JP5880347B2 - 製鋼プロセスにおける操業スケジュールの作成方法及び作成装置 - Google Patents
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Description
第1の本発明は、少なくとも1基以上の転炉、少なくとも1基以上の2次精錬設備、及び、少なくとも1基以上の連続鋳造機を用いた製鋼プロセスにおける操業スケジュールを作成する方法であって、対象期間における複数のチャージの操業予定情報を読み込む、予定情報読込工程と、前記複数のチャージのうち既に各設備における処理を開始しているチャージがある場合に、処理を開始しているチャージの処理開始実績時刻または処理終了実績時刻に関する操業実績情報を読み込む、実績情報読込工程と、前記操業予定情報及び前記操業実績情報に基づいて、制約条件として、少なくとも、処理を実施する各設備における処理開始時刻及び処理終了時刻の条件、及び、各設備の開始時及び終了時における溶鋼温度の条件を生成する、制約条件生成工程と、連続鋳造機における溶鋼温度により計算される指標を含む目的関数を生成する、目的関数生成工程と、前記制約条件のもとで、前記目的関数を最大化又は最小化するようなスケジュールを決定する、最適スケジュール決定工程と、を備える、操業スケジュール作成方法である。
第1の本発明において、目的関数は、前記チャージの前記連続鋳造機の処理開始時における液相線温度からの上昇温度と当該上昇温度の目標値との誤差の絶対値と、前記転炉での処理終了から前記連続鋳造機の処理開始までの時間である溶鋼滞留時間と、の重み付け和であることが好ましい。
第2の本発明において、目的関数は、前記チャージの前記連続鋳造機の処理開始時における液相線温度からの上昇温度と当該上昇温度の目標値との誤差の絶対値と、前記転炉での処理終了から前記連続鋳造機の処理開始までの時間である溶鋼滞留時間と、の重み付け和であることが好ましい。
図2に、一実施形態に係る本発明の操業スケジュール作成方法S10の流れを示す。方法S10は、少なくとも1基以上の転炉、少なくとも1基以上の2次精錬設備、及び、少なくとも1基以上の連続鋳造機を用いた製鋼プロセスにおける操業スケジュールを作成する方法であり、図2に示すように、対象期間における複数のチャージの操業予定情報を読み込む、予定情報読込工程S1と、複数のチャージのうち既に各設備における処理を開始しているチャージがある場合に、該処理を開始しているチャージの処理開始実績時刻または処理終了実績時刻に関する操業実績情報を読み込む、実績情報読込工程S2と、操業予定情報及び操業実績情報に基づいて、制約条件として、少なくとも、処理を実施する各設備における処理開始時刻及び処理終了時刻の条件、及び、各設備の開始時及び終了時における溶鋼温度の条件を生成する、制約条件生成工程S3と、連続鋳造機における溶鋼温度により計算される指標を含む目的関数を生成する、目的関数生成工程S4と、上記の制約条件のもとで、目的関数を最大化又は最小化するようなスケジュールを決定する、最適スケジュール決定工程S5と、を備えている。
工程S1は、対象期間における複数のチャージの操業予定情報を読み込む工程である。例えば、下記表1に示すような操業予定情報を読み込む。尚、表1に示した操業予定情報は、1基の転炉、1基の2次精錬設備(RH設備)及び2基の連続鋳造機を用いた製鋼プロセスにおける操業予定情報の一例である。
工程S2は、複数のチャージのうち既に各設備(転炉、2次精錬設備又は連続鋳造機)における処理を開始しているチャージがある場合に、処理を開始しているチャージの処理開始実績時刻または処理終了実績時刻に関する操業実績情報を読み込む工程である。
工程S3は、工程S1にて読み込んだ操業予定情報と工程S2にて読み込んだ操業実績情報とに基づいて、制約条件として、少なくとも、処理を実施する各設備における処理開始時刻及び処理終了時刻の条件、及び、各設備の開始時及び終了時における溶鋼温度の条件を生成する工程である。制約条件の生成法については種々の方法を適用することができる。具体例については後述する。
