JP2014007117A - Li系二次電池 - Google Patents

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正義 渡邉
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直樹 立川
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Abstract

【課題】レート特性及び電池の出力密度の高いLi系二次電池を提供する。
【解決手段】LiMMn1−SPO(0≦S≦0.5;MはMg、Zn、Fe、Ni、Coの群から選ばれる1種以上)を電極活物質として含む正極と、下記式【化1】

(ここで、Rは、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基のいずれかであり、xは1〜6である)で表されるグライムと、Li塩と、を含み、前記グライムと前記Li塩との少なくとも一部が錯体を形成している電解液と、Li、Liを含む合金、炭素、又は遷移金属酸化物を有する負極と、を備えたLi系二次電池である。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム系二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いことから、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯機器用電源として広く普及しており、さらには、電気自動車(EV)用電源として一部実用化されている。さらには、電力貯蔵用などの定置用の大型電池としても開発がすすめられている。
現在商用化されているリチウムイオン二次電池は、プロピレンカーボネート等の有機溶媒にLiPF6などのリチウム塩を溶解させた有機電解液を用いており、正極活物質としてLiCoO2やLiMn2O4などの遷移金属酸化物、負極活物質にグラファイトなどの炭素材料を用いている(例えば、非特許文献1、2)。
ところで、現在、風力エネルギーや太陽光エネルギーなど自然エネルギーを用いた発電に注目が集まっている。しかしながら、これらの自然エネルギーは変動が大きいため、電力貯蔵や負荷平準化のために大容量な電池が必要である。このような電池として、リチウムイオン二次電池やナトリウム硫黄(Na-S)電池が開発されている。これら電力貯蔵用の定置式の大型二次電池では、携帯機器用電源と異なり、電池の作動温度は室温付近に限定されず、作動温度を高温とすることで、電解質または電解液のイオン伝導率等を向上させて電池性能を向上させている。
例えば、ナトリウム硫黄(Na-S)電池は300℃程度の高温で作動する。しかしながら、300℃で負極のNa金属は溶融状態となっており、電池が破損した場合には発火などの恐れがある。又、従来の有機電解液を用いた電池を高温で作動させると、有機溶媒が揮発したり引火する恐れがある。
このようなことから、比較的低温で作動可能な電池として、溶融塩電解質(LiN(SO2CF3)2と、KN(SO2CF3)2と、CsN(SO2CF3)2とからなる混合溶融塩)を用いて、LiFePO4を正極、リチウム金属を負極とし、150℃程度の温度で作動するリチウムイオン二次電池が報告されている(非特許文献3)。
又、本発明者らは、リチウム二次電池の電解質として、室温で液体状態を保ち、かつ熱安定性に優れたグライム類とリチウム塩の等モル混合物が使用できることを報告している(非特許文献4〜6)。具体的には、本発明者らは、グライム(トリグライム(G3)またはテトラグライム(G4))とリチウム塩の等モル混合物を電解質として用い、正極にLiCoO2、負極にリチウム金属を用いたリチウムイオン電池が室温付近(30℃)で作動可能であることを報告している(非特許文献4,5)。また、上記グライムとリチウム塩の等モル混合物が、100℃以下では蒸気圧をほとんど示さないことを報告している(非特許文献6)。
さらに、本発明者らは、リチウム二次電池の電解液として、グライムに対するLi塩の混合比をモル換算で0.70〜1.25に調製したものを用い、これらの一部に錯体を形成させて電気化学的安定性を向上させた技術を報告している(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−73489号公報
A. Blyr et al., Journal of The Electrochemical Society, Vol. 145, pp. 194-209 (1998) A. Du Pasquier et al., Journal of The Electrochemical Society, Vol. 146, pp. 428-436 (1999) A. Watarai et al., Journal of Power Sources, Vol. 183, pp. 724-729 (2008). K. Yoshida et al., J. Am. Chem. Soc., Vol. 133, pp. 13121-13129 (2011). 渡邉ら、第51回電池討論会 要旨集, p.7 (2010). T. Tamura et al., Chemistry Letters, Vol. 39, pp. 753-755 (2010).
