JP6711215B2 - チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム - Google Patents

チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、チャージ編成装置、チャージ編成方法、およびプログラムに関し、特に、製鋼プロセスにおけるチャージを編成するために用いて好適なものである。
図24は、鉄鋼業における代表的な製品である厚鋼板(以下、厚板と称する。)の製造プロセスの概略構成の一例を示す図である。図24において矢印は、仕掛かり品の流れを示す。
まず、転炉工程P1では、高温溶融状態の鉄鋼中間製品(以下、溶鋼と称する。)の化学的成分である鋼種を例えば約300ton単位で調整し、溶鋼鍋に出鋼する。この転炉工程P1での出鋼単位をチャージという。
連続鋳造工程P2では、転炉工程P1で製造された溶鋼を複数チャージ分連続して鋳造し、その後、規定の長さに切断することで、例えば約20ton単位のスラブと呼ばれる板状の中間製品を製造する。この連続鋳造工程P2での一連の製造単位をキャストと呼ぶ。製造仕様にもよるが、概ね8〜12チャージを1キャストとして製造する。
圧延工程P3では、スラブを加熱し、当該加熱したスラブを、所定の厚みや幅になるように成形(圧延)する。
切断工程P4では、圧延後のスラブを注文仕様のサイズに切断し、最終製品であるプレートを得る。
熱処理工程P5では、強度および靭性等の品質が注文仕様となるように、プレートやスラブに対して加熱・保熱処理を行う。
特別検査工程P6では、プレートやスラブに対して注文仕様に応じた特別な検査を行う。
図24に示す例では、切断工程P4、熱処理工程P5、および特別検査工程P6が精整工程になる。以下の説明では、切断工程P4、熱処理工程P5、および特別検査工程P6を総称する場合、必要に応じて、精整工程と称する。
全ての処理を終えた製品は倉庫P7に配置される。
ここで、プレートは、個々の最終製品を表す。注文は、サイズ、品質(強度および靱性等)、納期、および顧客が同一のプレートの集まりである。スラブは、転炉工程P1、連続鋳造工程P2、および圧延工程P3での製造条件が同じである複数のプレートの集まりである。
厚板等の鉄鋼製品では、小ロット・多品種となることが多いため、スラブ設計、チャージ編成、キャスト編成、および週間計画の作成を行うことにより生産計画を作成することが行われる。
スラブ設計は、スラブとして望ましい大きさとなるように、注文に示される各プレートを組み合わせることにより行われる。
チャージ編成は、鋼種が同じスラブを転炉の製造単位であるチャージに割り当てることにより行われる。
キャスト編成は、チャージをキャストに割り当てることにより行われる。
週間計画は、キャストを1週間から数週間先まで並べることにより作成される。
以上のような鉄鋼製品の生産計画を作成するための技術として、特許文献1〜4に記載の技術がある。
特許文献1には、評価関数をチャージ毎に算出した値に基づき、チャージに割り当てられるスラブの編成(並び)を最適化し、さらに、遺伝子情報としてスラブの番号(スラブNo)が遺伝子座に設定された個体毎に評価関数を算出した値に基づき、キャストに割り当てられるチャージを最適化することが記載されている。
特許文献2には、各チャージを節点で表したネットワークであって、抱き合わせて鋳造可能なチャージ間を有向枝で表現したネットワークの有向枝を伝って節点を探索することにより最長のキャスト編成となるルートを探索し、その結果からキャスト編成を行うことが記載されている。すなわち、特許文献2には、キャストを構成するチャージ数が最大化されるようなキャスト編成を作成することが記載されている。
特許文献3には、注文に関するデータと、スラブに関するデータ(スラブの寸法、鋼種、スラブ作成時刻等の属性情報)とに基づいて、最も歩留まりが良好となるスラブにプレートを割り当てることが記載されている。このとき、特許文献3では、プレートが割り当てられたスラブの余材部の大きさが、プレートの割り当てが可能な大きさであるか否かを判定し、スラブの余材部の大きさが、プレートの割り当てが可能な大きさである場合には、当該余材部にプレートを割り当てる。
特許文献4には、属性の似ているプレート同士をグループ化して複数の品種にまとめて定義し、品種毎・製造設備毎の製造負荷を予測することが記載されている。このとき、特許文献4では、通過工程パターン(複数の製造工程の通過有無の組み合わせ)が同一または類似しているプレートを同一の品種とする。品種を決定するための品種分類ロジックとして、注文情報および製造仕様を説明変数とし、通過工程パターンを目的変数とする決定木を用いる。また、製造負荷を予測するための製造負荷予測モデルとして、品種毎・製造設備毎の処理の発生率(或る品種における或る製造設備での処理の発生量を、当該品種の全処理量で除した値)を用いる。
特許第3642450号公報 特許第5516156号公報 特開2008−73724号公報 特許第4757729号公報 特許第5370060号公報
山口和範、外2名、「図解入門よくわかる多変量解析の基本と仕組み」、株式会社秀和システム、2004年5月25日、p.143-168 M.J. トッド、G.L. ネムハウザー、A.H.G. リンヌイカン 編、伊理正夫、今野浩、刀根薫 監訳、「最適化ハンドブック」、朝倉書店、1995年10月
しかしながら、特許文献1、2、3の何れの技術も精整工程の負荷等、圧延以降の工程(下工程)の指標を考慮していない。このため、作成した生産計画に基づいて厚板等の鉄鋼製品の製造を行うと、特定の精整工程に負荷が集中することによる仕掛の増大や工期の長大化、ひいては納期達成率の低下を引き起こす虞がある。このようなことを防止するため、長期間(例えば、10日から2週間程度)のチャージ編成の際に、圧延以降の工程の負荷を計画立案期間に渡って平準化することが求められる。
さらに、特許文献1に記載の技術は、下工程の指標を考慮していないことに加え、スラブ単位の組み合わせ問題を解く。すなわち、スラブをチャージに直接割り当てる。このため、スラブとチャージの組み合わせ数が多くなる。特に、立案期間が長い場合、スラブとチャージの組み合わせ数は爆発的に多くなる。したがって、良質な解が得られるまでの時間が長くなる虞がある。このようなことを防止するため、長期の計画立案であっても計算時間を短くすることが求められる。
また、特許文献2に記載の技術は、連々鋳数(連続して連続鋳造されるチャージの数)を最大化することが目的であり、下工程の負荷を考慮しているものではない。また、特許文献2に記載の技術は、各キャストにおけるチャージの並びを決定するものであり、スラブのチャージへの割り当ては考慮していない。
また、特許文献3に記載の技術は、注文をスラブに割り当てた時の歩留まりを最大化するための方法であり、納期や下工程の負荷等、計画全体の指標を考慮しているものではない。
また、特許文献4に記載の技術では、品種を決定する際に、注文情報や製品であるプレートの仕様しか用いておらず、下工程(精整工程)の負荷の予測に影響のある因子を十分に考慮できていない。このため、下工程(精整工程)の負荷の予測精度が低くなる虞がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、圧延以降の工程の負荷の平準化と予測精度の向上とを実現するチャージ編成を可及的に短時間で実行できるようにすることを目的とする。
本発明のチャージ編成装置は、転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程切断工程、熱処理工程、および特別検査工程を含む複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成装置であって、前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期とをプレート属性として少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得手段と、複数のスラブそれぞれを構成する前記プレートの組み合わせと、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とをスラブ属性として少なくとも含むスラブ情報を取得するスラブ情報取得手段と、前記注文情報における前記プレートのそれぞれについての品種を取得する品種取得手段と、記スラブ情報における1枚の記スラブに含まれるプレートの代表属性として、前記品種取得手段により取得した品種のうち前記品種ごとに集約したプレートの重量が最大重量となる品種である代表品種と、前記注文情報取得手段により取得した注文情報に含まれている納期のうち最も早い納期である代表納期とを少なくとも含む代表属性を導出する代表属性導出手段と、前記注文情報を、前記品種ごと、前記代表納期ごとに集約し、品種別・代表納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成手段と、前記注文マトリクスと、前記プレートの過去の製造実績に基づいて導出される前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含む所与のチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である所与の工程能力上限値と、に基づいて、納期遅れおよび製品在庫を最小にする品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位出鋼計画であって、前記チャージ枠に対して、どの品種のプレートをどれだけ割り付けるかを少なくとも示す品種単位出鋼計画を線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する品種単位出鋼計画導出手段と、少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位出鋼計画における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ情報に含まれるスラブを前記品種単位出鋼計画に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出手段と、を有し、前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、前記品種単位出鋼計画導出手段は、前記出鋼日と前記代表納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とする。
本発明のチャージ編成方法は、転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程切断工程、熱処理工程、および特別検査工程を含む複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成方法であって、前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期とをプレート属性として少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得ステップと、複数のスラブそれぞれを構成する前記プレートの組み合わせと、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とをスラブ属性として少なくとも含むスラブ情報を取得するスラブ情報取得ステップと、前記注文情報における前記プレートのそれぞれについての品種を取得する品種取得ステップと、記スラブ情報における1枚の記スラブに含まれるプレートの代表属性として、前記品種取得ステップにより取得した品種のうち前記品種ごとに集約したプレートの重量が最大重量となる品種である代表品種と、前記注文情報取得ステップにより取得した注文情報に含まれている納期のうち最も早い納期である代表納期とを少なくとも含む代表属性を導出する代表属性導出ステップと、前記注文情報を、前記品種ごと、前記代表納期ごとに集約し、品種別・代表納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成ステップと、前記注文マトリクスと、前記プレートの過去の製造実績に基づいて導出される前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含む所与のチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である所与の工程能力上限値と、に基づいて、納期遅れおよび製品在庫を最小にする品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位出鋼計画であって、前記チャージ枠に対して、どの品種のプレートをどれだけ割り付けるかを少なくとも示す品種単位出鋼計画を線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する品種単位出鋼計画導出ステップと、少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位出鋼計画における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ情報に含まれるスラブを前記品種単位出鋼計画に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出ステップと、を有し、前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、前記品種単位出鋼計画導出ステップは、前記出鋼日と前記代表納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記チャージ編成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、圧延以降の工程の負荷の平準化と予測精度の向上とを実現するチャージの編成を可及的に短時間で実行することができる。
