JP2014127317A - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量で、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、正極と、負極集電体の上にリチウムと合金化可能な材料を含む負極合剤層を形成した負極とを、セパレータを介して対向させて外装体の中に挿入する電池組立工程と、前記外装体の中に、ハロゲン置換された環状カーボネートを含む第1の電解液を注入して1回以上9回以下の回数で充放電を行う一次充放電工程と、前記外装体の中に、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含む第2の電解液を注入して充放電を行う二次充放電工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池の製造方法に関する。
1991年の商品化以来、リチウムイオン電池は携帯電話やゲーム機等の携帯機器用の二次電池として順調に市場を広げ、最も主要な二次電池の一つとなっている。近年は太陽電池や風力発電、スマートグリッド等と組み合わせた蓄電システム用電源、及び電気自動車用電源等として、広範に実用化が検討されており、その市場は拡大の一途をたどっている。
このように市場の拡大するリチウムイオン電池であるが、その用途によってさまざまな要求が寄せられている。特に携帯電話や携帯ゲーム機等のモバイル機器においては、高性能化、多機能化が進められた結果、電力消費が増大して、リチウムイオン電池の充放電容量の高容量化に対する強い要求が寄せられている。
このような要求に答えるために負極材料としてシリコン(Si)を用いたリチウムイオン電池の開発が活発に進められている。Siは4200Ah/kgと現在主流であるカーボン(C)負極材料の10倍以上の理論容量を有しており、大幅な容量向上が期待できる。実際にSiを負極材料として用いると、少なくとも初回充放電容量は大幅に向上することが確認されている。しかし負極材料としてのSiには充電時に体積が4倍以上に膨張するという問題が存在する。この充放電によってSiは膨張、収縮を繰り返し、微粉化して電気的結合が寸断され、初期の容量が急激に減少してしまう。この課題を解消するためにSi結晶を微粉化する試み(非特許文献1)や、電解液にフルオロエチレンカーボネート(FEC)やビニレンカーボネート(VC)のような各種添加剤を添加する試みがなされている(特許文献1)。
特開2008−210618号公報
第50回電池討論会予稿集、p.60(2009)
しかし、非特許文献1に記載のSi結晶の微粉化や、特許文献1に記載の添加剤の添加によって、リチウムイオン電池の充放電サイクル特性がある程度向上するものの、まだ十分な性能が得られていない。
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであり、高容量で、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供する。
本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、正極、負極、非水電解質及びセパレータを含む非水電解質二次電池の製造方法であって、正極と、負極集電体の上にリチウムと合金化可能な材料を含む負極合剤層を形成した負極とを、セパレータを介して対向させて外装体の中に挿入する電池組立工程と、前記外装体の中に、ハロゲン置換された環状カーボネートを含む第1の電解液を注入して1回以上9回以下の回数で充放電を行う一次充放電工程と、前記外装体の中に、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含む第2の電解液を注入して充放電を行う二次充放電工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、高容量で、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供できる。
図1Aは、本発明に係る非水電解質二次電池の一例を示す平面図であり、図1Bは図1Aの断面図である。 図2は、図1A、Bに示す非水電解質二次電池の斜視図である。 図3は、本発明に係る非水電解質二次電池の他の例を示す平面図である。
本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、正極、負極、非水電解質及びセパレータを含む非水電解質二次電池の製造方法であり、正極と、負極集電体の上にリチウムと合金化可能な材料を含む負極合剤層を形成した負極とを、セパレータを介して対向させて外装体の中に挿入する電池組立工程と、上記外装体の中に、ハロゲン置換された環状カーボネートを含む第1の電解液を注入して1回以上9回以下の回数で充放電を行う一次充放電工程と、上記外装体の中に、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含む第2の電解液を注入して充放電を行う二次充放電工程とを含むことを特徴とする。
上記一次充放電工程と上記二次充放電工程とを行うことにより、負極活物質としてリチウムと合金化可能な材料を用いても充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供できる。また、負極活物質としてリチウムと合金化可能な材料を用いることにより、高容量の非水電解質二次電池を提供できる。
以下、本発明に係る非水電解質二次電池及びその製造方法についてより具体的に説明する。
(非水電解質二次電池の製造方法)
先ず、本発明の非水電解質二次電池の製造方法を説明する。
