JP5804557B2 - アルカリ金属−硫黄系二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム−硫黄電池等の正極又は負極に硫黄を用いた二次電池に関する。
近年、携帯電話端末の普及や、環境問題に対応した電気自動車やハイブリッド電気自動車の研究開発に伴い、高容量の二次電池が要望されている。このような二次電池としては、既にリチウムイオン二次電池が広く普及しているが、車載用に安全性を確保するため、電解液として難燃性のグライム類を用いる技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。又、リチウム二次電池の電解液として、グライムに対するLi塩の混合比をモル換算で0.70〜1.25に調製したものを用い、これらの一部に錯体を形成させて電気化学的安定性を向上させた技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、リチウム二次電池よりさらに高容量の二次電池として、リチウム−硫黄電池が着目されている(例えば、特許文献2,3参照)。硫黄は理論容量が1670mAh/g程度であり、リチウム電池の正極活物質であるLiCoO(約140mAh/g)より理論容量が10倍程度高いと共に、低コストで資源が豊富であるという利点がある。
そして、リチウム−硫黄電池において、テトラグライムに対するLi塩(LiCFSO)の混合比を、モル換算で約0.12〜0.25(LiCFSOが0.5〜1mol/L)に調製した電解液を用いる技術が提案されている(例えば、非特許文献2,3参照)。
特開2010−73489号公報 特表2008−527662号公報 特許第3842275号公報
数永ら、「グライムーLiTFSI溶融錯体を用いたリチウム二次電池の検討」、電池討論会講演要旨集、Vol.47、p496-497、2006年 Jae-Won Choi et "Rechargeable lithium/sulfur battery with liquid electrolytes containing toluene as additive", Journal of Power Sources, 183, p441-445, 2008 Sang-Eun Cheon et "Rechargeable Lithium Sulfur Battery", Journal of the Electrochemical Society, 150(6), A796-799, 2003
しかしながら、本発明者が検討したところ、リチウム−硫黄電池において、テトラグライムとLi塩とを電解液として用いた場合、充放電時に副反応が生じてクーロン効率(放電容量/充電容量)が低下すると共に、充放電の繰り返しによって放電容量が大幅に低下し、電池寿命が短いことが判明した。この副反応は、充放電時に生成するリチウムポリスルフィド(Li2Sn; 2 < n < 8) の電解液への溶出であると考えられる。
従って、本発明の目的は、充放電時の副反応を抑制してクーロン効率を向上させると共に、充放電の繰り返しによる放電容量の低下を抑制し、電池寿命の長いアルカリ金属−硫黄系二次電池を提供することにある。
本発明のアルカリ金属−硫黄系二次電池は、単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質を有する正極又は負極と、
下記式
(ここで、Rは、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基のいずれかであり、xは1〜6である)で表されるグライムとアルカリ金属塩とを含電解液と、
前記正極又は負極の対極であって、前記アルカリ金属、前記アルカリ金属を含む合金、又は炭素を有する対極と、を備えるアルカリ金属−硫黄系二次電池であって、
前記グライムに対する前記アルカリ金属塩の混合比が、モル換算で0.50以上、2.0以下であり、前記グライムと前記アルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成している
前記アルカリ金属塩がMXで表され、ここで、Mはアルカリ金属、Xは、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、ClO、CFCO、AsF、SbF、AlCl、N(CFSO、N(CFCFSO、PF(C、N(FSO、N(FSO)(CFSO)、N(CFCFSO、N(C)、N(C)、N(CN)、N(CFSO)(CFCO)、RFBF(但し、RF=n-C2m+1、m=1〜4の自然数)およびRBF(但し、R=n−C2p+1、p=1〜5の自然数)からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
前記正極又は負極は、前記硫黄系電極活物質と結着剤と導電剤とを含むことが好ましい。
