JP5152826B2 - 超高分子量エチレン系共重合体 - Google Patents
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Description
[1]エチレンと炭素原子数が3以上8以下のα−オレフィンとを含む単量体混合物を共重合して得られる、粘度平均分子量(Mv)が100万以上の超高分子量エチレン系共重合体であって、
(1)エチレンと炭素数3以上8以下のα−オレフィンとに由来する合計の重合単位を基準として、α−オレフィンに由来する重合単位の含有率が0.01モル%以上1モル%未満であり、
(2)エチレンと炭素数3以上8以下のα−オレフィンとに由来する合計の重合単位を基準として、α−オレフィンに由来する重合単位の含有率{x(モル%)}と共重合体の透明性の指標であるヘイズ{y(%)}との関係が、xが0.01モル%以上0.4モル%未満の範囲では下記数式(1)を、xが0.4モル%以上1.0モル%未満の範囲では下記数式(2)を満たすことを特徴とする、超高分子量エチレン系共重合体。
−107.5x+87≦y≦−43x+89 ・・・・数式(1)
44≦y≦71.8 ・・・・数式(2)
[2]xとyとの関係が、xが0.4モル%以上1.0モル%未満の範囲では下記数式(3)を満たすことを特徴とする、上記[1]に記載の超高分子量エチレン系共重合体。
44≦y≦−43x+89 ・・・・数式(3)
[3]下記一般式(1)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物と下記一般式(2)で表される塩素化剤との反応により調製された担体(A−1)に下記一般式(3)で表されるチタン化合物(A−2)及び下記一般式(4)で表される有機金属化合物(A−3)を担持することにより製造される固体触媒成分[A]、および下記一般式(5)で表される有機マグネシウム化合物、または下記一般式(6)で表される有機アルミニウム化合物である成分[B]からなるオレフィン重合用触媒を用いて製造されたことを特徴とする、上記[1]または[2]のいずれかに記載の超高分子量エチレン系共重合体。
(M1)α(Mg)β(R1)a(R2)b(OR3)c ・・・式(1)
(式中、M1は周期律表第1族、第2族、第12族および第13族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R1、R2およびR3は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ここで、kはM1の原子価))
HdSiCleR4 (4-(d+e)) ・・・式(2)
(式中、R4は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dおよびeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
Ti(OR5)fX1 (4-f) ・・・式(3)
(式中、fは0以上4以下の実数であり、R5は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
(M2)γ(Mg)ε(R6)h(R7)iYj ・・・式(4)
(式中、M2は周期律表第1族、第2族、第12族および第13族からなる群に属する金属原子であり、R6およびR7は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R8R9、−SR10(ここで、R8、R9およびR10は炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す)、β−ケト酸残基であり、γ、ε、h、iおよびjは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<ε、0≦h、0≦i、0<h+i、0≦j/(γ+ε)≦2、nγ+2ε=h+i+j(ここで、nはM2の原子価))
(M3)κ(Mg)λ(R11)p(R12)q(OR13)r ・・・式(5)
(式中、M3は周期律表第1族、第2族、第12族および第13族からなる群に属する金属原子であり、R11、R12およびR13は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、κ、λ、p、qおよびrは次の関係を満たす数である。0≦κ、0<λ、0≦p、0≦q、0≦r、0<p+q、0≦r/(κ+λ)≦2、kκ+2λ=p+q+r(ここで、kはM3の原子価))
AlR14 sX2 3-s ・・・式(6)
(式中、R14は、各々独立して、炭素数1以上12以下の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6以上20以下のアリール基を表し、X2は、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1以上10以下のアルコキシド基を表し、sは1以上3以下の実数である。)
本発明により提供される超高分子量エチレン系共重合体は、エチレンと炭素原子数が3以上8以下のα−オレフィンとに由来する超高分子量エチレン系共重合体である。なお、本発明においては、超高分子量エチレン系共重合体中に含まれるエチレンと炭素数3以上8以下のα−オレフィンとに由来する重合単位に対する、α−オレフィンに由来する重合単位のモル分率を以下オレフィン含有率とも標記する。
CH2=CR15R16 ・・・式(A)
(R15およびR16は、各々独立して、水素原子または炭素数1以上6以下の炭化水素基である。ただし、R15およびR16が同時に水素原子であることはなく、またR15とR16の炭素数の和は6以下である。)
Mv=(5.34×104)×η1.49 ・・・数式(4)
−107.5x+87≦y≦−43x+89 ・・・・数式(1)
44≦y≦71.8 ・・・・数式(2)
44≦y≦−43x+89 ・・・・数式(3)
通常、α−オレフィンに由来する重合単位の含有率が高くなると、ヘイズを改善する効率が悪化するため、xとyとの関係は、xが大きくなるとyは特定の値に漸近することが一般的であった。ところが、本発明により、xが大きい場合にも従来よりもyを低下させることが可能となった。
−107.5x+88≦y≦−43x+88 ・・・・数式(4)
45≦y≦70.8 ・・・・数式(5)
45≦y≦−43x+88 ・・・・数式(6)
