JP5673249B2 - 熱延スケジュール作成装置、熱延スケジュール作成方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents

熱延スケジュール作成装置、熱延スケジュール作成方法、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、熱延スケジュール作成装置、熱延スケジュール作成方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に、熱間圧延工場における複数の加熱炉へのスラブの装入順と、当該複数の加熱炉からのスラブの抽出順(すなわち、熱間圧延機におけるスラブの圧延順)とを決定するために用いて好適なものである。
熱間圧延工場では、複数の加熱炉で加熱されたスラブをヤードに仮置きし、ヤードに仮置きされたスラブを熱間圧延機で圧延してコイルを製造することが一般的に行われている。
このような熱間圧延工場における生産性を高めるために、複数の加熱炉全体で見た場合の複数の加熱炉へのスラブの装入順と、当該複数の加熱炉全体で見た場合の当該複数の加熱炉からのスラブの抽出順(すなわち、熱間圧延機におけるスラブの圧延順)とをコンピュータによって決定することが望まれる。以下の説明では、「複数の加熱炉全体で見た場合の複数の加熱炉へのスラブの装入順」を必要に応じて「スラブ(鋼材ということもある)の装入順」又は「装入順」と略称し、「複数の加熱炉全体で見た場合の当該複数の加熱炉からのスラブの抽出順」を必要に応じて「スラブ(鋼材ということもある)の抽出順」又は「抽出順」と略称する。
スラブの装入順と、スラブの抽出順は、それぞれ以下のような順になっていることが好ましいとされている。
まず、スラブの装入順については、ヤードにおけるスラブの山繰りが少なくなるように、ヤードにおけるスラブの山の上からスラブを順に加熱炉に装入することが好ましい。
また、スラブの抽出順については、コフィンスケジュール(coffin Schedule;ロール
組み替え後の10〜20本は幅狭材から徐々に幅広材に圧延材を移行させ、その後は幅広材から徐々に幅狭材に圧延材を移行させる圧延スケジュール)で圧延をすることが好ましい。また、圧延順で連続する先行材と後行材とのコイル幅やコイル厚みの差が適正な範囲内であることや、加熱炉内で一定の範囲内で前後する複数のスラブに必要な在炉時間の差が適正な範囲内であることが好ましい。
以上のような要求があるものの、通常は、スラブの装入順を考慮せずに、スラブの抽出順が適正になるように、熱間圧延工場における製造スケジュール(以下、熱延スケジュールと称する)を作成している。これは、スラブの抽出順からスラブの装入順を予測することが難しいことによる。すなわち、比較的温度が高いスラブを加熱炉で加熱する場合のように、加熱炉内の進行速度が相対的に速く、在炉時間が相対的に短くなる場合には、スラブの装入順がスラブの抽出順に対し相対的に遅くなる(後から装入したスラブが先に抽出される)ことから、このような予測が難しくなる。また、加熱炉からスラブを抽出しないと、次のスラブの加熱炉への装入の可否やスラブの装入個数を決定することができないことも、このような予測を難しくしている理由である。
このように、従来は、スラブの抽出順を決定しても、スラブの装入順を簡単に且つ精度良く予測することは困難であった。
特許文献1では、抽出順の決まったスラブを各加熱炉に振り分けるために制約条件を計算し、各スラブを適当な加熱炉に装入したときの評価関数を計算し、各スラブを装入する加熱炉を変更して最適解を探索して各スラブを装入する加熱炉を決定するようにしている。
特許文献2では、加熱炉からのスラブの抽出順の候補を複数生成し、生成した各候補について圧延ラインの生産効率を表す性能指標をそれぞれ算出し、算出した性能指標を最良とするようにスラブの抽出順を決定するようにしている。
特許文献3では、隣接する材料間の属性の推移を数値に置き換え、さらに材料の絶対位置制約を数値化した評価関数を作成し、作成した評価関数を最小化するスラブの抽出順を探索するようにしている。
特許文献4では、スラブを抽出目標温度まで加熱するのに要する必要熱量に基づいてスラブを装入する加熱炉を仮決定し、圧延スケジュールの制約条件から、仮決定した加熱炉におけるスラブの装入順を仮決定し、仮決定した装入順で装入したスラブを加熱炉から順次抽出した際に、圧延スケジュールの制約条件を満足しないスラブがある場合、当該スラブの入れ替えを行って、各加熱炉におけるスラブの装入順を決定するようにしている。
特許文献5では、複数のスラブの過加熱量(加熱炉の抽出温度の予測値と目標値との差)の総和を少なくとも1つの項に含む評価関数の値が最小となるようにスラブの抽出順を決定するようにしている。
特許文献6では、複数のスラブの片焼け評価量(スラブの幅方向の温度差の目安となる量)の総和を少なくとも1つの項に含む評価関数の値が最小となるようにスラブの抽出順を決定するようにしている。
特許文献7では、複数のスラブを全て圧延する際の生産効率の目安となる生産効率評価量を少なくとも1つの項に含む評価関数の値が最小となるようにスラブの抽出順を決定するようにしている。
特開平6−304619号公報 特開平6−330152号公報 特開平10−5831号公報 特開平10−60537号公報 特開2008−254060号公報 特開2009−226453号公報 特開2009−274096号公報
しかしながら、前述した特許文献は何れも、基本的には、スラブの抽出順のみを決定するか、スラブの装入順とスラブの抽出順とが等しいことを前提としている。このように、従来は、スラブの抽出順を決定しても、スラブの装入順を簡単に且つ精度良く予測する技術がなかった。
通常、熱延スケジュールは、スラブの抽出順を適性に並べることを配慮するが、前述した理由により、スラブの装入順を考慮しづらいため、スラブの装入の際に山繰り負荷が高くなり、抽出に対し装入が遅れると加熱炉に空炉帯が生じる。空炉帯の発生は、生産性を損ねると共に、加熱炉の燃料原単位を低下させる。一般的な操業では、このような事態を避けるため、予め加熱炉毎に装入順にスラブを積み重ね上から順にスラブを加熱炉に装入できるよう準備をしている。
しかしながら、このような準備を行うには、ヤードに到着済みのスラブに対してスケジュールを作成し、それに基づき山を作り変えるという数時間に渡る準備作業が必要となる。この準備作業を行うがために、連続鋳造設備から出片した直後のヤードに到着した高温のスラブを数時間〜十数時間ヤードに寝かせ、更に山繰り作業を行った後、スラブを加熱炉に装入することになる。このため熱ロスを発生させざるを得ない。
したがって、このような問題を解決するには、スラブの抽出順を作成する際に、それによるスラブの装入順を同時に予測・考慮し、そのスラブの装入順が、できるだけ山繰り負荷が少なくなるよう、ヤードにおけるスラブの積順と可及的に一致するように、熱延スケジュールを作成する必要がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、熱延スケジュールを作成するに際し、スラブの装入順と抽出順とが異なることを前提として、スラブの装入順と抽出順との双方を決定できるようにすることを目的とする。
本発明の熱延スケジュール作成装置は、ヤードに積まれたスラブを、複数の加熱炉の何れかに装入し、前記加熱炉から抽出されたスラブを1つの圧延ラインで圧延してコイルを製造するための熱延スケジュールとして、前記複数の加熱炉全体で見た場合の前記スラブの装入順と抽出順とを計算する熱延スケジュール作成装置であって、作成対象の熱延スケジュールに含まれる鋼材すなわちスラブ及びコイルの属性として、鋼材番号と、コイルの寸法であるコイル幅及びコイル厚と、スラブの品質を管理するのに必要な温度である管理温度と、前記ヤードにある複数の山における山番号ごとのスラブの積順と、を含む鋼材属性情報を取得する鋼材属性情報取得手段と、前記コイルの寸法の規制を示す情報及び前記管理温度の規制を示す情報を含む品質規制情報を取得する品質規制情報取得手段と、前記鋼材属性情報に基づいて、前記品質規制情報による規制を遵守するための2つのスラブの抽出順の制約と、前記品質規制情報による規制を遵守するための2つのスラブの加熱炉内における並び順の制約とを示す品質規制制約式を設定する品質規制制約式設定手段と、前記鋼材属性情報に基づいて、前記鋼材属性情報に含まれるコイル幅が大きなものから降順に並び替えたスラブの並び順と抽出順との差の絶対値を小さくすることを目的する幅移行目的関数と、前記鋼材属性情報に含まれる2つのスラブの前記管理温度の差の絶対値を小さくすることを目的とする温度移行目的関数と、を設定する抽出順最適化目的関数設定手段と、前記鋼材属性情報に基づいて、前記作成対象の熱延スケジュールに含まれるスラブであって、前記ヤードに積まれたスラブの山繰り負荷を小さくすることを目的とする山繰り負荷目的関数を設定する山繰り負荷目的関数設定手段と、前記幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、前記山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数の値を、前記品質規制制約式を満たす範囲で最小にする計算を行い、その解から前記鋼材属性情報に含まれるスラブの装入順と抽出順とを得ることにより、前記鋼材属性情報に含まれるスラブの装入順と抽出順とを同時に最適化する装入順・抽出順同時最適化手段と、前記装入順・抽出順同時最適化手段により最適化された装入順と抽出順とを表示装置に表示する熱延スケジュール表示手段と、を有することを特徴とする。
本発明の熱延スケジュール作成方法は、ヤードに積まれたスラブを、複数の加熱炉の何れかに装入し、前記加熱炉から抽出されたスラブを1つの圧延ラインで圧延してコイルを製造するための熱延スケジュールとして、前記複数の加熱炉全体で見た場合の前記スラブの装入順と抽出順とを計算する熱延スケジュール作成方法であって、作成対象の熱延スケジュールに含まれる鋼材すなわちスラブ及びコイルの属性として、鋼材番号と、コイルの寸法であるコイル幅及びコイル厚と、スラブの品質を管理するのに必要な温度である管理温度と、前記ヤードにある複数の山における山番号ごとのスラブの積順と、を含む鋼材属性情報を取得する鋼材属性情報取得工程と、前記コイルの寸法の規制を示す情報及び前記管理温度の規制を示す情報を含む品質規制情報を取得する品質規制情報取得工程と、前記鋼材属性情報に基づいて、前記品質規制情報による規制を遵守するための2つのスラブの抽出順の制約と、前記品質規制情報による規制を遵守するための2つのスラブの加熱炉内における並び順の制約とを示す品質規制制約式を設定する品質規制制約式設定工程と、前記鋼材属性情報に基づいて、前記鋼材属性情報に含まれるコイル幅が大きなものから降順に並び替えたスラブの並び順と抽出順との差の絶対値を小さくすることを目的する幅移行目的関数と、前記鋼材属性情報に含まれる2つのスラブの前記管理温度の差の絶対値を小さくすることを目的とする温度移行目的関数と、を設定する抽出順最適化目的関数設定工程と、前記鋼材属性情報に基づいて、前記作成対象の熱延スケジュールに含まれるスラブであって、前記ヤードに積まれたスラブの山繰り負荷を小さくすることを目的とする山繰り負荷目的関数を設定する山繰り負荷目的関数設定工程と、前記幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、前記山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数の値を、前記品質規制制約式を満たす範囲で最小にする計算を行い、その解から前記鋼材属性情報に含まれるスラブの装入順と抽出順とを得ることにより、前記鋼材属性情報に含まれるスラブの装入順と抽出順とを同時に最適化する装入順・抽出順同時最適化工程と、前記装入順・抽出順同時最適化工程により最適化された装入順と抽出順とを表示装置に表示する熱延スケジュール表示工程と、を有することを特徴とする。
本発明のコンピュータプログラムは、前記熱延スケジュール作法方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、複数の加熱炉全体で見た場合のスラブの加熱炉への装入順と加熱炉からの抽出順とを同時に最適化するようにしたので、熱延スケジュールを作成するに際し、スラブの装入順と抽出順とが異なることを前提として、スラブの装入順と抽出順との双方を決定することができる。
本発明の第1の実施形態を示し、熱間圧延工場における処理の流れの一例を概念的に示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、熱延スケジュール作成装置の機能的な構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、抽出順と装入順との関係の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、熱延スケジュール作成装置の処理動作の一例を説明するフローチャートである。 図4−1に続くフローチャートである。 図4−2に続くフローチャートである。 第1の実施例における鋼材情報を示す図である。 図5−1に続く鋼材情報を示す図である。 第1の実施例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順に鋼材情報を並べたリストを示す図である。 図6−1に続くリストを示す図である。 第1の実施例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順とコイル幅との関係を示す図である。 第1の実施例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順とコイル厚との関係を示す図である。 比較例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順に鋼材情報を並べたリストを示す図である。 図9−1に続くリストを示す図である。 第1の実施例と比較例における、山番号が431610の山での山繰り負荷を説明する図である。 第1の実施例と比較例における、山番号が730410の山での山繰り負荷を説明する図である。 本発明の第2の実施形態を示し、熱延スケジュール作成装置の機能的な構成の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態を示し、仮抽出順、仮々抽出順を設定する方法の一例を説明する図である。 本発明の第2の実施形態を示し、熱延スケジュール作成装置の処理動作の一例を説明するフローチャートである。 図14−1に続くフローチャートである。 第2の実施例における鋼材情報を示す図である。 図15−1に続く鋼材情報を示す図である。 図15−2に続く鋼材情報を示す図である。 最適化計算の結果を並べたリストを示す図である。 図16−1に続くリストを示す図である。 図16−2に続くリストを示す図である。 最適化計算の結果である仮抽出順と、当該仮抽出順に対応する仮装入順とを、山毎に、且つ、仮抽出順に並べたリストを示した図である。 図17−1に続くリストを示す図である。 最終的な解である抽出順と、当該抽出順に対応する装入順とを並べたリストを示す図である。 図18−1に続くリストを示す図である。 図18−2に続くリストを示す図である。 最終的な解である抽出順と、当該抽出順に対応する装入順とを、山毎に、且つ、仮抽出順に並べたリストを示した図である。 図19−1に続くリストを示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
((第1の実施形態))
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、熱間圧延工場における処理の流れの一例を概念的に示す図である。
図1において、連続鋳造機で得られたスラブ(鋼片)は、ヤード10に山積みされる。ヤード10には、スラブを山積みされることにより複数の山11a〜11dが形成される。山繰りを行うことにより複数の山11a〜11dの何れかから所望のスラブを取り出し、当該スラブを複数の加熱炉12a〜12dの何れかに装入する。本実施形態では、加熱炉12の数が「4」である場合を例に挙げて説明するが、加熱炉12の数は複数であれば「4」に限定されるものではない。
図1において、加熱炉12の下に示している上向きの矢印の下に付している数字は、スラブの加熱炉12への装入順を表している。このように本実施形態では「装入順」と称した場合には、複数の加熱炉12a〜12d全体で見た場合の装入順を意味する。
加熱炉12は、連続式加熱炉であり、装入された鋼片を所望の温度に加熱するものである。加熱炉12は、公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
圧延ライン13は、加熱炉12で得られたスラブを所望の厚みに圧延してコイルを形成するものであり、例えば、粗圧延機及び仕上圧延機等を備えている。圧延ライン13も、公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
図1において、加熱炉12の上に示している上向きの矢印の上に付している数字は、加熱炉12で得られたスラブの加熱炉12からの抽出順を表している。このように本実施形態では「抽出順」と称した場合には、複数の加熱炉12a〜12d全体で見た場合の抽出順を意味する。また、圧延ライン13の下に示している上向きの矢印の下に付している数字は、スラブの圧延順を表している。抽出順と圧延順は1対1で対応しており、例えば、抽出順が「1」のスラブの圧延順は「1」となる。すなわち、抽出順と圧延順とは同じとなる。
図2は、熱延スケジュール作成装置の機能的な構成の一例を示す図である。熱延スケジュール作成装置100は、熱延スケジュールの作成対象となるスラブの装入順と抽出順とを同時に最適化する計算を行うものである。熱延スケジュール作成装置100は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えた情報処理装置を用いることにより実現することができる。
図2において、熱延スケジュール作成装置100は、情報取得部110と、抽出順決定問題定式化部120と、装入順決定問題定式化部130と、装入順・抽出順同時最適化部140と、熱延スケジュール表示部150と、を有する。以下に、これら各部の機能を詳細に説明する。
<情報取得部110>
情報取得部110は、熱延スケジュール作成装置100と通信回線(例えばLAN)を介して相互に接続されたスケジュール管理系計算機200から送信される各種情報を受信して記憶する。本実施形態では、情報取得部110は、以下の情報を取得する。尚、情報取得部110は、必ずしもこのようにして情報を取得する必要はない。例えば、情報取得部110は、リムーバル記憶メディアに記憶された情報を読み出すことにより、情報を取得してもよい。以下に、情報取得部110が取得する情報について説明する。
まず、情報取得部110は、作成対象の熱延スケジュールよりも前の熱延スケジュールの情報(以下「前スケジュール情報」と称する)を取得する。前スケジュール情報は、鋼材番号と、抽出順と、装入加熱炉(装入炉号)と、スラブ幅の情報が相互に関連付けられた情報である。また、既に装入又は抽出が行われているスラブについては、装入時刻実績及び抽出時刻実績も前スケジュール情報に含まれている。
また、情報取得部110は、作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材情報を取得する。鋼材情報は、鋼材番号と、目標抽出温度と、装入予測温度と、スラブ幅と、コイル幅と、コイル厚と、コイル長と、ヤードの山番号と、山における積順と、組み込み位置規制情報とが、相互に関連付けられた情報である。このように鋼材情報には、対象となる1つの鋼材について、スラブに関する情報とコイルに関する情報とが含まれる。ここで、組み込み位置規制情報について説明する。圧延品質の要求が厳しい鋼材については、ロールがより健全な状態で圧延する必要がある。よって、このような鋼材については、早い順番で圧延してはならず、圧延順に規制が設けられる。そこで、本実施形態では、圧延してもよい圧延順(すなわち抽出順)の範囲を、組み込み位置規制情報としている。具体的に説明すると、例えば、あるスラブについて、抽出順eの範囲をe1〜e2(e1、e2は正の整数且つe2>e1)とすることを示す情報が、組み込み位置規制情報として設定される。
尚、まだ、ヤード10に到着していないスラブについては、鋼材情報に、ヤードの山番号と、山における積順が含まれない(或いは、山番号及び積順として、ヤード10に到着していないことを示す情報が与えられる)。また、例えば、同一の加熱炉12内で近隣するスラブの装入温度の差を考慮しない場合には、装入予測温度が鋼材情報に含まれていなくてもよい。同様に、コイル厚、コイル幅、コイル長、目標抽出温度、組み込み位置規制情報についても条件によっては鋼材情報に含まれていなくてもよい。また、圧延順(抽出順)に規制がないスラブについては、組み込み位置規制情報が鋼材情報に含まれない(或いは、組み込み位置規制情報として、圧延順(抽出順)に規制がないことを示す情報が与えられる)。以上のように、本実施形態では、例えば、鋼材情報が鋼材属性情報の一例であるが、鋼材情報に含まれる各情報は、例えば、1つのテーブルとして一括して管理された情報であっても、1つ又は複数の単位で個別に管理された情報であってもよい。
