JP6398579B2 - 操業スケジュール作成装置、操業スケジュール作成方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、溶鋼温度の変化を考慮していない。そのため、各プロセスの操業スケジュールを決定した後に、当該操業スケジュールの下で、溶鋼温度の低下量を補償するように各設備における溶鋼温度を決定する必要がある。このように既に決められている操業スケジュールの範囲で溶鋼温度を正確に制御することは容易ではなく、また、操業スケジュールの立案と溶鋼温度の決定とを何度も繰り返して行わなければならなくなる。
したがって、特許文献1に記載の技術では、連続鋳造機に到着する際の溶鋼温度を目標値に十分に近づける(好ましくは一致させる)ことが容易でない。
前述したように、特許文献1に記載の技術では、溶鋼温度の変化を考慮していない。したがって、適切な溶鋼温度を確保することができない虞がある。
そこで、本発明は、製鋼プロセスにおける操業スケジュールを、溶鋼温度を考慮して立案できるようにすることを目的とする。
図1に示すように、転炉工程において、溶鋼温度は、吹錬(溶鋼への酸素の吹き付け)により高められた後、出鋼の際に時間の経過とともに低下する。さらに、転炉工程から2次精錬工程に搬送される際に、取鍋内の溶鋼温度は低下する。
以上のように、本実施形態における製鋼プロセスにおいては、溶鋼温度を高めるために、転炉工程の終了時の溶鋼温度を高めることと、2次精錬工程(RH処理)において溶鋼温度を高めることとの、少なくとも何れか一方を行う必要がある。
まず、第1の実施形態を説明する。
図2は、製鋼プロセスのスケジュール作成装置10の機能的な構成の一例を示す図である。以下の説明では、製鋼プロセスのスケジュール作成装置10を必要に応じて、「スケジュール作成装置10」と略称する。スケジュール作成装置10のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現される。以下に、スケジュール作成装置10が有する機能の一例を説明する。
操業予定情報記憶部1は、操業予定情報を記憶する。
図3は、操業予定情報(の一部)の一例を表形式で示す図である。
図3には、操業予定情報のうち、チャージに依存する情報のみを示す。具体的に図3に示す例では、チャージに依存する操業予定情報として、CH番号、連続鋳造機No、連々回数、連々順位、最短処理時間、最短処理間隔時間、液相線温度、および温度目標値を含む。
「連続鋳造機No」は、チャージが鋳造される連続鋳造機の識別番号を表す。尚、図3に示す例では、同一の連続鋳造機で鋳造されるチャージの鋳造順は、CH番号が小さいチャージであるほど、早いものとする。
「連々回数」は、1つのキャスト内におけるチャージの総数を表す。尚、前述したようにキャストは、連続鋳造機で連続して鋳造される複数のチャージのグループを表す。
「連々順位」は、1つのキャスト内における各チャージの鋳造順を表す。
「最短処理時間」は、各チャージの成分規格等により定められるものである。
「最短処理間隔時間」は、あるチャージの処理を終了してから、次のチャージの処理を開始することが可能になるまでの最短の準備時間を表す。
「液相線温度」は、各チャージの凝固が開始する温度である。
「温度目標値」は、連続鋳造工程に到着する際の各チャージの温度の目標値である。
図4において、「転炉出鋼」の上限値・下限値が、転炉工程の終了時の溶鋼温度の上限値・下限値である。「RH開始」の上限値・下限値が、2次精錬工程(RH)の開始時の溶鋼温度の上限値・下限値である。「RH終了」の上限値・下限値が、2次精錬工程(RH)の終了時の溶鋼温度の上限値・下限値である。図4に示すように、本実施形態では、連続鋳造工程よりも前の各工程における処理開始時・処理終了時の溶鋼温度の上限値・下限値が、チャージに依らない一定値である場合を例に挙げて説明する。
尚、本実施形態では、図3に示すように、「転炉」及び「RH」の「最短処理間隔時間」をチャージ毎に設定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、「転炉」及び「RH」の「最短処理間隔時間」をチャージに依らない値として操業予定情報に含めてもよい。このことは、「液相線温度」及び「温度目標値」についても同じである。
一方、前述した操業予定情報のうち、チャージに依らない値を持つ情報をチャージ毎に定めるようにしてもよい。
操業予定情報読込部2は、操業予定情報記憶部1に記憶されている操業予定情報を読み出す。
操業予定情報読込部2は、例えば、CPUがROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
スケジューリング問題生成部3は、操業予定情報読込部2により読み出された操業予定情報を用いて、目的関数および制約式(制約条件)における定数・決定変数を設定する。尚、以下では、特に断りのない限り、変数を小文字で表し、定数を大文字で表す。
以下に、本実施形態で使用する目的関数と制約式について説明する。ここで、本実施形態では、数理計画法の一例である線形計画法による最適化計算を行う(最適化問題を解く)ことにより、操業スケジュールを立案する場合を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、工程を識別する変数k、k'(kは1〜4の整数、k'は工程kの直後に実施される工程の識別番号であり、2〜4の整数)は、それぞれ図5に示す工程を表すものとする。
まず、制約式について説明する。
<処理終了時刻ck,iの定義制約式>
工程kにおけるチャージi(iは1以上の整数であり、図3に示すように1〜10の整数)の処理終了時刻ck,iは、工程kにおけるチャージiの処理開始時刻sk,iと、工程kにおける当該チャージiの処理時間vk,iとを用いて、次の(1)式で表される。
ck,i=sk,i+vk,i ∀i,k・・・(1)
スケジューリング問題生成部3は、工程k、チャージiとしてとり得る値を、それぞれ(1)式の工程k、チャージiに与えることにより、(1)式の処理終了時刻の定義制約式を設定する。図3及び図5に示す例では、(1)式の工程kには1、2、3、4が与えられ、iには1、2、・・・、9、10が与えられる。その結果、合計40(=4×10)個の処理終了時刻定義制約式が設定される。