本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、後述する本発明に係る非水電解質二次電池を製造する方法であって、正極と、負極集電体の上にリチウムと合金化可能な材料を含む負極合剤層を形成した負極とを、セパレータを介して対向させて外装体の中に挿入する電池組立工程と、上記外装体の中に、ハロゲン置換された環状カーボネートを含む第1の電解液を注入して1回以上9回以下の回数で充放電を行う一次充放電工程と、上記外装体の中に、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含む第2の電解液を注入して充放電を行う二次充放電工程とを含むことを特徴とする。
上記一次充放電工程と上記二次充放電工程とを行うことにより、負極活物質としてリチウムと合金化可能な材料を用いても充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供できる。これは、上記一次充放電工程により負極活物質とハロゲン置換された環状カーボネートとが反応して、負極活物質の表面に酸化被膜が形成され、また、上記二次充放電工程により炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが分解して、酸化被膜が形成された負極活物質の表面に更に有機被膜が形成されるため、上記有機被膜が上記酸化被膜の保護膜として機能して安定して負極活物質を覆うことが可能となり、負極活物質と非水電解質との反応が抑制され、その結果、負極活物質と非水電解質との反応による生じる高抵抗の反応生成物が減少し、充放電サイクル特性が向上すると考えられる。
上記電池組立工程は特に限定されず、通常の電池組立工程により行えばよい。但し、使用する負極は、負極集電体の上にリチウムと合金化可能な材料を含む負極合剤層を形成した負極を用いる。これにより、高容量の非水電解質二次電池を提供できる。
上記一次充放電工程で用いる上記第1の電解液としては、ハロゲン置換された環状カーボネートを含む非水電解液を使用する。上記外装体の中に上記第1の電解液を注液して1回以上9回以下の回数で充放電を行うことにより、負極活物質の表面に酸化被膜が形成され、非水電解質と負極活物質との反応を抑制できる。
また、上記ハロゲン置換された環状カーボネートとしては、下記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2014127317
上記一般式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、水素、ハロゲン元素又は炭素数1〜10のアルキル基を表しており、アルキル基の水素の一部又は全部がハロゲン元素で置換されていてもよく、R1、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1つはハロゲン元素であり、R1、R2、R3及びR4は、それぞれが異なっていてもよく、2つ以上が同一であってもよい。R1、R2、R3及びR4がアルキル基である場合、その炭素数は少ないほど好ましい。上記ハロゲン元素としては、フッ素が特に好ましい。
このようなハロゲン元素で置換された環状カーボネートの中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)が特に好ましい。
上記第1の電解液は、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液にハロゲン置換された環状カーボネートを添加したものである。上記第1の電解液における上記ハロゲン置換された環状カーボネートの添加量は、第1の電解液の全体積に対して、0.3体積%以上30体積%以下とすればよい。
上記第1の電解液の非水電解液に用いるリチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機リチウム塩、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li224(SO32、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiCn2n+1SO3(2≦n≦7)、LiN(RfOSO22〔ここで、Rfはフルオロアルキル基〕等の有機リチウム塩等を用いることができる。
上記リチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/Lとすることがより好ましい。
上記非水電解液に用いる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;プロピオン酸メチル等の鎖状エステル;γ−ブチロラクトン等の環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等の鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル等のニトリル類;エチレングリコールサルファイト等の亜硫酸エステル類等が挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。
上記第1の電解液の上記外装体への注液量は特に限定されず、外装体内の電極群の全体が浸漬する量とすればよい。
上記二次充放電工程で用いる上記第2の電解液としては、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含む非水電解液を使用する。上記一次充放電工程の後に、更に上記外装体の中に上記第2の電解液を注液して充放電を行うことにより、負極活物質の上記酸化被膜の表面に更に有機被膜が形成され、上記有機被膜が上記酸化被膜の保護膜として機能するため、非水電解質と負極活物質との反応を安定して抑制できるため、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性が向上すると考えられる。