また、情報取得部110は、品質規制情報を取得する。品質規制情報には、コイル幅規制情報と、コイル厚規制情報と、抽出温度規制情報と、装入温度規制情報とが含まれる。
コイル幅規制情報は、圧延順(すなわち抽出順)で隣接する2つのスラブから形成されたコイルのコイル幅の差を示す情報である。例えば、圧延順で隣り合う2つのスラブについて、圧延順が前のスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも圧延順が後のスラブから形成されるコイルのコイル幅が100[mm]以上大きくならないことを示す情報がコイル幅規制情報として設定される。
コイル厚規制情報は、圧延順(すなわち抽出順)で隣接する2つのスラブから形成されるコイルのコイル厚の差を示す情報である。例えば、圧延順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルについて、コイル厚が厚い方のコイルのコイル厚が、コイル厚が薄い方のコイルのコイル厚の3倍を超えないことを示す情報がコイル厚規制情報として設定される。
以上のコイル幅規制情報とコイル厚規制情報は、圧延ライン13で圧延を安定して行い高品質のコイルを得るための規制を示す情報である。
抽出温度規制情報は、同一の加熱炉12で近隣する複数のスラブの目標抽出温度の差を示す情報である。例えば、同一の加熱炉12で隣り合う2つのスラブの目標抽出温度の差を30[℃]以内とすることを示す情報が抽出温度規制情報として設定される。
装入温度規制情報は、同一の加熱炉12で近隣する複数のスラブの装入予測温度の差を示す情報である。例えば、同一の加熱炉12で隣り合う2つのスラブの装入予測温度の差を30[℃]以内とすることを示す情報が抽出温度規制情報として設定される。
以上の抽出温度規制情報と装入温度規制情報は、加熱炉12における燃焼制御の空間的分解能及び応答性から要求される規制を示す情報である。
以上のように、本実施形態では、例えば、目標抽出温度と装入予測温度とが、スラブの品質を管理するのに必要な温度である管理温度の一例であるが、熱間圧延工場で管理できる鋼材の温度であれば、管理温度は、これらに限定されない。
また、情報取得部110は、作成対象の熱延スケジュールにおける複数の加熱炉12a〜12dの抽出炉順を示す抽出炉順情報を取得する。このように本実施形態では、スラブを抽出する加熱炉12の順番(抽出炉順)が予め決められているものとする。例えば、抽出炉順情報が「1,4,2,3,4,・・・」となっている場合、1号炉である加熱炉12a、4号炉である加熱炉12d、2号炉である加熱炉12b、3号炉である加熱炉12c、4号炉である加熱炉12dの順でスラブを加熱炉12から抽出することになる。
情報取得部110は、例えば、通信インターフェースが前述した情報を受信し、CPUが受信した情報をHDDやRAM等の記憶媒体に記憶することにより実現することができる。
<抽出順決定問題定式化部120>
抽出順決定問題定式化部120は、抽出順を決定する問題を、抽出順割当問題(各スラブに重複なく抽出順を割り当てる問題)として定式化するものである。
本実施形態では、抽出順決定問題定式化部120は、以下の変数を用いて定式化を行う。
・鋼材抽出順割当変数xe[i][e]
鋼材抽出順割当変数xe[i][e]は、鋼材(スラブ)iを抽出順eに抽出する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
・隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]
隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]は、鋼材番号i1bの鋼材(スラブ)をe番目に抽出し、且つ、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe+1番目に抽出する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
・炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]
炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]は、鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)を、各加熱炉12内で近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)に圧延する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
ここで、抽出順組pe(e1,e2)について説明する。前述したように、本実施形態では、抽出炉順が予め定められている。例えば、抽出順「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,・・・」に対する抽出炉号(抽出される加熱炉の炉番号)が「1,4,3,4,1,3,4,1,4,3,4,1,3,4,・・・」であるとすると、1号炉の加熱炉12aの抽出順が「1,5,8,12,・・・」、3号炉の加熱炉12cの抽出順が「3,6,10,13,・・・」、4号炉の加熱炉12dの抽出順が「2,4,7,9,11,14,・・・」のように定まる。
ここで、2つ隣りまでを近隣する範囲とすると、1号炉の加熱炉12aで近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)は、「(1,5)、(1,8)、(5,8)、(5,12)、(8,12)・・・」となる。同様に、3号炉の加熱炉12cで近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)は、「(3,6)、(3,10)、(6,10)、(6,13)、(10,13)」となり、4号炉の加熱炉12dで近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)は、「(2,4)、(2,7)、(4,7)、(4,9)、(7,9)、(7,11)、(9,11)、(9,14)、(11,14)」となる。本実施形態では、このような抽出順組pe(e1,e2)に対し、1から順に識別情報を付したものを抽出順組識別パラメータpeと定義する。ここで定義した炉内で近隣する抽出順組peの全体集合を炉内近隣抽出順組全体集合Peとする。
本来であれば、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]は、yf[i1][i2][e1][e2]という4個の識別パラメータによって表現される。しかし、同一の加熱炉12内で近隣する抽出順組は特定の組み合わせに限定される。そこで、本実施形態では、識別パラメータの数(変数の次元)を減らして計算負荷を軽減するため、抽出順組識別パラメータpeを用いるようにしている。
(抽出順割当変数設定部121)
抽出順割当変数設定部121は、情報取得部110により取得された抽出炉順情報から、抽出順組識別パラメータpeを作成して記憶媒体に記憶する。
抽出順割当変数設定部121は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている抽出炉順情報を読み出すと共に、予め記憶媒体(HDD等)に記憶されている「近隣する範囲を示す情報」を読み出して、抽出順組pe(e1,e2)を求め、それらに1から順に識別情報を付す処理を実行することにより実現できる。
(抽出順割当変数定義制約式設定部122)
抽出順割当変数定義制約式設定部122は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」を、以下の(1)式で表される鋼材一意性制約式に設定する。
次に、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N)を、以下の(2)式で表される抽出順一意性制約式に設定する。
Figure 0005673249
(1)式は、いかなる鋼材番号i(i=1,・・・,N)の鋼材(スラブ)も、1つの抽出順eにしか割り当てられないという制約を表す。(2)式は、いかなる抽出順eも、1つの鋼材番号iの鋼材(スラブ)にしか割り当てられないという制約を表す。
これら(1)式と(2)式は、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]を定義する制約式である。
次に、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1[−](i1=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N−1)とを、以下の(3)式で表される隣接抽出順割当変数定義制約式に設定する。また、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i2[−](i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N−1)とを、以下の(4)式で表される隣接抽出順割当変数定義制約式に設定する。
Figure 0005673249
(3)式は、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)を抽出順eで抽出する場合には、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)の次に抽出する鋼材(スラブ)が1つ存在し、そうでない場合には、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)の次に抽出する鋼材(スラブ)が存在しないという制約を表す。(4)式は、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)を抽出順e+1で抽出する場合には、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)の1つ前に抽出する鋼材(スラブ)が1つ存在し、そうでない場合には、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)の1つ前に抽出する鋼材(スラブ)が存在しないという制約を表す。
これら(3)式と(4)式は、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]を定義する制約式である。
次に、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1[−](i1=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e1[−]と、抽出順割当変数設定部121により導出された抽出順組識別パラメータpeとを、以下の(5)式で表される炉内近隣抽出順割当変数定義制約式に設定する。また、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i2[−](i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e2[−]と、抽出順割当変数設定部121により導出された抽出順組識別パラメータpeとを、以下の(6)式で表される炉内近隣抽出順割当変数定義制約式に設定する。
Figure 0005673249
(5)式は、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)を抽出順e1で抽出する場合には、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)に対し、抽出順組pe(e1,e2)の関係を満たす近隣の鋼材(スラブ)が1つ存在し、そうでない場合には、当該近隣の鋼材(スラブ)が存在しないことを表す。(6)式は、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)を抽出順e2で抽出する場合には、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)に対し、抽出順組pe(e1,e2)の関係を満たす近隣の鋼材(スラブ)が1つ存在し、そうでない場合には、当該近隣の鋼材(スラブ)が存在しないことを表す。
これら(5)式と(6)式は、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]を定義する制約式である。
抽出順割当変数定義制約式設定部122は、例えば、CPUが、前述した(1)式〜(6)式の既知の変数を(1)〜(6)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
(品質規制制約式設定部123)
品質規制制約式設定部123は、情報取得部110により取得された「鋼材情報と、コイル幅規制情報と、コイル厚規制情報と、抽出温度規制情報と、装入温度規制情報」を読み出す。
品質規制制約式設定部123は、2つの鋼材(コイル)のコイル幅の情報から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(コイル)の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(コイル)の総数Nを、以下の(7)式で表される幅・厚み移行規制制約式に設定する。
また、品質規制制約式設定部123は、2つの鋼材(コイル)のコイル厚の情報から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル厚規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(コイル)の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(コイル)の総数Nを、以下の(7)式で表される幅・厚み移行規制制約式に設定する。
以上のことを、鋼材情報に含まれる全ての鋼材について実行する。
Figure 0005673249
(7)式は、コイル幅及びコイル厚の少なくとも何れか一方の差が規制値を超える2つのスラブを、抽出順で隣接させることを禁止する制約式である。
次に、品質規制制約式設定部123は、2つの鋼材(スラブ)の目標抽出温度の情報から、当該2つの鋼材(スラブ)が、抽出温度規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2を、以下の(8)式で表される炉内温度移行規制制約式に設定する。
また、品質規制制約式設定部123は、2つの鋼材(スラブ)の装入予測温度の情報から、当該2つの鋼材(スラブ)が、装入温度規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2を、以下の(8)式で表される炉内温度移行規制制約式に設定する。
Figure 0005673249
(8)式は、同一の加熱炉12内で近隣する2つの鋼材(スラブ)の抽出順組に対し、抽出温度及び装入温度の少なくとも何れか一方の差が規制値を超える2つの鋼材(スラブ)の割り当てを禁止する制約式である。尚、(8)式において、pe∈Peは、全ての抽出順組識別パラメータpeの要素についての意味である(以下も同様)。
次に、品質規制制約式設定部123は、組み込み位置規制情報が設定されている鋼材(スラブ)の鋼材番号iと、当該組み込み位置規制情報で示されている抽出順の範囲(e1≦e≦e2)から外れる抽出順eとを、以下の(9)式で表される組み込み位置規制制約式に設定する。
Figure 0005673249
(9)式は、圧延後の品質から要求される抽出順の範囲から外れる抽出順でスラブを抽出することを禁止する制約式である。
品質規制制約式設定部123は、例えば、CPUが、前述した(7)式〜(9)式の既知の変数を(7)〜(9)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。尚、本実施形態では、例えば、(7)〜(9)式が品質規制制約式の一例となる。
(品質・コスト目的関数設定部124)
品質・コスト目的関数設定部124は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出す。
品質・コスト目的関数設定部124は、圧延機の圧延動作と圧延材の品質とに従って予め決められた条件に従って鋼材(鋼材番号i)を並び替え、並び替えた(鋼材番号i)の並び順sort(i)を求める。
本実施形態では、コフィンスケジュールのウォームアップ部分(幅狭材から徐々に幅広材に圧延材を移行させる部分)の抽出順は既に定まっており、コフィンスケジュールのウォームアップ部分以降の抽出順を導出するものとする。
そこで、品質・コスト目的関数設定部124は、鋼材情報に含まれる全ての鋼材(鋼材番号i)を、コイル幅が大きなものから降順に並び替え、並び替えた鋼材(鋼材番号i)の並び順sort(i)を導出する。そして、品質・コスト目的関数設定部124は、導出した並び順sort(i)を、以下の(10)式で表される幅移行目的関数に設定する。
Figure 0005673249
(10)式は、圧延機の圧延動作と圧延材の品質とに従って定められた鋼材の並び順と、鋼材(スラブ)の抽出順との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする目的関数(評価関数)である。
次に、品質・コスト目的関数設定部124は、鋼材情報に含まれる2つの鋼材(スラブ)(鋼材番号i1、i2)の必要入熱量に対応する入熱相当量cal(i1)、cal(i2)を算出する。この入熱相当量cal(i)は、以下の(11)式で算出することができる。
cal(i)=[(鋼材番号iの鋼材(スラブ)の目標抽出温度)−(鋼材番号iの鋼材(スラブ)の装入予定温度)]×(鋼材番号iの鋼材(スラブ)の重量)×(比熱) ・・・(11)
ここで、鋼材(スラブ)の比熱と比重の値は予め記憶媒体に記憶されており、鋼材(スラブ)の重量は、例えば、コイル幅、コイル厚、コイル長、及び鋼材の比重を用いることにより算出することができる。
そして、品質・コスト目的関数設定部124は、算出した入熱相当量cal(i1)、cal(i2)を、以下の(12)式で表される炉内温度移行目的関数に設定する。
Figure 0005673249
(12)式は、同一の加熱炉120内で近隣に配置された2つの鋼材(スラブ)の抽出順組に割り当てられる2つの鋼材(スラブ)の入熱量の差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする目的関数(評価関数)である。
次に、品質・コスト目的関数設定部124は、(10)式で算出した目的関数Je_widthと、(12)式で算出した目的関数Je_tempの重み付き平均和を、抽出順を決定する問題の目的関数Jeとして設定する。すなわち、品質・コスト目的関数設定部124は、(10)式、(12)式、及び予め記憶媒体に記憶されている重み係数weを用いて、以下の(13)式で表される目的関数Jeを設定する。
e=Je_width+we×Je_temp ・・・(13)
尚、(13)式において、目的変数Je_tempに加えて又は代えて、目的関数Je_widthに対して重み係数を設定してもよい。本実施形態では、このようにして幅移行目的関数と温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数が設定される。
品質・コスト目的関数設定部124は、例えば、CPUが、前述した(10)式〜(13)式の既知の変数を(10)〜(13)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
<装入順決定問題定式化部130>
装入順決定問題定式化部130は、装入順を決定する問題を、装入順割当問題(各スラブに重複なく装入順を割り当てる問題)として定式化するものである。
本実施形態では、装入順決定問題定式化部130は、以下の変数を用いて定式化を行う。
・鋼材装入順割当変数xc[i][c]
鋼材装入順割当変数xc[i][c]は、鋼材(スラブ)iを装入順cに装入する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
・山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]
山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]は、同一の山11の中で上下に隣接する鋼材(スラブ)i1(上のスラブ)、鋼材(スラブ)i2(下のスラブ)の同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)を、装入順c1、c2に装入する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
ここで、同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)について説明する。