本発明においては、超高分子量エチレン共重合体の透明性の指標であるヘイズはASTM D1003の方法で測定した値である。本発明の超高分子量エチレン共重合体のヘイズは、数式1、数式2およびxの範囲から、45%以上87.6%以下である。ヘイズが45%以上であれば、パウダー同士が凝集して塊状のポリマーが生成することなく、安定な連続運転が可能である。ヘイズが87.6%以下であれば、透明性の改善効果が十分に発揮される。
に前述の鉄板を載せた。これを170℃に温度調節された圧縮成型機に入れ、170℃で300秒間加熱後、5秒間エアー抜き(100K/G)を行い、200K/Gで900秒の加圧を行った。加圧終了後サンプルを取り出し、取り出してから5秒後に25℃に温度調節された圧縮成型機に入れ、25℃で100K/Gにて600秒間加圧しながら15±2℃/分の冷却速度で冷却した。冷却速度は金型を厚紙で挟むことにより調節した。冷却後、取り出したプレスシートをヘイズ測定用プレス板とした。
本発明の超高分子量共重合体を製造する触媒については特に制限は無いが、以下に記載する触媒を使用することで、得られる共重合に良好な透明性を付与することができ、さらに、パウダー同士が凝集して塊状のポリマーを生成することなく連続安定生産が可能であるため好ましい。
(M1)α(Mg)β(R1)a(R2)b(OR3)c ・・・式(1)
(式中、M1は周期律表第1族、第2族、第12族および第13族からなる群に属する金属原子であり、R1、R2およびR3は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ここで、kはM1の原子価))
この化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号α、β、a、b、cの関係式kα+2β=a+b+cは金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
(1)R1、R2の少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR1、R2がともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(2)R1とR2とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR1が炭素原子数2または3のアルキル基であり、R2が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(3)R1、R2の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR1、R2に含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
物が含有され、あるいは残存していても差し支えなく使用できる。
クチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、ナフチル基が好ましく、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルペンチル基および2−エチルヘキシル基がさらに好ましい。
α+β)≦2であり、0≦c/(α+β)<1であるのがさらに好ましい。
HdSiCleR4 (4-(d+e))・・・・・式(2)
(式中、R4は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
上記の一般式(2)においてR4で表される炭化水素基に特に制限はないが、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがさらに好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基であることがさらに好ましい。また、dおよびeはd+e≦4の関係を満たす0より大きな数であり、eが2
または3であることが好ましい。
応物あるいは副生成物等を除去した後に使用されることが好ましい。
(i)無機酸化物;
(ii)無機炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩;
(iii)無機水酸化物;
(iv)無機ハロゲン化物;
(v)(i)〜(iv)からなる複塩、固溶体ないし混合物。
Ti(OR5)fX1 (4-f) ・・・式(3)
(式中、fは0以上4以下の実数であり、R5は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
R5で表される炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基、フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましい。X1で表されるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、塩素が好ましい。上記から選ばれた(A−2)を、2種以上混合して使用することが可能である。
(M2)γ(Mg)ε(R6)h(R7)iYj ・・・式(4)
(式中、M2は周期律表第1族、第2族、第12族および第13族からなる群に属する金属原子であり、R6およびR7は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R8R9、−SR10(ここで、R8、R9およびR10は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す)、β−ケト酸残基であり、γ、ε、h、iおよびjは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<ε、0≦h、0≦i、0<h+i、0≦j/(γ+ε)≦2、nγ+2ε=h+i+j(ここで、nはM2の原子価))
上記の一般式(4)で表される有機金属化合物は不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号γ、ε、h、i、jの関係式nγ+2ε=h+i+jは金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
