JP2010229347A - オレフィン重合用触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

オレフィン重合用触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2010229347A
JP2010229347A JP2009080066A JP2009080066A JP2010229347A JP 2010229347 A JP2010229347 A JP 2010229347A JP 2009080066 A JP2009080066 A JP 2009080066A JP 2009080066 A JP2009080066 A JP 2009080066A JP 2010229347 A JP2010229347 A JP 2010229347A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
catalyst
carbon atoms
compound
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009080066A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5405172B2 (ja
Inventor
Koichi Hasebe
公一 長谷部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2009080066A priority Critical patent/JP5405172B2/ja
Publication of JP2010229347A publication Critical patent/JP2010229347A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5405172B2 publication Critical patent/JP5405172B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

【課題】本発明では、分子量分布が狭く、チタン原子あたりの活性が高く、かつ単位触媒量当たりの活性が高いオレフィン重合用触媒、これを用いたポリオレフィンの製造方法、および分子量分布が狭く、熱安定性に優れ、なおかつ結晶化速度が速いポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、特定の有機マグネシウム化合物と特定の塩素化剤との60℃以上100℃以下での反応により調製された担体(A−1)に一般式3で表されるチタン化合物を担持することにより調製され、有機金属化合物成分[B]が周期律表第I〜III族の化合物であることを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
【選択図】なし

