JP6428375B2 - チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
まず、転炉工程P1では、高温溶融状態の鉄鋼中間製品(以下、溶鋼と称する。)の化学的成分である鋼種を例えば約300ton単位で調整し、溶鋼鍋に出鋼する。この転炉工程P1での出鋼単位をチャージという。
圧延工程P3では、スラブを加熱し、当該加熱したスラブを、所定の厚みや幅になるように成形(圧延)する。
熱処理工程P5では、強度および靭性等の品質が注文仕様となるように、プレートやスラブに対して加熱・保熱処理を行う。
特別検査工程P6では、プレートやスラブに対して注文仕様に応じた特別な検査を行う。
図18に示す例では、切断工程P4、熱処理工程P5、および特別検査工程P6が精整工程になる。以下の説明では、切断工程P4、熱処理工程P5、および特別検査工程P6を総称する場合、必要に応じて、精整工程と称する。
全ての処理を終えた製品は倉庫P7に配置される。
ここで、プレートは、個々の最終製品を表す。注文は、サイズ、品質(強度および靱性等)、納期、顧客が同一のプレートの集まりである。スラブは、転炉工程P1、連続鋳造工程P2、および圧延工程P3での製造条件が同じであるプレートの集まりである。
スラブ設計は、スラブとして望ましい大きさとなるように、注文に示される各プレートを組み合わせることにより行われる。
チャージ編成は、鋼種が同じスラブを転炉の製造単位であるチャージに割り当てることにより行われる。
キャスト編成は、チャージをキャストに割り当てることにより行われる。
週間計画は、キャストを1週間から数週間先まで並べることにより作成される。
特許文献1には、評価関数をチャージ毎に算出した値に基づき、チャージに割り当てられるスラブの編成(並び)を最適化し、さらに、遺伝子情報としてスラブの番号(スラブNo)が遺伝子座に設定された個体毎に評価関数を算出した値に基づき、キャストに割り当てられるチャージを最適化することが記載されている。
また、特許文献3に記載の技術は、注文をスラブに割り当てた時の歩留まりを最大化するための方法であり、納期や下工程の負荷等、計画全体の指標を考慮しているものではない。
図1は、厚板の一般的な生産計画の概要の一例を概念的に示す図である。
図1において、注文1は、4枚のプレート(製品(ここでは厚板))の注文であることを示す。注文2、3、4、5、6はそれぞれ、2枚、2枚、1枚、1枚、1枚の注文であることを示す。
一方、スラブの歩留を向上させるために、直近の納期の注文のプレートと、先の納期の注文のプレートとを同一のスラブとして組み合わせると製品在庫が多くなってしまう。このように、スラブの歩留と製品在庫にはトレードオフの関係がある。
また、図1において、キャスト1には、チャージ1、チャージ2、およびチャージ4を含む複数のチャージが、チャージ1、チャージ2、チャージ4の順に割り当てられることを示す。また、キャスト2には、チャージ4を含む複数のチャージが割り当てられることを示す。前述したように、この割り当てを決めることをキャスト編成という。
なお、鋼種は決まっているが、スラブは割り当てられていないチャージをチャージ枠という。
図2に示す例においては、転炉工程P1ではプレートの大きさ約3[ton]の約100倍の大きさを、連続鋳造工程P2ではプレートの約800倍の大きさを、圧延工程P3ではプレートの約6倍の大きさを、それぞれ最小製造ロット単位として製造することが生産性や歩留の観点で必要であることを示す。
図3は、チャージ編成装置300の機能的な構成の一例を示す図である。チャージ編成装置300のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置(PC)や、専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。以下に、チャージ編成装置300が有する機能の一例を説明する。尚、以下の各部は、例えば、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。
注文情報取得部301は、注文の属性を示す注文情報を取得する。注文情報の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
図4は、注文情報400の一例を示す図である。図4に示す例では、注文情報400には、注文No、製品枚数、製品単重、納期、製品サイズ、鋼種、予定通過工程、および品種キーが含まれる。
製品枚数は、注文内のプレート(製品)の枚数である。図4において、例えば、注文1の製品枚数は「4」である。
製品単重は、プレートの1枚当たりの重量である。図4において、例えば、注文1の製品単重は1.4[ton/製品]である。したがって、注文1に含まれるプレートの総重量は5.6(=4×1.4)[ton]である。
鋼種は、プレートの成分である。ここでは、表記および説明を簡単にするため、鋼種(製品の成分)そのものではなく、鋼種の識別情報を鋼種とする。図4において、例えば、注文1の鋼種は「A」である。
本実施形態では、精整工程P4〜P6の通過の有無の予測値を、切断工程P4、熱処理工程P5、特別検査工程P6の順に並べたものを予定通過工程パターンとする。ここでは、精整工程P4〜P6を通過する予定であることを示す予測値を「1」とし、精整工程P4〜P6を通過する予定でないことを示す予測値を「0(ゼロ)」とする。尚、精整工程P4〜P6の通過の有無の予測値は、所定の順番であれば、前述した順番に限定されない。
