JP6904157B2 - 操業スケジュール作成方法、装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、複数工程での処理を経て製品を製造する操業スケジュールを作成する操業スケジュール作成方法、装置及びプログラムに関する。
製鋼工場では、転炉の吹錬により製造した溶鋼を、耐火物でできた搬送容器である取鍋に注入し、取鍋を二次精錬装置まで搬送して溶鋼の成分及び温度を調整した後、連続鋳造機まで搬送して鋳造する。
連続鋳造では、取鍋から溶鋼をいったんタンディッシュに注入し、タンディッシュから鋳型に注入するため、取鍋からの溶鋼注入が完了するたびに次の取鍋に交換することで、複数の取鍋について連続して鋳造が行われる。転炉での1回の吹錬で製造される溶鋼(すなわち取鍋で1回に搬送される溶鋼)の単位をチャージと呼び、連続鋳造の開始から終了までの操業単位をキャストと呼び、一つのキャストが複数のチャージからなる関係になる。
一つのキャストに含まれる各チャージの吹錬、二次精錬、鋳造の操業スケジュールは、吹錬及び二次精錬の所要時間、鋳造時間、搬送時間、並びに各処理の準備に必要な準備時間それぞれの予測値に基づいて決定される。吹錬及び二次精錬の所要時間は、鋼種や処理する溶鋼重量等により決まる。鋳造時間は、鋳片の断面サイズや鋳造速度等により決まる。搬送時間は、取鍋を搬送する搬送装置(クレーンや台車等)の搬送速度等の性能等により決まる。操業スケジュールを作成する際には、一つの装置では同時に複数のチャージを処理しないことや、キャストにおける鋳造が中断しないようにする等の制約条件を満たすことが必要である。また、キャストあたりの所要時間又はチャージ単位の一連処理の所要時間等の生産性が改善されることが求められる。
特許文献1には、溶鋼搬送単位ごとに各設備での処理開始時刻及び終了時刻を特定する操業スケジュールを仮算出し、複数の転炉、二次精錬設備で処理する順序情報を溶鋼搬送単位ごとに抽出し、溶鋼搬送単位ごとに、複数の転炉、二次精錬設備、及び連続鋳造機、それぞれの間の搬送時間の上下限に関する情報を受付け、連続鋳造機における溶鋼搬送単位ごとの連連鋳造の順位に関する情報を受付け、線形計画法を用いて溶鋼搬送単位ごとの操業スケジュールを算出する手法が開示されている。
また、特許文献2には、複数工程からなる工場において、各工程の処理時間のばらつきの確率分布を考慮し、種々の評価指標に対する最適な余裕時間を求める手法が開示されている。
特開2006−260294号公報 特開2007−188306号公報
特許文献1では、線形計画法を用いて溶鋼搬送単位ごとの操業スケジュールを算出する手法が示されているが、線形計画法による最適解の特徴として、制約条件を満たす許容解の中で等式制約を満たす解が選択されるため、最適解における取鍋による搬送時間は物理的な下限に近い値になり、実操業で実現することが困難になる、すなわち実現性が低い操業スケジュールが得られる場合が多い。
また、特許文献2では、余裕時間を変更した後のスケジューリングで得られる複数のスケジューリング結果のうち、生産能力(生産性)最大化又は生産コスト最小化を行う評価指標を最適化するスケジューリング結果を求めており、余裕時間を用いて作成したスケジュール通りに操業が実現するか否かについては考慮していない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、実現性を考慮しつつ生産性改善を図った操業スケジュールを作成できるようにすることを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] 複数工程での処理を経て製品を製造する操業スケジュールを作成する操業スケジュール作成方法であって、
作成された操業スケジュール通りに操業が実現する可能性である実現性を示す指標であって、操業実績データに基づいて求められた操業スケジュールに含まれる時間に関する決定変数の確率分布に基づいて算出される実現性指標と、作成された操業スケジュールに従う操業の時間に関する生産性を示す指標である生産性指標との組合せにより構成される関数を目的関数として最適化問題を解くことにより、前記決定変数の値を算出して、操業スケジュールを作成する手順を有することを特徴とする操業スケジュール作成方法。
[2] 前記実現性指標は、前記決定変数の確率分布に対する尤度関数を用いて表わされることを特徴とする[1]に記載の操業スケジュール作成方法。
[3] 前記生産性指標は、生産量あたりの製造時間の指標であり、前記決定変数を用いて表わされることを特徴とする[1]又は[2]に記載の操業スケジュール作成方法。
[4] 前記目的関数を、前記実現性指標と前記生産性指標とをパラメータを用いた線形結合で表わし、
前記目的関数は、前記パラメータの定義域の一方の端点では前記実現性指標だけからなり、前記パラメータの定義域の他方の端点では前記生産性指標だけからなることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の操業スケジュール作成方法。
[5] 複数の操業実績データの操業条件を用いて、前記パラメータの定義域の前記一方の端点及び複数の評価点の値に対する前記目的関数を設定して前記最適化問題を解き、
前記パラメータの定義域の前記一方の端点での前記目的関数における最適解に基づいて、前記実現性指標の平均値である実現性優先実現性指標及び前記生産性指標の平均値である実現性優先生産性指標を求め、