(1)R6、R7の少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR6、R7がともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(2)R6とR7とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR6が炭素原子数2または3のアルキル基であり、R7が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(3)R6、R7の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR6、R7に含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
有され、あるいは残存していても差し支えなく使用できる。
(M3)κ(Mg)λ(R11)p(R12)q(OR13)r ・・・式(5)
(式中、M3は周期律表第1族、第2族、第12族および第13族からなる群に属する金属原子であり、R11、R12およびR13は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、κ、λ、p、qおよびrは次の関係を満たす数である。0≦κ、0<λ、0≦p、0≦q、0≦r、0<p+q、0≦r/(κ+λ)≦2、kκ+2λ=p+q+r(ここで、kはM3の原子価))
この化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジアルキルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。κ、λ、p、q、r、M3、R11、R12、OR13についてはすでに述べたとおりであるが、不活性炭化水素溶媒に可溶な化合物が望ましいため、λ/κは0.5〜10の範囲にあることが好ましく、また特にM3がアルミニウムである化合物がさらに好ましい。
AlR14 sX2 3-s ・・・式(6)
(式中、R14は、各々独立して、炭素数1以上12以下の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6以上20以下のアリール基を表し、X2は、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1以上10以下のアルコキシド基を表し、sは1以上3以下の実数である)
好ましい有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(2−メチルプロピル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハライド、ジイソブチルアルミニウムハライド等のジアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジ(2−メチルプロピル)アルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロゲン化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ(2−メチルプロピル)アルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、ジメチルヒドロシロキシアルミニウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエチル等のシロキシアルミニウム化合物およびこれらの混合物が好ましく、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(2−メチルプロピル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハライドがさらに好ましい。
[粘度平均分子量(Mv)の測定]
20ミリリットルのデカリンにポリマー20mgをいれ、150℃、2時間攪拌してポリマーを溶解させた。その溶液を135℃の高温糟で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts )を測定した。なお、ブランクとしてポリマーを入れていない、デカヒドロナフタレンのみの落下時間(tb )を測定した。下記の数式(9)に従いポリマーの比粘度(ηsp/C)をプロットし、濃度0に外挿した極限粘度(η)を求めた。
ηsp/C = (ts/tb−1)/0.1 ・・・数式(9)
このηから下記の数式(10)に従い、粘度平均分子量(Mv)を求めた。
Mv=(5.34×104)×η1.49 ・・・数式(10)
縦60mm、横60mm、厚み2mmの金型を用い、ASTM D1928 Procedure Cに従って超高分子量エチレン系共重合体をプレスすることにより、プレスシートを作成した。まず、厚さ5mmの平滑な鉄板に厚さ0.1mmのアルミニウム板を載せ、さらにセロファンでコーティングされていない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 ルミラー)を載せた。この上に縦60mm、横60mm、厚み2mmの金型を載せ、これに8gの超高分子量エチレン系共重合体を入れ、この上に前述のポリエチレンテレフタレートフィルムを載せ、さらに前述のアルミニウム板を載せ、さらに前述の鉄板を載せた。これを170℃に温度調節された圧縮成型機(株式会社神藤金属工業所製 SFA−37)に入れ、170℃で900秒間加熱後、10MPaで5秒間エアー抜きを行い、20MPaで300秒の加圧を行った。加圧終了後サンプルを取り出し、取り出してから5秒後に25℃に温度調節された圧縮成型機(株式会社神藤金属工業所製 SFA−37)に入れ、25℃で10MPaにて600秒間加圧しながら15±2℃/分の冷却速度で冷却した。冷却速度は金型を厚紙で挟むことにより調節した。冷却後、取り出したプレスシートをヘイズの測定に使用した。
ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製 HM−100)を用いて、ASTM D 1003の方法で測定した。試験片として、上記プレスシートを用いた。
[α−オレフィンに由来する重合単位の含有率の測定]
α−オレフィンに由来する重合単位の含有率{x(モル%)}の測定はG.J.RayらのMacromolecules,10,773(1977)に開示された方法に準じて行われ、xは、13C−NMRスペクトルにより観測されるメチレン炭素のシグナルを用いて、その面積強度より算出した。使用した機器は日本電子製Lambda−400であった。使用した溶媒はオルトジクロロベンゼン−d4、測定温度は140℃、観測周波数は100MHz(13C)、パルス幅45°(7.5μsec)、積算回数は10,000回であった。測定基準はPE(−eee−)シグナルであり29.9ppmとした。
固体触媒成分[A]の調製