また、注文1の製品の鋼種は「A」である。
以上のことから、注文1の品種キーは、「A−100」になる。
注文情報取得部301は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した注文情報400を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
注文マトリクス作成部302は、注文情報取得部301で入力された注文情報400を、品種キー毎、納期毎に集約し、品種別・納期別の注文重量である注文マトリクスを作成する。
図5は、注文マトリクス500の一例を示す図である。尚、図5の注文マトリクス500に示されている品種別・納期別の注文重量の単位はtonである。
図5において、品種No.は、品種キーの識別番号であり、品種の表示順に連番を付与したものである。
前述したように、図4に示す例では、注文1の納期は9月10日(9/10)である。また、注文1の製品枚数は「4」であり、製品単重は、1.4[ton/製品]である。したがって、注文1の総重量は5.6(=4×1.4)[ton]である。また、注文1の品種キーは「A−100」である。以上のことから、図4に示す例において、品種キーが「A−100」である注文が注文1のみであるとすると、図5に示すように、品種1の9月10日の注文重量は、5.6[ton]になる。
また、本実施形態では、同一のキャスト内のチャージの鋼種(成分)をできるだけ同じものにまとめ、納期を守りつつ、精整工程の負荷を平準化する出鋼計画を作成する。したがって、注文を品種にグルーピングした後でも、これらの指標を考慮することができるようにする必要がある。また、前述したように本実施形態では、チャージ枠とスラブとを品種を介して相互に関連付ける。したがって、品種キーには、キャストとスラブとで共通する情報を含める必要がある。以上のような観点から、本実施形態では、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を品種キーとして注文をグルーピングする。
品種モデル取得部303は、鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルを取得する。尚、前述したように、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせたものであるので、品種モデルは、品種別の各精整工程における負荷の発生率であるということができる。品種モデルの取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
図6において、チャージNo.は、チャージの識別番号である。通過工程No.は、チャージ毎の予定通過工程パターンの識別番号である。
図6において、例えば、鋼種が「A」であり、予定通過工程パターンが「000」である品種キー(すなわち、品種1)の鋼材は、切断、熱処理、特別検査のそれぞれの工程の発生率が何れも「0.1」であることを示す。尚、図6において、J[1]、J[2]は、それぞれ鋼種A、Bにおける予定通過工程パターンの総数(予定通過工程パターンの種類の数)を表す。
例えば、鋼種が「A」であり、予定通過工程パターンが「000」である品種キー(すなわち、品種1)の鋼材のうち、切断工程P4を通過した鋼材の総枚数を、当該品種1の鋼材の総枚数で割った値が、鋼種が「A」であり且つ予定通過工程パターンが「000」である鋼材の精整工程(切断)の発生率(=0.1)となる。
チャージ枠取得部304は、チャージ枠を取得する。チャージ枠は、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を示すものである。すなわち、チャージ枠は、各出鋼日におけるキャストの数と、それぞれのキャストにおけるチャージの数と、それぞれのチャージにおける鋼種を示すものである。チャージ枠の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。尚、出鋼日は計画立案の対象となる日(計画立案日)である。
図7に示すチャージ枠700では、9月3日には3個、9月4日には2個のキャストを製造することを表す。また、例えば、出鋼日が9月3日であるキャスト1では、鋼種が「A」であるチャージを9個連続して連続鋳造することを表す。また、出鋼日が9月3日であるキャスト2では、鋼種が「B」であるチャージを4個連続して連続鋳造した後、鋼種が「C」であるチャージを4個連続して連続鋳造することを表す。
第1の立案方針取得部305は、後述する品種単位チャージ編成部306において、品種単位チャージ枠(品種別・出鋼日別の出鋼量)を導出する際の立案方針を取得する。かかる立案方針の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
本実施形態では、第1の立案方針取得部305は、工程能力上限値と、最適化計算収束条件と、最適化計算時間と、各評価指標の重み係数W1、W2、W3とを前記立案方針として取得する。
図8に示すように、工程能力上限値800は、出鋼日別・精整工程別の能力(処理量)の上限値である。図8において、例えば、9月3日における切断工程P4の能力(処理量)の上限値は300[ton]であることを示す(図8における「工程名」の「切断」の欄と「出鋼日別能力上限値」の「9/3」の欄を参照)。尚、設備の修理等により、休止する精整工程(設備)については、休止時間に応じて、能力(処理量)を減ずればよい。図8に示す例では、9月4日と9月5日は、特別検査工程P6が設備の修理のために休止されるため、9月4日と9月5日における特別検査工程P6の能力(処理量)の上限値を0[ton]としている。