厚板の一般的な生産計画の概要の一例を概念的に示す図である。 厚板製造プロセスの各製造設備での代表的な最小製造ロットの大きさの一例を示す図である。 チャージ編成装置の機能的な構成の一例を示す図である。 注文情報の一例を示す図である。 注文情報とスラブ情報の一例を示す図である。 スラブ設計の結果の一例を概念的に示す図である。 スラブ情報の一部をスラブ単位で纏めて示した図である。 決定木の一例を示す図である。 注文情報に含まれる各プレートについての予定通過工程の予測結果と品種キーの一例を示す図である。 各プレートへの品種キーの割り当て結果の一例を概念的に示す図である。 代表属性の一例を示す図である。 各製品No.のプレートに対して各スラブの代表属性を付与した結果を示す図である。 注文マトリクスの一例を示す図である。 品種モデルの一例を示す図である。 チャージ枠の一例を示す図である。 工程能力上限値の一例を示す図である。 重み関数の一例を示す図である。 品種単位出鋼計画の一例を示す図である。 スラブ単位出鋼計画の一例を示す図である。 チャージ編成方法の一例を説明するフローチャートである。 切断工程の日別発生量の一例を示す図である。 熱処理工程の日別発生量の一例を示す図である。 特別検査工程の日別発生量の一例を示す図である。 厚板の製造プロセスの概略構成の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、厚板の一般的な生産計画の概要の一例を概念的に示す図である。
図1において、注文1は、4枚のプレート(製品(ここでは厚板))の注文であることを示す。注文2、3、4、5、6はそれぞれ、3枚、3枚、1枚、1枚、1枚の注文であることを示す。
スラブ1は、注文1のプレート101、注文2のプレート102、および注文4のプレート103の組み合わせからなる。前述したように、この組み合わせを決めることをスラブ設計と呼ぶ。スラブは、製造上の制約から直方体である。したがって、スラブ設計の結果によっては、スラブ1に示すように、どのプレートにも紐付けられない部分が発生することがある。この部分をスラブ余材と呼び、スラブ余材が多いとスラブの歩留が低下する。このため、製造コスト上、スラブ余材をできるだけ少なくすることが求められる。図1に示す例では、スラブ1にスラブ余材111があることを示す。
一方、スラブの歩留を向上させる(スラブ余材を少なくする)ために、直近の納期の注文のプレートと、先の納期の注文のプレートとを同一のスラブとして組み合わせると製品在庫が多くなってしまう。このように、スラブの歩留と製品在庫にはトレードオフの関係がある。
また、図1において、チャージ1には、スラブ1およびスラブ3を含む複数のスラブが割り当てられることを示す。また、チャージ3には、スラブ2およびスラブ4を含む複数のスラブが割り当てられることを示す。前述したように、この割り当てを決めることをチャージ編成という。
また、図1において、キャスト1には、チャージ1、チャージ2、およびチャージ4を含む複数のチャージが、チャージ1、チャージ2、チャージ4の順に割り当てられることを示す。また、キャスト2には、チャージ4を含む複数のチャージが割り当てられることを示す。前述したように、この割り当てを決めることをキャスト編成という。
尚、キャストの並び、及びキャスト毎のチャージの並びをチャージ枠という。本発明では、チャージ枠における各チャージの鋼種は予め与えられるものとする。
また、図1において、出鋼計画の1日目には、キャスト1が割り当てられ、4日目にはキャスト2が割り当てられることを示す。このように、キャスト編成により作成された各キャストの並び(出鋼日および出鋼順)を決めることにより週間計画が作成される。
図2は、厚板製造プロセスの各製造設備での代表的な最小製造ロットの大きさの一例を示す図である。
図2に示す例においては、転炉工程P1ではプレートの大きさ約3[ton]の約100倍の大きさを、連続鋳造工程P2ではプレートの約800倍の大きさを、圧延工程P3ではプレートの約6倍の大きさを、それぞれ最小製造ロット単位として製造することが生産性や歩留の観点で必要であることを示す。
しかしながら、転炉工程P1や連続鋳造工程P2の生産性や歩留を優先し、納期が先の注文までを先作りし製造ロットを大きくすると、製品在庫が増えてしまう虞がある。また、精整工程P4〜P6の製造負荷を考慮せずに転炉工程P1や連続鋳造工程P2の製造ロットを大きくすると、製造負荷の集中による仕掛増・製造工期増へ繋がる虞がある。すなわち、各製造装置における製造負荷を平準化することも重要である。このように、製造ロットの拡大、製造負荷の平準化、納期遵守、スラブ歩留という、相反する課題を両立するように、各注文のプレートをスラブ、チャージ、キャストの単位に編成する(すなわち、キャスト編成計画を立案する)ことが重要である。
このような知見の下、本発明者らは、転炉工程P1および連続鋳造工程P2の製造ロットの拡大によるコストの削減のみならず、圧延工程P3以降の下工程の負荷の平準化も考慮することで、製造工期の短縮を考慮した出鋼計画を立案することを、従来の手法よりも高速に実現する手法を見出した。これにより、操業の変動による再立案や長期にわたる出鋼計画の立案が可能になる。
特許文献1に記載の技術のように、スラブをチャージに直接割り当てることによりチャージ編成を行うと、計算時間が長くなる。例えば、1日に24チャージを製造する設備に対する2週間分の計画を立案する場合、336(=24×14)チャージに対して、その約100倍の33600枚のスラブを、チャージに割り当てる組み合わせ問題を解く必要がある。この組み合わせ問題を例えば集合分割問題のような数理計画問題として直接解くことは計算時間の観点から困難である。
そこで、本実施形態では、このように本来であれば計算時間のかかる組み合わせ最適化問題であるチャージ編成問題を、スラブ設計問題(スラブに割り当てられるプレートの組み合わせ方を決める問題)と、チャージ枠への品種の割り当て問題(品種別・出鋼日別の出鋼量である品種単位出鋼計画の立案)と、品種単位出鋼計画へのスラブの割当問題(スラブ単位出鋼計画の立案)とに分割して解く。すなわち、スラブ1〜4をチャージ1〜4に直接的に割り当てるのではなく(図1を参照)、品種を介して、チャージ枠とスラブとを相互に関連付ける。このように問題を分割すること、注文を品種にグルーピングして問題を低次元化すること、および品種毎の注文量を連続量で扱うことにより、計算時間を高速化する。
一方で、一般には、一つのスラブに異なる品種や納期の注文が混在する可能性があるため、品種単位出鋼計画とスラブ単位出鋼計画とにおいて注文構成(品種に紐付けられる注文とスラブに紐付けられる注文)に差が生じる可能性がある。したがって、この差を可及的に少なくするように品種および品種の属性を定義することが、前述した問題の分割解法におけるポイントになる。
そこで、本実施形態では、スラブが、鋼種と精整工程の製造条件とが同一もしくは似ている注文から構成されていることに着目し、品種を、少なくとも鋼種と予定通過工程パターンとの組み合わせにより定義する。尚、詳細は後述するが、予定通過工程とは、注文の鋼材が通過する予定の精整工程(注文の鋼材を処理する予定の精整工程)であり、予定通過工程パターンは、各精整工程における鋼材の通過の有無の予測値を並べたものである。
また、前述したように品種単位出鋼計画の立案の際に注文量を連続量として取り扱う。このため、同一のスラブ内の注文が同一のチャージに割り当てられる保証がないという課題がある。特に納期の異なる注文が一つのスラブに混在する場合には、チャージ編成計画の立案時に、それぞれの注文の納期に可及的に合わせるようにするために、同一のスラブ内の注文が異なるチャージに割り当てられる可能性が高くなる。
そこで、本実施形態では、同一スラブ内の注文の納期を同一の値(代表納期)に揃えてから品種単位出鋼計画を立案する。これにより、同一のスラブ内の注文の納期の違いによって、同一のスラブ内の注文が異なるチャージに割り当てられることを抑制することができる。
さらに、精整工程の負荷の予測に影響のある因子として、スラブ情報があることに着目し、予定通過工程パターンを予測するロジックである品種分類ロジックを、プレートの注文情報(注文(プレート)の属性)に加えてスラブ情報(スラブの属性)を用いて作成する。注文情報には、注文の内容に基づく情報が含まれる。スラブ情報には、スラブ設計の結果に基づく情報が含まれる。前述したように、スラブ設計では、どのスラブにどのプレートを割り当てるのかが決定される。例えば、スラブ情報に圧延幅を含め、注文情報に加えてスラブ情報を用いて予定通過工程パターンを決定する場合、圧延幅が広いか狭いかによって通過すべき精整工程が変わる。したがって、注文情報のみを用いる場合に比べて、予定通過工程パターンを決定する品種分類ロジックにおいて、圧延幅と精整工程の発生との相関を利用することができる。よって、当該品種分類ロジックにおける予定通過工程パターンの予測精度を向上させることができ、品種の予測精度および品種モデルの精度(すなわち、精整工程の負荷の予測精度)を向上させることができる。尚、詳細は後述するが、品種モデルとは、鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程における負荷の発生率(当該精整工程を通過するプレート枚数の圧延枚数に対する割合)をいう。
本実施形態では以上のようにすることで、計算時間と立案精度とのバランスが取られた出鋼計画の立案を可能とする。
以下に、以上のような出鋼計画を立案するためのチャージ編成装置の一例を説明する。
図3は、チャージ編成装置300の機能的な構成の一例を示す図である。チャージ編成装置300のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置(PC)や、専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。以下に、チャージ編成装置300が有する機能の一例を説明する。尚、以下の各部は、例えば、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。
[注文情報取得部301]
注文情報取得部301は、注文の属性を示す注文情報を取得する。注文情報の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
図4は、注文情報400の一例を示す図である。図4に示す例では、注文情報400には、注文No、製品枚数、製品単重、納期、鋼種、製品サイズ、および精整工程通過影響因子(規格、切断方法、および熱処理方法など)が含まれる。
注文No.は、注文の識別番号である。
製品枚数は、注文内のプレート(製品)の枚数である。図4において、例えば、注文1の製品枚数は「4」である。
製品単重は、プレートの1枚当たりの重量である。図4において、例えば、注文1の製品単重は1.3[ton/製品]である。したがって、注文1に含まれるプレートの総重量は5.2(=4×1.3)[ton]である。
納期は、顧客が要求する納期(倉庫P7からの出庫日)ではなく、出鋼期限日であるものとする。以下の説明でも、特に断りのない限り、納期は、出鋼期限日であるものとする。
鋼種は、プレートの成分である。ここでは、表記および説明を簡単にするため、鋼種(製品の成分)そのものではなく、鋼種の識別情報を鋼種とする。図4において、例えば、注文1の鋼種は「A」である。
製品サイズは、プレートのサイズ(高さ(厚み)H×幅W×長さL)である。図4において、例えば、注文1の製品サイズは、10[mm]×3000[mm]×15000[mm]である。
注文No.、製品枚数、製品単重、および納期は、プレート属性の一例であり、精整工程通過影響因子は、以上の注文情報400のプレート属性とは異なる属性として、注文のプレートを製造する際に通過する精整工程の発生率に影響を与える因子である。図4では、注文情報400における精整工程通過影響因子として、規格、切断方法、および熱処理方法を含む場合を例に挙げて示す。規格とは、プレートに要求される性能(例えば、強度や靱性)に関わる規格である。図4では、規格名を識別する情報として「α1」等を示す。切断方法とは、精整工程における製造方法の1つであり、切断工程P4における切断方法を示す。図4では、切断方法そのものではなく、切断方法を識別する数字「0」、「1」、「2」を示す。切断を行わないことも切断方法の1つに含まれる。熱処理方法とは、熱処理工程P5における熱処理の方法である。熱処理方法についても、切断方法と同様に、熱処理方法を識別する数字「0」、「1」、「2」を示し、また、熱処理を行わないことも熱処理方法の1つに含まれる。
尚、注文情報400における精整工程通過影響因子は、注文に含まれるプレートを製造する際に通過する精整工程の発生率に影響を与える因子であれば、前述したものに限定されない。また、注文情報400における精整工程通過影響因子は、後述する決定木の説明変数になる。
