JP4496727B2 - 蓄電素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電解液を備える蓄電素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水系電解液を備える蓄電素子(リチウムイオン二次電池等)において、該蓄電素子の内部(容器内)に多くの水分が存在すると、蓄電素子の性能が低くなる等の不都合が生じることがある。したがって容器内の水分を少なくすることが好ましい。蓄電素子を組み立てる際、通常の大気雰囲気(典型的には湿度20〜90%)の下ではその構成部品に水分が吸着している。そのような構成部品を組み立てると、吸着している水分が蓄電素子の内部に持ち込まれることとなる。そこで、吸着している水分を真空乾燥等により除去した後、水分の再吸着を抑制するために低湿度の環境下で蓄電素子を組み立てるという製造方法が採用されている。また、下記特許文献1には、捲回型の電極素子を電池缶に挿入した後、その電池缶を封止する前に電極素子を乾燥させる技術が記載されている。他の従来技術文献としては特許文献2が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−12070号公報
【特許文献2】
特開2002−222665号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、水分の少ない蓄電素子をより効率よく製造することができれば有益である。本発明は、水分の少ない蓄電素子を効率よく製造する方法を提供することを一つの目的とする。本発明の他の一つの目的は、性能の改善された蓄電素子を効率よく製造する方法を提供することである。他の一つの目的は、かかる方法により製造された蓄電素子を提供することである。関連する他の目的は、蓄電素子を製造するための組立体から水分を除去する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段と作用と効果】
本発明者は、水が電気分解され得るということを利用して上記課題を解決し得ることを見出した。
【0006】
この出願により提供される一つの発明は、一対の電極および非水系電解液を備える蓄電素子を製造する方法に関する。その製造方法は、第一の電極、第二の電極および非水系電解液を備えた蓄電素子組立体を得る工程を含む。また、その電解液に電圧を印加する工程を含む。この電圧の印加は水を電気分解し得る条件で行う。典型的には水の分解電圧(凡そ1.2V)以上の電圧を印加する。例えば、標準水素電極を基準として、該電圧の印加に用いる負極の電位が凡そ0V以下(好ましくは凡そ0〜−3V)となる条件で行うことができる。また、正極の電位が凡そ1.2V以上(好ましくは凡そ1.2〜1.5V)となる条件で行うことができる。負極の電位がおよそ0V以下となり、かつ正極の電位が凡そ1.2V以上となる条件で行うことが好ましい。このように電解液に電圧を印加することによって、上記組立体に存在する水分が電気分解され得る(典型的には、H2OがH2およびO2に分解される)。これにより水分を減らす(分解する)ことができる。したがって、本発明の他の側面として、蓄電素子組立体に含まれる水分を電気分解によって除去する方法が提供される。なお、上記電気分解(電圧の印加)に用いる正極として、第一電極および第二電極以外の部材を用いる。
この電気分解処理工程を含む製造方法によると、通常の環境下で組立体を用意(構築)した場合にも、水分の少ない蓄電素子を効率よく製造することができる。
【0007】
上記方法の好ましい一態様では、非水系電解液を組立体の外部から密閉(封止)した状態で上記電圧の印加を行う。上記組立体が第一電極、第二電極および非水系電解液を容器に収容した構成を有する場合には、該容器を封止した状態で電圧を印加するとよい。ここで「容器を封止した状態」とは、少なくとも容器内外の間で水分の移動が実質的に起こらない程度に容器の開口部が塞がれている状態をいい、典型的には容器が実質的に気密に閉塞されている状態をいう。これにより、外部から容器内に新たな水分が入り込むことが防止されるので、容器内に存在する水分を効率よく減らすことができる。第一電極、第二電極および非水系電解液を容器に収容して容器を封止した後、この容器封止状態で電圧の印加を行い、その後、容器の封止を解いて発生ガスの少なくとも一部を除去した後に再び容器を封止することが好ましい。