最適化計算時間は、最適化計算収束条件を満たす解を探索する時間の上限値である。最適化計算時間が経過しても、最適化計算収束条件を満たす解が得られない場合、最適化計算を終了する。尚、時間の上限値の代わりに、計算回数の上限値を用いてもよい。
品種単位チャージ編成部306は、注文マトリクス作成部302により作成された注文マトリクス500と、品種モデル取得部303により取得された品種モデル600と、チャージ枠取得部304により取得されたチャージ枠700と、第1の立案方針取得部305により取得された立案方針とを入力として、品種単位チャージ枠(品種別・出鋼日別の出鋼量)を導出する。
<制約式>
まず制約式について説明する。
<<第1の制約式>>
第k日、鋼種iの出鋼量C[i][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンj(=1、2・・・J[i])の品種単位チャージ枠x[i][j][k]と、第k日、鋼種iの請求余材β[i][k]との和であるから、以下の(1)式のように表される。ここで、J[i]は、鋼種iの予定通過工程パターンの総数(予定通過工程パターンの種類の数)である。
注文マトリクス500の納期の通りに出鋼する必要はなく、納期との乖離が大きくない範囲で出鋼すればよい。或る出鋼日(計画立案日)の出鋼量には、当該出鋼日と異なる日を納期とする鋼材の出鋼量が含まれることがある。第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位チャージ枠x[i][j][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンj、納期tの品種単位納期別チャージ枠xt[i][j][t][k]の立案期間(K日間)内の累積値として、以下の(2)式で表わされる。品種単位納期別チャージ枠xt[i][j][t][k]は、鋼種別・予定通過工程パターン別・納期別・出鋼日別の出鋼量である。尚、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報であるので、品種単位納期別チャージ枠xt[i][j][t][k]は、品種別・納期別・出鋼日別の出鋼量ということができる。
全体としての注文量と出鋼量は釣り合う。したがって、立案期間(K日間)内において、鋼種i、予定通過工程パターンj、納期tの注文マトリクスxr[i][j][t]と、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位チャージ枠x[i][j][k]との関係は、以下の(3)式で表わされる。尚、注文量の一部を生産計画の対象とする場合は、生産計画へ織り込まない注文量を表わす変数を(3)式に追加すればよい。
精整工程の負荷は、品種単位チャージ枠と品種モデル(鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程の発生率)との積の鋼種・精整工程毎の和で表わされる。したがって、第k日、工程番号lの工程負荷y[l][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位チャージ枠x[i][j][k]と、鋼種i、予定通過工程パターンj、工程番号lの品種モデルr[i][j][l]とにより、以下の(4)式により表される。ここで、Iは、鋼種の総数(種類の数)である。尚、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報であるので、精整工程の負荷は、品種単位チャージ枠と品種モデルとの積の品種毎の和で表わされるということができる。
ロットサイズLOT_SIZEは、転炉工程P1での1ロットの処理量であり、第k日、出鋼種iの出鋼量C[i][k]と、第k日、鋼種iのロット数δL[i][k]とを用いて、以下の(5)式により表される。(5)式は、第k日、鋼種iの出鋼量C[i][k]を定義する制約式である。
立案開始時の精整工程lの初期仕掛stock[l][0]と、第k日、精整工程lの仕掛stock[l][k]は、それぞれ以下の(6a)式および(6b)式で表される。尚、ここでいう仕掛とは、仕掛中の鋼材の総重量[ton]をいう。
(6a)式において、立案開始時の精整工程lの初期仕掛stock[l][0]は、精整工程l毎に予め定められる初期仕掛stock_0になる。尚、(6a)式の右辺の第2項(y[l][k])と第3項(yr[l][k])は、立案開始前における値(k=0)になるので、共に「0」となる。
また、品種単位チャージ編成部306は、例えば、工程能力上限値800に基づいて、(6b)式の左辺および右辺第1項・第2項のl、kを設定すると共に、右辺第3項のyr[l][k]を設定することにより、(6b)式の制約式を設定する。
精整工程l毎に予め設定された日数achieve_day[l]以降の精整工程の仕掛をある一定以上確保する。安全仕掛を確保する制約式は、safety_stock[l]を用いて、以下の(7)式のように表される。
尚、仕掛がないものとする場合には、前述した(6a)式、(6b)式および(7)式の設定を省略することができる。
次に、目的関数について説明する。
<<第1の評価値>>
