JP6004276B2 - アルカリ金属−硫黄系二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム−硫黄電池等の正極に硫黄を用いた二次電池に関する。
近年、携帯電話端末の普及や、環境問題に対応した電気自動車やハイブリッド電気自動車の研究開発に伴い、高容量の二次電池が要望されている。このような二次電池としては、既にリチウムイオン二次電池が広く普及しているが、車載用に安全性を確保するため、電解液として難燃性のグライム類を用いる技術が提案されている(例えば、非特許文献1)。又、リチウム二次電池の電解液として、グライムに対するLi塩の混合比をモル換算で0.70〜1.25に調製したものを用い、これらの一部に錯体を形成させて電気化学的安定性を向上させた技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
一方、リチウム二次電池よりさらに高容量の二次電池として、リチウム−硫黄電池が着目されている(例えば、特許文献2,3)。硫黄は理論容量が1670mAh/g程度であり、リチウム電池の正極活物質であるLiCoO(約140mAh/g)より理論容量が10倍程度高いと共に、低コストで資源が豊富であるという利点がある。
リチウム−硫黄電池については、テトラグライムに対するLi塩(LiCFSO)の混合比を、モル換算で約0.12〜0.25(LiCFSOが0.5〜1mol/L)に調製した電解液を用いる技術(例えば、非特許文献2,3)、及び本発明者らによる、グライムに対するアルカリ金属塩(LiTFSA等)の混合比を、モル換算で0.50以上に調製した電解液を用いる技術(特許文献4)等が開示されている。
特開2010−73489号公報 特表2008−527662号公報 特開2005−79096号公報 特開2012−109223号公報
数永ら、「グライム−LiTFSI溶融錯体を用いたリチウム二次電池の検討」、電池討論会講演要旨集、Vol.47、p496-497、2006年 Journal of Power Sources, 183, p441-445, 2008 Journal of the Electrochemical Society, 150(6), A796-799, 2003
しかしながら、本発明者が検討したところ、リチウム−硫黄電池において、テトラグライム(G4)とLi塩とを電解液として用いた場合、充放電時に副反応が生じてクーロン効率(放電容量/充電容量)が低下すると共に、充放電の繰り返しによって放電容量が大幅に低下し、電池寿命が短いことが判明した。この副反応は、充放電時に生成するリチウムポリスルフィド(Li2Sn; 1 ≦ n ≦ 8) の電解液への溶出であると考えられる。なお、クーロン効率がわずか1%向上するだけでも、例えば1000サイクルの充放電後には、クーロン効率の向上効果がべき乗で作用するために、充放電容量の低下を大幅に抑制できることになる。
従って、本発明の目的は、充放電時の副反応を抑制してクーロン効率を向上させると共に、充放電の繰り返しによる放電容量の低下を抑制し、電池寿命が長いアルカリ金属−硫黄系二次電池を提供することにある。
本発明のアルカリ金属−硫黄系二次電池は、単体硫黄、リチウム多硫化物;Li 2 S x (1≦x≦8)、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質と、結着剤とを有する正極と、下記式
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、及びハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基から成る群から選択され、但しこれらは共に環を形成してもよく、Rは、それぞれ独立して、H又はCH3を表し、xは0〜10を表す。)で表されるエーテル化合物と、アルカリ金属塩であるリチウム塩と、を含み、前記エーテル化合物と前記アルカリ金属塩との少なくとも一部が前記リチウム多硫化物を溶解しない錯体を形成している電解液と、前記正極の対極であって、前記アルカリ金属、前記アルカリ金属を含む合金、又は炭素を有する負極と、
を備え、前記電解液がさらに、前記錯体を溶解させるフッ素溶媒であるハイドロフルオロカーボン又はハイドロフルオロエーテルを含み、前記結着剤は、アニオン性高分子であって前記アルカリ金属を酸性基の対カチオンとするアルカリ金属塩型の高分子であるポリアクリル酸リチウム(PALi)、ナフィオン(登録商標)リチウム塩(Nafion−Li)、ポリメタクリル酸リチウム(PMALi)、ポリスチレンスルホン酸リチウム(PSSLi)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸リチウム(PAMPSLi)、ポリビニルスルホン酸リチウム(PVSLi)、スルホン酸化ポリイミドリチウム塩(PSPI−Li)、カルボキシメチルセルロースリチウム塩(CMC−Li)、又は、前記アルカリ金属以外のイオンを酸性基の対カチオンとする非アルカリ金属イオン型の高分子であるポリアクリル酸テトラエチルアンモニウム、ポリアクリル酸 1−エチル―3−メチルイミダゾリウム、ポリアクリル酸 テトラブチルホスホニウムであるアルカリ金属−硫黄系二次電池。
