JP7156024B2 - 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム - Google Patents

計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7156024B2
JP7156024B2 JP2018248392A JP2018248392A JP7156024B2 JP 7156024 B2 JP7156024 B2 JP 7156024B2 JP 2018248392 A JP2018248392 A JP 2018248392A JP 2018248392 A JP2018248392 A JP 2018248392A JP 7156024 B2 JP7156024 B2 JP 7156024B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lot
feasible
lots
cost
product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018248392A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020107277A (ja
Inventor
正俊 吾郷
優人 枚田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018248392A priority Critical patent/JP7156024B2/ja
Publication of JP2020107277A publication Critical patent/JP2020107277A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7156024B2 publication Critical patent/JP7156024B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P90/00Enabling technologies with a potential contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
    • Y02P90/02Total factory control, e.g. smart factories, flexible manufacturing systems [FMS] or integrated manufacturing systems [IMS]
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P90/00Enabling technologies with a potential contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
    • Y02P90/30Computing systems specially adapted for manufacturing

Landscapes

  • General Factory Administration (AREA)
  • Continuous Casting (AREA)

Description

本発明は、計画作成装置、計画作成方法、及びプログラムに関し、特に、ロットに複数の製品を纏めてロット単位で複数の製品を生産又は処理するために用いて好適なものである。
製造業において製品の生産計画を立案する場合には、複数の製品を適切な規模で適切な数のロットに纏めてロット単位で製造するように生産計画を立案することが多い。
ここで、複数の製品をロットに纏めて製造する場合の一例として、製鋼工場で連続鋳造を行う場合について説明する。
製鋼工場では、高炉から供給された溶銑を転炉に装入して、酸素を吹き付けることで溶銑中の炭素を取り除き溶鋼を製造する。これを一次精錬と呼ぶ。次に、溶鋼は取鍋と呼ばれる容器に注入され二次精錬工程へ搬送される。この取鍋一杯分の溶鋼をチャージと呼ぶ。二次精錬工程として例えばRH(Ruhrstahl Heraeus)工程があり、真空管中に溶鋼を循環させることで溶鋼中の不純なガスを真空中に除去して溶鋼の成分を調整する。二次精錬工程が終了すると、取鍋は連続鋳造機へと搬送される。連続鋳造機では、取鍋から鋳型へ溶鋼を注入すると同時に冷却することで半製品である鋳片を製造する。連続鋳造機では、複数のチャージを連続して鋳造することが可能であり、連続して鋳造する複数のチャージのまとまりをキャストと呼ぶ。また、複数のチャージの溶鋼を連続して鋳造することを連々鋳と呼ぶ。この連々鋳の回数を多くし過ぎると、連続鋳造機の構成部材(タンディッシュや鋳型の耐火物、浸漬ノズルなど)の溶損が生じるため、品種などで異なる溶損具合に応じて連々鋳を実施するチャージ数を適切に定めなければならない。
連続鋳造機において製造された鋳片はスラブと呼ばれ、圧延工程へ搬送される。圧延工程においてスラブは加熱炉によって再加熱され高温の状態で圧延機によって数ミリ単位の薄さまで圧延されコイル状に巻き取られる。スラブの形状や硬さによって、圧延機で連続して圧延できるスラブ枚数に制限がある。圧延機で連続して圧延されるスラブのまとまりをチャンスと呼ぶ。
各スラブには、注文情報から成分、形状、熱延希望日などの情報が付与されていて、製鋼工程及び圧延工程における制約条件を考慮して、キャストやチャンスといったロットが編成される。
また近年、製鋼工程のロットであるキャストを圧延工程のロットであるチャンスと同じにすることで、リードタイムの短縮化、及び熱ロスの低減化の試みがされている。このような操業を行う場合においては、製鋼工程及び圧延工程における制約条件を同時に満足するキャスト編成(各キャストに含めるスラブ)を決定する必要がある。
キャスト編成においては、キャスト内に多数のスラブを取り込んで大ロット化することにより、鋳造の連々鋳回数を増加させ、連々鋳の開始及び終了時におけるスラブ不良部の低減や再鋳造開始にかかる準備時間の低減による生産量の増加が期待できる。一方で、成分、形状、及び熱延希望日などの条件によって同一キャスト内に取り込むことが可能なスラブには制限がある。このため、制約条件を満たす範囲において可能な限り大ロットとなるキャスト編成を行うことが求められる。
キャスト編成の業務では、一般に、数百又は千といった数のスラブを取り扱うため、スラブの組み合わせ数が多くなる。したがって、計画担当者が全ての制約条件を充足するキャスト編成を行うめには長時間を有する作業となる。
そこで、キャスト編成を自動で行う技術として特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1には、各チャージを節点で表現すると共に、抱き合わせて鋳造可能なチャージ間を有向枝で表現したネットワークを作成し、最長のキャストとなるルートを前記ネットワーク上で探索することが開示されている。
特開2012-11451号公報
久保幹雄、田村明久、松井知己編、「応用数理計画ハンドブック」、株式会社朝倉書店、2002年5月、p.133、337、621、634
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、スラブをチャージにまとめる方法に関しての説明がなく、与えられたチャージの情報に基づいてキャスト編成を行うことになる。したがって、チャージが適切に編成されていなければ最適なキャスト編成の結果が得られない虞がある。前述したようにスラブの組み合わせが多いため、特許文献1に記載の技術においてチャージを適切にキャストに含めようとすると、問題規模が大きくなり過ぎ、計算時間が長くなる虞がある。
以上のように従来の技術では、キャスト(ロット)に複数のスラブ(製品)を纏めてキャスト(ロット)単位でスラブ(製品)を鋳造(生産)するための鋳造(生産)計画を立案するに際し、立案結果の精度を大きく落とすことなく立案時間を短縮することが容易でなかった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ロット単位で製品を生産又は処理するための計画を、立案結果の精度を大きく落とすことなく短時間で立案できるようにすることを目的とする。
本発明の計画作成装置は、複数の製品を、所定のロット成立制約を満たすようにロットの単位で纏めて、生産又は処理するための計画を作成する問題を集合分割問題とし、該集合分割問題を、列生成法を用いて解くことにより計画を作成する計画作成装置であって、前記複数の製品の情報であって、前記製品の製造条件を含む製品情報を取得する取得手段と、前記製品を、前記ロット成立制約を満たす様に纏めたロットである複数の実現可能ロットのそれぞれについて、該実現可能ロットを解として採用するか否か決定する2値変数を決定変数として、該実現可能ロットに対する前記製品のロット纏めについての評価指標に基づき、前記複数の製品を重複することなく且つ漏れなく含む前記実現可能ロットの最適な組み合わせを求める集合分割問題を原問題とし、前記原問題の最適解を構成する実現可能ロットの候補である候補ロットを生成する列生成子問題の最適解を導出する列生成手段と、前記列生成手段により導出された候補ロットに列追加要件を満足する候補ロットが含まれる場合には、前記列生成手段により生成された前記候補ロットを前記実現可能ロットの集合に追加する列追加手段と、記列追加手段により追加された候補ロットを含む前記実現可能ロットの集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能ロットの組み合わせを導出する最適解導出手段と、を有前記原問題及び前記列生成子問題では、目的関数の値が前記実現可能ロットのコストを用いて導出され、前記実現可能ロットのコストは、前記評価指標の値と、該評価指標に対するコスト係数とを用いて導出され、前記評価指標に対するコスト係数は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される該評価指標のそれぞれに対するコスト係数を含み、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記評価指標のそれぞれに対するコスト係数は、該分類条件に従って分類される製造実績データから導出される製造実績値に応じて変化することを特徴とする。
本発明の計画作成方法は、複数の製品を、所定のロット成立制約を満たすようにロットの単位で纏めて、生産又は処理するための計画を作成する問題を集合分割問題とし、該集合分割問題を、列生成法を用いて解くことにより計画を作成する計画作成方法であって、取得手段により、前記複数の製品の情報であって、前記製品の製造条件を含む製品情報を取得する取得工程と、前記製品を、前記ロット成立制約を満たす様に纏めたロットである複数の実現可能ロットのそれぞれについて、該実現可能ロットを解として採用するか否か決定する2値変数を決定変数として、該実現可能ロットに対する前記製品のロット纏めについての評価指標に基づき、前記複数の製品を重複することなく且つ漏れなく含む前記実現可能ロットの最適な組み合わせを求める集合分割問題を原問題とし、列生成手段により、前記原問題の最適解を構成する実現可能ロットの候補である候補ロットを生成する列生成子問題の最適解を導出する列生成工程と、列追加手段により、前記列生成工程により導出された候補ロットに列追加要件を満足する候補ロットが含まれる場合には、前記列生成工程により生成された前記候補ロットを前記実現可能ロットの集合に追加する列追加工程と、最適解導出手段により、前記列追加工程により追加された候補ロットを含む前記実現可能ロットの集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能ロットの組み合わせを導出する最適解導出工程と、を有前記原問題及び前記列生成子問題では、目的関数の値が前記実現可能ロットのコストを用いて導出され、前記実現可能ロットのコストは、前記評価指標の値と、該評価指標に対するコスト係数とを用いて導出され、前記評価指標に対するコスト係数は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される該評価指標のそれぞれに対するコスト係数を含み、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記評価指標のそれぞれに対するコスト係数は、該分類条件に従って分類される製造実績データから導出される製造実績値に応じて変化することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記計画作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、ロット単位で製品を生産又は処理するための計画を、立案結果の精度を大きく落とすことなく短時間で立案することができる。
キャスト編成装置の機能的な構成の一例を示す図である。 キャスト編成装置によるキャスト編成方法(計画作成方法)の一例を説明するフローチャートである。 スラブ情報の一例を示す図である。 スラブグループ情報の一例を示す図である。 製造順制約の一例を説明する図である。 キャスト計画の立案時間の一例を表形式で示す図である。 異なる2つの鋼種の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数を説明する図である。 本計算例で使用した実績回数を示す図である。 異なる2つの鋼種の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数の計算結果を示す図である。 キャスト候補における異鋼種連々数を鋼種の組み合わせ別に示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下の各実施形態では、生産計画として、連続鋳造機におけるキャスト計画を作成する(即ちキャスト編成を行う)場合を例に挙げて説明する。この場合、「スラブ」が「製品」に対応し、「キャスト」が「ロット」に対応し、「鋳造」が「製造」に対応する。また、「製品」は、原料に手が加えられた物を指し、市場に出回る最終製品等に限定されるものではない。例えば、中間製品(半製品)も「製品」に含まれる。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態を説明する。
図1は、キャスト編成装置100の機能的な構成の一例を示す図である。図2は、キャスト編成装置100によるキャスト編成方法(計画作成方法)の一例を説明するフローチャートである。キャスト編成装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
<スラブ情報取得部101、スラブ情報取得ステップS201>