工程k'におけるチャージiの処理開始時刻sk',iは、当該工程k'の直前に実施される工程kのチャージiの処理終了時刻ck,iと、工程kと工程k'との間の搬送時間wi,k,k'とを用いて、次の(2)式で表される。ここで、搬送時間とは、或る工程において取鍋をクレーンで吊り上げることを開始してから、次の工程まで取鍋を搬送することを完了するまでの所要時間である。
sk',i=ck,i+wi,k,k' ∀i,k、k'(但しk'≧2)・・・(2)
また、本実施形態では、転炉工程の開始時が操業スケジュールの立案開始時刻である場合を例に挙げて説明する。したがって、転炉工程(k=1)の処理開始時刻s1,iは、立案開始時刻として予め与えられる。
スケジューリング問題生成部3は、工程k、k'、チャージiとしてとり得る値を、それぞれ(2)式の工程k、k'、チャージiに与えることにより、(2)式の処理開始時刻の定義制約式を設定する。
搬送時間wi,k,k'の下限は、工程kから工程k'へと溶鋼を搬送するために物理的に必要な最短搬送時間Wk,k'により制約されるので、以下の(3)式が成り立つ。
wi,k,k'≧Wk,k' ∀i,k、k'≧2・・・(3)
スケジューリング問題生成部3は、工程k、k'、チャージiとしてとり得る値を、それぞれ(3)式の工程k、k'、チャージiに与える。また、スケジューリング問題生成部3は、(3)式の最短搬送時間Wk,k'に、操業予定情報に含まれる最短搬送時間Wk,k'を与える。本実施形態では、転炉工程と2次精錬工程と間の最短搬送時間W1,2として前述した20(min)が与えられ、2次精錬工程と連続鋳造工程との間の最短搬送時間W2,3として前述した25(min)が与えられる。スケジューリング問題生成部3は、以上のようにして、(3)式の搬送時間制約式を設定する。
チャージi+1の処理はチャージiの処理が終了した後に開始される。このことから、チャージiとチャージi+1との関係は、工程kにおけるチャージi+1の最短処理間隔時間(チャージiの処理を終了してから、次のチャージi+1の処理を開始することが可能になるまでの準備時間)Qk,i+1を用いると、次の(4)式で表される。
sk,i+1≧ck,i+Qk,i+1 ∀i,k・・・(4)
スケジューリング問題生成部3は、工程k、チャージiとしてとり得る値を、それぞれ(4)式の工程k、チャージiに与える。また、スケジューリング問題生成部3は、(4)式の最短処理間隔時間Qk,i+1に、操業予定情報に含まれる最短処理間隔時間Qk,i+1(図3を参照)を与える。スケジューリング問題生成部3は、以上のようにして、(4)式の隣接チャージ干渉制約式を設定する。
sk,i+1=ck,i ∀i、k=3,4・・・(5)
ただし、(5)式における工程kの値は、連続鋳造機の識別番号(本実施形態では、図5に示すように、k=3、4)である。
以上のようにして(5)式の隣接チャージ干渉制約式を設定した後、スケジューリング問題生成部3は、(4)式の隣接チャージ干渉制約式のうち、(5)式で設定したチャージi、i+1と同じチャージi、i+1についての隣接チャージ干渉制約式を削除する。
工程kの次に実施される工程k'におけるチャージiの処理開始時の溶鋼温度ts k',iは、工程kの処理終了時の溶鋼温度te k,iと、工程kと工程k'との間の搬送時間wi,k,k'と、工程kと工程k'の間を搬送中の溶鋼の降温速度Dk,k'と、を用いて、次の(6)式で表される。
ts k',i=te k,i−Dk,k'×wi,k,k' ∀i,k、k'≧2・・・(6)
2次精錬工程(RH、k=2)でチャージiに昇熱処理を施した場合の、2次精錬工程における処理終了時の溶鋼温度te 2,iは、2次精錬工程における昇温処理時の溶鋼の昇温速度Upと、2次精錬工程における処理中の溶鋼の降温速度Btとを用いると、次の(7)式で表される。
te 2,i=ts 2,i+Up×h2,i−Bt×v2,i ∀i・・・(7)
本実施形態では、各工程kにおける処理時間vk,iは、当該工程kにおける最短処理時間Vk,iと(図3を参照)、昇温時間hk,iとの和になるものとし、次の(8a)式のように表される。
vk,i−hk,i=Vk,i ∀i,k=2・・・(8a)
2次精錬工程における処理時間v2,iは、(8a)式において、k=2としたものとなる。
転炉工程、および連続鋳造工程に関しては以下の(8b)式の制約条件によって処理時間vk,iの下限値を制約する。
vk,i≧Vk,i ∀i,k=1,3、4・・・(8b)
連続鋳造工程の処理開始時におけるチャージiの液相線温度Ziからの温度余裕δiは、工程kにおけるチャージiの処理開始時の溶鋼温度ts k,iを用いて以下の(9)式で表される。
δi=ts k,i−Zi ∀i、k=3,4・・・(9)
ただし、(9)式における工程kの値は、連続鋳造機の識別番号(図5に示すように、k=3、4)である。
スケジューリング問題生成部3は、チャージiとしてとり得る値と、連続鋳造工程を示す工程kとしてとり得る値をそれぞれ(9)式の工程k、チャージiに与える。また、スケジューリング問題生成部3は、操業予定情報に含まれるチャージiの液相線温度Zi(図3を参照)を、(9)式の液相線温度Ziに与える。スケジューリング問題生成部3は、以上のようにして、(9)式の連続鋳造工程処理開始時温度余裕定義制約式を設定する。
チャージiの、転炉工程の処理終了時刻から連続鋳造工程の処理開始時刻(連続鋳造機において鋳込みが開始される時刻)までの時間である溶鋼滞留時間diは、チャージiの連続鋳造工程の処理開始時刻sk,iと、チャージiの転炉工程の処理終了時刻c1,iを用いて、次の(10)式で表される。
di=sk,i−c1,i ∀i、k=3,4・・・(10)
ただし、(10)式における工程kの値は、連続鋳造機の識別番号(図5に示すように、k=3、4)である。
スケジューリング問題生成部3は、チャージiとしてとり得る値と、連続鋳造工程を示す工程kとしてとり得る値をそれぞれ(10)式のチャージi、工程kに与えることにより、(10)式の溶鋼滞留時間定義制約式を設定する。
連続鋳造工程の処理開始時におけるチャージiの液相線温度Ziからの温度余裕δiの目標値Hiに対する誤差の絶対値riは、以下の(11a)式及び(11b)式で表される。尚、ここでは、後述する目的関数を最小化問題の目的関数として解く場合を例に挙げて示す。
δi−Hi−ri≦0 ∀i・・・(11a)
−δi+Hi−ri≦0 ∀i・・・(11b)