しかしながら、上記非特許文献3に記載された溶融塩を電解質に用いる電池や、上記非特許文献4に記載されたグライムを電解質に用いる電池の場合、Cレートが大きく(電流密度が大きく)なると、充電容量と放電容量が大幅に減少し、レート特性及び電池の出力密度が低下するという問題がある。
ここで、電池の出力密度は、電池電圧×電流密度(電流密度はレートに比例)に比例するため、電池のレート特性が低いほど、出力密度も低下する。
従って、本発明の目的は、レート特性及び電池の出力密度の高いLi系二次電池を提供することにある。
本発明のLi系二次電池は、LiMMn1−SPO(0≦S≦0.5;MはMg、Zn、Fe、Ni、Coの群から選ばれる1種以上)を電極活物質として含む正極と、下記式
(ここで、Rは、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基のいずれかであり、xは1〜6である)で表されるグライムと、Li塩と、を含み、前記グライムと前記Li塩との少なくとも一部が錯体を形成している電解液と、Li、Liを含む合金、炭素、又は遷移金属酸化物を有する負極と、を備えている。
又、本発明のLi系二次電池は、LiCoO、LiNiaMnbCo(1-a-b)(a、bはそれぞれ0を超え1未満)、又はLiAFe1−TPO(0≦T≦0.5;MはMg、Zn、Mn、Ni、Coの群から選ばれる1種以上)を電極活物質として含む正極と、下記式
(ここで、Rは、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基のいずれかであり、xは1〜6である)で表されるグライムと、Li塩と、を含み、前記グライムと前記Li塩との少なくとも一部が錯体を形成している電解液と、LiTi12、TiO、LiTi13又はLiTiを含む負極と、を備えている。
請求項1に記載のLi系二次電池において、60℃以上で1/5Cレート以上の充電レート及び放電レートで充放電した際、それぞれ20サイクル目の充電容量及び放電容量がいずれも100mAh/g(gは正極及び負極の活物質の質量)以上であることが好ましい。
ここで、「正極及び負極の活物質の質量」とは、正極における正極活物質の質量あたりの充放電容量、及び負極における負極活物質の質量あたりの充放電容量、がいずれも100mAh/g以上という意味である。
請求項2に記載のLi系二次電池において、60〜80℃で1/2Cレート以上の充電レート及び放電レートで充放電した際、それぞれ20サイクル目の充電容量及び放電容量がいずれも100mAh/g(gは正極及び負極の活物質の質量)以上であることが好ましい。
ここで、「正極及び負極の活物質の質量」とは、正極における正極活物質の質量あたりの充放電容量、及び負極における負極活物質の質量あたりの充放電容量、がいずれも100mAh/g以上という意味である。
(前記Li塩/前記グライム)で表される比がモル換算で0.5〜1.1であることが好ましい。
前記Li塩がMXで表され、ここで、MはLi、Xは、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、ClO、CFCO、AsF、SbF、AlCl、N(CFSO、N(CFCFSO、PF(C、N(FSO、N(FSO)(CFSO)、N(CFCFSO、N(C)、N(C)、N(CN)、N(CFSO)(CFCO)、RFBF(但し、RF=n-C2m+1、m=1〜4の自然数)およびRBF(但し、R=n−C2p+1、p=1〜5の自然数)からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明によれば、レート特性及び電池の出力密度の高いLi系二次電池を得ることができる。
リチウム系二次電池50の構成例を示す断面図である。 トリグライムとLi塩(LiTFSA)を含む電解液の熱重量測定の結果を示す図である。 テトラグライムとLi塩(LiTFSA)を含む電解液の熱重量測定の結果を示す図である。 比(LiTFSA)/(G3)=1.0(モル換算)とし、電池の作動温度を60℃とし、各電極活物質を正極に用いた二次電池のセル電圧を示す図である。 グライムとしてG3を用い、比(LiTFSA)/(G3)=1.0(モル換算)とし、電池の作動温度を30℃、60℃とし、LiNi1/3Mn1/3Co1/3を正極に用いた二次電池の電流密度と放電容量との関係を示す図である。 グライムとしてG4を用い、比(LiTFSA)/(G4)=1.0(モル換算)とし、電池の作動温度を30℃、60℃とし、LiNi1/3Mn1/3Co1/3を正極に用いた二次電池の電流密度と放電容量との関係を示す図である。 グライムとしてG3を用い、比(LiTFSA)/(G3)を変え(モル換算)、電池の作動温度を60℃とし、LiNi1/3Mn1/3Co1/3を正極に用いた二次電池の各サイクルでの充放電容量をそれぞれ示す図である。 図7の放電容量/充電容量から算出した各サイクルでのクーロン効率を示す図である。 図8の20サイクル目のクーロン効率を示す図である。 グライムとしてG3を用い、比(LiTFSA)/(G3)=1.0(モル換算)とした電解液のイオン伝導率を示す図である。 グライムとしてG4を用い、比(LiTFSA)/(G4)=1.0(モル換算)とした電解液のイオン伝導率を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明に係るLi系二次電池は、例えば、後述する正極と負極とをセパレータを介して離間して配置し、セパレータ内に電解液を含ませてセルを構成し、このセルを複数個積層又は巻回してケースに収容した構造になっている。正極及び負極の集電体は、それぞれケース外部に引き出され、タブ(端子)に電気的に接続される。なお、電解液をゲル電解質としてもよい。
