JP5830114B2 - 超高分子量エチレン系共重合体パウダー及び成形体 - Google Patents
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Description
〔1〕
エチレン単位と、炭素数3以上8以下のα−オレフィン単位と、を含み、
粘度平均分子量が、2,500,000以上、10,000,000未満であり、
前記α−オレフィン単位の含有量が、前記エチレン単位及び前記α−オレフィン単位の総量に対して、0.01mol%以上0.10mol%以下であり、
結晶化度が、70%以上80%以下であり、
嵩密度が、0.40g/cm 3 以上0.60g/cm 3 以下である、
超高分子量エチレン系共重合体パウダー。
〔2〕
粘度平均分子量が、3,000,000以上8,000,000以下である、〔1〕に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダー。
〔3〕
有機過酸化物と混合した後、プレス成形、又は、ラム押出しされる、〔1〕又は〔2〕に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダー。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダーと、有機過酸化物と、を含む、樹脂組成物。
〔5〕
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダーを含む、成形体。
〔6〕
有機過酸化物をさらに含む、〔5〕に記載の成形体。
〔7〕
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダーを、チーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造する、
超高分子量エチレン系共重合体パウダーの製造方法。
本実施形態の超高分子量エチレン系共重合体パウダーは、
エチレン単位と、炭素数3以上8以下のα−オレフィン単位と、を含み、
粘度平均分子量が、2,500,000以上であり、
前記α−オレフィン単位の含有量が、前記エチレン単位及び前記α−オレフィン単位の総量に対して、0.01mol%以上0.10mol%以下であり、
結晶化度が、80%以下であり、
嵩密度が、0.40g/cm3以上0.60g/cm3以下である。
粘度平均分子量(Mv)は、2,500,000以上10,000,000未満であり、2,500,000以上10,000,000未満が好ましく、2,800,000以上9,000,000以下がより好ましく、3,000,000以上8,000,000以下がさらに好ましい。粘度平均分子量(Mv)が2,500,000以上であることにより、耐摩耗性と強度がより向上する。また、粘度平均分子量(Mv)が10,000,000未満であることにより、成形性がより向上する。さらに、粘度平均分子量が上記範囲であることにより、生産性により優れ、成形した場合には、耐摩耗性に優れる超高分子量エチレン系共重合体パウダーとなる。このような特性を有する超高分子量エチレン系共重合体パウダーは、プレス成形、ラム押出しなどに好適に用いることができ、得られる成形体を幅広い用途に好適に用いることができる。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49 ・・・数式A
エチレン単位の含有量は、エチレン単位及びα−オレフィン単位の総量に対して、99.90mol%以上99.99mol%以下が好ましく、99.92mol%以上99.99mol%以下がより好ましく、99.94mol%以上99.99mol%以下がさらに好ましい。エチレン単位の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性及び/又は強度により優れる傾向にある。
α−オレフィン単位の含有量は、エチレン単位及びα−オレフィン単位の総量に対して、0.01mol%以上0.10mol%以下であり、0.01mol%以上0.08mol%以下が好ましく、0.01mol%以上0.06mol%以下がより好ましい。α−オレフィン単位の含有量が上記範囲内であることにより、耐摩耗性、剛性がより向上する傾向にある。α−オレフィン単位の含有量が0.01mol%未満では、超高分子量ポリエチレン共重合体と有機過酸化物を加えて成形した際の耐摩耗性の向上幅が少ない。また、α−オレフィン単位の含有量が0.10mol%より多いと、成形品の耐摩耗性や剛性が低下する。なお、α−オレフィン単位の含有量の測定は、G.J.RayらのMacromolecules 、10 、773(1977)に開示された方法に準じて行われ、α−オレフィン単位の含有量は、13C−NMRスペクトルにより観測されるメチレン炭素のシグナルを用いて、その面積強度より算出することができる。より具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
超高分子量エチレン系共重合体パウダーの結晶化度は、80%以下であり、60%以上80%以下が好ましく、70%以上80%以下がより好ましい。結晶化度が80%以下であることにより、本実施形態の超高分子量エチレン系共重合体パウダーを用いた成形体は、成形性が良く、成形後の耐摩耗性や物性に優れる。また、結晶化度が60%以上あれば、成形後の耐摩耗性や物性に優れる傾向にある。
超高分子量エチレン系重合体パウダーの嵩密度は、0.40g/cm3以上0.60g/cm3以下であり、0.42g/cm3以上0.58g/cm3以下が好ましく、0.44g/cm3以上0.55g/cm3以下がより好ましい。嵩密度が0.40g/cm3以上であることにより、超高分子量エチレン系重合体パウダーの流動性が充分に高くなり、ハンドリング性に優れ、プレス成形時の金型、ラム押出し時の押し出し機へのフィードが安定し、成形品の寸法が安定する。一方、嵩密度が0.60g/cm3以下であることにより、成形品の加工等の際に、生産性等に優れ、より良好な加工適用性を示す。
超高分子量エチレン系共重合体パウダーは、有機過酸化物と混合した後、プレス成形、ラム押出しされるものであることが好ましい。有機過酸化物と混合した後、プレス成形、又は、ラム押出しされる場合、架橋ムラが発生するという問題があるが、本実施系他の超高分子量エチレン系共重合体パウダーであれば、分子鎖中に存在する微量なα−オレフィンに由来の3級炭素で架橋反応が優先的に進行し、均一な架橋反応が進行する。これにより、成形品の耐摩耗性がより向上する。
一般的なポリエチレンの成形方法では成形困難な超高分子量ポリエチレンの成形方法としては、圧縮成形(プレス成形)、押出し成形が挙げられる。圧縮成形は、金型に原料パウダーを均一に散布し、加熱・加圧して成形した後、冷却して取り出す方法である。板状のものはそのまま製品として、ブロックを作り、切削加工などにより最終製品に仕上げることも可能である。一方、押出し成形では、ピストンを前後させて押し出すラム押出機が用いられる。押出し機の出口の形状を変えることにより、シート、平板、異形品、パイプなど様々な形状の物が得られる。
超高分子量エチレン系共重合体パウダーは、特に限定されず、一般的なチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒を用いて製造することが可能であり、後述するチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造することが好ましい。
(A−1):(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)b(OR4)c ・・・式1
(式中、M1は周期律表第12族、第13族、及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2、R3、及びR4はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、b、及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ここで、kはM1の原子価である。))
(A−2):HdSiCleR5 (4−(d+e)) ・・・式2