スケジューリング問題生成部3は、図3に示すCH番号のそれぞれにおいて温度目標値から液相線温度を減算した値を、各チャージiにおける温度余裕δiの目標値Hiとして導出する。そして、スケジューリング問題生成部3は、前記導出した各チャージiにおける温度余裕δiの目標値Hiを(11a)式及び(11b)式に与える。また、スケジューリング問題生成部3は、チャージiとしてとり得る値を(11a)式及び(11b)式のチャージiに与える。スケジューリング問題生成部3は、以上のようにして、(11a)式及び(11b)式の目標温度余裕誤差定義制約式を設定する。
尚、各チャージiにおける温度余裕δiの目標値Hiは鋳造時間の長さや製造する鋳片の品質によって決定すればよい。具体的に、図3に操業予定情報を示した各チャージの場合は、温度余裕を30℃と設定して液相線温度に前記温度余裕を加えた温度目標値を1550℃としている。
本実施形態では、工程kにおけるチャージiの処理開始時の溶鋼温度ts k,iは、予め設定された上限値TsMAX k,iおよび下限値TsMIN k,iにより制約を受けるものとする。同様に、工程kにおけるチャージiの処理終了時の溶鋼温度te k,iは、予め設定された上限値TeMAX k,iおよび下限値TeMIN k,iにより制約を受けるものとする。したがって、以下の(12)式〜(15)式が成り立つ。
TsMIN k,i≦ts k,i ∀i、k=2・・・(12)
ts k,i≦TsMAX k,i ∀i、k=2・・・(13)
TeMIN k,i≦te k,i ∀i、k=1,2・・・(14)
te k,i≦TeMAX k,i ∀i、k=1,2・・・(15)
また、スケジューリング問題生成部3は、操業予定情報に含まれる「転炉工程の終了時の溶鋼温度の上限値TeMAX 1,i、下限値TeMIN 1,i」をそれぞれ(14)式、(15)式に与える(図4の「転炉出鋼」の上限値・下限値を参照)。
また、スケジューリング問題生成部3は、操業予定情報に含まれる「2次精錬工程(RH)の終了時の溶鋼温度の上限値TeMAX 2,i、下限値TeMIN 2,i」をそれぞれ(14)式、(15)式に与える(図4の「RH終了」の上限値・下限値を参照)。
スケジューリング問題生成部3は、以上のようにして、(12)式〜(15)式の溶鋼温度制約式を設定する。
次に、目的関数について説明する
本実施形態では、連続鋳造工程k(=3、4)における各チャージiの処理終了時刻ck,iと、各チャージiについての転炉工程の処理終了時刻から連続鋳造工程の処理開始時刻までの時間である溶鋼滞留時間diと、連続鋳造工程の処理開始時における各チャージiの液相線温度Ziからの温度余裕δiの目標値Hiに対する誤差の絶対値riとの重み付き線形和で目的関数fを表す。すなわち、目的関数fは、以下の(16)式で表される。
スケジューリング問題生成部3は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
最適スケジュール決定部4は、スケジューリング問題生成部3により設定された制約条件((1)式〜(15)式)を満足する範囲で、同じくスケジューリング問題生成部3により設定された目的関数fの値を最適化(最小化)する計算を行う。ここで、本実施形態では、処理開始時刻sk,i、処理終了時刻ck,i、処理開始時溶鋼温度ts k,i、及びRH処理終了時溶鋼温度te 2,iが決定変数であり、その他の変数は従属変数(決定変数に基づき従属的に定まる変数)である。尚、最適解の計算は、例えば、公知の混合整数計画問題解法によるsolverを用いることにより実現できる。
最適スケジュール決定部4は、求めた最適な操業スケジュールを示す情報をスケジュール記憶部5に記憶する。
最適スケジュール決定部4は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。また、スケジュール記憶部5は、例えば、HDDを用いることにより実現される。
スケジュール出力部6は、スケジュール記憶部5に記憶された最適な操業スケジュールの情報を読み出して、最適な操業スケジュールの表示データを作成し、コンピュータディスプレイに表示する。スケジュール出力部6は、例えば、ガントチャートによる表示を行うことができる。
スケジュール出力部6は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行し、インターフェース介したデータの出力を行うことにより実現される。尚、出力の形態として、前述した表示に加えて、または代えて、外部装置への送信、および可搬型記憶媒体への記憶等を採用してもよい。
ハンド情報入力部7は、スケジュール出力部6により表示された最適な操業スケジュールの修正が必要であると判定した場合、計画立案者のGUIに対する操作に基づいて、修正の内容を入力する。そして、ハンド情報入力部7は、当該入力した修正の内容を反映した上で、目的関数と制約式の設定をやり直すことをスケジューリング問題生成部3に指示する。これにより、計画立案者により最適な操業スケジュールの修正が必要ないと判断されるまで、操業スケジュールの導出と表示と変更が繰り返し行われる。
ハンド情報入力部7は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
次に、図6のフローチャートを参照しながら、本実施形態のスケジュール作成装置10の処理の一例を説明する。尚、ここでは、操業予定情報記憶部1に操業予定情報が記憶されているものとして説明を行う。
まず、ステップS1において、操業予定情報読込部2は、操業予定情報記憶部1に記憶されている操業予定情報を読み出す。
次に、ステップS3において、スケジューリング問題生成部3は、目的関数((16)式)を設定する。
次に、ステップS4において、最適スケジュール決定部4は、ステップS2で設定された制約条件を満足する範囲で、ステップS3で設定された目的関数fの値を最適化(最小化)する計算を行う。そして、最適スケジュール決定部4は、計算の結果から、最適な操業スケジュールを決定し、決定した最適な操業スケジュールの情報をスケジュール記憶部5に記憶する。
次に、ステップS6において、ハンド情報入力部7は、計画立案者のGUIに対する操作に基づいて、ステップS5で表示された最適な操業スケジュールの修正が必要であるか否かを判定する。