本発明によれば、充放電時の副反応を抑制してクーロン効率を向上させると共に、充放電の繰り返しによる放電容量の低下を抑制し、電池寿命の長いアルカリ金属−硫黄系二次電池を得ることができる。
リチウム−硫黄電池50の構成例を示す断面図である。 G4を用い、混合比を1.00とした電解液を有する二次電池の2サイクル目の充放電曲線、及び充放電容量の充放電サイクル依存性を示す図である。 G4を用い、混合比を0.25とした電解液を有する二次電池の2サイクル目の充放電曲線、及び充放電容量の充放電サイクル依存性を示す図である。 G4を用いた電解液を有する二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性、及び10サイクル目のクーロン効率と混合比との関係を示す図である。 G4を用いた電解液を有する二次電池の放電容量維持率の充放電サイクル依存性、及び10サイクル目の放電容量維持率と混合比との関係を示す図である。 G3を用いた電解液を有する二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性、及び10サイクル目のクーロン効率と混合比との関係を示す図である。 G3を用いた電解液を有する二次電池の放電容量維持率の充放電サイクル依存性、及び10サイクル目の放電容量維持率と混合比との関係を示す図である。 G4Etを用いた電解液を有する二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性を示す図である。 G4Etを用いた電解液(を有する二次電池の放電容量維持率の充放電サイクル依存性を示す図である。 トリグライムとアルカリ金属塩(LiTFSA)を含む電解液の熱重量測定の結果を示す図である。 テトラグライムとアルカリ金属塩(LiTFSA)を含む電解液の熱重量測定の結果を示す図である。 グライムとしてG3を用い、混合物をLi2S8としたときの溶解度と、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)との関係を示す図である。 グライムとしてG4を用い、混合物をLi2S8としたときの溶解度と、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明に係るアルカリ金属−硫黄系二次電池は、硫黄系電極活物質を有する正極又は負極と、下記のグライムとアルカリ金属塩とを含む電解液と、この正極又は負極の対極とを備える。
なお、本発明に係るアルカリ金属−硫黄系二次電池としては、正極が硫黄系電極活物質を有する電池であるリチウム−硫黄電池、ナトリウム−硫黄電池;負極が硫黄系電極活物質を有する電池である硫黄−LiCoO2電池、硫黄−LiMn2O4電池が例示されるがこれらに限られない。
本発明に係るアルカリ金属−硫黄系二次電池は、例えば、上記した正極又は負極と対極とをセパレータを介して離間して配置し、セパレータ内に電解液を含ませてセルを構成し、このセルを複数個積層又は巻回してケースに収容した構造になっている。正極又は負極と、対極との集電体は、それぞれケース外部に引き出され、タブ(端子)に電気的に接続される。なお、電解液をゲル電解質としてもよい。
アルカリ金属−硫黄系二次電池は、従来公知の方法で製造することができる。
<硫黄系電極活物質を有する正極又は負極>
正極又は負極は、単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質を有する。硫黄系金属硫化物としては、リチウム多硫化物;Li2Sx(0<x≦8)が挙げられ、硫黄系金属多硫化物としては、MSx (M=Ni,Cu,Fe、0<x≦2) が挙げられる。又、有機硫黄化合物としては、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物が挙げられる。
上記した正極又は負極は、上記した硫黄系電極活物質と結着剤と導電剤とを含んでもよい。そして、これら電極材料のスラリー(ペースト)を、導電性の担体(集電体)に塗布して乾燥することにより、電極材料を担体に担持させて正極又は負極を製造することができる。集電体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの導電性の金属を、箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタルなどに形成したものが挙げられる。また、導電性を有する樹脂または導電性フィラーを含有させた樹脂を集電体として使用してもよい。集電体の厚さは、例えば5〜30μmであるが、この範囲に限定されない。
上記した電極材料(硫黄系電極活物質と他の成分との合計量、集電体を除く)のうち、硫黄系電極活物質の含有量は、好ましくは50〜98質量%であり、より好ましくは80〜98質量%である。活物質の含有量が前記範囲であれば、エネルギー密度を高くすることができるため好適である。