前記パラメータの前記複数の評価点それぞれにおいて、前記目的関数における最適解に基づいて、前記実現性指標の平均値である評価点実現性指標及び前記生産性指標の平均値である評価点生産性指標をそれぞれ求めるとともに、前記評価点生産性指標と前記実現性優先生産性指標とから算出される生産性指標の改善代を、前記評価点実現性指標と前記実現性優先実現性指標とから算出される実現性の低下代によって補正した指標である実現性考慮生産性改善指標を算出し、
前記実現性考慮生産性改善指標が最適になる前記評価点における前記パラメータの値を求めることを特徴とする[4]に記載の操業スケジュール作成方法。
[6] 操業単位であるキャスト毎に、転炉の吹錬、二次精錬装置による二次精錬、及び連続鋳造機による鋳造によって鋳片を製造する製鋼工場の操業スケジュールを作成することを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の操業スケジュール作成方法。
[7] 前記決定変数は、前記転炉、前記二次精錬装置、及び前記連続鋳造機間の取鍋による搬送時間(以下、取鍋搬送時間と称する)、並びに、前記転炉及び前記二次精錬装置におけるチャージ間の待機時間(以下、チャージ間待機時間と称する)であることを特徴とする[6]に記載の操業スケジュール作成方法。
[8] 前記実現性指標は、前記取鍋搬送時間の確率分布及び前記チャージ間待機時間の確率分布に対する負の対数尤度関数を用いて表わされることを特徴とする[7]に記載
の操業スケジュール作成方法。
[9] 前記実現性指標は、二次式で表わされることを特徴とする[8]に記載の操業スケジュール作成方法。
[10] 前記生産性指標は、生産量あたりの製造時間の指標であり、前記取鍋搬送時間及び前記チャージ間待機時間のうち少なくともいずれか一方を用いた一次式で表わされることを特徴とする[7]乃至[9]のいずれか1項に記載の操業スケジュール作成方法。
[11] 複数工程での処理を経て製品を製造する操業スケジュールを作成する操業スケジュール作成装置であって、
作成された操業スケジュール通りに操業が実現する可能性である実現性を示す指標であって、操業実績データに基づいて求められた操業スケジュールに含まれる時間に関する決定変数の確率分布に基づいて算出される実現性指標と、作成された操業スケジュールに従う操業の時間に関する生産性を示す指標である生産性指標との組合せにより構成される関数を目的関数として最適化問題を解くことにより、前記決定変数の値を算出して、操業スケジュールを作成する手段を備えたことを特徴とする操業スケジュール作成装置。
[12] 複数工程での処理を経て製品を製造する操業スケジュールを作成するためのプログラムであって、
作成された操業スケジュール通りに操業が実現する可能性である実現性を示す指標であって、操業実績データに基づいて求められた操業スケジュールに含まれる時間に関する決定変数の確率分布に基づいて算出される実現性指標と、作成された操業スケジュールに従う操業の時間に関する生産性を示す指標である生産性指標との組合せにより構成される関数を目的関数として最適化問題を解くことにより、前記決定変数の値を算出して、操業スケジュールを作成する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
本発明によれば、実現性を考慮しつつ生産性改善を図った操業スケジュールを作成することができる。
実施形態に係る操業スケジュール作成装置の機能構成を示す図である。 実施形態に係る操業スケジュール作成装置による操業スケジュール作成方法を示すフローチャートである。 3チャージからなるキャストの操業スケジュールのガントチャートである。 実施例においてα=1として作成した操業スケジュールにおける取鍋搬送時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=1として作成した操業スケジュールにおける取鍋搬送時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=1として作成した操業スケジュールにおけるチャージ間待機時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=1として作成した操業スケジュールにおけるチャージ間待機時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=0として作成した操業スケジュールにおける取鍋搬送時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=0として作成した操業スケジュールにおける取鍋搬送時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=0として作成した操業スケジュールにおけるチャージ間待機時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=0として作成した操業スケジュールにおけるチャージ間待機時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=1とα=0の場合の同一キャストについて作成した操業スケジュールのガントチャートである。 実施例における生産性指標と結合パラメータとの関係を示す特性図である。 実施例における実現性指標と結合パラメータとの関係を示す特性図である。 実施例における実現性考慮生産性改善指標と結合パラメータとの関係を示す特性図である。 実施例においてα=0.6として作成した操業スケジュールにおける取鍋搬送時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=0.6として作成した操業スケジュールにおける取鍋搬送時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=0.6として作成した操業スケジュールにおけるチャージ間待機時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。 実施例においてα=0.6として作成した操業スケジュールにおけるチャージ間待機時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す特性図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、実施形態に係る操業スケジュール作成装置100の機能構成を示す。
