JP5729389B2 - 二次電池正極用水系バインダー組成物、二次電池正極用スラリー組成物、二次電池正極及び二次電池 - Google Patents

二次電池正極用水系バインダー組成物、二次電池正極用スラリー組成物、二次電池正極及び二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の二次電池に使用される正極を形成するために用いられる二次電池正極用水系バインダー組成物に関する。
近年、ノート型パソコン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末の普及が著しい。これら携帯端末の電源に用いられている二次電池には、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などが多用されている。携帯端末は、より快適な携帯性が求められて小型化、薄型化、軽量化、高性能化が急速に進み、その結果、携帯端末は様々な場で利用されるようになっている。また、電池に対しても、携帯端末に対するのと同様に、小型化、薄型化、軽量化、高性能化が要求されている。
例えば、リチウムイオンを吸蔵放出する導電性炭素質材料を負極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は、軽量でエネルギー密度が大きいというその特徴から、導電性炭素質材料を負極活物質とし、結着剤としてポリマーバインダー(以下において「バインダー」と記載することがある。)が利用されている。
このポリマーバインダーには、活物質との接着性、電解液として使用される極性溶媒に対する耐性、電気化学的な環境下での安定性が求められる。従来からポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系のポリマーがこの分野に利用されてはいるが、電極膜を形成した際に導電性を阻害したり、集電体と電極膜間の接着強度が不足するなどの問題点がある。
特にフッ素系のポリマーを還元条件となる負極に用いた場合は、安定性が十分ではなく、二次電池のサイクル性が低下するなど問題点もある為、例えば、非フッ素系ポリマーとして、スチレンブタジエン系のバインダー等も知られている。
リチウムイオン二次電池の構成材料である負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができるグラファイト等の炭素材、リチウム金属又はこれらの合金やTiO、SnOなどのような金属酸化物も使用されているが、負極活物質中に、極微量の鉄など導電性不純物が含まれることがあり、これらは充放電に伴い、負極表面に樹状の金属析出物を形成する為、電池の容量や寿命の低下、安全性低下への課題がある。
一方、リチウムイオン二次電池の構成材料である正極活物質としては、鉄、マンガン、コバルト、クロム及び銅などの遷移金属を含有する活物質が用いられている。これらの活物質を用いた二次電池は充放電を繰り返すと、遷移金属イオンが電解液中に溶出し、結果として電池容量やサイクル特性が低下することがあり、大きな課題となっている。
また、正極から溶出した遷移金属イオンが負極表面において還元され析出することにより、樹状の金属析出物を形成し、これがセパレーターを破損することで、電池としての安全性が低下することも大きな問題とされている。
リチウムイオン二次電池に用いられる電極は、通常、電極活物質層が集電体に積層された構造を有しており、電極活物質層には、電極活物質の他に、電極活物質同士及び電極活物質と集電体とを結着させるためバインダーが用いられている。電極は、通常、水や有機液体等の液状媒体にバインダーとなる重合体を分散または溶解させたバインダー組成物に活物質および必要に応じて導電性カーボン等の導電剤を混合してスラリー組成物を得、このスラリー組成物を集電体に塗布し、乾燥して製造される。
特許文献1には、有機液状媒体を用いたバインダー組成物よりも性能、安全性及び環境の観点に優れるバインダー組成物として、バインダーとなる重合体を水に分散させたバインダー組成物が記載されている。また、特許文献1には、マンガンやコバルトを含有する正極活物質を用いることが記載されている。
特開2005−85557号公報
しかしながら、発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の水系バインダー組成物は、製造後の貯蔵タンクでの保存においてや、コンテナやポリ容器等の輸送容器に充填出荷中などにおいて長期保存をすると、該バインダー組成物の粘度変化が生じたり、更には凝集物が発生したりすることがあった。更には電極活物質と混合して得られたスラリー組成物も、粘度変化が生じたり、凝集物が発生したりすることもあり、その結果、所望とする極板が作製できなくなったり、得られた電池の特性にバラツキがみられることもあった。
更に、特許文献1に記載の二次電池は充放電を繰り返すと、遷移金属イオンが電解液中に溶出し、結果として電池容量が低下するという問題があること、並びに、溶出した遷移金属イオンが負極表面に樹状析出することにより、電池の寿命(特に高温サイクル特性)や安全性が低下するという問題があることがわかった。
したがって、本発明は、長期保存安定性に優れ、得られる二次電池のサイクル特性及び安全性を向上させることができる二次電池正極用水系バインダー組成物、該バインダー組成物を用いた二次電池正極用スラリー組成物、二次電池正極及び二次電池を提供することを目的としている。
そこで、本発明者らが検討した結果、特定組成のバインダーを含有する組成物に、特定量範囲のイソチアゾリン系化合物及びキレート化合物を含有させることで、バインダー組成物の長期保存安定性が良好になると共に、得られる二次電池のサイクル特性及び安全性を向上させることができることを見出した。
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、酸性基を有するビニル単量体単位、及びα,β−不飽和ニトリル単量体単位を有するバインダーと、
該バインダー100質量部に対し、イソチアゾリン系化合物0.001〜1.0質量部と、キレート化合物0.001〜1.0質量部とを含有する二次電池正極用水系バインダー組成物。
(2)前記バインダーが、前記各単量体単位と共重合可能な他の単量体単位をさらに含み、該他の単量体単位が、架橋性基を有する単量体単位である(1)に記載の二次電池正極用水系バインダー組成物。
(3)前記酸性基を有するビニル単量体単位が、カルボン酸基を有するビニル単量体単位である(1)または(2)に記載の二次電池正極用水系バインダー組成物。
(4)前記キレート化合物が、アミノカルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸からなる群より選択される(1)〜(3)のいずれかに記載の二次電池正極用水系バインダー組成物。
(5)前記バインダー100質量部に対し、ピリチオン化合物を0.001〜1.0質量部含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の二次電池正極用水系バインダー組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の二次電池正極用水系バインダー組成物及び正極活物質を含有してなる二次電池正極用スラリー組成物。
(7)上記(6)に記載の二次電池正極用スラリー組成物からなる正極活物質層を集電体上に形成してなる二次電池正極。
(8)正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなる二次電池であって、前記正極が(7)に記載の二次電池正極である二次電池。
本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、酸性基を有するビニル単量体単位、及びα,β−不飽和ニトリル単量体単位を有するバインダーと、該バインダー100質量部に対し特定量のイソチアゾリン系化合物と、特定量のキレート化合物とを含有する二次電池負極用水系バインダー組成物を用いることで、バインダー組成物の長期保存安定性が良好になる。また、該バインダー組成物中のキレート化合物は、充放電時に電解液中に溶出する遷移金属イオンを捕捉するため、遷移金属イオンに起因する、二次電池のサイクル特性(特に高温サイクル特性)及び安全性の低下を防ぐことができる。更に、該バインダー組成物を用いた二次電池正極は充放電を繰り返しても劣化しにくく、二次電池の寿命を延ばすことができる。
以下、(1)二次電池正極用水系バインダー組成物、(2)二次電池正極用スラリー組成物、(3)二次電池正極および(4)二次電池について順次説明する。
(1)二次電池正極用水系バインダー組成物
本発明の二次電池正極用水系バインダー組成物は、バインダーと、特定量のイソチアゾリン系化合物と、特定量のキレート化合物とを含有する。
バインダーは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、酸性基を有するビニル単量体単位、及びα,β−不飽和ニトリル単量体単位を有する。
前記の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合して得られる重合体繰り返し単位であり、酸性基を有するビニル単量体単位は、酸性基を有するビニル単量体を重合して得られる重合体繰り返し単位であり、α,β−不飽和ニトリル単量体単位はα,β−不飽和ニトリル単量体を重合して得られる重合体繰り返し単位である。また、後述するこれらと共重合可能な他の単量体単位は、共重合可能な他の単量体を重合して得られる重合体繰り返し単位である。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」、及び「(メタ)アリル」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、並びに「アリル及び/又はメタアリル」を表すものとする。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
これらの中でも、電解液に溶出せずに電解液への適度な膨潤によるリチウムイオンの伝導性を示すこと、加えて活物質の分散においてポリマーによる橋架け凝集を起こしにくいことから、非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が7〜13のアクリル酸アルキルエステルである、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレートが好ましく、非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が8〜10のオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレートがより好ましい。
酸性基を有するビニル単量体は、酸性を示すビニル単量体であり、具体的には、−COOH基(カルボン酸基)を有するビニル単量体、−OH基(水酸基)を有するビニル単量体、−SOH基(スルホン酸基)を有するビニル単量体、−PO基を有するビニル単量体、−PO(OH)(OR)基(Rは炭化水素基を表す)を有するビニル単量体、及び低級ポリオキシアルキレン基を有するビニル単量体、及び加水分解によりカルボン酸基を生成するビニル単量体が挙げられる。
カルボン酸基を有するビニル単量体としては、モノカルボン酸及びその誘導体やジカルボン酸、及びこれらの誘導体などが挙げられる。モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。モノカルボン酸誘導体としては、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α―アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β−E−メトキシアクリル酸、β−ジアミノアクリル酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。ジカルボン酸誘導体としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸などマレイン酸メチルアリル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキルなどのマレイン酸モノエステル;が挙げられる。