(担体(A−1)の合成)
充分に窒素置換された8リットルステンレス製オートクレーブに2モル/リットルのヒドロキシトリクロロシランヘキサン溶液1460ミリリットルを仕込み、80℃で攪拌しながら組成式AlMg5(C4H9)11(OC4H9)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液3730ミリリットル(マグネシウム2.68モル相当)を4時間かけて滴下し、さらに80℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、2600ミリリットルのヘキサンで4回洗浄することにより担体(A−1)を調整した。この担体を分析した結果、担体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.43ミリモルであった。
(固体触媒成分[A]の調製)
上記担体(A−1)160gを含有するヘキサンスラリー2880ミリリットルに20℃で攪拌しながら(A−2)として1モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液160ミリリットルと(A−3)として1モル/リットルの組成式AlMg5(C4H9)11(OSiH(C2H5)2)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液160ミリリットルとを同時に1時間かけて添加した。添加後、20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1600ミリリットル除去し、ヘキサン1600ミリリットルで2回洗浄することにより、固体触媒成分[A]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は0.98ミリモルであった。
固体触媒成分[C]の調製
充分に窒素置換された8リットルステンレス製オートクレーブにヘキサン1600ミリリットルを添加した。20℃で攪拌しながら(A−2)として1モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液800ミリリットルと(A−3)として1モル/リットルの組成式AlMg5(C4H9)11(OSiH(C2H5)2)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液800ミリリットルとを同時に1時間かけて添加した。添加後、ゆっくりと昇温し、20℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1600ミリリットル除去し、ヘキサン1600ミリリットルで2回洗浄することにより、固体触媒成分[C]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は3.61ミリモルであった。
成分[B]の有機アルミニウム化合物として、イソブチルアルミニウムハイドライド0.4ミリモルを脱水脱酸素したヘキサン0.8リットルと1−ブテン2.5ミリリットルとともに、内部を真空脱気し窒素置換した内容積1.5リットルのオートクレーブに入れた。次いで、オートクレーブの内部を70℃に保ち、次いで、固体触媒成分[A]10mgを添加した。この後、エチレンを添加して全圧を0.2MPaとすることにより重合を開始した。エチレンを連続的に補給することにより全圧を0.2MPaに保ちつつ、70℃で60分間重合を行った。重合スラリーを抜き出しメタノールで脱活し、濾過後90℃で1時間乾燥させた。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は180gで、触媒1gあたりの重合活性は18000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは14.5dl/g、このηから求めたMvは290万であった。透明性の指標となるヘイズyは70%で、非常に透明性に優れていた。xは0.3モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyは上記の数式(1)を満たしていた。
固体触媒成分として、固体触媒成分[C]を10mg用いた以外は実施例1と同様に重合を行った。この重合により得られた超高分子量エチレン共重合体のポリマーの収量は300g、触媒1gあたりの重合活性は30000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは12.8dl/g、このηから求めたMvは240万であった。透明性の指標となるヘイズは77%で、実施例1に比べると透明性に劣っていた。xは0.3モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとはyは上記の数式(1)を満たしていなかった。
1−ブテンの量を5ミリリットルとした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は200gで、触媒1gあたりの重合活性は20000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは14.0dl/g、このηから求めたMvは270万であった。透明性の指標となるヘイズyは66%で、xは0.4モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyは上記の数式(2)および数式(3)を満たしていた。
1−ブテンの量を10ミリリットルとした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は250gで、触媒1gあたりの重合活性は25000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは13.6dl/g、このηから求めたMvは260万であった。透明性の指標となるヘイズyは56%で、xは0.6モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(2)および数式(3)を満たしていた。
1−ブテンの量を20ミリリットルとした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は300gで、触媒1gあたりの重合活性は30000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは12.0dl/g、このηから求めたMvは220万であった。透明性の指標となるヘイズyは52%で、xは0.8モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(2)および数式(3)を満たしていた。