好ましい適用対象の一例として、第一電極および第二電極が捲回型電極体を構成している蓄電素子が挙げられる。上記方法では、捲回型電極体に含浸している電解液にも適切に電圧を印加することができる。したがって、捲回型電極体の内部を含めて、組立体に存在する水分を効果的に除去(分解)し得る。
【0008】
上記電気分解(電圧の印加)に用いる正極としては、第一電極および第二電極以外の部材を用いる。このことによって、より性能(初期容量等)の良好な蓄電素子を製造し得る。例えば、上記組立体がリチウムイオン二次電池製造のための組立体である場合、電気分解用(電圧印加用)の正極としては、該リチウムイオン二次電池の正極以外の部材を用いることが好ましい。また、この方法を導電性材料(典型的には金属)を主体とする容器を備える蓄電素子の製造に適用する場合には、電気分解用の正極として該容器を好ましく用いることができる。一方、電気分解用の負極としては、第一電極または第二電極を用いてもよく、これら以外の部材を用いてもよい。
【0009】
また、この出願によると、上述したいずれかの方法により製造された蓄電素子(換言すれば、本発明に係る水分除去処理を行って得られた蓄電素子)が提供される。このような蓄電素子は、上記電気分解処理を行うことによって水分が低減されていることから、より性能(特に初期性能)のよいものとなり得る。
なお、本明細書中において「蓄電素子」とは、電池(リチウムイオン二次電池等)およびキャパシタ(電気二重層キャパシタ等)の双方を包含する概念である。上述したいずれかの方法は、非水系電解液を備える二次電池の製造に好ましく適用することができる。特に好ましい適用対象としてリチウムイオン二次電池が挙げられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明はまた、下記の形態で実施することができる。
(形態1)
蓄電素子組立体を得る上記工程を通常の環境下(特に低湿度に調整されていない環境)で行う。この場合にも、その後に電気分解処理を行うことによって、水分が十分に低減された電池を製造することができる。蓄電素子組立体を得る工程を低湿度に調整された環境下(ドライルーム内等)で行う必要がなくなることにより、その低湿度環境を維持するためにかかるコストを低減することができる。
【0011】
(形態2)
容器を封止した状態で、上記電気分解工程を通常の環境下(特に低湿度に調整されていない環境)で行う。容器が封止されていることによって新たな水分の進入が防止されているので、このように通常の環境下で電気分解処理を行う場合にも組立体の水分を効率よく減らすことができる。電気分解処理を低湿度環境下で行う必要がなくなることにより、該環境を維持するためにかかるコストを低減することができる。
【0012】
(形態3)
電気分解処理を容器を封止した状態で行った後、容器の封止を解いて内圧を逃し、再び容器を封止する工程を含む。容器を封止した状態で電解液に電圧を印加すると、ガス(典型的には、水の電気分解によるH2およびO2)の発生によって容器の内圧が上昇することがある。かかる内圧上昇の程度が大きくなると容器の変形等の不都合が生じることがある。電気分解処理の後に内圧を逃すことによって、そのような不都合が起こることを未然に防止することができる。内圧を逃して容器を再封止する上記工程は低湿度環境下で行うことが好ましい。このことによって、容器の封止を解いたときに容器内に新たな水分が入り込むことを防止することができる。なお、電気分解工程は通常の環境下で行ってもよく、低湿度環境下で行ってもよい。
【0013】
(形態4)
電気分解(電圧の印加)に用いる正極および負極の少なくとも一方としては、第一電極および第二電極以外の部材を用いる。すなわち、蓄電素子を構成する一対の電極(第一電極および第二電極)とは異なる組み合わせの電極間で電圧を印加して電気分解を行う。例えば、以下のいずれかの組み合わせを採用することができる。
(1).負極として蓄電素子の負極を用い、正極として容器を用いる。
(2).負極として第三の電極(第一電極および第二電極以外の部材;電気分解用負極)を用い、正極として容器を用いる。