Li系二次電池は、従来公知の方法で製造することができる。
<第1の発明>
本発明の第1の発明に係るLi系二次電池は、LiMMn1−SPO(0≦S≦0.5;MはMg、Zn、Fe、Ni、Coの群から選ばれる1種以上)を電極活物質として含む正極と、後述するグライムとLi塩とを含む電解液と、Li、Liを含む合金、炭素、又は遷移金属酸化物を有する負極と、を備える。LiMMn1−SPOは、LiMnPOのMnの一部を他の金属Mで置換した組成であり、その結晶構造はLiMnPOと基本的に同じで、格子定数が少し異なるものである。
<正極>
正極は、上記した電極活物質と結着剤とを含む電極材料のスラリー(ペースト)を、導電性の担体(集電体)に塗布して乾燥することにより、電極材料を担体に担持させて製造することができる。集電体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの導電性の金属を、箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタルなどに形成したものが挙げられる。また、導電性を有する樹脂または導電性フィラーを含有させた樹脂を集電体として使用してもよい。集電体の厚さは、例えば5〜30μmであるが、この範囲に限定されない。
電極材料の厚さ(塗布層の片面の厚さ)は、好ましくは、20〜500μmであり、より好ましくは20〜300μmであり、さらに好ましくは20〜150μmである。
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が用いることができる。
正極はさらに、導電剤を含んでもよい。導電剤は、導電性を向上させるために配合される添加物であり、黒鉛、ケッチェンブラック、逆オパール炭素、アセチレンブラックなどのカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)などの種々の炭素繊維などが挙げられる。又、電極材料が支持塩(下記電解液に含まれる成分)を含んでもよい。
<負極>
負極としては、リチウム、リチウム合金、遷移金属酸化物、又は炭素を含むからなる負極活物質を用いる。負極に含まれる負極活物質は、Liイオンを吸蔵脱離するよう作用する。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボンなどの結晶性炭素材や非結晶性炭素材等の炭素材料といった従来公知の負極材料を用いることができる。リチウム合金としては、リチウムアルミ合金、リチウムスズ合金、リチウムケイ素合金、リチウムアンチモン合金等が挙げられる。また、遷移金属酸化物としては、チタン酸リチウム、TiOなどを用いるのが望ましい。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。
負極も、上記した活物質と結着剤と導電剤とを含んでもよい。そして、これら電極材料を、導電性の担体(集電体)に担持して対極を製造することができる。集電体としては上記と同様のものを使用できる。
正極と負極の間にはセパレータが配置されている。セパレータとしては、例えば、後述する電解液を吸収保持するガラス繊維製セパレータ、ポリマーからなる多孔性シートおよび不織布を挙げることができる。多孔性シートは、例えば、微多孔質のポリマーで構成される。このような多孔性シートを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミド、アラミドが挙げられる。特にポリオレフィン系微多孔質セパレータおよびガラス繊維製セパレータは、有機溶媒に対して化学的に安定であるという性質があり、電解液との反応性を低く抑えることができることから好ましい。多孔性シートからなるセパレータの厚みは限定されないが、単層又は多層で全体の厚み4〜60μmであることが好ましい。また、多孔性シートからなるセパレータの微細孔径は、最大で10μm以下(通常、10〜100nm程度)、空孔率は20〜80%であることが好ましい。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン(登録商標)、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大する場合がある。
<電解液>
電解液は、下記式
(ここで、Rは、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基のいずれかであり、xは1〜6である)で表されるグライムと、Li塩とを含み、グライムとLi塩との少なくとも一部が錯体を形成している。
電解液に用いるグライムは、一種が単独で使用されても、二種以上の混合物の形態で使用されてもよい。式中のxは、エチレンオキシド単位の繰り返し数を表わす。xが1〜6であるグライムを使用することにより、電解液の熱安定性、イオン伝導性、電気化学的安定性をより向上でき、高電圧に耐え得る電解液となる。xは1〜5が好ましく、より好ましくは2〜5、最も好ましくは3または4である。
グライムの種類によっても電解液の酸化電位は変化する。そのため、二次電池に適用することを考慮すると、酸化電位が3.5〜5.3V vs Li/Li+になるように混合比等を調整することが好ましい。酸化電位はより好ましくは4.0〜5.3Vvs Li/Li+である。