また、上記炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)等を使用できる。
上記第2の電解液は、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液に炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを添加したものである。上記第2の電解液における上記炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの添加量は、第2の電解液の全体積に対して、10体積%以上60体積%以下とすればよい。
上記第2の電解液に用いる非水電解液としては、上記第1の電解液で用いる非水電解液と同じものが使用できる。上記第2の電解液の上記外装体への注液量は特に限定されず、上記第2の電解液を注液した後の外装体内の非水電解液中における上記炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量が、非水電解液の全体積に対して、0.1体積%以上10体積%以下となる量とすればよい。
また、上記二次充放電工程における充放電回数は特に限定されず、生産効率を考慮して1回以上行えばよい。
上記二次充放電工程後の非水電解液は、本発明に係る非水電解質二次電池の非水電解質としてそのまま使用できるため、上記二次充放電工程後に外装体を完全に封止することにより本発明に係る非水電解質二次電池を製造できる。
(非水電解質二次電池)
次に、本発明に係る非水電解質二次電池について説明する。本発明に係る非水電解質二次電池は、正極、負極、非水電解質及びセパレータを備えている。
〔負極〕
上記負極には、例えば、負極活物質、バインダ及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤層を、集電体の片面又は両面に塗布して形成したもの、又は、負極活物質を集電体の片面又は両面に直接真空製膜等で形成したものが使用できる。
<負極活物質>
上記負極活物質には、リチウム(Li)と合金化可能な材料を用いる。上記Liと合金化可能な材料としては、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Ge、Pb、Si、Sn、Sb、Bi等のLiと合金化可能な元素の単体、及びこれらの元素の合金等が使用できる。上記Liと合金化可能な元素の単体としては、特にSiとSnがLiの吸蔵量が大きく好ましい。
また、上記Liと合金化可能な材料としては、Siを構成元素に含む材料を使用できる。上記Siを構成元素に含む材料は、Liの吸蔵量が大きく、かつ環境面でも問題がないため特に好ましい。上記Siを構成元素に含む材料としては、Siと、Co、Ni、Ti、Fe、Mn等のSi以外の元素との合金、Siの酸化物等の材料が例示されるが、中でも、一般組成式SiOx(但し、0.5≦x≦1.5である。)で表記されるSiと酸素(O)とを構成元素に含む材料が好ましく用いられる。上記SiとSi以外の元素との合金は、単一な固溶体であっても、Si単体の相とSi合金の相との複数相で構成される合金であってもよい。
また、上記SiOxは、Siの酸化物のみに限定されず、Siの微結晶相又は非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶相又は非晶質相のSiを含めた比率となる。即ち、SiOxで表される材料には、例えば、非晶質のSiO2マトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiO2と、その中に分散しているSiを合わせて、上記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiO2マトリックス中に、Siが分散した構造で、SiO2とSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1となるので、本発明においてはSiOと表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
上記SiOxの平均粒子径としては、後述する炭素材料との複合化の効果を高め、また、充放電での微細化を防ぐため、平均粒子径D50として約0.5〜10μmのものが好ましく用いられる。ここで、D50とは、体積基準の積算分率50%における粒子直径の値を意味する。粒子直径の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱法等を用いることができる。上記レーザー回折・散乱法は、水等の液相に分散させた測定対象物質にレーザー光を照射することによって検出される散乱強度分布を利用した粒子径分布の測定方法である。レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、日機装社製の“マイクロトラックHRA”等を用いることができる。
また、上記SiOxのSi(微結晶Si)自体の結晶子径が大きすぎると、電池の充放電を繰り返すうちに、Si粒子自体あるいはその周囲のマトリックス(SiO2等)が、膨張・収縮による応力に耐え切れずに割れてしまい、電池の充放電サイクル特性の低下を引き起こす。そのため、上記SiOxのSiにおいては、X線回折法により得られるSiの(220)面の半値幅からシェラーの式を用いて求められる結晶子径が、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。
