JP6428375B2 - チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム - Google Patents

チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラムに関し、特に、製鋼プロセスにおけるチャージを編成するために用いて好適なものである。
図18は、鉄鋼業における代表的な製品である厚鋼板(以下、厚板と称する。)の製造プロセスの概略構成の一例を示す図である。図18において矢印は、仕掛かり品の流れを示す。
まず、転炉工程P1では、高温溶融状態の鉄鋼中間製品(以下、溶鋼と称する。)の化学的成分である鋼種を例えば約300ton単位で調整し、溶鋼鍋に出鋼する。この転炉工程P1での出鋼単位をチャージという。
連続鋳造工程P2では、転炉工程P1で製造された溶鋼を複数チャージ分連続して鋳造し、その後、規定の長さに切断することで、例えば約20ton単位のスラブと呼ばれる板状の中間製品を製造する。この連続鋳造工程P2での一連の製造単位をキャストと呼ぶ。製造仕様にもよるが、概ね8〜12チャージを1キャストとして製造する。
圧延工程P3では、スラブを加熱し、当該加熱したスラブを、所定の厚みや幅になるように成形(圧延)する。
切断工程P4では、圧延後のスラブを注文仕様のサイズに切断し、最終製品であるプレートを得る。
熱処理工程P5では、強度および靭性等の品質が注文仕様となるように、プレートやスラブに対して加熱・保熱処理を行う。
特別検査工程P6では、プレートやスラブに対して注文仕様に応じた特別な検査を行う。
図18に示す例では、切断工程P4、熱処理工程P5、および特別検査工程P6が精整工程になる。以下の説明では、切断工程P4、熱処理工程P5、および特別検査工程P6を総称する場合、必要に応じて、精整工程と称する。
全ての処理を終えた製品は倉庫P7に配置される。
ここで、プレートは、個々の最終製品を表す。注文は、サイズ、品質(強度および靱性等)、納期、顧客が同一のプレートの集まりである。スラブは、転炉工程P1、連続鋳造工程P2、および圧延工程P3での製造条件が同じであるプレートの集まりである。
厚板等の鉄鋼製品では、小ロット・多品種となることが多いため、スラブ設計、チャージ編成、キャスト編成、および週間計画の作成を行うことにより生産計画を作成することが行われる。
スラブ設計は、スラブとして望ましい大きさとなるように、注文に示される各プレートを組み合わせることにより行われる。
チャージ編成は、鋼種が同じスラブを転炉の製造単位であるチャージに割り当てることにより行われる。
キャスト編成は、チャージをキャストに割り当てることにより行われる。
週間計画は、キャストを1週間から数週間先まで並べることにより作成される。
以上のような鉄鋼製品の生産計画を作成するための技術として、特許文献1〜3に記載の技術がある。
特許文献1には、評価関数をチャージ毎に算出した値に基づき、チャージに割り当てられるスラブの編成(並び)を最適化し、さらに、遺伝子情報としてスラブの番号(スラブNo)が遺伝子座に設定された個体毎に評価関数を算出した値に基づき、キャストに割り当てられるチャージを最適化することが記載されている。
特許文献2には、各チャージを節点で表したネットワークであって、抱き合わせて鋳造可能なチャージ間を有向枝で表現したネットワークの有向枝を伝って節点を探索することにより最長のキャスト編成となるルートを探索し、その結果からキャスト編成を行うことが記載されている。すなわち、特許文献2には、キャストを構成するチャージ数が最大化されるようなキャスト編成を作成することが記載されている。
特許文献3には、注文に関するデータと、スラブに関するデータ(スラブの寸法、鋼種、スラブ作成時刻等の属性情報)とに基づいて、最も歩留まりが良好となるスラブにプレートを割り当てることが記載されている。このとき、特許文献3では、プレートが割り当てられたスラブの余材部の大きさが、プレートの割り当てが可能な大きさであるか否かを判定し、スラブの余材部の大きさが、プレートの割り当てが可能な大きさである場合には、当該余材部にプレートを割り当てる。
特許第3642450号公報 特許第5516156号公報 特開2008−73724号公報 特開2013−33450号公報 特許第5370060号公報
M.J. トッド、G.L. ネムハウザー、A.H.G. リンヌイカン 編、伊理正夫、今野浩、刀根薫 監訳、「最適化ハンドブック」、朝倉書店、1995年10月
しかしながら、特許文献1、2、3の何れの技術も精整工程の負荷等、圧延以降の工程(下工程)の指標を考慮していない。このため、作成した生産計画に基づいて厚板等の鉄鋼製品の製造を行うと、特定の精整工程に負荷が集中することによる仕掛の増大や工期の長大化、ひいては納期達成率の低下を引き起こす虞がある。このようなことを防止するため、長期間(例えば、10日から2週間程度)のチャージ編成の際に、圧延以降の工程の負荷を計画立案期間に渡って平準化することが求められる。
さらに、特許文献1に記載の技術は、下工程の指標を考慮していないことに加え、スラブ単位の組み合わせ問題を解く。すなわち、スラブをチャージに直接割り当てる。このため、スラブとチャージの組み合わせ数が多くなる。特に、立案期間が長い場合、スラブとチャージの組み合わせ数は爆発的に多くなる。したがって、良質な解が得られるまでの時間が長くなる虞がある。このようなことを防止するため、長期の計画立案であっても計算時間を短くすることが求められる。
また、特許文献2に記載の技術は、連々鋳数(連続して連続鋳造されるチャージの数)を最大化することが目的であり、下工程の負荷を考慮しているものではない。また、特許文献2に記載の技術は、各キャストにおけるチャージの並びを決定するものであり、スラブのチャージへの割り当ては考慮していない。
また、特許文献3に記載の技術は、注文をスラブに割り当てた時の歩留まりを最大化するための方法であり、納期や下工程の負荷等、計画全体の指標を考慮しているものではない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、圧延以降の工程の負荷を可及的に平準化するチャージの編成を可及的に短時間で実行できるようにすることを目的とする。
本発明のチャージ編成装置は、転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程、および複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成装置であって、前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期と、品種と、を少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得手段と、前記注文情報を、前記品種ごと、前記納期ごとに集約し、品種別・納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成手段と、前記注文マトリクスと、前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含むチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である工程能力上限値と、に基づいて、品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位チャージ枠を導出する品種単位チャージ枠導出手段と、複数のスラブそれぞれを構成するプレートの前記注文ごとの枚数と、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とを属性として少なくとも含むスラブ設計情報における、当該スラブのそれぞれの代表属性として、少なくとも代表品種と代表納期とを含む代表属性を導出する代表属性導出手段と、少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位チャージ枠における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出手段と、を有し、前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、前記品種単位チャージ枠導出手段は、前記出鋼日と前記納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、数理計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とする。