また、注文情報取得部301は、プレートの識別情報である製品No.を、注文に含まれるプレートのそれぞれに対して付与する。注文No.は、注文の識別情報である。製品No.は、注文に紐付いたプレートの識別情報であり、本実施形態では、後述する図5に示すように、注文No.に「−(ハイフン)」を付与した後に「1」から昇順に整数の連番として付与される。例えば、図4において、注文No.が「1」の注文には、4つのプレートが含まれるので(製品枚数が「4」であるので)、製品No.として「1−1」、「1−2」、「1−3」、「1−4」を付与する。
注文情報取得部301は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した注文情報400を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
[スラブ情報取得部302]
スラブ情報取得部302は、各スラブに割り当てられるプレート(鉄鋼製品)についての情報と当該スラブについての情報とを属性として含むスラブ情報を取得する。本実施形態では、スラブ情報取得部302は、スラブ設計の結果に基づいてスラブ情報を導出する。スラブ情報は、例えば、特許文献3に記載されている公知の手法により導出することができるので、その導出方法の詳細な説明を省略するが、例えば、注文に関するデータ(注文情報400)と、スラブに関するデータ(スラブサイズ、鋼種、スラブ作成時刻等の属性情報)とに基づいて、注文のプレートを割り当て可能なスラブ群の中から、最も歩留まりが良好となるスラブを選択し、当該スラブに当該プレートを割り当てることにより、スラブ情報を導出する。プレートをスラブに割り当てる際には、同一のスラブに割り当てられるプレートの鋼種が同じになるようにする。また、スラブとして望ましい大きさ(製造可能な範囲で可及的に大きなサイズ)になるように、スラブにプレートを割り当てられるのが好ましい。また、納期が同じ注文のプレートを同一のスラブに割り当てるのが好ましいが、スラブ余材を少なくするため、或る納期の注文のプレートと、当該納期よりも先の納期の注文のプレートとを同一のスラブに割り当ててもよい。
以上のようにすることによって、どのスラブにどのプレートが割り当てられるのかが定まる。尚、スラブ情報の導出方法(スラブ設計の方法)は、前述した方法に限定されず、どのような方法でスラブ情報を導出してもよい。
図5は、注文情報400とスラブ情報500の一例を示す図である。図5では、製品No.が同一の注文情報400に関連付けてスラブ情報500を示す。
図5において、スラブ情報500は、製品No.と、スラブNo.と、スラブサイズ(圧延)と、スラブ重量と、圧延幅とを属性として持つ。
スラブNo.は、スラブの識別番号である。
スラブサイズ(圧延)は、当該スラブの仕上げ圧延後の鋼板のサイズ(高さ(厚み)H×幅W×長さL)として表したサイズである。
スラブ重量は、スラブ1枚当たりの重量である。
圧延幅は、仕上げ圧延される直前の鋼材の幅である。
尚、スラブ情報500には、鋼種も含まれるが、注文情報400に含まれる鋼種と同じであるので、図5では、スラブ情報500に含まれる鋼種の図示を省略している。
ここで、スラブNo.、スラブ重量、および鋼種は、スラブ情報500におけるスラブ属性の一例であり、圧延幅およびスラブ厚(スラブサイズ(圧延)の高さ(厚み))は、スラブ情報500における精整工程通過影響因子の一例である。
尚、スラブ情報500における精整工程通過影響因子は、スラブからプレートを製造する際に通過する精整工程の発生率に影響を与える因子であれば、これらに限定されない。また、スラブ情報500における精整工程通過影響因子は、後述する決定木の説明変数になる。
図6は、スラブ設計の結果の一例を概念的に示す図である。図6(a)は、図5に示すスラブNo.が「1」のスラブ1についてのスラブ設計の結果を示し、図6(b)は、図5に示すスラブNo.が「2」のスラブ2についてのスラブ設計の結果を示す。尚、図6(a)および図6(b)では、表記の都合上、仕上げ圧延後の鋼板のどの位置にどのプレート(製品)が配置されているのかを示す(すなわち、図6(a)、図6(b)では、スラブNo.が「1」、「2」のスラブ1、2を仕上げ圧延した状態を示す)。
図6(a)では、納期が9月10日の製品No.が「1−1」であるプレートと、納期が9月8日の製品No.が「2−1」であるプレートと、納期が9月7日の製品No.が「4−1」であるプレートとが、鋼種が「A」のスラブであって、スラブNo.が「1」のスラブ1に割り当てられたことを示す(図5も参照)。また、このスラブ1には、何れのプレートも割り当てられないスラブ余材が存在する。
図6(b)では、納期が9月10日の製品No.が「1−2」であるプレートと、納期が9月10日の製品No.が「1−3」であるプレートと、納期が9月8日の製品No.が「2−2」であるプレートとが、鋼種が「A」のスラブであって、スラブNo.が「2」のスラブ2に割り当てられたことを示す(図5も参照)。
図7は、図5に示したスラブ情報500の一部をスラブ単位で纏めて示した図である。図7に示すように、各スラブのスラブ情報500には、当該スラブに属するプレートの組み合わせが含まれることになる。
図7において、余材重量は、スラブ余材の重量である。スラブ重量から各スラブの製品単重を減算した値から求められる。例えば、スラブNo.が「1」のスラブ1のスラブ重量は4.2[ton]であり、当該スラブ1に割り当てられる製品No.が「1−1」、「2−1」、「4−1」の製品単重は、それぞれ、1.3[ton]、1.6[ton]、0.9[ton]である。したがって、スラブNo.が「1」のスラブの余材重量は、0.4[ton](=4.2−(1.3+1.6+0.9))になる。このように余材重量は、スラブ情報の属性の1つであるが、スラブ毎に定まるので、プレート毎にスラブ情報を纏めた図5では、余材重量を示していない。
スラブ情報取得部302は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行してスラブ情報500を導出して、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶したりすることにより実現される。尚、スラブ情報を導出せずに、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しを行うことにより、外部からスラブ情報を取得してもよい。ただし、このようにする場合でも、スラブ情報は、スラブ設計を行うことにより求められるものとなる。
[品種分類ロジック取得部303]
注文情報400やスラブ情報500は膨大な数となるため、製造仕様が同一、もしくは似ているプレート同士を品種としてグルーピングすることで、チャージ編成問題の規模を縮小する。本実施形態では、同一キャスト内のチャージの成分(鋼種)をできるだけ同じものに纏め、納期を守りつつ、製造工程の負荷を平準化することが目的である。そこで、これらの指標を品種にグルーピングした後でも考慮できるように鋼種および予定製造工程のパターンの組み合わせを品種キーとしてグルーピングする。本実施形態では、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を品種キーとする。
予定通過工程は、注文の鋼材が、複数の精整工程P4〜P6のうちのどの精整工程を通過する予定(すなわち、どの精整工程で処理される予定)であるかを示す情報である。本実施形態では、このような精整工程P4〜P6の通過の有無の予測値を、切断工程P4、熱処理工程P5、特別検査工程P6の順に並べたものを予定通過工程パターンとする。ここでは、精整工程P4〜P6を通過する予定であることを示す予測値を「1」とし、精整工程P4〜P6を通過する予定でないことを示す予測値を「0(ゼロ)」とする。尚、精整工程P4〜P6の通過の有無の予測値は、所定の順番であれば、前述した順番に限定されない。
本実施形態では、特許文献4と同様に、品種分類ロジックとして、決定木を用いる場合を例に挙げて説明する。図8は、決定木800の一例を示す図である。図8では、切断工程P4を通過する予定であるかを決定するロジックを示す。例えば、図8において、切断方法を識別する数字が「1」であるデータが決定木800に入力された場合には、切断工程P4を通過する予定であることを示す「1」が決定木800から出力される。また、切断方法を識別する数字が「0」であり、「熱処理方法」を識別する数字が「2」であるデータが決定木800に入力された場合には、切断工程P4を通過する予定でないことを示す「0」が決定木800から出力される。熱処理工程P5および特別検査工程P6についても決定木が個別に作成され、これら3つの決定木で得られる「1」または「0」の値を、切断工程P4、熱処理工程P5、特別検査工程P6の順に並べることにより予定通過工程パターンが得られる。
尚、図8において、製品厚は、図4および図5に示す製品サイズの高さ(厚み)Hの値であり、スラブ厚は、図5に示すスラブサイズ(圧延)の高さ(厚み)Hの値である。
また、以上のように精整工程別に決定木を個別に作成せずに、特許文献4に示されているのと同様に、1つの決定木から予定通過工程パターンが得られるようにしてもよい。
また、熱処理工程P5および特別検査工程P6は、製造仕様として予め通過することが決められる工程(仕様工程)であり、各プレートが通過するかどうかを注文情報400等から特定することができる。従って、熱処理工程P5および特別検査工程P6については、品種分類ロジックを用いずに、通過の有無の予測値(「1」または「0」)を導出してもよい。
ここで、品種分類ロジックの一例である決定木について説明する。決定木とはデータの分析手法の一つであって、図8に示すようにデータを様々な条件に従って木の枝葉のように分類していく分析手法であり、製造不良要因の特定や市場情報の分類などに使われている(例えば、非特許文献1を参照)。決定木は、データの固まりである複数のノードから構成されており、データ全体を表すルートノード(根ノード)から始まり、末端のノード(リーフノード、葉ノード)に特定の属性を持つデータの割合が多くなるように、つまり偏りのあるデータが含まれるようにノードを次々と分岐させながら作成される。得られたリーフノードへの分岐条件やリーフノードに属する過去のデータ(学習用データ)を用いることで決定木を各種の予測に使うことができる。予測したい属性を「目的変数」、データの分岐条件を記述する属性を「説明変数」と呼ぶ。決定木の作成にあたっては、目的変数や説明変数をどのように定義するか、決定木の大きさ(ノードの数や深さ)をどのように決定するかなどの設計パラメータの設定が、得られた決定木の予測精度や取扱いの容易さなどに深く関係するため極めて重要である。
ここでは、設計パラメータとして、作成する決定木のリーフノードの数や木構造の深さ等を、決定木の構造に関するパラメータとして設定する。具体的には、一つのリーフノードが保有するデータ数の上限値を与えるものとする。この上限値を小さくするとリーフノードの数が増える、つまり決定木が大きく、深くなることとなる。
品種分類ロジック取得部303は、このようにして得られる設計パラメータと、プレートの製造実績データとに基づいて、図8に示したような決定木800を、決定木作成アルゴリズムにより精整工程毎に作成する。プレートの製造実績データには、当該プレートを製造した際に通過した精整工程を示す精整工程通過実績情報と、当該プレートにおける注文情報の精整工程通過影響因子と、当該プレートにおけるスラブ情報の精整工程通過影響因子とが含まれる。決定木800の説明変数には、注文情報の精整工程通過影響因子の少なくとも1つと、スラブ情報の精整工程通過影響因子の少なくとも1つとが含まれる。
前述したように予定製造工程は、製造仕様として予め通過することが決められている工程(仕様工程)と、製造途中の検査の結果に応じて通過する工程として追加される工程(発生工程)とがある。精整工程の負荷の平準化の観点では、精整工程の通過の有無の予測精度が課題となる。本実施形態では、注文情報に基づいて精整工程の通過の有無を予測する特許文献4の技術に対し、スラブ情報も決定木の説明変数に加えることで、品種の予測精度と、品種モデル(鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程における負荷の発生率)の予測精度を向上させる。
品種分類ロジック取得部303は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行して品種分類ロジック(決定木)を導出して、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。尚、品種分類ロジックを作成せずに、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しを行うことにより、外部から品種分類ロジックを取得してもよい。ただし、このようにする場合でも、品種分類ロジック(決定木)には、注文情報の精整工程通過影響因子の少なくとも1つとスラブ情報の精整工程通過影響因子の少なくとも1つとが説明変数に含まれるものとする。
[品種取得部304]
前述したように本実施形態では、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を品種キーとする。そこで、品種取得部304は、注文情報400に含まれるそれぞれのプレートについて、注文情報400の精整工程通過影響因子と、スラブ情報500の精整工程通過影響因子とを、品種分類ロジック(決定木800)に入力することにより、当該プレートの予定通過工程パターンを導出する。そして、品種取得部304は、当該プレートの鋼種を注文情報400(またはスラブ情報500)から読み出し、当該読み出した鋼種と、当該予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を、当該プレートの品種キーとして導出する。