スラブ情報取得部101は、スラブ情報を取得して記憶する。スラブ情報取得部101は、例えば、キャスト編成装置100に対するオペレータによる操作、外部装置から送信されたスラブ情報の受信、又は可搬型記憶媒体に記憶されたスラブ情報の読み出しを行うことによりスラブ情報を取得する。
図3は、スラブ情報300の一例を示す図である。
図3において、スラブ情報300は、スラブNo.、鋼種、スラブ重量、スラブ幅、スラブ厚、コイル幅、コイル厚、及びコイル長さが相互に関連付けられた情報である。立案対象のスラブのそれぞれについてスラブ情報が個別に与えられる。
スラブNo.は、スラブを識別する番号である。
鋼種とは、スラブの成分などに応じて定まるスラブの品種を示すものである。ここでは、鋼種を、当該鋼種を識別する記号で表すものとする。
スラブ重量、スラブ幅、スラブ厚は、それぞれ、スラブの重量、幅、厚みである。鋼種、スラブ重量、スラブ幅、及びスラブ厚は、スラブを製造する工程(連続鋳造工程)における製造条件である。
コイル幅、コイル厚、コイル長さは、それぞれ、スラブNo.で識別されるスラブを熱間圧延することにより得られるコイルの幅、厚み、長さである。コイル幅、コイル厚、及びコイル長さは、スラブを製造する工程よりも後の工程(熱間圧延工程)における製造条件である。
<スラブグループ作成部102、スラブグループ作成ステップS202>
スラブグループ作成部102は、スラブ情報取得部101で取得されたスラブ情報300に基づいて、製造条件が所定の範囲内で一致するスラブが同一のスラブグループに属するように、スラブ情報300に含まれるスラブのそれぞれをグルーピングする。
まず、スラブグループ作成部102は、スラブ情報300に含まれる未選択のスラブ(レコード)のうち、未選択のスラブを1つ選択する。
次に、スラブグループ作成部102は、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報300から選択したスラブを追加できるスラブグループがあるか否かを判定する。スラブグループ作成部102は、スラブの製造条件が所定の範囲内で一致するスラブを同一のスラブグループに含める。
具体的に本実施形態では、スラブグループ作成部102は、以下の(A1)~(C1)の全ての判定条件を満たす場合に、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報300から選択したスラブを追加できるスラブグループがあると判定する。
(A1)既に作成されているスラブグループに含まれるスラブの幅(スラブ幅)と、スラブ情報300から選択したスラブの幅(スラブ幅)との差の最大値が100[mm]以下である。
(B1)既に作成されているスラブグループに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)と、スラブ情報300から選択したスラブの厚み(スラブ厚)との差の最大値が2[mm]以下である。
(C1)既に作成されているスラブグループに含まれるスラブの製造可能な鋼種と、スラブ情報から選択したスラブの製造可能な鋼種との少なくとも1つが重複する。
図3では、各スラブの鋼種が一種類であるもののみを示すが、複数の鋼種の何れの鋼種であっても製造できるスラブもある。このため、(C1)の判定条件を課す。このように鋼種は、選択に自由度がある(1つのスラブにおいて、複数の鋼種の中から1つの鋼種を選択し得る)。
スラブグループ作成部102は、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報300から選択したスラブを追加できるスラブグループがないと判定した場合には、新たなスラブグループを作成し、当該選択したスラブを当該作成した新たなスラブグループに含める。
一方、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報300から選択したスラブを追加できるスラブグループがある場合、スラブグループ作成部102は、当該スラブグループに含まれるスラブと、当該選択したスラブの枚数の合計が上限値以下であるか否かを判定する。熱延工程において圧延ロールが摩耗するため、同一のチャンスにおいて連続して熱間圧延する同幅帯のスラブの枚数に制約がある。そこで、本実施形態では、1つのスラブグループに含めるスラブの枚数に上限値を設定する。本実施形態では、この上限値を40[枚]以下とする。
スラブグループ作成部102は、スラブ情報300から選択したスラブを追加できるスラブグループに含まれるスラブと、当該選択したスラブの枚数の合計が上限値以下でない場合には、新たなスラブグループを作成し、当該選択したスラブを当該作成した新たなスラブグループに含める。
一方、スラブ情報300から選択したスラブを追加できるスラブグループに含まれるスラブと、当該選択したスラブの枚数の合計が上限値以下である場合、スラブグループ作成部102は、当該選択したスラブを、当該スラブグループに含める。
スラブグループ作成部102は、スラブ情報300に含まれる未選択のスラブ(レコード)を1つずつ選択して、以上の処理を繰り返し実行し、スラブ情報300に含まれるスラブを何れかのスラブグループに含める。尚、同一のスラブが複数のスラブグループに属することはない。
図4は、図3に示したスラブ情報300から作成されるスラブグループ情報400の一例を示す図である。スラブグループ情報400は、スラブグループのリストである。
図4において、スラブグループ情報400は、スラブグループNo.、鋼種、スラブ幅(最大値、最小値)、スラブ厚(最大値、最小値)、スラブ重量、コイル長さ、及びスラブ枚数が相互に関連付けられた情報である。
スラブグループNo.とは、スラブグループを識別する番号である。
鋼種とは、スラブグループに属するスラブの鋼種である。図4では、各スラブグループが1つの鋼種のスラブからなる場合を示すが、1つのスラブグループには複数の鋼種のスラブが属する場合がある。
スラブ幅の最大値とは、スラブグループに含まれるスラブの幅(スラブ幅)の最大値をいう。スラブ幅の最小値とは、スラブグループに含まれるスラブの幅(スラブ幅)の最小値をいう。
スラブ厚の最大値とは、スラブグループに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)の最大値をいう。スラブ厚の最小値とは、スラブグループに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)の最小値をいう。
スラブ重量とは、スラブグループに含まれるスラブの重量(スラブ重量)の合計値である。
コイル長さとは、スラブグループに含まれるスラブのコイル長さの合計値である。
スラブグループ作成部102は、以上のようなスラブグループ情報400を作成する。
スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループの集合をNIと表記し、スラブグループ(NIの要素)をiと表記する。本実施形態では、後述するロット(=キャスト)として成立するための制約条件((8)式~(22)式を参照)を満足する複数のスラブグループ(スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループの全体集合の部分集合)を纏めて1つのキャストを構成する。以下の説明では、このキャストの候補となる複数のスラブグループの纏まり(スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループの全体集合の部分集合)を、必要に応じて実現可能ロットと称する。実現可能ロットの集合をNJと表記し、実現可能ロット(NJの要素)をjと表記する。このように同一のキャストに含められる複数のスラブを1つのスラブグループに纏めることにより、選択し得る実現可能ロットの数を減らすことができるので、計算負荷を低減することができる。
<初期列集合設定部103、初期列集合設定ステップS203>
初期列集合設定部103は、スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループiの集合NI(={1,2,・・・,i,・・・,n})、即ち、スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループiから、行列(2次元配列)Ai,jの初期値を設定する。行列Ai,jのi行j列の要素は、スラブグループiを実現可能ロットjに含むときに「1」の値を持ち、含まないときに「0」の値を持つ。このとき、初期列集合設定部103は、スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループiを重複なく且つ漏れなく含み、更に、後述するロットとして成立するための制約条件((8)式~(22)式を参照)を満足するように、行列Ai,jの初期値を設定する。その一例として、本実施形態では、初期列集合設定部103は、i=jとなる要素jにだけ「1」を持ち、それ以外の要素は「0」となる行列Ai,jを初期値とする。即ち、それぞれの実現可能ロットjが、相互に異なる任意の1つのスラブグループiのみを要素として持つように、行列Ai,jの初期値を設定する。従って、スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループiの数|NI|と、実現可能ロットjの数(行列Ai,jの列数)|NJ|は、行列Ai,jの初期値においては一致する(|NI|=|NJ|)。このように行列Ai,jの行番号は、スラブグループiを識別する番号になり、行列Ai,jの列番号は、実現可能ロットjを識別する番号になる。即ち、行列Ai,jの1つの列が、1つの実現可能ロットjに対応し、当該列において、「1」の値を持つ行に対応するスラブグループiが、当該実現可能ロットjに含まれるスラブグループとなる。
ユーザは、キャスト編成装置100のユーザインターフェースを操作することにより、行列Ai,jの初期値の情報を入力し、初期列集合設定部103が、キャスト編成装置100内の記憶媒体に当該情報を記憶することにより、行列Ai,jの初期値を設定することができる。ただし、必ずしもこのようにする必要はなく、例えば、初期列集合設定部103は、予め定められたロジックにより、行列Ai,jの初期値を導出してもよい。
<集合分割問題構築部104、集合分割問題構築ステップS204>
本実施形態では、集合分割問題MP(原問題)を解くことにより、行列Ai,jの各列に示される実現可能ロットjからキャストとして採用する実現可能ロットjを決定する。集合分割問題MPとは、要素の部分集合と、当該要素のコストとが与えられたときに、各要素をちょうど1つずつ含む(即ち、各要素を漏れなく且つ重複することなく含む)部分集合の組み合わせを、当該コストの総和を最小にするように決定する問題である。本実施形態では、集合分割問題MPは、実現可能ロットjと、当該実現可能ロットjに対するコストとが与えられたときに、各スラブグループiをちょうど1つずつ含む(即ち、各スラブグループiを漏れなく且つ重複することなく含む)実現可能ロットjの組み合わせを、当該コストの総和が最小となるように決定する問題になる。
本実施形態における集合分割問題MPは、以下のように表される。
<<集合>>
・i∈NI:スラブグループ
・j∈NJ:実現可能ロット
<<決定変数>>
・zj={0,1}
決定変数zjは、実現可能ロットjをキャストとして採用する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。
<<定数>>
・行列Ai,j
前述したように行列Ai,jは、スラブグループiを実現可能ロットjに含める場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる要素からなる。
・コストcj
コストcjは、実現可能ロットjに含まれるスラブグループiを構成するスラブに応じて定まる。
<<制約条件>>
前述したように、集合分割問題MPでは、各スラブグループiをちょうど1つずつ含む実現可能ロットjの組み合わせを求める。従って、行列Ai,jにおいて、任意のスラブグループiが属する実現可能ロットjの集合の中から、1つの実現可能ロットjだけが選択されなければならない。この制約条件は、以下の(1)式で表される。
Figure 0007156024000001
<<目的関数>>
前述したように、集合分割問題MPでは、実現可能ロットjに対するコストcjの総和が最小となるようにする。従って、目的関数は、以下の(2)式で表される。
Figure 0007156024000002
<<コストcjの具体例>>
本実施形態では、(2)式のコストcjを以下のようにする場合を例に挙げる。
・キャスト数
コストcjの総和は、基本的には、キャストの総数で表される。1つの実現可能ロットjは1つのキャストと対応する。そこで、キャストの数を評価するために、各実現可能ロットjについて製造コストCCASTが発生するものとする。各実現可能ロットjの製造コストCCASTは同じ値である。
また、コストcjには、製造コストCCAST以外のコストを加えてもよい。本実施形態では、以下の余材量及び鋼種数を、コストcjに加える場合を例に挙げる。
・余材量
余材とは、生産量が定まっているロットに注文を割り当てても当該生産量に満たない場合に、当該ロットにおいて生産される製品であって、生産時においては、どの注文に紐付けられるのかが未定である製品をいう。余材量とは、そのような製品の量をいう。
溶鋼の成分の作り込みは転炉及び二次精錬工程において実施されることから、鋼種はチャージ単位で製造される。したがって、或る鋼種を割り当てたスラブの総重量がチャージ重量(1チャージの重量)に満たない部分については、注文と紐付かない余材として製造される。余材は注文と紐付けられるまでスラブとしてヤードに滞留することから、仕掛在庫量の増加を招く。このため、可能な限り余材量が減少するように、同一の鋼種を割り当てたスラブの総重量がチャージ重量に近づくようにすること(好ましくは一致すること)が望まれる。
このように、製鋼工場では溶鋼の成分調整をチャージ単位で実施することから、或るキャストにおいて同一鋼種として製造するスラブの重量の合計が、チャージ重量(1チャージを構成する重量)の倍数に近づくようにすること(好ましくは一致すること)が望まれる。例えば、チャージ重量が200トンであり、実現可能ロットjに含まれるスラブのうち、或る鋼種で製造されるスラブの重量が500トンである場合には、当該鋼種のスラブとして3チャージ分のスラブを製造することになる。従って、余材量は、100(=3×200-500)トンとなる。
実現可能ロットjに含まれるスラブの合計重量を製造するために必要なチャージ数をnj CHとし、チャージ重量をWCHとし、実現可能ロットjに属するスラブグループの重量をWj SGとすると、余材量Wj Yは、以下の(3)式で表される。
Figure 0007156024000003
実現可能ロットjには、異なる鋼種のスラブグループが含まれることがある。このように実現可能ロットjに異なる鋼種のスラブグループが含まれる場合には、鋼種毎に(3)式の計算を行い、それらの和を当該実現可能ロットjに対する余材量Wj Yとする。