本発明によれば、充放電時の副反応を抑制してクーロン効率を向上させると共に、充放電の繰り返しによる放電容量の低下を抑制し、電池寿命が長いアルカリ金属−硫黄系二次電池を得ることができる。
リチウム−硫黄電池50の構成例を示す断面図である。 G4を用いた電解液を有する二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性、及び10サイクル目のクーロン効率と混合比との関係を示す図である。 G4を用いた電解液を有する二次電池の放電容量維持率の充放電サイクル依存性、及び10サイクル目の放電容量維持率と混合比との関係を示す図である。 G3を用いた電解液を有する二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性、及び10サイクル目のクーロン効率と混合比との関係を示す図である。 G3を用いた電解液を有する二次電池の放電容量維持率の充放電サイクル依存性、及び10サイクル目の放電容量維持率と混合比との関係を示す図である。 トリグライムとアルカリ金属塩(LiTFSA)を含む電解液の熱重量測定の結果を示す図である。 テトラグライムとアルカリ金属塩(LiTFSA)を含む電解液の熱重量測定の結果を示す図である。 正極中の結着剤を変えた二次電池の充放電容量のサイクル依存性を示す図である。 正極中の結着剤を変えた二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性を示す図である。 正極中の結着剤を変えた二次電池の充放電容量のサイクル依存性を示す図である。 正極中の結着剤を変えた二次電池のクーロン効率の充放電サイクル依存性を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明に係るアルカリ金属−硫黄系二次電池は、硫黄系電極活物質と結着剤とを有する正極と、下記のエーテル化合物とアルカリ金属塩とを含む電解液と、負極とを備える。
なお、本発明に係るアルカリ金属−硫黄系二次電池としては、正極が硫黄系電極活物質を有する電池であるリチウム−硫黄電池、ナトリウム−硫黄電池が例示されるがこれらに限られない。
本発明に係るアルカリ金属−硫黄系二次電池は、例えば、上記した正極と負極とをセパレータを介して離間して配置し、セパレータ内に電解液を含ませてセルを構成し、このセルを複数個積層又は巻回してケースに収容した構造になっている。正極及び負極の集電体は、それぞれケース外部に引き出され、タブ(端子)に電気的に接続される。なお、電解液をゲル電解質としてもよい。
アルカリ金属−硫黄系二次電池は、従来公知の方法で製造することができる。
<硫黄系電極活物質を有する正極>
正極は、単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質を有する。硫黄系金属硫化物としては、リチウム多硫化物;Li2Sx(1≦x≦8)が挙げられ、硫黄系金属多硫化物としては、MSx (M=Ni, Co, Cu, Fe, Mo, Ti、1≦n≦4)が挙げられる。又、有機硫黄化合物としては、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物が挙げられる。
上記した正極は、上記した硫黄系電極活物質と結着剤とを含む。そして、これら電極材料のスラリー(ペースト)を、導電性の担体(集電体)に塗布して乾燥することにより、電極材料を担体に担持させて正極を製造することができる。集電体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの導電性の金属を、箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタルなどに形成したものが挙げられる。また、導電性を有する樹脂又は導電性フィラーを含有させた樹脂を集電体として使用してもよい。集電体の厚さは、例えば5〜30μmであるが、この範囲に限定されない。
上記した電極材料(硫黄系電極活物質と結着剤と他の成分との合計量、集電体を除く)のうち、硫黄系電極活物質の含有量は、好ましくは50〜98質量%であり、より好ましくは80〜98質量%である。活物質の含有量が前記範囲であれば、エネルギー密度を高くすることができるため好適である。
電極材料の厚さ(塗布層の片面の厚さ)は、好ましくは、10〜500μmであり、より好ましくは20〜300μmであり、さらに好ましくは20〜150μmである。