(3).負極として蓄電素子の負極を用い、正極として第四の電極(第一電極および第二電極以外の部材;電気分解用正極)を用いる。
(4).負極として第三の電極(第一電極および第二電極以外の部材;電気分解用負極)を用い、正極として第四の電極(第一電極および第二電極以外の部材;電気分解用正極)を用いる。
【0014】
上記第三電極および第四電極としては、導電性を有する材料(典型的には金属材料)を用いて構成された部材(棒状体、板状体、箔状体等)を用いる。最終的に蓄電素子を構成する部材とは別の部材を用いることができる。電解液による腐触等を受けにくい材料を選択することが好ましい。好ましい材料としては、アルミニウム、銅、鉄等を主体とする金属材料が挙げられる。特に、電気分解用正極の構成材料としては、電圧を印加したときに実質的に溶出しない材料を選択することが好ましい。
【0015】
また、蓄電素子の容器を電気分解用の正極として用いる場合(例えば、上記(1)または(2)の組み合わせを採用する場合)、この容器は導電性材料を主体に構成されたものであることが好ましい。また、一部(収容された電解液に接触するとともに正極および負極とは絶縁された部分)に導電性材料からなる部分を備えた容器であってもよい。かかる導電性材料としては、電圧を印加したときに実質的に溶出しない材料を選択することが好ましい。例えば、アルミニウム系材料(各種アルミニウム合金等)、鉄系材料(SUS等)、ニッケルメッキ鋼板等を用いることができる。容器を正極として電気分解を実施することによって、その表面に酸化膜が形成されることがある。かかる酸化膜は容器の耐腐食性の向上に寄与し得る。このことは、アルミニウム製の容器を正極として電気分解を行う場合に特に有効である。
【0016】
【実施例】
以下、本発明に関する具体的実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。また、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0017】
<実施例1:リチウムイオン二次電池の製造(1)>
図1に示すフローチャートに沿って、捲回型の電極体を備えるリチウムイオン二次電池を製造した。図2は、本実施例に係るリチウムイオン二次電池1の概略構成を示す模式図である。なお、図1において一重線で囲まれたステップは通常の環境下(相対湿度45%程度の一般空調雰囲気;特に低湿度に調整されていない環境)で行った。一方、二重線で囲まれたステップは低湿度に維持された環境下(露点約−40℃の湿度に維持されたドライルーム内)で行った。
【0018】
正極活物質としてのリチウム−ニッケル系複合酸化物(LiNiO2の一部がCoおよびAlで置換されたもの)と、導電化材としてのカーボンブラック(CB)と、バインダとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを適当な溶媒と混合してペースト状の正活物質組成物を調製した。正極活物質:導電化材:バインダの質量比は凡そ85:10:5とした。正極集電体としてのアルミニウム箔の両面にこの正極活物質組成物を塗布して溶媒を除去し(揮発させ)、さらにプレスした。これを54mm幅にスリットして、正極集電体の両面に正極活物質層を備えるシート状の正極12を作製した。また、負極活物質としてのカーボン材料と、バインダとしてのCMCおよびスチレンブタジエンゴム(SBR)とを適当な溶媒と混合してペースト状の負極活物質組成物を調製した。負極活物質:バインダの質量比は凡そ95:5である。負極集電体としての銅箔の両面にこの負極活物質組成物を塗布して溶媒を除去し(揮発させ)、さらにプレスした。これを56mm幅にスリットして、負極集電体の両面に負極活物質層を備えるシート状の負極14を作製した(ステップ100)。
なお、後述する実施例2および実施例3ではここで電極12,14の真空乾燥を行うが(図4および図5に示すステップ102)、本実施例では特に電極の乾燥を行わなかった。
【0019】
次に、正極12の端部に正極集電端子126を、負極14の端部に負極集電端子146をそれぞれ接続(例えば溶接)した。そして、セパレータ16を介して正極12と負極14とを重ね合わせた。セパレータ16としてはポリエチレン製の多孔質シートを用いた。これを長手方向に捲回して捲回型の電極体10を作製した(ステップ110)。電極体10の再外周ではセパレータ16を二周捲回し、その端部を融着して固定した。このようにして得られた電極体10の外径は約16.6mmであった。
