JP5786724B2 - 製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法、製鋼プロセスの操業スケジュール作成システム、製鋼プロセスの操業方法、及び鋼材の製造方法 - Google Patents
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Description
また、かかる形態においては、生産コストを評価する一又は複数の項が、溶鋼が転炉から取出されてから連続鋳造設備において鋳造を開始されるまでの各チャージの溶鋼滞留時間に基いて生産コストを評価する項を含み、生産の時間効率を評価する一又は複数の項が、各連続鋳造設備における処理間隔時間に基いて生産の時間効率を評価する項を含むことが好ましい。
また、かかる形態においては、求解工程において解が得られなかった場合に、制約条件セットからボトルネック過程の各処理設備における各チャージの処理時間帯をボトルネック過程の各処理設備における各チャージの予定処理時間帯で束縛する制約条件の少なくとも一部を取り除いた制約条件セットを新たな制約条件セットとして設定する制約条件修正工程と、目的関数に、制約条件修正工程において制約条件セットから取り除いた制約条件に対する違反量に従って目的関数の値を悪化させるペナルティ項を加えた新たな目的関数を設定する目的関数修正工程とを経てから、上記新たな制約条件セット及び新たな目的関数を用いて再度求解工程を行うことが好ましい。
また、かかる形態においては、上記各連続鋳造設備における各チャージ間の処理間隔時間を束縛する制約条件が、同一の連続鋳造設備において同一の連連鋳セットに属する予定の連続する2つのチャージの間では該連続鋳造設備における処理間隔時間を0とし、同一の連続鋳造設備において異なる連連鋳セットに属する予定の連続する2つのチャージの間では該連続鋳造設備における処理間隔時間を0より大きい値とする束縛を含むことが好ましい。
また、かかる形態においては、生産コストを評価する一又は複数の項が、溶鋼が転炉から取出されてから連続鋳造設備において鋳造を開始されるまでの各チャージの溶鋼滞留時間に基いて生産コストを評価する項を含み、生産の時間効率を評価する一又は複数の項が各連続鋳造設備における処理間隔時間に基いて生産の時間効率を評価する項を含むことにより、生産コスト及び生産効率に大きな影響を及ぼす要素を考慮して最適化を行うことができるので、生産コスト及び生産効率について有利な操業スケジュールを作成することが一層容易になる。
また、かかる形態においては、求解工程において実行可能な解が得られなかった場合に、制約条件セットからボトルネック過程の各処理設備における各チャージの処理時間帯をボトルネック過程の各処理設備における各チャージの予定処理時間帯で束縛する制約条件の少なくとも一部を取り除いた制約条件セットを新たな制約条件セットとして設定する制約条件セット修正工程と、目的関数に、制約条件セット修正工程において制約条件セットから取り除いた制約条件に対する違反量に従って目的関数の値を悪化させるペナルティ項を加えた新たな目的関数を設定する目的関数修正工程とを経てから、上記新たな制約条件セット及び新たな目的関数を用いて再度求解工程を行うことにより、制約条件が厳しすぎて解を発見できない場合にも臨機応変に緩和問題を設定して解を求めることができるので、解の最適性を追求しながらもロバスト性を高めた操業スケジュール作成方法とすることができる。
また、かかる形態においては、上記各連続鋳造設備における各チャージ間の処理間隔時間を束縛する制約条件が、同一の連続鋳造設備において同一の連連鋳セットに属する予定の連続する2つのチャージの間では該連続鋳造設備における処理間隔時間を0とし、同一の連続鋳造設備において異なる連連鋳セットに属する予定の連続する2つのチャージの間では該連続鋳造設備における処理間隔時間を0より大きい値とする束縛を含むことにより、連続鋳造の連連回数における設備上の制約条件のなかで目的関数を最適化する連連回数を決定することが可能となる。