工程S4は、連続鋳造機における溶鋼温度により計算される指標を含む目的関数を生成する工程である。連続鋳造機における溶鋼温度により計算される指標の具体例としては、計算により得られる溶鋼温度と、目標溶鋼温度との差(より具体的には、上記操業予測情報や操業実績情報を用いて計算により得られる連続鋳造機におけるチャージの液相線温度からの上昇温度と、連続鋳造に必要とされる目標上昇温度との誤差)や、転炉工程から連続鋳造工程における温度低下量等が挙げられる。目的関数の生成法については種々の方法を適用することができる。具体的には後述する。
工程kにおけるチャージiの処理終了時刻ck,iは、工程kにおけるチャージiの処理開始時刻sk,iと最短処理時間Mk,iとを用いて次の式(1)で表すことができる。最短処理時間とは、各チャージの成分規格等により定まる最低限必要な処理時間を意味する。
工程k’のチャージiの処理開始時刻sk’,iは、工程k’の前の工程kにおけるチャージiの処理終了時刻と、工程k及び工程k’の間の最短搬送時間Lk,k’とを用いて次の式(2)で表すことができる。最短搬送時間とは、ある工程において取鍋をクレーンで吊り上げて、次の工程まで搬送するまでの最短の搬送時間を意味する。
チャージi+1の処理は、チャージiの処理終了後に開始されることから、チャージiとチャージi+1との関係は、工程kにおける最短処理間隔時間Hkを用いて次の式(3)で表すことができる。最短処理間隔時間とは、あるチャージの処理を終了して、次のチャージの処理を開始することが可能になるまでの最短準備時間を意味する。
工程kの次工程k’におけるチャージiの処理開始時の溶鋼温度ts k’,iは、工程kの処理終了温度te k,iと、工程k及び工程k’間の搬送時間と、単位時間当たりの溶鋼温度降下量Dtとを用いて、次の式(4)で表すことができる。
RH工程(k=2)において、チャージiに昇熱処理を施した場合の処理後溶鋼温度te 2,iは、次の式(5)で表すことができる。ここで、UtはRH工程における単位時間当たりの上昇温度を表す。
連続鋳造工程前におけるチャージiの液相線温度Wiから上昇温度(以下、単に「ΔT」と呼ぶ場合がある。)δiは、ts ccno,iを用いて次の式(6)で表すことができる。ここで、ccnoは上記表1における各チャージのCC番号に対応して定められる値であり、CC番号が1の時はccno=3(連続鋳造機1)となり、CC番号が2の時はccno=4(連続鋳造機2)となる。
チャージiの転炉工程終了後から連続鋳造機において鋳込みを開始するまでの溶鋼滞留時間eiは、チャージiの連続鋳造機の鋳造開始時刻sccno,iと転炉の処理終了時刻c1,iとを用いて、次の式(7)で表すことができる。
チャージiの連続鋳造工程の処理開始時におけるΔTと目標ΔTとの誤差の絶対値riは、δiと、ΔTの目標値Viとを用いて、次の式(8−1)や式(8−2)で表すことができる。
表1の出鋼後の溶鋼温度をZiとした場合、転炉処理後の溶鋼温度te 1,iは、次の式(9)で表すことができる。
各チャージの連続鋳造機における処理開始時刻、処理終了時刻を、例えば表1の時刻とした場合、表1のチャージiの鋳造開始時刻をTs i、鋳造終了時刻をTe iとすると、次の式(10−1)及び式(10−2)が成り立つ。
目的関数は、連続鋳造機における溶鋼温度により計算される指標を含む関数である。例えば、チャージiの連続鋳造工程の処理開始時におけるΔTと目標ΔTとの誤差の絶対値riと、溶鋼滞留時間eiとを用いて、次の式(12)のように表すことができる。尚、c1とc2とはコスト係数である。
工程S5は、制約条件生成工程S3にて生成した制約条件のもとで、目的関数生成工程S4にて生成した目的関数を最大化又は最小化するようなスケジュールを決定する工程である。例えば、上記の通りスケジュール問題(制約条件、目的関数)を線形計画問題として定式化した場合においては、例えば、処理を実施する各設備における処理開始時刻sk,i及び処理終了時刻ek,iの条件と、各設備の開始時及び終了時における溶鋼温度ts k,i、te k,iの条件とが満たされる範囲内において、最適化計算によって、目的関数fが最小化されるような操業スケジュールを決定すればよい。当該操業スケジュールは、制約条件の範囲内において、連続鋳造工程開始時の溶鋼温度の誤差が小さく、溶鋼滞留時間も小さな操業スケジュールといえる。尚、スケジュール問題を線形計画問題として定式化した場合、例えば、汎用のソルバーを用いることで、最適なスケジュールを容易に作成することができる。