上記SiOxは、導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性を確保する観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内に優れた導電ネットワークを形成する必要がある。そのため、上記SiOxを負極活物質として用いる場合は、上記SiOxを、炭素材料等の導電性材料と複合化させた複合体とするか、両者を混合して上記SiOxと導電性材料との混合体とすることが好ましい。上記SiOxと導電性材料とを複合化させる場合、両者を単に混合して得られる混合物を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成され、電池の負荷特性を向上させることができる。
上記SiOxと導電性材料との複合体としては、SiOxの粒子の表面を導電性材料(好ましくは炭素材料)で被覆した複合体や、SiOxを導電性材料(好ましくは炭素材料)とともに造粒させた造粒体等が挙げられる。
上記導電性材料としては、例えば、黒鉛、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維等が挙げられるが、特に、繊維状又はコイル状の炭素材料、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料が好ましい。上記繊維状又はコイル状の炭素材料は、導電ネットワークを形成し易く、かつ表面積の大きい点において好ましい。上記カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。)、易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素は、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、更に、SiOxの粒子が膨張・収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有している点において好ましい。
上記導電性材料としては、負極活物質としてSiOxと共に使用される黒鉛質炭素材料を併用することもできる。黒鉛質炭素材料も、カーボンブラック等と同様に、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、更に、SiOxの粒子が膨張・収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有しているため、SiOxとの複合体の形成に好ましく使用することができる。
<バインダ>
上記負極合剤層に用いるバインダとしては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース等の多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミド等の熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド等のゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記負極合材層には、更に導電助剤として導電性材料を添加してもよい。上記導電性材料としては、非水電解質二次電池内において化学変化を起こさないものであれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維;アルミニウム粉、ニッケル粉、銅粉、銀粉等の金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウム等からなる導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)等の有機導電性材料;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性の高い黒鉛と、吸液性に優れたカーボンブラックが好ましく、ケッチェンブラックやアセチレンブラックがより好ましい。また、導電助剤の形態としては、一次粒子に限定されず、二次凝集体や、チェーンストラクチャー等の集合体の形態のものも用いることができる。このような集合体の方が、取り扱いが容易であり、生産性が良好となる。
<集電体>
上記負極に用いる集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル等を用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
<負極の製造方法>
上記負極は、例えば、前述した負極活物質及びバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水等の溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し、これを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理を施す塗布法により製造することができる。また、上記負極は、例えば、負極活物質としてLiと合金化可能な元素の単体を用いる場合、集電体の片面又は両面にこれらの元素をスパッタリング、蒸着等の真空製膜法で被着させて負極活物質層を形成してもよい。負極の製造方法は、上記の製法に制限されるわけではなく、他の製造方法で製造することもできる。
<負極合剤層>
上記塗布法により上記負極合剤層を形成する場合、負極活物質の総量を80〜99質量%とし、バインダの量を1〜20質量%とすることが好ましい。また、別途導電助剤として導電性材料を使用する場合には、負極合剤層におけるこれらの導電性材料は、負極活物質の総量及びバインダ量が、上記の好適値を満足する範囲で使用することが好ましい。上記負極合剤層の厚さは、例えば、50〜400μmであることが好ましい。上記負極合剤層の厚さを上記範囲に設定し、できるだけ厚くすることにより、非水電解質二次電池の高容量化を図ることができる。
<負極活物質層>
