性の劣化が問題となる。また、電解液を構成するPCが分解してガスが発生する、という問題もある。
しかしながら、短絡方式による予備放電を採用することで、生産性が向上することは明白であることから、本発明者は、短絡方式による予備放電を基本としつつ、この方式に関わる種々の問題を回避できる方法を模索した。具体的には、短絡方式による予備放電を実際に行って、室温で放電させながら電池缶の外面の各部位を熱電対によって測温するなどして、電流が流れてから発熱に至るまでの時間などについて検討した。そして、放電開始から約10分後には電池内に温度差が発生することや、外気温が低ければ温度差がさらに大きくなることを知見した。その一方で、電流が流れてから発熱に至るまでの時間や、電解液中のPCが分解するまでの時間は、瞬間的ではなく、数秒〜十数秒程度であれば短絡による予備放電が可能であることも知見した。
もちろん、数秒〜十数秒程度の予備放電では、必要とされる1〜3%の容量を放電させることはできない。短絡方式による短時間の予備放電を多数回に分けることも考えられるが、組み立て後に容量の1〜3%分を放電することが必要である以上、1回の予備放電に要する時間が短くても、連続して予備放電を実行できない以上、前後の予備放電の時間間隔や予備放電の回数などを考慮すると、予備放電に掛かる総体的な時間を劇的に短縮することはできず、生産性を向上させることができない。
そこで、本発明者は、予備放電をリチウム電池の組み立て後に行う、という旧来の常識を破棄することにした。そして、正極、負極、セパレーター、および電解液からなる発電要素が電池缶内に充填されてさえいれば、放電自体は可能であり、現在のリチウム電池の組み立て工程には、放電可能な状態となった時点から組立が完了するまでの間に、正極端子を兼ねる電池缶の一部と、負極と接続された金属部分とを同時に把持するなど、正極と負極とに電気的に同時に接触可能な工程が幾つか存在する、という事実に着目した。
従来、正極と負極とに同時に触れる工程で使用される治具や製造装置は、短絡が発生しないように構成されており、例えば、少なくとも電池に触れる部位が絶縁体で構成されていたり、正負の端子が短絡しない構造になっていたりした。そして、これらの正極と負極の双方に触れる工程の実行期間は、概ね5秒から10秒程度であり、この時間内であれば、短絡による発熱に起因する微短絡や電解液中のPCの分解などが発生しないはずである、と考えた。そして本発明は、上述した常識の破棄と、その破棄によって得た着目点とを出発点として鋭意研究を重ねた結果、想到したものである。
===リチウム電池の構造===
図1に本発明の対象となるリチウム電池の概略構成を示した。ここに示したリチウム電池1は、円筒形のボビン型(またはインサイド・アウト型)と呼ばれるものであって、この図では円筒軸100の延長方向を上下(縦)方向としたときの縦断面図を示している。そして、このリチウム電池1は、正極端子を兼ねる有底円筒状の電池缶2、中空円筒状に成形された正極合剤3、負極4、円筒カップ状のセパレーター5、負極端子板7などによって構成されている。
電池缶2は金属製であって、その外底面には凸状の正極端子部11がプレス加工により形成されている。正極合剤3には、正極活物質となる二酸化マンガン(EMD)、導電材となる炭素材料、およびフッ素系バインダー(PTFE)を混合したものを中空円筒状のコアに成型・固結したものが使用されている。セパレーター5は、円筒袋状であり、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびガラス繊維からなる複合素材でできている。
負極4は、負極活物質となる金属リチウム板を丸めて中空筒状に成型したものであって、その一部には負極リード6の一端部6aがあらかじめ取り付けられている。この負極リード6は帯状の金属薄板で、その一端部6aが負極4に面状に固着した状態で接続されることで負極集電体が形成されている。なお、負極4にリチウム合金(例えば、リチウム・アルミニウム合金)を用いるリチウム電池もある。
また、電池缶2の開口端13側を上方として、この電池缶2の上部開口が封口体9によってガスケット10を介して封口されている。封口体9は、伏せた皿状の金属製負極端子板7の下方に円盤状の封口板8を積層してなり、負極リード6の他端部6bが、その封口板8の下面にスポット溶接されている。それによって、負極端子板7と負極4とが電気的に接続された状態となっている。