・鋼種数
同一の実現可能ロットj内において複数の異なる鋼種が共存する場合には、鋼種が切り替わるチャージ間においてタンディッシュ内にて溶鋼の混合部が発生する。このような実現可能ロットにおける異なる鋼種の接続部分を異鋼種継目と呼ぶ。この異鋼種継目部分の成分がスラブに求められる要求を満足しない場合にはスラブの一部を切断して破棄する。従って、異鋼種連々鋳による操業(即ち、異なる鋼種を連続して連続鋳造すること)を実施した場合には歩留が低下する。よって、同一の実現可能ロットj内における異鋼種継目の数は可能な限り少ない方が望ましい。即ち、実現可能ロットjに含まれる鋼種の数Nj Gは少ない方が望ましい。
以上より、実現可能ロットjに対するコストcjは、以下の(4)式で表される。
Figure 0007156024000004
(4)式において、CY、CGは、それぞれ、余材量、鋼種の数に対するコスト係数(重み係数)である。コスト係数CY、CGは、それぞれの評価項目をどの程度重視するかによって予め設定されるものであり、各評価項目間の評価のバランスを表す。尚、(4)式の右辺第1項の製造コストCCASTについて(2)式の積算を行った値は、集合分割問題MPの最適解として採用される実現可能ロットjの総数に、製造コストCCASTを掛けた値になる。従って、製造コストCCASTは、実現可能ロットjの数に対するコスト係数としての役割を有する。尚、製造コストCCASTを「1」とする場合、(4)式の右辺第1項の製造コストCCASTについて(2)式の積算を行った値は、集合分割問題MPの最適解として採用される実現可能ロットjの総数そのものになる。
集合分割問題構築部104は、行列Ai,jの現在値から、(4)式の計算を行うことにより、当該行列Ai,jに含まれる各列(各実現可能ロットj)のコストcjを導出する。前述したように、最初のステップS204の処理では、行列Ai,jの現在値は、初期値になる。2回目以降にステップS204の処理では、集合分割問題構築部104は、後述する列追加部109により新たに追加された列(実現可能ロットj)のコストcjを導出する。
<線形緩和問題構成部105、線形緩和問題構成ステップS205>
線形緩和問題構成部105は、集合分割問題MPを線形緩和した線形緩和問題LPを構成する。即ち、線形緩和問題構成部105は、(1)式及び(2)式に対し、0≦zj≦1の範囲の値をとり得るように決定変数zjを定義し直す。
<双対解導出部106>
双対解導出部106は、集合分割問題MP(原問題)の線形緩和問題LPを主問題とした場合の双対問題DLPの最適解である双対解を導出する。
集合分割問題MP(原問題)自体は0-1整数計画問題であるが、双対問題DLPは線形緩和問題(線形計画問題)になる。0-1整数計画問題である集合分割問題MP(原問題)の線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題DLPは、元の集合分割問題MPで使用した記号を用いれば、以下の(5)式の目的関数と、以下の(6)式の制約式とで表される。
Figure 0007156024000005
前述したように双対変数λiは、双対問題DLPの決定変数であり、スラブグループiごとに定められる連続変数(-∞<λi<∞)である。(6)式のAj,iの行jは、実現可能ロットjに対応する。(6)式のAj,iの(1つの)行jは、当該行jに対応する実現可能ロットjがスラブグループiを含む場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数を要素として含む。この要素は、<列生成部107、ステップS207>の項で説明する列生成子問題SPの決定変数aiと同じ意味の変数である。双対変数λiは、集合分割問題MP(原問題)の目的関数((2)式)の値の改善量に対応するので、できるだけ大きいΣλiを求めれば、集合分割問題MPの目的関数のより良い下限値が得られることになる。従って、双対問題DLPの目的関数((5)式)は、最大化問題となる。
双対解導出部106は、CPLEX(登録商標)等の公知のソルバーを用いて線形計画法による最適化計算を行うことにより、(6)式の制約式を満足する範囲で(5)式の目的関数の値を最大にする双対変数λiを、双対変数λiの最適解(即ち、双対解)として導出する。尚、集合分割問題の線形緩和問題を主問題とする双対問題自体は、非特許文献1に記載されているように公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<列生成部107、列生成ステップS207>
集合分割問題MPにおいて、全ての実現可能ロットjを列挙することは困難である。そこで、本実施形態では、行列Ai,jに含める実現可能ロットjを限定して、集合分割問題MPを構成する。列生成部107は、双対解導出部106により導出された双対解(即ち、双対変数λiの最適解)を用いて、集合分割問題MP(即ち、行列Ai,j)に追加する新たな実現可能ロットj(列)を生成する。
新たな実現可能ロットjは、どのようなスラブグループiの集まりでも良い訳ではない。即ち、新たな実現可能ロットjは、ロット(=キャスト)として成立するための制約条件を満足することと、集合分割問題MP(原問題)の目的関数((2)式)の値の改善に寄与することとの双方を満足する実現可能ロットjでなければならない。ここで、行列Ai,jの列として加えられる候補となる新たな実現可能ロットjをa={a1,a2,・・・,aN}とする。Nは、スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループの数である。新たな実現可能ロットaはキャストとして成立していることが前提であり、新たな実現可能ロットaがキャストとして成立していれば、新たな実現可能ロットaに対するコストcを算出することができる。そして、新たな実現可能ロットaに対するコストcが、以下の(7)式を満足すれば、集合分割問題MP(原問題)の目的関数((2)式)の値の改善が期待できる。新たな実現可能ロットaに対するコストcよりも、集合分割問題MP(原問題)の目的関数((2)式)の値の改善量の方が大きくなるからである。
Figure 0007156024000006
そこで、本実施形態では、集合分割問題MP(原問題)の最適解の候補、即ち新たに追加する列(新たな実現可能ロットa)を求める列生成子問題SPを以下のように定式化する。
<<集合>>
・i∈NI:スラブグループ
・k∈NK:鋼種
前述したように、NIは、スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループの集合であり、iは、スラブグループ(NIの要素)である。NKは、スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループの鋼種の集合であり、kは、鋼種(NKの要素)である。
<<決定変数>>
決定変数aiは、新たな実現可能ロットaの要素であり、新たな実現可能ロットaがスラブグループiを含む場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。以下の説明では、この決定変数aiを必要に応じてロット構成製品有無変数と称する。尚、<双対解導出部106>の項で説明した(6)式のAj,iの要素は、ロット構成製品有無変数aiと同じ意味の変数からなる。
また、スラブグループ iを鋼種kとして製造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である変数xi,kを定義する。また、当該キャストにおいて鋼種kのスラブを製造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である変数gkを定義する。また、スラブグループiの次にスラブグループi'を製造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である変数ri,i'を定義する。
<<制約条件>>
[ロット構成製品有無変数定義制約]
まず、ロット構成製品有無変数aiを定義する制約式として、以下の(8)式の制約式を用いる。
Figure 0007156024000007
(8)式は、新たな実現可能ロットaにスラブグループiを含める場合には、何れかの鋼種kで当該スラブグループiを製造し、そうでない場合には、何れの鋼種kでも当該スラブグループiを製造しないことを示す。
[製造有無制約]
次に、スラブグループiは、新たな実現可能ロットaに含めるか含めないかの何れかになるので、このことを表す制約式として、以下の(9)式の制約式を用いる。
Figure 0007156024000008
(8)式及び(9)式に示すように、新たな実現可能ロットaに含めるスラブグループiにおいて、鋼種kに選択の自由度のある場合でも、当該スラブグループiの鋼種kが1つに定まる。
[製造不可鋼種制約]
次に、スラブグループiについて製造可能な鋼種の集合をN'K(i)と表記する。そうすると、新たな実現可能ロットaに対し、鋼種k∈{NK-N'K(i)}のスラブグループiを含めることができないことを表す制約式として、以下の(10)式の制約式を用いる。
Figure 0007156024000009
[重量制約]
次に、スラブグループiの重量をSWiとすると、新たな実現可能ロットaに含まれる鋼種kのスラブの合計重量wkは、以下の(11)式の制約式で表される。
Figure 0007156024000010
[チャージ数制約]
次に、1チャージに含めることができるスラブの最大重量をmaxChWとする。そうすると、鋼種kのスラブを重量wkだけ製造するために必要なチャージ数mkは、以下の(12-1)式及び(12-2)式の制約式で表される。即ち、鋼種kのスラブを重量wkだけ製造するために必要なチャージ数mkは、以下の(12-1)式及び(12-2)式で定まる範囲内になる。
Figure 0007156024000011
[最大連々鋳回数制約]
次に、1つのキャストにおける最大連々鋳回数(連々鋳の回数の最大値)をmaxchWRenとする。そうすると、1つのキャストにおける最大連々鋳回数maxchWRenは、(12-1)式及び(12-2)式で定まるチャージ数mkの全ての鋼種kについての総和以上でなければならず、このことは、以下の(13)式で表される。
Figure 0007156024000012
[余材量制約]
次に、1つのキャストとして製造されるチャージの合計重量のうち、当該キャストから製造されるスラブの合計重量を超過する重量分は、注文に割り当てられない余材として製造され、注文が割り当てられるまでヤード(仮置場)に在庫として停滞する。このような余材の鋼種別の重量をykとすると、余材の鋼種別の重量ykは、以下の(14)式の制約式で表される。
Figure 0007156024000013
[コイル長制約]
次に、1つのキャストが1つのチャンスに対応するものとすると、同一の圧延ロールにおいて連続して圧延可能なキャストから製造されるコイルの全長に関し、以下の制約が課せられる。ここで、スラブグループiに含まれるスラブを圧延した場合のコイルの全長をCLiとし、同一の圧延ロールにおける圧延距離の最大値をmaxCoLenとする。そうすると、1つのチャンスで圧延されるスラブから製造されるコイルの全長は、同一の圧延ロールにおける圧延距離の最大値以下でなければならないことを表す制約式として、以下の(15)式の制約式を用いる。尚、以下の(15)式は、(8)式を用いて、ロット構成製品有無変数aiにより表現してもよい。
Figure 0007156024000014
[変数関係制約]
次に、変数xi,k、gkの関係を規定する制約式として、以下の(16)式の制約式を用いる。前述したように、変数xi,kは、スラブグループiを鋼種kとして製造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。変数gkは、当該キャストにおいて鋼種kのスラブを製造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。
Figure 0007156024000015
(16)式は、スラブグループiを鋼種kとして製造する場合には、当該キャストにおいて鋼種kのスラブを製造しなければならないことを示す。尚、或るスラブグループiの鋼種が鋼種kでなくても、別のスラブグループiの鋼種が鋼種kである場合がある。従って、(16)式において、変数xi,kが「0」の場合でも変数gkは「1」をとり得る。
[製造順制約]
図5は、製造順制約の一例を説明する図である。図5に示す1つのノード(○で示すもの)は、1つのスラブグループiに対応する。破線で示すブランチは、当該破線の両端にあるノード(スラブグループi)は、連続して製造することが可能なスラブグループiのうち、キャストとして選択されていないスラブグループiであることを示す。実線の矢印線で示すブランチは、連続して製造することが可能なスラブグループiのうち、キャストとして選択されたスラブグループiであることを示す。これらキャストとして選択されたスラブグループiについて、矢印線の基端にあるノード(スラブグループi)の次に、当該矢印線の先端にあるノード(スラブグループi)を製造することを示す。
また、実線の矢印線で示すブランチで結ばれている2つのノード(スラブグループi,i')についての変数ri,i'は「1」となり、実線の矢印線で示すブランチで結ばれていないノード(スラブグループi,i')についての変数ri,i'は「0」となる。前述したように変数ri,i'は、スラブグループiの次にスラブグループi'を製造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。
尚、図5では、例えば、鋼種Aを示す領域501の一部と鋼種Bを示す領域502の一部とが重複し、鋼種Bを示す領域502の一部と鋼種Cを示す領域503の一部とが重複する場合を例に挙げて示す。鋼種Aを示す領域501と鋼種Bを示す領域502との重複範囲に位置するノード(スラブグループi)は、鋼種A、Bの何れでも製造可能であることを示す。同様に、鋼種Bを示す領域502と鋼種Cを示す領域503との重複範囲に位置するノード(スラブグループi)は、鋼種B、Cの何れでも製造可能であることを示す。また、図5では、表記の都合上、スラブグループの集合NIを示す領域504の中に鋼種A~Cのみを示すが、実際には、スラブ情報300に含まれる全ての鋼種がスラブグループの集合NIを示す領域504の中に含まれる。
図5に示すように、スラブグループ作成部102で作成されたスラブグループの集合NIとは別に、製造開始を表すダミースラブグループnSと、製造終了を表すダミースラブグループnEとを用意する。ダミースラブグループnS、nEは、キャストに含まれるスラブグループではなく、仮想的なスラブグループである。ダミースラブグループnSの次には、スラブグループの集合NIに含まれる何れのスラブグループiも製造することができるものとする。また、スラブグループの集合NIに含まれる何れのスラブグループiであっても、当該スラブグループiの次にダミースラブグループnEを製造することができるものとする。ダミースラブグループnS、nEには、1つのノード(スラブグループi)しか接続されない。これに対し、スラブグループの集合NIに含まれるスラブグループiには、2つのノード(スラブグループi)が接続される。