また、上記真空製膜法により上記負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の厚さは、片面あたり100nm以下とすることが好ましい。
〔正極〕
上記正極には、例えば、正極活物質、導電助剤、バインダ等を含有する正極合剤層を、集電体の片面又は両面に有する構造のものが使用できる。
<正極活物質>
上記正極に用いる正極活物質は、特に限定されず、リチウム含有遷移金属酸化物等の一般に用いることのできる活物質を使用すればよい。リチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、例えば、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1-y2、LixCoy1-y2、LixNi1-yy2、LixMnyNizCo1-y-z2、LixMn24、LixMn2-yy4等が例示される。但し、上記の各構造式中において、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ti、Ge及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、0≦x≦1.1、0<y<1.0、2.0<z<1.0である。
<バインダ>
上記正極に用いるバインダとしては、電池内で化学的に安定なものであれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、又は、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体及びそれら共重合体のNaイオン架橋体等の1種又は2種以上を使用できる。
<導電助剤>
上記正極に用いる導電助剤としては、電池内で化学的に安定なものであればよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維;アルミニウム粉等の金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウム等からなる導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性の高い黒鉛と、吸液性に優れたカーボンブラックが好ましい。また、導電助剤の形態としては、一次粒子に限定されず、二次凝集体や、チェーンストラクチャー等の集合体の形態のものも用いることができる。このような集合体の方が、取り扱いが容易であり、生産性が良好となる。
<集電体>
上記正極に用いる集電体としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、厚さが10〜30μmのアルミニウム箔が好ましい。
<正極の製造方法>
上記正極は、例えば、前述した正極活物質、導電助剤及びバインダを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し、これを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理を施す工程を経て製造することができる。正極の製造方法は、上記の方法に制限されるわけではなく、他の製造方法で製造することもできる。
<正極合剤層>
上記正極合剤層においては、正極活物質の総量を92〜95質量%とし、導電助剤の量を3〜6質量%とし、バインダの量を3〜6質量%とすることが好ましい。上記正極合剤層の厚さは、カレンダ処理後において、集電体の片面あたり、70〜300μmであることが好ましい。上記正極合剤層の厚さを上記範囲に設定し、できるだけ厚くすることにより、非水電解質二次電池の高容量化を図ることができる。
〔非水電解質〕
上記非水電解質としては、前述のとおり、本発明の二次充放電工程後の非水電解液をそのまま使用できる。
〔セパレータ〕
上記セパレータには、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(即ち、シャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常のリチウムイオン二次電池等で使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
〔電池の形態〕
本発明に係る非水電解質二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶等を外装体として使用した筒形(角筒形や円筒形等)等が挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
図1Aは、本発明に係る非水電解質二次電池の一例を示す平面図であり、図1Bは、図1Aの断面図である。また、図2は、図1A、Bに示す非水電解質二次電池の斜視図である。
図1Bに示すように、正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角筒形の外装缶4に非水電解液と共に収容されている。但し、図1Bでは、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や非水電解液等は図示しておらず、また、巻回電極体6の内周側の部分は断面にしていない。