以下に示す(8)式は、納期tに対して先行する出鋼量と、納期tに対して遅れる出鋼量との最小化を志向する評価指標である。
以下に示す(10)式は、精整工程の負荷の平準化を志向した評価関数である。ここでは、当該評価関数が、3日間の精整工程の負荷の移動平均と工程能力上限値との差の、全出鋼日および全精整工程における総和の最小化を志向する評価関数である場合を例に挙げて示す。
以下に示す(11)式は、請求余材の最小化を志向した評価関数である。
本実施形態では、納期遅れを最小にすることと、製品在庫を最小にすることについては、以下のように評価関数を定めることにより実現する。すなわち、納期前後の数日間においては、出鋼のずれと在庫となることを許容すると共に、納期よりも過度に先行して出鋼することと、納期よりも過度に遅れて出鋼することとを抑制するために、以下の(12)式に示す重み関数W(k,t)を、前記(8)式の納期遵守の評価関数に付与する。図9は、重み関数W(k,t)の一例を示す図である。例えば、図9において、a=2、b=5、c=100とする。この重み関数W(k,t)を前記(8)に追加し、この(8)式と、前記(10)式と、前記(11)式の重み付き線形和を取ると、以下の(13)式のように、各評価指標のバランスを取った総合評価指標(評価関数)が得られる。
品種単位チャージ編成部306は、例えば、注文マトリクス500に基づいて、I、J[i]、K、L、t、k、i、j、t、q、dと、(9b)式のxr[i][j][t]とを設定することと、工程能力上限値800に基づいて、yr[l][k]を設定することと、第1の立案方針取得部305により取得された重み係数W1、W2、W3を設定することとを行うことにより、(13)式の評価関数を設定する。
品種単位チャージ編成部306は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行して品種単位チャージ枠1000の情報を導出して、コンピュータディスプレイに表示したり、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶したりすることにより実現される。
スラブ設計情報取得部307は、各スラブに割り当てられるプレート(鉄鋼製品)についての情報と当該スラブについての情報とを含むスラブ設計情報を取得する。スラブ設計情報の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
図11において、スラブ設計情報1100は、スラブNo.と、当該スラブNo.のスラブに属する注文の組み合わせ(各注文における製品の枚数)と、スラブ重量と、スラブ余材重量と、鋼種とを属性として持つ。
ここで、スラブ重量とは、スラブ1枚当たりの重量である。スラブ余材重量とは、スラブ重量から、当該スラブに割り当てられるプレートの重量を差し引いたものである。スラブ余材重量は、注文が紐付いていない部分の重量である。尚、スラブ余材がない場合には、スラブ余材重量はゼロとなる。
スラブ設計情報取得部307は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力したスラブ設計情報1100を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
第2の立案方針取得部308は、後述するスラブ単位チャージ編成部309においてスラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する際の立案方針と、同じくスラブ単位チャージ編成部309において品種単位チャージ枠1000にスラブを割り当てる際の立案方針とを取得する。かかる立案方針の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
本実施形態では、第2の立案方針取得部308は、代表品種を最大注文重量の品種とすることと、代表納期を最も早い納期とすることと、納期を最優先にしてスラブを品種単位チャージ枠1000に割り当てることを示す情報を前記立案方針として取得する。
第2の立案方針取得部308は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した立案方針を示す情報を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
品種単位チャージ枠1000は、品種キーを介して注文情報400と紐付けられている(図4、図10を参照)。しかしながら、実際の製造工程では、スラブ単位で製造する必要がある。そこで、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ設計情報1100と、第2の立案方針取得部308により取得された立案方針とに基づいて、スラブ設計情報1100に含まれるそれぞれのスラブを品種単位チャージ枠1000に関連付ける。
具体的に、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ設計情報1100に示される各スラブを構成する注文(プレート)を品種ごとに集約し、当該集約したプレートの重量が最大になる品種を代表品種とする。また、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ設計情報1100に示される各スラブを構成する注文(プレート)の納期のうち最も早い納期を代表納期とする。
また、前述した例では、第2の立案方針取得部308で取得される立案方針は、代表品種を最大注文重量の品種とすることと、代表納期を最も早い納期とすることである。