ここで、スラブグループiの始点集合をNS(=NI+nS)とする。始点集合とは、矢印線の基端となり得るノード(スラブグループi)の集合、即ち、製造順で連続する2つのスラブグループiのうち、先に製造されるスラブグループiとなり得るものの集合である。また、スラブグループiの終点集合をNE(=NI+nE)とする。終点集合とは、矢印線の先端となり得るノード(スラブグループi)の集合、即ち、製造順で連続する2つのスラブグループiのうち、後に製造されるスラブグループiとなり得るものの集合である。
以上のことを前提として、1つのキャストに含めるスラブグループiの製造順に関する制約(製造順制約)の一例を説明する。
まず、ダミースラブグループnSの後に、終点集合に含まれる何れかのスラブグループiを製造することを示す制約式として、以下の(17)式の制約式を用いる。
Figure 0007156024000016
次に、スラブグループiの集合NIにおいて、スラブグループiを、製造順で連続する2つのスラブグループのうち先に製造されるスラブグループとして、新たな実現可能ロットaに含めるのであれば、当該スラブグループiは必ず製造しなければならないことを示す制約式として、以下の(18)式の制約式を用いる。
Figure 0007156024000017
次に、スラブグループiの集合NIにおいて、スラブグループi'を、製造順で連続する2つのスラブグループのうち後に製造されるスラブグループとして、新たな実現可能ロットaに含めるのであれば、当該スラブグループi'は必ず製造しなければならないことを示す制約式として、以下の(19)式の制約式を用いる。
Figure 0007156024000018
次に、始点集合に含まれる何れか1つのスラブグループiの次にダミースラブグループnEを製造しなければならないことを示す制約式として、以下の(20)式の制約式を用いる。
Figure 0007156024000019
次に、スラブグループiの次に製造不可能なスラブグループの集合をNi Infとする。連続して製造することができない2つのスラブグループi、i'を示す制約式として、以下の(21)式の制約式を用いる。
Figure 0007156024000020
例えば、前述した(A1)及び(B1)と同様の判定条件により、スラブグループiの次に製造不可能なスラブグループの集合Ni Infを定めることができる。即ち、或るスラブグループについて、当該スラブグループに含まれるスラブの幅(スラブ幅)と、その他のスラブグループに含まれるスラブの幅(スラブ幅)との差の最大値が100[mm]を上回る場合、当該或るスラブグループiの次に製造不可能なスラブグループの集合Ni Infとして当該その他のスラブグループが含まれる。また、或るスラブグループについて、当該スラブグループに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)と、その他のスラブグループに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)との差の最大値が2[mm]を上回る場合、当該或るスラブグループiの次に製造不可能なスラブグループの集合Ni Infとして当該その他のスラブグループが含まれる。
次に、新たな実現可能ロットaに含める複数のスラブグループiが1つのキャストを構成するためには、当該複数のスラブグループiのうち最初に製造するスラブグループiと最後に製造するスラブグループiとが定められなければならない。このことは、図5において、矢印線の数は、当該矢印線で結ばれるノード(スラブグループi)の数から「1」を減算した値でなければならないことに対応する。即ち、任意のスラブグループiの部分集合に対して、当該部分集合に含まれる2つのスラブグループi、i'に対する変数ri,i'の総和が、当該部分集合に含まれるスラブグループの総数から「1」を減じた数と等しくなることに対応する。従って、スラブグループの集合NIの任意の部分集合をNI Sとすると、以下の(22)式の制約式が成り立つ。
Figure 0007156024000021
<<新たな実現可能ロットaに対するコストc>>
本実施形態では、新たな実現可能ロットaに対するコストcを、以下の(23)式で表す。
Figure 0007156024000022
(23)式の右辺第1項は、キャストにおいて製造する各鋼種kの余材量の総和に関するコストを表す。ykは前出の(14)式にて計算される。余材となるスラブは注文が割り当てられるまでヤードで保管されることから、在庫を削減する観点より、可能な限り余材量を少なくすることが望ましい。(23)式の右辺第2項は、キャストにおいて製造する鋼種の総数に関するコストを表す。gkは(16)式で規定される。キャストにおいて複数の鋼種を製造する際には、タンディッシュにおいて異なる溶鋼の混合部分が生じる。このため、可能な限り鋼種の切り替え回数(異鋼種継目の数)を削減することが望ましい。(23)式の右辺第3項は、キャストを製造するにあたって必要な製造コストを表す。この項は、集合分割問題MPを解く際に、可能な限りキャストの数を削減することを目的に追加する。ここで、CY、CGは、それぞれ、余材量、鋼種の数に対するコスト係数(重み係数)であり、(4)式で説明したものと同じである。また、製造コストCCASTも、(4)式で説明したものと同じである。ただし、これらのコスト係数及び製造コストCCASTの値は、(4)式に示すものの値と同じであっても異なっていてもよい。
<<目的関数>>
主問題と双対問題の関係(弱双対定理)から、主問題の目的関数の値は、主問題が最小化問題の場合、双対問題DLPの目的関数の値以上になる。本実施形態では、主問題の目的関数は(2)式であり、双対問題DLPの目的関数は(5)式である。従って、本来は、新たな実現可能ロットaのコストcは、当該新たな実現可能ロットaに対する双対コスト(=Σi∈NIλi×ai)以上(c≧Σi∈NIλi×ai)になる。また、新たな実現可能ロットaのコストcと、当該新たな実現可能ロットaに対する双対コスト(=Σi∈NIλi×ai)とが等しい(c=Σi∈NIλi×ai)ときの主問題及び双対問題DLPの解はそれぞれ真の最適解となる。従って、もしc<Σi∈NIλi×aiを満足するような実現可能ロットaが存在するならば、そのような実現可能ロットaは集合分割問題MP(即ち、行列Ai,j)に追加されなければならない。
従って、列生成子問題SPの目的関数は、以下の(24)式のように定義される。
Figure 0007156024000023
列生成部107は、CPLEX(登録商標)等の公知のソルバーを用いて0-1整数計画法による最適化計算を行うことにより、(8)式~(22)式の制約式を満足する範囲で(24)式の目的関数の値を最小にする部分集合である新たな実現可能ロットa(部分集合を構成するロット構成製品有無変数ai)を、新たな実現可能ロットaの最適解として導出する。
<判定部108、ステップS208>
新たな実現可能ロットaのコストcが、当該新たな実現可能ロットaに対する双対コスト(=Σi∈NIλi×ai)を下回る(c<Σi∈NIλi×ai)場合には、双対問題DLPの双対解は、双対問題DLPの真の最適解となっていない。即ち、この場合には、実現可能ロットj(列)が行列Ai,jに十分に追加されていないことになる。よって、新たな実現可能ロットaのコストcが、当該新たな実現可能ロットaに対する双対コスト(=Σi∈NIλi×ai)を下回る(c<Σi∈NIλi×ai)場合には、当該新たな実現可能ロットaは、原問題である集合分割問題MPの最適解の候補となり、行列Ai,jに追加される必要がある。
そこで、判定部108は、列生成部107により最適解として求められた新たな実現可能ロットaのコストcから、当該新たな実現可能ロットaに対する双対コスト(=Σi∈NIλi×ai)を減算した値が「0」を下回るか否かを判定する。即ち、判定部108は、以下の(25)式が成り立つか否かを判定する。尚、以下の説明では、(25)式の判定式を必要に応じて列追加要件と称する。
Figure 0007156024000024
この判定の結果、列追加要件を満足する場合には、列生成部107により最適解として求められた新たな実現可能ロットaを、行列Ai,jに追加する必要がある。一方、列追加要件を満足しない場合には、新たな実現可能ロットaをこれ以上行列Ai,jに追加しても、当該新たな実現可能ロットaは、原問題である集合分割問題MPの最適解の候補になることはないと見なせる。
<列追加部109、ステップS209>
列追加部109は、判定部108により列追加要件を満足すると判定されると、列生成部107により導出された新たな実現可能ロットaを、行列Ai,jに追加する。例えば、列追加部109は、現在の行列Ai,jの最後の列の次の列に、列生成部107により導出された新たな実現可能ロットaを追加する。これにより、行列Ai,j(即ち、集合分割問題MPにおける部分集合)が更新される。
<新たな実現可能ロットaを追加した後の繰り返し計算>
以上のようにして列追加部109により新たな実現可能ロットaが行列Ai,jに追加されることにより、行列Ai,jの現在値が更新される。この場合、処理はステップS205に戻り、集合分割問題構築部104は、新たに追加された実現可能ロットaのコストcjを導出する((4)式を参照)。そして、ステップSプ206において、双対解導出部106は、更新後の行列Ai,jを用いて、(6)式の制約式を満足する範囲で(5)式の目的関数の値を最大にする双対変数λiを、双対解として導出する。
更に、ステップS207において、列生成部107は、このようにして導出された双対変数λiを用いて、(8)式~(22)式の制約式を満足する範囲で(24)式の目的関数の値を最小にする新たな実現可能ロットaを導出する。
そして、ステップ208において、判定部108は、このようにして導出された新たな実現可能ロットaのコストcから、当該新たな実現可能ロットaに対する双対コスト(=Σi∈NIλi×ai)を減算した値が「0」を下回るか否か(列追加要件を満足するか否か)を判定する。この判定の結果、列追加要件を満足する場合には、ステップS209において、列生成部107により導出された新たな実現可能ロットaを行列Ai,jに追加する。
以上の処理を、判定部108により、列追加要件を満足しないと判定されるまで繰り返し行う。尚、以上の説明において、判定部108は、列生成部107により導出された新たな実現可能ロットaが既に行列Ai,jに含まれている場合にも、列生成要件を満足しないと判定するものとする。
<最適解導出部110、ステップS210>
最適解導出部110は、判定部108により、列追加要件を満足しないと判定されると、前述した集合分割問題MPの求解を行う。具体的に説明すると最適解導出部110は、判定部108により、列追加要件を満足しないと判定された時点で得られている(最新の)行列Ai,jを用いて、CPLEX(登録商標)等の公知のソルバーを用いて0-1整数計画法による最適化計算を行うことにより、(1)式の制約式を満足する範囲で(2)式の目的関数Jの値を最小にする決定変数zjを導出し、実現可能ロットj群の最適解を導出する。
本実施形態では、キャスト編成の対象となるスラブグループiの全体集合NIから全ての実現可能ロットjを生成したものを実現可能ロットjの集合として、集合分割問題MPを解くのではなく、実現可能ロットjの初期値と、列追加部109により追加された新たな実現可能ロットaとを実現可能ロットjの集合として、集合分割問題MPを解く。前述したように、本実施形態では、実現可能ロットjの集合(行列Ai,j)が収束し、新たな実現可能ロットaが集合分割問題MPの最適解の候補になることはないと見なせる場合には、列追加部109による新たな実現可能ロットaの追加は行われない。従って、計算精度を大きく落とすことなく、実現可能ロットjの列挙数を少なくすることができる。その結果、主として計算機の主メモリが不足することにより、実現可能ロットjの列挙ができないことや、列挙出来たとしてもその後の集合分割問題を解くことが出来ないこと等により、キャスト計画を作成することができないという事態が生じることを抑制することができる。
<出力部111、ステップS211>
各実現可能ロットjは、それぞれキャストに対応する。出力部111は、最適解導出部110により導出された実現可能ロットj群の最適解に基づいて、各実現可能ロットjに含まれるスラブグループiを構成するスラブの情報をキャスト計画の立案結果として出力する。出力部111は、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、及び、内部又は外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを行うことにより、それぞれのキャストに含まれるスラブの情報を出力する。例えば、出力部111は、図3に示したスラブ情報300の項目として、キャストを識別する番号であるキャストNo.を追加した情報を、それぞれのキャストに含まれるスラブの情報として出力することができる。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、キャスト編成装置100は、集合分割問題MPを線形緩和した線形緩和問題LPを主問題とした場合の双対問題DLPの最適解である双対解(双対変数λiの最適解)を導出する。そして、キャスト編成装置100は、当該双対解を用いて、列生成子問題SPの最適解を導出する。即ち、キャスト編成装置100は、新たな実現可能ロットaがロット(=キャスト)として成立するための制約条件を満たす範囲で、新たな実現可能ロットaのコストcから当該新たな実現可能ロットaに対する双対コスト(=Σi∈NIλi×ai)を減算した値が最小になるときの新たな実現可能ロットaを、新たな実現可能ロットaの最適解として導出する。そして、キャスト編成装置100は、当該新たな実現可能ロットaのコストcから当該新たな実現可能ロットaに対する双対コスト(=Σi∈NIλi×ai)を減算した値が「0」以下である(即ち、列追加要件を満足する)場合に、当該新たな実現可能ロットaを、集合分割問題MPにおける部分集合を示す行列Ai,jに追加する。キャスト編成装置100は、かかる新たな実現可能ロットaの追加を、列追加要件を満足しなくなるまで繰り返し行う。キャスト編成装置100は、このようにして得られた行列Ai,jを用いて集合分割問題MPを解いて決定変数zjを導出し、それぞれの実現可能ロットjに含まれるスラブグループiの最適解を導出する。
