JP2006002146A - オレフィン重合用触媒およびポリオレフィンパウダー - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒の活性、特にチタンあたりの活性を増大させて、なおかつ生成するポリオレフィンパウダーの嵩密度を増大させることができるオレフィン重合用触媒および触媒残渣、特にチタン残渣が少なく嵩密度が高いポリオレフィンパウダーを提供することを目的とする。
【解決手段】固体触媒成分および有機金属化合物成分からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分が、特定の有機マグネシウム化合物と特定の塩素化剤との反応により調製された担体にチタン化合物を担持することにより調製された固体触媒と特定の有機金属化合物とを組み合わせること得られるオレフィン重合用触媒およびポリオレフィンパウダー。
【選択図】なし

Description

本発明はオレフィン重合用触媒およびこれを用いたポリオレフィンの製造方法に関する。さらに詳しくは、従来公知の方法と比較して、チタン原子あたりの活性が高く、かつ単位触媒量当たりの活性が非常に高く、なおかつこの触媒により得られるポリオレフィンパウダーの嵩密度が非常に高いオレフィン重合用触媒およびこれを用いたポリオレフィンの製造方法に関する。
オレフィン重合用触媒において、重合活性の増大は非常に重要である。以前は活性が低かったため、残存触媒を除去する工程が必要であったが、現在は塩化マグネシウム担体を用いる技術が一般的になったためこの工程は必要無くなった。しかし、現在でもなお高活性化に対する要望は強く存在している。
触媒の活性として、単位触媒量あたりの活性とチタン原子当たりの活性とがある。触媒当たりの活性が高い場合には一定量の触媒から多量のポリオレフィンを生産することができ、換言すれば、一定量のポリオレフィンを生産するために使用する触媒量を削減できるため、効率的な生産には非常に有効である。チタンあたりの活性はポリオレフィン中の酸性物質含有量と相関があり、チタン当たりの活性が低い場合には酸性物質含有量が増大する。例えば、非特許文献1に記載されているように、酸性物質含有量は、ポリオレフィンの熱安定性に大きく影響し、酸性物質含有量が高い場合には熱安定性が顕著に悪化する。また、この酸性物質は成形機にも影響をおよぼし、酸性塩素含有量が高い場合には成形機の腐食が促進される。このため、触媒のチタン当たりの活性が低い場合には、生成したポリオレフィンの熱安定性および成形機の腐食等の問題があった。これを解決するためにステアリン酸カルシウム等の金属石鹸を添加する手法があるが、多量の金属石鹸の添加が必要なため、ブローグレードではピンチオフ融着性が悪化したり、目やにの原因になる等の問題があり、またコストが高くなる等の問題があった。
一般に、単位触媒量あたりの活性とチタン原子当たりの活性は相反する。すなわち、触媒に担持するチタン量を増大させれば、触媒当たりの活性が増大するがチタン当たりの活性は低下する。また、触媒に担持するチタン量を減少させれば、チタン当たりの活性は増大するが、触媒あたりの活性は低下する。従来の技術では、触媒当たりの活性を増大させて、なおかつチタン当たりの活性を維持することは困難であった。
一方、ポリオレフィンの生産には生成するポリオレフィンパウダーの嵩密度は非常に重要である。この嵩密度を上げることにより、重合器内において単位容積あたりに含まれるポリオレフィンの重量を大きくすることが可能であるため、重合器内のパウダーの濃度を上げることができる。これにより、同一プロセスにおいてもポリオレフィンの生産性を高めることが可能となる。また、重合器から排出されたポリオレフィンパウダーを輸送し貯蔵する場合にも、この嵩密度は重要である。嵩密度が高い方が輸送時の詰まりが少なく、単位体積あたりの貯蔵量も増大させることが可能である。ポリオレフィンパウダーの嵩密度は滑剤、例えばステアリン酸カルシウム、を添加することにより増大することが一般に知られている。しかし、ポリオレフィンの生産性を高め、また滑剤を削減の観点からも、滑剤の存在しない状態での嵩密度を高めることが求められていた。
また、従来の技術では、触媒の活性、特にチタンあたりの活性を増大させて、なおかつ嵩密度を高めることは困難であった。たとえば、特許文献1および特許文献2には高活性な触媒およびこれを用いたオレフィンの重合方法が報告されている。これらの触媒は、触媒あたりの重合活性は非常に高い優れた触媒であるが、チタン当たりの活性が十分に高められていないため、これらの触媒を用いて製造されたポリオレフィン中に残存するチタン原子のために該ポリオレフィンの熱安定性が低下する可能性がある。また、特許文献3および4には触媒およびチタンあたりの活性が十分に高い触媒が報告されている。これらの触媒により製造されたポリオレフィンパウダーの嵩密度は工業的には十分なものの、更なる改良が求められていた。
日本化学会(編集)、高分子学会(編集)、「高分子添加剤の新展開」日刊工業新聞社(出版)、1998年9月1日、p.76 特公昭52−36915 特公昭58−4727 特公昭58−47128 特開2004−143289
本発明は、触媒の活性、特にチタンあたりの活性を増大させて、なおかつ生成するポリオレフィンパウダーの嵩密度を増大させることができるオレフィン重合用触媒および触媒残渣、特にチタン残渣が少なく嵩密度が高いポリオレフィンパウダーを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために触媒について鋭意検討した結果、固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、一般式1で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物、一般式2で表される塩素化剤との反応により調製された担体(A−1)にチタン化合物(A−2)を担持することにより調製され、該有機マグネシウム化合物と該塩素化剤との反応が60℃以上150℃以下で行われることにより調製された固体触媒と特定の有機金属化合物とを組み合わせることにより、チタン原子当たりの活性が高く、かつ単位触媒量当たりの活性が非常に高くなることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、一般式1で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物、一般式2で表される塩素化剤との反応により調製された担体(A−1)にチタン化合物(A−2)を担持することにより調製され、該有機マグネシウム化合物と該塩素化剤との反応が60℃以上150℃以下で行われることを特徴とする、オレフィン重合用触媒、
(Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式1
(式中、Mは周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
SiCl (4−(d+e)) ・・・式2
(式中、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
[2] 担体(A−1)に対するチタン化合物(A−2)の担持が、チタン化合物(A−2)と有機金属化合物(A−3)との反応により行われ、チタン化合物(A−2)が一般式3で表され、有機金属化合物(A−3)が一般式4により表されることを特徴とする、[1]に記載のオレフィン重合用触媒、
Ti(OR(4−f) ・・・式3
(式中、fは0以上4以下の実数であり、Rは炭化水素基、Xはハロゲンである。)
(Mγ(Mg)ε(R(R・・・式4