重合温度を60℃とした以外は、実施例3と同様な方法で重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は200gで、触媒1gあたりの重合活性は20000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは14.0dl/g、このηから求めたMvは270万であった。透明性の指標となるヘイズyは60%で、xは0.6モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(2)および数式(3)を満たしていた。
重合温度を50℃、1−ブテンの量を25ミリリットルとした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は150gで、触媒1gあたりの重合活性は15000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは12.4dl/g、このηから求めたMvは230万であった。透明性の指標となるヘイズyは67%で、xは0.8モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(2)を満たしていた。
重合温度を75℃、1−ブテンの量を25ミリリットルとした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は150gで、触媒1gあたりの重合活性は34000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは9.8dl/g、このηから求めたMvは160万であった。透明性の指標となるヘイズyは46%で、xは0.9モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(2)および数式(3)を満たしていた。
重合温度を80℃、1−ブテンの量を4ミリリットルとした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は150gで、触媒1gあたりの重合活性は29000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは11.2dl/g、このηから求めたMvは195万であった。透明性の指標となるヘイズyは47%で、xは0.4モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(2)および数式(3)を満たしていた。
重合温度を80℃、1−ブテンの量を1.5ミリリットルとした以外は、実施例1と同様な方法で重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン系共重合体のポリマー収量は150gで、触媒1gあたりの重合活性は24000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは11.9dl/g、このηから求めたMvは214万であった。透明性の指標となるヘイズyは67%で、xは0.2モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(1)を満たしていた。
実施例2の固体触媒成分[A]の替わりに固体触媒[C]を10mg用いた以外は実施例2と同様に重合を行った。超高分子量エチレン共重合体のポリマーの収量は300g、触媒1gあたりの重合活性は30000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは12.0dl/g、このηから求めたMvは220万であった。透明性の指標となるヘイズは74%で、xは0.6モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(2)を満たしていなかった。
実施例3の固体触媒成分[A]の替わりに固体触媒[C]を10mg用いた以外は実施例3と同様に重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン共重合体のポリマーの収量は300g、触媒1gあたりの重合活性は30000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは10.0dl/g、このηから求めたMvは165万であった。透明性の指標となるヘイズは73%で、xは0.8モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyとは上記の数式(2)を満たしていなかった。
1−ブテンを使用しなかったこと以外は実施例1と同様に重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン単独重合体のポリマーの収量は110g、触媒1gあたりの重合活性は11000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは17.1dl/g、このηから求めたMvは370万であった。透明性の指標となるヘイズは88%で、xは0モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。
1−ブテンを使用しなかったこと以外は比較例1と同様に重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン単独重合体のポリマーの収量は170g、触媒1gあたりの重合活性は17000g/g−触媒であった。デカリン(135℃)中におけるηは15.3dl/g、このηから求めたMvは310万であった。透明性の指標となるヘイズは88%で、xは0モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。
重合温度を85℃とした以外は実施例9と同様に重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン単独重合体のポリマーには一部凝集ポリマーが見られた。この凝集ポリマーは、連続安定生産において支障をきたす事が予想される。収量は250g、触媒1gあたりの重合活性は25000g/g−触媒であった。凝集ポリマーを除いたポリマーのデカリン(135℃)中におけるηは10.5dl/g、このηから求めたMvは178万であった。透明性の指標となるヘイズは52%で、xは0.3モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyは上記の数式(1)を満たしていなかった。
