JP6930399B2 - 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム - Google Patents

計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、計画作成装置、計画作成方法、およびプログラムに関し、特に、ロットに複数の製品を纏めてロット単位で複数の製品を生産または処理するために用いて好適なものである。
製造業において製品の生産計画を立案する場合には、複数の製品を適切な規模で適切な数のロットに纏めてロット単位で製造するように生産計画を立案することが多い。
ここで、複数の製品をロットに纏めて製造する場合の一例として、製鋼工場で連続鋳造を行う場合について説明する。
製鋼工場では、高炉から供給された溶銑を転炉に装入して、酸素を吹き付けることで溶銑中の炭素を取り除き溶鋼を製造する。これを一次精錬と呼ぶ。次に、溶鋼は取鍋と呼ばれる容器に注入され二次精錬工程へ搬送される。この取鍋一杯分の溶鋼をチャージと呼ぶ。二次精錬工程として例えばRH(Ruhrstahl Heraeus)工程があり、真空管中に溶鋼を循環させることで溶鋼中の不純なガスを真空中に除去して溶鋼の成分を調整する。二次精錬工程が終了すると、取鍋は連続鋳造機へと搬送される。連続鋳造機では、取鍋から鋳型へ溶鋼を注入すると同時に冷却することで半製品である鋳片を製造する。連続鋳造機では、複数のチャージを連続して鋳造することが可能であり、連続して鋳造する複数のチャージのまとまりをキャストと呼ぶ。また、複数のチャージの溶鋼を連続して鋳造することを連々鋳と呼ぶ。この連々鋳の回数を多くし過ぎると、連続鋳造機の構成部材(タンディッシュや鋳型の耐火物、浸漬ノズルなど)の溶損が生じるため、品種などで異なる溶損具合に応じて連々鋳を実施するチャージ数を適切に定めなければならない。
連続鋳造機において製造された鋳片はスラブと呼ばれ、圧延工程へ搬送される。圧延工程においてスラブは加熱炉によって再加熱され高温の状態で圧延機によって数ミリ単位の薄さまで圧延されコイル状に巻き取られる。スラブの形状や硬さによって、圧延機で連続して圧延できるスラブ枚数に制限がある。圧延機で連続して圧延されるスラブのまとまりをチャンスと呼ぶ。
各スラブには、注文情報から成分、形状、熱延希望日などの情報が付与されていて、製鋼工程および圧延工程における制約条件を考慮して、キャストやチャンスといったロットが編成される。
また近年、製鋼工程のロットであるキャストを圧延工程のロットであるチャンスと同じにすることで、リードタイムの短縮化、および熱ロスの低減化の試みがされている。このような操業を行う場合においては、製鋼工程および圧延工程における制約条件を同時に満足するキャスト編成(各キャストに含めるスラブ)を決定する必要がある。
キャスト編成においては、キャスト内に多数のスラブを取り込んで大ロット化することにより、鋳造の連々回数を増加させ、連々鋳の開始および終了時におけるスラブ不良部の低減や再鋳造開始にかかる準備時間の低減による生産量の増加が期待できる。一方で、成分、形状、および熱延希望日などの条件によって同一キャスト内に取り込むことが可能なスラブには制限がある。このため、制約条件を満たす範囲において可能な限り大ロットとなるキャスト編成を行うことが求められる。
キャスト編成の業務では、一般に、数百または千といった数のスラブを取り扱うため、スラブの組み合わせ数が多くなる。したがって、立案者(計画担当者)が全ての制約条件を充足するキャスト編成を行うめには長時間を有する作業となる。
そこで、キャスト編成を自動で行う技術として特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1には、各チャージを節点で表現すると共に、抱き合わせて鋳造可能なチャージ間を有向枝で表現したネットワークを作成し、最長のキャストとなるルートを前記ネットワーク上で探索することが開示されている。
特開2012−11451号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、スラブをチャージにまとめる方法に関しての説明がなく、与えられたチャージの情報に基づいてキャスト編成を行うことになる。したがって、チャージが適切に編成されていなければ最適なキャスト編成の結果が得られない虞がある。また、前述したようにスラブの組み合わせが多いため、特許文献1に記載の技術においてチャージを適切にキャストに含めようとすると、問題規模が大きくなり過ぎ、計算時間が長くなる虞がある。したがって、立案結果の精度を大きく落とすことなく立案時間を短縮することは容易ではない。
また、一般に立案者は、過去の操業実績を参照してキャスト編成を行う。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、このような操業実績を考慮していない。したがって、立案者が行うキャスト編成に近づけることは容易ではない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ロット単位で製品を生産または処理するための計画を、立案結果の精度を大きく落とすことなく短時間で立案できるようにすると共に、立案者が立案する計画に近づけることができるようにすることを目的とする。
本発明の計画作成装置は、複数の製品をロットの単位で纏めて生産または処理するための計画を作成する計画作成装置であって、前記複数の製品の情報であって、前記製品の製造条件を含む製品情報を取得する取得手段と、前記複数の製品の一部を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合のうち、製品を同一のロットに含めることができる条件として前記製品の製造条件を用いて表される第1のロット包含可能条件を満たす部分集合をロット候補として導出するロット候補導出手段と、前記ロット候補導出手段により導出された前記ロット候補から最適なロット候補を、制約式を満足する範囲で目的関数の値を最大または最小にする最適化計算を行うことにより導出する最適化手段と、前記最適化計算の結果が収束したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記最適化計算の結果が収束していないと判定されると、前記最適化手段により導出された前記最適なロット候補に含まれる前記製品を纏めて前記選択手段における新たな選択対象の製品として再定義する再定義手段と、前記判定手段により、前記最適化計算の結果が収束したと判定された際に前記最適化手段により導出された前記最適なロット候補を最適なロットとし、当該最適なロットにどの前記製品が含まれるのかを示す情報を出力する出力手段と、を有し、前記目的関数は、ロットの数を含む第1のロット候補導出評価指標と、当該第1のロット候補導出評価指標に対する重み係数との積と、余り量を含む第2のロット候補導出評価指標と当該第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数との積と、を含む目的関数であり、前記余り量は、1つまたは複数の前記製品を前記ロットに纏めた場合に当該ロットにおいて余りとなる部分の量であり、前記第2のロット候補導出評価指標の少なくとも1つは、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類され、前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標のそれぞれに対する重み係数を含み、前記制約式は、前記最適なロット候補に含まれる前記製品の数と、前記選択手段により選択された前記製品の数とが同じであり、同一の前記製品が異なる前記ロット候補に含まれないことが定式化された式を含み、前記最適化手段は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数を、当該製品の製造実績データであって、当該製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類された製造実績データに基づいて導出し、前記選択手段は、前記再定義手段により前記選択手段における新たな選択対象の前記製品が再定義された場合、前記再定義手段により再定義された前記製品の全てと、未選択の前記製品のうちの一部の製品を選択し、前記判定手段により、前記最適化計算の結果が収束したと判定されるまで、前記再定義手段による前記製品の再定義と、前記選択手段による前記製品の選択と、前記ロット候補導出手段による前記ロット候補の導出と、前記最適化手段による前記最適化計算とを行うことを特徴とする。
本発明の計画作成方法は、複数の製品をロットの単位で纏めて生産または処理するための計画を作成する計画作成方法であって、前記複数の製品の情報であって、前記製品の製造条件を含む製品情報を取得する取得工程と、前記複数の製品の一部を選択する選択工程と、前記選択工程により選択された前記製品の部分集合のうち、製品を同一のロットに含めることができる条件として前記製品の製造条件を用いて表される第1のロット包含可能条件を満たす部分集合をロット候補として導出するロット候補導出工程と、前記ロット候補導出工程により導出された前記ロット候補から最適なロット候補を、制約式を満足する範囲で目的関数の値を最大または最小にする最適化計算を行うことにより導出する最適化工程と、前記最適化計算の結果が収束したか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により前記最適化計算の結果が収束していないと判定されると、前記最適化工程により導出された前記最適なロット候補に含まれる前記製品を纏めて前記選択工程における新たな選択対象の製品として再定義する再定義工程と、前記判定工程により、前記最適化計算の結果が収束したと判定された際に前記最適化工程により導出された前記最適なロット候補を最適なロットとし、当該最適なロットにどの前記製品が含まれるのかを示す情報を出力する出力工程と、を有し、前記目的関数は、ロットの数を含む第1のロット候補導出評価指標と、当該第1のロット候補導出評価指標に対する重み係数との積と、余り量を含む第2のロット候補導出評価指標と当該第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数との積と、を含む目的関数であり、前記余り量は、1つまたは複数の前記製品を前記ロットに纏めた場合に当該ロットにおいて余りとなる部分の量であり、前記第2のロット候補導出評価指標の少なくとも1つは、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類され、前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標のそれぞれに対する重み係数を含み、前記制約式は、前記最適なロット候補に含まれる前記製品の数と、前記選択工程により選択された前記製品の数とが同じであり、同一の前記製品が異なる前記ロット候補に含まれないことが定式化された式を含み、前記最適化工程は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数を、当該製品の製造実績データであって、当該製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類された製造実績データに基づいて導出し、前記選択工程は、前記再定義工程により前記選択工程における新たな選択対象の前記製品が再定義された場合、前記再定義工程により再定義された前記製品の全てと、未選択の前記製品のうちの一部の製品を選択し、前記判定工程により、前記最適化計算の結果が収束したと判定されるまで、前記再定義工程による前記製品の再定義と、前記選択工程による前記製品の選択と、前記ロット候補導出工程による前記ロット候補の導出と、前記最適化工程による前記最適化計算とを行うことを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記計画作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、ロット候補のサイズを徐々に拡大しながら最終的に最適なロットを導出しているため、製品から一括してロットを導出する場合に比べ、ロット単位で製品を生産または処理するための計画を、立案結果の精度を大きく落とすことなく短時間で立案できる。これと共に、ロット候補を評価する評価指標を分類し、それぞれの評価指標に対して、重要度を表す重み係数を設定しているため、立案者が立案する計画に近づけることができる。
キャスト計画を作成する手法の概要の一例を説明する図である。 キャスト編成装置の機能的な構成の一例を示す図である。 スラブ情報の第1の例を示す図である。 並び替え後のスラブ情報の一例を示す図である。 スラブグループ情報の一例を示す図である。 並び替え後のスラブグループ情報の一例を示す図である。 集合分割問題を解く方法の一例を概念的に示す図である。 行列を概念的に説明する図である。 再定義後のスラブグループ情報の一例を示す図である。 キャスト編成装置の処理の一例を説明するフローチャートである。 ステップS1002の処理の一例を説明するフローチャートである。 第1の参考形態の適用例および非適用例の結果の第1の例を表形式で示す図である。 第1の参考形態の適用例および非適用例におけるスラブ数と計算時間との関係を示す図である。 第1の参考形態の適用例および非適用例における評価値を示す図である。 スラブの鋼種とチャージとの関係の一例を説明する図である。 スラブ情報の第2の例を示す図である。 キャスト候補導出部の処理の一例を説明するフローチャートである。 第2の参考形態の適用例および非適用例の結果の第2の例を表形式で示す図である。 製品鋼材となる鋼種の組み合わせに対する重み係数の一例を説明する図である。 異鋼種連々鋳の実績回数の一例を示す図である。 異鋼種連々数に対する重み係数の一例を示す図である。 キャスト候補における異鋼種連々数を鋼種の組み合わせ別に示す図である。
後述する本発明の実施形態は、特願2016−104543に記載の実施形態を前提とする。そこで、本発明の実施形態を説明する前に、特願2016−104543に記載の実施形態を参考形態として説明する。以下の説明では、生産計画として、連続鋳造機におけるキャスト計画を作成する(即ちキャスト編成を行う)場合を例に挙げて説明する。この場合、「スラブ」が「製品」に対応し、「キャスト」が「ロット」に対応し、「鋳造」が「製造」に対応する。また、「製品」は、原料に手が加えられた物を指し、市場に出回る最終製品等に限定されるものではない。例えば、中間製品(半製品)も「製品」に含まれる。
[第1の参考形態]
(概要)
第1の参考形態の概要について説明する。
図1は、本参考形態におけるキャスト計画を作成する手法の概要の一例を説明する図である。
立案対象期間に製造予定の複数のスラブのそれぞれには、当該スラブの製造条件(製造仕様)を含むスラブ情報が紐付けられている。このスラブ情報に基づいて、製造条件が所定の範囲内で一致するスラブが同一のスラブグループに属するように、複数のスラブのそれぞれをグルーピングする。
図1では、このようにして得られたスラブグループを識別するスラブグループNo.と、当該スラブグループNo.のスラブグループに属するスラブの枚数(スラブ枚数)と、当該スラブグループNo.のスラブグループに属するスラブの製造条件の1つとして与えられている熱延希望日のうち最も早い日(最早日)とを示す。連続鋳造機で製造されたスラブはヤードに置かれた後、次工程の熱延工程で熱間圧延される。この熱間圧延を行う日として工場側が希望する日が熱延希望日になる。すなわち、熱延希望日は、熱延工場に対するスラブの納期である。熱延希望日は、例えば、熱間圧延により得られた熱延鋼板を巻き取ることにより得られるコイルの客先に対する納期や熱延ラインの設備の稼働状況などに基づいて設定される。
図1に示す例では、スラブグループは、熱延希望日(最早日)が早いものから順に並び替えられる。尚、図1では、説明の都合上、熱延希望日(最早日)が早いものから順にスラブグループを並べた場合の並び順とスラブグループNo.とを同じにしている。
次に、複数のスラブグループの一部を選択し、選択したスラブグループの部分集合を作成する。図1に示す例では、27個のスラブグループの中から10個のスラブグループを熱延希望日(最早日)が早いものから選択し、これら10個のスラブグループの部分集合を作成する。これらの部分集合のそれぞれについて、同一のキャストで製造することが可能な条件(制約条件)を満たすか否かを判定し、この条件を満たす部分集合をキャスト候補とする。
次に、キャスト候補の中から最適なキャスト候補の組み合わせを、最適化問題を解くことにより導出する。最適化問題の詳細については後述する。以下の説明では、このようにして得られた最適なキャスト候補を必要に応じて「キャスト片」と称する。
図1では、このような最適化問題の計算の結果(「1回目の分割最適化」の結果)、キャスト片101a〜101dが得られたことを示す。図1において、キャスト片101a〜101rに示されている1つの四角形は、当該キャスト片を構成するスラブグループを示し、当該四角形内の数字は、当該スラブグループのスラブグループNo.を示す。
次に、キャスト片101a〜101dのそれぞれを新たなスラブグループとして再定義し、当該新たなスラブグループの全てと、未選択のスラブグループのうちの一部のスラブグループを選択し、選択したスラブグループの部分集合を作成する。図1に示す例では、未選択の17個のスラブグループの中から6個のスラブグループを熱延希望日(最早日)が早いものから選択し、4個の新たなスラブグループと、これら6個のスラブグループの部分集合を作成する。前述したように、これらの部分集合のうち、同一のキャストに含めることができる条件(制約条件)を満たす部分集合をキャスト候補とし、キャスト候補の中から最適なキャスト候補の組み合わせ(キャスト片)を、最適化問題を解くことにより導出する。
図1では、この最適化問題の計算の結果(「2回目の分割最適化」の結果)、キャスト片101e〜101hが得られたことを示す。図1では、既にキャスト片として導出され、新たなスラブグループとなっている部分をグレーで塗りつぶして示す。
次に、このようにして得られたキャスト片101e〜101hのそれぞれを新たなスラブグループとして再定義する。そして、前述したのと同様の手順でキャスト片101i〜101m、101n〜101rがこの順で導出される。このように、既に導出したキャスト片を維持したまま、当該キャスト片にスラブグループが徐々に追加され、キャスト片のサイズが拡大する。尚、実際には、キャストに含まれるスラブグループの並び順は、当該スラブグループに属するスラブの幅に基づいて決められるが、ここでは、既に導出したキャスト片を維持しつつ、そのサイズが拡大する様子を分かりやすく示すために、幅で並び替えを行わずに、新たに追加されるスラブグループを既に作成されているキャスト片の後ろに繋げて示す。
以上のようにして導出したキャスト片に含まれるスラブグループが所定の収束判定条件を満たす場合、当該キャスト片をキャストとして確定する。図1に示す例では、全てのスラブグループがキャスト片の何れかに含まれている場合に、収束判定条件を満たすものとする。したがって、キャスト片101n〜101rがキャストとなる。このようにして得られたキャストから、各スラブが属するキャストをキャスト計画の立案結果として出力する。
尚、図1は、本参考形態の概念を示したものであり、以下に説明する内容とは必ずしも対応していない。例えば、図1に示すスラブグループに含まれるスラブ数や熱延希望日(最早日)の内容は、図3〜図6に示すものとは異なる。
(キャスト編成装置200)
図2は、キャスト編成装置200の機能的な構成の一例を示す図である。キャスト編成装置200のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
<スラブ情報取得部201>
スラブ情報取得部201は、スラブ情報を取得して記憶する。スラブ情報取得部201は、例えば、キャスト編成装置200に対するオペレータによる操作、外部装置から送信されたスラブ情報の受信、または可搬型記憶媒体に記憶されたスラブ情報の読み出しを行うことによりスラブ情報を取得する。
図3は、スラブ情報300の一例を示す図である。
図3において、スラブ情報300は、スラブNo.、材質、スラブ重量、スラブ幅、スラブ厚、コイル幅、コイル厚、コイル長さ、および熱延希望日が相互に関連付けられた情報である。立案対象のスラブのそれぞれについてスラブ情報が個別に与えられる。
スラブNo.は、スラブを識別する番号である。
材質とは、スラブの成分などを示すものである。ここでは、材質を、当該材質を識別する記号で表すものとする。