ヤード10に山積みされたスラブを、積上げられた山11の上に配置されたものから下に向かって順に加熱炉12に装入すれば、クレーンによる装入時の鋼材ハンドリング負荷(通常「山繰り負荷」と称する)は少ない。しかし、山11の下方に積まれたスラブを先に加熱炉12に装入しようとすると、その上に積まれたスラブを、取り除く作業が余分に発生することから、鋼材ハンドリング負荷(山繰り負荷)は増える。したがって、山繰り負荷を減らすような装入順とするためには、ヤード10におけるスラブの積順(各山11におけるスラブの並び順)を考慮する必要がある。このため、同一の山11で上下に隣接する鋼材(スラブ)i1、鋼材(スラブ)i2の鋼材組である同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)を定義する。これは、例えば、作成対象となる熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)によって構成される山11で、鋼材番号ia、ib、ic、id、ie、ifの鋼材(スラブ)が上から順に積まれている場合、同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)は、(ia,ib)、(ib,ic)、(ic,id)、(id,ie)、(ie,if)となる。より具体的に説明すると、例えば、ある山11で、鋼材番号iが5、6、7の鋼材(スラブ)がそれぞれ5段目、4段目、3段目に積まれている場合(最下段を1段目とする。以下、同様。)、この山11に対する同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)は、「(5,6)、(6,7)」となる。また、別の山11で、鋼材番号11、12、13の鋼材(スラブ)がそれぞれ4段目、3段目、1段目に積まれている場合、この山11に対する同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)は、「(11,12)、(12,13)」となる。本実施形態では、このような同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)に対し、1から順に識別情報を付したものを同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiと定義する。ここで定義した同一山内隣接鋼材組piの全体集合を同一山内隣接鋼材組全体集合Piとする。
本来であれば、山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]は、yc[i1][i2][c1][c2]という4個の識別パラメータによって表現される。しかし、同一の山11の中で上下に隣接する鋼材組は特定の組み合わせに限定される。そこで、本実施形態では、識別パラメータの数(変数の次元)を減らして計算負荷を軽減するため、同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiを用いるようにしている。
(装入順割当変数設定部131)
装入順割当変数設定部131は、情報取得部110により取得された鋼材情報(鋼材番号、ヤードの山番号、山における積順)から、同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiを作成して記憶する。
装入順割当変数設定部131は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている鋼材情報を読み出して、同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)を求め、それらに1から順に識別情報を付す処理を実行することにより実現できる。
(装入順割当変数定義制約式設定部132)
装入順割当変数定義制約式設定部132は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」を、以下の(14)式で表される鋼材一意性制約式に設定する。
次に、装入順割当変数定義制約式設定部132は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の装入順c[−](c=1,・・・,N)」を、以下の(15)式で表される装入順一意性制約式に設定する。
Figure 0005673249
(14)式は、いかなる鋼材番号i(i=1,・・・,N)の鋼材(スラブ)も、1つの装入順cにしか割り当てられないという制約を表す。(15)式は、いかなる装入順cも、1つの鋼材番号iの鋼材(スラブ)にしか割り当てられないという制約を表す。
これら(14)式と(15)式は、鋼材装入順割当変数xc[i][c]を定義する制約式である。
次に、装入順割当変数定義制約式設定部132は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1[−](i1=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の装入順c1[−](c1=1,・・・,N)と、装入順割当変数設定部131により導出された同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiとを、以下の(16)式で表される同一山内隣接装入順割当変数定義制約式に設定する。また、装入順割当変数定義制約式設定部132は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i2[−](i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の装入順c2[−](c2=1,・・・,N)と、装入順割当変数設定部131により導出された同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiとを、以下の(17)式で表される同一山内隣接装入順割当変数定義制約式に設定する。
Figure 0005673249
(16)式は、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)を装入順c1で装入する場合には、対応する同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)及び装入順c1に対する山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]がいずれかの装入順c2にて1となり、そうでない場合には0となることを表す。(17)式は、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)を装入順c2で装入する場合には、対応する同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)及び装入順c2に対する山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]がいずれかの装入順c1にて1となり、そうでない場合には0となることを表す。
これら(16)式と(17)式は、山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]を定義する制約式である。
装入順割当変数定義制約式設定部132は、例えば、CPUが、前述した(14)式〜(17)式の既知の変数を(14)〜(17)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
(山繰り負荷目的関数設定部133)
山繰り負荷目的関数設定部133は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、以下の(18)式で表される山繰り負荷目的関数に設定する。
Figure 0005673249
(18)式は、同一の山11で、山積順と装入順とが逆順(山積順と装入順との関係が逆)となる「上下に隣接する鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)」の組(同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2))の数を小さくすることを目的とする目的関数(評価関数)である。ここで、山積順と装入順とが逆順になるとは、例えば、山積順で上の鋼材(スラブ)(大きい段数にあるスラブ)の装入順が、山積順で下の鋼材(スラブ)(小さい段数にあるスラブ)の装入順よりも後になることをいう。
すなわち、山繰り負荷は、山積順と装入順とが、食い違うほど大きくなる。したがって、山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]において、同一の山11で上下に隣接する鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)(鋼材番号i1の鋼材(スラブ)が上の鋼材(スラブ)で、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)が下の鋼材(スラブ))の組(同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2))の装入順c1、c2が、c1>c2の場合、山積順と装入順とが食い違うことになる。よって、この数を計数すれば、山繰り負荷を評価することかできる。そこで、本実施形態では、(18)式のようにして山繰り負荷を定量的に評価する目的関数Jc_handを定義している。
山繰り負荷目的関数設定部133は、例えば、CPUが、前述した(18)式の既知の変数を(18)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。尚、(18)式において、pi∈Piは、全ての同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiの要素についての意味である(以下も同様)。
<装入順・抽出順同時最適化部140>
(仮抽出順設定部141)
仮抽出順設定部141は、情報取得部110により取得された鋼材情報(鋼材番号、コイル幅)を読み出す。そして、仮抽出順設定部141は、後述するように装入順・抽出順関係算出部142で実行される加熱炉12の物流シミュレーションに入力する仮の抽出順(以下、必要に応じて「仮抽出順e_tmp[L]」と称する)の初期値e_ini(初期解)を設定する。
本実施形態では、作成対象の熱延スケジュールにおけるスラブ(鋼材)を、当該スラブから形成されたコイルのコイル幅が大きいものから降順に並べ替えたものを仮抽出順の初期値e_iniとする。前述したように熱延スケジュールでは、不良品(異常断面形状)の発生を避けるため、できるだけ幅広材から幅狭材の順で圧延するよう考慮されているから、最適解もコイル幅が降順となるように並べた鋼材の順番と大きくずれることはないと考えられるからである。
また、仮抽出順設定部141は、後述するように最適解集束判定部145によって、装入順・抽出順同時最適解算出部144で算出された最適解が所定の収束条件を満たしていないと判定されると、そのときの最適解である抽出順e_opt[L]を仮抽出順e_tmp[L]として設定する。
仮抽出順設定部141は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている鋼材情報を読み出して、仮抽出順の初期値e_iniを導出し、それを仮抽出順e_tmp[L]として記憶媒体(RAM等)に記憶したり、最適解である抽出順e_opt[L]を記憶媒体(RAM等)から読み出して、それを仮抽出順e_tmp[L]として記憶媒体(RAM等)に記憶したりすることにより実現することができる。尚、Lは、仮抽出順の設定回数(最適解の導出回数)を表す。
(装入順・抽出順関係算出部142)
装入順・抽出順関係算出部142は、仮抽出順設定部141で設定された仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出する。
熱延操業におけるスラブの装入事象は、以下の様に生起する。まず、定められた抽出順に従って、抽出を実施した際、加熱炉12の抽出端に空きスペースが発生する。この空きスペースを埋めるべく加熱炉12内のスラブの全てが抽出端の方向へ進行する。すると今度は加熱炉12の装入側に空きスペースが発生する。この空きスペースに、装入予定のスラブの幅が収まるようであれば、スラブの装入事象が起こる。このとき、加熱炉12の装入端の空きスペースと装入予定のスラブの幅との関係で以下の3つのケースが想定され、これら3つのケースの何れかに当てはまる事象が選ばれる。
ケース1:空きスペース<次の装入予定のスラブの幅→装入が起こらない。
ケース2:次の装入予定のスラブの幅<空きスペース<次の装入予定のスラブの幅+その次の装入予定のスラブの幅→次の装入予定のスラブの装入事象が生起される。
ケース3:次の装入予定のスラブの幅+その次の装入予定のスラブの幅<空きスペース→次の装入予定のスラブ及びその次の装入予定のスラブの装入事象が生起される。
以上のように、スラブの加熱炉12への装入事象は、スラブを装入するタイミングで、どのような抽出が行われるかに左右される。したがって、作成対象となる熱延スケジュールにおける装入順を定めるには、当該熱延スケジュール及びその前のスケジュール(前のスケジュールだけで加熱炉が充満されない場合には、更にその前のスケジュール)の抽出順、装入炉、スラブ幅に関する情報等が必要となり、その情報を基に、加熱炉12の物流シミュレーションを行い、スラブの抽出の度に、以上のケース1〜3の何れに該当するのかの判定を行い、スラブの装入順を確定していく必要がある。
ここで、加熱炉12の物流シミュレーションの一例を説明する。
加熱炉12の物流シミュレーションには、以下の情報が入力される。
・前スケジュール情報(鋼材番号、抽出順、装入炉号、スラブ幅、装入時刻実績及び抽出時刻実績)
尚、前スケジュール情報には、作成対象の熱延スケジュール(以下、必要に応じて「当該スケジュール」と称する)に対し、時間的に直前のものと、更にその前のものとが含まれる。
・当該スケジュールの情報(仮抽出順e_tmp[L]、鋼材番号、抽出炉順、スラブ幅)
加熱炉12の物流シミュレーションは、以下の(1)〜(3)の処理を行う。
(1) 現時点において、前スケジュールのスラブの中で、装入が行われており、且つ、抽出が行われていないスラブを、装入時刻実績順に並べて、現時点の各加熱炉12内の初期状態を作成する。
(2) 現時点において、前スケジュールの抽出時刻実績と抽出順とに基づき、抽出が終わったスラブの抽出順Nを求める。
(3) 抽出順N+1のスラブから順に、以下の(3-1)〜(3-4)の「装入・抽出処理」を行う。
(3-1) 前スケジュールの抽出順及び当該スケジュールの仮抽出順に従い、該当する加熱炉12からスラブを抽出する。
(3-2) 抽出が行われた加熱炉12に装入されているスラブを当該加熱炉12の抽出端側へ移動させる。すなわち、当該加熱炉12に装入されているスラブの位置を計算する。(3-3) 当該加熱炉12の装入端の空きスペースを計算する(炉長−炉内にあるスラブのスラブ幅の合計−炉内にあるスラブの間隔の合計)。
(3-4) 当該加熱炉12に次に装入されるスラブのスラブ幅が、当該加熱炉12の装入端の空きスペースと同じか小さい場合、当該スラブを当該加熱炉12に装入する。この装入イベントの順番を、仮抽出順設定部141で設定された仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])とする。
以上の(3-1)〜(3-4)の処理を、当該スケジュールにおける全てのスラブが加熱炉12に装入されるまで実行する。
図3は、抽出順と装入順との関係の一例を示す図である。図3では、4つの加熱炉12a〜12d(1号炉〜4号炉)の抽出比率が、1号炉:2号炉:3号炉:4号炉=1:1:1:1.4である場合を例に挙げて示している。
例えば、図3(a)の第1行目についての抽出順と装入順との関係は、以下の(19)式で表される。
c(1)=4 ・・・(19)
すなわち、本実施形態では、鋼材番号iの鋼材(スラブ)の抽出順がeの場合、これに対応する装入順をc(e)と関数表記するものとする。
図3(a)の第6行目は、一度に2枚のスラブが1号炉に装入されたことを表している。すなわち、同一の加熱炉12で抽出が2枚続くことはないので、同一の加熱炉12で装入順が「4」と「5」で連続している2枚のスラブは同時に同一の加熱炉12に装入されることになるからである。また、図3(b)の第7行目は、3号炉において、装入が一回飛ばされたことを表している。3号炉の抽出順「126」、「131」の間隔に対し、それらに対応する装入順「113」、「121」が空き過ぎているからである。
装入順・抽出順関係算出部142は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている「前スケジュール情報、当該スケジュールの情報」を読み出して前述した加熱炉12の物流シミュレーションを実行して、仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を導出し、それらを記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
(装入順・抽出順関係制約式設定部143)
装入順・抽出順関係制約式設定部143は、装入順・抽出順関係算出部142において加熱炉12の物流シミュレーションを実行して得られた「仮抽出順e_tmp[L](e)に対応する仮装入順c(e_tmp[L])(c(e))」を、以下の(20)式で表される装入順・圧延順関係制約式に設定する。
Figure 0005673249
(20)式は、装入順と抽出順との関係を拘束する拘束条件を定める制約式である。
装入順・抽出順関係制約式設定部143は、記憶媒体に記憶されている「仮抽出順に対応する仮装入順」を読み出し、それを装入順・圧延順関係制約式に代入し、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
(装入順・抽出順同時最適解算出部144)
装入順・抽出順同時最適解算出部144は、抽出順割当変数定義制約式設定部122で設定された「鋼材一意性制約式((1)式)と、抽出順一意性制約式((2)式)と、隣接抽出順割当変数定義制約式((3)式、(4)式)と、炉内近隣抽出順割当変数定義制約式((5)式、(6)式)」と、品質規制制約式設定部123で設定された「幅・厚み移行規制制約式((7)式)、炉内温度移行規制制約式((8)式)、及び組み込み位置規制制約式((9)式)」」と、装入順割当変数定義制約式設定部132で設定された「鋼材一意性制約式((14)式)と、装入順一意性制約式((15)式)と、同一山内隣接装入順割当変数定義制約式((16)式、(17)式)」と、装入順・抽出順関係算出部142で設定された「装入順・圧延順関係制約式((20)式)」とを制約条件とし、以下の(21)式の目的関数Jを最小化する決定変数(「鋼材抽出順割当変数xe[i][e]」、「隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]」、「炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]」、「鋼材装入順割当変数xc[i][c]」、「山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]」)を決定する問題を解く。
J=ww×Je+wh×Jc_hand・・・(21)
(21)式において、ww、whは、重み係数であり、予め記憶媒体に記憶されている。本実施形態では、このようにして幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数が設定される。
鋼材抽出順割当変数xe[i][e]以外の決定変数は、全て制約式(拘束条件)により、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]の従属関係にある。よって、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]が決まれば、その他の決定変数は一意に定まるので、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]を決定する問題としてもよい。
本問題は、数理計画法の分野での代表的な問題である「1-0計画問題」として定式化されており、例えば、市販のsolver(例えばcplex)を用いて、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]の最適解xe_opt[i][e]を算出することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
最適解xe_opt[i][e]は、(1)式〜(2)式より、任意の鋼材番号iの鋼材(スラブ)に対し、重複なく唯一つの抽出順eにおいて、xe_opt[i][e]=1となることから、抽出順e(e_opt[L])が定まる。そして、抽出順e(e_opt[L])に対応する装入順c(e)((c(e_opt[L]))が装入順・圧延順関係制約式((20)式)で定まる。
装入順・抽出順同時最適解算出部144は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている制約式と目的関数を読み出し、制約式で規定される制約を満たす範囲で目的関数を最小化する決定変数を算出し、その結果を記憶媒体(RAM等)に記憶することによって実現できる。
(最適解収束判定部145)