本発明の第1の態様に係る製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法について説明する。図2は、製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法S100(以下、単に「操業スケジュール作成方法S100」又は「S100」ということがある。)を説明するフローチャートである。操業スケジュール作成方法S100は、図1に示す製鋼プロセスS10の操業スケジュールを作成する方法である。製鋼プロセスS10は、1つの転炉設備を用いる転炉過程S1と、1つの二次精錬設備を用いる二次精錬過程S2と、2つの連続鋳造設備を用いる連続鋳造過程S3とを有する。操業スケジュール作成方法S100は、占有時間算出工程S11と、ボトルネック過程選出工程S12と、開始可能時刻算出工程S13と、ボトルネック過程処理予定作成工程S14と、制約条件セット設定工程S15と、目的関数設定工程S16と、求解工程S17と、判断工程S18と、制約条件セット修正工程S19と、目的関数修正工程S20とを有する。
占有時間算出工程S11(以下、単に「S11」ということがある。)は、操業スケジュールを作成する対象とする時間区間(以下、単に「対象時間区間」ということがある。)中の、製鋼プロセスS10を構成する各過程の各処理設備の占有時間を算出する工程である。
ボトルネック過程選出工程S12(以下、単に「S12」ということがある。)は、製鋼プロセスS10を構成する過程のうち、上記S11において算出した処理設備の占有時間が最も長い過程をボトルネック過程として選び出す工程である。上記表2より、最も占有時間が長い処理設備は転炉であるから、S12では転炉過程S1がボトルネック過程として選び出される。
開始可能時刻算出工程S13(以下、単に「S13」ということがある。)は、各処理設備について、次のチャージの処理が可能となる時刻を算出する工程である。S13においては、製鋼プロセスS10を構成する各過程の各処理設備の操業状態を含む操業実績情報を取得し、該操業実績情報に基いて開始可能時刻を算出する。操業実績情報を取得する方法としては、例えば操業実績情報を格納した操業実績情報データベースから読み出す等の方法を挙げることができる。各処理設備の直近の操業状態の一例を表3に示す。
ボトルネック過程処理予定作成工程S14(以下、単に「S14」ということがある。)は、上記S12において選出したボトルネック過程の各処理設備における各チャージの予定処理時間帯を、該ボトルネック過程において次のチャージの処理が可能となる時刻以後、時間軸の順方向に順次時間軸上に配置する工程である。上記S12においては転炉過程S1がボトルネック過程として選出されているので、S14では転炉過程S1の予定処理時間帯、すなわち予定開始時刻及び予定終了時刻の組を、転炉過程S1についてS13で算出した開始可能時刻以降、上記表1の各チャージの予定処理時間に基いて、重複のないように現在から未来方向へ順次配置する。このとき、ボトルネック過程(転炉過程S1)の稼働率を可能な限り高める(空き時間を可能な限り少なくする又は0にする)ようにすることが好ましい。ボトルネック過程(転炉過程S1)の予定処理時間帯を配置した結果を表4に示す。
制約条件セット設定工程S15(以下、単に「S15」ということがある。)は、各チャージの各処理設備における処理時間帯の整合性を課す制約条件を含む制約条件セットを設定する工程である。
目的関数設定工程S16(以下、単に「S16」ということがある。)は、各チャージの各処理設備における処理時間帯を変数に含む目的関数を設定する工程である。S16においては、溶鋼が転炉から取出されてから連続鋳造設備において鋳造を開始されるまでの各チャージの溶鋼滞留時間に基いて生産コストを評価する項と、各連続鋳造設備における処理間隔時間に基いて生産の時間効率を評価する項とを含む目的関数F(下記式(10))を設定する。
求解工程S17(以下、単に「S17」ということがある。)は、S15において設定した制約条件セットの束縛下に、S16において設定した目的関数を最適化する数理計画問題(混合整数計画問題)を解くことにより、各チャージの各処理設備における処理時間帯、すなわちsi mとci mの組を決定する工程である。数理計画問題を解くにあたっては、公知の解法アルゴリズムを特に制限なく用いることができる。
