JP5523506B2 - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高容量であり、かつ充放電サイクル特性が良好なリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、高電圧・高容量であることから、各種携帯機器の電源として広く採用されている。また、近年では電動工具などのパワーツールや、電気自動車・電動式自転車など、中型・大型サイズでの用途も広がりを見せている。
特に、小型化および多機能化が進んでいる携帯電話やゲーム機などに用いられる電池には、更なる高容量化が求められており、その手段として、高い充放電容量を示す電極活物質の研究・開発が進んでいる。なかでも、負極の活物質材料としては、従来のリチウムイオン二次電池に採用されている黒鉛などの炭素質材料に代えて、シリコン(Si)、スズ(Sn)など、より多くのリチウム(イオン)を吸蔵・放出可能な材料が注目されている、とりわけ、Siの超微粒子がSiO中に分散した構造を持つSiOは、負荷特性に優れるなどの特徴も併せ持つことが報告されている(特許文献1、2参照)。
ところが、前記SiOは、充放電反応に伴う体積膨張収縮が大きいため、電池の充放電サイクル毎に粒子が粉砕され、表面に析出したSiが非水電解液溶媒と反応して不可逆な容量が増大したり、この反応によって電池内でガスが発生して電池缶が膨れたりするなどの問題が生じることも知られている。また、SiOは微細な形状をしているため、これにより電池の負荷特性の改善に一定の効果は認められるものの、SiO自体は導電性が低い材料である点で、未だ改善の余地が残されていた。
このような事情を受けて、SiOの利用率を制限して充放電反応に伴う体積膨張収縮を抑制したり、SiOの表面を炭素などの導電質材料で被覆して負荷特性を改善したり、ハロゲン置換された環状カーボネート(例えば4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなど)などを添加した非水電解液を用いることで、電池の充放電サイクル特性を改善したり、ガス発生に伴う電池缶の膨れを抑制したりする技術も提案がされている(特許文献3参照)。
特開2004−047404号公報 特開2005−259697号公報 特開2008−210618号公報
特許文献3に記載の技術によれば、負極活物質にSiOを使用して高容量化を図りつつ、例えば充放電サイクル特性も良好なリチウムイオン二次電池とし得るが、その一方で、リチウムイオン二次電池においては長寿命化の要望が大きく、更なる充放電サイクル特性の向上が必要となることも予想される。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量であり、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、正極、負極、非水電解液およびセパレータを有するリチウムイオン二次電池を製造する方法であって、
前記正極には、下記一般組成式(1)
LiNi(1−b−c)Co(1)
[前記一般組成式(1)中、MはMnおよびAlのうちの少なくとも1種の元素であり、0.9≦a≦1.3、0<b、0<c、b+c≦0.5である]で表されるリチウム含有複合酸化物を正極活物質として含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有するものを使用し、前記負極には、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である。)と導電性材料との複合体、および前記複合体の含有する導電性材料以外の炭素材料を負極活物質として含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有するものを使用し、前記非水電解液には、C=C二重結合を有する環状カーボネートと、ハロゲン置換された環状カーボネートとを含有するものを使用し、負極活物質中における前記複合体の量をA(質量%)(ただし、0<A<20)、電池に使用する非水電解液中におけるC=C二重結合を有する環状カーボネートおよびハロゲン置換された環状カーボネートの含有量を、それぞれB(質量%)およびC(質量%)としたとき、0.25≦(C/A)≦0.7および0.43≦(B/C)≦2.8を満たすようにし、かつ電池の初回充放電終了後の非水電解液中におけるC=C二重結合を有する環状カーボネートおよびハロゲン置換された環状カーボネートの含有量を、それぞれB(質量%)およびC(質量%)としたとき、0.1≦(C/A)≦0.5および0.5≦(B/C)≦4.8を満たすようにすることを特徴とする。
本発明によれば、高容量であり、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の一例を示す模式図であり、(a)平面図、(b)断面図である。 図1の斜視図である。
SiとOとを構成元素に含む材料を負極活物質とする負極を用い、例えば、リチウムイオン二次電池で汎用されているLiCoOだけを正極活物質とする正極を用いて電池を構成しても、SiとOとを構成元素に含む材料の使用に見合うだけの高容量化が達成できない。これは、SiとOとを構成元素に含む材料の不可逆容量が大きいためであると考えられる。
そこで、本発明のリチウムイオン二次電池では、正極活物質に、高容量であるとともに、不可逆容量も大きな前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物を使用し、正極と負極との不可逆容量のバランスを良好にして、SiとOとを構成元素に含む材料の使用による高容量化効果を良好に引き出し得るようにした。
なお、前記の通り、SiとOとを構成元素に含む材料を負極活物質として使用した電池では、充放電に伴う体積変化に起因して生じるSiとOとを構成元素に含む材料の粒子の粉砕によって、高活性なSiなどが露出し(前記材料の構造の詳細については後述する)、これが非水電解液を分解するため、充放電サイクル特性が低下しやすいといった問題がある。
そこで、本発明では、負極の構成を、SiとOとを構成元素に含む材料を使用しつつ、充放電に伴うSiとOとを構成元素に含む材料の粒子の体積変化による粉砕を抑制し得るようにし、更に、SiとOとを構成元素に含む材料の粒子が粉砕して新生面が生じても、これを良好に被覆する皮膜を形成可能な成分を有する非水電解液を使用し、これらの成分の量とSiとOとを構成元素に含む材料の使用量とのバランスを調整することで、負極活物質と非水電解液との反応を高度に抑制できるようにした。
本発明では、これらの作用によって、高容量であり、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池の提供を可能としている。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極には、例えば、負極活物質やバインダなどを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものを使用する。そして、負極に係る負極活物質には、SiとOとを構成元素に含む材料(以下、当該材料をSiO」と記載する。)と導電性材料との複合体と、前記複合体に係る導電性材料以外の炭素材料とを使用する。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
そして、SiOは、炭素材料などの導電性材料と複合化した複合体であり、例えば、SiOの表面が導電性材料(炭素材料など)で被覆されていることが望ましい。前記の通り、SiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOを導電性材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOと導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
