JP2006225645A - オレフィン重合触媒 - Google Patents

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直樹 松岡
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Abstract

【課題】従来公知の技術と比較して均一性や分散性等の粒子性状に優れたオレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いた高品質かつ均質なポリオレフィンの製造方法の提供。
【解決手段】炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物から得られる担体に担持成分を担持することによって調製された固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合触媒であり、固体触媒成分[A]が弾性波の照射を経て製造されることを特徴とする、オレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いたポリオレフィンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はオレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いたポリオレフィンの製造方法に関する。さらに詳しくは、従来公知の技術と比較して均一性や分散性等の粒子性状に優れたオレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いたポリオレフィンの製造方法に関する。
オレフィン重合触媒として、周期律表第4〜6族の遷移金属化合物と周期律表第1族、第2族、第3族、および第13族からなる群に含まれる有機金属化合物からなるチーグラー触媒系が一般に知られている。高活性を有するオレフィン重合触媒としては、有機マグネシウム化合物を使用した触媒系が多数提案されており、例えば、特許文献1や特許文献2等においては、有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物とを反応させて得られる担体に、チタン化合物を担持したオレフィン重合触媒が記載されている。
こうした触媒系を用いてオレフィンを重合もしくは共重合し、ポリオレフィンを製造する方法としては、溶液中に固体触媒成分を懸濁させて重合を行ういわゆるスラリー重合が一般に用いられる。この重合方法によって得られるポリオレフィンは、ある程度形状および粒径がそろったパウダーであり、粉末成形用材料、焼結成形用材料、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の充填剤、塗料、接着剤、潤滑剤、ろ過剤、洗浄剤、分析カラム用吸着剤、被覆剤、液晶のスペーサー、トナー、触媒担体、化粧品基材等、幅広い分野における有用な素材として注目されている。
このような分野においては、より形状が整いかつ均質な微粒パウダーを得ることが課題として挙げられるが、スラリー重合によって得られるポリオレフィンパウダーの形状および粒径は固体触媒成分の粒子性状に大きく依存しているため、更なる品質向上には固体触媒成分の改良が必要不可欠である。しかしながら、従来の触媒技術では、より精密に粒子性状が制御された固体触媒成分を得ることは困難であり、得られるポリオレフィンパウダーに分級機や二次加工等の特別な処理を施す必要があった。また、パウダーの形状としては球状、葡萄の房状に大別されるが、スラリー重合においてこれまでの触媒系から得られるポリオレフィンパウダーの形状は葡萄の房状が多く、二次加工等によって得られる球状のポリオレフィンパウダーと比較して、溶解性、分散性等の品質面で劣っていた。
特公平2−42366号公報 特開2004−143289号公報
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、従来公知の技術と比較して均一性や分散性等の粒子性状に優れたオレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いた高品質かつ均質なポリオレフィンの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の出発原料から得られる固体触媒成分を弾性波の照射を経て製造することによって、本来の高活性を保ちながら粒子性状が格段に向上したオレフィン重合触媒が得られ、さらにこのオレフィン重合触媒を用いてオレフィンを重合することによって高品質かつ均質なポリオレフィンが得ら
れることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物から得られる担体に担持成分を担持することによって調製された固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合触媒の製造方法であり、固体触媒成分[A]が弾性波の照射を経て製造されることを特徴とする、オレフィン重合触媒の製造方法。
(2)固体触媒成分[A]の担体が、
Mg p q・・・・・(1)
(一般式(1)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれる金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、XおよびYは同一または異なるOR、OSiR、NR、SR、ハロゲンから選ばれた官能基、RおよびRは炭素数1〜20の炭化水素基、R、R、R、R、およびRは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、E、G、p、q、r、およびsは、E≧0、G>0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0、p+q>0、0≦(r+s)/(E+G)≦2、kE+2G=p+q+r+s(kはMの原子価)を満たす数である。)
で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物と、
SiCl10 4−(a+b)・・・・・(2)
(一般式(2)中、R10は炭素数1〜20の炭化水素基、aとbは、a>0、b>0、a+b≦4を満たす数である。)
で示される塩化珪素化合物とを反応させて得られる担体であることを特徴とする、(1)に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
(3)弾性波が周波数1〜2000kHzの超音波である、(1)または(2)に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
(4)弾性波の強度が固体触媒成分[A]を製造する反応器の内側壁面において0.01W/cm以上となるように照射されることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載のオレフィン重合触媒の製造方法によって製造され、平均粒径が0.01〜5μmであることを特徴とする、オレフィン重合触媒。
(6)エチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のオレフィンとを共重合する際に、(5)に記載のオレフィン重合触媒を用いることを特徴とする、ポリオレフィンの製造方法。
本発明の方法によれば、弾性波の照射を経て固体触媒成分を製造することによって本来の高活性を保ちながら均一性や分散性等の粒子性状が格段に向上したオレフィン重合触媒が得られ、さらにこのオレフィン重合触媒を用いてオレフィンを重合することによって高い生産性を維持しながら工業的に高品質かつ均質なポリオレフィンが得られる。
以下、本願発明について具体的に説明する。なお、本発明において「重合」という語は単独重合のみならず共重合を包含した意味で用いられることがあり、また、「重合体」という語は単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
本発明は、固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合触媒に関するものであり、固体触媒成分[A]が弾性波の照射を経て製造されることを特徴としている。本発明において使用される弾性波は、弾性体を伝わる弾性振動のことであり、通常は波の進行方向に圧縮・膨張が伝わる縦波であるが、反応器壁およびその接触面等においては横波が存在することもある。本発明では、弾性波として知られるものであ