判断工程S18(以下、単に「S18」ということがある。)は、S17で解が得られたか否か判断する工程である。図2に示すように、S18で肯定判断がなされた場合には、解が得られているのでS100を終了する。S18で否定判断がなされた場合には、制約条件セットが厳しすぎたために解が得られなかった場合であるから、制約条件セット修正工程S19に処理を移す。
制約条件セット修正工程S19(以下、単に「S19」ということがある。)は、S15において設定した制約条件セットから、ボトルネック過程(転炉過程S1)の各処理設備における各チャージの処理時間帯をS14で配置した予定処理時間帯で束縛する制約条件の少なくとも一部を取り除いた制約条件セットを新たな制約条件セットとして設定する工程である。
目的関数修正工程S20(以下、単に「S20」ということがある。)は、S16において設定した上記式(10)の目的関数に、S19において制約条件セットから取り除いた制約条件(式(4))に対する違反量に従って目的関数の値を悪化させるペナルティ項を加えた新たな目的関数を設定する工程である。S20においては、下記式(11)の目的関数を新たな目的関数として設定する。
本発明の第1の態様に係る製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法の他の実施形態について説明する。図3は、製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法S200(以下、単に「操業スケジュール作成方法S200」ということがある。)を説明するフローチャートである。操業スケジュール作成方法S200は、占有時間算出工程S11と、ボトルネック過程選出工程S12と、開始可能時刻算出工程S13と、ボトルネック過程処理予定作成工程S14と、制約条件セット設定工程S25と、目的関数設定工程S26と、求解工程S17とを有する。上記操業スケジュール作成方法S100と同様の工程には同一の符号を付し、説明を省略する。
制約条件セット設定工程S25は、ボトルネック過程における各チャージの処理時間帯を、S14において配置した予定処理時間帯で束縛する制約条件(式(4))を制約条件セットに組み入れない点以外は、上述した制約条件セット設定工程S15と同様にして制約条件セットを設定する工程である。
目的関数設定工程S26は、ボトルネック過程(転炉過程S1)の各処理設備における各チャージの処理時間帯をS14で配置した予定処理時間帯で束縛する式(4)に対する違反量に従って目的関数の値を悪化させるペナルティ項を含む目的関数を設定する工程である。具体的には、上記式(11)と同様の関数Fを目的関数として設定する(式(12))。
本発明の第2の態様に係る製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法について説明する。図4は、本発明の製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法S300(以下、単に「操業スケジュール作成方法S300」ということがある。)を説明するフローチャートである。操業スケジュール作成方法S300は、製鋼プロセスS10の操業スケジュールを作成する方法であり、対象期間設定工程S101と、対象期間分割工程S102と、時間区間別スケジュール作成工程S103とを有する。
対象期間設定工程S101(以下、単に「S101」ということがある。)は、操業スケジュールを作成する対象とする期間(対象期間)を設定する工程である。対象期間は適宜設定することができる。操業スケジュール作成方法S300においては、後述する対象期間分割工程S102において当該期間を複数の時間区間に分割し、該複数の時間区間毎にボトルネック過程を抽出して操業スケジュールを作成するので、S101で期間を長く設定しても、ボトルネック過程の変遷に臨機応変に対応した操業スケジュールを作成することが可能である。
対象期間分割工程S102(以下、単に「S102」ということがある。)は、S101において設定した対象期間を複数の時間区間に分割する工程である。S102においては、対象期間を長さの異なる複数の時間区間に分割してもよいし、一定の長さの複数の時間区間に分割してもよい。対象期間を分割する方法は、操業状況等に応じて適宜選択することができる。例えば対象期間が24時間であるとき、8時間ずつ3等分する等の形態が可能である。