従って、キャスト編成問題に列生成法を適用することができるようになり、可及的に過不足なく実現可能ロットの候補を列挙することができる(即ち、全ての実現可能ロットを列挙する必要がなくなる)。従って、キャスト計画を、立案結果の精度を大きく落とすことなく短時間で立案することができる。また、コイル長制約(1つのチャンスで圧延されるコイルの全長が、同一の圧延ロールにおける圧延距離の最大値以下になるという制約)を課すことにより、キャストによって生成されるスラブ群がチャンスに対応するように、連続鋳造工程及び熱間圧延工程における制約条件を考慮したキャストを編成することができる。
(変形例)
<変形例1>
本実施形態では、ステップS209において、列追加部109は、列生成子問題SPの最適解のみを行列Ai,jに追加する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、ステップS207において、列生成部107は、列生成子問題SPの計算過程において得られた全ての実行可能解を記憶しておき、ステップS208において判定部108が前記記憶した各実行可能解に対して列追加要件を判定して、ステップS209において、列追加部109は、列追加要件を満足する全ての実行可能解を行列Ai,jに追加してもよい。また、例えば、ステップS207において、列生成部107は、列生成子問題SPの計算過程において得られた全ての実行可能解を記憶しておき、ステップS208において判定部108が前記記憶した各実行可能解に対して列追加要件を判定して、ステップS209において、列追加部109は、列追加要件を満足する全ての実行可能解の中からランダムに選択した複数の実行可能解、又は、所定の条件に従って選択した複数の実行可能解を行列Ai,jに追加してもよい。
<変形例2>
本実施形態では、複数の鋼種のスラブに対するキャスト計画を作成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、単一鋼種のスラブに対するキャスト計画を作成してもよい。このようにする場合、鋼種kを1種類とすればよい(即ち、列生成部107(ステップS207)の説明において、鋼種の集合NKをNK={1}とすればよい)。
<変形例3>
本実施形態では、スラブ情報300に含まれるスラブをスラブグループiに集約する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしも、このようにする必要はない。例えば、スラブ情報300に含まれるスラブの数が少ない場合には、スラブグループiを作成せずに、実現可能ロットを構成するスラブを直接求めるようにしてもよい。このようにする場合、変数iは、スラブグループではなく、個々のスラブを示す変数になる。
<変形例4>
本実施形態では、キャスト計画を作成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態で説明した手法は、キャスト計画以外の、ロットに複数の製品を纏めてロットの単位で生産される複数の製品の生産計画に適用することができる。
例えば、本実施形態で説明した手法を厚板生産計画(板取り問題)に適用してもよい。スラブを目標の板厚に圧延した後、圧延後のスラブを注文に応じて剪断し厚板を得る。よって、どのスラブからどの厚板を切り出すのかを決める必要がある。かかる内容を厚板生産計画として作成する。この場合、「厚板」が「製品」に対応し、「スラブ」が「ロット」に対応し、「剪断(切り出し)」が「製造」に対応し、剪断の次工程である「精整工程」が「選択の自由度がある製造条件」に対応し、切り出したスラブの「余剰部分」が「余材量」に対応する。また、本実施形態で説明した手法を熱延計画(チャンス編成問題)に適用してもよい。連続して熱間圧延する複数のスラブを決定する必要がある。この複数のスラブの単位をチャンスと呼ぶ。この場合、「熱延板(コイル)」が「製品」に対応し、「チャンス」が「ロット」に対応し、「圧延」が「製造」に対応する。
また、本実施形態で説明した手法の適用対象は、ロットの単位で纏めて複数の製品を生産するための計画に限定されず、ロットの単位で纏めて複数の製品を処理するための計画であってもよい。
(計算例)
次に、キャスト計画の計算例を説明する。
本実施形態の手法の有用性を検出するためにスラブ数を変更した複数のケースに対するキャスト計画を作成する数値実験を実施した。図6は、その結果を示す図である。図6では、各スラブ数に対するキャスト計画を作成するまでの計算時間(分)を比較例、発明例1、発明例2のそれぞれについて示す。図6において、「-」は、計算時間が1時間以上であることを示す。
比較例は、<スラブグループ作成部102、ステップS202>の項で説明したようにしてスラブ情報に含まれるスラブをスラブグループに集約して、スラブグループに対する実現可能ロットjを全て列挙し、列挙した全ての実現可能ロットjを部分集合とする集合分割問題により、実現可能ロットの最適解を導出する手法である。
発明例1は、本実施形態の手法である。発明例2は、<変形例1>の項で説明した手法のうち、本実施形態の手法に対し、ステップS209において、列追加部109が、列生成子問題SPの列追加要件を満足する全ての実行可能解を行列Ai,jに追加する手法である。
以上のこと以外は、発明例1、発明例2、及び比較例で異なるところはない。
発明例1、発明例2、及び比較例の何れの例においても、(求解することができた場合には)本実施形態で説明した全ての制約条件を満足する実行可能なキャスト計画が作成された。
しかしながら、比較例では、スラブグループiの数によって列挙すべき実現可能ロットjが指数関数的に増加する。このため、スラブ数が「150」である場合、計算時間が9.38分となる。また、スラブ数が「200」以上では1時間以上かかっても計算は終了しない。一方、発明例1では、スラブ数が「350」である場合でも、計算時間は2.76分であり、実用規模の問題に対しても許容可能な計算時間になる。また、発明例2では、発明例1より更に高速に計算が終了するためより大規模な問題に対する適用が期待できる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を説明する。
第1の実施形態では、実現可能ロットjに対するコストcjと、列追加部109により追加された新たな実現可能ロットaに対するコストcとを、それぞれ(4)式、(23)式で表す場合を例に挙げて説明した。即ち、実現可能ロットに対するコスト(目的関数)は、各評価指標(設計変数)のコストの和で表され、各評価指標のコストは、当該評価指標の値と、当該評価指標に対するコスト係数(重み係数)との積の和で表される。(4)式に示す例では、CY、CGは、それぞれ、(評価指標の値である)余材量Wj Y、鋼種の数Nj Gに対するコスト係数である。また、(23)式に示す例では、CY、CGは、それぞれ、全鋼種についての余材量の和Σyk、鋼種の総数Σgk(gkは、或るキャストにおいて鋼種kのスラブを製造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である)に対するコスト係数である。また、CCASTは、実現可能ロットjの数に対するコスト係数になる。
第1の実施形態で説明したように、コスト係数CY、CGは、それぞれの評価指標をどの程度重視するかによって予め設定されるものであり、各評価指標間の評価のバランスを表す。コスト係数CY、CGにより、評価指標間の評価のバランスをとることができる。例えば、最小化問題では、重要度の高い評価指標に対するコスト係数を大きくすれば、当該評価指標の値が、他の評価指標よりも優先して高い評価を示す値(小さい値)になる。
第1の実施形態では、コスト係数CY、CGは、予め定められた一定値であるものとする。しかしながら、同一の評価指標であっても、製造条件に応じて重要度(重み)に差をつけないと、キャスト計画を、立案者が行うキャスト編成に近づけることができない虞がある。
例えば、余材量については、注文を受ける頻度が多い鋼種ならば、余材として注文に紐付かないスラブを製造したとしても、新たに受注した当該鋼種の注文に早期に紐付けすることが期待できる。このため、立案者は、余材が注文に紐付けられる可能性が高いか否かを鋼種毎に考慮しながらキャストを編成する。したがって、例えば、余材量を評価指標として用いる場合、鋼種毎に余材量に対するコスト係数を決定することが望まれる。
また、異鋼種連々鋳については、立案者は、異鋼種連々数だけを評価するのではなく、連続して鋳造される異なる2つの鋼種の組み合わせとして、操業上及び品質上において問題のない組み合わせを優先して選ぶ。したがって、例えば、異鋼種連々数を評価指標として用いる場合、連続して鋳造される異なる2つの鋼種の組み合わせ毎に異鋼種連々数に対するコスト係数を決定することが望まれる。尚、異鋼種連々数は、第1の実施形態の「・鋼種数」の項で説明した異鋼種継目の数である。
そこで、鋼種に応じて(1つの)評価指標を分類し、分類した評価指標のそれぞれによる評価を実現しようとすると、分類したそれぞれの評価指標に対してコスト係数を定めなければならない。例えば、余材量に対するコスト係数を、鋼種毎に設定したり、異鋼種連々数に対するコスト係数を、連続して鋳造される異なる2つの鋼種の組み合わせに応じて決定したりしなければならない。製鋼工場における鋼種には、一般に100以上の種類がある。このため、鋼種別にコスト係数を立案者が設定するには多大な手間を要する。仮に或る時点においてコスト係数を鋼種毎に設定したとしても多数のコスト係数をその都度の操業条件に対応するようにメンテナンスし続けるため、多大な時間を必要とする。
そこで、本実施形態では、評価指標による評価を鋼種に応じて異なせるようにするためのコスト係数の決定を、多大な労力を立案者に課すことなくキャスト編成装置により行うことができるようにする。このように本実施形態は、実現可能ロットに対するコストを導出する方法が、第1の実施形態と異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1~図6に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
ここで、本実施形態では、複数の評価指標のうち異鋼種連々数を鋼種に応じて分類し、分類した異鋼種連々数に対するコスト係数をそれぞれ導出する場合を例に挙げて説明する。異鋼種連々数以外の評価指標に対するコスト係数ついては、第1の実施形態と同様に予め定められた一定値とする。
そこで、本実施形態では、(4)式に代えて、以下の(26)式を用いる。
Figure 0007156024000025
(26)式において、CCASTは、製造コストであり、CYは、余材量に対するコスト係数であり、CGは、鋼種の数に対するコスト係数であり、(4)式に示したものと同じである。(26)式において、Wj Yは、余材量であり、(4)式に示したものと同じである。尚、コスト係数CY、CGは、他の評価指標との間の評価のバランスを表すものであり、同一の評価指標における鋼種間の評価のバランスを表すものではない。したがって、コスト係数CY、CGは、余材量、異鋼種連々数、及び実現可能ロットjの数の相対的な重要度により決定することができるので、これらについては、立案者が容易に設定することができる。
G k,k´は、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する(異鋼種連々鋳をする)場合のコスト係数であり、以下の(27)式で表される。nk,k´は、実現可能ロットjにおける異鋼種連々数である。
Figure 0007156024000026
図7を参照しながら、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合(異鋼種連々鋳をする場合)のコスト係数CG k,k´について説明する。図7は、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´の一例を説明する図である。以下の説明では、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を、必要に応じてコスト係数CG k,k´と略称する。
相互に異なる2つの鋼種の溶鋼を連続して鋳造すると、それら2つの鋼種の溶鋼がタンディッシュ内で混合する。この混合する部分がスラブとなった場合に、当該スラブが価値ある製品になる場合と、製品にはなり得ない無価値な製品になる場合とがある。以下の説明では、この価値ある製品を必要に応じて製品鋼材と称し、無価値な製品を必要に応じて非製品鋼材と称する。
一般に立案者は、非製品鋼材よりも製品鋼材を製造する方がよいと考える。すなわち、立案者は、異鋼種連々鋳を行う場合には、相互に異なる2つの鋼種の組み合わせが、製品鋼材となるようにするのが好ましいと考える。第1の実施形態で説明した原問題及び列生成子問題では、(2)式、(24)式に示すように、目的関数の値を最小化するときの決定変数zj、aiを導出する。したがって、非製品鋼材になる鋼種の組よりも、製品鋼材になる鋼種の組が多く含まれる実現可能ロットjが選ばれ易くなるようにするためには、製品鋼材となる鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´に対する重み係数が、非製品鋼材となる鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を下回るようにすればよい。尚、製品鋼材となる鋼種k、k´と、非製品鋼材となる鋼種k、k´は、既知であり、キャスト編成装置に予め設定されるものである。
そこで、コスト係数CG k,k´の最小値を定めるコスト係数として、製品鋼材に対するコスト係数をCG1とし、コスト係数CG k,k´の最大値を定めるコスト係数として、非製品鋼材に対するコスト係数をCG2(CG1<CG2)とする。
図7において、グラフ701は、非製品鋼材に対するコスト係数CG2を表す。また、NPk,k´は、過去の一定期間(例えば一年間)において、鋼種kの溶鋼の後に続けて鋼種k´の溶鋼を連続鋳造した実績回数である。図7に示すように、非製品鋼材に対するコスト係数CG2は一定値になる。以下の説明では、過去の一定期間において、鋼種kの溶鋼の後に続けて鋼種k´の溶鋼を連続鋳造した実績回数NPk,k´を、必要に応じて、実績回数NPk,k´と略称する。
一方、相互に異なる2つの鋼種の組であって、製品鋼材になる組については、操業上及び品質上の観点から、発生頻度が高い組とそうでない組とがある。一般に立案者は、相互に異なる2つの鋼種の組であって、製品鋼材になる組については、発生頻度が高い組が多くなるようにするのが好ましいと考える。そこで、図7のグラフ702a、702bに示すように、実績回数NPk,k´が「0」であるときに最大値をとり、且つ、実績回数NPk,k´が多くなるほど小さな値をとり、且つ、最小値が製品鋼材に対するコスト係数CG1となるように、コスト係数CG k,k´を表す。