したがって、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ1の代表品種として「A−111」を導出する。
したがって、スラブ単位チャージ編成部309は、スラブ1の代表納期として9月7日を導出する。
スラブ単位チャージ編成部309は、以上のようにして、スラブ設計情報1100に含まれる全てのスラブの代表品種と代表納期を導出する。尚、一つの注文のみからなるスラブの代表属性は、当該注文の属性そのものとなる。図12に、スラブの代表属性1200(代表品種および代表納期)の一例を示す。
したがって、スラブ単位チャージ編成部309は、品種単位チャージ枠1000の出鋼量が出鋼枠の量になるまで、当該出鋼枠に、当該出鋼枠に属する品種を代表品種として持つスラブを代表納期の早いものから順に割り当てる。このとき、スラブを割り当てることができる出鋼枠が複数ある場合には、例えば、最も早い出鋼日の最も早いキャストの最も早いチャージにおける出鋼枠にスラブを割り当てるようにすればよい。
そして、図12において、スラブ設計情報1100に含まれる、代表品種が「A−111」のスラブのうち、代表納期が最も早いスラブはスラブ1であるとする。
以上のようにして、品種キーを介して、図7に示したチャージ枠700(各出鋼日における各キャストに並べられるチャージのそれぞれ)と、プレートに割り当てられたスラブとが相互に関連付けられる。
出鋼計画登録部310は、スラブ単位チャージ編成部309で導出されたスラブ単位出鋼計画1300のうち、立案者により採用すると判断されたスラブ単位出鋼計画1300を登録する。登録の形態としては、例えば、データベースや可搬型記憶媒体への記憶、および外部装置への送信が挙げられる。
出鋼計画登録部310は、例えば、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行してスラブ単位出鋼計画1300の情報を、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶したり、入出力インターフェースを介して外部に送信したりすることにより実現される。
次に、図14のフローチャートを参照しながら、チャージ編成装置300の動作の一例を説明する。
まず、ステップS1401において、注文情報取得部301は、注文情報400を取得する。
次に、ステップS1402において、注文マトリクス作成部302は、ステップS401で取得した注文情報400に基づいて、注文マトリクス500を作成する。
次に、ステップS1404において、チャージ枠700を取得する。
次に、ステップS1405において、第1の立案方針取得部305は、品種単位チャージ枠1000を導出する際の立案方針を取得する。
次に、ステップS1407において、品種単位チャージ編成部306は、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数の値を最小にする品種単位チャージ枠1000を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する。
次に、ステップS1408において、品種単位チャージ編成部306は、ステップS1407で導出された品種単位チャージ枠1000を示す情報を立案結果としてコンピュータディスプレイに表示する。
ステップS1410に進むと、品種単位チャージ編成部306は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、変更内容の指示の入力を受け付ける。
一方、立案方針の変更の指示でない場合には、品種単位チャージ枠1000の値の変更の指示であると判定し、ステップS1408に戻る。そして、品種単位チャージ編成部306は、当該指示により変更された値の品種単位チャージ枠1000を表示する。
ステップS1412に進むと、スラブ設計情報取得部307は、スラブ設計情報1100を取得する。
次に、ステップS1413において、第2の立案方針取得部308は、スラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する際の立案方針と、品種単位チャージ枠1000にスラブを割り当てる際の立案方針とを取得する。
次に、ステップS1416において、スラブ単位チャージ編成部309は、ステップS1415で導出されたスラブ単位出鋼計画1300を示す情報を立案結果としてコンピュータディスプレイに表示する。
ステップS1419に進むと、スラブ単位チャージ編成部309は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、変更内容の指示の入力を受け付ける。
一方、立案方針の変更の指示でない場合には、スラブ単位出鋼計画1300の値の変更の指示であると判定し、ステップS1416に戻る。そして、スラブ単位チャージ編成部309は、当該指示により変更された値のスラブ単位出鋼計画1300を表示する。
ステップS1418に進むと、ステップS1417で採用することが指示されたスラブ単位出鋼計画1300を登録する。
そして、図14のフローチャートによる処理を終了する。
次に、実施例を説明する。
実施例として、表1〜表3のような条件で出鋼計画を立案した例を説明する。1チャージあたり300[ton]のチャージを、7日間で17個のキャストにスラブを割り当てる。対象となるスラブ総枚数は3478枚である。