時間区間別スケジュール作成工程S103(以下、単に「S103」ということがある。)は、S102で対象期間を分割して作成した複数の時間区間のそれぞれについて、上記操業スケジュール作成方法S100によって製鋼プロセスS10の操業スケジュールを作成する工程である。S102及びS103により、S101で設定した対象期間の全範囲について操業スケジュールが作成される。
本発明の第3の態様に係る製鋼プロセスの操業スケジュール作成システムについて説明する。図5は、製鋼プロセスの操業スケジュール作成システム1000(以下、単に「システム1000」ということがある。)を説明するブロック図である。システム1000は、上述した操業スケジュール作成方法S100を実行して製鋼プロセスS10の操業プロセスを作成するシステムである。図5に示すように、システム1000は、演算手段100と、チャージ情報記憶手段31と、操業実績情報記憶手段32と、スケジュール記憶手段33と、入力手段41と、出力手段42とを有する。演算手段100は、占有時間算出手段11と、ボトルネック過程選出手段12と、開始可能時刻算出手段13と、ボトルネック過程処理予定作成手段14と、制約条件セット設定手段15と、目的関数設定手段16と、求解手段17と、判断手段18と、制約条件セット修正手段19と、目的関数修正手段20とを有する。図5において、それぞれの矢印は、情報が受け渡される方向を示している。
チャージ情報記憶手段31は、対象時間区間中に製鋼プロセスS10で処理する一連のチャージについての各過程でのチャージの予定処理設備の情報及び予定処理時間の情報を含むチャージ情報を記憶する手段である。チャージ情報記憶手段31としては、電子計算機に備えられるハードディスクドライブ(HDD)やランダムアクセスメモリー(RAM)等の記憶手段を特に制限なく用いることができる。
操業実績情報記憶手段32は、製鋼プロセスS10を構成する各過程の各処理設備の操業状態を含む操業実績情報を記憶する手段である。操業実績情報記憶手段32としては、電子計算機に備えられるハードディスクドライブ(HDD)やランダムアクセスメモリー(RAM)等の記憶手段を特に制限なく用いることができる。
入力手段41は、チャージ情報や操業実績情報等の情報をシステム1000に入力する手段である。入力手段41としては、例えば電子計算機に備えられるキーボードや通信ポート等の入力手段を特に制限なく用いることができる。入力手段41から入力されたチャージ情報はチャージ情報記憶手段31に格納され、入力手段41から入力された操業実績情報は操業実績情報記憶手段32に格納される。
演算手段100は、チャージ情報をチャージ情報記憶手段31から受け取り、操業実績情報を操業実績情報記憶手段32から受け取って、上述した操業スケジュール作成方法S100を実行することにより、操業プロセスS10の操業スケジュールを演算決定する手段である。演算手段100は、例えば電子計算機に備えられる中央演算装置(CPU)と、RAM等の記憶装置と、操業スケジュール作成方法S100に相当するアルゴリズムを実現するプログラムとの組み合わせによって構成することができる。
スケジュール記憶手段33は、演算手段100によって演算決定された操業スケジュールを受け取って記憶する手段である。スケジュール記憶手段33としては、電子計算機に備えられるハードディスクドライブ(HDD)やランダムアクセスメモリー(RAM)等の記憶手段を特に制限なく用いることができる。
出力手段42は、演算手段100によって演算決定された操業スケジュールをスケジュール記憶手段33から受け取ってシステム1000の外部に出力する手段である。出力手段42としては、例えば電子計算機に備えられるディスプレイ装置や通信ポート等の出力手段を特に制限なく用いることができる。
占有時間算出手段11は、チャージ情報記憶手段31から読み込んだチャージ情報に基いて、占有時間算出工程S11を実行する。算出された各処理設備の占有時間の情報はボトルネック過程選出手段12に提供される。