スラブ重量、スラブ幅、スラブ厚は、それぞれ、スラブの重量、幅、厚みである。材質、スラブ重量、スラブ幅、スラブ厚、および熱延希望日は、スラブを製造する工程(連続鋳造工程)における製造条件である。
コイル幅、コイル厚、コイル長さは、それぞれ、スラブNo.で識別されるスラブを熱間圧延することにより得られるコイルの幅、厚み、長さである。コイル幅、コイル厚、コイル長さ、および熱延希望日は、スラブを製造する工程よりも後の工程(熱間圧延工程)における製造条件である。尚、前述したように熱延希望日は、熱間圧延を行う日として工場側が希望する日である。
<スラブグループ作成部202>
スラブグループ作成部202は、スラブ情報取得部201で取得されたスラブ情報300に基づいて、製造条件が所定の範囲内で一致するスラブが同一のスラブグループに属するように、スラブ情報300に含まれるスラブのそれぞれをグルーピングする。
まず、スラブグループ作成部202は、スラブ情報300に含まれるスラブの製造条件の少なくとも1つに基づいて、スラブ情報300のスラブ(レコード)を並び替える。本参考形態では、熱延希望日が早いスラブから順にスラブ情報300のスラブ(レコード)を並び替える。図4は、図3に示すスラブ情報300のスラブ(レコード)を熱延希望日が早いものから順に並び替えられたスラブ情報400の一例を示す図である。尚、図3と図4との関係を分かりやすく示すために、図3と図4では同じスラブに同じスラブNo.を付している。ただし、図4において、最上段の行のスラブNo.を「1」とし、以降昇順にスラブNo.を付け直してもよい。更に熱延希望日が同じスラブ(レコード)の中で、熱延希望日の次に重視する項目に基づいてスラブをソートしてもよい。
次に、スラブグループ作成部202は、以上のようにして並び替えられたスラブ情報400に含まれる未選択のスラブ(レコード)のうち、最上位にあるスラブを1つ選択する。すなわち、スラブグループ作成部202は、スラブ情報400に含まれる未選択のスラブ(レコード)のうち、熱延希望日が最も早いものを1つ選択する。
次に、スラブグループ作成部202は、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報400から選択したスラブを追加できるスラブグループがあるか否かを判定する。前述したように本参考形態では、スラブの製造条件が所定の範囲内で一致するスラブを同一のスラブグループに含める。
具体的に本参考形態では、スラブグループ作成部202は、以下の(A1)〜(D1)の全ての判定条件を満たす場合に、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報400から選択したスラブを追加できるスラブグループがあると判定する。
(A1)既に作成されているスラブグループに含まれるスラブの幅(スラブ幅)と、スラブ情報400から選択したスラブの幅(スラブ幅)との差の最大値が100[mm]以下である。
(B1)既に作成されているスラブグループに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)と、スラブ情報400から選択したスラブの厚み(スラブ厚)との差の最大値が2[mm]以下である。
(C1)既に作成されているスラブグループに含まれるスラブの熱延希望日と、スラブ情報400から選択したスラブの熱延希望日との差の最大値が2[日]以下である。
(D1)既に作成されているスラブグループに含まれるスラブの材質と、スラブ情報400から選択したスラブの材質とが同じである。
スラブグループ作成部202は、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報400から選択したスラブを追加できるスラブグループがないと判定した場合には、新たなスラブグループを作成し、当該選択したスラブを当該作成した新たなスラブグループに含める。
一方、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報400から選択したスラブを追加できるスラブグループがある場合、スラブグループ作成部202は、当該スラブグループに含まれるスラブと、当該選択したスラブの枚数の合計が上限値以下であるか否かを判定する。熱延工程において圧延ロールが摩耗するため、同一のチャンスにおいて連続して熱間圧延する同幅帯のスラブの枚数に制約がある。そこで、本参考形態では、1つのスラブグループに含めるスラブの枚数に上限値を設定する。本参考形態では、この上限値を40[枚]以下とする。
スラブグループ作成部202は、スラブ情報400から選択したスラブを追加できるスラブグループに含まれるスラブと、当該選択したスラブの枚数の合計が上限値以下でない場合には、新たなスラブグループを作成し、当該選択したスラブを当該作成した新たなスラブグループに含める。
一方、スラブ情報400から選択したスラブを追加できるスラブグループに含まれるスラブと、当該選択したスラブの枚数の合計が上限値以下である場合、スラブグループ作成部202は、当該選択したスラブを、当該スラブグループに含める。
スラブグループ作成部202は、熱延希望日が早いものから順に並び替えられたスラブ情報400に含まれる未選択のスラブ(レコード)のうち、スラブ情報400の最上位にあるスラブを1つずつ選択して、以上の処理を実行し、スラブ情報400に含まれるスラブを何れかのスラブグループに含める。
図5は、図4に示したスラブ情報400から作成されるスラブグループ情報500の一例を示す図である。スラブグループ情報500は、スラブグループのリストである。
図5において、スラブグループ情報500は、スラブグループNo.、材質、スラブ幅(最大値、最小値)、スラブ厚(最大値、最小値)、スラブ重量、コイル長さ、熱延希望日(最早日、最遅日)、およびスラブ枚数が相互に関連付けられた情報である。
スラブグループNo.とは、スラブグループを識別する番号である。
材質とは、スラブグループに属するスラブの材質である。本参考形態では前述した(D1)の条件により、1つのスラブグループには同じ材質のスラブが属する。
スラブ幅の最大値とは、スラブグループに含まれるスラブの幅(スラブ幅)の最大値をいう。スラブ幅の最小値とは、スラブグループに含まれるスラブの幅(スラブ幅)の最小値をいう。
スラブ厚の最大値とは、スラブグループに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)の最大値をいう。スラブ厚の最小値とは、スラブグループに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)の最小値をいう。
スラブ重量とは、スラブグループに含まれるスラブの重量(スラブ重量)の合計値である。
コイル長さとは、スラブグループに含まれるスラブのコイル長さの合計値である。
熱延希望日の最早日とは、スラブグループに含まれるスラブの熱延希望日のうち最も早い日をいう。熱延希望日の最遅日とは、スラブグループに含まれるスラブの熱延希望日のうち最も遅い日をいう。
スラブグループ作成部202は、以上のようなスラブグループ情報500を作成する。
前述したように本参考形態では、複数のスラブグループを組み合わせてキャストを構成する。このため、1つのスラブグループに属するスラブの製造条件(例えば、スラブ厚、スラブ幅、および圧延希望日の少なくとも1つ)がばらついている場合には、これらを組み合わせたキャストにおいてもスラブの製造条件のばらつきが大きくなる。そこで、本参考形態では、スラブグループ作成部202は、スラブ情報300に含まれるスラブの製造条件の少なくとも1つの値(本参考形態では熱延希望日)に従って、スラブ情報300のレコード(スラブ)を並び替え、並び替えた順番で、スラブが属するスラブグループを決定する。このようにすれば、製造条件が大きく異なるスラブが同じスラブグループに属することを抑制することができる。
<スラブグループ選択部203>
スラブグループ選択部203は、熱延希望日の最早日が早いスラブグループから順にスラブグループ作成部202により作成されたスラブグループ情報500のスラブグループ(レコード)を並び替える。図6は、図5に示すスラブグループ情報500のスラブグループ(レコード)を熱延希望日の最早日が早いものから順に並び替えたスラブグループ情報600の一例を示す図である。図5と図6との関係を分かりやすく示すために、図5と図6では同じスラブグループに同じスラブグループNo.を付している。ただし、図6において、最上段の行のスラブグループNo.を「1」とし、以降昇順にスラブグループNo.を付け直してもよい。
スラブグループ選択部203は、以上のようにして並び替えられたスラブグループ情報600に含まれるスラブグループ(レコード)の一部を、上位のスラブグループ(レコード)から順に所定の個数だけ選択する。すなわち、スラブグループ選択部203は、以上のようにして並び替えられたスラブグループ情報600に含まれるスラブグループ(レコード)の一部を、熱延希望日の最早日が早いものから順に所定の個数だけ選択する。
1回当たりのスラブグループの選択数(前記所定の個数)が「5」である場合、1回目のスラブグループの選択をスラブグループ選択部203が行う場合は、図6に示すスラブグループ情報600の1行目〜5行目のスラブグループを選択する。尚、2回目以降のスラブグループの選択を行う場合については後述する。選択するスラブグループの個数が多いほど最適化計算に要する計算時間が長くなるため、本計算に許容される時間に基づいてスラブグループの選択数を少なくとも2以上として定める。
<キャスト候補導出部204>
キャスト候補導出部204は、スラブグループ選択部203で選択されたスラブグループから、キャスト候補を導出する。
まず、キャスト候補導出部204は、スラブグループ選択部203で選択されたスラブグループの集合から、とり得るスラブグループの組み合わせ(部分集合)を全数列挙する。スラブグループ選択部203における一回当たりのスラブグループの選択数が「5」である場合、キャスト候補導出部204は、スラブグループの組み合わせ(部分集合)として、32(=25)通りの組み合わせ(部分集合)を列挙する。
次に、キャスト候補導出部204は、列挙したスラブグループの組み合わせ(部分集合)のそれぞれについて、以下の(A2)〜(E2)の全ての制約条件を満たすか否かを判定し、満たすもののみをキャスト候補として採用する。
(A2)材質制約
スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブの材質の中に、同一のキャストに含めることが禁止される材質が混在していない。
例えば、材質Aのスラブと材質Cのスラブを同一のキャストに含めることができない場合には、材質Aのスラブが属するスラブグループと材質Cのスラブが属するスラブグループとの組み合わせは、材質制約に違反するので、キャスト候補として採用されない。
(B2)キャスト重量
スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブの総重量が、(1つの)キャストの重量の上限値を上回らない。
例えば、キャストの重量の上限値が1300[ton]である場合、図6に示すスラブグループNo.が「1」、「2」、「5」、「3」のスラブグループのスラブ重量の合計は1321.7[ton]であるため、これらのスラブグループの組み合わせ(部分集合)はキャスト候補として採用されない。
本参考形態では、同一のキャストに含まれるスラブは同一のロット(チャンス)として熱延工程で熱間圧延されるようにするため、熱間圧延の際に生じる制約を満足するキャストを導出する必要がある。そこで、本参考形態では、以下の(C2)〜(E2)の制約条件を採用する。
(C2)コイル長
スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブのコイル長さの合計が、上限値を上回らない。
例えば、上限値が100[km]である場合、図6に示すスラブグループNo.が「1」、「2」、「5」、「3」のスラブグループのコイル長さの合計は104.7[km]であるため、これらのスラブグループの組み合わせ(部分集合)はキャスト候補として採用されない。
(D2)幅移行制約
圧延順に並び替えた際に相前後する2つのスラブの幅の差が上限値以下である。
熱延工程においては、幅が大きいスラブから順に熱間圧延する、いわゆるナローダウンとしなければならないという制約が課せられる場合がある。この場合、スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブをスラブ幅が広いものから順に並び替えた場合に相前後する2つのスラブの幅(スラブ幅)の差が上限値以下である必要がある。例えば、この上限値が150[mm]である場合に、スラブグループNo.が「2」と「5」のスラブグループ(部分集合)をキャスト候補として採用できるか否かを考える。スラブグループNo.が「2」のスラブグループのスラブ幅の最小値は1600[mm]であり、スラブグループNo.が「5」のスラブグループのスラブ幅の最大値は1400[mm]である。このため、これらのスラブグループに含まれるスラブを、ナローダウンとなるように並び替えると、何れかのスラブの間で、スラブ幅の差として200[mm]以上の差が生じる。したがって、これらのスラブグループの組み合わせ(部分集合)はキャスト候補として採用されない。
(E2)同幅本数制約
幅の差が一定値以下のスラブの枚数が上限値以下である。
幅の差が一定値以下の多数のスラブを同じチャンスに含めると、圧延ロールの摩耗により、コイルの形状不良が生じ、コイルの品質が劣る虞がある。そこで、幅の差が一定値以下のスラブの枚数が上限値以下であるという制約条件を設ける。例えば、幅の差が100[mm]以下のスラブの枚数が40[枚]以下になることを同幅本数制約とする場合、スラブグループNo.が「2」と「4」のスラブグループ(部分集合)では、スラブ幅が1600[mm]〜1700[mm]の範囲のスラブの枚数が49[枚]ある。したがって、これらのスラブグループの組み合わせ(部分集合)はキャスト候補として採用されない。
<最適化部205>
最適化部205は、キャスト候補導出部204により導出されたキャスト候補の中から、最適なキャスト候補(キャスト片)の組み合わせを、最適化問題を解くことにより導出する。本参考形態では、最適化問題として集合分割問題を用いる。
図7は、集合分割問題を解く方法の一例を概念的に示す図である。
図7に示すように、m個の要素からなる集合Mが与えられているとする(図7の黒丸が1つの要素である)。図7に示す例では10個の要素が与えられている(m=10)。本参考形態では、1つの要素が1つのスラブグループに対応する。
次に、集合Mの部分集合としてn個の部分集合を導出する。例えば、要素の組み合わせとしてとり得る全ての組み合わせを部分集合とする。ただし、要素の組み合わせとしてとり得る全ての組み合わせを部分集合とせずに、一部の組み合わせを部分集合としてもよい。図7では、表記の都合上、部分集合701a〜701gのみを示す。本参考形態では、1つの部分集合が1つのキャスト候補に対応する。
次に、これらn個の部分集合のそれぞれについて評価指標(コスト)を導出する。
次に、評価指標(コスト)の値の総和が最適となる部分集合の組み合わせを最適解とする。評価指標の値が小さいほど望ましい問題設定の場合は、最小値が最適であり、逆に、評価指標の値が大きいほど望ましい問題設定の場合は、最大値が最適である。図7では、部分集合701a、701d、701fが最適解であることを示す。本参考形態では、このような部分集合のそれぞれがキャスト片に対応する。
集合分割問題では、一般に、同じ要素が重複して複数の部分集合に含まれないようにするという制約条件の下で、最適解を導出する。図7に示すように、10個の要素は、何れか1つの部分集合にのみ含まれる。
尚、集合分割問題自体は公知の技術で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
以上のことを前提として、最適化部205が行う処理の一例を説明する。
本参考形態では、最適なキャスト(キャスト片)を導出する最適化問題(集合分割問題)を以下の(1)式〜(3)式で定式化する。すなわち、本参考形態では、最適化部205は、以下の(1)式の目的関数fの値を、以下の(2)式および(3)式の制約式を満たす範囲で最小化するときの決定変数xjを導出する。尚、最適化問題(集合分割問題)は、例えば、公知の混合整数計画法により解くことができ、その際に商用のソルバー(cplexなど)を用いることも可能である。
Figure 0006930399
ここで、キャスト候補jに含まれるスラブグループiの集合をi∈NI、キャスト候補jの集合をj∈NJとする。また、決定変数xjは、キャスト候補jをキャスト片として採用する場合に「1」となり、採用しない場合に「0」となる0−1変数(xj∈{0,1})であるとする。また、cjは、キャスト候補jの評価値を表す。本参考形態では、評価値cjを以下の(4)式で表す。
j=CW×W+CT×T+CD×D+CN−CS×S ・・・(4)
(4)式において、Wは、キャスト候補jに含まれるスラブの幅(スラブ幅)の最大値と最小値との差である。CWは、Wに対する重み係数である。
Tは、キャスト候補jに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)の最大値と最小値との差である。CTは、Tに対する重み係数である。
Dは、キャスト候補jに含まれるスラブの熱延希望日の平均値と最早日との差である。CDは、Dに対する重み係数である。
Nは、キャスト数に対する重み係数である。前述したように決定変数xjは、キャスト候補jをキャスト片として採用する場合に「1」となり、採用しない場合に「0」となる0−1変数である。したがって、(1)式の計算において、決定変数xjの積算値がキャスト数になる。よって、決定変数xjに重み係数CNを乗算した値を積算することにより、キャスト数を評価することができる。
Sは、キャスト候補jに含まれるスラブの枚数である。CSは、Sに対する重み係数である。1つのキャスト内に含まれるスラブの枚数が多いほど、歩留まりが改善することから、キャスト候補jの評価値cjは、評価が高いことを示す値になる((4)式では値が小さくなる)。
重み係数CW、CT、CD、CN、CSは、それぞれの評価項目をどの程度重視するかによって予め設定されるものであり、各評価項目間の評価のバランスを表す。尚、重み係数は、コスト係数とも称される。
例えば、図5、図6に示したスラブグループ情報500、600のスラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループからなるキャスト候補jの評価値cjは以下のようになる。まず、Wは、200(=1700−1500)である。また、Tは、0(=250−250)である。また、Dは、0.4(=1.4−1)である。ここで、Dを求めるに際し、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループに含まれるスラブの熱延希望日の平均値は6月1.4日であるものとしている。また、Sは、37(=9+28)である。
以上のことから、例えば、CW=1、CT=1、CD=200、CN=1000、CS=1である場合、評価値cjは、1243(=1×200+1×0+200×0.4+1000−1×37)になる。
(2)式および(3)式において、Miは、キャスト候補jとして選択されたスラブグループiに属するスラブの枚数である。HMAXは、スラブの枚数の上限値である。(2)式のi∈NIandMi≧HMAXは、キャスト候補jに含まれるスラブグループiのそれぞれについて、当該スラブグループiに属するスラブの枚数Miが上限値HMAX以上である場合には、(2)式を適用することを意味する。また、(3)式のi∈NIandMi<HMAXは、キャスト候補jに含まれるスラブグループiのそれぞれについて、当該スラブグループiに属するスラブの枚数Miが上限値HMAX未満である場合には、(3)式を適用することを意味する。
(2)式および(3)式のAijは、スラブグループiを行、キャスト候補jを列とする行列であって、「0」または「1」を要素とする行列である。
図8は、行列Aijを概念的に説明する図である。
図8において、各列は、1つのキャスト候補jに含まれるスラブグループiを示す。当該キャスト候補jに含まれるスラブグループiに対応する行に「1」が、当該キャスト候補jに含まれないスラブグループiに対応する行に「0」が与えられる。例えば、キャスト候補1(j=1)には、スラブグループ1、2(i=1、2)が含まれ、その他のスラブグループは含まれない。
キャスト候補導出部204で導出されたキャスト候補jのそれぞれについて、このような「1」または「0」の割り当てが行われた結果が行列Aijになる。尚、図8の矢印線の下の部分は、各キャスト候補jに対して評価値cjと決定変数xjが得られることを示す。