本発明のチャージ編成方法は、転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程、および複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成方法であって、前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期と、品種と、を少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得ステップと、前記注文情報を、前記品種ごと、前記納期ごとに集約し、品種別・納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成ステップと、前記注文マトリクスと、前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含むチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である工程能力上限値と、に基づいて、品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位チャージ枠を導出する品種単位チャージ枠導出ステップと、複数のスラブそれぞれを構成するプレートの前記注文ごとの枚数と、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とを属性として少なくとも含むスラブ設計情報における、当該スラブのそれぞれの代表属性として、少なくとも代表品種と代表納期とを含む代表属性を導出する代表属性導出ステップと、少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位チャージ枠における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出ステップと、を有し、前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、前記品種単位チャージ枠導出ステップは、前記出鋼日と前記納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、数理計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記チャージ編成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、品種単位チャージ枠(品種別・出鋼日別の出鋼量)を導出することと、スラブのそれぞれにおける代表属性として、少なくとも代表品種と代表納期とを含む代表属性を導出することと、品種単位チャージ枠における品種に、当該品種と同じ代表品種を有するスラブを割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出することとを行う。このように、スラブをチャージに直接割り当てる問題を解くのではなく、チャージ枠に品種を割り当てる問題と、品種単位チャージ枠にスラブを割り当てる問題とを解く。その際、プレートの鋼種と、前記精整設備の通過の有無の予測値が所定の順番で並べられた予定通過工程パターンと、を少なくとも含むように品種を定義する。また、品種単位チャージ枠を導出する際には、精整設備における処理量の平準化と、納期の遵守とを少なくとも評価する。したがって、圧延以降の工程の負荷を可及的に平準化するチャージの編成を可及的に短時間で実行することができる。
厚板の一般的な生産計画の概要の一例を概念的に示す図である。 厚板製造プロセスの各製造設備での代表的な最小製造ロットの大きさの一例を示す図である。 チャージ編成装置の機能的な構成の一例を示す図である。 注文情報の一例を示す図である。 注文マトリクスの一例を示す図である。 品種モデルの一例を示す図である。 チャージ枠の一例を示す図である。 工程能力上限値の一例を示す図である。 重み関数の一例を示す図である。 品種単位チャージ枠の一例を示す図である。 スラブ設計情報の一例を示す図である。 スラブの代表属性(代表品種および代表納期)の一例を示す図である。 スラブ単位出鋼計画の一例を示す図である。 チャージ編成装置の動作の一例を説明するフローチャートである。 切断工程の日別発生量の一例を示す図である。 熱処理工程の日別発生量の一例を示す図である。 特別検査工程の日別発生量の一例を示す図である。 厚板の製造プロセスの概略構成の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、厚板の一般的な生産計画の概要の一例を概念的に示す図である。
図1において、注文1は、4枚のプレート(製品(ここでは厚板))の注文であることを示す。注文2、3、4、5、6はそれぞれ、2枚、2枚、1枚、1枚、1枚の注文であることを示す。
スラブ1は、注文1のプレート101、注文2のプレート102、および注文4のプレート103の組み合わせからなる。前述したように、この組み合わせを決めることをスラブ設計と呼ぶ。スラブは、製造上の制約から直方体である。したがって、スラブ設計の結果によっては、スラブ1に示すように、どのプレートにも紐付けられない部分が発生することがある。この部分をスラブ余材と呼び、スラブ余材が多いとスラブの歩留が低下する。このため、製造コスト上、スラブ余材をできるだけ少なくすることが求められる。図1に示す例では、スラブ1にスラブ余材111があることを示す。
一方、スラブの歩留を向上させるために、直近の納期の注文のプレートと、先の納期の注文のプレートとを同一のスラブとして組み合わせると製品在庫が多くなってしまう。このように、スラブの歩留と製品在庫にはトレードオフの関係がある。
また、図1において、チャージ1には、スラブ1およびスラブ3を含む複数のスラブが割り当てられることを示す。また、チャージ3には、スラブ2およびスラブ4を含む複数のスラブが割り当てられることを示す。前述したように、この割り当てを決めることをチャージ編成という。
また、図1において、キャスト1には、チャージ1、チャージ2、およびチャージ4を含む複数のチャージが、チャージ1、チャージ2、チャージ4の順に割り当てられることを示す。また、キャスト2には、チャージ4を含む複数のチャージが割り当てられることを示す。前述したように、この割り当てを決めることをキャスト編成という。
なお、鋼種は決まっているが、スラブは割り当てられていないチャージをチャージ枠という。
また、図1において、出鋼計画の1日目には、キャスト1が割り当てられ、4日目にはキャスト2が割り当てられることを示す。このように、キャスト編成により作成された各キャストの並び(出鋼日および出鋼順)を決めることにより週間計画が作成される。
図2は、厚板製造プロセスの各製造設備での代表的な最小製造ロットの大きさの一例を示す図である。
図2に示す例においては、転炉工程P1ではプレートの大きさ約3[ton]の約100倍の大きさを、連続鋳造工程P2ではプレートの約800倍の大きさを、圧延工程P3ではプレートの約6倍の大きさを、それぞれ最小製造ロット単位として製造することが生産性や歩留の観点で必要であることを示す。
しかしながら、転炉工程P1や連続鋳造工程P2の生産性や歩留を優先し、納期が先の注文までを先作りし製造ロットを大きくすると、製品在庫が増えてしまう虞がある。また、精整工程P4〜P6の製造負荷を考慮せずに転炉工程P1や連続鋳造工程P2の製造ロットを大きくすると、製造負荷の集中による仕掛増・製造工期増へ繋がる虞がある。すなわち、各製造装置における製造負荷を平準化することも重要である。このように、製造ロットの拡大、製造負荷の平準化、納期遵守、スラブ歩留という、相反する課題を両立するように、各注文のプレートをスラブ、チャージ、キャストの単位に編成する(キャスト編成)ことが重要である。
このような知見の下、本発明者らは、転炉工程P1および連続鋳造工程P2の製造ロットの拡大によるコストの削減のみならず、圧延工程P3以降の下工程の負荷の平準化も考慮することで、製造工期の短縮を考慮した出鋼計画を立案することを、従来の手法よりも高速に実現する手法を見出した。これにより、操業の変動による再立案や長期にわたる出鋼計画の立案が可能になる。
特許文献1に記載の技術のように、スラブをチャージに直接割り当てることによりチャージ編成を行うと、計算時間が長くなる。例えば、1日に24チャージを製造する設備に対する2週間分の計画を立案する場合、336(=24×14)チャージに対して、その約100倍の33600枚のスラブを、チャージに割り当てる組み合わせ問題を解く必要がある。この組み合わせ問題を例えば集合分割問題のような数理計画問題として直接解くことは計算時間の観点から困難である。
そこで、本実施形態では、このように本来であれば計算時間のかかる組み合わせ最適化問題であるチャージ編成問題を、チャージ枠への品種の割り当て問題(品種別・出鋼日別の出鋼量である品種単位チャージ枠の立案)と、品種へのスラブの割当問題(品種が割り当てられたチャージ枠へのスラブの割り当て)とに分割して解く。すなわち、スラブ1〜4をチャージ1〜4に直接的に割り当てるのではなく(図1を参照)、品種を介して、チャージ枠とスラブとを相互に関連付ける。そして、品種として、少なくとも「鋼種」と「予定通過工程パターン」とを用いる。このようにすることで、計算時間と立案精度とのバランスが取られた出鋼計画の立案を可能とする。
以下に、以上のような出鋼計画を立案するためのチャージ編成装置の一例を説明する。
図3は、チャージ編成装置300の機能的な構成の一例を示す図である。チャージ編成装置300のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置(PC)や、専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。以下に、チャージ編成装置300が有する機能の一例を説明する。尚、以下の各部は、例えば、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。
[注文情報取得部301]
注文情報取得部301は、注文の属性を示す注文情報を取得する。注文情報の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
図4は、注文情報400の一例を示す図である。図4に示す例では、注文情報400には、注文No、製品枚数、製品単重、納期、製品サイズ、鋼種、予定通過工程、および品種キーが含まれる。
注文No.は、注文の識別番号である。
製品枚数は、注文内のプレート(製品)の枚数である。図4において、例えば、注文1の製品枚数は「4」である。
製品単重は、プレートの1枚当たりの重量である。図4において、例えば、注文1の製品単重は1.4[ton/製品]である。したがって、注文1に含まれるプレートの総重量は5.6(=4×1.4)[ton]である。
製品サイズは、プレートのサイズ(高さH×幅W×長さL)である。図4において、例えば、注文1の製品サイズは、10[mm]×3000[mm]×6000[mm]である。