(式中、R5は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
(A−4):(M2)γ(Mg)δ(R6)f(R7)gYh ・・・・式3
(式中、M2は周期律表第12族、第13族、及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R6及びR7は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R8,R9、−SR10(ここで、R8、R9、及びR10は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。hが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、γ、δ、f、g、及びhは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦f、0≦g、0≦h、0<f+g、0≦h/(γ+δ)≦2、nγ+2δ=f+g+h(ここで、nはM2の原子価である。))
(A−5):Ti(OR11)iX(4−i) ・・・・・式4
(式中、iは0以上4以下の実数であり、R11は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
(1)R2、R3の少なくとも一方が、炭素数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基であることが好ましく、R2、R3がともに炭素数4以上6以下であり、少なくとも一方が二級又は三級のアルキル基であることがより好ましい。
(2)R2とR3とが、炭素数の互いに相異なるアルキル基であることが好ましく、R2が炭素数2又は3のアルキル基であり、R3が炭素数4以上のアルキル基であることがより好ましい。
(3)R2、R3の少なくとも一方が、炭素数6以上の炭化水素基であることが好ましく、R2、R3に含まれる炭素数の和が12以上になるアルキル基であることがより好ましい。
(A−2):HdSiCleR5 (4−(d+e)) ・・・・・式2
(式中、R5は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
(A−4):(M2)γ(Mg)δ(R6)f(R7)gYh ・・・・式3
(式中、M2は周期律表第12族、第13族、及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R6及びR7は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R8,R9、−SR10(ここで、R8、R9、及びR10は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。hが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、γ、δ、f、g、及びhは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦f、0≦g、0≦h、0<f+g、0≦h/(γ+δ)≦2、nγ+2δ=f+g+h(ここで、nはM2の原子価である。))
群(1)R6、R7の少なくとも一方が炭素原子数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基であることが好ましく、R6、R7がともに炭素原子数4以上6以下のアルキル基であり、少なくとも一方が二級又は三級のアルキル基であることがより好ましい。
群(2)R6とR7とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であることが好ましく、R6が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R7が炭素原子数4以上のアルキル基であることがより好ましい。
群(3)R6、R7の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であることが好ましく、R6、R7に含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であることがより好ましい。
(A−5):Ti(OR11)iX(4−i) ・・・・・式4
(式中、iは0以上4以下の実数であり、R11は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
(A−1):(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)b(OR4)c ・・式1
(式中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2、R3、及びR4はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、b、及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ここで、kはM1の原子価を表す。))
AlR12 kZ(3−k) ・・・・・・・・・・・・・式5
(式中、R12は炭素数1以上20以下の炭化水素基、Zは水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基からなる群に属する基であり、kは2以上3以下の数である。)
上記のような超高分子量エチレン系共重合体パウダーは、必要に応じて公知の各種添加剤と組み合わせて用いてもよい。熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、ジステアリルチオジプロピオネート等の耐熱安定剤;又はビス(2,2’,6,6’−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、2−(2−ヒドロキシ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の耐候安定剤等が挙げられる。また、滑剤や塩化水素吸収剤等として公知であるステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩も、好適な添加剤として挙げることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、超高分子量エチレン系共重合体パウダーと、有機過酸化物と、を含む。このような樹脂組成物であれば、他の諸物性を維持しつつ、耐摩耗性及び強度に優れ、連続加工生産性に優れ、かつ製品物性が高く、長期安定性に優れる成形品となる。
本実施形態の成形体は、上記超高分子量エチレン系共重合体パウダーを含み、必要に応じて有機過酸化物をさらに含んでもよい。このような成形体であれば、他の諸物性を維持しつつ、耐摩耗性及び強度に優れ、かつ製品物性が高く、長期安定性に優れる。
上記のようにして得られる超高分子量エチレン系共重合体パウダーは、高度な加工性と高い連続加工生産性を有することができ、種々の加工方法により加工することができる。また、超高分子量エチレン系共重合体パウダーを含む成形体は、種々の用途に応用されることができる。主な用途として非粘着性、低摩擦係数でホッパー、シュートなどのライニング用として、また自己潤滑性、低摩擦係数で耐摩耗性が要求される軸受け、歯車、ローラーガイドレールなどに使用される。
(1)粘度平均分子量(Mv)
超高分子量エチレン系共重合体パウダーの粘度平均分子量については、ISO1628−3(2010)従って、以下に示す方法によって求めた。まず、溶融管に超高分子量エチレン系共重合体パウダー20mgを秤量し、溶融管を窒素置換した後、20mLのデカヒドロナフタレン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを1g/L加えたもの)を加え、150℃で2時間攪拌して超高分子量エチレン系共重合体パウダーを溶解させた。その溶液を135℃の恒温槽で、キャノン−フェンスケの粘度計(柴田科学器械工業社製:製品番号−100)を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。同様に、超高分子量エチレン系重合体パウダー量を10mg、5mg、2.5mgと変えたサンプルついても同様に標線間の落下時間(ts)を測定した。ブランクとして超高分子量エチレン系共重合体パウダーを入れていない、デカヒドロナフタレンのみの落下時間(tb)を測定した。以下の式に従って求めた超高分子量エチレン系重合体パウダーの還元粘度(ηsp/C)をそれぞれプロットして濃度(C)(単位:g/dL)と超高分子量エチレン系共重合体パウダーの還元粘度(ηsp/C)の直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求めた。