本発明は、結着剤としてアニオン性高分子を用いることを特徴とする。従来、結着剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)等が用いられたが、本発明者が検討したところ、充放電時の副反応(リチウムポリスルフィド(Li2Sn; 1≦x≦8) の電解液への溶出等)を十分に防止できずにクーロン効率(放電容量/充電容量)の向上が図り難いことが判明した。そして、結着剤としてアニオン性高分子を用いると、上記した充放電時の副反応を抑制してクーロン効率を向上できることを見出した。
アニオン性高分子は、酸性基を有する高分子、負極に含まれるアルカリ金属を酸性基の対カチオンとするアルカリ金属塩型の高分子、又はアルカリ金属以外のイオンを酸性基の対カチオンとする非アルカリ金属イオン型の高分子である。
上記したアニオン性高分子は、アニオン性ポリスルフィドとの静電的な反発作用により正極外電解液へのポリスルフィドの溶出を抑制する(Donnan排除効果)。又、結着剤としてカチオン性高分子を用いると、カチオン性結着剤とアルカリ金属イオンの静電反発効果により充放電反応に必要なアルカリ金属イオンが電解液から正極内に取り込まれない。このためカチオン性結着剤を用いた電池は充放電ができず、キャパシタ的挙動を示すことがある。
(1)酸性基を有する高分子としては、例えば、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸リチウム(PAMPSA)、ポリビニルスルホン酸 (PVSA)、ナフィオン(登録商標)(Nafion)、スルホン酸化ポリイミド(PSPI)、カルボキシメチルセルロース (CMC)を挙げることができる。
なお、酸性基を有する高分子は、電解液中で一部電離してアニオン性を示す。
(2)アルカリ金属塩型の高分子は、上記した(1)の酸性基を有する高分子をアルカリ金属の水酸化物で中和して調製することができる。例えば、アルカリ金属としてLiを用いる場合、ポリアクリル酸(PAA)をLiOHで中和することで、アルカリ金属塩型の高分子を調製することができる。アルカリ金属としてLiを用いる場合、結着剤となるアルカリ金属塩型の高分子の具体例としては、
で表されるポリアクリル酸リチウム(PALi)、
で表されるナフィオン(登録商標)リチウム塩(Nafion-Li)、
で表されるポリメタクリル酸リチウム(PMALi)、
で表されるポリスチレンスルホン酸リチウム(PSSLi) 、
で表されるポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸リチウム(PAMPSLi) 、
で表されるポリビニルスルホン酸リチウム(PVSLi) 、
で表されるスルホン酸化ポリイミドリチウム塩(PSPI-Li) 、
で表されるカルボキシメチルセルロースリチウム塩(CMC-Li)、が挙げられる。なお、上記したNafion-Liの化学式中のn、m、xは自然数である。
(3)非アルカリ金属イオン型の高分子としては、例えば、アンモニウム塩を酸性基の対カチオンとする高分子が挙げられ、具体的には、ポリアクリル酸テトラエチルアンモニウム、ポリアクリル酸 1−エチル―3−メチルイミダゾリウム、ポリアクリル酸 テトラブチルホスホニウム等が挙げられる。
正極はさらに、導電剤を含んでもよい。
導電剤は、導電性を向上させるために配合される添加物であり、黒鉛、ケッチェンブラック、逆オパール炭素、アセチレンブラックなどのカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)などの種々の炭素繊維などが挙げられる。又、電極材料が支持塩(下記電解液に含まれる成分)を含んでもよい。
<負極>
負極としては、リチウム、ナトリウム、リチウム合金、ナトリウム合金、リチウム/ 不活性硫黄の複合物からなる群から選択される1又は2以上の負極活物質を含むものがよい。負極に含まれる負極活物質は、アルカリ金属イオンを吸蔵脱離するよう作用する。負極活物質としては、リチウム、ナトリウム、炭素、ケイ素、アルミニウム、スズ、アンチモン及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。より具体的には、チタン酸リチウム、リチウム金属、ナトリウム金属、リチウムアルミ合金、ナトリウムアルミ合金、リチウムスズ合金、ナトリウムスズ合金、リチウムケイ素合金、ナトリウムケイ素合金、リチウムアンチモン合金、ナトリウムアンチモン合金等の金属材料、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボンなどの結晶性炭素材や非結晶性炭素材等の炭素材料といった従来公知の負極材料を用いることができる。このうち、容量、出力特性に優れた電池を構成できることから、炭素材料もしくはリチウム、リチウム遷移金属複合酸化物を用いるのが望ましい。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。
負極も、上記した活物質と結着剤と導電剤とを含んでもよい。そして、これら電極材料を、導電性の担体(集電体)に担持して対極を製造することができる。集電体としては上記と同様のものを使用できる。