水酸基を有するビニル単量体としては、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オールなどのエチレン性不飽和アルコール;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、マレイン酸−ジ−2−ヒドロキシエチル、マレイン酸ジ−4−ヒドロキシブチル、イタコン酸ジ−2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアルカノールエステル類;一般式CH=CR−COO−(C2nO)−H(mは2ないし9の整数、nは2ないし4の整数、Rは水素またはメチル基を表す)で表されるポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシフタレート、2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシサクシネートなどのジカルボン酸のジヒドロキシエステルのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−4−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−6−ヒドロキシヘキシルエーテルなどのアルキレングリコールのモノ(メタ)アリルエーテル類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコール(メタ)モノアリルエーテル類;グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリル−2−クロロ−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルエーテルなどの、(ポリ)アルキレングリコールのハロゲン及びヒドロキシ置換体のモノ(メタ)アリルエーテル;
オイゲノール、イソオイゲノールなどの多価フェノールのモノ(メタ)アリルエーテル及びそのハロゲン置換体;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルチオエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルチオエーテルなどのアルキレングリコールの(メタ)アリルチオエーテル類;などが挙げられる。
スルホン酸基を有するビニル単量体としては、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
−PO基及び/又は−PO(OH)(OR)基(Rは炭化水素基を表す)を有するビニル単量体としては、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
低級ポリオキシアルキレン基を有するビニル単量体としては、ポリ(エチレンオキシド)等のポリ(アルキレンオキシド)などが挙げられる。
加水分解によりカルボン酸基を生成するビニル単量体としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸などのジカルボン酸の酸無水物が挙げられる。
これらの中でも、集電体への密着性に優れること及び、後述するスラリー組成物の分散安定性や正極活物質から溶出した遷移金属の捕捉能に優れるという理由からカルボン酸基を有するビニル単量体が好ましく、中でも、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸基を有する炭素数5以下のモノカルボン酸や、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸基を2つ有する炭素数5以下のジカルボン酸が好ましい。さらには、作製したバインダーの保存安定性がより高いという観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。
本発明においてα,β−不飽和ニトリル単量体の単量体単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられる。バインダーの機械的強度及び結着力の向上という観点から、アクリロニトリルやメタクリロニトリルが好ましい。
本発明において、バインダーは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、酸性基を有するビニル単量体単位及びα,β−不飽和ニトリル単量体単位を必須成分として有するが、さらにこれらと共重合可能な他の単量体単位を有していてもよい。
これらと共重合可能な他の単量体としては、架橋性基を有する単量体(以下において「架橋性基含有単量体」と記載することがある。)、2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル単量体、ハロゲン原子含有単量体、ビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量体、ビニルケトン単量体、複素環含有ビニル単量体、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。中でも、少量でバインダーの架橋密度を高くすることができ、かつ電解液膨潤性を低くすることができ、その結果得られる二次電池の寿命特性を向上できる点で、架橋性基を有する単量体が好ましい。
架橋性基含有単量体としては、熱架橋性の架橋性基を有する1つのオレフィン性二重結合を持つ単官能性単量体、少なくとも2つのオレフィン性二重結合を持つ多官能性単量体が挙げられる。
1つのオレフィン性二重結合を持つ単官能性単量体に含まれる熱架橋性の架橋性基としては、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキセタニル基、及びオキサゾリン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む単量体が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基を含有する単量体が架橋及び架橋密度の調節が容易な点でより好ましい。
エポキシ基を含有する単量体としては、炭素−炭素二重結合およびエポキシ基を含有する単量体と、ハロゲン原子およびエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
炭素−炭素二重結合およびエポキシ基を含有する単量体としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類;が挙げられる。
ハロゲン原子およびエポキシ基を有する単量体としては、たとえば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピフルオロヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリン;p−クロロスチレンオキシド;ジブロモフェニルグリシジルエーテル;が挙げられる。
N−メチロールアミド基を含有する単量体としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を有する(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
オキセタニル基を含有する単量体としては、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−4−トリフロロメチルオキセタンなどが挙げられる。
オキサゾリン基を含有する単量体としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
少なくとも2つのオレフィン性二重結合を持つ多官能性単量体としてはアリルアクリレートまたはアリルメタクリレート、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパン−トリアクリレート、トリメチロールプロパン−メタクリレート、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、または多官能性アルコールの他のアリルまたはビニルエーテル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリアリルアミン、トリメチロールプロパン−ジアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミドおよび/またはジビニルベンゼンが挙げられる。
これらの中でも、架橋密度が向上しやすく、結着性や耐電解液性に優れる点から、少なくとも2つのオレフィン性二重結合を有する多官能性単量体が好ましく、更に架橋密度の向上および共重合性が高いという観点の理由でアリルアクリレートまたはアリルメタクリレートが好ましい。
2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル単量体としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
ハロゲン原子含有単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。
ビニルエステル単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルが挙げられる。
ビニルエーテル単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビエルエーテルが挙げられる。
ビニルケトン単量体としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトンが挙げられる。
複素環含有ビニル単量体としては、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等が挙げられる。
本発明におけるバインダーの各単量体単位の比率は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%であり、酸性基を有するビニル単量体単位が好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1.0〜7.0質量%であり、α,β−不飽和ニトリル単量体単位が好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%であり、これらと共重合可能な他の単量体単位が、好ましくは0.05〜47質量%、より好ましくは0.1〜37質量%である。なお、共重合可能な他の単量体として架橋性基含有単量体を用いる場合、架橋性基含有単量体単位の比率は、好ましくは0.05〜2.0質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
バインダーが(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有しないと、バインダーの柔軟性が損なわれ、その結果、極板が脆くなってしまう。また、電解液への適度な膨潤性が低くなり、リチウムイオン伝導性も低くなる。バインダー中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の比率が上記範囲であることにより、柔軟性を維持したまま、極板の捲回性とリチウムイオン伝導性を確保することができる。
バインダーが酸性基を有するビニル単量体単位を含有しないと、バインダー自身の分散安定性やスラリー安定性が低下し、更には極板の密着性が低下する。バインダー中の酸性基を有するビニル単量体単位の比率が上記範囲であることにより、バインダーの分散安定性、スラリー安定性、極板の密着性を向上することができる。
バインダーがα,β−不飽和ニトリル単量体単位を含有しないと、バインダーの機械的強度や極板の密着性が低下し、その結果得られる二次電池の寿命特性(サイクル特性)が低下する。またバインダー中のα,β−不飽和ニトリル単量体単位の比率が上記範囲であることにより、極板の密着性が向上し、その結果得られる二次電池の寿命特性(サイクル特性)が向上する。
本発明の二次電池正極用水系バインダー組成物には、特定量のイソチアゾリン系化合物が含まれる。本発明のバインダー組成物は、特定量のイソチアゾリン系化合物を含有することで、菌類の繁殖を抑制することができるため、異臭の発生や該バインダー組成物の増粘を防ぐことができ、長期保存安定性に優れる。
イソチアゾリン系化合物は、一般的な防腐剤としては公知の化合物であり、下記構造式(1)で示される。
Figure 0005729389
(式中、Yは水素又は置換されていてもよい炭化水素基を、X及びXは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基をそれぞれ示す。なお、X、Xが共同して芳香環を形成してもよい。なお、X及びXは、それぞれ同一でもよく、相異なっていてもよい。)
まず、上記構造式(1)で表されるイソチアゾリン系化合物について説明する。
上記構造式(1)において、Yは水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示す。Yで示される置換されていてもよい炭化水素基の置換基としては、例えばヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、炭素数1〜4のアルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基等)及び炭素数6〜10のアリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)等が挙げられる。前記置換基の中では、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。これらの置換基は1〜5個、好ましくは1〜3個の範囲で前記炭化水素基の水素を置換していてもよく、また前記置換基はそれぞれ同一でもよく、相異なっていてもよい。