図9は、注文情報400に含まれる各プレート(製品)についての予定通過工程の予測結果910と品種キー920の一例を示す図である。図9では、製品No.が同一の注文情報400およびスラブ情報500に関連付けて予定通過工程の予測結果910および品種キー920を示す。
図9において、例えば、注文No.が「1」の注文に含まれる製品No.が「1−1」のプレートは、鋼種が「A」である。また、当該プレートについての品種分類ロジック(決定木)による予定通過工程の予測の結果、切断工程P4が通過「あり」、熱処理工程P5が通過「なし」、特別検査工程P6が通過「なし」となったことを示す(図9の予定通過工程の予測結果910の欄を参照)。したがって、当該プレートの予定通過工程パターンは「100」となる。よって、当該プレートの品種キーは、鋼種「A」と予定通過工程パターン「100」とを組み合わせて、「A−100」になる(図9の品種キー920の欄を参照)。
図10は、各プレートへの品種キーの割り当て結果の一例を概念的に示す図である。図10(a)は、スラブNo.が「1」のスラブに割り当てられたプレートの品種キーの割り当て結果を示し、図6(b)は、スラブNo.が「2」のスラブに割り当てられたプレートの品種キーの割り当て結果を示す。尚、図10(a)、図10(b)は、それぞれ、図6(a)、図6(b)に対応する図である。
図10(a)では、製品No.が「1−1」であるプレートには、「A−100」の品種キーが割り当てられ、製品No.が「4−1」であるプレートには、「A−111」の品種キーが割り当てられ、製品No.が「2−1」であるプレートには、「A−111」の品種キーが割り当てられたことを示す(図9も参照)。
図10(b)では、製品No.が「1−2」であるプレートには、「A−000」の品種キーが割り当てられ、製品No.が「1−3」であるプレートには、「A−000」の品種キーが割り当てられ、製品No.が「2−2」であるプレートには、「A−011」の品種キーが割り当てられたことを示す(図9も参照)。
前述したように本実施形態では、品種分類ロジック(決定木)の説明変数に、注文情報400の工程通過影響因子だけでなく、スラブ情報500の工程通過影響因子を含めるので、品種キーの予測精度を向上させることができる。
品種取得部304は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行して品種キーを導出して、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
[代表属性導出部305]
代表属性導出部305は、スラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する際の立案方針を取得する。かかる立案方針の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
本実施形態では、代表属性導出部305は、代表品種を、当該スラブに含まれる注文に付与された品種のうちの最大重量の品種とすることと、代表納期を、当該スラブに含まれる注文に付与された納期のうちの最も早い納期とすることを、スラブの代表属性を導出する際の立案方針として取得するものとする。
そして、代表属性導出部305は、取得した立案方針と、注文情報400と、スラブ情報500とに基づいて、スラブ情報500に含まれるそれぞれのスラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する。
図11は、代表属性1100の一例を示す図である。図11では、スラブNo.が同一のスラブ情報500に関連付けて代表属性1100を示す。
図11において、例えば、スラブNo.が「1」のスラブ1に割り当てられるプレートは、製品No.が「1−1」、「2−1」、「4−1」のプレートであり、それらのプレートの品種は、それぞれ「A−000」、「A−111」、「A−111」である(図10を参照)。そして、これらの品種の重量は、「A−000」が1.3[ton]、「A−111」が2.5[ton](=1.6+0.9)である(図9を参照)。従って、代表属性導出部305は、スラブNo.が「1」のスラブ1の代表品種を、これらの重量のうち最も重い重量の品種である「A−111」とする。
また、スラブNo.が「1」のスラブ1に割り当てられるプレートは、製品No.が「1−1」、「2−1」、「4−1」のプレートであり、それらのプレートの納期は、それぞれ9月10日、9月8日、9月7日である(図10を参照)。従って、代表属性導出部305は、スラブNo.が「1」のスラブ1の代表納期を、これらの納期のうち最も早い9月7日とする。
代表品種は、後述する品種単位出鋼計画にスラブを割り当てる際のキー情報として用いる。また、代表納期は、後述する品種単位出鋼計画を立案する際に、同一スラブ内の注文の計画上の納期を揃えることで、同一スラブ内の注文ができるだけ品種単位出鋼計画における同一チャージ内の同一品種に組まれるようにするためのものである。この操作により、品種単位出鋼計画とスラブ単位出鋼計画とにおいて注文構成(品種に紐付けられる注文とスラブに紐付けられる注文)の差を小さくすることができる。
図12に、各製品No.のプレートに対して、各スラブの代表属性1100を付与した結果を示す。図12では、製品No.が同一の注文情報400、スラブ情報500、予定通過工程の予測結果910、および品種キー920に関連付けて代表属性1100を示す。
尚、代表品種および代表納期は、前述した内容に限定されない。例えば、代表品種は、スラブに含まれる注文の品種のうち、特定の精整工程における負荷の発生率(後述する図14を参照)が最大である品種を用いてもよい。また、代表納期として、スラブに含まれる複数の注文の納期の平均値、中央値または最頻値を用いてもよい。また、納期だけでなく、他の指標(例えば、納期順に代えて、もしくは加えて、スラブ重量の大きい順およびスラブ余材重量の小さい順の少なくとも何れか一方など)を立案方針に含めてもよい。この場合、必ずしも納期を最優先にする必要はなく、他の指標を納期よりも優先させてもよい。例えば、他の指標を納期よりも優先し、他の指標が同じものについては納期を優先するようにしてもよい。
[注文マトリクス作成部306]
注文マトリクス作成部306は、注文情報取得部301で入力された注文情報400を、品種キー毎、代表納期毎に集約し、品種別・納期別の注文重量である注文マトリクスを作成する。注文マトリクスは、品種(品種キー)を行、代表納期を列とする表である。
図13は、注文マトリクス1300の一例を示す図である。尚、図13の注文マトリクス1300に示されている品種別・代表納期別の注文重量の単位はtonである。また、図13では、図12において代表納期が示されているものについてのみ、品種別・代表納期別の注文重量を示す。
図13において、品種No.は、品種キーの識別番号であり、品種の表示順に連番を付与したものである。
例えば、品種1は、品種キーが「A−000」である注文の集まりである。品種1を例に挙げて注文マトリクスに設定される注文重量を説明する。前述したように、図12に示す例では、品種キーが「A−000」の注文は、注文No.が「1」、製品No.が「1−2」の注文と、注文No.が「1」、製品No.が「1−3」の注文であり、その代表納期は9月8日、その総重量は2.6(=1.3×2)[ton]である。したがって、品種キーが「A−000」の注文がこれらのみであるとすると、図13において、品種1の9月8日の注文重量は、2.6[ton]になる。
注文情報400は、注文の数nだけ存在するので膨大な数になる。これに対し本実施形態では、図4に示すように、各注文に品種キーを与え、図13に示す注文マトリクス1300のように、同一の品種の注文同士をグルーピングすることでチャージ編成問題の規模を縮小する。
また、本実施形態では、同一のキャスト内のチャージの鋼種(成分)をできるだけ同じものにまとめ、納期を守りつつ、精整工程の負荷を平準化する出鋼計画を作成する。したがって、注文を品種にグルーピングした後でも、これらの指標を考慮することができるようにする必要がある。また、前述したように本実施形態では、チャージ枠とスラブとを品種を介して相互に関連付ける。したがって、品種キーには、キャストとスラブとで共通する情報を含める必要がある。以上のような観点から、本実施形態では、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を品種キーとして注文をグルーピングする。
また、本実施形態では、品種として、代表属性導出部305により導出されたプレートの代表品種ではなく、品種キーを用いて注文マトリクス1300を作成する。これは、代表品種を用いて品種を構成すると、代表品種と、元のプレートの品種(品種キー)とが異なる場合に、品種モデルによる各精整工程における負荷の発生率の精度(すなわち、精整工程の負荷の予測精度)が劣化するためである。代表品種は、後述する品種単位出鋼計画にスラブを割り当てる際のキー情報として用いる。
注文マトリクス作成部306は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行して注文マトリクス1300の情報を作成して記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
[品種モデル取得部307]
品種モデル取得部307は、鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程における負荷の発生率(の予測値)である品種モデルを取得する。尚、前述したように、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせたものであるので、品種モデルは、品種別の各精整工程における負荷の発生率であるということができる。
本実施形態では、品種モデル取得部307は、品種分類ロジック取得部303により作成された品種分類ロジック(決定木800)に、プレートの製造実績データを入力することにより、各プレートの品種を導出する。そして、品種モデル取得部307は、或る品種のプレートのうち、或る精整工程を通過したプレートの総枚数を、当該品種のプレートの総枚数で割ることを、全ての品種、全ての精整工程について行うことにより、品種モデルを導出する。プレートの製造実績データには、当該プレートを製造した際に通過した精整工程を示す精整工程通過実績情報と、当該プレートの鋼種と、当該プレートにおける注文情報の精整工程通過影響因子と、当該プレートにおけるスラブ情報の精整工程通過影響因子とが含まれる。尚、前述した「当該品種のプレートの総枚数」は、製造実績データに含まれる全てのプレートのうち、品種分類ロジック(決定木800)に入力することにより当該品種に分類されたプレートの数である。また、「或る品種のプレートのうち、或る精整工程を通過したプレートの総枚数」は、このようにして当該品種に分類されたプレートのうち、製造実績データにおいて当該精整工程を通過したことが前記精整工程通過実績情報に示されているプレートの数である。
例えば、鋼種が「A」であり、予定通過工程パターンが「000」である品種キー(すなわち、品種1)のプレートのうち、切断工程P4を通過して製造されたプレートの総枚数を、当該品種1のプレートの総枚数で割った値が、鋼種が「A」であり且つ予定通過工程パターンが「000」であるプレートの精整工程(切断)の発生率(=0.1)となる。前述したように本実施形態では、品種分類ロジック(決定木)の説明変数に、注文情報400の精整工程通過影響因子だけでなく、スラブ情報500の精整工程通過影響因子を含めるので、品種モデルの精度(すなわち、精整工程の負荷の予測精度)を向上させることができる。
図14は、品種モデル1400の一例を示す図である。
図14において、チャージNo.は、チャージの識別番号である。通過工程No.は、チャージ毎の予定通過工程パターンの識別番号である。
図14において、例えば、鋼種が「A」であり、予定通過工程パターンが「000」である品種キー(すなわち、品種1)の鋼材は、切断、熱処理、特別検査のそれぞれの工程の発生率が何れも「0.1」であることを示す。尚、図14において、J[1]、J[2]は、それぞれ鋼種A、Bにおける予定通過工程パターンの総数(予定通過工程パターンの種類の数)を表す。
品種モデル取得部307は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行して品種モデルを導出して、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。尚、品種モデルを作成せずに、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しを行うことにより、外部から品種モデルを取得してもよい。ただし、このようにする場合でも、品種モデルは、注文情報の精整工程通過影響因子とスラブ情報の精整工程通過影響因子とが説明変数に含まれる決定木を用いて作成された品種モデルとなる。
[チャージ枠取得部308]