正極と負極の間にはセパレータが配置されている。セパレータとしては、例えば、後述する電解液を吸収保持するガラス繊維製セパレータ、ポリマーからなる多孔性シート及び不織布を挙げることができる。多孔性シートは、例えば、微多孔質のポリマーで構成される。このような多孔性シートを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミド、アラミドが挙げられる。特にポリオレフィン系微多孔質セパレータ及びガラス繊維製セパレータは、有機溶媒に対して化学的に安定であるという性質があり、電解液との反応性を低く抑えることができることから好ましい。多孔性シートからなるセパレータの厚みは限定されないが、車両のモータ駆動用二次電池の用途においては、単層又は多層で全体の厚み4〜60μmであることが好ましい。また、多孔性シートからなるセパレータの微細孔径は、最大で10μm以下(通常、10〜100nm程度)、空孔率は20〜80%であることが好ましい。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン(登録商標)、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独又は混合して用いる。不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大する場合がある。
<電解液>
本願の電解液は、エーテル化合物及びアルカリ金属塩を含む。
このエーテル化合物は下式で表される。
式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、及びハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基から成る群から選択される。
上記式中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、任意の位置がフッ素で置換されていてもよい。アルキル基の炭素数が9を超えると、エーテル化合物の極性が弱くなるため、アルカリ金属塩の溶解性が低下する傾向がある。そのため、アルキル基の炭素数は少ない方が好ましく、好ましくはメチル基及びエチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基としては、特に制限はないが、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2,4−ヨードフェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基としては、特に制限はないが、2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、4−ブロモシクロヘキシル基、2,4−ジブロモシクロヘキシル基、2−ヨードシクロヘキシル基、3−ヨードシクロヘキシル基、4−ヨードシクロヘキシル基、2,4−ジヨードシクロヘキシル基等が挙げられる。
は、H又はCHを表し、xが2以上の場合には、それぞれ互いに独立する。
xは、0〜10を表し、エチレンオキシド単位の繰り返し数を表わす。xは好ましくは1〜6、より好ましくは2〜5、最も好ましくは3又は4である。
このエーテル化合物は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン若しくはグライム又はその誘導体である。
上記一般式(化1)で表されるエーテル化合物は共に環を形成してもよく、この環状化合物としては、xが0の場合には、テトラヒドロフラン(THF)やその誘導体である2−メチルテトラヒドロフランが挙げられ、xが1の場合には、1,3−ジオキソランや1,4−ジオキサンが挙げられる。
グライムは、上記一般式(化1)(但し、RはHを表し、xは1以上を表し、直鎖化合物である。)で表され、モノグライム(G1、x=1)、ジグライム(G2、x=2)、トリグライム(G3、x=3)及びテトラグライム(G4、x=4)等が挙げられる。モノグライム(G1)としては、メチルモノグライム、エチルモノグライム等が挙げられ、ジグライム(G2)としては、エチリジグライム、ブチルジグライム等が挙げられる。
このエーテル化合物として、xが1〜10であるグライムを使用すると、電解液の熱安定性、イオン伝導性、電気化学的安定性をより向上でき、高電圧に耐え得る電解液となる。
電解液に用いるエーテル化合物は、一種が単独で使用されても、二種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
エーテル化合物の種類によっても電解液の酸化電位は変化する。そのため、二次電池に適用することを考慮すると、酸化電位が3.5〜5.3V vs Li/Li+になるように混合比等を調整することが好ましい。酸化電位はより好ましくは4.0〜5.3Vvs Li/Li+である。