電極材料の厚さ(塗布層の片面の厚さ)は、好ましくは、20〜500μmであり、より好ましくは20〜300μmであり、さらに好ましくは20〜150μmである。
結着剤としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、エチレンオキシド若しくは一置換エポキサイドの開環重合物などのポリアルキレンオキサイド、またはこれらの混合物が挙げられる。
導電剤は、導電性を向上させるために配合される添加物であり、黒鉛、ケッチェンブラック、逆オパール炭素、アセチレンブラックなどのカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF)などの種々の炭素繊維などが挙げられる。又、電極材料が支持塩(下記電解液に含まれる成分)を含んでもよい。
<対極>
正極が上記した硫黄系電極活物質を有する場合、その対極となる負極としては、リチウム、ナトリウム、リチウム合金、ナトリウム合金、リチウム/ 不活性硫黄の複合物からなる群から選択される1又は2以上の負極活物質を含む。負極に含まれる負極活物質は、アルカリ金属イオンを吸蔵脱離するよう作用する。負極活物質としては、リチウム、ナトリウム、炭素、ケイ素、アルミニウム、スズ、アンチモンおよびマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。より具体的には、チタン酸リチウム、リチウム金属、ナトリウム金属、リチウムアルミ合金、ナトリウムアルミ合金、リチウムスズ合金、ナトリウムスズ合金、リチウムケイ素合金、ナトリウムケイ素合金、リチウムアンチモン合金、ナトリウムアンチモン合金等の金属材料、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボンなどの結晶性炭素材や非結晶性炭素材等の炭素材料といった従来公知の負極材料を用いることができる。このうち、容量、出力特性に優れた電池を構成できることから、炭素材料もしくはリチウム、リチウム遷移金属複合酸化物を用いるのが望ましい。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。
負極が上記した硫黄系電極活物質を有する場合、その対極となる正極としては、アルカリ金属イオンを吸蔵脱離する正極活物質を含むものを用いることができる。正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物やLiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物が挙げられる。より具体的には、LiMn、LiCoO、LiNiO、LiFePO、LiCo0.5Ni0.5、LiNi0.7Co0.2Mn0.1が好ましく挙げられる。またリチウム以外にも、アルカリ金属イオンを電気化学的に挿入、脱離する物質であれば、制限なく用いることができ、例えば、ナトリウムなどが挙げられる。2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
対極も、上記した活物質と結着剤と導電剤とを含んでもよい。そして、これら電極材料を、導電性の担体(集電体)に担持して対極を製造することができる。集電体としては上記と同様のものを使用できる。
正極と負極の間にはセパレータが配置されている。セパレータとしては、例えば、後述する電解液を吸収保持するガラス製セパレータ、ポリマーからなる多孔性シートおよび不織布を挙げることができる。多孔性シートは、例えば、微多孔質のポリマーで構成される。このような多孔性シートを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミド、アラミドが挙げられる。特にポリオレフィン系微多孔質セパレータは、有機溶媒に対して化学的に安定であるという性質があり、電解液との反応性を低く抑えることができることから好ましい。多孔性シートからなるセパレータの厚みは限定されないが、車両のモータ駆動用二次電池の用途においては、単層又は多層で全体の厚み4〜60μmであることが好ましい。また、多孔性シートからなるセパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、10nm程度)、空孔率は20〜80%であることが好ましい。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン(登録商標)、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大する場合がある。
<電解液>
電解液は、下記式
(ここで、Rは、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基のいずれかであり、xは1〜6である)で表されるグライムと、アルカリ金属塩とを含み、グライムとアルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成している。