Description

本発明はオレフィン重合用触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、従来公知の方法と比較して、分子量分布が狭く、チタン原子あたりの活性が高く、かつ単位触媒量当たりの活性が高いオレフィン重合用触媒、これを用いたポリオレフィンの製造方法、および分子量分布が狭く、熱安定性に優れ、なおかつ結晶化速度が速いポリオレフィン樹脂組成物に関する。
ポリオレフィンにおいて、力学特性および成型加工性に大きく影響する分子量分布は極めて重要である。分子量分布が狭いほうが力学特性、特に耐衝撃特性が優れ、一方成型加工性に劣ることは一般によく知られている。
分子量分布が狭いポリオレフィンを製造するために、メタロセン触媒を用いる手法が一般に知られている。しかし、この触媒により得られたポリオレフィンは成型加工性に劣り、さらに結晶化速度が遅いため射出成型や吹き込み成型等の成型サイクルを上げることができなかった。
一方、チーグラー触媒により製造されるポリオレフィンは、メタロセン触媒により得られるポリオレフィンよりも成型加工性に優れ、結晶化速度が速いため射出成型や吹き込み成型に有利ではあるが、得られるポリオレフィンの分子量分布が広いため、耐衝撃性に代表される力学特性に劣っていた。また、いわゆるフィリップス触媒により得られるポリオレフィンと比較すると、分子量分布が狭いために力学特性は優れているものの、成型加工性に劣っていた。
そこで、チーグラー触媒により製造されるポリオレフィンの分子量分布を制御するための検討がなされていた。例えば、特許文献1には分子量分布を広げるための技術が記載されている。しかし、チーグラー触媒において分子量分布を狭くするための具体的な技術についてはほとんど公開されていない。これらのことから、分子量分布が適切な範囲にあり、力学特性と成型加工性とのバランスが良好なポリオレフィンが望まれていた。
ところで、メタロセン触媒により得られるポリオレフィンは分子量分布は狭いが、このポリオレフィンの末端は二重結合で停止している割合が高いことが知られている。これは、重合時に起こる連鎖移動反応がβ水素脱離機構を経由することに起因していると考えられている。この末端二重結合は化学反応性が比較的高いため、この含量が多い場合には成型加工時にポリオレフィンが熱劣化し易いため、熱架橋ブツが発生してフィッシュアイやコゲが発生する原因となる。一方、この末端二重結合は成型加工時の架橋反応にも関与しており、この末端二重結合が少なすぎる場合には成型加工時に発生する架橋が少なすぎるため、溶融張力が低くなりすぎるため成型加工性が悪化する懸念があった。これらのことから、末端二重結合が適当量存在し、なおかつ分子量分布が狭いポリオレフィンが望まれていた。
一方、オレフィン重合用触媒において、重合活性の増大は非常に重要である。以前は活性が低かったため、残存触媒を除去する工程が必要であったが、現在は塩化マグネシウム担体を用いる技術が一般的になったためこの工程は必要無くなった。しかし、現在でもなお高活性化に対する要望は強く存在している。
触媒の活性として、単位触媒量あたりの活性とチタン原子当たりの活性とがある。触媒当たりの活性が高い場合には一定量の触媒から多量のポリオレフィンが生産することができ、換言すれば、一定量のポリオレフィンを生産するために使用する触媒量を削減できるため、効率的な生産には非常に有効である。チタンあたりの活性はポリオレフィン中の酸性物質含有量と相関があり、チタン当たりの活性が低い場合には酸性物質含有量が増大する。例えば、非特許文献1に記載されているように、酸性物質含有量は、ポリオレフィンの熱安定性に大きく影響し、酸性物質含有量が高い場合には熱安定性が顕著に悪化する。
また、この酸性物質は成形機にも影響をおよぼし、酸性塩素含有量が高い場合には成形機の腐食が促進される。このため、触媒のチタン当たりの活性が低い場合には、生成したポリオレフィンの熱安定性および成形機の腐食等の問題があった。これを解決するためにステアリン酸カルシウム等の金属石鹸を添加する手法があるが、多量の金属石鹸の添加が必要なため、ブローグレードではピンチオフ融着性が悪化したり、目やにの原因になる等の問題があり、またコストが高くなる等の問題があった。
特公昭63−43407号公報 特許第4097518号 日本化学会(編集)、高分子学会(編集)、「高分子添加剤の新展開」日刊工業新聞社(出版)、1998年9月1日、p.76
一般に、単位触媒量あたりの活性とチタン原子当たりの活性は相反する。すなわち、触媒に担持するチタン量を増大させれば、触媒当たりの活性が増大するがチタン当たりの活性は低下する。また、触媒に担持するチタン量を減少させれば、チタン当たりの活性は増大するが、触媒あたりの活性は低下する。従来の技術では、触媒当たりの活性を増大させて、なおかつチタン当たりの活性を維持することは困難であり、これまでに様々な検討が行われてきた。例えば、特許文献2には触媒活性とチタン原子あたりの活性とを両立させた触媒に関する技術が開示されている。しかし、この技術では分子量分布に関する記載がなされておらず、これを制御することが極めて困難であると考えられる。また、この触媒により得られるポリマーについても全く開示されておらず、特徴のないポリオレフィンしか得ることはできなかったと考えられる。
したがって、本発明の課題は、チタン原子あたりの活性が高く、かつ単位触媒量当たりの活性が非常に高く、分子量分布が極めて狭いポリオレフィンを製造することができるオレフィン重合用触媒、これを用いたポリオレフィンの製造方法、および分子量分布が狭く、熱安定性に優れ、なおかつ成型加工性が優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、特定の不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物、特定の塩素化剤、およびポリシロキサンとの60℃以上100℃以下での反応により調製された担体に特定のチタン化合物を担持することにより調製されることにより、チタン原子あたりの活性が高く、かつ単位触媒量当たりの活性が高く、分子量分布が狭いポリオレフィンを製造することができるオレフィン重合用触媒、これを用いたポリオレフィンの製造方法、および分子量分布が狭く、熱安定性に優れ、なおかつ成型加工性が優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
1)固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、一般式(1)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物、一般式(2)で表される塩素化剤、およびポリシロキサンとの60℃以上100℃以下での反応により調製された担体(A−1)に一般式(3)で表されるチタン化合物を担持することにより調製され、有機金属化合物成分[B]が周期律表第I〜III族の化合物であることを特徴とする、オレフィン重合用触媒、
一般式 (Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式(1)
(式中、Mは周期律表第1族および第3族からなる群に属する金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
一般式 HSiCl (4−(d+e)) ・・・式(2)
(式中、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
一般式、Ti(OR(4−f) ・・・式(3)
(式中、fは0以上4以下の実数であり、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
2)担体(A−1)が、P/tが0.2以上1.8以下の条件下である反応器により調製されることを特徴とする、前記1)に記載のオレフィン重合用触媒、
3)チタン化合物が、一般式(4)により表される有機金属化合物との反応により担体(A−1)に担持され、この担持が2回以上行われることを特徴とする、前記1)または2)に記載のオレフィン重合用触媒、
一般式 M (m−h) ・・・式(4)
(式中Mは周期律表第I〜III族に属する金属原子、Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、QはOR、OSiR10、NR1112、SR13およびハロゲンからなる群に属する基を表し、R、R、R、R10、R11、R12、R13は水素原子または炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hは0より大きな実数であり、mはMの原子価である)
4)エチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとを共重合する際に、前記1)から3)のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒が用いられることを特徴とするポリオレフィンの製造方法、
5)GPCで測定されたMw/Mnが2以上4.5以下、Mz/Mwが2以上4.5以下であり、末端ビニル基含有率が0.02個/1000C以上0.15個/1000C以下であることを特徴とする、前記4)の製造方法により得られたポリオレフィン樹脂組成物。
本発明により、分子量分布が狭く、チタン原子あたりの活性が高く、かつ単位触媒量当たりの活性が高いオレフィン重合用触媒、これを用いたポリオレフィンの製造方法、および分子量分布が狭く、熱安定性に優れ、なおかつ成型加工性が優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供することができる。
本発明に含まれる技術の理解を助けるためのフローチャート図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明において、固体触媒成分[A]とは、一般式(1)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物、一般式(2)で表される塩素化剤、およびポリシロキサンとの60℃以上100℃以下での反応により調製された担体(A−1)に一般式(3)で表されるチタン化合物を担持することにより調製されることを特徴とする、オレフィン重合用触媒である。
一般式 (Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式(1)
(式中、Mは周期律表第I族および第III族からなる群に属する金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
一般式 HSiCl (4−(d+e)) ・・・式(2)