【0020】
電極体10を収容する容器20は、内径約17.4mmの略円筒状であってSUS304を主体に構成された本体22と、容器20の両端面に設けられた正極端子128および負極端子148と、これらの端子128,148と本体22とを絶縁する絶縁板24とを備える。また、容器20の正極側端面には貫通孔26が設けられている。電極体10を容器20に収容し、正極集電端子126および負極集電端子146を正極端子128および負極端子148にそれぞれ電気的に接続した(ステップ120)。
【0021】
そして、貫通孔26から容器20に電解液を注入(収容)した(ステップ130)。電解液(図示せず)としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との7:3(質量比)混合溶媒に、約1mol/リットルの濃度でLiClO4を含有するものを使用した。電解液の注入は、容器20内を133Pa以下に減圧し、上記電解液を約6ml注入(注液)した後、容器内を0.1MPaに加圧して行った。そして、シールワッシャを介したボルト(いずれも図示せず)によって貫通孔26を仮封止した(ステップ132)。このようにして電池(組立体)1を構築した。図1に示すように、本実施例ではここまでの工程(ステップ100〜132)を全て相対湿度45%程度の一般空調雰囲気の下で行った。
【0022】
この状態の電池(組立体)1を約24時間放置した後(ステップ134)、図3に示す模式図のように、容器20(本体22)と負極14との間に外部電源50を接続した。そして、容器20を正極とし、負極14を負極として、上限電圧1.5Vで0.1Aの定電流−定電圧充電を合計で約2時間行った。このとき、図3に示す模式図のように、容器20(本体22)を正極(標準水素電極に対する電位が約1.5V)とし、負極14を負極(同約0V)として、両者を隔てる電解液30に約1.5Vの電圧が印加される(ステップ140)。これにより電池(組立体)1の水分(電解液30に存在する水分、電解液30に接触する水分等)を電気分解することができる。典型的には、容器20(本体22)の内表面でO2が発生し、負極14の表面(主として電極体10の外周部)でH2が発生する。図1に示すように、これらのステップ134および140も、相対湿度45%程度の一般空調雰囲気の下で行った。
【0023】
次いで、ステップ140を終えた電池1をドライルーム(露点約−40℃の低湿度環境)に搬入した。そして、このドライルーム内で、貫通孔26を封止していた図示しないボルトを緩めて容器20を開放した。これにより、容器20の内圧(水の電気分解により生じたガス等)を放出させた。その後、シールワッシャを介したボルトによって貫通孔26を再び封止した(ステップ142)。このようにしてリチウムイオン二次電池1を製造した。
【0024】
<実施例2:リチウムイオン二次電池の製造(2)>
図4に示すフローチャートに沿って、実施例1と同様の構造を有するリチウムイオン二次電池1(図2参照)を製造した。なお、図4において一重線で囲まれたステップは通常の環境下で行い、二重線で囲まれたステップは低湿度に維持された環境下(露点約−40℃の湿度に維持されたドライルーム内)で行った。
【0025】
実施例1と同様にしてシート状の正極12および負極14を作製した(ステップ100)。ここで、本実施例ではこれらの電極12,14を真空乾燥させた。真空乾燥条件は、120℃、8時間、100Paとした(ステップ102)。これにより電極12,14に吸着している水分を除去した。図4に示すように、ここまでの工程は相対湿度45%程度の一般空調雰囲気で行った。
そして、上述のように真空乾燥させた電極12,14を用いて、露点約−40℃のドライルーム内で、実施例1と同様の構成および形状を有する捲回型電極体10を作製した(ステップ110)。引き続きドライルーム内において、実施例1と同様にして電極体10を容器20に収容し(ステップ120)、貫通孔26から容器20内に電解液を注入し(ステップ130)、貫通孔26を封止した(ステップ132)。
【0026】