===リチウム電池の組み立て===
図2に、上記構造のリチウム電池1の組み立て工程の一例を示した。まず、円筒状の絶縁体(絶縁円筒)をあらかじめ正極合剤3を挿入した電池缶2に着脱自在に被装させておき(s1)、つぎに、正極合剤3の内側にセパレーター5を配置する(s2)。そして、負極リード6の一端部6aが固着された状態の負極4をセパレーター5を介してリング状の正極合剤3の内側に挿入する(s3)。
次いで、電池缶2の上端側の周囲にビーディング部12を形成するとともに、負極リード6の他端部6bをガスケット10を介して載置した封口板8に溶接する(s4,s5)。つぎに、溶媒としてPCを含む有機電解液を電池缶2内に注液する(s6)。注液後、電池缶2内に封口板8を挿入する(s7)。このとき、ガスケット10を介して先のビーディング部12を座にして封口板8を載置する。また、負極端子板7を封口板8の上方に積層しつつ電池缶2内に挿入する(s7)。そして、電池缶2に被装されていた絶縁円筒を除去したのち、電池缶2の開口端13にカール(曲げ)加工を施す(s8,s9)。さらに、電池缶2のビーディング12から開口端13までの領域を内方にかしめ加工して電池缶2を密閉封口する(s10)。以上の工程により、リチウム電池1の組み立てが完了する。なお、正極合剤を挿入した電池缶2、セパレーター5、ガスケット10などの各部材は事前に乾燥処理を施した上、上述の電池組立はドライ雰囲気下で組立てている。
===本発明の実施例===
本発明の実施例に係る製造方法によって製造されるリチウム電池は、図1に示したボビン型リチウム電池1と同じ構造である。しかし、その方法において予備放電の仕方に特徴を有し、それによって、リチウム電池の生産性と、製造後のリチウム電池の長期保存特性を向上させることに成功している。概略的には、上述したリチウム電池1の組み立て工程中には、正極端子部11などの電池缶2の一部と、負極4と電気的に接続されている部分(負極端子板7、封口板8など)とに同時に接触する工程が幾つかある。そこで、本発明の実施例に係るリチウム電池の製造方法では、上述したリチウム電池1の組み立て工程に含まれる、正極と負極に同時接触する工程の実行期間中に短絡方式による予備放電を行い、最終的に予備放電させる容量の一部をリチウム電池1の組立が完了する前に放電させておくことに特徴を有している。
図2に示した組み立て工程において、治具や製造機械は、例えば、封口板挿入工程(s7)、負極端子板挿入工程(s8)、絶縁筒除去工程(s9)、カール加工工程(s10)、かしめ加工工程(s11)などにおいて正極端子部11と負極端子板7に同時に接触する。そこで、電池缶2内に全ての発電要素(正極合剤3、負極4、電解液)が収容された後で、かつ正極端子部11と負極端子に同時に接触する工程(以下、端子部接触工程)にて用いられる治具や製造機械を、敢えて導電体で構成したり、正極端子部11と負極端子板7に接触する部位を電気的に接続させておいたりすれば、これらの端子部接触工程の実行期間中に正極と負極とが短絡され、容量の一部が放電されることになる。図3に、本発明の実施例に係るリチウム電池の製造方法を示した。図2に示した組み立て工程中の端子部接触工程(s7〜s11)に該当する工程(s7a〜s11a)の全てにおいて、短絡方式による予備放電(以下、事前放電:s7b〜s11b)を行っている。そして、組み立てが完了したのちに、最終的に必要とする放電容量のうち、事前放電によって放電されなかった容量分を予備放電(以下、本放電)する(s12)。
===実施例に係る製造方法の有効性===
図3に示した製造方法において、組み立て完了後の本放電工程(s12)では、従来と同様の定電流方式によって放電したとしても、事前放電により一部の容量が放電されているため、確実に放電時間を短縮することができる。しかし、定電流方式による予備放電自体に長い時間を要し、また、電流監視系統のトラブルに起因する危険性も考慮する必要があることから、本発明の実施例に係る製造方法では、本放電工程(s12)に際し、正負の両極間所定の負荷(固定抵抗)を接続する方式(以下、定抵抗方式)で予備放電を行うことで、安全性を確保しつつ、予備放電に要する時間を劇的に短縮させることを検討した。もちろん、予備放電時間の短縮が可能であっても、エージング後の開路電圧(OV)が規定値を下回っていたり、長期保存特性が劣化してしまったりすれば、不良品の発生率が増加することになり、却って生産性を低下させてしまう。