(式中、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
一般式、Ti(OR(4−f) ・・・式(3)
(式中、fは0以上4以下の実数であり、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
この触媒の固体触媒成分[A]は、(A−1)担体、(A−2)アルコール、(A−3)有機金属化合物、(A−4)有機金属化合物、(A−5)チタン化合物からなることが好ましい。
この固体触媒成分[A]は、(A−1)に(A−2)を反応させ、さらに(A−3)を反応させ、さらに(A−4)と(A−5)とを所定回数反応させることにより調製されることが好ましい。
(A−1)担体としては、無機固体、有機固体のいずれを用いることも可能であるが、無機固体を用いることが好ましい。無機固体として下記のものが挙げられる。
(i)無機酸化物
(ii)無機炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩
(iii)無機水酸化物
(iv)無機ハロゲン化物
(v)(i)〜(iv)の少なくとも2成分からなる複塩、固溶体ないし混合物
担体の具体例としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、水和アルミナ、マグネシア、トリア、チタニア、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、マグネシウム・カルシウムアルミニウムシリケート[(Mg・Ca)O・Al・5SiO・nHO]、珪酸カリウム・アルミニウム[KO・3Al・6SiO・2HO]、珪酸マグネシウム鉄[(Mg・Fe)SiO]、珪酸アルミニウム[Al・SiO]、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム、よう化マグネシウム等が挙げられるが、シリカ、シリカ・アルミナ、または塩化マグネシウムが特に好ましい。担体の比表面積は、好ましくは20m/g以上、特に好ましくは90m/g以上である。
この触媒の担体である(A−1)は、不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応により合成されることが好ましい。
本発明における不活性炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素ないしシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
(A−1)を合成する際に使用される有機マグネシウム化合物は、
一般式 (Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式(1)
(式中、Mは周期律表第I族および第III族からなる群に属する金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
で表されることが好ましい。この化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号α、β、a、b、cの関係式kα+2β=a+b+は金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記式中RないしRで表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、好ましくはRはアルキル基である。α>0の場合、金属原子Mとしては、周期律表第1族ないし第3族に属する金属元素が使用でき、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、アルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が特に好ましい。
金属原子Mに対するマグネシウムの比β/αは、任意に設定可能であるが、好ましくは0.1〜30、特に0.5〜10の範囲が好ましい。また、α=0である或る種の有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、Rが1−メチルプロピル等の場合には不活性炭化水素溶媒に可溶であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。一般式(Mα(Mg)β(R(R(ORにおいて、α=0の場合のR、Rは次に示す三つの群(1)、(2)、(3)のいずれか一つであることが推奨される。
(1)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(2)RとRとが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはRが炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(3)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rに含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。(1)において炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチル−2−エチルプロピル基等が用いられ、1−メチルプロピル基が特に好ましい。次に(2)において炭素原子数2または3のアルキル基としてはエチル、1−メチルエチル、プロピル基等が挙げられ、エチル基が特に好ましい。また炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等が挙げられ、ブチル、ヘキシル基が特に好ましい。
さらに、(3)において炭素原子数6以上の炭化水素基としては、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、2−ナフチル基等が挙げられる。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル、オクチル基が特に好ましい。一般に、アルキル基に含まれる炭素原子数が増えると不活性炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘度が高くなるために必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶液として使用されるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のルイス塩基性化合物が含有され、あるいは残存していても差し支えなく使用できる。
次にアルコキシ基(OR)について説明する。Rで表される炭化水素基は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、3以上10以下のアルキル基またはアリール基が好ましい。具体的には、たとえば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が挙げられ、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルペンチルおよび2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
これらの有機マグネシウム化合物は、一般式RMgXおよびR Mg(Rは前述の意味であり、Xはハロゲンである)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と、一般式M およびM (k−1)H(M、R、kは前述の意味である)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中、室温〜150℃の間で反応させ、必要な場合には続いてRで表される炭化水素基を有するアルコールまたは不活性炭化水素溶媒に可溶な上記Rで表される炭化水素基を有するアルコキシマグネシウム化合物、および/またはアルコキシアルミニウム化合物と反応させる方法により合成される。
このうち、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとを反応させる場合、反応の順序については、有機マグネシウム化合物中にアルコールを加えていく方法、アルコール中に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。本発明において不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとの反応比率については特に制限はないが、反応の結果、得られるアルコキシ基含有有機マグネシウム化合物における、全金属原子に対するアルコキシ基のモル組成比c/(α+β)の範囲は0≦c/(α+β)≦2であり、0≦c/(α+β)<1が特に好ましい。
(A−1)を合成する際に使用される塩素化剤が、
一般式 HSiCl (4−(d+e)) ・・・式(2)
(式中、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
で示される、少なくとも一つはSi−H結合を有する塩化珪素化合物であることが好ましい。上記式においてRで表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル基等の炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。また、dおよびeはd+e≦4の関係を満たす0より大きな数であり、eが2または3であることが特に好ましい。
これらの化合物としては、HSiCl、HSiClCH、HSiCl、HSiCl、HSiCl(1−CH)、HSiCl、HSiCl、HSiCl(4−Cl−C)、HSiClCH=CH、HSiClCH、HSiCl(1−C10)、HSiClCHCH=CH、HSiClCH、HSiClC、HSiCl(CH、HSiCl(C、HSiClCH(1−CH)、HSiClCH(C)、HSiCl(C等が挙げられ、これらの化合物またはこれらの化合物から選ばれた二種類以上の混合物からなる塩化珪素化合物が使用される。塩化珪素化合物としては、トリクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルジクロロシランが好ましく、トリクロロシラン、モノメチルジクロロシランが特に好ましい。