電解液に用いるグライムは、一種が単独で使用されても、二種以上の混合物の形態で使用されてもよい。式中のxは、エチレンオキシド単位の繰り返し数を表わす。xが1〜6であるグライムを使用することにより、電解液の熱安定性、イオン伝導性、電気化学的安定性をより向上でき、高電圧に耐え得る電解液となる。xは1〜5が好ましく、より好ましくは2〜5、最も好ましくは3または4である。
グライムの種類によっても電解液の酸化電位は変化する。そのため、二次電池に適用することを考慮すると、酸化電位が3.5〜5.3V vs Li/Li+になるように混合比等を調整することが好ましい。酸化電位はより好ましくは4.0〜5.3Vvs Li/Li+である。
上記式中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、任意の位置がフッ素で置換されていてもよい。アルキル基の炭素数が9を超えると、グライムの極性が弱くなるため、アルカリ金属塩の溶解性が低下する傾向がある。そのため、アルキル基の炭素数は少ない方が好ましく、好ましくはメチル基およびエチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基としては、特に制限はないが、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2,4−ヨードフェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基としては、特に制限はないが、2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、4−ブロモシクロヘキシル基、2,4−ジブロモシクロヘキシル基、2−ヨードシクロヘキシル基、3−ヨードシクロヘキシル基、4−ヨードシクロヘキシル基、2,4−ジヨードシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記したアルカリ金属塩はMXで表され、Mはアルカリ金属、Xは対の陰イオンとなる物質である。上記アルカリ金属塩は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を混合物の形態で使用してもよい。
Mとしては特に制限はなく、通常の電池に支持塩や活物質として使用されているアルカリ金属がいずれも使用可能である。具体的には、Li、Na、K、RbおよびCsが挙げられる。より好ましくはLi、NaおよびKであり、汎用性の点から最も好ましくはLiである。
Xとしては、特に制限はないが、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、ClO、CFCO、AsF、SbF、AlCl、N(CFSO、N(CFCFSO、PF(C、N(FSO、N(FSO)(CFSO)、N(CFCFSO、N(C)、N(C)、N(CN)、N(CFSO)(CFCO)、RFBF(但し、RF=n-C2m+1、m=1〜4の自然数、nはノルマル)およびRBF(但し、R=n−C2p+1、p=1〜5の自然数、nはノルマル)からなる群から選ばれる少なくとも一種であると好ましい。グライムに対する溶解性や、錯構造の形成しやすさの点から、より好ましくはN(CFSO、N(FSO、およびN(CFCFSOである。
電解液には、上記のグライムおよびアルカリ金属塩の他に、有機溶媒等の任意の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート類、およびこれらのフッ素化物、イオン液体などのオニウム塩が例示される。しかしながら、添加剤は、グライムとアルカリ金属塩との錯体形成を妨げないようにするため、電解液全体に対して50質量%以下であることが好ましい。また、添加剤の種類としては、錯体形成に過度の影響を与えることのないように、グライムよりもドナー数の低いものを加えることが好ましい。
上記したグライムとアルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成していることは、これらを混合した電解液の熱重量測定で判定することができる。つまり、錯形成しているグライムは、錯形成していないグライムに比べて揮発しにくい。このため、グライムのみからなる電解液の熱重量測定による重量減少をベースとし、温度による重量減少がこのベースより少ない電解液は、グライムとアルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成しているとみなす。