れば特に限定することなく使用できるが、通常は音波、特に超音波が使用される。なお、直接聞く事を目的としない音波が技術的な定義として超音波とされ、液体や固体の表面や内部を伝わる音波も全て超音波に含まれる。具体的に弾性波としては、周波数1〜2000kHz、好ましくは10〜500kHz、特に好ましくは20〜300kHzの超音波が望ましい。また、超音波の出力は、5W以上、好ましくは10W以上、特に好ましくは30W以上であることが望ましい。さらに、このような周波数の超音波を、反応器の内側壁面での該超音波の強度が0.01W/cm以上、好ましくは0.05W/cm以上、特に好ましくは0.07〜100W/cmとなるように照射することが望ましい。
超音波の強度測定は下記のように行った。まず反応器内に模擬液として水を張り込み、超音波を照射した。その状態で音圧計(株式会社カイジョー製TYPE1501、UTSP−60プローブ、USC−150ケーブル使用)を用いて反応器内の音圧を測定した。音圧測定は、室温、常圧で行った。得られた音圧から次式により超音波強度を求めた。
I=P/ρc(式中、Iは超音波強度、Pは音圧、ρは媒質(水)の密度、cは媒質中の伝播速度である。)
本発明では、上記のような弾性波を反応器の外部に設けられた発振面から照射してもよく、また、反応器の内部に発振面を設けて反応系に直接照射してもよい。なお、反応器の外部に設けられた発振面から弾性波を照射する場合、弾性波は反応器の壁面等を透過する際に透過損失(入射波に対する測定点での透過波エネルギーの割合)によって減衰しやすく、反応器壁で著しく減衰する。また、発振源から距離が離れるほど減衰する。このため、反応器外部より弾性波を照射する場合には、反応器壁によって透過損失してしまわないような構造を有する反応器を用いることが望ましく、また、反応器内の弾性波強度が最も低くなる領域で所望の弾性波強度が得られるように、発信面の配置、反応器の形状、発振面での弾性波強度条件、および発振面の数等を考慮することが望ましい。弾性波発振面を反応器の外部に設けた様態例としては、例えば、超音波発振子を備えた水浴中に反応器を設置し、水相を介して超音波を照射する様態等が挙げられる。反応器の形状は特に限定されないが、槽型反応器、管型反応器等を使用することができる。管型反応器を二重管型構造にすると、反応場の厚さを薄くすることができ、特に外周管部を反応場とした場合には弾性波の減衰をさらに低減させることができる。反応管はループ状にしてもよい。
反応器内部の発振面から弾性波を照射する場合、反応器壁による弾性波の減衰を免れることができるため、エネルギー的には有利である。反応器内部で弾性波を発振させる方法として、発振子をそのまま反応器内部に設置することもできる。発振子が防爆機能を有していない場合には、発振子を反応器外部に設け、ホーンを介在して弾性波を導入することもできる。発振子の数は単数あるいは複数どちらでもよいが、反応器サイズが大きくなるに従って発振子を増加し、反応系全体を均一に照射することができるようにすることが望ましい。なお、発振子を複数用いる場合には、弾性波(定常波)が互いに干渉しあって、減衰しないように配置し、かつ照射方向を考慮することが望ましい。
弾性波には反応系を攪拌混合する効果があり、反応器形状を問わず攪拌混合用の装置を必ずしも必要としないが、使用してもよい。なお、攪拌混合用の装置とは攪拌混合を主たる目的とした装置であり、特に限定されるものではない。
本発明における炭化水素溶媒は不活性であることが重要であり、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、または、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
本発明に用いられる炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物としては、
Mg p q・・・・・(1)
(一般式(1)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれる金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、Xおよび
Yは同一または異なるOR、OSiR、NR、SR、ハロゲンから選ばれた官能基、RおよびRは炭素数1〜20の炭化水素基、R、R、R、R、およびRは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、E、G、p、q、r、およびsは、E≧0、G>0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0、p+q>0、0≦(r+s)/(E+G)≦2、kE+2G=p+q+r+s(kはMの原子価)を満たす数である。)
で表される有機マグネシウム化合物であることが好ましい。なお、周期律表の族番号は、IUPAC(国際純正および応用化学連合)無機化学命名法で1989年に定められた命名法を用いた。この化合物は、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号E、G、p、q、r、およびsの関係式kE+2G=p+q+r+sは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。全金属原子に対するXとYのモル組成比(r+s)/(E+G)の範囲は0≦(r+s)/(E+G)≦2であり、特に0≦(r+s)/(E+G)≦1が好ましい。
上記の式中R、R、R、およびRで表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、Rはアルキル基であることが好ましい。また、R、R、R、R、およびRが炭化水素基である場合は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、アルキル基またはアリール基が好ましい。
E>0の場合、金属原子Mとしては、周期律表第1族、第2族、第3族、第12族、および第13族からなる群に含まれる金属元素を使用することができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。金属原子Mに対するマグネシウムの比G/Eは、任意に設定可能であるが、0.1〜30の範囲が好ましく、特に0.5〜10の範囲が好ましい。
これらの有機マグネシウム化合物は、一般式RMgZおよびR Mg(式中、Rは前述の意味であり、Zはハロゲンである)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と一般式M およびM k−1H(式中、M、R、およびkは前述の意味である)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中、室温〜150℃の間で反応させ、必要な場合には続いて、これをさらにアルコール、水、シロキサン、アミン、イミン、メルカプタン、またはジチオ化合物等の追加成分と反応させることによって合成される。反応の順序については、有機マグネシウム化合物中に追加成分を加えていく方法、追加成分に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。さらに、これらの有機マグネシウム化合物は、一般式MgXおよびRMgXからなる群に属する有機マグネシウム化合物と一般式M およびM k−1Hからなる群に属する有機金属化合物との反応、または、一般式RMgXおよびR Mgからなる群に属する有機マグネシウム化合物と一般式R k−tからなる群に属する有機金属化合物との反応、または、一般式RMgXおよびR Mgからなる群に属する有機マグネシウム化合物と一般式Yk−t(式中、M、R、R、X、およびYは前述の意味であって、XおよびYがハロゲンである場合を含み、tは0〜kの数である。)からなる群に属する有機金属化合物との反応によっても合成することができる。
一般的には有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶媒に不活性であり、E>0であるところの有機マグネシウム化合物は可溶性である。また、E=0となる有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、Rが1−メチルプロピル等の場合には炭化水素溶媒に
可溶性であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。
一般式(1)において、E=0の場合のR、Rは、以下に示す三つの群(i)、(ii)、(iii)のいずれか一つであることが推奨される。