(式中、Mは周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R,R、−SR10(ただし、R、RおよびR10は炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す。jが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、γ、ε、h、iおよびjは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<ε、0≦h、0≦i、0<h+i、0≦j/(γ+ε)≦2、nγ+2ε=a+b+c(ただし、nはMの原子価))
[3] [1]または[2]のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いたエチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合によって得られたポリオレフィンパウダーであって、該パウダーに含まれるチタン原子が5重量ppm以下であり、マグネシウム原子に対するチタン原子のモル比が0.5以下であり、なおかつ該ポリオレフィンパウダーの嵩密度が0.43g/ml以上であることを特徴とするポリオレフィンパウダー、
である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、触媒の活性、特にチタンあたりの活性を増大させて、なおかつ生成するポリオレフィンパウダーの嵩密度を増大させることができる。また本発明のポリオレフィンパウダーは触媒残渣、特にチタン残渣が少なく嵩密度が高いポリオレフィンパウダーである。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明は固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒に関するものである。固体触媒成分[A]が、一般式1で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物、一般式2で表される塩素化剤との反応により調製された担体(A−1)にチタン化合物を担持することにより調製され、該有機マグネシウム化合物と該塩素化剤との反応が60℃以上150℃以下で行われることが必要である。
本発明においては、この触媒の固体触媒成分[A]の担体である(A−1)は、不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応により調製される。
(A−1)を合成する際に使用される有機マグネシウム化合物は、下記一般式1で表される。
(Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式1
(式中、Mは周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
この化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号α、β、a、b、cの関係式kα+2β=a+b+cは金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記一般式1においてRおよびRで表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、RおよびRはアルキル基であることが好ましい。
α>0の場合、Mは、周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が好ましく、アルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛がさらに好ましい。
に対するマグネシウムの比β/αには特に制限はないが、0.1以上30以下の範囲であることが好ましく、0.5以上10以下の範囲であることがさらに好ましい。また、α=0である或る種の有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、Rが1−メチルプロピル等の場合には不活性炭化水素溶媒に可溶であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。上記の一般式1において、α=0の場合のR、Rは次に示す三つの群(1)、(2)、(3)のいずれか一つであることが推奨される。
(1)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数が4以上6以下である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数が4以上6以下であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(2)RとRとが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはRが炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数が4以上のアルキル基であること。
(3)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数が6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rに含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。(1)において炭素原子数が4以上6以下である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチル−2−エチルプロピル基等が用いられ、1−メチルプロピル基が特に好ましい。次に(2)において炭素原子数が2または3のアルキル基としてはエチル、1−メチルエチル、プロピル基等が挙げられ、エチル基が特に好ましい。また炭素原子数が4以上のアルキル基としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等が挙げられ、ブチル、ヘキシル基が特に好ましい。
さらに、(3)において炭素原子数が6以上の炭化水素基としては、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、2−ナフチル基等が挙げられる。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル、オクチル基が特に好ましい。一般に、アルキル基に含まれる炭素原子数が増えると不活性炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘度が高くなるために必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶液として使用されるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のルイス塩基性化合物が含有され、あるいは残存していても差し支えなく使用できる。
次にアルコキシ基(OR)について説明する。Rは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、中でも炭素原子数が1以上12以下のアルキル基またはアリール基が好ましく、3以上10以下のアルキル基またはアリール基がさらに好ましい。具体的には、たとえば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が挙げられ、中でもブチル、1−メチルプロピル、2−メチルペンチルおよび2−エチルヘキシル基がさらに好ましい。