図8に示す例では、行列Aijは、以下の(5)式のように表される。
Figure 0006930399
したがって、(2)式の制約条件は、属するスラブの枚数Miが上限値HMAX以上であるスラブグループiは、キャスト片に含めるスラブグループとして必ず1回採用されることを表す。
一方、(3)式の制約条件は、属するスラブの枚数Miが上限値HMAX未満であるスラブグループiは、キャスト片に含めるスラブグループとして1回採用されるか、または1回も採用されない(採用回数が0(ゼロ)である)ことを表す。
最適化部205は、以上のようにして決定変数xjを導出することを、キャスト候補導出部204によりキャスト候補が導出される度に実行する。「1」が与えられた決定変数xjに対応するキャスト候補jがキャスト片になる。
<判定部206>
判定部206は、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たすか否かを判定する。
本参考形態では、「1」が与えられた決定変数xjに対応する各キャスト候補j(キャスト片)の何れかに、スラブグループ作成部202または後述するスラブグループ再定義部207において作成された(最新の)スラブグループの全てが1つずつ含まれている場合に、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たすと判定し、そうでない場合に、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たさないと判定するものとする。
この判定の結果、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たす場合、判定部206は、当該最適化部205における最適化計算の結果において「1」が与えられた決定変数xjに対応するキャスト候補j(キャスト片)をキャストとして確定する。そして、判定部206は、出力部208を起動する。
一方、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たさない場合、判定部206は、スラブグループ再定義部207を起動する。
<スラブグループ再定義部207>
スラブグループ再定義部207は、最適化部205における最適化計算の(最新の)結果として「1」が与えられた決定変数xjに対応するキャスト候補j(キャスト片)に含まれる複数のスラブグループを1つのスラブグループとして再定義することを、キャスト候補j(キャスト片)のそれぞれについて個別に行う。
図9は、スラブグループを再定義した後のスラブグループ情報900の一例を示す図である。
図9では、図5に示したスラブグループ情報500において、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループが第1のキャスト片に含められ、スラブグループNo.が「3」と「4」のスラブグループが第2のキャスト片に含められ、スラブグループNo.が「5」のスラブグループが第3のキャスト片に含められた場合を例に挙げて示す。
第1のキャスト片に含められたスラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループを1つに纏めて新たなスラブグループを再定義する場合を例に挙げて、図5に示したスラブグループ情報500と図9に示すスラブグループ情報900との関係を説明する。
スラブグループ再定義部207は、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループのスラブ幅の最大値、最小値から、新たなスラブグループのスラブ幅の最大値、最小値として、それぞれ1700、1500を導出する。
スラブグループ再定義部207は、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループのスラブ厚の最大値、最小値から、新たなスラブグループのスラブ厚の最大値、最小値として、それぞれ250、250を導出する。
スラブグループ再定義部207は、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループのスラブ重量を加算して、新たなスラブグループのスラブ重量として736.4(=185.3+551.1)を導出する。
スラブグループ再定義部207は、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループのコイル長さを加算して、新たなスラブグループのコイル長さとして62.2(=25.4+36.8)を導出する。
スラブグループ再定義部207は、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループの圧延希望日の最早日・最遅日から、新たなスラブグループの圧延希望日の最早日・最遅日として、それぞれ6月1日、6月2日を導出する。
スラブグループ再定義部207は、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループのスラブ枚数を加算して、新たなスラブグループのスラブ枚数として37(=9+28)を導出する。
尚、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループの材質は「A」であるので変更されない。
スラブグループ再定義部207は、図5に示したスラブグループ情報500のスラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループを削除し、以上のようにして導出した材質、スラブ幅、スラブ厚、スラブ重量、コイル長さ、熱延希望日、およびスラブ枚数からなるスラブグループ(レコード)を新たに生成し、当該スラブグループ(レコード)を識別するスラブグループNo.を当該スラブグループ(レコード)に付与する。図9では、スラブグループNo.が「1」と「2」のスラブグループから再定義された新たなスラブグループのスラブグループNo.として「1」が付与された場合を例に挙げて示す。
第2のキャスト片に含められたスラブグループNo.が「3」と「4」のスラブグループについても同様にして新たなスラブグループが得られる。図9では、図5に示したスラブグループ情報500のスラブグループNo.が「3」と「4」のスラブグループから再定義された新たなスラブグループのスラブグループNo.として「2」が付与された場合を例に挙げて示す。
また、第3のキャスト片に含められたスラブグループは、スラブグループNo.が「5」のスラブグループのみである。したがって、スラブグループNo.が「5」のスラブグループについては、スラブグループNo.のみが変更される。図9では、図5に示したスラブグループ情報500のスラブグループNo.が「5」のスラブグループから再定義された新たなスラブグループのスラブグループNo.として「3」が付与された場合を例に挙げて示す。
また、図5に示したスラブグループ情報500のスラブグループNo.が「6」〜「10」のスラブグループについても、スラブグループNo.のみが変更される。図9では、図5に示したスラブグループ情報500のスラブグループNo.が「6」〜「10」のスラブグループから再定義された新たなスラブグループのスラブグループNo.として「4」〜「8」が付与された場合を例に挙げて示す。
そして、スラブグループ選択部203は、以上のようにして再定義されたスラブグループからなるスラブグループ情報900から一部のスラブグループを選択し、キャスト候補導出部204は、当該選択されたスラブグループから、キャスト候補を導出し、最適化部205は、当該キャスト候補から、キャスト片を導出し、判定部206は、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たすか否かを判定し、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たさない場合には、スラブグループ再定義部207は、最適化部205で得られたキャスト片に含まれる複数のスラブグループを1つのスラブグループとして再定義する。以上の処理が、判定部206により、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たすと判定されるまで繰り返し行われる。ここで、1回当たりのスラブグループの選択数が「5」である場合、2回目以降のスラブグループの選択をスラブグループ選択部203が行う場合は、図9に示すスラブグループ情報900の1行目〜5行目のスラブグループを選択する。
このようにすることによって、図1に示したように、最適化部205における最適化計算が行われる度に、キャスト片101a〜101d→キャスト片101e〜101h→キャスト片101i〜101mのようにキャスト片のサイズが徐々に拡大し、最終的にキャスト片101n〜101rがキャストとなる。
スラブグループ情報500に含まれるスラブグループの全てから一度にキャストを導出しようとすると、スラブグループの組み合わせ数が膨大な数になり(すなわち問題規模が大きくなり)、実用的な計算時間内にキャストを導出することが容易でない。これに対し、本参考形態では、スラブグループ情報500に含まれるスラブグループの一部を選択してキャスト片を導出し、導出したキャスト片に含まれるスラブグループを1つのスラブグループとして再定義した上で未選択のスラブグループを取り込んでキャスト片を導出することを繰り返すことでキャスト片のサイズを徐々に拡大する。したがって、大規模な問題であっても、実用的な計算時間でキャスト計画を導出することができる。また、操業上において重要な項目で事前にスラブグループをソートして、ソートした順にキャスト片の生成とスラブグループの再定義を繰り返すため、生成されたキャスト片における前記重視した項目のばらつきを抑制することができ、上記の様に問題を分割して解を求めることによる精度の低下を最小限に抑えることが可能となる。
<出力部208>
出力部208は、判定部206により、最適化部205における最適化計算の結果が収束判定条件を満たすと判定され、キャストが確定されると、それぞれのキャストに含まれるスラブの情報をキャスト計画の立案結果として出力する。出力部208は、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および、内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを行うことにより、それぞれのキャストに含まれるスラブの情報を出力する。例えば、出力部208は、図3に示したスラブ情報300の項目として、キャストを識別する番号であるキャストNo.を追加した情報を、それぞれのキャストに含まれるスラブの情報として出力することができる。
(3)式に示したように、本参考形態では、キャストに含まれないスラブグループが存在し得る。出力部208は、このようなスラブグループの情報を合わせて出力することができる。これにより、オペレータは、当該スラブグループ(に含まれるスラブ)を、前述したようにして導出されたキャスト計画のどのキャストに組み込むのかをキャスト編成装置200の操作により指示することができる。これにより、キャスト編成装置200は、当該スラブグループを当該指示されたキャストに含めることができる。また、このようにせずに、当該スラブグループを、次の立案対象期間におけるキャスト計画に含めるようにしてもよい。
(フローチャート)
図10のフローチャートを参照しながら、キャスト編成装置200の処理の一例を説明する。
まず、ステップS1001において、スラブ情報取得部201は、スラブ情報300を取得する(図3を参照)。
次に、ステップS1002において、スラブグループ作成部202は、ステップS1001で取得されたスラブ情報300に含まれるスラブのそれぞれをグルーピングしてスラブグループを作成し、スラブグループ情報500を導出する(図5を参照)。ステップS1002の詳細については図11を参照しながら後述する。
次に、ステップS1003において、スラブグループ選択部203は、熱延希望日の最早日が早いスラブグループから順にステップS1002で作成されたスラブグループ情報500のスラブグループ(レコード)を並び替えたスラブグループ情報600から(図6を参照)、スラブグループの一部を、熱延希望日の最早日が早いものから順に所定の個数だけ選択する。
次に、ステップS1004において、キャスト候補導出部204は、ステップS1003で選択されたスラブグループから、前述した(A2)〜(E2)の全ての制約条件を満たすものをキャスト候補として導出する。
次に、ステップS1005において、最適化部205は、(1)式の目的関数fの値を、(2)式および(3)式の制約式を満たす範囲で最小にするときの決定変数xjを導出することにより、キャスト片を導出する。
次に、ステップS1006において、判定部206は、ステップS1005における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たすか否かを判定する。
この判定の結果、最適化計算の結果が、収束判定条件を満たさない場合には(ステップS1006:no)、ステップS1007に進む。ステップS1007に進むと、スラブグループ再定義部207は、ステップS1005の最適化計算の結果として「1」が与えられた決定変数xjに対応するキャスト候補j(キャスト片)に含まれる複数のスラブグループを1つのスラブグループとして再定義することを、キャスト候補j(キャスト片)のそれぞれについて個別に行い、スラブグループを再定義し、スラブグループ情報900を生成する(図9を参照)。そして、ステップS1003の処理に戻り、再定義されたスラブグループのスラブグループ情報900を用いて、ステップS1003の処理が行われる。
ステップS1006において、最適化計算の結果が、収束判定条件を満たすと判定され、キャストが確定されると(ステップS1006:yes)、ステップS1008に進む。ステップS1008に進むと、出力部208は、それぞれのキャストに含まれるスラブの情報をキャスト計画の立案結果として出力する。そして、図10のフローチャートによる処理を終了する。
図11は、図10のステップS1002の処理の一例を説明するフローチャートである。
まず、ステップS1101において、スラブグループ作成部202は、図10のステップS1001で取得されたスラブ情報300に含まれるスラブ(レコード)を、熱延希望日が早いスラブから順に並び替える(図4に示すスラブ情報400を参照)。
次に、ステップS1102において、スラブグループ作成部202は、並び替えられたスラブ情報400の行を指定する変数uに「0(ゼロ)」を設定する。
次に、ステップS1103において、スラブグループ作成部202は、並び替えられたスラブ情報400の行を指定する変数uに「1」を加算する。
次に、ステップS1104において、スラブグループ作成部202は、既に作成されているスラブグループの中に、並び替えられたスラブ情報400のu行目に登録されているスラブを追加できるスラブグループがあるか否かを判定する。前述したように本参考形態では、(A1)〜(D1)の全ての判定条件を満たす場合に、既に作成されているスラブグループの中に、選択したスラブを追加できるスラブグループがあると判定する。
この判定の結果、既に作成されているスラブグループの中に、並び替えられたスラブ情報400のu行目に登録されているスラブを追加できるスラブグループがない場合には(ステップS1104:no)、ステップS1105に進む。ステップS1105に進むと、スラブグループ作成部202は、新たなスラブグループを作成し、並び替えられたスラブ情報400のu行目に登録されているスラブを、当該作成した新たなスラブグループに含める。そして、後述するステップS1108に進む。
一方、ステップS1104の判定の結果、並び替えられたスラブ情報400のu行目に登録されているスラブを追加できるスラブグループがある場合には(ステップS1104:yes)、ステップS1106に進む。ステップS1106に進むと、スラブグループ作成部202は、ステップS1104で追加できると判定されたスラブグループに含まれるスラブと、並び替えられたスラブ情報400のu行目に登録されているスラブの枚数の合計が上限値以下であるか否かを判定する。
この判定の結果、スラブの枚数の合計が上限値以下である場合には(ステップS1106:yes)、ステップS1107に進む。ステップS1107に進むと、スラブグループ作成部202は、並び替えられたスラブ情報400のu行目に登録されているスラブを、ステップS1104において当該スラブを追加できると判定されたスラブグループに含める。そして、後述するステップS1108に進む。
一方、ステップS1106において、スラブの枚数の合計が上限値以下でないと判定された場合には(ステップS1106:no)、前述したステップS1105に進む。前述したようにステップS1105では、スラブグループ作成部202は、新たなスラブグループを作成し、並び替えられたスラブ情報400のu行目に登録されているスラブを、当該作成した新たなスラブグループに含める。そして、ステップS1108に進む。
ステップS1108に進むと、スラブグループ作成部202は、並び替えられたスラブ情報400に含まれる全てのスラブが、何れかのスラブグループに割り当てられたか否かを判定する。この判定の結果、並び替えられたスラブ情報400に含まれる全てのスラブが、何れかのスラブグループに割り当てられていない場合には(ステップS1108:no)、ステップS1103に戻る。そして、並び替えられたスラブ情報400に含まれる全てのスラブが、何れかのスラブグループに割り当てられるまで(ステップS1108;yes)、ステップS1103〜S1108の処理を繰り返し行う。
以上のようにして並び替えられたスラブ情報400に含まれる全てのスラブが、何れかのスラブグループに割り当てられると、スラブグループ情報500が得られる(図5を参照)。そして、ステップS1109において、スラブグループ作成部202は、スラブグループ情報500をスラブグループ選択部203に出力する。そして、図10のステップS1003に進む。
(計算例)
次に、計算例を説明する。
本計算例では、スラブ数が「50」、「100」、「150」、「200」、「250」、「300」の6つのケースのそれぞれについてキャスト計画を作成した。適用例では、スラブグループの一部を15個ずつ選択して、キャスト候補を導出し、最適化計算を行って最適なキャスト候補(キャスト片)を導出することを繰り返し行い、キャスト計画を作成した。一方、非適用例では、図10のステップS1003において、ステップS1002で作成される全てのスラブグループを選択する方法で、ステップS1006の分岐からステップS1007を経由することなく、1回の最適化計算によって最適なキャスト計画を作成した。適用例でも非適用例でも、最適化問題として集合分割問題を採用し、目的関数として(1)式を、制約式として(2)式および(3)式を用いた。また、評価値cjは、(4)式で表されるものとした。ここで重み係数CW、CT、CD、CN、CSの値を、それぞれ「0」、「0」、「1」、「100」、「10」とした(CW=0、CT=0、CD=1、CN=100、CS=10)。
図12は、本参考形態の適用例および非適用例の結果を表形式で示す図である。図13は、図12に示すスラブ数と計算時間との関係を示す図である。図14は、前述した6つのケースのそれぞれにおける評価値を示す図である。
図12において、ケースNo.は、前述した6つのケースを識別する番号である。図12に示すケースNo.と図14に示すケースNo.は同じものである。
立案対象スラブ枚数は、キャスト計画の立案対象となるスラブの枚数である。前述したように本計算例では、「50」、「100」、「150」、「200」、「250」、「300」の6つのケースについて検討するので、これらが立案対象スラブ枚数になる。
スラブグループ数は、キャスト計画の立案対象となるスラブをスラブグループ作成部202の処理でグルーピングすることにより得られたスラブグループの数である。
キャスト数は、最終的に得られたキャストの数である。また、スラブ枚数は、最終的に得られたキャストの何れかに含まれるスラブの数である。本計算例では、本参考形態で説明したのと同様に、スラブグループの全てが何れかのキャスト(キャスト片)に含まれた場合に最適化計算を終了させた。したがって、図12において、元の立案対象スラブ枚数とスラブ枚数は同じになる。
繰り返し数は、最適化計算の繰り返し数である。尚、最適化計算の繰り返し数は、図10のステップS1006の実行回数と同じである。非適用例では、何れのケースにおいても最適化計算の回数は「1」である(すなわち、最適化計算は1回しか行われない)。