Yで示される置換されていてもよい炭化水素基の該炭化水素基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基等が挙げられる。前記炭化水素基の中では炭素数1〜10のアルキル基や炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
前記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、ノニル基及びデシル基等が挙げられる。これらアルキル基の中では、例えばメチル基、エチル基等の炭素数1〜3のアルキル基や、例えばオクチル基、tert−オクチル基等の炭素数7〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
前記炭素数2〜6のアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基等が挙げられる。前記アルケニル基の中では、ビニル基、アリル基が好ましい。
前記炭素数2〜6のアルキニル基としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等が挙げられる。前記アルキニル基の中では、エチニル基、プロピニル基が好ましい。
前記炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。前記シクロアルキル基の中では、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
前記炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。前記アリール基の中では、フェニル基が好ましい。
以上説明したように、Yで示される置換されていてもよい炭化水素基として種々のものが挙げられるが、これら炭化水素基の中では、メチル基やオクチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
上記構造式(1)において、X及びXは、同一又は相異なる水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基をそれぞれ示す。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられ、これらの中では塩素原子が好ましい。
前記炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。前記アルキル基の中では、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。以上説明した置換基の中で、Xとしては水素原子又は塩素原子がより好ましく、塩素原子がさらに好ましい。また、Xとしては水素原子又は塩素原子がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
上記構造式(1)で表されるイソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−t−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
これらの化合物の中では、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下において「CIT」と表すことがある。)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下において「MIT」と表すことがある。)、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下において「OIT」と表すことがある。)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンや2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンがより好ましい。
下記構造式(2)は、上記構造式(1)において、X、Xが共同して芳香環を形成したもののうち、ベンゼン環を形成した場合を示す。
Figure 0005729389
(式中、Yは構造式(1)の場合と同様であり、X〜Xは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基をそれぞれ示す。)
上記構造式(2)において、X〜Xは、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基等)、炭素数1〜4のアルコキシ基(例えばメトキシ基及びエトキシ基等)等が挙げられるが、これらの中では、ハロゲン原子や炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。これらX〜Xは、それぞれ同一でもよく、相異なっていてもよい。
上記構造式(2)で表わされるイソチアゾリン系化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下において「BIT」と表すことがある。)、N−メチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
これらイソチアゾリン系化合物は、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。水系バインダー組成物の長期貯蔵安定性と該バインダー組成物を用いた電池特性(サイクル寿命)においては、これらの中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが含まれることが特に好ましい。
本発明においては、前記の特定の単量体単位を含む特定組成のバインダーに対する、イソチアゾリン系化合物の含有量は、該バインダー100質量部(固形分換算)に対し、0.001〜1.0質量部の範囲であり、好ましくは0.005〜0.5質量部、より好ましくは0.01〜0.1質量部である。イソチアゾリン系化合物の含有量が0.001質量部未満では、前記特定組成のバインダーの組成物中における菌類の繁殖が抑制されず、該バインダー組成物の長期保存安定性が低下する。また、同バインダー組成物中における菌類の繁殖に伴い、バインダー組成物が変性し、バインダー組成物の粘度が増加する。その結果、バインダー組成物の取扱いが困難になると共にピール強度が低下する。一方、イソチアゾリン系化合物の含有量が1.0質量部を超えると、防菌効果にかかわらず、該バインダー組成物を用いた二次電池のサイクル特性が低下する。
なお、本発明においては、本発明の効果を妨げない範囲において、上記のイソチアゾリン系化合物以外の防腐剤を使用することを何ら妨げるものではない。
本発明の二次電池正極用水系バインダー組成物には、特定量のキレート化合物が含まれる。本発明のバインダー組成物は特定量のキレート化合物を含有することにより、該バインダー組成物を用いた二次電池の充放電時に電解液中に溶出する遷移金属イオンを捕捉することができるため、遷移金属イオンに起因した二次電池のサイクル特性と安全性の低下を防ぐことができる。
キレート化合物は、特に限定されないが、好ましくは、アミノカルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群より選択される。これらの中でも特に、リチウムイオンを捕捉することなく、遷移金属イオンを選択的に捕捉可能なキレート化合物が用いられ、特に下記のようなアミノカルボン酸系キレート化合物及びホスホン酸系キレート化合物が好ましく用いられる。
アミノカルボン酸系キレート化合物としては、エチレンジアミン四酢酸(以下において「EDTA」と表すことがある。)、ニトリロ三酢酸(以下において「NTA」と表すことがある。)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(以下において「CyDTA」と表すことがある。)、ジエチレン−トリアミン五酢酸(以下において「DTPA」と表すことがある。)、ビス−(アミノエチル)グリコールエーテル−N,N,N’,N’−四酢酸(以下において「EGTA」と表すことがある。)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸(以下において「HEDTA」と表すことがある。)及びジヒドロキシエチルグリシン(以下において「DHEG」と表すことがある。)からなる群より選択されることが好ましい。
ホスホン酸系キレート化合物としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(以下において「HEDP」と表すことがある。)が好ましい。
本発明においては、前記の特定の単量体単位を含む特定組成のバインダーに対する、キレート化合物の含有量は、該バインダー100質量部(固形分換算)に対し、0.001〜1.0質量部の範囲であり、好ましくは0.005〜0.5質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。キレート化合物の含有量が0.001質量部未満では、遷移金属イオンの捕捉能に乏しいため、二次電池のサイクル特性が低下する。また、1.0質量部を超えると、それ以上の遷移金属捕捉効果が望めないだけでなく、該バインダー組成物を用いた二次電池のサイクル特性が低下することがある。
また、本発明の二次電池正極用水系バインダー組成物には、上述のバインダー100質量部(固形分換算)に対し、好ましくは0.001〜1.0質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部、特に好ましくは0.01〜0.1質量部のピリチオン化合物が含まれることが好ましい。
ところで、工業用抗菌組成物として用いられる物質においては、抗菌効果と安全性とが相反し、抗菌力に優れた物質は変異原性を有する等、安全性に問題を有する傾向がある。
前記イソチアゾリン系化合物の中でも、CITは、高い抗菌効果を有するが変異原性を有し、又はアレルギーを引き起こし易いといった安全性の問題があることが知られている。また系中のpHが9以上になると抗菌力の低下が大きい。MITは、安全性は高いが、CITに比して抗菌効果がやや劣り、またCIT同様、アルカリ性で安定性が低下する。BITは、比較的安定性が高いが、即効性がやや低く、また系中のpHが9以上になるとやはり抗菌力が徐々に低下してしまう。
ピリチオン化合物はアルカリ性でも安定である為、イソチアゾリン系化合物と併用することにより、アルカリ性条件下においても、防腐性能効果を延長でき、相乗効果により高い抗菌効果が得ることができる。
ピリチオン化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等の一価塩、及びカルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、アルミニウム、鉄等の多価塩が挙げられるが、水溶性である一価塩が好ましく、特に二次電池への汎用性及びサイクル特性の観点からナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩が好ましい。好ましいピリチオン化合物として、具体的には、ナトリウムピリチオン、カリウムピリチオン、リチウムピリチオンが挙げられる。これらの中でも、ナトリウムピリチオンが溶解度も高く好ましい。
本発明の二次電池正極用水系バインダー組成物は、後述する電極活物質や必要に応じて添加される導電剤を相互に結着させることができる組成物であり、結着力を有する重合体粒子であるバインダーが水系溶媒に溶解又は分散された溶液又は分散液(以下、これらを総称して「バインダーを含む水系分散液」と記載することがある)を必要に応じて濾過したものを用いてなる。
(バインダーを含む水系分散液の製造)
重合体からなるバインダーを含む水系分散液は、例えば、上記単量体を含む単量体組成物を、水系溶媒中で重合することにより製造される。重合体からなるバインダーを含む水系分散液を得る工程における単量体組成物中の各単量体の比率は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%であり、酸性基を有するビニル単量体単位が好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1.0〜7.0質量%であり、α,β−不飽和ニトリル単量体単位が好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%であり、これらと共重合可能な他の単量体単位が、好ましくは0.05〜47質量%、より好ましくは0.1〜37質量%である。なお、共重合可能な他の単量体として架橋性基含有単量体を用いる場合、架橋性基含有単量体単位の比率は、好ましくは0.05〜2.0質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