これらの有機マグネシウム化合物の合成方法には特に制限はなく、たとえば、一般式RMgXおよび一般式R Mg(Rは前述の意味であり、Xはハロゲンである)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と、一般式M およびM (k−1)H(M、R、kは前述の意味である)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中において、20℃以上150℃以下の範囲に含まれる温度で反応させ、必要な場合には続いてRで表される炭化水素基を有するアルコールまたは不活性炭化水素溶媒に可溶な上記ORで表されるアルコキシ基を有するアルコキシマグネシウム化合物、および/またはアルコキシアルミニウム化合物と反応させる方法により合成することができる。
このうち、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとを反応させる場合、反応の順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物中にアルコールを加えていく方法、アルコール中に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。本発明において不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとの反応比率については特に制限はないが、反応の結果、得られるアルコキシ基含有有機マグネシウム化合物における、全金属原子に対するアルコキシ基のモル組成比r/(α+β)の範囲は0≦r/(α+β)≦2であり、0≦r/(α+β)<1が好ましい。
(A−1)を合成する際に使用される塩素化剤は、下記一般式2で表される、少なくとも一つはSi−H結合を有する塩化珪素化合物である。
SiCl (4−(d+e)) ・・・式2
(式中、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
上記一般式2においてRで表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基であること好ましく、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル基等の炭素原子数が1以上3以下のアルキル基であることがさらに好ましい。また、dおよびeはd+e≦4の関係を満たす0より大きな実数であり、eが2または3であることが好ましく、eが3であることがさらに好ましい。
これらの化合物としては、HSiCl、HSiClCH、HSiCl、HSiCl、HSiCl(1−CH)、HSiCl、HSiCl、HSiCl(4−Cl−C)、HSiClCH=CH、HSiClCH、HSiCl(1−C10)、HSiClCHCH=CH、HSiClCH、HSiClC、HSiCl(CH、HSiCl(C、HSiClCH(1−CH)、HSiClCH(C)、HSiCl(C等が挙げられ、中でもHSiCl、HSiClCH、HSiCl(CH、HSiClが好ましく、HSiCl、HSiClCHさらに好ましい。本発明においては、これらの化合物から選ばれた二種類以上の混合物からなる塩素化剤を使用することもできる。
本発明における不活性炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素ないしシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
次に有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応について説明する。反応に際しては塩素化剤を予め反応溶媒、たとえば、不活性炭化水素溶媒、1,2−ジクロルエタン、o−ジクロルベンゼン、ジクロルメタン等の塩素化炭化水素溶媒、もしくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を用いて希釈した後に利用することが好ましく、触媒の性能上、不活性炭化水素溶媒を用いて希釈した後に利用することがさらに好ましい。本発明においては、有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応比率には特に制限はないが、有機マグネシウム化合物に対する塩素化剤のモル比で0.01以上100以下の範囲であることが好ましく、0.1以上10以下の範囲であることがさらに好ましい。
本発明における有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応方法については、有機マグネシウム化合物と塩素化剤とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法、塩素化剤を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法、または有機マグネシウム化合物を事前に反応器に仕込んだ後に塩素化剤を反応器に導入させる方法等があるが、塩素化剤を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法が好ましい。上記反応により得られる固体成分は、ろ過あるいはデカンテーション法により分離した後、不活性炭化水素溶媒を用いて充分に洗浄し、未反応物あるいは副生成物等を除去することが好ましい。
本発明における有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応温度は60℃以上150℃以下であり、好ましくは65℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上150℃以下である。60℃以上であれば、有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応が迅速に進行することにより、高活性かつこの触媒を用いたオレフィン重合により得られたポリオレフィンパウダーの高嵩密度が達成されるためである。反応温度が150℃よりも高い温度では、有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応が速くなりすぎるため、活性およびこの触媒を用いたオレフィン重合により得られたポリオレフィンパウダーの嵩密度が低下する可能性がある。60℃よりも低い温度では、有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応が遅くなりすぎるため、活性およびこの触媒を用いたオレフィン重合により得られたポリオレフィンパウダーの嵩密度が低下する可能性がある。
本発明における有機マグネシウム化合物と塩素化剤とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法においては、あらかじめ反応器の温度を所定温度に調節し、同時添加を行いながら反応器内の温度を所定温度に調節することにより、反応温度を所定温度に調節することができる。本発明における塩素化剤を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法においては、塩素化剤を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節し、有機マグネシウム化合物を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に調節することにより、反応温度を所定温度に調節することができる。本発明における有機マグネシウム化合物を事前に反応器に仕込んだ後に塩素化剤を反応器に導入させる方法においては、有機マグネシウム化合物を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節し、塩素化剤を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に調節することにより、反応温度を所定温度に調節することができる。
有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応を固体の存在下に行うこともできる。この固体は無機固体、有機固体のいずれでもよいが、無機固体を用いるほうが好ましい。無機固体として、下記のものが挙げられる。