計算時間は、キャスト計画が得られるまでに要した時間である。
図12、図13に示すように、本参考形態の適用例では、計算時間を1秒程度にすることができる。これに対し、本参考形態の非適用例では、計算時間が数十秒〜数百秒になる。また、図14に示すように、本参考形態の適用例では、本参考形態の非適用例に対し、評価値を大きく悪化させていない。尚、本計算例では、(1)式の目的関数fの値を最小化するので、評価値は小さい方が良い結果となる。
このように、本参考形態の適用例は非適用例に比べ、評価値を大きく悪化させることなく1秒程度の計算時間によりキャスト計画を得ることができる。オペレータにおける最適化計算時間の待ち時間としては数分程度が許容される。したがって、本参考形態で説明した手法により、このような待ち時間以内に実用上十分な精度を有するキャスト計画を作成して出力することができる。
(まとめ)
以上のように本参考形態では、スラブ情報300に含まれるスラブのうち、製造条件が所定の範囲内で一致するスラブ((A1)〜(D1)の全ての判定条件を満たすスラブ)が同一のスラブグループに属するように、スラブ情報300に含まれるスラブのそれぞれをグルーピングする。したがって、キャスト計画の立案対象のスラブが多い場合であっても、計算時間が増大することを抑制することができる。
また、本参考形態では、複数のスラブグループの一部を、熱延希望日の最早日が早いものから順に選択する。そして、選択したスラブグループのうち、同一のキャストに含めることができる条件((A2)〜(E2)の制約条件の全て)を満たすものをキャスト候補として導出する。キャスト候補を(キャスト片またはキャストとして)採用するか否かを示す変数である決定変数xjと、キャスト数を含む評価指標を用いて表現される評価値ciとを変数として有する目的関数fを最小化する決定変数xjを、最適化計算を行うことにより導出する。最適化計算の際の制約条件として、最適なキャスト候補に含まれるスラブグループの数と、キャスト候補を導出するのに先立って選択されるスラブグループの数とが同じであり、同一のスラブグループが異なるキャスト候補に含まれないという条件を採用する。このような最適化計算により採用されたキャスト候補に含まれるスラブグループを新たなスラブグループとして1つに纏める(すなわちスラブグループを再定義する)。以上の処理を、最適化計算の結果が収束するまで繰り返し行う。
このように、スラブグループの一部を取り込んでキャスト片のサイズを徐々に拡大して最終的なキャスト計画を作成するので、スラブグループから一度にキャストを導出してキャスト計画を作成する場合に比べ、実用的な計算時間でキャスト計画を導出することができ、キャスト計画の作成に要する計算時間を短縮することができる。また、熱延希望日の最早日といった、操業上において重要な項目で事前にスラブグループをソートして、ソートした順にキャスト片の生成とスラブグループの再定義を繰り返すため、生成されたキャスト片における前記重視した項目のばらつきを抑制することができ、キャスト編成の問題を分割して解を求めることによる精度の低下を最小限に抑えることが可能となる。
また、本参考形態では、最適化計算の際の制約条件を、スラブグループに含まれるスラブの数が上限値HMAX以上であるか否かによって異ならせる。
すなわち、含まれるスラブの数が上限値HMAX以上であるスラブグループに対しては、以下の制約を課す。すなわち、同じ内容のスラブグループについて、最適なキャスト候補に含まれるスラブグループの数と、キャスト候補を導出するのに先立って選択されるラブグループの数とを同じにする制約を課す。したがって、多数のスラブが属するスラブグループがキャスト片として採用されやすくなる。よって、計算時間をより一層短縮することができる。
一方、含まれるスラブの数が上限値HMAX以上でないスラブグループに対しては、以下の制約を課す。即ち、同じ内容のスラブグループについて、最適なキャスト候補に含まれるスラブグループの数を、キャスト候補を導出するのに先立って選択されるスラブグループの数以下にする制約を課す。これにより、キャスト候補を導出するのに先立って選択したスラブグループを、最適なキャスト候補の中に含めないことが許容される。したがって、少数のスラブが属するスラブグループが、好ましくないキャスト片に含まれることを抑制することができる。
また、本参考形態では、スラブグループのうち、(C2)コイル長、(D2)幅移行制約、および(E2)同幅本数制約の制約条件を満たすものをキャスト候補として採用する。したがって、製鋼工程のロットであるキャストを、熱延工程のロットであるチャンスと同じにすることができる。よって、例えば、熱延工程で熱間圧延される前にスラブがヤードに長時間滞在することを抑制することができる。これにより、例えば、製造工期を短縮することと、スラブの温度が低下することにより熱延工程における加熱炉の燃料原単位を抑制することとを実現することができる。
[第2の参考形態]
次に、第2の参考形態を説明する。第1の参考形態では、キャスト計画の作成対象となるスラブが全て同一の鋼種であることを前提とする場合を例に挙げて説明した。これに対し、本参考形態では、キャスト計画の作成対象となるスラブの少なくとも1つについて、鋼種の選択に自由度がある(複数の鋼種の中から鋼種を選択し得る)場合について説明する。このように本参考形態は第1の参考形態に対し、スラブの鋼種に選択の自由度があることによる構成および処理が主として異なる。したがって、本参考形態の説明において、第1の参考形態と同一の部分については、図1〜図14に付した符号と同一の符号を付すなどして詳細な説明を省略する。
背景技術で説明したように、製鋼工場の一次精錬(転炉)および二次精錬工程(RH等)では、取鍋単位で成分調整が施されることから、1チャージ(取鍋一杯分)に相当する重量のスラブの集まりを同じ鋼種のスラブとして製造しなければならない。連続して鋳造する複数のチャージのまとまりがキャストとなるので、キャストに含まれるスラブの構成と各スラブの鋼種を決定する問題においては、キャストを構成するスラブを選択する際に、同じ鋼種として製造可能なスラブを集約してチャージ単位で鋼種を決定する必要がある。ここで、製造可能な鋼種は、各チャージに定められた成分規格(溶鋼の成分)によって定められる。
図15は、スラブの鋼種とチャージとの関係の一例を説明する図である。図15に示すように、鋼種I、II、IIIには、それぞれ、成分aの範囲として、図15に示す両矢印線の範囲が定められているものとする。この場合、チャージ1に含められる成分aの範囲内に収まる鋼種Iまたは鋼種IIとしてチャージ1を製造することはできるが、この範囲内に収まらない鋼種IIIとしてチャージ1を製造することはできない。
以上のように各チャージに定められている成分規格により製造可能な鋼種が決定される。また、成分規格によっては、1つのスラブに対して製造可能な鋼種が複数設定される場合がある。また、例えば、溶鋼の成分範囲が狭く、当該成分の調整が困難である鋼種である場合や、溶鋼に合金を投入して溶鋼の成分値を調整する必要がある場合には、製造コストがかかる。このように、製造する鋼種によって製造コストが異なるため、成分規格を満足する範囲で可能な限り安価に製造したいという要望がある。
以上のことを踏まえ、以下に本参考形態のキャスト編成装置の一例を説明する。
<スラブ情報取得部201>
スラブ情報取得部201は、図3に示したスラブ情報300に含まれる情報に加え、各スラブを製造可能な鋼種に関する情報を、スラブ情報として取得して記憶する。図16は、本参考形態でスラブ情報取得部201が取得するスラブ情報1600の一例を示す図である。
図16に示すように、スラブ情報1600は、スラブNo.、材質、スラブ重量、スラブ幅、スラブ厚、コイル幅、コイル厚、コイル長さ、および熱延希望日に加え、当該スラブを製造可能な鋼種(鋼種I、II、III)が相互に関連付けられた情報である。図16に示す例では、各スラブは、「○」で示している鋼種での製造が可能であることを示す。例えば、スラブNo.が「1」のスラブは、鋼種Iのみでの製造が可能であるのに対し、スラブNo.が「2」のスラブは、鋼種Iと鋼種IIの何れかでの製造が可能である。このように、材質、スラブ重量、スラブ幅、スラブ厚、コイル幅、コイル厚、コイル長さ、および熱延希望日には、与えられたスラブ情報1600に対して選択の自由度がない。これに対し、製造可能な鋼種には、与えられたスラブ情報1600に対して選択の自由度を持たせたり、持たせなかったりすることができる。
また、スラブ情報1600には、製造可能な鋼種(鋼種I、II、III)に加え、当該鋼種のスラブを製造する際の製造コスト(不図示)が含まれる。
<スラブグループ作成部202>
スラブグループ作成部202は、スラブ情報取得部201で取得されたスラブ情報1600に基づいて、製造条件が所定の範囲内で一致するスラブが同一のスラブグループに属するように、スラブ情報1600に含まれるスラブのそれぞれをグルーピングすることによりスラブグループを作成する。本参考形態では、スラブグループ作成部202は、第1の参考形態で説明した(A1)〜(D1)の判定条件に加えて、以下の(E1)の判定条件も満たす場合に、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報から選択したスラブを追加できるスラブグループがあると判定する。尚、第1の参考形態で説明したように、このスラブ情報は、図16に示したスラブ情報1600のスラブ(レコード)を熱延希望日が早いものから順に並び替えたものである(図4のスラブ情報400を参照)。
(E1)既に作成されているスラブグループに含まれるスラブの製造可能な鋼種と、スラブ情報から選択したスラブの製造可能な鋼種との少なくとも1つが重複する。
例えば、図16のスラブNo.が「1」のスラブと、スラブNo.が「4」のスラブとが同じスラブグループに含まれている場合、製造可能な鋼種として重複する鋼種は鋼種Iである。したがって、スラブNo.が「5」のスラブは、当該スラブグループに追加できるが、スラブNo.が「6」のスラブは、当該スラブグループに追加できない。
その他のスラブグループ作成部202の処理は、第1の参考形態で説明した処理と同じである。尚、スラブグループ作成部202は、第1の参考形態と同じようにしてスラブグループを作成してもよい(即ち、(A1)〜(D1)の判定条件を考慮し、(E1)の判定条件を考慮しなくてもよい)。
<キャスト候補導出部204>
キャスト候補導出部204は、スラブグループ選択部203で選択されたスラブグループから、キャスト候補を導出する。
図17は、キャスト候補導出部204の処理の一例を説明するフローチャートである。図17のフローチャートの処理は、例えば、第1の参考形態で説明した図10のステップS1004の処理に置き換わる処理である。図17のフローチャートを参照しながら、本参考形態のキャスト候補導出部204の処理の一例を説明する。
ステップS1701において、キャスト候補導出部204は、スラブグループ選択部203で選択されたスラブグループの集合から、とり得るスラブグループの組み合わせ(部分集合)を全数列挙する。この処理は、第1の参考形態と同じである。
次に、ステップS1702において、キャスト候補導出部204は、列挙したスラブグループの組み合わせ(部分集合)のうち、第1の参考形態で説明した(A2)〜(E2)の全ての制約条件を満たすものを抽出する。
第1の参考形態では、これら(A2)〜(E2)の全ての制約条件を満たすものがキャスト候補となるが、本参考形態では、これら(A2)〜(E2)の制約条件に加えて以下の(F2)の制約条件を満たすものをキャスト候補とする。
(F2)鋼種内における幅移行制約
スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブを鋼種毎に分け、鋼種毎に分けたスラブを、スラブの幅が昇順または降順になるようにソートしたときに、各鋼種において相隣り合うスラブの幅の差が上限値以下である。
上限値としては、例えば100[mm]を採用することができる。
第1の参考形態で説明した「(D2)幅移行制約」は、圧延時におけるスラブの幅の移行に関する制約であるのに対し、「(F2)鋼種内における幅移行制約」は、鋳造時における鋼種毎のスラブの幅の移行に関する制約である。「(F2)鋼種内における幅移行制約」は、連続鋳造機における鋳型の幅を急激に変更することができないことから要請される制約である。
「(F2)鋼種内における幅移行制約」の充足を判定するためには、スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれる各スラブについて、製造可能な鋼種の中から、適切な鋼種を決定しなければならない。しかしながら、図16に示したように、製造可能な鋼種が一意に定まらないスラブが存在する(例えば、スラブNo.が「2」のスラブ)。「(F2)鋼種内における幅移行制約」を充足するように鋼種を決定する問題は、最適化問題として捉えることができる。そこで、本参考形態では、以下のステップS1703以降の処理のようにして、製造可能な鋼種の中から、適切な鋼種を決定し、各スラブの鋼種が決定した鋼種であるものとして、「(F2)鋼種内における幅移行制約」の充足を判定する。
まず、ステップS1703において、キャスト候補導出部204は、ステップS1702で抽出したスラブグループの組み合わせ(部分集合)のうち、未選択のものを1つ選択する。
次に、ステップS1704において、キャスト候補導出部204は、ステップS1703で選択したスラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれる各スラブの鋼種として、当該スラブを製造可能な鋼種のうち製造コストが最も安価な鋼種を仮決定する。例えば、図16において、鋼種Iが鋼種IIよりも製造コストが安価な場合、スラブNo.が「2」のスラブについては、鋼種Iが仮決定される。鋼種の選択肢が1つであるスラブについては、当該スラブについては当該鋼種が仮決定される。例えば、図16において、スラブNo.が「6」のスラブについては、鋼種IIが仮決定される。
次に、ステップS1705において、キャスト候補導出部204は、ステップS1703で選択したスラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブのうち、製造可能な鋼種として複数の鋼種がスラブ情報1600に設定されているスラブを抽出する。図16に示す例では、スラブNo.が「2」、「3」、「5」、「8」、「10」〜「12」のスラブが抽出される。このステップS1705で抽出されるスラブの数をNsとする。
次に、ステップS1706において、キャスト候補導出部204は、ステップS1705で抽出したNs個のスラブを、製造コストにより昇順または降順にソートする。このときの製造コストとして、ステップS1704で仮決定した鋼種についての製造コストを用いる。
次に、ステップS1707において、キャスト候補導出部204は、ステップS1705で抽出したNs個のスラブのうち、未選択のスラブsを、ステップS1706でソートした順に1つ選択する。
次に、ステップS1708において、キャスト候補導出部204は、ステップS1707で選択したスラブsの鋼種kとして、ステップS1704で仮決定した鋼種kについての評価値ckを算出する。
ここで、評価値ckについて説明する。
本参考形態では、以下の(A3)〜(D3)の4つの評価指標を用いて、各スラブの鋼種を決定する。
(A3)鋼種数
同一のキャスト内において複数の異なる鋼種が共存する場合には、鋼種が切り替わるチャージ間においてタンディッシュ内にて溶鋼の混合部が発生する。このため、混合部の成分がスラブに求められる要求を満足しない場合にはスラブの一部を切断して破棄する。したがって、異鋼種連々鋳(以下同じ)による操業を参考した場合には歩留が低下することから、同一キャスト内における異鋼種連々の数は可能な限り少ない方が望ましい。尚、異鋼種連々とは、異なる鋼種を連続して連続鋳造することをいう。よって、スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブの鋼種の数は少ない方が望ましい。
(B3)余材量
余材とは、生産量が定まっているロットに注文を割り当てても当該生産量に満たない場合に、当該ロットにおいて生産される製品であって、生産時においては、どの注文に紐付けられるのかが未定である製品をいう。余材量とは、そのような製品の量をいう。
溶鋼の成分の作り込みは転炉および二次精錬工程において参考されることから、鋼種はチャージ単位で製造される。したがって、1つキャストにおいてある鋼種を割り当てたスラブの総重量がチャージ重量(1チャージの重量(1つの取鍋に入れる溶鋼の重量))に満たない部分については、注文と紐付かない余材として製造される。例えば、チャージ重量が300[ton]であり、1つキャストにおいてある鋼種を割り当てたスラブの総重量が1000[ton]である場合、余材量は、1000[ton]を300[ton]で割った余りである100[ton]になる。余材は注文と紐付けられるまでスラブとしてヤードに滞留することから、仕掛在庫量の増加を招く。このため、可能な限り余材量が減少するように、ある鋼種を割り当てたスラブの総重量がチャージ重量に近づくようにすること(好ましくは一致すること)が望まれる。
(C3)製造コスト
前述したように、成分範囲の正確な調整作業や、合金の投入が必要であることから、成分範囲の狭い鋼種や、合金などの投入が必要な鋼種は、より多くの製造コストを要する。このため、あるスラブについて鋼種の選択肢がある場合には、可能な限り安価な鋼種として製造する方が望ましい。
しかしながら、製造コストが安価な低位の鋼種をより高価な鋼種として製造することで鋼種を集約することが可能であり、鋼種数および余材量を低減することが可能な場合がある。一方、製造コストが安価な低位の鋼種を高価な鋼種に集約することは、製造コストを悪化させる。このため、「(A3)鋼種数」および「(B3)余材量」と「(C3)製造コスト」とはトレードオフの関係にある。
(D3)鋼種内における幅移行制約の改善量
前述したように、連続鋳造機における連続鋳造を可能にするため、各鋼種において前述した「(F2)鋼種内における幅移行制約」)違反がなくなるように、鋼種を変更するのが望ましい。
本参考形態では、以上の(A3)〜(D3)の評価指標を用いて、鋼種kについての評価値ckを、以下の(6)式で表す。
k=WW−WN−WY−WP ・・・(6)
(6)式において、WWは、鋼種内幅移行制約違反改善量である。スラブsの鋼種kを変更することにより鋼種k内における幅移行制約(前述した「(F2)鋼種内における幅移行制約」)違反が解消する場合には、鋼種内幅移行制約違反改善量WWを予め設定された正の値を有する数CW(WW=CW(>0))とする。スラブsの鋼種kの変更前後の双方において鋼種k内における幅移行制約違反がない場合、または、スラブsの鋼種kを変更しても鋼種k内における幅移行制約違反が解消しない場合には、鋼種内幅移行制約違反改善量WWを0(WW=0)とする。
Nは、鋼種数コストである。スラブsの鋼種を鋼種kとしたときの、ステップS1703で選択したスラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブの鋼種の数をNkとし、Nkに対する重み係数をCNとすると、鋼種数コストWNは、これらの積(WN=Nk×CN)で表される。
Yは、余材量コストである。スラブsの鋼種を鋼種kとしたときの、ステップS1703で選択したスラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれる鋼種kのスラブの総重量をQkとし、チャージ重量をQchとすると、総重量Qkのスラブを製造するためにはnch(=Qk÷Qchの値の整数部分+1)杯分のチャージが必要になる。すると余材量QYは、nch×Qch−Qkになる。そうすると、余材量コストWYは、余材量QYと、QYに対する重み係数CYとの積(WY=QY×CY)で表される。
Pは、製造コストである。鋼種毎の製造コストの積算値をEkとし、Ekに対する重み係数をCPとすると、スラブsの鋼種を鋼種kとしたときの製造コストWPは、これらの積(WP=Ek×CP)となる。
重み係数CN、CY、CPは、それぞれの評価項目をどの程度重視するかによって予め設定されるものであり、各評価項目間の評価のバランスを表す。
ステップS1708において、キャスト候補導出部204は、ステップS1707で選択したスラブsの、ステップS1704で仮決定した鋼種kについての評価値ckを、以上の(6)式により算出する。
次に、ステップS1709において、キャスト候補導出部204は、ステップS1707で選択したスラブsの鋼種kとして、当該スラブsを製造可能な鋼種であって、ステップS1704で仮決定した鋼種以外の未選択の鋼種を1つ選択する。例えば、キャスト候補導出部204は、このような未選択の鋼種のうち、何らかの予め定めた順序(例えば、製造コストが最も安価または高価な鋼種)に従い1つの鋼種を選択することができる。尚、スラブsを製造可能な鋼種は、スラブ情報1600から特定することができる。