本実施形態では、転炉の吹錬、二次精錬装置による二次精錬、及び連続鋳造機による鋳造によって鋳片を製造する連続鋳造の操業スケジュールを作成する例を説明する。なお、以下の説明では、転炉、二次精錬装置、及び連続鋳造機をそれぞれ処理装置と呼ぶこともある。
操業スケジュール作成装置100は、上下流の処理装置間の取鍋による搬送時間(以下、取鍋搬送時間と称する)と、各処理装置におけるチャージ間の待機時間(以下、チャージ間待機時間と称する)とを決定変数とする最適化問題を解くことにより、キャスト毎に連続鋳造の操業スケジュールを作成する。
図3に、一例として3チャージからなるキャストの操業スケジュールのガントチャートを示す。横軸が時間を、縦軸が処理装置(CV:転炉、RH:二次精錬装置、CC:連続鋳造機)を表わし、ガントチャート中の四角が各処理装置におけるチャージ単位の処理を表わす。上流側の処理装置の処理終了時刻からその下流側の処理装置の処理開始時刻までが、取鍋搬送時間T11、・・・、T32に相当する。また、各処置装置におけるあるチャージの処理終了時刻から次のチャージの処理開始時刻までが、チャージ間待機時間L21、・・・、L32に相当する。また、各処理装置におけるチャージ単位の処理時間(四角の長さ)は、設定値として与えられる。吹錬及び二次精錬の所要時間は、鋼種や処理する溶鋼重量等により決まり、鋳造時間は、鋳片の断面サイズや鋳造速度等により決まる。
これを考慮すると、例えば特許文献1の線形計画問題の定式化における処理開始時刻及び処理終了時刻は、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間を用いて書き換えることができ、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間を決定することにより操業スケジュールを表現できることがわかる。
図1に示すように、操業スケジュール作成装置100は、入力部101と、確率分布計算部102と、制約条件設定部103と、パラメータ探索部104と、最適化計算部105と、出力部106とを備える。また、操業スケジュール作成装置100は、ポインティングデバイスやキーボード等の入力装置107と、表示装置108とを備える。
操業スケジュール作成装置100には、データベース200が接続する。データベース200には、連続鋳造の操業実績データが蓄積、保存されている。操業実績データとしては、操業条件と、それに対応する取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間とが蓄積、保存される。操業条件には、チャージ数、鋼種、鋳造速度、鋳片の断面サイズ(鋳型断面積)、取鍋を搬送する搬送装置(クレーンや台車等)の搬送速度等の性能、処理装置の配置関係等が含まれる。
入力部101は、操業スケジュール作成対象のキャストの操業条件を入力する。操業スケジュール作成対象のキャストの操業条件は、ユーザが例えば入力装置107を介して与えるようにしてもよいし、上位のコンピュータ装置からネットワークを介して与えるようにしてもよい。また、操業条件のうち固定的な値(例えば搬送装置の性能や処理装置の配置関係)は、データベース200から入力してもよいし、操業スケジュール作成装置100が予め保有するかたちとしてもよい。
また、入力部101は、データベース200から操業実績データを取り込む。このとき、例えば操業スケジュール作成対象のキャストと類似する操業条件を有する複数の連続鋳造の操業実績データを抽出して取り込む。なお、類似をどのように定義するかは、予め定めておけばよい。例えば鋼種については低炭材、中炭材等鋼中成分値に応じて操業経験に基づき付与される分類に含まれる操業実績データ、及び鋳造速度については予め定めた相対精度の範囲で一致する操業実績データを類似するものとして抽出する。
確率分布計算部102は、入力部101で取り込んだ操業実績データに基づいて、取鍋搬送時間の確率分布及びチャージ間待機時間の確率分布を同定する。例えば取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間がそれぞれ正規分布に従うものとして、確率分布の同定は、取鍋搬送時間、各処理装置による工程での処理の所要時間、チャージ間待機時間に関する平均や分散といった母数を統計的に算出することで実施する。取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間には事前に予測しえないばらつきがありえるが、操業実績データに基づいて確率分布を同定することにより、そのばらつきを考慮することができる。
制約条件設定部103は、操業スケジュールを作成するための最適化問題を構築する上で必要となる制約条件を設定する。例えば取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間が取りうる上限値や下限値等を定める必要がある。また、確率分布計算部102で算出した各処理装置による工程での処理の所要時間の平均値を制約条件に用いる。さらに、キャストの鋳造中に連続鋳造機による鋳造が切れないようにする必要がある。なお、ここでいう制約条件の設定とは、予め設定されている制約条件の定式化の枠組みに、操業条件に応じた値を与えることにより制約条件を設定することをいう。