本発明のエーテル化合物としては、トリグライム(G3)及びテトラグライム(G4)が好ましい。
上記したアルカリ金属塩はMXで表され、Mはアルカリ金属、Xは対の陰イオンとなる物質である。上記アルカリ金属塩は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を混合物の形態で使用してもよい。
Mとしては特に制限はなく、通常の電池に支持塩や活物質として使用されているアルカリ金属がいずれも使用可能である。具体的には、Li、Na、K、Rb及びCsが挙げられる。より好ましくはLi、Na及びKであり、汎用性の点から最も好ましくはLiである。
Xとしては、特に制限はないが、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、ClO、CFCO、AsF、SbF、AlCl、N(CFSO、N(CFCFSO、PF(C、N(FSO、N(FSO)(CFSO)、N(CFCFSO、N(C)、N(C)、N(CN)、N(CFSO)(CFCO)、 FBF(但し、 F=n-C2m+1、m=1〜4の自然数)及び BF(但し、 =n−C2p+1、p=1〜5の自然数)からなる群から選ばれる少なくとも一種であると好ましい。エーテル化合物に対する溶解性や、錯構造の形成しやすさの点から、より好ましくはN(CFSO、N(CFCFSO、及びPFである。
電解液には、上記のエーテル化合物及びアルカリ金属塩の他に、有機溶媒等の任意の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート類、各種エーテル類、及びこれらのフッ素化物、又はイオン液体などのオニウム塩が例示される。しかしながら、添加剤は、エーテル化合物とアルカリ金属塩との錯体形成を妨げないようにするため、電解液全体に対して50質量%以下であることが好ましい。また、添加剤の種類としては、錯体形成に過度の影響を与えることのないように、エーテル化合物よりもドナー数の低いものを加えることが好ましい。
特に、添加剤として上記した錯体を溶解させる溶媒を含むと好ましい。溶媒としてフッ素系溶媒が好ましく、このようなフッ素系溶媒としては、クロロフルオロカーボン(CFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、、パーフルオロポリエーテル(PFPE)及びハイドロフルオロポリエーテル(HFPE)が挙げられ、好ましくはハイドロフルオロカーボン(HFC)及びハイドロフルオロエーテル(HFE)、より好ましくはハイドロフルオロエーテル(HFE)である。
HFCは、C(式中、aは3以上の整数、bは1以上の整数、cは1以上の整数であり、b+c=2a+2またはb+c=2aである。)で表される化合物であり、例えば、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタンが挙げられる。
HFEは、R−O−R (式中、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基または含フッ素アルキル基であり、R及びRの少なくとも一方が含フッ素アルキル基である。また、R及びRに含まれる水素原子の数の合計は1個以上であり、かつR及びRに含まれる炭素原子の数の合計は7〜10である。)で表される化合物であり、例えば、2-トリフルオロメチル-3-エトキシドデカフルオロヘキサン、1-メチル-2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)エーテル、2,2,2-トリフルオロエチル(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)エーテルが挙げられる。
上記エーテル化合物とアルカリ金属塩の合計量に対する、フッ素系溶媒の混合比{(フッ素系溶媒)/(アルカリ金属塩)}は、モル換算で好ましくは0.50〜6.0、より好ましくは0.50〜5.0である。
本発明者が検討したところ、アルカリ金属−硫黄系二次電池の電解液として、上記エーテル化合物とアルカリ金属塩にさらに上記フッ素系溶媒を加えると、充電時及び放電時の出力密度が向上することが判明した。この理由は明確ではないが、電解液が上記溶媒を含有すると、イオン伝導率が増大して電流が流れやすくなり、また電解液の粘性率が低下し、硫黄-炭素複合電極内の細孔内部まで電解液が浸透しやすくなり、電極と電解液が電気化学反応できる界面が増大するためと考えられる。
(フッ素系溶媒)/(アルカリ金属塩)で表される比がモル換算で0.50未満であると、フッ素系溶媒が少なくて上述した効果が生じず、出力密度が向上しない。一方、上記比が6.0を超えても上述したフッ素系溶媒による効果が飽和し、コストアップとなることがある。