最適解収束判定部145は、装入順・抽出順同時最適解算出部144により算出された装入順(ここではco(e)とする)と積順との関係が一致しない「同一の山11で上下に隣接する2つの鋼材(スラブ)」について、当該装入順co(e)と、当該装入順co(e)を算出した際に使われた仮装入順(ここではci(e)とする)との関係が一致するか否かを、各山11において上下で隣接する2つの鋼材(スラブ)の組(同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2))の全てについて判定し、ci(e)とco(e)との不一致により、山繰りが増えた数(ここでは、山繰り増回数Dとする)が規定値Dx以下である場合に、収束条件を満たしたと判定し、装入順・抽出順同時最適解算出部144により算出された装入順co(e)とこれに対応する抽出順eを前記問題の解として記憶媒体に記憶する。
例えば、ある山11で上下に隣接する「鋼材番号i1の鋼材(スラブ)(上側の鋼材(スラブ))と、鋼材番号i2の鋼材(下側の鋼材(スラブ))」の抽出順を、それぞれ「e1、e2」とする。この場合の装入順はそれぞれ「co(e1)、co(e2)」となる。このとき、co(e1)>co(e2)となると、装入順・抽出順同時最適解算出部144により算出された装入順co(e)と積順との関係が一致しないことになる。また、装入順co(e1)、co(e2)を算出した際に使われた仮装入順ci(e1)、ci(e2)がci(e1)<ci(e2)であると、装入順co(e)と、当該装入順co(e)を算出した際に使われた仮装入順ci(e)との関係が2つのスラブで一致しないことになる。
一方、山繰り増回数Dが規定値Dxを超える場合、仮抽出順設定部141は、装入順・抽出順同時最適解算出部144により算出された抽出順e(e_opt[L])を仮抽出順e_tmp[L]として設定する。そして、装入順・抽出順関係算出部142は、この仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出し、装入順・抽出順同時最適解算出部144は、最適解xe_opt[i][e]を算出し、その最適解xe_opt[i][e]から、抽出順e(e_opt[L])と、その抽出順e(e_opt[L])に対応する装入順c(e)((c(e_opt[L]))とを算出する。
以上のような処理を、前述した収束条件が満足されるまで繰り返し行う。
最適解収束判定部145は、例えば、CPUが、記憶媒体から、装入順co(e)と、当該装入順co(e)を算出した際に使われた仮装入順ci(e)と、鋼材情報(鋼材番号、ヤードの山番号と、山における積順)とを読み出して、前述した収束条件を満足するか否かを判定し、その結果を記憶媒体(RAM等)に記憶する処理を行うことによって実現される。
<熱延スケジュール表示部150>
熱延スケジュール表示部150は、最適解収束判定部145により前述した収束条件を満足すると判定されたときに装入順・抽出順同時最適解算出部144により算出された抽出順e(e_opt[L])と、その抽出順e(e_opt[L])に対応する装入順c(e_opt[L])の情報を熱延スケジュールの情報としてディスプレイに表示する。
熱延スケジュール表示部150は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶された抽出順e(e_opt[L])及び装入順c(e_opt[L])の情報を読み出し、画像処理プロセッサが、熱延スケジュールの情報を表示するための画像データを生成し、当該画像データに基づく画像をディスプレイに表示させることにより実現できる。
<動作フローチャート>
次に、図4−1〜図4−3のフローチャートを参照しながら、熱延スケジュール作成装置100の処理動作の一例を説明する。尚、ここでは、情報取得部110が、前スケジュール情報と、鋼材情報と、品質規制情報と、抽出炉順情報とを取得しているものとする。
まず、図4−1のステップS1において、抽出順割当変数設定部121は、抽出炉順情報から、抽出順組識別パラメータpeを作成して記憶媒体に記憶する。抽出順組識別パラメータpeは、各加熱炉12内で近隣する2つの鋼材(スラブ)の抽出順の組を表す抽出順組pe(e1,e2)の全てを識別する識別情報(1,2,3,・・・)である。
次に、ステップS2において、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」を、(1)式で表される鋼材一意性制約式に設定する。
次に、ステップS3において、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N)を、(2)式で表される抽出順一意性制約式に設定する。
次に、ステップS4において、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1[−](i1=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N−1)とを、(3)式で表される隣接抽出順割当変数定義制約式に設定する。また、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i2[−](i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N−1)とを、(4)式で表される隣接抽出順割当変数定義制約式に設定する。
次に、ステップS5において、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1[−](i1=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e1[−]と、ステップS1で設定された抽出順組識別パラメータpeとを、(5)式で表される炉内近隣抽出順割当変数定義制約式に設定する。また、抽出順割当変数定義制約式設定部122は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i2[−](i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e2[−]と、ステップS1で設定された抽出順組識別パラメータpeとを、(6)式で表される炉内近隣抽出順割当変数定義制約式に設定する。
次に、ステップS6において、品質規制制約式設定部123は、2つの鋼材(コイル)のコイル幅の情報から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材の総数Nを、(7)式で表される幅・厚み移行規制制約式に設定する。また、品質規制制約式設定部123は、2つの鋼材(コイル)のコイル厚の情報から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル厚規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(コイル)の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材の総数Nを、(7)式で表される幅・厚み移行規制制約式に設定する。
次に、ステップS7において、品質規制制約式設定部123は、2つの鋼材(スラブ)の目標抽出温度の情報から、当該2つの鋼材(スラブ)が、抽出温度規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2を、(8)式で表される炉内温度移行規制制約式に設定する。また、品質規制制約式設定部123は、2つの鋼材(スラブ)の装入予測温度の情報から、当該2つの鋼材(スラブ)が、装入温度規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2を、(8)式で表される炉内温度移行規制制約式に設定する。
次に、ステップS8において、品質規制制約式設定部123は、組み込み位置規制情報が設定されている鋼材(スラブ)の鋼材番号iと、当該組み込み位置規制情報で示されている抽出順の範囲(e1≦e≦e2)から外れる抽出順eとを、(9)式で表される組み込み位置規制制約式に設定する。
次に、ステップS9において、品質・コスト目的関数設定部124は、鋼材情報に含まれる全ての鋼材(スラブ)(鋼材番号i)を、コイル幅が大きなものから降順に並び替え、並び替えた鋼材(スラブ)(鋼材番号i)の並び順sort(i)を導出する。そして、品質・コスト目的関数設定部124は、導出した並び順sort(i)を、(10)式で表される幅移行目的関数に設定する。
次に、ステップS10において、品質・コスト目的関数設定部124は、鋼材情報に含まれる2つの鋼材(スラブ)(鋼材番号i1、i2)の必要入熱量に対応する入熱相当量cal(i1)、cal(i2)を、(11)式に従って算出し、算出した入熱相当量cal(i1)、cal(i2)を、(12)式で表される炉内温度移行目的関数に設定する。
次に、ステップS11において、品質・コスト目的関数設定部124は、ステップS9で設定した幅移行目的関数Je_widthと、ステップS10で設定した炉内温度移行目的関数Je_tempとの重み付き平均和である目的関数Jeを、(13)式に従って設定する。
次に、図4−2のステップS12において、装入順割当変数設定部131は、鋼材情報から、同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiを作成して記憶媒体に記憶する。同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiは、同一の山11で上下に隣接する鋼材(スラブ)i1、鋼材(スラブ)i2の鋼材組である同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)の全てを識別す
る識別情報(1,2,3,・・・)である。
次に、ステップS13において、装入順割当変数定義制約式設定部132は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」を、(14)式で表される鋼材一意性制約式に設定する。
次に、ステップS14において、装入順割当変数定義制約式設定部132は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の装入順c[−](c=1,・・・,N)」を、(15)式で表される装入順一意性制約式に設定する。
次に、ステップS15において、装入順割当変数定義制約式設定部132は、装入順割当変数設定部131により導出された同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiと、その鋼材組識別パラメータpiに対応する鋼材組pi(i1,i2)により定まる鋼材番号i1[−]」と、各鋼材(スラブ)の装入順c1[−](c1=1,・・・,N)と、を、(16)式で表される同一山内隣接装入順割当変数定義制約式に設定する。また、装入順割当変数定義制約式設定部132は、装入順割当変数設定部131により導出された同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiと、その鋼材組識別パラメータpiに対応する鋼材組pi(i1,i2) により定まる鋼材番号i2[−]」と、各鋼材(スラブ)の装入順c2[−](c2=1,・・・,N)と、装入順割当変数設定部131により導出された同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiとを、(17)式で表される同一山内隣接装入順割当変数定義制約式に設定する。
次に、ステップS16において、山繰り負荷目的関数設定部133は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、以下の(18)式で表される山繰り負荷目的関数に設定する。
次に、図4−3のステップS17において、仮抽出順設定部141は、鋼材情報(鋼材番号、コイル幅)から、仮抽出順e_tmp[L]の初期値e_ini(初期解)を設定する。
次に、ステップS18において、装入順・抽出順関係算出部142は、設定された仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出する。
次に、ステップS19において、装入順・抽出順関係制約式設定部143は、加熱炉12の物流シミュレーションを実行して得られた「仮抽出順e_tmp[L](e)に対応する仮装入順c(e_tmp[L])(c(e))」を、(20)式で表される装入順・圧延順関係制約式に設定する。
次に、ステップS20において、装入順・抽出順同時最適解算出部144は、ステップS11で設定された目的関数Jeと、ステップS16で算出された山繰り負荷目的関数Jc_handとの重み付き平均和である目的関数Jを(21)式に従って設定する。そして、装入順・抽出順同時最適解算出部144は、ステップS2、S3、S4、S5、S6、S7、S8で設定された、鋼材一意性制約式、抽出順一意性制約式、隣接抽出順割当変数定義制約式、炉内近隣抽出順割当変数定義制約式、幅・厚み移行規制制約式、炉内温度移行規制制約式、組み込み位置規制制約式と、ステップS13、S14、S15で設定された鋼材一意性制約式、装入順一意性制約式、同一山内隣接装入順割当変数定義制約式と、ステップS19で設定された装入順・圧延順関係制約式とを制約条件とし、目的関数Jを最小化する決定変数を決定する問題を解く。
そして、装入順・抽出順同時最適解算出部144は、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]の最適解xe_opt[i][e]から、抽出順e(e_opt[L])と、抽出順e(e_opt[L])に対応する装入順c(e)(c(e_opt[L]))とを求める。
次に、ステップS21において、最適解収束判定部145は、ステップS20で得られた装入順co(e)(c(e_opt[L]))と積順との関係が一致しない「同一の山で上下に隣接する2つの鋼材(スラブ)」を、鋼材情報に含まれる全ての鋼材(スラブ)について抽出する。そして、最適解収束判定部145は、抽出した2つの鋼材(スラブ)の組の1つについて、ステップS20で得られた装入順co(e)(c(e_opt[L]))とステップS18で使用された仮装入順ci(e)(c(e_tmp[L]))との関係が一致するか否かを判定し、一致していない場合に、山繰り増回数Dに「1」を加算する。尚、山繰り増回数Dの初期値は0である。最適解収束判定部145は、このような処理を、同一山内隣接鋼材組全体集合Piにて抽出した鋼材組pi(i1,i2)の全てについて行い、その結果得られた山繰り増回数Dが規定値Dx以下であるか否かを判定する。
この判定の結果、山繰り増回数Dが規定値Dx以下でない場合には、ステップS22に進む。ステップS22に進むと、仮抽出順設定部141は、ステップS20で求められた装入順c(e)(c(e_opt[L]))を仮抽出順e_tmp[L]として設定する。そして、ステップS18に戻り、山繰り増回数Dが規定値Dx以下になるまで、ステップS18〜S22の処理を繰り返し行う。
そして、山繰り増回数Dが規定値Dx以下になると、ステップS23に進み、熱延スケジュール表示部150は、山繰り増回数Dが規定値Dx以下になったときにステップS20で求められた抽出順e(e_opt[L])の情報を熱延スケジュールの情報としてディスプレイに表示する。そして、図4のフローチャートによる処理を終了する。
[第1の実施例]
次に、第1の実施例について説明する。本実施例は、第1の実施形態に対応する実施例である。
図5は、第1の実施例における鋼材情報を示す図である。尚、本実施例では、装入温度規制情報で示される規制に違反するか否かを考慮せず、(8)式で表される炉内温度移行規制制約式を用いないため、鋼材情報に装入予測温度は含まれない。また、スラブの圧延順(すなわち抽出順)の範囲を規制しないので、鋼材情報に組み込み位置規制情報は含まれない。また、同一の加熱炉120内で近隣に配置されたスラブに対する入熱量の差を考慮せず、(12)式で表される炉内温度移行目的関数を用いないので、鋼材情報には、コイル長の情報は含まれない。
また、コイル幅規制情報が、圧延順が前のスラブのコイル幅よりも圧延順が後のスラブのコイル幅が100[mm]以上大きくならないことを示す情報であるとする。また、コイル厚規制情報が、圧延順で隣り合う2つのスラブについて、スラブから形成されるコイルのコイル厚が厚い方のコイル厚が、コイル厚が薄い方のコイル厚の3倍を超えないことを示す情報であるとする。また、抽出温度規制情報が、同一の加熱炉12で隣り合う2つのスラブの目標抽出温度の差を30[℃]以内とすることを示す情報であるとする。
図5において、山番号が0のスラブは、未だ山に積まれていないことを表している。また、加熱炉12の数は4基であり、「1 4 2 3 4 1 2 4 3 1 4 2 3 4 | 1 2 4 3 1 2 4 3」号炉の順にサイクリックにスラブが抽出されるものとする(抽出炉順が「」内の繰り返しであるものとする)。さらに、サーマルクラウンを安定させるためのウォームアップ部分として、1番目〜17番目の抽出順が定められており、それ以降の抽出順を作成するものとする。また、加熱炉12内で3つ隣りまでを近隣する範囲とする。
図6の抽出順と炉番号の欄から、1号炉〜4号炉の抽出順は、スケジュール作成対象の開始抽出順の18番を1とすると(この抽出順が上記炉順サイクルの"|"以降から始まるので)、以下のようになる。
1号炉の抽出順=(1、5、9、14、18、23、・・・)
2号炉の抽出順=(2、6、11、15、20、24、・・・)
3号炉の抽出順=(4、8、12、17、21、26、・・・)
4号炉の抽出順=(3、7、10、13、16、19、22、25、・・・)
よって、抽出順組pe(e1,e2)は、以下のようになる。
e(e1,e2)=[(1,5)、(1,9)、(1,14)、(5,9)、(5,14)、(5,18)、(9,14)、(9,18)、・・・、(2,6)、(2,11)、(2,15)、(6,11)、(6,15)、(6,20)、(11,15)、(11
,20)、・・・、(4,8)、(4,12)、(4,17)、(8,12)、(8,17)、(8,21)、(12,17)、(12,21)、(12,26)、(17,21)、(17,26)、・・・、(3,7)、(3,10)、(3,13)、(7,10)
、(7,13)、(7,16)、(10,13)、(10,16)、(10,19)、(13,16)、(13,19)、・・・、]
これらのpe(e1,e2)に対して1から昇順に抽出順組識別パラメータpeを付していく。(1,5)に対して1が、(1,9)に対して2が、(1,14)に対して3が、(5,9)に対して4が、(5,14)に対して5が、それぞれ抽出順組識別パラメータpeとして付される。
(1)式の鋼材一意性制約式のNには82が、iには1〜82が設定される。すなわち、(1)式が82個設定される。
(2)式の抽出順一意性制約式のNには82が、eには1〜82が設定される。すなわち、(1)式が82個設定される。
(3)式の隣接抽出順割当変数定義制約式のNには82が、i1には1〜82が、eには1〜81が設定される。すなわち、(3)式が82×81個設定される。
(4)式の隣接抽出順割当変数定義制約式のNには82が、i2には1〜82が、eには1〜81が設定される。すなわち、(4)式が82×81個設定される。
(5)式の炉内近隣抽出順割当変数定義制約式のNには82が、i1には1〜82が、peには抽出順組識別パラメータpeの総数が、e1にはpeに対応するe1が設定される。すなわち(5)式が82×(抽出順組識別パラメータpeの総数)個設定される。
(6)式の炉内近隣抽出順割当変数定義制約式のNには82が、i2には1〜82が、peには抽出順組識別パラメータpeの総数が、e2にはpeに対応するe2が設定される。すなわち(6)式が82×(抽出順組識別パラメータpeの総数)個設定される。
図5において、例えば、鋼材番号i1が24のコイルのコイル幅は1320[mm]であり、鋼材番号i2が7のコイルのコイル幅は1216[mm]である。よって、鋼材番号が7の鋼材(スラブ)の次に鋼材番号が24の鋼材(スラブ)を抽出すると、後に抽出される鋼材番号が24の鋼材(コイル)のコイル幅が、先に抽出される鋼材番号が7の鋼材(コイル)のコイル幅よりも100[mm]以上大きい(1320−1216>100)。したがって、このような圧延順は禁止される。よって、以下の(22)式の幅・厚み移行規制制約式が設定される。
また、例えば、鋼材番号i1が5の鋼材(コイル)のコイル厚は2.04[mm]であり、鋼材番号i2が55の鋼材(コイル)のコイル厚は6.5[mm]である。したがって、両者の厚みの比が3倍を超える。よって、以下の(23)式、(24)式の幅・厚み移行規制制約式が設定される。このように、コイル幅規制情報及びコイル厚規制情報に違反する全ての鋼材番号i1、i2の鋼材(コイル)に対して、(7)式の制約式を設定する。
Figure 0005673249
図5において、鋼材番号i1が20の鋼材(スラブ)の抽出目標温度は1210[℃]であり、鋼材番号i2が14の鋼材(スラブ)の抽出目標温度は1150[℃]であり、これらの抽出目標温度の差が30[°]を超える。したがって、これらの鋼材(スラブ)を加熱炉12内で近隣に配置することはできない。よって、以下の(25)式、(26)式の炉内温度移行規制制約式が設定される。このように、抽出温度規制情報に違反する全ての鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)に対して、(8)式の制約式を設定する。