一方、最適な操業スケジュールの修正が必要である場合には、ステップS7に進む。ステップS7に進むと、ハンド情報入力部7は、計画立案者のGUIに対する操作に基づいて、修正の内容を入力する。そして、ハンド情報入力部7は、当該入力した修正の内容を反映した上で、目的関数と制約式の設定をやり直すことをスケジューリング問題生成部3に指示する。そして、前述したステップS2に戻る。ステップS2に戻ると、スケジューリング問題生成部3は、ステップS7で指示された修正の内容に従って、制約条件と目的関数の少なくとも何れか一方を変更し、最適スケジュール決定部4は、変更後の制約条件と目的関数に従って最適な操業スケジュールを再度決定する。
そして、ステップS6で最適な操業スケジュールの修正が必要でないと判定されると、図6のフローチャートによる処理を終了する。
以上のように本実施形態では、転炉工程の処理を開始してから連続鋳造工程の処理を終了するまでの間における、各工程の処理開始時刻及び処理終了時刻と、転炉工程の処理を終了してから連続鋳造工程の処理を開始するまでの各工程の開始時及び終了時の溶鋼温度を同時に決定する。
また、各工程の処理開始時における溶鋼温度ts k,i、te k,iの上下限値を規定する溶鋼温度制約式を設定するので、溶鋼温度を目標値にする操業を容易に且つ高精度に行うことが可能になる。
[変形例1]
本実施形態では、1基の転炉による転炉工程と、1基の2次精錬設備(RH)による2次精錬工程と、2基の連続鋳造機による連続鋳造工程と、を有する製鋼プロセスの、操業スケジュールを作成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、製鋼プロセスは、転炉工程(1基以上の転炉)と、2次精錬工程(1基以上の2次精錬設備)と、連続鋳造工程(1基以上の連続鋳造機)とを含むプロセスであれば、このようなプロセスに限定されるものではない。
[変形例2]
本実施形態では、処理終了時刻ck,iと、溶鋼滞留時間diと、液相線温度Ziからの温度余裕δiの目標値Hiに対する誤差の絶対値riと、を用いた目的関数を設定する場合を例に挙げて説明した。
しかしながら、連続鋳造工程の処理開始時における各チャージiの溶鋼温度の目標値に対する誤差を用いて計算される指標を変数として含んでいれば、目的関数は(16)式に示したものに限定されない。ここで、当該指標を目的関数に含めるのは、製鋼プロセスにおいては、当該誤差が、連続鋳造工程で製造される鋳片のコストだけでなく、品質に大きく影響を与えるからである。
まず、連続鋳造工程の処理開始時における各チャージiの液相線温度Ziからの温度余裕δiの目標値Hiに対する誤差の絶対値ではなく、当該誤差の偶数次乗(n乗(nは偶数)、例えば2乗)を用いてもよい。
この他、当該誤差に代えて、連続鋳造工程の処理開始時における各チャージiの溶鋼温度(そのもの)の、目標値(図3に示す温度目標値)からの誤差を用いてもよい。
尚、図3に示すように、本実施形態では、操業予定情報として、温度目標値と液相線温度とを入力し、温度目標値から液相線温度を減算した値を液相線温度Ziからの温度余裕δiの目標値Hiとして導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、各チャージについて、液相線温度Ziからの温度余裕δiの目標値Hiそのものを操業予定情報として入力してもよい。
本実施形態では、最小化問題を解く場合を例に挙げて説明した。しかしながら、最大化問題としてもよい。このようにする場合には、例えば、目的関数fに(−1)を掛けるようにすればよい。
本実施形態では、昇温時間h2,iを導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、2次精錬設備において、昇温処理を行わない場合の操業スケジュールを作成する場合には、昇温時間h2,iを考慮しなくてもよい。
本実施形態では、処理時間制約式((8a)式及び(8b)式)において、工程kにおけるチャージiの処理時間vk,iは、下限値(最短処理時間Vk,i)により制約を受ける場合を例に挙げて説明した。しかしながら、工程kにおけるチャージiの処理時間vk,iが、上限値(最長処理時間)以下であるという制約を処理時間制約式に加えてもよい。
次に、本実施形態の実施例を説明する。
製鋼工場における、1基の転炉、1基の2次精錬設備、および2基の連続鋳造機の操業スケジュールを、本実施形態の手法(実施例)と、バックワードシミュレーションによる鋳造間隔が最短となるようにスケジュールを決定する手法(比較例)と、のそれぞれにより作成した。ここでは、定数として、前述した実施形態で示した値を使用した。
図7および図8において、「DC」は転炉、「RH」は連続鋳造設備、「1CC」は連続鋳造機No.1、「2CC」は連続鋳造機No.2をそれぞれ表す。また、図7および図8の横軸は時間であり、図7および図8に示す四角形の色の違い(グレー及び白抜き)は、連続鋳造工程に用いられる連続鋳造機No.の違いを表している。
一方、図11は、比較例の手法で計算した各工程の処理開始時・終了時の溶鋼温度を示す図である。比較例では、溶鋼温度を考慮せずに操業スケジュールが決定される。
次に、第2の実施形態を説明する。
第1の実施形態では、各工程の処理開始時の溶鋼温度ts 2,i、ts 3,iと処理終了時の溶鋼温度te 1,i、te 2,iとが、確定値であるものとしてモデル化する場合を例に挙げて説明した。この確定値のモデルでは、工程間の搬送時間や、2次精錬工程における処理時(RH処理時)における溶鋼温度の降下量の平均値が与えられた条件下において、転炉工程の処理終了時、2次精錬工程の処理開始時・終了時、および連続鋳造工程開始時の溶鋼温度の平均値を計算する。
図12は、溶鋼温度のばらつきが時間の経過とともに大きくなることを概念的に示す図である。尚、図12の上図は、図7および図8と同様、各工程における処理時間を表す。
図12の下図において、2次精錬工程(RH)における処理開始時の溶鋼温度の分布121、2次精錬工程(RH)における処理終了時の溶鋼温度の分布122、および連続鋳造工程(CC)における処理開始時の溶鋼温度の分布123のように、溶鋼温度の降温速度がばらつくため、溶鋼温度の標準偏差が時間の経過とともに大きくなる。
転炉においては、吹錬(溶鋼への酸素の吹き付け)により、溶鋼中の炭素を除去するとともに溶鋼温度を高める。このとき、炭素や他の成分濃度によっては通常よりも酸素を過剰に吹き付ける場合や、反対に早期に酸素の吹き付けを停止する場合がある。このため、溶鋼温度の調整が不十分となることがある。