立案結果を図15〜図17に示す。図15〜図17は、それぞれ、切断工程P4、熱処理工程P5、特別検査工程P6での日別発生量である。また、それぞれの図において、スラブ単位出鋼計画(出鋼枠利用)とは、スラブ単位チャージ編成部309の立案結果、つまり、品種単位チャージ枠(図10を参照)に対して、前述した出鋼枠(図10の品種キーが割り当てられている列の各行に対応する部分)を利用してスラブを割り付けたときの各工程の日別発生量であり、本実施形態による立案結果の実施例である。
また、同様に比較例として示すスラブ単位出鋼計画(鋼種枠利用)とは、品種単位チャージ枠(図10を参照)に対して、鋼種枠(図10の鋼種が割り当てられている列の各行に対応する部分)を利用してスラブを割り付けた時の各工程の日別発生量である。
以上のように本実施形態では、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた品種キーが同じ注文(プレート)を同一の品種として集約し、出鋼日と納期との差異に関する評価値と、精整工程の負荷の平準化に関する評価値と、プレートにならない請求余材の量に関する評価値と、の重み付き線形和で表される評価関数が最小となるときの品種別・出鋼日別の出鋼量である品種単位チャージ枠1000を導出する、また、立案対象の全てのスラブの代表品種および代表納期を導出し、導出した代表納期を指標として用いて、品種単位チャージ枠1000の出鋼枠に、当該出鋼枠に属する品種と同じ代表品種を持つスラブを割り当てたものをスラブ単位出鋼計画1300として導出する。
したがって、計算時間と立案精度とのバランスをとることができる。具体的には、例えば、以下のような効果がある。
また、注文を品種単位にまとめることで、問題の規模を削減し、計算を高速化できる。
また、連続量である品種毎の注文量をチャージ枠に割り当てる問題とすることにより、離散量であるスラブをチャージ枠に直接割り当てる問題に比べてはるかに高速に最適解を求めることができる。
また、品種として、少なくとも「鋼種」と「予定通過工程パターン」とを用いるので、品種単位のチャージ枠(品種単位出鋼計画)とスラブ単位のチャージ枠(スラブ単位出鋼計画)の評価指標が大きく異なることを抑制することができる。
本実施形態では、精整工程の負荷の平準化をキャスト計画全体の指標とし、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を品種キーとする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、精整工程の負荷の平準化とは異なる指標をさらに加えてキャスト計画全体の指標とする場合には、鋼種と予定通過工程パターンに加えて、当該指標を考慮できる情報を品種キーに含めてもよい。ただし、このようにする場合であっても、前述したように、キャストとスラブとで共通する情報を品種キーに含める情報とする。例えば、一定期間内の納期の注文が同一の品種キーとなるように、一定期間内の納期を表す情報を品種キーに加えてもよい。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
注文情報取得手段は、例えば、注文情報取得部301を用いることにより実現される(図14のステップS1401も参照)。
注文マトリクス作成手段は、例えば、注文マトリクス作成部302を用いることにより実現される(図14のステップS1402も参照)。
品種単位チャージ枠導出手段は、例えば、品種単位チャージ編成部306を用いることにより実現される(図14のステップS1406〜S1407も参照)。
代表属性導出手段は、例えば、スラブ単位チャージ編成部309を用いることにより実現される(図14のステップS1414も参照)。
スラブ単位出鋼計画導出手段は、例えば、スラブ単位チャージ編成部309を用いることにより実現される(図14のステップS1415も参照)。
第1の評価値は、例えば、(8)式、(9a)式、および(9b)式を用いることにより実現される。
第2の評価値は、例えば、(10)式を用いることにより実現される。
Claims (7)
- 転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程、および複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成装置であって、
前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期と、品種と、を少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得手段と、
前記注文情報を、前記品種ごと、前記納期ごとに集約し、品種別・納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成手段と、
前記注文マトリクスと、前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含むチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である工程能力上限値と、に基づいて、品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位チャージ枠を導出する品種単位チャージ枠導出手段と、