工程S6は、工程S5にて決定したスケジュールを表示する工程である。計画立案者は、表示手段に表示されたスケジュールを確認し、当該スケジュールについてさらなる修正が必要か否かを判断することができる。表示形式については特に限定されるものではないが、ガントチャートによって表示されることが好ましい。
工程S7は、表示されたスケジュールを修正するためのデータを入力する工程である。具体的には、計画立案者は、工程S6において表示されたスケジュールについて適切でない(NG)と判断した場合、表示手段に表示されたスケジュールを修正するために、各設備における処理開始時刻又は処理終了時刻の指示データ情報を入力する。入力されたデータによって、後述の更なる制約条件が生成される。
工程S8は、更なる制約条件として、入力された指示データ情報を用いた時刻変数の条件を生成し、制約条件生成工程において生成させた制約条件と更なる制約条件とのもとで、最適スケジュール決定工程を再度行う工程である。すなわち、入力された時刻データを用いて、上記式(11−1)、式(11−2)と同様の制約式によって時刻変数を固定し、更なる制約条件として追加する。そして、当初の制約条件と新たに追加された更なる制約条件とのもとで、上記工程S5と同様の流れで最適スケジュールが改めて決定される。
図3に、一実施形態に係る本発明の操業スケジュール作成装置10を概略的に示す。装置10は、上記した方法S10を実施可能な装置ともいえる。すなわち、装置10は、少なくとも1基以上の転炉、少なくとも1基以上の2次精錬設備、及び、少なくとも1基以上の連続鋳造機を用いた製鋼プロセスにおける操業スケジュールを作成する装置であって、対象期間における複数のチャージの操業予定情報を、予定情報記憶部1から読み込む、予定情報読込部4と、複数のチャージのうち既に各設備における処理を開始しているチャージがある場合に、処理を開始しているチャージの処理開始実績時刻または処理終了実績時刻に関する操業実績情報を、実績情報記憶部2から読み込む、実績情報読込部5と、操業予定情報及び操業実績情報に基づいて、制約条件として、少なくとも、処理を実施する各設備における処理開始時刻及び処理終了時刻の条件、及び、各設備の開始時及び終了時における溶鋼温度の条件を生成する、制約条件生成部、並びに、連続鋳造機における溶鋼温度により計算される指標を含む目的関数を生成する、目的関数生成部、を含むスケジューリング問題生成部6と、制約条件のもとで、目的関数を最大化又は最小化するようなスケジュールを決定する、最適スケジュール決定部7とを備えている。
上記表1に示した操業予定情報をもとに、図3に示したような装置において、上記式(1)〜(12)を用いて、各制約条件及び目的関数を生成し、生成された目的関数が最小化される操業スケジュールを作成した。本実施例では、転炉工程からRH工程への最短搬送時間を20分、RH工程から連続鋳造機1又は2への最短搬送時間を25分とした。また、式(4)におけるDtについてはDt=1に設定し、式(5)におけるUtについてはUt=3に設定した。さらに、目的関数(12)におけるコスト係数c1、c2については、c1=10、c2=1とし、連続鋳造工程開始時の溶鋼温度に関して重み付けを大きくし、溶鋼滞留時間について重み付けを小さくした。
従来法であるバックワードシミュレーションによって操業スケジュールを作成した。バックワードシミュレーションは、時間軸上において最も未来に鋳造を予定されているチャージから、連続鋳造工程、2次精錬工程、転炉工程に関して最短の搬送時間及び処理時間で遡りながら、順次、処理スケジュールを決定することにより操業スケジュールを作成する方法である。
Claims (8)
- 少なくとも1基以上の転炉、少なくとも1基以上の2次精錬設備、及び、少なくとも1基以上の連続鋳造機を用いた製鋼プロセスにおける操業スケジュールを作成する方法であって、
対象期間における複数のチャージの操業予定情報を読み込む、予定情報読込工程と、
前記複数のチャージのうち既に各設備における処理を開始しているチャージがある場合に、該処理を開始しているチャージの処理開始実績時刻または処理終了実績時刻に関する操業実績情報を読み込む、実績情報読込工程と、