図10、図11は、それぞれグライムとしてトリグライム(G3)及びテトラグライム(G4)を用い、アルカリ金属塩として後述するLiTFSAを用いた電解液の熱重量測定の結果(温度上昇と重量減少の関係)のグラフを示す。なお、各グライムとLiTFSAの混合比(モル換算)を変えた電解液を調製し、電解液の温度を室温から550oCまで、10 oC min-1の昇温速度で上昇させて熱重量測定を行った。又、測定装置として、示唆熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツル社製のTG/DTA 6200)を用いた。
なお、図10のLiTFSA/G3=1は、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)が1であることを示す。又、図10のG3の示す曲線は、トリグライムのみからなる電解液の熱重量測定を示す。
図11のように、重量減少の過程は、以下の(1)-(3)の3段階で進行することがわかる。
(1)100〜200oCまでの重量減少は、錯形成していないグライムの蒸発に由来する
(2)200〜400oCまでの重量減少は、錯形成しているグライムの蒸発に由来する
(3)400oC以上での重量減少は、アルカリ金属塩(LiTFSA)の熱分解に由来する
従って、上記 (2)のプロセスが熱重量測定の結果から確認できる場合、グライムが錯形成していると考えることができる。
なお、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)が1より大きい系では、すべてのグライムが錯体を形成しているため、(1)のプロセスがなく、200oC以上から重量減少が始まることがわかる。
電解液をゲル状のゲル電解質としてもよい。ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、電解液が注入されてなる構成を有する。電解液は、上記の本発明の電解液を使用する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(VDF−HEP)の共重合体、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)およびこれらの共重合体等が挙げられる。ポリアルキレンオキシド系高分子には、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
本発明において、上記グライムに対する上記アルカリ金属塩の混合比が、モル換算で0.50以上、上記グライム中の上記アルカリ金属塩の飽和濃度で決まる値以下であることが必要である。
上記した非特許文献2,3に記載されているように、従来、リチウム−硫黄電池において、テトラグライムに対するLi塩(LiCFSO)の混合比を、モル換算で0.25以下(LiCFSOが1mol/ L以下)に調製した電解液を用いることが知られている。ところが、本発明者が検討したところ、このようなリチウム−硫黄電池の充放電を繰り返すと、充電時に副反応が生じてクーロン効率(放電容量/充電容量)が低下すると共に、充放電の繰り返しによって放電容量が大幅に低下し、電池寿命が短いことが判明した。
図4は、グライム(G4)に対するLi塩(LiCFSO)の混合比とクーロン効率との関係を示し、図5は、グライム(G4)に対するLi塩(LiCFSO)の混合比と放電容量維持率との関係を示す実験結果(後述)である。
上記混合比が0.50以上であると、充電時の副反応が抑制されクーロン効率が95%以上に向上すると共に、充放電の繰り返しによる放電容量の低下が抑制され放電容量維持率が向上し、電池寿命が長くなる。なお、上記混合比が高いほど、クーロン効率及び放電容量維持率が向上するが、混合比が上記グライム中の上記アルカリ金属塩の飽和濃度で決まる値を超えて高くなるとアルカリ金属塩がグライムに溶解しなくなる。
以上のことより、上記混合比をモル換算で0.50以上、上記グライム中の上記アルカリ金属塩の飽和濃度で決まる値以下に規定する。
なお、グライム中のアルカリ金属塩の飽和濃度は、30℃のグライムにアルカリ金属塩を溶解させたとき、アルカリ金属塩の固形分が目視で確認できたときの濃度とする。
グライムとしてG3(トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライムともいう)を用い、アルカリ金属塩をLi塩とした場合、G3中のLi塩の飽和濃度によって決まる上記混合比は、モル換算で1.67である。
グライムとしてG4を用い、アルカリ金属塩をLi塩とした場合、G4中のLi塩の飽和濃度によって決まる上記混合比は、モル換算で2.00である。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、%は質量%を示す。
<電解液の調製>