次に有機マグネシウム化合物と塩素化剤との反応について説明する。反応に際しては塩素化剤を予め反応溶媒、たとえば、不活性炭化水素溶媒、1,2−ジクロルエタン、o−ジクロルベンゼン、ジクロルメタン等の塩素化炭化水素、もしくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系媒体、あるいはこれらの混合媒体を用いて希釈した後利用することが好ましい。特に、触媒の性能上、不活性炭化水素溶媒が好ましい。反応の温度は、この反応は液体と液体とから固体を析出させるため、反応速度と結晶化速度とのバランスがきわめて重要であるために厳密に制御する必要があり、60℃以上100℃以下が必須である。この反応の温度を60℃以上にすることにより、反応が均一に進行して調製される担体の組成が比較的均一になる。これにより、得られる触媒の組成も比較的均一になるため、この触媒により得られるポリオレフィンの分子量分布も比較的均一に、すなわち分子量分布が狭くなる。この反応の温度が100℃以下であれば、塩素化剤と有機マグネシウム化合物との副反応が抑制され、調製される担体の組成が比較的均一である。また、この反応の温度が60℃以上100℃以下であれば、有機マグネシウム化合物の塩素化の反応速度と精製する塩化マグネシウムの結晶化速度とのバランスがとれるため、生成する固体の粒度は2μm以上10μm以下となり、粒度分布のそろった固体が得られる。有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物との反応比率には特に制限はないが、通常有機マグネシウム化合物1モルに対し、塩化珪素化合物0.66〜5モルであり、好ましくは有機マグネシウム化合物1モルに対し、塩化珪素化合物0.8〜3モルの範囲である。
反応方法については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法、塩化珪素化合物を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法、または有機マグネシウム化合物を事前に反応器に仕込んだ後に塩化珪素化合物を反応器に導入させる方法等があるが、塩化珪素化合物を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法が好ましい。上記反応により得られる固体成分はろ過あるいはデカンテーション法により分離した後、不活性炭化水素溶媒を用いて充分に洗浄し、未反応物あるいは副生成物等を除去することが好ましい。
本発明においては、担体(A−1)が、P/tが0.2以上1.8以下の条件下である反応器により調製される。P/tが0.2以上であれば担体が析出する際の反応速度と撹拌によるせん断速度とのバランスが良好であるため、担体表面の組成が比較的均一になりさらには担体の粒径分布も比較的均一になる。このため、この担体を用いて調製された触媒も比較的均一になる。P/tが1.8以下であれば反応器上部への液またはスラリーの飛散が抑えられることにより不定形粒子の生成が抑制される。
本発明においては、Pとは撹拌所要動力(W)を最終的に撹拌される液またはスラリーの体積(m)で除した値を表しており、単位はW/mである。撹拌所要動力とは撹拌出力を元に下記の数式(1)により算出された値であり、単位はWである。
実撹拌動力=撹拌出力×η1―出力ロス ・・・数式(1)
ここでη1=ηバイエル×ηギアである。
また、撹拌出力は下記の数式(2)により算出された値であり、単位はWである。
撹拌出力=√3×V×I×Cosφ×η2 ・・・数式(2)
ここで、Vはモーター電圧、Iはモーター電流、Cosφはモーター効率であり、η2はモーター力率である。
本発明においては、撹拌体積とは反応器内で撹拌される液体あるいは液体固体混合スラリーの体積である。
本発明においては、tとは混合時間を表し、これは液が槽内を循環するに要する時間であり、下記の数式(3)により算出され、単位は秒(s)である。
1/t=0.092×{(d/D)×Nqd+0.21×(d/D)×(N/Nqd)1/2}×{1−e−13×(d/D)2} ・・・数式(3)
ここで、dは羽根径(m)、Dは槽径(m)、Nqdは吐出流量(−)、Nは動力数(−)である。
なお、吐出流量はNqd=q/ndで算出され、qは全循環流量(m/s)、nは撹拌羽根回転数(s−1)であり、動力数はN=実撹拌動力/ρnで算出され、ρは液またはスラリー密度(kg/m)である。なお、本発明におけるこれらの数式は改訂五版 化学工学便覧(化学工学協会編)に記載されている。
次に(A−2)について説明する。(A−2)としては炭素数1以上20以下の飽和又は不飽和のアルコールが好ましい。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、クレゾール等が挙げられ、炭素数3〜8の直鎖アルコールが特に好ましい。これらのアルコールを混合して使用することも可能である。
(A−2)の使用量は、固体(A−1)中に含まれるマグネシウム原子に対するモル比で0より大きく10以下であることが好ましく、0.05以上5以下がさらに好ましく、0.1以上3以下がさらに好ましい。(A−1)と(A−2)との反応は、不活性炭化水素溶媒の存在下または非存在下において行う。反応時の温度は特に制限はないが、室温〜200℃の間で実施されることが好ましい。
本発明においては、(A−2)を反応させた後、さらに(A−3)有機金属化合物を反応させることが好ましい。(A−3)を使用する目的は、不要な(A−2)を除去するためである。
この(A−3)は、
一般式 M (m−h) ・・・式(4)
(式中Mは周期律表第I〜III族に属する金属原子、Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、QはOR、OSiR10、NR1112、SR13およびハロゲンからなる群に属する基を表し、R、R、R、R10、R11、R12、R13は水素原子または炭化水素基であり、hは0より大きな実数であり、mはMの原子価である)
で表されるものが好ましい。Mは周期律表第I〜III族に属する金属原子であり、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、マグネシウム、ホウ素、アルミニウムが特に好ましい。Rで表される炭化水素基はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基である。QはOR、OSiR10、NR1112、SR13およびハロゲンからなる群に属する基を表し、R、R、R、R10、R11、R12、R13は水素原子または炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、Qがハロゲンであることが特に好ましい。
これらの例としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムアイオダイド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムアイオダイド、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、トリエチルホウ素、トリメチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムメトキシド、メチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ(2−メチルプロピル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等が挙げられ、有機アルミニウム化合物が特に好ましい。これらの化合物を混合して使用することも可能である。(A−3)の使用量は、(A−2)に対するモル比で、0.01倍以上20倍以下であることが好ましく、0.1倍以上10以下であることがさらに好ましい。また、(A−3)の使用量は、(A−1)に含まれるマグネシウム原子に対するモル比で0.01倍以上20倍以下であることが好ましく、0.05倍以上10倍以下であることがさらに好ましい。反応の温度については特に制限はないが、室温から反応媒体の沸点未満の範囲が好ましい。
本発明においては、(A−3)を反応させた後、(A−4)有機金属化合物と(A−5)とを二回以上反応させることにより、チタン化合物を担持する。
まず(A−4)有機金属化合物について説明する。(A−4)は前述の
一般式 M (m−h) ・・・式(4)
(式中Mは周期律表第I〜III族に属する金属原子、Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、QはOR、OSiR10、NR1112、SR13およびハロゲンからなる群に属する基を表し、R、R、R、R10、R11、R12、R13は水素原子または炭化水素基であり、hは0より大きな実数であり、mはMの原子価である)
で表されるものが好ましく、(A−3)と(A−4)とは同一でもよいし異なっていてもよい。なお、(A−4)を使用する目的は、液体である(A−5)を固体化することにより触媒に担持するためである。(A−4)の使用量は固体成分に含まれるマグネシウムに対するモル比で0.01以上20以下が好ましく、0.05以上10以下が特に好ましい。(A−4)の一回目の反応は、総量に対するモル比で0.05以上0.5以下であることが好ましく、0.1以上0.4以下であることが特に好ましい。反応温度については、特に制限はないが、室温ないし150℃の範囲で行うことが好ましい。
次に、(A−5)チタン化合物について説明する。(A−5)としては、
一般式、Ti(OR(4−f) ・・・式(3)
(式中、fは0以上4以下の実数であり、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
で表されるチタン化合物が好ましい。Rで表される炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基、フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましい。Xで表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、塩素が好ましい。上記から選ばれた(A−5)を、2種以上混合して使用することが可能である。
(A−5)の使用総量は、固体成分に含まれるマグネシウム原子に対するモル比で0.01以上20以下が好ましく、0.05以上10以下が特に好ましい。(A−5)の一回目の反応は、総量に対するモル比で0.05以上0.5以下であることが好ましく、0.1以上0.4以下であることが特に好ましい。反応温度については、特に制限はないが、室温ないし150℃の範囲で行うことが好ましい。