本明細書において水系溶媒とは、水又は親水性溶媒をいう。水系溶媒としては、バインダーの分散が可能なものであれば格別限定されることはなく、通常、常圧における沸点が80〜350℃、好ましくは100〜300℃の分散媒から選ばれる。なお、分散媒名の後の( )内の数字は常圧での沸点(単位℃)であり、小数点以下は四捨五入または切り捨てられた値である。例えば、ケトン類としては、ダイアセトンアルコール(169)、γ−ブチロラクトン(204);アルコール類としては、エチルアルコール(78)、イソプロピルアルコール(82)、ノルマルプロピルアルコール(97);グリコール類として、エチレングリコール(193)、プロピレングリコール(188)、ジエチレングリコール(244);グリコールエーテル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)、メチルセロソルブ(124)、エチルセロソルブ(136)、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル(152)、ブチルセロソルブ(171)、3−メトキシー3メチル−1−ブタノール(174)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(150)、ジエチレングリコールモノブチルピルエーテル(230)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(271)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(188);エーテル類としては、1,3−ジオキソラン(75)、1,4−ジオキソラン(101)、テトラヒドロフラン(66)が挙げられる。中でも、水は可燃性がなく、バインダーの分散体が容易に得られやすいという観点から最も好ましい。なお、主溶媒として水を使用して、バインダーの分散状態が確保可能な範囲において上記記載の水以外の水系溶媒を混合して用いて良い。
重合方法は、特に限定されず、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法も用いることができる。重合反応としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などが挙げられる。高分子量体が得やすい事、重合物がそのまま水に分散した状態で得られ、再分散化の処理が不要であり、そのまま二次電池正極用スラリー組成物作製に供することができるなど、製造効率の観点から、中でも乳化重合法が最も好ましい。
乳化重合法は、常法、例えば「実験化学講座」第28巻、(発行元:丸善(株)、日本化学会編)に記載された方法、すなわち、攪拌機および加熱装置付きの密閉容器に水、分散剤や乳化剤、架橋剤などの添加剤、開始剤およびモノマーを所定の組成になるように加え、攪拌してモノマーなどを水に乳化させ、攪拌しながら温度を上昇させて重合を開始する方法である。或いは、上記組成物を乳化させた後に密閉容器に入れ同様に反応を開始させる方法である。
乳化剤や分散剤、重合開始剤などは、これらの重合法において一般的に用いられるものであり、その使用量も一般に使用される量でよい。また重合に際しては、シード粒子を採用すること(シード重合)もできる。
重合温度および重合時間は、乳化重合の手法や使用する重合開始剤の種類などにより任意に選択できるが、通常、重合温度は約30℃以上、重合時間は0.5〜30時間程度である。アミン類などの添加剤を重合助剤として用いることもできる。さらにこれらの方法によって得られる重合体粒子の水系分散液に、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)水酸化物、アンモニア、無機アンモニウム化合物(NHClなど)、有機アミン化合物(エタノールアミン、ジエチルアミンなど)などが溶解している塩基性水溶液を加えてpH5〜10、好ましくは5〜9の範囲になるように調整することができる。なかでも、アルカリ金属水酸化物によるpH調整は、バインダー組成物と、集電体及び活物質との結着性(ピール強度)を向上させるため好ましい。
上述したバインダーは、2種以上の重合体からなる複合重合体粒子であってもよい。複合重合体粒子は、少なくとも1種のモノマー成分を常法により重合し、引き続き、他の少なくとも1種のモノマー成分を添加し、常法により重合させる方法(二段重合法)などによっても得ることができる。
重合に用いる重合開始剤としては、たとえば過酸化ラウロイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、α,α’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、または過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどが挙げられる。
また、前記重合において、連鎖移動剤を加えることが好ましい。連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタンが好ましく、具体的には、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンが挙げられる。中でも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが、重合安定性が良好であるという観点から好ましい。
また、上記アルキルメルカプタンと共に他の連鎖移動剤を併用してもよい。併用してもよい連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、アリルアルコール、アリルアミン、アリルスルフォン酸ソーダ(カリウム)、メタアリルスルフォン酸ソーダ(カリウム)等が挙げられる。上記の連載移動剤の使用量は、本願発明の効果を妨げない範囲で特に限定されない。
水系分散液中のバインダーの個数平均粒径は、50〜500nmが好ましく、70〜400nmがさらに好ましい。バインダーの個数平均粒径が上記範囲にあることで、得られる正極の強度および柔軟性が良好となる。重合体粒子の存在は、透過型電子顕微鏡法やコールターカウンター、レーザー回折散乱法などによって容易に測定することができる。
バインダーのガラス転移温度は、40℃以下であることが好ましく、より好ましくは、−75〜+30℃、更に好ましくは−55〜+20℃、最も好ましくは−35〜+15℃である。バインダーのガラス転移温度が、上記範囲であることにより、正極の柔軟性、結着性及び捲回性、正極活物質と集電体との密着性などの特性が高度にバランスされ好適である。
また、バインダーは、上記単量体を段階的に重合することにより得られるコアシェル構造を有する重合体粒子からなるバインダーであってもよい。
(二次電池正極用水系バインダー組成物の製造)
二次電池正極用水系バインダー組成物は、上記の水系分散液(以下「バインダー分散液」と記載することもある)に、該バインダー100質量部に対し、0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部、より好ましくは0.01〜0.1質量部のイソチアゾリン系化合物、及び、0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部のキレート化合物を添加し、混合することで製造される。なお、上述したバインダーを含む水系分散液の製造の際に、上記キレート化合物を添加し、キレート化合物の存在下において上記単量体を重合し、その後加熱減圧蒸留により未反応単量体を除去、冷却後、上記特定量のイソチアゾリン系化合物を添加・混合することで、二次電池正極用水系バインダー組成物を製造することもできる。
本発明において、上記キレート化合物は、加熱減圧蒸留により未反応単量体を除去の際に添加してもよく、またイソチアゾリン系化合物添加の際に同時に添加してもよい。また上記キレート剤は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の形で添加してもよい。
重合体の水系分散液に、イソチアゾリン系化合物及びキレート化合物を混合する方法は特に限定されず、例えば、撹拌式、振とう式、および回転式などの混合装置を使用した方法が挙げられる。また、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、プラネタリーミキサーおよび遊星式混練機などの分散混練装置を使用した方法が挙げられる。
また、本発明のバインダー組成物には、塗布性を向上させたり、充放電特性を向上させるために添加剤を加えることができる。これらの添加剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸−ビニルアルコール共重合体、メタクリル酸−ビニルアルコール共重合体、マレイン酸−ビニルアルコール共重合体、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル部分ケン化物などが挙げられる。これらの添加剤の使用割合は、バインダー組成物の固形分合計質量に対して、好ましくは300質量%未満、より好ましくは30質量%以上250質量%以下、特に好ましくは40質量%以上200質量%以下である。この範囲であれば、平滑性が優れた二次電池正極を得ることができる。これらの添加剤は、バインダー組成物に添加する方法以外に、後述する本発明の二次電池正極用スラリー組成物に添加することもできる。
(2)二次電池正極用スラリー組成物
本発明の二次電池正極用スラリー組成物は、上記二次電池正極用水系バインダー組成物及び正極活物質を含有する。以下においては、本発明の二次電池正極用スラリー組成物を、リチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物として用いる態様について説明する。
(正極活物質)
正極活物質は、リチウムイオンをドープ及び脱ドープ可能な活物質が用いられ、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。
無機化合物からなる正極活物質としては、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウムと遷移金属とのリチウム含有複合金属酸化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo等が使用される。
遷移金属酸化物としては、MnO、MnO、V、V13、TiO、Cu、非晶質VO−P、MoO、V、V13等が挙げられ、中でもサイクル安定性と容量からMnO、V、V13、TiOが好ましい。遷移金属硫化物としては、TiS、TiS、非晶質MoS、FeS等が挙げられる。リチウム含有複合金属酸化物としては、層状構造を有するリチウム含有複合金属酸化物、スピネル構造を有するリチウム含有複合金属酸化物、オリビン型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物などが挙げられる。
層状構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としてはリチウム含有コバルト酸化物(LiCoO)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)、Co−Ni−Mnのリチウム複合酸化物、Ni−Mn−Alのリチウム複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム複合酸化物等が挙げられる。スピネル構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としてはマンガン酸リチウム(LiMn)やMnの一部を他の遷移金属で置換したLi[Mn3/21/2]O(ここでMは、Cr、Fe、Co、Ni、Cu等)等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としてはLiMPO(式中、Mは、Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mg,Zn,V,Ca,Sr,Ba,Ti,Al,Si,B及びMoから選ばれる少なくとも1種、0≦X≦2)であらわされるオリビン型燐酸リチウム化合物が挙げられる。
有機化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子を用いることもできる。電気伝導性に乏しい、鉄系酸化物は、還元焼成時に炭素源物質を存在させることで、炭素材料で覆われた電極活物質として用いてもよい。また、これら化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。正極活物質は、上記の無機化合物と有機化合物の混合物であってもよい。