なお、電解液にフッ素系溶媒を加えると、上述のように出力密度が向上するものの、クーロン効率が低下する傾向にある。そこで、電解液にフッ素系溶媒を含有させつつ、正極にアニオン性高分子からなる結着剤を含有させることで、出力密度とクーロン効率が共に向上するので好ましい。
上記したエーテル化合物とアルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成していることは、これらを混合した電解液の熱重量測定で判定することができる。つまり、錯形成しているエーテル化合物は、錯形成していないエーテル化合物に比べて揮発しにくい。このため、エーテル化合物のみからなる電解液の熱重量測定による重量減少をベースとし、温度による重量減少がこのベースより少ない電解液は、エーテル化合物とアルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成しているとみなす。
図6、図7は、それぞれエーテル化合物としてトリグライム(G3)及びテトラグライム(G4)を用い、アルカリ金属塩として後述するLiTFSAを用いた電解液の熱重量測定の結果(温度上昇と重量減少の関係)のグラフを示す。なお、各エーテル化合物とLiTFSAの混合比(モル換算)を変えた電解液を調製し、電解液の温度を室温から550oCまで、10 oC min-1の昇温速度で上昇させて熱重量測定を行った。又、測定装置として、示唆熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツル社製のTG/DTA 6200)を用いた。
なお、図6のLiTFSA/G3=1は、エーテル化合物に対するLiTFSAの混合比(モル換算)が1であることを示す。又、図6のG3の示す曲線は、トリグライムのみからなる電解液の熱重量測定を示す。図7も同様である。
図7のように、重量減少の過程は、以下の(1)-(3)の3段階で進行することがわかる。
(1)100〜200℃までの重量減少は、錯形成していないエーテル化合物の蒸発に由来する
(2)200〜400℃までの重量減少は、錯形成しているエーテル化合物の蒸発に由来する
(3)400℃以上での重量減少は、アルカリ金属塩(LiTFSA)の熱分解に由来する
従って、上記 (2)のプロセスが熱重量測定の結果から確認できる場合、エーテル化合物が錯形成していると考えることができる。
なお、エーテル化合物に対するLiTFSAの混合比(モル換算)が1より大きい系では、すべてのエーテル化合物が錯体を形成しているため、(1)のプロセスがなく、200℃以上から重量減少が始まることがわかる。
電解液をゲル状のゲル電解質としてもよい。ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、電解液が注入されてなる構成を有する。電解液は、上記の本発明の電解液を使用する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(VDF−HEP)の共重合体、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)及びこれらの共重合体等が挙げられる。ポリアルキレンオキシド系高分子には、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
本発明において、上記エーテル化合物に対する上記アルカリ金属塩の混合比が、モル換算で0.50以上、上記エーテル化合物中の上記アルカリ金属塩の飽和濃度で決まる値以下であることが好ましい。
上記した非特許文献2,3に記載されているように、従来、リチウム−硫黄電池において、テトラグライムに対するLi塩(LiCFSO)の混合比を、モル換算で0.25以下(LiCFSOが1mol/ L以下)に調製した電解液を用いることが知られている。ところが、本発明者が検討したところ、このようなリチウム−硫黄電池の充放電を繰り返すと、充電時に副反応が生じてクーロン効率(放電容量/充電容量)が低下すると共に、充放電の繰り返しによって放電容量が大幅に低下し、電池寿命が短いことが判明した。
図2は、グライム(G4)に対するLi塩(後述する「LiTFSA」:LiN(CFSO)の混合比とクーロン効率との関係を示し、図3は、グライム(G4)に対するLi塩(LiN(CFSO)の混合比と放電容量維持率との関係を示す実験結果(後述)である。同様に、図4は、グライム(G3)に対するLi塩(LiN(CFSO)の混合比とクーロン効率との関係を示し、図5は、グライム(G3)に対するLi塩(LiN(CFSO)の混合比と放電容量維持率との関係を示す実験結果(後述)である。
上記混合比が0.50以上であると、充電時の副反応が抑制されクーロン効率が95%以上に向上すると共に、充放電の繰り返しによる放電容量の低下が抑制され放電容量維持率が向上し、電池寿命が長くなる。なお、上記混合比が高いほど、クーロン効率及び放電容量維持率が向上するが、混合比が上記エーテル化合物中の上記アルカリ金属塩の飽和濃度で決まる値を超えて高くなるとアルカリ金属塩がエーテル化合物に溶解しなくなる。