鋼種は、プレートの成分である。ここでは、表記および説明を簡単にするため、鋼種(製品の成分)そのものではなく、鋼種の識別情報を鋼種とする。図4において、例えば、注文1の鋼種は「A」である。
予定通過工程は、注文の鋼材が、複数の精整工程P4〜P6のうちのどの精整工程を通過する予定(すなわち、どの精整工程で処理される予定)であるかを示す情報である。図4において、例えば、注文1は、切断工程P4を通過する予定であるが、熱処理工程P5および特別検査工程P6は通過する予定がないことを示す。
品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報である。
本実施形態では、精整工程P4〜P6の通過の有無の予測値を、切断工程P4、熱処理工程P5、特別検査工程P6の順に並べたものを予定通過工程パターンとする。ここでは、精整工程P4〜P6を通過する予定であることを示す予測値を「1」とし、精整工程P4〜P6を通過する予定でないことを示す予測値を「0(ゼロ)」とする。尚、精整工程P4〜P6の通過の有無の予測値は、所定の順番であれば、前述した順番に限定されない。
図4において、例えば、注文1の鋼材の予定通過工程パターンは「100」である。したがって、注文1の鋼材は、切断工程P4を通過する予定であり、熱処理工程P5と特別検査工程P6を通過する予定でないことになる。
また、注文1の製品の鋼種は「A」である。
以上のことから、注文1の品種キーは、「A−100」になる。
図4において、納期は、顧客が要求する納期(倉庫P7からの出庫日)ではなく、出鋼期限日であるものとする。以下の説明でも、特に断りのない限り、納期は、出鋼期限日であるものとする。
注文情報取得部301は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した注文情報400を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
以上のようにここでは、納期(出鋼期限日)、予定通過工程、および品種キーとして予め与えられたものを用いる場合を例に挙げて示す。ただし、納期(出鋼期限日)、予定通過工程、および品種キーをチャージ編成装置300(注文情報取得部301)で導出することにより取得してもよい。予定通過工程は、例えば、特許文献4に記載されている公知の手法により導出することができるので、その導出方法の詳細な説明を省略するが、例えば、製造実績データに基づいて品種分類ロジック(決定木等)を作成しておき、注文に含まれる製造仕様を品種分類ロジックに与えることにより、各精整工程P4〜P6の通過の有無の予測値を導出し、導出した予測値を組み合わせることにより予定通過工程パターンを導出する。また、納期(出鋼期限日)は、例えば、顧客が要求する納期(倉庫P7からの出庫日)から、通過する予定の工程における標準工期だけ遡った日とすればよい。
[注文マトリクス作成部302]
注文マトリクス作成部302は、注文情報取得部301で入力された注文情報400を、品種キー毎、納期毎に集約し、品種別・納期別の注文重量である注文マトリクスを作成する。
図5は、注文マトリクス500の一例を示す図である。尚、図5の注文マトリクス500に示されている品種別・納期別の注文重量の単位はtonである。
図5において、品種No.は、品種キーの識別番号であり、品種の表示順に連番を付与したものである。
前述したように、図4に示す例では、注文1の納期は9月10日(9/10)である。また、注文1の製品枚数は「4」であり、製品単重は、1.4[ton/製品]である。したがって、注文1の総重量は5.6(=4×1.4)[ton]である。また、注文1の品種キーは「A−100」である。以上のことから、図4に示す例において、品種キーが「A−100」である注文が注文1のみであるとすると、図5に示すように、品種1の9月10日の注文重量は、5.6[ton]になる。
また、図4に示す注文2と注文4の品種キーは同一(「A−111」)である。したがって、品種キーが「A−111」である注文が注文2と注文4のみであるとすると、図5に示すように、品種2の9月7日の注文重量は、図4に示す注文4の総重量である0.6(=1×0.6)[ton]となり、品種2の9月8日の注文重量は、図4に示す注文4の総重量である3.9(=3×1.3)[ton]となる。
注文情報400は、注文の数nだけ存在するので膨大な数になる。これに対し本実施形態では、図4に示すように、各注文に品種キーを与え、図5に示す注文マトリクス500のように、同一の品種の注文同士をグルーピングすることでチャージ編成問題の規模を縮小する。
また、本実施形態では、同一のキャスト内のチャージの鋼種(成分)をできるだけ同じものにまとめ、納期を守りつつ、精整工程の負荷を平準化する出鋼計画を作成する。したがって、注文を品種にグルーピングした後でも、これらの指標を考慮することができるようにする必要がある。また、前述したように本実施形態では、チャージ枠とスラブとを品種を介して相互に関連付ける。したがって、品種キーには、キャストとスラブとで共通する情報を含める必要がある。以上のような観点から、本実施形態では、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を品種キーとして注文をグルーピングする。
注文マトリクス作成部302は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行して注文マトリクス500の情報を作成して記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
[品種モデル取得部303]
品種モデル取得部303は、鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルを取得する。尚、前述したように、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせたものであるので、品種モデルは、品種別の各精整工程における負荷の発生率であるということができる。品種モデルの取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
図6は、品種モデル600の一例を示す図である。
図6において、チャージNo.は、チャージの識別番号である。通過工程No.は、チャージ毎の予定通過工程パターンの識別番号である。
図6において、例えば、鋼種が「A」であり、予定通過工程パターンが「000」である品種キー(すなわち、品種1)の鋼材は、切断、熱処理、特別検査のそれぞれの工程の発生率が何れも「0.1」であることを示す。尚、図6において、J[1]、J[2]は、それぞれ鋼種A、Bにおける予定通過工程パターンの総数(予定通過工程パターンの種類の数)を表す。
品種モデル取得部303は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した品種モデル600を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
以上のようにここでは、品種モデル600として予め与えられたものを用いる場合を例に挙げて示す。ただし、品種モデル600をチャージ編成装置300(品種モデル取得部303)で導出することにより取得してもよい。品種モデルは、例えば、特許文献5に記載されている公知の手法により導出することができるので、その導出方法の詳細な説明を省略するが、例えば、或る品種(鋼種+予定通過工程パターン)の鋼材のうち或る精整工程を通過する鋼材の総枚数を、当該品種の鋼材の総枚数で割ることを、過去の実績データに含まれる全ての品種、全ての精整工程について行うことにより、品種モデル600を導出する。
例えば、鋼種が「A」であり、予定通過工程パターンが「000」である品種キー(すなわち、品種1)の鋼材のうち、切断工程P4を通過した鋼材の総枚数を、当該品種1の鋼材の総枚数で割った値が、鋼種が「A」であり且つ予定通過工程パターンが「000」である鋼材の精整工程(切断)の発生率(=0.1)となる。
(チャージ枠取得部304)
チャージ枠取得部304は、チャージ枠を取得する。チャージ枠は、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を示すものである。すなわち、チャージ枠は、各出鋼日におけるキャストの数と、それぞれのキャストにおけるチャージの数と、それぞれのチャージにおける鋼種を示すものである。チャージ枠の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。尚、出鋼日は計画立案の対象となる日(計画立案日)である。
図7は、チャージ枠700の一例を示す図である。
図7に示すチャージ枠700では、9月3日には3個、9月4日には2個のキャストを製造することを表す。また、例えば、出鋼日が9月3日であるキャスト1では、鋼種が「A」であるチャージを9個連続して連続鋳造することを表す。また、出鋼日が9月3日であるキャスト2では、鋼種が「B」であるチャージを4個連続して連続鋳造した後、鋼種が「C」であるチャージを4個連続して連続鋳造することを表す。
チャージ枠取得部304は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力したチャージ枠700を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
以上のようにここでは、チャージ枠700として予め与えられたものを用いる場合を例に挙げて示す。ただし、チャージ枠700をチャージ編成装置300(品種モデル取得部303)で導出することにより取得してもよい。チャージ枠は、例えば、特許文献5に記載されている公知の手法により導出することができるので、その導出方法の詳細な説明を省略するが、例えば、各キャストにおけるチャージの並びを入れ替え、チャージ枠の良否を表す評価関数によって、入れ替え後におけるチャージ枠の評価値を導出し、当該評価値に基づいて最も評価が高いチャージ枠を探索することにより、チャージ枠700を導出する。