(i)無機酸化物
(ii)無機炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩
(iii)無機水酸化物
(iv)無機ハロゲン化物
(v)(i)〜(iv)なる複塩、固溶体ないし混合物
無機固体の具体例としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、水和アルミナ、マグネシア、トリア、チタニア、ジルコニア、リン酸カルシウム・硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、マグネシウム・カルシウム、アルミニウムシリケート[(Mg・Ca)O・Al・5SiO・nHO]、珪酸カリウム・アルミニウム[KO・3Al・6SiO・2HO]、珪酸マグネシウム鉄[(Mg・Fe)SiO]、珪酸アルミニウム[Al・SiO]、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム、よう化マグネシウム等が挙げられるが、特に好ましくは、シリカ、シリカ・アルミナないし塩化マグネシウムが好ましい。該無機固体の比表面積には特に制限はないが、BET法により測定した比表面積が20m/g以上であることが好ましく、90m/g以上であることがさらに好ましい。
本発明においては、担体(A−1)に対するチタン化合物(A−2)の担持が、チタン化合物(A−2)と有機金属化合物(A−3)との反応により行われることが好ましい。
次に、チタン化合物(A−2)について説明する。
(A−2)としては、下記一般式3で表されるチタン化合物が好ましい。
Ti(OR(4−f) ・・・式3
(式中、fは0以上4以下の実数であり、Rは炭化水素基、Xはハロゲンである。)
上記一般式3においてRで表される炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基、フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましい。Xで表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、塩素が好ましい。本発明においては上記から選ばれた(A−2)を、2種以上混合して使用することが可能である。
本発明における(A−2)の使用量には特に制限はないが、固体成分に含まれるマグネシウム原子に対するモル比で0.01以上20以下が好ましく、0.05以上10以下が特に好ましい。反応温度については特に制限はないが、0℃以上150℃以下の範囲で行うことが好ましく、20℃以上100℃以下の範囲で行うことがさらに好ましい。
次に、有機金属化合物(A−3)について説明する。
(A−3)としては下記一般式4で表されるものが好ましい。
(Mγ(Mg)ε(R(R・・・式4
(式中、Mは周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R,R、−SR10(ただし、R、RおよびR10は炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す。jが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、γ、ε、h、iおよびjは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<ε、0≦h、0≦i、0<h+i、0≦j/(γ+ε)≦2、nγ+2ε=a+b+c(ただし、nはMの原子価))
この化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号γ、ε、h、i、jの関係式nγ+2ε=h+i+jは金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記式中R、R、R、RおよびR10で表される炭化水素基はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが好ましく、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、アルキル基であることがさらに好ましい。
γ>0の場合、Mは周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられ、アルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が特に好ましい。
に対するマグネシウムのモル比ε/γには特に制限はないが、0.1以上30以下の範囲にあることが好ましく、0.5以上10以下の範囲にあることがさらに好ましい。また、γ=0である有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、Rが1−メチルプロピル等の場合には不活性炭化水素溶媒に可溶であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。一般式4において、γ=0の場合のR、Rは次に示す(1)、(2)、(3)からなる群に属することが好ましい。
(1)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数が4以上6以下である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数が4以上6以下であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(2)RとRとが炭素原子数が互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはRが炭素原子数が2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数が4以上のアルキル基であること。
(3)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数が6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rに含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。(1)においては、炭素原子数が4以上6以下である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチル−2−エチルプロピル基等が好ましく、1−メチルプロピル基がさらに好ましい。次に(2)においては、炭素原子数が2または3のアルキル基としてはエチル、1−メチルエチル、プロピル基等が好ましく、エチル基がさらに好ましい。また炭素原子数が4以上のアルキル基としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等が好ましく、ブチル、ヘキシル基がさらに好ましい。(3)においては、炭素原子数が6以上の炭化水素基としては、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、2−ナフチル基等が好ましい。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル、オクチル基がさらに好ましい。一般に、アルキル基に含まれる炭素原子数が増えると不活性炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘度が高くなるために必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶液として使用されるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のルイス塩基性化合物が含有され、あるいは残存していても差し支えなく使用できる。