(i)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(ii)R、Rが、炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはRが炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(iii)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rに含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
以下、これらの基を具体的に示す。(i)において炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、2−メチルブチル基、2−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2−メチル−2−エチルプロピル基等が用いられ、1−メチルプロピル基が特に好ましい。次に(ii)において炭素原子数2または3のアルキル基としては、エチル基、1−メチルエチル基、プロピル基等が挙げられ、エチル基が特に好ましい。また炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられ、ブチル基、ヘキシル基が特に好ましい。さらに、(iii)において炭素原子数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル基、オクチル基が特に好ましい。
一般に、アルキル基に含まれる炭素原子数が増えると炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くなるため、溶解性を満足させる範囲で炭素原子数の少ないアルキル基を用いることが好ましい。なお、上記有機マグネシウム化合物は炭化水素溶液として使用されるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレックス化剤がわずかに含有されあるいは残存していても差し支えなく用いることができる。
本発明に用いられる炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物は、固体触媒成分[A]の触媒機能を工業的なレベルにまで増幅させる点において極めて重要な役割を果たしている。固体触媒成分[A]の担体としては、無機担体の存在下または非存在下、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物とを反応させて得られる担体が好ましい。また、必要に応じて、この担体にアルコールを0.05〜20モル反応させてもよい。さらに、これらの担体に、
11 v−u・・・・・(3)
(一般式(3)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、および第13族からなる群に含まれる金属原子、R11は炭素数1〜20の炭化水素基、QはOR12、OSiR131415、NR1617、SR18、およびハロゲンから選ばれた官能基、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は水素原子または炭化水素基、vはMの原子価、uはu>0を満たす数である。)
で示される有機金属化合物を反応させてもよい。
本発明において、担体を得るために用いられる炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物としては、一般式(1)で示される有機マグネシウム化合物を用いることが好ましいが、一般式(1)においてs=0、X=OR(s、X、およびRは前述の意味である。)となる有機マグネシウム化合物が特に好ましい。また、0≦r/(E+G)≦2(r、E、およびGは前述の意味である。)であるが、0≦r/(E+G)≦1の範囲が好
ましい。アルコキシ基(OR)においてRで表される炭化水素基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基またはアリール基が好ましく、特に3〜10のアルキル基またはアリール基が好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−エチル−4−メチルペンチル基、2−プロピルヘプチル基、2−エチル−5−メチルオクチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルペンチル基および2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
担体を得るために用いられる塩化珪素化合物について説明する。本発明に用いられる塩化珪素化合物としては、
SiCl10 4−(a+b)・・・・・(2)
(一般式(2)中、R10は炭素数1〜20の炭化水素基、aとbは、a>0、b>0、a+b≦4を満たす数である。)
で示される塩化珪素化合物が好ましい。上記の式中R10で表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基等の低級アルキル基が特に好ましい。また、aおよびbはa+b≦4の関係を満たす0より大きな数であり、bが2または3であることが特に好ましい。これらの化合物としては、HSiCl、HSiClCH、HSiCl、HSiCl、HSiCl(1−CH)、HSiCl、HSiCl、HSiCl(4−Cl−C)、HSiClCH=CH、HSiClCH、HSiCl(1−C10)、HSiClCHCH=CH、HSiClCH、HSiClC、HSiCl(CH、HSiCl(C、HSiClCH(1−CH)、HSiClCH(C)、HSiCl(C等が挙げられ、これらの化合物またはこれらの化合物から選ばれた二種類以上の混合物からなる塩化珪素化合物が使用される。塩化珪素化合物としては、トリクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルジクロロシランが好ましく、トリクロロシラン、モノメチルジクロロシランが特に好ましい。
次に、有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物との反応について説明する。反応に際しては、塩化珪素化合物をあらかじめ反応溶媒、例えば、不活性炭化水素溶媒、1,2−ジクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、ジクロロメタン等の塩素化炭化水素溶媒、もしくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を用いて希釈した後使用することが好ましい。さらに、触媒の性能上、不活性炭化水素溶媒が特に好ましい。反応の温度については特に制限されないが、反応の進行上、好ましくは塩化珪素化合物の沸点以上もしくは20℃以上で実施される。有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物との反応比率にも特に制限はないが、有機マグネシウム化合物1モルに対し、塩化珪素化合物0.01〜100モルの範囲が好ましく、0.1〜10モルの範囲が特に好ましい。
反応方法については、有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法、もしくは塩化珪素化合物を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法、または有機マグネシウム化合物を事前に反応器に仕込んだ後に塩化珪素化合物を反応器に導入させる方法等があるが、塩化珪素化合物を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法が好ましい。上記反応によって得られる担体は、ろ過またはデカンテーション法に
より分離した後、不活性炭化水素溶媒を用いて充分に洗浄し、未反応物あるいは副生成物等を除去することが好ましい。