(第1の立案方針取得部305)
第1の立案方針取得部305は、後述する品種単位チャージ編成部306において、品種単位チャージ枠(品種別・出鋼日別の出鋼量)を導出する際の立案方針を取得する。かかる立案方針の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
本実施形態では、第1の立案方針取得部305は、工程能力上限値と、最適化計算収束条件と、最適化計算時間と、各評価指標の重み係数W1、W2、W3とを前記立案方針として取得する。
図8は、工程能力上限値800の一例を示す図である。
図8に示すように、工程能力上限値800は、出鋼日別・精整工程別の能力(処理量)の上限値である。図8において、例えば、9月3日における切断工程P4の能力(処理量)の上限値は300[ton]であることを示す(図8における「工程名」の「切断」の欄と「出鋼日別能力上限値」の「9/3」の欄を参照)。尚、設備の修理等により、休止する精整工程(設備)については、休止時間に応じて、能力(処理量)を減ずればよい。図8に示す例では、9月4日と9月5日は、特別検査工程P6が設備の修理のために休止されるため、9月4日と9月5日における特別検査工程P6の能力(処理量)の上限値を0[ton]としている。
最適化計算収束条件は、後述する品種単位チャージ編成部306における最適化計算における収束条件である。最適化計算収束条件を満たしたときの解が最適解となる。
最適化計算時間は、最適化計算収束条件を満たす解を探索する時間の上限値である。最適化計算時間が経過しても、最適化計算収束条件を満たす解が得られない場合、最適化計算を終了する。尚、時間の上限値の代わりに、計算回数の上限値を用いてもよい。
各評価指標の重み係数W1、W2、W3は、後述する(13)式におけるW1、W2、W3である。後述するように本実施形態では、各評価指標の重み付き線形和を評価関数とし、数理計画法(線形計画法)による最適化計算を行って、当該評価関数を最小化する解を探索する。したがって、優先度が高い評価指標であるほど、当該評価指標の重み係数W1、W2、W3の値を大きくする。
第1の立案方針取得部305は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した立案方針を示す情報を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
(品種単位チャージ編成部306)
品種単位チャージ編成部306は、注文マトリクス作成部302により作成された注文マトリクス500と、品種モデル取得部303により取得された品種モデル600と、チャージ枠取得部304により取得されたチャージ枠700と、第1の立案方針取得部305により取得された立案方針とを入力として、品種単位チャージ枠(品種別・出鋼日別の出鋼量)を導出する。
本実施形態では、品種単位チャージ編成部306は、納期、製品在庫、各精整工程の負荷、および請求余材の量を評価する評価関数と、注文に含まれるプレートを製造する際に生じる制約を数式で表した制約式とを設定し、多目的線形計画法による最適化計算を行うことにより、当該評価関数の値を最小にする品種単位チャージ枠を導出する。
以下に、品種単位チャージ枠を導出する方法の具体例を説明する。
<制約式>
まず制約式について説明する。
<<第1の制約式>>
第k日、鋼種iの出鋼量C[i][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンj(=1、2・・・J[i])の品種単位チャージ枠x[i][j][k]と、第k日、鋼種iの請求余材β[i][k]との和であるから、以下の(1)式のように表される。ここで、J[i]は、鋼種iの予定通過工程パターンの総数(予定通過工程パターンの種類の数)である。
Figure 0006428375
品種単位チャージ編成部306は、例えば、注文マトリクス500に基づいて、(1)式のi、j、k、J[i]を設定することにより、(1)式の制約式を設定する。
<<第2の制約式>>
注文マトリクス500の納期の通りに出鋼する必要はなく、納期との乖離が大きくない範囲で出鋼すればよい。或る出鋼日(計画立案日)の出鋼量には、当該出鋼日と異なる日を納期とする鋼材の出鋼量が含まれることがある。第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位チャージ枠x[i][j][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンj、納期tの品種単位納期別チャージ枠xt[i][j][t][k]の立案期間(K日間)内の累積値として、以下の(2)式で表わされる。品種単位納期別チャージ枠xt[i][j][t][k]は、鋼種別・予定通過工程パターン別・納期別・出鋼日別の出鋼量である。尚、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報であるので、品種単位納期別チャージ枠xt[i][j][t][k]は、品種別・納期別・出鋼日別の出鋼量ということができる。
Figure 0006428375
品種単位チャージ編成部306は、例えば、注文マトリクス500に基づいて、(2)式のi、j、k、t、Kを設定することにより、(2)式の制約式を設定する。
<<第3の制約式>>
全体としての注文量と出鋼量は釣り合う。したがって、立案期間(K日間)内において、鋼種i、予定通過工程パターンj、納期tの注文マトリクスxr[i][j][t]と、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位チャージ枠x[i][j][k]との関係は、以下の(3)式で表わされる。尚、注文量の一部を生産計画の対象とする場合は、生産計画へ織り込まない注文量を表わす変数を(3)式に追加すればよい。
Figure 0006428375
品種単位チャージ編成部306は、例えば、注文マトリクス500に基づいて、(3)式の左辺第1項のi、j、t、Kを設定すると共に、左辺第2項を設定することにより、(3)式の制約式を設定する。
<<第4の制約式>>
精整工程の負荷は、品種単位チャージ枠と品種モデル(鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程の発生率)との積の鋼種・精整工程毎の和で表わされる。したがって、第k日、工程番号lの工程負荷y[l][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位チャージ枠x[i][j][k]と、鋼種i、予定通過工程パターンj、工程番号lの品種モデルr[i][j][l]とにより、以下の(4)式により表される。ここで、Iは、鋼種の総数(種類の数)である。尚、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報であるので、精整工程の負荷は、品種単位チャージ枠と品種モデルとの積の品種毎の和で表わされるということができる。
Figure 0006428375
品種単位チャージ編成部306は、例えば、品種モデル600に基づいて、(4)式の左辺のl、kを設定すると共に、右辺のI、J[i]、r[i][j][l]、i、j、kを設定することにより、(4)式の制約式を設定する。
<<第5の制約式>>
ロットサイズLOT_SIZEは、転炉工程P1での1ロットの処理量であり、第k日、出鋼種iの出鋼量C[i][k]と、第k日、鋼種iのロット数δL[i][k]とを用いて、以下の(5)式により表される。(5)式は、第k日、鋼種iの出鋼量C[i][k]を定義する制約式である。
Figure 0006428375
(5)式において、第k日、鋼種iのロット数δL[i][k]は、チャージ枠700における鋼種別・出鋼日別のロット数(鋼種の総数)に相当する。例えば、図7の9/3のキャスト1の欄に8個の鋼種Aが並べられている。したがって、9月3日の鋼種Aのロット数δL[i][k]は、「8」になる。また、ロットサイズLOT_SIZEは、例えば、図2に示した転炉工程P1の最小製造ロットの大きさである。図2に示す例では、ロットサイズLOT_SIZEは、300[ton]である。ロットサイズLOT_SIZEは、予めチャージ編成装置300に設定されているものとする。
<<第6の制約式>>
立案開始時の精整工程lの初期仕掛stock[l][0]と、第k日、精整工程lの仕掛stock[l][k]は、それぞれ以下の(6a)式および(6b)式で表される。尚、ここでいう仕掛とは、仕掛中の鋼材の総重量[ton]をいう。
Figure 0006428375
(6b)式に示すように、第k日、精整工程lの仕掛stock[l][k]は、第(k−1)日、精整工程lの仕掛stock[l][k−1]と、第k日、工程番号lの工程負荷y[l][k]との和から、第k日、精整工程lの工程能力上限値yr[l][k]を減算した値になる。
(6a)式において、立案開始時の精整工程lの初期仕掛stock[l][0]は、精整工程l毎に予め定められる初期仕掛stock_0になる。尚、(6a)式の右辺の第2項(y[l][k])と第3項(yr[l][k])は、立案開始前における値(k=0)になるので、共に「0」となる。
品種単位チャージ編成部306は、例えば、予めチャージ編成装置300に設定されているstock_0を(6a)式に設定することにより、(6a)式の制約式を設定する。
また、品種単位チャージ編成部306は、例えば、工程能力上限値800に基づいて、(6b)式の左辺および右辺第1項・第2項のl、kを設定すると共に、右辺第3項のyr[l][k]を設定することにより、(6b)式の制約式を設定する。
<<第7の制約式>>
精整工程l毎に予め設定された日数achieve_day[l]以降の精整工程の仕掛をある一定以上確保する。安全仕掛を確保する制約式は、safety_stock[l]を用いて、以下の(7)式のように表される。