第1の実施形態では、転炉工程(k=1)と2次精錬工程(k'=2)の間を搬送中の溶鋼の降温速度D1,2を一定値とした。また、2次精錬工程(k=2)と連続鋳造工程(k'=3)との間を搬送中の溶鋼の降温速度D2,3も一定値とした。さらに、2次精錬工程における処理中の溶鋼の処理中の降温速度Btも一定値とした。
しかしながら、溶鋼の降温速度は常に一定ではなく、例えば、取鍋や2次精錬設備の耐火物の状況等、操業条件によってばらつくことが予想される。
図13において、「転炉−RH搬送」は、転炉工程と2次精錬工程の間を搬送中の期間であることを示す。「RH処理中」は、2次精錬工程における処理中の期間であることを示す。「RH−CC搬送」は、2次精錬工程と連続鋳造工程との間を搬送中の期間であることを示す。
本実施形態では、転炉工程における処理終了時の溶鋼温度te 1,iの標準偏差σ0と、転炉工程と2次精錬工程の間を搬送中の溶鋼の降温速度の標準偏差σ1と、2次精錬工程における処理中の溶鋼の降温速度の標準偏差σ2とを用いて、2次精錬工程における処理終了時の溶鋼温度の分散VarRHE iを以下の(17)式で表す。
VarRHE i=σ0 2+σ1 2×wi,1,2 2+σ2 2×v2,i 2−ρ2×e2,i ∀i・・・(17)
第1の実施形態で説明したように、wi,1,2は、転炉工程と2次精錬工程との間の搬送時間であり、v2,iは、2次精錬工程における処理時間である。
第1の実施形態のように、温度調整時間を確保しない場合、オペレータは、前述した、2次精錬工程における処理終了時の溶鋼温度を目標値に近づけるための作業を行うための時間をとれないことがある。したがって、図14の破線で示すように、2次精錬工程における処理終了時の溶鋼温度(の実測値)のばらつきが大きくなる(標準偏差が大きくなる)。これに対し、2次精錬工程における処理終了時の溶鋼温度を目標値に近づけるための作業を行うための時間を確保することにより、図14の実線で示すように、2次精錬工程における処理終了時の溶鋼温度(の実測値)のばらつきを低減することができる。
そこで、本実施形態では、2次精錬工程における最短処理時間V2,iからの延長時間に応じて、溶鋼温度のばらつきが抑制されることとした。(17)式に示す例では、単位時間当たりにρ2(℃)ずつ、温度の分散が温度調整時間e2,1に比例して低下することとした。
図15において、2次精錬工程における処理時間v2,iは、2次精錬工程における最短処理時間V2,iと、昇温時間h2,iまたは温度調整時間e2,iとの和となる。
昇温時間h2,iは、第1の実施形態で説明したように、2次精錬工程において昇温処理を行うのに要する時間である。すなわち、2次精錬工程における処理終了時の溶鋼温度の平均値を目標値に一致させるために必要な時間である。
一方、温度調整時間e2,iは、操業時に生じる、2次精錬工程における処理終了時の溶鋼温度のばらつきを低減させるために必要な時間である。
これに対し、本実施形態では、2次精錬工程における処理時間v2,iは、2次精錬工程における最短処理時間V2,iと、温度調整時間e2,i及び昇温時間h2,iのうち大きい方と、を加算した値であるものとして2次精錬工程における処理時間制約式を表現する。
μ2,i≧e2,i ∀i・・・(18b)
v2,i−μ2,i=V2,i ∀i・・・(18c)
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、線形計画問題として定式化された最適化問題がスケジューリング問題生成部3で設定される場合を例に挙げて示す。線形計画問題として定式化する場合には、最大値記号maxを使用することができない。そこで、新たな決定変数μ2,iを定義して、(18a)式および(18b)式の2つの制約条件によって、μ2,iの下限値を設定する。尚、このようにして最大値を表現する手法は公知の手法であり、例えば、非特許文献1に記載されている。
VarCCS i=VarRHE i+σ3 2×wi,2,3 2 ∀i・・・(19)
第1の実施形態で説明したように、wi,2,3は、2次精錬工程と連続鋳造工程との間の搬送時間である。
また、スケジューリング問題生成部3は、チャージiとしてとり得る値を(18a)〜(18c)のチャージiに与えるとともに、予め定められている標準偏差σ0、σ1、σ2、σ3を(19)式((17)式)の標準偏差σ0、σ1、σ2、σ3に与えることにより、(19)式の溶鋼温度分散定義制約式を設定する。
最適スケジュール決定部4は、(8a)式の代わりに(18a)式〜(18c)式を、(16)式の代わりに(20)式を、それぞれ用いて、第1の実施形態で説明したように、最適化の計算を行い、その結果から、最適な操業スケジュールを決定する。ここで、本実施形態では、処理開始時刻sk,i、処理終了時刻ck,i、処理開始時溶鋼温度ts k,i、RH処理終了時溶鋼温度te 2,i、及び温度調整時間e2,1が決定変数であり、その他の変数は従属変数である。
本実施形態のスケジュール作成装置のその他の構成と処理は、第1の実施形態で説明した通りである。
以上のように本実施形態では、転炉工程の処理終了時の溶鋼温度のばらつき(σ0 2)と、転炉工程の処理終了時から2次精錬工程の処理開始時までの溶鋼温度の降下量のばらつき(σ1 2×wi,1,2 2)と、2次精錬工程の処理時間における溶鋼温度の降下量のばらつき(σ2 2×v2,i 2)と、2次精錬工程の処理終了時から連続鋳造工程の処理開始時までの溶鋼温度の降下量のばらつき(σ3 2×wi,2,3 2)と、2次精錬工程における温度調整時間に応じて低減される溶鋼温度のばらつき低減量(ρ2×e2,i)とによって、連続鋳造工程における処理開始時の溶鋼温度の分散VarCCS iを定義する。
そして、連続鋳造工程における各チャージiの処理終了時刻ck,iと、各チャージiについての転炉工程の処理終了時刻から連続鋳造工程の処理開始時刻までの時間である溶鋼滞留時間diと、連続鋳造工程の処理開始時における各チャージiの液相線温度Ziからの温度余裕δiの目標値Hiに対する誤差の絶対値riと、連続鋳造工程における処理開始時の溶鋼温度の分散VarCCS iと、の重み付き線形和で表される目的関数fを最小化する最適解を計算して操業スケジュールを決定する。
本実施形態では、溶鋼温度のばらつきを分散で表す場合を例に挙げて説明したが、溶鋼温度のばらつきは分散に限定されない。例えば標準偏差等であってもよい。