チャージ枠取得部308は、チャージ枠を取得する。チャージ枠は、出鋼日別のキャストの並び、及びキャスト毎のチャージの並びであり、チャージ枠の鋼種は予め与えられるものとする。すなわち、チャージ枠は、各出鋼日におけるキャストの数と、それぞれのキャストにおけるチャージの数と、それぞれのチャージにおける鋼種を示すものである。チャージ枠の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。尚、出鋼日は計画立案の対象となる日(計画立案日)である。
図15は、チャージ枠1500の一例を示す図である。
図15に示すチャージ枠1500では、9月3日には3個、9月4日には2個のキャストを製造することを表す。また、例えば、出鋼日が9月3日であるキャスト1では、鋼種が「A」であるチャージを8個連続して連続鋳造することを表す。また、出鋼日が9月3日であるキャスト2では、鋼種が「B」であるチャージを4個連続して連続鋳造した後、鋼種が「C」であるチャージを4個連続して連続鋳造することを表す。
チャージ枠取得部308は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力したチャージ枠1500を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
以上のようにここでは、チャージ枠1500として予め与えられたものを用いる場合を例に挙げて示す。ただし、チャージ枠1500をチャージ編成装置300で導出することにより取得してもよい。チャージ枠は、例えば、特許文献5に記載されている公知の手法により導出することができるので、その導出方法の詳細な説明を省略するが、例えば、各キャストにおけるチャージの並びを入れ替え、チャージ枠の良否を表す評価関数によって、入れ替え後におけるチャージ枠の評価値を導出し、当該評価値に基づいて最も評価が高いチャージ枠を探索することにより、チャージ枠1500を導出する。
(第1の立案方針取得部309)
第1の立案方針取得部309は、後述する品種単位チャージ編成部310において、品種単位出鋼計画(品種別・出鋼日別の出鋼量)を導出する際の立案方針を取得する。かかる立案方針の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
本実施形態では、第1の立案方針取得部309は、工程能力上限値と、最適化計算収束条件と、最適化計算時間と、各評価指標の重み係数W1、W2、W3とを前記立案方針として取得する。
図16は、工程能力上限値1600の一例を示す図である。
図16に示すように、工程能力上限値1600は、出鋼日別・精整工程別の能力(処理量)の上限値である。図16において、例えば、9月3日における切断工程P4の能力(処理量)の上限値は300[ton]であることを示す(図16における「工程名」の「切断」の欄と「出鋼日別能力上限値」の「9/3」の欄を参照)。尚、設備の修理等により、休止する精整工程(設備)については、休止時間に応じて、能力(処理量)を減ずればよい。図16に示す例では、9月4日と9月5日は、特別検査工程P6が設備の修理のために休止されるため、9月4日と9月5日における特別検査工程P6の能力(処理量)の上限値を0[ton]としている。
最適化計算収束条件は、後述する品種単位チャージ編成部310における最適化計算における収束条件である。最適化計算収束条件を満たしたときの解が最適解となる。
最適化計算時間は、最適化計算収束条件を満たす解を探索する時間の上限値である。最適化計算時間が経過しても、最適化計算収束条件を満たす解が得られない場合、最適化計算を終了する。尚、時間の上限値の代わりに、計算回数の上限値を用いてもよい。
各評価指標の重み係数W1、W2、W3は、後述する(13)式におけるW1、W2、W3である。後述するように本実施形態では、各評価指標の重み付き線形和を評価関数とし、数理計画法(線形計画法)による最適化計算を行って、当該評価関数を最小化する解を探索する。したがって、優先度が高い評価指標であるほど、当該評価指標の重み係数W1、W2、W3の値を大きくする。
第1の立案方針取得部309は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した立案方針を示す情報を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
[品種単位チャージ編成部310]
品種単位チャージ編成部310は、注文マトリクス作成部306により作成された注文マトリクス1300と、品種モデル取得部307により取得された品種モデル1400と、チャージ枠取得部308により取得されたチャージ枠1500と、第1の立案方針取得部309により取得された立案方針とを入力として、品種単位出鋼計画(品種別・出鋼日別の出鋼量)を導出する。品種単位出鋼計画は、チャージ枠1500に対して、どの品種の注文をどれだけ割り付けるかを示すものである。
本実施形態では、品種単位チャージ編成部310は、代表納期、製品在庫、各精整工程の負荷、および請求余材の量を評価する評価関数と、注文に含まれるプレートを製造する際に生じる制約を数式で表した制約式とを設定し、多目的線形計画法による最適化計算を行うことにより、当該評価関数の値を最小にする品種単位出鋼計画を導出する。本実施形態では、評価関数および制約式は、線形で記述可能なものであるものとする。
以下に、品種単位出鋼計画を導出する方法の具体例を説明する。
<制約式>
まず制約式について説明する。
<<第1の制約式>>
第k日、鋼種iの出鋼量C[i][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンj(=1、2・・・J[i])の品種単位出鋼計画x[i][j][k]と、第k日、鋼種iの請求余材β[i][k]との和であるから、以下の(1)式のように表される。ここで、J[i]は、鋼種iの予定通過工程パターンの総数(予定通過工程パターンの種類の数)である。
Figure 0006711215
品種単位チャージ編成部310は、例えば、注文マトリクス1300に基づいて、(1)式のi、j、k、J[i]を設定することにより、(1)式の制約式を設定する。
<<第2の制約式>>
注文マトリクス1300の代表納期の通りに出鋼する必要はなく、代表納期との乖離が大きくない範囲で出鋼すればよい。或る出鋼日(計画立案日)の出鋼量には、当該出鋼日と異なる日を納期とする鋼材の出鋼量が含まれることがある。第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位出鋼計画x[i][j][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンj、代表納期tの品種単位納期別出鋼計画xt[i][j][t][k]の立案期間(K日間)内の累積値として、以下の(2)式で表わされる。品種単位納期別出鋼計画xt[i][j][t][k]は、鋼種別・予定通過工程パターン別・代表納期別・出鋼日別の出鋼量である。尚、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報であるので、品種単位納期別出鋼計画xt[i][j][t][k]は、品種別・代表納期別・出鋼日別の出鋼量ということができる。
Figure 0006711215
品種単位チャージ編成部310は、例えば、注文マトリクス1300に基づいて、(2)式のi、j、k、t、Kを設定することにより、(2)式の制約式を設定する。
<<第3の制約式>>
全体としての注文量と出鋼量は釣り合う。したがって、立案期間(K日間)内において、鋼種i、予定通過工程パターンj、代表納期tの注文マトリクスxr[i][j][t]と、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位出鋼計画x[i][j][k]との関係は、以下の(3)式で表わされる。尚、注文量の一部を生産計画の対象とする場合は、生産計画へ織り込まない注文量を表わす変数を(3)式に追加すればよい。
Figure 0006711215
品種単位チャージ編成部310は、例えば、注文マトリクス1300に基づいて、(3)式の左辺第1項のi、j、t、Kを設定すると共に、左辺第2項を設定することにより、(3)式の制約式を設定する。
<<第4の制約式>>
精整工程の負荷は、品種単位出鋼計画と品種モデル(鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程の発生率)との積の鋼種・精整工程毎の和で表わされる。したがって、第k日、工程番号lの工程負荷y[l][k]は、第k日、鋼種i、予定通過工程パターンjの品種単位出鋼計画x[i][j][k]と、鋼種i、予定通過工程パターンj、工程番号lの品種モデルr[i][j][l]とにより、以下の(4)式により表される。ここで、Iは、鋼種の総数(種類の数)である。尚、品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報であるので、精整工程の負荷は、品種単位出鋼計画と品種モデルとの積の品種毎の和で表わされるということができる。
Figure 0006711215
品種単位チャージ編成部310は、例えば、品種モデル1400に基づいて、(4)式の左辺のl、kを設定すると共に、右辺のI、J[i]、r[i][j][l]、i、j、kを設定することにより、(4)式の制約式を設定する。
<<第5の制約式>>
ロットサイズLOT_SIZEは、転炉工程P1での1ロットの処理量であり、第k日、出鋼種iの出鋼量C[i][k]と、第k日、鋼種iのロット数δL[i][k]とを用いて、以下の(5)式により表される。(5)式は、第k日、鋼種iの出鋼量C[i][k]を定義する制約式である。
Figure 0006711215
(5)式において、第k日、鋼種iのロット数δL[i][k]は、チャージ枠1500における鋼種別・出鋼日別のロット数(鋼種の総数)に相当する。例えば、図15の9/3のキャスト1の欄に8個の鋼種Aが並べられている。したがって、9月3日の鋼種Aのロット数δL[i][k]は、「8」になる。また、ロットサイズLOT_SIZEは、例えば、図2に示した転炉工程P1の最小製造ロットの大きさである。図2に示す例では、ロットサイズLOT_SIZEは、300[ton]である。ロットサイズLOT_SIZEは、予めチャージ編成装置300に設定されているものとする。
<<第6の制約式>>
立案開始時の精整工程lの初期仕掛stock[l][0]と、第k日、精整工程lの仕掛stock[l][k]は、それぞれ以下の(6a)式および(6b)式で表される。尚、ここでいう仕掛とは、仕掛中の鋼材の総重量[ton]をいう。
Figure 0006711215
(6b)式に示すように、第k日、精整工程lの仕掛stock[l][k]は、第(k−1)日、精整工程lの仕掛stock[l][k−1]と、第k日、工程番号lの工程負荷y[l][k]との和から、第k日、精整工程lの工程能力上限値yr[l][k]を減算した値になる。
(6a)式において、立案開始時の精整工程lの初期仕掛stock[l][0]は、精整工程l毎に予め定められる初期仕掛stock_0になる。尚、(6a)式の右辺の第2項(y[l][k])と第3項(yr[l][k])は、立案開始前における値(k=0)になるので、共に「0」となる。
品種単位チャージ編成部310は、例えば、予めチャージ編成装置300に設定されているstock_0を(6a)式に設定することにより、(6a)式の制約式を設定する。
また、品種単位チャージ編成部310は、例えば、工程能力上限値1600に基づいて、(6b)式の左辺および右辺第1項・第2項のl、kを設定すると共に、右辺第3項のyr[l][k]を設定することにより、(6b)式の制約式を設定する。
<<第7の制約式>>
精整工程l毎に予め設定された日数achieve_day[l]以降の精整工程の仕掛をある一定以上確保する。安全仕掛を確保する制約式は、safety_stock[l]を用いて、以下の(7)式のように表される。
Figure 0006711215
品種単位チャージ編成部310は、例えば、工程能力上限値1600に基づいて、(7)式の左辺のl、kを設定すると共に、予めチャージ編成装置300に設定されているachieve_day[l]を(7)式に設定することにより、(7)式の制約式を設定する。
尚、仕掛がないものとする場合には、前述した(6a)式、(6b)式および(7)式の設定を省略することができる。
<目的関数>
次に、目的関数について説明する。
<<第1の評価値>>
以下に示す(8)式は、代表納期tに対して先行する出鋼量と、代表納期tに対して遅れる出鋼量との最小化を志向する評価指標である。
Figure 0006711215
ただし、ref[i][j][k]は、鋼種i、予定通過工程パターンj、代表納期tの鋼材の、立案開始日から第k日までの出鋼量の累積値Σxt[i][j][t][q](q=1〜k)に対する目標値(目標出鋼量)であり、以下の(9a)式および(9b)式のように表わされる。
Figure 0006711215
本実施形態では、(9a)式に示すように、代表納期tが経過するまでは、出鋼量を0(ゼロ)とし(全く出鋼をせず)、(9b)式に示すように、代表納期tに出鋼量が注文マトリクスxr[i][j][t]の値になる(予定量を全て出鋼する)ことを目標とする。
<<第2の評価値>>
以下に示す(10)式は、精整工程の負荷の平準化を志向した評価関数である。ここでは、当該評価関数が、3日間の精整工程の負荷の移動平均と工程能力上限値との差の、全出鋼日および全精整工程における総和の最小化を志向する評価関数である場合を例に挙げて示す。
Figure 0006711215
<<第3の評価値>>