以上のことより、上記混合比をモル換算で0.50以上、上記エーテル化合物中の上記アルカリ金属塩の飽和濃度で決まる値以下に規定すると好ましい。
なお、エーテル化合物中のアルカリ金属塩の飽和濃度は、30℃のエーテル化合物にアルカリ金属塩を溶解させたとき、アルカリ金属塩の固形分が目視で確認できたときの濃度とする。
エーテル化合物としてG3(トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライムともいう))を用い、アルカリ金属塩をLi塩とした場合、G3中のLi塩の飽和濃度によって決まる上記混合比は、モル換算で1.67である。
エーテル化合物としてG4(テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライムともいう))を用い、アルカリ金属塩をLi塩とした場合、G4中のLi塩の飽和濃度によって決まる上記混合比は、モル換算で2.00である。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、%は質量%を示す。
<電解液の調製>
エーテル化合物として、テトラグライム(以下「G4」と称する)(キシダ化学社製)を用いた。
又、アルカリ金属塩として、以下の式2で示すリチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)アミド (以下「LiTFSA」と称する) (森田化学工業社製)を用いた。
G4と、LiTFSAとをアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、混合比(LiTFSA)/(G4)=1.00(モル換算)で混合して電解液を調製した。又、一部の実験では、さらに、この混合物にFCHC−O−CFCFH(フッ素系溶媒;2,2,2-トリフルオロエチル(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)エーテル))(ダイキン工業社製)を、(フッ素系溶媒)/(LiTFSA)で表される混合比がモル換算で5.0の割合で加えた。
<リチウム−硫黄電池の作製>
単体硫黄(S8)を硫黄系電極活物質とし、単体硫黄を60 wt%、導電剤としてケッチェンブラックを30 wt%、結着剤として以下の化合物を10 wt%の割合で混合し、正極の電極材料2a(図1参照)を調製した。まず、単体硫黄とケッチェンブラックを混合後、155 oCで加熱することで単体硫黄とケッチェンブラックを複合化した。この混合物に対し、さらに以下の化合物を溶解した適量のNMP (N-メチルピロリドン)又は水を加え、スラリー状に混錬した。得られたスラリーを厚さ10μmのアルミニウム箔(集電体)2bに塗布した後、NMP の場合は80oCで12時間乾燥し、水の場合は110oCで12時間乾燥してこれらNMP又は水を蒸発させた後、プレスして正極2(図1参照)を得た。厚さ200μmのリチウム金属板を厚さ0.5mmのステンレスディスクに貼り付けて負極を作製した。
結着剤として、それぞれ上述したPALi、Nafion-Li、及びPAAを用いた。又、比較となる結着剤として、PVA (ポリビニルアルコール)を用いた。
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、正極2に上記電解液を適量加え、60℃で60分間、電解液を正極2に浸漬させた。正極2と負極(対極)4とを、セパレータ6(厚さ200μmの東洋濾紙社製のガラス製セパレータ(商品名GA-55))を介して積層し、さらに上記電解液を注入した後、2032型のコインセルケース20(SUS304製の厚さ3.2mm)に封入し、負極(対極)4の上にスペーサ12を載置した。スペーサ12の上にスプリング14を配置した。スプリング14の上から蓋22でコインセルケース20を封止し、図1に示す構造のリチウム−硫黄電池50を作製した。なお、コインセルケース20の側壁にはガスケット10が介装されている。
<評価>
(1)充放電試験
上記のようにして得られた二次電池について、充放電試験を行い、放電容量を求めた。充放電評価は、電流密度を1/12 C (12 時間率、電極活物質の理論容量をn (時間) で放電又は充電する電流値を1/n のC レートと表す)として定電流充電し、充放電電圧は1.5−3.3Vの範囲として実施した。同様に、放電条件を1/12 Cとした。評価は、30℃一定に保持された恒温槽中で実施した。
なお、正極(硫黄電極)は充電状態で作製されるため、充放電サイクルの第1サイクルは放電過程のみ進行し、第2サイクル目以降は充電と放電過程が進行する。したがって、充放電の順序は、第1サイクルの放電→第2サイクルの充電→第2サイクルの放電→第3サイクルの充電→第3サイクルの放電となる。充放電サイクルは40サイクル行った。