SiOと導電性材料との複合体としては、前記のように、SiOの表面を導電性材料(好ましくは炭素材料)で被覆したものの他、SiOと導電性材料(好ましくは炭素材料)との造粒体などが挙げられる。
また、前記の、SiOの表面を導電性材料(好ましくは炭素材料)で被覆した複合体を、更に導電性材料(炭素材料など)と複合化して用いることで、負極において更に良好な導電ネットワークの形成が可能となるため、より高容量で、より電池特性(例えば、充放電サイクル特性)に優れたリチウムイオン二次電池の実現が可能となる。導電性材料で被覆されたSiOと導電性材料との複合体としては、例えば、導電性材料で被覆されたSiOと導電性材料との混合物を更に造粒した造粒体などが挙げられる。
また、表面が導電性材料で被覆されたSiOとしては、SiOとそれよりも比抵抗値が小さい導電性材料との複合体(例えば造粒体)、好ましくはSiOと炭素材料との複合体の表面が、更に炭素材料で被覆されてなるものも、好ましく用いることができる。前記造粒体内部でSiOと導電性材料とが分散した状態であると、より良好な導電ネットワークを形成できるため、SiOを負極活物質として含有する負極を有するリチウムイオン二次電池において、重負荷放電特性などの電池特性を更に向上させることができる。
SiOとの複合体の形成に用い得る前記導電性材料としては、例えば、黒鉛、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などの炭素材料が好ましいものとして挙げられる。
前記炭素材料の詳細としては、繊維状またはコイル状の炭素材料、繊維状またはコイル状の金属、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料が好ましい。繊維状またはコイル状の炭素材料や、繊維状またはコイル状の金属は、導電ネットワークを形成し易く、かつ表面積の大きい点において好ましい。カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む)、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素は、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、さらに、SiO粒子が膨張収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有している点において好ましい。
なお、後述するように、黒鉛は、負極活物質としてSiOと併用することもできるが、この黒鉛をSiOと導電性材料との複合体に係る導電性材料として使用することもできる。黒鉛も、カーボンブラックなどと同様に、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、さらに、SiOの粒子が膨張収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有しているため、SiOとの複合体形成に好ましく使用することができる。
前記例示の導電性材料の中でも、SiOとの複合体が造粒体である場合に用いるものとしては、繊維状の炭素材料が特に好ましい。繊維状の炭素材料は、その形状が細い糸状であり柔軟性が高いために電池の充放電に伴うSiOの膨張収縮に追従でき、また、嵩密度が大きいために、SiOの粒子と多くの接合点を持つことができるからである。繊維状の炭素としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられ、これらの何れを用いてもよい。
なお、繊維状の炭素材料は、例えば、気相法にてSiOの粒子の表面に形成することもできる。
SiOの比抵抗値が、通常、10〜10kΩcmであるのに対して、前記例示の炭素材料の比抵抗値は、通常、10−5〜10kΩcmである。
また、SiOと導電性材料との複合体は、粒子表面の炭素材料被覆層を覆う材料層(難黒鉛化炭素を含む材料層)を更に有していてもよい。
負極にSiOと導電性材料との複合体において、SiOと導電性材料との比率は、導電性材料との複合化による作用を良好に発揮させる観点から、SiO:100質量部に対して、導電性材料が、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、前記複合体において、SiOと複合化する導電性材料の比率が多すぎると、負極合剤層中のSiOの量の低下に繋がり、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、SiO:100質量部に対して、導電性材料は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
前記のSiOと導電性材料との複合体は、例えば下記の方法によって得ることができる。
まず、SiOを複合化する場合の作製方法について説明する。SiOが分散媒に分散した分散液を用意し、それを噴霧し乾燥して、複数の粒子を含む複合粒子を作製する。分散媒としては、例えば、エタノールなどを用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。前記の方法以外にも、振動型や遊星型のボールミルやロッドミルなどを用いた機械的な方法による造粒方法においても、同様の複合粒子を作製することができる。
なお、SiOと、SiOよりも比抵抗値の小さい導電性材料との造粒体を作製する場合には、SiOが分散媒に分散した分散液中に前記導電性材料を添加し、この分散液を用いて、SiOを複合化する場合と同様の手法によって複合粒子(造粒体)とすればよい。また、前記と同様の機械的な方法による造粒方法によっても、SiOと導電性材料との造粒体を作製することができる。
次に、SiOの粒子(SiOの複合粒子、またはSiOと導電性材料との造粒体)の表面を炭素材料で被覆して複合体とする場合には、例えば、SiOの粒子と炭化水素系ガスとを気相中にて加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させる。このように、気相成長(CVD)法によれば、炭化水素系ガスが複合粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面や表面の空孔内に、導電性を有する炭素材料を含む薄くて均一な皮膜(炭素材料被覆層)を形成できることから、少量の炭素材料によってSiOの粒子に均一性よく導電性を付与できる。
炭素材料で被覆されたSiOの製造において、気相成長(CVD)法の処理温度(雰囲気温度)については、炭化水素系ガスの種類によっても異なるが、通常、600〜1200℃が適当であり、中でも、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い炭素を含む被覆層を形成できるからである。
炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱い易いトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやアセチレンガスなどを用いることもできる。
また、気相成長(CVD)法にてSiOの粒子(SiOの複合粒子、またはSiOと導電性材料との造粒体)の表面を炭素材料で覆った後に、石油系ピッチ、石炭系のピッチ、熱硬化性樹脂、およびナフタレンスルホン酸塩とアルデヒド類との縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物を、炭素材料を含む被覆層に付着させた後、前記有機化合物が付着した粒子を焼成してもよい。
具体的には、炭素材料で被覆されたSiOの粒子(SiOの複合粒子、またはSiOと導電性材料との造粒体)と、前記有機化合物とが分散媒に分散した分散液を用意し、この分散液を噴霧し乾燥して、有機化合物によって被覆された粒子を形成し、その有機化合物によって被覆された粒子を焼成する。