以下に示す(11)式は、請求余材の最小化を志向した評価関数である。
Figure 0006711215
<<第1の評価値の変形と総合評価値>>
本実施形態では、納期遅れを最小にすることと、製品在庫を最小にすることについては、以下のように評価関数を定めることにより実現する。すなわち、納期前後の数日間においては、出鋼のずれと在庫となることを許容すると共に、納期よりも過度に先行して出鋼することと、納期よりも過度に遅れて出鋼することとを抑制するために、以下の(12)式に示す重み関数W(k,t)を、前記(8)式の納期遵守の評価関数に付与する。図17は、重み関数W(k,t)の一例を示す図である。例えば、図17において、a=2、b=5、c=100とする。この重み関数W(k,t)を前記(8)に追加し、この(8)式と、前記(10)式と、前記(11)式の重み付き線形和を取ると、以下の(13)式のように、各評価指標のバランスを取った総合評価指標(評価関数)が得られる。
Figure 0006711215
ここで、W1、W2、W3はそれぞれ、納期遵守度、精整工程負荷平準度、および請求余材最小度に対する相対的な評価重みを示す重み係数である。
品種単位チャージ編成部310は、例えば、注文マトリクス1300に基づいて、I、J[i]、K、L、t、k、i、j、t、q、dと、(9b)式のxr[i][j][t]とを設定することと、工程能力上限値1600に基づいて、yr[l][k]を設定することと、第1の立案方針取得部309により取得された重み係数W1、W2、W3を設定することとを行うことにより、(13)式の評価関数を設定する。
品種単位チャージ編成部310は、(1)式〜(7)式の制約式を満足する範囲で(13)式の評価関数の値を最小にする品種単位出鋼計画x[i][j][k]を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する。尚、線形計画法による最適化計算は市販の数理計画法のソルバー(例えばCPLEX(登録商標)のようなソフトウェア)等を適宜用いればよい。また、評価指標は、前記(8)式〜(11)式に限定されない。例えば、これらの評価指標以外の評価指標を前記(13)式に追加しても構わない。また、制約式も、前記(1)式〜(7)式に限定されない。制約式は、プレートを製造する際の制約を数式で表すものであればよい。尚、本実施形態では、精整負荷や納期を日単位で評価しているため、出鋼日と出鋼成分とが同じチャージが複数存在する場合には、当該複数のチャージ間の品種別出鋼量の配分は任意でよい。
図18は、以上のようにして導出される品種単位出鋼計画1800の一例を示す図である。前述したように、品種単位出鋼計画1800は、鋼種別・予定通過工程パターン別・出鋼日別の出鋼量x[i][j][k][ton]である(図18では、日別出鋼量と表記する)。尚、前述したように品種キーは、鋼種と予定通過工程パターンとの組み合わせからなる(図9を参照)。したがって、品種単位出鋼計画1800は、品種別・出鋼日別の出鋼量ということができる。(5)式の説明で例示したように、ロットサイズLOT_SIZEは、300[ton]である。したがって、この場合、図18におけるチャージ毎の出鋼量(1つのチャージにおける日別出鋼量の合計)は、300[ton](または300[ton]に可及的に近い値)になる(例えば、図18の日別出鋼量の太枠で示す領域を参照)。
以上のようにして品種単位出鋼計画1800を導出すると、品種単位チャージ編成部310は、品種単位出鋼計画1800を示す情報をコンピュータディスプレイに表示する。立案者は、表示された品種単位出鋼計画1800を確認し、当該品種単位出鋼計画1800を採用する場合には、チャージ編成装置300のユーザインターフェースを操作して、そのことを指示する。一方、当該品種単位出鋼計画1800を採用しない場合、立案者は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースを操作して、変更すべき内容の指示を行う。変更すべき内容としては、例えば、第1の立案方針取得部309により取得される立案方針および品種単位出鋼計画1800の値である。
品種単位チャージ編成部310は、第1の立案方針取得部309により取得される立案方針の変更があった場合には、変更後の内容で、前述したようにして品種単位出鋼計画1800を再度導出する。
品種単位チャージ編成部310は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行して品種単位出鋼計画1800の情報を導出して、コンピュータディスプレイに表示したり、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶したりすることにより実現される。
[第2の立案方針取得部311]
第2の立案方針取得部311は、後述するスラブ単位チャージ編成部312において品種単位出鋼計画1800にスラブを割り当てる際の立案方針を取得する。かかる立案方針の取得形態としては、例えば、データベースからの読み出し、ユーザインターフェースの操作、外部装置からの送信、および可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
本実施形態では、第2の立案方針取得部311は、納期を最優先にしてスラブを品種単位出鋼計画1800に割り当てることを示す情報を前記立案方針として取得する。
尚、立案方針は、納期に基づく方針に限定されない。例えば、納期に加えてまたは替えてスラブ重量や余材重量を用いて立案方針を定めてもよい(例えば、スラブ重量の大きいものを優先することや、余材重量の小さいものを優先することを立案方針としてもよい)。
第2の立案方針取得部311は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行し、入出力インターフェースを介して入力した立案方針を示す情報を記憶媒体(RAMやHDD)に記憶することにより実現される。
[スラブ単位チャージ編成部312]
品種単位出鋼計画1800は、品種キーを介して注文情報400と紐付けられている(図4、図18を参照)。しかしながら、実際の製造工程では、スラブ単位で製造する必要がある。そこで、スラブ単位チャージ編成部312は、スラブ情報500と、第2の立案方針取得部311により取得された立案方針とに基づいて、スラブ情報500に含まれるそれぞれのスラブを品種単位出鋼計画1800に関連付ける。
そのためにスラブ単位チャージ編成部312は、第2の立案方針取得部311により取得された立案方針と、注文情報400と、スラブ情報500と、代表属性1100とに基づいて、スラブ情報500に含まれる全てのスラブを、品種単位出鋼計画1800の出鋼枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出する。尚、ここでいう出鋼枠とは、品種単位出鋼計画1800における日別出鋼量の列の各行に対応する部分をいう。
前述した例では、納期を最優先にしてスラブを品種単位出鋼計画1800の出鋼枠に割り当てることが、第2の立案方針取得部311で取得される立案方針である。
したがって、スラブ単位チャージ編成部312は、品種単位出鋼計画1800の出鋼量が出鋼枠の量になるまで、当該出鋼枠に、当該出鋼枠に属する品種を代表品種として持つスラブを代表納期の早いものから順に割り当てる。このとき、スラブを割り当てることができる出鋼枠が複数ある場合には、例えば、最も早い出鋼日の最も早いキャストの最も早いチャージにおける出鋼枠に当該スラブを割り当てるようにすればよい。
例えば、図18において9月3日(9/3)が出鋼日のキャストNo.が「1」、チャージNo.が「1」、品種キーが「A−111」の出鋼枠の日別出鋼量は150[ton]である。
そして、図11において、代表品種が「A−111」のスラブのうち、代表納期が最も早いスラブはスラブNo.が「1」のスラブ1であるとする。
この場合、スラブ単位チャージ編成部312は、前記出鋼枠(図18の出鋼日が「9/3」、キャストNo.が「1」、チャージNo.が「1」、品種キーが「A−111」の欄)にはスラブ1を割り当て、当該出鋼枠の残りの出鋼量は145.8(=150−4.2)[ton]となる。このようにして、当該出鋼枠が埋まる(当該出鋼枠の残りの出鋼量が0(ゼロ)または所定値以下になる)までスラブを順に割り当てていくことによりスラブ単位出鋼計画が導出される。
尚、前述したように、品種単位出鋼計画1800は、品種キー毎の品種モデル1400に基づいて精整負荷が平準化するように決定される(前記(4)式および(10)式を参照)。したがって、このような比較的シンプルな方法でスラブを品種単位出鋼計画1800の各品種の欄に割り当てることができる。
図19は、スラブ単位出鋼計画1900の一例を示す図である。図19では、スラブ1、2のみが割り当てられた状態のスラブ単位出鋼計画を示すが、品種単位出鋼計画1800の出鋼枠の何れかに、スラブ情報500に含まれる全てのスラブが割り当てられる。以上のようにして、品種キーを介して、図15に示したチャージ枠1500(各出鋼日における各キャストに並べられるチャージのそれぞれ)と、プレートに割り当てられたスラブとが相互に関連付けられる。
尚、品種単位出鋼計画1800に対してスラブを割り当てる方法は、前述したような欲張り法(ルールに基づいて優先順に割り当てる方法)に限定されない。品種単位出鋼計画1800に対してスラブを割り当てる組み合わせ最適化問題として、品種単位出鋼計画1800に対して割り当てるスラブの最適解を解いてもよい。組み合わせ最適化問題の解法には、数理最適化手法(混合整数計画法等)や、メタヒューリスティクス等の近似解法等がある。問題規模が小さいときは数理最適化手法が、問題規模が大きい時は近似解法が、それぞれ用いられることが多い。尚、これらの手法については、例えば、非特許文献2に記載されている公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
以上のようにしてスラブ単位出鋼計画1900を導出すると、スラブ単位チャージ編成部312は、スラブ単位出鋼計画1900を示す情報をコンピュータディスプレイに表示する。立案者は、表示されたスラブ単位出鋼計画1900を確認し、当該スラブ単位出鋼計画1900を採用する場合には、チャージ編成装置300のユーザインターフェースを操作して、そのことを指示する。一方、当該スラブ単位出鋼計画1900を採用しない場合、立案者は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースを操作して、変更すべき内容の指示を行う。変更すべき内容としては、例えば、第2の立案方針取得部311により取得される立案方針およびスラブ単位出鋼計画1900の値である。
スラブ単位チャージ編成部312は、第2の立案方針取得部311により取得される立案方針の変更があった場合には、変更後の内容で、前述したようにしてスラブ単位出鋼計画1900を再度導出する。
スラブ単位チャージ編成部312は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行してスラブ単位出鋼計画1900の情報を導出して、コンピュータディスプレイに表示することにより実現される。
[出鋼計画登録部313]
出鋼計画登録部313は、スラブ単位チャージ編成部312で導出されたスラブ単位出鋼計画1900のうち、立案者により採用すると判断されたスラブ単位出鋼計画1900を登録する。登録の形態としては、例えば、データベースや可搬型記憶媒体への記憶、および外部装置への送信が挙げられる。
出鋼計画登録部313は、例えば、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行してスラブ単位出鋼計画1900の情報を、記憶媒体(RAMやHDD)に記憶したり、入出力インターフェースを介して外部に送信したりすることにより実現される。
(動作フローチャート)
次に、図20のフローチャートを参照しながら、チャージ編成装置300を用いて行われるチャージ編成方法の一例を説明する。尚、ここでは、図20のフローチャートが開始される前に、品種分類ロジック取得部303により、品種分類ロジック(決定木800)が作成されているものとする。
まず、ステップS2001において、注文情報取得部301は、注文情報400を取得する。
次に、ステップS2002において、スラブ情報取得部302は、注文に関するデータ(注文情報400)とスラブに関するデータとに基づいてスラブ情報500を導出する。
次に、ステップS2003において、品種取得部304は、注文情報400に含まれるそれぞれのプレートについて、注文情報400の精整工程通過影響因子と、当該注文情報400から導出されたスラブ情報500の精整工程通過影響因子とを、品種分類ロジック(決定木800)に入力することにより、当該プレートの予定通過工程パターンを導出する。そして、品種取得部304は、当該プレートの鋼種を注文情報400から読み出し、当該読み出した鋼種と、当該予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を、当該プレートの品種キーとして導出することにより、当該プレートに品種を付与する。
次に、ステップS2004において、代表属性導出部305は、スラブの代表属性を導出する際の立案方針と、注文情報400と、スラブ情報500とに基づいて、スラブ情報500に含まれるそれぞれのスラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する。