パラメータ探索部104は、入力部101で取り込んだ操業実績データの操業条件を用いて、最適化問題の目的関数に用いるパラメータの最適な値を探索する。目的関数は、詳細は後述するが、作成された操業スケジュール通りに操業が実現する可能性である実現性を示す指標であって、操業実績データに基づいて求められた操業スケジュールの決定変数(本実施形態では取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間)の確率分布に基づいて算出される実現性指標と、作成された操業スケジュールに従う操業の時間に関する生産性を示す指標である生産性指標との組合せにより構成され、その組合せにパラメータが用いられている。
最適化計算部105は、操業スケジュール作成対象のキャストについて、パラメータ探索部104で探索したパラメータの最適な値を用いた目的関数を設定して最適化問題を解くことにより、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間の値を算出して、操業スケジュールを作成する。
出力部106は、最適化計算部105での求解結果である操業スケジュールを出力する。出力とは、例えば表示装置108に表示したり、本装置100の外部機器に送出したりすることをいう。
以下、実施形態に係る操業スケジュール作成装置100による操業スケジュール作成方法を説明する。
本実施形態で使用する記号、変数をまとめると、以下のようになる。
n:操業スケジュール作成対象のキャストに含まれるチャージ数
q:操業スケジュール作成対象のキャストに含まれるチャージで実施される処理工程数
ij:i番目のチャージのj番目処理(処理装置jによる工程での処理)開始時刻(i=1,・・・,n、j=1,・・・,q)(ただし、S11=0)
ij:i番目のチャージのj番目処理終了時刻(i=1,・・・,n、j=1,・・・,q)
ij:i番目のチャージのj番目からj+1番目処理への取鍋搬送時間(i=1,・・・,n、j=1,・・・,q−1)
ij:i−1番目からi番目のチャージ間のj番目処理の待機時間(i=2,・・・,n、j=1,・・・,q)
取鍋搬送時間Tij及びチャージ間待機時間Lijと、処理開始時刻Sij及び処理終了時刻Eijとの関係は、式(1)、式(2)のようになる。
ij=Si,j+1−Eij・・・(1)
ij=Sij−Ei-1,j・・・(2)
図2は、実施形態に係る操業スケジュール作成装置100による操業スケジュール作成方法を示すフローチャートである。
ステップS1で、入力部101は、操業スケジュール作成対象のキャストの操業条件を入力する。また、入力部101は、データベース200から操業実績データを取り込む。このとき、例えば操業スケジュール作成対象のキャストと類似する操業条件を有する複数の連続鋳造の操業実績データを抽出して取り込む。
ステップS2で、確率分布計算部102は、ステップS1において取り込んだ操業実績データに基づいて、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間がそれぞれ正規分布に従うものとして、取鍋搬送時間、各処理装置による工程での処理の所要時間、チャージ間待機時間に関する平均や分散といった母数を統計的に算出する。
ステップS3で、制約条件設定部103は、操業スケジュールを作成するための最適化問題を構築する上で必要となる制約条件を設定する。
本実施形態では、制約条件を、式(3)〜式(6)のように表わす。これら制約条件は、操業条件に含まれる例えば搬送装置の性能や処理装置の配置関係、対象工場の操業経験等により定められる。
式(3)、式(5)は、取鍋搬送時間Tij及びチャージ間待機時間Lijが取りうる上限値及び下限値等を定めたものである。式(4)は、連続鋳造機ではチャージ間待機時間が0であること(キャストの鋳造中に連続鋳造機による鋳造が切れないように、あるチャージの鋳造終了時刻と次のチャージの鋳造開始時刻とを一致させること)を定めたものである。式(6)は、キャスト内鋳造が連続する条件を定めたものである。
m ij≦Lij≦LM ij (i=2,・・・,n、j=2,・・・,q−1) ・・・(3)
iq=0 (i=2,・・・,n) ・・・(4)
m ij≦Tij≦TM ij (i=1,・・・,n、j=1,・・・,q−1) ・・・(5)
ij+P* i,j+1+Li,j+1=Lij+P* i+1,j+Ti+1,j
(i=1,・・・,n、j=1,・・・,q−1) ・・・(6)
m ij:i番目のチャージのj番目からj+1番目処理への取鍋搬送時間下限(i=1,・・・,n、j=1,・・・,q−1)
M ij:i番目のチャージのj番目からj+1番目処理への取鍋搬送時間上限(i=1,・・・,n、j=1,・・・,q−1)
m ij:i−1番目からi番目のチャージ間のj番目処理の待機時間下限(i=2,・・・,n、j=1,・・・,q)
M ij:i−1番目からi番目のチャージ間のj番目処理の待機時間上限(i=2,・・・,n、j=1,・・・,q)
* ij:i番目のチャージのj番目処理の処理時間設定値
ステップS4〜S8で、パラメータ探索部104は、ステップS1において取り込んだ操業実績データの操業条件を用いて、最適化問題の目的関数に用いるパラメータαの最適な値を探索する。
本実施形態では、目的関数z(α)を、式(7)のように、操業実績データに基づいて求められた取鍋搬送時間の確率分布及びチャージ間待機時間の確率分布に基づく実現性指標zLと、生産性を示す指標である生産性指標zPとをパラメータα(以下、結合パラメータと呼ぶ)を用いた線形結合で表わす。