Figure 0005673249
図5において、鋼材情報に含まれる全ての鋼材(スラブ)(鋼材番号i)について、コイル幅が大きなものから降順に並び替えると、鋼材番号が「25、1、2、24、3、27、4、52、5、26、6、56、53、55、7、8、28、43、・・・」の順に並ぶ。例えば、鋼材番号iが3の鋼材(スラブ)は5番目であるので、i=3に対する幅移行目的関数Je_widthは、以下の(27)式のようになる。全ての鋼材番号iに対する幅移行目的関数Je_widthの和が(10)式の幅移行目的関数Je_widthとして設定される。
Figure 0005673249
図5において、例えば、山番号が430410の山に積まれている鋼材番号iが27、28、29の鋼材(スラブ)の当該山内での積順は、それぞれ10段目、9段目、8段目である(前述したように1段目が最下段である)。よって、当該山に対する同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)は[(27,28)、(28,29)]となる。同様に、山番号が430510の山に積まれている鋼材番号iが30、31の鋼材(スラブ)の当該山内での積順は、それぞれ10段目、9段目である。よって、当該山に対する同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)は[(30,31)]となる。このような同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2)を鋼材情報に含まれる全ての山の全ての鋼材(スラブ)について求め、これらのpi(e1,e2)に対して1から昇順に同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiを付していく。(27,28)に対して1が、(28,29)に対して2が、(30,31)に対して3が、それぞれ同一山内隣接鋼材組識別パラメータpiとして付される。
(14)式の鋼材一意性制約式のNには82が、iには1〜82が設定される。すなわち、(14)式が82個設定される。
(15)式の抽出順一意性制約式のNには82が、cには1〜82が設定される。すなわち、(15)式が82個設定される。
(16)式の同一山内隣接装入順割当変数定義制約式のNには82が、i1には1〜82が、c1には1〜82が設定される。すなわち、(16)式が82×82個設定される。
(17)式の隣接抽出順割当変数定義制約式のNには82が、i2には1〜82が、c2には1〜82が設定される。すなわち、(17)式が82×82個設定される。
(18)式の山繰り負荷目的関数Jc_handのNには82が設定される。
図5に示す例において、加熱炉2の物流シミュレーションを行い、仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を求め、抽出順を装入順に並べると、(2、7、1、5、11、4、8、9、15、12、14、20、17、18、19、21、23、29、26、27、33、30、31、37、3、34、36、37、6、39、10、13、15、19、22、25、28、32、35、38・・・)となった。これは、例えば、抽出順の2番目が装入順の1番目になり、抽出順の7番目が装入順の2番目になることを指す。
そして、この例では、装入順・圧延順関係制約式として、以下の(28)式が設定される。
Figure 0005673249
そして、以上の制約式を制約条件として、以下の(29)式の目的関数Jを最小化する決定変数を計算した。
J=ww×Je_width+wh×Jc_hand・・・(29)
本実施例では、鋼材情報の鋼材の全てについて、前記計算で得られた装入順co(e)((c(e_opt[L]))が、仮装入順ci(e1)(c(e_tmp[L]))と一致することを収束条件とした。
図6は、本実施例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順に鋼材情報を並べたリストを示す図である。図7は、本実施例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順とコイル幅との関係を示す図である。図8は、本実施例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順とコイル厚との関係を示す図である。尚、図7、図8は、図6に示すリストの値から作成されたものである。
図7に示すように、コイル幅規制情報による幅移行の制約(圧延順が前のスラブのコイル幅よりも圧延順が後のスラブから形成されるコイルのコイル幅が100[mm]以上大きくならないこと)を違反することなく、抽出順に並べたコイル幅がスムーズなコフィン形状で推移していることが分かる。また、図8に示すように、コイル厚規制情報による厚み移行の制約(圧延順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルついて、コイル厚が厚い方のコイルのコイル厚が、コイル厚が薄い方のコイルのコイル厚の3倍を超えないこと)を満たしていることが分かる。また、図6に示す抽出目標温度の値から、抽出温度規制情報による抽出温度の制約(同一の加熱炉12で隣り合う2つのスラブの目標抽出温度の差を30[℃]以内とすること)を満たしていることが分かる。
図9は、比較例における熱延スケジュールの作成結果として、抽出順に鋼材情報を並べたリストを示す図である。比較例は、装入順決定問題定式化部130及び装入順・抽出順同時最適化部140の機能を実行せず、抽出順決定問題定式化部120で設定された制約式((1)式〜(8)式)による制約を満足するように目的関数((10)式)を最小化する最適化計算を行って抽出順を求めたものである。尚、比較例は本実施例と比較するものであり、抽出順決定問題定式化部120が従来の技術という訳ではない。
図10は、本実施例(図(a))と比較例(図(b))における、山番号が431610の山での山繰り負荷を説明する図である。図11は、本実施例(図(a))と比較例(図(b))における、山番号が730410の山での山繰り負荷を説明する図である。
図10(a)、図11(a)に示すように、本実施例では、装入順が山11に積まれた順(段)と対応しており、山11の上のスラブから順に加熱炉12に装入されることにより、不要な山繰りが発生していないことが分かる。
これに対し、図10(b)、図11(b)に示すように、比較例では、装入順を最適化していないので、必ずしも山11の上から順にスラブが加熱炉12に装入されておらず、不要な山繰りが発生していることが分かる。
以上のように本実施形態では、抽出順で隣接する2つのスラブの並びに関する幅・厚み移行規制制約式と、加熱炉12内で近隣する複数のスラブの並び順に関する炉内温度移行規制制約式と、装入順と圧延順との関係を拘束する装入順・圧延順関係制約式とを満足するように、所定のスラブの並び順と、スラブの抽出順との差を小さくすることを目的とする幅移行目的関数と、同一の加熱炉120内で近隣に配置されたスラブに対する入熱量の差を小さくすることを目的とする炉内温度移行目的関数と、同一の山11で上下に隣接している2つのスラブの組であって、積順と装入順とが逆順となる2つのスラブの組の数を小さくすることを目的とする山繰り負荷目的関数と、を最小にする計算を行って、抽出順と装入順とを同時に最適化するようにした。したがって、熱延スケジュールを作成するに際し、スラブの装入順と抽出順とが異なることを前提として、スラブの装入順と抽出順との双方を決定できるようにする。よって、各種のスケジュール規制を満たしながらも、山繰り負荷を大幅に削減できる熱延スケジュールを作成することができる。
<変形性1>
幅・厚み移行規制制約式((7)式)、炉内温度移行規制制約式((8)式)については、少なくとも何れか一方があればよい。また、組み込み位置規制制約式((9)式)はなくてもよい。ただし、計算負荷を考慮しなければ、これらの全ての制約式があるのが最も好ましいということは勿論である。
幅移行目的関数((10)式)、炉内温度移行目的関数((12)式)については、少なくとも何れか一方があればよい。ただし、計算負荷を考慮しなければ、これらの全ての目的関数があるのが最も好ましいということは勿論である。
また、本実施形態のように、最適化計算で得られた装入順co(e)と積順とが一致しない、同一の山11で上下に隣接する2つのスラブについて、当該装入順co(e)と、当該装入順co(e)を算出した際に加熱炉12の物流シミュレーションで使われた仮装入順ci(e1)との関係が一致するか否かを、各山11において上下で隣接する2つのスラブの組の全てについて判定し、一致しなかった数(山繰り増回数D)が規定値Dx以下である場合に、収束条件を満たすようにすれば、収束条件を満たすまでに要する時間が長時間になることを防止することができるので好ましい。ただし、実施例で説明したように、鋼材情報のスラブの全てについて、最適化計算で得られた装入順co(e)が、加熱炉
12の物流シミュレーションに入力された仮装入順ci(e1)と一致する場合に、収束条件を満たすようにしてもよい。
((第2の実施形態))
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
前述した第1の実施形態では、収束条件を満足するまで(山繰り増回数Dが規定値Dx以下になるまで)最適化計算を繰り返し行う場合を例に挙げて説明した(図4−3を参照)。しかしながら、このようにすると、熱延スケジュール(抽出順e(e_opt[L]))を得るための処理時間が長くなる虞がある。
例えば、上流工程から供給される予定の財源(スラブ)に変更がある場合や、下流工程から要求される財源(コイル)に変更がある場合には、熱延スケジュールを変更する必要がある。このような熱延スケジュールの変更を頻繁に行う場合には、熱延スケジュールを得るための処理時間を短くすることが望まれる。また、熱延スケジュールを得るための処理時間を短くすることができれば、連続鋳造工程で製造されたばかりのスラブを熱延スケジュールに取り込むことが可能になる。
前述したように、第1の実施形態では、最適化計算を繰り返し行うため、必ずしも処理時間を短くすることができない。そのため、例えば、限られた時間で熱延スケジュールを作成する必要がある場合には、その時間が経過したときの結果(途中の計算結果)を熱延スケジュールとしなければならず、前述した上流工程や下流工程からの変更に応える熱延スケジュールを作成することができなくなる虞がある。
そこで、本実施形態では、詳しくは後述するが、以下のような処理を行う。すなわち、まず、熱延スケジュールを得るための処理時間の短縮化の際のネックとなる最適化計算を1回だけ行い、その結果に基づいて、山繰りが発生している鋼材(スラブ)の組を求め、その鋼材(スラブ)の組の抽出順を入れ替える。そして、入れ替えた抽出順のうち、第1の実施形態で説明した制約式((1)式〜(9)式、(14)式〜(17)式、(20)式)を満足し、且つ、目的関数Jの値が最適化計算の結果よりも改善するものを、熱延スケジュールとして採用する。
このように、本実施形態と第1の実施形態とは、最適化計算を行った後の処理の一部が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図11に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図12は、熱延スケジュール作成装置の機能的な構成の一例を示す図である。熱延スケジュール作成装置1200は、第1の実施形態で説明した熱延スケジュール作成装置100と同様に、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えた情報処理装置を用いることにより実現することができる。
図12において、熱延スケジュール作成装置1200は、情報取得部110と、抽出順決定問題定式化部120と、装入順決定問題定式化部130と、装入順・抽出順同時最適化部1240と、熱延スケジュール表示部150と、を有する。このように本実施形態の熱延スケジュール作成装置1200と第1の実施形態の熱延スケジュール作成装置100とは、装入順・抽出順同時最適化部1240が有する機能の一部が異なる。よって、本実施形態では、装入順・抽出順同時最適化部1240が有する機能について詳細に説明する。
<装入順・抽出順同時最適化部1240>
(第1の仮抽出順設定部1241)
第1の仮抽出順設定部1241は、第1の実施形態の仮抽出順設定部141と同じ機能を有する。すなわち、第1の仮抽出順設定部1241は、第1の装入順・抽出順関係算出部1242で実行される加熱炉12の物流シミュレーションに入力する仮抽出順e_tmp[L]の初期値e_ini(初期解)を設定する。本実施形態でも、作成対象の熱延スケジュールにおけるスラブ(鋼材)を、当該スラブから形成されたコイルのコイル幅が大きいものから降順に並べ替えたものを仮抽出順の初期値e_iniとする。
(第1の装入順・抽出順関係算出部1242)
第1の装入順・抽出順関係算出部1242は、第1の実施形態の装入順・抽出順関係算出部142と同じ機能を有する。すなわち、第1の仮抽出順設定部1241で設定された仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出する。加熱炉12の物流シミュレーションの詳細は、第1の実施形態で説明した通りである。
(第1の装入順・抽出順関係制約式設定部1243)
第1の装入順・抽出順関係制約式設定部1243は、第1の実施形態の装入順・抽出順関係制約式設定部143と同じ機能を有する。すなわち、第1の装入順・抽出順関係制約式設定部1243は、第1の装入順・抽出順関係算出部1242で得られた「仮抽出順e_tmp[L](e)に対応する仮装入順c(e_tmp[L])(c(e))」を、前述した(20)式で表される装入順・圧延順関係制約式に設定する。
(装入順・抽出順同時最適解算出部1244)
装入順・抽出順同時最適解算出部1244は、第1の実施形態の装入順・抽出順同時最適解算出部144と同じ機能を有する。すなわち、装入順・抽出順同時最適解算出部1244は、抽出順割当変数定義制約式設定部122で設定された「鋼材一意性制約式((1)式)と、抽出順一意性制約式((2)式)と、隣接抽出順割当変数定義制約式((3)式、(4)式)と、炉内近隣抽出順割当変数定義制約式((5)式、(6)式)」と、品質規制制約式設定部123で設定された「幅・厚み移行規制制約式((7)式)、炉内温度移行規制制約式((8)式)、及び組み込み位置規制制約式((9)式)」」と、装入順割当変数定義制約式設定部132で設定された「鋼材一意性制約式((14)式)と、装入順一意性制約式((15)式)と、同一山内隣接装入順割当変数定義制約式((16)式、(17)式)」と、第1の装入順・抽出順関係制約式設定部1243で設定された「装入順・圧延順関係制約式((20)式)」とを制約条件とし、前述した(21)式の目的関数Jを最小化する決定変数(「鋼材抽出順割当変数xe[i][e]」、「隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]」、「炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]」、「鋼材装入順割当変数xc[i][c]」、「山内隣接装入順割当変数yc[pi][c1][c2]」)を決定する問題を解く。
前述したように、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]以外の決定変数は、全て制約式(拘束条件)により、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]の従属関係にあるので、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]が決まれば、その他の決定変数は一意に定まる。
本実施形態では、装入順・抽出順同時最適解算出部1244は、以上の最適化の計算(目的関数Jを最小化する決定変数を決定する問題を解く計算)を1回だけ行う。
(第2の仮抽出順設定部1245)
第2の仮抽出順設定部1245は、装入順・抽出順同時最適解算出部1244で得られた鋼材抽出順割当変数xe[i][e]から、各鋼材(スラブ)iの抽出順eを求め、これを仮抽出順e_tmp[L]として設定する。このように、本実施形態では、最適化計算を繰り返し行わずに、装入順・抽出順同時最適解算出部1244で行われた最適化計算の結果を、新たな仮抽出順e_tmp[L]として設定する。
図13は、仮抽出順、仮々抽出順を設定する方法の一例を説明する図である。図13(a)が、第2の仮抽出順設定部1245で設定された仮抽出順e_tmp[L]の一例を示す図である。
第2の仮抽出順設定部1245は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている最適化の計算の結果(鋼材抽出順割当変数xe[i][e])を読み出し、熱延スケジュールの作成の対象となっている各鋼材(スラブ)iに対する仮抽出順e_tmp[L]を記憶媒体(RAM等)に記憶することによって実現できる。
(第2の装入順・抽出順関係算出部1246)
第2の装入順・抽出順関係算出部1246は、第2の仮抽出順設定部1245で設定された仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出する。第2の装入順・抽出順関係算出部1246は、第1の装入順・抽出順関係算出部1242と同じ機能を有する。
(山繰り発生鋼材組抽出部1247)
山繰り発生鋼材組抽出部1247は、同一の山11で上下に隣接する鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)の組(同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2))のうち、山積順と装入順とが逆順となっている同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)を全て抽出する。前述したように、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)が上の鋼材(スラブ)であり、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)が下の鋼材(スラブ))である。また、同一の山11で上下に隣接する鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)の組(同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2))の装入順c1、c2が、c1>c2の場合、山積順と装入順とが食い違うことになる。上に積まれている鋼材番号i1の鋼材の装入順c1の方が下に積まれている鋼材番号i2の鋼材の装入順c2よりも大きくなる(遅くなる)からである。尚、ここで抽出される同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)の数をMとする(m=1,2,・・・,M)とする。
図13(a)に示す例では、最下段を1段目としているので、鋼材番号が「133」と「346」の鋼材の組と、鋼材番号が「465」と「354」の鋼材の組が抽出される(図13(a)の下から4段を参照)。
山繰り発生鋼材組抽出部1247は、例えば、作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材情報と、第2の仮抽出順設定部1245で設定された仮装入順c(e_tmp[L])とを記憶媒体から読み出して、山積順と装入順とが逆順となっている同一山内隣接鋼材組pm(i1,i2)を抽出して記憶媒体(RAM等)に記憶することによって実現できる。
(仮々抽出順設定部1248)
仮々抽出順設定部1248は、第2の仮抽出順設定部1245や、後述する第3の仮抽出順設定部1254で、仮抽出順e_tmp[L]が新たに設定されると、次の第1〜第3の処理を行う。まず、第1の処理として、仮々抽出順設定部1248は、解候補記憶部1249に記憶されている解更新フラグFl_upの値として、解(後述する仮々抽出順e´_tmp[L]と目的関数Jの値)が更新されていないことを示す「0」を設定する。また、第2の処理として、仮々抽出順設定部1248は、解候補記憶部1249に記憶されている解更新候補テーブルの内容を削除(クリア)する。解更新候補テーブルには、後述する仮々抽出順e´_tmp[L]と、目的関数Jの値とが相互に関連付けられて記憶されている。さらに、第3の処理として、仮々抽出順設定部1248は、同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)を識別する変数mの値として「1」を設定する。
また、仮々抽出順設定部1248は、変数mを設定すると、当該変数mに対応する同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)を特定する。そして、仮々抽出順設定部1248は、仮抽出順e_tmp[L]のうち、特定した同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)の抽出順を入れ替え、入れ替えを行った後の抽出順を仮々抽出順e´_tmp[L]として設定する。例えば、図13(a)において山繰りが発生している鋼材番号が「133」と「346」の抽出順を入れ替えたものが、図13(b)に示すように、仮々抽出順e´_tmp[L]となる。