前述したように非製品鋼材になる鋼種の組よりも、製品鋼材になる鋼種の組が多く含まれる実現可能ロットjが選ばれ易くなるようにする必要がある。したがって、実績回数NPk,k´が「0」であるときに、コスト係数CG k,k´が、非製品鋼材に対するコスト係数CG2を下回るようにする。このため、(27)式において、定数Lとして「1」を上回る値(L>1)とする。このようにすれば、どのような鋼種k、k´の組み合わせであっても、コスト係数CG k,k´が、非製品鋼材に対するコスト係数CG2を下回るようにすることができる。尚、グラフ702aは、相対的に定数Lが小さい場合のコスト係数CG k,k´を示し、グラフ702bは、相対的に定数Lが大きい場合のコスト係数CG k,k´を示す。また、定数Lを「1」(L=1)とすると、実績回数NPk,k´が「0」であるときに、コスト係数CG k,k´は、非製品鋼材に対するコスト係数CG2と等しくなる(CG k,k´=CG2)。
以上のようにコスト係数CG k,k´が、実績回数NPk,k´が多くなるほど小さな値をとることにより、製品鋼材になる鋼種の組のうち、実績回数NPk,k´が多い鋼種の組が多く含まれる実現可能ロットjが選ばれ易くなる。したがって、立案者が行うキャスト編成に近づけることができる。
コスト係数CG1、CG2は、それぞれ、コスト係数CG k,k´の最小値、最大値を定めるものであり、予め設定される。定数Lは、実績回数NPk,k´が「0」であるときのコスト係数CG k,k´の値を調整するためのものであり、予め設定される。
キャスト編成装置100は、過去の一定期間(例えば一年間)において鋼種kの溶鋼の後に続けて鋼種k´の溶鋼を連続鋳造した実績回数NPk,k´を特定することができる製造実績データを、連続鋳造機で製造した全ての鋼種kについて予め取得して記憶する。また、キャスト編成装置100は、製品鋼材となる鋼種の組み合わせと非製品鋼材となる鋼種の組み合わせとを予め取得して記憶する。キャスト編成装置100は、例えば、キャスト編成装置100に対するオペレータによる操作、外部装置から送信されたスラブ情報の受信、又は可搬型記憶媒体に記憶されたスラブ情報の読み出しを行うことにより、これらの情報(実績回数NPk,k´を特定することができる製造実績データ)を取得することができる。例えば、キャスト編成装置100は、鋼種k、k´の組み合わせについての実績回数NPk,k´を、かかる製造実績データから得ることができる。
(26)式の計算の際には、まず、集合分割問題構築部104は、行列Ai,jの現在値から、実現可能ロットjを特定する。そして、集合分割問題構築部104は、(3)式により、実現可能ロットjに対する余材量Wj Yを導出し、(26)式に与える。余材量に対するコスト係数CY、鋼種の数に対するコスト係数CG、及び製造コストCCASTは、予め定められているので、集合分割問題構築部104は、これらを(26)式に与える。
また、コスト係数CG1、CG2と、定数Lは、予め定められているので、集合分割問題構築部104は、これらを(27)式に与える。また、集合分割問題構築部104は、製造実績データから実績回数NPk,k´を導出して(27)式に与える。これにより、製品鋼材となる鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´が導出される。一方、集合分割問題構築部104は、非製品鋼材となる鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´については、実績回数NPk,k´に関わらず、非製品鋼材に対する重み係数CG2とする。また、集合分割問題構築部104は、実現可能ロットjに含まれるスラブグループの鋼種に基づいて、鋼種k、k´の組の数を異鋼種連々数nk,kとして導出する。
集合分割問題構築部104は、以上のようにして導出したコスト係数CG k,k´と、異鋼種連々数nk,kとを、(26)式に与える。以上のようにして、各実現可能ロットjのコストcjが導出される。
尚、第1の実施形態では、行列Ai,jの初期値は、i=jとなる要素jにだけ「1」を持ち、それ以外の要素は「0」となる行列である。従って、異鋼種連々数nk,kは「0」になる。
以上のように本実施形態では、(4)式に代えて(26)式を用いることにより、各実現可能ロットjのコストcjを導出する。
また、本実施形態では、(23)式に代えて、以下の(28)式~(30)式を用いる。
Figure 0007156024000027
(28)式において、CCASTは、製造コストであり、CYは、余材量に対するコスト係数であり、CGは、鋼種の数に対するコスト係数であり、それぞれ、(23)式に示したものと同じである。尚、前述したようにコスト係数CY、CGは、他の評価指標との間の評価のバランスを表すものであり、同一の評価指標における鋼種間の評価のバランスを表すものではない。また、(28)式において、ykは、余材の鋼種別の重量であり、(23)式に示したものと同じである。
(28)式において、gは、異鋼種連々数に対する評価値であり、(29)式で表される。(29)式において、cri,i´は、スラブグループi、i´を連続して鋳造する場合(異鋼種連々鋳をする場合)の評価値(コスト)である(尚、スラブグループi、i´は異なるスラブグループである)。
(30)式において、CG k,k´は、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´であり、(26)式に示したものと同じであり、図7を参照しながら説明したようにして定められる((26)式に与えるときと同じようにして(30)式に与えられる)。ri,i´は、スラブグループi、i´を連続して鋳造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。Mは、十分に大きな正の値であり、予め定められている。xi,kは、スラブグループiを鋼種kとして鋳造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数であり、xi´,k´は、スラブグループi´を鋼種k´として鋳造する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。
(30)式は、スラブグループiを鋼種kとして鋳造し、且つ、スラブグループi´を鋼種k´として鋳造し、且つ、スラブグループi、i´を連続して鋳造する場合には、スラブグループi、i´を連続して鋳造する場合の評価値cri,i´は、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´以上でなければならないことを表す。
図7を参照しながら説明したように、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´は、製品鋼材になる鋼種の組が多く含まれる実現可能ロットjが選ばれ易くなり、且つ、実績回数NPk,k´が多い鋼種k、k´が選ばれ易くなるように定められる。新たな実現可能ロットaに対するコストcは小さいほど好ましいので、(30)式の制約式を設けることにより、スラブグループi、i´を連続して鋳造する場合の評価値cri,i´が、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´に近い値になるように、(29)式で定められる異鋼種連々数に対する評価値gが制約される。従って、製品鋼材になる鋼種の組のうち、実績回数NPk,k´が多い鋼種の組が多く含まれる実現可能ロットjが選ばれ易くなる。
列生成部107は、(8)式~(22)式と(30)式の制約式を満足する範囲で、(24)式の目的関数の値を最小にする部分集合である新たな実現可能ロットaを、新たな実現可能ロットaの最適解として導出する。このとき、(24)式の新たな実現可能ロットaのコストcは、(28)式及び(29)式に示すように定められるものを用いる。尚、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´は、(26)式の計算を行うときと同じ方法で得られる。また、Mは、予め定められている。(スラブグループi、i´を連続して鋳造する場合の評価値cri,i´(異鋼種連々数に対する評価値g)、0-1変数ri,i´、xi,kは、最適解を導出する過程で決定される従属変数である。
(26)式を解く際には、実現可能ロットjが定まっている。これに対し、(28)式を解く際には、新たな実現可能ロットaを導出するため、実現可能ロットは定まらない。実現可能ロットが定まらないと、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を定めることはできない。したがって、ここでは、(26)式のように、コスト係数CG k,k´を、評価指標の値(実現可能ロットjにおける異鋼種連々数nk,k´)に乗算するものとすることはできない。よって、異鋼種となるスラブグループi、i´を連続して鋳造する場合の評価値cri,i´を、コスト係数CG k,k´に近づけるような制約式を設けることで、評価指標の値が、立案者がキャスト編成を行う際に選択する実現可能ロットに近い実現可能ロットを選択し易い値になるようにすることができる。
尚、コスト係数CY、CG、CG k,k´は、それぞれの評価指標をどの程度重視するかによって予め設定されるものであり、各評価指標間の評価のバランスを表すものである。コスト係数CY、CG、CG k,k´のうちの1つ又は複数の値が「1」となることがある。
(計算例)
次に、計算例を説明する。
本計算例では、キャスト候補jに含まれる鋼種が、鋼種A、B、C、D、Eの何れかであるものとしてキャスト計画を作成した。
図8は、本計算例で使用した実績回数NPk,k´を表形式で示す図である。図8において、行要素に示す鋼種は前鋼種kであり、列要素に示す鋼種は後鋼種k´である。後鋼種k´は、前鋼種kに対して製品鋼材となる鋼種であって、前鋼種kと異なる鋼種k´である(前鋼種kの溶鋼に続けて後鋼種kの溶鋼が鋳造された場合に、当該溶鋼の混合する部分のスラブが製品鋼材となる)。また、前鋼種kと後鋼種k´とが同じ場合には、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´は「0」になるものとする。このような場合の実績回数NPk,k´は不要となるので、図8では、該当する要素を「-」と示す。
本計算例では、製品鋼材に対する重み係数CG1を「10」とし、非製品鋼材に対する重み係数CG2を「100」とした。また、定数Lを「1.0」とした。そうすると、(27)式より、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´は、図9(a)に示すようになる。尚、前述したように、前鋼種kと後鋼種k´とが同じ場合には、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´は「0」になる。
一方、図9(b)は、(27)式のようにせず、製品鋼材となる鋼種k、k´か否かによって2つの値をもつようにした鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を示す。すなわち、図9(b)では、製品鋼材となる鋼種k、k´については、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を、一律に製品鋼材に対するコスト係数CG1(=10)とし、非製品鋼材となる鋼種k、k´については、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を、一律に非製品鋼材に対するコスト係数CG2(=100)とした場合の、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を示す。
図10は、キャスト編成装置100で導出されたキャスト候補jにおける異鋼種連々数を鋼種の組み合わせ別に表形式で示す図である。図10中に示す「1」は、異鋼種連連々数が「1」であることを示している(例えば、図10(a)では、鋼種Cの次に鋼種Eを連続鋳造する回数が「1」であることと、鋼種Eの次に鋼種Aを連続鋳造する回数が「1」であることとを示している)。図10(a)は発明例を示し、図10(b)は比較例を示す。発明例では、図9(a)に示すように、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を、(27)式により導出し、異鋼種連々数に対する評価値gを導出し、最終的に得られた実現可能ロット群の最適解から異鋼種連々数を導出した。一方、比較例では、図9(b)に示すように、非製品鋼材に対するコスト係数CG2を「100」とし、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を全て製品鋼材に対するコスト係数CG1を「10」として、異鋼種連々数に対する評価値gを導出し、最終的に得られた実現可能ロット群の最適解から異鋼種連々数を導出した。
図10(a)に示すように、本実施形態のように、製品鋼材に対するコスト係数CG1以上、非製品鋼材に対するコスト係数CG2以下の範囲で、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を実績回数NPk,k´が多いほど小さい値にして異鋼種連々を詳細に評価することにより、異鋼種連々数の総数が減り、且つ、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´が小さくなる鋼種k、k´の組み合わせが選択される。すなわち、実績回数NPk,k´が多い鋼種k、k´の組み合わせが選択されるため、キャスト編成装置100で導出されたキャスト計画を、立案者の意図するキャスト計画に近づけることができる。これに対し、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を一定値にすると、図10(b)に示すように、異鋼種連々数の総数が増えてしまう。このため、立案者の意図するキャスト計画が得られない。図10(a)に示す発明例では、異鋼種連々数に対する評価値gは、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´の積算値と等しくなったことから(すなわち、(30)式の右辺と等しくなるように左辺が定まったことから)、「110.5(=100+10.5)」になる。一方、図10(b)に示す比較例における異鋼種連々数に対する評価値gは「210(=100+100+10)」になる。従って、比較例に比べ発明例では、異鋼種連々数に対する評価値gが大幅に改善することが分かる。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、製品鋼材となる鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を、製品鋼材に対するコスト係数CG1以上、非製品鋼材に対するコスト係数CG2以下の範囲で、実績回数NPk,k´が多いほど小さい値とする。非製品鋼材となる鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´は、非製品鋼材に対する重み係数CG2で一定値とする。従って、最適な実現可能ロットjに含まれる鋼種k、k´の組み合わせとして、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせよりも、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせが含まれやすくなる。また、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせについては、実績回数NPk,k´が多い鋼種k、k´の組み合わせが最適なキャスト候補jに含まれる鋼種k、k´の組み合わせに含まれやすくなる。このようにするためのコスト係数CGk,k´を立案者が手作業で設定することは現実的ではない。以上のように本実施形態では、第1の実施形態で説明した効果に加えて、キャスト編成装置100で導出されたキャスト計画を、立案者の意図するキャスト計画に近づけることを、多大な労力をかけずに実現することができるという効果を奏する。