そこで、CR2/38L型のリチウム電池をサンプルとして作製し、そのサンプルの製造過程における予備放電の有無、および本放電の条件などに基づいて本発明の実施例に係る製造方法の有効性を評価した。具体的には、製造条件が異なる4種類のサンプルのそれぞれについて150個の個体を作製し、全個体に対し、エージング後の開路電圧(OV)を測定する初期特性試験を行い、規定値未満で不良となった個体の出現率(%)を求めた、また、この初期特性試験において、OVが規格値以上となった個体に対して長期保存特性試験を行った。長期保存特性試験は、約10年間に相当する加速劣化試験(70℃114日保存)の後に、OVが規格値以下となった不良個体出現率(%)を求めることで行った。
以下の表1に各サンプルの予備放電条件と、試験結果とを示した。
Figure 0006078377
表1において、サンプル1は、事前放電を行わず、組み立て後に短絡方式で予備放電を行ったものである。サンプル2〜4は、図3に示した製造方法により、サンプルの組み立て過程で事前放電工程により放電させ、組み立て後に、それぞれ、40Ω、30Ω、20Ωの抵抗を正負極間に挿入して定抵抗方式で本放電を行ったものである。なお、図(3)に示した五つの事前放電工程(s7b〜s11b)のそれぞれにおける放電容量の総量は、理論容量の0.3%となっている。そして、本放電工程(s12)では、事前放電工程(s7b〜s11b)の有無に拘わらず、合計の放電容量が約2%となるように放電させた。なお、表1には、本放電時の放電容量(%)も示した。
表1より、事前放電をせずに、短絡方式で本放電を行ったサンプル1では、2.0%の個体が必要とする初期特性を満たすことができなかった。また、長期保存特性試験では、2.7%の不良個体が発生した。短絡方式での予備放電では、組み立て直後の電池が出力できる最大の電流で放電されるため、容量の2%を放電するまでの間(約10分)に電池内に温度差が発生する。そして、この温度差が上述した微短絡を発生させ、このことが、とくに、長期保存特性を劣化させたものと思われる。また、短絡方式の予備放電では、放電中の閉路電圧はほぼ0(V)で推移し続けるため、電解液中の微量のPCが分解した可能性や、正極合剤中のマンガンの還元なども考えられる。いずれにしても、短絡方式での予備放電では、生産性が低下することが確認できた。
一方、事前放電を行ったサンプル2〜4では、全ての個体において、初期特性試験での不良が発生しなかった。また、長期保存特性試験において、30Ωの抵抗を介して本放電させたサンプル4で、0.6%の不良個体が発生したものの、それより大きな45Ωと40Ωの抵抗を介して本放電したサンプル2、4では、長期保存特性試験において、一つも不良が発生しなかった。いずれにしても、事前放電を実行したサンプル2〜4では、サンプル1に対して初期特性不良率、長期保存不良率がともに激減した。
そして、本実施例の製造方法によれば、まず、事前放電を行うことで、確実に予備放電に掛かる時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。また、本放電を定抵抗方式で行うことで、定電流方式による予備放電において問題となっていた。複雑な設備が不要となり、製造設備における初期コストを低減させることができる。さらに、電流を監視する必要がないので、予備放電に関わる設備自体のトラブル(過放電による発火など)を考慮する必要がなく、安全性も高い。
なお、本放電に要する時間と接続する負荷とはほぼ反比例の関係にあり、負荷を小さくするほど本放電に要する時間を短縮することができるが、負荷が小さ過ぎると短絡に近い状態となるため、30Ω以上とした方がより好ましい。
===その他の実施例===