また、仮々抽出順設定部1248は、後述する制約式充足判定部1252により、仮々抽出順e´_tmp[L]が、制約式((1)式〜(9)式、(14)式〜(17)式、(20)式)を満足する抽出順でないと判定された場合に、変数mの値に「1」を加算(インクリメント)する。また、仮々抽出順設定部1248は、後述する目的関数値改善判定部1253により、仮々抽出順e´_tmp[L]を適用した目的関数Jの値が、仮抽出順e_tmp[L]を適用した目的関数Jの値よりも改善していないと判定された場合にも、変数mの値に「1」を加算(インクリメント)する。
さらに、仮々抽出順設定部1248は、仮々抽出順e´_tmp[L]が制約式を満足する抽出順であり、且つ、仮々抽出順e´_tmp[L]を適用した目的関数Jの値が、仮抽出順e_tmp[L]を適用した目的関数Jの値よりも改善している場合には、次の第4〜第6の処理を行う。まず、第4の処理として、仮々抽出順設定部1248は、解候補記憶部1249に記憶されている解更新フラグFl_upの値として、解(後述する仮々抽出順e´_tmp[L]と目的関数Jの値)が更新されたことを示す「1」を設定する。また、第5の処理として、仮々抽出順設定部1248は、制約式を満足し、且つ、目的関数Jの値が改善されたときの仮々抽出順e´_tmp[L]と、当該仮々抽出順e´_tmp[L]を適用した目的関数Jの値とを相互に関連付けて、解候補記憶部1249に記憶されている解更新候補テーブルに記憶する。さらに、第6の処理として、仮々抽出順設定部1248は、変数mの値に「1」を加算(インクリメント)する。
そして、仮々抽出順設定部1248は、変数mの値が変更される度に、以上の処理を繰り返し行う。ただし、変更後の変数mの値がMを超える場合(m>M)には、仮々抽出順設定部1248は、以上の処理を行わずに、そのことを示す信号を、後述する第3の仮抽出順設定部1254に送信する。
前述したように、図13(a)に示す例では、同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)として、鋼材番号が「133」と「346」の鋼材の組の他に、鋼材番号が「465」と「354」の鋼材の組とがある。よって、仮々抽出順設定部1248は、変数mの値をインクリメントする(「1」から「2」に変更する)と、図13(a)において鋼材番号が「465」と「354」の鋼材の抽出順を入れ替えて、図13(c)に示すような仮々抽出順e´_tmp[L]を設定する。図13に示す例では、Mの値は2となるので、次に変数mの値をインクリメントすると、変数mの値はMを超えるので(3>2)、仮々抽出順設定部1248は、そのことを示す信号を、後述する第3の仮抽出順設定部1254に送信する。
仮々抽出順設定部1248は、例えば、CPUが、仮抽出順e_tmp[L]と、同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)とを記憶媒体から読み出して、仮々抽出順e´_tmp[L]を求めて記憶媒体(RAM等)に記憶することを、全ての同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)について行うことにより実現できる。また、解候補記憶部1249は、例えば、HDDを用いることにより実現できる。
(第3の装入順・抽出順関係算出部1250)
第3の装入順・抽出順関係算出部1250は、第1の実施形態の装入順・抽出順関係算出部142と同じ機能を有する。すなわち、仮々抽出順設定部1248で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]に対応する仮々装入順c´(e´_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出する。加熱炉12の物流シミュレーションの詳細は、第1の実施形態で説明した通りである。
(第2の装入順・抽出順関係制約式設定部1251)
第2の装入順・抽出順関係制約式設定部1251は、第1の実施形態の装入順・抽出順関係制約式設定部143と同じ機能を有する。すなわち、第2の装入順・抽出順関係制約式設定部1251は、第3の装入順・抽出順関係算出部1250で得られた「仮々抽出順e´_tmp[L](e)に対応する仮々装入順c´(e_tmp[L])(c(e))」を、前述した(20)式で表される装入順・圧延順関係制約式に設定する。
(制約式充足判定部1252)
制約式充足判定部1252は、仮々抽出順設定部1248で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]が、制約式((1)式〜(9)式、(14)式〜(17)式、(20)式)の全てを満足する抽出順であるか否かを判定する。尚、前述したように、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]以外の決定変数は、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]が決まれば一意に定まる。
制約式充足判定部1252は、仮々抽出順e´_tmp[L]を記憶媒体から読み出して、制約式の変数を求め、それらを制約式に代入して制約式を満足するか否かを判定し、その結果を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現できる。
(目的関数値改善判定部1253)
目的関数値改善判定部1253は、仮々抽出順e´_tmp[L]を適用した目的関数Jの値を算出する。次に、目的関数値改善判定部1253は、仮々抽出順e´_tmp[L]を適用した目的関数Jの値が、(現在の)仮抽出順e_tmp[L]を適用した目的関数Jの値よりも改善しているか否かを判定する。前述したように、本実施形態では、目的関数Jは、(21)式で表される。(21)式の目的関数Jの値は小さいほど評価が高くなる。よって、ここでは、目的関数値改善判定部1253は、算出した目的関数Jの値が、仮抽出順e_tmp[L]を適用した目的関数Jの値よりも小さくなっているときに、目的関数Jの値が改善したと判定する。
目的関数値改善判定部1253は、仮々抽出順e´_tmp[L]を記憶媒体から読み出して、目的関数Jの変数を求め、それらを目的関数Jに代入してその値を算出し、算出した値が、記憶媒体に記憶されている「仮抽出順e_tmp[L]を適用した目的関数Jの値」よりも小さくなっているか否かを判定し、その結果を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現できる。
(第3の仮抽出順設定部1254)
前述したように、変更後の変数mの値がMを超える場合(m>M)、仮々抽出順設定部1248は、そのことを示す信号を、第3の仮抽出順設定部1254に送信する。第3の仮抽出順設定部1254は、この信号を受信すると、解候補記憶部1249の解更新フラグFl_upの値が「0」及び「1」の何れであるのかを判定する。
この判定の結果、解更新フラグFl_upの値が「0」である場合には、設定している仮抽出順e_tmp[L]に対し、山繰りが発生する隣接鋼材(スラブ)の組の全てを1つずつ(個別に)入れ替えても(全ての仮々抽出順e´_tmp[L]を1つずつ(個別に)入れ替えても)、目的関数Jの値は改善されないことになる。本実施形態では、このようになったときの仮抽出順e_tmp[L]を最終的な抽出順e(e_opt[L])として採用する。
一方、解更新フラグFl_upの値が「1」である場合、第3の仮抽出順設定部1254は、解候補記憶部1249の解更新候補テーブルに記憶されている目的関数Jの値のうち、最も良い値(ここでは低い値)を有する目的関数Jの値に関連付けられている仮々抽出順e´_tmp[L]を新たな仮抽出順e_tmp[L]として設定する。前述したように、仮々抽出順設定部1248は、第3の仮抽出順設定部1254で、仮抽出順e_tmp[L]が新たに設定されると、この仮抽出順e_tmp[L]に基づいて、仮々抽出順e´_tmp[L]を設定する。
第3の仮抽出順設定部1254は、例えば、CPUが、記憶媒体から、解更新フラグFl_upの値を読み出し、その値が「0」である場合には、最終的な抽出順e(e_opt[L])を決定する一方、その値が「1」である場合には、新たな仮抽出順e_tmp[L]を記憶媒体(RAM等)に記憶(上書き)することにより実現できる。
<動作フローチャート>
次に、図14−1〜図14−2のフローチャートを参照しながら、熱延スケジュール作成装置1100の処理動作の一例を説明する。尚、図4−1、図4−2の処理は、第1の実施形態と同じであるので、ここでは、図4−3のフローチャートに対応する処理の一例を説明する。
まず、図14−1のステップS1401において、第1の仮抽出順設定部1241は、鋼材情報(鋼材番号、コイル幅)から、仮抽出順e_tmp[L]の初期値e_ini(初期解)を設定する。
次に、ステップS1402において、第1の装入順・抽出順関係算出部1242は、ステップS1401で設定された仮抽出順e_tmp[L] の初期値e_iniに対応する仮装入順c(e_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出する。
次に、ステップS1403において、第1の装入順・抽出順関係制約式設定部1243は、ステップS1402で得られた「仮抽出順e_tmp[L](e)に対応する仮装入順c(e_tmp[L])(c(e))」を、(20)式で表される装入順・圧延順関係制約式に設定する。
次に、ステップS1404において、装入順・抽出順同時最適解算出部1244は、ステップS11で設定された目的関数Jeと、ステップS16で算出された山繰り負荷目的関数Jc_handとの重み付き平均和である目的関数Jを(21)式に従って設定する。そして、装入順・抽出順同時最適解算出部144は、制約式((1)式〜(9)式、(14)式〜(17)式、(20)式)を満足し、且つ、目的関数Jの値を最小化する決定変数を決定する。
次に、ステップS1405において、第2の仮抽出順設定部1245は、ステップS144で得られた決定変数xe[i][e]から、仮抽出順e_tmp[L]を設定する。
次に、ステップS1406において、第2の装入順・抽出順関係算出部1246は、ステップS1405で設定された仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出する。
次に、ステップS1407において、同一の山11で上下に隣接する鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)の組(同一山内隣接鋼材組pi(i1,i2))のうち、山積順と装入順とが逆順となっている組である同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)を全て抽出する。
次に、ステップS1408において、仮々抽出順設定部1248は、解更新フラグFl_upの値を「0」に設定する。また、仮々抽出順設定部1248は、解更新候補テーブルの内容を削除(クリア)する。また、仮々抽出順設定部1248は、変数mの値として「1」を設定する。尚、解更新フラグFl_up及び解更新候補テーブルは、解候補記憶部1249に記憶されている。
次に、ステップS1409において、仮々抽出順設定部1248は、変数mがMを超えたか否かを判定する。この判定の結果、変数mがMを超えた場合には、後述するステップS1419に進む。一方、変数mがMを超えていない場合には、図14−2のステップS1410に進む。
ステップS1410に進むと、仮々抽出順設定部1248は、変数mに対応する同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)を特定する。
次に、ステップS1411において、仮々抽出順設定部1248は、仮抽出順e_tmp[L]のうち、ステップS1410で特定した同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)の抽出順を入れ替え、入れ替えを行った後の抽出順を仮々抽出順e´_tmp[L]として設定する。
次に、ステップS1412において、第3の装入順・抽出順関係算出部1250は、ステップS1411で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]に対応する仮々装入順c´(e´_tmp[L])を加熱炉12の物流シミュレーションにより算出する。
次に、ステップS1413において、第2の装入順・抽出順関係制約式設定部1251は、ステップS1412で得られた「仮々抽出順e´_tmp[L](e)に対応する仮々装入順c´(e_tmp[L])(c(e))」を、(20)式で表される装入順・圧延順関係制約式に設定する。
次に、ステップS1414において、制約式充足判定部1252は、ステップS1411で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]が、制約式((1)式〜(9)式、(14)式〜(17)式、(20)式)の全てを満足する抽出順であるか否かを判定する。この判定の結果、ステップS1411で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]が、制約式の全てを満足する抽出順でない場合には、ステップS1415に進む。ステップS1415に進むと、仮々抽出順設定部1248は、変数mに「1」を加算する。そして、前述した図14−1のステップS1409に戻る。
一方、ステップS1411で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]が、制約式の全てを満足する抽出順である場合には、ステップS1416に進む。ステップS1416に進むと、目的関数値改善判定部1253は、ステップS1411で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]を適用した目的関数Jの値が、ステップS1405又は後述するステップS1420で設定された仮抽出順e_tmp[L]を適用した目的関数Jの値よりも改善しているか否かを判定する。
この判定の結果、ステップS1411で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]を適用した目的関数Jの値が、仮抽出順e_tmp[L]を適用した目的関数Jの値よりも改善していない場合には、ステップS1417に進む。ステップS1417に進むと、仮々抽出順設定部1248は、変数mに「1」を加算する。そして、前述した図14−1のステップS1409に戻る。
一方、ステップS1411で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]を適用した目的関数Jの値が、仮抽出順e_tmp[L]を適用した目的関数Jの値よりも改善している場合には、ステップS1418に進む。ステップS1418に進むと、仮々抽出順設定部1248は、解更新フラグFl_upの値を「1」に設定する。また、仮々抽出順設定部1248は、ステップS1411で設定された仮々抽出順e´_tmp[L]と、ステップS1416で得られた目的関数Jの値とを、相互に関連付けて解更新候補テーブルに記憶する。また、仮々抽出順設定部1248は、変数mの値に「1」を加算する。そして、前述したステップS1409に戻る。
前述したように、図14−1のステップS1409において、変数mがMを超えていないと判定されると、図14−2のステップS1419に進む。ステップS1419に進むと、第3の仮抽出順設定部1254は、解更新フラグFl_upの値が「0」及び「1」の何れであるのかを判定する。この判定の結果、解更新フラグFl_upの値が「1」である場合には、ステップS1420に進む。ステップS1420に進むと、ステップS1418で記憶された目的関数Jの値のうち、最も良い値を有する目的関数Jの値に関連付けられている仮々抽出順e´_tmp[L]を新たな仮抽出順e_tmp[L]として設定する。そして、前述したステップS1406に戻る。
一方、解更新フラグFl_upの値が「0」である場合には、ステップS1421に進む。ステップS1421に進むと、熱延スケジュール表示部150は、仮抽出順e_tmp[L]を最終的な抽出順e(e_opt[L])とし、その抽出順e(e_opt[L])の情報を熱延スケジュールの情報としてディスプレイに表示する。そして、図14のフローチャートによる処理を終了する。
[第2の実施例]
次に、第2の実施例について説明する。本実施例は、第2の実施形態に対応する実施例である。よって、本実施例では、第1の実施形態との相違部分を中心に説明する。
図15−1〜図15−3は、第2の実施例における鋼材情報を示す図である。尚、本実施例でも、第1の実施例と同様に、装入温度規制情報で示される規制に違反するか否かを考慮せず、(8)式で表される炉内温度移行規制制約式を用いないため、鋼材情報に装入予測温度は含まれない。また、スラブの圧延順(すなわち抽出順)の範囲を規制しないので、鋼材情報に組み込み位置規制情報は含まれない。また、同一の加熱炉120内で近隣に配置されたスラブに対する入熱量の差を考慮せず、(12)式で表される炉内温度移行目的関数を用いないので、鋼材情報には、コイル長の情報は含まれない。
また、コイル幅規制情報は、圧延順が前のスラブのコイル幅よりも圧延順が後のスラブのコイル幅が100[mm]以上大きくならないことを示す情報であるとする。
また、コイル厚規制情報は、計算の対象となる鋼材の厚みが4mm以上である場合とそうでない場合とで異なる内容を示す情報である。まず、計算の対象となる鋼材の厚みが4mm以上である場合、コイル厚規制情報は、圧延順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、コイル厚が厚い方のコイルのコイル厚が、コイル厚が薄い方のコイルのコイル厚の3倍を超えないことを示す情報であるとする。一方、計算の対象となる鋼材の厚みが4mm未満である場合、コイル厚規制情報は、圧延順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、コイル厚が厚い方のコイルのコイル厚が、コイル厚が薄い方のコイルのコイル厚の2倍を超えないことを示す情報であるとする。
また、抽出温度規制情報は、計算の対象となる鋼材の抽出目標温度の上下限値と、当該鋼材と圧延順で隣り合う3つの鋼板の抽出目標温度の上下限値との重複(交差)している温度範囲がそれぞれ20℃以上あることを示す情報であるとする。
図15において、加熱炉12として、1号炉、3号炉、4号炉の3つの加熱炉を使用し、「1 4 3 4 1 3 4」号炉の順にサイクリックにスラブが抽出されるものとする。さらに、サーマルクラウンを安定させるためのウォームアップ部分として、1番目〜18番目の抽出順が定められており、それ以降の抽出順を作成するものとする。また、加熱炉12内で3つ隣りまでを近隣する範囲とする。
図15において、鋼材をコイル幅の大きいものから順に並べたものを仮抽出順e_tmp[L]の初期値e_iniとする。そうすると、抽出順が「1 3 4 7 8 10 12 14 15 17 19 21 22 24 26 28 2 29 5 6 9 31 35 33 11 38 36 13 40 42 16 43 45 18 47 20 49 50 51 23 54 56 25 58 59 27 61 30 32 63 34 65 68 37 66 67 72 39 70 41 76 44 74 75 80 46 78 48 83 52 53 82 89 85 55 92 93 57 86 87 60 91 62 97 100 64 95 69 104 99 71 107 73 102 111 77 79 106 109 81 114 84 88 113 118 121 90 116 120 94 126 130 96 98 124 101 129 132 103 105 110 108 112 115 117 119 122 123 125 127 128 131」の順に鋼材が装入されることとなる(この装入順を「装入順列1」と称する)。例えば、抽出順が1番目の鋼材の装入順は1番目、抽出順が3番目の鋼材の装入順は2番目、抽出順が4番目の鋼材の装入順は3番目となる。尚、装入順は、1号炉、3号炉、4号炉の3つの加熱炉全体で見た場合の装入順である。
この仮抽出順e_tmp[L]の初期値e_iniを基に、仮抽出順e_tmp[L] の初期値e_iniに対応する仮装入順c(e_tmp[L])と、装入順・圧延順関係制約式((20)式)とを設定して最適化計算を行い(目的関数J((21)式)の値を最小化する決定変数xe[i][e]を求めて)、仮抽出順e_tmp[L]を得る。このときの目的関数Jの値を、必要に応じて「暫定最適値」と称し、このときの決定変数xe[i][e](仮抽出順e_tmp[L])を必要に応じて「暫定最適解」と称する。
図16−1〜図16−3は、最適化計算の結果を並べたリストを示す図である。前述したように、本実施例では、抽出順として18番目までが定められており、それ以降の抽出順を作成するものとする。