前記ピッチとしては等方性ピッチを、熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂などを用いることができる。ナフタレンスルホン酸塩とアルデヒド類との縮合物としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を用いることができる。
炭素材料で被覆されたSiOの粒子と前記有機化合物とを分散させるための分散媒としては、例えば、水、アルコール類(エタノールなど)を用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。焼成温度は、通常、600〜1200℃が適当であるが、中でも700℃以上が好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い良質な炭素材料を含む被覆層を形成できるからである。ただし、処理温度はSiOの融点以下であることを要する。
前記のSiOと導電性材料との複合体と共に負極活物質として使用する炭素材料(前記複合体に係る導電性材料以外の炭素材料)としては、例えば、鱗片状黒鉛などの天然黒鉛;熱分解炭素類、MCMB、炭素繊維などの易黒鉛化炭素を2800℃以上で黒鉛化処理した人造黒鉛;などの黒鉛(黒鉛質炭素材料)などが挙げられる。
なお、本発明に係る負極においては、負極活物質中におけるSiOと導電性材料との複合体の含有量A(質量%)は、0質量%を超え、SiOを使用することによる高容量化の効果を良好に確保する観点から、3質量%以上であることが好ましい。また、充放電に伴うSiOの体積変化による問題をより良好に回避する観点から、負極活物質中におけるSiOと導電性材料との複合体の含有量Aは、20質量%未満であり、10質量%以下であることが好ましい。
負極合剤層に係るバインダには、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが好適に用いられる。更に、負極合剤層には、導電助剤として、アセチレンブラックなどの各種カーボンブラックやカーボンナノチューブ、炭素繊維などを添加してもよい。
負極は、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水などの溶剤に分散させた負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、負極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましく、負極合剤層の密度(集電体に積層した単位面積あたりの負極合剤層の質量と、厚みから算出される)は、1.0〜1.9g/cmであることが好ましい。また、負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質の量が80〜99質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜20質量%であることが好ましく、導電助剤を使用する場合には、その量が1〜10質量%であることが好ましい。
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る正極には、例えば、正極活物質、バインダおよび導電助剤などを含む正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
正極活物質には、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物を使用する。このような正極活物質を含有する正極と、前記の負極とを組み合わせることで、リチウムイオン二次電池の高容量化が可能となるが、それは、以下の理由による。SiOを負極活物質に用いて構成した負極を、LiCoOなどのリチウムイオン二次電池に汎用されている充放電における不可逆容量の比較的小さい正極活物質を用いて構成した正極と組み合わせて電池とした場合、SiOの不可逆容量が大きいために、SiOの使用による高容量化効果が発現し難い。しかし、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物自体は、LiCoOよりも高容量であるものの、不可逆容量も比較的大きいため、これを用いた正極と、SiOを負極活物質として用いた負極とを組み合わせると、正負極の不可逆容量のバランスが良好となり、SiOの使用による高容量化効果が良好に発現する。
前記一般組成式(1)において、NiおよびCoは前記リチウム含有複合酸化物の容量に寄与する成分である。また、Coは、正極合剤層における充填密度向上にも作用する。よって前記一般組成式(1)において、Coの量を表すbを0より大きくするが、前記の作用をより良好に発揮させる観点から、bは0.1以上であることが好ましい。ただし、Coの量が多すぎると、多すぎるとコスト増大や安全性低下を引き起こす虞がある。よって、前記一般組成式(1)において、Coの量を表すbは、0.25以下であることが好ましい。
また、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物では、MnおよびAlのうちの少なくとも1種である元素Mを含有している。前記リチウム含有複合酸化物が元素MとしてMnを含有する場合には、その結晶格子中にMnが存在することで前記リチウム含有複合酸化物の熱的安定性が向上するため、より安全性の高い電池を構成することが可能となる。
更に、前記リチウム含有複合酸化物がMnを含有する場合、Coによって、電池の充放電でのLiのドープおよび脱ドープに伴うMnの価数変動を抑制し、Mnの平均価数を4価近傍の値に安定させ、Mnを含有するリチウム含有複合酸化物を用いた電池に特有の負極でのMn析出を抑えることによって、Mnを含有する通常のリチウム含有複合酸化物よりも充放電サイクル特性に優れた電池を構成することが可能となる。
また、前記リチウム含有複合酸化物において、結晶格子中にAlを存在させると、リチウム含有複合酸化物の結晶構造を安定化させることができ、その熱的安定性を向上させ得るため、これによっても、より安全性の高いリチウムイオン二次電池を構成することが可能となる。また、Alがリチウム含有複合酸化物粒子の粒界や表面に存在することで、その経時安定性や非水電解液との副反応を抑制することができ、より長寿命のリチウムイオン二次電池を構成することが可能となる。
前記リチウム含有複合酸化物において、元素Mを含有させることによる前記の作用を確保する観点から、前記一般組成式(1)における元素Mの量を表すcを0より大きくするが、前記の作用をより良好に発揮させる観点から、cは0.05以上であることが好ましい。ただし、例えば、Alは充放電容量に関与することができないため、前記リチウム含有複合酸化物中の含有量を多くすると、容量低下を引き起こす虞がある。よって、前記一般組成式(1)において、元素Mの量を表すcは、0.35以下であることが好ましい。
また、前記の通り、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物において、Niは、容量向上に寄与する成分であるため、前記リチウム含有複合酸化物において、Coおよび元素Mの量が多すぎると、Ni量が少なくなって容量低下を引き起こす虞がある。よって、前記一般組成式(1)において、Coの量を表すbと元素Mの量を表すcとの合計b+cは、0.5以下であることが好ましい。
前記の組成を有するリチウム含有複合酸化物は、その真密度が4.55〜4.95g/cmと大きな値になり、高い体積エネルギー密度を有する材料となる。なお、例えばMnを一定範囲で含むリチウム含有複合酸化物の真密度は、その組成により大きく変化するが、前記のような狭い組成範囲では構造が安定化され、均一性を高めることができるため、例えばLiCoOの真密度に近い大きな値となるものと考えられる。また、リチウム含有複合酸化物の質量当たりの容量を大きくすることができ、可逆性に優れた材料とすることができる。