Figure 0006904157
結合パラメータαは0以上1以下の値をとる。つまり、結合パラメータαの定義域は0≦α<1であり、目的関数z(α)は、結合パラメータαの定義域の一方の端点では実現性指標zLだけからなり、結合パラメータαの定義域の他方の端点では生産性指標zPだけからなる。具体的には、α=1の場合、目的関数z(1)の最小化は実現性指標zLの最適化となり、操業実績データからみて最も実現性の高い操業スケジュールを作成することになる。一方、α=0の場合、目的関数z(0)の最小化は生産性指標zPの最適化となり、最も生産性の高い操業スケジュールを作成することになる。0<α<1の場合は、両者を混合した指標を最適化することになるが、これは最も実現性の高い操業スケジュール(α=1)と、最も生産性の高いスケジュール(α=0)との中間的な操業スケジュールを作成することになる。
ここで、実現性指標zL及び生産性指標zPについて詳述する。
実現性指標zLは、操業スケジュールの実現性を表わす指標であり、操業実績データからみた操業スケジュール通りの操業の発生可能性の指標として定義する。実現性指標zLは、実操業における取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間の分布範囲の境界に近づくに従って実現性が低くなることを表現するために、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間が従うとする確率分布に対する負の対数尤度関数を用いて表わされる。負の対数尤度関数は、尤度関数の対数をとり符号を反転させた関数である。尤度関数は、操業実績データから統計的に推定した確率分布の母数に基づいて、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間等の各々の組み合わせにおける確率分布密度のすべての積として定義される。
一般に操業実績データに適合する確率分布のパラメータ推定において、尤度関数は最大化することで最適なパラメータ算出に用いられるが、本実施形態では、後述するように生産性指標zPが小さいほど時間生産性が高いことを意味するので、実現性指標zLに負の対数尤度関数から定数項を除いた関数を用いる。実現性指標zLは、式(8)のように表わされる。
Figure 0006904157
T(Tij)は、取鍋搬送時間が従う確率密度関数において、取鍋搬送時間Tijにおける確率密度を表わす。pL(Lij)は、チャージ間待機時間が従う確率密度関数において、チャージ間待機時間Lijにおける確率密度を表わす。
本実施形態では、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間がそれぞれ正規分布に従うものとする。処理装置j−1から処理装置jまでの取鍋搬送時間の平均μT j及び標準偏差σT j、並びに、処理装置jにおけるチャージ間待機時間の平均μL j及び標準偏差σL jに基づいて、取鍋搬送時間Tijにおける確率密度は、式(9)のように表わされる。チャージ間待機時間Lijにおける確率密度も同様である。
Figure 0006904157
以上より、実現性指標zLは、式(10)のように表わされる。
Figure 0006904157
次に、生産性指標zPは、作成された操業スケジュールに従う操業の時間に関する生産性を示す指標であり、生産量あたりの製造時間の指標、より具体的には、キャストにおける時間あたりの生産量、或いは生産量又は1チャージあたりの生産所要時間等に関する指標として定義される。生産性指標zPは、取鍋搬送時間Tij及びチャージ間待機時間Lijの両方又はいずれか一方を用いて表わされる。生産性指標zPは、例えば各チャージにおける取鍋搬送時間Tijとその下限値Tm ijとの偏差の合計のキャストにおける平均値として定義すると、式(11)のように表わされる。
Figure 0006904157
ステップS4で、パラメータ探索部104は、現在指定されている結合パラメータαの値を用いて目的関数z(α)を設定する。本実施形態では、結合パラメータαの値を0から1までの範囲で適宜な刻み幅で変更するようにしており、例えば最初のループではα=0が指定され、その後のループでは、後述するステップS7でαの値が刻み幅で変更される。
ステップS5で、パラメータ探索部104は、ステップS1において取り込んだ操業実績データの操業条件を用いて、操業条件毎に、ステップS3において設定した制約条件の下で、ステップS4において設定した目的関数z(α)を最小化する、最適解となる取鍋搬送時間Tij及びチャージ間待機時間Lijを算出する。実現性指標zLが式(10)のように二次式で表わされ、生産性指標zPが式(11)のように一次式で表わされる場合、目的関数z(α)を最小化する最適解の算出は二次計画問題を求解することに相当する。最適化計算の手法は、実現性指標zL及び生産性指標zPを表わす関数に応じて適切に選択すればよいが、二次計画問題となる場合には有効制約法等を利用すればよい。
ステップS6で、パラメータ探索部104は、結合パラメータαの値を変更するか否かを判定する。結合パラメータαの値を変更する場合、ステップS7で結合パラメータαの値を変更した後、ステップS4に戻る。一方、結合パラメータαの値を0から1までの範囲で変更し終えた場合、ステップS8に進む。
ステップS8で、パラメータ探索部104は、結合パラメータαの最適な値を決定する。本実施形態では、式(12)のように表される、実現性を考慮した生産性改善指標である、実現性考慮生産性改善指標y(α)を定義し、実現性考慮生産性改善指標y(α)が最大になる値α*を決定する。