Figure 0006428375
品種単位チャージ編成部306は、例えば、工程能力上限値800に基づいて、(7)式の左辺のl、kを設定すると共に、予めチャージ編成装置300に設定されているachieve_day[l]を(7)式に設定することにより、(7)式の制約式を設定する。
尚、仕掛がないものとする場合には、前述した(6a)式、(6b)式および(7)式の設定を省略することができる。
<目的関数>
次に、目的関数について説明する。
<<第1の評価値>>
以下に示す(8)式は、納期tに対して先行する出鋼量と、納期tに対して遅れる出鋼量との最小化を志向する評価指標である。
Figure 0006428375
ただし、ref[i][j][k]は、鋼種i、予定通過工程パターンj、納期tの鋼材の、立案開始日から第k日までの出鋼量の累積値Σxt[i][j][t][q](q=1〜k)に対する目標値(目標出鋼量)であり、以下の(9a)式および(9b)式のように表わされる。
Figure 0006428375
本実施形態では、(9a)式に示すように、納期tが経過するまでは、出鋼量を0(ゼロ)とし(全く出鋼をせず)、(9b)式に示すように、納期tに出鋼量が注文マトリクスxr[i][j][t]の値になる(予定量を全て出鋼する)ことを目標とする。
<<第2の評価値>>
以下に示す(10)式は、精整工程の負荷の平準化を志向した評価関数である。ここでは、当該評価関数が、3日間の精整工程の負荷の移動平均と工程能力上限値との差の、全出鋼日および全精整工程における総和の最小化を志向する評価関数である場合を例に挙げて示す。
Figure 0006428375
<<第3の評価値>>
以下に示す(11)式は、請求余材の最小化を志向した評価関数である。
Figure 0006428375
<<第1の評価値の変形と総合評価値>>
本実施形態では、納期遅れを最小にすることと、製品在庫を最小にすることについては、以下のように評価関数を定めることにより実現する。すなわち、納期前後の数日間においては、出鋼のずれと在庫となることを許容すると共に、納期よりも過度に先行して出鋼することと、納期よりも過度に遅れて出鋼することとを抑制するために、以下の(12)式に示す重み関数W(k,t)を、前記(8)式の納期遵守の評価関数に付与する。図9は、重み関数W(k,t)の一例を示す図である。例えば、図9において、a=2、b=5、c=100とする。この重み関数W(k,t)を前記(8)に追加し、この(8)式と、前記(10)式と、前記(11)式の重み付き線形和を取ると、以下の(13)式のように、各評価指標のバランスを取った総合評価指標(評価関数)が得られる。
Figure 0006428375
ここで、W1、W2、W3はそれぞれ、納期遵守度、精整工程負荷平準度、および請求余材最小度に対する相対的な評価重みを示す重み係数である。
品種単位チャージ編成部306は、例えば、注文マトリクス500に基づいて、I、J[i]、K、L、t、k、i、j、t、q、dと、(9b)式のxr[i][j][t]とを設定することと、工程能力上限値800に基づいて、yr[l][k]を設定することと、第1の立案方針取得部305により取得された重み係数W1、W2、W3を設定することとを行うことにより、(13)式の評価関数を設定する。
品種単位チャージ編成部306は、(1)式〜(7)式の制約式を満足する範囲で(13)式の評価関数の値を最小にする品種単位チャージ枠x[i][j][k]を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する。尚、線形計画法による最適化計算は市販の数理計画法のソルバー(例えばCPLEX(登録商標)のようなソフトウェア)等を適宜用いればよい。また、評価指標は、前記(8)式〜(11)式に限定されない。例えば、これらの評価指標以外の評価指標を前記(13)式に追加しても構わない。また、制約式も、前記(1)式〜(7)式に限定されない。制約式は、プレートを製造する際の制約を数式で表すものであればよい。
図10は、以上のようにして導出される品種単位チャージ枠1000の一例を示す図である。前述したように、品種単位チャージ枠1000は、鋼種別・予定通過工程パターン別・出鋼日別の出鋼量x[i][j][k][ton]である(図10では、日別出鋼量と表記する)。尚、前述したように品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとの組み合わせからなる(図4を参照)。したがって、品種単位チャージ枠1000は、品種別・出鋼日k別の出鋼量ということができる。(5)式の説明で例示したように、ロットサイズLOT_SIZEは、300[ton]である。したがって、この場合、図10におけるチャージ毎の出鋼量(1つのチャージにおける日別出鋼量の合計)は、300[ton](又は300[ton]に可及的に近い値)になる(例えば、図10の日別出鋼量の太枠で示す領域を参照)。
以上のようにして品種単位チャージ枠1000を導出すると、品種単位チャージ編成部306は、品種単位チャージ枠1000を示す情報をコンピュータディスプレイに表示する。立案者は、表示された品種単位チャージ枠1000を確認し、当該品種単位チャージ枠1000を採用する場合には、チャージ編成装置300のユーザインターフェースを操作して、そのことを指示する。一方、当該品種単位チャージ枠1000を採用しない場合、立案者は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースを操作して、変更すべき内容の指示を行う。変更すべき内容としては、例えば、第1の立案方針取得部305により取得される立案方針および品種単位チャージ枠1000の値である。
品種単位チャージ編成部306は、第1の立案方針取得部305により取得される立案方針の変更があった場合には、変更後の内容で、前述したようにして品種単位チャージ枠1000を再度導出する。
品種単位チャージ編成部306は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行して品種単位チャージ枠1000の情報を導出して、コンピュータディスプレイに表示したり、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶したりすることにより実現される。
[スラブ設計情報取得部307]
スラブ設計情報取得部307は、各スラブに割り当てられるプレート(鉄鋼製品)についての情報と当該スラブについての情報とを含むスラブ設計情報を取得する。スラブ設計情報の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
図11は、スラブ設計情報1100の一例を示す図である。
図11において、スラブ設計情報1100は、スラブNo.と、当該スラブNo.のスラブに属する注文の組み合わせ(各注文における製品の枚数)と、スラブ重量と、スラブ余材重量と、鋼種とを属性として持つ。
ここで、スラブ重量とは、スラブ1枚当たりの重量である。スラブ余材重量とは、スラブ重量から、当該スラブに割り当てられるプレートの重量を差し引いたものである。スラブ余材重量は、注文が紐付いていない部分の重量である。尚、スラブ余材がない場合には、スラブ余材重量はゼロとなる。
図3において、スラブ1は、注文1、注文2、注文4のプレートを1枚ずつ組み合わせていることを表す。図4に示した注文情報400より、注文1、注文2、注文4のプレートの1枚の重量はそれぞれ、1.4[ton]、1.3[ton]、0.4[ton]である。したがって、これらの合計である3.3[ton]とスラブ余材重量である0.3[ton]との和である3.6[ton]がスラブ重量になる。
スラブ設計情報取得部307は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力したスラブ設計情報1100を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
以上のようにここでは、スラブ設計情報1100して予め与えられたものを用いる場合を例に挙げて示す。ただし、スラブ設計情報1100をチャージ編成装置300(スラブ設計情報取得部307)で導出することにより取得してもよい。スラブ設計情報は、例えば、特許文献3に記載されている公知の手法により導出することができるので、その導出方法の詳細な説明を省略するが、例えば、前述したように、注文に関するデータ(注文情報400)と、スラブに関するデータ(スラブの寸法、鋼種、スラブ作成時刻等の属性情報)とに基づいて、注文のプレートを割り当て可能なスラブ群の中から、最も歩留まりが良好となるスラブを選択し、当該スラブに当該プレートを割り当てることにより、スラブ設計情報1100を導出する。プレートをスラブに割り当てる際には、同一のスラブに割り当てられるプレートの鋼種が同じになるようにする。また、スラブとして望ましい大きさ(製造可能な範囲で可及的に大きなサイズ)になるように、スラブにプレートを割り当てられるのが好ましい。また、納期が同じ注文のプレートを同一のスラブに割り当てるのが好ましいが、スラブ余材を少なくするため、或る納期の注文のプレートと、当該納期よりも先の納期の注文のプレートとを同一のスラブに割り当ててもよい。
[第2の立案方針取得部308]
第2の立案方針取得部308は、後述するスラブ単位チャージ編成部309においてスラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する際の立案方針と、同じくスラブ単位チャージ編成部309において品種単位チャージ枠1000にスラブを割り当てる際の立案方針とを取得する。かかる立案方針の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