(A−4)と(A−5)の添加順序としては、(A−4)に続いて(A−5)を加える、(A−5)に続いて(A−4)を加える、(A−4)と(A−5)とを同時に添加するのいずれの方法も可能であるが、(A−4)に続いて(A−5)を加えることが好ましい。すなわち、(A−5)を二回以上添加する場合は、例えば、(A−4)の添加に続いた(A−5)の添加を所定回数繰り返すことが好ましい。(A−4)に対する(A−5)のモル比は、好ましくは0.1〜10、特に好ましくは0.5〜5である。(A−4)と(A−5)との反応は不活性炭化水素溶媒中で行われるが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
かくして得られた触媒は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
本発明の固体触媒成分[A]は、有機金属化合物成分[B]と組み合わせることにより、さらに高活性な重合用触媒となる。有機金属化合物成分[B]としては、周期律表第I〜III族の化合物であり、特に有機アルミニウム化合物および/又は有機マグネシウム化合物が好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ(2−メチルプロピル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジ(2−メチルプロピル)アルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロゲン化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ(2−メチルプロピル)アルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、ジメチルヒドロシロキシアルミニウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエチル等のシロキシアルミニウム化合物およびこれらの混合物が好ましく、トリアルキルアルミニウム化合物が特に好ましい。
有機マグネシウム化合物としては、前述の
一般式 (Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式(1)
(式中、Mは周期律表第I族および第III族からなる群に属する金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
で表されることが好ましい。この化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジアルキルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。α、β、a、b、c、M、R、R、ORについてはすでに述べたとおりであるが、不活性炭化水素溶媒に可溶な化合物が望ましいため、β/αは0.5〜10の範囲にあることが好ましく、また特にMがアルミニウムである化合物がさらに好ましい。
固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]は、重合条件下に重合系内に添加してもよいし、あらかじめ重合に先立って組み合わせてもよい。また組み合わせる両成分の比率は、固体触媒成分[A]1gに対し有機金属化合物[B]は1〜3000ミリモルの範囲で行うのが好ましい。
かくして得られた触媒はオレフィンの重合、特にエチレンの重合およびエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合に対して、チタン当たりの活性が高く、かつ触媒当たりの活性が高い特徴を有する。
本発明の触媒系で重合する炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。このうちのいくつかを組み合わせて、エチレンと共重合することもできる。
重合溶媒としては、スラリー重合に通常使用される不活性炭化水素溶媒が用いられる。重合温度は室温以上120℃以下であり、50℃以上100℃以下であることが好ましい。重合圧力は常圧以上10MPa以下の範囲で実施される。得られる重合体の分子量は、重合系に存在させる水素の濃度を変化させるか、重合温度を変化させか、あるいは有機金属化合物[B]の濃度を変化させることによって調節することができる。
本発明では、GPCで測定されたMw/Mnが2以上4.5以下、Mz/Mwが2以上4.5以下であり、末端ビニル基含有率が0.02個/1000C以上0.15個/1000C以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物を提供できる。
なお、本発明におけるポリオレフィン樹脂組成物には、例えば熱安定剤、フィラー、等の各種添加剤を混合、混錬することができる。
本発明においては、GPCとはゲルパーミエーションクロマトグラフィーの略称であり、一般的にポリオレフィンの分子量および分子量分布の尺度として一般に使用されているMw/MnおよびMz/Mwの測定に広く使用されているものである。本発明においては、分子量、Mw/MnおよびMz/Mwの測定は、新版 高分子分析ハンドブック(社団法人高分子分析化学会、高分子分析研究懇談会編、1995年初版)P.45の方法に従い測定される。本発明におけるポリオレフィン樹脂組成物は、Mw/Mnは2以上4.5以下であるが、2.5以上4.5以下であることが好ましく、3.0以上4.5以下であることがさらに好ましい。Mw/Mnが2以上であれば、成型加工性極端に悪化するという恐れを回避できる。また、Mw/Mnが4.5以下であれば力学特性に劣るという恐れが回避できる。また、本発明におけるポリオレフィン樹脂組成物は、Mz/Mwは2以上4.5以下であるが、2.5以上4.5以下であることが好ましく、3.0以上4.5以下であることがさらに好ましい。Mz/Mwが2以上であれば、成型加工性極端に悪化するという恐れを回避できる。また、Mz/Mwが4.5以下であれば力学特性に劣るという恐れが回避できる。
本発明における末端ビニル基含有率は、新版 高分子分析ハンドブック(社団法人高分子分析化学会、高分子分析研究懇談会編、1995年初版)P.594の方法に従い、ビニル基は910cm−1のピークの吸光度、重合体の密度、およびフィルムの厚みから、次式を用いて算出される。
末端ビニル基含量(個/100C)=0.114×ΔA/(t×d/1000)
{ただし、dは重合体の密度(kg/m)、ΔAはピークの吸光度、tはフィルムの厚み(mm)}
本発明においては、ポリオレフィン樹脂組成物の末端ビニル基含有率が0.02個/1000C以上0.15個/1000C以下であるが、0.03個/1000C以上0.13個/1000C以下であることが好ましく、0.05個/1000C以上0.12個/1000C以下であることがさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物の末端ビニル基含有率が0.02個/1000C以上であれば、溶融張力が極端に低下することにより成型加工性が顕著に悪化するという恐れを回避できる。また、ポリオレフィン樹脂組成物の末端ビニル基含有率が0.15個/1000C以下であれば、熱劣化が極端に進行することにより成型加工時に多数の熱架橋ブツが発生してフィッシュアイやコゲが発生するという恐れが回避できる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物の分子量には特に制限はないが、JIS K7120に従い、温度190℃、荷重2.16kgで測定されたポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)で0.001g/10min以上300g/10min以下であることが好ましく、0.01g/10min以上200g/10min以下であることがさらに好ましく、0.02g/10min以上100g/10min以下であることさらに好ましい。MFRが0.001g/10min以上であれば、成型加工性が顕著に悪化する恐れを回避できる。また、MFRが300g/10min以下であれば、力学特性に劣るという恐れを回避できる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物の密度には特に制限はないが、JIS K7112の密度勾配管法により測定された密度で935kg/m以上975kg/m以下であることが好ましく、940kg/m以上970kg/m以下であることがさらに好ましく、945kg/m以上965kg/m以下であることがさらに好ましい。
次に、実施例などに基づき、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
担体の平均粒径は、島津製作所製SALD−2100を用いて、ヘキサン溶媒中で測定した。なお、測定の際に静電付着を防止するため、ヘキサン溶媒300mlに対してトリオクチルアルミニウムの1Mヘキサン溶液を0.2ml添加した。
ポリマーのMw/MnおよびMz/Mwは、ウォーターズ社製GPCV2000型を用い、溶媒として140℃の1,2,4−トリクロロベンゼンを使用し、流速1.0ml/分、試料濃度20mg/15ml、注入量413μl、試料溶解温度140℃、試料溶解時間2時間の条件で測定した。カラムは昭和電工社製Shodex UT−807を1本、東ソー社製TSK−GEL GMHHR−H(S) HTを2本直列につないで使用した。
末端ビニル基含有率は、下記の方法により測定した。
1gの重合体を0.2mmのアルミ板上に載せた縦×横×厚みが5cm×5cm×0.5mmの金型に入れ、アルミ板を載せて180℃でプレスしてフィルムを作成した。このフィルムの赤外吸収スペクトルを日本分光製FT−IR5300Aを用いて測定した。ビニル基は910cm−1のピークの吸光度、重合体の密度、およびフィルムの厚みから、次式を用いて算出した。
末端ビニル基含量(個/100C)=0.114×ΔA/(t×d/1000)
{ただし、dは重合体の密度(kg/m)、ΔAはピークの吸光度、tはフィルムの厚み(mm)}
実施例中の触媒あたりの活性とは、固体触媒成分1gあたり、一時間あたりのポリマー生成量(g)を表し、単位はg/g/hである。実施例中のチタンあたりの活性とは、固体触媒に含まれるチタン元素1ミリモルあたり、一時間あたりのポリマー生成量(g)を表し、単位はg/ミリモル/hである。実施例中のポリマーのメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7120に従い、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。実施例中の密度はJIS K7112の密度勾配管法により測定した。
[実施例1]
(1)(A−1)担体の合成
8lステンレス製オートクレーブを使用した。槽径は208.5mmであり、撹拌羽根は6枚タービン型で羽根径は105.5mm、4枚の板状バッフルを装着した。撹拌回転数は500回転で実施した。
は4600W/mであった。撹拌所要動力は24Wであった。撹拌出力は