ボトルネック過程選出手段12は、占有時間算出手段11から提供された各処理設備の占有時間の情報に基いて、ボトルネック過程選出工程S12を実行する。選び出されたボトルネック過程の情報は、ボトルネック処理予定作成手段14に提供される。
開始可能時刻算出手段13は、操業実績情報記憶手段32から読み込んだ操業実績情報に基いて、開始可能時刻算出工程S13を実行する。算出された各処理設備の処理開始可能時刻の情報は、ボトルネック処理予定作成手段14及び制約条件セット設定手段15に提供される。
ボトルネック過程処理予定作成手段14は、チャージ情報記憶手段31から読み込んだチャージ情報及びボトルネック過程選出手段12から提供されたボトルネック過程の情報に基いて、ボトルネック過程処理予定作成工程S14を実行する。時間軸上に配置したボトルネック過程の予定処理時間帯の情報は、制約条件セット作成手段15に提供される。
制約条件セット設定手段15は、チャージ情報記憶手段31から読み込んだチャージ情報、開始可能時刻算出手段13から提供された各処理設備の処理開始可能時刻の情報、及びボトルネック過程処理予定作成手段14から提供されたボトルネック過程の予定処理時間帯の情報に基いて、制約条件セット設定工程S15を実行する。設定された制約条件セットの情報は、求解手段17に提供される。
目的関数設定手段16は、チャージ情報記憶手段31から読み込んだチャージ情報に基いて、目的関数設定工程S16を実行する。設定された目的関数の情報は、求解手段17に提供される。
求解手段17は、制約条件セット設定手段15又は制約条件セット修正手段19から提供された制約条件セットの情報、及び、目的関数設定手段16又は目的関数修正手段20から提供された目的関数の情報に基いて、求解工程S17を実行する。計算の結果解が求まれば当該解の情報が判断手段18に提供される。一方、計算の結果解が求まらなければ、解が求まらなかった旨の情報が判断手段18に提供され、現在の制約条件セットの情報が制約条件セット修正手段19に提供され、現在の目的関数の情報が目的関数修正手段20に提供される。
判断手段18は、求解手段17から提供される解の情報又は解が求まらなかった旨の情報に基いて、判断工程S18を実行する。S18で肯定判断がなされた場合には当該解の情報がスケジュール記憶手段33に格納され、出力手段42を介してシステム1000から取出される。一方、S18で否定判断がなされた場合には、制約条件セット及び目的関数を修正すべき旨の情報が制約条件セット修正手段19及び目的関数修正手段20に提供される。
制約条件セット修正手段19は、判断手段18から制約条件セットを修正すべき旨の情報を受け取った場合に、求解手段17から提供される現在の制約条件セットの情報に基き、制約条件セット修正工程S19を実行する。修正された新たな制約条件セットの情報が求解手段17に提供される。また、制約条件セットから取り除かれた制約条件の情報が目的関数修正手段20に提供される。
目的関数修正手段20は、判断手段18から制約条件セットを修正すべき旨の情報を受け取った場合に、求解手段17から提供される現在の目的関数の情報に基いて、目的関数修正工程S20を実行する。修正された目的関数の情報が求解手段17に提供される。
本発明の第4の態様に係る製鋼プロセスの操業方法について説明する。図6は、製鋼プロセスの操業方法S1000(以下、単に「操業方法S1000」ということがある。)を説明する図である。操業方法S1000は、製鋼プロセスS10を操業する方法である。操業方法S1000は、操業スケジュール作成工程S401と、製鋼プロセス稼働工程S402とをこの順に有する。
操業スケジュール作成工程S401(以下、単に「S401」ということがある。)は、与えられた時間区間について、上記操業スケジュール作成方法S100によって操業スケジュールを作成する工程である。操業スケジュール作成方法S100を実行するにあたっては、例えば上記システム1000を用いることができる。
製鋼プロセス稼働工程S402は、S401で作成した操業スケジュールに従って、製鋼プロセスS10を稼働させる工程である。S401で作成した操業スケジュールに従って製鋼プロセスS10を稼働させるにあたっては、手動制御や電子計算機による自動制御等の方法を適宜用いることができる。