有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物との反応を、無機担体の存在下に行うこともできる。無機担体としては、無機酸化物、無機炭酸塩、無機珪酸塩、無機硫酸塩、無機水酸化物、無機ハロゲン化物、およびこれらの無機化合物からなる群のうち少なくとも2成分以上からなる複塩、固溶体または混合物等が挙げられる。無機担体の具体例としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、水和アルミナ、マグネシア、トリア、チタニア、シリカチタニア、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、マグネシウム・カルシウム・アルミニウムシリケート[(Mg・Ca)O・Al・5SiO・nHO]、珪酸カリウム・アルミニウム[KO・3Al・6SiO・2HO]、珪酸マグネシウム鉄[(Mg・Fe)SiO]、珪酸アルミニウム[Al・SiO]、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム、よう化マグネシウム等が挙げられるが、シリカ、シリカアルミナ、チタチア、ジルコニア、または塩化マグネシウムが特に好ましい。なお、無機担体して使用されるものには通常高い比表面積が求められるが、本発明では有機マグネシウム化合物の反応性生物もまた固体触媒成分[A]の比表面積を高める効果を有している。従って、無機担体の比表面積について特に制限はないが、B.E.T.(Brunauer−Emmett−Teller)による窒素ガス吸着法で求められる比表面積が1m/g以上であることが好ましい。
無機担体は、必要に応じて表面から一部または全部の水酸基を除去してもよい。水酸基を除去するための方法としては、無機担体を有機金属化合物と接触させて化学処理を行う方法が推奨される。この化学処理に用いられる有機金属化合物としては、例えば、周期表第2族〜第13族に属する元素の化合物等が挙げられるが、有機アルミニウム化合物または有機マグネシウム化合物が特に好ましい。
無機担体の化学処理に用いられる有機アルミニウム化合物として、
AlR19 3−m・・・・・(4)
(一般式(4)中、R19は各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基、Qは各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基、mは0<n≦3を満たす数である。)
で示される有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は、単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。上記の式中、R19としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。上記の式中、Qとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、水素原子、塩素原子等が挙げられる。また、有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム化合物、およびこれらのトリアルキルアルミニウム化合物とアルコール(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール)との反応生成物が挙げられる。そのような反応生成物の例としては、メトキシジメチルアルミニウム、エトキシジエチルアルミニウム、ブトキシジブチルアルミニウム等が挙げられる。このような反応生成物を製造する場合、トリアルキルアルミニウムのアルコールに対する比は、Al/OHのモル比で、0.3〜20の範囲にあることが好ましく、0.5〜5の範囲にあることが特に好ましく、0.8〜3の範囲にあることがさらに好ましい。
無機担体の化学処理に用いられる有機マグネシウム化合物として、
MgR20 2−n・・・・・(5)
(一般式(5)中、R20は各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状,分岐状もしくは環
状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基、Qは各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基、nは1または2である。)
で示される有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらの有機マグネシウム化合物は、単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。上記の式中、R20としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。上記の式中、Qとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、水素原子、塩素原子等が挙げられる。また、有機マグネシウム化合物の具体例としては、ジ−sec−ブチルマグネシウム、n−ブチルエチルマグネシウム、n−ブチル−n−オクチルマグネシウム等が挙げられる。
無機担体を化学処理する場合、上記に示した有機アルミニウム化合物または有機マグネシウム化合物は、これらを混合した状態で使用してもよい。化学処理に用いられる有機金属化合物の量としては、無機担体表面に存在する水酸基のモル量の1〜10倍量が好ましく、より好ましくは1〜5倍量、さらに好ましくは1〜2倍量、特に好ましくは1〜1.5倍量、最も好ましくは1〜1.3倍量である。
本発明において、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物とを反応させて得られる担体に反応させるアルコールについて説明する。アルコールとしては、炭素数1〜20の飽和または不飽和アルコールが好ましい。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキサノール、フェノール、クレゾール等が挙げられ、炭素数3〜8の直鎖アルコールは特に好ましい。アルコールを使用する場合、その使用量は担体に含まれるマグネシウム原子1モルに対して0.05〜20モルであり、0.1〜10モルが好ましく、0.2〜8モルが特に好ましい。アルコールとの反応は、不活性媒体の存在下または非存在下において行う。不活性媒体としては前述の脂肪族、芳香族、または脂環式炭化水素のいずれを用いてもよい。反応時の温度は特に制限はないが、室温〜200℃で実施されるのが好ましい。なお、アルコールとの反応によって担体に含まれる炭化水素基の含有量は若干減少するが、一定の含有量を保持していることが重要である。
次に、これらの担体と反応させる有機金属化合物について説明する。この有機金属化合物は、
11 v−u・・・・・(3)
(一般式(3)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、および第13族からなる群に含まれる金属原子、R11は炭素数1〜20の炭化水素基、QはOR12、OSiR131415、NR1617、SR18、およびハロゲンから選ばれた官能基、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は水素原子または炭化水素基、vはMの原子価、uはu>0を満たす数である。)
で示される。Mは周期律表第1族、第2族、第3族、および第13族からなる群に含まれる金属原子であり、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、マグネシウム、ホウ素、アルミニウムが特に好ましい。R11で表される炭化水素基はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、アルキル基が特に好ましい。QはOR12、OSiR131415、NR1617、SR18、およびハロゲンから選ばれた官能基を表し、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は水素原子または炭化水素基であり、Qはハロゲンであることが特に好ましい。これらの例としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムアイオダイド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウ
ムアイオダイド、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、トリエチルホウ素、トリメチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムメトキシド、メチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等が挙げられ、有機アルミニウム化合物が特に好ましい。また、上記から選ばれた有機金属化合物を2種以上混合した形で用いることも可能である。担体と反応させる有機金属化合物の使用量は、担体に含まれるマグネシウム原子1モルに対して、0.005〜200モルの範囲が好ましく、0.05〜100モルの範囲が特に好ましい。反応温度については特に制限はないが、10℃〜反応溶媒の沸点未満の範囲が好ましい。