また、本実施形態では、温度調整時間e2,i及び昇温時間h2,iのうち大きい方を採用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、2次精錬設備において昇温処理を行わず冷却処理のみを実施する場合の操業スケジュールを作成する場合には、昇温時間h2,iを考慮に入れる必要はない。このようにする場合には、例えば、(18a)式及び(18b)式は不要になり、(18)式の「μ2,i」を「e2,i」に置き替えることにより、2次精錬工程における処理時間制約式を定義することができる。
この他、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
次に、本実施形態の実施例を説明する。
本実施例でも、第1の実施形態で説明した実施例と同じ条件で操業スケジュールを作成した。
ただし、標準偏差σ0、σ1、σ2、σ3をそれぞれ図16に示す値とした(σ0=0.5、σ1=0.2、σ2=0.3、σ3=0.1)。また、溶鋼温度ばらつき抑制係数ρ 2を25(ρ 2=25)とした。これは、処理1分間当たり5(℃)の標準偏差を抑制することを意味する。また、コスト係数ηを5(η=5)とした。
また、図18に示す結果より、第2の実施形態の手法で計算した「2次精錬工程における処理時間(RH処理時間)」の平均値は33.4(min)である。一方、第1の実施形態の手法で計算した「2次精錬工程における処理時間(RH処理時間)」の平均値は32.0(min)である。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
<請求項1〜2>
取得手段は、例えば、操業予定情報読込部2(ステップS1)を用いることにより実現される。
制約式設定手段は、例えば、スケジューリング問題生成部3(ステップS2)を用いることにより実現される。
目的関数設定手段は、例えば、スケジューリング問題生成部3(ステップS3)を用いることにより実現される。
操業スケジュール作成手段は、例えば、最適スケジュール決定部4(ステップS4)を用いることにより実現される。
連鋳開始時目標温度情報は、例えば、図3に示す温度目標値及び液相線温度を用いることにより実現される(変形例2も参照)。
処理開始時刻定義制約式は、例えば、(2)式により実現される。
処理終了時刻定義制約式は、例えば、(1)式により実現される。
溶鋼温度定義制約式は、例えば、(6)式および(7)式により実現される。
「前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度の目標値からの誤差、または、前記複数のチャージにおける、前記温度余裕の目標値からの誤差を用いて計算される指標を変数として含む関数」は、例えば、(16)式(特に右辺第1項)により実現される(変形例2も参照)。
<請求項3>
「前記複数のチャージにおける、前記転炉工程の処理終了時刻から前記連続鋳造工程の処理開始時刻までの時間である溶鋼滞留時間の総和を変数として含む関数」は、例えば、(16)式(特に右辺第2項)により実現される(変形例2も参照)。
<請求項4>
2次精錬工程の昇温時間は、例えば、2次精錬工程におけるチャージiの昇温時間h2,iにより実現される。
「前記複数のチャージにおける、前記2次精錬工程での溶鋼の昇温時間の総和を変数として含む関数」は、変形例2による目的関数の変形(溶鋼滞留時間diに代えて、或いは、加えて、2次精錬工程におけるチャージiの昇温時間h2,iを用いること)により実現される。
<請求項5>
2次精錬工程処理終了時溶鋼温度定義制約式は、例えば、(7)式により実現される。
2次精錬工程の最短処理時間は、例えば、図3の「最短処理時間」(特に「RH」の欄)により実現される。
昇温速度は、例えば、2次精錬工程における昇温処理時の溶鋼の昇温速度Upにより実現される。
降温速度は、例えば、2次精錬工程における処理中の溶鋼の降温速度Btにより実現される。
昇温時間は、例えば、2次精錬工程における昇温時間h2,iにより実現される。
2次精錬工程処理時間定義制約式は、例えば、(8a)式、(8b)式により実現される。
<請求項6>
第1の溶鋼温度制約式は、例えば、(12)式及び(13)式により実現される。
第2の溶鋼温度制約式は、例えば、(14)式及び(15)式により実現される。
<請求項7>
「前記複数のチャージにおける、前記転炉工程の処理終了時の溶鋼温度の総和を変数として含む関数」は、変形例2による目的関数の変形(溶鋼滞留時間diに代えて、或いは、加えて、転炉工程の処理終了時の溶鋼温度te 1,iを用いること)により実現される。
<請求項8>
「前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理終了時刻の総和、または、前記複数のチャージの製造を行う場合の前記複数の工程における非稼働時間の総和を変数として含む関数」は、例えば、(16)式(特に右辺第3項)と、変形例2による目的関数の変形(連続鋳造工程における各チャージiの処理終了時刻ck,iに代えて、或いは、加えて、各チャージiの各工程kの非稼働時間を表す鋳造間隔時間を用いること)により実現される。
<請求項9〜11、13>
溶鋼温度ばらつき定義制約式は、例えば、(19)式により実現される。所定の係数は、例えば、溶鋼温度ばらつき抑制係数ρ 2により実現される。
温度調整時間は、例えば、温度調整時間e2,iにより実現される。
連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度のばらつきは、例えば、続鋳造工程における処理開始時の溶鋼温度の分散VarCCS iにより実現される。
「前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度のばらつきの総和を変数として含む関数」は、例えば、(20)式(特に、右辺第4項)により実現される。
<請求項12>
2次精錬工程の最短処理時間は、例えば、図3の「最短処理時間」(特に「RH」の欄)により実現される。
昇温速度は、例えば、2次精錬工程における昇温処理時の溶鋼の昇温速度Upにより実現される。
降温速度は、例えば、2次精錬工程における処理中の溶鋼の降温速度Btにより実現される。
昇温時間は、例えば、例えば、2次精錬工程における昇温時間h2,iにより実現される。
2次精錬工程処理時間定義制約式は、例えば、(18a)〜(18c)式により実現される。
2次精錬工程処理終了時溶鋼温度定義制約式は、例えば、(7)式により実現される。