前記リチウム含有複合酸化物は、特に化学量論比に近い組成のときに、その真密度が大きくなるが、具体的には、前記一般組成式(1)において、Liの量を表すaは、0.9以上1.3以下とすることが好ましく、aの値をこのように調整することで、真密度および可逆性を高めることができる。
前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物は、Li含有化合物(水酸化リチウム・一水和物など)、Ni含有化合物(硫酸ニッケルなど)、Co含有化合物(硫酸コバルトなど)、Mn含有化合物(硫酸マンガンなど)、およびAl含有化合物(硫酸アルミニウムなど)を混合し、焼成するなどして製造することができる。また、より高い純度で前記リチウム含有複合酸化物を合成するには、Ni、Coおよび元素Mに係る元素を含む複合化合物(水酸化物、酸化物など)とLi含有化合物とを混合し、焼成することが好ましい。
焼成条件は、例えば、800〜1050℃で1〜24時間とすることができるが、一旦焼成温度よりも低い温度(例えば、250〜850℃)まで加熱し、その温度で保持することにより予備加熱を行い、その後に焼成温度まで昇温して反応を進行させることが好ましい。予備加熱の時間については特に制限はないが、通常、0.5〜30時間程度とすればよい。また、焼成時の雰囲気は、酸素を含む雰囲気(すなわち、大気中)、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素など)と酸素ガスとの混合雰囲気、酸素ガス雰囲気などとすることができるが、その際の酸素濃度(体積基準)は、15%以上であることが好ましく、18%以上であることが好ましい。
正極活物質には、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物のみを用いてもよく、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物と他の活物質(他のリチウム含有複合酸化物)とを併用してもよい。
前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物と併用し得るリチウム含有複合酸化物としては、例えばLiCoOなどのリチウムコバルト酸化物;LiMnO、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物;LiCo1−xNiOなどの層状構造のリチウム含有複合酸化物;LiMn、Li4/3Ti5/3などのスピネル構造のリチウム含有複合酸化物;LiFePOなどのオリビン構造のリチウム含有複合酸化物;前記の酸化物やLiCoOを基本組成とし各種元素で置換した酸化物;などが挙げられる。これらの中でも、真密度が高く、比較的高い電位で充放電を行うので、高い起電力をと比較的大きな容量を両立した電池を構成することができることから、LiCoOが特に好ましい。
なお、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物を他のリチウム含有複合酸化物と併用する場合には、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物の使用による効果をより良好に確保する観点から、前記一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物の割合は、活物質全体の5質量%以上とすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましく、20質量%以上とすることが更に好ましい。
正極合剤層に係るバインダには、負極合剤層用のバインダとして先に例示した各種バインダと同じものが使用できる。また、正極合剤層に係る導電助剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などが挙げられる。
正極は、例えば、正極活物質、バインダおよび導電助剤を、NMPなどの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、正極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
正極合剤層の厚みは、例えば、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましく、正極合剤層の密度(集電体に積層した単位面積あたりの正極合剤層の質量と、厚みから算出される)は、3.0〜4.5g/cmであることが好ましい。また、正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質の量が60〜98質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜15質量%であることが好ましく、導電助剤の量が3〜20質量%であることが好ましい。
集電体は、従来から知られているリチウムイオン二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る非水電解液には、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液であって、C=C二重結合を有する環状カーボネートと、ハロゲン置換された環状カーボネートとを含有するものを使用する。
本発明のリチウムイオン二次電池では、負極活物質中におけるSiOと導電性材料との複合体の割合A(質量%)を前記のように調整して、充放電に伴うSiOの体積膨張・収縮によるSiOの粒子の粉砕を抑制している。しかし、こうしたSiOの粒子の粉砕を完全に防止できない場合でも、ハロゲン置換された環状カーボネートを含有する非水電解液を用いることで、SiOの粉砕によって生じた新生面に前記環状カーボネート由来の皮膜が形成され、非水電解液との反応が抑制される。また、非水電解液がハロゲン置換された環状カーボネートとともにC=C二重結合を有する環状カーボネートも含有していると、SiOの新生面により良好な性状の皮膜が形成され、負極活物質と非水電解液との反応が良好に抑制できるため、高い容量を確保しつつ、充放電サイクル特性の優れたリチウムイオン二次電池とすることができる。
C=C二重結合を有する環状カーボネートとしては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、クマリン、2−フラノン、また、アルキル基置換ビニレンカーボネートなどが挙げられるが、ビニレンカーボネートが特に好ましい。
ハロゲン置換された環状カーボネートとしては、下記の一般式で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005523506
前記一般式中、R、R、RおよびRは、水素、ハロゲン元素または炭素数1〜10のアルキル基を表しており、アルキル基の水素の一部または全部がハロゲン元素で置換されていてもよく、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つはハロゲン元素であり、R、R、RおよびRは、それぞれが異なっていてもよく、2つ以上が同一であってもよい。R、R、RおよびRがアルキル基である場合、その炭素数は少ないほど好ましい。前記ハロゲン元素としては、フッ素が特に好ましい。
このようなハロゲン元素で置換された環状カーボネートの中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)が特に好ましい。