得られた充電容量と放電容量(mAh/g:gは単体硫黄の質量当り)から、充放電サイクルの各サイクルで、クーロン効率(%)=放電容量/充電容量を求めた。クーロン効率は、充電した電気量を放電でどれだけ取りだせるかを示す値であり、値が100(%)に近いほど良い。
また、表1に示すように、テトラグライム(G4)に代わりに、他のグライム(G1、G2)(キシダ化学社製)又はTHF(和光純薬工業社製)を用いて、同様にして実験を行った。
得られた結果を表1、図2〜図5、図8〜図11に示す。
表1、図8、図9に示すように、正極中の結着剤として、PALi又はNafion-Liを用いた場合、結着剤としてPVAを用いた場合に比べ、充放電容量が同等であり、クーロン効率が約1%向上した。なお、クーロン効率がわずか1%向上するだけでも、例えば1000サイクルの充放電後には、クーロン効率の向上効果がべき乗で作用するために、充放電容量の低下を大幅に抑制できることになる。
なお、結着剤として、Liを対イオンとする側鎖を有しないPAAを用いた場合、電解液の正極への浸み込みが良好でないためPVAに比べて放電容量が低下した。
2 正極
4 負極(対極)
50 リチウム−硫黄電池

Claims (5)

  1. 単体硫黄、リチウム多硫化物;Li 2 S x (1≦x≦8)、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質と、結着剤とを有する正極と、
    下記式
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜9のフッ素置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、及びハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシル基から成る群から選択され、但しこれらは共に環を形成してもよく、Rは、それぞれ独立して、H又はCH3を表し、xは0〜10を表す。)で表されるエーテル化合物と、アルカリ金属塩であるリチウム塩と、を含み、前記エーテル化合物と前記アルカリ金属塩との少なくとも一部が前記リチウム多硫化物を溶解しない錯体を形成している電解液と、
    前記正極の対極であって、前記アルカリ金属、前記アルカリ金属を含む合金、又は炭素を有する負極と、
    を備え、
    前記電解液がさらに、前記錯体を溶解させるフッ素溶媒であるハイドロフルオロカーボン又はハイドロフルオロエーテルを含み、
    前記結着剤は、アニオン性高分子であって前記アルカリ金属を酸性基の対カチオンとするアルカリ金属塩型の高分子であるポリアクリル酸リチウム(PALi)、ナフィオン(登録商標)リチウム塩(Nafion−Li)、ポリメタクリル酸リチウム(PMALi)、ポリスチレンスルホン酸リチウム(PSSLi)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸リチウム(PAMPSLi)、ポリビニルスルホン酸リチウム(PVSLi)、スルホン酸化ポリイミドリチウム塩(PSPI−Li)、カルボキシメチルセルロースリチウム塩(CMC−Li)、又は、前記アルカリ金属以外のイオンを酸性基の対カチオンとする非アルカリ金属イオン型の高分子であるポリアクリル酸テトラエチルアンモニウム、ポリアクリル酸 1−エチル―3−メチルイミダゾリウム、ポリアクリル酸 テトラブチルホスホニウムであるアルカリ金属−硫黄系二次電池。
  2. 前記結着剤は、ポリアクリル酸リチウム(PALi)、または、ナフィオン(登録商標)リチウム塩(Nafion−Li)である請求項1に記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
  3. 前記エーテル化合物が、トリグライムまたはテトラグライムである請求項に記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
  4. 前記アルカリ金属塩がMXで表され、ここで、Mはアルカリ金属であるリチウム、Xは、Cl、Br、I、BF、PF、CFSO、ClO、CFCO、AsF、SbF、AlCl、N(CFSO、N(CFCFSO、PF(C、N(FSO、N(FSO)(CFSO)、N(CFCFSO、N(C)、N(C)、N(CN)、N(CFSO)(CFCO)、 FBF(但し、 F=n-C2m+1、m=1〜4の自然数)及び BF(但し、 =n−C2p+1、p=1〜5の自然数)からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜のいずれか一項に記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
  5. 前記正極がさらに、導電剤を含む請求項1〜のいずれかに記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
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