上記式中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、任意の位置がフッ素で置換されていてもよい。アルキル基の炭素数が9を超えると、グライムの極性が弱くなるため、Li塩の溶解性が低下する傾向がある。そのため、アルキル基の炭素数は少ない方が好ましく、好ましくはメチル基およびエチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基としては、特に制限はないが、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2,4−ヨードフェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基としては、特に制限はないが、2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、4−ブロモシクロヘキシル基、2,4−ジブロモシクロヘキシル基、2−ヨードシクロヘキシル基、3−ヨードシクロヘキシル基、4−ヨードシクロヘキシル基、2,4−ジヨードシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記したLi塩はMXで表され、MはLi、Xは対の陰イオンとなる物質である。上記Li塩は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を混合物の形態で使用してもよい。
Xとしては、特に制限はないが、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、ClO、CFCO、AsF、SbF、AlCl、N(CFSO、N(CFCFSO、PF(C、N(FSO、N(FSO)(CFSO)、N(CFCFSO、N(C)、N(C)、N(CN)、N(CFSO)(CFCO)、RFBF(但し、RF=n-C2m+1、m=1〜4の自然数、nはノルマル)およびRBF(但し、R=n−C2p+1、p=1〜5の自然数、nはノルマル)からなる群から選ばれる少なくとも一種であると好ましい。グライムに対する溶解性や、錯構造の形成しやすさの点から、より好ましくはN(CFSO、N(FSO、およびN(CFCFSOである。
本発明においては、電解液には、上記のグライムおよびLi塩の他に、有機溶媒を含んでも良い。ただし、本発明の電池を60℃以上の高温で作動させる場合、有機溶媒としては、蒸気圧が低く、かつ難燃性のものが好ましい。このような有機溶媒としては、融点100℃以下のオニウム塩からなるイオン液体が例示される。具体的なイオン液体としては、
で示されるN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)アミド([P13][TFSA]と略記)が挙げられる。
上記したグライムとLi塩との少なくとも一部が錯体を形成していることは、これらを混合した電解液の熱重量測定で判定することができる。つまり、錯形成しているグライムは、錯形成していないグライムに比べて揮発しにくい。このため、グライムのみからなる電解液の熱重量測定による重量減少をベースとし、温度による重量減少がこのベースより少ない電解液は、グライムとLi塩との少なくとも一部が錯体を形成しているとみなす。
図2、図3は、それぞれグライムとしてトリグライム(G3)及びテトラグライム(G4)を用い、Li塩として後述するLiTFSAを用いた電解液の熱重量測定の結果(温度上昇と重量減少の関係)のグラフを示す。なお、各グライムとLiTFSAの混合比(モル換算)を変えた電解液を調製し、電解液の温度を室温から550oCまで、10 oC min-1の昇温速度で上昇させて熱重量測定を行った。又、測定装置として、示唆熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツル社製のTG/DTA 6200)を用いた。
なお、図2のLiTFSA/G3=1は、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)が1であることを示す。又、図2のG3の示す曲線は、トリグライムのみからなる電解液の熱重量測定を示す。図3も同様である。又、図2(b)、図3(b)は、それぞれ図2(a)、図3(a)の熱重量測定の結果から、150℃における重量減少量(%)を混合比(Li塩/グライム、モル換算)に対してプロットした図である。
図3(a)のように、重量減少の過程は、以下の(1)-(3)の3段階で進行することがわかる。
(1)100〜200oCまでの重量減少は、錯形成していないグライムの蒸発に由来する
(2)200〜400oCまでの重量減少は、錯形成しているグライムの蒸発に由来する
(3)400oC以上での重量減少は、Li塩(LiTFSA)の熱分解に由来する
従って、上記 (2)のプロセスが熱重量測定の結果から確認できる場合、グライムが錯形成していると考えることができる。
なお、グライムに対するLiTFSAの混合比(モル換算)が1より大きい系では、すべてのグライムが錯体を形成しているため、(1)のプロセスがなく、200oC以上から重量減少が始まることがわかる。
又、図2(b)、図3(b)より、上記比(Li塩/グライム)(但し、モル換算)が0.5〜1.1であると、電解液の熱による分解(重量減少)が少なくなる。
電解液をゲル状のゲル電解質としてもよい。ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、電解液が注入されてなる構成を有する。電解液は、上記の本発明の電解液を使用する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(VDF−HEP)の共重合体、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)およびこれらの共重合体等が挙げられる。ポリアルキレンオキシド系高分子には、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