グライムとして、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライムともいう、以下「G3」と称する)(キシダ化学社製)、及びテトラグライム(以下「G4」と称する)(キシダ化学社製)をそれぞれ用いた。なお、以下の式2に示すG4Et(G4の側鎖の1つをエチル基に変えたグライム)(日本乳化剤社製)も一部に用いた。
又、アルカリ金属塩として、以下の式3で示すリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド (以下「LiTFSA」と称する) (森田化学工業社製)を用いた。
G3又はG4(G4Et含む)と、LiTFSAとをアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で所定の混合比(モル換算;図2〜図9、及び表1に示すように、混合比(LiTFSA)/(G3又はG4)=0.125、0.250、0.500、0.670、0.830、1.00、1.20、2.00、2.50、3.33(モル換算)で混合し、電解液を調製した。
<リチウム−硫黄電池の作製>
単体硫黄(S)を硫黄系電極活物質とし、単体硫黄を60 wt%、導電剤としてケッチェンブラックを30 wt%、結着剤としてPVDF (ポリフッ化ビニリデン)を10 wt%の割合で混合し、正極の電極材料2a(図1参照)を調製した。まず、単体硫黄とケッチェンブラックを混合後、155 oCで加熱することで単体硫黄とケッチェンブラックを複合化した。この混合物にPVDFを加え、さらに適量のNMP (N-メチルピロリドン)を加えスラリー状に混錬した。得られたスラリーを厚さ10μmのアルミニウム箔(集電体)2bに塗布した後、80oCで12時間乾燥してNMPを蒸発させた後、プレスして正極2(図1参照)を得た。厚さ200μmのリチウム金属板を厚さ7mmのステンレスディスクに貼り付けて負極を作製した。
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、正極2に上記電解液を適量加え、60℃で60分間、電解液を正極2に浸漬させた。正極2と負極(対極)4とを、セパレータ6(厚さ200μmの東洋濾紙社製のガラス製セパレータ(商品名GA-55))を介して積層し、さらに上記電解液を注入した後、2032型のコインセルケース20(SUS304製の厚さ7mm)に封入し、負極(対極)4の上にスペーサ12を載置した。スペーサ12の上にスプリング14を配置した。スプリング14の上から蓋22でコインセルケース20を封止し、図1に示す構造のリチウム−硫黄電池50を作製した。なお、コインセルケース20の側壁にはガスケット10が介装されている。
<評価>
(1)充放電試験
上記のようにして得られた二次電池について、充放電試験を行い、放電容量を求めた。充放電評価は、電流密度を1/12 C (12 時間率、電極活物質の理論容量をn (時間) で放電または充電する電流値を1/n のC レートと表す)として定電流充電し、充放電電圧は1.5−3.3Vの範囲として実施した。同様に、放電条件を1/12 Cとした。評価は、30℃一定に保持された恒温槽中で実施した。
なお、正極(硫黄電極)は充電状態で作製されるため、充放電サイクルの第1サイクルは放電過程のみ進行し、第2サイクル目以降は充電と放電過程が進行する。したがって、充放電の順序は、第1サイクルの放電→第2サイクルの充電→第2サイクルの放電→第3サイクルの充電→第3サイクルの放電となる。充放電サイクルは20サイクル行った。
得られた充電容量と放電容量(mAh/g:gは単体硫黄の質量当り)から、充放電サイクルの各サイクルで、クーロン効率(%)=放電容量/充電容量を求めた。クーロン効率は、充電した電気量を放電でどれだけ取りだせるかを示す値であり、値が100(%)に近いほど良い。
又、放電容量維持率(%)=nサイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量を求めた。放電容量維持率は、充放電の繰り返しの安定性を示す値であり、値が100(%)に近いほど良い。
(2)G3又はG4へのLiTFSAの溶解試験
G3につき混合比1.43,1.67、2.00(モル換算)とし、G4につき混合比2.00、2.50、3.33(モル換算)として電解液を調製し、LiTFSAの30℃での溶解性を目視した。LiTFSAの固形分が目視された場合、LiTFSAが不溶であり、実用に適さないと判定した。
得られた結果を表1、表2及び図2〜図9に示す。
表1、表2に示すように、G3の場合は電解液の混合比が1.67を超え、G4の場合は電解液の混合比が2.00を超えると、LiTFSAがグライムに不溶となり、電池を作製することができなかった。
図2は、G4を用い、混合比を1.00とした電解液を有する二次電池の2サイクル目の充放電曲線(充放電容量とセル電圧との関係)(図2(a))、及び充放電容量の充放電サイクル依存性(図2(b))を示す。又、図3は、G4を用い、混合比を0.25とした電解液を有する二次電池の2サイクル目の充放電曲線(図3(a))、充放電容量の充放電サイクル依存性(図3(b))を示す。