なお、本発明のリチウムイオン二次電池では、主に非水電解液の分解を引き起こし、充放電サイクル特性の低下の要因となるSiOと導電性材料との複合体の、負極活物質中における割合A(質量%)と、非水電解液中に含まれるC=C二重結合を有する環状カーボネートおよびハロゲン置換された環状カーボネートの含有量とを、特定の関係とすることで、充放電サイクル特性を高めている。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池では、初回充放電終了後における非水電解液中のC=C二重結合を有する環状カーボネートの含有量をB(質量%)、ハロゲン置換された環状カーボネートの含有量をC(質量%)としたとき、0.1≦(C/A)≦0.5であり、かつ0.5≦(B/C)≦4.8とする。
電池の初回充放電終了後とは、例えば、実際の電池製造時に行われる予備充電および電池組み立て後の1回目充放電工程を経た後の状態を想定している。ただし、この限りではなく、場合によっては、1回目の充放電中あるいは充放電前後に、非水電解液を電極およびセパレータに馴染ませるエージング工程を行ってもよい。すなわち本発明では、電池を組み立て、初回の充放電を行ってから、充放電が繰り返される実際の使用に供される前の段階で、非水電解液中のハロゲン置換された環状カーボネートが、その後に多数充放電を行い、SiOと導電性材料との複合体中におけるSiOの粒子の粉砕が繰り返し生じても、皮膜を十分に形成できる量で残存しているようにし、かつハロゲン置換された環状カーボネート由来の皮膜の性状を良好にし得る量のC=C二重結合を有する環状カーボネートが非水電解液中に残存しているようにして、電池の充放電サイクル特性の向上を図っている。
すなわち、C/Aの値が小さすぎるか、大きすぎる場合、およびB/Cの値が小さすぎるか、大きすぎる場合には、電池の充放電サイクル特性が低下する。C/Aの値は、0.15以上であることが好ましく、また、0.4以下であることが好ましい。そして、B/Cの値は、1以上であることが好ましく、また、2.5以下であることが好ましい。
なお、初回充放電終了後における非水電解液中におけるC=C二重結合を有する環状カーボネートの含有量B、およびハロゲン置換された環状カーボネートの含有量Cは、電池に使用する(電池の組み立てに使用する)非水電解液中の、C=C二重結合を有する環状カーボネート含有量およびハロゲン置換された環状カーボネート含有量の調整、並びに電池の初回充放電条件の調整により制御することが可能である。しかし、電池に使用する非水電解液中のC=C二重結合を有する環状カーボネート含有量およびハロゲン置換された環状カーボネート含有量が不適切な場合には、例えば、電極表面に、これらの環状カーボネート由来の厚い皮膜が形成されて、電池のインピーダンスを上昇させてしまうなど、電池特性の低下を引き起こす虞がある。
よって、電池に使用する非水電解液中のC=C二重結合を有する環状カーボネートの含有量をB(質量%)、ハロゲン置換された環状カーボネートの含有量をC(質量%)としたとき、0.25≦(C/A)≦0.7であり、かつ0.43≦(B/C)≦2.8とする。SiOと導電性材料との複合体の負極活物質中における割合Aと、電池に使用する非水電解液中のC=C二重結合を有する環状カーボネートの含有量をBと、ハロゲン置換された環状カーボネートの含有量Cとが、前記の関係を満たすように調整した電池について、初回充放電によって、AとBとCとの関係が前記の関係を満たすようにすることで、例えば前記の環状カーボネート由来の皮膜によるインピーダンスの上昇を抑制しつつ、充放電サイクル特性を良好に高めることができる。
/Aの値は、0.3以上であることが好ましく、また、0.55以下であることが好ましい。そして、B/Cの値は、1以上であることが好ましく、また、1.5以下であることが好ましい。
なお、電池に使用する非水電解液中において、C=C二重結合を有する環状カーボネートの含有量Bは、例えば、0.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、また、7質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。更に、電池に使用する非水電解液中において、ハロゲン置換された環状カーボネートの含有量Cは、例えば、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、8質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
/AおよびB/Cが前記の関係を満たすように調製された非水電解液は、電極体を外装体(電池容器)に装填後、電解液注入口(外装体や封口用蓋板に設けられた電解液注入口、ラミネートフィルム外装体の開口部など)から、少なくとも2回(例えば、2回、3回、4回など)に分けて注入すると共に、充電を行う(電解液注入口を封止する前の充電工程を予備充電と呼ぶ。なお、電極体や電池の外装体の詳細については、後述する。)。非水電解液の注入方法は特に制限は無く、外装体内を減圧して行う方法や、ガスの圧力を利用する方法など、従来公知の各種方法が採用できる。なお、電池の生産性向上の観点からは、電解液注入工程の回数は、より少ないことが好ましく、2回であることが特に好ましい。
また、例えば、予備充電の前後に電解液注入工程を設け、その後電解液注入口の封止を行うことは、予備充電時に負極と非水電解液成分との反応によってガスが発生した場合でも、このガスの一部が電解液注入口から外部に排出され、電池の膨れは生じないため有効である。さらに、負極表面には非水電解液成分の分解物が堆積して皮膜が形成され、電解液注入口封止後の充電の際には、該皮膜が負極と非水電解液との接触を防止するため、更なる非水電解液成分の分解を防ぎ、それに伴う充放電サイクル時の容量維持率の低下が抑制される。
予備充電は、1回であってもよく、2回以上であっても構わないが、電池の生産性向上の観点からは、1回であることが好ましい。また、予備充電は、1回目の電解液注入工程以降のいずれの段階で実施しても構わないが、少なくとも、最終の電解液注入工程の前に実施することが好ましい。この充電の際には、前記の通り、ガスが発生するが、最終の電解液注入工程後では、電池に必要な非水電解液が完全に電池内に注入された状態であるため、その後に充電すると、発生したガスによって、非水電解液が電解液注入口から噴き出すことがある。このような非水電解液の噴き出しが生じると、電池の生産装置が汚染されて洗浄の必要が生じるなど、電池の生産性を損なうことがあり、また、噴き出した非水電解液が電池外装体に付着することで、電池の外観が損なわれることがある。よって、前記充電が終了した後に、更に電池外装体内に非水電解液を注入して、電池に必要な非水電解液の量を満足させるための電解液注入工程を設けることが好ましいのである。電池の生産性の向上を更に高める観点からは、予備充電工程が、少なくとも、1回目の電解液注入工程と2回目の電解液注入工程との間に設けられることが好ましい。電解液注入工程を2回とし、予備充電工程を1回として、1回目の電解液注入工程と、2回目の電解液注入工程との間に、前記充電工程を設けることが、特に好ましい。
電池の初回充放電の条件としては、C/Aの値およびB/Cの値が前記の関係を満たす電池(組み立て後の電池)において、初回充放電を経ることで、C/Aの値およびB/Cの値が前記の関係を満たし得る条件であれば特に制限はないが、例えば、予備充電により充電する容量は、電池の定格容量(ここで、定格容量とは、満充電された電池を規定された電流条件で連続放電させて、規定された放電終止電圧まで到達したときに得られる容量のことである。)の5〜35%に相当する量とすることが好ましい。また、その際の充電条件としては、例えば、電流レートが0.01C〜1C(1Cは電池の定格容量を1時間で放電する電流値)であることが好ましく、0.05〜0.5Cであることがより好ましい。この充電は、前記の電流値の範囲内にあれば、定電流充電であっても、定電圧充電であってもよい。また、1回目の充放電としては、電流レート0.05〜0.5Cで、4.2Vに達するまで行う定電流充電と、4.2Vの定電圧で電流値が1/10に低下するまで行う定電圧充電で満充電にし、その後電流レート0.05〜0.5Cで放電終止電圧を2.5Vとして放電する方法などが好ましい。