次に、ステップS1710において、キャスト候補導出部204は、ステップS1707で選択したスラブsの鋼種kとして、ステップS1709で選択した鋼種kについての評価値ckを、(6)式により算出する。
次に、ステップS1711において、キャスト候補導出部204は、ステップS1707で選択したスラブsの鋼種kとして、当該スラブsを製造可能な鋼種であって、ステップS1704で仮決定した鋼種以外の鋼種を全て選択したか否かを判定する。この判定の結果、全ての鋼種を選択していない場合には(ステップS1711:no)、ステップS1709に戻る。そして、ステップS1707で選択したスラブsの鋼種kとして、当該スラブsを製造可能な鋼種の全てについての評価値ckを算出するまで、ステップS1709〜S1711の処理を繰り返し行う。
そして、ステップS1707で選択したスラブsの鋼種kとして、当該スラブsを製造可能な鋼種の全てについての評価値ckを算出すると(ステップS1711:yes)、ステップS1712に進む。
ステップS1712に進むと、キャスト候補導出部204は、ステップS1707で選択したスラブsの各鋼種kについての評価値ckのうち、最も大きな値の評価値ckを抽出する。そして、キャスト候補導出部204は、抽出した評価値ckを得たときに用いた鋼種kを、ステップS1707で選択したスラブsの鋼種kとして決定する。
次に、ステップS1713において、キャスト候補導出部204は、ステップS1705で抽出したNs個のスラブsの全てを選択したか否かを判定する。この判定の結果、全てのスラブを選択していない場合には(ステップS1713:no)、ステップS1707に戻る。そして、ステップS1705で抽出したNs個のスラブsの鋼種kを決定するまで、ステップS1707〜S1713の処理を繰り返し行う。
そして、ステップS1705で抽出したNs個のスラブsの鋼種kを決定すると(ステップS1713:yes)、ステップS1714に進む。
ステップS1714に進むと、キャスト候補導出部204は、ステップS1703で選択したスラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれる各スラブが、前述した「(F2)鋼種内における幅移行制約」を満たすか否かを判定する。この判定には、ステップS1703で選択したスラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれる各スラブsについての、ステップS1712で決定した鋼種kが用いられる。
この判定の結果、「(F2)鋼種内における幅移行制約」を満たす場合には(ステップS1714:yes)、ステップS1715に進み、キャスト候補導出部204は、ステップS1703で選択したスラブグループの組み合わせ(部分集合)をキャスト候補として採用する。そして、ステップS1717に進む。一方、「(F2)鋼種内における幅移行制約」を満たさない場合には(ステップS1714:no)、ステップS1716に進み、キャスト候補導出部204は、ステップS1703で選択したスラブグループの組み合わせ(部分集合)をキャスト候補として採用しない。そして、ステップS1717に進む。
ステップS1717に進むと、キャスト候補導出部204は、ステップS1702で抽出したスラブグループの組み合わせ(部分集合)の全てを選択したか否かを判定する。この判定の結果、全てのスラブグループの組み合わせ(部分集合)を選択していない場合には(ステップS1717:no)、ステップS1703に戻る。そして、全てのスラブグループの組み合わせ(部分集合)について、キャスト候補として採用するか否かを決定するまでステップS1703〜S1717の処理を繰り返し行う。そして、全てのスラブグループの組み合わせ(部分集合)について、キャスト候補として採用するか否かを決定すると(ステップS1717:yes)、図17のフローチャートによる処理を終了し、図10のステップS1005に進む。
<最適化部205>
最適化部205は、キャスト候補導出部204により導出されたキャスト候補の中から、最適なキャスト候補(キャスト片)の組み合わせを、最適化問題を解くことにより導出する。
本参考形態では、第1の参考形態で説明した(4)式に代えて、以下の(7)式でキャスト候補jの評価値cjを表す。
j=CW×W+CT×T+CD×D+CN−CS×S+Cn×n+Cy×y+Cp×p ・・・(7)
(7)式の右辺第1項〜第5項は、(4)式と同じである。
nは、キャスト候補jに含まれるスラブの鋼種の総数である。Cnは、nに対する重み係数である。
yは、キャスト候補jにおける余材量の総和である。Cyは、yに対する重み係数である。
pは、キャスト候補jに含まれるスラブの製造コストの総和である。Cpは、pに対する重み係数である。
重み係数CW、CT、CD、CN、CS、Cn、Cy、Cpは、それぞれの評価項目をどの程度重視するかによって予め設定されるものであり、各評価項目間の評価のバランスを表す。
その他の最適化部205の処理は、第1の参考形態で説明した処理と同じである。
(計算例)
次に、計算例を説明する。
本計算例では、スラブ数が「50」、「100」、「150」、「200」、「250」、「300」、「350」、「400」、「450」の9つのケースのそれぞれについてキャスト計画を作成した。何れのケースにおいても、複数の鋼種の何れかを選択し得るスラブと、1つの鋼種のみが指定されているスラブとが含まれるようにし、複数の鋼種の何れかを選択し得るスラブについては本参考形態で説明したようにして鋼種を決定した。本参考形態の適用例では、スラブグループの一部を20個ずつ選択して、キャスト候補を導出し、最適化計算を行って最適なキャスト候補(キャスト片)を導出することを繰り返し行い、キャスト計画を作成した。一方、本参考形態の非適用例では、図10のステップS1003において、ステップS1002で作成される全てのスラブグループを選択する方法で、ステップS1006の分岐からステップS1007を経由することなく、1回の最適化計算によって最適なキャスト計画を作成した。
本参考形態の適用例でも非適用例でも、最適化問題として集合分割問題を採用し、目的関数として(1)式を、制約式として(2)式および(3)式を用いた。また、評価値cjは、(7)式で表されるものとした。ここで重み係数CW、CT、CD、CN、CS、Cn、Cy、Cpの値を、それぞれ「0」、「0」、「1」、「100」、「10」、「1」、「1」、「1」とした(CW=0、CT=0、CD=1、CN=100、CS=10、Cn=1、Cy=1、Cp=1)。
図18は、本参考形態の適用例および非適用例の結果を表形式で示す図である。
図18において、本参考形態の非適用例では、スラブ枚数が200以上の場合に、計算時間が1時間を超え、実用的な計算時間内においてキャスト編成結果が得られなかったため、最適化計算を打ち切った。一方、本参考形態の適用例では、全てのケースにおいて10分以内という実用的な計算時間内においてキャスト編成結果が得られている。
したがって、オペレータにおける最適化計算時間の待ち時間としては数分程度が許容されるため、本参考形態で説明した計算手法により十分可能な待ち時間にて最適なキャスト編成結果を得ることができる。
また、各スラブへ鋼種を割り当てた結果、前述した「(F2)鋼種内における幅移行制約」を充足するスラブグループの組み合わせ(部分集合)のみをキャスト候補として登録することで、(A2)〜(F2)の全ての制約条件を充足したキャスト編成結果を得ることが可能である。
(まとめ)
以上のように本参考形態では、(A1)〜(D1)に加えて(E1)の判定条件を満たすスラブが同一のスラブグループに属するように、スラブ情報1600に含まれるスラブのそれぞれをグルーピングする。また、複数のスラブグループの一部を、熱延希望日の最早日が早いものから順に選択し、選択したスラブグループのうち、(A2)〜(E2)の制約条件に加えて、(F2)の制約条件を満たすものをキャスト候補として導出する。そして、スラブの幅の最大値と最小値との差、スラブの厚みの最大値と最小値の差、スラブの熱延希望日の平均値と再早日との差、およびキャスト数に加えて、鋼種数、余材量、および製造コストを評価指標として、キャスト候補jの評価値を導出する。したがって、第1の参考形態で説明した効果に加え、鋳造に関する制約条件を順守し、且つ、異鋼種連々の回数、余材量、および製造コストも含めて最適なキャスト計画を実用的な時間内で作成することができる。
また、本参考形態では、複数の鋼種で製造できるスラブについては、同一の鋼種内における幅移行制約違反量と、スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれるスラブの鋼種の総数と、スラブグループの組み合わせ(部分集合)における余材の総量と、製造コストを評価指標として、当該複数の鋼種の中から1つを決定する。したがって、各スラブの鋼種をこれらの評価指標に従って適切に決定することができる。
また、本参考形態では、(A2)〜(E2)の制約条件を満たすスラブグループの組み合わせ(部分集合)の中から、(F2)の制約条件を満たすスラブグループの組み合わせ(部分集合)を探索する。したがって、(A2)〜(F2)の制約条件を満たすか否かを一度に判定する場合に比べ、計算時間を短くすることができる。
また、本参考形態では、スラブグループの組み合わせ(部分集合)に含まれる各スラブの鋼種として、当該スラブを製造可能な鋼種のうち製造コストが最も安価な鋼種を仮決定する。したがって、「(F2)鋼種内における幅移行制約」を満足させる本参考形態の手法においても、各スラブの鋼種として製造コストが安価な鋼種が選択され易くなるようにすることができる。
[変形例]
<変形例1>
前述した第1、第2の参考形態では、スラブ情報300のスラブ(レコード)を熱延希望日が早いスラブから順に並び替える場合を例に挙げて説明した。しかしながら、スラブ情報300に含まれるスラブの製造条件に基づいてスラブ情報300のスラブ(レコード)を並び替えるようにしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。圧延工程においては一般に幅が広いスラブから狭いスラブへと圧延する操業をしているが、前後に圧延されるスラブ幅の変化量が小さいほど操業が安定する傾向がある。そこで、例えば、スラブ幅が狭いスラブ(レコード)から順に並び替えるようにしてもよい。このようにすることで、同一キャスト内におけるスラブ幅のばらつきが抑制され、操業が安定化する。尚、スラブ幅、スラブ厚、およびスラブ重量のように数値で表されているものについては、例えば、当該数値が降順または昇順になるようにスラブ(レコード)を並び替える。一方、材質のように記号で表されているものについては、例えば、辞書順(アルファベット順や五十音順)に従って記号が昇順または降順になるようにスラブ(レコード)を並び替える。
以上のことは、スラブグループ選択部203においてスラブグループ情報500のスラブグループ(レコード)を並び替える場合についても同じである。
<変形例2>
前述した第1、第2の参考形態では、前述した(A1)〜(D1)の全ての判定条件を満たす場合に、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報400から選択したスラブを含める場合を例に挙げて説明した。しかしながら、スラブ情報300に含まれるスラブの製造条件に基づいて定められる判定条件に基づいて、既に作成されているスラブグループの中に、スラブ情報400から選択したスラブを含めるか否かを判定するようにしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、条件(D1)を省略してもよい。
<変形例3>
前述した第1、第2の参考形態では、列挙したスラブグループの組み合わせ(部分集合)のそれぞれについて、前述した(A2)〜(E2)の全ての制約条件を満たすもののみをキャスト候補として採用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、同一のキャストに含めることができる条件(制約条件)を満たすものをキャスト候補として採用していれば、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、(B2)〜(E2)のうちの少なくとも何れか1つを採用していればよい。
<変形例4>
前述した第1、第2の参考形態では、スラブグループ選択部203で選択するスラブグループの数が一定である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、スラブグループ選択部203で選択するスラブグループの数を異ならせてもよい。図10に示したステップS1003〜S1006の処理を繰り返すと、スラブグループの再定義によって、スラブグループに属するスラブ枚数が増加する。すると、前述した(A2)〜(E2)の制約条件を満たさなくなるキャスト候補が発生しやすくなることから、キャスト候補の数が減少し、ステップS1003〜S1006の1回当たりの処理の時間が短くなる傾向となる。したがって、図10で示したステップS1003〜S1007に示す処理を繰返し、スラブグループに含まれるスラブ数が多くなるにつれて、スラブグループ選択部203で選択するスラブグループの数を大きくしてもよい。これにより、ステップS1004において導出されるキャスト候補数の減少を抑制して、より多数の組合せの中からキャスト片を最適化結果として得るとともに、収束に要するまでのステップS1003〜S1007の繰返し計算回数を抑制することが可能となる。
<変形例5>
前述した第1、第2の参考形態では、同一のキャストに含まれるスラブは同一のロット(チャンス)として熱延工程で熱間圧延されるようにするための制約条件として、(C2)〜(E2)の制約条件を例に挙げて説明した。しかしながら、同一のキャストに含まれるスラブは同一のロット(チャンス)として熱延工程で熱間圧延されるようにするための制約条件は、(C2)〜(E2)の制約条件の少なくとも1つを含んでいればよい。例えば、熱延対象のスラブや設備に応じて、(C2)〜(E2)の制約条件のうち、何れの制約条件を採用するかを決定することができる。
<変形例6>
前述した第1、第2の参考形態では、キャスト候補jに含まれるスラブのスラブ幅の最大値と最小値との差W、キャスト候補jに含まれるスラブのスラブ厚の最大値と最小値との差T、キャスト候補jに含まれるスラブの熱延希望日の平均値と最早日との差D、およびキャスト数を、キャスト候補jの評価指標として用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、ロット単位で生産される製品の生産計画を作成する場合には、ロットの数を評価していれば、その他の評価指標は適宜決定すればよい。すなわち、本参考形態の例では、評価指標には、少なくともキャスト数が含まれていればよい。また、キャスト候補jに含まれるスラブの熱延希望日の平均値と最早日との差Dに加えてまたは代えて、キャスト候補jに含まれるスラブの熱延希望日の最遅日と最早日との差を評価指標として用いてもよい。また、材質を評価指標に含めてもよい。
<変形例7>
前述した第1、第2の参考形態では、同じ内容のスラブグループi(すなわち、構成するスラブの組み合わせが同じスラブグループi)が複数存在しないことを前提としているため、(2)式および(3)式の制約式の右辺の値を「1」にした。しかしながら、例えば、同じ内容のスラブグループiが複数ある場合には、(2)式および(3)式の制約式の右辺の値は、その数になる。例えば、同じ内容のスラブグループiが2つある場合、当該スラブグループiに対する制約式として、(2)式および(3)式の制約式の右辺の値を「2」にした制約式が与えられる。このようにすることによって、同じ内容のスラブグループiが複数ある場合であっても、最適なキャスト候補に含めるスラブグループを、属するスラブの数に応じて決定することができる。
<変形例8>
前述した第1、第2の参考形態では、判定部206は、「1」が与えられた決定変数xjに対応する各キャスト候補j(キャスト片)の何れかに、スラブグループ作成部202またはスラブグループ再定義部207において作成された(最新の)スラブグループの全てが1つずつ含まれている場合に、最適化部205における最適化計算の結果が、収束判定条件を満たすと判定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、収束判定条件は、このようなものに限定されない。
スラブをいずれのキャスト片にも取り込むことが制約上できない、いわゆる組み余りが生じた際においても計算収束を判定するために、例えば、スラブグループiの総数に対する、キャスト片の何れかに含まれるスラブグループiの総数の割合(すなわち、スラブグループiのキャスト片への採用率)が所定の割合以上である場合に、収束判定条件を満たすと判定してもよい。また、スラブグループi内のスラブの総数に対する、キャスト片の何れかに含まれるスラブグループi内のスラブの総数の割合(すなわち、スラブのキャスト片への採用率)が所定の割合以上である場合に、収束判定条件を満たすと判定してもよい。
その他、前回の最適化計算の結果として得られた目的関数fの値と、今回の最適化計算の結果として得られた目的関数fの値との差が所定値以下、または、前回の最適化計算の結果として得られた目的関数fの値と、今回の最適化計算の結果として得られた目的関数fの値とが同じである場合に、収束判定条件を満たすと判定してもよい。
<変形例9>
キャスト計画の対象となるスラブの数が多い場合には、第1、第2の参考形態で説明したようにスラブグループを作成するのが好ましい。前述したように計算時間を短縮することができるからである。しかしながら、例えば、キャスト計画の対象となるスラブの数が多くない場合には、スラブグループを作成しなくてもよい。
<変形例10>
前述した第1、第2の参考形態において、1回の最適化計算における計算時間の上限値を設け、1回の最適化計算における計算時間が当該上限値になった場合には、その時点で得られている解を最適なキャスト候補と見なすようにしてもよい。
<変形例11>
前述した第2の参考形態では、鋼種内幅移行制約違反改善量WW、鋼種数コストWN、余材量コストWY、および製造コストWPを用いて鋼種kについての評価値ckを表す場合を例に挙げて説明した((6)式を参照)。しかしながら、鋼種kについての評価値ckは、鋼種内幅移行制約違反改善量WW、鋼種数コストWN、余材量コストWY、および製造コストWPの少なくとも1つを用いて表していればよい。例えば、キャスト計画の立案方針に応じて、これらのうちの何れを採用するかを決定することができる。
<変形例12>
前述した第1、第2の参考形態では、キャスト計画を作成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本参考形態で説明した手法は、キャスト計画以外の、ロットに複数の製品を纏めてロット単位で生産される複数の製品の生産計画に適用することができる。
例えば、本参考形態で説明した手法を厚板生産計画(板取り問題)に適用してもよい。スラブを目標の板厚に圧延した後、圧延後のスラブを注文に応じて剪断し厚板を得る。よって、どのスラブからどの厚板を切り出すのかを決める必要がある。かかる内容を厚板生産計画として作成する。この場合、「厚板」が「製品」に対応し、「スラブ」が「ロット」に対応し、「剪断(切り出し)」が「製造」に対応し、剪断の次工程である「精整工程」が「選択の自由度がある製造条件」に対応し、切り出したスラブの「余剰部分」が「余材量」に対応する。
スラブ情報に相当する厚板情報には、例えば、厚板の材質、サイズ、および納期などの製造条件が含まれる。(A2)〜(E2)に相当する条件として、厚板を同一のスラブから切り出すことが可能な条件(制約条件)が与えられる。この制約条件には、例えば、同一のスラブに所定の材質と異なる厚板が含まれないことや、厚板の総重量が上限値を上回らないことや、同一のスラブに含まれる厚板の厚みが所定の範囲内の厚みであることを含めることができる。この制約条件を満たすスラブがスラブ候補になる。尚、厚板をグルーピングすることもできる。例えば、本参考形態で説明した「圧延希望日」を「納期」に置き換えてスラブグループ作成部202の項で説明した処理を行うことにより厚板グループを作成することができる。最適化の際の評価指標としては、スラブの数に加え、例えば、スラブの余剰部分などを含めることができる。スラブの余剰部分とは、スラブからの切り出し後、何れの厚板にもならないスラブの部分である。このスラブの余剰部分が小さいほど、評価値は、評価が高いことを示すようにする。この他、本参考形態で説明したように、製品(厚板)のサイズや納期を用いた評価指標を採用することができる。また、最適化計算の際の制約式は、キャスト計画における制約式と同様に設定することができる((2)式、(3)式を参照)。例えば、(2)式に対応する制約式として、同じ内容の厚板(または厚板グループ)について、最適なスラブ候補に含まれる厚板(または厚板グループ)の数と、スラブ候補を導出するのに先立って選択される厚板(または厚板グループ)の数とが同じであることが定式化された制約式を採用することができる。また剪断された厚板は、塗装、手入れ、徐冷など異なる精整工程に送られるため、板取り問題においては、第2の参考形態で説明した「鋼種」を「精整工程」に置き換えて、各精整工程における処理に関する制約条件の下で処理効率を最大化するように、同一スラブから剪断される厚板を精整工程に割り当てればよい。