次にYについて説明する。
Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R,R、−SR10(ただし、R、RおよびR10は炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す)、βケト酸残基のいずれかである。
上記のR、RおよびR10としては炭素原子数が1以上12以下のアルキル基またはアリール基が好ましく、炭素原子数が3以上10以下のアルキル基またはアリール基がさらに好ましい。具体的には、たとえば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が好ましく、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルペンチルおよび2−エチルヘキシル基がさらに好ましい。
また、Yはアルコキシ基またはシロキシ基であることが好ましい。アルコキシ基としては、該アルコキシ基に含まれる炭化水素基がメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基であることが好ましく、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルペンチルおよび2−エチルヘキシル基であることがさらに好ましい。シロキシ基としてはヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ、エチルジメチルシロキシ、ジエチルメチルシロキシ、トリエチルシロキシ基、等が好ましく、ヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ基がさらに好ましい。
本発明においては、(A−3)の合成方法には特に制限はなく、たとえば、一般式RMgXおよび一般式R Mg(Rは前述の意味であり、Xはハロゲンである)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と、一般式M およびM (n−1)H(M、R、nは前述の意味である)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中、0℃以上150℃以下の温度範囲で反応させ、必要な場合には続いて一般式Y−H(Yは上述の意味である)で表される化合物を反応させる、あるいはYで表される官能基を有する有機マグネシウム化合物および/または有機アルミニウム化合物を反応させることにより合成することが可能である。このうち、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物と一般式Y−Hで表される化合物とを反応させる場合、反応の順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物中に一般式Y−Hで表される化合物を加えていく方法、一般式Y−Hで表される化合物中に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。
本発明において、(A−3)における全金属原子に対するYのモル組成比j/(γ+ε)の範囲は0≦j/(γ+ε)≦2であり、0≦j/(γ+ε)<1であることが好ましい。全金属原子に対するYのモル組成比が2よりも大きい場合には、(A−2)に対する(A−3)の反応性が低下しすぎる可能性がある。
(A−3)の使用量については特に制限はないが、固体成分に含まれるマグネシウムに対する(A−3)に含まれるMgのモル比で0.01以上20以下が好ましく、0.05以上10以下が特に好ましい。反応温度については特に制限はないが、−80℃以上150℃以下の範囲で行うことが好ましく、−40℃以上100℃以下の範囲で行うことがさらに好ましい。
(A−1)に対する(A−2)と(A−3)の添加順序には特に制限はなく、(A−2)に続いて(A−3)を加える、(A−3)に続いて(A−2)を加える、(A−2)と(A−3)とを同時に添加する、のいずれの方法も可能であるが、(A−2)と(A−3)とを同時に添加する方法が好ましい。(A−2)に対する(A−3)のモル比には特に制限はないが、0.1以上10以下の範囲にあることが好ましく、0.3以上3以下の範囲にあることがさらに好ましい。(A−2)と(A−3)との反応は不活性炭化水素溶媒中で行われるが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
かくして得られた触媒は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
本発明の固体触媒成分[A]は、有機金属化合物成分[B]と組み合わせることにより、さらに高活性な重合用触媒となる。本発明においては、有機金属化合物成分[B]は周期律表第1族、第2族、第12族および第13族からなる群に属する金属原子を含有する化合物であり、特に有機アルミニウム化合物および/又は有機マグネシウム化合物が好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、一般式AlR11 (3−m)(式中、R11は炭素原子数が1以上20以下の炭化水素基、Zは水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基からなる群に属する置換基、mは2以上3以下の実数)で表される化合物を単独または混合して使用することが好ましい。R11で表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素基を含有するものである。
この有機アルミニウム化合物として、具体的には、たとえばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ(2−メチルプロピル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジ(2−メチルプロピル)アルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロゲン化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ(2−メチルプロピル)アルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、ジメチルヒドロシロキシアルミニウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエチル等のシロキシアルミニウム化合物、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、等のジアルキルアルミニウムハイドライド化合物、およびこれらの混合物が好ましく、トリアルキルアルミニウム化合物、ジアルキルアルミニウムハイドライド化合物およびこれらの化合物の混合物がさらに好ましい。
有機マグネシウム化合物としては、下記一般式1で表される化合物が好ましい。
(Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式1
(式中、Mは周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
この化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジアルキルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。α、β、a、b、c、M、R、R、ORについてはすでに述べたとおりである。この有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶媒に可溶な化合物であることが好ましいため、β/αは0.5以上10以下の範囲にあることが好ましく、Mがアルミニウムである化合物がさらに好ましい。