前記操業予定情報及び前記操業実績情報に基づいて、制約条件として、少なくとも、処理を実施する各設備における処理開始時刻及び処理終了時刻の条件、及び、各設備の開始時及び終了時における溶鋼温度の条件を生成する、制約条件生成工程と、
連続鋳造機における溶鋼温度により計算される指標を含む目的関数を生成する、目的関数生成工程と、
前記制約条件のもとで、前記目的関数を最大化又は最小化するようなスケジュールを決定する、最適スケジュール決定工程と、
を備える、操業スケジュール作成方法。 - 前記目的関数は、前記チャージの前記連続鋳造機の処理開始時における液相線温度からの上昇温度と当該上昇温度の目標値との誤差の絶対値と、前記転炉での処理終了から前記連続鋳造機の処理開始までの時間である溶鋼滞留時間と、の重み付け和である、請求項1に記載の操業スケジュール作成方法。
- 前記最適スケジュール決定工程において決定した前記スケジュールを表示手段に表示する、表示工程と、
前記表示手段に表示された前記スケジュールを修正するために、各設備における処理開始時刻又は処理終了時刻の指示データ情報を入力する、データ入力工程と、
更なる制約条件として、入力された前記指示データ情報を用いた時刻変数の条件を生成し、前記制約条件生成工程において生成させた前記制約条件と前記更なる制約条件とのもとで、前記最適スケジュール決定工程を再度行う、最適スケジュール再決定工程と、
をさらに備え、
前記表示工程と前記データ入力工程と前記最適スケジュール再決定工程とを繰り返し実施する、請求項1又は2に記載の操業スケジュール作成方法。 - 前記最適スケジュール決定工程において、線形計画法を用いて前記スケジュールが決定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の操業スケジュール作成方法。
- 少なくとも1基以上の転炉、少なくとも1基以上の2次精錬設備、及び、少なくとも1基以上の連続鋳造機を用いた製鋼プロセスにおける操業スケジュールを作成する装置であって、
対象期間における複数のチャージの操業予定情報を読み込む、予定情報読込部と、
前記複数のチャージのうち既に各設備における処理を開始しているチャージがある場合に、該処理を開始しているチャージの処理開始実績時刻または処理終了実績時刻に関する操業実績情報を読み込む、実績情報読込部と、
前記操業予定情報及び前記操業実績情報に基づいて、制約条件として、少なくとも、処理を実施する各設備における処理開始時刻及び処理終了時刻の条件、及び、各設備の開始時及び終了時における溶鋼温度の条件を生成する、制約条件生成部と、
連続鋳造機における溶鋼温度により計算される指標を含む目的関数を生成する、目的関数生成部と、
前記制約条件のもとで、前記目的関数を最大化又は最小化するようなスケジュールを決定する、最適スケジュール決定部と、
を備える、操業スケジュール作成装置。 - 前記目的関数は、前記チャージの前記連続鋳造機の処理開始時における液相線温度からの上昇温度と当該上昇温度の目標値との誤差の絶対値と、前記転炉での処理終了から前記連続鋳造機の処理開始までの時間である溶鋼滞留時間と、の重み付け和である、請求項5に記載の操業スケジュール作成装置。
- 前記最適スケジュール決定部において決定したスケジュールを表示する、表示部と、
前記表示部に表示されたスケジュールを修正するために、各設備における処理開始時刻又は処理終了時刻の指示データ情報を入力する、データ入力部と、
更なる制約条件として、入力された前記指示データ情報を用いた時刻変数の条件を生成し、前記制約条件生成部において生成された前記制約条件と、前記更なる制約条件とのもので、最適スケジュールの決定を再度行う、最適スケジュール再決定部と、
をさらに備える、請求項5又は6に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記最適スケジュール決定部において、線形計画法を用いて前記スケジュールが決定される、請求項5〜7のいずれか1項に記載の操業スケジュール作成装置。
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