本発明において、上記グライムに対する上記Li塩の混合比(Li塩/グライム)が、モル換算で0.25以上、上記グライム中の上記Li塩の飽和濃度で決まる値以下であることが好ましい。上記比が0.25を超えるとより好ましく、上記比が0.5〜1.1であると最も好ましい。
上記比が0.25未満であると、電解液中のLi塩の割合が少な過ぎて電解液が安定しない。又、上記比が0.25を超えると、後述するクーロン効率が90%以上に向上する。さらに、上記比が0.5〜1.1であると、図2(b)及び図3(b)に示すように電解液の熱による分解(重量減少)が少なくなると共に、20サイクルの充放電後もクーロン効率が90%以上に維持される(図9参照)。
なお、グライム中のLi塩の飽和濃度は、30℃のグライムにLi塩を溶解させたとき、Li塩の固形分が目視で確認できたときの濃度とする。
グライムとしてG3(トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライムともいう))を用い、Li塩をLi塩とした場合、G3中のLi塩の飽和濃度によって決まる上記混合比は、モル換算で1.67である。
グライムとしてG4(テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライムともいう))を用い、Li塩をLi塩とした場合、G4中のLi塩の飽和濃度によって決まる上記混合比は、モル換算で2.00である。
<第2の発明>
本発明の第2の発明に係るLi系二次電池は、LiCoO、LiNiaMnbCo(1-a-b)(a、bはそれぞれ0を超え1未満)、又はLiAFe1−TPO(0≦T≦0.5;MはMg、Zn、Mn、Ni、Coの群から選ばれる1種以上)を電極活物質として含む正極と、グライムとLi塩とを含む電解液と、LiTi12、TiO、LiTi13、又はLiTiを含む負極と、を備える。LiAFe1−TPOは、LiFePOのFeの一部を他の金属Aで置換した組成であり、その結晶構造はLiFePOと基本的に同じで、格子定数が少し異なるものである。
第2の発明に係るLi系二次電池は、正極及び負極が異なること以外の構成は第1の発明に係るLi系二次電池と同様であるので、同一部分(上記電解液、セパレータ、電池の製造方法等)についての説明を省略する。
<正極>
正極は、上記した電極活物質と結着剤とを含む電極材料のスラリー(ペースト)を、導電性の担体(集電体)に塗布して乾燥することにより、電極材料を担体に担持させて製造することができる。集電体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの導電性の金属を、箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタルなどに形成したものが挙げられる。また、導電性を有する樹脂または導電性フィラーを含有させた樹脂を集電体として使用してもよい。集電体の厚さは、例えば5〜30μmであるが、この範囲に限定されない。
電極材料の厚さ(塗布層の片面の厚さ)は、好ましくは、20〜500μmであり、より好ましくは20〜300μmであり、さらに好ましくは20〜150μmである。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリビニルアルコール(PVA)等が用いることができる。
正極はさらに、導電剤を含んでもよい。導電剤は、導電性を向上させるために配合される添加物であり、黒鉛、ケッチェンブラック、逆オパール炭素、アセチレンブラックなどのカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)などの種々の炭素繊維などが挙げられる。又、電極材料が支持塩(下記電解液に含まれる成分)を含んでもよい。
<負極>
負極も、上記したLiTi12、TiO、LiTi13、又はLiTiを含む負極活物質と、結着剤とを含む電極材料のスラリー(ペースト)を、導電性の担体(集電体)に塗布して乾燥することにより、電極材料を担体に担持させて製造することができる。上記各負極活物質が併用されてもよい。
負極も、上記した活物質と結着剤と導電剤とを含んでもよい。そして、これら電極材料を、導電性の担体(集電体)に担持して対極を製造することができる。集電体としては上記と同様のものを使用できる。
図4は、各種電極活物質を正極に用い、負極にLi金属を用いたときの、2サイクル目のセル電圧を示す。正極活物質としてLiMnPO、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、又はLiFePOを使用でき、負極活物質としてLiTi12又はグラファイトを使用できることがわかる。つまり、図4に示す各活物質のうち、酸化・還元電位が高い活物質を正極に用い、酸化・還元電位が低い活物質を負極に用いることができる。
図5、図6は、正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3を用い、負極にLi金属を用いたときの放電レート特性を示す。正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3を用いると、60℃で電池を作動させた際に30℃に比べて、同じ電流密度でより高い放電容量が得られることがわかる。つまり、上記活物質の組み合わせにより、高い電流密度で同じ放電容量を得ることができ、レート特性が向上する。
ここで、電池の出力密度は、電池電圧×電流密度(電流密度はレートに比例)に比例するため、電池の作動温度を60℃とすることにより、電池のレート特性が向上し、出力密度が向上される。これは、電池の作動温度が高いほど、電解液のイオン伝導率が向上し、Liイオンの拡散速度が速くなるためと考えられる。