ηsp/C=(ts/tb−1)/0.1 (単位:dL/g)
次に、下記数式Aを用いて、上記極限粘度[η]の値を用い、粘度平均分子量(Mv)を算出した。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49 ・・・数式A
超高分子量エチレン系共重合体パウダー中のα−オレフィンに由来する重合単位の含有率(mol%)の測定は、G.J.RayらのMacromolecules,10,773(1977)に開示された方法に準じて行い、13C−NMRスペクトルにより観測されるメチレン炭素のシグナルを用いて、その面積強度より算出した。
測定装置 :日本電子製ECS−400
観測核 :13C
観測周波数 :100.53MHz
パルス幅 :45°(7.5μsec)
パルスプログラム:single pulse dec
PD :5sec
測定温度 :130℃
積算回数 :30,000回以上
基準 :PE(−eee−)シグナルであり29.9ppm
溶媒 :オルトジクロロベンゼン−d4
試料濃度 :5〜10wt%
溶解温度 :130〜140℃
超高分子量エチレン系共重合体パウダーの結晶化度は、広角X線回折透過法により測定した。
X線結晶化解析装置:リガク(株)製RINT2500型装置
X線源 :CuKα
出力 :50KV、300mA
検出器 :シンチレーションカウンター
サンプル :得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーをそのまま用いた。
超高分子量エチレン系共重合体パウダーの嵩密度は、JIS K−6721:1997に従い測定した。
超高分子量エチレン系共重合体パウダーに、有機過酸化物(架橋剤)として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」日本油脂(株)製)500ppm添加ブレンド後、JIS K7139に準拠してプレス成形、測定した値である。なお、実施例4では、ラム押し出しにより成形体を得た。また、比較例1及び2では、有機過酸化物を用いずに成形体を得た。
(5)で成形圧縮成形して得られた成形品を用いて、耐摩耗性試験(サンドスラリー試験)を行った。試験に用いるサンドは、4号珪砂2kg/水2L、回転数1、750rpm、試験時間24時間後の摩耗損失量から下記式で摩耗損失量比を求めた。
摩耗損失量比=(W1−W2)/W1*100
W1=元重量、W2=テスト後の重量
(1)(A−1)担体の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で攪拌しながら組成式AlMg5(C4H9)11(OC4H9)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2,550mL(マグネシウム2.68mol相当)を4時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄した。この固体((A−1)担体)を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.31mmolであった。
上記(A−1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液110mLと1mol/Lの組成式AlMg5(C4H9)11(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110mLとを同時に1時間かけて添加した。添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1,100mL除去し、ヘキサン1,100mLで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分[A]1g中に含まれるチタン量は0.75mmolであった。
(1)(B−1)担体の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で攪拌しながら組成式AlMg5(C4H9)11(OC4H9)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2,550mL(マグネシウム2.68mol相当)を4時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄した。この固体((B−1)担体)を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.31mmolであった。
上記(B−1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液110mLと1mol/Lの上記(A−1)の合成に使用した有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110mLとを同時に1時間かけて添加した。添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1,100mL除去し、ヘキサン1,100mLで2回洗浄することにより、固体触媒成分[B]を調製した。この固体触媒成分[B]1g中に含まれるチタン量は0.85mmolであった。
ヘキサン、エチレン、水素、α−オレフィン、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給した。重合温度はジャケット冷却により71℃に保った。ヘキサンは70L/Hrで供給した。助触媒成分であるトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライドの混合物と、固体触媒成分[A]とを使用した。固体触媒成分[A]は0.7g/Hrの速度で重合器に添加し、トリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライドの混合物は9mmol/Hrの速度で重合器に添加した。α−オレフィンとしてブテン−1を気相エチレン濃度に対して0.5mol%となるように連続的に添加した。水素は気相エチレン濃度に対して0.2mol%となるように連続的に添加した。重合圧力はエチレンを連続供給することにより0.4MPaに保った。超高分子量エチレン系共重合体の製造速度は10kg/Hrであった。触媒活性は30,000g−PE/g−固体触媒成分[A]であった。重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05Mpaのフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレンを分離した。重合スラリーは、連続的に溶媒分離工程を経て後、乾燥工程へ送られた。乾燥機はドラム式で窒素気流下、ジャケット80℃とした。塊状のポリマーの存在も無く、スラリー抜き取り配管も閉塞することなく、安定して連続運転ができた。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーをPE1とする。
重合温度を75℃とし、助触媒としてAlMg5(C4H9)11(OC4H9)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液を用い、水素の供給をしなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE2を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE2を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