複数のスラブそれぞれを構成するプレートの前記注文ごとの枚数と、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とを属性として少なくとも含むスラブ設計情報における、当該スラブのそれぞれの代表属性として、少なくとも代表品種と代表納期とを含む代表属性を導出する代表属性導出手段と、
少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位チャージ枠における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出手段と、
を有し、
前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、
前記品種単位チャージ枠導出手段は、前記出鋼日と前記納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、数理計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とするチャージ編成装置。 - 前記代表属性導出手段は、前記スラブに属するプレートを前記品種ごとに集約し、当該集約したプレートの重量が最大になる前記品種を前記代表品種として導出すると共に、前記スラブに属するプレートの前記納期のうち最も早い納期を前記代表納期として導出することを特徴とする請求項1に記載のチャージ編成装置。
- 前記スラブ単位出鋼計画導出手段は、予め定められたルールに従って前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てることと、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てる組み合わせ最適化問題を解くこととの何れか一方を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のチャージ編成装置。
- 前記予め定められたルールは、早い前記代表納期を有する前記スラブから優先して、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てることであることを特徴とする請求項3に記載のチャージ編成装置。
- 前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記予定通過工程パターンと、の組み合わせからなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のチャージ編成装置。
- 転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程、および複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成方法であって、
前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期と、品種と、を少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得ステップと、
前記注文情報を、前記品種ごと、前記納期ごとに集約し、品種別・納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成ステップと、
前記注文マトリクスと、前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含むチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である工程能力上限値と、に基づいて、品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位チャージ枠を導出する品種単位チャージ枠導出ステップと、
複数のスラブそれぞれを構成するプレートの前記注文ごとの枚数と、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とを属性として少なくとも含むスラブ設計情報における、当該スラブのそれぞれの代表属性として、少なくとも代表品種と代表納期とを含む代表属性を導出する代表属性導出ステップと、
少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位チャージ枠における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ設計情報に含まれるスラブを前記品種単位チャージ枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出ステップと、
を有し、
前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、
前記品種単位チャージ枠導出ステップは、前記出鋼日と前記納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、数理計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とするチャージ編成方法。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載のチャージ編成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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