次に、ステップS2005において、注文マトリクス作成部306は、注文情報400と、品種キーと、代表納期とに基づいて、注文マトリクス1300を作成する。
次に、ステップS2006において、品種モデル取得部307は、品種モデル1400を取得する。
次に、ステップS2007において、チャージ枠取得部308は、チャージ枠1500を取得する。
次に、ステップS2008において、第1の立案方針取得部309は、品種単位出鋼計画1800を導出する際の立案方針を取得する。
次に、ステップS2009において、品種単位チャージ編成部310は、前記(1)式〜(7)式の制約式と、前記(13)式の評価関数を設定する。
次に、ステップS2010において、品種単位チャージ編成部310は、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数の値を最小にする品種単位出鋼計画1800を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する。
次に、ステップS2011において、品種単位チャージ編成部310は、ステップS2010で導出された品種単位出鋼計画1800を示す情報を立案結果としてコンピュータディスプレイに表示する。
次に、ステップS2012において、品種単位チャージ編成部310は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、ステップS2011で表示された品種単位出鋼計画1800を採用することが指示されたか否かを判定する。この判定の結果、品種単位出鋼計画1800を採用することが指示されなかった場合には、ステップS2013に進む。
ステップS2013に進むと、品種単位チャージ編成部310は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、変更内容の指示の入力を受け付ける。
次に、ステップS2014において、品種単位チャージ編成部310は、ステップS2013で入力した変更の指示が立案方針の変更の指示であるか否かを判定する。この判定の結果、立案方針の変更の指示である場合には、ステップS2009に戻る。そして、品種単位チャージ編成部310は、当該指示により変更された立案方針に従って、前述したステップS2009〜S2012の処理を行う。
一方、立案方針の変更の指示でない場合には、品種単位出鋼計画1800の値の変更の指示であると判定し、ステップS2011に戻る。そして、品種単位チャージ編成部310は、当該指示により変更された値の品種単位出鋼計画1800を表示する。
そして、ステップS2012において、品種単位出鋼計画1800を採用することが指示されたと判定されると、ステップS2015に進む。
ステップS2015に進むと、第2の立案方針取得部311は、品種単位出鋼計画1800にスラブを割り当てる際の立案方針を取得する。
次に、ステップS2016において、スラブ単位チャージ編成部312は、品種単位出鋼計画1800にスラブを割り当てる際の立案方針と、注文情報400と、スラブ情報500と、代表属性1100とに基づいて、スラブ情報500に含まれる全てのスラブを、品種単位出鋼計画1800の出鋼枠に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画1900として導出する。
次に、ステップS2017において、スラブ単位チャージ編成部312は、ステップS2016で導出されたスラブ単位出鋼計画1900を示す情報を立案結果としてコンピュータディスプレイに表示する。
次に、ステップS2018において、スラブ単位チャージ編成部312は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、ステップS2017で表示されたスラブ単位出鋼計画1900を採用することが指示されたか否かを判定する。この判定の結果、スラブ単位出鋼計画1900を採用することが指示されなかった場合には、ステップS2019に進む。
ステップS2019に進むと、スラブ単位チャージ編成部312は、チャージ編成装置300のユーザインターフェースに対する立案者の操作の内容に基づいて、変更内容の指示の入力を受け付ける。
次に、ステップS2020において、スラブ単位チャージ編成部312は、ステップS2019で入力した変更の指示が立案方針の変更の指示であるか否かを判定する。この判定の結果、立案方針の変更の指示である場合には、ステップS2016に戻る。そして、スラブ単位チャージ編成部312は、当該指示により変更された立案方針に従って、前述したステップS2016〜S2018の処理を行う。
一方、立案方針の変更の指示でない場合には、スラブ単位出鋼計画1900の値の変更の指示であると判定し、ステップS2017に戻る。そして、スラブ単位チャージ編成部312は、当該指示により変更された値のスラブ単位出鋼計画1900を表示する。
そして、ステップS2018において、スラブ単位出鋼計画1900を採用することが指示されたと判定されると、ステップS2021に進む。
ステップS2021に進むと、出鋼計画登録部313は、ステップS2018で採用することが指示されたスラブ単位出鋼計画1900を登録する。
そして、図20のフローチャートによる処理を終了する。
(実施例)
次に、実施例を説明する。
<実施例1>
本実施例では、表1〜表2のような条件で出鋼計画を立案した例を説明する。本実施例では、1チャージあたり300[ton]のチャージ55個を3日間、9つのキャストで出鋼する計画にスラブを割り当てる。対象となるスラブ総枚数は1004枚である。
Figure 0006711215
Figure 0006711215
また、精整工程の負荷の平準化を志向した評価関数((10)式)における移動平均は3日とした。
立案結果を図21〜図23に示す。図21〜図23は、それぞれ、切断工程P4、熱処理工程P5、特別検査工程P6での日別発生量である。また、それぞれの図において、スラブ単位出鋼計画とは、スラブ単位チャージ編成部312の立案結果、つまり、品種単位出鋼計画(図18を参照)に対して、前述した出鋼枠(図18の日別出鋼量の列の各行に対応する部分)を利用してスラブを割り付けたときの各工程の日別発生量である。
一方、品種単位出鋼計画とは、品種単位チャージ編成部310の立案結果、つまり、スラブを割り付ける前の品種単位出鋼計画(図18を参照;「日別出鋼量」と記載)を用いて品種単位で立案したときの各工程の日別発生量である。
処理能力は、工程能力上限値、すなわち、出鋼日別・精整工程別の能力(処理量)の上限値である。
図21(a)、図22(a)、図23(a)は、発明例を示し、本実施形態で説明した方法で得られたものを示す。すなわち、注文マトリクスを作成する際に、スラブの代表納期を用いる。一方、図21(b)、図22(b)、図23(b)は、比較例を示し、本実施形態で説明した方法に対し、注文マトリクスを作成する際に、スラブの代表納期ではなく、各注文(プレート)の納期を用いる。尚、この点(注文マトリクスを作成する際に用いる納期)以外は、発明例と比較例とで異なることはない。
図21(b)〜図23(b)に示すように、比較例では、品種単位出鋼計画とスラブ単位出鋼計画とがずれている。これに対し、図21(a)〜図23(a)に示すように、発明例では、品種単位出鋼計画とスラブ単位出鋼計画とで、精整工程P4〜P6における負荷の平準化が略同等に実現できていることが分かる。したがって、品種単位出鋼計画とスラブ単位出鋼計画とにおいて注文構成(品種に紐付けられる注文とスラブに紐付けられる注文)の差を小さくすることができることが分かる。
尚、図22(a)および図22(b)では、品種単位出鋼計画およびスラブ単位出鋼計画における各出鋼日における熱処理工程の発生量が処理能力を上回るが、これは、ここでは(10)式に示すように3日間の移動平均をとっているためであり、この3日の移動平均値は、処理能力を上回らない。
<実施例2>
本実施例では、発明例として、1年分の製造実績データに基づいて、本実施形態で説明した方法で品種分類ロジック(決定木800)の作成と、品種モデル1400の作成とを行い、その後の5か月間の製造実績データで、各精整工程の発生予測精度を導出した。
一方、比較例として、前述した1年分の製造実績データに基づいて、特許文献4に記載されている方法で品種分類ロジックの作成と、製造負荷予測モデル(品種毎の各精整工程における負荷の発生率を予測するモデル)の作成とを行い、前述したその後の5か月間の製造実績データで、各精整工程の発生予測精度を導出した。
比較例における品種分類ロジックは、注文情報(製造仕様を含む)を説明変数とする決定木である(これに対し、発明例の品種分類ロジックは、当該注文情報(製造仕様を含む)とスラブ情報とを説明変数とする決定木である)。製造負荷予測モデルは、本実施形態の品種モデルに対応するものであり、鋼種別・予定通過工程パターン別の各精整工程における負荷の発生率を予測するものである。
各精整工程の発生予測精度は、以下の(14)式で表される。
精整工程の発生予測精度={(実績発生回数−予測発生回数)/実績発生回数)}×100 ・・・(14)
前述した5か月間の製造実績データを、品種分類ロジックに入力することにより、当該製造実績データに含まれる各プレートの品種が導出される。同一の品種のプレートの数に、当該品種の或る精整工程における負荷の発生率(発明例では品種モデル、比較例では製造負荷予測モデル)を掛けることにより、当該品種の当該精整工程の発生回数が導出される。このような発生回数の導出を全ての品種について行い、当該精整工程の発生予測精度を(14)式に基づいて算出する。精整工程毎の発生予測精度を、全精整工程で算術平均した値を平均発生予測精度とする。 表3に、その結果を示す。ここでは、全精整工程として、精整工程P4〜P6を対象とした。
Figure 0006711215
表3に示すように、説明変数として、注文情報400(の精整工程通過影響因子)に加えてスラブ情報500(の精整工程通過影響因子)を用いることにより、各精整工程で発生する負荷の予測精度を高める(予測誤差を小さく)することができることが分かる。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、製品であるプレートの注文の内容やプレートの製造仕様を含む注文情報400と、どのスラブにどのプレートが割り当てられるのかを示すスラブ情報500とを取得する。そして、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた品種キーが同じ注文(プレート)を同一の品種として集約すると共に、各スラブの代表属性(代表品種および代表納期)を導出する。そして、出鋼日と代表納期との差異に関する評価値と、精整工程の負荷の平準化に関する評価値と、プレートにならない請求余材の量に関する評価値と、の重み付き線形和で表される評価関数が最小となるときの品種別・出鋼日別の出鋼量である品種単位出鋼計画1800を導出する、そして、代表納期を指標として用いて、品種単位出鋼計画1800の出鋼枠に、当該出鋼枠に属する品種と同じ代表品種を持つスラブを割り当てたものをスラブ単位出鋼計画1900として導出する。
したがって、計算時間と立案精度とのバランスをとることができる。具体的には、例えば、以下のような効果がある。
品種単位出鋼計画1800を導出する問題(チャージ枠1500に品種を割り当てる問題)は、線形計画問題となる。このため、計画全体を対象として、納期、精整工程の負荷の平準化、および請求余材を考慮した最適解(チャージ枠)を実用時間内に得ることができる。
また、注文を品種単位にまとめることで、問題の規模を削減し、計算を高速化できる。
また、連続量である品種毎の注文量をチャージ枠に割り当てる問題とすることにより、離散量であるスラブをチャージ枠に直接割り当てる問題に比べてはるかに高速に最適解を求めることができる。
また、品種として、少なくとも「鋼種」と「予定通過工程パターン」とを用いるので、品種単位出鋼計画とスラブ単位出鋼計画の評価指標が大きく異なることを抑制することができる。
また、品種単位出鋼計画とスラブ単位出鋼計画とにおいて注文構成(品種に紐付けられる注文とスラブに紐付けられる注文)の差を小さくすることができる。
また、本実施形態では、注文情報400(の精整工程通過影響因子)に加えてスラブ情報500(の精整工程通過影響因子)を説明変数とする決定木800を用いて予定通過工程パターンを導出する。したがって、注文情報400のみを用いる場合を比べ、品種の分類の予測精度と、品種モデルによる各精整工程における負荷の発生率の精度(すなわち、精整工程の負荷の予測精度)を向上させることができる。
(変形例)
本実施形態では、精整工程の負荷の平準化をキャスト計画全体の指標とし、鋼種と予定通過工程パターンとを組み合わせた情報を品種キーとする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、精整工程の負荷の平準化とは異なる指標をさらに加えてキャスト計画全体の指標とする場合には、鋼種と予定通過工程パターンに加えて、当該指標を考慮できる情報を品種キーに含めてもよい。ただし、このようにする場合であっても、前述したように、キャストとスラブとで共通する情報を品種キーに含める情報とする。例えば、一定期間内の納期の注文が同一の品種キーとなるように、一定期間内の納期を表す情報を品種キーに加えてもよい。