重合温度を85℃とした以外は実施例2と同様に重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン単独重合体のポリマーには一部塊状のポリマーが観察された。この塊状のポリマーは、連続安定生産において支障をきたす事が予想される。収量は270g、触媒1gあたりの重合活性は17000g/g−触媒であった。塊状のポリマーを除いたポリマーのデカリン(135℃)中におけるηは10.0dl/g、このηから求めたMvは165万であった。透明性の指標となるヘイズは42%で、xは0.6モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyは上記の数式(2)を満たしていなかった。
重合温度を85℃とした以外は実施例3と同様に重合を行った。こうして得られた超高分子量エチレン単独重合体のポリマーには塊状のポリマーが多く観察された。この塊状のポリマーは、連続安定生産において支障をきたす事が予想される。収量は320g、触媒1gあたりの重合活性は32000g/g−触媒であった。塊状のポリマーを除いたポリマーのデカリン(135℃)中におけるηは9.0dl/g、このηから求めたMvは141万であった。透明性の指標となるヘイズは40%で、xは0.8モル%であった。その他の値も含めて表1に示す。このxとyは上記の数式(2)を満たしていなかった。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物と下記一般式(2)で表される塩素化剤との反応により調製された担体(A−1)に下記一般式(3)で表されるチタン化合物(A−2)及び下記一般式(4)で表される有機金属化合物(A−3)を担持することにより製造される固体触媒成分[A]、および下記一般式(5)で表される有機マグネシウム化合物、または下記一般式(6)で表される有機アルミニウム化合物である成分[B]からなるオレフィン重合用触媒;
(Al)α(Mg)β(R 1 ) a (R 2 ) b (OR 3 ) c ・・・式(1)
(式中、R 1 、R 2 およびR 3 は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、bおよびcは次の関係を満たす実数である。0<α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(ここで、kはAlの原子価))
H d SiCl e R 4 (4-(d+e)) ・・・式(2)
(式中、R 4 は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dおよびeは次の関係を満たす実数である。0<d、0<e、0<d+e≦4)
Ti(OR 5 ) f X 1 (4-f) ・・・式(3)
(式中、fは0以上4以下の実数であり、R 5 は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X 1 はハロゲン原子である。)
(Al)γ(Mg)ε(R 6 ) h (R 7 ) i Y j ・・・式(4)
(式中、R 6 およびR 7 は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Yはアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、−N=C−R 8 R 9 、−SR 10 (ここで、R 8 、R 9 およびR 10 は炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す)、β−ケト酸残基であり、γ、ε、h、iおよびjは次の関係を満たす実数である。0<γ、0<ε、0≦h、0≦i、0<h+i、0≦j/(γ+ε)≦2、nγ+2ε=h+i+j(ここで、nはAlの原子価))
(Al)κ(Mg)λ(R 11 ) p (R 12 ) q (OR 13 ) r ・・・式(5)
(式中、R 11 、R 12 およびR 13 は、各々独立して、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、κ、λ、p、qおよびrは次の関係を満たす数である。0<κ、0<λ、0≦p、0≦q、0≦r、0<p+q、0≦r/(κ+λ)≦2、kκ+2λ=p+q+r(ここで、kはAlの原子価))
AlR 14 s X 2 3-s ・・・式(6)
(式中、R 14 は、各々独立して、炭素数1以上12以下の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6以上20以下のアリール基を表し、X 2 は、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1以上10以下のアルコキシド基を表し、sは1以上3以下の実数である。)
を用い、
エチレンと炭素原子数が3以上8以下のα−オレフィンとを含む単量体混合物を共重合して得られる、粘度平均分子量(Mv)が100万以上の超高分子量エチレン系共重合体であって、
(1)エチレンと炭素数3以上8以下のα−オレフィンとに由来する合計の重合単位を基準として、α−オレフィンに由来する重合単位の含有率が0.01モル%以上1モル%未満であり、
(2)エチレンと炭素数3以上8以下のα−オレフィンとに由来する合計の重合単位を基準として、α−オレフィンに由来する重合単位の含有率{x(モル%)}と共重合体の透明性の指標であるヘイズ{y(%)}との関係が、xが0.01モル%以上0.4モル%未満の範囲では下記数式(1)を、xが0.4モル%以上1.0モル%未満の範囲では下記数式(2)を満たすことを特徴とする、超高分子量エチレン系共重合体。
−107.5x+87≦y≦−43x+89 ・・・・数式(1)
44≦y≦71.8 ・・・・数式(2) - xとyとの関係が、xが0.4モル%以上1.0モル%未満の範囲では下記数式(3)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の超高分子量エチレン系共重合体。
44≦y≦−43x+89 ・・・・数式(3)
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