図2、図3から、混合比が0.50未満になると、充電時の副反応が生じると共に、充放電の繰り返しにより放電容量が低下することがわかる。
図4は、G4を用いた電解液を有する二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性(図4(a))、及び10サイクル目のクーロン効率と混合比との関係(図4(b))を示す。図4より、混合比が0.50未満になるとクーロン効率が95%未満に低下し、さらにサイクル数の増加によりクーロン効率が大きく低下することがわかる。
一方、混合比が0.50以上になると、充電時の副反応を抑制してクーロン効率が向上する。
図5は、G4を用いた電解液を有する二次電池の放電容量維持率の充放電サイクル依存性(図5(a))、及び10サイクル目の放電容量維持率と混合比との関係(図5(b))を示す。図5(a)より、混合比が0.50未満になると放電容量維持率が低下し、さらにサイクル数の増加により放電容量維持率が大きく低下することがわかる。
一方、混合比が0.50以上になると、充放電の繰り返しによる放電容量の低下を抑制して放電容量維持率が向上し、電池寿命が長くなることがわかった。特に、混合比が0.50以上になると、10サイクル目の放電容量維持率が85%以上となった。
なお、図4、図5より、混合比が高いほど、クーロン効率及び放電容量維持率が向上する。従って、混合比の上限は、上記した表1、表2の溶解性によって決められることになる。
図6は、G3を用いた電解液を有する二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性(図6(a))、及び10サイクル目のクーロン効率と混合比との関係(図6(b))を示す。図6より、混合比が0.50未満になるとクーロン効率が70%未満に低下し、さらにサイクル数の増加によりクーロン効率が大きく低下することがわかる。
一方、混合比が0.50以上になると、充電時の副反応を抑制してクーロン効率が70%以上に向上する。
図7は、G3を用いた電解液を有する二次電池の放電容量維持率の充放電サイクル依存性(図7(a))、及び10サイクル目の放電容量維持率と混合比との関係(図7(b))を示す。図7(a)より、混合比が0.50未満になると放電容量維持率が低下し、さらにサイクル数の増加により放電容量維持率が大きく低下する(10サイクルの手前で放電容量維持率が50%以下)ことがわかる。
一方、混合比が0.50以上になると、充放電の繰り返しによる放電容量の低下を抑制して放電容量維持率が向上し、電池寿命が長くなることがわかった。特に、混合比が0.50以上になると、10サイクル目の放電容量維持率が80%以上となった。
図8は、G4Etを用いた電解液(混合比が1.00)を有する二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性を示す。図8より、G4Etを用いても、充電時の副反応を抑制してクーロン効率が90%以上に向上する。
図9は、G4Etを用いた電解液(混合比が1.00)を有する二次電池の放電容量維持率の充放電サイクル依存性を示す。図9より、G4Etを用いても、充放電の繰り返しによる放電容量の低下を抑制して放電容量維持率が向上し、電池寿命が長くなることがわかった。特に、10サイクル目の放電容量維持率が90%以上となった。
<副反応(リチウムポリスルフィドの電解液への溶出)の評価試験>
次に、充放電時の副反応として生成する、リチウムポリスルフィド(Li2Sn; 2 < n < 8) の電解液への溶出を評価した。硫黄系電極活物質を用いた場合の放電反応は、S8がLi2Sまで還元され、その還元反応過程は多段階となっていて、リチウムポリスルフィド(Li2Sn; 2 < n < 8,nは自然数)と呼ばれるLi2S8, Li2S4, Li2S2 の化学種を経由する。これらの化学種のうち、いずれかの化学種の電解液への溶解度が高いと、電極からLi2Snが溶出し、Li2Sn が電池反応に関与できなくなるために放電容量の低下につながる。これは、電池反応は電極上でしか起こらないためである。
そこで、Li2Snを人工的に作製して過剰量を電解液に加え、所定時間経過後のLi2Snの溶解度を算出した。具体的には、S8とLi2S(いずれも粉末)を様々なモル比で混合したものを電解液に添加すると、次式:
Li2S+(n-1)/8 S8= Li2Sn
の反応によりLi2Snが生成する。
実験方法は以下の通りである。
まず、S8(和光純薬工業社製の粉末)と、Li2S (Aldrich社製の粉末)を表3に示すモル比で乳鉢で混合し、その過剰量を電解液に添加した。電解液は、それぞれグライムとしてG3及びG4を用い、アルカリ金属塩としてLiTFSAを用い、グライムとアルカリ金属塩の混合比(モル換算)を表3に示すとおりとした。