正極活物質の体積平均粒子径は、通常1〜50μm、好ましくは2〜30μmである。粒子径が上記範囲にあることにより、正極用スラリー組成物を調製する際の正極用バインダー組成物の量を少なくすることができ、電池の容量の低下を抑制できると共に、正極用スラリー組成物を、塗布するのに適正な粘度に調製することが容易になり、均一な電極を得ることができる。
本発明の二次電池正極用スラリー組成物における、正極活物質及びバインダー組成物の合計含有量は、スラリー組成物100質量部に対して、好ましくは10〜90質量部であり、さらに好ましくは30〜80質量部である。また正極活物質の総量に対するバインダー組成物の含有量(固形分相当量)は、正極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部であり、さらに好ましくは0.5〜2質量部である。スラリー組成物における正極活物質及びバインダー組成物の合計含有量とバインダー組成物の含有量が上記範囲であると、得られる二次電池正極用スラリー組成物の粘度が適正化され、塗工を円滑に行えるようになり、また得られた正極に関して抵抗が高くなることなく、十分な密着強度が得られる。その結果、極板プレス工程における正極活物質からのバインダー組成物の剥がれを抑制することができる。
(分散媒)
本発明では、分散媒として水を用いる。本発明においては、バインダー組成物の分散安定性を損なわない範囲であれば、分散媒として水に親水性の溶媒を混ぜたものを使用してもよい。親水性の溶媒としては、メタノール、エタノール、N−メチルピロリドンなどがあげられ、水に対して5質量%以下であることが好ましい。
(導電剤)
本発明の二次電池正極用スラリー組成物においては、導電剤を含有することが好ましい。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、およびカーボンナノチューブ等の導電性カーボンを使用することができる。導電剤を含有することにより、正極活物質同士の電気的接触を向上させることができ、二次電池に用いる場合に放電レート特性を改善することができる。スラリー組成物における導電剤の含有量は、正極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
(増粘剤)
本発明の二次電池正極用スラリー組成物においては、増粘剤を含有することが好ましい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマーおよびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリ(メタ)アクリル酸およびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリビニルアルコール、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸又はマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体などのポリビニルアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、変性ポリアクリル酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。
増粘剤の配合量は、正極活物質100質量部に対して、0.5〜1.5質量部が好ましい。増粘剤の配合量が上記範囲であると、塗工性、集電体との密着性が良好である。本発明において、「(変性)ポリ」は「未変性ポリ」又は「変性ポリ」を意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」又は「メタアクリル」を意味する。
二次電池正極用スラリー組成物には、上記成分のほかに、さらに補強材、レベリング剤、電解液分解抑制等の機能を有する電解液添加剤等の他の成分が含まれていてもよく、後述の二次電池正極中に含まれていてもよい。これらは電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られない。
補強材としては、各種の無機および有機の球状、板状、棒状または繊維状のフィラーが使用できる。補強材を用いることにより強靭で柔軟な正極を得ることができ、優れた長期サイクル特性を示すことができる。スラリー組成物における補強材の含有量は、正極活物質の総量100質量部に対して通常0.01〜20質量部、好ましくは1〜10質量である。上記範囲に含まれることにより、高い容量と高い負荷特性を示すことができる。
レベリング剤としては、アルキル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。レベリング剤を混合することにより、塗工時に発生するはじきを防止したり、正極の平滑性を向上させることができる。スラリー組成物中のレベリング剤の含有量は、正極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。レベリング剤が上記範囲であることにより正極作製時の生産性、平滑性及び電池特性に優れる。界面活性剤を含有させることによりスラリー組成物中の正極活物質等の分散性を向上することができ、さらにそれにより得られる正極の平滑性を向上させることができる。
電解液添加剤としては、スラリー組成物中及び電解液中に使用されるビニレンカーボネートなどを用いることができる。スラリー組成物中の電解液添加剤の含有量は、正極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。電解液添加剤が、上記範囲であることによりサイクル特性及び高温特性に優れる。その他には、フュームドシリカやフュームドアルミナなどのナノ微粒子が挙げられる。ナノ微粒子を混合することによりスラリー組成物のチキソ性をコントロールすることができ、さらにそれにより得られる正極のレベリング性を向上させることができる。スラリー組成物中のナノ微粒子の含有量は、正極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。ナノ微粒子が上記範囲であることによりスラリー安定性、生産性に優れ、高い電池特性を示す。
(二次電池正極用スラリー組成物の製造)
二次電池正極用スラリー組成物は、上記バインダー組成物、正極活物質および必要に応じ用いられる導電剤等を混合して得られる。該スラリー組成物を調製するときに使用する分散媒の量は、スラリー組成物の固形分濃度が、通常1〜50質量%、好ましくは5〜50質量%の範囲となる量である。固形分濃度がこの範囲にあるときに、上記バインダー組成物が均一に分散するため好適である。
混合法は特に限定はされないが、例えば、撹拌式、振とう式、および回転式などの混合装置を使用した方法が挙げられる。また、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、プラネタリーミキサーおよび遊星式混練機などの分散混練装置を使用した方法が挙げられる。
二次電池正極用スラリー組成物の粘度は、室温において、通常10〜3,000mPa・s、好ましくは30〜1,500mPa・s、より好ましくは50〜1,000mPa・sの範囲である。スラリー組成物の粘度がこの範囲にあると、後述する複合粒子の生産性を上げることができる。また、スラリー組成物の粘度が高いほど、噴霧液滴が大きくなり、得られる複合粒子の重量平均粒子径が大きくなる。
(3)二次電池正極
本発明の二次電池正極は、本発明の二次電池正極用スラリー組成物からなる正極活物質層を集電体上に形成してなる。
(二次電池正極の製造方法)
本発明の二次電池正極の製造方法は、特に限定されない。具体的には、(I)上記スラリー組成物をシート成形し、得られたシートを集電体上に積層し、正極活物質層を形成する方法(シート成形法)、(II)上記スラリー組成物を集電体の少なくとも片面、好ましくは両面に塗布、乾燥し、正極活物質層を形成する方法(湿式成形法)、及び(III)上記スラリー組成物から複合粒子を調製し、これを集電体上に供給してシート成形し、正極活物質層を形成する方法(乾式成形法)等が挙げられる。これらの中でも、(II)湿式成形法、又は(III)乾式成形法が好ましい。(II)湿式成形法は二次電池正極の生産効率に優れており、(III)乾式成形法は得られる二次電池正極の容量を高くでき、且つ内部抵抗を低減できる点で優れている。
(II)湿式成形法において、スラリー組成物を集電体上に塗布する方法は特に限定されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、およびハケ塗り法などの方法が挙げられる。
乾燥方法としては、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥時間は通常5〜30分であり、乾燥温度は通常40〜180℃である。
(III)乾式成形法における複合粒子は、上記スラリー組成物に含まれるバインダー組成物や正極活物質等が一体化した粒子をさす。正極活物質層を複合粒子を用いて形成することにより、得られる二次電池正極のピール強度をより高くできると共に、内部抵抗を低減することができる。
本発明に好適に用いる複合粒子は、本発明のバインダー組成物、正極活物質及び必要に応じて用いられる導電剤等を造粒することにより製造される。
複合粒子の造粒方法は特に制限されず、噴霧乾燥造粒法、転動層造粒法、圧縮型造粒法、攪拌型造粒法、押出し造粒法、破砕型造粒法、流動層造粒法、流動層多機能型造粒法、パルス燃焼式乾燥法、及び溶融造粒法などの公知の造粒法により製造することができる。中でも、表面付近にバインダー組成物及び導電剤が偏在した複合粒子を容易に得られるので、噴霧乾燥造粒法が好ましい。噴霧乾燥造粒法で得られる複合粒子を用いると、本発明の二次電池正極を高い生産性で得ることができる。また、二次電池正極の内部抵抗をより低減することができる。
噴霧乾燥造粒法では、本発明の二次電池正極用スラリー組成物を噴霧乾燥して造粒し、複合粒子を得る。噴霧乾燥は、熱風中にスラリー組成物を噴霧して乾燥することにより行う。スラリー組成物の噴霧に用いる装置としてアトマイザーが挙げられる。アトマイザーは、回転円盤方式と加圧方式との二種類の装置がある。回転円盤方式は、高速回転する円盤のほぼ中央にスラリー組成物を導入し、円盤の遠心力によってスラリー組成物が円盤の外に放たれ、その際にスラリー組成物を霧状にする方式である。円盤の回転速度は円盤の大きさに依存するが、通常は5,000〜40,000rpm、好ましくは15,000〜40,000rpmである。円盤の回転速度が低いほど、噴霧液滴が大きくなり、得られる複合粒子の重量平均粒子径が大きくなる。回転円盤方式のアトマイザーとしては、ピン型とベーン型が挙げられるが、好ましくはピン型アトマイザーである。ピン型アトマイザーは、噴霧盤を用いた遠心式の噴霧装置の一種であり、該噴霧盤が上下取付円板の間にその周縁に沿ったほぼ同心円上に着脱自在に複数の噴霧用コロを取り付けたもので構成されている。スラリー組成物は噴霧盤中央から導入され、遠心力によって噴霧用コロに付着し、コロ表面を外側へと移動し、最後にコロ表面から離れ噴霧される。一方、加圧方式は、スラリー組成物を加圧してノズルから霧状にして乾燥する方式である。
噴霧されるスラリー組成物の温度は、通常は室温であるが、加温して室温以上にしたものであってもよい。また、噴霧乾燥時の熱風温度は、通常80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。
噴霧乾燥において、熱風の吹き込み方法は特に制限されず、例えば、熱風と噴霧方向が横方向に並流する方式、乾燥塔頂部で噴霧され熱風と共に下降する方式、噴霧した滴と熱風が向流接触する方式、噴霧した滴が最初熱風と並流し次いで重力落下して向流接触する方式等が挙げられる。
本発明に好適に用いる複合粒子の形状は、実質的に球形であることが好ましい。すなわち、複合粒子の短軸径をL、長軸径をL、L=(L+L)/2とし、(1−(L−L)/L)×100の値を球形度(%)としたとき、球形度が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。ここで、短軸径Lおよび長軸径Lは、透過型電子顕微鏡写真像より測定される値である。
本発明に好適に用いる複合粒子の体積平均粒子径は、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μm、より好ましくは30〜60μmの範囲である。体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
本発明において、複合粒子を集電体上に供給する工程で用いられるフィーダーは、特に限定されないが、複合粒子を定量的に供給できる定量フィーダーであることが好ましい。ここで、定量的に供給できるとは、かかるフィーダーを用いて複合粒子を連続的に供給し、一定間隔で供給量を複数回測定し、その測定値の平均値mと標準偏差σmから求められるCV値(=σm/m×100)が4以下であることをいう。本発明に好適に用いられる定量フィーダーは、CV値が好ましくは2以下である。定量フィーダーの具体例としては、テーブルフィーダー、ロータリーフィーダーなどの重力供給機、スクリューフィーダー、ベルトフィーダーなどの機械力供給機などが挙げられる。これらのうちロータリーフィーダーが好適である。