この状態の電池(組立体)1を約24時間放置した後(ステップ134)、実施例1と同様に容器20を正極、負極14を負極として1.5V,0.1Aの定電流−定電圧充電を合計で約2時間行うことにより、容器20(本体22)と負極14との間に約1.5Vの電圧を印加した(ステップ140)。図4に示すように、これらのステップ134およびステップ140は、相対湿度45%程度の一般空調雰囲気の下で行った。電池1をドライルームに搬入し、実施例1と同様にして容器20を一旦開放して内圧を放出させ、次いで再び封止した(ステップ142)。このようにしてリチウムイオン二次電池1を製造した。
【0027】
<実施例3:リチウムイオン二次電池の製造(3)>
図5に示すフローチャートに沿って、実施例1と同様の構造を有するリチウムイオン二次電池1(図2参照)を製造した。なお、図5において一重線で囲まれたステップは通常の環境下で行い、二重線で囲まれたステップは低湿度に維持された環境下(露点約−40℃の湿度に維持されたドライルーム内)で行った。
図4に示すように、この実施例3に係る製造方法では、電極作製(ステップ100)から電池封止(ステップ132)までの工程を実施例2と同様の方法および環境で行った後、実施例1および2と条件を揃えるために電池1を一般空調雰囲気に24時間放置した(ステップ134)。ただし、実施例1および実施例2とは異なり、その後に電圧を印加する工程(図1および図4に示すステップ140)を行うことなくリチウムイオン二次電池1の製造を終了した。
【0028】
<実施例4:性能評価>
実施例1〜3により製造したリチウムイオン二次電池の充放電を行い、それらの初期性能を評価した。
すなわち、1サイクル目の充放電として、上限電圧を4.1Vとして電流密度1/4Cの定電流−定電圧充電を合計6時間行った後、3Vまで1Cで放電した。なお、これらの電池における1Cは1Aとした。2サイクル目および3サイクル目では、4.1Vで1Cの定電流−定電圧充電を合計2.5時間行った後、3Vまで1Cで放電した。そして、4サイクル目では、4.1Vで1Cの定電流−定電圧充電を合計2.5時間行った後、3Vまで1/3Cで放電した。この4サイクル目の放電容量を初期の電池容量とした。
【0029】
また、上記の1〜4サイクルを終えた電池を用いて電池の内部抵抗(直流抵抗)を測定した。すなわち、定電流−定電圧充電により3.72V(SOC60%)まで充電した。その後、以下の(a)〜(f)の順に充放電を行い、各充放電後の電圧を縦軸とし、充放電電圧を横軸とした電流−電圧プロット値の一次近似直線の傾きから内部抵抗値を求めた。
(a) 2mA/cm2で10秒間放電する。
(b) 2mA/cm2で10秒間放電する。
(c) 6mA/cm2で10秒間放電する。
(d) 6mA/cm2で10秒間放電する。
(e) 12mA/cm2で10秒間放電する。
(f) 12mA/cm2で10秒間放電する。
【0030】
このようにして測定した放電容量および直流抵抗の値を表1に示す。なお、これらの評価は25℃の恒温槽内にて行った。
【0031】
【表1】
【0032】
表1から判るように、実施例1により製造した電池は、実施例3の電池と同等以上の初期性能(電池容量の大きさおよび直流抵抗の低さ)を示した。このことは、電気分解処理を行わない実施例3の製造方法に比べて、実施例1の製造方法では低湿度環境で行う工程が明らかに少ないにも拘らず、水分が同等以下に低減された電池が得られたことを示唆している。低湿度環境で行う工程が少なくなれば、より効率よく電池を製造することができる。例えば、低湿度環境(ドライルーム等)の維持に要するコストを低減することができる。
また、実施例2により製造した電池は、実施例3の電池よりも初期性能が改善されていた。具体的には、電池容量が数%程度(凡そ1〜3%)大きく、また直流抵抗が数%程度(凡そ2〜6%)低かった。このことは、実施例3の製造方法に加えて電気分解処理を実施することにより、さらに水分の少ない電池を効率よく製造し得ることを示唆している。
【0033】