Figure 0006904157
式(12)の実現性指標zL *(1)、zL *(α)、及び生産性指標zP *(1)、zP *(α)は次のようにして求められる。
ステップS5において、複数の操業実績データの操業条件を用いて、α=1の場合に目的関数z(1)を最小化する最適解をそれぞれ求めている。これら複数の操業実績データの操業条件毎に求められる実現性指標zL(1)の平均値zL *(1)を算出する。以降の説明では、zL *(1)を実現性優先実現性指標とも呼ぶ。同じく、これら複数の操業実績データの操業条件毎に求められる生産性指標zP(1)の平均値zP *(1)を算出する。以降の説明では、zP *(1)を実現性優先生産性指標とも呼ぶ。
同様に、ステップS5において、複数の操業実績データの操業条件を用いて、結合パラメータαの定義域のうちのα=1以外の範囲である0≦α<1の複数の点(以降の説明では、この点を評価点とも呼ぶ)における各値に対する目的関数z(α)を最小化する最適解をそれぞれ求めている。0≦α<1の各値において、これら複数の操業実績データの操業条件毎に求められる実現性指標平均値zL(α)の平均値zL *(α)を算出する。以降の説明では、zL *(α)を評価点実現性指標とも呼ぶ。同じく、0≦α<1の各値において、これら複数の操業実績データの操業条件毎に求められる生産性指標zP(α)の平均値zP *(α)を算出する。以降の説明では、zP *(α)を評価点生産性指標とも呼ぶ。
ここで、exp(−zL *(α))が操業スケジュール通りの操業が行われる平均的確率に比例するので、α=1で作成した最も実現性の高い操業スケジュールに対する相対的な発生率はexp(−zL *(α))/exp(−zL *(1))=exp(zL *(1)−zL *(α))となる。この値は、α=1で作成した最も実現性の高い操業スケジュールに対する、結合パラメータαの評価点における操業スケジュールの実現性の低下代、すなわち作成された操業スケジュール通りに操業が実現する可能性の低下代を表わす。さらに、0≦α<1の各値で作成した操業スケジュールによる、α=1で作成した最も実現性の高い操業スケジュールに対する生産性指標の改善代、すなわち平均改善期待効果はzP *(1)−zP *(α)で表わされる。
以上より、複数の操業実績データの操業条件に基づく実現性指標の平均値zL *(1)、zL *(α)、及び生産性指標の平均値zP *(1)、zP *(α)を用いて、式(12)のように、実現性を考慮した生産性改善指標である、実現性考慮生産性改善指標y(α)を定義する。式(12)による実現性考慮生産性改善指標y(α)では、第1項のexp(zL *(1)−zL *(α))が小さいほど、操業スケジュール通りの操業は実現されにくいため、期待される生産性改善効果は平均的には小さくなることを意味する。
ステップS9で、最適化計算部105は、操業スケジュール作成対象のキャストの操業条件を用いて、ステップS3において設定した制約条件の下で、ステップS8において決定した結合パラメータαの最適な値α*に対する目的関数z(α*)を最小化する、最適解となる取鍋搬送時間Tij及びチャージ間待機時間Lijを算出して、操業スケジュールを決定する。
ステップS10で、出力部106は、ステップS9において決定した操業スケジュールを出力する。
以上述べたように、操業実績データに基づいて求めた取鍋搬送時間の確率分布及びチャージ間待機時間の確率分布に対する尤度関数を用いて実現性指標zLを表わす。キャスト毎の操業スケジュール作成では、この実現性指標zLと生産性を示す指標である生産性指標zPとを結合パラメータαを用いた線形結合で表わす目的関数z(α)を最適化することで操業スケジュールを作成する。
この場合に、様々なキャストの操業実績データに基づいて、結合パラメータαの値に対する実現性考慮生産性改善指標を評価し、結合パラメータαの最適な値α*を探索する。そして、操業スケジュール作成対象のキャストに対し、この結合パラメータαの最適な値α*に対する目的関数z(α*)を最適化する操業スケジュールを決定する。
これにより、実現性を考慮しつつ生産性改善を図った操業スケジュールを作成することができる。
本実施形態では、結合パラメータαが0≦α≦1の値をとるとしたが、実数の連続する一区間であればよく、その区間の一方の端点で目的関数z(α)が実現性指標zLだけからなり、他方の端点で目的関数z(α)が生産性指標zPだけからなるようにすればよい。
また、本実施形態では、生産性指標zPを、式(11)のように、各チャージにおける取鍋搬送時間Tijとその下限値Tm ijとの偏差の合計のキャストにおける平均値として定義したが、これに限られるものではない。例えば生産性指標zPを、最初のチャージの吹錬開始から最終チャージの鋳造終了までの時間(メイクスパン)(式(13)を参照)や、転炉の出鋼時間平均間隔(式(14)を参照)、或いはこれらの重み付き平均等として定義してもよい。
Figure 0006904157
また、本実施形態では、実現性指標zLを、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間が従うとする確率分布における負の対数尤度関数を用いた関数とし、小さくなるほど好適となるようにしたが、これに限られるものではない。例えば実現性指標zLを対数尤度関数を用いた関数として、大きくなるほど好適となるようにしてもよい。この場合、生産性指標zPも大きくなるほど好適となるようにして、実現性を考慮した生産性指標が意味をなすように定義すればよい。