(変形例)
<変形例5>
本実施形態では、製品鋼材となる鋼種k、k´と非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせがある場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、製品鋼材を更に高品質の製品鋼材と低品質の製品鋼材とに分類してもよい。このようにする場合、鋼種k、k´を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´は、例えば、以下の(31)式、(32)式で表される。
Figure 0007156024000028
ここで、CG3は、低品質の製品鋼材に対するコスト係数であり、非製品鋼材に対するコスト係数CG2未満の値(CG3<CG2)である。CG4は、高品質の製品鋼材に対するコスト係数であり、低品質の製品鋼材に対するコスト係数CG3未満の値(CG4<CG3)である。低品質の製品鋼材に対するコスト係数CG3と、高品質の製品鋼材に対するコスト係数CG4は、予め設定される。定数L1、L2は、それぞれ、「1」を上回る値(L1、L2>1)であり、予め設定される。定数L1、L2は、それぞれ、実績回数NPk,k´が0(ゼロ)であるときの、低品質の製品鋼材となる鋼種k、k´を連続して鋳造する場合のコスト係数CGL k,k´、高品質の製品鋼材となる鋼種k、k´を連続して鋳造する場合のコスト係数CGH k,k´を調整するためのものである。このように、低品質の製品鋼材となる鋼種k、k´に対しては、(31)式(低品質の製品鋼材となる鋼種k、k´を連続して鋳造する場合のコスト係数CGL k,k´)を、(26)式、(30)式に与え、高品質の製品鋼材となる鋼種k、k´に対しては、(32)式(高品質の製品鋼材となる鋼種k、k´を連続して鋳造する場合のコスト係数CGH k,k´)を、(26)式、(30)式に与える。非製品鋼材となる鋼種k、k´を連続して鋳造する場合のコスト係数CGL k,k´については、本実施形態で説明したように、非製品鋼材に対する重み係数CG2を、(26)式、(30)式に与える。
<変形例6>
本実施形態では、鋼種kを用いて表される分類条件に従って分類する評価指標が鋼種の数(異鋼種連々数)である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、鋼種kを用いて表される分類条件に従って分類する評価指標は鋼種の数(異鋼種連々数)に限定されない。
例えば、余材の鋼種別の重量ykのそれぞれに対するコスト係数を導出してもよい。このようにする場合、コスト係数は鋼種k毎に導出される。鋼種k毎のコスト係数は、例えば、予め設定された最大値と最小値との範囲内で、余材量が多いほど値が小さくなる関数で表される。キャスト編成装置100は、過去の一定期間(例えば一年間)における余材量(の実績)の鋼種k毎の合計を取得し、当該取得した鋼種kの余材量の合計に対応するコスト係数を、前述した関数を使って、当該鋼種kの余材量に対するコスト係数として導出する。立案者は、過去に余材量が多くなった鋼種kについてはキャストに含めてもよいと判断する。従って、以上のようにすれば、キャスト編成装置100で導出されたキャスト計画を、立案者の意図するキャスト計画に近づけることができる。尚、このようにする場合、例えば、(4)式の右辺第2項の「CY×Wj Y」、(23)式の右辺第1項の「「CY×Σk∈Nkk」を、それぞれ「CY×Σk∈Nk(CY k×Wj Y)」「CY×Σk∈Nk(CY k×yk)」とすればよい。ここで、CY kは、前述したようにして導出される鋼種kの余材量に対するコスト係数である。
また、2つ以上の評価指標を分類してもよい(例えば、(26)式の右辺第2項、(28)式の右辺第1項を本変形例で説明したように変形してもよい)。
<変形例7>
本実施形態では、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を、製品鋼材に対するコスト係数CG1以上、非製品鋼材に対するコスト係数CG2以下の範囲で、実績回数NPk,k´が多いほど小さい値にする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、或る製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される評価指標に対するコスト係数は、当該分類条件に従って分類された製造実績データから導出される製造実績値に応じて変化していれば、必ずしも実績回数NPk,k´に応じて変化するものでなくてもよく、例えば、余材量(の実績)、製造コスト(の実績)、納期差(の実績)に応じて変化してもよい。ここで、納期差とは、例えば、スラブの熱延希望日の平均値と最早日との差である。
この他、例えば、評価指標に対するコスト係数は、前述した製造実績値の一例である製品の品質を示す値に応じて変化するものでもよい。このようにする場合、例えば、製造したスラブについて製造条件(例えば鋼種)毎に疵個数を集計して、評価指標に対するコスト係数が、予め設定された最大値と最小値との範囲内で、疵個数が少ないほど小さくなるようにしてもよい。評価指標の値が異鋼種連々数である場合を例に挙げて説明すると、鋼種kの溶鋼の後に続けて鋼種k´の溶鋼を連続して鋳造(異鋼種連々鋳)することにより製造されたスラブの疵個数をNDkとすると、異鋼種連々数gに対する重み係数CGは、例えば、以下の(33)式で表される。
Figure 0007156024000029
(33)式において、CNDは、スラブの疵個数NDjに対するコスト係数であり、予め設定される。スラブの疵個数NDjに対するコスト係数CNDは、スラブの疵個数NDjをどのくらい重要視して評価するかに応じて定められる。
(33)式に示す例では、スラブの疵個数が少ない鋼種k、k´の組み合わせであるほど、(33)式の小括弧内の値は小さくなるため、本実施形態のような最小化問題では、このような鋼種k、k´の組み合わせが、最適な実現可能ロットに含まれやすくなる。
<変形例8>
本実施形態では、(2)式及び(24)式で最小化問題を解く場合を例に挙げて説明したが、最大化問題としてもよい。このようにする場合には、例えば、(2)式、(4)式の右辺全体に(-1)を掛けたものを目的関数として用いる。また、(5)式では最大化問題となる。また、製品鋼材に対するコスト係数を(CG1ではなく)CG5とし、製品鋼材に対するコスト係数CG5を、非製品鋼材に対するコスト係数CG2を上回る値(CG5>CG2)とする。そして、鋼種k、k´の溶鋼を連続して鋳造する場合のコスト係数CG k,k´を、非製品鋼材に対する重み係数CG2を上回り、製品鋼材に対する重み係数CG5以下の範囲で、実績回数NPk,k´が多いほど大きい値とする。
<その他の変形例>
以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100:キャスト編成装置、101:スラブ情報取得部、102:スラブグループ作成部、103:初期列集合設定部、104:集合分割問題構築部、105:線形緩和問題構成部、106:双対解導出部、107:列生成部、108:判定部、109:列追加部、110:最適解導出部、111:出力部

Claims (18)

  1. 複数の製品を、所定のロット成立制約を満たすようにロットの単位で纏めて、生産又は処理するための計画を作成する問題を集合分割問題とし、該集合分割問題を、列生成法を用いて解くことにより計画を作成する計画作成装置であって、
    前記複数の製品の情報であって、前記製品の製造条件を含む製品情報を取得する取得手段と、
    前記製品を、前記ロット成立制約を満たす様に纏めたロットである複数の実現可能ロットのそれぞれについて、該実現可能ロットを解として採用するか否か決定する2値変数を決定変数として、該実現可能ロットに対する前記製品のロット纏めについての評価指標に基づき、前記複数の製品を重複することなく且つ漏れなく含む前記実現可能ロットの最適な組み合わせを求める集合分割問題を原問題とし、
    前記原問題の最適解を構成する実現可能ロットの候補である候補ロットを生成する列生成子問題の最適解を導出する列生成手段と、
    前記列生成手段により導出された候補ロットに列追加要件を満足する候補ロットが含まれる場合には、前記列生成手段により生成された前記候補ロットを前記実現可能ロットの集合に追加する列追加手段と、
    記列追加手段により追加された候補ロットを含む前記実現可能ロットの集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能ロットの組み合わせを導出する最適解導出手段と、を有
    前記原問題及び前記列生成子問題では、目的関数の値が前記実現可能ロットのコストを用いて導出され、
    前記実現可能ロットのコストは、前記評価指標の値と、該評価指標に対するコスト係数とを用いて導出され、
    前記評価指標に対するコスト係数は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される該評価指標のそれぞれに対するコスト係数を含み、
    前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記評価指標のそれぞれに対するコスト係数は、該分類条件に従って分類される製造実績データから導出される製造実績値に応じて変化する
    ことを特徴とする計画作成装置。
  2. 前記原問題の線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題の最適解である双対解を導出する双対解導出手段と、
    前記列生成手段により導出された前記候補ロットが、列追加要件を満足するか否かを判定する判定手段と、を更に有し、
    前記列追加手段は、前記判定手段により、前記列生成手段により導出された前記候補ロットが、前記列追加要件を満足すると判定されると、前記列生成手段により生成された前記候補ロットを前記実現可能ロットの集合に追加し、
    前記最適解導出手段は、前記判定手段により、前記列生成手段により導出された前記候補ロットが、前記列追加要件を満足しないと判定されると、その時点で得られている前記実現可能ロットの集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能ロットの組み合わせを導出し、
    前記判定手段は、前記双対解導出手段による前記双対解の導出と、前記列生成手段による前記列生成子問題の最適解の導出と、前記判定手段による前記判定とを繰り返す収束計算を、前記列追加要件を満足しないと判定するまで実行し、
    前記列生成子問題は、前記双対解と、前記ロット成立制約とを用いて、前記実現可能ロットの集合に追加する前記候補ロットを求める問題であることを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
  3. 前記決定変数は、前記複数の実現可能ロットのそれぞれについて、該実現可能ロットを解として採用する場合に「1」となり、該実現可能ロットを解として採用しない場合に「0」となる0-1変数であり、
    前記原問題は、前記複数の製品のそれぞれについて、前記実現可能ロットの集合の中から、該製品を含む前記実現可能ロットが必ず1つ選択されるという制約を表す制約式であって、前記決定変数を用いて表される制約式と、前記実現可能ロットの集合に含まれる前記実現可能ロットのコストの総和を求める目的関数であって、前記決定変数及び前記実現可能ロットのコストを用いて表される目的関数と、を用いて、該制約式を満足する範囲で該目的関数の値が最小になる前記決定変数を決定する0-1整数計画問題であり、
    前記実現可能ロットのコストは、前記実現可能ロットに対する前記製品のロット纏めについての評価指標として、前記決定変数の加算値として得られる、前記集合分割問題の解として採用される前記実現可能ロットの総数を含むことを特徴とする請求項2に記載の計画作成装置。
  4. 前記双対問題は、前記実現可能ロットの集合に含まれる前記実現可能ロットのそれぞれのコストが、該実現可能ロットに対する双対コスト以上であるという制約を表す制約式であって、該実現可能ロットのコスト、該実現可能ロットに対応するロット構成製品有無変数、及び双対変数を用いて表される制約式と、前記複数の製品についての該双対変数の総和を求める目的関数であって、該双対変数を用いて表される目的関数と、を用いて、該制約式を満足する範囲で該目的関数の値が最大になる該双対変数の値を前記双対解として決定する線形計画問題であり、
    前記双対変数は、前記製品毎に定められる変数であり、
    前記実現可能ロットに対する双対コストは、前記製品に対する前記双対変数の値と、該製品と該実現可能ロットに対応するロット構成製品有無変数との積の、前記複数の製品についての総和で表され、
    前記ロット構成製品有無変数は、前記製品毎に定められる0-1変数であって、前記実現可能ロットに前記製品が含まれる場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0-1変数であることを特徴とする請求項3に記載の計画作成装置。
  5. 前記列生成子問題は、前記ロット成立制約を表す制約式であって、前記実現可能ロットについて、該実現可能ロットを構成する製品の合計重量が上限値以下であるという重量制約式と、該実現可能ロット内で隣接して生産又は処理される製品の寸法差が上限値以下であるという寸法制約式と、該実現可能ロットのコストとから、該実現可能ロットに対する前記双対コストを減算した値を求める目的関数であって、前記双対変数及び前記ロット構成製品有無変数を用いて表される目的関数と、を用いて、該制約式を満足する範囲で該目的関数の値が最小になる該ロット構成製品有無変数を決定する0-1整数計画問題であることを特徴とする請求項4に記載の計画作成装置。
  6. 前記製造条件は、選択に自由度がある製造条件である品種を含み、
    前記列生成手段は、前記製品にそれぞれ前記品種を割り当て、