Claims (15)
- 転炉工程、2次精錬工程、および連続鋳造工程を含む複数の工程を有し、チャージの単位で鋳片を製造する製鋼プロセスにおける操業スケジュールを作成する操業スケジュール作成装置であって、
前記操業スケジュールの立案の対象となる複数のチャージについての操業予定情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記操業予定情報に基づいて、制約式を設定する制約式設定手段と、
前記取得手段により取得された前記操業予定情報に基づいて、目的関数を設定する目的関数設定手段と、
前記制約式設定手段により設定された制約式に基づく制約条件を満足する範囲で、前記目的関数設定手段により設定された目的関数の値を最大または最小にする決定変数を数理計画法による最適化計算を行うことにより導出する操業スケジュール作成手段と、を有し、
前記操業予定情報は、
前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度の目標値、または、前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度から溶鋼の液相線温度を減算した値である温度余裕の目標値からなる連鋳開始時目標温度情報を含み、
前記制約式は、
前記複数の工程のうちの各工程の処理終了時刻と、当該工程と次工程との間の前記チャージの搬送時間との加算値で、次工程の処理開始時刻を表現する処理開始時刻定義制約式と、
前記工程の処理開始時刻と、当該工程の処理時間との加算値で、当該工程の処理終了時刻を表現する処理終了時刻定義制約式と、
前記複数の工程にわたる期間のうち、少なくとも、前記転炉工程の処理終了時から前記連続鋳造工程の処理開始時までの期間の各工程における処理開始時および処理終了時の溶鋼温度を、時間の関数で表現する溶鋼温度定義制約式と、を含み、
前記目的関数は、
前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度の目標値からの誤差、または、前記複数のチャージにおける、前記温度余裕の目標値からの誤差を用いて計算される指標を変数として含む関数であり、
前記決定変数は、
前記複数の工程の処理開始時刻および処理終了時刻と、
前記複数の工程にわたる期間のうち、少なくとも、前記転炉工程の処理終了時から前記連続鋳造工程の処理開始時までの期間における各工程の処理開始時および処理終了時の溶鋼温度と、
を含むことを特徴とする操業スケジュール作成装置。 - 前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度の目標値からの誤差、または、前記複数のチャージにおける、前記温度余裕の目標値からの誤差を用いて計算される指標は、
前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度の目標値からの誤差の絶対値の総和、前記複数のチャージにおける、前記温度余裕の目標値からの誤差の絶対値の総和、前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度の目標値からの誤差の偶数次乗の総和、または、前記複数のチャージにおける、前記温度余裕の目標値からの誤差の偶数次乗の総和であることを特徴とする請求項1に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記目的関数は、
さらに、前記複数のチャージにおける、前記転炉工程の処理終了時刻から前記連続鋳造工程の処理開始時刻までの時間である溶鋼滞留時間の総和を変数として含む関数であることを特徴とする請求項1または2に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記目的関数は、
さらに、前記複数のチャージにおける、前記2次精錬工程での溶鋼の昇温時間の総和を変数として含む関数であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記制約式は、
さらに、前記2次精錬工程の最短処理時間と、前記2次精錬工程での溶鋼の前記昇温時間との加算値で、前記2次精錬工程の処理時間を表現する2次精錬工程処理時間定義制約式を含み、
前記操業予定情報は、
さらに、前記複数のチャージにおける、前記2次精錬工程の前記最短処理時間と、前記複数のチャージにおける、前記2次精錬工程での前記昇温時間の単位時間当たりの溶鋼温度の上昇量である昇温速度と、
前記複数のチャージにおける、前記2次精錬工程での前記処理時間の単位時間当たりの溶鋼温度の降下量である降温速度と、を含み、
前記溶鋼温度定義制約式は、
前記2次精錬工程の処理開始時の溶鋼温度に対し、前記昇温速度と前記昇温時間との乗算値の加算と、前記降温速度と前記2次精錬工程の処理時間との乗算値の減算とを行った値で、前記2次精錬工程の処理終了時の溶鋼温度を表現する2次精錬工程処理終了時溶鋼温度定義制約式を含むことを特徴とする請求項4に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記操業予定情報は、
さらに、前記複数の工程の処理開始時の溶鋼温度の上限値および下限値と、
前記複数の工程の処理終了時の溶鋼温度の上限値および下限値と、を含み、
前記制約式は、
さらに、前記複数の工程の処理開始時の溶鋼温度が、それぞれ上限値と下限値との間になることを規定する第1の溶鋼温度制約式と、前記複数の工程の処理終了時の溶鋼温度が、それぞれ上限値および下限値との間になることを規定する第2の溶鋼温度制約式と、を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記目的関数は、
さらに、前記複数のチャージにおける、前記転炉工程の処理終了時の溶鋼温度の総和を変数として含む関数であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記目的関数は、
さらに、前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理終了時刻の総和、または、前記複数のチャージの製造を行う場合の前記複数の工程での非稼働時間の総和を変数として含む関数であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記制約式は、