なお、図2のフローチャートでは、ステップS2の確率分布の同定を都度行うように示したが、これに限られるものではない。例えば類似する操業条件のグループ毎に操業実績データに基づいて確率分布の同定を予め実施しておき、操業条件で層別した同定結果(平均や分散といった母数)を、操業スケジュール作成装置100やデータベース200が予め保有するようなかたちとしてもよい。
同様に、ステップS3の制約条件設定についても、例えば操業条件で層別した制約条件を、操業スケジュール作成装置100やデータベース200が予め保有するようなかたちとしてもよい。
同様に、ステップS4〜S8のパラメータ探索についても、例えば類似する操業条件のグループ毎に操業実績データに基づいてパラメータ探索を予め実施しておき、操業条件で層別した結合パラメータαの最適な値α*を、操業スケジュール作成装置100が予め保有するようなかたちとしてもよい。
本実施例では、実施形態と同様、転炉の吹錬、二次精錬装置による二次精錬、及び連続鋳造機による鋳造によって鋳片を製造する連続鋳造の操業スケジュールを作成する。具体的には、図3に示すように、3チャージからなるキャストの操業スケジュールを作成するものとする。
実施例における工場では、取鍋搬送時間の分布の統計量は鋼種毎に異なるが、転炉−二次精錬装置間では平均が19分〜30分、標準偏差が5分〜8.5分、二次精錬装置−連続鋳造機では平均が24分〜35分、標準偏差が6.2分〜35分の間で分布していた。
本実施例における、実現性指標zLにおける対数尤度計算では、製造する鋼種毎に、取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間がそれぞれ正規分布に従うものとして算出した。実現性指標zLとしては式(10)を、生産性指標zPとしては式(11)を、実現性考慮生産性改善指標y(α)としては式(12)を用いた。
実施例として、操業実績データにおける操業条件を用いて、操業実績データにおけるキャスト毎に操業スケジュールを作成した。
α=1として作成した、最も実現性の高い操業スケジュールにおける転炉−二次精錬装置間の取鍋搬送時間(図4(a))、二次精錬装置−連続鋳造機間の取鍋搬送時間(図5(a))、転炉におけるチャージ間待機時間(図6(a))、及び二次精錬装置におけるチャージ間待機時間(図7(a))のヒストグラムを示す。縦軸は度数を表わし、チャージ数がこれに該当する。また、各図(b)には、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムを示す。操業スケジュール作成結果の取鍋搬送時間の分布は、そのピークが操業実績データの分布のピークと略一致しており、式(10)で定義した実現性指標zLを用いた操業スケジュール作成により、実際の操業に近い取鍋搬送時間の計画が得られたことがわかる。
同様に、図8〜図11に、α=0として作成した、最も生産性の高い操業スケジュールにおける取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す。この場合、取鍋搬送時間は各条件の下限値と一致する操業スケジュールが作成されるため、操業実績データと比較して低い側に偏った分布になっている。
図12に、α=1とα=0の場合の同一キャストについて作成した操業スケジュールのガントチャートを示す。図12(b)のα=0として作成した操業スケジュールにおける各チャージの転炉−二次精錬装置間及び二次精錬装置−連続鋳造機間の取鍋搬送時間は、図12(a)のα=1として作成した操業スケジュールにおける各時間よりも短く、α=0として作成した操業スケジュールが実現することが困難な操業スケジュールとなっていることがわかる。
図13〜図15に、操業実績データにおける生産性指標zPの平均値、実現性指標zLの平均値、及び実現性考慮生産性改善指標y(α)を算出し、結合パラメータαに対してプロットしたグラフを示す。結合パラメータαの値を0から1までの範囲で刻み幅0.05で設定している。
図15において、実現性考慮生産性改善指標y(α)が最大となる最適な結合パラメータα*は0.6である。図13において、α=0.6として作成した操業スケジュールによる生産性改善効果は5.8分と見積もられる。また、図14において、α=0.6における実現性指標はα=1における実現性指標と比べて0.463だけ大きく、僅かな劣化に留まっており、式(12)による実現性考慮生産性改善指標では、第1項のexp(zL *(1)−zL *(α))の値で0.630に相当する。この値は、操業経験上、十分に実現可能と考えられる。
図16〜図19に、α=0.6として作成した操業スケジュールにおける取鍋搬送時間及びチャージ間待機時間のヒストグラムと、操業実績データにおける同じ項目のヒストグラムとを示す。最も実現性の高いα=1とした場合の図4〜図7のヒストグラムと大きな違いはなく、十分に実現可能な操業スケジュールであることを確認することができた。
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、複数工程での処理を経て製品を製造する操業スケジュールを作成するのに広く適用可能である。例えば実施形態で述べた製鉄所における連続鋳造だけでなく、化学製品の製造における釜処理等に対して適用することができる。
本発明を適用した操業スケジュール作成装置は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により実現される。なお、図1では操業スケジュール作成装置100を一台の装置として図示したが、例えば複数台の装置により構成される形態でもかまわない。
また、本発明は、本発明の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