本発明における担持成分としては、オレフィン重合活性を有する担持成分であれば特に制限はないが、
Ti(OR214−w・・・・・(6)
(一般式(6)中、R21は炭化水素基、Zはハロゲン、wは0≦w≦4を満たす数である。)
で示されるチタン化合物を担持することが好ましい。R21で表される炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、アリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が特に好ましい。Zで表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、塩素が特に好ましい。また、上記から選ばれたチタン化合物を2種以上混合した形で用いることも可能である。チタン化合物の総使用量は、固体触媒成分[A]に含まれるマグネシウム原子1モルに対して、0.01〜20モルの範囲が好ましく、0.05〜10モルの範囲が特に好ましい。担持反応は不活性炭化水素溶媒中で行われるが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
チタン化合物の担持方法として特に制限はなく、担体に対して過剰な該チタン化合物を反応させる方法や、第三成分を使用することにより該チタン化合物を効率的に担持する方法を用いても良いが、担体に対するチタン化合物の担持が、チタン化合物と有機マグネシウム化合物、または一般式(3)で示される有機金属化合物との反応によって実施されることが好ましい。
チタン化合物と反応させる有機マグネシウム化合物としては、一般式(1)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物を用いることが好ましいが、一般式(1)においてs=0、X=OR(s、X、およびRは前述の意味である。)となる有機マグネシウム化合物、あるいは一般式(1)においてr=s=0となる有機マグネシウム化合物と、
Figure 2006225645
(一般式(7)中、R22、R23は水素または炭素数1〜10の炭化水素基、eは2〜40の整数である。)
で示される鎖状または環状のシロキサン化合物との反応物を用いることが特に好ましい。上記の式中、R22およびR23で表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基および炭素数7以下の芳香族炭化水素基が好ましく、メチル基およびフェニル基が特に好ましい。シロキサン化合物としてはポリヒドロメチルシロキサン、ポリヒドロフェニルシロキサンが好ましい。また、eについて特に制限はないが、4〜20が好ましく、7〜15が特に好ましい。
一般式(1)においてr=s=0となる有機マグネシウム化合物と、一般式(7)で表される鎖状または環状のシロキサン化合物との反応は、不活性炭化水素溶媒中で行われることが好ましい。反応温度は10℃〜150℃が好ましく、40℃〜90℃が特に好ましい。反応時間について特に制限はないが、3時間以上であることが好ましい。また、一般式(7)で表される鎖状または環状のシロキサン化合物の使用量は、一般式(1)においてr=s=0となる有機マグネシウム化合物中の全金属原子に対するモル比で0.3〜5の範囲が好ましく、0.5〜2の範囲が特に好ましい。
チタン化合物と炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物の添加方法としては、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物に続いてチタン化合物を添加する方法、チタン化合物に続いて炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物を添加する方法、両方を同時に添加する方法、のいずれの方法も可能であるが、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物に続いてチタン化合物を添加する方法、または両方を同時に添加する方法が好ましい。反応温度について特に制限はないが、−80℃〜150℃の範囲で行うことが好ましく、−40℃〜100℃の範囲で行うことが特に好ましい。チタン化合物と炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物との反応比率にも特に制限はないが、チタン化合物に対するモル比で0.01〜100の範囲であることが好ましく、0.1〜10の範囲であることが特に好ましい。
本発明では、担体に対するチタン化合物の担持が、チタン化合物と一般式(3)で示される有機金属化合物との反応によって実施されることもまた好ましい結果を与える。有機金属化合物の総使用量は、担体に含まれるマグネシウム原子1モルに対して、0.01〜20モルの範囲が好ましく、0.05〜10モルの範囲が特に好ましい。チタン化合物と有機金属化合物の添加方法としては、有機金属化合物に続いてチタン化合物を添加する方法、チタン化合物に続いて有機金属化合物を添加する方法、両方を同時に添加する方法、のいずれの方法も可能であるが、有機金属化合物に続いてチタン化合物を添加する方法が
好ましい。
チタン化合物の担持は、2回以上に分けて行うことも可能である。この場合、1回目の担持は、チタン化合物の総使用量に対するモル比で0.05〜0.5の範囲が好ましく、0.1〜0.4の範囲が特に好ましい。また、有機金属化合物を共存させる場合、有機金属化合物に対するチタン化合物のモル比は、0.1〜10の範囲が好ましく、0.5〜5の範囲が特に好ましい。
本発明は、固体触媒成分[A]が弾性波の照射を経て製造されることを特徴としているが、弾性波の照射によってキャビテーションによる衝撃波と液体分子の振動による加速度・直進流が反応系に作用し、これらの相乗効果で破砕、分散、攪拌が促進される。このような弾性波の照射には、固体触媒成分[A]の形状を球形に整え、粒径を均一化する効果があるため、粒子性状に優れた固体触媒成分[A]を得る手段として非常に有効である。
本発明における弾性波の照射は、有機マグネシウム化合物を用いる工程で行うことが好ましく、有機マグネシウム化合物を用いる工程および担持成分を担持する工程で行うことが特に好ましい。さらに、固体触媒成分[A]を製造する全工程で弾性波を照射することが最も好ましい。弾性波を照射する場合の温度は、通常の反応温度に従えばよい。弾性波の照射時間については、所望の固体触媒成分[A]が得られる時間であれば特に制限はないが、通常は20時間以内、好ましくは10時間以内で行えばよい。
本発明における固体触媒成分[A]の平均粒径について特に制限はない。しかしながら、スラリー重合によって得られるポリオレフィンパウダーの粒径は固体触媒成分[A]の粒径に大きく依存し、さらに、ポリオレフィンパウダーの課題として更なる微粒子化が挙げられていることから、固体触媒成分[A]の平均粒径は0.01μm〜5μmであることが好ましく、0.01μm〜3μmであることが特に好ましい。なお、弾性波の照射は、固体触媒成分[A]を微粒子化する手段としても非常に優れている。
かくして得られた固体触媒成分[A]は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。本発明の固体触媒成分[A]は、有機金属化合物成分[B]と組み合わせることにより、さらに高活性な重合用触媒となる。有機金属化合物成分[B]としては、周期律表第1族、第2族、第3族、および第13族からなる群に含まれる化合物であり、特に有機アルミニウム化合物および/または有機マグネシウム化合物が好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、
AlR24 3−f・・・・・(8)
(一般式(8)中、R24は炭素数1〜12の炭化水素基、Qは水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基より選ばれた基であり、fは2〜3の数である。)
で表される化合物を単独または混合物として用いることが好ましい。上記の式中R24で表される炭素数1〜20の炭化水素基は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素を包含するものである。これらの化合物を具体的に示すと、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリス(3−メチルブチル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロゲン化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、ジメチルヒドロシロキシアルミニウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエチル等のシロキシアルミニウム化合物およびこれらの混合物が好ましく、トリアルキルアルミニウム化合物、水素化アルミニウム化合物およびこれらの混合物が特に好ましい。