次いで、集電体と供給された複合粒子とを一対のロールで加圧して、集電体上に正極活物質層を形成する。この工程では、必要に応じ加温された前記複合粒子が、一対のロールでシート状の正極活物質層に成形される。供給される複合粒子の温度は、好ましくは40〜160℃、より好ましくは70〜140℃である。この温度範囲にある複合粒子を用いると、プレス用ロールの表面で複合粒子の滑りがなく、複合粒子が連続的かつ均一にプレス用ロールに供給されるので、膜厚が均一で、電極密度のばらつきが小さい、正極活物質層を得ることができる。
成形時の温度は、通常0〜200℃であり、本発明に用いるバインダーの融点又はガラス転移温度より高いことが好ましく、融点又はガラス転移温度より20℃以上高いことがより好ましい。ロールを用いる場合の成形速度は、通常0.1m/分より大きく、好ましくは35〜70m/分である。またプレス用ロール間のプレス線圧は、通常0.2〜30kN/cm、好ましくは0.5〜10kN/cmである。
上記製法では、前記一対のロールの配置は特に限定されないが、略水平又は略垂直に配置されることが好ましい。略水平に配置する場合は、集電体を一対のロール間に連続的に供給し、該ロールの少なくとも一方に複合粒子を供給することで、集電体とロールとの間隙に複合粒子が供給され、加圧により正極活物質層を形成できる。略垂直に配置する場合は、集電体を水平方向に搬送させ、集電体上に複合粒子を供給し、供給された複合粒子を必要に応じブレード等で均した後、前記集電体を一対のロール間に供給し、加圧により正極活物質層を形成できる。
本発明の二次電池正極を製造するに際して、集電体上に上記スラリー組成物からなる正極活物質層を形成後、金型プレスやロールプレスなどを用い、加圧処理により正極活物質層の空隙率を低くする工程を有することが好ましい。空隙率の好ましい範囲は5〜30%、より好ましくは7〜20%である。空隙率が高すぎると充電効率や放電効率が悪化する。空隙率が低すぎる場合は、高い体積容量が得難く、正極活物質層が集電体から剥がれ易く不良を発生し易いといった問題を生じる。さらに、バインダー組成物に硬化性の重合体を用いる場合は、硬化させることが好ましい。
本発明の二次電池正極における正極活物質層の厚みは、通常5〜300μmであり、好ましくは10〜250μmである。正極活物質層の厚みが上記範囲にあることにより、負荷特性及びサイクル特性共に高い特性を示す。
本発明において、正極活物質層における正極活物質の含有割合は、好ましくは90〜99.9質量%、より好ましくは95〜99質量%である。正極活物質の含有割合を、上記範囲とすることにより、高い容量を示しながらも柔軟性、結着性を示すことができる。
(集電体)
本発明で用いる集電体は、電気導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するため金属材料が好ましく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などが挙げられる。中でも、二次電池正極に用いる集電体としてはアルミニウムが特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。集電体は、正極活物質層との接着強度を高めるため、予め粗面化処理して使用するのが好ましい。粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、合剤の接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよく、中でも、導電性接着剤層を形成するのが好ましい。
(4)二次電池
本発明の二次電池は、正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなる二次電池であって、正極が、上記二次電池正極である。
(負極)
負極は、負極活物質及び二次電池負極用バインダー組成物を含む負極活物質層が、集電体上に積層されてなる。
(負極活物質)
本発明に用いる負極活物質は、二次電池負極内で電子の受け渡しをする物質である。
リチウムイオン二次電池用負極活物質としては、具体的には、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、及びピッチ系炭素繊維などの炭素質材料;ポリアセン等の導電性高分子などが挙げられる。好ましくは、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)などの結晶性炭素質材料である。また、負極活物質としては、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の金属やこれらの合金、前記金属又は合金の酸化物や硫酸塩を使用できる。加えて、金属リチウム、Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコーン等も使用できる。上記負極活物質は、単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
負極活物質の形状は、粒状に整粒されたものが好ましい。粒子の形状が球形であると、電極成形時により高密度な電極が形成できる。
負極活物質の体積平均粒子径は、電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択されるが通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜20μmである。また、負極活物質の50%体積累積径は、初期効率、負荷特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、通常1〜50μm、好ましくは15〜30μmである。
負極活物質のタップ密度は、特に制限されないが、0.6g/cm以上のものが好適に用いられる。
負極活物質層における、負極活物質の含有割合は、好ましくは85〜99質量%、より好ましくは88〜97質量%である。負極活物質の含有割合を、上記範囲とすることにより、高い容量を示しながらも柔軟性、結着性を示すことができる。
本発明において、二次電池負極の負極活物質層の密度は、好ましくは1.6〜1.9g/cmであり、より好ましくは1.65〜1.85g/cmである。負極活物質層の密度が上記範囲にあることにより、高容量の電池を得ることができる。
(二次電池負極用バインダー組成物)
二次電池負極用バインダー組成物としては、特に制限されず公知のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体などの樹脂や、アクリル系軟質重合体、ジエン系軟質重合体、オレフィン系軟質重合体、ビニル系軟質重合体等の軟質重合体を用いることができる。これらは単独で使用しても、これらを2種以上併用してもよい。
負極には、上記成分のほかに、さらに前述の、導電剤、増粘剤、補強材、レベリング剤や電解液分解抑制等の機能を有する電解液添加剤等の他の成分が含まれていてもよい。これらは電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られない。
集電体は、前述の二次電池正極に使用される集電体を用いることができ、電気導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、二次電池負極用としては銅が特に好ましい。
負極活物質層の厚みは、通常5〜300μmであり、好ましくは10〜250μmである。負極活物質層の厚みが上記範囲にあることにより、負荷特性及びエネルギー密度共に高い特性を示す。
負極は、前述の二次電池正極と同様に製造することができる。
(セパレーター)
セパレーターは気孔部を有する多孔性基材であって、使用可能なセパレーターとしては、(a)気孔部を有する多孔性セパレーター、(b)片面または両面に高分子コート層が形成された多孔性セパレーター、または(c)無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート層が形成された多孔性セパレーターが挙げられる。これらの非制限的な例としては、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系、またはアラミド系多孔性セパレーター、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルまたはポリビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレン共重合体などの固体高分子電解質用またはゲル状高分子電解質用の高分子フィルム、ゲル化高分子コート層がコートされたセパレーター、または無機フィラー、無機フィラー用分散剤からなる多孔膜層がコートされたセパレーターなどがある。
(電解液)
本発明に用いられる電解液は、特に限定されないが、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用できる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF、LiClO、CFSOLiは好適に用いられる。これらは、単独、または2種以上を混合して用いることができる。支持電解質の量は、電解液に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、また通常は30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。支持電解質の量が少なすぎても多すぎてもイオン導電度は低下し電池の充電特性、放電特性が低下する。
電解液に使用する溶媒としては、支持電解質を溶解させるものであれば特に限定されないが、通常、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびメチルエチルカーボネート(MEC)などのアルキルカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類、1,2−ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、およびジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類;が用いられる。特に高いイオン伝導性が得易く、使用温度範囲が広いため、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。これらは、単独、または2種以上を混合して用いることができる。また、電解液には添加剤を含有させて用いることも可能である。添加剤としてはビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート系の化合物が好ましい。
上記以外の電解液としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、硫化リチウム、LiI、LiNなどの無機固体電解質を挙げることができる。
(二次電池の製造方法)
本発明の二次電池の製造方法は、特に限定されない。例えば、上述した負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する。さらに必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をすることもできる。電池の形状は、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例における部および%は、特記しない限り質量基準である。実施例および比較例において、各種物性は以下のように評価した。
<バインダー組成物の保存安定性>
バインダー組成物100gに対して、別途準備した腐敗が認められたバインダー組成物(混合菌数10以上:単位cfu/mL,cfu=Colony Forming Unitの略、生菌数の単位)5gを加え、30℃で12時間放置し、さらに50℃で7日間保温管理した後、30℃に戻し24時間保管した。その後、TGC(チオグレイト酸)塩寒天平板混釈法を用いて、30℃、48時間培養後のコロニーの数を目視で数える。以上を1回目の接種試験とした。
2回目の試験は、さらに上記腐敗したバインダー組成物を、更に5g加えて、上記と同様の温度条件で保管、管理し、上記と同様の方法でコロニーの数を数えた。これらの操作を、コロニーが確認されるまで(菌数10以上で終了)、腐敗したバインダー組成物の接種、測定を繰り返した。
そして、コロニーが確認されるまでの上記接種回数により、長期保存安定性を下記の通り判定した。接種回数の多いほど、バインダー組成物の長期保存安定性が高いことを示す。
A:コロニーが確認されるまでの接種回数が6回以上
B:コロニーが確認されるまでの接種回数が3回以上5回以下
C:コロニーが確認されるまでの接種回数が2回以下
<ピール強度>