外装缶4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この外装缶4は正極端子を兼ねている。そして、外装缶4の底部にはPE製のシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2及びセパレータ3からなる巻回電極体6からは、正極1及び負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、外装缶4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用の蓋板9にはPP製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は外装缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、外装缶4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図1A、Bの電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている。従って、図1A、B及び図2の電池では、実際には、非水電解液注入口14は、非水電解液注入口と封止部材であるが、説明を容易にするために、非水電解液注入口14として示している。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
上記電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって外装缶4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、外装缶4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図3は、本発明に係る非水電解質二次電池の他の例を示す平面図である。図3において、本発明に係る非水電解質二次電池20は、正極、負極、及び非水電解質が、平面視で矩形のアルミニウムラミネートフィルムからなる外装体21内に収容されている。そして、正極外部端子22及び負極外部端子23が、外装体21の同じ辺から引き出されている。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に述べる。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<正極の作製>
先ず、正極活物質であるLiNi0.6Co0.2Mn0.22:88質量部と、導電助剤である人造黒鉛:1質量部及びケッチェンブラック:1質量部と、バインダであるPVDF:10質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。次に、上記正極合剤含有ペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に厚さを調節して塗布し、乾燥した後、カレンダ処理を行って、正極全体の厚さが17μmになるように正極合剤層の厚さを調整し、直径13mmに打ち抜いて正極を作製した。
<負極の作製>
厚さ8μmの銅箔上に高周波マグネトロンスパッタリング法でSi薄膜を形成した。Si薄膜の厚さは100nmとした。このSi薄膜を形成した銅箔を直径14mmに打ち抜いて負極を作製した。
<一次充放電工程用の第1の電解液の調製>
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比で1:1:1に混合したものに、リチウム塩としてLiPF6を濃度1mol/Lで溶解させて非水電解液を調製した。この非水電解液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を体積比で非水電解液:FEC=9:1になるように混合して、第1の電解液を調製した。
<モデルセルの仮組み立て:一次注液>
上記正極と上記負極とを、厚さ16μm、開孔率50%の微多孔性ポリエチレンフィルム製のセパレータを介して積層して積層電極体を作製し、この積層電極体を外装体に収納した。その後、上記外装体に上記第1の電解液を一次注液してモデルセルを作製した。上記外装体には宝泉株式会社製の「HSフラットセル」を用いた。
<一次充放電工程:表面酸化処理>
上記モデルセルについて、0.25mA/cm2の定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、4.2Vの定電圧で電流値が0.025mA/cm2になるまで充電を行った後、0.25mA/cm2で定電流放電(放電終止電圧:2.7V)を行った。これを1サイクルとして、1サイクルのみ充放電を行った。
<二次充放電工程用の第2の電解液の調製>
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比で1:1:1に混合したものに、リチウム塩としてLiPF6を濃度1mol/Lで溶解させて非水電解液を調製した。この非水電解液に更にビニレンカーボネート(VC)を体積比で非水電解液:VC=1:1となるように混合して、第2の電解液を調製した。
<モデルセルの組み立て:二次注液>
上記一次充放電工程が終了したモデルセルを開封し、上記外装体に更に上記第2の電解液を二次注液して、モデルセル内の非水電解液とVCとの体積比が、非水電解液:VC=9:1になるように調整して試験用モデルセルを作製した。
(実施例2)
一次充放電工程の充放電回数を5サイクルとした以外は、実施例1と同様にして試験用モデルセルを作製した。
(実施例3)
一次充放電工程の充放電回数を7サイクルとした以外は、実施例1と同様にして試験用モデルセルを作製した。
(実施例4)
一次充放電工程の充放電回数を9サイクルとした以外は、実施例1と同様にして試験用モデルセルを作製した。
(実施例5)
<正極の作製>
先ず、正極活物質であるLiNi0.6Co0.2Mn0.22:88質量部と、導電助剤である人造黒鉛:1質量部及びケッチェンブラック:1質量部と、バインダであるPVDF:10質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。次に、上記正極合剤含有ペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に厚さを調節して塗布し、乾燥した後、カレンダ処理を行って、正極全体の厚さが197μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、アルミニウム箔の露出部にアルミニウム製のリード体を溶接して、長さ375mm、幅43mmの帯状の正極を作製した。