有機マグネシウム化合物としては、前述の一般式(1)で表される化合物が好ましい。この化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジアルキルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。不活性炭化水素溶媒に可溶な化合物が望ましいため、G/Eは0.5〜10の範囲にあることが好ましく、また、Mがアルミニウムである化合物が特に好ましい。
固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]は、重合条件下に重合系内に添加してもよいし、あらかじめ重合に先立って組み合わせてもよい。また組み合わせる両成分の比率は、固体触媒成分[A]1gに対し有機金属化合物[B]は1〜3000ミリモルの範囲で行うのが好ましい。
かくして得られた触媒は、オレフィンの重合、特にエチレンの重合、およびエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合に対して、チタン当たりの活性が高く、かつ触媒当たりの活性が非常に高く、得られるポリオレフィンが高品質かつ均質であるという特徴を有する。本発明の触媒系で重合する炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。このうちのいくつかを組み合わせて、エチレンと共重合することもできる。また、ブタジエン、イソプレン等のジエンの共存下にオレフィンを重合することも可能であり、さらにはジエンを重合することも可能である。
本発明におけるポリオレフィンの製造方法について特に制限はなく、一般的に用いられている溶液法、高圧法、高圧バルク法、ガス法、スラリー法のいずれの製造方法を用いてもよいが、ポリオレフィンパウダーを直接的に得る場合にはスラリー法を用いる。重合圧力について特に制限はなく、通常はゲージ圧として0.1MPa〜300MPaであるが、スラリー重合の場合には常圧〜10MPaが好ましい。重合温度について特に制限はなく、通常は25℃〜300℃であるが、スラリー重合の場合には25℃〜120℃が好ましく、50℃〜100℃が特に好ましい。スラリー重合の溶媒としては、通常使用される不活性炭化水素溶媒が用いられる。
得られる重合体の分子量は、重合系に存在させる水素の濃度を変化させるか、重合温度を変化させるか、または有機金属化合物[B]の濃度を変化させることによって調節することができる。また、二個以上の反応器を直列および/または並列につなぎこむことによって、分子量分布、側鎖分布等を制御することができる。
次に、実施例および参考例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明において、実施例および比較例で使用したヘキサンはユニオン昭和株式会社製MS−13Xを用いて脱水したものを使用した。また、実施例および比較例で使用したエチレンおよび水素はユニオン昭和株式会社製MS−3Aを用いて脱水したものを使用した。固体触媒成分[A]およびポリオレフィンパウダーの平均粒径は、株式会社島津製作所製SALD−2100を用いて測定した。ポリオレフィンパウダーの形状は、サンプル採取を計50回行い、その全てに対し光学顕微鏡による目視確認を行うことによって判定した。なお、パウダーの形状としては、球状、葡萄の房状に大別されるが、一般的に球状のポリオレフィンパウダーは葡萄の房状のポリオレフィンパウダーと比較して溶解性、分散性等の品質面で優れている。
[実施例1]
(1)担体の合成
充分に窒素置換された200ミリリットルガラス製丸底フラスコに2.0モル/リットルのトリクロロシランヘキサン溶液40ミリリットルを仕込み、50℃で攪拌しながら、組成式AlMg(C12(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液100ミリリットル(マグネシウム74ミリモル相当)を1時間かけて滴下した。この際、該丸底フラスコ外に設置した超音波発生装置(日本エマソン株式会社製B3510J−DTH)を用いて水媒体中で周波数42kHz、出力130Wの超音波照射を継続した。超音波照射を止め、さらに50℃で1時間攪拌しながら反応させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン100ミリリットルでの洗浄を4回行った。この担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは8.3ミリモルであった。
(2)固体触媒成分[A]の調製
上記担体5.1gを含有するヘキサンスラリー80ミリリットルを20℃で攪拌しながら、0.5モル/リットル(Al+Mg原子換算)の組成式AlMg(C12(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液9ミリリットルを添加し、1時間攪拌した。その後、上記超音波を照射しながら0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液10ミリリットルを30分かけて滴下した。超音波照射を止め、さらに20℃で1時間攪拌しながら反応させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン70ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分[A]1g中に含まれるチタン量は0.94ミリモルであった。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は2.0μmであった。
(3)オレフィンの重合
トリイソブチルアルミニウム0.4ミリモルを脱水脱酸素したヘキサン0.8リットルとともに、内部を真空脱気し窒素置換した内容積1.5リットルのオートクレーブに入れた。次いで、オートクレーブの内部を80℃に保ち、水素をオートクレーブの内圧が0.16MPa上昇するまで添加した。次いで、固体触媒成分[A]10mgを添加した。この後、エチレンを添加して全圧を0.46MPaとすることにより重合を開始した。エチレンを補給することにより全圧を0.46MPaに保ちつつ30分間重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表1に示す。
[比較例1]
超音波照射を一切行わない以外は実施例1と同様にして、固体触媒成分[A]の調製およびオレフィンの重合を行った。固体触媒成分[A]の平均粒径、重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表1に示す。
Figure 2006225645
[実施例2]
充分に窒素置換された1リットルステンレス製オートクレーブに実施例1(1)の担体20gを含有するヘキサンスラリー360ミリリットルを仕込み、−20℃で攪拌しながら、0.5モル/リットル(Al+Mg原子換算)の組成式AlMg(C12(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液39ミリリットルを添加し、1時間攪拌した。その後、オートクレーブに設置した超音波発生装置(株式会社エスエムテー製UH−600)を用いて周波数20kHz、出力600Wの超音波をオートクレーブ内部に直接照射しながら0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液42ミリリットルを1時間かけて滴下した。超音波照射を止め、さらに−20℃で1時間攪拌しながら反応させた後、20℃で1時間攪拌しながら反応を継続した。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサン310ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分[A]1g中に含まれるチタン量は0.99ミリモルであった。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は2.1μmであった。