電極活物質層を形成した正極を、幅2.5cm×長さ10cmの矩形に切って試験片とし、電極活物質層面を上にして固定する。試験片の電極活物質層表面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端からセロハンテープを50mm/分の速度で180°方向に引き剥がしたときの応力を測定した。測定を10回行い、その平均値を求めてこれをピール強度(N/m)とし、これをピール強度の評価基準とし、以下の基準で評価する。この値が大きいほど電極活物質層と集電体の密着力に優れている。
A:15N/m以上
B:10N/m以上〜15N/m未満
C:5.0N/m以上〜10N/m未満
D:5.0N/m未満
<充放電サイクル特性(60℃)>
10セルのフルセルコイン型電池を60℃雰囲気下、0.2Cの定電流法によって4.3Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電を繰り返し電気容量を測定した。10セルの平均値を測定値とし、50サイクル終了時の電気容量と5サイクル終了時の電気容量の比(%)で表される充放電容量保持率を求め、これをサイクル特性の評価基準とし、以下の基準で評価する。この値が高いほど高温サイクル特性に優れている。
A:80%以上
B:70%以上80%未満
C:50%以上70%未満
D:30%以上50%未満
E:30%未満
(実施例1)
(バインダー組成物の製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部をそれぞれ供給し、十分攪拌混合し、気相部を窒素ガスで置換し、70℃に昇温した。一方、別の容器でイオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、および重合性モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート78部、アクリロニトリル20部、メタクリル酸1.8部、アリルメタクリレート0.2部を混合してモノマー混合物を得た。このモノマー混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。反応開始は、モノマー混合物を添加開始の際に、過硫酸カリウム0.5部を3%過硫酸カリウム水溶液として、前記反応器に添加することにより行い、モノマー混合物添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに80℃で3時間撹拌して反応を終了し、バインダーを含む水系分散液(バインダー分散液)を得た。重合転化率は98.5%であった。
(イソチアゾリン系化合物及びキレート化合物の添加)
得られたバインダー分散液を25℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整し、加熱減圧蒸留によって未反応のモノマーを除去した。そして、30℃以下になるまで冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液でpH8になるように微調整を行った。その後、直ちに、バインダーの固形分100部に対して、BIT 0.05部、EDTA 0.25部及びナトリウムピリチオン0.02部を添加、混合し、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(目開 約77μm)のステンレス製金網でろ過を行い、固形分濃度40%のバインダー組成物を得た。作製したバインダー組
成物を用いてバインダー組成物の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
(二次電池正極用スラリー組成物の製造)
電極活物質としてスピネルマンガン(LiMn;Mn含有量60%)100部と、アセチレンブラック(HS−100:電気化学工業)と、前記バインダー組成物2.5部(固形分濃度40%)と、増粘剤としてのエーテル化度が0.8であるカルボキシメチルセルロース水溶液40部(固形分濃度2%)と、適量の水とをプラネタリーミキサーにて攪拌し、正極用スラリー組成物を調製した。
(二次電池正極の製造)
上記正極用スラリー組成物をコンマコーターで厚さ20μmのアルミ箔上に乾燥後の膜厚が70μm程度になるように塗布し、60℃で20分間乾燥後、150℃で2時間加熱処理して電極原反を得た。この電極原反をロールプレスで圧延し、密度が2.1g/cm、アルミ箔および電極活物質層からなる厚みが65μmに制御された正極極板(二次電池正極)を作製した。作製した極板を用いてピール強度測定を行った。結果を表1に示す。
(電池の作製)
前記正極極板を直径16mmの円盤状に切り抜き、この正極の活物質層面側に直径18mm、厚さ25μmの円盤状のポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーター、負極として用いる金属リチウム、エキスパンドメタルを順に積層し、これをポリプロピレン製パッキンが設置されたステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約2mmのリチウムイオンコイン電池を作製した。
なお、電解液としてはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=1:2(20℃での容積比)で混合してなる混合溶媒にLiPFを1モル/リットルの濃度で溶解させた溶液を用いた。
この電池を用いて充放電サイクル特性(60℃)を評価した。
その結果を表1に示す。
(実施例2)
(バインダー組成物の製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部およびEDTA 0.25部をそれぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、70℃に昇温した。一方、別の容器でイオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、および重合性モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート78部、アクリロニトリル20部、メタクリル酸1.8部、アリルメタクリレート0.2部を混合してモノマー混合物を得た。このモノマー混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。反応開始は、モノマー混合物を添加開始の際に、過硫酸カリウム0.5部を3%過硫酸カリウム水溶液として、前記反応器に添加することにより行い、モノマー混合物添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに80℃で3時間撹拌して反応を終了し、バインダーを含む水系分散液(バインダー分散液)を得た。重合転化率は98.6%であった。
(イソチアゾリン系化合物の添加)
得られたバインダー分散液を25℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応のモノマーを除去した。そして、30℃以下まで冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液でpH8になるように微調整を行った。その後、直ちに、バインダーの固形分100部に対して、BIT 0.05部及びナトリウムピリチオン0.02部を添加、混合し、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(目開 約77μm)のステンレス製金網でろ過を行い、固形分濃度40%のバインダー組成物を得た。
上記バインダー組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
BITに代えてMITを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
BITに代えてCITを用い、EDTAの添加量を0.015部とし、ナトリウムピリチオンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
BITに代えてOITを用い、EDTAの添加量を0.3部とし、ナトリウムピリチオンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
BITに代えてMIT 0.025部及びCIT 0.025部を用い、EDTAの添加量を0.005部とし、ナトリウムピリチオンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
(バインダー組成物の製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水75部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部をそれぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、70℃に昇温した。一方、別の容器でイオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、および重合性モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート78部、アクリロニトリル20部、メタクリル酸1.8部、グリシジルメタクリレート0.2部を混合してモノマー混合物を得た。このモノマー混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。反応開始は、モノマー混合物を添加開始の際に、過硫酸カリウム0.5部を3%過硫酸カリウム水溶液として、前記反応器に添加することにより行い、モノマー混合物添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに80℃で3時間撹拌して反応を終了し、バインダーを含む水系分散液(バインダー分散液)を得た。重合転化率は97.5%であった。
(イソチアゾリン系化合物及びキレート化合物の添加)
得られたバインダー分散液を25℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応のモノマーを除去した。そして、30℃以下まで冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液でpH8になるように微調整を行った。その後、直ちに、バインダーの固形分100部に対して、BIT 0.05部、EDTA 0.25部及びナトリウムピリチオン0.02部を添加、混合し、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(目開 約77μm)のステンレス製金網でろ過を行い、固形分濃度40%のバインダー組成物を得た。
上記バインダー組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
(バインダー組成物の製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水75部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部および重合性モノマーとしてイタコン酸2部をそれぞれ供給して十分攪拌混合し、気相部を窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。一方、別の容器でイオン交換水60部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、および重合性モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート76部、アクリロニトリル20部、イタコン酸2部を混合してモノマー混合物を得た。このモノマー混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。反応開始は、モノマー混合物を添加開始の際に、過硫酸カリウム0.5部を3%過硫酸カリウム水溶液として、前記反応器に添加することにより行い、モノマー混合物添加中は、80℃で反応を行った。添加終了後、さらに90℃で3時間撹拌して反応を終了し、バインダーを含む水系分散液(バインダー分散液)を得た。重合転化率は96.0%であった。
(イソチアゾリン系化合物及びキレート化合物の添加)
得られたバインダー分散液を25℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応のモノマーを除去した。そして、30℃以下まで冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液でpH8になるように微調整を行った。その後、直ちに、バインダーの固形分100部に対して、BIT 0.05部、EDTA 0.05部及びナトリウムピリチオン0.02部を添加、混合し、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(目開 約77μm)のステンレス製金網でろ過を行い、固形分濃度40%のバインダー組成物を得た。