本実施形態では、第2の立案方針取得部308は、代表品種を最大注文重量の品種とすることと、代表納期を最も早い納期とすることと、納期を最優先にしてスラブを品種単位チャージ枠1000に割り当てることを示す情報を前記立案方針として取得する。
尚、代表品種および代表納期は、前述した内容に限定されない。例えば、代表品種は、スラブに含まれる注文の品種のうち、特定の精整工程における負荷の発生率(図6を参照)が最大である品種を用いてもよい。また、代表納期として、スラブに含まれる複数の注文の納期の平均値、中央値または最頻値を用いてもよい。また、納期だけでなく、他の指標(例えば、納期順に変えて、もしくは加えて、スラブ重量の大きい順およびスラブ余材重量の少ない順の少なくとも何れか一方など)を立案方針に含めてもよい。この場合、必ずしも納期を最優先にする必要はなく、他の指標を納期よりも優先させてもよい。例えば、他の指標を納期よりも優先し、他の指標が同じものについては納期を優先するようにしてもよい。
第2の立案方針取得部308は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した立案方針を示す情報を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
[スラブ単位チャージ編成部309]
品種単位チャージ枠1000は、品種キーを介して注文情報400と紐付けられている(図4、図10を参照)。しかしながら、実際の製造工程では、スラブ単位で製造する必要がある。そこで、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ設計情報1100と、第2の立案方針取得部308により取得された立案方針とに基づいて、スラブ設計情報1100に含まれるそれぞれのスラブを品種単位チャージ枠1000に関連付ける。
そのためにまず、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ設計情報1100に示される各スラブに属する注文の組み合わせと、注文情報400と、第2の立案方針取得部308により取得された立案方針とに基づいて、スラブ設計情報1100に示される各スラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する。
具体的に、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ設計情報1100に示される各スラブを構成する注文(プレート)を品種ごとに集約し、当該集約したプレートの重量が最大になる品種を代表品種とする。また、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ設計情報1100に示される各スラブを構成する注文(プレート)の納期のうち最も早い納期を代表納期とする。
例えば、図11に示すスラブ設計情報1100において、スラブ1は、注文1、注文2、注文4のプレートがそれぞれ1枚ずつ組み合わさったものである。また、図4に示す注文情報400において、注文1、注文2、注文4の品種キーはそれぞれ、「A−100」、「A-111」、「A-111」であり、納期はそれぞれ、9月10日(9/10)、9月8日(9/8)、9月7日(9/7)である。
また、前述した例では、第2の立案方針取得部308で取得される立案方針は、代表品種を最大注文重量の品種とすることと、代表納期を最も早い納期とすることである。
スラブ1を構成する品種毎の重量は、図4に示す注文情報400から、以下のように求められる。すなわち、スラブ1を構成する品種キー「A−100」のプレートの重量は、1.4[ton]、スラブ1を構成する品種キー「A−111」のプレートの重量は、1.9(=1.3+0.6)[ton]である。
したがって、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ1の代表品種として「A−111」を導出する。
また、図4に示す注文情報400から、スラブ1を構成する注文1、注文2、注文4のうち、最も早い納期の注文は、9月7日である。
したがって、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ1の代表納期として9月7日を導出する。
スラブ単位チャージ編成部309は、以上のようにして、スラブ設計情報1100に含まれる全てのスラブの代表品種と代表納期を導出する。尚、一つの注文のみからなるスラブの代表属性は、当該注文の属性そのものとなる。図12に、スラブの代表属性1200(代表品種および代表納期)の一例を示す。
次に、スラブ単位チャージ編成部309は、第2の立案方針取得部により取得された立案方針と、注文情報400とに基づいて、スラブ設計情報1100に含まれる全てのスラブを、品種単位チャージ枠1000の出鋼枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出する。尚、ここでいう出鋼枠とは、品種単位チャージ枠1000における、品種キーが割り当てられた各行に対応する部分をいう。
前述した例では、納期を最優先にしてスラブを品種単位チャージ枠1000の出鋼枠に割り当てることが、第2の立案方針取得部308で取得される立案方針である。
したがって、スラブ単位チャージ編成部309は、品種単位チャージ枠1000の出鋼量が出鋼枠の量になるまで、当該出鋼枠に、当該出鋼枠に属する品種を代表品種として持つスラブを代表納期の早いものから順に割り当てる。このとき、スラブを割り当てることができる出鋼枠が複数ある場合には、例えば、最も早い出鋼日の最も早いキャストの最も早いチャージにおける出鋼枠にスラブを割り当てるようにすればよい。
例えば、図10において9月3日(9/3)が出鋼日のキャストNo.1、チャージNo.1、品種キー「A−111」の出鋼枠の日別出鋼量は30[ton]である。
そして、図12において、スラブ設計情報1100に含まれる、代表品種が「A−111」のスラブのうち、代表納期が最も早いスラブはスラブ1であるとする。
この場合、スラブ単位チャージ編成部309は、前記出鋼枠(図10の9/3、キャストNo.1、チャージNo.1、品種キー「A−111」の欄)にはスラブ1を割り当て、当該出鋼枠の残りの出鋼量は26.4(=30−3.6)[ton]となる。このようにして、当該出鋼枠が埋まる(当該出鋼枠の残りの出鋼量が0(ゼロ)または所定値以下になる)までスラブを順に割り当てていくことによりスラブ単位出鋼計画が導出される。
尚、前述したように、品種単位チャージ枠1000は、品種キー毎の品種モデル600に基づいて精整負荷が平準化するように決定される(前記(4)式および(10)式を参照)。したがって、このような比較的シンプルな方法でスラブを品種単位チャージ枠1000の各品種の欄に割り当てることができる。
図13は、スラブ単位出鋼計画1300の一例を示す図である。図13では、スラブ1、2、3のみが割り当てられた状態のスラブ単位出鋼計画を示すが、品種単位チャージ枠1000の出鋼枠の何れかに、スラブ設計情報1100に含まれる全てのスラブが割り当てられる。尚、図13において、スラブ3がスラブ2よりも前に割り当てられているのは、図12に示すように、スラブ3の代表納期の方がスラブ2の代表納期よりも早いため、スラブ3がスラブ2よりも優先されるからである。
以上のようにして、品種キーを介して、図7に示したチャージ枠700(各出鋼日における各キャストに並べられるチャージのそれぞれ)と、プレートに割り当てられたスラブとが相互に関連付けられる。
尚、品種単位チャージ枠1000に対してスラブを割り当てる方法は、前述したような欲張り法(ルールに基づいて優先順に割り当てる方法)に限定されない。品種単位チャージ枠1000に対してスラブを割り当てる組み合わせ最適化問題として、品種単位チャージ枠1000に対して割り当てるスラブの最適解を解いてもよい。組み合わせ最適化問題の解法には、数理最適化手法(混合整数計画法等)や、メタヒューリスティクス等の近似解法等がある。問題規模が小さいときは数理最適化手法が、問題規模が大きい時は近似解法が、それぞれ用いられることが多い。尚、これらの手法については、例えば、非特許文献1に記載されている公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
以上のようにしてスラブ単位出鋼計画1300を導出すると、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ単位出鋼計画1300を示す情報をコンピュータディスプレイに表示する。立案者は、表示されたスラブ単位出鋼計画1300を確認し、当該スラブ単位出鋼計画1300を採用する場合には、チャージ編成装置300のユーザインターフェースを操作して、そのことを指示する。一方、当該スラブ単位出鋼計画1300を採用しない場合、立案者は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースを操作して、変更すべき内容の指示を行う。変更すべき内容としては、例えば、第2の立案方針取得部308により取得される立案方針およびスラブ単位出鋼計画1300の値である。
スラブ単位チャージ編成部309は、第2の立案方針取得部308により取得される立案方針の変更があった場合には、変更後の内容で、前述したようにしてスラブ単位出鋼計画1300を再度導出する。
スラブ単位チャージ編成部309は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行してスラブ単位出鋼計画1300の情報を導出して、コンピュータディスプレイに表示することにより実現される。
[出鋼計画登録部310]
出鋼計画登録部310は、スラブ単位チャージ編成部309で導出されたスラブ単位出鋼計画1300のうち、立案者により採用すると判断されたスラブ単位出鋼計画1300を登録する。登録の形態としては、例えば、データベースや可搬型記憶媒体への記憶、および外部装置への送信が挙げられる。