100:操業スケジュール作成装置、101:入力部、102:確率分布計算部、103:制約条件設定部、104:パラメータ探索部、105:最適化計算部、106:出力部

Claims (12)

  1. 複数工程での処理を経て製品を製造する操業スケジュールを作成する操業スケジュール作成方法であって、
    作成された操業スケジュール通りに操業が実現する可能性である実現性を示す指標であって、操業実績データに基づいて求められた操業スケジュールに含まれる時間に関する決定変数の確率分布に基づいて算出される実現性指標と、作成された操業スケジュールに従う操業の時間に関する生産性を示す指標である生産性指標との組合せにより構成される関数を目的関数として最適化問題を解くことにより、前記決定変数の値を算出して、操業スケジュールを作成する手順を有することを特徴とする操業スケジュール作成方法。
  2. 前記実現性指標は、前記決定変数の確率分布に対する尤度関数を用いて表わされることを特徴とする請求項1に記載の操業スケジュール作成方法。
  3. 前記生産性指標は、生産量あたりの製造時間の指標であり、前記決定変数を用いて表わされることを特徴とする請求項1又は2に記載の操業スケジュール作成方法。
  4. 前記目的関数を、前記実現性指標と前記生産性指標とをパラメータを用いた線形結合で表わし、
    前記目的関数は、前記パラメータの定義域の一方の端点では前記実現性指標だけからなり、前記パラメータの定義域の他方の端点では前記生産性指標だけからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の操業スケジュール作成方法。
  5. 複数の操業実績データの操業条件を用いて、前記パラメータの定義域の前記一方の端点及び複数の評価点の値に対する前記目的関数を設定して前記最適化問題を解き、
    前記パラメータの定義域の前記一方の端点での前記目的関数における最適解に基づいて、前記実現性指標の平均値である実現性優先実現性指標及び前記生産性指標の平均値である実現性優先生産性指標を求め、
    前記パラメータの前記複数の評価点それぞれにおいて、前記目的関数における最適解に基づいて、前記実現性指標の平均値である評価点実現性指標及び前記生産性指標の平均値である評価点生産性指標をそれぞれ求めるとともに、前記評価点生産性指標と前記実現性優先生産性指標とから算出される生産性指標の改善代を、前記評価点実現性指標と前記実現性優先実現性指標とから算出される実現性の低下代によって補正した指標である実現性考慮生産性改善指標を算出し、
    前記実現性考慮生産性改善指標が最適になる前記評価点における前記パラメータの値を求めることを特徴とする請求項4に記載の操業スケジュール作成方法。
  6. 操業単位であるキャスト毎に、転炉の吹錬、二次精錬装置による二次精錬、及び連続鋳造機による鋳造によって鋳片を製造する製鋼工場の操業スケジュールを作成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の操業スケジュール作成方法。
  7. 前記決定変数は、前記転炉、前記二次精錬装置、及び前記連続鋳造機間の取鍋による搬送時間(以下、取鍋搬送時間と称する)、並びに、前記転炉及び前記二次精錬装置におけるチャージ間の待機時間(以下、チャージ間待機時間と称する)であることを特徴とする請求項6に記載の操業スケジュール作成方法。
  8. 前記実現性指標は、前記取鍋搬送時間の確率分布及び前記チャージ間待機時間の確率分布に対する負の対数尤度関数を用いて表わされることを特徴とする請求項7に記載の操業スケジュール作成方法。
  9. 前記実現性指標は、二次式で表わされることを特徴とする請求項8に記載の操業スケジュール作成方法。
  10. 前記生産性指標は、生産量あたりの製造時間の指標であり、前記取鍋搬送時間及び前記チャージ間待機時間のうち少なくともいずれか一方を用いた一次式で表わされることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の操業スケジュール作成方法。
  11. 複数工程での処理を経て製品を製造する操業スケジュールを作成する操業スケジュール作成装置であって、
    作成された操業スケジュール通りに操業が実現する可能性である実現性を示す指標であって、操業実績データに基づいて求められた操業スケジュールに含まれる時間に関する決定変数の確率分布に基づいて算出される実現性指標と、作成された操業スケジュールに従う操業の時間に関する生産性を示す指標である生産性指標との組合せにより構成される関数を目的関数として最適化問題を解くことにより、前記決定変数の値を算出して、操業スケジュールを作成する手段を備えたことを特徴とする操業スケジュール作成装置。
  12. 複数工程での処理を経て製品を製造する操業スケジュールを作成するためのプログラムであって、
    作成された操業スケジュール通りに操業が実現する可能性である実現性を示す指標であって、操業実績データに基づいて求められた操業スケジュールに含まれる時間に関する決定変数の確率分布に基づいて算出される実現性指標と、作成された操業スケジュールに従う操業の時間に関する生産性を示す指標である生産性指標との組合せにより構成される関数を目的関数として最適化問題を解くことにより、前記決定変数の値を算出して、操業スケジュールを作成する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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