また、前記のエージング工程としては、例えば、1回目の充放電が終了した電池を高温環境下で保管(例えば、60℃の環境下で48時間程度)する方法などが挙げられる。
なお、初回充放電終了後の非水電解液において、C=C二重結合を有する環状カーボネートの含有量Bおよびハロゲン置換された環状カーボネートの含有量Cは、ガスクロマトグラフィーに質量分析法を組み合わせたGC−MS法などによって明らかにすることが可能である。
非水電解液に用いるリチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbFなどの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩などを用いることができる。
このリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
非水電解液に用いる有機溶媒としては、前記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
また、電池に使用する非水電解液には、充放電サイクル特性の更なる改善や、高温貯蔵性や過充電防止などの安全性を向上させる目的で、無水酸、スルホン酸エステル、ジニトリル、1,3−プロパンサルトン、トリエチルホスホノアセテート、スクシノニトリル、ラウロニトリル、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤(これらの誘導体も含む)を適宜加えることもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池に係るセパレータは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートや共重合ポリエステルなどのポリエステル;などで構成された多孔質膜であることが好ましい。なお、セパレータは、100〜140℃において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましい。そのため、セパレータは、融点、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が、100〜140℃の熱可塑性樹脂を成分とするものがより好ましく、ポリエチレンを主成分とする単層の多孔質膜であるか、ポリエチレンとポリプロピレンとを2〜5層積層した積層多孔質膜などの多孔質膜を構成要素とする積層多孔質膜であることが好ましい。ポリエチレンとポリプロピレンなどのポリエチレンより融点の高い樹脂を混合または積層して用いる場合には、多孔質膜を構成する樹脂としてポリエチレンが30質量%以上であることが望ましく、50質量%以上であることがより望ましい。
このような樹脂多孔質膜としては、例えば、従来から知られている非水二次電池などで使用されている前記例示の熱可塑性樹脂で構成された多孔質膜、すなわち、溶剤抽出法、乾式または湿式延伸法などにより作製されたイオン透過性の多孔質膜を用いることができる。
セパレータの平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
また、セパレータの特性としては、JIS P 8117に準拠した方法で行われ、0.879g/mmの圧力下で100mlの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値が、10〜500secであることが望ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、他方、小さすぎると、セパレータの強度が小さくなることがある。更に、セパレータの強度としては、直径1mmのニードルを用いた突き刺し強度で50g以上であることが望ましい。かかる突き刺し強度が小さすぎると、リチウムのデンドライト結晶が発生した場合に、セパレータの突き破れによる短絡が発生する場合がある。
前記の正極と前記の負極と前記のセパレータとは、正極と負極との間にセパレータを介在させて重ねた積層電極体や、更にこれを渦巻状に巻回した巻回電極体の形態で本発明の電池に使用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来から知られているリチウムイオン二次電池が適用されている各種用途と同じ用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極活物質の合成>
水酸化ナトリウムの添加によってpHを約12に調整したアンモニア水を反応容器に入れ、これを強攪拌しながら、この中に、硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを、それぞれ、2.4mol/dm、0.8mol/dm、0.8mol/dmの濃度で含有する混合水溶液と、25質量%濃度のアンモニア水とを、それぞれ、23cm/分、6.6cm/分の割合で、定量ポンプを用いて滴下して、NiとCoとMnとの共沈化合物(球状の共沈化合物)を合成した。なお、この際、反応液の温度は50℃に保持し、また、反応液のpHが12付近に維持されるように、6.4mol/dm濃度の水酸化ナトリウム水溶液の滴下も同時に行い、更に窒素ガスを1dm/分の流量でバブリングした。
前記の共沈化合物を水洗、濾過および乾燥させて、NiとCoとMnとを6:2:2のモル比で含有する水酸化物を得た。この水酸化物0.196molと、0.204molのLiOH・HOとをエタノール中に分散させてスラリー状にした後、遊星型ボールミルで40分間混合し、室温で乾燥させて混合物を得た。次いで、前記混合物をアルミナ製のるつぼに入れ、2dm/分のドライエアーフロー中で600℃まで加熱し、その温度で2時間保持して予備加熱を行い、更に900℃に昇温して12時間焼成することにより、リチウム含有複合酸化物を合成した。
得られたリチウム含有複合酸化物を水で洗浄した後、大気中(酸素濃度が約20vol%)で、850℃で12時間熱処理し、その後乳鉢で粉砕して粉体とした。粉砕後のリチウム含有複合酸化物は、デシケーター中で保存した。
前記リチウム含有複合酸化物について、その組成分析を、ICP(Inductive Coupled Plasma)法を用いて以下のように行った。まず、前記リチウム含有複合酸化物0.2gを100mL容器に入れた。その後、純水5mL、王水2mL、純水10mLを順に加えて加熱溶解し、冷却後、さらに25倍に希釈してICP(JARREL ASH社製「ICP−757」)にて組成を分析した(検量線法)。得られた結果から、前記リチウム含有複合酸化物の組成を導出したところ、Li1.02Ni0.6Co0.2Mn0.2で表される組成であることが判明した。
<正極の作製>
前記リチウム含有複合酸化物96質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部およびケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
前記の正極合剤含有ペーストを、厚みが15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、正極合剤層の厚みおよび密度を調節し、アルミニウム箔の露出部にアルミニウム製のリード体を溶接して、所定の幅および長さになるように切断し、帯状の正極を作製した。なお、得られた正極における正極合剤層は、片面あたりの厚みが65μmであった。
<負極の作製>