出鋼計画登録部310は、例えば、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行してスラブ単位出鋼計画1300の情報を、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶したり、入出力インターフェースを介して外部に送信したりすることにより実現される。
(動作フローチャート)
次に、図14のフローチャートを参照しながら、チャージ編成装置300の動作の一例を説明する。
まず、ステップS1401において、注文情報取得部301は、注文情報400を取得する。
次に、ステップS1402において、注文マトリクス作成部302は、ステップS401で取得した注文情報400に基づいて、注文マトリクス500を作成する。
次に、ステップS1403において、品種モデル取得部303は、品種モデル600を取得する。
次に、ステップS1404において、チャージ枠700を取得する。
次に、ステップS1405において、第1の立案方針取得部305は、品種単位チャージ枠1000を導出する際の立案方針を取得する。
次に、ステップS1406において、品種単位チャージ編成部306は、前記(1)式〜(7)式の制約式と、前記(13)式の評価関数を設定する。
次に、ステップS1407において、品種単位チャージ編成部306は、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数の値を最小にする品種単位チャージ枠1000を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する。
次に、ステップS1408において、品種単位チャージ編成部306は、ステップS1407で導出された品種単位チャージ枠1000を示す情報を立案結果としてコンピュータディスプレイに表示する。
次に、ステップS1409において、品種単位チャージ編成部306は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、ステップS1408で表示された品種単位チャージ枠1000を採用することが指示されたか否かを判定する。この判定の結果、品種単位チャージ枠1000を採用することが指示されなかった場合には、ステップS1410に進む。
ステップS1410に進むと、品種単位チャージ編成部306は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、変更内容の指示の入力を受け付ける。
次に、ステップS1411において、品種単位チャージ編成部306は、ステップS1410で入力した変更の指示が立案方針の変更の指示であるか否かを判定する。この判定の結果、立案方針の変更の指示である場合には、ステップS1406に戻る。そして、品種単位チャージ編成部306は、当該指示により変更された立案方針に従って、前述したステップS1406〜S1409の処理を行う。
一方、立案方針の変更の指示でない場合には、品種単位チャージ枠1000の値の変更の指示であると判定し、ステップS1408に戻る。そして、品種単位チャージ編成部306は、当該指示により変更された値の品種単位チャージ枠1000を表示する。
そして、ステップS1409において、品種単位チャージ枠1000を採用することが指示されたと判定されると、ステップS1412に進む。
ステップS1412に進むと、スラブ設計情報取得部307は、スラブ設計情報1100を取得する。
次に、ステップS1413において、第2の立案方針取得部308は、スラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する際の立案方針と、品種単位チャージ枠1000にスラブを割り当てる際の立案方針とを取得する。
次に、ステップS1414において、スラブ単位チャージ編成部309は、ステップS1412で取得されたスラブ設計情報1100と、ステップS1413で取得された立案方針とに基づいて、スラブ設計情報1100に示される各スラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する。
次に、ステップS1415において、スラブ単位チャージ編成部309は、ステップS1413で取得された立案方針と、ステップS1401で取得された注文情報400とに基づいて、スラブ単位出鋼計画1300を導出する。
次に、ステップS1416において、スラブ単位チャージ編成部309は、ステップS1415で導出されたスラブ単位出鋼計画1300を示す情報を立案結果としてコンピュータディスプレイに表示する。
次に、ステップS1417において、スラブ単位チャージ編成部309は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、ステップS1416で表示されたスラブ単位出鋼計画1300を採用することが指示されたか否かを判定する。この判定の結果、スラブ単位出鋼計画1300を採用することが指示されなかった場合には、ステップS1419に進む。
ステップS1419に進むと、スラブ単位チャージ編成部309は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、変更内容の指示の入力を受け付ける。
次に、ステップS1420において、スラブ単位チャージ編成部309は、ステップS1418で入力した変更の指示が立案方針の変更の指示であるか否かを判定する。この判定の結果、立案方針の変更の指示である場合には、ステップS1415に戻る。そして、スラブ単位チャージ編成部309は、当該指示により変更された立案方針に従って、前述したステップS1415〜S1417の処理を行う。
一方、立案方針の変更の指示でない場合には、スラブ単位出鋼計画1300の値の変更の指示であると判定し、ステップS1416に戻る。そして、スラブ単位チャージ編成部309は、当該指示により変更された値のスラブ単位出鋼計画1300を表示する。
そして、ステップS1417において、スラブ単位出鋼計画1300を採用することが指示されたと判定されると、ステップS1418に進む。
ステップS1418に進むと、ステップS1417で採用することが指示されたスラブ単位出鋼計画1300を登録する。
そして、図14のフローチャートによる処理を終了する。
(実施例)
次に、実施例を説明する。
実施例として、表1〜表3のような条件で出鋼計画を立案した例を説明する。1チャージあたり300[ton]のチャージを、7日間で17個のキャストにスラブを割り当てる。対象となるスラブ総枚数は3478枚である。
Figure 0006428375
Figure 0006428375
Figure 0006428375
また、精整工程の負荷の平準化を志向した評価関数((10)式)における移動平均は1日とした。
立案結果を図15〜図17に示す。図15〜図17は、それぞれ、切断工程P4、熱処理工程P5、特別検査工程P6での日別発生量である。また、それぞれの図において、スラブ単位出鋼計画(出鋼枠利用)とは、スラブ単位チャージ編成部309の立案結果、つまり、品種単位チャージ枠(図10を参照)に対して、前述した出鋼枠(図10の品種キーが割り当てられている列の各行に対応する部分)を利用してスラブを割り付けたときの各工程の日別発生量であり、本実施形態による立案結果の実施例である。
一方、比較例として示す品種単位出鋼計画とは、品種単位チャージ編成部306の立案結果、つまり、スラブを割り付ける前の品種単位チャージ枠(図10を参照;「日別出鋼量」と記載)を用いて品種単位で立案したときの各工程の日別発生量である。
また、同様に比較例として示すスラブ単位出鋼計画(鋼種枠利用)とは、品種単位チャージ枠(図10を参照)に対して、鋼種枠(図10の鋼種が割り当てられている列の各行に対応する部分)を利用してスラブを割り付けた時の各工程の日別発生量である。
スラブ単位出鋼計画(出鋼枠利用)の各工程の日別発生量は、概ね工程能力上限値以下となっており、精整負荷の平準化が図られていることがわかる。なお、発生量が工程能力上限値を超えている日もあるが、これは出鋼ロットの拡大もしくは納期も含めた総合的な指標で立案しているためである。
また、品種単位出鋼計画とスラブ単位出鋼計画(出鋼枠利用)の日別発生量は大きくは変わらないことがわかる。このことは、出鋼枠を利用してスラブを割り付ける本実施形態の手法により、精整負荷の平準化の度合いを劣化させることはないことを示す。
また、スラブ単位出鋼計画(鋼種枠利用)の日別発生量は、切断工程、熱処理工程ではスラブ単位出鋼計画(出鋼枠利用)と比べて同程度であるが、特別検査工程では大幅に工程能力上限値を超過していることがわかる。このことは、鋼種枠を利用してスラブを割り付けることは精整工程の平準化の度合いを劣化させることがあることを示す。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた品種キーが同じ注文(プレート)を同一の品種として集約し、出鋼日と納期との差異に関する評価値と、精整工程の負荷の平準化に関する評価値と、プレートにならない請求余材の量に関する評価値と、の重み付き線形和で表される評価関数が最小となるときの品種別・出鋼日別の出鋼量である品種単位チャージ枠1000を導出する、また、立案対象の全てのスラブの代表品種および代表納期を導出し、導出した代表納期を指標として用いて、品種単位チャージ枠1000の出鋼枠に、当該出鋼枠に属する品種と同じ代表品種を持つスラブを割り当てたものをスラブ単位出鋼計画1300として導出する。
したがって、計算時間と立案精度とのバランスをとることができる。具体的には、例えば、以下のような効果がある。
品種単位チャージ枠1000を導出する問題(チャージ枠700に品種を割り当てる問題)は、線形計画問題となる。このため、計画全体を対象として、納期、精整工程の負荷の平準化、および請求余材を考慮した最適解(チャージ枠)を実用時間内に得ることができる。