<負極の作製>
先ず、沸騰床反応器中で約1000℃に加熱されたSiO粒子にメタンと窒素ガスからなる25℃の混合ガスを接触させ、気相成長法により、SiO粒子の表面に炭素材料の被覆層が形成された、SiOと炭素材料との複合体(SiOのD50:1μm、SiOの割合:70質量%、SiOにおけるSiの結晶子径:40nm)を得た。こうして得られたSiOと炭素材料との複合体と、D50が20μmである黒鉛とを、30:70の質量比で混合した混合物:98質量部、粘度が1500〜5000mPa・sの範囲に調整されたCMC水溶液(濃度:1質量%):1質量部、及びSBR:1質量部を混合して、水系の負極合剤含有ペーストを調製した。
次に、上記負極合剤含有ペーストを、厚さが8μmの銅箔からなる集電体の両面に厚さを調節して塗布し、乾燥した後、カレンダ処理を行って、負極全体の厚さが98μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、銅箔の露出部に、片面にニッケルをメッキした銅製のリード体を溶接して、長さ380mm、幅44mmの帯状の負極を作製した。
<一次充放電工程用の第1の電解液の調製>
実施例1と同様にして、第1の電解液を調製した。
<非水電解質二次電池の仮組み立て:一次注液>
上記正極と上記負極とを、厚さ16μm、開孔率50%の微多孔性ポリエチレンフィルム製のセパレータを介して巻回して巻回電極体を作製し、この巻回電極体を外装体に収納した。その後、上記外装体に上記第1の電解液を一次注液して封口して非水電解質二次電池を作製した。上記外装体には463450角形電池缶を用いた。
<一次充放電工程:表面酸化処理>
上記非水電解質二次電池について、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、4.2Vの定電圧で最初の充電開始からの総充電時間が3時間になるまで充電を行った後、1Cで定電流放電(放電終止電圧:2.7V)を行った。これを1サイクルとして、1サイクルのみ充放電を行った。
<二次充放電工程用の第2の電解液の調製>
実施例1と同様にして、第2の電解液を調製した。
<非水電解質二次電池の組み立て:二次注液>
上記一次充放電工程が終了した非水電解質二次電池を開封し、上記外装体に更に上記第2の電解液を二次注液して、非水電解質二次電池内の非水電解液とVCとの体積比が、非水電解液:VC=9:1になるように調整して試験用非水電解質二次電池を作製した。
(比較例1)
<正極及び負極の作製>
実施例1と同様にして、正極及び負極を作製した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比で1:1:1に混合したものに、リチウム塩としてLiPF6を濃度1mol/Lで溶解させて混合液を調製した。この混合液に更にビニレンカーボネート(VC)を体積比で混合液:VC=9:1になるように混合して、非水電解液を調製した。
<モデルセルの組み立て>
上記正極と上記負極とを、厚さ16μm、開孔率50%の微多孔性ポリエチレンフィルム製のセパレータを介して積層して積層電極体を作製し、この積層電極体を外装体に収納した。その後、上記外装体に上記非水電解液を注液して試験用モデルセルを作製した。上記外装体には宝泉株式会社製の「HSフラットセル」を用いた。
(比較例2)
<正極及び負極の作製>
実施例1と同様にして、正極及び負極を作製した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比で1:1:1に混合したものに、リチウム塩としてLiPF6を濃度1mol/Lで溶解させて混合液を調製した。この混合液に更にビニレンカーボネート(VC)及び4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を体積比で混合液:VC:FEC=8:1:1となるように混合して、非水電解液を調製した。
上記正極、上記負極及び上記非水電解液を用いた以外は、比較例1と同様にして試験用モデルセルを作製した。
(比較例3)
一次充放電工程の充放電回数を10サイクルとした以外は、実施例1と同様にして試験用モデルセルを作製した。
(比較例4)
実施例5と同様にして、正極及び負極を作製した。また、比較例1と同様にして非水電解液を調製した。
<非水電解質二次電池の組み立て>
上記正極と上記負極とを、厚さ16μm、開孔率50%の微多孔性ポリエチレンフィルム製のセパレータを介して巻回して巻回電極体を作製し、この巻回電極体を外装体に収納した。その後、上記外装体に上記非水電解液を注液して封口して試験用非水電解質二次電池を作製した。上記外装体には463450角形電池缶を用いた。
次に、実施例1〜4及び比較例1〜3の試験用モデルセルについて、0.25mA/cm2の定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、4.2Vの定電圧で電流値が0.025mA/cm2になるまで充電を行った後、0.25mA/cm2で定電流放電(放電終止電圧:2.7V)を行い、放電容量を測定した。これを1サイクルとして、500サイクルの充放電を行い、500サイクル目の放電容量を測定した。実施例1〜4の試験用モデルセルに対する上記1サイクル目の充放電は、本発明の二次充放電工程に該当する。