固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]の重合器への添加方法には特に制限はなく、重合条件下に重合系内に添加してもよいし、あらかじめ重合に先立って組み合わせてもよい。また組み合わせる両成分の比率は、固体触媒成分[A]1gに対する有機金属化合物[B]のミリモル数で1以上3000以下の範囲であることが好ましく、5以上1000以下の範囲であることがさらに好ましい。
かくして得られた触媒はオレフィンの重合、特にエチレンの重合およびエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合に対して、チタン当たりの活性が高く、かつ触媒当たりの活性が非常に高く、この触媒により生成するポリオレフィンパウダーの嵩密度が非常に高い特徴を有する。
本発明の触媒系で重合する炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。このうちのいくつかを組み合わせて、エチレンと共重合することもできる。
本発明の重合溶媒としては、オレフィンのスラリー重合に通常使用される不活性炭化水素溶媒が用いられる。重合温度は室温以上120℃以下であり、50℃以上100℃以下であることが好ましい。重合圧力は常圧以上10MPa以下の範囲で実施される。得られる重合体の分子量は、重合系に存在させる水素の濃度を変化させるか、重合温度を変化させか、あるいは有機金属化合物[B]の濃度を変化させることによって調節することができる。
本発明により製造されるポリオレフィンパウダーは請求項1または2のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いたエチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合によって得られたものである。
本発明のポリオレフィンパウダーに含まれるチタン原子およびマグネシウム原子の量はICP分析により測定されたものである。本発明のICP分析においては、試料として5gのポリオレフィンパウダーを使用する。試料を白金ルツボに秤量し、ヒーター上で試料を炭化する。炭化してガスの発生がなくなった後、ヒーターからおろし、電気炉に入れて試料を灰化する。灰化後、白金ルツボを電気炉から取り出し、時計皿をかぶせて放冷する。放冷後、溶解剤を入れて加熱することにより、試料を完全に溶解させて試験溶液とする。この試験溶液をプラズマ炎中に噴霧して発光強度を測定する。なお、検量線法により発光強度から試験溶液に含まれるチタン原子およびマグネシウム原子の量を定量し、試料中に含まれるチタン原子およびマグネシウム原子の量を算出する。
本発明のポリオレフィンパウダーに含まれるチタン原子は0.01重量ppm以上5重量ppm以下であり、0.01重量ppm以上2ppm以下であることが好ましい。ポリオレフィンパウダーに含まれるチタン原子を0.01重量ppmよりも少なくすることは技術的には非常に困難であり、5重量ppmよりも多い場合にはポリオレフィンパウダーの熱安定性が低下する可能性がある。また、このポリオレフィンパウダーに含まれるマグネシウム原子に対するチタン原子のモル比は0.01以上0.5以下であり、0.05以上0.3以下であることが好ましい。このポリオレフィンパウダーに含まれるマグネシウム原子に対するチタン原子のモル比が0.01よりも小さい場合には触媒活性が低いためにポリオレフィンパウダーに含まれるマグネシウム原子の含有量が高くなる可能性がある。また、このポリオレフィンパウダーに含まれるマグネシウム原子に対するチタン原子のモル比が0.5よりも大きい場合には、触媒活性が低いためにポリオレフィンパウダーに含まれるチタン原子の含有量が高くなる可能性がある。
本発明のポリオレフィンパウダーの嵩密度は、該ポリオレフィンパウダーをヘキサンおよびメタノールで洗浄した後、90℃で1時間乾燥させたパウダーの嵩密度をJIS K−6721に従って測定することにより得られたものである。本発明のポリオレフィンパウダーの嵩密度は0.35g/cm以上0.60g/cm以下であり、好ましくは0.40g/cm以上0.55g/cm以下である。嵩密度が0.35g/cm未満では、嵩密度が低すぎるために、金型に充填する際に成型品に十分な質量のポリオレフィンパウダーが入らない、また成型品に気泡が入りやすい、という問題が発生する恐れがある。嵩密度が0.60g/cmを超えたパウダーは、粉体流動性が低下する恐れがあるため、好ましくない。
本発明を実施例などに基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[活性の測定]
触媒あたりの活性(触媒活性)は、重合後に回収したポリオレフィン量(g)を触媒成分(A)量(g)、および重合時間(h)で除すことにより算出した。チタンあたりの活性(チタン活性)は、重合後に回収したポリオレフィン量(g)をポリオレフィンに含まれるチタン量(ミリモル)および重合時間(h)で除すことにより算出した。
[MFR測定]
ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は、ASTM−D1238に従い、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
[粘度平均分子量(Mv)の測定]
20mlのデカリンにポリマー20mgをいれ、150℃、2時間攪拌してポリマーを溶解させた。その溶液を135℃の高温糟で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts )を測定した。なお、ブランクとしてポリマーを入れていない、デカヒドロナフタレンのみの落下時間(tb )を測定した。以下の式に従いポリマーの比粘度(ηsp/C)をプロットし、濃度0に外挿した極限粘度(η)を求めた。
ηsp/C = (ts/tb−1)/0.1
このηから以下の式に従い、粘度平均分子量(Mv)を求めた。
Mv=(5.34×104)×η1.49
[嵩密度の測定]
嵩密度は、該共重合体パウダーをヘキサンおよびメタノールで洗浄した後、90℃で1時間乾燥させたパウダーの嵩密度をJIS K−6721に従って測定した。ヘキサンによる洗浄は、パウダー100gに25℃のヘキサン2000mlを添加してスラリー化し、十分に攪拌した後に静置し、パウダーが沈降した後の上澄み液1500mlを除去し、その後のスラリーを300メッシュの金網でろ過してパウダーを分離することにより行った。メタノールによる洗浄は、ヘキサンによる洗浄後のパウダー100gに、ヘキサンの替わりにメタノールを使用する以外はヘキサンによる洗浄と同様の操作を行うことにより行った。
[ポリオレフィンパウダーに含まれるチタン量の測定]
ポリオレフィンパウダーに含まれるチタン原子の量は、下記のICP分析により測定した。
試料として5gのポリオレフィンパウダーを使用した。試料を白金ルツボに秤量し、表面温度250℃のヒーター上で試料を3時間炭化した。炭化してガスの発生がなくなった後、ヒーターからおろし、電気炉に入れて550℃で試料を6時間灰化した。灰化後、白金ルツボを電気炉から取り出し、時計皿をかぶせて放冷した。放冷後、灰と等体積の炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび四硼酸ナトリウムをそれぞれ添加し、ガスバーナー直火で赤熱状態で5分間加熱した。加熱後、放冷して塩酸(18重量%)15mlを添加して内容物を溶解させた。溶解後、内容物を50mlメスフラスコに完全に移し、純水を添加して液面を標線にあわせることにより試験溶液を調製した。