このように、電極および電解液を備える蓄電素子組立体を構築した後に電気分解を行う(電解液に電圧を印加する)上記製造方法によると、水分の少ない蓄電素子(リチウムイオン二次電池等)を効率よく製造することができる。例えば、電解液の注液前に電極に付着している水分を除去する作業(例えば電極を真空乾燥する作業)を省略した場合にも、その後に電気分解工程を行うことによって容器内の水分を減らすことができる。また、電気分解よりも前の工程(容器に電極を収容する工程、容器に電解液を注入する工程等のうち一または二以上の工程)を一般空調雰囲気で行った場合にも、その後の電気分解工程によって組立体に存在する水分を減らすことができる。その結果、いずれの場合にも最終的には水分が十分に低減された蓄電素子を得ることが可能である。また、電極の真空乾燥を行った場合および/または電気分解前の工程を低湿度環境下で行った場合には、その後に電気分解工程を実施することによって、さらに水分の低減された蓄電素子を製造することができる。また、電極および電解液を備えた組立体を構築した後に電気分解工程を行うので、該工程後に水分が電極や容器内壁等に再付着(吸着)することを容易に防止し得る。電気分解工程を含む上記製造方法によると、これらのうち一または二以上の効果によって、水分の少ない蓄電素子を効率よく製造することができる。
【0034】
なお、実施例1および実施例2では、電圧印加(電気分解)を行う前に電池1を約24時間放置している(ステップ134)。このように、電極12,14と電解液とが接触した状態でしばらく時間をおくことにより、電極12,14に電解液をよりよく浸透させることができる。また、電極12,14等の電池構成部材に付着している水分等を電解液中によりよく移行させることができる。したがって、その後の電圧印加(ステップ140)によって電池(組立体)1に存在する水分を効率よく減らすことができる。このような効果は、電解液を注液してから電圧を印加するまでの時間を例えば10分以上(好ましくは30分以上、より好ましくは3時間以上)とすることによって良好に発揮され得る。なお、上記ステップ140は省略することもできる。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に係る製造方法の概略を示すフローチャートである。
【図2】 リチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す説明図である。
【図3】 電気分解を行う工程を模式的に示す説明図である。
【図4】 実施例2に係る製造方法の概略を示すフローチャートである。
【図5】 実施例3に係る製造方法の概略を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:リチウムイオン二次電池(蓄電素子、蓄電素子組立体)
10:捲回型電極体
12:正極(第一の電極)
14:負極(第二の電極、電気分解用負極)
16:セパレータ
20:容器
22:本体(電気分解用正極)
26:貫通孔
30:電解液
50:外部電源
Claims (7)
- 第一の電極、第二の電極および非水系電解液を備えた蓄電素子組立体を得る工程と、
その電解液に電圧を印加して該組立体に存在する水分を電気分解する工程と、
を備えており、
前記電気分解に用いる正極が、前記第一電極および前記第二電極以外の部材であることを特徴とする蓄電素子製造方法。 - 前記組立体は、前記第一電極、前記第二電極および前記非水系電解液を容器に収容して構成されており、
前記電圧の印加は該容器を封止した状態で行う、請求項1に記載の方法。 - 前記電圧の印加を行った後、前記容器の封止を解放することにより前記容器の内部で発生したガスを除去し、再び容器の封止を行う、請求項2に記載の方法。
- 前記容器は導電性材料を主体に構成されており、前記電気分解用の正極として該容器を用いる、請求項2に記載の方法。
- 前記第一電極および前記第二電極は捲回型電極体を構成している、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組立体はリチウムイオン二次電池製造のための組立体であって、前記電気分解用の正極として該二次電池の正極以外の部材を用いる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法により製造された蓄電素子。
Priority Applications (1)
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