また、本参考形態で説明した手法を熱延計画(チャンス編成問題)に適用してもよい。連続して熱間圧延する複数のスラブを決定する必要がある。この複数のスラブの単位をチャンスと呼ぶ。この場合、「熱延板(コイル)」が「製品」に対応し、「チャンス」が「ロット」に対応し、「圧延」が「製造」に対応し、「加熱炉の炉号選択」が「選択の自由度がある製造条件」に対応する。スラブ情報に対応する熱延板情報には、例えば、熱延板(コイル)の材質、スラブのサイズ、熱延板(コイル)のサイズ、および熱延希望日などの製造条件が含まれる。(A2)〜(E2)に相当する条件として、例えば、(C2)〜(E2)を用いることができる。この制約条件を満たすチャンスがチャンス候補になる。尚、熱延板をグルーピングすることもできる。例えば、スラブグループ作成部202の項で説明した処理を行うことにより熱延板グループを作成することができる。最適化の際の評価指標としては、チャンスの数を用いることができる。この他、本参考形態で説明したように、製品(熱延板)のサイズや熱延希望日を用いた評価指標を採用することができる。また、最適化計算の際の制約式は、キャスト計画における制約式と同様に設定することができる((2)式、(3)式を参照)。例えば、(2)式に対応する制約式として、同じ内容の熱延板(または熱延板グループ)について、最適なチャンス候補に含まれる熱延板(または熱延板グループ)の数と、チャンス候補を導出するのに先立って選択される熱延板(または熱延板グループ)の数とが同じであることが定式化された制約式を採用することができる。また、チャンスを構成するスラブを複数の加熱炉に振り分けて加熱する場合は、第2の参考形態で説明した「鋼種」を「加熱炉」に置き換えて、加熱炉の能力に応じて定まる加熱炉制約の下で加熱に関する効率が最大となるように加熱炉ごとにスラブを割り当てればよい。
また、本参考形態で説明した手法の適用対象は、ロット単位で纏めて複数の製品を生産するための計画に限定されず、ロット単位で纏めて複数の製品を処理するための計画であってもよい。
例えば、本参考形態で説明した手法を山立て作成計画(山立て問題)に適用してもよい。鋼材置場(ヤード)においてクレーン等の搬送機器を用いて複数のスラブを複数の山に分けて山積みする際の各スラブが属する山と各山における各スラブの位置(積段)とを決定する必要がある。かかる内容を山立て計画として作成する。この場合、「スラブ」が「製品」に対応し、「山」が「ロット」に対応し、「山立て(搬送機器によるスラブの搬送)」が「処理」に対応する。スラブ情報は、本参考形態で説明したスラブ情報300を用いることができる。(A2)〜(E2)に相当する条件(制約条件)として、(A2)〜(E2)の「キャスト」を「山」に置き換えた条件を含めることができる。この制約条件を満たす山が山候補になる。尚、本参考形態と同様にスラブをグルーピングしてスラブグループを作成することができる。最適化の際の評価指標としては、山の数に加え、例えば、山繰りの回数などを含めることができる。山繰りとは、山を作る際に、最終的な場所とは異なる場所にスラブを一旦仮置きすることをいう。山繰りの回数が小さいほど、評価値は、評価が高いことを示すようにする。この他、本参考形態で説明したように、スラブのサイズや熱延希望日を用いた評価指標を採用することができる。また、最適化計算の際の制約式は、キャスト計画における制約式と同様に設定することができる((2)式、(3)式を参照)。
<実施形態>
以上の第1、第2の参考形態を前提として、本発明の実施形態を説明する。
第1、第2の参考形態では、キャスト編成の問題を分割して解を求めることによる精度の低下を最小限に抑えつつ、実用的な時間内でキャスト計画を作成することが可能となる。
ここで、(1)式に示すように、第1、第2の参考形態では、目的関数Jの値を最小化するときの決定変数xjを導出する。また、目的関数Jに含まれるキャスト候補jの評価値cjは、(4)式および(7)式に示すように、評価指標と重み係数との積の和(重み付き和)で表される。重み係数の値は、評価指標の重要度を表すものであり、重み係数の値によって、異なる解(決定変数xj)になる。第1、第2の参考形態では、最適化部205でキャスト候補jの評価値cjを導出する際に用いる重み係数のそれぞれは、予め設定された一定値であるものとする。
しかしながら、このようにすると、キャスト編成装置で作成されるキャスト計画を、立案者が行うキャスト編成に近づけることができない虞がある。
例えば、余材量については、注文を受ける頻度が多い鋼種ならば、余材として注文に紐付かないスラブを製造したとしても、新たに受注した当該鋼種の注文に早期に紐付けすることが期待できる。このため、立案者は、余材が注文に紐付けられる可能性が高いか否かを鋼種毎に考慮しながらキャストを編成する。したがって、例えば、余材量を評価指標として用いる場合、鋼種毎に余材量に対する重み係数を決定することが望まれる。尚、余材量は、第2の参考形態で説明した(B3)余材量のことである。
また、異鋼種連々鋳については、立案者は、異鋼種連々数(連続して鋳造される異なる2つの鋼種の継ぎ目の数)だけを評価するのではなく、連続して鋳造される異なる2つの鋼種の組み合わせとして、操業上および品質上において問題のない組み合わせを優先して選ぶ。したがって、例えば、異鋼種連々数を評価指標として用いる場合、連続して鋳造される異なる2つの鋼種の組み合わせ毎に異鋼種連々数に対する重み係数を決定することが望まれる。尚、異鋼種連々数は、第2の参考形態の(A3)鋼種数で説明した異鋼種連々の数である。
そこで、鋼種に応じて評価指標を分類して分類した評価指標のそれぞれによる評価を実現しようとすると、それぞれの評価指標に対して重み係数を設定しなければならない。例えば、余材量に対する重み係数を、鋼種毎に設定したり、異鋼種連々数に対する重み係数を、連続して鋳造される異なる2つの鋼種の組み合わせ毎に設定したりしなければならない。製鋼工場における鋼種には、一般に100以上の種類がある。このため、鋼種別の重み係数を立案者が設定するには多大な手間を要する。仮に或る時点において重み係数を鋼種毎に設定したとしても多数の重み係数をその都度の操業条件に対応するようにメンテナンスし続けるため、多大な時間を必要とする。
そこで、本実施形態では、評価指標による評価を鋼種に応じて異なせるようにするための重み係数の決定を、多大な労力を立案者に課すことなくキャスト編成装置により行うことができるようにする。このように本実施形態は、最適化部205でキャスト候補jの評価値cjを導出する際に用いる重み係数を導出する点が、第1、第2の参考形態と異なる。また、本実施形態では、第2の参考形態を前提とする場合を例に挙げて説明する。したがって、本実施形態の説明において、第2の参考形態と同一の部分については、図1〜図18に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
ここで、本実施形態では、複数の評価指標のうち異鋼種連々数を鋼種に応じて分類し、分類した異鋼種連々数に対する重み係数をそれぞれ導出する場合を例に挙げて説明する。異鋼種連々数以外の評価指標に対する重み係数ついては、第2の参考形態と同様に予め定められた一定値とする。
そこで、本実施形態では、(7)式に代えて、以下の(8)式〜(9)式でキャスト候補jの評価値cjを表す場合を例に挙げて説明する。
j=CN+Cy×y+ΣCG×g+Cp×p+CD×D ・・・(8)
ΣCG×g=Σ(CGk,k´×gk,k´)+CG2×g2 ・・・(9)
(8)式において、CNは、(4)式に示したCNと同じであり、キャスト数に対する重み係数である。yは、(7)式に示したyと同じであり、キャスト候補jにおける余材量の総和である。Cyは、(7)式に示したCyと同じであり、yに対する重み係数である。pは、(7)式に示したpと同じであり、キャスト候補jに含まれるスラブの製造コストの総和である。Cpは、(7)式に示したCpと同じであり、pに対する重み係数である。Dは、(4)式に示したDと同じであり、キャスト候補jに含まれるスラブの熱延希望日の平均値と最早日との差である。CDは、(4)式に示したCDと同じであり、Dに対する重み係数である。
gは、異鋼種連々数であり、CGは、異鋼種連々数gに対する重み係数である。
相互に異なる2つの鋼種の溶鋼を連続して鋳造すると、それら2つの鋼種の溶鋼がタンディッシュ内で混合する。この混合する部分がスラブとなった場合に、当該スラブが価値ある製品になる場合と、製品にはなり得ない無価値な製品になる場合とがある。以下の説明では、この価値ある製品を必要に応じて製品鋼材と称し、無価値な製品を必要に応じて非製品鋼材と称する。
(9)式の右辺におけるΣは、製品鋼材となる鋼種k、k´の全ての組み合わせについて積算することを表す。(9)式に示すように、異鋼種連々数gに対する重み係数CGと異鋼種連々評価指標gは、相互に異なる2つの鋼種を連続して鋳造した場合に、当該2つの鋼種の溶鋼の混合する部分が製品鋼材になるか、それとも非製品鋼材になるかによって、gk,k´またはg2に分類される。ここで、鋼種kに対して製品鋼材となる鋼種であって、鋼種kと異なる鋼種k´の集合をk´∈NK1(k)とする。
k,k´は、キャスト候補jに含まれるスラブの鋼種であって、相互に異なる2つの鋼種の組のうち、製品鋼材になる鋼種k、k´の組の数である。以下の説明では、gk,k´を、必要に応じて、製品鋼材となる異鋼種連々数と称する。製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´は、キャスト候補jに含まれるスラブに鋼種k、k´が含まれている場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる(すなわち、製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´は、「0」または「1」の何れかの値をとる)。
2は、キャスト候補jに含まれるスラブの鋼種であって、相互に異なる2つの鋼種の組のうち、非製品鋼材になる組の総数である。以下の説明では、g2を、必要に応じて、非製品鋼材となる異鋼種連々数と称する。
Gk,k´は、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数であり、以下の(10)式で表される。
Gk,k´=CG1+(CG2−CG1)/(NPk,k´+L) ・・・(10)
図19は、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´の一例を説明する図である。図19を参照しながら、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´の一例について説明する。
一般に立案者は、非製品鋼材よりも製品鋼材を製造する方がよいと考える。すなわち、立案者は、異鋼種連々鋳を行う場合には、相互に異なる2つの鋼種の組み合わせが、製品鋼材となるようにするのが好ましいと考える。(1)式に示すように、本実施形態でも、最適化部205は、目的関数Jの値を最小化するときの決定変数xjを導出する。したがって、非製品鋼材になる鋼種の組よりも、製品鋼材になる鋼種の組が多く含まれるキャスト候補jが、最適なキャスト候補の組み合わせに含まれるキャスト候補として選ばれ易くなるようにするためには、製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´に対する重み係数が、非製品鋼材となる異鋼種連々数g2に対する重み係数を下回るようにすればよい。
そこで、製品鋼材に対する重み係数をCG1、非製品鋼材に対する重み係数をCG2(CG1<CG2)とする。
図19において、グラフ1901は、非製品鋼材となる異鋼種連々数g2に対する重み係数CG2を表す。また、NPk,k´は、過去の一定期間(例えば一年間)において、鋼種kの溶鋼の後に続けて鋼種k´の溶鋼を連続鋳造した実績回数である。図19に示すように、非製品鋼材に対する重み係数CG2は一定値になる。以下の説明では、過去の一定期間において、鋼種kの溶鋼の後に続けて鋼種k´の溶鋼を連続鋳造した実績回数NPk,k´を、必要に応じて、実績回数NPk,k´と略称する。
一方、相互に異なる2つの鋼種の組であって、製品鋼材になる組については、操業上および品質上の観点から、発生頻度が高い組とそうでない組とがある。一般に立案者は、相互に異なる2つの鋼種の組であって、製品鋼材になる組については、発生頻度が高い組が多くなるようにするのが好ましいと考える。そこで、図19のグラフ1902a、1902bに示すように、実績回数NPk,k´が0(ゼロ)であるときに最大値をとり、且つ、実績回数NPk,k´が多くなるほど小さな値をとり、且つ、最小値が製品鋼材に対する重み係数CG1となるように、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を表す。
前述したように非製品鋼材になる鋼種の組よりも、製品鋼材になる鋼種の組が多く含まれるキャスト候補jが、最適なキャスト候補の組み合わせに含まれるキャスト候補として選ばれ易くなるようにする必要がある。したがって、実績回数NPk,k´が0(ゼロ)であるときに、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´が、非製品鋼材に対する重み係数CG2を下回るようにする。このため、(10)式において、定数Lとして「1」を上回る値(L>1)とする。このようにすれば、どのような鋼種k、k´の組み合わせであっても、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´が、非製品鋼材に対する重み係数CG2を下回るようにすることができる。尚、グラフ1902aは、相対的に定数Lが小さい場合の製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を示し、グラフ1902bは、相対的に定数Lが大きい場合の製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を示す。また、定数Lを「1」(L=1)とすると、実績回数NPk,k´が0(ゼロ)であるときに、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´が、非製品鋼材に対する重み係数CG2と等しくなる(CGk,k´=CG2)。
以上のように製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´が、実績回数NPk,k´が多くなるほど小さな値をとることにより、製品鋼材になる鋼種の組のうち、実績回数NPk,k´が多い鋼種の組が多く含まれるキャスト候補jが、最適なキャスト候補の組み合わせに含まれるキャスト候補として選ばれ易くなる。したがって、立案者が行うキャスト編成に近づけることができる。
重み係数CG1、CG2は、それぞれ、異鋼種連々数gに対する重み係数CGの最小値、最大値を定めるものであり、予め設定される。定数Lは、実績回数NPk,k´が0(ゼロ)であるときの、製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´に対する重み係数CGk,k´を調整するためのものであり、予め設定される。
キャスト編成装置200は、過去の一定期間(例えば一年間)において鋼種kの溶鋼の後に続けて鋼種k´の溶鋼を連続鋳造した実績回数NPk,k´を特定することができる製造実績データを、連続鋳造機で製造した全ての鋼種kについて予め取得して記憶する。また、キャスト編成装置200は、製品鋼材となる鋼種の組み合わせと非製品鋼材となる鋼種の組み合わせとを予め取得して記憶する。キャスト編成装置200は、例えば、キャスト編成装置200に対するオペレータによる操作、外部装置から送信されたスラブ情報の受信、または可搬型記憶媒体に記憶されたスラブ情報の読み出しを行うことにより、これらの情報(実績回数NPk,k´を特定することができる製造実績データ、製品鋼材となる鋼種の組、非製品鋼材となる鋼種の組)を取得することができる。例えば、キャスト編成装置200は、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせについての実績回数NPk,k´を、かかる製造実績データから、連続して鋳造した相互に異なる2つの鋼種k、k´のうち、製品鋼材となる鋼種k、k´の組を導出することにより得ることができる。またキャスト編成装置200は、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせについての実績回数NPk,k´を、かかる製造実績データから、連続して鋳造した相互に異なる2つの鋼種k、k´のうち、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組の数を集計することにより得ることができる。
最適化部205は、キャスト候補jの評価値cjを導出する際に、第2の参考形態で説明した(7)式の代わりに、(8)式〜(10)式を用いる。このとき、最適化部205は、キャスト候補jに含まれるスラブの鋼種に基づいて、製品鋼材となる鋼種k、k´の組の数と非製品鋼材となる鋼種のk、k´の組の総数とを導出する。尚、前述したように、製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´は、キャスト候補jに含まれるスラブに鋼種k、k´が含まれている場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる。そして、最適化部205は、製品鋼材となる鋼種k、k´の組の数のそれぞれを、製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´とし、非製品鋼材となる鋼種のk、k´の組の総数を、非製品鋼材となる異鋼種連々数g2として(9)式に与える。また、最適化部205は、非製品鋼材に対する重み係数CG2を(9)式に与える。また、最適化部205は、実績回数NPk,k´と、重み係数CG1、CG2とを(10)式に与えて、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を導出する。以上のようにして、各キャスト候補jの評価値cjを導出する。
尚、重み係数CN、Cy、CG(CGk,k´、C2)、Cp、CDは、それぞれの評価項目をどの程度重視するかによって予め設定されるものであり、各評価項目間の評価のバランスを表すものである。重み係数CN、Cy、CG(CGk,k´、C2)、Cp、CDのうちの1つまたは複数の値が「1」となることがある。
(計算例)
次に、計算例を説明する。
本計算例では、キャスト候補jに含まれる鋼種が、鋼種A、B、C、D、Eの何れかであるものとしてキャスト計画を作成した。
図20は、本計算例で使用した実績回数NPk,k´を表形式で示す図である。図20において、行要素に示す鋼種は前鋼種kであり、列要素に示す鋼種は後鋼種k´である。後鋼種k´は、前鋼種kに対して製品鋼材となる鋼種であって、前鋼種kと異なる鋼種k´である(前鋼種kの溶鋼に続けて後鋼種kの溶鋼が鋳造された場合に、当該溶鋼の混合する部分のスラブが製品鋼材となる)。また、前鋼種kと後鋼種k´とが同じ場合には、異鋼種連々数gに対する重み係数CG(製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´および非製品鋼材に対する重み係数CG2)は0(ゼロ)になるものとする。このような場合の実績回数NPk,k´は不要となるので、図20では、該当する要素を「−」と示す。