以上のように、本発明のLi系二次電池は、高い出力密度を得ることができる。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、%は質量%を示す。
<電解液の調製>
グライムとして、トリグライム(以下「G3」と称する)、又はテトラグライム(以下「G4」と称する)(キシダ化学社製)を用いた。
又、Li塩として、以下の式3で示すリチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)アミド (以下「LiTFSA」と称する) (森田化学工業社製)を用いた。
G3(又はG4)と、LiTFSAとをアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、所定の混合比(LiTFSA)/(G3又はG4)(モル換算)で混合して電解液を調製した。
<リチウム系二次電池の作製>
下記の各正極活物質を用いて正極(図1参照)を作製した。一方、厚さ200μmのリチウム金属板を厚さ0.5mmのステンレスディスクに貼り付けて負極を作製した。
次に、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、正極2に上記電解液を適量加え、60℃で60分間、電解液を正極2に浸漬させた。正極2と負極(対極)4とを、セパレータ6(厚さ25μmのセルガード社製のポリプロピレン製セパレータ(Celgard2400))を介して積層し、さらに上記電解液を注入した後、2032型のコインセルケース20(SUS304製の厚さ3.2mm)に封入し、負極(対極)4の上にスペーサ12を載置した。スペーサ12の上にスプリング14を配置した。スプリング14の上から蓋22でコインセルケース20を封止し、図1に示す構造のリチウム系二次電池50を作製した。なお、コインセルケース20の側壁にはガスケット10を介装した。
LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2電極
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(セイミケミカル社製)の粉末85 wt%、導電剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製)6 wt%、結着剤としてPVDF (ポリフッ化ビニリデン) (クレハ社製)9 wt%を混合した。この混合物に対し、さらに適量のNMP (N-メチルピロリドン) (関東化学社製)を加え、スラリー状に混錬した。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)2bに塗布した後、80oCで2時間乾燥し、NMPを蒸発させた後、プレスして正極2(図1参照)を得た。
LiCoO2電極
正極活物質としてLiCoO2(セイミケミカル社製)の粉末を用いたこと以外は上記のLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2電極と同様の手法により正極を作製した。
LiMnPO4電極
出発物質としてMnSO4・5H2O(16.88 g, 0.0700 mol)(和光純薬工業社製)、Li3PO4(8.11 g, 0.0700 mol)(Aldrich社製)を量り取って混合し、耐圧容器に入れ、さらに純水を3.5 mL加え、190?Cに温めた恒温槽内に12時間静置した。その後、容器内の生成物を超音波分散してから吸引濾過により洗浄し、加熱真空乾燥により水を除去してLiMnPO4の粉末を得た。
得られたLiMnPO4をスクロース溶液と混合し、超音波分散しながら水分を蒸発させて、乾燥させた後、Ar/H2(H2混合比3 %)流通下、700 ?Cで1時間熱処理を行うことで炭素コートしたLiMnPO4(炭素コーティングの比率は5wt%)を得た。この炭素コートしたLiMnPO4の粉末を正極活物質として用い、正極極を作製する際の各成分の混合比を、炭素コートしたLiMnPO4 : アセチレンブラック : PVDF = 75 : 10 : 15 (wt%)としたこと以外は、上記のLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2電極と同様の手法により正極を作製した。
LiFePO4電極
正極活物質として炭素コートしたLiFePO4(住友大阪セメント社製) (炭素コーティングの比率は5wt%)の粉末を用い、正極を作製する際の各成分の混合比を、炭素コートされたLiFePO4 : アセチレンブラック : PVDF = 80 : 10 : 10 (wt%)としたこと以外は上記のLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2電極と同様の手法により正極を作製した。
Li4Ti5O12電極
正極活物質としてLi4Ti5O12 (石原産業社製)の粉末を用い、正極を作製する際の各成分の混合比をLi4Ti5O12 : アセチレンブラック : PVDF = 80 : 10 : 10 (wt%)としたこと以外は、上記のLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2電極と同様の手法により正極を作製した。
グラファイト電極