撹拌所要動力=撹拌出力×0.7とした。また、撹拌出力は下記の数式(2)により算出した。
撹拌出力=√3×V×I×0.8 ・・・数式(2)
ここで、Vは100V、Iは0.25A、であった。
撹拌体積は5190mlであった。
は2.63(s)であり、下記の数式(3)により算出された。
1/t=0.092×{(d/D)×Nqd+0.21×(d/D)×(N/Nqd)1/2}×{1−e−13×(d/D)2} ・・・数式(3)
ここで、dは羽根径であり0.1055(m)、Dは槽径であり0.2085(m)、Nqdは吐出流量であり3.35(−)、Nは動力数であり0.0181(−)であった。
なお、吐出流量はNqd=q/ndで算出され、qは全循環流量であり4.91(m/s)、nは撹拌羽根回転数であり、500(s−1)であり、動力数は0.0181であった。また、N=撹拌所要動力/ρnで算出され、ρは液またはスラリー密度であり0.81(kg/m)であった。
したがって、P/tは1750(W/m/s)であった。
充分に窒素置換された1lステンレス製オートクレーブに2モル/lのヒドロキシトリクロロシランヘキサン溶液1460mlを仕込み、65℃で攪拌しながら組成式AlMg(C11(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液3730ml(マグネシウム2.78モル相当)を2hかけて滴下し、さらに50℃で1h攪拌しながら反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、3000mlのヘキサンで4回洗浄した。この固体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.43ミリモルであった。また、この担体の平均粒径は4.5μmであった。
(2)固体触媒成分[A]の調製
上記担体20gを含有するヘキサンスラリー380mlに50℃で攪拌しながら1モル/lの1−プロパノールヘキサン溶液17mlを20分かけて添加した。添加後、50℃で1時間反応を継続した。反応終了後、上澄み液86mlを除去し、温度を65℃にして1モル/lのジエチルアルミニウムクロリドヘキサン溶液84mlを1時間30分かけて添加した。添加後、50℃で1時間反応を継続した。反応終了後、上澄み液200mlを除去し、ヘキサン200mlで4回洗浄した。洗浄後のスラリーの上澄み31.5mlを除去し、50℃で攪拌しながら1モル/lのジエチルアルミニウムクロリドヘキサン溶液1.4mlを1分かけて添加し、引き続き1モル/lの四塩化チタンヘキサン溶液2.6mlを2分かけて添加した。添加後、50℃で1時間反応を継続した。反応終了後、50℃で攪拌しながら1モル/lのジエチルアルミニウムクロリドヘキサン溶液9.2mlを2分かけて添加し、引き続き1モル/lの四塩化チタンヘキサン溶液18.4mlを4分かけて添加した。添加後、50℃で2時間反応を継続した。反応終了後、200mlの上澄み液を除去し、200mlのヘキサンで4回洗浄することにより、固体触媒成分[A−1]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.98ミリモルであった。
(3)オレフィンの重合
トリス(2−メチルプロピル)アルミニウム0.4ミリモルを脱水脱酸素したヘキサン0.8lとともに、内部を真空脱気し窒素置換した内容積1.5lのオートクレーブに入れた。次いで、オートクレーブの内部を80℃に保ち、水素をオートクレーブの内圧が0.4MPa上昇するまで添加し、エチレンを添加して全圧を0.98MPaとした。この後、固体触媒成分[A−1]5mgを添加することにより重合を開始した。エチレンを補給することにより全圧を0.98MPaに保ちつつ30分間重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量は115gであった。この触媒の触媒あたりの活性は46000g/g/hであった。この触媒のチタンあたりの活性は46900g/ミリモル−Ti/hであった。ポリマーのMFRは0.92g/10minであった。このポリマーのMw/Mnは4.2、Mz/Mwは4.0、末端ビニル基含有率は0.051個/1000Cであった。これらの値を表1に示す。
[実施例2]
固体触媒成分[A]の調製において、担体調製時の撹拌羽根回転数を300回転にした以外は、実施例1と同様の方法で担体を調製した。このときにP/tは230(W/m/s)であった。固体触媒成分[A−3]を調製した。この固体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.50ミリモルであった。また、この担体の平均粒径は8.7μmであった。
この担体を用いて、実施例1と同様の方法で固体触媒成分[A−2]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.94ミリモルであった。
この固体触媒成分[A−2]を使用した以外は実施例1と同様な操作でオレフィン重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性およびチタンあたりの活性、ポリマーのMw/Mn、Mz/Mw、末端ビニル基含有率の値を表1に示す。
[比較例1]
固体触媒成分[A]の調製において、担体調製時の撹拌羽根回転数を100回転にし、担体の調製温度を50℃にした以外は、実施例1と同様の方法で担体を調製した。このときのP/tは2.8(W/m/s)であった。担体の平均粒径は9.2μmであった。
この担体を用いて、実施例1と同様の方法で固体触媒成分[A−3]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.97ミリモルであった。
この固体触媒成分[A−3]を使用した以外は実施例1と同様な操作でオレフィン重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性およびチタンあたりの活性、ポリマーのMw/Mn、Mz/Mw、末端ビニル基含有率の値を表1に示す。
[比較例2]
固体触媒成分[A]の調製において、担体調製時の撹拌羽根回転数を900回転にし、担体の調製温度を50℃にした以外は、実施例1と同様の方法で担体を調製した。このときのP/tは27000(W/m/s)であった。担体の平均粒径は4.7μmであった。担体には板状あるいは塊状の30μm程度の粒子が含まれていた。また、反応終了後に反応器を開放したところ、反応器の上部や蓋部に白色固体が付着していた。
この担体を用いて、実施例1と同様の方法で固体触媒成分[A−3]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.96ミリモルであった。
この固体触媒成分[A−3]を使用した以外は実施例1と同様な操作でオレフィン重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性およびチタンあたりの活性、ポリマーのMw/Mn、Mz/Mw、末端ビニル基含有率の値を表1に示す。
[比較例3]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiOであった。容量1.8Lオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800ml中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を60ml加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[A]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800mlを得た。
[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の体炭化水素混合物の商品名]1000mlに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した組成式AlMg6(C(n−C12の1Mヘキサン溶液を20ml加え、更にヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1Mに調整し、成分[B]を得た。
ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略称する)5.7gをトルエン50mlに添加して溶解し、ボレートの100mMトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1Mヘキサン溶液5mlを室温で加え、さらにヘキサンを加えてトルエン溶液中のボレート濃度が70mMとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46mlを、上で得られた、成分[A]のスラリー800mlに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上で得られた成分[B]のうち32mlを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されている反応混合物を得た。
容量1.8lのオートクレーブにヘキサン800mlを入れ、このオートクレーブに加圧されたエチレンを入れてオートクレーブの内圧を1MPaに高めた。次いで、オートクレーブの内温を75℃に高め、上で得られた触媒のスラリーを、固体触媒の重量が10mgとなるような量だけオートクレーブに加え、エチレンの重合を開始した。オートクレーブの内圧が1MPaに維持されるようにエチレンをオートクレーブに加えながら、60分共重合を行った。重合終了後、オートクレーブから反応混合物(ポリマーのスラリー)を抜き出し、メタノールで触媒を失活させた。その後、反応混合物を濾過、洗浄、乾燥し、コポリマーの乾燥粉末150gを得た。オートクレーブの内部を検査したところ、オートクレーブの内壁等にはポリマーの付着物は全く観察されなかった。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性およびチタンあたりの活性、ポリマーのMw/Mn、Mz/Mw、末端ビニル基含有率の値を表1に示す。
Figure 2010229347
本発明は、分子量分布が狭く、チタン原子あたりの活性が高く、かつ単位触媒量当たりの活性が高いオレフィン重合用触媒、これを用いたポリオレフィンの製造方法、および分子量分布が狭く、熱安定性に優れ、なおかつ成型加工性が優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供することができるため、工業的なポリオレフィンの製造および各種ポリオレフィン成型品として好適である。