図16に示す仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])を算出すると、抽出順が「1 3 4 7 8 10 12 14 15 17 19 21 22 24 26 28 2 29 5 6 31 33 9 35 36 11 38 13 42 40 16 45 43 18 49 47 20 52 50 23 54 25 56 57 27 59 30 61 32 63 34 66 64 37 70 68 39 41 71 44 73 75 46 77 78 48 80 82 51 84 53 85 55 87 89 91 58 92 60 94 62 96 65 98 67 99 69 101 105 103 72 108 74 106 110 76 79 112 113 81 115 119 83 86 117 120 88 122 124 127 90 126 129 93 95 131 97 100 102 104 107 109 111 114 116 118 121 123 125 128 130 132」の順に鋼材が装入される(この装入順を「装入順列2」と称する)。装入順列2は、前述した装入順列1と異なっていることが分かる。
図17−1〜図17−2は、最適化計算の結果である仮抽出順e_tmp[L]と、当該仮抽出順e_tmp[L]に対応する仮装入順c(e_tmp[L])とを、山毎に、且つ、仮抽出順e_tmp[L]に並べたリストを示す図である。
例えば、山番号が311211の山では、鋼材番号が「105」の鋼材が下から9段目に積まれ、鋼材番号が「398」の鋼材が下から8段目に積まれる。鋼材番号が「105」の鋼材の装入順は「36」であり、鋼材番号が「398」の鋼材の装入順は「35」である。したがって、鋼材番号が「105」の鋼材と、鋼材番号が「398」の鋼材は、山積順と装入順とが逆順であり、山繰りが発生していることが分かる。図17において、同一の山11で上下に隣接する鋼材番号i1、i2の鋼材の組のうち、山積順と装入順とが逆順となっている鋼材の組(同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2))は、p1(105,398)、p2(85,191)、p3(90,72)、p4(74,257)、p5(257,576)、・・・となる。
これら同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)の1つを選択して、選択した同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)の鋼材i1と鋼材i2との抽出順を入れ替えて、仮々抽出順e´_tmp[L]を設定することを、全ての同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)について行う。そして、それぞれについて、装入順・抽出順同時最適化問題の制約式((1)式〜(9)式、(14)式〜(17)式、(20)式)を満足するか否かを判定し、制約式を満足する場合には、目的関数Jの値を計算する。計算した結果、暫定最適値よりも改善された目的関数Jの値のうち、最も改善された目的関数Jの値を新たな暫定最適値とすると共に、当該目的関数の値を得たときの仮々抽出順e´_tmp[L]を新たに暫定最適解とし、同様の処理を、暫定最適値が更新されなくなるまで繰り返し、最終的な解を求める。
図18−1〜図18−3は、最終的な解である抽出順e(e_opt[L])と、当該抽出順e(e_opt[L])に対応する装入順c(e)((c(e_opt[L]))とを並べたリストを示す図である。図19−1〜図19−2は、最終的な解である抽出順e(e_opt[L])と、当該抽出順e(e_opt[L])に対応する装入順c(e)((c(e_opt[L]))とを、山毎に、且つ、抽出順e(e_opt[L])に並べたリストを示す図である。
図17に示したように、最適化計算により得られた暫定最適解では、山番号が311211の山の下から9段目と8段目の鋼材、山番号が311311の山の下から3段目と2段目の鋼材、山番号が410909の山の下から6段目と5段目の鋼材、山番号が430908の山の下から6段目と5段目の鋼材、山番号が611210の山の下から6段目と5段目の鋼材、山番号が611210の山の下から4段目と3段目の鋼材で、山繰りが発生していた(図17の色塗りがされている箇所を参照)。
これに対し、図19に示すように、最終的な解では、これらの山繰りが解消されていることが分かる。
本実施例の比較例として、本実施例と同様の条件で、第1の実施形態の処理(図4のフローチャートによる処理)を行った。ここでは、規定値Dxを0とした。その結果、図18、図19で示したものと同じ解が得られた。
比較例では、この解が得られるまでに要した時間は、9分20秒程度であったのに対し、本実施例では、最終的な解が得られるまでに要した時間は4分30秒程度であった。したがって、本実施例では、妥当な熱延スケジュールを、比較例よりも高速に得ることができる。すなわち、本実施例では、最適化計算を1回行っているので、正解に近い解が得られていると考えられ、その解の近傍を探索し、探索した中で最も良い解を採用するので、妥当な解を比較例による手法よりも高速に得ることができる。尚、ここでは、本実施例と比較例とで、同じ解が得られたが、必ずしもこれらで同じ解が得られるとは限らない。
<変形例2>
同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)の抽出順の入れ替えを行うことによって、仮々抽出順e´_tmp[L]と仮々装入順c´(e´_tmp[L])との関係が変更されることにより、当該抽出順の入れ替えを行うと、そのことによって、抽出順の入れ替えを行った鋼材組pi(i1,i2)に山繰りが発生することが極稀に発生する。そのために、例えば、図14のステップS1420において、新たに仮抽出順e_tmp[L]を設定すると共に、抽出順の入れ替えを行った(入れ替え後の)鋼材組pi(i1,i2)を記憶しておく。そして、ステップS1407において、同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)として、ステップS1420で記憶しておいた鋼材組pi(i1,i2)と同じ鋼材組がK回(Kは正の整数であり、例えば、「1」、「2」)繰り返し抽出された場合には、当該同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)を、ステップS1408以降の計算の対象から除外する。このようにすれば、同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)の抽出順の入れ替えを行うことにより、当該抽出順の入れ替えを行った鋼材組pi(i1,i2)に山繰りが発生してしまうことを確実に防止することができる。
また、同一の山において山繰りが発生している鋼材組の抽出順を入れ替える方法は、山繰りが発生している鋼材組の抽出順を入れ替えるのであれば、本実施形態で説明したものに限定されない。例えば、2つ以上の鋼材(スラブ)の組を同時に入れ替えてもよいし、同一の山において隣接していない2つの鋼材の組の抽出順を入れ替えてもよい。また、条件によっては(例えば、最適化計算の結果、入れ替えの候補が少ない場合には)、同一の山において山繰りが発生している鋼材組の抽出順の入れ替えを、全ての入れ替えの組み合わせについて行い、その中から最も良い解を採用してもよい。
また、同一山内山繰り発生隣接鋼材組pm(i1,i2)の全てについて抽出順を1つずつ(個別に)入れ替えたそれぞれの仮々抽出順e´_tmp[L]の中から、制約式を満足し、且つ、仮抽出順e_tmp[L]を適用したものよりも目的関数Jの値が改善された仮々抽出順e´_tmp[L]を最終的な解としてもよい。すなわち、図14−1のステップS1419、S1420の処理は必ずしも行う必要はない。ただし、これらの処理を行った方が、正確な解が得られるので好ましい。
また、本実施形態でも第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
((請求項と実施形態との関係))
請求項と本実施形態との関係は、例えば、以下の通りである。
まず、情報取得部110を用いることにより鋼材属性情報取得手段が実現される。また、情報取得部110を用いることにより品質規制情報取得手段が実現される。また、品質規制制約式設定部123及び品質・コスト目的関数設定部124を用いることにより品質規制制約式設定手段が実現される。また、山繰り負荷目的関数設定部133を用いることにより山繰り負荷目的関数設定手段が実現される。また、抽出順最適化目的関数設定部132を用いることにより抽出順最適化目的関数設定手段が実現される。また、装入順・抽出順同時最適化部140を用いることにより装入順・抽出順同時最適化手段が実現される。また、熱延スケジュール表示部150を用いることにより熱延スケジュール表示手段が実現される。また、情報取得部110を用いることにより前スケジュール情報取得手段が実現される。
また、装入順・抽出順同時最適化部1140を用いることにより装入順・抽出順同時最適化手段が実現される。また、第1の仮抽出順設定部1241を用いることにより第1の仮抽出順設定手段が実現される。また、第1の装入順・抽出順関係算出部1242を用いることにより第1の装入順・抽出順関係算出手段が実現される。また、第1の装入順・抽出順関係制約式設定部1243を用いることにより第1の装入順・抽出順関係制約式設定手段が実現される。また、装入順・抽出順同時最適解算出部1244を用いることにより装入順・抽出順同時最適解算出手段が実現される。また、第2の仮抽出順設定部1245を用いることにより第2の仮抽出順設定手段が実現される。また、第2の装入順・抽出順関係算出部1246を用いることにより第2の装入順・抽出順関係算出手段が実現される。また、山繰り発生鋼材組抽出部1247を用いることにより山繰り発生鋼材組抽出手段が実現される。また、仮々抽出順設定部1248を用いることにより仮々抽出順設定手段が実現される。また、第3の装入順・抽出順関係算出部1250を用いることにより第3の装入順・抽出順関係算出手段が実現される。また、第2の装入順・抽出順関係制約式設定部1251を用いることにより第2の装入順・抽出順関係制約式設定手段が実現される。また、制約式充足判定部1252を用いることにより制約式充足判定手段が実現される。また、目的関数値改善判定部1253を用いることにより目的関数値改善判定手段が実現される。また、第3の仮抽出順設定部1254及び解候補記憶部1249を用いることにより解設定手段が実現される。
また、仮抽出順設定部141を用いることにより仮抽出順設定手段が実現される。また、装入順・抽出順関係算出部142を用いることにより装入順・抽出順関係算出手段が実現される。また、装入順・抽出順関係制約式設定部143を用いることにより装入順・抽出順関係制約式設定手段が実現される。また、装入順・抽出順同時最適解算出部144を用いることにより装入順・抽出順同時最適解算出手段が実現される。また、最適解収束判定部145を用いることにより最適解収束判定手段が実現される。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、又はかかるプログラムを伝送する伝送媒体も本発明の実施の形態として適用することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体などのプログラムプロダクトも本発明の実施の形態として適用することができる。前記のプログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
10 ヤード
11 山
12 加熱炉
13 圧延ライン
100、1200 熱延スケジュール作成装置
110 情報取得部
120 抽出順決定問題定式化部
130 装入順決定問題定式化部
140、1240 装入順・抽出順同時最適化部
150 熱延スケジュール表示部
200 スケジュール管理系計算機

Claims (23)

  1. ヤードに積まれたスラブを、複数の加熱炉の何れかに装入し、前記加熱炉から抽出されたスラブを1つの圧延ラインで圧延してコイルを製造するための熱延スケジュールとして、前記複数の加熱炉全体で見た場合の前記スラブの装入順と抽出順とを計算する熱延スケジュール作成装置であって、
    作成対象の熱延スケジュールに含まれる鋼材すなわちスラブ及びコイルの属性として、鋼材番号と、コイルの寸法であるコイル幅及びコイル厚と、スラブの品質を管理するのに必要な温度である管理温度と、前記ヤードにある複数の山における山番号ごとのスラブの積順と、を含む鋼材属性情報を取得する鋼材属性情報取得手段と、
    前記コイルの寸法の規制を示す情報及び前記管理温度の規制を示す情報を含む品質規制情報を取得する品質規制情報取得手段と、
    前記鋼材属性情報に基づいて、前記品質規制情報による規制を遵守するための2つのスラブの抽出順の制約と、前記品質規制情報による規制を遵守するための2つのスラブの加熱炉内における並び順の制約とを示す品質規制制約式を設定する品質規制制約式設定手段と、
    前記鋼材属性情報に基づいて、前記鋼材属性情報に含まれるコイル幅が大きなものから降順に並び替えたスラブの並び順と抽出順との差の絶対値を小さくすることを目的する幅移行目的関数と、前記鋼材属性情報に含まれる2つのスラブの前記管理温度の差の絶対値を小さくすることを目的とする温度移行目的関数と、を設定する抽出順最適化目的関数設定手段と、
    前記鋼材属性情報に基づいて、前記作成対象の熱延スケジュールに含まれるスラブであって、前記ヤードに積まれたスラブの山繰り負荷を小さくすることを目的とする山繰り負荷目的関数を設定する山繰り負荷目的関数設定手段と、
    前記幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、前記山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数の値を、前記品質規制制約式を満たす範囲で最小にする計算を行い、その解から前記鋼材属性情報に含まれるスラブの装入順と抽出順とを得ることにより、前記鋼材属性情報に含まれるスラブの装入順と抽出順とを同時に最適化する装入順・抽出順同時最適化手段と、
    前記装入順・抽出順同時最適化手段により最適化された装入順と抽出順とを表示装置に表示する熱延スケジュール表示手段と、を有することを特徴とする熱延スケジュール作成装置。
  2. 前記作成対象の熱延スケジュールよりも時間的に前の熱延スケジュールの情報である前スケジュール情報を取得する前スケジュール情報取得手段を有し、
    前記装入順・抽出順同時最適化手段は、
    前記装入順と抽出順とを計算するために用いる仮抽出順の初期値を設定する第1の仮抽出順設定手段と、
    前記前スケジュール情報に含まれる鋼材の、前記加熱炉における現在の並び順を計算し、前記第1の仮抽出順設定手段により設定された仮抽出順に基づいて、前記加熱炉内の鋼材の抽出と、この抽出に伴う前記加熱炉への前記鋼材の装入とを少なくともシミュレーションする物流シミュレーションを実行して、当該仮抽出順に対応する仮装入順を算出する第1の装入順・抽出順関係算出手段と、
    前記第1の装入順・抽出順関係算出手段により算出された仮装入順及び仮抽出順に基づいて、鋼材の抽出順と装入順との関係を拘束する装入順・抽出順関係制約式を設定する第1の装入順・抽出順関係制約式設定手段と、
    前記幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、前記山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数の値を、前記品質規制制約式と、前記第1の装入順・抽出順関係制約式設定手段により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満たす範囲で最小にする装入順及び抽出順を計算する装入順・抽出順同時最適解算出手段と、
    前記装入順・抽出順同時最適解算出手段により計算された抽出順を仮抽出順として設定する第2の仮抽出順設定手段と、
    前記第2の仮抽出順設定手段により設定された仮抽出順に基づいて、前記物流シミュレーションを実行して、当該仮抽出順に対応する仮装入順を算出する第2の装入順・抽出順関係算出手段と、
    同一の山において、前記第2の装入順・抽出順関係算出手段により算出された仮装入順と、山積順とが逆順となっている鋼材の組を抽出する山繰り発生鋼材組抽出手段と、
    前記第2の仮抽出順設定手段により設定された仮抽出順に対し、前記山繰り発生鋼材組抽出手段により抽出された鋼材の組の仮抽出順を入れ替えた抽出順である仮々抽出順を設定する仮々抽出順設定手段と、
    前記仮々抽出順設定手段により設定された仮々抽出順に基づいて、前記物流シミュレーションを実行して、当該仮々抽出順に対応する仮々装入順を算出する第3の装入順・抽出順関係算出手段と、
    前記第3の装入順・抽出順関係算出手段により算出された仮々装入順及び仮々抽出順に基づいて、鋼材の抽出順と装入順との関係を拘束する装入順・抽出順関係制約式を設定する第2の装入順・抽出順関係制約式設定手段と、
    前記仮々抽出順設定手段により設定された仮々抽出順が、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定手段により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足しているか否かを判定する制約式充足判定手段と、
    前記仮々抽出順設定手段により設定された仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値よりも改善しているか否かを判定する目的関数値改善判定手段と、
    前記仮々抽出順設定手段により設定された仮々抽出順のうち、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定手段により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足し、且つ、当該仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値よりも改善している仮々抽出順と、当該仮々抽出順に対応する仮々装入順とを、最終的な解として設定する解設定手段と、を有し、
    前記熱延スケジュール表示手段は、前記解設定手段により最終的な解として設定された装入順及び抽出順を表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の熱延スケジュール作成装置。
  3. 前記山繰り発生鋼材組抽出手段は、同一の山において上下に隣接している2つの鋼材のうち、前記第2の装入順・抽出順関係算出手段により算出された仮装入順と、山積順とが逆順となっている2つの鋼材の組を抽出することを特徴とする請求項2に記載の熱延スケジュール作成装置。
  4. 前記仮々抽出順設定手段は、前記第2の仮抽出順設定手段により設定された仮抽出順に対し、前記山繰り発生鋼材組抽出手段により抽出された鋼材の組の全てについて仮抽出順を1つずつ入れ替えたそれぞれの抽出順を仮々抽出順としてそれぞれ設定し、
    前記解設定手段は、前記仮々抽出順設定手段により設定された仮々抽出順のうち、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定手段により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足し、且つ、当該仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値に対し最も改善していると判定された仮々抽出順と、当該仮々抽出順に対応する仮々装入順とを、最終的な解として設定することを特徴とする請求項3に記載の熱延スケジュール作成装置。
  5. 前記解設定手段は、
    前記仮々抽出順設定手段により設定された仮々抽出順の中に、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定手段により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足し、且つ、当該仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値に対し改善している仮々抽出順がある場合に、当該目的関数の値に対し最も改善している仮々抽出順を新たな仮抽出順として設定し、
    前記山繰り発生鋼材組抽出手段は、前記解設定手段により新たな仮抽出順が設定されると、同一の山において、当該仮装入順と、山積順とが逆順となっている鋼材の組を抽出し、
    前記仮々抽出順設定手段は、前記第2の仮抽出順設定手段又は前記解設定手段により設定された仮抽出順に対し、前記山繰り発生鋼材組抽出手段により抽出された鋼材の組の全てについて仮抽出順を1つずつ入れ替えたそれぞれの抽出順を仮々抽出順として設定することを、前記解設定手段により前記新たな仮抽出順が設定されなくなるまで繰り返し行い、