本計算例では、製品鋼材に対する重み係数CG1を「10」とし、非製品鋼材に対する重み係数CG2を「100」とした。また、定数Lを「1.1」とした。そうすると、(10)式より、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対するCGk,k´は、図21に示すようになる。図21は、本計算例における異鋼種連々数gに対する重み係数CGを表形式で示す図である。図21において、異鋼種連々数gに対する重み係数CGが「0(ゼロ)」となる鋼種の組み合わせは、同じ鋼種からなる組み合わせである(すなわち、前鋼種kと後鋼種k´とが同じである)。また、異鋼種連々数gに対する重み係数CGが「100」となる鋼種の組み合わせは、非製品鋼材となる鋼種の組み合わせである。また、異鋼種連々数gに対する重み係数CGが「0(ゼロ)」または「100」以外の値となる鋼種の組み合わせは、製品鋼材となる鋼種の組み合わせである。
図22は、キャスト編成装置200で導出されたキャスト候補jにおける異鋼種連々数を鋼種の組み合わせ別に表形式で示す図である。図22(a)は比較例を示し、図22(b)は発明例を示す。発明例では、(8)式〜(10)式を用いて異鋼種連々数gに対する評価値((8)式のΣCG×g)を導出した。一方、比較例では、非製品鋼材に対する重み係数CG2を「100」とし、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を全て製品鋼材に対する重み係数CG1(=10)とした。
図22(b)に示すように、本実施形態のように、製品鋼材に対する重み係数CG1以上、非製品鋼材に対する重み係数CG2未満の範囲で、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を実績回数NPk,k´が多いほど小さい値にして異鋼種連々を詳細に評価することにより、異鋼種連々数の総数が減り、且つ、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´が小さくなる鋼種k、k´の組み合わせが選択される。すなわち、実績回数NPk,k´が多い鋼種k、k´の組み合わせが選択されるため、キャスト編成装置200で導出されたキャスト計画を、立案者の意図するキャスト計画に近づけることができる。これに対し、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を一定値にすると、図22(a)に示すように、異鋼種連々数の総数が増えてしまう。このため、立案者の意図するキャスト計画が得られない。図22(b)に示す発明例では、異鋼種連々数gに対する評価値((8)式のΣCG×g)は「122.7(=100+22.7)」になる。一方、図22(a)に示す比較例における異鋼種連々数gに対する評価値は「296.7(=12.8+91.8+21.1+100+18.1+52.9)」になる。従って、比較例に比べ発明例では、異鋼種連々数gに対する評価値が大幅に改善することが分かる。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、異鋼種連々数gを、製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´と、非製品鋼材となる異鋼種連々数g2とに分類し、これらに対する重み係数として、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CG2をそれぞれ用いる。ここで、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CG2を一定値とし、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を、製品鋼材に対する重み係数CG1以上、非製品鋼材に対する重み係数CG2未満の範囲で、実績回数NPk,k´が多いほど小さい値とする。従って、最適なキャスト候補jに含まれる鋼種k、k´の組み合わせとして、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせよりも、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせが含まれやすくなる。また、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせについては、実績回数NPk,k´が多い鋼種k、k´の組み合わせが最適なキャスト候補jに含まれる鋼種k、k´の組み合わせに含まれやすくなる。このようにするための重み係数CGk,k´、CG2を立案者が手作業で設定することは現実的ではない。以上のように本実施形態では、第1の参考形態および第2の参考形態で説明した効果に加えて、キャスト編成装置200で導出されたキャスト計画を、立案者の意図するキャスト計画に近づけることを、多大な労力をかけずに実現することができるという効果を奏する。
(変形例)
<変形例13>
本実施形態では、異鋼種連々数gを、製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´と、非製品鋼材となる異鋼種連々数g2とに分類し、これらに対する重み係数として、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CG2をそれぞれ用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、異鋼種連々数gの分類先は、2つに限定されない。
例えば、製品鋼材を更に高品質の製品鋼材と低品質の製品鋼材とに分類してもよい。このようにする場合、異鋼種連々数gは、高品質の製品鋼材となる異鋼種連々数と、低品質の製品鋼材となる異鋼種連々数と、非製品鋼材となる異鋼種連々数とに分類される。従って、これらに対する重み係数として、例えば、高品質の製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGHk,k´、低品質の製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGLk,k´、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CG2をそれぞれ用いることができる。低品質の製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGLk,k´、高品質の製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGHk,k´は、それぞれ、例えば、以下の(11)式、(12)式で表される。
GLk,k´=CG3+(CG2−CG3)/(NPk,k´+L1) ・・・(11)
GHk,k´=CG4+(CG3−CG4)/(NPk,k´+L2) ・・・(12)
ここで、CG3は、低品質の製品鋼材に対する重み係数であり、非製品鋼材に対する重み係数CG2未満の値(CG3<CG2)である。CG4は、高品質の製品鋼材に対する重み係数であり、低品質の製品鋼材に対する重み係数CG3未満の値(CG4<CG3)である。低品質の製品鋼材に対する重み係数CG3と、高品質の製品鋼材に対する重み係数CG4は、予め設定される。定数L1、L2は、それぞれ、「1」を上回る値(L1、L2>1)であり、予め設定される。定数L1、L2は、それぞれ、実績回数NPk,k´が0(ゼロ)であるときの、低品質の製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGLk,k´、高品質の製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGHk,k´を調整するためのものである。
<変形例14>
本実施形態では、鋼種kを用いて表される分類条件に従って分類する評価指標が異鋼種連々数gである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、鋼種kを用いて表される分類条件に従って分類する評価指標は異鋼種連々数gに限定されない。
例えば、鋼種kを用いて表される分類条件に従って分類する評価指標は、余材量の総和yであってもよい。例えば、余材量の総和yを鋼種k毎に分類し、鋼種k毎の余材量のそれぞれに対する重み係数を導出してもよい。このようにする場合、重み係数は鋼種k毎に導出される。鋼種k毎の重み係数は、例えば、予め設定された最大値と最小値との範囲内で、余材量が多いほど値が小さくなる関数で表される。キャスト編成装置200は、過去の一定期間(例えば一年間)における余材量(の実績)の鋼種k毎の合計を取得し、当該取得した鋼種kの余材量の合計に対応する重み係数を、前述した関数を使って、当該鋼種kの余材量に対する重み係数として導出する。立案者は、過去に余材量が多くなった鋼種kについてはキャストに含めてもよいと判断する。従って、以上のようにすれば、キャスト編成装置200で導出されたキャスト計画を、立案者の意図するキャスト計画に近づけることができる。尚、このようにする場合の評価指標に対する評価値((8)式のΣCG×gに相当するもの)は、全ての鋼種kについての、重み係数と余材量との積の総和となる。
また、鋼種kを用いて表される分類条件に従って分類する評価指標は、操業時に発生する製造コストであってもよい。例えば、操業時に発生する製造コストを鋼種k毎に分類し、鋼種k毎の製造コストのそれぞれに対する重み係数を導出してもよい。このようにする場合、重み係数は鋼種毎に導出される。鋼種k毎の重み係数は、例えば、予め設定された最大値と最小値との範囲内で、製造コストが大きいほど値が小さくなる関数で表される。キャスト編成装置200は、過去の一定期間(例えば一年間)における製造コスト(の実績)の鋼種k毎の合計を取得し、当該取得した鋼種kの製造コストの合計に対応する重み係数を、前述した関数を使って、当該鋼種kの製造コストに対する重み係数として導出する。立案者は、過去に製造コストが高くなった鋼種kについてはキャストに含めてもよいと判断する。従って、以上のようにすれば、キャスト編成装置200で導出されたキャスト計画を、立案者の意図するキャスト計画に近づけることができる。尚、このようにする場合の評価指標に対する評価値((8)式のΣCG×gに相当するもの)は、全ての鋼種kについての、重み係数と製造コストとの積の総和となる。尚、このようにする場合、スラブ情報300に、製造条件として製造コストを示す情報を含めることができる。
また、鋼種kを用いて表される分類条件に従って分類する評価指標は、スラブの熱延希望日の平均値と最早日との差Dであってもよい。以下の説明では、スラブの熱延希望日の平均値と最早日との差Dを、必要に応じて納期差Dと称する。例えば、納期差Dを鋼種k毎に分類し、鋼種k毎の納期差Dのそれぞれに対する重み係数を導出してもよい。このようにする場合、重み係数は鋼種毎に導出される。鋼種k毎の重み係数は、例えば、予め設定された最大値と最小値との範囲内で、納期差Dが大きいほど値が小さくなる関数で表される。キャスト編成装置200は、過去の一定期間(例えば一年間)における納期差D(の実績)の鋼種k毎の平均値を取得し、当該取得した鋼種kの納期差Dの平均値に対応する重み係数を、前述した関数を使って、当該鋼種kの納期差の平均値に対する重み係数として導出する。立案者は、過去に納期差が大きくなった鋼種kについてはキャストに含めてもよいと判断する。従って、以上のようにすれば、キャスト編成装置200で導出されたキャスト計画を、立案者の意図するキャスト計画に近づけることができる。尚、このようにする場合の評価指標に対する評価値((8)式のΣCG×gに相当するもの)は、全ての鋼種kについての、重み係数と納期差との積の総和となる。
また、2つ以上の評価指標(例えば、異鋼種連々数gおよび余材量の総和y)を分類してもよい。
<変形例15>
本実施形態では、評価指標を、鋼種kを用いて表される分類条件に従って分類する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、評価指標は、鋼種k以外の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類してもよい。
例えば、余材として製造された鋼材(スラブの一部)を新たな注文に紐づけて製品鋼材とする際に、幅狭の鋼材の注文よりも幅広の鋼材の注文の方が多い傾向にある場合には、幅広の鋼材を余材として作り置きしておくことが望ましい。このような場合、余材量の総和yを鋼材の幅域(予め設定された幅の範囲)毎に分類し、鋼材の幅域毎の余材量のそれぞれに対する重み係数を導出してもよい。この他、余材量の総和yを、鋼材の厚み域(予め設定された厚みの範囲)毎、または、鋼材の重量(予め設定された重量の範囲)毎に分類してもよい。この場合、第2の参考形態を前提とせずに第1の参考形態に本実施形態を適用することができる。また、2つ以上の製造条件(例えば、鋼種kおよび幅域)を組み合わせて評価指標を分類してもよい。尚、製造コストを製造条件に含めてよいことは<変形例14>に示した通りである。
<変形例16>
本実施形態では、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を、製品鋼材に対する重み係数CG1以上、非製品鋼材に対する重み係数CG2未満の範囲で、実績回数NPk,k´が多いほど小さい値にする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、或る製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される評価指標に対する重み係数は、当該分類条件に従って分類された製造実績データから導出される製造実績値に応じて変化していれば、必ずしも実績回数NPk,k´に応じて変化するものでなくてもよく、例えば、<変形例14>で説明したように、余材量(の実績)、製造コスト(の実績)、納期差D(の実績)に応じて変化してもよい。
この他、例えば、評価指標に対する重み係数は、前述した製造実績値の一例である製品の品質を示す値に応じて変化するものでもよい。このようにする場合、例えば、製造したスラブについて製造条件(例えば鋼種)毎に疵個数を集計して、評価指標に対する重み係数が、予め設定された最大値と最小値との範囲内で、疵個数が少ないほど小さくなるようにしてもよい。評価指標が異鋼種連々数gである場合を例に挙げて説明すると、鋼種kの溶鋼の後に続けて鋼種k´の溶鋼を連続鋳造(異鋼種連々鋳)することにより製造されたスラブの疵個数をNDkとすると、異鋼種連々数gに対する重み係数CGは、例えば、以下の(13)式で表される。
G=Σ(CG1+CND×NDk) ・・・(13)
(13)式におけるΣは、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせについて積算することを表す。また、(13)式において、CNDは、スラブの疵個数NDjに対する重み係数であり、予め設定される。スラブの疵個数NDjに対する重み係数CNDは、スラブの疵個数NDjをどのくらい重要視して評価するかに応じて定められる。
(13)式に示す例では、スラブの疵個数が少ない鋼種k、k´の組み合わせであるほど、(13)式の小括弧内の値は小さくなるため、(1)式に示すような最小化問題では、このような鋼種k、k´の組み合わせが、最適なキャスト候補に含まれやすくなる。
<変形例17>
本実施形態の手法は、目的関数Jの値を最小化する場合を例に挙げて説明したが、目的関数Jの値を最大化する場合にも本実施形態の手法を適用することができる。このようにする場合には、例えば、(1)式の右辺に(−1)を掛けたものを目的関数Jとする。また、製品鋼材に対する重み係数を(CG1ではなく)CG5とし、製品鋼材に対する重み係数CG5を、非製品鋼材に対する重み係数CG2を上回る値(CG5>CG2)とする。そして、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´を、非製品鋼材に対する重み係数CG2を上回り、製品鋼材に対する重み係数CG5以下の範囲で、実績回数NPk,k´が多いほど大きい値とする。
<その他の変形例>
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
本実施形態で説明した事項と請求項との関係を以下に列挙する。尚、本発明が以下のものに限定されるものではないことは、変形例などで説明した通りである。
<請求項1>
計画作成装置は、例えば、キャスト編成装置200に対応する。
取得手段は、例えば、スラブ情報取得部201を用いることにより実現される。
製品情報は、例えば、スラブ情報300に対応する。
選択手段は、例えば、スラブグループ選択部203を用いることにより実現される。
ロット候補導出手段は、例えば、キャスト候補導出部204を用いることにより実現される。
第1のロット包含可能条件は、例えば、(A2)〜(E2)の制約条件により実現される(図17のステップS1702も参照)。
最適化手段は、例えば、最適化部205を用いることにより実現される。
判定手段は、例えば、判定部206を用いることにより実現される。
再定義手段は、例えば、スラブグループ再定義部207を用いることにより実現される。
出力手段は、例えば、出力部208を用いることにより実現される。
目的関数は、例えば(1)式により実現される。
第1のロット候補導出評価指標は、例えば、(4)式、(7)式、(8)式のキャスト数(重み係数CNに乗算される「1(=決定変数xj)」)により実現される。
第2のロット候補導出評価指標は、例えば、キャスト候補jにおける余材量の総和y、異鋼種連々数g等を用いることにより実現される。余り量は、例えば、キャスト候補jにおける余材量の総和yを用いることにより実現される(<変形例14>等も参照)。
前記製品の製造条件を用いて表される分類条件は、例えば、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせのそれぞれと、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせとに分類するという条件に対応する。
前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標のそれぞれに対する重み係数は、例えば、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´、非製品鋼材に対する重み係数CG2を用いることにより実現される。
制約式は、例えば、(2)式、(3)式により実現される。
当該製品の製造実績データであって、当該製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類された製造実績データは、例えば、製造実績データを、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせのそれぞれにおける実績回数NPk,k´を特定することができる製造実績データと、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせにおける実績回数NPk,k´を特定することができる製造実績データとに分類することにより得られる。
<請求項2>
関係式は、例えば、(10)式を用いることにより実現される(<変形例13>等も参照)。前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類された前記製造実績データに基づいて導出される製造実績値は、例えば、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせのそれぞれにおける実績回数NPk,k´と、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせにおける実績回数NPk,k´に対応する。
<請求項3>
前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数のうち、所定の分類先に分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数は、一定値であることは、例えば、図19に示すように、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CG2が一定値であることにより実現される。
<請求項4>
前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標のうち、所定の分類先に分類される前記第2のロット候補導出指標に対する重み係数のとり得る範囲は、例えば、(10)式に示すように、製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CGk,k´が、製品鋼材に対する重み係数CG1以上、非製品鋼材に対する重み係数CG2未満の範囲になることに対応する。
<請求項5>
グループ作成手段は、例えば、スラブグループ作成部202を用いることにより実現される。