上記バインダー組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
BITに代えてCITを用い、EDTAに代えてNTAを用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
BITの添加量を0.3部とし、EDTAに代えてCyDTAを用い、ナトリウムピリチオンを添加しなかったこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
BITに代えてOITを用い、EDTAに代えてDTPAを用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
BITに代えてOITを用い、EDTAに代えてEGTAを用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例13)
EDTAに代えてHEDTAを用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例14)
EDTAに代えてDHEGを用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例15)
(バインダー組成物の製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水75部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部および重合性モノマーとしてイタコン酸2部をそれぞれ供給して十分攪拌混合し、気相部を窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。一方、別の容器でイオン交換水60部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、および重合性モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート80部、メタクリロニトリル16部、イタコン酸1部、アクリル酸0.9部、エチレンジメタクリレート0.1部を混合してモノマー混合物を得た。このモノマー混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。反応開始は、モノマー混合物を添加開始の際に、過硫酸カリウム0.5部を3%過硫酸カリウム水溶液として、前記反応器に添加することにより行い、モノマー混合物添加中は、80℃で反応を行った。添加終了後、さらに90℃で3時間撹拌して反応を終了し、バインダーを含む水系分散液(バインダー分散液)を得た。重合転化率は97.5%であった。
(イソチアゾリン系化合物及びキレート化合物の添加)
得られたバインダー分散液を25℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応のモノマーを除去した。そして、30℃以下まで冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液でpH8になるように微調整を行った。その後、直ちに、バインダーの固形分100部に対して、BIT 0.05部、HEDP 0.05部及びナトリウムピリチオン0.02部を添加、混合し、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(目開 約77μm)のステンレス製金網でろ過を行い、固形分濃度40%のバインダー組成物を得た。
上記バインダー組成物を用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例16)
(バインダー組成物の製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部および重合性モノマーとしてフマル酸1部をそれぞれ供給して十分攪拌混合し、気相部を窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。一方、別の容器でイオン交換水60部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、および重合性モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート76部、アクリロニトリル20部、フマル酸1部、メタクリル酸1部、アクリル酸1部を混合してモノマー混合物を得た。このモノマー混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。反応開始は、モノマー混合物を添加開始の際に、過硫酸カリウム0.5部を3%過硫酸カリウム水溶液として、前記反応器に添加することにより行い、モノマー混合物添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに70℃で3時間撹拌して反応を終了し、バインダーを含む水系分散液(バインダー分散液)を得た。重合転化率は96.8%であった。
(イソチアゾリン系化合物及びキレート化合物の添加)
得られたバインダー分散液を25℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応のモノマーを除去した。そして、30℃以下まで冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液でpH8になるように微調整を行った。その後、直ちに、バインダーの固形分100部に対して、BIT 0.05部、クエン酸0.1部及びナトリウムピリチオン0.02部を添加、混合し、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(目開 約77μm)のステンレス製金網でろ過を行い、固形分濃度40%のバインダー組成物を得た。
上記バインダー組成物を用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例17)
クエン酸に代えてリンゴ酸を用いたこと以外は、実施例16と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例18)
クエン酸に代えてグルコン酸を用いたこと以外は、実施例16と同様の操作を行って、バインダー組成物を得、スラリー組成物、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例19)
(バインダー組成物の製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部および重合性モノマーとしてイタコン酸1部をそれぞれ供給して十分攪拌混合し、気相部を窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。一方、別の容器でイオン交換水60部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、および重合性モノマーとして、ノニルアクリレート77部、アクリロニトリル20部、イタコン酸1部、アクリル酸0.5部、グリシジルメタクリレート0.5部を混合してモノマー混合物を得た。このモノマー混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。反応開始は、モノマー混合物を添加開始の際に、過硫酸カリウム0.5部を3%過硫酸カリウム水溶液として、前記反応器に添加することにより行い、モノマー混合物添加中は、80℃で反応を行った。添加終了後、さらに90℃で3時間撹拌して反応を終了し、バインダーを含む水系分散液(バインダー分散液)を得た。重合転化率は96.4%であった。
(イソチアゾリン系化合物及びキレート化合物の添加)
得られたバインダー分散液を25℃に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応のモノマーを除去した。そして、30℃以下まで冷却し、5%水酸化ナトリウム水溶液でpH8になるように微調整を行った。その後、直ちに、バインダーの固形分100部に対して、BIT 0.05部、EDTA 0.25部及びナトリウムピリチオン0.8部を添加、混合し、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(目開 約77μm)のステンレス製金網でろ過を行い、固形分濃度40%のバインダー組成物を得た。
上記バインダー組成物を用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
EDTAの添加量を1.2部とし、ナトリウムピリチオンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
BIT及びナトリウムピリチオンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
BITの添加量を1.2部とし、ナトリウムピリチオンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
BITに代えてトリアジンを用い、EDTAに代えてNTAを用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
EDTA及びナトリウムピリチオンを添加しなかったこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例6)
BITに代えてOITを用い、EDTAに代えてコハク酸0.1部を用いたこと以外は、実施例8と同様の操作を行って、スラリー組成物を得、正極及び電池を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005729389
Figure 0005729389
表1,2の結果から、以下のことがいえる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、酸性基を有するビニル単量体単位、及びα,β−不飽和ニトリル単量体単位を有するバインダーと、該バインダー100質量部に対し、イソチアゾリン系化合物0.001〜1.0質量部と、キレート化合物0.001〜1.0質量部とを含有する二次電池正極用水系バインダー組成物を用いることで、密着強度の良好な正極を得ることができ、安全性及び充放電サイクル特性の良好な二次電池を得ることができる。また、該バインダー組成物の長期保存安定性が良好になる。
一方、キレート化合物の配合量が上記範囲を超えている場合(比較例1)、イソチアゾリン系化合物を含有していない場合(比較例2、4)、イソチアゾリン系化合物の配合量が上記範囲を超えている場合(比較例3)、キレート化合物を含有していない場合(比較例5、6)は、バインダー組成物の長期保存安全性、電極の密着強度、充放電サイクル特性の少なくともいずれかが劣っている。

Claims (8)

  1. (メタ)アクリル酸エステル単量体単位、酸性基を有するビニル単量体単位、及びα,β−不飽和ニトリル単量体単位を有するバインダーと、
    該バインダー100質量部に対し、イソチアゾリン系化合物0.001〜1.0質量部と、キレート化合物0.001〜1.0質量部とを含有する二次電池正極用水系バインダー組成物。
  2. 前記バインダーが、前記各単量体単位と共重合可能な他の単量体単位をさらに含み、該他の単量体単位が、架橋性基を有する単量体単位である請求項1に記載の二次電池正極用水系バインダー組成物。
  3. 前記酸性基を有するビニル単量体単位が、カルボン酸基を有するビニル単量体単位である請求項1または2に記載の二次電池正極用水系バインダー組成物。
  4. 前記キレート化合物が、アミノカルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸からなる群より選択される請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池正極用水系バインダー組成物。
  5. 前記バインダー100質量部に対し、ピリチオン化合物を0.001〜1.0質量部含有する請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池正極用水系バインダー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池正極用水系バインダー組成物及び正極活物質を含有してなる二次電池正極用スラリー組成物。
  7. 請求項6に記載の二次電池正極用スラリー組成物からなる正極活物質層を集電体上に形成してなる二次電池正極。
  8. 正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなる二次電池であって、前記正極が請求項7に記載の二次電池正極である二次電池。
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