この固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例1と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表2に示す。
[実施例3]
充分に窒素置換された200ミリリットルガラス製丸底フラスコに実施例1(1)の担体5.1gを含有するヘキサンスラリー80ミリリットルを仕込み、20℃で攪拌しながら、0.5モル/リットル(Al+Mg原子換算)の組成式AlMg(C10(OSiH(C))で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液9ミリリットルを添加し、1時間攪拌した。その後、該丸底フラスコ外に設置した超音波発生装置(日本エマソン株式会社製B3510J−DTH)を用いて水媒体中で周波数42kHz、出力130Wの超音波照射を継続しながら0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液10ミリリットルを30分かけて滴下した。超音波照射を止め、さらに20℃で1時間攪拌しながら反応させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン70ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分[A]1g中に含まれるチタン量は0.94ミリモルであった。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は1.8μmであった。
この固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例1と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表2に示す。
[実施例4]
(1)担体の合成
実施例1(1)で得られた担体のヘキサンスラリーを50℃で攪拌しながら、1.0モル/リットルのn−ブチルアルコールヘキサン溶液7.4ミリリットルを添加し、1時間攪拌した。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサン100ミリリットルでの洗浄を1回行った。このヘキサンスラリーを50℃で攪拌しながら、1.0モル/リットルのジエチルアルミニウムクロリドヘキサン溶液37ミリリットルを添加し、1時間反応を継続した。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサン130ミリリットルでの洗浄を4回行った。この担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは8.4ミリモルであった。
(2)固体触媒成分[A]の調製
上記担体5.1gを含有するヘキサンスラリー80ミリリットルを50℃で攪拌しながら、0.5モル/リットルのジエチルアルミニウムクロリドヘキサン溶液1.3ミリリットルを添加し、引き続き0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液2.7ミリリ
ットルを添加し、1時間反応を継続した。反応終了後、50℃で攪拌しながら、0.5モル/リットルのジエチルアルミニウムクロリドヘキサン溶液4.0ミリリットルを添加し、引き続き0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液8.0ミリリットルを添加し、2時間反応を継続した。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサン65ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分[A]1g中に含まれるチタン量は1.08ミリモルであった。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は1.9μmであった。
(3)オレフィンの重合
この固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例1と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表2に示す。
[実施例5]
(1)担体の合成
平均粒径0.5μmのアドマファインシリカSO−C2(株式会社アドマテックス製)5gを、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。この脱水シリカ5gをヘキサン100ミリリットル中に分散させ、スラリーを得た。充分に窒素置換された200ミリリットルガラス製丸底フラスコにこのスラリーを仕込み、50℃で攪拌しながら、該丸底フラスコ外に設置した超音波発生装置(日本エマソン株式会社製B3510J−DTH)を用いて水媒体中で周波数42kHz、出力130Wの超音波照射を継続し、組成式AlMg(C12(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液5ミリリットル(マグネシウム2ミリモル相当)を添加した。50℃で1時間超音波照射と攪拌を継続した後、そのまま0.5モル/リットルのトリクロロシランヘキサン溶液4.4ミリリットルを15分かけて滴下した。超音波照射を止め、さらに50℃で1時間攪拌しながら反応させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン100ミリリットルでの洗浄を4回行った。
(2)固体触媒成分[A]の調製
上記担体のヘキサンスラリー全量を20℃で攪拌しながら、0.5モル/リットル(Al+Mg原子換算)の組成式AlMg(C12(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液9ミリリットルを添加し、1時間攪拌した。その後、上記超音波を照射しながら0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液10ミリリットルを30分かけて滴下した。超音波照射を止め、さらに20℃で1時間攪拌しながら反応させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン90ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分[A]1g中に含まれるチタン量は0.96ミリモルであった。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は1.3μmであった。
(3)オレフィンの重合
この固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例1と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表2に示す。
[実施例6]
実施例5(1)で得られた担体のヘキサンスラリー全量を20℃で攪拌しながら、0.5モル/リットル(Al+Mg原子換算)の組成式AlMg(C10(OSiH(C))で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液9ミリリットルを添加し、1時間攪拌した。その後、該丸底フラスコ外に設置した超音波発生装置(日本エマソン株式会社製B3510J−DTH)を用いて水媒体中で周波数42kHz、出力130Wの超音波照射を継続しながら0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液10ミリリットルを30分かけて滴下した。超音波照射を止め、さらに20℃で1時間攪拌
しながら反応させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン90ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分[A]1g中に含まれるチタン量は0.96ミリモルであった。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は1.2μmであった。
この固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例1と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表2に示す。
[実施例7]
(1)担体の合成