重合温度を68℃とし、重合圧力を0.7MPaとしたこと以外は実施例2と同様の操作を行い、実施例3の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE3を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE3を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
上記実施例3で得られた、超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE3を用いて、ラム押出しによって成形したシートを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
α−オレフィンとしてプロピレンを用いた以外は実施例3と同様な操作を行い、実施例5の超高分子量ポリエチレン共重合体パウダーPE4を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE4を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
固体触媒成分[A]の代わりに、固体触媒成分[B]を用いたこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、実施例5の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE5を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE5を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
重合温度を78℃とし、ブテン−1を用いなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例1の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE6を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE6を用いて有機過酸化物を用いずに、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
重合温度を76℃とし、ブテン−1を用いなかったこと以外は実施例3と同様の操作を行い、比較例2の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE7を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE7を用いて有機過酸化物を用いずに、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例2で得られた超高分子量ポリエチレン系共重合体を圧縮成形する際、有機過酸化物を用い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例3では有機過酸化物を用いて評価用の成形体を作製した。
重合温度を78℃とし、水素を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例4の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE8を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE8を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
重合温度を40℃としたこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、比較例5の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE9を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE9を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
重合温度を50℃とし、ブテン−1濃度を2mol%としたこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、比較例6の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE10を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE10を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
乾燥機のジャケット温度を100℃としたこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、比較例7の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE11を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE11を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
重合圧力を0.4MPaとした以外は、実施例3と同様の操作を行い、比較例8の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE12を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE12を用いて実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
重合圧力を1.2MPaとした以外は、実施例3と同様の操作を行い、比較例9の超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE13を得た。得られた超高分子量エチレン系共重合体パウダーPE13を用いて実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
Claims (7)
- エチレン単位と、炭素数3以上8以下のα−オレフィン単位と、を含み、
粘度平均分子量が、2,500,000以上、10,000,000未満であり、
前記α−オレフィン単位の含有量が、前記エチレン単位及び前記α−オレフィン単位の総量に対して、0.01mol%以上0.10mol%以下であり、
結晶化度が、70%以上80%以下であり、
嵩密度が、0.40g/cm3以上0.60g/cm3以下である、
超高分子量エチレン系共重合体パウダー。 - 粘度平均分子量が、3,000,000以上8,000,000以下である、請求項1に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダー。
- 有機過酸化物と混合した後、プレス成形、又は、ラム押出しされる、請求項1又は2に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダー。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダーと、有機過酸化物と、を含む、樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダーを含む、成形体。
- 有機過酸化物をさらに含む、請求項5に記載の成形体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超高分子量エチレン系共重合体パウダーを、チーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造する、
超高分子量エチレン系共重合体パウダーの製造方法。
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