この試験溶液をプラズマ炎中に噴霧して発光強度を測定した。発光強度の測定は253.462nm、284.194nm、315.587nm、および349.105nmの4波長で行った。検量線法により、発光強度から試験溶液に含まれるチタン原子の量を定量し、試料中に含まれるチタン原子の量を算出した。検量線作成には空試験溶液および1mg/lのチタン標準溶液を使用した。空試験溶液は、試験溶液調製時と等量の炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび四硼酸ナトリウムを白金ルツボに入れ、ガスバーナーで直火で赤熱状態で5分間加熱し、放冷して塩酸(18重量%)15mlを添加して内容物を溶解させ、内容物を50mlメスフラスコに完全に移し、純水を添加して液面を標線にあわせることにより調製した。1mg/lのチタン標準溶液は、1000mg/lのチタン標準溶液(和光純薬製、原子吸光分析用)を希釈することにより調製した。
[ポリオレフィンに含まれるマグネシウム量の測定]
ポリオレフィンパウダーに含まれるマグネシウム原子の量は、下記のICP分析により測定した。
試料として5gのポリオレフィンパウダーを使用した。試料を白金ルツボに秤量し、表面温度250℃のヒーター上で試料を3時間炭化した。炭化してガスの発生がなくなった後、ヒーターからおろし、電気炉に入れて550℃で試料を6時間灰化した。灰化後、白金ルツボを電気炉から取り出し、時計皿をかぶせて放冷した。放冷後、塩酸(18重量%)10mlを添加し、ヒーター上で120℃で5分間加熱することにより内容物を溶解させた。溶解後、放冷した内容物を50mlメスフラスコに完全に移し、純水を添加して液面を標線にあわせることにより試験溶液を調製した。
この試験溶液をプラズマ炎中に噴霧して発光強度を測定した。発光強度の測定は202.582nm、279.553nm、280.270nm、および285.213nmの4波長で行った。検量線法により、発光強度から試験溶液に含まれるマグネシウム原子の量を定量し、試料中に含まれるマグネシウム原子の量を算出した。検量線作成には空試料溶液、1mg/lおよび5mg/lのマグネシウム標準溶液を使用した。空試験溶液は、塩酸(18重量%)10mlを50mlメスフラスコに添加し、純水を添加して液面を標線にあわせることにより調製した。1mg/lおよび5mg/lのマグネシウム標準溶液は、100mg/lのチタン標準溶液(和光純薬製、原子吸光分析用)を希釈することにより調製した。
[実施例1]
(1)(A−1)担体の合成
充分に窒素置換された1lステンレス製オートクレーブに2モル/lのヒドロキシトリクロロシランヘキサン溶液182mlを仕込み、80℃で攪拌しながら組成式AlMg(C11(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液466ml(マグネシウム334ミリモル相当)を4時間かけて滴下し、さらに80℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、460mlのヘキサンで4回洗浄した。この固体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.43ミリモルであった。
(2)固体触媒成分[A]の調製
上記担体20gを含有するヘキサンスラリー360mlに20℃で攪拌しながら1モル/lの四塩化チタンヘキサン溶液20mlと1モル/lの組成式AlMg(C11(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液20mlとを同時に1時間かけて添加した。添加後、20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を200ml除去し、ヘキサン200mlで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A−1]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.98ミリモルであった。
(3)オレフィンの重合
トリス(2−メチルプロピル)アルミニウム0.4ミリモルを脱水脱酸素したヘキサン0.8lとともに、内部を真空脱気し窒素置換した内容積1.5lのオートクレーブに入れた。次いで、オートクレーブの内部を80℃に保ち、水素をオートクレーブの内圧が0.16MPa上昇するまで添加した。次いで、固体触媒成分[A−1]20mgを添加した。この後、エチレンを添加して全圧を0.46MPaとすることにより重合を開始した。エチレンを補給することにより全圧を0.46MPaに保ちつつ1時間重合を行った。重合終了後、オートクレーブ内容物をメタノール2lがはいったステンレス製容器に投入することにより、重合を停止した。重合停止後、ろ過により得られたポリオレフィンパウダーを回収し、40℃で2時間乾燥した。この重合により得られたポリオレフィンの収量、触媒活性、チタン活性、MFR、嵩密度、ポリオレフィンに含まれるチタン原子量(Ti含量)およびマグネシウム原子量(Mg含量)の値を表1に示す。
[比較例1]
固体触媒成分[A]の調製において、充分に窒素置換された1lステンレス製オートクレーブにヘキサン200mlを添加した。20℃で攪拌しながら1モル/lの四塩化チタンヘキサン溶液100mlと1モル/lの組成式AlMg(C11(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液100mlとを同時に1時間かけて添加した。添加後、20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を200ml除去し、ヘキサン200mlで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A−2]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は3.61ミリモルであった。
この固体触媒成分[A−2]を使用した以外は実施例1と同様な操作でオレフィン重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンの収量、触媒活性、チタン活性、MFR、嵩密度、ポリオレフィンに含まれるチタン原子量(Ti含量)およびマグネシウム原子量(Mg含量)の値を表1に示す。
Figure 2006002146
[実施例2]
実施例1で調製した(A−1)担体20gを含有するヘキサンスラリー360mlに−20℃で攪拌しながら1モル/lの四塩化チタンヘキサン溶液20mlと1モル/lの組成式AlMg(C13で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液20mlとを同時に1時間かけて添加した。添加後、−20℃で1時間反応を継続させ、さらに20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を200ml除去し、ヘキサン200mlで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A−3]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は1.02ミリモルであった。
この固体触媒成分[A−3]を使用した以外は実施例1と同様な操作でオレフィン重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンの収量、触媒活性、チタン活性、MFR、嵩密度、ポリオレフィンに含まれるチタン原子量(Ti含量)およびマグネシウム原子量(Mg含量)の値を表2に示す。
[比較例2]