次に、混合物を添加した電解液を60℃、100時間撹拌し、さらに室温で48時間静置した後に遠心分離し、上澄み溶液を飽和Li2Sn溶液として採取した。この飽和Li2Sn溶液を電気化学的にすべてS8に酸化させ、S8の紫外可視吸収スペクトルから、全S濃度として溶解度を算出した。
飽和Li2Sn溶液の電気化学的酸化は、作用極室と対極室をガラスフィルターで仕切った2室のH型セルを用い、作用極にはカーボンフェルトを用い、参照極/対極にはリチウム金属を用いた。測定溶液としては、飽和Li2Sn溶液に適量のグライムとLiTFSAを加えたものを用いた。そして、作用極室を撹拌しながら、3.0Vの定電圧で12時間保持し、Li2SnをS8に酸化した。
表3、表4にG3,G4についてそれぞれ得られた結果を示す。なお、例えば、S8とLi2Sを3:8の比で混合した混合物は、主にLi2S4を生成すると想定されるが、この他にLi2S8やLi2S2なども含むと考えられる。しかしながら、本実験では、(LiTFSA/グライム)の混合比に対する、各種のLi2Snの溶解度の相対的な挙動を把握することを目的としており、リチウムポリスルフィドの各化学種単体の詳細なデータを求めるものではないので、主に生成される化学種を「想定されるリチウムポリスルフィド」とした。
表3、表4から明らかなように、グライムとしてG3及びG4のいずれを用いた場合でも、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)が0.25から0.5に増えるにつれてLi2S8の溶解度は約1/2に低下し、混合比が1になるとさらに顕著に低下していることがわかる。このことから、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)を0.5以上にすると、充電時の副反応であるリチウムポリスルフィドの溶解が抑制され、充放電の繰り返しによるクーロン効率及び放電容量の低下を防止することが判明した。
なお、リチウムポリスルフィドのうちS8、Li2S4、Li2S2及びLi2Sの溶解度の値自体がそもそも小さく、上記混合比の変化による影響も小さい。すなわち、充電時の副反応としてはLi2S8の溶解の影響が極めて支配的であると考えられ、Li2S8の溶解度を低下させることが最も重要である。
又、図12、図13は、それぞれグライムとしてG3及びG4を用い、混合物をLi2S8としたときの溶解度と、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)との関係を示す。混合比が0.5を超えて増えるにつれ、Li2S8の溶解度が大幅に低下することがわかる。
2 正極
4 負極(対極)
50 リチウム−硫黄電池

Claims (4)

  1. 単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質を有する正極又は負極と、
    テトラグライムとアルカリ金属塩とを含む電解液と、
    前記正極又は負極の対極であって、前記アルカリ金属、前記アルカリ金属を含む合金、又は炭素を有する対極と、を備えるアルカリ金属−硫黄系二次電池であって、
    前記テトラグライムに対する前記アルカリ金属塩の混合比が、モル換算で0.50以上以下であり、前記テトラグライムと前記アルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成しており、
    充放電試験(電流密度=1/12C、充放電電圧=1.5−3.3V、放電条件=1/12C、30℃)における10サイクル目の放電容量維持率が85%以上であることを特徴とするアルカリ金属−硫黄系二次電池。
  2. 前記アルカリ金属塩がMXで表され、ここで、Mはアルカリ金属、Xは、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、ClO、CFCO、AsF、SbF、AlCl、N(CFSO、N(CFCFSO、PF(C、N(FSO、N(FSO)(CFSO)、N(CFCFSO、N(C)、N(C)、N(CN)、N(CFSO)(CFCO)、RFBF(但し、RF=n-C2m+1、m=1〜4の自然数)およびRBF(但し、R=n−C2p+1、p=1〜5の自然数)からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
  3. 前記正極又は負極は、前記硫黄系電極活物質と結着剤と導電剤とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
  4. 前記アルカリ金属塩が、リチウム塩であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
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