    前記解設定手段は更に、前記仮々抽出順設定手段により設定された仮々抽出順の中に、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定手段により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足し、且つ、当該仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値に対し改善している仮々抽出順がなくなると、そのときに設定されている前記新たな仮抽出順と、当該仮抽出順に対応する仮装入順とを最終的な解として設定することを特徴とする請求項4に記載の熱延スケジュール作成装置。
  6. 前記作成対象の熱延スケジュールよりも時間的に前の熱延スケジュールの情報である前スケジュール情報を取得する前スケジュール情報取得手段を有し、
    前記装入順・抽出順同時最適化手段は、
    前記装入順と抽出順とを計算するために用いる仮抽出順を設定する仮抽出順設定手段と、
    前記前スケジュール情報に含まれる鋼材の、前記加熱炉における現在の並び順を計算し、前記仮抽出順設定手段により設定された仮抽出順に基づいて、前記加熱炉内の鋼材の抽出と、この抽出に伴う前記加熱炉への前記鋼材の装入とを少なくともシミュレーションする物流シミュレーションを実行して、当該仮抽出順に対応する仮装入順を算出する装入順・抽出順関係算出手段と、
    前記装入順・抽出順関係算出手段により算出された仮装入順及び仮抽出順に基づいて、鋼材の抽出順と装入順との関係を拘束する装入順・抽出順関係制約式を設定する装入順・抽出順関係制約式設定手段と、
    前記幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、前記山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数の値を、前記品質規制制約式と前記装入順・抽出順関係制約式とを満たす範囲で最小にする装入順及び抽出順を計算する装入順・抽出順同時最適解算出手段と、
    前記装入順・抽出順同時最適解算出手段により計算された装入順及び抽出順と、前記装入順・抽出順関係制約式に基づいて、当該装入順・抽出順同時最適解算出手段により計算された装入順及び抽出順を解とするか否かを判定する最適解収束判定手段と、を更に有し、
    前記最適解収束判定手段は、前記装入順・抽出順同時最適解算出手段により計算された装入順及び抽出順を解とすると判定するまで、前記装入順・抽出順関係算出手段、前記装入順・抽出順関係制約式設定手段、前記装入順・抽出順同時最適解算出手段、及び前記装入順・抽出順関係制約式設定手段による処理を繰り返す繰り返し計算を行い、
    前記仮抽出順設定手段は、前記繰り返し計算の1回目には、前記仮抽出順の初期値を作成して仮抽出順として設定し、前記繰り返し計算の2回目以降には、前記装入順・抽出順同時最適解算出手段により計算された抽出順を前記仮抽出順として設定し、
    前記熱延スケジュール表示手段は、前記最適解収束判定手段により解とすると判定された装入順及び抽出順を表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の熱延スケジュール作成装置。
  7. 前記鋼材属性情報に含まれる管理温度は、目標抽出温度及び装入予定温度の少なくとも何れか一方を含み、
    前記品質規制情報は、前記鋼材属性情報に含まれる目標抽出温度の差を規制する抽出温度規制情報と、前記鋼材属性情報に含まれる装入予測温度の差を規制する装入温度規制情報との少なくとも何れか一方を含み、
    前記品質規制制約式は、前記加熱炉内で近隣する所定の範囲内の2つのスラブの抽出順の組に対し、前記抽出温度規制情報による規制、及び前記装入温度規制情報による規制の少なくとも何れか一方に違反する2つのスラブの割り当てを禁止する炉内温度移行規制制約式を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成装置。
  8. 前記温度移行目的関数は、前記加熱炉内で近隣する所定の範囲内の2つのスラブの抽出順の組に割り当てられる2つのスラブの、当該加熱炉における入熱量の差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする炉内温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成装置。
  9. 前記山繰り負荷目的関数は、前記ヤードにある山で上下に隣接する2つのスラブの組の数であって、前記ヤードにある山におけるスラブの積順と装入順との関係が逆になる2つのスラブの数を小さくすることを目的とする目的関数であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成装置。
  10. 前記品質規制情報は、前記鋼材属性情報に含まれるコイル幅を規制するコイル幅規制情報と、前記鋼材属性情報に含まれるコイル厚を規制するコイル厚規制情報との少なくとも何れか一方を含み、
    前記品質規制制約式は、前記コイル幅規制情報による規制、及び前記コイル厚規制情報による規制の少なくとも何れか一方に違反する2つのスラブを、前記抽出順で隣接させることを禁止する幅・厚み移行規制制約式を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成装置。
  11. 前記幅移行目的関数は、前記鋼材属性情報に含まれるコイル幅が降順になるように並び替えられたスラブの並び順と、抽出順との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする目的関数であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成装置。
  12. ヤードに積まれたスラブを、複数の加熱炉の何れかに装入し、前記加熱炉から抽出されたスラブを1つの圧延ラインで圧延してコイルを製造するための熱延スケジュールとして、前記複数の加熱炉全体で見た場合の前記スラブの装入順と抽出順とを計算する熱延スケジュール作成方法であって、
    作成対象の熱延スケジュールに含まれる鋼材すなわちスラブ及びコイルの属性として、鋼材番号と、コイルの寸法であるコイル幅及びコイル厚と、スラブの品質を管理するのに必要な温度である管理温度と、前記ヤードにある複数の山における山番号ごとのスラブの積順と、を含む鋼材属性情報を取得する鋼材属性情報取得工程と、
    前記コイルの寸法の規制を示す情報及び前記管理温度の規制を示す情報を含む品質規制情報を取得する品質規制情報取得工程と、
    前記鋼材属性情報に基づいて、前記品質規制情報による規制を遵守するための2つのスラブの抽出順の制約と、前記品質規制情報による規制を遵守するための2つのスラブの加熱炉内における並び順の制約とを示す品質規制制約式を設定する品質規制制約式設定工程と、
    前記鋼材属性情報に基づいて、前記鋼材属性情報に含まれるコイル幅が大きなものから降順に並び替えたスラブの並び順と抽出順との差の絶対値を小さくすることを目的する幅移行目的関数と、前記鋼材属性情報に含まれる2つのスラブの前記管理温度の差の絶対値を小さくすることを目的とする温度移行目的関数と、を設定する抽出順最適化目的関数設定工程と、
    前記鋼材属性情報に基づいて、前記作成対象の熱延スケジュールに含まれるスラブであって、前記ヤードに積まれたスラブの山繰り負荷を小さくすることを目的とする山繰り負荷目的関数を設定する山繰り負荷目的関数設定工程と、
    前記幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、前記山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数の値を、前記品質規制制約式を満たす範囲で最小にする計算を行い、その解から前記鋼材属性情報に含まれるスラブの装入順と抽出順とを得ることにより、前記鋼材属性情報に含まれるスラブの装入順と抽出順とを同時に最適化する装入順・抽出順同時最適化工程と、
    前記装入順・抽出順同時最適化工程により最適化された装入順と抽出順とを表示装置に表示する熱延スケジュール表示工程と、を有することを特徴とする熱延スケジュール作成方法。
  13. 前記作成対象の熱延スケジュールよりも時間的に前の熱延スケジュールの情報である前スケジュール情報を取得する前スケジュール情報取得工程を有し、
    前記装入順・抽出順同時最適化工程は、
    前記装入順と抽出順とを計算するために用いる仮抽出順の初期値を設定する第1の仮抽出順設定工程と、
    前記前スケジュール情報に含まれる鋼材の、前記加熱炉における現在の並び順を計算し、前記第1の仮抽出順設定工程により設定された仮抽出順に基づいて、前記加熱炉内の鋼材の抽出と、この抽出に伴う前記加熱炉への前記鋼材の装入とを少なくともシミュレーションする物流シミュレーションを実行して、当該仮抽出順に対応する仮装入順を算出する第1の装入順・抽出順関係算出工程と、
    前記第1の装入順・抽出順関係算出工程により算出された仮装入順及び仮抽出順に基づいて、鋼材の抽出順と装入順との関係を拘束する装入順・抽出順関係制約式を設定する第1の装入順・抽出順関係制約式設定工程と、
    前記幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、前記山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数の値を、前記品質規制制約式と、前記第1の装入順・抽出順関係制約式設定工程により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満たす範囲で最小にする装入順及び抽出順を計算する装入順・抽出順同時最適解算出工程と、
    前記装入順・抽出順同時最適解算出工程により計算された抽出順を仮抽出順として設定する第2の仮抽出順設定工程と、
    前記第2の仮抽出順設定工程により設定された仮抽出順に基づいて、前記物流シミュレーションを実行して、当該仮抽出順に対応する仮装入順を算出する第2の装入順・抽出順関係算出工程と、
    同一の山において、前記第2の装入順・抽出順関係算出工程により算出された仮装入順と、山積順とが逆順となっている鋼材の組を抽出する山繰り発生鋼材組抽出工程と、
    前記第2の仮抽出順設定工程により設定された仮抽出順に対し、前記山繰り発生鋼材組抽出工程により抽出された鋼材の組の仮抽出順を入れ替えた抽出順である仮々抽出順を設定する仮々抽出順設定工程と、
    前記仮々抽出順設定工程により設定された仮々抽出順に基づいて、前記物流シミュレーションを実行して、当該仮々抽出順に対応する仮々装入順を算出する第3の装入順・抽出順関係算出工程と、
    前記第3の装入順・抽出順関係算出工程により算出された仮々装入順及び仮々抽出順に基づいて、鋼材の抽出順と装入順との関係を拘束する装入順・抽出順関係制約式を設定する第2の装入順・抽出順関係制約式設定工程と、
    前記仮々抽出順設定工程により設定された仮々抽出順が、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定工程により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足しているか否かを判定する制約式充足判定工程と、
    前記仮々抽出順設定工程により設定された仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値よりも改善しているか否かを判定する目的関数値改善判定工程と、
    前記仮々抽出順設定工程により設定された仮々抽出順のうち、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定工程により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足し、且つ、当該仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値よりも改善している仮々抽出順と、当該仮々抽出順に対応する仮々装入順とを、最終的な解として設定する解設定工程と、を有し、
    前記熱延スケジュール表示工程は、前記解設定工程により最終的な解として設定された装入順及び抽出順を表示装置に表示することを特徴とする請求項12に記載の熱延スケジュール作成方法。
  14. 前記山繰り発生鋼材組抽出工程は、同一の山において上下に隣接している2つの鋼材のうち、前記第2の装入順・抽出順関係算出工程により算出された仮装入順と、山積順とが逆順となっている2つの鋼材の組を抽出することを特徴とする請求項13に記載の熱延スケジュール作成方法。
  15. 前記仮々抽出順設定工程は、前記第2の仮抽出順設定工程により設定された仮抽出順に対し、前記山繰り発生鋼材組抽出工程により抽出された鋼材の組の全てについて仮抽出順を1つずつ入れ替えたそれぞれの抽出順を仮々抽出順としてそれぞれ設定し、
    前記解設定工程は、前記仮々抽出順設定工程により設定された仮々抽出順のうち、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定工程により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足し、且つ、当該仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値に対し最も改善していると判定された仮々抽出順と、当該仮々抽出順に対応する仮々装入順とを、最終的な解として設定することを特徴とする請求項14に記載の熱延スケジュール作成方法。
  16. 前記解設定工程は、
    前記仮々抽出順設定工程により設定された仮々抽出順の中に、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定工程により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足し、且つ、当該仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値に対し改善している仮々抽出順がある場合に、当該目的関数の値に対し最も改善している仮々抽出順を新たな仮抽出順として設定し、
    前記山繰り発生鋼材組抽出工程は、前記解設定工程により新たな仮抽出順が設定されると、同一の山において、当該仮装入順と、山積順とが逆順となっている鋼材の組を抽出し、
    前記仮々抽出順設定工程は、前記第2の仮抽出順設定工程又は前記解設定工程により設定された仮抽出順に対し、前記山繰り発生鋼材組抽出工程により抽出された鋼材の組の全てについて仮抽出順を1つずつ入れ替えたそれぞれの抽出順を仮々抽出順として設定することを、前記解設定工程により前記新たな仮抽出順が設定されなくなるまで繰り返し行い、
    前記解設定工程は更に、前記仮々抽出順設定工程により設定された仮々抽出順の中に、前記品質規制制約式と、前記第2の装入順・抽出順関係制約式設定工程により設定された装入順・抽出順関係制約式とを満足し、且つ、当該仮々抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値が、前記仮抽出順を前記目的関数に適用したときの当該目的関数の値に対し改善している仮々抽出順がなくなると、そのときに設定されている前記新たな仮抽出順と、当該仮抽出順に対応する仮装入順とを最終的な解として設定することを特徴とする請求項15に記載の熱延スケジュール作成方法。
  17. 前記作成対象の熱延スケジュールよりも時間的に前の熱延スケジュールの情報である前スケジュール情報を取得する前スケジュール情報取得工程を有し、
    前記装入順・抽出順同時最適化工程は、
    前記装入順と抽出順とを計算するために用いる仮抽出順を設定する仮抽出順設定工程と、
    前記前スケジュール情報に含まれる鋼材の、前記加熱炉における現在の並び順を計算し、前記仮抽出順設定工程により設定された仮抽出順に基づいて、前記加熱炉内の鋼材の抽出と、この抽出に伴う前記加熱炉への前記鋼材の装入とを少なくともシミュレーションする物流シミュレーションを実行して、当該仮抽出順に対応する仮装入順を算出する装入順・抽出順関係算出工程と、
    前記装入順・抽出順関係算出工程により算出された仮装入順及び仮抽出順に基づいて、鋼材の抽出順と装入順との関係を拘束する装入順・抽出順関係制約式を設定する装入順・抽出順関係制約式設定工程と、
    前記幅移行目的関数と前記温度移行目的関数との重み付き和である品質・コスト目的関数と、前記山繰り負荷目的関数との重み付き和で表される目的関数の値を、前記品質規制制約式と前記装入順・抽出順関係制約式とを満たす範囲で最小にする装入順及び抽出順を計算する装入順・抽出順同時最適解算出工程と、
    前記装入順・抽出順同時最適解算出工程により計算された装入順及び抽出順と、前記装入順・抽出順関係制約式に基づいて、当該装入順・抽出順同時最適解算出工程により計算された装入順及び抽出順を解とするか否かを判定する最適解収束判定工程と、を更に有し、
    前記最適解収束判定工程は、前記装入順・抽出順同時最適解算出工程により計算された装入順及び抽出順を解とすると判定するまで、前記装入順・抽出順関係算出工程、前記装入順・抽出順関係制約式設定工程、前記装入順・抽出順同時最適解算出工程、及び前記装入順・抽出順関係制約式設定工程による処理を繰り返す繰り返し計算を行い、
    前記仮抽出順設定工程は、前記繰り返し計算の1回目には、前記仮抽出順の初期値を作成して仮抽出順として設定し、前記繰り返し計算の2回目以降には、前記装入順・抽出順同時最適解算出工程により計算された抽出順を前記仮抽出順として設定し、
    前記熱延スケジュール表示工程は、前記最適解収束判定工程により解とすると判定された装入順及び抽出順を表示装置に表示することを特徴とする請求項12に記載の熱延スケジュール作成方法。
  18. 前記鋼材属性情報に含まれる管理温度は、目標抽出温度及び装入予定温度の少なくとも何れか一方を含み、
    前記品質規制情報は、前記鋼材属性情報に含まれる目標抽出温度の差を規制する抽出温度規制情報と、前記鋼材属性情報に含まれる装入予測温度の差を規制する装入温度規制情報との少なくとも何れか一方を含み、
    前記品質規制制約式は、前記加熱炉内で近隣する所定の範囲内の2つのスラブの抽出順の組に対し、前記抽出温度規制情報による規制、及び前記装入温度規制情報による規制の少なくとも何れか一方に違反する2つのスラブの割り当てを禁止する炉内温度移行規制制約式を含むことを特徴とする請求項12〜17の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成方法。
  19. 前記温度移行目的関数は、前記加熱炉内で近隣する所定の範囲内の2つのスラブの抽出順の組に割り当てられる2つのスラブの、当該加熱炉における入熱量の差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする炉内温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項12〜18の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成方法。
  20. 前記山繰り負荷目的関数は、前記ヤードにある山で上下に隣接する2つのスラブの組の数であって、前記ヤードにある山におけるスラブの積順と装入順との関係が逆になる2つのスラブの数を小さくすることを目的とする目的関数であることを特徴とする請求項12〜19の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成方法。
  21. 前記品質規制情報は、前記鋼材属性情報に含まれるコイル幅を規制するコイル幅規制情報と、前記鋼材属性情報に含まれるコイル厚を規制するコイル厚規制情報との少なくとも何れか一方を含み、
    前記品質規制制約式は、前記コイル幅規制情報による規制、及び前記コイル厚規制情報による規制の少なくとも何れか一方に違反する2つのスラブを、前記抽出順で隣接させることを禁止する幅・厚み移行規制制約式を含むことを特徴とする請求項12〜20の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成方法。
  22. 前記幅移行目的関数は、前記鋼材属性情報に含まれるコイル幅が降順になるように並び替えられたスラブの並び順と、抽出順との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする目的関数であることを特徴とする請求項12〜21の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成方法。
  23. 請求項12〜22の何れか1項に記載の熱延スケジュール作成方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
JP2011056689A 2010-07-06 2011-03-15 熱延スケジュール作成装置、熱延スケジュール作成方法、及びコンピュータプログラム Active JP5673249B2 (ja)

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