本発明の第5の態様に係る鋼材の製造方法について説明する。図6は、鋼材の製造方法S2000を説明する図である。鋼材の製造方法S2000は、製鋼プロセスS10によって鋼材を製造する方法である。鋼材の製造方法S2000は、操業スケジュール作成工程S501と、製鋼プロセス稼働工程S502とをこの順に有する。
操業スケジュール作成工程S501(以下、単に「S501」ということがある。)は、与えられた時間区間について、上記操業スケジュール作成方法S100によって操業スケジュールを作成する工程である。操業スケジュール作成方法S100を実行するにあたっては、例えば上記システム1000を用いることができる。
製鋼プロセス稼働工程S502は、S501で作成した操業スケジュールに従って、製鋼プロセスS10を稼働させる工程である。S501で作成した操業スケジュールに従って製鋼プロセスS10を稼働させるにあたっては、手動制御や電子計算機による自動制御等の方法を適宜用いることができる。
以下、図1を参照しつつ、製鋼プロセスS10の詳細について説明する。
転炉過程S1は、高炉から供給される溶けた銑鉄を転炉において脱炭処理することにより溶鋼を得る過程である。転炉設備としては、純酸素上底吹転炉等の公知の転炉設備を特に制限なく採用することができる。
二次精錬過程S2は、転炉過程S1によって得た溶鋼の成分をさらに調整する過程である。二次精錬設備としては、RH(Ruhrstahl−Heraeus)等の公知の二次精錬設備を特に制限なく採用することができる。
連続鋳造過程S3は、二次精錬過程S2で成分を調製された溶鋼を、鋳型に流し込みつつ、鋳型から冷却しながら引き抜き溶鋼を凝固させて鋳片を製造する過程である。連続鋳造設備の形態は特に限定されるものではない。また、製造される鋳片の形態(スラブ、ブルーム、ビレット等)も何ら限定されるものではない。
(参考例1)
上記説明した製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法S100を用いて、1つの転炉設備を用いる転炉過程S1と、1つの二次精錬設備を用いる二次精錬過程S2と、2つの連続鋳造設備を用いる連続鋳造過程S3とを有する製鋼プロセスS10の操業スケジュールを作成し、操業シミュレーションを行った。計算においては転炉過程がボトルネック過程として選出され、最適化が行われた。結果を図8(A)左図にガントチャートとして示す。図8においては、二次精錬設備のことを「RH」と、第1の連続鋳造設備のことを「1CC」と、第2の連続鋳造設備のことを「2CC」と、それぞれ略記している。
作成した操業スケジュールに基いて操業し、転炉過程で途中30分の遅延が発生したものと仮定して、その後の過程に与える影響を試験した。結果を図8(A)右図にガントチャートとして示す。なお、太線枠で囲まれたチャージが遅延の発生したチャージである。
参考例1と同様の製鋼プロセスに対して、特許文献1に記載の方法により、各連続鋳造設備の処理間隔時間及び溶鋼滞留時間を最短とするように操業スケジュールを作成し、操業シミュレーションを行った比較例である。結果を図8(B)左図にガントチャートとして示す。
作成した操業スケジュールに基いて操業し、転炉過程で途中30分の遅延が発生したものと仮定して、その後の過程に与える影響を試験した。結果を図8(B)右図にガントチャートとして示す。なお、太線枠で囲まれたチャージが遅延の発生したチャージである。
図8(A)から判るように、参考例1においては、転炉過程で遅延が発生してもその後の過程に処理の遅れが波及しておらず、製鋼プロセス全体としての生産性が低下していない。一方、図8(B)から判るように、比較例1においては、転炉過程で発生した遅延がその後の二次精錬過程及び連続鋳造過程にまで波及しており、製鋼プロセス全体の生産性が悪化している。
上記説明した製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法S200を用いて、1つの転炉設備を用いる転炉過程S1と、1つの二次精錬設備を用いる二次精錬過程S2と、2つの連続鋳造設備を用いる連続鋳造過程S3とを有する製鋼プロセスS10の操業スケジュールを作成した。計算においては転炉過程がボトルネック過程として選出され、最適化が行われた。結果を図9にガントチャートとして示す。図9においても図8と同様、二次精錬設備のことを「RH」と、第1の連続鋳造設備のことを「1CC」と、第2の連続鋳造設備のことを「2CC」と、それぞれ略記している。