Claims (5)

  1. 固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合用触媒であり、固体触媒成分[A]が、一般式(1)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物と一般式(2)で表される塩素化剤との60℃以上100℃以下での反応により調製された担体(A−1)に一般式(3)で表されるチタン化合物を担持することにより調製され、有機金属化合物成分[B]が周期律表第I〜III族の化合物であることを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
    一般式 (Mα(Mg)β(R(R(OR・・・式(1)
    (式中、Mは周期律表第I族および第III族からなる群に属する金属原子であり、R、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ただし、kはMの原子価))
    一般式 HSiCl (4−(d+e)) ・・・式(2)
    (式中、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
    一般式、Ti(OR(4−f) ・・・式(3)
    (式中、fは0以上4以下の実数であり、Rは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
  2. 担体(A−1)が、P/tが200以上1800以下の条件下である反応器により調製されることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
  3. チタン化合物が、一般式(4)により表される有機金属化合物との反応により担体(A−1)に担持され、この担持が2回以上行われることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のオレフィン重合用触媒。
    一般式 M (m−h) ・・・式(4)
    (式中Mは周期律表第I〜III族に属する金属原子、Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、QはOR、OSiR10、NR1112、SR13およびハロゲンからなる群に属する基を表し、R、R、R、R10、R11、R12、R13は水素原子または炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hは0より大きな実数であり、mはMの原子価である)
  4. エチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとを共重合する際に、請求項1から3のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒が用いられることを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
  5. GPCで測定されたMw/Mnが2以上4.5以下、Mz/Mwが2以上4.5以下であり、末端ビニル基含有率が0.02個/1000C以上0.15個/1000C以下であることを特徴とする、請求項4の製造方法により得られたポリオレフィン樹脂組成物。
JP2009080066A 2009-03-27 2009-03-27 オレフィン重合用触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物 Active JP5405172B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009080066A JP5405172B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 オレフィン重合用触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009080066A JP5405172B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 オレフィン重合用触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010229347A true JP2010229347A (ja) 2010-10-14
JP5405172B2 JP5405172B2 (ja) 2014-02-05