固体触媒成分[A]の調製において、充分に窒素置換された1lステンレス製オートクレーブにヘキサン200mlを添加した。−20℃で攪拌しながら1モル/lの四塩化チタンヘキサン溶液100mlと1モル/lの組成式AlMg(C13で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液100mlとを同時に1時間かけて添加した。添加後、−20℃で1時間反応を継続さ、さらに20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を200ml除去し、ヘキサン200mlで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A−4]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は4.24ミリモルであった。
この固体触媒成分[A−4]を使用した以外は実施例1と同様な操作でオレフィン重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンの収量、触媒活性、チタン活性、MFR、嵩密度、ポリオレフィンに含まれるチタン原子量(Ti含量)およびマグネシウム原子量(Mg含量)の値を表2に示す。
[実施例3]
実施例1で調製した(A−1)担体20gを含有するヘキサンスラリー360mlに20℃で攪拌しながら1モル/lの四塩化チタンヘキサン溶液20mlと1モル/lの組成式AlMg(C11(OSiH(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液20mlとを同時に1時間かけて添加した。添加後、20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を200ml除去し、ヘキサン200mlで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A−5]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.91ミリモルであった。
この固体触媒成分[A−5]を使用した以外は実施例1と同様な操作でオレフィン重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンの収量、触媒活性、チタン活性、MFR、嵩密度、ポリオレフィンに含まれるチタン原子量(Ti含量)およびマグネシウム原子量(Mg含量)の値を表2に示す。
[比較例3]
固体触媒成分[A]の調製において、充分に窒素置換された1lステンレス製オートクレーブにヘキサン200mlを添加した。20℃で攪拌しながら1モル/lの四塩化チタンヘキサン溶液100mlと1モル/lの組成式AlMg(C11(OSiH(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液100mlとを同時に1時間かけて添加した。添加後、20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を200ml除去し、ヘキサン200mlで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A−6]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は2.84ミリモルであった。
この固体触媒成分[A−6]を使用した以外は実施例1と同様な操作でオレフィン重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンの収量、触媒活性、チタン活性、MFR、嵩密度、ポリオレフィンに含まれるチタン原子量(Ti含量)およびマグネシウム原子量(Mg含量)の値を表2に示す。
Figure 2006002146
[実施例4]
水素を添加せず、添加する固体触媒成分[A−5]量を3mgとし、エチレンを添加することにより制御する重合器の全圧を0.25MPaとすること以外は実施例1と同様な操作で重合行った。この重合により得られたポリオレフィンの収量、触媒活性、チタン活性、Mv、嵩密度、ポリオレフィンに含まれるチタン原子量(Ti含量)およびマグネシウム原子量(Mg含量)の値を表3に示す。
[比較例4]
固体触媒成分[A−6]を使用した以外は、実施例4と同様な操作で重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンの収量、触媒活性、チタン活性、Mv、嵩密度、ポリオレフィンに含まれるチタン原子量(Ti含量)およびマグネシウム原子量(Mg含量)の値を表3に示す。
Figure 2006002146
本発明のオレフィン重合用触媒およびポリオレフィンパウダーは、ポリオレフィンの製造、とくにポリエチレンおよび超高分子量ポリエチレンの製造の分野で好適に利用できる。
本発明に含まれる技術の理解を助けるためのフローチャート図である。

Claims (3)

  1. 固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、一般式1で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物、一般式2で表される塩素化剤との反応により調製された担体(A−1)にチタン化合物(A−2)を担持することにより調製され、該有機マグネシウム化合物と該塩素化剤との反応が60℃以上150℃以下で行われることを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
    (Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式1
    (式中、Mは周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
    SiCl (4−(d+e)) ・・・式2
    (式中、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
  2. 担体(A−1)に対するチタン化合物(A−2)の担持が、チタン化合物(A−2)と有機金属化合物(A−3)との反応により行われ、チタン化合物(A−2)が一般式3で表され、有機金属化合物(A−3)が一般式4により表されることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
    Ti(OR(4−f) ・・・式3
    (式中、fは0以上4以下の実数であり、Rは炭化水素基、Xはハロゲンである。)
    (Mγ(Mg)ε(R(R・・・式4
    (式中、Mは周期律表第1族、第2族、第13族および第14族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R,R、−SR10(ただし、R、RおよびR10は炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す。jが2の場合には、Yはそれぞれ異なっていてもよい。)、β−ケト酸残基のいずれかであり、γ、ε、h、iおよびjは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<ε、0≦h、0≦i、0<h+i、0≦j/(γ+ε)≦2、nγ+2ε=a+b+c(ただし、nはMの原子価))
  3. 請求項1または2のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いたエチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合によって得られたポリオレフィンパウダーであって、該パウダーに含まれるチタン原子が5重量ppm以下であり、マグネシウム原子に対するチタン原子のモル比が0.5以下であり、なおかつ該ポリオレフィンパウダーの嵩密度が0.43g/ml以上であることを特徴とするポリオレフィンパウダー。
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