充分に窒素置換された200ミリリットルガラス製丸底フラスコに2.0モル/リットルのトリクロロシランヘキサン溶液40ミリリットルを仕込み、50℃で攪拌しながら、組成式AlMg(C(C(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液100ミリリットル(マグネシウム75ミリモル相当)を1時間かけて滴下した。この際、該丸底フラスコ外に設置した超音波発生装置(日本エマソン株式会社製B3510J−DTH)を用いて水媒体中で周波数42kHz、出力130Wの超音波照射を継続した。超音波照射を止め、さらに50℃で1時間攪拌しながら反応させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン100ミリリットルでの洗浄を4回行った。この担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは8.2ミリモルであった。
(2)固体触媒成分[A]の調製
上記担体5.0gを含有するヘキサンスラリー80ミリリットルを20℃で攪拌しながら、0.5モル/リットル(Al+Mg原子換算)の組成式AlMg(C(C(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液9ミリリットルを添加し、1時間攪拌した。その後、0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液10ミリリットルを30分かけて滴下した。さらに20℃で1時間攪拌しながら反応させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン70ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分[A]1g中に含まれるチタン量は0.95ミリモルであった。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は2.8μmであった。
(3)オレフィンの重合
この固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例1と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表2に示す。
[比較例2〜7]
超音波照射を一切行わない以外は実施例2〜7と同様にして、固体触媒成分[A]の調製およびオレフィンの重合を行った。固体触媒成分[A]の平均粒径、重合により得られたポリマーの収量、触媒あたりの活性、チタンあたりの活性、ポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表2に示す。
Figure 2006225645
[実施例8]
ヘキサン、トリイソブチルアルミニウム、実施例3の固体触媒成分[A]、およびエチレンを連続的に攪拌装置が付いた350リットルベッセル型重合反応器に供給し、ポリオレフィンパウダーを製造した。重合温度はジャケットにて70℃に保った。溶媒としてのヘキサンは65リットル/hrの速度で供給した。トリイソブチルアルミニウムはベッセル型重合反応器内の濃度が0.125モル/リットルとなるように供給した。固体触媒成分[A]は、上記溶媒ヘキサンを移送液とし、ポリマー製造速度が5kg/hrとなるようにポンプで連続的に供給した。エチレンは重合圧力が0.2MPaになるように連続的に供給した。重合スラリーはベッセル型重合反応器のスラリー量が170リットルに保たれるように連続的に抜き取り、抜き取ったスラリーは溶媒分離工程を経て乾燥工程へ送った。塊状のポリマーの存在も無く、スラリー抜き取り配管も閉塞すること無く、安定して連続運転を行うことができた。固体触媒成分[A]1gあたりのポリマー生成量は20000gであった。この重合により得られたポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表3に示す。
[実施例9]
重合圧力が0.4MPaになるようにエチレンを連続的に供給した以外は、実施例8と同様の操作で重合を行った。固体触媒成分[A]1gあたりのポリマー生成量は80000gであった。この重合により得られたポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表3に示す。
[比較例8〜9]
比較例3の固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例8〜9と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンパウダーの平均粒径、およびポリオレフィンパウダーの形状を表3に示す。
Figure 2006225645
実施例1〜9では、比較例1〜9と比較して平均粒径の小さな固体触媒成分[A]およびポリオレフィンパウダーが得られた。また、比較例1〜9におけるいずれのポリオレフィンパウダーもその形状が葡萄の房状であるのに対し、実施例1〜9におけるいずれのポリオレフィンポリマーもその形状が球状であることから、品質的にも実施例1〜9で得ら
れたポリオレフィンパウダーの方が優れていることを示唆している。これらの結果から、弾性波の照射を経て固体触媒成分[A]を製造することによって本来の高活性を保ちながら均一性や分散性等の粒子性状が格段に向上したオレフィン重合触媒が得られ、さらにこのオレフィン重合触媒を用いてオレフィンを重合することによって高い生産性を維持しながら工業的に高品質かつ均質なポリオレフィンが得られることは明白である。
本発明は、オレフィンの重合触媒として有用であり、特にエチレンの重合、およびエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合に適している。
本発明における触媒の構成を示すフローシート図である。

Claims (6)

  1. 炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物から得られる担体に担持成分を担持することによって調製された固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合触媒の製造方法であり、固体触媒成分[A]が弾性波の照射を経て製造されることを特徴とする、オレフィン重合触媒の製造方法。
  2. 固体触媒成分[A]の担体が、
    Mg p q・・・・・(1)
    (一般式(1)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれる金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、XおよびYは同一または異なるOR、OSiR、NR、SR、ハロゲンから選ばれた官能基、RおよびRは炭素数1〜20の炭化水素基、R、R、R、R、およびRは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、E、G、p、q、r、およびsは、E≧0、G>0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0、p+q>0、0≦(r+s)/(E+G)≦2、kE+2G=p+q+r+s(kはMの原子価)を満たす数である。)
    で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物と、
    SiCl10 4−(a+b)・・・・・(2)
    (一般式(2)中、R10は炭素数1〜20の炭化水素基、aとbは、a>0、b>0、a+b≦4を満たす数である。)
    で示される塩化珪素化合物とを反応させて得られる担体であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
  3. 弾性波が周波数1〜2000kHzの超音波である、請求項1または請求項2に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
  4. 弾性波の強度が固体触媒成分[A]を製造する反応器の内側壁面において0.01W/cm以上となるように照射されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のオレフィン重合触媒の製造方法によって製造され、平均粒径が0.01〜5μmであることを特徴とする、オレフィン重合触媒。
  6. エチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のオレフィンとを共重合する際に、請求項5に記載のオレフィン重合触媒を用いることを特徴とする、ポリオレフィンの製造方法。
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