12 ボトルネック過程選出手段
13 開始可能時刻算出手段
14 ボトルネック過程処理予定作成手段
15 制約条件セット設定手段
16 目的関数設定手段
17 求解手段
18 判断手段
19 制約条件セット修正手段
20 目的関数修正手段
100 演算手段
31 チャージ情報記憶手段
32 操業実績情報記憶手段
33 スケジュール記憶手段
41 入力手段
42 出力手段
1000 製鋼プロセスの操業スケジュール作成システム
Claims (10)
- 転炉過程、二次精錬過程、及び連続鋳造過程を含む製鋼プロセスの操業スケジュールを作成する方法であって、
操業スケジュールを作成する対象とする時間区間中の、前記製鋼プロセスを構成する各過程の各処理設備の占有時間を算出する、占有時間算出工程と、
前記製鋼プロセスを構成する過程のうち、前記算出した処理設備の占有時間が長い順に一又は複数の過程をボトルネック過程として選び出す、ボトルネック過程選出工程と、
前記各処理設備について、次のチャージの処理が可能となる時刻を算出する、開始可能時刻算出工程と、
前記ボトルネック過程の各処理設備における各チャージの予定処理時間帯を、該ボトルネック過程において次のチャージの処理が可能となる時刻以後、時間軸の順方向に順次時間軸上に配置する、ボトルネック過程処理予定作成工程と、
各チャージの各処理設備における処理時間帯の整合性を課す制約条件を含む制約条件セットを設定する、制約条件セット設定工程と、
各チャージの各処理設備における処理時間帯を変数に含む目的関数を設定する、目的関数設定工程と、
前記制約条件セットの束縛下に前記目的関数を最適化する数理計画問題を解くことにより、各チャージの各処理設備における処理時間帯を決定する、求解工程と
を含み、
前記目的関数設定工程において、
前記ボトルネック過程の各処理設備における各チャージの予定処理時間帯と、前記ボトルネック過程の各処理設備における各チャージの処理時間帯とのずれ量に依存するペナルティ項を含む目的関数を設定し、
前記ペナルティ項は、前記ずれ量に従って前記目的関数の値を悪化させる項である
ことを特徴とする、製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法。 - 前記目的関数設定工程において、
生産コストを評価する一又は複数の項と、生産の時間効率を評価する一又は複数の項とを含む目的関数を設定する、
請求項1に記載の製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法。 - 前記生産コストを評価する一又は複数の項が、溶鋼が転炉から取出されてから連続鋳造設備において鋳造を開始されるまでの各チャージの溶鋼滞留時間に基いて生産コストを評価する項を含み、
前記生産の時間効率を評価する一又は複数の項が、各連続鋳造設備における処理間隔時間に基いて生産の時間効率を評価する項を含む、
請求項2に記載の製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法。 - 前記制約条件セット設定工程において、
前記連続鋳造過程における連連鋳セットの編成チャージ数が最大連連数以下となるように各連続鋳造設備における各チャージ間の処理間隔時間を束縛する制約条件をさらに含む制約条件セットを設定する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法。 - 前記各連続鋳造設備における各チャージ間の処理間隔時間を束縛する制約条件が、
同一の連続鋳造設備において同一の連連鋳セットに属する予定の連続する2つのチャージの間では該連続鋳造設備における処理間隔時間を0とし、
同一の連続鋳造設備において異なる連連鋳セットに属する予定の連続する2つのチャージの間では該連続鋳造設備における処理間隔時間を0より大きい値とする束縛を含む、