上記実施例では、図3に示したように、組み立て工程中に5回、事前放電を実行しているが、この回数は増減可能である。例えば、注液工程後の工程において、正負の電極間を短絡できる機会がさらにあれば、5回より多くなる。事前放電に必要な容量分が確保できるのであれば、5回よりも少なくできる。また、生産ラインを構成する製造機械や治具の配置関係によっては、前後の工程間で電池缶を移載装置のピックアップなどで把持しながら搬送する場合もあり、その搬送に際して事前放電を行うことも可能である。
また、生産設備によっては、あるいは電池の種類や構造によっては、組み立て工程が、図2に示したものとのは若干異なる場合もある。例えば、電池缶に絶縁円筒を被装しないで組み立てる場合では、その絶縁円筒を取り外す工程が存在しない。封口板が無く、負極端子板の下面に負極リードが溶接されている構造のリチウム電池もある。しかし、工程やリチウム電池の種類や構造がどのようなものであっても、適宜な工程や搬送の期間のいずれか2以上の期間に事前放電を行えばよい。
もちろん、正負の電極端子間を短絡できる工程や搬送の期間があったとしても、そのときに短絡できる時間(以下、短絡可能時間)が長すぎれば、電池内に温度差が発生する可能性がある。したがって、事前放電の要否は、工程の実行時や搬送時の短絡可能時間によって決定すればよい。いずれにしても、温度差を発生させずに必要な容量分を放電することができれば、適宜な工程中や搬送中に短絡による事前放電を行うことができる。
上記実施例では、ボビン型リチウム電池の製造方法について説明したが、本発明はコイン型リチウム電池や円筒形のスパイラル型リチウム電池の製造方法にも適用可能である。
1 ボビン型リチウム電池、2 電池缶、11 正極端子、3 正極合剤、
5 セパレーター、4 負極リチウム、9 封口体、7 負極端子板、8 封口板、
6 負極リード、10 ガスケット

Claims (3)

  1. 正極端子部を備えた有底の金属製電池缶内に、発電要素として、正極合剤からなる正極と、リチウム金属あるいはリチウム合金からなる負極活物質を含む負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレーターと、非水電解液とが収納されているとともに、前記電池缶の開口を上方として、当該開口が、前記負極と電気的に接続された状態の金属製の封口体で封口されてなるリチウム電池の製造方法であって、
    前記電池缶内に、前記発電要素を挿入するとともに、前記有機電解液を注入する発電要素充填工程と、
    前記電池缶の開口に、負極端子部を含んで構成される前記封口体をガスケットを介して嵌着する封口工程と、
    当該封口工程によって組み立てられたリチウム電池に対し、所定の電気容量を放電させる予備放電工程と、
    を含み、
    前記封口工程にはさらに複数の工程が含まれ、当該複数の工程のそれぞれの実行期間、および当該複数の工程において前後する工程間で前記電池缶を搬送する期間のうち、所定の2以上の期間において、前記電池缶と前記封口体との間を短絡させる事前放電工程を実行し、
    前記予備放電工程では、前記正極端子部と前記負極端子部との間に所定の負荷を所定時間接続し、前記2以上の期間で実行した前記事前放電工程での総放電容量との合計放電容量が理論容量に対して所定の割合の容量となるように放電させる、
    ことを特徴とするリチウム電池の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記封口工程には、前記複数の工程として、前記負極と電気的に接続された状態にある封口板をガスケットを介して前記電池開口に配置する封口板配置工程と、当該封口板の上に前記負極端子部となる負極端子板を積層する負極端子板積層工程と、前記電池缶の開口の縁端を内方に曲げるカール加工工程と、当該電池缶の開口を内方にかしめて前記積層状態にある前記封口板と前記負極端子板とからなる前記封口体を当該電池缶の開口に嵌着するかしめ工程とを含むとともに、当該複数の工程のいずれか2以上の工程の実行期間に前記事前放電工程を実行する、ことを特徴とするリチウム電池の製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記負荷は30Ω以上であることを特徴とするリチウム電池の製造方法。
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