また、本実施形態では、品種分類ロジックが決定木である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、品種分類ロジックは、決定木に限定されるものではない。注文情報400(の精整工程通過影響因子)とスラブ情報500(の精整工程通過影響因子)とを入力とし、品種(予定通過工程パターン)を出力とするロジックであれば、例えば、統計モデルを使用したり、テーブル方式のモデルを使用したりすることができる。注文情報400(の精整工程通過影響因子)とスラブ情報500(の精整工程通過影響因子)とが全て数値で表される場合には、ロジスティック回帰やSVM(Support Vector Machine)等の手法を用いて、精整工程毎に通過有無を予測し、その予測結果を組み合わせて品種(予定通過工程パターン)とすることができる。
このように注文情報400(の精整工程通過影響因子)とスラブ情報500(の精整工程通過影響因子)とを入力とする品種分類ロジックを用いれば、品種の分類の予測精度と、品種モデルによる各精整工程における負荷の発生率の精度(すなわち、精整工程の負荷の予測精度)を向上させることができるので好ましい。しかしながら、各注文(プレート)を品種に分類することができるロジックを用いていれば、必ずしも注文情報400(の精整工程通過影響因子)とスラブ情報500(の精整工程通過影響因子)との双方を入力とする品種分類ロジックを用いる必要はない。例えば、注文情報400(の精整工程通過影響因子)のみを入力とする品種分類ロジックを用いてもよい。また、必ずしも品種分類ロジックを用いて品種を予測する必要はない。例えば、各注文のそれぞれに対して、過去の操業実績等の指標から立案者が品種キーを設定し、注文情報に品種キーを含めてもよい。この場合には、注文情報と共に品種キーが取得されることになる。
また、本実施形態では、前記(13)式の評価関数の値を最小にする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、評価関数の値を最大にするようにしてもよい。このようにする場合には、例えば、前記(13)式(の全体)に(−1)を乗算すればよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、請求項と実施形態との対応関係の一例を示す。尚、請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例等において説明した通りである。
注文情報取得手段は、例えば、注文情報取得部301を用いることにより実現される(図20のステップS2001も参照)。
スラブ情報取得手段は、例えば、スラブ情報取得部302を用いることにより実現される(図20のステップS2002も参照)。
品種取得手段は、例えば、品種取得部304を用いることにより実現される(図20のステップS2003も参照)。
代表属性導出手段は、例えば、代表属性導出部305を用いることにより実現される(図20のステップS2004も参照)。
注文マトリクス作成手段は、例えば、注文マトリクス作成部306を用いることにより実現される(図20のステップS2005も参照)。
品種単位出鋼計画導出手段は、例えば、品種単位チャージ編成部310を用いることにより実現される(図20のステップS2009〜S2010も参照)。
スラブ単位出鋼計画導出手段は、例えば、スラブ単位チャージ編成部312を用いることにより実現される(図20のステップS2016も参照)。
第1の評価値は、例えば、(8)式、(9a)式、および(9b)式を用いることにより実現される。
第2の評価値は、例えば、(10)式を用いることにより実現される。
品種モデル取得手段は、例えば、品種モデル取得部307を用いることにより実現される(図20のステップS2006も参照)。
301:注文情報取得部、302:スラブ情報取得部、303:品種分類ロジック取得部、304:品種取得部、305:代表属性導出部、306:注文マトリクス作成部、307:品種モデル取得部、308:チャージ枠取得部、309:第1の立案方針取得部、310:品種単位チャージ編成部、311:第2の立案方針取得部、312:スラブ単位チャージ編成部、313:出鋼計画登録部

Claims (8)

  1. 転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程切断工程、熱処理工程、および特別検査工程を含む複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成装置であって、
    前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期とをプレート属性として少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得手段と、
    複数のスラブそれぞれを構成する前記プレートの組み合わせと、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とをスラブ属性として少なくとも含むスラブ情報を取得するスラブ情報取得手段と、
    前記注文情報における前記プレートのそれぞれについての品種を取得する品種取得手段と、
    記スラブ情報における1枚の記スラブに含まれるプレートの代表属性として、前記品種取得手段により取得した品種のうち前記品種ごとに集約したプレートの重量が最大重量となる品種である代表品種と、前記注文情報取得手段により取得した注文情報に含まれている納期のうち最も早い納期である代表納期とを少なくとも含む代表属性を導出する代表属性導出手段と、
    前記注文情報を、前記品種ごと、前記代表納期ごとに集約し、品種別・代表納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成手段と、
    前記注文マトリクスと、前記プレートの過去の製造実績に基づいて導出される前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含む所与のチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である所与の工程能力上限値と、に基づいて、納期遅れおよび製品在庫を最小にする品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位出鋼計画であって、前記チャージ枠に対して、どの品種のプレートをどれだけ割り付けるかを少なくとも示す品種単位出鋼計画を線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する品種単位出鋼計画導出手段と、
    少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位出鋼計画における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ情報に含まれるスラブを前記品種単位出鋼計画に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出手段と、
    を有し、
    前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、
    前記品種単位出鋼計画導出手段は、前記出鋼日と前記代表納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とするチャージ編成装置。
  2. 前記品種モデルを取得する品種モデル取得手段を更に有し、
    前記注文情報は、前記プレートを製造する際に通過する前記精整工程の発生率に影響を与える因子である精整工程通過影響因子を前記プレート属性と異なる属性として更に含み、
    前記スラブ情報は、前記プレートを製造する際に通過する前記精整工程の発生率に影響を与える因子である精整工程通過影響因子を前記スラブ属性と異なる属性として更に含み、
    前記品種取得手段は、前記注文情報および前記スラブ情報と、品種分類ロジックとに基づいて、前記注文情報における前記プレートのそれぞれについて、前記予定通過工程パターンを導出し、
    前記品種モデル取得手段は、鋼種と、前記精整工程の通過の有無と、前記注文情報に含まれる前記精整工程通過影響因子と、前記スラブ情報に含まれる前記精整工程通過影響因子とを製造実績として含む製造実績データと、前記品種分類ロジックとに基づいて、前記品種モデルを導出し、
    前記品種分類ロジックは、少なくとも、前記注文情報に含まれる前記精整工程通過影響因子と、前記スラブ情報に含まれる前記精整工程通過影響因子とを入力とし、少なくとも1つの前記精整工程の通過の有無の予測値を出力とするロジックであることを特徴とする請求項1に記載のチャージ編成装置。
  3. 前記品種分類ロジックは、決定木であり、
    前記決定木の説明変数には、前記注文情報に含まれる前記精整工程通過影響因子と、前記スラブ情報に含まれる前記精整工程通過影響因子とが含まれ、
    前記決定木の目的変数は、少なくとも1つの前記精整工程の通過の有無の予測値であることを特徴とする請求項2に記載のチャージ編成装置。
  4. 前記スラブ単位出鋼計画導出手段は、予め定められたルールに従って前記スラブ情報における前記複数のスラブを前記品種単位出鋼計画に割り当てることと、前記スラブ情報における前記複数のスラブを前記品種単位出鋼計画に割り当てる組み合わせ最適化問題を解くこととの何れか一方を行うことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のチャージ編成装置。
  5. 前記予め定められたルールは、早い前記代表納期を有する前記スラブから優先して、前記スラブ情報に含まれるスラブを前記品種単位出鋼計画に割り当てることであることを特徴とする請求項に記載のチャージ編成装置。
  6. 前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記予定通過工程パターンと、の組み合わせからなることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のチャージ編成装置。
  7. 転炉工程、連続鋳造工程、圧延工程切断工程、熱処理工程、および特別検査工程を含む複数の精整工程を含む製造工程によりプレートを製造する際の出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む出鋼計画を作成するチャージ編成方法であって、
    前記プレートの枚数と、前記プレートの1枚当たりの重量である製品単重と、出鋼期限日である納期とをプレート属性として少なくとも含む注文情報を複数の注文について取得する注文情報取得ステップと、
    複数のスラブそれぞれを構成する前記プレートの組み合わせと、当該スラブ1枚当たりの重量であるスラブ重量と、当該スラブの鋼種とをスラブ属性として少なくとも含むスラブ情報を取得するスラブ情報取得ステップと、
    前記注文情報における前記プレートのそれぞれについての品種を取得する品種取得ステップと、
    記スラブ情報における1枚の記スラブに含まれるプレートの代表属性として、前記品種取得ステップにより取得した品種のうち前記品種ごとに集約したプレートの重量が最大重量となる品種である代表品種と、前記注文情報取得ステップにより取得した注文情報に含まれている納期のうち最も早い納期である代表納期とを少なくとも含む代表属性を導出する代表属性導出ステップと、
    前記注文情報を、前記品種ごと、前記代表納期ごとに集約し、品種別・代表納期別の注文重量を少なくとも含む注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成ステップと、
    前記注文マトリクスと、前記プレートの過去の製造実績に基づいて導出される前記品種別の各精整工程における負荷の発生率である品種モデルと、出鋼日別・キャスト別・チャージ別の鋼種を少なくとも含む所与のチャージ枠と、精整工程別・出鋼日別の処理量の上限値である所与の工程能力上限値と、に基づいて、納期遅れおよび製品在庫を最小にする品種別・出鋼日別の出鋼量を少なくとも含む品種単位出鋼計画であって、前記チャージ枠に対して、どの品種のプレートをどれだけ割り付けるかを少なくとも示す品種単位出鋼計画を線形計画法による最適化計算を行うことにより導出する品種単位出鋼計画導出ステップと、
    少なくとも前記代表納期を指標として用いて、前記品種単位出鋼計画における前記品種と、当該品種と同じ前記代表品種を有するスラブとが相互に関連付けられるように、前記スラブ情報に含まれるスラブを前記品種単位出鋼計画に割り当てたものをスラブ単位出鋼計画として導出するスラブ単位出鋼計画導出ステップと、
    を有し、
    前記品種は、前記プレートの鋼種と、前記複数の精整工程の通過の有無の予測値を所定の順番で並べた予定通過工程パターンと、を少なくとも含み、
    前記品種単位出鋼計画導出ステップは、前記出鋼日と前記代表納期との差異に関する評価値である第1の評価値と、前記複数の精整工程における処理量の平準化に関する評価値である第2の評価値と、を少なくとも含む複数の評価値の重み付き線形和で表される評価関数を最小または最大にする前記品種別・出鋼日別の出鋼量を、線形計画法による最適化計算を行うことにより導出することを特徴とするチャージ編成方法。
  8. 請求項1〜の何れか1項に記載のチャージ編成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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