平均粒子径D50%が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が10質量%)と、平均粒子径D50%が16μmである黒鉛とを、SiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量が 5質量%となる量で混合した混合物:98質量部、粘度が1500〜5000mPa・sの範囲に調整された1質量%濃度のCMC水溶液:1.0質量部およびSBR:1.0質量部を、比伝導度が2.0×10Ω/cm以上のイオン交換水を溶剤として混合して、水系の負極合剤含有ペーストを調製した。
前記の負極合剤含有ペーストを、厚みが8μmの銅箔(負極集電体)の両面に厚みを調節して間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が128μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、銅箔の露出部にリード体を溶接して、所定の幅および長さになるように切断し、帯状の負極を作製した。
<電池の組み立て>
前記のようにして得た正極と負極とを、厚みが16μmの微孔性ポリエチレンセパレータ(空孔率:41%)を介して重ね、渦巻状に巻回して巻回電極体を作製した。得られた巻回電極体を押しつぶして扁平状にし、厚み5mm、幅42mm、高さ61mmのアルミニウム製外装缶に入れ、1回目の電解液注入工程として、非水電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比で1:2に混合した溶媒にLiPFを濃度1.2mol/lで溶解させ、FECを2.5質量%およびVCを3.5質量%添加した溶液)を3.0g注入した。続いて、予備充電として350mA(0.2C)の電流値で30分充電し、外装缶内に注入した非水電解液を正負極およびセパレータ中に均一に含浸させつつ、負極と非水電解液との皮膜形成反応を進行させた。その後、2回目の電解液注入工程として、前記非水電解液を外装缶内に1.0g注入した。
その後外装缶の封止を行って、図1に示す構造で、図2に示す外観のリチウムイオン二次電池を作製した。この電池は、缶の上部に内圧が上昇した場合に圧力を下げるための開裂ベントを備えている。
ここで図1および図2に示す電池について説明すると、図1の(a)は平面図、(b)はその部分断面図であって、図1(b)に示すように、正極1と負極2は前記のようにセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角筒形の外装缶4に電解液と共に収容されている。ただし、図1では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や電解液などは図示していない。
外装缶4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この外装缶4は正極端子を兼ねている。そして、外装缶4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、外装缶4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはPP製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は外装缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、外装缶4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図1の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている(従って、図1および図2の電池では、実際には、非水電解液注入口14は、非水電解液注入口と封止部材であるが、説明を容易にするために、非水電解液注入口14として示している)。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって外装缶5と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、外装缶4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図2は前記図1に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図2は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図1では電池を概略的に示しており、電池を構成する部材のうち、特定のものしか図示していない。ま た、図1においても、電極群の内周側の部分は断面にしていない。
前記のリチウムイオン二次電池について、0.2Cの電流レートで充電電圧が4.2Vに達するまで行う定電流充電と、4.2Vの定電圧で電流値が1/10に低下するまで行う定電圧充電とによって満充電にした。その後0.2Cの電流レートで放電終止電圧を2.5Vとして放電し(これを電池容量とした)、初回充放電を完了した。
更に、初回充放電完了後、電池内の非水電解液を抽出し、GC/MS分析を行って非水電解液組成を求めた。また、前記と同様に作製し、初回充放電を行った電池について、1Cの電流レートで充電電圧が4.2Vに達するまで行う定電流充電と、4.2Vの定電圧で電流値が1/10に低下するまで行う定電圧充電とからなる定電流−定電圧充電による充電と、その後に1Cの電流レートで放電終止電圧を2.5Vとする放電との組合せによる充放電サイクルを500サイクル繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合を容量維持率(%)として求めた。
実施例2
正極活物質を、LICoOとLi1.02Ni0.6Co0.2Mn0.2とを8:2の質量比で混合した混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
実施例3
負極活物質中におけるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量を3質量%とした以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。また、FECの量を1質量%にし、VCの量を2.5質量%にした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。そして、これらの負極および非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
実施例4
負極活物質中におけるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量を6.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。また、FECの量を4質量%にし、VCの量を2.5質量%にした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。そして、これらの負極および非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
実施例5
FECの量を1.25質量%にし、VCの量を3.5質量%にした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
実施例6
FECの量を3.5質量%にし、VCの量を1.5質量%にした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
実施例7
正極活物質を、LICoOとLi1.02Ni0.6Co0.2Mn0.2とを9:1の質量比で混合した混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
比較例1