Family

ID=43045455

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009080066A Active JP5405172B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 オレフィン重合用触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5405172B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114426598A (zh) * 2020-10-15 2022-05-03 中国石油化工股份有限公司 一种具有多峰孔分布的镁基载体固体物及其制备方法和应用
US11680115B2 (en) 2020-03-31 2023-06-20 Sumitomo Chemical Company, Limited Solid catalyst component for olefin polymerization

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003246814A (ja) * 2001-12-17 2003-09-05 Asahi Kasei Corp オレフィン重合用触媒および重合方法
JP2006002146A (ja) * 2004-05-19 2006-01-05 Asahi Kasei Chemicals Corp オレフィン重合用触媒およびポリオレフィンパウダー
JP2006225645A (ja) * 2005-01-21 2006-08-31 Asahi Kasei Chemicals Corp オレフィン重合触媒
JP2008144149A (ja) * 2006-11-17 2008-06-26 Asahi Kasei Chemicals Corp オレフィン重合触媒およびポリオレフィンパウダーの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003246814A (ja) * 2001-12-17 2003-09-05 Asahi Kasei Corp オレフィン重合用触媒および重合方法
JP2006002146A (ja) * 2004-05-19 2006-01-05 Asahi Kasei Chemicals Corp オレフィン重合用触媒およびポリオレフィンパウダー
JP2006225645A (ja) * 2005-01-21 2006-08-31 Asahi Kasei Chemicals Corp オレフィン重合触媒
JP2008144149A (ja) * 2006-11-17 2008-06-26 Asahi Kasei Chemicals Corp オレフィン重合触媒およびポリオレフィンパウダーの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11680115B2 (en) 2020-03-31 2023-06-20 Sumitomo Chemical Company, Limited Solid catalyst component for olefin polymerization
CN114426598A (zh) * 2020-10-15 2022-05-03 中国石油化工股份有限公司 一种具有多峰孔分布的镁基载体固体物及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP5405172B2 (ja) 2014-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR950012332B1 (ko) 올레핀 공중합용 고체 촉매성분 및 상기 고체 촉매 성분을 사용하는 올레핀 공중합방법
JP4386923B2 (ja) 超高分子量エチレン系共重合体パウダー
JP2006002146A (ja) オレフィン重合用触媒およびポリオレフィンパウダー
JP2011246698A (ja) オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法
KR20100101049A (ko) 담지된 비-메탈로센 촉매 및 이의 제조방법
JP2007119751A (ja) エチレン系重合体組成物パウダー
FR2823755A1 (fr) Procede de preparation de compositions de polymeres d'ethylene, prticules de composition de polymeres d'ethylene et film obtenu a partir de ces particules de composition de polymeres d'ethylene
CN113490714A (zh) 包括不饱和聚烯烃的可固化组合物
JP2007284664A (ja) 超高分子量エチレン系共重合体
JP2017514946A (ja) オレフィン重合用の触媒成分の調製方法
JP2007197724A (ja) ポリオレフィン系組成物
JP5405172B2 (ja) オレフィン重合用触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物
JP5837170B2 (ja) 超高分子量ポリエチレン樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体
JP2006241356A (ja) Tダイでの発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体
JPH10212315A (ja) オレフィン重合および共重合方法
KR20100100433A (ko) 에틸렌 중합 또는 공중합 촉매의 제조 방법
CN100339400C (zh) 高有规立构聚丁烯聚合物及其制备方法
KR20090092023A (ko) 에틸렌 중합 및 공중합용 촉매의 제조방법
JP2008144149A (ja) オレフィン重合触媒およびポリオレフィンパウダーの製造方法
JP4097518B2 (ja) オレフィン重合用触媒および重合方法
CN112694551B (zh) 一种用于烯烃聚合的镁/钛复合主催化剂及其制备方法、催化剂与应用
JP5026020B2 (ja) ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン樹脂組成物
JP6598283B2 (ja) α−オレフィン類の重合方法
JPH0665388A (ja) 架橋ポリオレフィンの製造方法
JPS6360765B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130312

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130402

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131007

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20131007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131029

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131030

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5405172

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350