さらに、前記転炉工程の処理終了時の溶鋼温度のばらつきと、前記転炉工程の処理終了時から前記2次精錬工程の処理開始時までの溶鋼温度の降下量のばらつきと、前記2次精錬工程の処理時間における溶鋼温度の降下量のばらつきと、前記2次精錬工程の処理終了時から前記連続鋳造工程の処理開始時までの溶鋼温度の降下量のばらつきと、前記2次精錬工程における温度調整時間に応じて低減される溶鋼温度のばらつき低減量とによって、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度のばらつきを表現する溶鋼温度ばらつき定義制約式を含み、
前記目的関数は、
さらに、前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度のばらつきを用いて計算される指標を変数として含む関数であり、
前記決定変数は、
さらに、前記温度調整時間を含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度のばらつきを用いて計算される指標は、
前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度のばらつきの総和であることを特徴とする請求項9に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記溶鋼温度ばらつき定義制約式は、
前記転炉工程の処理終了時の溶鋼温度のばらつきと、前記転炉工程の処理終了時から前記2次精錬工程の処理開始時までの溶鋼温度の降下量のばらつきと、前記2次精錬工程の処理時間における溶鋼温度の降下量のばらつきと、前記2次精錬工程の処理終了時から前記連続鋳造工程の処理開始時までの溶鋼温度の降下量のばらつきとの和に対し、前記2次精錬工程における温度調整時間と所定の係数との乗算値を減算した値で、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度のばらつきを表現する式であることを特徴とする請求項9または10に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記操業予定情報は、
さらに、前記複数のチャージにおける前記2次精錬工程の最短処理時間と、
前記複数のチャージにおける、前記2次精錬工程での溶鋼の昇温時間の単位時間当たりの溶鋼温度の上昇量である昇温速度と、
前記複数のチャージにおける、前記2次精錬工程での前記処理時間の単位時間当たりの溶鋼温度の降下量である降温速度と、を含み、
前記制約式は、
さらに、前記2次精錬工程の前記最短処理時間と、前記2次精錬工程での溶鋼の前記昇温時間および前記温度調整時間のうちの大きい方の時間との加算値で、前記2次精錬工程の処理時間を表現する2次精錬工程処理時間定義制約式を含み、
前記溶鋼温度定義制約式は、
前記2次精錬工程の処理開始時の溶鋼温度に対し、前記昇温速度と前記昇温時間との乗算値の加算と、前記降温速度と前記2次精錬工程の処理時間との乗算値の減算とを行った値で、前記2次精錬工程の処理終了時の溶鋼温度を表現する2次精錬工程処理終了時溶鋼温度定義制約式を含むことを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の操業スケジュール作成装置。 - 前記ばらつきは、分散であることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載の操業スケジュール作成装置。
- 転炉工程、2次精錬工程、および連続鋳造工程を含む複数の工程を有し、チャージの単位で鋳片を製造する製鋼プロセスにおける操業スケジュールを作成する操業スケジュール作成方法であって、
前記操業スケジュールの立案の対象となる複数のチャージについての操業予定情報を取得手段により取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記操業予定情報に基づいて、制約式を制約式設定手段により設定する制約式設定ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記操業予定情報に基づいて、目的関数を目的関数設定手段により設定する目的関数設定ステップと、
前記制約式設定ステップにより設定された制約式に基づく制約条件を満足する範囲で、前記目的関数設定ステップにより設定された目的関数の値を最大または最小にする決定変数を数理計画法による最適化計算を行うことによって操業スケジュール作成手段により導出する操業スケジュール作成ステップと、を有し、
前記操業予定情報は、
前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度の目標値、または、前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度から溶鋼の液相線温度を減算した値である温度余裕の目標値からなる連鋳開始時目標温度情報を含み、
前記制約式は、
前記複数の工程のうちの各工程の処理終了時刻と、当該工程と次工程との間の前記チャージの搬送時間との加算値で、次工程の処理開始時刻を表現する処理開始時刻定義制約式と、
前記工程の処理開始時刻と、当該工程の処理時間との加算値で、当該工程の処理終了時刻を表現する処理終了時刻定義制約式と、
前記複数の工程にわたる期間のうち、少なくとも、前記転炉工程の処理終了時から前記連続鋳造工程の処理開始時までの期間の各工程における処理開始時および処理終了時の溶鋼温度を、時間の関数で表現する溶鋼温度定義制約式と、を含み、
前記目的関数は、
前記複数のチャージにおける、前記連続鋳造工程の処理開始時の溶鋼温度の目標値からの誤差、または、前記複数のチャージにおける、前記温度余裕の目標値からの誤差を用いて計算される指標を変数として含む関数であり、
前記決定変数は、
前記複数の工程の処理開始時刻および処理終了時刻と、
前記複数の工程にわたる期間のうち、少なくとも、前記転炉工程の処理終了時から前記連続鋳造工程の処理開始時までの期間における各工程の処理開始時および処理終了時の溶鋼温度と、
を含むことを特徴とする操業スケジュール作成方法。 - 請求項1〜13の何れか1項に記載の操業スケジュール作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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