また、注文を品種単位にまとめることで、問題の規模を削減し、計算を高速化できる。
また、連続量である品種毎の注文量をチャージ枠に割り当てる問題とすることにより、離散量であるスラブをチャージ枠に直接割り当てる問題に比べてはるかに高速に最適解を求めることができる。
また、品種として、少なくとも「鋼種」と「予定通過工程パターン」とを用いるので、品種単位のチャージ枠(品種単位出鋼計画)とスラブ単位のチャージ枠(スラブ単位出鋼計画)の評価指標が大きく異なることを抑制することができる。
(変形例)
本実施形態では、精整工程の負荷の平準化をキャスト計画全体の指標とし、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を品種キーとする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、精整工程の負荷の平準化とは異なる指標をさらに加えてキャスト計画全体の指標とする場合には、鋼種と予定通過工程パターンに加えて、当該指標を考慮できる情報を品種キーに含めてもよい。ただし、このようにする場合であっても、前述したように、キャストとスラブとで共通する情報を品種キーに含める情報とする。例えば、一定期間内の納期の注文が同一の品種キーとなるように、一定期間内の納期を表す情報を品種キーに加えてもよい。
また、本実施形態では、前記(13)式の評価関数の値を最小にする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、評価関数の値を最大にするようにしてもよい。このようにする場合には、例えば、前記(13)式(の全体)に(−1)を乗算すればよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
注文情報取得手段は、例えば、注文情報取得部301を用いることにより実現される(図14のステップS1401も参照)。
注文マトリクス作成手段は、例えば、注文マトリクス作成部302を用いることにより実現される(図14のステップS1402も参照)。
品種単位チャージ枠導出手段は、例えば、品種単位チャージ編成部306を用いることにより実現される(図14のステップS1406〜S1407も参照)。
代表属性導出手段は、例えば、スラブ単位チャージ編成部309を用いることにより実現される(図14のステップS1414も参照)。
スラブ単位出鋼計画導出手段は、例えば、スラブ単位チャージ編成部309を用いることにより実現される(図14のステップS1415も参照)。
第1の評価値は、例えば、(8)式、(9a)式、および(9b)式を用いることにより実現される。
第2の評価値は、例えば、(10)式を用いることにより実現される。
301:注文情報取得部、302:注文マトリクス作成部、303:品種モデル取得部、304:チャージ枠取得部、305:第1の立案方針取得部、306:第2の立案方針取得部、307:スラブ設計情報取得部、308:第2の立案方針取得部、309:スラブ単位チャージ編成部、310:出鋼計画登録部

Claims (7)

  1. 転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程、および複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成装置であって、
    前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期と、品種と、を少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得手段と、
    前記注文情報を、前記品種ごと、前記納期ごとに集約し、品種別・納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成手段と、
    前記注文マトリクスと、前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含むチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である工程能力上限値と、に基づいて、品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位チャージ枠を導出する品種単位チャージ枠導出手段と、
    複数のスラブそれぞれを構成するプレートの前記注文ごとの枚数と、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とを属性として少なくとも含むスラブ設計情報における、当該スラブのそれぞれの代表属性として、少なくとも代表品種と代表納期とを含む代表属性を導出する代表属性導出手段と、
    少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位チャージ枠における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出手段と、
    を有し、
    前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、
    前記品種単位チャージ枠導出手段は、前記出鋼日と前記納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、数理計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とするチャージ編成装置。
  2. 前記代表属性導出手段は、前記スラブに属するプレートを前記品種ごとに集約し、当該集約したプレートの重量が最大になる前記品種を前記代表品種として導出すると共に、前記スラブに属するプレートの前記納期のうち最も早い納期を前記代表納期として導出することを特徴とする請求項1に記載のチャージ編成装置。
  3. 前記スラブ単位出鋼計画導出手段は、予め定められたルールに従って前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てることと、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てる組み合わせ最適化問題を解くこととの何れか一方を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のチャージ編成装置。
  4. 前記予め定められたルールは、早い前記代表納期を有する前記スラブから優先して、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てることであることを特徴とする請求項3に記載のチャージ編成装置。
  5. 前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記予定通過工程パターンと、の組み合わせからなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のチャージ編成装置。
  6. 転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程、および複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成方法であって、
    前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期と、品種と、を少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得ステップと、
    前記注文情報を、前記品種ごと、前記納期ごとに集約し、品種別・納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成ステップと、
    前記注文マトリクスと、前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含むチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である工程能力上限値と、に基づいて、品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位チャージ枠を導出する品種単位チャージ枠導出ステップと、
    複数のスラブそれぞれを構成するプレートの前記注文ごとの枚数と、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とを属性として少なくとも含むスラブ設計情報における、当該スラブのそれぞれの代表属性として、少なくとも代表品種と代表納期とを含む代表属性を導出する代表属性導出ステップと、
    少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位チャージ枠における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出ステップと、
    を有し、
    前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、
    前記品種単位チャージ枠導出ステップは、前記出鋼日と前記納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、数理計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とするチャージ編成方法。
  7. 請求項1〜5の何れか1項に記載のチャージ編成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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