正極活物質としてグラファイト (塊状人造黒鉛) (商品名MAG、日立化成工業社製)の粉末を用い、正極を作製する際の各成分の混合比をグラファイト: アセチレンブラック : PVDF = 90 : 3 : 7 (wt%)とし、集電体に20μmの銅箔たこと以外は上記のLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2電極と同様の手法により正極を作製した。
<評価>
(1)充放電試験
上記のようにして得られた二次電池について、充放電試験を行い、放電容量を求めた。充放電評価は、電流密度を1/n C (nは時間率、正極活物質の理論容量をn (時間) で充電または放電する電流値を1/n のC レートと表す)として定電流充電して実施した。同様に、放電条件を1/ n Cとした。なお、充放電評価の電圧範囲は、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2電極を正極とした場合は3.0−4.4V、LiCoO2電極を正極とした場合は3.0−4.2V、LiMnPO4電極を正極とした場合は2.5−4.5V、Li4Ti5O12電極を正極とした場合は1.0−2.0V、グラファイト電極を正極とした場合は0.0−2.0Vとした。
評価は、所定温度に一定に保持された恒温槽中で実施した。
なお、電極は放電状態で作製される。したがって、充放電の順序は、第1サイクルの充電→第1サイクルの放電→第2サイクルの充電→第2サイクルの放電→第3サイクルの充電となる。充放電サイクルは20サイクル行った。
得られた充電容量と放電容量(mAh/g:gは正極活物質の質量当り)から、充放電サイクルの各サイクルで、クーロン効率(%)=放電容量/充電容量を求めた。クーロン効率は、充電した電気量を放電でどれだけ取りだせるかを示す値であり、値が100(%)に近いほど良い。
図5、図6の放電レート試験は、次のように行った。
温度30 oCでの放電レート試験は、電池を1/8 Cレート(1/8 Cレートは、正極面積当たりでの電流密度で0.08mA/cm2に相当する)で電池電圧が4.4Vに達するまで充電した後、所定のCレートで放電 (放電時には電池電圧が2Vに達した時を放電終了とみなした)するサイクルを繰り返すことにより行った。各放電試験前に、1/8 Cレート(正極面積当たりでの電流密度では、0.08mA/cm2)という低いレートで充電することにより、電池を満充電状態とした。そして、満充電状態からCレートを変化させて放電試験を行うことにより、Cレート(電流密度)と放電容量との関係を調査した。
温度60 oCでの放電レート試験は、電池を1Cレート(1Cレートは、正極面積当たりでの電流密度で0.6mA/cm2に相当する)で電池電圧が4.4Vに達するまで充電した後、所定のCレートで放電 (放電時には電池電圧が2Vに達した時を放電終了とみなした) するサイクルを繰り返して行った。各放電試験前に、1Cレートで充電することにより、電池をほぼ満充電状態にした。そして、満充電状態からCレートを変化させて放電試験を行うことにより、Cレート(電流密度)と放電容量との関係を調査した。
なお、60℃の場合に、30oCの場合より大きな電流密度で充電しても満充電状態に達する理由は、60℃の方が電解液のイオン伝導率が高く、Liイオンの拡散速度が速くなったためと考えられる。
得られた結果を図2〜図11、及び表1に示す。なお、表1の比較例2については、電池寿命が20サイクル以下であったため、10サイクル目の充電容量、放電容量、クーロン効率を示した。
なお、図4は、電解液中の比(LiTFSA)/(G3)=1.0(モル換算)とし、電池の作動温度を60℃とし、各電極活物質を正極に用いた二次電池の2サイクル目の充電曲線および放電曲線を示す。なお、LiNi1/3Mn1/3Co1/3電極は、1Cレートで充電および放電を行った。LiCoO電極は、1/2Cレートで充電および放電を行った。LiMnPO電極は、1/5Cレートで充電および放電を行った。LiFePO電極は、1Cレートで充電および放電を行った。LiTi12電極は、1Cレートで充電および放電を行った。グラファイト電極は、1/10Cレートで充電および放電を行った。
図5、図6は、グライムとしてそれぞれG3,G4を用い、比(LiTFSA)/(G3又はG4)=1.0(モル換算)とし、電池の作動温度を30℃、60℃とし、LiNi1/3Mn1/3Co1/3を正極に用いた二次電池の電流密度と放電容量との関係を示す。
図5、図6に示すように、電流密度が大きくなるに従って、放電容量が減少する。これは、電池の電極反応に伴う、電解液中のLiイオンの拡散が電極反応を律速する(遅い)ためであり、Liイオンの拡散速度が限界に達したところで、放電容量をほとんど発現しなくなる。(30℃の場合は、約2mA/cm2。60℃の場合は、約10mA/cm2。)
そして、30oCと60℃の放電レート試験の結果を比較すると、60℃にすることにより、イオン伝導率が向上し、Liイオンの拡散速度が速くなるため、大きな電流密度まで放電容量を維持できることが分かる。
このため、既に述べたように、作動温度を高温(60℃)とすることにより、電池のレート特性及び出力密度が向上する。
図7は、グライムとしてG3を用い、電解液中の比(LiTFSA)/(G3)を変え(モル換算)、電池の作動温度を60℃とし、LiNi1/3Mn1/3Co1/3を正極に用いた二次電池の各サイクルでの充電容量(図7(a))及び放電容量(図7(b))を示す。又、図8は、図7の充放電容量から算出した各サイクルでのクーロン効率を示す。図9は、図8の20サイクル目のクーロン効率を示す。
図10、図11は、グライムとしてそれぞれG3,G4を用い、比(LiTFSA)/(G3又はG4)=1.0(モル換算)とした電解液のイオン伝導率を示す。