    前記実現可能ロットのコストは、該実現可能ロットに含まれる前記製品の品種の総数をさらに含むことを特徴とする請求項3~5の何れか1項に記載の計画作成装置。
  7. 前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記評価指標のそれぞれに対するコスト係数のうち、所定の分類先に分類される前記評価指標に対するコスト係数は、該分類条件に従って分類される前記評価指標に対するコスト係数と、該分類条件に従って分類される前記製造実績データから導出される製造実績値との関係を示す関係式を用いて導出されることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の計画作成装置。
  8. 前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記評価指標のそれぞれに対するコスト係数のうち、所定の分類先に分類される前記評価指標に対するコスト係数は、一定値であり、該所定の分類先と異なる分類先に分類される前記評価指標に対するコスト係数の少なくとも1つは、該分類条件に従って分類される製造実績データから導出される製造実績値に応じて変化することを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の計画作成装置。
  9. 前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記評価指標のそれぞれに対するコスト係数のとり得る範囲が予め定められていることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の計画作成装置。
  10. 前記実現可能ロットのコストは、前記評価指標の値と、該評価指標に対するコスト係数との積を用いて導出されることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の計画作成装置。
  11. 前記評価指標は、前記ロットの量と、該ロットに含まれる前記製品の量との差に関する指標を含むことを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
  12. 前記実現可能ロットのコストは、前記評価指標の値が、該評価指標に対するコスト係数を用いて表される制約式を満足するように定められることを特徴とする請求項~1の何れか1項に記載の計画作成装置。
  13. 前記評価指標は、前記ロットに含まれる、異なる品種の前記製品の数に関する指標を含むことを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
  14. 前記取得手段により取得された前記製品情報に含まれる前記製品の製造条件に基づいて前記複数の製品をグルーピングすることにより複数の製品グループを作成するグループ作成手段をさらに有し、
    前記製品を前記製品グループとして、少なくとも、前記列生成手段と、前記列追加手段と、前記最適解導出手段による処理を実行することを特徴とする請求項1~1の何れか1項に記載の計画作成装置。
  15. 前記列生成手段は、複数の前記候補ロットを生成し、
    前記列追加手段は、前記列追加要件を満足する前記候補ロットが複数ある場合には、該複数の候補ロットを前記実現可能ロットの集合に追加することを特徴とする請求項1~1の何れか1項に記載の計画作成装置。
  16. 前記製品は、連続鋳造機で鋳造されるスラブであり、
    前記ロットは、連続して鋳造する複数のチャージのまとまりであるキャストであり、
    前記計画は、前記スラブが属する前記キャストを示すキャスト計画であることを特徴とする請求項1~1の何れか1項に記載の計画作成装置。
  17. 複数の製品を、所定のロット成立制約を満たすようにロットの単位で纏めて、生産又は処理するための計画を作成する問題を集合分割問題とし、該集合分割問題を、列生成法を用いて解くことにより計画を作成する計画作成方法であって、
    取得手段により、前記複数の製品の情報であって、前記製品の製造条件を含む製品情報を取得する取得工程と、
    前記製品を、前記ロット成立制約を満たす様に纏めたロットである複数の実現可能ロットのそれぞれについて、該実現可能ロットを解として採用するか否か決定する2値変数を決定変数として、該実現可能ロットに対する前記製品のロット纏めについての評価指標に基づき、前記複数の製品を重複することなく且つ漏れなく含む前記実現可能ロットの最適な組み合わせを求める集合分割問題を原問題とし、
    列生成手段により、前記原問題の最適解を構成する実現可能ロットの候補である候補ロットを生成する列生成子問題の最適解を導出する列生成工程と、
    列追加手段により、前記列生成工程により導出された候補ロットに列追加要件を満足する候補ロットが含まれる場合には、前記列生成工程により生成された前記候補ロットを前記実現可能ロットの集合に追加する列追加工程と、
    最適解導出手段により、前記列追加工程により追加された候補ロットを含む前記実現可能ロットの集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能ロットの組み合わせを導出する最適解導出工程と、を有
    前記原問題及び前記列生成子問題では、目的関数の値が前記実現可能ロットのコストを用いて導出され、
    前記実現可能ロットのコストは、前記評価指標の値と、該評価指標に対するコスト係数とを用いて導出され、
    前記評価指標に対するコスト係数は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される該評価指標のそれぞれに対するコスト係数を含み、
    前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記評価指標のそれぞれに対するコスト係数は、該分類条件に従って分類される製造実績データから導出される製造実績値に応じて変化する
    ことを特徴とする計画作成方法。
  18. 請求項1~1の何れか1項に記載の計画作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
JP2018248392A 2018-12-28 2018-12-28 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム Active JP7156024B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018248392A JP7156024B2 (ja) 2018-12-28 2018-12-28 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018248392A JP7156024B2 (ja) 2018-12-28 2018-12-28 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020107277A JP2020107277A (ja) 2020-07-09
JP7156024B2 true JP7156024B2 (ja) 2022-10-19

Family

ID=71449201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018248392A Active JP7156024B2 (ja) 2018-12-28 2018-12-28 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7156024B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7224405B1 (ja) 2021-08-18 2023-02-17 西日本電信電話株式会社 意思決定支援装置、意思決定支援プログラム及び意思決定支援方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010033536A (ja) 2007-12-20 2010-02-12 Nippon Steel Corp 製品材質値の予測方法、装置、操業条件の決定方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2012011451A (ja) 2010-07-05 2012-01-19 Jfe Steel Corp キャスト編成装置及びキャスト編成方法
JP2016161962A (ja) 2015-02-26 2016-09-05 新日鐵住金株式会社 チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム
JP2017211834A (ja) 2016-05-25 2017-11-30 新日鐵住金株式会社 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP2018073171A (ja) 2016-10-31 2018-05-10 新日鐵住金株式会社 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム
JP2018101389A (ja) 2016-12-20 2018-06-28 新日鐵住金株式会社 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010033536A (ja) 2007-12-20 2010-02-12 Nippon Steel Corp 製品材質値の予測方法、装置、操業条件の決定方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2012011451A (ja) 2010-07-05 2012-01-19 Jfe Steel Corp キャスト編成装置及びキャスト編成方法
JP2016161962A (ja) 2015-02-26 2016-09-05 新日鐵住金株式会社 チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム
JP2017211834A (ja) 2016-05-25 2017-11-30 新日鐵住金株式会社 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP2018073171A (ja) 2016-10-31 2018-05-10 新日鐵住金株式会社 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム
JP2018101389A (ja) 2016-12-20 2018-06-28 新日鐵住金株式会社 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020107277A (ja) 2020-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2017088674A1 (zh) 一种面向全流程生产的炼钢组批与排产方法
JP6834727B2 (ja) 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP6299155B2 (ja) キャスト計画立案装置、方法及びプログラム
JP6593080B2 (ja) 製鋼圧延計画立案装置、製鋼圧延計画立案方法、およびプログラム
US20110258087A1 (en) Analytics for setting up strategic inventory systems to handle small lot orders in the steel industry
JP6642273B2 (ja) 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP6428375B2 (ja) チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム
JP5494542B2 (ja) 製造計画立案方法、製造計画立案装置、及びコンピュータプログラム
JP7156024B2 (ja) 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム
JP2007061870A (ja) 圧延スケジュール作成装置、圧延スケジュール作成方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
JP6930399B2 (ja) 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP5673249B2 (ja) 熱延スケジュール作成装置、熱延スケジュール作成方法、及びコンピュータプログラム
JP5370060B2 (ja) 生産計画作成方法、生産計画作成装置、及びコンピュータプログラム
JP2007257050A (ja) ロット計画立案方法,ロット計画立案装置,及びコンピュータプログラム
JP6477309B2 (ja) 製鋼生産スケジュール作成装置、製鋼生産スケジュール作成方法、操業方法、及び製鋼製品の製造方法
JP7234721B2 (ja) 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP2007206980A (ja) ロット計画立案方法、ロット計画立案装置、及びコンピュータプログラム
JP2016139254A (ja) 生産計画作成装置、生産計画作成方法、およびプログラム
JP7163771B2 (ja) キャスト編成装置、キャスト編成方法、およびプログラム
JP7077827B2 (ja) 製造スケジュール決定装置、製造スケジュール決定方法およびプログラム
JP3705009B2 (ja) 生産計画作成方法
JP6331954B2 (ja) 生産計画作成装置、生産計画作成方法、及びプログラム
JP6711215B2 (ja) チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム
JP7328524B2 (ja) 処理順序スケジュール作成装置、処理順序スケジュール作成方法、およびプログラム
JP3642450B2 (ja) 連続鋳造におけるロット編成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210810

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220919

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7156024

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151