請求項4に記載の製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法。 - 前記ボトルネック過程選出工程において、前記製鋼プロセスを構成する過程のうち、前記算出した処理設備の占有時間が長い順に複数の過程をボトルネック過程として選び出す、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法。 - 転炉過程、二次精錬過程、及び連続鋳造過程を含む製鋼プロセスの操業スケジュールを作成する方法であって、
操業スケジュールを作成する対象とする期間を設定する、対象期間設定工程と、
前記設定した期間を複数の時間区間に分割する、対象期間分割工程と、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の操業スケジュール作成方法によって前記製鋼プロセスの操業スケジュールを前記複数の時間区間のそれぞれについて作成する、時間区間別スケジュール作成工程と
を有することを特徴とする、製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法。 - 転炉過程、二次精錬過程、及び連続鋳造過程を含む製鋼プロセスの操業スケジュールを作成するシステムであって、
前記製鋼プロセスにおける各チャージの各処理設備での予定処理時間を含むチャージ情報を格納する、チャージ情報記憶手段と、
前記製鋼プロセスを構成する各過程の各処理設備の操業状態を含む操業実績情報を格納する、操業実績情報記憶手段と、
少なくとも前記チャージ情報に基いて、操業スケジュールを作成する対象とする時間区間中の、前記製鋼プロセスを構成する各過程の各処理設備の占有時間を算出する、占有時間算出手段と、
前記各処理設備の占有時間に基いて、前記製鋼プロセスを構成する過程のうち、処理設備の占有時間が長い順に一又は複数の過程をボトルネック過程として選び出す、ボトルネック過程選出手段と、
少なくとも前記操業実績情報に基いて、前記各処理設備について、次のチャージの処理が可能となる時刻を算出する、開始可能時刻算出手段と、
前記ボトルネック過程の情報、前記ボトルネック過程において次のチャージの処理が可能となる時刻の情報、及び前記チャージ情報に基いて、前記ボトルネック過程の各処理設備における各チャージの予定処理時間帯を、該ボトルネック過程において次のチャージの処理が可能となる時刻以後、時間軸の順方向に順次時間軸上に配置する、ボトルネック過程処理予定作成手段と、
各チャージの各処理設備における処理時間帯の整合性を課す制約条件を含む制約条件セットを設定する、制約条件セット設定手段と、
各チャージの各処理設備における処理時間帯を変数に含む目的関数を設定する、目的関数設定手段と、
前記制約条件セットの束縛下に前記目的関数を最適化する数理計画問題を解くことにより、各チャージの各処理設備における処理時間帯を決定する、求解手段と
を含み、
前記目的関数設定手段は、
前記ボトルネック過程の各処理設備における各チャージの予定処理時間帯と、前記ボトルネック過程の各処理設備における各チャージの処理時間帯とのずれ量に依存するペナルティ項を含む目的関数を設定し、
前記ペナルティ項は、前記ずれ量に従って前記目的関数の値を悪化させる項である
ことを特徴とする、製鋼プロセスの操業スケジュール作成システム。 - 転炉過程、二次精錬過程、及び連続鋳造過程を含む製鋼プロセスの操業方法であって、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法により、前記製鋼プロセスの操業スケジュールを作成する工程と、
前記作成した操業スケジュールに従って、前記製鋼プロセスを稼働させる工程と
を有することを特徴とする、製鋼プロセスの操業方法。 - 転炉過程、二次精錬過程、及び連続鋳造過程を含む製鋼プロセスによって鋼材を製造する方法であって、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の製鋼プロセスの操業スケジュール作成方法により、前記製鋼プロセスの操業スケジュールを作成する工程と、
前記作成した操業スケジュールに従って、前記製鋼プロセスを稼働させる工程と
を有することを特徴とする、鋼材の製造方法。
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