製品グループは、スラブグループに対応する。
<請求項6>
前記製品のサイズ、重量、納期、およびコストは、例えば、スラブ幅・スラブ厚、スラブ重量、熱延希望日、および製造コストにより実現される(<変形例14>を参照)。
前記製品のサイズ、重量、納期、およびコストの少なくとも何れか1つを評価する評価指標は、例えば、キャスト候補jに含まれるスラブの幅(スラブ幅)の最大値と最小値との差W、キャスト候補jに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)の最大値と最小値との差T、キャスト候補jに含まれるスラブの枚数S、キャスト候補jに含まれるスラブの熱延希望日の平均値と最早日との差D、および製造コストの合計を用いることにより実現される(<変形例14>を参照)。
前記第2のロット候補導出評価指標の少なくとも1つは、前記製品のサイズ、重量、納期、および製造コストの少なくとも何れか1つを用いて表される分類条件に従って分類されることは、例えば、<変形例14>の記載に対応する。
<請求項7>
前記製品を同一のロットに含めることができる条件は、例えば、(B2)〜(E2)の制約条件により実現される。
<請求項8>
製造条件選択評価指標は、例えば、(A3)〜(D3)の評価指標((6)式の右辺第2項〜第4項)により実現される(図17のステップS1708〜S1712も参照)。
第2のロット包含可能条件は、例えば、(F2)の制約条件により実現される(図17のステップS1714も参照)。
<請求項9>
前記製品の材質、サイズ、重量、納期、およびコストは、例えば、材質、スラブ幅・スラブ厚、スラブ重量、熱延希望日、および製造コストにより実現される。
前記製品の材質、サイズ、重量、納期、およびコストの少なくとも何れか1つを評価する評価指標は、例えば、キャスト候補jに含まれるスラブの鋼種の総数n、キャスト候補jに含まれるスラブの幅(スラブ幅)の最大値と最小値との差W、キャスト候補jに含まれるスラブの厚み(スラブ厚)の最大値と最小値との差T、キャスト候補jに含まれるスラブの枚数S、キャスト候補jにおける余材量の総和y、キャスト候補jに含まれるスラブの熱延希望日の平均値と最早日との差D、製造コストの合計を用いることにより実現される。
前記第2のロット候補導出評価指標の少なくとも1つは、前記製品の材質、サイズ、重量、納期、コストの少なくとも何れか1つを用いて表される分類条件に従って分類されることは、例えば、異鋼種連々数gを、鋼種k、k´の組み合わせに応じて、製品鋼材となる異鋼種連々数gk,k´と、非製品鋼材となる異鋼種連々数g2とに分類することと、<変形例15>の記載に対応する。
<請求項10>
前記製品の材質を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数のうち、所定の分類先に分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数は、一定値であることは、例えば、図19に示すように、非製品鋼材となる鋼種k、k´の組み合わせに対する重み係数CG2(製品鋼材となる異鋼種連々数g2と乗算される重み係数CG2)が一定値であることにより実現される。
<請求項11>
第1のロット包含可能条件は、例えば、(A2)〜(E2)の制約条件により実現される(図17のステップS1702〜S1713も参照)。
第2のロット包含可能条件は、例えば、(F2)の制約条件により実現される(図17のステップS1714も参照)。
200:キャスト編成装置、201:スラブ情報取得部、202:スラブグループ作成部、203:スラブグループ選択部、204:キャスト候補導出部、205:最適化部、206:判定部、207:スラブグループ再定義部、208:出力部、300:スラブ情報、400:並び替え後のスラブ情報、500:スラブグループ情報、600:並び替え後のスラブグループ情報、900:再定義後のスラブグループ情報

Claims (13)

  1. 複数の製品をロットの単位で纏めて生産または処理するための計画を作成する計画作成装置であって、
    前記複数の製品の情報であって、前記製品の製造条件を含む製品情報を取得する取得手段と、
    前記複数の製品の一部を選択する選択手段と、
    前記選択手段により選択された前記製品の部分集合のうち、製品を同一のロットに含めることができる条件として前記製品の製造条件を用いて表される第1のロット包含可能条件を満たす部分集合をロット候補として導出するロット候補導出手段と、
    前記ロット候補導出手段により導出された前記ロット候補から最適なロット候補を、制約式を満足する範囲で目的関数の値を最大または最小にする最適化計算を行うことにより導出する最適化手段と、
    前記最適化計算の結果が収束したか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記最適化計算の結果が収束していないと判定されると、前記最適化手段により導出された前記最適なロット候補に含まれる前記製品を纏めて前記選択手段における新たな選択対象の製品として再定義する再定義手段と、
    前記判定手段により、前記最適化計算の結果が収束したと判定された際に前記最適化手段により導出された前記最適なロット候補を最適なロットとし、当該最適なロットにどの前記製品が含まれるのかを示す情報を出力する出力手段と、を有し、
    前記目的関数は、ロットの数を含む第1のロット候補導出評価指標と、当該第1のロット候補導出評価指標に対する重み係数との積と、余り量を含む第2のロット候補導出評価指標と当該第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数との積と、を含む目的関数であり、
    前記余り量は、1つまたは複数の前記製品を前記ロットに纏めた場合に当該ロットにおいて余りとなる部分の量であり、
    前記第2のロット候補導出評価指標の少なくとも1つは、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類され、
    前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標のそれぞれに対する重み係数を含み、
    前記制約式は、前記最適なロット候補に含まれる前記製品の数と、前記選択手段により選択された前記製品の数とが同じであり、同一の前記製品が異なる前記ロット候補に含まれないことが定式化された式を含み、
    前記最適化手段は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数を、当該製品の製造実績データであって、当該製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類された製造実績データに基づいて導出し、
    前記選択手段は、前記再定義手段により前記選択手段における新たな選択対象の前記製品が再定義された場合、前記再定義手段により再定義された前記製品の全てと、未選択の前記製品のうちの一部の製品を選択し、
    前記判定手段により、前記最適化計算の結果が収束したと判定されるまで、前記再定義手段による前記製品の再定義と、前記選択手段による前記製品の選択と、前記ロット候補導出手段による前記ロット候補の導出と、前記最適化手段による前記最適化計算とを行うことを特徴とする計画作成装置。
  2. 前記最適化手段は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標と、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類された前記製造実績データに基づいて導出される製造実績値との関係を示す関係式を用いて、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数を導出することを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
  3. 前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数のうち、所定の分類先に分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数は、一定値であることを特徴とする請求項1または2に記載の計画作成装置。
  4. 前記最適化手段は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標のうち、所定の分類先に分類される前記第2のロット候補導出指標に対する重み係数のとり得る範囲を前記計画作成装置に対して入力された情報に基づいて設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の計画作成装置。
  5. 前記製品の製造条件に基づいて前記複数の製品をグルーピングすることにより複数の製品グループを作成するグループ作成手段をさらに有し、
    前記選択手段は、前記グループ作成手段により作成された前記製品グループの一部を選択し、
    前記ロット候補導出手段は、前記選択手段により選択された前記製品グループの部分集合のうち、製品グループを同一のロットに含めることができる条件を満たす部分集合をロット候補として導出し、
    前記制約式は、前記最適なロット候補に含まれる前記製品グループの数と、前記選択手段により選択された前記製品グループの数とが同じであり、同一の前記製品グループが異なる前記ロット候補に含まれないことが定式化された式を含み、
    前記再定義手段は、前記判定手段により前記最適化計算の結果が収束していないと判定されると、前記最適化手段により導出された前記最適なロット候補に含まれる前記製品グループを纏めて前記選択手段における新たな選択対象の製品グループとして再定義し、
    前記判定手段により、前記最適化計算の結果が収束したと判定されるまで、前記再定義手段による前記製品グループの再定義と、前記選択手段による前記製品グループの選択と、前記ロット候補導出手段による前記ロット候補の導出と、前記最適化手段による前記最適化計算とを行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の計画作成装置。
  6. 前記製品の製造条件には、前記製品のサイズ、重量、納期、およびコストの少なくとも何れか1つが含まれ、
    前記第2のロット候補導出評価指標は、前記製品のサイズ、重量、納期、およびコストの少なくとも何れか1つを評価する評価指標をさらに含み、
    前記第2のロット候補導出評価指標の少なくとも1つは、前記製品のサイズ、重量、納期、およびコストの少なくとも何れか1つを用いて表される分類条件に従って分類されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の計画作成装置。
  7. 前記製品は、連続鋳造機で鋳造されるスラブであり、
    前記ロットは、連続して鋳造する複数のチャージのまとまりであるキャストであり、
    前記計画は、前記スラブが属する前記キャストを示すキャスト計画であり、
    前記製品を同一のロットに含めることができる条件は、前記スラブの総重量が予め指定される上限値を超えていないこと、前記スラブを圧延することにより製造されるコイルの長さの和が予め指定される上限値を超えていないこと、前記スラブを圧延順に並び替えた場合に相前後する前記スラブの幅の差が予め指定される上限値以下であること、および、幅の差が一定値以下のスラブの枚数が予め指定される上限値以下であることの少なくとも何れか1つを含み、
    前記余り量は、1つのキャストにおける同一の鋼種のスラブの総重量を、1チャージの重量で割ったときの余りである余材量であり、
    前記鋼種は、溶鋼の成分に基づいて予め指定されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の計画作成装置。
  8. 前記ロット候補導出手段は、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合に含まれる前記製品のうち、選択に自由度がある前記製造条件を有する前記製品については、当該選択に自由度がある製造条件の複数の異なる選択肢それぞれに対して、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合に含まれる前記製品の前記製造条件に基づいて製造条件選択評価指標を導出し、導出した前記製造条件選択評価指標に基づいて、前記選択の自由度がある製造条件を選択する第1の製造条件選択手段と、
    前記選択の自由度がある製造条件の選択を前記第1の製造条件選択手段によって決定したものであるとして、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合が、製品を同一のロットに含めることができる条件として前記製造条件を用いて表される第2のロット包含可能条件を満たすか否かを判定し、その判定の結果に基づいて、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合の中から、前記ロット候補を導出する第2の製造条件選択手段とを更に有し、
    前記製造条件選択評価指標は、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合に含まれる前記製品の製造条件であって、前記選択の自由度がある製造条件の選択肢のうちの、選択された異なる選択肢の数に関する評価指標と、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合に含まれる前記製品を生産する場合に生じる余材量に関する評価指標と、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合に含まれる前記製品を生産する場合の製造コストに関する評価指標と、前記製造条件の選択により実現する前記第2のロット包含可能条件に対する違反の改善に関する評価指標と、のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の計画作成装置。
  9. 前記製品の製造条件には、前記製品の材質、サイズ、重量、納期、およびコストの少なくとも何れか1つが含まれ、
    前記第2のロット候補導出評価指標は、前記製品の材質、サイズ、重量、納期、およびコストの少なくとも何れか1つを評価する評価指標をさらに含み、
    前記第2のロット候補導出評価指標の少なくとも1つは、前記製品の材質、サイズ、重量、納期、およびコストの少なくとも何れか1つを用いて表される分類条件に従って分類されることを特徴とする請求項8に記載の計画作成装置。
  10. 前記製品の材質を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数のうち、所定の分類先に分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数は、一定値であることを特徴とする請求項9に記載の計画作成装置。
  11. 前記製品は、連続鋳造機で鋳造されるスラブであり、
    前記ロットは、連続して鋳造する複数のチャージのまとまりであるキャストであり、
    前記計画は、前記スラブが属する前記キャストを示すキャスト計画であり、
    前記選択の自由度がある製造条件は、溶鋼の成分に基づいて予め指定される鋼種であり、
    前記第1のロット包含可能条件は、前記鋼種に依存せずに定まる、前記スラブを製造する際の制約を含み、
    前記第2のロット包含可能条件は、前記鋼種に依存して定まる、前記スラブを製造する際の制約を含み、
    前記ロット候補導出手段における前記第1の製造条件選択手段は、前記選択手段により選択された前記製品の部分集合のうち、前記第1のロット包含可能条件を満たす前記製品の部分集合を抽出し、抽出した前記製品の部分集合に含まれる前記製品のうち、前記鋼種の選択に自由度がある前記製品については、当該選択に自由度がある製造条件の複数の異なる選択肢それぞれに対して、前記抽出した前記製品の部分集合に含まれる前記製品の前記製造条件に基づいて前記製造条件選択評価指標を導出し、導出した前記製造条件選択評価指標に基づいて、前記鋼種のうちの1つを決定し、
    前記ロット候補導出手段における前記第2の製造条件選択手段は、前記選択の自由度がある鋼種を前記決定した鋼種であるものとして、前記抽出した前記製品の部分集合が、前記第2のロット包含可能条件を満たすか否かを判定し、前記抽出した前記製品の部分集合のうち、前記第2のロット包含可能条件を満たす部分集合を前記ロット候補として導出し、
    前記余り量は、1つのキャストにおける同一の前記鋼種のスラブの総重量を、1チャージの重量で割った余りである余材量であることを特徴とすることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の計画作成装置。
  12. 複数の製品をロットの単位で纏めて生産または処理するための計画を作成する計画作成方法であって、
    前記複数の製品の情報であって、前記製品の製造条件を含む製品情報を取得する取得工程と、
    前記複数の製品の一部を選択する選択工程と、
    前記選択工程により選択された前記製品の部分集合のうち、製品を同一のロットに含めることができる条件として前記製品の製造条件を用いて表される第1のロット包含可能条件を満たす部分集合をロット候補として導出するロット候補導出工程と、
    前記ロット候補導出工程により導出された前記ロット候補から最適なロット候補を、制約式を満足する範囲で目的関数の値を最大または最小にする最適化計算を行うことにより導出する最適化工程と、
    前記最適化計算の結果が収束したか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程により前記最適化計算の結果が収束していないと判定されると、前記最適化工程により導出された前記最適なロット候補に含まれる前記製品を纏めて前記選択工程における新たな選択対象の製品として再定義する再定義工程と、
    前記判定工程により、前記最適化計算の結果が収束したと判定された際に前記最適化工程により導出された前記最適なロット候補を最適なロットとし、当該最適なロットにどの前記製品が含まれるのかを示す情報を出力する出力工程と、を有し、
    前記目的関数は、ロットの数を含む第1のロット候補導出評価指標と、当該第1のロット候補導出評価指標に対する重み係数との積と、余り量を含む第2のロット候補導出評価指標と当該第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数との積と、を含む目的関数であり、
    前記余り量は、1つまたは複数の前記製品を前記ロットに纏めた場合に当該ロットにおいて余りとなる部分の量であり、
    前記第2のロット候補導出評価指標の少なくとも1つは、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類され、
    前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標のそれぞれに対する重み係数を含み、
    前記制約式は、前記最適なロット候補に含まれる前記製品の数と、前記選択工程により選択された前記製品の数とが同じであり、同一の前記製品が異なる前記ロット候補に含まれないことが定式化された式を含み、
    前記最適化工程は、前記製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類される前記第2のロット候補導出評価指標に対する重み係数を、当該製品の製造実績データであって、当該製品の製造条件を用いて表される分類条件に従って分類された製造実績データに基づいて導出し、
    前記選択工程は、前記再定義工程により前記選択工程における新たな選択対象の前記製品が再定義された場合、前記再定義工程により再定義された前記製品の全てと、未選択の前記製品のうちの一部の製品を選択し、
    前記判定工程により、前記最適化計算の結果が収束したと判定されるまで、前記再定義工程による前記製品の再定義と、前記選択工程による前記製品の選択と、前記ロット候補導出工程による前記ロット候補の導出と、前記最適化工程による前記最適化計算とを行うことを特徴とする計画作成方法。
  13. 請求項1〜11の何れか1項に記載の計画作成装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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