図5、図6に示すように、本発明の正極活物質を用いた二次電池の場合、60℃で電池を作動させた際に30℃に比べて放電容量が高く、同じ放電容量でも高い電流密度が得られ、ひいては電池のレート特性及び出力密度が向上することがわかる。
図7〜図9に示すように、本発明の正極活物質を用い、60℃で作動させた二次電池の場合、(LiTFSA)/(G3)を0.5〜1.1(モル換算)にすることで、充電容量及び放電容量が100mAh/g以上となり、20サイクルの充放電後もクーロン効率が90%以上に維持されることがわかった。なお、図8は、図7の放電容量/充電容量から算出した。
一方、表1に示すように、(LiTFSA)/(G3)が0.5(モル換算)未満である比較例1,2の場合、20サイクルの充放電後のクーロン効率が90%未満に低下した。
又、本発明の正極活物質を用いつつも、30℃で作動させた比較例3〜5の場合、充電容量と放電容量の少なくとも一方が100mAh/g未満に低下し、ひいては電池のレート特性及び出力密度が低下した。なお、表1にて、それぞれの活物質のCレートにおける電極面積当たりの電流密度は、活物質の理論容量と、電極に含まれる活物質の重量によって決まる。
なお、図10、図11に示すように、電池の作動温度を60℃にすると、30℃に比べて電流密度及び放電容量が高い理由は、電解液のイオン伝導率が上昇するためと考えられる。但し、電池の作動温度が80℃を超えると、電池のセパレータとガスケットの変形が確認された。セパレータが変形すると電池の短絡の恐れがあり、ガスケットが変形すると、電池のシール性が低くなり、電極や電解液が大気と触れることにより副反応により電池寿命が低下する恐れがある。よって、電池の作動温度は、電池の構成部材(ケース、セパレータ及びシール材)のうち最も耐熱温度の低い部材の耐熱温度以下が好ましい。例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン製セパレータや、ポリプロピレンまたはポリエチレン製のガスケットを使用した場合、耐熱温度は80℃以下であるが、他の耐熱温度の高いセパレータを用いれば、電池の作動温度を80℃以上とすることも可能である。耐熱性の高いセパレータおよびガスケットとしては、ガラス製のセパレータとガスケットが挙げられる。ガラス繊維製セパレータおよびガラス製ガスケットを用いることにより、150℃程度の温度まで電池の作動が行える可能性がある。
なお、コイン型電池や円筒型電池ではガスケットをシール材として用いる。又、アルミラミネートフィルムを外装とするラミネート型電池では、アルミラミネートフィルムをヒートシールすることにより、電池を密閉しており、アルミラミネートフィルムを構成するポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂層がシール材に相当する。
2 正極
4 負極(対極)
50 リチウム系二次電池

Claims (6)

  1. LiMMn1−SPO(0≦S≦0.5;MはMg、Zn、Fe、Ni、Coの群から選ばれる1種以上)を電極活物質として含む正極と、
    下記式
    (ここで、Rは、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基のいずれかであり、xは1〜6である)で表されるグライムと、Li塩と、を含み、前記グライムと前記Li塩との少なくとも一部が錯体を形成している電解液と、
    Li、Liを含む合金、炭素、又は遷移金属酸化物を有する負極と、
    を備えたLi系二次電池。
  2. LiCoO、LiNiaMnbCo(1-a-b)(a、bはそれぞれ0を超え1未満)、又はLiAFe1−TPO(0≦T≦0.5;MはMg、Zn、Mn、Ni、Coの群から選ばれる1種以上)を電極活物質として含む正極と、
    下記式
    (ここで、Rは、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基のいずれかであり、xは1〜6である)で表されるグライムと、Li塩と、を含み、前記グライムと前記Li塩との少なくとも一部が錯体を形成している電解液と、
    LiTi12、TiO、LiTi13又はLiTiを含む負極と、
    を備えたLi系二次電池。
  3. 60℃以上で1/5Cレート以上の充電レート及び放電レートで充放電した際、それぞれ20サイクル目の、正極及び負極の充電容量及び放電容量がいずれも、100mAh/g(gは正極及び負極の活物質の質量)以上である請求項1に記載のLi系二次電池。
  4. 60℃以上で1/2Cレート以上の充電レート及び放電レートで充放電した際、それぞれ20サイクル目の、正極及び負極の充電容量及び放電容量がいずれも、100mAh/g(gは正極及び負極の活物質の質量)以上である請求項2に記載のLi系二次電池。
  5. (前記Li塩/前記グライム)で表される比がモル換算で0.5〜1.1である請求項1〜4のいずれかに記載のLi系二次電池。
  6. 前記Li塩がMXで表され、ここで、MはLi、Xは、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、ClO、CFCO、AsF、SbF、AlCl、N(CFSO、N(CFCFSO、PF(C、N(FSO、N(FSO)(CFSO)、N(CFCFSO、N(C)、N(C)、N(CN)、N(CFSO)(CFCO)、RFBF(但し、RF=n-C2m+1、m=1〜4の自然数)およびRBF(但し、R=n−C2p+1、p=1〜5の自然数)からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載のLi系二次電池。
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