また、実施例5及び比較例4の試験用非水電解質二次電池について、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、4.2Vの定電圧で最初の充電開始からの総充電時間が3時間になるまで充電を行った後、1Cで定電流放電(放電終止電圧:2.7V)を行い、放電容量を測定した。これを1サイクルとして、500サイクルの充放電を行い、500サイクル目の放電容量を測定した。実施例5の試験用非水電解質二次電池に対する上記1サイクル目の充放電は、本発明の二次充放電工程に該当する。
上記充放電における放電容量から、下記式により容量維持率を算出した。その結果を表1に示す。
容量維持率(%)=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
Figure 2014127317
表1から、本発明の実施例1〜5の電池では、比較例1〜4の電池に比べて容量維持率が高いことが分かる。比較例1、2及び4は、一次充放電工程を行わなかったため、負極活物質の表面に酸化被膜が形成されず、負極活物質と非水電解質との反応が進み、負極活物質と非水電解質との反応による生じる高抵抗の反応生成物が増加して、充放電サイクル特性が低下したものと考えられる。また、比較例3では、一次充放電工程の充放電回数が9回を超えたため、負極活物質の表面に一旦形成された酸化被膜が一次充放電工程で変質して高抵抗の被膜となり、充放電サイクル特性が低下したものと考えられる。
<負極活物質の表面の酸化被膜の確認>
実施例1及び比較例3において一次充放電工程を行ったモデルセルをそれぞれ分解して、負極を取り出した。また、比較例1及び比較例2の試験用モデルセルを前述と同様の充放電条件で1サイクル充放電した後、試験用モデルセルをそれぞれ分解して、負極を取り出した。
次に、取り出した負極をジエチルカーボネートで洗浄して真空乾燥を行った後、負極合剤層のXPS分析を行った。負極の取り出しからXPS分析までは、全てアルゴンドライボックス中で行った。
上記XPS分析によるシリコン(Si)の2Pスペクトルから、実施例1の負極合剤層の表面のSiO2スペクトル強度は、比較例1、2及び3の負極合剤層の表面のSiO2スペクトル強度と比較して、大きいことが分かった。このことから、実施例1の負極合剤層の表面には、比較例1〜3の負極合剤層の表面に比べて、厚いSiO2層(酸化被膜)が形成されていることが分かった。
<負極活物質の表面の有機被膜の確認>
実施例1及び比較例1〜3の試験用モデルセルを前述の条件で1サイクル充放電した後、上記と同様にして、試験用モデルセルをそれぞれ分解して、負極を取り出し、XPS分析を行った。
上記XPS分析による炭素(C)の1Sスペクトルから、実施例1の負極合剤層の表面の各種有機物スペクトル強度は、比較例1、2及び3の負極合剤層の表面の各種有機物スペクトル強度と比較して、大きいことが分かった。このことから、実施例1の負極合剤層の表面には、比較例1〜3の負極合剤層の表面に比べて、厚い有機被膜が形成されていることが分かった。
本発明の非水電解質二次電池は、優れた充放電サイクル特性を有していることから、この特性を生かして、小型で多機能な携帯機器の電源を始めとして、従来から知られている非水電解質二次電池が適用されている各種用途に好ましく用いることができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 外装缶
5 絶縁体
6 巻回電極体
7 正極リード体
8 負極リード体
9 蓋板
10 絶縁パッキング
11 端子
12 絶縁体
13 リード板
14 非水電解液注入口
15 開裂ベント
20 非水電解質二次電池
21 外装体
22 正極外部端子
23 負極外部端子

Claims (7)

  1. 正極、負極、非水電解質及びセパレータを含む非水電解質二次電池の製造方法であって、
    正極と、負極集電体の上にリチウムと合金化可能な材料を含む負極合剤層を形成した負極とを、セパレータを介して対向させて外装体の中に挿入する電池組立工程と、
    前記外装体の中に、ハロゲン置換された環状カーボネートを含む第1の電解液を注入して1回以上9回以下の回数で充放電を行う一次充放電工程と、
    前記外装体の中に、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含む第2の電解液を注入して充放電を行う二次充放電工程とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  2. 前記ハロゲン置換された環状カーボネートが、ハロゲン元素としてフッ素を含む請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  3. 前記ハロゲン置換された環状カーボネートが、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンである請求項2に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  4. 前記炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが、ビニレンカーボネートである請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  5. 前記リチウムと合金化可能な材料が、シリコンを構成元素に含む材料である請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  6. 前記シリコンを構成元素に含む材料が、一般組成式SiOxで表される材料であり、
    前記一般組成式において、xは、0.5≦x≦1.5である請求項5に記載の非水電解質二次電の製造方法。
  7. 前記負極合剤層が、炭素材料を更に含む請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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