正極活物質をLiCoOに変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
比較例2
負極活物質中におけるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量を6.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。また、FECの量を6質量%にし、VCの量を3質量%にした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。そして、これらの負極および非水電解液を用い、予備充電として、350mA(0.2C)の電流値で2時間充電し、外装缶内に注入した非水電解液を正負極およびセパレータ中に均一に含浸させつつ、負極と非水電解液との皮膜形成反応を進行させた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
比較例3
負極活物質中におけるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量を6.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。また、FECの量を1.5質量%にし、VCの量を2.5質量%にした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。そして、これらの負極および非水電解液を用い、予備充電として、350mA(0.2C)の電流値で10分充電し、外装缶内に注入した非水電解液を正負極およびセパレータ中に均一に含浸させつつ、負極と非水電解液との皮膜形成反応を進行させた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
比較例4
負極活物質中におけるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量を6.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。また、FECの量を4質量%にし、VCの量を2.5質量%にした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。そして、これらの負極および非水電解液を用い、予備充電として、350mA(0.2C)の電流値で10分充電し、外装缶内に注入した非水電解液を正負極およびセパレータ中に均一に含浸させつつ、負極と非水電解液との皮膜形成反応を進行させた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
比較例5
予備充電として、350mA(0.2C)の電流値で2時間充電し、外装缶内に注入した非水電解液を正負極およびセパレータ中に均一に含浸させつつ、負極と非水電解液との皮膜形成反応を進行させた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同じ評価を行った。
実施例1〜7および比較例1〜5のリチウムイオン二次電池について、負極活物質中における前記複合体の量A(質量%)、注入した非水電解液中におけるVCの含有量B(質量%)およびFECの含有量C(質量%)、電池の初回充放電終了後における非水電解液中における、並びにC/A、B/C、C/AおよびB/Cの値[B:VCの含有量(質量%)、C:FECの含有量(質量%)]を表1に、電池容量および充放電500サイクル時点での容量維持率を表2に、それぞれ示す。
Figure 0005523506
Figure 0005523506
表1および表2から明らかなように、負極活物質中における前記複合体の量Aが好適値にある負極を用い、C/A、B/C、C/AおよびB/Cの各値が適正な実施例1〜7のリチウムイオン二次電池は、高容量であり、かつ充放電500サイクル目の容量維持率80%を達成できており、優れた充放電サイクル特性を有している。
これに対し、LiCoOのみを正極活物質とした比較例1の電池は、電池容量が劣っている。また、C/A、B/C、C/AおよびB/Cのいずれかの値が不適な比較例2〜5の電池は、充放電500サイクル目の容量維持率が低く、充放電サイクル特性が劣っている
1 正極
2 負極
3 セパレータ

Claims (6)

  1. 正極、負極、非水電解液、セパレータおよび外装体を有するリチウムイオン二次電池を製造する方法であって、
    前記正極には、下記一般組成式(1)
    LiNi(1−b−c)Co (1)
    [前記一般組成式(1)中、MはMnおよびAlのうちの少なくとも1種の元素であり、0.9≦a≦1.3、0<b、0<c、b+c≦0.5である]
    で表されるリチウム含有複合酸化物を正極活物質として含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有するものを使用し、
    前記負極には、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)と導電性材料との複合体、および前記複合体の含有する導電性材料以外の炭素材料を負極活物質として含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有するものを使用し、
    前記非水電解液には、C=C二重結合を有する環状カーボネートと、ハロゲン置換された環状カーボネートとを含有するものを使用し、
    前記非水電解液の前記外装体内への注入工程を少なくとも2回とし、
    1回目の前記注入工程の後であり、かつ最終の前記注入工程の前に予備充電を行う工程を設けており、
    負極活物質中における前記複合体の量をA(質量%)(ただし、0<A<20)、電池に使用する非水電解液中におけるC=C二重結合を有する環状カーボネートおよびハロゲン置換された環状カーボネートの含有量を、それぞれB(質量%)およびC(質量%)としたとき、
    0.25≦(C/A)≦0.7および
    0.43≦(B/C)≦2.8
    を満たすようにし、かつ電池の初回充放電終了後の非水電解液中におけるC=C二重結合を有する環状カーボネートおよびハロゲン置換された環状カーボネートの含有量を、それぞれB(質量%)およびC(質量%)としたとき、
    0.1≦(C/A)≦0.5および
    0.5≦(B/C)≦4.8
    を満たすようにすることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
  2. を0.5質量%以上8質量%以下とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  3. を0.5質量%以上7質量%以下とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. C=C二重結合を有する環状カーボネートがビニレンカーボネートである請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  5. ハロゲン置換された環状カーボネートが4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンである請求項1〜4のいずれかに載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. 一般組成式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物を、正極活物質全体の5質量%以上の量で使用する請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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